- 1二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 22:30:13
男女問わず、エルデンリングのいろいろなキャラのシチュエーションを楽しむスレです。
思い付いたSSやシチュエーション、キャラ同士の絡み、話のネタになる簡単な考察などなど気軽にお話しください。
次スレは>>190の方がお願いいたします🙇♀️
建てられない場合は他の方にお願いしてください。
前スレ
エルデンリング 劣情スレ 6|あにまん掲示板男女問わず、エルデンリングのいろいろなキャラのシチュエーションを楽しむスレです。思い付いたSSやシチュエーション、キャラ同士の絡み、本編考察などなど気軽に話してって下さい。次スレは>>19…bbs.animanch.com - 2二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 22:42:17
謝罪の保守
- 3二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 23:12:39
血潮の騎士、ユーノ・保守ロー
- 4二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 23:29:48
- 5二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 23:55:15
─どうやら……妊っているらしくてね。
目が点になった。いや、最初は何を言われたのか理解できていなかったのを、後に表情が変わったというところなのだが。
……遅れて反応する。なにが、どうなっているんだ?だって、彼女とは、ミリセントとは一回…。
─……一晩とはいっても、何度も逝ったじゃないか、互いに。
ああ、そうだ。自分が渡した義手を装着して剣を振るう君が、あまりにも艶やかだったんだ。
水を得た魚の様に、もがれた鳥が翼を得たように、使徒の黒炎を避けながら爽やかで楽しそうに舞う君が綺麗すぎたんだ。
たまらず自分の股間が膨張してしまっていたの彼女に見られてしまい、恥ずかしさと自責の念ですぐに逃げ出そうとしたのを彼女に引き留められ、顔を朱く染めながら一つになることを提案してくれた君の顔でさらに熱ってしまった。
徐に服を互いに投げ捨てては、慣れない前戯で濡らしていく。互いに初めてなもので、戸惑いながらも身体を絡めあわせてはすぐに果てるのを繰り返していた。
風車から見える月と星空、それと大樹が照らすその躰は艶めかしく、宛ら女神という言葉が似つかわしかった。 - 6二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 23:55:22
このレスは削除されています
- 7二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 23:55:34
……で、それからしばらく会っていなかった。この雪山で遭遇するまでは。見かけて挨拶を交わしたのを、やけにそそっかしい反応を返すためどうかしたのか気になって聞いてみたんだ。そこから現状に至る。
…よく見たら、透き通るように白い肌がいつもより更に白みを帯びている…と思う。聞くところによると、旅の途中で何度も吐き気、嘔吐、頭痛が止まらないらしい。
どうしたものか道中の商人にそれとなく聞いてみたところ、妊娠の症状だと伝えられたという。商人は冗談のつもりで言ったようだが、顔が優れないのを見るに申し訳なさそうに商品を割引してくれたようだ。
いや、そんなことはどうでもいい。何か、不都合はなかったのか?
─大変だよ!あと良いところで頭痛がしては気が逸れてやられてしまったり、お腹を守りながら戦わなきゃいけないし……。
ミリセントはたまった鬱憤を吐き出すように矢継ぎ早に吐露する。こんなことを言うのも最低だが、健気に我が子を守ろうとする君はまさしく女神だ。比喩なんかじゃない。
……うん?我が子……。そうだな。報告を聞かされてから時間が経ったから冷静に考えられる。もちろん、責任は取るつもりだ。
母となった彼女をこのまま戦わせるわけにはいかない。だが、君の使命はどうしようか?彼女に相談を投げかける。
─あ、うん……。正直、悩んでる。このままだとこの子に良くないし、でも、私の旅の目的は……。
言いかけて彼女が口ごもる。言いづらい事情なのだろう。彼女の意を汲んでそれ以上は聞かないことにした。 - 8二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 23:55:51
─…自分がこうなってしまった原因だからとやかくは言わない。でも、君には産んでほしい。産んでから、旅を続けてほしい。
これは、誰のためとかじゃない。ただ、三人の未来のために、このままでは良くないからさ。
なかなか浮かび慣れない言葉を語り続ける。彼女は、黙って聞いたままだ。
─君が、好きだから。君にとの子どもができたと聞いたときは驚いたが、本当に嬉しかった。…なぁ、この旅が終わったらさ……。
こちらも言いかけたところで口が閉じる。この言葉を言うのは今じゃない。
─…ふふっ。慣れない言葉は、吐くもんじゃないね。
彼女は意地が悪そうに笑う。恥ずかしくなった。そうだな、伴侶でもないんだ。こんな言葉は自分以外もなかなか口に出るものではない。
─うん、分かった。私、産むよ。とりあえず、どこに居ればいいかな?
この言葉を聞いてどうしようもなく嬉しい気持ちでいっぱいになり、今ここで叫びだしたいところだったが、周囲に敵がいることを考慮してなんとか堪える。
─そうだな。火山館というところがあってさ。そこに居る人全員知り合いで、女性もいるから……。 - 9二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 23:56:06
今思えば、この時が一番楽しかったな。あの後彼に付き添われてそこの主人と思われる女性に必死に頼み込んでいた。
仮面で隠れて顔こそ窺えなかたっが、ため息を何度もつく辺り億劫だったのだろう。
尤も、渋々承諾してくれた彼女、タニスさんは親身になって相談を受けてくれる。子育ての仕方や、母親としての振舞い方とか。
タニスさんの娘だというラーヤも、同じく親身になって介抱してくれる。彼の恋人だと聞いて最初は怪訝だったらしいが、すぐに打ち解けることができた。
それから、客室の一部屋をお借りして出産するまでに至った。あの時の皆の反応が良かった。君もタニスさんもラーヤもずっと泣いていた。
君は、これから家庭を築いていくつもりで、だから泣いていたのだろう?
……本当に、ごめん。私の使命では、それは果たせそうにない。 - 10二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 23:56:29
ああ。また、泣かないでおくれ。これは、私の…マレニアとのけじめなんだ。このまま私が幸せになっても、それではあの人や姉妹が報われない。
……「 」。あの子の成長を見られないのだけが気がかりだが、きっと君なら良く育ててくれるんだろう。
本当にごめん。本来なら、堕ろしてしまってもよかったんだ。こんなの、無駄だって。でも、できなかった。君ならきっと受け入れてくれるだろうって、希望に縋って甘えていたんだ。……最低だな、私は。
ああ、赤毛のあの子。姿は母親似だが、きっと君の様に素晴らしい人になるんだろうか。それなら、もう望むことはない。
…ふふっ。最後まで、泣いてくれるんだね…………。
─そもそも、宿痾によってミリセントの子宮は本来ならば腐っていたのだ。だが、それを跳ねのけたのは無垢金の針によるものなのだろうか。
それとも、褪せ人の何かしらの因果であろうか。答えが分かることはない。確かなのは、赤子に宿痾は受け継がれていないということだ。 - 11二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 23:57:48
純愛ssに変なもん挟んでごべーーーーーーーーん!!!
- 12二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 00:12:11
こいつらまた死別してる……
- 13二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 00:32:15
花はいずれ散る定めと考えるとビターが似合う、というかミリセントを主題にするとビターしかならないんだもの……
- 14二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 01:05:11
※傀儡化あり、閲覧注意
「んっ♡……んっ……あっ♡」
魔術師セレンは研究机の角に秘所を押し当てて、自分自身を慰めていた。
「あぁ……もっと……」
セレンは空いている両の手で胸を揉みしだきながら、さらに強く押しつけていく。
「くぅ……ああっ!んんんっ!」
セレンは絶頂を迎え、愛液が吹き出した。
しかし、すぐにまた刺激を求めて動き出す。
「足りない……。全然疼きが収まらん……」
セルブスとの取引で手に入れた新しい身体に入って以来、セレンはずっとこの状態だった。
以前の肉体での犯され続けた経験という種が、セルブスの趣味によって敏感にされた身体という絶好の土壌で芽を出し、花開いてしまったのだ。
「こんな身体では研究など出来るわけが…」
セレンが新しい身体に入ってから1週間以上は経ったものの、一切彼女の研究は進んでいなかった。
熱った身体で研究机に近づくとついつい角に股間を押しつけ、ならば実践はと杖を握ると手が自然と杖で秘所を擦り上げてしまい、まともに作業が出来ていなかったからだ。
「こんな状態では弟子にも顔向できん…」
事実、彼女が新しい身体になってから何度か弟子が訪ねてきたが、その度に彼女は最初に会った時と同じように幻影を出して対応させていた。
「研究の為だ、致し方ない。不快だがセルブスに身体の感覚を戻してもらうしかないな…」
以前の聡明な彼女ならば、セルブスに頼んでも素直に戻してはくれないであろう事も、対価として奴の『趣味』に付き合わされ戻れなくなる事も気付けただろう…しかし今のセレンは、快楽に支配された頭ではそんな事を考える余裕はなかった…。
ーーー
『セレンの傀儡』
快楽に溺れ堕ちてしまった女の傀儡。
堕落の美ほど背徳的で愛でる価値のあるものもないだろう。
聡明だった頃の名残か高度な魔術を使う。 - 15二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 01:25:24
エルデンリングのヒロインでまともに子供産んで育てられそうな娘少なくないか?
俺個人の偏見だとこんな感じ
メリナ→霊体、燃える使命のため子育ては不可能
ラニ→人形の身体なんでできるのか?
ローデリカ→身体は生身で使命も逃げたので問題なし
フィア→身体は生身、死王子の使命で子育てが不安か?
ゾラーヤス→種族…頑張ればいけるし可愛いから問題なし
タニス→人妻だけど身体は問題なし
ミリセント→身体(腐敗)、使命(姉妹、マレニア)共に子育てには不向き。 - 16二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 08:40:50
やはりセレン師匠か...
- 17二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 10:24:26
兄妹愛、だが外見は姉弟というギャップがそそられるのにモグおじがいるからなかなか描き手にありつけないよぉ😭
異形とショタのBLってつよいんだなぁ - 18二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 12:52:56
優秀だったりストイックに積み重ねたものを快楽で台無しになるのえっちだぁ
- 19二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 13:25:08
- 20二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 14:22:41
Mばっかじゃねーかお前のエルデンリング!
- 21二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 14:52:46
全面同意だったけどフィアがM概念は新鮮だったな
- 22二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 15:32:14
- 23二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 15:37:48
メリナ以上ローデリカ以下のイメージ
- 24二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 15:48:15
1人で慰める時に快楽を貪ってる感が出せる巨乳かな…いや、魔術師塊触手に触られるのを期待して先端が◯起してるのが映えるスレンダーか…それとも傀儡になった時にエロさと美しさを感じさせられる美乳か…シチュエーションによって変わるかなぁ…?
- 25二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 17:09:47
エンヤ「こんな老いぼれの身体が欲しいって?」
エンヤ「好きにやっておしまいよ、あんた」
エンヤ「あんたの一本指様も興奮なさってるね…」 - 26二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 18:48:14
昨日別スレで見た完落ちミケラと反応がないからわからなくて満足してもらう為に限界状態のミケラを必死に攻めるモーグ概念が滅っっ茶苦茶気になってる
モーゴットが黄金樹大好きで尽くしてるのを見るにモーグも好きなもの(ミケラ)には尽くしそうなイメージがある - 27二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 20:17:25
ぜんっぜんネタが思いつかん………
主要キャラからネームド遺灰一通り出尽くしたからなぁ
なにか良いのないかしら
エロ系で過去作品のクロスとか? - 28二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 20:22:40
- 29二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 20:24:59
- 30二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 20:31:33
もう既に出たキャラでもいいから適当にアイデアを募って書いてみるのもいいかもね
- 31二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 20:37:53
男キャラ書いてもええんやで
- 32二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 21:07:00
ええ!? ガチ恋スカウト営業マンのヴァレーさんを書いていただけるんですか……!?(難聴)
- 33二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 21:08:48
ラティナは褪せ人としろがね人の復興を目指していけ
- 34二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 21:28:30
- 35二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 21:51:42
ラティナ(しろがね弓使い)と半身狼とのけものかん…
- 36二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 21:52:42
世界観崩壊注意。
- 37二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 21:52:52
─私、恋をしたらしい。
はぁ。返事ともため息とも取れる生返事をつくは、彼女の指巫女の代わりを務める霊体、メリナ。
向かって正面に佇み、メリナに語り掛ける褪せ人こそ、メリナにとっての主人となる女である。
彼女らは関門前の祝福で出逢い、互いの助けとなる誓約を交わし、今現在に至る。もっとも、メリナの方は先に目をかけていたのだが。
─…なんでそう、興味なさそうなの?
興味がない……というより、良く分からない。なぜ、そんな話を自分に持ち掛けるのか、そもそもそう言われてどう反応すればいいのか。
メリナは霊体である。霊体となってまで自分の使命を全うしようとするその目に迷いや淀みはない。何より、そういった俗世事にもとより疎いのだ。 - 38二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 21:53:16
─ふぅん。メリナは恋愛とか好きじゃないんだね。ま、それならそういう反応もしょうがないよ。
生きていた頃の記憶が曖昧であるなか、そのような知識を取り入れる必要性も暇もない。火の釜に辿り着くことが総てである。
だからと言って彼女を急かすつもりはない。いくら時間がかかってもいい、貴女のおかげでここまで来られているのだから。
しかし、その様な対応をされるといくら恩人であろうが気に障りはする。こちらだって彼女と同い年程である。
変に茶々を入れたのか、それとも天然でこの言い方なのかは判断に困るところではあるが、自分が気に食わないと感じたのは事実である。
──それは、どういう人なの?貴女が恋をするのなら、きっと大層な人なんだろうな。
人に嫌味を言う習慣がないメリナは自分なりに人の嫌がる言い方をしたつもりだ。ただ、それが万人に有効でないことは本人も重々承知である。ましてやこの褪せ人には。 - 39二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 21:53:32
─ふふんっ。いや、恋と言っても色々な人がいてね。
─まず、やっぱりブライヴ!!アレは本当にいい!狼の顔に大きい人型の躰という比重に加えて、身長も高いし声もまた格好いい!あの姿を見て一目ぼれしない女はいないね!
─その上、あの体躯に見合った大剣を振るう姿も惚れ惚れしちゃうし、それにあの剣は振るのに知力が必要なんだよ!力だけじゃなくて知性も感じさせるんだよねぇ…。ちゃんと強いし。
─あと、自分のお姉ちゃんのお願いを叶えようと奮闘する姿に母性をくすぐられるというか………。
矢継ぎ早に話すものだから勢いに気圧される。その人の魅力を宣したいのは伝わったが、こう早口で話されては頭に入れづらい。いや、宣したいのではなくただ喋りたいだけなのかも…。
メリナ自身問いただした身である故、傾聴する程度の筋を通す気概ではあった。だが、あまりにも気が遠い。「色々な人」という単語が信念を貫こうとする彼女の気を重くさせる。これが、まだいくつも続くのか……?
祝福の傍、ロア・レーズンを頬張るトレントの姿は、心なしか退屈そうに見えた。 - 40二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 21:58:23
続けるかもしれないし、続けないかもしれない
- 41二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 22:17:37
尊い…
- 42二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 23:31:18
レナラママって子供達の教育方針すごいよね
基本性格とかは良い感じに育っているというか
ライカードは行きすぎた正義感とかあるし、ラニも戦争起こす原因になったわけだけど、それでも独善的な悪にはなりきれてないというか
これで一つ書けそうだね - 43二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 23:48:10
素性じゃないけど、見た目のテンプレートに祖先がしろがね人らしい供述の人種がいたしもしかしたら……
- 44二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 23:55:26
トープス先生いいよね……
「……ふぅ」
リエーニエ、イリス教会。巨大な女神像の元、一人の男が机に向かいため息を着く。
禿頭の冴えない中年男性。
名を、トープスという。
「……はぁ」
机に迎えど手に持つ筆は一向に進まず、当然論文が進むはずもない。
彼は、行き詰まりを感じていた。あと一歩、そう、あと一歩でこの理論は完成する。そうすれば、私も。
しかし、そのあと一歩が遠い。
もしかしたら根本から間違いなのではないか。この理論は、完成などしないのではないか。
元来前向きとは言えない彼の性根が卑屈な考えを生み出し、
──先生
しかし、その声とともに霧消する。
(そうだ)
置きそうになってしまった筆を再び立て、少しづつではあるが進める。それは、決して好調などとは言えない遅々とした進みであり、
けれど、
(私は、先生、なのだからな)
彼の表情は、晴れやかだった。
彼の魔術師としての腕は、決して高くない。むしろ、低いといっていい。学院で学ぶ事すら許されず、最低限の知識しか持たぬ彼は、当然ながら人に教える腕前など持ち合わせてはいない。
あの日、“彼女”と出会うまでは。
ふいに、馬の蹄の音が聞こえてきた。しかし、普通の馬とは違い、どこか浮遊感のあるその音に、彼は心当たりを示す。書きかけの論文をしまい、代わりに魔術の基本書を持ち出す。そしてやって来るのは、彼の想像通り、
──先生、本日もご指導お願いします。
彼の、唯一の生徒であった。彼女の鈴の音のような声にトープスは言う。
「ああ、共に学ぼうじゃないか」
この時間だけは、論文の完成せぬ焦燥に襲われることなく穏やかな気持ちでいられた。 - 45二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 23:57:46
彼女は、きっと天才なのだろう。トープスは思う。魔術というのは、結局のところ才能だ。出来るものはできる。出来ないものはできない。ただ、それだけの話であり。
トープスは“出来ないもの”であり。彼女は、“出来るもの”だった。
彼が幾年もかけて学んだものを、彼女は数日でものにする。彼女を生徒として一月も経たないだろうが、既に彼女は魔術師としても、トープスよりも上にいた。彼はそんな彼女に対し嫉妬を覚える……ことは、なかった。
彼は知っているのだ。自らに才能がないことを。他者よりも劣っていることを。だからこそ、分からないのは、
──それでは、又の日にご指導、お願い致します。
どうして彼女は、自らよりも劣るものに対して、あんな艶やかな笑みを向けられるのだろうか。
ただ、それだけであった。
彼女が、彼の学園へと赴いたという。
「そ、それは本当かね!?」
──ふふ。先生、落ち着いてください
思わず滲みよってしまう彼を、変わらぬ穏やかな態度で制する褪せ人。その様子だけ見ればどちらが教える側なのか、分かるまい。
「あ、ああすまない。少し興奮してしまってな……そうか、そうなのか……!」
興奮収まらぬ、と言った様子のトープスを穏やかな表情で彼女は見つめていた。──そこに含まれた熱に、彼は気付かない。
「……な、なあ、君。もし、よければなんだが」
少しの思考の後、言い出しにくそうに言葉を発し、
「……い、いや、なんでもない。なんでもないんだ……」
しかし、最後まで発することは無かった。彼女は自らの脚で道を切り開き、学院へと辿り着いた。だから、“これ”はそんな彼女に対する侮辱だ。そう思い、
──これ、ですか?
話を切り替えようと開けた口が、彼女の差し出した“それ”を見た瞬間、言葉を発することなく開閉する。
「……そ、それ、は」
絞り出したその声は、震えていた。そう、彼女の差し出すそれこそ彼が長年追い求めていたもの。
学院への道標である、輝石鍵と呼ばれるものであった。
──学院の中で“偶然”拾いまして
──前々から興味があるとおっしゃっていたでしょう?
彼女の言葉がするりと耳から抜け落ちてゆく。それほどまでの衝撃であった。彼女は、変わらぬ穏やかな笑みで、言う。
──どうか、お受け取りくださいませんか?
──先生
彼は。
その手を、伸ばした。 - 46二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 23:58:38
「あ、あぁ」
レアルカリア学院。その一室、ではなく、その外。外気に晒されたそこにて、一人の褪せ人が踞る。
「ぅあ、ああ」
その周りには、夥しい程の死体の山が積まれていた。輝石頭を被ったその死体は、ここの生徒だった事を示している。そんな血の川の中で、
「あああぁぁぁ!!!」
少女の慟哭が、虚しく響き渡った。
背景、親愛なる君。
こうして文のために筆を摂ることは恥ずかしながら初めてなので、あまり笑わずに読んで欲しい。
さて、君のおかげでこの学院へと赴くことが出来た。まずは、それについて感謝を伝えたい。
ここの知識は膨大だ。私一人の力では至れなかったであろう場所に今、到達している。理論の完成まであと一歩、というところだ。
さて、ここからが本題だ。
この理論が完成した暁には、君に使用して欲しい。理論は使用者がいて初めて成り立つものだ。だからこそ、君の力無しでは成り立たなかったこれを、君に使って欲しいんだ。
まだ、こんな私を師と仰いでくれるのならば。
どうか、学院まで来て欲しい。
もちろん無理にとは言わない。君の旅を優先して欲しい。
また会えたその時は、きっと、君の先生としてふさわしい私になっているはずだから。
君の旅に、幸多からんことを。
敬具
その手紙は、多数の暴行の後が見られた彼の死体が大事に握りしめていた。
これだけは譲らないと、そう言わんばかりに。 - 47二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 23:59:09
彼女は彼の──トープスの死体を抱きしめながら、泣き喚く。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
口から出る言葉は、謝罪だった。
私が、鍵など渡さなければ。
でも、だけど。
彼に、喜んで欲しかった。
自信なさげな顔も好きだけれど、喜ぶ顔が、一番好きだったから。
──そう、そうだ。
私は、彼の事が、好きだったのだ。
切っ掛けなど、もう覚えていない。気がつけば好きになっていて、暇さえあれば彼の元へ赴いた。
悩ましげに机に向かう姿が好きだった。
授業の成果を披露する私を褒めてくれる姿が好きだった。
何もせず、2人でぼんやりする時間が好きだった。
でも、私が殺した。
「ごめん、なさい」
弱々しく跪くその姿は、悪鬼羅刹のごとく鏖殺を繰り広げた姿とはまるで異なっており、
まるで、悲恋に打ちのめされる乙女のようであった。 - 48二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 23:59:36
──これは、きっと罰なのだろう。
魔法で打たれ、杖で殴打され打ちのめされながら、トープスは思う。
──自分の力ではなく、人の力を使って知識を追い求めようとした、罰
手紙をしたため周りに気づかれぬよう教室の外に置かれた机から立った時、
襲撃、された。
何十もの生徒に囲まれ、蔑まれながら暴行を受けた。きっと、自分が気に入らないのだろう。余所者の、自分が。
──ああ、君
薄れゆく意識の中、しかし口汚く罵る彼らに恨みすら抱かず、彼はたった1人の生徒のことを思う。どこまでも美しく、嫋やかに、先生、と読んでくれる彼女のことを。
──君のおかげで、理論は完成したよ
──これで、ようやく
──君の先生として、胸を、張れる、だろうか
冷たい体となった彼は、それでも手紙と自らの論文を大事に抱え、
穏やかで、満足気な笑みを、浮かべていたという。 - 49二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 00:02:12
おかしい……俺はトープス先生×褪せ人ちゃんのイチャラブSSを書いていたはずなのに……おのれ黄金律め
- 50二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 00:06:56
このレスは削除されています
- 51二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 00:10:35
力場上方修正記念かな
トープス大先生好きだから良いものを見られた
こういうのがいたんだよ こういうのが - 52二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 00:55:29
トープスの力場は説明文通りなら後の世に残って評価されてるっぽいのがいいよね…
今作は初見星見で始めたからだろうけど魔術師NPC全員星の探究って同じ志みたいな感じでいいわ
セルブスとロジェールはいつの間にか死んでたけど… - 53二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 07:41:15
せつねぇ…
- 54二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 11:58:51
このレスは削除されています
- 55二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 16:07:26
- 56二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 17:35:49
セレンばっかり触手の被害に遭ってるけど、ミリセントも適正高くないか?
以下適性が高いと判断した理由
・気高いタイプを触手の快楽で堕とす楽しみがある。
・義手が外れるとかで奪われてピンチみたいな感じで導入しやすい。
・可愛いからもっとエッチなss増えて欲しい。 - 57二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 17:38:08
- 58二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 18:02:02
- 59二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 18:06:06
- 60二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 18:10:24
根を詰めて研究して力場完成と共に精魂使い果たして力尽きたって解釈してる
- 61二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 18:13:33
まさかラニも自分の母に寝取られるとは思うまい
- 62二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 18:19:00
はい気高き夜案件
- 63二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 18:20:06
エッッッッッッ
- 64二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 18:20:09
ラニから貰った指輪を母親の方に渡すとかいう脳破壊行為
- 65二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 18:35:46
ラニは一回ガチめにヘラるけどまぁママのこと幸せにしてくれるなら…って想いで開き直りそう
- 66二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 19:18:40
- 67二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 19:33:54
これが執筆されればゴドリック,モーゴットの三大おじさんのコンプリートかぁ…
- 68二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 19:36:30
- 69二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 19:54:23
- 70二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 19:57:28
ごめん流石に女体化は好きなキャラ全否定されたみたいで複雑だわ
- 71二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 20:40:27
お前、宇宙について考えたことはあるか?
……ない、か。そんなの1ルーン程の興味もない、そんな顔をしているな。魔法を使う性でもないようだし。
ブライヴみたいなでかい得物を背負っているところしか見たことがない。まるで無縁だろ。
ふふっ、そんなにむくれるな。別に悪いことだとは思っていない。お前はお前の得意なことをすればいい。私がそうであるように。
…話が逸れたな。そう、宇宙についてだ。
レアルカリアを歩き回ったお前なら既に承知の上だろうが、極めて簡単に説明しておく。
平たく言うと、宇宙、主に星の動きから観察することだ。細かく説明すれば違うのだが、まぁさして隔たりはない。
魔術師は皆ここからなのだ。学院を通っているにせよ、独学にせよ、星がなければ話にならない。私の暗月だってそうだろう?基本は常に寄り添うものだ。
で、宇宙について。宇宙はどこにあると思う?そう、空だ。宇宙は空にある。そんなの、赤子だって知っていることだ。
だが、もし人の手からそんな知識が消えたらどうする?言っておくが、常識として回っているようで、本来知りえることではない。これが発見されたのは学院発足のほんの少し前なのだぞ? - 72二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 20:40:48
私が“夜の律”を背負う理由の内一つだ。この世界から宇宙という知識を消し、魔法というものが綺麗さっぱりなくなれば平和になるのではないか、と。
その知識も、それで得た経験や学びは重要だ。別にそれがない世界でも学べることはある。
今まで当たり前だったことを変えるというのは、とても恐ろしいことだ。そんな世界に自分だけ残るつもりだったんだ……。お前が現れるまではな。
狭間の地には奇特そのものと言える化け物が多くいた。お前も戦ったと思う。アステール、降る星なんかだな。
あいつらも私でさえまだまだ謎足りえる異形だ。どういう世界にいたのか、どのような目的なのか、そもそも人格と言えるものがあるのか……。
だが、案外利用するに足りるかもしれん。やつらだって生物なのは間違いない。もし、あいつらの生態系を見つけて習性なんかを使用すればさっき言った世界を革新させやすくなるんじゃないか?
魔法が消えさり、人以外にも別の存在が闊歩し、そいつらが統治するようになれば……。 - 73二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 20:41:32
ああ。独りで盛り上がっていたな、すまん。……この人形の身体だって、まだ試行錯誤の段階だ。
工夫を重ねれば、元の身体でできなかったことだって可能になるだろう。その時は、お前の子を産んでもらうぞ………?ふふっ。冗談だ。
だが、そんな環境下で産まれた子がヒトになれるかどうかも謎だな。案外この肌に見合った青白い赤子……いや、逆に赤黒くなったりして?
………なぁ、お前はどう思う? というより、お前はどうしたい?
私は自分のやりたいことが定まっているつもりだが、伴侶であるお前ももちろん自由だからな。この孤独な世界の我が王よ。
…な、なにを言っている……!?私と一緒に居られれば、なんて………。
うん、そうだな。私も、なんにせよお前と一緒に居られれば良い。本来孤独だった我が身なのだから、お前が、今の私に一番必要なものだよ。
と、というか、まだ着かないのか?あの月には。
──人形の身体では、血も涙も流れるはずはない。だが、暗月の魔女ラニが完成させたその躯は違う。
何の技術を以て造られたか、故に得体はしれぬものだ。時に、褪せ人はそれを“青ざめた血”と呼ぶ── - 74二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 22:36:15
エムデンリングじゃん
- 75二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 23:31:19
悪夢は巡り終わらないものだろう…
- 76二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 09:39:33
このレスは削除されています
- 77二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 19:44:00
まずい保守
書いてる途中なのにオチたらやだよ…… - 78二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 20:46:54
危ないねぇ、自分もだけど金土日はやること多くて結構人少なくなるから気をつけるか
- 79二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 21:33:11
まぁオチても最悪立て直せばいいし……
というか今平日でも勢い弱いもんなぁ - 80二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 21:54:08
ぶっちゃけ少数でなんとか維持してるような状態だし、無理に保守せずに落ちたら落ちたで仕方ないの精神でいた方がいいね。
- 81二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 22:30:09
以下捏造注意
- 82二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 22:30:25
──来たるケイリッド侵攻の折、敵軍の本拠地である赤獅子城に到達。
斥候兵が先んじて突入し、合図を見てから別働隊と我々本隊で二手に回り制圧する。
筈だった。狼煙が上がり、突入を開始するも、どこからか射たれた矢が兵士を貫く。そこまでは順調だった。
奴の周りを赤獅子兵が取り囲んでいる。その周囲を貴腐騎士や聖樹の亡骸が転がっている。
なるほど。手練れ共を鍛え上げたか……オウガ!!
─…ハハッ、久しぶりだな、フィンレイ!
あいつだけは、生かしてはおくまい。あの男だけは……!!
無我夢中であの男に光輪を飛ばす。こんな振るう姿剥き出しで当たるなんて思っていない。それでも、奔る気持ちを抑えつけられなかった。
即、弓を番えては迫りくる光輪を打ち落とすその姿は、やはり弓の名手か…。
─はぁ…、フィンレイ。そんな大振りじゃ、打ち落とすまでもなかったか?
─やかましい!ラダーン諸共、お前も葬ってくれる!! - 83二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 22:30:56
懐かしい立ち姿だ。またいつか会うとは思っていたが、やはりこんな形とはな。あいつ、俺を見かけてすぐ憤りをみせやがった……、当然か。だって俺は……。
戦の真只中というのに無関係の物事を想起するは、己とその隊における自信の表れか。オウガは剣を振るいながらも考えに耽る。
我が赤獅子が劣っているとは思わん。だが、外壁や屋根上に幾多もの弓兵を待機させているというのに奴ら、以外にも伸されない。
射貫かれる者こそおれど、奴らが振るう槍で弾き、鎌で光輪を投げては尽く遠くに当てやがる。過言ではなく、一人一人が熟達の兵士だ。
フィンレイ、お前もやるじゃないか。伊達に長く…騎士を勤めているだけのことはある。
ほう、向かってくるか、フィンレイ。良いさ、受けて立つ!お前の鎌を!
オウガとフィンレイは旧友であった。殊に互いが小さき頃からの幼友達である。遊びあった仲から、共に勉学に励み、終ぞ同じ兵士の道を歩んだ好一対であった。尤も、それが袂を分かつ理由である。
二人は、仲が良かった。良すぎたのだ。男女の間にあった友情は、だがそれ以上のものに為り変った。互いが予期せずに。主が違っては、逢瀬を重ねることなど許されない。
オウガはそれを見越して自ら彼女に切り出したのだ。もし、相対したとしても後腐れなく刃を交えられるよう。 - 84二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 22:31:30
しかし、フィンレイは違った。仕える者が違えど、何もこの仲を引き裂くことはない。このまま隠れて続けていても良かったのに。
あいつに別れを告げられるまで、そう思っていた。感情的になってはこの仲が悪くなるだけだ。彼の心意気を理解していても、彼女の憎悪は留まることを知らなかった。
─それで終いか、オウガ!!あんな男のもとに仕えて魔術ばかり学んでいたから鈍ったのか!?
─お前こそ、変な飛び道具ばかりで膂力が感じられん!!
嫌いなわけではない。ただ、どうしても繋がれないのだ。オウガだって、本当はそのつもりだった。彼女と一緒に、どこか遠くへ。互いの君主が関わらない中立の者など、この狭間の地には存在しない。
だから、“外”に出ることだって考えた。武器を持つ以外に能が無いわけではない、きっと平和な地でもやっていける………
─ふんっ!ミケラ様の光輪にこそ力は必要だ!見誤るなよ、この技を!!
─それなら、俺だって机に向かってばかりだったわけじゃねぇ!サリアの弓、舐めるな!!
…だが、自分は弱かった。主君であり、僭越ながら友とも呼べるあの人を見捨てられなかった。それは、彼女も同じだろう。
我が君と同じくマレニア女公もよくできた主なのだ、彼女だって見捨てられない筈だと推論を並べては逃げてしまった。俺は、紛うことなく彼女を捨てた臆病者なのだ。
そりゃ、恨んでしまうのも当たり前だ。……お前がそこまで俺を殺したい一心で向かってくるのなら、俺も全力で相手をしなければ。 - 85二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 22:32:12
鍔迫り合いの鋭い音が交差する。城には、もう二人以外に兵士は残っていない。
それでも、戦場に疾るただ二つの雌雄は意に介さない。いや、気づいていないのだ。一対一の、この状況を。
騎士としての矜持を持ち合わせつつも、赤獅子と貴腐はそこにはいない。ただ、ぶつかり合う男と女の姿でしかなかった。
──ああ、なんて楽しいんだろう こんな気持ちは久しぶりだ 思い出すな、あの頃を
──確かに ただ強くなりたい一心で、ただひたすらお前と稽古を続けていた ……勉強も怠ってな
──ハハハッ! 怒られようが気にせず、ずっと剣を交えていた ………同じだ、あの時と
これこそが、二人の本来あるべき姿なのだろう。ただの友人として、戯れはしない。ただの恋人として、同衾するわけじゃない。
戦いこそが、オウガとフィンレイという二人の騎士の有り様なのだ。
─いくぞ!フィンレイ!! これが俺の、全力の矢雨だ!!
─私は逃げない! 全力を以て、受け止めてやろう!! - 86二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 22:32:29
─……はははっ。やっぱり強いな、お前。不敗の女神のもとにいるだけある…うぅ……。
─もういい! もう、喋るな……。黙ったまま、逝ってくれ……。
天を仰ぎながら横たわったオウガは、ずっと無駄口を叩き続けている。やめてくれ。そんなに、その声を聞かせないでくれ。これでは、悔いてしまうじゃないか。
─懐かしいよ…。こうやって、俺が負けた時も、お前が渇を入れてな。…おいおい、敵がやられてる様を見て、泪なんて流すなよ……。
─……酷いよ。最後まで、そうやって思い出ばかり語って………。
─そりゃあ、お前と話せる最後の機会だものな……。なぁ、顔、見せてくれないか? ついでに、俺のも…。
私は黙ったままお互いの兜を取り外す。いくら瀕死の身とは言え、敵に急所を晒すのは愚行だ。…もう、愚行なら犯してる。
彼が無理矢理身体を起こしては私の頬を摩る。鉄が冷たい。血が生臭い。なのに、彼の手甲から伝わるそれは温かかった。唇が重なり合う。切れているから、血をもろに味わう。苦い。すごく、苦かった。
─…へへっ。最後にキス、もらっちまったな。
─……言っておくが、私はあの時のことを許していない。お前が逃げたことを、死ぬまで忘れるつもりはないからな。
─…それで良い。そしたら、あの世で懺悔するさ。その時は、お前が容赦を………。 - 87二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 22:33:16
……マレニア様のご様子はどうなのだろう。今、ここにはもう私しかいない。主を疑うわけではないが、かの星砕きのラダーンだ。
最強のデミゴッド…。あいつが着いていった英雄なのだ。もしものことを思うと、脚がすくむ。
あの方は、何があっても救い出す。見捨ててはならない。ずっと、死ぬまで、貫き通すんだ。
かつて、お前がそうしたようにな。 - 88二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 22:51:51
このレスは削除されています
- 89二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 23:13:39
オウガ×フィンレイいいじゃない...
- 90二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 23:48:07
バッドエンドばかりだ……
- 91二次元好きの匿名さん22/04/23(土) 05:19:12
劣情スレか…ふへへ…と思ってきてが浄化される作品が多くて…俺は…ビックリした…
- 92二次元好きの匿名さん22/04/23(土) 05:35:33
- 93二次元好きの匿名さん22/04/23(土) 06:11:22
ふぅん 賢者タイムということか
- 94二次元好きの匿名さん22/04/23(土) 16:16:10
未だに劣情マシマシで書いてるから浄化されそうで困る困らない
- 95二次元好きの匿名さん22/04/23(土) 22:38:08エルデンリング 劣情スレ 5|あにまん掲示板男女問わず、エルデンリングのいろいろなキャラのシチュエーションを楽しむスレです。思い付いたSSやシチュエーション、キャラ同士の絡み、本編考察などなど気軽に話してって下さい。次スレは>>19…bbs.animanch.com
の44と68、その他不特定多数の世界観をお借りします。
世界観崩壊、ファルム・アズラ時空注意。
- 96二次元好きの匿名さん22/04/23(土) 22:38:35
─どうして、家族なんだろう。どうして、兄妹なんだろう。どうして、僕は……。
我が妹に、不義な感情を持ち合わせている自分がいた。だめだ。自分らは家族なんだ。そんなこと、思ってはいけない。
なのに、抑えつけようとするのを無視して膨れては自らの腕から弾け飛んでいくその劣情が日増しに大きくなっていくのを深く感じさせられる。
あの時、あの子に針をあげてから心底嬉しそうに自分にお礼を言い、それからあの子が健やかに成長して、自分よりも大きくなった身であるにも拘らず、兄と敬い接してくれる君がいた。
前に一緒に入浴した時のことを覚えている。あの時は何の問題もなかった。だって、親しい妹背の間だったから。
だけど、欠けた右腕が目立つその大人の女性の裸体は、うっとりするほど美しく、下半身に嫌な感触が響いてしまったのだ。そこから、今に至る。
隠れて自室でその穢れを慰めても、それは留まることを知らなかった。何をしていようがすぐに耽っては発散する毎日の繰り返しで、彼女への想いは募るばかりだった。
この間柄だ。絶対に許されることではない。大いなる意志はもちろん、部下も、民衆も………あの子も、認めはしないだろう。
それでも、伝えよう。兄妹なんて、知ったことじゃない。大いなる意志は、黄金樹は腐敗を完全に治してはくれなかった。
そんな者に付き従うことはない。部下や民衆だって、真摯に話せば分かってくれるはずだ。だから、彼女に伝えよう。
─兄さま、私をお呼びになって、どうしたのですか?
来てくれた。もう、今しかない。この言葉をぶつけるのは。
──マレニア! ずっと想っていたことがある!! 僕は、君のことがーーーーーーー - 97二次元好きの匿名さん22/04/23(土) 22:38:54
─この先、幸せがあるぞ
─いや、自分で幸せって言わないでほしいんだけど………。
己が書いた散文の自賛に一刺しが入る。
今、この狭間の地では官能小説というものが大いに賑わいを見せている。一人の褪せ人と魔女の絡み合いが主題のものだ。……なにか既視感を覚える内容だが、まぁそんなわけがない。
それはそれとして、これが元凶なのかは分からないが、他にもこの様な官能小説を書くものが次第に現れ始める。雑多だが、デミゴッドや先程のそれとは別の魔女が主題の者が多かったりする。
そこで、ここぞとばかりに自分も筆を走らせてみた。この環境で一山あてれば、ルーンだって何もせずに入ってくる。もうカエルやカラスを狩るのはごめんだ。
ただ、このようなものを書くのは初めてであり不慣れなため、主題となった二人と縁のある四人にお越しいただき、執筆した内の数頁を見せつけた。
ミリセント、賢者ゴーリー。白面のヴァレーに血の君主、モーグ………。主題の二人に少なからず影響のある者たちだ。
全員から主題にした理由を聞かれたが、あまり浸透していないからである。競合相手が少ないのに越したことはない。 - 98二次元好きの匿名さん22/04/23(土) 22:39:10
─感想を述べればいいのですかね?……いや、マレニア様の描写が少なすぎるのでなんとも…。
─…同じく。この内容であれば私たちを呼ばなくてもよかったんじゃ……。
マレニアに関連した二人から期待外れといった所見をもらう。間違えた、別の頁も持ってくればよかったか。
─ですが、その分ミケラ様の心情は事細かに描かれていますから、そこは評価点ではありませんかね。モーグ様は、どうお思いでしょうか?
ヴァレーの心遣い溢れる感想に思わず笑みがこぼれそうになる。まずい。こいつがそんなことを思っているわけがないのに。それでも嬉しくなってしまう。
─…………………………………………褪せ人よ、一つ聞くが良いか?
長らく沈黙を保ったままのモーグが口を開ける。重く圧し掛かるような厚みのある声に一瞬身震いを起こすが、すぐに答弁を返す。
─………………………10,000,000ルーンまで出してやる、私に専売しろ。 - 99二次元好きの匿名さん22/04/23(土) 22:39:27
その後は気が楽だった。
恐らく白面の下で二重に顔面を蒼白させているであろう、必死に思い留まらせようとするヴァレーと、無理をしてでも買いたいというモーグの言い争いが巻き起こっていた。
ミリセントとゴーリーの方は、マレニアの描写を濃く描けば購入を検討してくれるらしい。約束を交えた後、王朝勢の二人を尻目に解散した。
一千万だと?安い、安い。この状況でそれだけ手に入れてしまったら、ある種のチャンスを逃すことになるだろう。
それに、あのミケラ狂いのモーグがそれほどの価値をつけるのだ。他のミケラ愛好者たちが見たらそれなりに手を出されること確実だ。
尤も、そんな輩が君主以外にいるかは不明ないし、あいつだけが異常で過剰な額を持ち掛けただけなのかもしれないが……。
まぁ、とりあえず出版してみよう。駄目だったら駄目でまた新しく書いてみればいい。書いてみるのも意外とつまらなくはなかったし。 - 100二次元好きの匿名さん22/04/23(土) 22:39:43
─…ついに、ついに手に入れたぞ!なかなか出回ることがなかった、妹本!!
俗世間の間で大流行を見せているという官能小説。それが、今自分の手元にある。
大変だった。自分で言うのは憚られるが、デミゴッド…ましてや神人である立場だから民衆の物はなかなか見ることができない。
しかし、その手の物に詳しい聖樹騎士の一人に密かに懇願して、今こうやって表紙を目の当たりにしているというわけだ。孰れあの騎士に、褒章を授けなければいけないな。
喉から手が出るほど欲していた理由だが、この本の主題の人物は愛する妹であるマレニアなのだ。なかなか書かれることはなかったらしい。不思議だ。あの子こそ、いの一番に書かれてもいいのに……。
まぁでも、流行りの最中に出遅れずに読めたのだからそこは良しとしよう!さて、早速頁を………………え?ど、どういうことなんだ?
─なんで、僕がマレニアに抱いていた感情がそのまま載っているんだ…………?
──時を同じくして、不敗の女神の自室から、黄色い絶叫が間を持たせずにあがっていたという。 - 101二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 00:28:25
エミュ精度が高すぎてそこまで……
- 102二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 01:37:24
初心に帰ってセレン師匠SS。
『セルブスの手によって研究一筋だったセレン師匠が肉体を取り戻した途端快楽に身を投じ研究も手につかなくなる程の肉体的欲求に抗えず褪せ人を襲い以降退廃的なセッ!!に勤しむ教』に属していましたがこの度指様の導きに応じ、『知識も経験もあるセレン師匠が初めて愛のあるセッ!!を褪せ人君と行い今までの違いに困惑しつつもドロドロに堕ちていく姿が見たい教』に属することとなりました。
ああ、どうしてこうなったのか。ぼんやりとした頭で魔術師セレンは考える。場所はリムグレイブ。かつて肉体を囚われている間精神が囚われたあの宿場跡。唯一にして無二の弟子と出会ったあの場所だ。そこで、私は、
「……っ、んっ!」
──ここがきもちいいんですね、師匠
彼に、我が弟子に、抱かれていた。
切っ掛けは、今この肉体を手に入れたことだ。新しい肉体を手にした私は、弟子に言った。
『ああ、ありがとう。我が弟子よ』
『全く、お前には感謝してもしきれない』
『……ふむ、そうだな』
『私に出来ることならば、“なんだって”しよう。ふふ、この私を好きに使えるのだ。こんな機会、そうそう無いぞ?我が弟子よ』
まあ、正直浮かれていたところは十全にあろう。しかし、吐いた言葉は戻らない。
──なんでもいいんですね?師匠
──ならば、
だから、その願いを。
抱かせて欲しいというその言葉を、無下にはできなかったのだ。 - 103二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 01:37:54
とはいえ、嫌悪感はそれほどなかった。彼を男性として好意を抱いている、訳では無い。勿論弟子として、人間として大いに敬愛してはいるが、既に私は魔術の道に身を投じている。故に、他人を“そういった”目で見ることは無かったし“そういった”感情を向けることもなかった。
只、少し落胆したことは覚えている。
ああ、君も。
学院にいた奴らと、一緒なのか、と。
あそこには、同じ道を志しているのか分からぬ下郎が多く、その下郎に下劣な視線を向けられることも少なくなく、
時には、体も許した。
全ては、研究のために。
それに加え記憶のない恥辱を、何故だかこの肉体は覚えていた。きっとあの人形狂いの仕業なのだろう。
だからこそ、性交は私にとっては生命の育みなどという尊いものではなく、単なる手段に過ぎなかったのだ。あの学院で、確かな地位を手に入れるための。
そんな過去があったからこそ、彼の願いも理解出来た。彼もまた男性であり、この体に欲情していたのだ。まあ、この体ごときで満足してくれるのならば、それでいい。落胆はしたものの、それでも彼は大切な一人弟子だ。
そもそも、この肉体は彼が見付け、提供してくれたものなのだから好きにする権利は彼にあろう。ならば、これからも彼が欲するのならばいくらでも抱かれてやろうか、と。
その時はそう、思っていた。 - 104二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 01:38:18
「んっ、はぁっ」
──ここ、ですか?
違った。全てが違っていた。あの学院で行われた交わりは、下郎共が満足するためのそれで、
「は、あぁっ!」
──ああ、達しましたね、師匠
ならば、これは、なんなのだろうか。我が弟子は、事が始まって以降、私に対する愛撫に徹している。こんなこと、今までされたことがなかった。
あの時は、無遠慮に挿入れられるだけで、奴らが腰を振り、私の中にけがわらしい精をぶちまけ、終わる。たったそれだけだったはずなのに。
──それじゃ、もう1回やりましょうか
「……っ、ま、まて」
もう、四回目。そう、事が始まってから私はもう四回も果てたのだ。その間、彼は当然1度も自らの精を発散させることは無かった。それは、彼の股座。主張激しくさせる陰茎が語っている。
──待ちません、俺が好きにやっているんですから
それでも、私に対する愛撫をやめない。
「は、ん、くぅん」
自慰など行なったこともなく、快楽への耐性が低いこの肉体は彼の指を享受する。秘部を掻き分け、一番気持ちの良いところを。私自身ですら知らないそこを、執拗に責め立てる。
「っは、ま、まて、まってくれ!」
必死に抵抗しようとしても、この四回の合間にすっかりと快楽を教えこまれたこの肉体は、
「んっ、んんんっっ!!」
あっさりと、五回目の絶頂を迎える。全身に甘い痺れが伝わり、勝手に身体を仰け反らせる。秘部からは愛液が零れ、潮を吹き出し、彼の手を汚す。しかし彼は気にした様子もなく。
──おお、今回は派手に果てましたね
なんて、おどけた様子で言う。そして、
──さて、次ですよ師匠
悪魔のような囁きを、呟いた。 - 105二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 01:38:40
「はっ、はっ、はぁっ……」
もう、何度達しただろうか。秘部では飽き足らず、私の胸をも攻略した彼に対する抵抗手段は持ち合わせておらず、もたらされる快楽に身を任せるしか無かった。身を包むのは蕩けるような快楽。
今まで行為によって齎されるのは苦痛と屈辱のみだった。だが、それだからこそ我慢さえすれば過ぎ去るものだった。
だが、これは。
違った。違ったのだ、これは。
私を苛むものでなく、私の知らぬ快楽をもたらすそれを、
私は、知らなかったのだ。
──師匠
彼の、声が聞こえる。ふわふわとした思考はそれを朧気に知覚する。しかし私の喉からはまともな声が発せられることはなく、喘ぎ声のみが漏れる。そんな惨めな私の姿を見て、彼は、
──もう、大丈夫でしょうか
その男根を、露出させた。
「っう、ぁ」
それは、今まで見たどれよりも長く、太く、精の匂いを発しており、
私の、ナニかが反応した。その反応は下腹部から来ており、先程まであれ程絶頂を迎えたというのに再び体に熱が篭もる。
「っは、はっ、はっ」
息が、漏れる。それは、まるで獣のようで。
──師匠
声が。
──いきますよ - 106二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 01:40:21
「んっ、っっっ!!!」
入ってくる。彼のが、私の、奥まで。
「んっ、あっ、はぁっ!」
これ、は。なんだ、分からない。分からない分からないわからない。
気持ちがいい。
彼のそれが私の奥底を突き、幾度も攻め立てる。その行為自体は嘗てと同様で。
しかし、わたしは、これを、しらない。
わかる。私の体が、彼を欲している。理性ではなく本能で、既に屈した肉体が、彼に責められることを悦んでいる。
ほしい、もっとほしい。
「っ、あ、はっ、──」
呼ぶ、名を呼ぶ。
彼の。
我が弟子の。
愛しい、君の。
「──、──!──!!」
1度漏れ出た言葉は止まらない。連呼する。名を呼ぶ度に私の体が熱くなる。“何故か”あれ程力の抜けていた四肢が動き、彼の肉体に組み付く。まるで離さないと言わんばかりに、
──っ!し、しょう!
そんな私の行動に彼は腰の動きを早め、
「─ん、んっ!」
唇を、重ねてきた。ああ、甘い。なんて、なんて甘い。
「ん、んんっ、ふっ、んんんっ!」
重ね、互いの唇を貪り、舌が交わる。唾液どうしを交換し合う。 - 107二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 01:40:45
あ、くる。
まずい、これは、まずい。
きっと、これにながされたら。
わたしは、だめになる。
分かっている。分かっているのに、辞めることは出来ない。息も絶え絶えになりながら唇を交わし、彼の腰に合わせ私も腰を振る。もしかしたら、私の動きの方が激しいのかもしれない。
ああ、でも、そんなこと。
どうでもいい。
きた。
「───」
しびれる。
なにもかんがえられない。
きもちいい。
あ、どうしてくちうごかないの。
「──ん、っ」
ちからがはいらない。
きみにもたれかかる。
きみは、あぶなげなくわたしをうけとめた。
「──ん、ふぅっ、っ」
なんだか、それがとてもうれしくて、ひっしでかれのくちびるをはむ。
あ、また、おおきく。
──師匠。
もっと、もっと。
ゆるやかに、こしをふる。
ひきかけていた、ねつが。
──師匠っ!
「ん、っふぅっ!」
ああ。
そうか。
これが── - 108二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 01:41:16
──本当に良かったんですか?師匠
「……む、まだ言うか我が弟子よ」
今、私たちのいる場所はあの学院の図書室……では無く。
見渡すばかりの草原。
リムグレイブの地に、私達は立っていた。
──ですが、師匠の願いは……
「全く、お前も存外執拗いな」
彼は、私の為にレアルカリアの元最高師範であるルーサット師の遺した知識を手に入れていた。……私が言ったこととはいえ、そこまでするとは流石の私も思っていなかったのだが、それはともかく。
私は、その知識を受け取ることをしなかった。
それは結果として私の悲願を遠ざけることにもなるが、
──それで、構わなかった。
「ああ、いいのだよ。それで。」
不思議そうに小首を傾げる弟子の姿が可笑しくて、輝石頭の下で薄く微笑む。
……と、しまった。
今の私は、輝石頭を被っていないのであった。
かつての学院での立場の証は、あの図書室に、置いてきたのだ。
つまり、今の表情は奴に筒抜けであり……
「あ、あまり見るな!くっ、なんだその笑みは!」
──私はきっと、碌な死に方をしないだろう。生を冒涜し、それを良しとしている、外道なのだから。
それでも、
「さあ、行こうか。我が弟子よ」
──私は、幸せというものを、知ってしまった。
──ああ、なんて滑稽なのだろうか。
──こんな無知の身で、源流に近付こうなどとは。
「……私達の授業は、これからなのだから」
──だから、これから知っていこう。私に無知を教えてくれた、彼と共に。
──死ぬのはきっと、その後でも遅くはない。
流れる風。揺れる草原。
知の宝庫である図書室でも知りえなかった景色を眺め、私達は1歩を踏み出した。 - 109二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 08:31:04
愛を知る故に禁域への道を閉ざすっていうのはやっぱり良いと思います!
- 110二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 13:18:08
So so good!!
- 111二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 14:33:33
綺麗な終わり方だあ
- 112二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 22:01:15
レベル高いなあ、もっと賑わえ……
- 113二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 22:33:08
─えへへ~~、ヒューグさま~♪
…事の発端はこうだ。どうやらあいつが、あの褪せ人が“サムライ”とされる敵と相対したらしい。
奇特な鎧を身に纏った霊体を打ち破った折に変わった酒を手に入れたそうだ。
それを折角だからと、自分と縁のある者どもに振舞ったようだ。ギデオンの爺、エンヤなどがいれば。知らぬ名も聞いた。円卓の外のやつらだろうか。
…それが何を思ったか、ローデリカが口に含んだらしい。ほんの、上澄み程度の量を試しにと吸い込んだだけだ。
慣れていなかったのだろう。おずおずとし、誰にも内面をひけらかさないよう努めていたあの少女が、顔を真っ赤にして隣におる。
─ねぇ、ヒューグさまも飲みましょうよ~♪楽しいですよ~?
─飲まん。儂のやることは武器を打つことだけだ。それと邪魔だから離れろ、鎚がお前に当たる。
自分も注がれた杯をあの褪せ人に渡されたが、遠慮した。もしそれで酔いが回り、不調法であの方の怒りにでも触れたら大変だ。祈る時間が大いに増える。 - 114二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 22:33:39
─え~、心配してくれてるんですかぁ?えへへ、嬉しく存じます♪
─とはいえ、ヒューグさまは私に調霊の法を授けてくれたじゃないですか♪それなのに、自分のやることは鍛冶だけぇ?
─都合が良すぎですぅ!というか、わたしのさけがのめないっていうんですかぁ??そんなの、いくらひゅーぐさまでも………
ええい、まどろっこしい。お前はそんなに反論したり面倒なことを言う奴だったか?……いや、別に自分はローデリカの何を知っているというわけではないが…。
とにかく、本当に邪魔なのだ。一旦石槌を置き、離れるよう語気を強くして言ってやる。ああ、そうとも。打ってしまいそうで危なっかしくてしょうがないのだ、お前が。
……なんだ?散々口喧しく小言を放ったかと思えば、今度は安らかな寝息を立てて眠りにつくのか、この娘は。妙齢の娘が、こんなジジイに寄りかかるな。
はぁ、心労がたたるわ。こんなにすぐに寝てしまうとは、流石に弱すぎる。そもそも、こいつに飲ませたあいつが悪いのだ。次に姿を見せたらしかと言ってやろう。
─……ヒューグ様、自分を労わってください………。あなたのそのお姿を見ていると辛いのです……。
─お慕いしております………、ずっと、元気でいてください……。 - 115二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 22:34:22
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- 116二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 22:35:45
二の腕に寄りかかる顔から辛うじて聞こえる寝言が耳を這うように聞こえてくる。なんだかこそばゆくなり気持ちが落ち着かない。
気を紛らわせようとも腕はこの通りふさがっている。どうしたものかと思い辺りを見回すと、ローデリカが押し付けていた杯が置かれているのを見つける。
……所詮、この程度の量の酒だ。遠い昔の記憶だが、そこまで酔いが早く回るような性分でもなかった。問題はない。
一息にあおる。……これは、キツいな。不慣れであれば回るのが速くてもしょうがない。それにしてもこれは下戸がすぎるが……。
彼女の金色の頭を撫でてみる。……この娘は、こんな地に居なくていい。さっさと“外”の世界に帰ればよいのだ。
それでも、円卓に留まるは自分の使命故なのだろう。それなら、一層この娘には調霊を頑張ってもらわねばならん。起きたら、また基礎から叩き込んでやろう。
手を下ろした鍛冶師は、そのまま彼女の頭にもつれるように、深い眠りに堕ちていった。
“どぶろく”
──葦の地で比較的容易に手に入る白く濁った酒の入った徳利
濁り酒は、実に芳醇である 一方、悪酔いしやすいことでも知られる── - 117二次元好きの匿名さん22/04/25(月) 00:08:00
まごおじてぇてぇ
- 118二次元好きの匿名さん22/04/25(月) 07:50:08
凄い好き
めっちゃほっこりした - 119二次元好きの匿名さん22/04/25(月) 16:59:25
ネタが思いつかないならしょうがないけど、文章に自信がないという理由で書かないのはもったいないなぁ
色々な人の書いた劣情デンリンを読みたいわ - 120二次元好きの匿名さん22/04/25(月) 21:57:35
書きたいネタはあるので一度保守
- 121二次元好きの匿名さん22/04/25(月) 22:28:26
ラティナとの話を書いてみたいけど見返してみたら思った以上に絡みが薄い……いや会話もできない遺灰で話書いてる人もいるし幾らで盛りようはあるんだけど、こんなにか
- 122二次元好きの匿名さん22/04/25(月) 22:43:54
ティシーや傀儡みたいに全くセリフがないキャラだと寧ろキャラ付けとか好きに作りやすいんだよな
フィンレイオウガとかも破砕戦争の物語とかに寄せてるからそれっぽいのがいけるし
ただラティナはなぁ…
しろがね自体がよく分からない種族だし、そもそも普通にキャラが薄いし、大きい妹も使いやすそうでそうでもないのが…… - 123二次元好きの匿名さん22/04/25(月) 23:36:25
今思いついてるネタで書くと>>66になるんだよなあ…
まあモーグのエミュわからんからやらんけど
- 124二次元好きの匿名さん22/04/25(月) 23:48:20
このレスは削除されています
- 125二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 10:54:08
いい…
- 126二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 21:31:09
霊クラゲのクララちゃんかわいいよね
最初あのイベント見た時泣けた。そのあと+10にしたわ。性能もいいしちょっと光ってるから明るい - 127二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 22:09:09
─…俺の話を聞きたい? いや、特に話せることなんてないが…。
─えぇ~、嘘だ!そんなピカピカな鎧を着ているんだ!ディアロスさんの戦士としての冒険譚ぐらい、あるはずだよ。
困ったな…。上等なのはこのホスロー家の鎧だけで、人に言える語り草なんて誇張は抜きに、何一つないんだが……。
兄の話でもしようか?…いや、よくよく考えれば私は兄の偉業をよく理解していない。凱旋して家族に簡単な感想を述べるだけでそれ以上を聞いたことがない。兄は多くを語らないのだ。それが誇りであるはずなのに。
それじゃあ、あの褪せ人か?……いやいや、更に知らない。私はあの人のことを。火山館では凄まじい功績を残しているはずだ。タニス殿もお認めになっているのがひしひしと伝わる。だが、どんな者を屠ったのか、どれくらいの強さなのか、何も知らない。
─ディアロスさん、どうしたの?黙っちゃって。
頭を悩ませる。こんな子供が心をときめかせた様子で聞いてくるのだ。これで本当に何もないなどと宣って期待を裏切らせてはいけない。
こんな無能の自分でも何か語れるものがあるはずだ、考えろ。何かきっと………。
─……私の従者にラニアという娘がいてだな。そいつと私を絡めた話でいいか?
小壺の少年は待ってましたと言わんばかりに体を大きく縦に振り、地に座り込んで話を聞く態勢に入る。
……緊張してしまうな。この少年が感嘆するような回想ではない。しかし、こんなことを言ってしまったクチだ。臆せずに言い切ろう。“ホスローは……”。いや、今回これを宣するのは違うか。 - 128二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 22:09:35
彼女は朗らかで快活な娘でな。どこへ行くにも主人である私を差し置いて突っ走るような性格だった。氾濫により荒れ狂う川も、危険な生物が闊歩する森も、灯りがないと先が全く見えない洞窟でも先行してしまうんだ。
川についてだが、とんでもないぞ。まるで波が意思を持っているかのようで、茫然と立ち尽くす我々を絶対に通さんといった勢いで何度も打ち上がるのだ。そんな状況下でもラニアは臆さず、足を踏み入れる。
だが、そんな彼女の勇気を無視するかの如く、波が渡る彼女の足を滑らせ、本流に流してしまう。そんな場面で、重たく沈んでしまうようなこの鎧を纏ったまま私は慌てて助けに行く。
ラニアは泳げた。私の助けは要らずとも難なく岸に着くことは可能だったのに、沈みゆく私を助けてくれた。騎士ともあろうものが、これでは恥だと言う私をラニアは慰めてくれた。
次に、森では大きな大きな熊が所かまわず闊歩するんだ!奴らに感づかれてはまずいと、のそりのそりとしゃがんで身を潜め、息を殺して歩みを進めたものだ。私はとてつもなく恐ろしい思いで、早く抜け出したかったのだが横から見える彼女の顔が小躍りしているように楽しげだった。
冒険心が疼いていたのだろう。さもなくば命はないという状況下で面白がっていたがとても衝撃的だった。
……結局、そんな彼女に見とれていた私の不注意で枝を踏みつけた時のめしめしとした音で熊に気づかれ、そこを全速力で逃げ出す!!命からがら逃げだしている時は本当に死んだと思った!だが、今だからこそ言えることだが、とても楽しく感じた。あの鋭い爪で裂かれたら終わりだというのに、どうしようもなく心弾んでしまったんだ。
あの時の私の顔は笑っていたのだろう。口元が緩んでいたのを覚えている。つい隣を走っている彼女の横顔も満面の笑みだった。……すごく、かわいらしい笑顔だった。 - 129二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 22:09:59
あと、洞窟だな。さっきも言ったが、灯りがないとまるで見えないんだ。それなのに、松明に火を燈す自分をよそに暗闇を闊歩してしまうんだぞ!?
本当に意味が分からない!待てという言葉も、大丈夫ですからなどと言い返しては、まるで歩き慣れた我が家の庭の様に進んでいくのだ。慌てふためきながらも点火が終わった次第、すぐに追いかけに行った。
だが、行けども行けども彼女の姿が見当たらない。地面の窪みに何度も足を転ばせながらラニアの名を呼び続けた。ラニア!聞こえているなら返事をしてくれ、と。焦りと心配で心臓の鼓動はどんどん速くなる。もしかしたら…という宜しくない想像が自分を恐怖に駆り立てる。
嫌な予感は的中した。彼女が狼に襲われそうになっていたのだ。吠えられ、すごまれている彼女のその姿は尻もちをついて恐れおののいている。
私は咄嗟の想いで左手に松明を掴んだまま右手に鞭を携え、猪突の勢いで振りかぶったのだ。狼は怯む、だが相手もその一撃で死ぬほどやわじゃない。標的を変えては己に牙を向けてきた。噛みつかれたときは本当に痛かったが、それでも鞭は離さない。噛みついてきた後の隙を見計らい、キツいものをお見舞いしてやった!!
きゃいん、と鳴きながら息絶えた狼を尻目にすぐさまラニアのもとに駆け寄った。大丈夫か、怪我はないか。引きつったままの彼女の顔は解れ、終ぞ泣き出してしまった。涙も、鼻水も、何もかもをぶちまけては泣き出した。
ああ、もう大丈夫だと彼女の頭を撫でてやり、肩を貸してやりながら元来た道を帰っていった。
…思えば、あの時に叱ってやるべきだったんだ。命があったことに喜びを噛み締めるだけ噛み締め、何も言わずに甘やかしたのだ。
なんてことをしたんだ、次からは無茶をするな、と。ああ、そうすれば、そう言ってやれていれば彼女は………………。 - 130二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 22:10:23
─ディ、ディアロスさん? ─そんな、泣かないで! ─……ラニア、何かあったのかな…
気が付くと少年らの周りにも他の小壺が集まっていた。私の話を途中から聞き始めた子たちなのだろう。
…私は、泣いているのか。ラニアを亡くした悲しみで、涙を流していたのか。
─…ああ、もう大丈夫だ。すまない、いきなりこんな姿を見せつけてしまって…。
ラニアのその後をこの子らに伝えた。子供には残酷かもしれないが、ここまで語ったのだ。中途半端に終わらせるものではない。
そうしたら、次第にこの子らも泣き出し始めた。語っている途中ですすり泣くのもあれば、我慢していたのに糸が切れたようにぐずり出すのも。
自分らとはまるで関係ないのに。この子らも、ラニアについて泣いてくれているのだ。その姿にまた崩れ落ちそうになったが、なんとか堪えた。
その後、この子らが自分は悪くないなどの精一杯の励ましの言葉をくれた。それは、本心から言ってくれているとは思う。疑うわけじゃない。だが、どうしてもその言葉を素直に受け止められない自分がいる。注意しろと言えていたら、今も私の横で朗らかにふるまっていたのではないか、と。
ある一人の小壺の少女が声を上げる
─ディアロスさんは、ラニアのことが好きだったの?
…好きだった?まぁ、確かに敬愛していた。従者でありながら、尊敬に値する素晴らしい娘だった。そういった旨の返事をしたが、何か納得いかないという反応が見える。
─違うよ!その人に恋していたの!?
恋……、か。そうかもしれないな。きっと、ラニアのことを、そういう意味で愛していたとも思う。
─だったら、それで良いのよ! ラニアも、きっとディアロスさんのことを愛していたと思う!二人が愛し合ったまま逝けたなら、ラニアもきっと…。 - 131二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 22:10:36
そうか、だからか。私がラニアをここまで想う理由。復讐の動機になった理由。嗚咽を漏らした理由。それが、恋だったというわけか。
黙りこくる自分をそっちのけに他の少女たちも盛り上がって話を始める。ははっ、女の子というのはどうしてこう恋愛話が好きなのか。
ラニアも、そういう話が好きだったな。宿営地については、勝手に話し始めては勝手に盛り上がる。
──ディアロス様は、どのような方が好みですか?
──好み?……特に思いつかないが、まぁ頑張るような、努力するような奴か?
──そういうことじゃないです!…………努力する人、か………。
…ラニア。お前が私にそういった感情を持ち合わせていたかは、今となっては分からない。だが、私は間違いなくそうだったのだろう、きっと。
私は、無能かもしれない。何も為せない。だが、この村でならやれることは見つけられた。本当にすまないが、そっちで見守っていてくれないか?
ここで、私は見つける。己の歩むべき道を。お前の死は、無駄にしない。英雄にはなれそうにないが、ホスローの家名を汚さないさ。
──ディアロスさんの手はすべすべしているけど、間違いなく戦士だよ。
アレキサンダーのおじさんに負けないくらいの、とっても格好いい戦士だよ!── - 132二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 23:48:00
突然の良SSが流れてきて感動してる
ディアロスへの解釈一致 - 133二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 00:23:20
良いではないか……(君主並感)