- 1私は自スレを2回も落としました25/08/25(月) 10:27:01
- 2私は自スレを2回も落とした1で25/08/25(月) 10:28:51
- 3125/08/25(月) 10:33:55
前スレの続きを掲載
――
「素晴らしい……。知性と品格、礼儀と信念、そして培ってきた経験と知恵……やはり、そなたならば……」
「私の『崇高』を、理解してくれるに違いない……!」
――
「こ、これは……」
「……まさか。あの『教義』が、完成した……?これは、レベルが違う……」
「せ、先生。これは……マズい、逃げないと……!……先生?」
"……どうやら、反則みたいだね。できれば出さないで終わりたかったけど……"
"……ヒナ、アズサたちを連れてここから逃げて、ここは私が食い止める"
「せ、先生、逃げてって……嫌!またお兄ちゃんが怪我を負ったら……わたし……わたし……!」
"……大丈夫、任せて、ヒナ。絶対に大丈夫だから。私は絶対無事に帰る。約束する"
「……約束だからね、お兄ちゃん。絶対無事に帰ってきてね……!」
"ああ、約束だ……そっちは任せたよ、ヒナ……!"
"さて……覚悟しろよ、ゲマトリア"
カードが手元で淡く光り、空間の空気が振動する。光は天井から床まで走り、私たちの影を激しく揺らす
先生の手元にあったカードは眩い光を放ちはじめ、人の形を象り始める
やがて六人の姿が現れた――確かに、人間だ
だが、その立ち姿には揺るぎない気迫があり、ただそこにいるだけで場の空気を支配する
人間でありながら別格。先生の呼び出したその者たちは、安心感すら与える存在だった
―――――
「おお、おおおおっ……!そうか、あれが例の『カード』……!人生を、時間を代価として得られる力……その根源も限界も、私たちですら把握できない不可解なもの……!!ああ、ゴルコンダならあれをどう呼称しただろう……何か高次的な表現を教えてくれたのであろうか……見せてくれたまえ、先生。そなたが払ってきた代価を……」
「そうして手に入れたものの輝きを……!私の作品に、全力で応えてくれたまえ!」 - 4125/08/25(月) 10:39:26
「小鳥遊ホシノ、今回は水着なのね、寒くないかしら?」
「いえ~いヒナちゃん、……うん、寒いよ、この格好。先生も鬼だよね~。そういうヒナちゃん……と行政官ちゃんはドレスなんだね、綺麗だね~、おじさんには似合わないだろうな~」
「ありがとう、小鳥遊ホシノ。このドレスはお兄ちゃんが選んでくれた物で、とっても気に入ってる。小鳥遊ホシノもお願いしたら、お兄ちゃんに似合ってるものを用意してくれるんじゃないかしら」
「うへっ!?そ、それは、おじさんにはちょっとハードルが高すぎるよ~……でも、先生が選んでくれるなら、おじさんもお願いしようかな――」
「ちょっと!委員長!ホシノさん!目の前にこんな怪物がいるのに、のんきにしすぎですよ!もう少し緊張感を持ってください!」
「そうですよ、お二人とも。流石のミカさんでもここまで気を抜いてたりしませんよ」
「あはは、ごめんね~」
「ひ、ひえ~……なんですかあの怪物は……こ、怖い……」
「大丈夫かの、ココナ。妾の後ろに隠れておくとよい、妾がそなたを守ってやろう」
「あ、ありがとうございます、キサキ会長」
「ふふ、任せておくがよい」
――その時、怪物が吠え、空気が震えた
「……じゃあ、そろそろ始めよっか、ヒナちゃん」
「ええ、お兄ちゃんに頼られたのだもの、頑張るわ。お兄ちゃん、指示をお願い」
"了解……みんな、行くよ!"
「「はい!」」 - 5125/08/25(月) 11:01:57
"ココナ!あの壺に回復を!"
「はいっ!」
少女の祈りに応じ、壺が眩しく緑に輝く。次の瞬間、壺から奔流のような光弾が弾け飛び、怪物の巨体へと向かっていき――直撃した
"ナイスだココナ!ホシノ!支援を頼む!"
「はいは~い、おじさんに任せてよ~」
軽口とともに、ホシノが何かを実行する……突然、ホシノの周囲の空気が張り詰める。水のドームが張られたような、目に見えない何かの変化を感じた
「おい、怪物……私の領域に踏み込むのは、保証しないよ?」
挑発に応じるかのように怪物が咆哮し、槍を掲げる
"ナギサ、今だ!右手を撃ち落とせ!"
「了解しました――静まりなさい」
轟音と閃光。怪物の腕が弾かれ、怪物はたたらを踏む
"流石だ、ナギサ!ヒナ、やつのダウン中に畳み掛けるぞ!キサキ、アコ、支援を頼む!"
「了解した。ヒナ、あそこを狙うのじゃ、あの辺りから、集中した何かを感じる」
「委員長!気をつけてください!」
先生の指示に合わせ、2人の生徒がヒナに支援を行う
「ありがとう、2人とも。任せて」
ヒナは手に持つマシンガンを構え、冷ややかな息を整え、射撃態勢に入る。そして――
「……ma non troppo」
火花のように放たれた渾身の三連擊が、怪物の装甲を削ぎ落とす。巨体がたまらず崩れ落ち、床が震えた
「ナイスだよ、ヒナちゃん!ただ……」
「分かってるわ、あまりダメージが入ってる感覚がない……見えない結界でも張っているのかしら」
その言葉通り、怪物は再び立ち上がる。そして、続け様に詠唱を開始した。
"っ!まずい。みんな、ホシノの回りに集まって!ホシノ!防御を頼む!"
「お任せあれ~、あらよっと……!」
怪物が詠唱を完了させると、頭上からエネルギーの塊が落下した。それに合わせてホシノが盾を展開し、直進。ぶつかると同時に炸裂し、凄まじい爆風が巻き起こった。砕け散った床、焼け焦げた壁――それらが威力を雄弁に物語っていた
「なるほど、こりゃ~危険だね~。流石先生の判断力」
「ですが……このままでは長期戦になり、厳しい状態です」
ナギサは即座に状況を分析する。攻め手も防御も拮抗している――このままでは持久戦となり、こちらが不利だ
――だが、先生の気迫が、私たちの勝利は揺るがないものだといわんばかりの自信に、私たちの背中は後押しされていた - 6125/08/25(月) 11:54:13
"ココナ、ナギサ!私の指示通りに頼む!"
「「分かりました!」」
"ホシノ、盾でやつの攻撃を引きつけて、タゲ取りを頼む……!
「もう~、先生はおじさんの使い方が荒いな~。……まあ、任せてよ!」
"キサキ、アコ、ヒナ!ホシノを支援しながら、隙を突いて攻撃を頼む!"
「了解した」「お任せください!」「理解したわ、お兄ちゃん」
先生の指示に従い、全員が一斉に動き出す
"ココナ、あの壺に回復を頼む"
「ま、またですか?……でも、先生が言うなら、任せてください!」
再び壺が緑色に発光し、光弾が怪物に直撃する。するとナギサが目を細めた
「まさか……あの光弾は、怪物の結界を弱めている?」
"おそらくね、前に似たような怪物と戦った時は、1発でダメージが通っていたんだけど……今回は複数必要みたいだ――!ナギサ、同じくやつの右手辺りに砲撃!"
「お任せください」
怪物が再び攻撃前の隙を晒し――砲撃が炸裂、怪物の態勢が崩れる。その隙を見逃さず、ヒナたちが集中砲火を浴びせた
――同じ動作を繰り返した末、遂に変化が訪れた
"壺が、破裂した……なるほど、今なら……!"
"ナギサ、再びやつのダウンを取る!やつが右手を上げた瞬間、砲撃を頼んだ!"
「お任せください、先生」
再度ナギサの砲撃が炸裂し、怪物は大きく態勢を崩した
"一気に決めるよ、ヒナ!アコ!キサキ!"
「あい、了解した」「委員長、お願いします!」
2人が支援を行い、火力を集中させる。そして――
「ありがとう、2人とも。それじゃあ……覚悟しなさい」
ヒナが射撃態勢に入る――
「elegante!」
一発目が左肩を撃ち抜く。巨体がよろめく
「ma non troppo!」
続いて、2発目は胸部を貫き、怪物は呻き声を上げて膝を折る。その手で撃たれた箇所を押さえる――完全に無防備だ
「これで……終わり!」
極限の集中化で放たれた弾丸が顔面を貫通し、怪物は轟音とともに吹き飛ばされ、やがて虚空へと消滅した - 7125/08/25(月) 12:12:52
怪物の消滅を確認した先生は、皆に労いの言葉をかける
"ふぅ……みんな、お疲れ様"
「うん。お兄ちゃんもお疲れ様」
「うへ~、疲れたよ~。これは先生に労いのお礼を貰わないとね~?」
"ははっ、ほんとにありがとうね"
先生はホシノの頭に手を伸ばし、優しく撫でた
「うへへ~」
「ほぅ?羨ましいのぅ。……先生、妾の頭も撫でてもらえぬか」
"ふふっ、お任せあれ"
近付いてきたキサキを優しく受け止め、そのまま頭を撫でる
「ふむ、悪くない……ココナ、そんなに羨ましそうにしておるなら、先生に頼めばよいのじゃぞ」
「へっ!?う、羨ましそうな顔なんてしていません!私は、何をしてもらおうか考えていただけです!」
「アコさん、お疲れ様でした」
「ナギサさんも、お疲れ様です。あなたは良いのですか、あちらに行かなくて?」
「はい、私のお礼は『こちらの』私にしてもらおうと思いまして。あなたこそ良いのですか?」
「私も、ナギサさんと同じ考えなだけですよ」
そのような会話をしていると、時間制限が迫ってきた
「おや、これは……では私たちも、消える前に先生にお願いをしましょうか、ナギサさん」
「そうですね、もう少しあの方たちに幸せな時間を与えてあげたかったのですが……やはり時間というものは残酷ですね」
「先生、失礼します。私たちのお願いも、聞いていただけますか?」
"あぁ、もちろんさ。何をしてほしいんだい?"
「……『こちらの』私にお茶会へ誘っていただきたいのです。エデン条約の不成立、アリウスによるテロ行為……当時の私は、数え切れないほどの悩みを抱えていました。その心を少しでも軽くしていただけると、助かります」
"!……了解したよ、ナギサ。じゃあ、アコは何を?"
「わ、私も!『こちらの』私のストレス発散に付き合ってください!もうほんとに、色々なことが起きすぎて大変だったんですから!」
"ははっ、了解した――"「それと」
「ヒナ委員長のことを、お願いします」
"!……もちろんさ、私の妹は、必ず守るよ"
私の返答を聞き届けたアコは、安堵した微笑みを浮かべ――静かに姿を消していった - 8125/08/25(月) 13:01:10
「ほんじゃ、おじさんたちもさよならだね~」
「ほれ、ココナ。はよ願いを言わんと叶えてもらえぬぞ?」
「えっ!?あっ……え、えっと、そのー……」
"……ナギサたちと同じようなこと、で良いかな、ココナ?"
「は、はい!それでお願いします!」
"ふふっ、了解したよ"
「じゃあね~先生」「またのう、先生」「さようなら、先生!」
別れの挨拶を言い、やがて彼女たちも消え去った。そして――最後の残った彼女と向き直る
"ヒナ"
「……お兄ちゃん」
戦闘後からずっと私に抱きついていたヒナが、名残惜しそうに私の身体から離れる
"ありがとうね、助けてくれて"
私は感謝の言葉とともにヒナを抱き締める。突然抱かれて戸惑ったヒナだったが、すぐに『お兄ちゃんに抱きしめられている』という事実を噛み締め、力強く抱き返した
「……うーうん、気にしないで。お兄ちゃんに頼られて、私スッゴい嬉しかった。いつでも私を頼ってね、お兄ちゃん」
"……そうかい、ありがとう"
そうして、満面の笑みを浮かべながら――ヒナも静かに光へと溶けていった