- 1二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 03:49:31
- 2二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 03:58:41
「こう、足をここでターンして…手を取って…。」
「…最後に、受け止めて…ポーズ…。」
「…おお〜っ、上手く行ったな〜!」
「……嬉しい気持ちは、わかりますが…あまり大きい声を…出さないでください…」
「あっ、悪ぃ…。」
「…けど、意外でした…ポッケさんがこんな素敵な踊りを…知っていたなんて…。」
「ガムシャラにやってたらそこそこな。ま、フジさんにゃ叶わねぇけど。」
「…寮長さんとも…踊った事が…?」
「いや〜、ねぇんだなこれが。」
「……そう…ですか…。」
「…おっ、なんだ?ちょっと嬉しそうな顔して。オレと踊れて楽しかったか?」
「……そう、ですね。楽しかったです。」
「…そう言ってくれるならよ、オレもまたカフェと踊りてぇな。」
「…!」
「さ、流石にそろそろやべぇだろ。気をつけて帰れよ、また朝な、カフェ。」
「………はい、眠気覚ましのコーヒーを用意して…待ってます…。」 - 3二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 04:10:51
「なぁ、たまにはオレから怖い話してみていいか?」
「………。」
「目ぇ丸くすんのもわかっけどよ、いつもビビらされてっから、たまにはな?勝負って奴だ。」
「……構いませんが…大丈夫…ですか?」
「おう、とっておきの奴を考えてきたからな。」
「……考えた…ポッケさんが…ですか?」
「んー…どっちかっつーと…思い…付いちまった、って所かな」
「……?」
「月ってよ、当然満月とか三日月とか、欠けたり丸くなったりを繰り返してるよな。」
「はい…今夜は……半月、ですね…。」
「アレがよ、こないだ満月の時だったかな…雲でちょっと隠れてて…ちょうど、半分くらい。」
「……ええ。」
「それがさ、なんつーか…まぶたみてぇだったって言うか…。」
「……まぶた…?」
「うん、そこで思っちまったんだよ…月が本当は星じゃなくってでっけぇ生き物の目ん玉でさ、満ち欠けしてんのは…瞬きだったら…って…」
「………今も、私達を見ている…と…?」
「お、おう…」
「……突然もう一つ、月が隣に現れて…その下には空が裂けて口が…?」
「待て待て待て!……そ、そこまで言ってねぇよ〜!想像して怖くなっちゃうだろ〜!」
「……すいません…私も自分で言ってて…少し…」
「いやおめぇもかよ…!…よし、この話は忘れっか…。」
「…そうですね…普通に、綺麗な月を…見ていたいです…。」
「だな〜。」
「………。」 - 4二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 04:21:02
「良かったのか?レース見るついでに泊まって観光するって言ったって、地元の商店街とかぶらつくくらいだぜ?」
「……むしろ…それを楽しみにしている…と言っても…。」
「でも、わざわざホテル代まで割り勘してくれんのはちょっと悪い気が…。」
「……楽しみなんです…観光も、なんですが…。」
「…?」
「……こそこそする必要…ありませんよね…?」
「………あっ!もしかして!?」
「……今夜泊まるホテル、ちょっとした…お庭もあるそうです…お散歩は…自由だそうで…。」
「……なーんか、オレも楽しみになって来たな〜へへっ!」
「……ふふ、寝坊だけは…気をつけましょうね…?」
「…そんときはコーヒー、よろしくな。」 - 5二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 04:33:10
「………ポッケさん、その…。」
「……悪い、マジで。」
「いえ…嫌では、無いのですが…。」
「……安いからって、よく見ねぇで予約しちまって…。」
「…枕は二つ…毛布は一つ…二人で一つの…ベッド…。」
「……その…狭かったら言えよ?オレは床でだって…」
「………………。」
「……わ、悪かったよ…それは無しな、OK。」
「……むしろ…こうなった以上…来てください…。」
「…え?お、おう…。」
「……子供の頃…しませんでしたか…?懐中電灯を持ち込んで…お布団のテント…。」
「……懐かしいなぁオイ。来てくれって言うからオレはてっきり…」
「…てっきり…?何を、すると…?」
「……そんなニヤニヤすんなよ〜!こんにゃろ〜!」
「…ふふっ…お散歩から帰ってきたら、またしませんか…?」
「…まあ、こんな機会めったにねぇからな。いいぜ、とことん付き合う。」
「ありがとう…ございます…。」
「……その楽しそうな顔も、間近で見れるしな。」 - 6二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 04:46:06
「……ん…。」
「……すー…すー…。」
「………ああ、そうだった。」
「…ん……すー…すー…。」
「……参ったな…しっかりホールドされてら…。」
「……ん…。」
「…時間は…余裕あるな、早起きしちまった。」
「…すー…すー…。」
「……寝ぼけてこうなったのか…それとも…。」
「…すー…。」
「……寝顔、もう少し見とくかな。」
「………おはよう…ございます…。」
「……おう。」
「………その…ポッケさん…。」
「……どうした?」
「……暑苦しく…ありませんでしたか…?」
「…エアコン効きすぎてたから、そうでもねぇよ。」
「……そう…ですか…。」
「…とりあえず、朝食でも…行くか?」
「……はい…。」
(………顔、真っ赤じゃねぇか…てっきりわざとかと…。)
(……気付かれて…ませんよね…?) - 7二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 04:57:43
「……こんな事…あるんだな…」
「…ユキノさんと…トップロードさん…二人とも、レースで不在…。」
「………ま、せっかくのチャンスだもんな。二人でゆっくりしようぜ。」
「…そう…ですね…トップロードさんのご好意に…甘えます…。」
「……こないだのホテルの時も思ったけどよ。」
「…はい…?」
「こういうの、楽しくて安心できっけど…もうちょっとスリルがあっても、良くねぇかなって…。」
「…スリル…ですか…?」
「おう、なんつーか…フジさんに怒られんのも、次の日トレーニングとか眠いのも良くねぇってわかってんだけどさ…。」
「………?」
「…ちょっとハラハラするくれぇだと、なんか…特別な感じがするんだよな…。」
「……特別…と、言いますと…?」
「……なんて言うか…その…えっと…。」
「…………もしかして、世界に私と…二人きり…なんて…?」
「…〜〜〜ッ!?な、なんでわかって…!」
「…ふふ、そうなんですね…。」
「…〜〜〜ッ!!……あー…顔熱い…」
「……私は、安全なのも…好きですよ…?ポッケさんのその顔…見ていれるのは…私だけ、ですから…。」
「……あー…悔しい…。」 - 8二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 05:06:02
「最近は夜でもちょっと熱いなぁ〜」
「……知っていますか…ポッケさん…?」
「んー?」
「夏の晩…皆が寝静まっている間…明かりの下……普段は潜んでいる者達が…」
「な、なんだよ〜…こないだの月の話の仕返しか〜?」
「……ふふ、そう…ちょうどあそこの…木陰もあって涼しそうな明かりの下に…」
「や、やめろって〜!……ん?」
「……ふふ、集まっていますね…。」
「う、うおっ!?あ、あれって…!?」
「……お友だちが、教えてくれました…ポッケさんが喜ぶかと…。」
「お、おお〜!?すっげぇ〜!カブトとかクワガタがいっぺぇ居るー!」
「……ふふ、楽しそうで…良か……あ、あの…ポッケさん…間違っても、私の方には近づけないでくださいね…?」
「わかってるよ!へへ、明日ライトオかテイオー辺りに見せてやっかな〜!」 - 9二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 05:33:15
「…受け止めて…最後にポーズ…出来ました…!」
「よしっ、逆でも出来たな。オレ達もう息ピッタリだなっ。」
「ふふ…そうですね…。」
「……あー、月…すげぇ綺麗だな…。」
「…そう…ですね…。」
「………んー…それに…その…。」
「…?」
「……月に輝らされてる…カフェも…すげぇ綺麗。」
「……えっ…?」
「あー…、髪も目も…キラキラしてるし…笑ってる顔も…なんか、すげぇ良く見えて…良いな、って…」
「……月に輝らされてないと…怖い、ですか…?」
「え!?いや、そういうわけじゃねぇよ!?言い方悪かった!えっと!」
「…落ち着いてください…冗談です…。」
「…あ。な、なんだよ…でっけぇ声出しちまったじゃねぇか…もう。」
「………ごめんなさい…その、嬉しいです。…ありがとうございます…。」
「……こないだ言ってたろ?特別な感じがするって。」
「……はい…。」
「…その、こうやって月の下で踊ったり、笑ったりしてるカフェ見れるのなんて…きっとオレだけだろ?」
「だから…これから先も…ずっと、そうだと良いなって…思ってんだけど…。」
「……!」
「………それでよ…その…カフェも、そうだったら良いなって…」
「………わかりました…では…少し耳をお借りします…?」
「えっ…?お、おう…?」
「……えっ?」
「……。」
「い、いま…ほ、ほっぺ…ふにっ…て…?」
「…………あまり大きい声を…出さないでください…ね?」 - 10二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 05:34:32
眠れなくなって書きました
こんな時間にハート付けてくださった方ありがとうございます - 11二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 07:56:14
癒やされる
ありがとう - 12二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 08:21:16
穏やかな空気に満ちている
さながら明鏡止水の境地 - 13二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 08:21:37
素晴らしい(これ以上の言葉が出てこないの図)
- 14二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 16:59:37