- 1二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 19:38:37
その問いは不思議なもので、様々な意見が飛び出す
未来は、簡単に言えば延長線だと私は考える
「今」から未来へ、無数の可能性が広がっている
その複雑な分岐。些細な変化による、結末の違い
しかしそれは、「今」からの延長線でしか無い
だから、延長線なのである
どれだけ無数の可能性があろうと、それは「今」からの分岐。「今」を変える力がなければ、どんどん悪い方へ、悪い方へ行く
ついには、可能性なんて無くなっている。
───また、どうでもいいことをしていた
そんなこと、今考えてどうする?
服についた砂を払う
これで、6042歩目か
しかし…
今更になって、先ほど何故そんな事を考えたのか?
それがわかった気がした
過去あってこその未来だと、言う者だっているだろう
じゃあ、自分はどうなんだ
何も思い出せない、私は。
自分のことについてわかるのは、白い(ハズの)服を着ていて桃色の髪をしていること、そして気付いたら砂漠にいて、頭の上に光り輝く「何か」それが
────無いこと
自分の脳みそにある、情報。そこにあるはずの「ヘイロー」なるものが無い
それが何を意味するのかは何も知らない
ただ、今考えなければならないのはそこでは無い
「本当に、どこなんだ、ここは?」 - 2二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 19:48:37
歩く。歩く。歩く。
幸い、重度の空腹感や脱水症状にはなっていない様だ
しかし、それもいつまで持つか
一滴も水を飲めていない上に、歩きっぱなしなのだから、いつ倒れてもおかしくは無い
孤独感にも慣れた。元々、友達はいなかったのかも知れないと思い、苦笑する
まあ、必要もないか。今の状況なら
足に疲労感が溜まっている
でも、止まってまた動ける保証はない
まだ、まだまだ、歩け、歩け
限界は、まだ来ない
いや、来てもらっては困る。
7154歩目、まだ建物らしき物は見えない
だんだん、眠くなってきた
自分が砂漠を歩き始めたのは、いつだったか
いや、思い出しても意味はない
強いて言うなら、月がとても高かった
でも今では、日が登ってからだいぶ経っている
もうすぐ正午か
流石に、暑い
でも、体は何故か眠たくなっている
不思議なものだ - 3二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 19:56:23
───痛い
足から血が出ていたり、あざができていたりするわけでは無い
シンプルに、疲労だ
疲れたのだ
無性に水が欲しくなる。暑すぎて、目眩がする。しかし、目だけは絶対に使えるようにしておかなければならない
誰かが通りかかる──ような場所でも無いような気はするが
これで、ジャスト8000歩か?
もう、数すら危うい
というか、なんでこの砂漠はオアシスすら無いんだ
砂漠にはオアシスがある、という情報もある
なのに、実際にはオアシスがない
つらい
水を飲みたい
でも、我慢してまた歩き始めた - 4二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 20:04:34
少し、テンションが上がった
向こうに、何か見える!
廃墟だとしても構わない。人がいるなら万々歳だ
流石に日陰のない道を進むのは飽きていた、いや、飽きていたはおかしいだろう。
…どうやら、暑さで頭が回らなくなっているようだ
仕方ない、少し急ごう
8669歩目にして見えた、か細く、しかし大きい希望の光であった
──はずなのだが
「天井がぶち抜かれとる…」
意味がないだろそれは
驚きすぎて変な喋り方になってしまった
しかし、まだ諦めるには早いようだ
「これは…」
この施設の名前であろうものが書かれた、この施設の地図
そこには、アビドスという文字がかろうじて読める程度に残っていた - 5二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 20:11:31
──────長い
あの施設から、歩き始めて何分だろうか?
いや、何時間だろうか?
あの施設には地図があり、この方向に進むと緑が沢山ありそうだったから来たのだが
…失敗したかもしれない
判断力が鈍っていたようだ
廃墟の地図なんて信じていいわけない
なのに…
後ろを振り返る
もうあの廃墟は見えなくなっている
腹を括ろう
まえに、すすむ。
それが脳の下した、ただ一つの命令である
9122歩目、決意を固めた - 6二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 20:27:18
もう、いい
あるきたく、ない
10258歩目
つらい
思考にはモヤがかかり、視界は黒ずむ
足が止まる頻度が増えた
当然と言えば、当然
そりゃそうだ
ほぼ、ノンストップ
あの施設からは、休憩なし
流石につらい
精神的にも、だんだんと参ってきた
やっぱり一人だと、心に来る
うちに抱え込むのは、かなりつらかった
記憶を失う前は、どんな人間だったのか?
どうでもいい事を考える頻度も増えてきた
そして、耳元で誰かの声が聞こえてきた
「────?」
幻聴…もう、限界か
不意に地面がなくなったような感触がする
そして私は、地面に───
「───っと」
…倒れなかった?
「大丈夫?」
誰だ?
「うわっ、熱っ!?…うへ、これは人の出していい温度じゃないよ?」
目の前の人間が、誰かはわからない
でも、とても、温かいと思える人だ
「ほら、水、飲ん…」
そこで、意識が消えた - 7二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 20:53:55
これは、なんだろう
誰かの涙が見える
視界は全体的に赤みを帯びている
頭の中で、強く声が響く、
その言葉は
「目を…」
???「起きた〜?」
突然だったため、少し驚いた
しかし、その声は知っていた
???「大丈夫?おじさんのこと、覚えてる?」
「…あ、はい」
???「よかった〜、おじさんびっくりしちゃったよ、まさかこんな季節に砂漠を生身で歩く人なんているわけないと思ったんだけど…近づいてみたら人だったからね〜」
周囲を見回す。ベッド、救急箱、私に繋いであるのは…点滴か
どうやらここは…
ホシノ「おじさんは小鳥遊ホシノ、ここはアビドス高校の保健室だよ〜」
あびどす、と心の中で唱える
なるほど良かった、あの廃墟の地図は私をいい方向には連れて行ってくれたようだ
さて、どうしようか
おそらく次に来る質問は - 8二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 21:02:35
ホシノ「君、名前は?どこから来たの?」
…来たか
まあいっか、嘘をつく必要もない
「知らないです」
ホシノ「ふぇ?」
「知りません。気づいたら砂漠にいました」
ホシノ「………」
仕方ない、事実である
「ここへは歩いてきました。11256歩ぐらい」
ホシノ…さん?は唖然としている
…可愛い
何故かそう思った - 9二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 21:53:44
数分後
私はまだベッドの中だ、しかし…
何故か、人が増えていっている
ノノミ「うーん、こんな子近くでは見たことないですね…」
このでk…、少女はノノミ
なんというか…いい人なんだろうな?
シロコ「ん、キャラ被りを感じる」
シロコ、髪飾りとマフラーが印象的だ
…うん?キャラ被り?
セリカ「ちょっとシロコ先輩、そんなこと言ってる場合じゃ無いでしょ」
おそらく真面目な、セリカ
どうやら私をかなり心配してくれていたようだ
…と、ホシノが言って少し顔が赤くなって反論していた
アヤネ「体の具合はどうですか?」
一番真面目そうな、アヤネ
とりあえず大丈夫だと言っておいた
ここまでが、アビドスの生徒である
…そして、先生
一番身元特定に協力的だ
以上が、現在置かれている状況である - 10二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 22:42:19
"皆、提案があるんだけど"
みんなの視線が先生に向けられる
"名前がわからないし、とりあえず呼び方を決めない?"
シロコ「ん、賛成」
ノノミ「わぁ、いいですね〜」
「私からもお願いします」
ホシノ「うへへ、どうしよっかなー?」
セリカ「ちょっとホシノ先輩、変な名前つけないでよ!?」
「じゃあ、名無しの「ナナ」で」
"早っ!?"
先手必勝。この人たちに任せたら時間がかかる