[オリキャラ・オリ学園]ようこそ先生、呪われた地へ….outfilme

  • 1二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 22:17:58

    あらすじ(ネタバレを含みます)


    いなくなってしまった友達を探す「夜目」が効くというトリニティの生徒マナ

    先生と彼女は突如、既に廃校となった呪われた地、ルイスパリッシュ統合学園へと迷い込む

    謎の異形蔓延るかつての学び舎で、学園を忘れ去られないために活動する課外活動部

    「ルイスパリッシュ観光協会」と共に、先生とマナは友達を探すために暗闇に見える光を辿り続ける

    そして遂に、闇に囚われた友達…クシロと邂逅したマナと先生達は異形を退けながら彼女を救出することに成功する。

    不完全ながらも祓われた呪い、ルイスパリッシュの朝日に祝福されたマナとクシロに訪れるは再びの別れ…

    クシロはマナに今度は自分から会いに行くと約束を交わし、夜明けに溶けていった。


    と、言う感じのイベスト概念?ssスレです。

    前スレ

    [オリキャラ・オリ学園]ようこそ先生、呪われた地へ….4|あにまん掲示板前スレあらすじ再び現れた光の後に落ちた、2人の思い出。友達は自分のことが嫌いなのかと意気消沈するが迷い込んだ先輩の助言もあり覚悟を改め、最後の目的地、ルイシアンに赴く。「光が…目の前に…クシロ、なの……bbs.animanch.com

    まとめ

    オリキャラ・オリ学園ssスレ ようこそ先生、呪われた地へ… まとめ | Writeningあらすじ# トリニティ総合学園に用事で赴いていた先生は ブラックマーケットに行こうとしているという生徒、日向マナと出会う。 "夜目"が効くという彼女はいなくなってしまったという「友達」を探す…writening.net
  • 2125/08/22(金) 22:22:08

    人物・組織


    「シャーレ」

    先生

    言わずと知れたシャーレの先生

    生徒の頼みを聞き、廃校となった呪われた学園へと

    友達探しを手伝うことになる。


    「トリニティ」

    日向マナ

    トリニティ総合学園1年生

    入学数か月前にいなくなった友達を探しに

    呪われた学園へと関わっていく。

    本人の特技として、"夜目"が効くとのこと。


    使用銃器

  • 3二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 22:24:11

    このレスは削除されています

  • 4125/08/22(金) 22:28:23

    [ルイスパリッシュ統合学園]
    三つの学園、ルイシアン農業校、デルタ商業校、セイブル工業校が
    一つに統合されてできた学園で、三大校に匹敵するとも言われていたが
    突如現れた異形達により学園が荒廃、尽力及ばず土地ごと閉鎖という
    異例の措置をもって閉校となった。
    在籍していた生徒たちは例外なく他校へ編入している。
    学園では3校時代から、新入生は献杯と呼ばれる葡萄水と祈祷を行う行事があり、
    これらを行った生徒たちは"夜目"が効き「暗視」が使えるという。
    学園の下地にしたのは元のゲームと同じルイジアナ州

    前スレにてルイスパリッシュ統合学園では、生徒間によるアルコール類の醸造、流通、消費が行われていたのが
    観光協会のメンバーから示唆されている。

    [ルイスパリッシュ観光協会]
    当時の生徒会メンバーを筆頭に他学園に転入した一部の生徒たちによる連邦生徒会非認可の課外活動組織。
    目的は、ルイスパリッシュ統合学園の復興、保護、保全
    現在は、学園を忘れてもらわないために歴史や資料の管理
    イベントの開催も計画しているが、異形の存在により上手くいっていない。
    異形からとれる"証拠"や噂を聞きつけて侵入してくるならず者たちの
    取り締まりも行っており、協会員全体の練度は高い。
    行政に反していると理解しても活動を行うのは、愛しく懐かしき学園を想う心。ただそれだけである。
    デルタ商業高の4番目に大きい駅を協会本部として再利用、活動拠点にしている。

  • 5125/08/22(金) 22:30:43

    [ルイスパリッシュ観光協会]

    周藤リコ

    ルイスパリッシュ観光協会の協会長

    本人曰くお飾り会長

    迷い込んだ先生とマナを歓迎し力を貸す。


    使用銃器


    木ノ下サヨコ

    観光協会の実質的なNo.2でまとめ役

    迷い込んだ先生とマナが最初に会った協会員

    キヴォトスでは珍しく槍を使う。

    現ミレニアムサイエンススクール2年生。


    使用銃器


    籔島ニィナ

    迷い込んだ先生とマナが最初に出会った協会員の一人

    平坦で間延びした口調が特徴的な現ヴァルキューレ警察学校2年生。


    使用銃器

  • 6125/08/22(金) 22:35:24

    山城リリ

    ルイスパリッシュ観光協会で鉄道復旧委員会をやっている。

    明るく快活な人物だが、鉄道復興の想いは強い。

    現ゲヘナ学園2年生、ゲヘナでも小さな鉄道を営んでいる

    初代スレ53が考案してくれた生徒


    使用銃器


    桂城スズ

    ルイスパリッシュ観光協会で鉄道復旧委員会をやっている

    黒い狼耳が特徴的な長身スレンダーな現ゲヘナ学園2年生

    初代スレ85が考案してくれた生徒


    使用銃器


    一五呂イコ

    ルイスパリッシュ観光協会で広報を担当している、現トリニティ総合学園3年生。

    丁寧な口調だが、言葉に含みを持たせがちな天然のカッコつけ


    使用銃器

  • 7125/08/22(金) 22:36:53

    「???」

    三木クシロ

    いなくなってしまったマナの友達

    闇に囚われていたマナの友達、未だ抜け出すことはできないが

    自分の意思で闇から友達の元へ会いに行くと決めた。


    使用銃器

    https://bbs.animanch.com/arc/img/4684190/27

  • 8125/08/22(金) 22:46:20

    覚えている方がいるかも分かりませんが、気力があったらサイドストーリーにあたる話をできたらなと

    最後に言ったのを機にスレが終わり、それをやるために再びスレを建てた次第ですが……申し訳ありません!

    ssの書き溜め1つの実質0です。

    なので…落ちたらそこまでですが、せめて1~2本くらいやれたらと思ってます。

    それに伴って、一部修正加筆をした笛版を投稿しております。落ちたら残りもそこに投稿します。


    それと、もう一つこちらのスレでスレ画のマナを描いてもらいました。

    オリ生徒とか概念先生とか描いてみる|あにまん掲示板オリ生徒スレをまた読み始めて熱量のあるうちにいろいろ描いてみたいのでリクエスト頂ければ描きます。なければ適当に何か描きますまだスレ立ててないけどこんなの考えてたーみたいなやつでもキャラシートのっけてく…bbs.animanch.com

    元の麦わら帽子被せたトリモブを踏襲しつつ小物で独自性を発揮してる素晴らしい絵になっております。

    とても嬉しい、ありがとうございます。

  • 9125/08/22(金) 22:54:03

    本編は既に終わっておりますが、笛版そしてこれから投下予定のサイドストーリーに

    ねじ込めるかもしれないので……もしよろしければ下記を参照して生徒さんを作ってみてください。


    こちらのスレの52からの引用です

    [オリキャラ・オリ学園]ようこそ先生、呪われた地へ…|あにまん掲示板「…生……、先生…」誰かの声が聞こえる…たしか私は…「先生!」上から強く呼びかける声に私は飛び起きた。呼びかけくれていた彼女は、飛び起きた私に少し驚いていたがホッと胸をなでおろしていた。周りを見渡すと…bbs.animanch.com

    下記を守っていただければルイスパリッシュの生徒を

    想像していただいて構いません。


    ・1年生はいない。

    ・現在は他学園の生徒

    ・武器は1890年代の代物(分かりづらかったら下記のwikiを参照)

    武器 - Hunt: Showdown 日本語攻略 Wikiハンターは武器を2つ所持することができ、それぞれの武器はLarge(3マス), Medium(2マス), Small(1マス)の3つのカテゴリに分かれている。 装備できる武器は2丁で計4マス。詳しくは下記のように制限される。 プライマリにLargeの武器を装備 → セカンダリはSmallのみ装備可能。 プライマリにMediumの武器を装備 → セカンダリはMediumかSmallを装備可能。 プラjpngamerswiki.com
    Hunt: Showdown Wikihuntshowdown.fandom.com

    だいたい、このあたりを守ってもらえれば

    お好きに作ったり、協会内での役職とかも

    勝手に生やして貰っても大丈夫です。


    こちらが物語の下地にしたゲームのsteamページです。

    Steam:Hunt: Showdown 1896歴史に失われた澱んだ水場で、腐敗生物を狩れ。時を超越した邪悪な存在を相手取り、異形のモンスターたちと血眼で襲いくる他のハンターたちと死闘を繰り広げろ。ソロで、チームで、このハイリスクハイリターン・タクティカルPvPvE FPSを生き残れ。この世界にヒーローはいない。己のすべてを賭け、ハントに飲み込まれてゆけ。store.steampowered.com
  • 10125/08/23(土) 01:59:01

    ssまだ出来てないので、出す予定の新キャラの設定を載せます

    名前:ルイスパリッシュ(前)生徒会長
    学校:ルイスパリッシュ統合学園3年 → 卒業
    所属:普通科 生徒会
    身長:167
    体型:スレンダー(胸は大きい)
    髪形:ウルフジャギー(仮
    髪色:鴇浅葱(仮
    年齢:18
    誕生日:4月30日
    目の色:深い蒼
    眼鏡はかけている:なし
    服装:ルイスパリッシュの制服
    性別:女性
    その他の身体的特徴:側頭部に片羽(スズミみたいな感じ)
    口癖:みんなのおかげ、みんなの~(だいたい感謝、そしてほぼ無自覚)
    普段の話し方言葉遣い:ちょっと中性的
    趣味:晩酌、ジャズ
    得意なもの:カードマジック 人と仲良くなる
    苦手なもの:戦闘(自分) 野菜(特に生)
    好きなお酒:なんでも(ウワバミ)
    性格:ポジティブで多少自信家な面が見える上下も気にせず
    大らかな反面、本心が理解されないことも…

    使用銃器
    ハチクビ(マルティニ・ヘンリー)
    たった1発は、始まりを告げてもいいし終わりの鐘でもいい
    そう有るように使い手の想いが託された一丁

  • 11125/08/23(土) 02:10:04

    ss出来るまで、設定の小出しとかで場を繋ぎます……苦肉の策
    申し訳ありません。
    という訳でルイスパリッシュ統合学園の生徒会内訳

    ルイスパリッシュ生徒会
    生徒会長:前生徒会長
    副会長:周藤リコ
    会計:───
    書記:一五呂イコ
    庶務:木ノ本サヨコ

    会計は決まっていないので、モブが当てはめられてます。

    無くても気になる人はいないしょうが、オリキャラ達の銃の名前を考えていなかったので
    もし、いい案がありましたらレスしていってください。

  • 12125/08/23(土) 11:10:01

    ssまだ出来上がって無いので、過去編のssを投下します

  • 13125/08/23(土) 12:43:00

    [ありし日のルイスパリッシュ ドランク・ファイト]

    ルイスパリッシュ統合学園、4つの科からなる広大な学園には
    「カフェ」と呼ばれる軽食喫茶店が生徒の憩いの場となっており
    その中でも、クラシックな喫茶スタイルが特徴の「Coffee Shop」と
    大衆的な飲食バルスタイルが人気の新鋭店「フレッシュオリンズ」が
    生徒間の人気を二分していると言っても過言ではない。

    ここまで聞くとキヴォトスにも無数にある軽飲食店のひとつだが、
    ルイスパリッシュの「カフェ」は、この学園に属する生徒の間では
    もっとも身近でもっとも秘匿すべき場所である
    何故そのような認識なのか、それは────

    「マスター、最近…新しく入荷したお酒があると聞いてきました。」
    「見ない顔にしては目聡いね、お客さん…お連れの方も同じので?」
    「よろしくー」
    「あぁ、頼む。」

    "黄色いタイ"を付けた、カウンター向こうのマスターは背後の棚に向き直る。
    ルイスパリッシュにおける「カフェ」それは、生徒間に脈々と受け継がれる
    キヴォトスでは禁止されている"お酒"を提供する場だからに他ならない。

  • 14125/08/23(土) 12:44:15

    棚から降ろされた瓶の蓋が回され、ロックグラスに透明な液体が注がれていく
    マスターは3杯分のグラスを注文したピンク髪の生徒、隣の狼耳の生徒
    挟まれるように座っている生徒の前にグラスを置いた。

    「どうぞ、楽しんで。」

    マスターは簡素なラベルが貼られた瓶をそのままに
    グラスを拭く作業を始めた。
    3人はグラスを持って香りを嗅いだり、グラスを回して観察するようにお酒を眺めている。
    それを横目で見ていたカフェ内の客は怪しい物を噂するかのように
    こそこそと話し始めた。

    「こんな場末のカフェに何の用だ…?」
    「まったく、冷やかしならさっさと帰って欲しいものね。」
    「もしかしたら、初めてなのかもしれないな。」
    「……あいつら、どこかで見たような
     特に、あのピンクのチビ…」

    微かに聞こえてくる声などつゆ知らず、3人はほぼ同時にグラスを傾けた。

    「ふむ、なるほど…」
    「うえー」
    「……」

    三者三葉に味わってるが、まるで奥歯に物が詰まったかのような
    反応にグラスを拭いていたマスターは思わず声をかけた。

  • 15125/08/23(土) 12:45:16

    「……お気にめしませんでしたか
     それとも、この手の場所は初めてで?」

    ピンク髪の生徒は一拍置いて顔を上げる。

    「いえ、そういう訳ではありません。
     ただ……正規に流通しているものと比べると随分と粗雑だなと思いまして。」

    挑発、いや…侮辱とも捉えられない発言をきっぱりと言い放った彼女に
    先程まで会話が続いていた空間がピタッと止まり視線だけが雄弁に突き刺さる。
    壁際にポツンと置かれたジュークボックスが静寂の瀬戸際を食い止めている中、狼耳の少女が口を開いた。

    「たしかに慣れないと、キツい味だ。
     無理もない、なにせ流通していないに等しいからな。」
    「普通に美味しくない―」
    「お客さん、ケチつけに来たのなら今すぐ帰って貰いますよ。」

    怒気を込めて警告するマスターに突きつけるように少女は発する。

    「怒らせてしまったのならすみません。
     この味がルイスパリッシュで造られた。と、思われるのは
     どうにも忍びないので……そうでしょう?
     密造とその流通を行っているみなさん?」

    マスター含めカフェ内の客全員の目が動揺で揺れるなか
    1人が声を上げて3人を指さした。

  • 16125/08/23(土) 12:48:05

    「お前!!思い出した、生徒会の書記でしょ!!」
    「そういえば…あっ!連れてる2人は賭けポーカーの胴元やってた
     1年のスズとニィナ!?」
    「とっくに顔は割れてると思いましたが……案外気づかれないものですね。」

    ピンク髪の生徒もとい、イコは背後で騒ぐ生徒をあまり気にもせず
    カウンターの下から資料を取り出した。

    「とぼけても意味はありませんよ。
     ここに流通経路から卸先、保管場所に製造所等揃っていますから。」
    「調べるの疲れたー
     学園の外に出る前で良かったけどー」
    「全くだ…俺達が胴元やってた時よりは隠れ方が
     おざなりだったのだけは褒めるべきか…
     それ以前に、生徒会の一員が来ただけで狼狽えるのは
     裏があると自白しているような物だ。」

    どうしますか?とイコがマスターに尋ねる…
    マスターは未だ動揺が続く目を隠そうともせず黙り込んでいる。
    店内の動向がマスターに向く中、ニィナはカウンター席から離れて
    ジュークボックスを覗き込む…その目は何かを期待しているようだ。



    そしてマスターが何かを示すように片手を上げたのと同時に
    客の何処かから引き金が引かれ、ニィナはジュークボックスの音量を上げた。

  • 17125/08/23(土) 12:49:16

    カウンターに置かれていた瓶が砕け散ったのを合図に
    スズは卓上を滑りカウンター裏へ身を潜め、イコは短銃身仕様の
    スペンサーショットガンをコッキングしながら、客たちの足元に滑り込む。
    我先にと身を屈めたマスター以外の全員は大小の銃を正中線に構え撃つが
    時すでにイコとスズは狙いから外れており、イコは屈んだ状態で
    客とラウンドテーブルの足を散弾で吹き飛ばした。

    「ッ!」
    「痛ってぇ!!」
    「おい、下だ!」

    やられたことに気づき下へ狙いを定めようとしたのを見逃さず
    スズはカウンターから身を出してイコのカバーに入る。
    一発二発とシリンダーが回り、客の肩や胴に無駄なく銃弾が突き刺さるが
    数の差というのはスズが手にしているレ・マット・リボルバーの装弾数よりも多い
    室内での荒事になると踏んだのは正解だったが、長物を置いてきたのはミスだったと
    スズはカウンター裏で弾を込め直しながら自戒する
    そんなことは込め直した頃には彼女は気にもとめないが……

    「ッ!…ったいですね…まったく、荒事は私の担当ではなくリコでしょう」

  • 18125/08/23(土) 12:51:26

    倒したラウンドーテブルを盾にするも、それは体躯が小さいから収まってるにすぎず
    近づかれるか銃弾で削れていく脆弱さにイコも冷汗が伝い始める
    銃を向けている客たちも次第にスズとイコに対応を二分していき形勢逆転が為されそうな状況で

    「これは美味しくないー…こっちは好みじゃないー
     次はー…あっ、割れたー」

    ニィナは銃口と人の合間を器用に縫って、客が残したお酒を拝借していた。
    火薬の炸薬とジュークボックスから大音量で流れるスウィングを手に取りながら
    ニィナはカウンターへ迫る客の肩をぐいっと引き寄せるように掴み、自身はその勢いで
    ステップを踏むかのように、カウンターの上に腰を下ろした。
    スズは相も変わらずな友人が静かすぎると感じ疑問を口にした。

    「ニィナ、銃はどうした?」
    「なにー、銃ー?それならここにいっぱいあるよー」

    ニィナの指には、マンリヒャー装填式の自動拳銃が引っ掛けられており
    先ほど肩を掴まれた客は、それを目にした途端慌てて自身のホルスターを探りだした。

    「ちょっ!!それ、あたしのじゅ…ッ!!」

    言い切る前にニィナは正面を向いたまま脳天を撃ち抜き昏倒させる
    カウンターの上を歩きながらニィナは拳銃を手前、奥へと発砲し客が銃を構えるのを妨害する。
    出来た隙を逃さずスズとイコは追撃し、ヘイローが次々と消えていった。

  • 19125/08/23(土) 12:52:45

    「慣れたのじゃないと使いづらいー」

    ニィナが拳銃を投げ捨てカウンターから降りるのと同時に
    スズもカウンター裏から飛び出して攻勢に入る。
    転がっていた瓶を蹴り上げ手に取ったスズの目の前には、
    背後からイコを狙おうとする2人組が見えた。
    イコも背後の気配に気づいており、空になった弾倉にショットシェルを1発込めると
    肘を後ろに突き出すように銃を構えなおし、引き金を引くと同時に地面を軽く蹴った。

    「なッッ!!??」

    背後から銃床を振りかぶっていた客のどてっ腹に
    反動で吹き飛んできたイコの全体重が乗った肘鉄が突き刺さる。
    苦しそうにくぐもった呻き声を上げ倒れる客とイコ
    その背後でライフルを構えていたもう一人の客の額に水平に飛んできた酒瓶が激突した。
    鈍い音を立てて、ヘイローが明滅しながら倒れる客に弾かれるように
    酒瓶が回りながら地面に落ちるのを床に転がっていたイコがキャッチする。

    「クッションとしてはイマイチですね…
     それよりスズ、どんなお酒でも粗末にしてはいけませんよ。」
    「すまない、イコ先輩」

  • 20125/08/23(土) 12:54:07

    「ど、どうするよ…あんだけいたのに…」
    「そ、外に助けを呼ぼう!こんだけ騒いでるんだ…
     時間的に通報してくれる1人や2人いるだろ…!!」
    「名案だけど…すっごく情けなくないか!?それ!」

    本当に情けない案だが助け舟が届くよう、わざとらしく発砲しだす客たち
    だが、それは既に対策済みだった……



    「楽しそうだねぇ…いいね、学生って…
     私も若いころはファミレスを貸し切って身内と騒いだこともあったっけ…
     ふぅ……明日も早い、今日はさっさと帰るか。」

    カフェの前を通りかかったオートマタは
    外にいても聞こえてくる大音量の音楽と時折混じる銃声に
    生徒の若さを感じながら、帰路に着くため再び足を進めた。

  • 21125/08/23(土) 12:58:29

    「な、なんでだれも来なッッ!」
    「ちょっ…ちょっと、待ッッ、グヘ…!!」

    スズのハイキックとニィナが振り回した
    レバーアクションライフルの銃床が2人の客のあごを穿つ。
    よたよたとカウンター裏から出てきたマスターが最後の一人となった。

    「さて、お友達は全員寝てしまいましたよ?」

    たった3人に制圧された店と客の惨状を見て、マスターは肩を震わせると
    イコをキッと睨みつけて、いつの間にか握っていたナイフを構えて
    声を荒げながらイコに向かってナイフを突き立てようとするマスターの前に
    ニィナはスッと躍り出る。

    「ほいっ…とー」

    レバーアクションのトリガーガードで刃先を絡めとり
    勢いを殺すことなく梃子の原理で手を捻りナイフを弾き飛ばす
    マスターはそのまま、前のめりに倒れこんだ。

    スズがナイフを拾い上げると、マスターは倒れた体を
    正面に向き直し感情のままに叫んだ。

    「な、何がいけないんだ!?お前らだって酒を造ってる、この学園自体が酒を密造してる!
     秘密裏に卸してる!!私達も同じことをしただけだ!おなじ連邦生徒会違反を犯してる同族だろ!?」
    「ルールの外で行われていることだ!何故、無法を犯してる同士!取り締まられる謂れは無いはずだ!」

  • 22125/08/23(土) 13:00:57

    肩で息をしながら、マスターは言ってやったとばかりに3人を睨む。
    イコはため息よりかは軽く息を吐いた。

    「確かに……我々がしていることは連邦生徒会…キヴォトスでは御法度です。
     ですが、あなた達はそれを外にも持ち出そうとした…ルイスパリッシュというルールの外側にです…
     ルールの外だから何をしてもいいと思いました?
     それは違います…法の無い自然にも生態系という掟(法)があるようにルールの外には、また別のルールがある……」

    イコは一歩近づき、マスターの額に銃口を押し当てた。




    「無法ってのは……案外難しいんだぜ?」

    頭上に浮いていたヘイローがゆっくりと消えていった。

  • 23125/08/23(土) 13:02:12

    「どうするーイコ先輩ー?」
    「証拠はあらかた確保しましたし、あとはこのお店と
     寝ている彼女達の処分でしょう。」
    「事情を知らない大人に見られたら面倒ー。」
    「保安係の生徒を呼ぶにしても時間がかかりますね…」

    2人が後始末に悩んでいると、スズが何かの配線を持ってきた。

    「なら、こうしちゃえばいい。」

    そう言って、スズは片手で蕾が開くジェスチャーを行う。

    「スズ、頭良いー」
    「なるほど、それなら一石二鳥ですね。」

    意図を理解した2人は、すぐさま店の外にマスターと客を運び出し
    スズが持ってきた配線と仕掛けをガス管に仕掛けた。

    カフェから離れた位置で見守るように立つ3人と
    無造作に放られ気絶している生徒達という異様な光景なぞ露知らず
    イコが音頭を取った。

    「では、行きましょう…」

    「「「せーのっ!」」」

  • 24125/08/23(土) 13:03:35

    ルイスパリッシュにおける「カフェ」それは、もっとも身近であり
    もっとも秘匿すべき場所である。

    バーカウンターの向こうで、どこか納得していない顔をしている
    "黄色いタイ"を付けた3人のバーテンダー…
    テキパキと給仕をこなす中、意気揚々とした声と共にカフェの扉が開かれた。

    「ちゃんとやってるみたいで感心したよ。功労者諸君?」
    「労っているのなら、私達をあなたと同じ席に着かせてくれてもいいのでは?
     生徒会長。」
    「まったくだ…」
    「そうだよ、横暴ー」

    側頭部に羽根が生えた鴇浅葱色の髪をした生徒…
    ルイスパリッシュ統合学園の生徒会長に、3人は文句を垂れるが
    その意見は生徒会長が放った言葉に封殺される。

    「賭けポーカーの胴元やってた罰を軽くするから密造者を探り当てろとお願いしたけどさ…
     拠点ごと爆破しろとまでは言ってないんだけどなぁ。」

    途端にイコとスズはサッと顔を背け、もっともらしいことを言い始める。

  • 25125/08/23(土) 13:05:03

    「今日はお客の入りがいいので忙しいんです…冷やかしなら帰っていただけませんか。」
    「おっと、注文が滞ってる…すいません、ただいまお作りします。」
    「サシーブの盛り合わせ注文の方ー、そこのカウンターからどうぞー」

    「こ、こいつら……」

    太々しい態度を取る3人に苛つくも、雑に提供された水を飲んで生徒会長は頭を冷やす。

    「なんだ…せっかく労いを込めて3人分…酒を"注文"しようと思ったのに。」

    溢された言葉にイコ、スズ、ニィナの目の色が変わる。
    ルイスパリッシュの「カフェ」において、"黄色いタイ"を付けた従業員は
    反省と奉仕の意味を込めたペナルティの証。
    もっとも身近でもっとも秘匿すべき"お酒"を享受することが出来ない…
    ただ一つだけ享受する方法がある…それは誰かに奢ってもらう事だ。

    「3人とも、飲みたい酒を言いな。」
    「いいのー?」
    「もちろん、実際3人のお陰で密造者達を一網打尽に出来たのは事実だからね。」

    3人はわざとらしいくらいに姿勢を正し、それぞれ飲みたい銘柄をバックバーから取り出した。

  • 26125/08/23(土) 13:06:17

    「私はウォッカ・マティーニをスイート・ベルモットで…」
    「じゃあ、俺はこのウィスキーを。」
    「ブドウサワー」
    「ここぞとばかりに高い酒取り出したね……」

    「ハァ…とりあえずカプレーゼ、トマト抜き」
    「会長、いい加減普通にチーズだけで注文しないか?」
    「チーズだけだと、オリーブオイルしかかかってないじゃん
     私はジェノベーゼがかかったモッツァレラが食べたいの。」
    「野菜食べなよー、会長ー」

    なんだかんだ言いつつ、イコとニィナは自身の飲みたいお酒をグラスに用意し
    スズはカプレーゼを盛りつけていく。

    「カプレーゼと…」
    「ウィスキーとブドウサワーと、ウォッカ・マティーニです。」

    カウンター上に肴と3つの色を見せるグラスが並んだ。
    3人は乾杯をしようと、それぞれのグラスに手を伸ばすが
    引き寄せるように会長の腕がそれを阻んだ。

  • 27125/08/23(土) 13:08:29

    「おっと…私は"3人分の酒を注文する"。と言っただけで
     奢るとは一言も言ってないよ?」

    にやつきが抑えられないといった表情で会長は3人からお酒を取り上げる。

    「なっ…」
    「してやられましたね。」
    「リコールしてやるー」

    「ふふふっ、なんとでも……ほら、バーテンのお三方、お客様が注文をお待ちだよ。」

    まんまと謀られた3人は滞りかけた注文を再開するよう動き出す。
    生徒会長は勝利の美酒を見せつけるように、注文を受ける3人の前で
    じっくり、ゆっくりと…それぞれが飲みたいお酒を味わっていった。



    ありし日のルイスパリッシュ ドランク・ファイト  fin.

  • 28125/08/23(土) 13:35:14

    先程のss、ドランクファイト劇中にて出てきた二つのものについて軽く説明


    サシーブ

    クレオール料理と呼ばれるもので

    豚ブロック肉に蜂蜜、砂糖、醤油、八角のお酒でマリネし一晩寝かせた物を

    オーブンでじっくり焼き上げた豚肉料理



    マンリヒャー装填式の自動拳銃

    ブルアカの先生の中には、銃の詳しい方もいらっしゃるので必要ないかもしれませんが一応…

    側面も覆われたクリップを装填する方式のベルグマンM1896のこと

  • 29二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 21:54:04

    めっちゃ懐かしい

  • 30125/08/23(土) 22:12:43
  • 31二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 07:56:02

    めっちゃ懐かしい
    まさか続きがここで見れるとは

  • 32二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 14:35:34

    >>28

    良いなぁ美味しそう

  • 33二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 20:15:09

    >>7訂正

  • 34二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 23:17:02

    保守

  • 35二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 08:30:57

    銃は詳しくないがイカしてるってのは分かる

  • 36二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 13:11:50

    つねに不穏がつき纏うふいんき好き

  • 37二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 21:40:48

    保守

  • 38125/08/25(月) 22:01:47

    まだまだ更新できなくて申し訳ありません。
    次も更新できなさそうなので、またちょっと設定投げるかと思います。
    もし、その…ようこそ先生(ryの感想とか、生徒や設定への質問とかあれば答えさせていただきます。

    数ヵ月前の作品なのに覚えている方がいて、ありがたい限りです。
    以前こちらで投稿していた時も含めて再び見ていただき感謝します。

  • 39二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 00:17:13

    まさか続きが来てるとは思わなかった、続けてくれたことにかんしゃあ!

    カフェで大立ち回りをするイコ、ニィナ、スズの3人はやるなぁ
    密造酒を製造販売するのは黙認しても、それをルイスパリッシュ外に持ち出されると連邦生徒会の手が入りかねないから潰しに行くのも当然だね
    前生徒会長は3人にお酒を奢ると見せて自分で飲むのは良いキャラしてる

  • 40二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 06:54:58

    お酒とは悪よのぉ

  • 41125/08/26(火) 15:19:24

    >>39

    ありがとうございます。

    続きといっても過去編かサイドストーリーですが…

    お酒は生徒間(&理解ある一部の大人())が管理しています


    >>40

    ある意味、学園全体が不良でアウトロー

    もちろん全員が嗜んでいる訳ではありませんし

    いや、駄目だろ…未成年飲酒なんて…っていう生徒もいるかも知れませんが…

    まぁ、それは……とりあえずご都合主義ということで、すいません

  • 42二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 00:00:11

    このレスは削除されています

  • 43二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 08:43:49

    流石に飲酒が普通ではないのね

  • 44125/08/27(水) 17:26:32

    けっこう短いですが、今日中にss1本出せるかもです。

  • 45二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 00:10:48

    ルイスパリッシュではお酒を作ってるけど学園設立当初からの伝統なのかな?

  • 46125/08/28(木) 00:21:23

    「月明かりへの第一歩」

    「出来たな…」
    「出来ちゃったね…」
    「出来ちゃったよ…」

    月明かりが差し込むなか、1つの透明な瓶を囲む3つの影
    街灯が一辺も植えられていない山間の渓流で、月とヘイローだけが全てを知っているように浮かんでいる。
    何故、このような人の手も入らないような時間と場所に集まっているか……
    それは、ある一人の提案から始まった。




    「お酒…造ってみない?」

    カフェで行われていた情報交換会という名のお茶会にて、3色の異なる制服
    ルイシアン、デルタ、セイブル各校の制服に身を包んだ生徒会長達は、
    いつものようにお菓子とお茶そして各々の学校の話題がテーブル上に並んでいる。
    そんな中、話題も一段落した一瞬の間…突如としてデルタ生徒会長は上記の提案を持ちかけた。

  • 47125/08/28(木) 00:22:40

    聞き間違いか?とルイシアンとセイブルの生徒会長2人は、お互いの顔を見合わせもう一度
    デルタ生徒会長を見るが、その目は何故か期待に満ちて2人からの回答を待っていた。

    「あっ、あー…お酒を造る?なんで…?」
    「なんでって……できそうじゃん?私達。」

    セイブル生徒会長の疑問に、逆にどうして疑問がつくのか分からないと言った表情で聞き返す
    デルタ生徒会長に呆れたようにセイブル生徒会長は眉間を細めた。

    「出来る出来ないで言うとできるでしょうけど…」
    「でしょ?キヴォトスでお酒は厳重に管理どころか、私達の目にすら触れられない…なら
     造ってみるしかないでしょ。」
    「まぁ、材料に当たる物は無い訳じゃないからな…製法は?」
    「バッチリ。穀物、砂糖、水、蒸留器あとは酵母と…」
    「蒸留器は、うちに当てがある……最悪廃材をどうにかすれば…」

    何故か突然話が進み始めた2人に、ルイシアン生徒会長は待ったをかけた。

  • 48125/08/28(木) 00:24:45

    「ちょ、ちょっとちょっと…」
    「なんだよ。」
    「なんだよ。じゃないでしょ!?なんで乗り気なの!」
    「まぁまぁ、ルイシアン生徒会長…あなたなら"どう"しますか?」

    デルタ生徒会長の問いに、彼女は一切の淀みも無く答えた。

    「質は落ちますけど、飼料用の麦やとうもろこし等の穀物は余裕で用意できるでしょう…砂糖も最悪、廃糖蜜で…
     酵母はどうしましょうか…パン種と同じでも可能ならイーストや花から採取するという手も……」

    そこまで言ったとこで、彼女は我に返り思わず手で口を塞ぐ。

    「やっぱり…私が言った時には、既にあれこれ考えてたでしょ?
    その発言が証左だけどね。」
    「はぁ……で、君はどうするんですか?」
    「帳簿、物品のルート、製造場所…誤魔化す事ならお任せあれ。」

    わざとらしくウィンクしながら、コーヒーを啜るデルタ生徒会長。
    ルイシアンとセイブルの生徒会長は確信したように目を合わせた。

    「こんな面白そうなこと、やらない方が損だ。」
    「まぁ、お酒というものがどのような反応から構成されるか気になりますからね。」
    「決まり。じゃ……なにから始めようか?」

    こうして、3校の生徒会長によるお酒の醸造……もとい、密造酒の作成が始まった。
    上質な水と人の手が入らない場所を求めルイシアンとセイブル間にまたがる山脈を製造場に選び、
    それぞれが主導して材料の調達と搬出、デルタ生徒会長による隠蔽により滞りなく進んだ。

  • 49125/08/28(木) 00:25:57

    そして、わざわざ暗号化した製法を基に、気候と戦いながらも水と材料を火にかけ寝かせる事数日…
    いよいよ蒸留に入る、気化したアルコールを急速に冷却し液状化させ取得するもっとも大量に
    効率よくアルコールを作成できる方法だ。

    「おっと、最初に出てくるのは毒素の塊だったはず…ある程度出したら捨てていいですよ。」

    水よりも透明と思わせる液体だが、デルタ生徒会長の発言に思わず息を飲んだ。
    だが、それを捨て去ってしまえばお目当てのそれとご対面。
    蒸留器を通じ雨粒の様に静かに一定のリズムで瓶に注がれていく。
    幾つか出来上がった瓶の最後に蓋をして一息つくと、三人は一気に肩の力が抜けたせいか
    なんだか夢見心地のような足元が確かじゃない感覚に襲われた。



    出来上がったお酒を見て、同じ反応を返す。

    「出来たな…」
    「出来ちゃったね…」
    「出来ちゃったよ…」

  • 50125/08/28(木) 00:27:09

    月明かりに照らされる3人と初めて造られ瓶に詰められたお酒。
    1つを手に取り、改めて蓋を開けて香りを嗅いでみる。
    思わず顔を反らしたくなる刺激臭だが、その奥に3校で培われた確かな懐かしさを感じる甘さが燻った。

    「飲んでみますか?」
    「それは…なぁ。」
    「ここまで来てその選択肢は無いですよ。」

    最初からその気だったのか、荷物からグラスを取り出して回すようにそれぞれのグラスに注いだ。
    月明かりを貫通する透明な液体、水でもジュースでもない生徒の内では手に出来ない不可侵領域
    禁忌を侵す……いや、自ら作り出した結晶がその手に収められていた。

    「ふぅ……では…」


    「「「乾杯!!!」」」

    カチンと小気味良くグラスが鳴ったのを合図に、ほぼ同時にグラスを煽る。

  • 51125/08/28(木) 00:30:28

    「あ˝あ˝ぁ˝ぁ˝ぁ˝ぁ˝!!」
    「いってぇ!!!」
    「コ゜ホッ!!」

    彼女達は気づいていなかった、蒸留したアルコールは加水しなければ
    度数80はくだらない激物であることに、そして…

    「うぅ…あ、あれ…」
    「目が…回、る…?」
    「足に力が…なる、ほど…これが酔い、ですか…」

    崩れ落ちた3人に、循環する血液に乗ったアルコールが微睡を連れてくる。
    完全に横たわった瞬間、彼女達は静かに意識を手放しヘイローも消失した。

    幸か不幸か、翌日すぐに3人はそれぞれの学校の生徒により発見された
    もっとも隠しておきたかった物と共に、だが人というのは清廉潔白が全てではない…
    何より若さというのは時にバカバカしいものだ…

    こうしてルイシアン、デルタ、セイブルに酒造の技術が伝わっていくことになる。
    それは3校が統合されても、新しい時代となっても変わらない……曖昧な境界線で区切られた
    脆く薄い壁はどんな生徒が入ってきても、ルイスパリッシュの帳が断ち切られるまで
    遠く近い隣人の様に……生徒達の傍で秘匿され続けた。

  • 52125/08/28(木) 00:32:59

    [月明かりへの第一歩]もとい、ルイスパリッシュでのお酒造りの始まりの話でした。

    投下しようとしたら、>>45さんのレスが凄くタイムリー…

  • 53二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 09:33:06

    ルイスパリッシュになる前の3校の生徒会長達が酒造の始まりだったのね

    気になっていたことがスレ主さんのssで明かされると思わなかった、ss投稿かんしゃあ!

  • 54二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 09:34:42

    勢いが若さだなぁ…

  • 55二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 15:38:30

    寝起き酷いことになってそう

  • 56二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 22:35:29

    お酒自体は上手くできたんだろうけど、そこまで度数が高いとは思ってなかったんだね…

  • 57125/08/28(木) 23:23:15

    薄々どころか普通に気づいている方もいるでしょうが

    お酒造りのシーンは、これを基にしています。

  • 58二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 08:01:49

    ドランク・ファイトでイコ達がお酒の味を批評していたけど、ルイスパリッシュ本来のお酒はかなり鮮麗されてたんだね

  • 59二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 14:40:50

    次はどんな話が来るかな?

  • 60125/08/29(金) 18:53:01

    >>59

    大分遅くなりそうですが、本編のとある話の裏側(進捗20%)と

    想定より長くなりそうな前スレでも言った観光協会が出来るまでの話(進捗0%)

    なんとかスレが生きてるうちに、この2本を投下できるようにはします……


    >>55

    セイブル生徒会長「常に頭痛と吐き気が…」

    デルタ生徒会長「それに倦怠感とえもしれぬ胸からせり上がるもやもやが…」

    ルイシアン生徒会長「保健委員…これはいったいなんです……?」


    保健委員「急性アルコール中毒一歩手前の二日酔いだ、馬鹿ども(二日酔いなので安静にしててください)」

  • 61二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 02:35:21

    はい

  • 62二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 10:45:04

    まちます

  • 63125/08/30(土) 11:59:18

    待たせるの申し訳無いので
    貴重な残弾を消費する姿勢でいきます…
    というわけで、また設定投下しますね

  • 64二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 12:44:45

    このレスは削除されています

  • 65125/08/30(土) 12:49:11

    [3S(ister)スピリッツ]
    銘々脈々と生徒間で受け継がれてきた歴史あるルイスパリッシュ印のお酒
    …と言えば聞こえはいいが実際は、ほぼ同じ原料(小麦、大麦、じゃがいも)等の
    穀物を連続式蒸留器と白樺の炭でろ過した蒸留酒を祖とする
    1本(720ml)480円の安酒姉妹品である

    [ファースト ウォッカ]
    上記の蒸留酒を加水して瓶詰めした
    もっともオーソドックスでシンプルな味わいのウォッカ(40度)
    主に割り材やお金が無い生徒、不良のお供

    生徒のコメント

    サヨコ「アルコールそのものだね」

    リリ「うわッ!キッッツい! スズちゃんこういうの好きなの?」

    スズ「消毒用よりはマシな味」

    ニィナ「罰ゲームー?」

    イコ「最低限…って感じですね」

    リコ「粗いねぇ…」

  • 66125/08/30(土) 12:51:47

    [ドゥー ジン]
    上記の蒸留酒に、ジュニパーベリーやルイスパリッシュで栽培されたオレンジ
    ハーブ等の数種のボタニカルで風味付けされた、それなりな風味のジン(36度)
    こちらも割り材やお金が無い生徒、不良のお供

    生徒のコメント

    サヨコ「なんで人工っぽい香りになるの」

    リリ「うぇ…苦味と刺激が喉に残る」

    スズ「農薬に漬かったオレンジを食べた時を思い出す」

    ニィナ「農業科でパクったオレンジみたいな味ー」

    イコ「農業科で盗ってきた時のオレンジと同じ味がしますね」

    リコ「風味だけはそれっぽいよぉ…」

  • 67125/08/30(土) 12:54:20

    [三号焼酎]
    上記2つより、僅か後に作られた品
    同じ原料の他に麹を合わせ、ろ過に竹炭を使用
    キリっとしつつ微かに甘い…らしい焼酎(25度)
    こちらも(ry

    生徒のコメント

    サヨコ「生臭いと感じるのはオレだけ…?」

    リリ「これ以上飲んだら、好きじゃなかった焼酎が嫌いになりそう」

    スズ「うがい薬にもならないな」

    ニィナ「100%ジュースと8:2位で割るといいよー」

    イコ「私にもジュース貰えますか」

    リコ「あえて飲む程でも無いねぇ…」

  • 68125/08/30(土) 13:00:45

    ルイスパリッシュ印のウィスキー
    前3つとは特に関係の無い安いウィスキー
    だが、ウィスキーとは名ばかりで原料の大半をスピリッツが占める
    ウィスキーという銘のアルコール
    メタ的に言うとトップバリュのアレ

    生徒(モブ)のコメント

    「ダレガ生ンデクレト頼ンダ…!!ダレガ……!!」
    「飲む敵……密猟者見つけたらこれ飲ませる?」
    「その考えに至った君に勲章を与えたいよ」



    ルイスパリッシュで有名?なお酒とそのレビューでした。
    それっぽいお酒の銘柄案とかありましたら、是非。

  • 69125/08/30(土) 13:09:24

    ルイスパリッシュ生徒お酒早見表


    強い                           弱い

    前生徒会長>>>>スズ≧サヨコ>>イコ>ニィナ≧リリ=モブ>>>リコ


    ルイスパリッシュ生徒のアルコール耐性はニィナ、リリやモブが平均値


    前生徒会長 なんでも好き(ウワバミ)


    スズ 度数の高いお酒(主にスピリッツ)を好む


    サヨコ ビールやハイボールが好み


    イコ カクテルを筆頭に甘いお酒が好き


    ニィナ 飲みやすいチューハイ類が好み


    リリ ワイン党、特に赤が好き


    リコ 舌に合えばなんでも(ただし誰よりもアルコールに弱い)

  • 70二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 21:18:36

    つよい()

  • 71二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 23:07:07

    ルイスパリッシュ内だけでこんなにお酒の種類があるとは驚きだ

  • 72二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 08:19:39

    このレスは削除されています

  • 73二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 16:10:19

    どのお酒も生徒からの評価がいまいち…
    そのまま飲むんじゃなくてカクテルにして飲むのが主流なのかな?

  • 74二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 16:27:52

    物によるけど、現実でも安いお酒はそのまま飲むよりも
    カクテルとかの割材にした方がマシだからね…
    ちゃんとした銘柄のもあるんじゃないかな?

  • 75二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 21:51:09

    保守

  • 76二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 00:14:49

    >>60

    裏側と観光協会が出来るまでの話はどっちも面白そうで楽しみ

  • 77二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 07:02:48

    保守

  • 78二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 15:52:46

    農業校があるからワインは美味しいのがありそう

  • 79125/09/01(月) 22:05:38

    ブルアカwikiと格闘しながら書いてみた、マナの性能になります。

    名前:日向マナ
    レアリティ:☆1(配布)
    役割:STRIKER
    クラス:サポーター
    ポジション:MIDDLE
    武器種:HG
    武器名:スコフィールドカービン(仮)
    遮蔽物:使う
    攻撃タイプ:爆発
    防御タイプ:軽装備
    市街地戦闘力:B
    屋外戦闘力:C
    屋内戦闘力:B

    EXスキル「これで…お、終わってください…!」
    COST2~4
    ショットガンを取り出し、扇形範囲内の敵に対して463%分のダメージ/
    さらに追加で2コスト使用することにより、攻撃力の148%分の火傷持続ダメージを付与(10秒間)

    ノーマルスキル「み、見えました…」
    30秒毎に敵1人にたいして会心値を30%、
    会心ダメージ率を12%下げる

    パッシブスキル「あ、会うまでは…」
    防御力14%増加

    サブスキル「お、教えてもらいましたから…」
    リロード時、5%の確率で爆発特攻を32%加算(15秒間)

  • 80125/09/01(月) 22:14:00

    他の生徒はたぶんこんな感じです。
    中身は考えてません……性能考えるの結構難しいです。

    サヨコ ☆3 STRIKER
    ニィナ ☆3 SPECIAL
    リリ ☆3 STRIKER
    スズ ☆2 SPECIAL
    イコ ☆2 SPECIAL
    リコ ☆3 STRIKER
    クシロ ☆3 STRIKER

  • 81二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 23:55:28

    マナの性能いい感じだね

  • 82二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 23:58:29

    新作読めて嬉しかったよ
    お酒レビューしてる面々は可愛いし
    初めての密造して二日酔いしちゃうのも微笑ましい

  • 83二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 08:07:25

    ルイスパリッシュを保守

  • 84125/09/02(火) 15:31:00

    残弾0なので、裏話?でも……
    ドランク・ファイト劇中で密造者の摘発を3人がやってた賭けポーカー事件
    事のあらましは、ルイスパリッシュ内でポーカーが流行る。
    次第に一部生徒間でジュースやお菓子などを賭けるようになり、スズとニィナはその様子を見て
    徐々に金銭を賭けるように画策。見事胴元の立ち位置に…
    胴元の存在に気づいたイコが自分も一枚噛ませるように2人に交渉、商業科の頭脳()を用いて規模を拡大
    さすがに事態が由々しくなってきたな?と感づいた生徒会により調査開始
    規模を拡大したおかげで尻尾を掴まれ、3人はあえなく御用。罰として密造者の摘発へ…

    という感じです。ssにするかは未定(たぶんしない)

  • 85二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 23:08:43

    大分お出しできない感じ

  • 86125/09/02(火) 23:09:16

    >>85

    ごめんなさい…だいぶお出しできない感じです

  • 87二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 08:16:38

    お酒の感想では?

  • 88125/09/03(水) 09:11:49

    あっ、あぁ…そっち?
    どっちにしても、ss全然出せない状況にあるので
    私が勘違いしていたことも含めて申し訳ないです。

    現状もメモ帳代わりになってしまいますが、
    投下予定のss含めて、こんなお話を考えてるよ。っていうのを
    あらすじっぽく纏めたのを投下しようと思っています。

  • 89二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 13:39:19

    うふふ
    1スレ目から読んでるファンですよ
    お待ちしてます
    もっと出して

  • 90125/09/03(水) 22:18:07

    ルイスパリッシュの制服を絵に起こしてみようとしてたりします
    絵のクオリティは画伯()です……

  • 91二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 00:22:36

    期待

  • 92二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 09:02:52

    保守

  • 93二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 09:55:29

    3dcgキャラメイク系エロゲー

    と言う手段もあると言えばありますね >制服

  • 94125/09/04(木) 16:53:05

    ワイルドハント、アリウス新章にあたってルイスパリッシュと絡ませられそうと思ってた次第です。
    というわけで、前スレで言ってたイコがエデン条約の時のお話はしばらく凍結です。
    そして、ワイルドハントと絡めるならこんな感じかな?という、あらすじを投下します。

  • 95125/09/04(木) 16:55:53

    [ワイルドハント×ルイスパリッシュ]

    ワイルドハント芸術学院
    己が表現する芸術のために芸術に関わる敷居は広い
    だが、それは自由とはまた違う…
    芸術に対する評価は青天井でも制約という限定された空の下でのみ自由に活動が許される
    だが、そんな鎖の隙間を縫うように活動しているのが運び屋と呼ばれる
    ワイルドハントでは流通していない物資を調達する。芸術とは真逆の見られてはいけない者達

    運び屋の一人、ミヨは次こそ辞めようと考えていても
    間の悪さと確かな技術から足を洗うこともできなかった。
    そんなある日、彼女は風の噂で誰にも見つかることのない目を持つ生徒がいると知る。
    ミヨは考えた、これを使えば運び屋として目をつけられる事は無い筈だ。と…
    「暗視」というキーワードを便りにミヨは調査を開始した。



    他にもオカルト研究会がルイスパリッシュにとかありそうですが
    とりあえず、こんな感じの話を思いつきました。

  • 96二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:17:29

    良いですねぇ
    お話の膨らみを感じます

  • 97二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 23:45:36

    ワイルドハント芸術学院も関わってくるのは面白そう

  • 98125/09/05(金) 00:05:55

    >>97

    オカルト研究会を見た瞬間、すっごい丁度いい?生徒達が……ってなりました。

  • 99二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 09:13:58

    保守

  • 100二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 17:20:30

    >>95

    裏取引でブラックマーケットに関わることもありそうなミヨなら、ルイスパリッシュにたどり着く日もそう遠くなさそうだね

  • 101二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 18:23:30

    芸術の為にお酒を欲しがる生徒がルイスパリッシュに…
    なんてね?

  • 102二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 22:05:54

    インスピレーション湧いたんで日向マナさん生成しました

  • 103二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 01:03:50

    >>102

    いいねぇ

  • 104二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 05:56:35

    ええやん

  • 105二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 09:09:54

    可愛いねぇ
    朝保守

  • 106125/09/06(土) 18:17:18

    >>102

    ありがとうございます。

    まさか、貰えるとは思っていませんでした…目に芯がある感じがいいですね


    >>101

    それ、いいかもしれないです


    今日中いけるか分からないですけど、またちょっと思いついたあらすじを…

  • 107二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 23:42:26

    このレスは削除されています

  • 108二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 06:25:27

    保守

  • 109二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 13:53:05

    保守

  • 110二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 22:13:08

    何が出るかな

  • 111125/09/07(日) 22:36:11

    「今日の運行、しゅうりょ~う!」
    「リリ、お疲れ。」

    ゲヘナ学園新校舎から離れた、ヒノム火山近辺を繋ぐ小規模路線
    雷帝の時代ともに廃線となった路線を全てでは無いが、ルイスパリッシュからゲヘナに転校してきた2人の生徒
    リリとスズは母校での経験と思い出を活かし、廃線を一部復活させ温泉開発部が設営した温泉と学園を繋ぐローカルラインを運営していた。

    本日の業務を終え、車両基地兼事務所の大型ガレージに列車を戻した2人は一度内部の点検を軽く済ませた後
    列車から降りると、そこには待ち構えていたかのようにゲヘナの問題児達の1つ、美食研究会の部長
    黒舘ハルナが作業を終えたリリ達に話しかけた。

    「初めまして、ゲヘナ鉄道同好会のリリさん、スズさん
     美食研究会の黒舘ハルナと申しますわ。」
    「初めまして、ハルナちゃんだね。あーしはリリ!
     で、こっちが…」
    「スズだ、よろしく……それで何の用だ?今日はもうこいつは動かないが。」

    リリとスズも直に会ったことは無いが、美食研究会がどのような活動をしているかは知っている。
    だからこそ、正反対と言うような鉄道同好会にわざわざ出向いたのが理解できなかった。
    売店と呼べるものも無いし、彼女が求めているものは何かあっただろうかとと2人が目を合わせると
    ハルナは口を開いた。

    「お2人は、ルイスパリッシュ統合学園からゲヘナに転入でしたわね。」
    「そうだよ。」
    「ふふふっ…なら、ルイスパリッシュには"アレ"があるとは本当なのですか?」
    「アレ…?」

    スズの眉がピクリと微かに動いた。リリもスズの様子を見て彼女の考えを察し、緊張が走る。
    ハルナは掴んでいるのだ。ルイスパリッシュにはキヴォトスでは実質禁止になっているお酒がある事に…
    目の前の彼女は、まるでほくそ笑む悪魔の様に薄く口角を上げて、求めてるそれに手を伸ばさんと口を開いた。

  • 112125/09/07(日) 22:41:42

    「と、言う訳で…今からハルナちゃん達とワニを捕りにいくことになったの…」
    「そうか…ワニ……?」

    ルイスパリッシュ統合学園…現在は廃校となってる場所にて忘れられないために活動している観光協会の駅舎にて
    物資や設備の備品、それにかかる収支用の書類を纏めていたサヨコは、事前にメールで聞いていたとはいえ
    改めて部外者と共にワニを捕るという事態にイマイチ理解が及ばなかった。

    「ワニ料理が無かったわけではないけど、オレが覚えてる限り有名なのあったかどうか…」
    「詳しいことは私から説明いたしますわ。」

    サヨコとリリの間にハルナが自分たちの来歴と今回の意図を説明しだした。

    「私達、美食研究会はその名の通り、世の美食と呼ばれる物を味わいつくすことを目的としていますわ。
     サヨコさんの仰る通り、ルイスパリッシュにあるワニ料理は私達も調べています。
     ですが、今回の目的はワニ"料理"ではなく、"ワニ"…それもここでしか現れない特有の物を賞味したいと考えていますわ。」
    「なるほど、それならオレからも言うことは無い。解体とかも手伝えることがあったら協力する。
     もちろん、オレ達の注意を守れるならの話だけどね。」
    「えぇ、リリさんから聞き及んでおります。うふふっ、この地のみに生息すると言われる電気ワニを確かめられる…
     いったいどのような味がするのか、はしたなくも期待で身が震えますわね。」
    「電気ワニか……電気ワニ…?」

  • 113125/09/07(日) 22:42:43

    サヨコはそのキーワードに気づくと、リリに視線を向ける。
    リリは非常に困ったような気まずい笑みをしながら、サヨコに話した。

    「ハルナちゃん達が食べたいって言ってるワニは……ターゲットのロット・ジョーのことなんだ…」





    新規イベント
    先生!新しいイベントが開催されます!
    どうやら、美食研究会が新たな美食を求めて
    ルイスパリッシュを訪ねているようです。
    気を付けて、跡を追ってみましょう!

    未知なる咬福をこの舌に~ブラック・ウォーター~

    X/X(水)メンテナンス後、開催です!

  • 114125/09/07(日) 22:50:02

    本当なら、昨日投下予定だったあらすじ
    リリとスズのゲヘナ組と美食研究会のお話です。

    ロット・ジョーは元ネタのHuntに登場するターゲットの一体です
    通常のターゲットと違いフィールドにあるオブジェクトを追っていくことで戦えるフィールドボスです。
    見た目は首に電気柵のような拘束具が巻き付いている以外は、普通のワニ(雌)

  • 115二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 06:43:55

    ワニかぁ…

  • 116二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 14:49:28

    ワニ肉は鶏肉の様な味がするらしい

  • 117二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 16:01:34

    >>114

    なぁにこのワニ~

    怖い!

  • 118二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 23:27:36

    こっわ

  • 119二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 08:20:41

    保守

  • 120二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 15:42:56

    このマゾヒズムなワニはどうして鉄格子で雁字搦めになったのやら…?

  • 121二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 22:06:51

    保守

  • 122二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 00:50:13

    リリとスズに接触してきたハルナの目的はお酒じゃなくてワニだったのね
    お目当てのロット・ジョーはターゲットみたいだけど食べられるのかな…?

  • 123125/09/10(水) 01:19:28

    >>120

    以前のバージョンだと、ゲーム内でターゲットやモンスターのバックストーリーが見れたのですが

    いま閲覧できないので英語wikiに貼られてるスクショを訳すしか方法が……


    本編裏話書き進めていますが、未だ感性の目途が立たず申し訳ありません。

    そして他のストーリー考えるとき、だいたいリコが中心の話が多くなってしまうのが悩みだったりします。

  • 124二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 10:35:37

    待つよ

  • 125二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 18:15:23

    保守

  • 126二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 22:32:45

    ロット・ジョーの事軽く調べたんですが
    頭が腐敗してるんですかコイツぅ!?

  • 127125/09/10(水) 22:48:04

    >>126

    えっ、そうなんですか!?(情報解放する前にアプデ入った


    ss待たせてる間に、闇に囚われるまえのクシロの銃は何がいいと思いますか?

    Huntに出ている銃じゃなくても構いません。

  • 128二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 23:52:32

    そうですねぇ、何が良いかな
    扱いやすいベレッタとか1911ガバメント系とか
    プレーンなM4アサルトライフルとか

  • 129二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 08:59:59

    銃はよくわからん…

  • 130二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 17:45:41

    ロケラン?

  • 131二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 22:12:12

    このレスは削除されています

  • 132二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 00:05:41

    闇に囚われる前からごつい銃を使っていてもいいし、シンプルな銃でも良さそう

  • 133125/09/12(金) 00:23:51

    いま、あがってる候補はこんな感じですかね?

    まだ必要では無いので、ゆるりと募集中です。




  • 134二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 06:48:34

    保守

  • 135二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 14:53:59

    銃は難しい

  • 136二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 21:18:16

    保守

  • 137二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 23:31:56

    本人の性格による所が大きいから
    どんな銃をチョイスしてたか
    って言うのは大きな要素だよね
    闇に囚われる前と後でガラッと変わっちゃったなら
    尚の事

  • 138125/09/12(金) 23:39:19

    初期案だと囚われる前でも後でも、モーゼルを使ってる設定でした。
    自己が薄い少女が使ってる銃……自分で設定しておきながら難しいです

  • 139二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 07:18:25

    このレスは削除されています

  • 140二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 16:23:30

    小さめの銃でも似合ってるけどゴツいやつでもギャップで良い
    難しいね

  • 141125/09/13(土) 22:11:38

    今更、ニィナの銃の画像を間違えてることに気づきました。

    ちょっとした差分ですけど、こちらになります。

  • 142二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 23:59:53

    銃の雰囲気が似てるから間違えるのも理解できる

  • 143二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 09:28:00

    保守

  • 144二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 15:41:11

    このレスは削除されています

  • 145125/09/14(日) 20:18:21

    これいいかも。と思ったのですが、デザインが洗練されすぎててユニーク過ぎるようなという気がします。

  • 146二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 00:33:33

    かなりスタイリッシュな銃だ

  • 147125/09/15(月) 03:39:55

    本編の裏側のssできたので投下します。
    サブタイトルは適当です…

  • 148125/09/15(月) 03:42:10

    [もうひとつの蓋の裏側]

    草木と湿った土の匂いが立ち込める木々の麓……動物の鳴き声も虫の気配も静まり返った
    林の間を抜けていく影が3つ……肩が触れそうな距離を維持しつつも、お互いの視線は死角を過剰なほど補い合う…
    それこそ、落ちた針の音どころか影すらも逃さないと言わんばかりに神経を尖らせていた。

    自身を守り、なおかつ彼女達の象徴でもあるヘルメットの上にはヘイローが静かに浮かんでいるが
    反比例するようにひっ迫した精神の彼女達の目は渇きを気にすることも出来ず開き、無意識に開いた口からは細く早い呼吸がずっと続いており
    摺り足、差し足と音をなるべく出さないように足を動かそうとしているのだろうが、総毛立った心はそれを許さない。
    1歩、2歩、3歩と確かめるように前進していると、パキリと不意に誰かが小枝を踏み抜いた瞬間…
    近くにいた水鳥が、気配を察知し鳴き声と水面に波紋を響かせて飛び立った。

    「ひっ!あ、ああぁぁぁぁ!!」
    「あっ、ちょ…ちょっと!」

    音に呼応するように1人が一心不乱に走り出す。
    仲間も景色も置き去りにして、ただここから逃げたくて知らずの内に自分にも皆にも言い聞かせていた
    なるべく音を出さないように行動するからの解放が、より彼女のフラストレーションの発散に一役買ってしまっていた。

    「ハァ、ハァ……ハっ、あっ!」

    がむしゃらに走っている内に、露出している木の根に足を取られ転んでしまう。
    いますぐ立って逃げねばいけないのに、転んだ衝撃と酸素を欲している体はその要求を跳ね除けた。
    僅かに湿った土と木、泥が混じった川の匂いが生温い風に運ばれてヘルメットを通じて無防備な体を撫でる
    息を切らして追い付いた2人は、彼女に手を差し伸べるが……その様子は分かり切っているほどに限界だった。

    「もういやだっ!!」

    差し伸べられた手を払いのけ、立ち上がろうとするが足を滑らせ尻もちをつき後退る形になってしまう。

  • 149125/09/15(月) 03:43:19

    「なんなの、ここ!なんでアンタたち平気なの!!ひ、人を人があんな風に……」
    「落ち着け!」
    「落ち着け!?落ち着けって言ってるの!撃ったんだよ!?訳も分からずよたよた歩く人を!」
    「あれは人じゃない!見ただろ、青白い肌で肉が崩れかかってるのを!銃弾が皮膚を…!皮膚を…うっ……!」

    嗜めていた彼女は、自身の言葉から思い出してしまう。
    蕩けた目に獣のような唸り声をあげ、酷く爛れた肌と鼻を覆いたくなるくぐもった匂い…
    そして、火花を切った銃弾が肌を抉り淀んだ鮮血と肉が裏返る瞬間を……

    「おえぇぇ……おっ、うおぇ…」

    頭が耳が鼻が…五感が神経を逆なでするように記憶を再現する。
    耐え切れず急いでヘルメットを投げ捨てるように外し、彼女は胃の中の物を外に吐き出した。
    追いかけてきたうちの1人が背中を摩りながら、言葉を発する。

    「美味い物でも口にしたくて、美味い話に飛び込んで……はぁ…とにかくここから逃げよう。
     依頼なんて知ったことか…!」

    その発言に全員が頷く。明日の食事の為に命を散らすほど彼女達は安くない。

    決意を固めたその時、木陰から草木が揺れ踏まれる音が3人の耳に響いてくる。
    すぐさま身を寄せ合った彼女達は音がした木陰に銃口を向ける……が、そこには風で雑草と落ち葉が揺れているだけであった。
    それでも、一瞬の気も抜けず銃口は上げたままこの場から離れようと後退るのを途中で止める。
    背後から唸る"4"人目の吐息が、生温い風に乗って彼女達の肩から胸へ流れるのを感じてしまったから…

  • 150125/09/15(月) 03:46:01

    途端に呼吸が荒くなり、目の焦点が震えてくる…記憶が五感を逆なでしてくるのを無理矢理抑えながら
    必要以上に強く握った銃のグリップごと、3人は体を背後に向け……引き裂かれるような悲鳴と共に引き金が引かれ









    パァーーーーーーーーーン!!

  • 151125/09/15(月) 03:48:07

    と、乾いた柏手をリコが鳴らした。

    「と…いうわけで、先生やお嬢さんたちも出払ったことだしねぇ。」

    ルイスパリッシュ観光協会の本部兼駅舎の広間に集められた3人は、現在トリニティから来た客人のお友達を捜索しに向かった先生達とは別に
    本来の業務の1つ……部外者には語ることができないルイスパリッシュの伝統の保護、つまりは……

    「今回はビール樽の探索と回収か。」
    「そうだよぉ。外の人に危険な事はさせたくないけど……先生にはサヨコ達が付いていってくれたからねぇ。」
    「先生にバレないように誘導……いや、信頼を促したのはどこの誰でした?」

    あの人から悪いとこばかり学習しましたね。とは口には出さず心の中でイコは留めた。
    ルイスパリッシュで造られていたお酒の回収、本来なら禁止されているそれを外部の者に知られてはいけない。
    生徒を捜索しにきたトリニティの客人と先生に協会員を付き添わせることで、彼女達の目的を果たしつつ観光協会のカモフラージュも行える。

    「無線機と救急セット一式、あとは背負子…準備ヨシ。」
    「こっちも完了だ。」
    「ではリコ、私達は探索に行ってきます。仮に何かあってもサヨコ達の方を優先してあげてください。」

    準備を終えたイコとスズ達3人は、リコから気を付けてと用心の挨拶を背にいつもの様に駅舎の外……
    陽が降り注ぐ雄大な呪われた地へと足を進めていった。

  • 152125/09/15(月) 03:51:00

    「近くなってる……ルイシアンのサイロかな?」

    帽子を被った協会員は両の掌を正面にかざし、遠くに輝く"光"を観測していた。
    「暗視」ルイスパリッシュの生徒は闇を瞳に写し、その中で探し求めている光の揺らめきを見る事が出来る
    彼女は暗視を解除すると、肩にかけていたライフルを担ぎ直しながら2人の前を先導する。
    歩き進めるにつれ、だんだんと湿った土と草木の匂いが濃くなっていく…ルイシアン地区に入った証拠だ
    ふと、イコは捜索に言っているサヨコ達のことで口を開いた。

    「そういえば、私達と鉢合わせになる可能性があるのですよね…」
    「あー、そっか……サヨコ達はどっちに向かったとか聞いてなかった…
     言い訳でも考えておきます?」
    「なら、こうすればいい。」

    言うや否や、スズはショットガンを空に向け躊躇いなく引き金を引いた。

  • 153125/09/15(月) 03:52:58

    突如響いてきた銃声に先生とトリニティの生徒、マナは同時に肩を震わせる。

    「今みたいに誰かがいた時に撃たれないためだよ。ここはスマホが使えないし、密猟者もいるから
     同士撃ちを避けるためにも基本は隠れて行動するの。」

    デルタ地区を進んでいた先生達に、リリとサヨコは基本的に隠れて行動する必要を2人に説いていく…
    木霊していた銃声が何処から、何のために運ばれてきたことには目をくれる事は無かった。

  • 154125/09/15(月) 03:53:59

    「スズ!突然なに!?」
    「銃声が聞こえたら、向こうも大胆な行動はしないだろう。無線が繋がる範囲でもない。」
    「だとしても、なにか一言は欲しかったのですが……」

    2人の苦情を物ともせず、ショットガンを肩にかけ直すスズ。その尖った獣耳がピクリと動く
    続けて2人も何処かから草木が揺れる音を微かに捉えた。

    「歩兵……ひとまず距離は離れてる。このまま目的まで行ってしまおう。」

    目配せをして頷き、スズ達3人は静かに駆け出した。



    木々や植物の影を縫うように、鳥にも我が物顔でかつての学区を闊歩する異形にも感知されずにサイロ付近まで到達。
    サイロが建っている牧場内の異形を時に撃ち、時にナイフや殴打で葬りながら、割れた窓から侵入した……が

    「きゃっ!?」

    帽子の協会員が担いでいた長銃身のライフルが枠に引っかかり尻もちをついてしまう、痛みに悶える声とともに大きな音を立ててしまっていた。

  • 155125/09/15(月) 03:55:31

    「大丈夫ですか?」
    「いたた…あ、ありがとうございます。イコ先輩。」
    「ヴィターリの方が良かったんじゃないか。」
    「室内で撃つこと無いと踏んで、ルベル持ってきたんだけど…ミスったかなぁ。」

    イコの手を借りながら立ち上がるが、手で打ち付けた箇所を抑えてる辺りダメージは相当なようだ。
    刺激しないように腰についた土埃を払いながら佇まいを正し、改めて目的のビール樽を探す。
    暗視を使い、光が下を指していることを見るとサイロ内を見回り半地下になっている保管スペースを発見した。

    「なんか、随分と小さくない?」
    「確かに想定より、ひと…2回りほど小さいですね。」

    朽ちて腐りかけの樽もある中、見つけたそれは彼女達の予想に反して小さかった。
    それはそうと目的の物資も発見できた、あとは本部の駅舎に持ち帰るだけである、スズは背負子を降ろして
    横倒しにした樽を落ちないように括り付け、異形がいないか周囲の安全の確保とライフルを引っ掛けないように床に空いた穴から外へ出てサイロを後にした。



    牧場から離れ、スズを挟むような形で再び林の中を静かに進んでいると木の陰から出てきた歩兵が襲い掛かってくるのをイコの散弾が吹き飛ばす。
    散弾銃の薬室から漏れる火薬とガスの響きが草木を揺らすと同時に、同じ音を呼び寄せた。
    側面から聞こえてきた銃声に、3人はすぐさま身を屈め木々の後ろに姿を隠す。
    棒で数歩先を確認するように長い感覚で撒かれる銃弾が止み、イコたちが視認できる範囲に3人のヘルメット団が姿を現した。

  • 156125/09/15(月) 03:56:55

    「密猟者ですか…」
    「それにしては顔色が悪そうだね。」

    どうする?とスズが2人に問いかける。
    イコは自分が出ます。と宣言し銃を肩に担いで、両手を上げて何も持ってないことをアピールしながら姿を現した。
    陰から現れた人影に、ヘルメット団の1人は思わずかけていた指に力が入り銃口から火が吹くが狙いも付けれていない銃弾はイコの足元を掠めた。

    「こちらに敵対の意思はありません。銃を収めて貰えますか?」
    「……喋れるってことは、あんた生きてるのか。」
    「えぇ、あなた達がここでなにを見たのかは想像に難くありません。
     我々、ルイスパリッシュ観光協会はここから脱出したい方の保護も行っております。」

    付いてきて貰えますか。と提案するイコに三人はまだ信用はできないが早く確実にこの場から去りたかった彼女達に断る理由も無い。
    目を合わせてお互いが頷いたのを確認し、提案に乗るために口を開こうとしたのをイコの背後に潜んでいた協会員の叫びが遮った。





    「イコ先輩!!危なッッ!!??」

  • 157125/09/15(月) 03:58:11

    イコをヘルメット団の前に突き飛ばした帽子の協会員の姿は、それよりも何倍も大きい巨体に弾き飛ばされ姿が見えなくなる。
    ヘルメット団は突如起こった目の前の出来事に呆然としており、突き飛ばされたイコは地に伏せた状態から振り返ると
    心底嫌そうなものを見たように呟いた。

    「ウルサ・モーティスですか…!」

    黒い巨体の熊ウルサ・モーティスは彼女達の目の前に向き直ると、毛皮に包まれた太い四肢と破けた腹部、醜く細った複数の手を晒すように立ち上がり
    自身を誇示するように二つの頭が咆哮を上げた。
    その異形の様相に萎縮したヘルメット団を正気に戻すようにイコが散弾を巨体に放つ。

    「走って!」

    イコの言葉に硬直が解けた3人は一目散にその場から走り出す。
    殿を務めるイコと木の陰から側面を回り込むように散弾を喰らわせながらスズはイコと合流し走り出す。

    「向こうは大丈夫だ!」
    「了解しました、走りますよスズ!」

    ヘルメット団を追って2人も駆け出す。
    ウルサ・モーティスは腕を振り回し痛みに悶えた後、前足で地面を強く蹴り逃げた得物を追い出した。
    視界のヘルメット団の姿が徐々に小さくなっていってるのを確認すると、スズとイコは目配せを行い同じタイミングで左右に分かれる
    熊は最後に銃弾を当てたスズを覚えていたのか、彼女の後ろを追従した。
    イコは自身に食いついてこなかったのを確認するとすぐさま踵を返し、弾を込め直しながら後を追う。

  • 158125/09/15(月) 04:00:19

    スズは背負ってる樽の重さを物ともせず、足に込める力を強くして1歩踏み出すごとに加速していく
    ウルサ・モーティスも負けじと四肢を動かし、スズとの距離がじりじりと縮まっていく…二足と四足の馬力の差は顕著だ。
    スズの耳が背後から土を抉り蹴る音ともう一つの複数の足音を捉えると、意を決して目の前の進路を塞ぐ木に突進するかの勢いで、さらに加速する。
    手を伸ばせば木に触れられそうな距離、スズは蹴りつけるように木を足に打つと勢いのまま上体を傾け幹を垂直に駆ける。

    彼女が重力に逆らい木の上を走るのを体で追うように、ウルサ・モーティスは完全に二足で立ち上がる。
    黒い人影が双頭を照らす陽射しを隠す。スズは木を蹴り後方に宙を舞う、銃口と獣の目が重なった……

    マズルフラッシュがウルサ・モーティスの顔面を焼くと同時に背後からイコが、そして側面から先に逃げていたヘルメット団が隊列を組み3つの銃口を並べていた。
    3方向からの同時射撃(クロスファイア)に、つま先から頭まで銃弾の嵐が小さくも確かに巨体を削る。
    痛みをかき消すような苦悶の咆哮を叫ぶウルサ・モーティス、ヘルメット団の面の内に喜色が滲む……が、硝煙が昇る先には顔が片方潰された獣が彼女達を捉えていた。

    「ひっ…!こ、こっち見た!」
    「は、早くマガジンを…」
    「そんな事より逃げるんだよ!?」

    パニックを起こす3人に無常にも化物は臨戦態勢に入る、スズがサブウェポンを抜くよりも早く目の前の得物に狙いを澄ます窪んだ眼孔に一条の弾丸が貫いた。

    動きを止めゆっくりと倒れ伏す獣、軽い地響きを立てて地に付すと同時に先ほどの銃声に釣られて寄ってきた歩兵を飛来する銃弾が処理していく。
    辺りに静粛が訪れると、スズとイコの背後から長い銃身を肩に携えた帽子を被った協会員がゆっくりと歩いてきた。

    「お、お前…!生きてたのか!?」
    「勝手に殺さないでくれる?吹き飛ばされたのをいいことに隠れてたの。」
    「すまない助かった。」

    あちこち痛むけどね。と目を丸くしているヘルメット団の1人に対し、息を吐き出しながら協会員はぼやく。
    なんとか五体満足で合流した彼女達は、今度こそ観光協会の主導でこの場から脱出するのであった。

  • 159125/09/15(月) 04:02:11

    無事に駅舎に戻ってきた一同は、ヘルメット団を一度協会員に診てもらうよう引き渡し
    イコたち3人とリコは回収した物資を検めようとしていた。

    「じゃ、お待ちかねの…」

    帽子の協会員は垂直に立てた樽の天板、そこに嵌められていた栓を外した瞬間
    深く酸っぱさが感じられる匂いがあたりを漂い始めた。

    「えっ、なにこの匂い…」
    「腐ってたのでしょうか。」
    「……ちょっといいかい。」

    リコは試飲用のピベットを躊躇いなく樽の中に差し込み、中身を取り出した。
    ピベットの中にはどこかどろりとした黒色の液体が収められており、一目見ても明らかに駄目になっていると思う見た目をしているが
    リコは自分の手の甲に液体を落とすと、一度香りを嗅いでから液体を舐めとった。


    「うん…これ、あれだねぇ……モルトビネガー。」


    「は?」
    「酢だねぇ。結構おいしいよぉ。」

    固まっている協会員をよそに、イコも手の甲にそれを出してもらい舐める。

    「あぁ、モルトビネガーですね。」
    「じゃあ、私達は……」
    「後生大事に酢を運んできただけみたいだ。」

    帽子が頭からずり落ちるほど、ガックリと協会員は肩を落とした。

  • 160125/09/15(月) 04:05:40

    それが絶対とは言わないが、ルイスパリッシュにおいてお酒は何にも勝る嗜好品……それも容易く手に入らなくなった今なら猶更である。
    失意に浸る暇も無く、部屋に入ってきた協会員からターゲットと巻き込まれた生徒の情報が入る。
    先生達…スズの親友のリリが共に行動していることを知っているスズは、肩を落としている協会員を連れて
    応援と保護のために足早に部屋を出ていくと入れ替わるようにヘルメット団の3人が入ってきた。

    「あ…その、助けてくれて…ありが…」

    お礼を述べようとした矢先、ぐぅ~~~…っと誰かのお腹が叫び声をあげた。



    「あっ!いやこれは…」
    「馬鹿!お前…こんな時に…」
    「しょうがないでしょ、ご飯代碌に無かったんだから!」

    小競り合いを始めた彼女らに、リコはふふっ…と思わず笑みが漏れる。
    少し待っているよう告げて、リコは一度部屋から出たと思うとすぐに荷物を両手に抱えて戻ってきた。
    テーブルにガスコンロと広めのフライパンを設置し、まな板の上にハムやチーズ、ルッコラといった香草を広げる。
    フライパンの上にバターとオリーブオイルを垂らし、30cm以上はあるバゲットをナイフで3等分にしていく。
    熱されたオイルが香ってきたとこに、側面を開いたパンを押し付けるように焼き目を付け油を吸わせたら、香ばしい小麦とバター
    オリーブオイルの香り漂う断面に、スライスしたハムとチーズ、香草をこれでもかと盛りつけ少量のチリオイルとスプーン一杯分のモルトビネガーを振りかける。
    生唾を飲み込む暇も無くあっという間に完成されたバゲットサンドを持たされ、あれよあれよという間に3人は
    イコの運転でルイスパリッシュの外まで送られた。

    「えっ、あの……」
    「お礼はいいですよ。あなた達がどうしてあそこにいたのかは大体想像がつきます。
     少なくともお互い無駄な労力を使わなかった…それで充分です。
     次は、誰かにそそのかされたとかじゃなくて正面から来てください。歓迎するぜ?私達は…」

  • 161125/09/15(月) 04:08:41

    それではお気を付けて。と、言いたいことだけを告げて、彼女達を乗せてきた車は遠ざかった。
    悪夢の様にとてつもなく長く藻掻いていたようなあの地での出来事から一転して、あまりにもあっさりと解放された事実に
    拍子抜け…では無いが心と体がどこか追い付いていなかった。
    ただ、手の中にあるほんのりとした温かさが彼女達を繋ぎとめている。

    「とりあえず…これ、食べる?」
    「そう、だな…せっかく貰ったし…」

    近くのベンチに並んで座り、渡されたサンドイッチの包装を解く。
    少し冷めてしまったが、それでも香ってくる香ばしさと熱でとろけたチーズとハムの塩気が鼻腔を刺激し空腹を誘う。
    思わず3人同時にサンドイッチに被りつくと、ザクりとした歯ごたえと濃厚な塩気、ほろ苦く青い香草とピリリとした
    チリオイルの絡み…それらを纏めるモルトビネガーの深みのある酸味が食べる手と満足感を優しく与えてくれる。

    「美味しい…」
    「うん、学校の売店で売ってたパンの万倍も…」

    黙々と食す彼女達に、ジリジリと灯った街灯が夜を告げる。
    1人が顔を上げる、沈む陽と訪れる闇のコントラストが目に染みるように焼き付いた気がした。

    「もっとさ…賢くなりたいな。」
    「なれる……なろう!少なくともこれを腹いっぱい食べられるくらい。」
    「いいや、足りないね。ネイルに服に弾だってタダじゃないんだ。
     でも、まずは自分達で用意できるくらいには……」
    「頑張らなきゃね、地道に…」

    ヘルメット団の3人は明日を地続きにすることを胸に、この施しに驕らないようにサンドイッチを丁寧に食していった。



    もうひとつの蓋の裏側   fin.

  • 162125/09/15(月) 04:35:02

    この物語の序盤、先生とマナがデルタ地区に探索しにいっている裏側で起きていたお話でした。

    必ず投下したいssのうちの1つをクリアしましたが、もう一つが未着手なうえちょっとした事情で

    あまり手がかけられないのでより遅くなるという……申し訳ありません。

    残り30レスくらいですが、次スレどうしましょうか…


    以下、劇中で出てきた銃と異形です。


    Lebel(ルベル) 1886

    劇中で協会員モブが使っていたボルトアクションライフル

    無煙火薬の使用を前提に開発されたフランス製の小銃

    装弾数の高さと長い銃身からの初速と射程の長さが特徴


    Vetterli(ヴィターリ) 71

    劇中で協会員モブが使わなかったボルトアクションライフル

    スイス軍が使用していたライフルで、上記のルベルと違い

    カービン仕様で装弾数と射程は短いが取り回しと内臓マガジンによる

    装填のしやすさが特徴


    ウルサ・モーティス

    アップデートで追加された特定の場所にポップする異形

    見た目は醜悪な双頭の熊。タフネスと攻撃力を備えるが

    感知範囲は狭いのか、ガン逃げすれば振り切れる。

    ある日森の中熊さんに出会った♪を体感できた。もちろんヤられましたよ、えぇ…

  • 163二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 11:43:35

    面白かったよ!
    そして保守!

  • 164二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 19:05:11

    デルタ地区で聞こえた銃声の裏ではこんな話が展開されてたのか
    ヘルメット団の3人は無事助かって良かったね

  • 165二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 00:38:15

    帽子を被った協会員の子はウルサ・モーティスに吹っ飛ばされたのに、そこまで大きな怪我を負ったわけじゃないの強いね

  • 166二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 08:10:24

    サンドイッチおいしい()

  • 167二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 11:58:24

    >>165

    痛いけど歯を食い縛って復帰したのかもね

  • 168二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 20:47:46

    次スレはスレ主のやり易いようにしてもらえば
    書きたくなったらまた建てようでも

  • 169二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 22:40:12

    このレスは削除されています

  • 170125/09/16(火) 22:43:56

    とりあえず、>>190になったら建てようと思います。

    まぁ…今もですが、ssかなにかしら供給しないとレスすることもなく落ちるので…

    というわけで、画像メーカーとか使って観光協会やマナ達の容姿を考えるのもいいかなって

    笛版はある程度容姿の描写してますしそれに倣って……なんか、やる事ばかりかさんでいるような……?

  • 171二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 07:06:31

    何と言うか、お疲れ様です

  • 172二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 14:13:32

    お連れ様ですよ

  • 173125/09/17(水) 22:20:54

    どの画像メーカー?がいいか悩み中…

  • 174二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 01:27:26

    期待

  • 175二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 08:52:22

    保守

  • 176125/09/18(木) 14:09:21

    制服のデザイン考えるだけだったら全身像要らないよね…
    それと見てわからないと思うこの画力…

  • 177二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 18:33:56

    リボンタイですか
    可愛い制服に多く使われますよね

  • 178二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 23:19:51

    おお…!

  • 179125/09/18(木) 23:24:26

    >>177

    あっ、画力通じてた…下手くそなのでちょっと太いです。リボンタイ

    もう少し紐っぽいくらいには細いイメージで描いてます


    >>178

    これは、おお…でいいんでしょうか?

  • 180二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 08:29:19

    保守

  • 181二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 10:40:27

    >>179

    上着はロングのブラウスかな?

    服飾にはあまり敏くないですが可愛いですね

  • 182二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 15:54:45

    保守だよ

  • 183125/09/19(金) 16:36:51

    すいません…おそらく此方の不手際で画像表示されなくなってます。
    クリックすれば見れるみたいですね

  • 184二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 23:21:17

    保守

  • 185二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 23:46:01

    >>162


    ルベル1886

    ・装弾数:多い?(8発)

    ・銃身:長い

    ・射程:長い

    ルベルM1886小銃 - Wikipediaja.wikipedia.org

    ヴィターリ71(カービン仕様)

    ・装弾数:少ない?(6発)

    ・銃身:短い

    ・射程:短い

    Vetterli rifle - Wikipediaen.wikipedia.org

    これほど差があるのによく使いこなせるな…

  • 186二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 08:21:34

    >>176

    もうちょい近付けて撮れない?

  • 187125/09/20(土) 12:59:02

    >>165

    >>185

    協会員モブ「これくらいやれなきゃ、ルイスパリッシュでやっていけないですから。」


    実際

    いたいいたいたいたたた!!!

    どっか折れた!あぁ折れてない!息できない!?

    荷物無事?救急キット救急キットどこ!あった!

    あ、アンプル…強壮アンプル!これ打って…

    ふぅーすぅー…よし!3、2、1!ハイ!立って!!



    ねぇ、当たらなくない?このライフル


    おまえが下手くそなだけでは?


    距離を考えろ間抜けぇ…


    弓を貸しましょうか?(ニコニコ

  • 188二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 20:25:09

    いってぇ…

  • 189二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 23:30:52

    >>185

    >>187

    長いヴィターリ71と短いヴィターリ71の使い分けじゃダメなんですか?

  • 190125/09/21(日) 08:28:13
  • 191二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 11:57:11

    たておつです

  • 192二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 21:10:22

    >>187

    協会員モブちゃん強いな…と思ったら実際はやっぱり相当痛かったのね

  • 193二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 23:09:48

    ヘルメット団モブの混乱はひどかったけど偶然ルイスパリッシュに迷い込んだ人の反応がこうなるのも分かるね

  • 194二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 08:52:27

    次スレでどんな展開があるか楽しみだ

  • 195二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 18:06:07

    埋め

  • 196二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 23:19:41

    埋め埋め

  • 197二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 08:45:19

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  • 198二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 17:55:22

    埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め

  • 199二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 20:39:25

    2の累乗…


    >>172

    何名様ですか?(クソリプ)

  • 200二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 20:41:25

    ピリオド!

オススメ

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