- 1二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 01:15:06
- 2二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 01:17:00
瞬く間に終わりそうな早さで過ぎ去ってしまうことさえ、ナギサは愛おしいと感じていた。
最早先生に纏わる何もかもを愛せそうな程、彼女の情動は凄まじい。彼の為なら何事も成してしまいそうな勢いがあった。
そう、何でもだ。
しかしながら、ナギサは先生に想いの丈をぶつける間際になって、ついに彼と永別することとなる。 - 3二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 01:18:16
病だった。
一般にはキヴォトスに来てからの激務が祟っての事という見方が強いが、ナギサはそうではないと知っている。
───大人のカード。
その代償を支払った結果「不治の病」めいた疾患と成り果て逝ってしまう宿命を負ったのだと。 - 4二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 01:19:28
「先生」
"ナギサ"
「私は貴方の事を生涯忘れません。ええ、一時も忘れることなくお怨み申し上げます」
"手厳しいね"
「貴方が私を置いていくからいけないのです。貴方が死を前にして漸く私に何もかもを打ち明けてくださった事、甚だ不快で不可解で不幸極まります」
"……ごめんね"
「謝るくらいなら、どうか一秒でも長く生きてください!ああ先生、私は、私は、貴方のお役目が終わりましたらこの秘めたる思慕をお伝えしようとばかり考えておりました」
"……"
「ですがそれは先生にとって重荷でしかなかったようですね。死ぬつもりでお過ごしと知っていたなら、貴方なんかに恋しようとは致しませんでした」
"ナギ……"
呼び掛けは情熱的なベーゼで遮られ、二人は暫しの間舌と舌を荒々しく絡ませる。それが最初で最後だったから。 - 5二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 01:19:28
曇らせか、ワインが美味いな…
- 6二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 01:23:00
"……ありがとう"
「弄ばれてそのように仰られるとは、先生、貴方が変態という噂は本当だったのですね。正直幻滅致しました」
"それでいいよ。ナギサならきっと私より好い人が"
そのような暴言に対し桐藤ナギサ、二度目のベーゼを敢行。
それも先程の倍は時間を掛けた。
本来であればこれ以上の事をしたかった。
だが全身不随になりつつある先生の身体では叶わぬ。
嗚呼、口と口で結ばれるのがやっとなのだ───。 - 7二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 01:28:03
"……本当にごめんね"
「先生はいけずです!私はこんなにも貴方をお慕い申し上げているというのに!……最期の時くらいは、どうか潔くこの想いを受け止めて頂きたいものです。ああ……先生、先生っ……!」
泣きじゃくるナギサを先生は残された力の全てで確りと抱き締め、ついに彼女の愛へと応えてみせる。
小一時間、精一杯に愛しい人を決して離さぬという心持ちで力一杯に。
……やがて力尽きた彼は、もう二度と目を覚まさなくなった。
そして今度は彼女が、全てを尽くしキヴォトスを救った彼を労おうと優しく抱擁し、
「お勤め、御苦労様でございました」
と呟いては泣き腫らした眼で愛おしげに想い人の寝顔を眺めていた。
ついぞ情交へと及ぶには至らなかった二人だが、両者の間にはなにものにも断ち切れぬ絆が生まれていた───。 - 8二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 01:30:00
- 9二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 01:31:10
明治の文豪味を感じる
- 10二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 01:36:43
これは色気のある寡婦ナギちゃん
- 11二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 02:15:29
- 12二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 02:50:42
元々なぜかナギちゃんの微笑み(スレ画)にはかなさを感じるから、この流れの話で使うのは卑怯だわ…
いや泣いてなんかねえけど!