- 1司会精霊25/08/26(火) 20:00:03
※「何でも許せる人向け」ってやつっす。
※オリキャラに司会進行させてSSやります。作中キャラの当時の言動に指摘するのは批判っぽくて嫌だという方はあらかじめご注意ください。
※本編は5レス目くらいになるっす。スレのテンプレとか無いのに前置き長いのも我ながらどうかとは思うけど「あのキャラはどうして呼ばないのか?」とか後から訊かれて途中で挟むのもアレなんで前もって置いとくっす。
『悪役令嬢の中の人』の“偽ピナ”やウィリアルド王子たちについて「自らの犯した本当の罪を一生自覚しないままでいることも彼らへの罰」という感想があります。
……なのですが、諸々の真相を知ったリアクションを見てみたいってのも人のサガというか、ぶっちゃけ「およそ十一年ぶりの、身体の重み」で『中の人』世界の人たちが一斉に「ちょっと待てボタン」を押すのを見たい。
っつーわけで、“本編後の彼らの記憶と精神のコピーを別時空に持ってきてレミリア嬢の世界救済の裏側を見せてみる”っていうのが今回の企画っす。
連れて来るのは「記憶と精神のコピー」、場所も現実(中の人世界)の時間軸から切り離された「別時空」と色々対策とったんでここで見たものはたとえ本人たちが転生しようとも『中の人』世界の未来の歴史にも別スレの世界にも影響しないはずっすからご容赦してほしいっす。 - 2司会精霊25/08/26(火) 20:01:08
ついでにWeb版・書籍版・コミカライズ版の情報色々ごちゃごちゃになってたりコピーのエミュレートが下手だったりすると思うっすけどそれも大目に見てほしいっす。
あと企画被りしてたらごめんなさいっす。
こちらはこちらでSSをやってますがキャラの扱いで他の人と喧嘩にならずこっちとごっちゃにならなければネタ出しとかは自由にやってOKっす。エミさんにひどいことしなければ。厄災がこっちに来ないなら。
「人生上映会」自体がわからんという方は「人生上映会」か「過去上映会」もしくは「上映会」で過去スレを検索して適当なスレを眺めてくれればわかると思うっす。
ただ『悪役令嬢の中の人』がちょっと特殊なコンテンツなんでこのスレは諸々の難点回避(エミさんたちが来る可能性完全排除の必要とか)のためにSS形式で他のスレとちょっと変えるっす。 - 3司会精霊25/08/26(火) 20:02:15
参加者
・司会進行……ほぼスレ主っす。あるいは雑談スレとかのコメントの代弁をするっす。しがない精霊の一人で精霊界の同志たちと今回の会場を造ってみんなを集めたっす。
映像を進めたり止めたり補足説明を加えたりツッコミを入れたりするっす。転生や向こうの世界関係とかリィナさんだけだと上手く伝えられなさそうだし。自分はそれができる超パワーを持ってるっす。ちょっとメアリー・スーに片足突っ込んでるかもしれないけど。
あと、こういう存在がいないと「このメンバーを集めた上映会の黒幕は誰なのか」に意識が向いちゃう方もいそうなんで。
招待客
・偽ピナさん……転生者なのに全然状況把握できてなかった人っすからね。良い反応に期待っす。
あと転生者視点のコメントで他の人たちの理解に一役買ってくれると思うっす。
暴れないようにはしておくっす。
・ウィリアルド殿下、デイビッドさん、ステファンさん、クロードさん……当然呼ばないわけには行かないっす。捨てファンはしないっすよ。内輪揉めに時間取られてもアレなんでそれぞれの思惑は軽めに流してレミリアさんの言動思考中心に見せていく予定っす。
・エルハーシャ様……上5人とは違うポジションにいるけどリアクションが良さそうな人として特別に呼ばせてもらったっす。なおかつ冷静でツッコミや司会進行をめっちゃ助けてくれそうっす。この人なら異母弟の境遇とかについても早めに覚悟完了は済んでるでしょうし。 - 4司会精霊25/08/26(火) 20:03:39
呼ばなかった人たち(「あのキャラなんでいないの?」「この人たちには見せないの?」ってなった人向け。「いないキャラの事は気にしない」という方は読み飛ばしていただいてOKっす)
・レミリアさん……ここ知られたら消されるっす。絶対バレないようにするっすよ。
・エミちゃん……マジでレミリア様に殺されるっす。綺麗なものだけみて幸せにしててくれっす。
・シルベストさん……この人はなんていうかどこの世界でも護衛対象としてのエルハーシャ様に意識が向いちゃって映像への反応は「へー」で済まされてしまいそうなんで。
・ロレーヌ子爵とドレリアス伯爵夫人……呼んだらたぶん他の人たちの反応が全部この人たちの空気に呑まれるっす。ついでに真相なんか見せたところで心に波風立たなさそうっていうか、この人たちの面白さは大きくも小さくもならなさそうって感じるっす。夜会の反応超えるのムリっすよ。常にマイペース過ぎてドッキリ企画とか向いてねえっす。
・国王陛下とグラウプナー公爵夫妻……衝撃は大きそうっすけど顔真っ赤or真っ青にしたままずっと固まってそうっす。あとやっぱり観客席は同年代で固めた方が気楽にコメントしやすいと思うんで今回は若い(年代が近い)人たちだけ集めるっす。なので呼ぶとしても別室っすね。何か思いついた・書きたい人がいたらスレに来た人に任せるっす。
・ロマノ、糸目、その他裏四馬鹿……コピーどうこう以前にこの人たちは大元の魂がもう……。っていうかこの企画で糸目さんのリアルタイム感想なんて聞いてたら多分ツッコミが追いつかないっす。
・はわわ令嬢……やめて差し上げろっす。
・ルグラーツェの住人たち、魔国や魔族の人たち、その他の人びと……この人たちに見せても仕方ないっす。穏やかに過ごしていてくださいっすよ。
・創世神様、レンゲ様、その他の神々と精霊王さま……実は内緒でやってるっす。トラブルを起こさないように気をつけるっすよ。 - 5司会精霊25/08/26(火) 20:04:53
本編
司会進行「……つーわけで、前置きが長くなって申し訳なかったっすけどそろそろ始めさせてもらうっす」
偽ピナ「は? 何ここ。映画館?」
ウィリアルド「小規模な劇場舞台……いや、銀幕か」
司会「まあ大劇場を見慣れた方には小ぢんまりして見えるかもしれないっすけど、人数も少ないしあんまり大画面過ぎても見づらくなると思うんでオペラグラスも要らないこんぐらいの広さでよろしくっす」
司会(横の広さは5人が1つずつ間空けて座って余裕あるくらい。自分はとりあえずスクリーンの横とか適当な位置でふよふよ飛び回って解説するイメージっす。このスレでは本編後にレミリアさんとエミさんが映画というメディアを発明・発展させたのを王都にいたエルハーシャ様だけでなく地方に押し込められたウィル殿下たちも知る機会くらいはあったという設定でいくっす)
デイビッド「ちょっと待て。なんだこのメンバー」
ステファン「というか今は何月何日……いや、何年だ?」
クロード「我々は確か……」
エルハーシャ「……そのあたりは全て君が説明してくれるのかい?」
司会「はい。早速良いリアクションありがとうございますっす」 - 6司会精霊25/08/26(火) 20:06:02
司会「この集まり、ちょっと変則的っすけど自分たちの人生が大きな転機を迎えた頃に関係するものだというのは既にお気づきかと思うっす」
エル「王国の貴族社会と政治体制に起きた大変動のきっかけ。いわゆる“偽の乙女と救世の乙女”の騒動だね」
ピナ「おのれレミリアア゙ァ……ッ」
ウィル「まだ怨み続けているのか……」
ステ「怖……」
デビ「もうこいつ怨霊の類だろ」
司会「でもピナさんとレミリアさんのやりとりとか、レミリアさんの救世の旅の原動力とか皆さんの中に不可解な点はいっぱい残ってると思うっすから《救世の乙女》としてのレミリアさんの生涯を映像にまとめて、その裏側を見せようと考えてるっす」
ピナ「つまりアイツの化けの皮が剥がれるのね!?」
司会「まあ見かたによってはそういうことになっちゃうかもしれないっすけど……」
ピナ「よぉし今すぐ全員に見せなさい! 私の潔白の証明のために!!」
司会(濁黒? の証明になる可能性もあるんすが) - 7司会精霊25/08/26(火) 20:07:02
クロ「……結局、今の時間は?」
司会「用意した映像がダイジェストでも結構な長丁場になったんで、ゆっくり見られるように別の時空に来てもらったっす。終わっても夜が明けてさえいないくらいの一睡の夢で済むっすよ」
エル(そのレベルの干渉できる存在……“神”や“精霊”の類となると抵抗や拒絶も難しそうだが)
エル「ある種の息抜きや気分転換みたいなものだ。まあ見て損はないだろう。とりあえずこちらについてはあの時の騒動の諸々について気持ちの整理もついている」
ウィル「……まあ、そうだな」
デビ「何が来ようともどんと来いだ!」
ステ「あまり気は進まないけどね」
司会「びっくりするような情報をいっぱい見せたいってだけなんでそんなに身構えずに見てほしいっす」
ピナ「それって本当に身構えなくていいやつ?」
クロ(姉さんに化けの皮なんて有り得ないが……)
ウィル(今さらレミィが僕らのところまで下りてくるとは期待しない。……ただどんなことがあっても受け入れるよ)
司会(楽しみっすねぇ色々と)
司会「あ、映像を始める前に各自の手元に飲み物と《ちょっと待てボタン》を用意しておいたっす」
デビ「なんて?」
司会「映像流しっぱなしだとコメントしきれない部分があった時に押してくれたらこっちで映像を止めたり止めなかったりするっす」
ピナ「意味あんのそれ」
司会「もうちょい先まで流した方がわかりやすくなる時とか、一々止めてたらきりが無い部分とかはあると思うっすけどとりあえず押してもらえたらみんなの気になるところがわかりやすくなるっす」
ステ「……懐かしい味の紅茶だ」
ピナ「紙コップに入ったコーラとかめっちゃ久しぶり」
ウィル「炭酸飲料か。……レミィも用意してくれたことがあったっけ」
司会「飲み物は各自飲みたい気分のものが少量ずつ自動で補充されるっす。この世界トイレ近くなるとかも無いんで好きなタイミングに好きなだけ飲んでくださいっす」
ピナ「もうがぶ飲みしたいくらいだけどね」 - 8司会精霊25/08/26(火) 20:08:05
上映開始
司会「それじゃまずはグラウプナー公爵家令嬢レミリアさんの幼少期からっすねー」
「おかあさま……おとうさま……」
「……ちょっと誰かアレを片付けて」
「はい。奥様」
(わたくしは、愛することも愛されることも知らなかった)
ウィル・デビ・ステ「「「ちょっと待て!!」」」
デビ「本当に公爵令嬢の扱いかコレが!?」
ステ「王位継承者と婚約するレベルの家の一人娘だよね一応!?」
クロ「この頃はまだ私はこちらにいなかったが……あの家ならおかしくはない」
ウィル「評判が悪いとは聞いていたが親子の情すらここまで……」
ピナ「あー、描写はあんまりなかったけど悪役令嬢が生まれるような家なんてこんなもんでしょ」
エル(……“悪役”、令嬢?)
司会「そしてある日レミリアさんは高熱で意識を失ったっす」
「ハア……ハア……ハア……ゲホッ、ゴホッ、……水……」
(ない……取りに……行かなきゃ……着替えも……あ)
バタッ
ステ「使用人んんんッ!!」
クロ「着替えくらい置いておけェェ!! 病気の子供に用意させるなあァッ!!」
デビ「そして熱出してんのに水を切らすなああああ!!」
ウィル「というか誰か傍についてろォォ!!」
ピナ「うっさ」 - 9司会精霊25/08/26(火) 20:09:19
「病院じゃない……? なんで子供の手……? 金髪……? やだやだやだやだ! それじゃ私あのまま……?」
クロ「……?」
ウィル「……?」
ピナ「……!」
「それはわたくしの身体ですわよ! 返しなさい! この不届き者! 無礼者! 不埒者! 恥知らず!」
デビ「!?」
エル「……少し詳しい説明を」
司会「実はこちらも詳しい原理はよくわかってないんすけど、この時からレミリア嬢の体にはここと異なる世界で生まれた女の子の魂が同居しちゃったっす。この現象は精霊王さまも神々も関わってない全くの偶然によるものらしいっす」
ピナ「ほぉーらねぇー!? やっぱり転生知識でズルしてたのよアイツぅ!」
ステ「……じゃあ、この人の言ってることは?」
ピナ「えー、ステフったら言い方つめたーい☆ こちとら正真正銘星の乙女よー?」
司会「まあ細かいことはレミリア様の方の魂の正体を見せてからの方がわかりやすいと思うっす」
「そうだ……この身体の女の子もどこに行ったんだろう……大丈夫かな…………」
「ごめん……ごめんね……悲しませてごめんっ……」
(こんな暴虐を行った神か悪魔は呪ったが、巻き込まれたエミに対する怒りはわたくしの中から消え失せていた)
(意識、記憶、感情。わたくしを気遣う心と、エミの人生が流れ込んでくる。とても優しくて温かで、幼かったわたくしが一切知らなかった幸せな想いが満ち溢れていた。わたくしが愛されて育ったような錯覚を覚えるほど、人ひとりが生きた記憶というのは濃くて、重くて、愛おしかった)
ピナ(うへ、筋金入りの良い子ぶりかよ。真っ先に悪役令嬢の心から落としちゃったってワケ?)
ウィル(レミィ……)
ステ(レミリア……)
クロ(姉さん……)
デビ(つまり、俺たちの知ってるレミリアは……) - 10司会精霊25/08/26(火) 20:10:39
(ある日王宮の茶会でウィリアルド第二王子との婚約を言い渡されたエミは記憶の中のとある物語との奇妙な一致を感じた)
「レミリアって、あのレミリアたん?! 悪役令嬢レミリア・ローゼ・グラウプナー……?! マジで? 嘘、私レミリアたんに転生しちゃってたの?!!」
ピナ「レミリア“たん”て」
クロ「悪役令嬢?」
エル「……異なる世界の少女だが、向こうはこちらを知っている?」
司会「エミさんの世界には星の乙女とウィリアルド王子や皆さんが世界に厄災を起こす悪役令嬢レミリアと対峙して戦う物語があったっす」
ステ「なっ……!?」
司会「家族に愛されなかったレミリアは代わりの愛の全てを婚約者である王子に求め、応えきれない重い愛を求められた王子の心はむしろ婚約者から離れて星の乙女へと向かうっす。悪役令嬢レミリアはウィリアルドの恋に本人よりも早く気付いて様々な嫌がらせを行うけど、それは秘められた思いを抱き合う2人には気持ちを盛り上げる丁度良い障害にしかならず、最終的に星の乙女の命を奪おうとした事を断罪されて、婚約は破棄されるっす」
ウィル「レミィ……」
司会「人生の全てだったウィリアルド王子を失って絶望したレミリア嬢は古代文明の《悪魔召喚》の儀式に辿り着き、御伽噺の存在と思われていた地の果ての魔族の王が“世界の破滅とウィリアルドの魂”を求めるレミリアに応えてしまい、世界は滅亡の危機を迎えるっすけど、恋に破れて世界を呪った悪役レミリアは星の乙女たちの活躍によって負け犬として死を迎えるっす」
デビ「なんつー趣味のわりー話だよ」
司会「まあ内容がこの世界と重なっちゃったんでそう見えるっすけど大筋自体はオーソドックスなんすよ」 - 11司会精霊25/08/26(火) 20:12:03
「レミリアたんは寂しかっただけ」
「美味しいもの食べさせてあったかい布団に寝かせてあげたい」
「レミリアたんを幸せにする道は無いんですか?!」
「うちの妹に生まれてくれればこんな悲しい思い絶対させなかったのに」
「レミリアたん! レミリアたん!! 私のレミリアたん!!!」
クロ「その割に随分と愛されてるな」
司会「少数派だったらしいっすけど見た目の好みと不遇なキャラへの同情の相乗効果っすかね?」
ピナ(……それってレズなのでは?)
司会(なんだァ? テメェ……)
「私は厄災の時を起こす気はないけど、魔界はどのみち救わないと世界も滅びちゃうから、メインイベントに関しては起きる前提で動こう。ゲームの強制力がある世界の可能性も考えないと。それに万が一星の乙女が現れないかもしれないし、備えだけはしっかりしておかないと」
(試してみた方法がダメだと判明して落ち込んだり、失敗して「ぎえええ!」と可愛い悲鳴を上げるエミはとても可愛かった)
(エミが見ていた物語では、育成素材を集めたらタップひとつでスキルのレベルが上がっていたものね。まさか飲まないとならないとはわたくしも思わなかったわ)
ピナ「うわ……」
ステ「飲んだのか……!?」
エル「あの材料を……!?」
ウィル「この時点でもう既にそこまで無茶なレベル上げを……!?」
クロ「こりゃ敵わないな……」
デビ「どうやって追いつけっていうんだよコレに……」 - 12司会精霊25/08/26(火) 20:13:53
(公爵家の令嬢として自由になるお金は全て魔晶石と育成素材に費やし、エミは魔法の鍛錬と自身を高める事に注ぎ込んだ)
「ゲームと同じことが起きたけど、クロードのお父さんが助けられたのは良かったなぁ。でもここがゲームの世界とは決め付けられないし、ただよく似てるだけの世界かもしれない……油断しちゃダメだ」
(エミは気付いていなかったが、中から第三者として眺めていたわたくしにはクロードが淡い思いをエミに抱いていたのを察した。クロードが家に来た時にはエミ……レミリアは王太子の婚約者であったため、その思いを表に出すことはなかったが。……ただの家族以上にエミの事を大切に思っていたはずなのに)
ウィル「……」
クロ「姉さん……」
(エミは他の「主要キャラ」達の心の闇も晴らしていた)
(このままだとまたこの子は無茶をする、と純粋に心配するエミの心がわたくしに流れ込んでいた)
(わたくしは気付いたが、デイビッドの心境の変化に純粋に喜ぶエミの心はウィリアルドに向いたままその理由に気付くことはなかったし、デイビッドも胸に秘めたまま分かるような態度に出す事は無かった。この男は密かにエミに忠誠を捧げていた、そのくらい大切に思っていたはずなのに)
デビ「俺は……」
エル「……」
(もう1人の幼馴染み、ステファンの悩みもエミが取り払った。いずれも物語の中では星の乙女が解決していた事だったが、エミは生来のお人好しらしく、救う方法を知っているのに何もしないのはできないようで)
「レミリア嬢は心が綺麗だから、妖精の歌う声が聞こえたのかもしれないね」
(何より魔法も音楽も、その尊さを気付かせてくれた大切な友人を笑顔にできる自分の武器だと言っていたのに)
ステ「僕は……」
ピナ「あンのやろォ……」 - 13司会精霊25/08/26(火) 20:15:07
「私こそウィルに相応しく在れるように頑張らないとって思ってて、今でもまだ足りないって……」
(わたくしは2人の初々しい恋の予感に、中から見ていて胸が熱くなるほど幸せを感じていたのに。「レミィがちょっと自由奔放すぎるから、パートナーになる僕はちょっと頭が固いくらいでちょうどいいよね」と笑っていた、なのに)
(わたくしの大好きなエミが慕われ、幸せそうに過ごす様子は見ているだけで嬉しく感じる。このまま婚約破棄する事なく、エミが心を寄せるウィリアルドと幸せになるところが見たい)
(エミは、「ウィル様はレミリアの婚約者なのに」と内心では申し訳なく思っているようだったが……今のわたくしはウィリアルド殿下個人には何も思うことはないし、わたくしがわたくしのままだったらウィリアルド殿下もわたくしを大切に想うことは無かっただろう)
ウィル「レミィ、君は……」
ピナ「こいつズルくない!? レミリアだけならまだしも、ウィルもクーロもデビーもステフも持って行っちゃって! 全部私のものなのに! 星の乙女である私に用意されてたのに!」
エル「……ひょっとして彼女も?」
司会「一応学園に来る前の状況をわかりやすくするためにそっちの映像も用意してあるっす」
「異世界転生キターーーーーーーーー!!!」
「あたしは誰? この部屋なら貴族? それともお姫様?」
「これってオトキシの世界だよね? 今は学園入学前? やった!!! ヒロインじゃん最高!! アンヘル様待っててね、あたしが結婚してあげるから!」
デビ「うわ……」
クロ「うわ……」
ステ「うわぁ……」
ピナ「こっちと向こうでなんか態度違くない?」 - 14司会精霊25/08/26(火) 20:18:05
「不敬罪となっても文句は言えないと覚えておきたまえ」
「王太子のファンなら婚約者の姉さんのことも知っておくべきだったね」
「強制退出させられたくなかったら今すぐここから出ていきな」
「星の乙女だかなんだか知らないけどこの学園に入学したからには身分も礼節もわきまえることをオススメするよ」
ウィル「そうだ……この頃はまともな対応ができていたのに……」
ピナ「やっぱりここの皆の態度おかしかった! あの転生者のせいだよね!」
司会「誰が悪いかで言えば一番おかしいのはアンタっす」
ピナ「あ゙ぁん?」
「あんたも転生者でしょ?」
「ゲームと違ってウィルと仲良いみたいだし、クロードとも仲悪く無いし、デイビッドもステファンもみーんなアンタの味方! サイッテー! 子供の頃から知り合いってだけでゲームの知識使ってズルしてたんだ! 悪役のくせにみんなから好かれる逆ハーやっちゃおうとか思ってた訳?」
「こんな卑怯な手使っていいと思ってんの? 原作ぶち壊すとかアンチじゃん? 私のための物語なのにこのクズ!」
クロ「……」ギリ……
デビ「こいつ……いや、ここで今さら怒っても仕方ねえ。飲み物でも口に入れて落ち着くか」 - 15司会精霊25/08/26(火) 20:19:06
- 16司会精霊25/08/26(火) 20:21:34
(ステファンが音楽室でヴァイオリンを練習しているところに突然やってきて一方的に何事かまくしたてという話を聞いた。弾いていた曲とまったく印象の違う感想を言われて気分を害したとだけ言っていたが)
(画面では「政治の話で盛り上がった」と書かれているだけで台詞は無かった。きちんと物語の通りに話を進めたいなら物語の中の星の乙女と同じように教養を付けておけば良かったのに。クロードと親しくなるには物語では主人公のステータスの教養や学問が必要だったのだから)
(デイビッドとのイベントも、それまでの会話と選択肢によって好感度を上げると誘われるもののはずだ。現実世界で誘ってもいないのに押し掛けてこられたら迷惑だし、物語の通りだったとしてそこにたどり着くまでのやり取りが無いのに次に進む訳が無いと言うのを分かっていないらしい)
(物語と違って王太子達にべったりでは他の生徒も何かする気も起きないだろう。そもそも国が庇護している星の乙女に王太子の前で危害を加えるわけにはいかない。目の前でなくとも少し考えればリスクの方が大きいのにわざわざそんなバカな事をする者もいなかったのだろう)
司会「あの、ピナさん」
ピナ「あによ」
司会「ピナさんってゲームが下手くそなんすか? それともコミュニケーションが下手くそなんすか?」
ピナ「ゲームはやり込んでたし前世でも老若男女に好かれていましたが!?」
クロ「それでこれはあまりにも……」 - 17司会精霊25/08/26(火) 20:23:01
(最初から、「現実世界で無理やり人を好きにさせるアイテムなんて使うわけにいかないでしょ」と考えていたエミには、そんな卑怯な手段をすぐ思い付けず、おかしいと思った時には学園内の過半数がそのアイテムの餌食になっていた)
(善人のエミには思い付けもしなかった。自分が、一切やってもいない事で悪人に仕立て上げられるとは思ってもいなかったのだろう)
(わたくしには何も出来なかった。見ていることしか出来なかった。エミが、覚えのない悪意の噂で傷付けられて、友人や信頼していた人たちを失うのを)
「レミィがあんな事をしたなんて信じてないけど、あの子は住んでた世界が違うから僕達と捉え方が異なる、接し方には気を使ってあげた方がいいと思うんだ」
「ねぇレミィ、ピナにもうちょっと優しくしてあげることって出来ない?」
「レミリアはこんな事するなんて思いたく無かったのに」
「何であんな事を言ったんだ? ピナは泣いてたよ」
ウィル「うっ……」
デビ「ぐっ……」
ステ「うぐぅ……」
司会「この辺はこれでも一応巻きで進めてるっす」
ピナ「酷い目に遭わされた側としてはこの辺ちょっと溜飲が下がるわー♪」
クロ「…………」 - 18司会精霊25/08/26(火) 20:24:11
(わたくしは、あの女が、落ちていく瞬間薄く笑っていたのも見ていたのに……見ているだけしか、出来なかった)
「……残念だよ、レミィ。そこまで頑なに罪を認めないなら流石にもう庇えない。……レミリア・ローゼ・グラウプナー!! ……お前のようなものを未来の王妃として迎え入れるわけにはいかない。王太子ウィリアルド・アーク・クライゼンの名をもって、この婚約を破棄する!」
(淑女からは程遠く、はしたなくもウィリアルドの体にしなだれかかった彼女の嘲りが見えていたのは正面にいる私だけだろう)
(ああ、ダメだった。あんなに頑張ったのに。ウィル様も、可愛い義弟のクロードも、幼馴染みでもあるデイビッドにステファンも。おぞましいものを見るような目で私を睨む。みんな、みんな、私を信じてもくれなかった)
(これだけ大勢の人に、私は嘘をつかれて罪を着せられるほど恨まれていたの? 身に覚えの全くない事を捏造されるほど……)
(すべてに絶望して、強く人生に悲観を抱いたエミは自分の中に沈んでいってしまった)
エル「……」
ステ「レミリア……」
クロ「姉さん……」
デビ「レミリア……ッ」
ウィル「レミィ……いや、“エミ”……」
司会(その辺りの関係はそろそろシンプルになる頃合いっすけどね) - 19司会精霊25/08/26(火) 20:25:41
(およそ十一年ぶりの、身体の重み)
エル「……?!」
ウィル「……?」
ピナ「?」
「わたくしはわたくしの名において、犯していない罪を認めるなど偽りを述べるわけにはまいりません」
全員「「「「「「ちょっと待て!!!!!!」」」」」」
司会「その反応を待っていたっす」 - 20司会精霊25/08/26(火) 20:27:01
ウィル「この時はちょっと頑固になっていただけだと思い込んでいたが魂のことを知ってから見るとだいぶ別人だな!?」
司会「まあそっすね。実際別の人っすから」
ステ「え? それじゃ僕らの知ってるレミリア……“エミ”っていう女の子は……?」
司会「エミさんの魂は“レミリア”としては以後出てこなくなるっす」
デビ「待ってくれ。それじゃ俺たちの知ってるレミリアは……」
司会「エミさんが頑張って素敵な淑女として築き上げた公爵令嬢“レミリア”のイメージと、その築き上げられた“エミのレミリア”像に生涯を殉じる覚悟で準じているレミリアさんの言動の組み合わせっすかね」
エル「全く気づかなかった……」
司会「まあエルハーシャ様はエミさんが喋っていた頃のレミリア嬢とそんな頻繁に会ってなかったみたいなんで。スフィアさん含めて付き合いの長い人たちにも一切察知させないレベルっすから」
ピナ「あの時アンヘル様が嘘判定しなかったのって……」
司会「エミさんは転生者と言えるけどその記憶を貰ったレミリアさんは別に転生者じゃないっすからね」
“わたくしもあなたに恋をしていたわ”
“でもその言葉が何より聞きたかったあの日のわたくしは、もういないの”
ウィル「…………アレそういうことかぁ~〜っ!!?」
司会「そうっす」 - 21司会精霊25/08/26(火) 20:28:02
(いつもあんなに、絶え間なく流れ込んでいたエミの心の声も感情も何一つ感じない。きっと深い眠りについているような状態なのだろう、今のエミは何も感じることが出来ず、何も考えることが出来ないのだろうとぼんやりと分かってしまい、とてつもなく寂しくなる)
(あなたが何もしていないのはわたくしが誰よりも知っていてよ。だから大丈夫、「エミ」の事はわたくしが守ってあげる。幼いわたくしの心をエミの思い出が救ってくれたように)
(エミが心を砕いてくれた「レミリア・ローゼ・グラウプナーの幸福」もわたくしが取り戻すわ)
クロ「……なんて美しい絆なんだ」
デビ「それで世界を廻って救済の乙女に……」
ウィル「2人とも、間違いなく僕たちの知る“レミリア”なんだな」
エル「……そうだね」
(……今はまだ手札がない。そう、ここは大人しく引き下がるべきである。エミを絶望させた者たちに報いを受けさせるためにはまだ足りないものが多すぎる)
(夜会の最中、エミの周りで囁かれた言葉をわたくしは一言たりとも忘れていない。声で誰かも分かっている、エミの今までの行いを一切鑑みようとせず、あの女の嘘に騙されてエミを陥れ偽証に手を貸した者達は許さない。罪を捏造する偽証を行うのは王国法で犯罪だと明記してある。犯罪者に相応しい末路を用意して差し上げよう)
(そしてわたくしの今の発言から、「レミリア」が星の乙女を傷つけるような真似はしていないと察していながら我が身かわいさに実の娘を見捨てたこの男にも、同じ反応をするわたくしの生物学上の母親にも相応の報いは受けてもらう)
ステ「えっ怖い」
ウィル「やっぱりだいぶ別人だった」
エル「……そうだね」 - 22司会精霊25/08/26(火) 20:29:09
(エミに救われておきながら、エミを裏切った幼馴染み達も許さない)
(あの男達は自分の信じたいものを信じたからこうなったのだ。「レミリアに嫉妬されるほど大切に想われている」と、それが真実だと思いたかったからそう信じてこうなった)
(彼らも騙された被害者だなんてわたくしは思えない。エミの事を知っていたのに、エミと過ごして信頼を築いていたはずなのに、それを裏切ったあの男達をわたくしは許さない。お前達が1番後悔する形で復讐を行なってあげる)
(何よりあの女。何故、神はあの醜悪な魂に星の乙女の体を与えたのかしら。お前だけは何があろうと生きたまま地獄に落とす)
(殺すなんて生温い事はけっしてしない。死を願うような、死すら救済と感じるような境遇があの女には相応しい)
デビ「めちゃくちゃ狙われてるんだが」
ピナ「やっぱり悪役令嬢だったじゃんアイツ!」
司会「そりゃ転生者の記憶で“自分は将来悪役になっていたんだー”ってのを知った上で大人しくしていたのにぶちギレさせて引きずり出したら復讐なんか躊躇ないっすよ」
ウィル「……まさかあの頃治水事業も農業政策も上手くいかなくなっていたのは」
司会「半分はレミリアさんの復讐っすけどもう半分は調査係のジム君を殿下が冷遇しちゃったからっす」
ウィル「うっ……」 - 23司会精霊25/08/26(火) 20:30:19
(愚かな事をしたのか、工作に負けたのか、どちらにしろわたくしという駒の利用価値は無くなってしまった。物語とは違って貴族籍の剥奪まではされなかったが、星の乙女を傷つけようとして幽閉された令嬢など何の価値も無いだろう)
(わたくしの名義で、エミが様々に開発してロイヤリティが入っていた前世の知識を利用した商品の権利と引き換えにグラウプナー公爵から譲り受けた屋敷とその周辺、その中に含まれる廃村の裁量権を引き取った)
クロ「そしてこの家は本当に」
デビ「こう言っちゃなんだが俺たちの家ってとてつもなく良い家庭だったんだなって改めて実感する」
エル「……というか、まさかこれが後のルグラーツェなのか」
ウィル「最初はもう少しまともな村に送られるのだとばかり思っていたが本当に人がいないんだな……」
ステファン「ここからどうやって地位を回復しろと……」
(エミが「前世チート」と呼ぶレベリングを行なったおかげで魔法を扱う力だけはずば抜けていたわたくしは使用人全員に十分な手当てを渡して紹介状を書き、勝手を詫びると暇を出した上でこじんまりした屋敷全体にわたくし以外の出入りの出来ない結界を張った)
「わたくしは王都で冤罪をかけられて王太子殿下の新しい恋人に追放されたの……あなた達がここにいてはわたくしに巻き込まれてしまうかもしれません」
(涙ながらに美少女に語られて、警戒していた彼らはわたくしの身の上に同情していた。自分の村でこの話を広めてくれるだろう。ピナの影響の及ばない僻地から、真実を広める手を打っておかないと)
ピナ「よくもまあいけしゃあしゃあと……!」
クロ「それ君が言うか?」 - 24司会精霊25/08/26(火) 20:31:36
(人間は信用できない。ピナの手駒になる可能性があるから。わたくしは通いの使用人を全て解雇した屋敷の中で自分の用意した食事を摂る)
(エミの記憶のおかげで多少の家事なら手間ではないし、掃除や洗濯は魔法で片付く。知らない人間にそばにいられることの方が煩わしかった)
(ああ、今はこの家の中にエミとわたくし2人だけなのね。こんなに心休まった事は無いわ)
ステ「手際の良さがすごい」
ウィル「そして僕らへの情なんかこの時点で欠片も存在していなかったんだな」
デビ「なんせ別人だからな……」
クロ「というかこれ物語でウィリアルドに向かうはずだった執着が全部“エミ”に向かっているな?」 - 25司会精霊25/08/26(火) 20:33:29
(守りを固めたわたくしが次にしたのは、ピナが利用していると思われる課金ショップを潰す事)
(魔族だけならピナに骨抜きにされる心配を当分しなくていい。わたくしはやっと手駒を手に入れた。店主にはさらに、恋の秘薬と魅力の香水については貴族に目をつけられ始めているから販売を中止するか相手をごくごく厳選するようにと伝える。「この2つが一番売れるんだけどな」と渋る店主に、代わりにわたくしの作った魔晶石を大量に融通する事で首を縦に振らせた)
(店主には「その常連の若い女が貴族相手にその薬を複数人に使って好き勝手やったため」にこの店までもが攻撃対象になるかもしれないと話をした)
ウィル「なるほど。国内でいち早く魔族に目をつけることができたのも物語の知識によるものか」
エル「“恋の秘薬”に影響されない魔族を村の住民として周囲に置き、“恋の秘薬”そのものの供給を断ち、困窮する魔族の地位向上と共に“エミのレミリア”の名誉も回復される……上手く行けば一石三鳥の策だ」
クロ「さすがだな、姉さんは……」
ステ「というか王都にあんなものを売っている店があったなんて……」
デビ「…………ん? 王都の……10番街の裏通り?」
ピナ「あの店使えなくしたのやっぱりレミリアだったんじゃない! やっぱり裏で着々と私の邪魔してたのね酷いやつ!」
クロ「酷いも何も店の薬の使用自体が酷い悪だからその邪魔をするのは善行なんだよな」
デビ「あの家宅捜索やらせたのお前が呪いの香水と薬手に入れるためかよ! 何が“友達のダイエット”だ何が“違法な薬物だと知らなくて”だ巫山戯やがって!」
ウィル「しかも強硬な手段でさらに薬を手に入れようと……!?」
ステ「やっぱり悪魔でしょこいつ」
エル「秘薬と香水の供給が絶たれて本当に良かった……」 - 26司会精霊25/08/26(火) 20:35:14
司会「まあどっちにせよこの頃には秘薬の効果もだいぶ無くなってたんで、ピナさんもそこまで悔しがる必要ないっすけどね」
ピナ「は?」
ウィル「どういうことだ?」
司会「世界を破滅から救うために派遣される星の乙女の魂には協力者を集めるために人から好かれやすくなる力があって、この力が恋の秘薬の効果をめちゃくちゃ高めちゃってたっす。星の乙女の魂がいなければ普通の人が使ってもただの恋のおまじない程度の効果しか無かったっす」
エル「星の乙女の……肉体ではなく魂? そういえば本来の星の乙女は」
司会「エミさんとレミリアさんの関係と同様にピナさんも異世界の魂と本来の星の乙女の魂が同居しちゃったワケっすけど、ピナさんがあまりにも絶対にアカン選択肢を取り続けたから何もできない星の乙女の子はひたすら肉体から離れることを願い続けて、エミさんが断罪と婚約破棄されたのとほぼ同時に肉体から完全に切り離されて精霊界に保護されたっす」
デビ「ひでえ……」
ステ「なんてむごい……」
クロ「本来の魂が肉体から切り離されたってつまり……」
ウィル「ピナと僕らはその行いで“エミ”と星の乙女、2人の女の子の魂を精神的に殺したのか……」 - 27司会精霊25/08/26(火) 20:36:18
ピナ「つまり各地でやった加護の効果が薄かったのも上げたはずの好感度が下がったっぽいのも仕様じゃなくてその魂のせいだったのね!」
ステ「こいつどこまで他責思考なんだ」
デビ「今の話でその感想出てくるの正真正銘の悪魔だろ」
エル「“その魂のせい”というか、君が悪いことをした“せい”で星の乙女の魂は離れていったわけだが」
司会「加護の効果が薄かったのは半分くらいピナさんがロクにレベル上げ出来てなかったせいなんすけど」
ピナ「ぅ゙っ……い、いや〜それはさ」
司会「そして秘薬で上げた好感度が下がったように感じられたのはアンタが人づきあいド下手クソすぎて秘薬で上がったままの好感度をガチの嫌悪感が凌駕していったからっす」
ピナ「そんなことある??」
ステ「あの時は本当に、本当に辛かった」
デビ「地獄みてーだったもんな」
ウィル「廃嫡されて地方に飛ばされた後とピナと一緒にいる時のどちらがより不幸だったかと言われると……」
クロ「そういう意味で姉さんは僕らのことも救ってくれたのかもしれないな」
ピナ「そこまで??」
エル「ところで、彼女の呼び名は“ピナ”で良いのか?」
司会「本来の星の乙女も肉体と生前の名前を捨てて生まれ変わっちゃいましたし、この人も前世の身バレとか嫌でしょうからとりあえず個人情報保護っつーことで」
デビ(こんな催しを企てておきながら今さら?)
クロ「保護する必要あるのか? ソレ」
司会「ゆーてそこまでこの人の前世の名前を頭に入れとく用事あります?」
ウィル「……ないな」
ステ「じゃあ……いっか」
ピナ(知らせたいわけじゃないけど扱いに納得いかない) - 28司会精霊25/08/26(火) 20:37:21
司会「じゃあ話が盛り上がってたんでちょっと止めた映像をレミリア嬢と店主さんとの交渉のところに戻すっすけど」
デビ「すごい量の魔晶石だな」
ステ「大きさも透明度も素晴らしい」
ウィル「見たこともないカッティングだ」
クロ「そうか。これまでのレベル上げで貯めていた分の……」
「わたくしが小一時間で作りましたの」
エル「えっ」
クロ「は?」
デビ「なんて?」
ピナ「あれってそんぐらいの時間で出来上がるもんなの?」
ステ「……少なくとも僕には出来ない」
ウィル「僕も無理だ。カッティングの形状は別世界で発展した技術の知識にしても……」
司会「世界を破滅に導けるほどの才能と魔力を自覚した上で魔晶石作ってレベル上げをずっと繰り返していたらこんなんになるらしいっす」 - 29司会精霊25/08/26(火) 20:38:23
「社会から追放された娘っ子一人で魔族の村を興そうなんて狂気の沙汰。信用を得るにはこれくらいできませんと」
「魔界には生活できる土地がなく人間界では迫害を恐れて隠れ住むしかない。しかしわたくしの村なら堂々と暮らしながらの商売をお約束いたしますわ」
「気を抜くとダメね。店ではちゃんとエミのように笑えていたかしら」
デビ「もはやエミ関係なくね?」
クロ「ただの女傑として交渉成功してるのでは?」
(エミは、子供の頃はレベリングのために魔晶石を購入していたが、錬金術を学んで腕を上げてからここ数年は自分で作ってそれを使うようになっていった。魔物を討伐し、魔石を回収し、それを加工して魔晶石を作り、作った魔晶石を割って魔力を回復したらまた魔物を討伐する。「ヤバイw永久機関できたw」とすごく興奮していた微笑ましい光景が昨日のことのように思い出された)
ピナ「たまにオタク出てくるわね」
ウィル「年頃の女の子が魔物討伐とレベル上げに邁進するのは微笑ましいのだろうか」
ステ「あのエミって子に関しては全肯定レミリアなんだろうな」 - 30司会精霊25/08/26(火) 20:39:38
(この隠し扉とすべての能力値を底上げする指輪)
(ピナはもちろんここの存在も知っていたはずだが、「ボーナスダンジョン」と呼ばれるほどにたやすく攻略出来るのに反して強い装備が手に入る、ここに手をつけていないと言うことはこの他も何も進めていないだろう。男漁りに夢中になって、本来の星の乙女の役割を捨てていたあの女らしい)
ピナ「わ、私の指輪が横取りされてる〜~~っ!!?」
クロ「今気づいたってことは完全に忘れてたんだろ」
デビ「物語の知識あるなら一目散に取りに行けよこんな重要アイテム」
ピナ「だ、だって男性騎士と攻略に出かけるのが許可下りなかったから」
ウィル「“星の乙女としてのお告げがあった”とでも言って女性騎士と指輪だけ取りに来れば良かったじゃないか」
司会「この人世界救済のタイムリミット忘れるレベルの楽天家な上に優先順位バグりまくってるすからね」
クロ「タイムリミット? まあ確かにこの偽乙女を野放しにし続ければ王国の国庫は破綻していただろうが」
司会「早く魔国救わないと魔族を苦しめてる瘴気が王国のある大陸にまで溢れて人類滅亡っす」
エル(絶句)
デビ「オイこの偽乙女エエエェッ!!」
ピナ「実際なんともなかったから! ノーカン! ノーカン!!」
ステ「そりゃレミリアがいてくれたからねぇ!!」
司会「あと神々の中にヤバいのがいて世界を洪水で沈めて地上のアレコレを一掃しようと目論んでいたっす」
ウィル「星の悪魔アアアァァァッ!!!!」
ピナ「人をカービィみたいに言わないでよ!」
司会「そのピンクのあくまは食っちゃ寝ばかりでなくちゃんと世界を救いに出かけるっす」 - 31司会精霊25/08/26(火) 20:40:47
(小説書籍版第2巻より「あなたを想う」参照)
(魔族受け入れ)(魔術教育)(殺虫魔法開発)
(塩漬け依頼の解消と人避け)
(肥料開発)(浄化菌発見)(天界の鍵集め)
デビ「マジであったんだな魔物大量発生の兆候……」
ピナ「は? 殺虫魔法!? そんな便利なものあるなら私にも差し出しなさいよ!」
ウィル「それを開発したレミリアが離れていったのは君も原因の大きなものだろ」
クロ「窒素肥料ってなんだ……?」
エル「学問体系や教育政策の違いを差し引いても、“エミ”という子はかなり勉強熱心だったようだね」
司会「調べたことがある分野の手広さと理解度では多分“悪役令嬢レミリア”に匹敵するレベルの上澄みっすよね……」
(携帯食料)
ピナ「おのれ転生者知識を最大限活用しよってえええっ! 私だってそんなん貰ってダンジョンに潜りたかったわぁ!」
ウィル「だからさ、お前はレミィを追い出した代わりに積極的にダンジョンに行くことすらも……いや、いいや。もう……」
デビ「しかしそれはそれとして言ってることだけは理解できちまうな……。戦闘員なら誰だってレミリアの支援の下で魔物討伐やダンジョン探索に行きたいだろ」
ステ「もしもの時のための3日分の非常食に上級ポーションまで支給されるんだものね……」
エル「しかも他所で売られている携帯食料より味が良いときた」 - 32司会精霊25/08/26(火) 20:42:07
「この魔道具があれば、火を使わずに温かい料理が作れるんですよ」
「火を使わずに!?」
「似たようなものはすでにありますけど、実際に火が出たり、火の魔石から出た熱を調理に利用するので、使えない場所も多いですよね」
「そうですねぇ、あれも十分便利なんですけど。でも火が自由に使えるダンジョンの方が少ないんですよねぇ」
ピナ「なんかあざといテレビショッピングみたいなトーク始まったわね」
司会「こっちの冒険者にはそういう文化無いはずなんすけど、見事に誘導されてるっすねー」
クロ「まあ確かに、宣伝効果は抜群だろうな」
(まだこの話をしてないどころか、わたくしの村にもソーン自身の店らしい店もない。けど商業ギルドへの届け出も含めて、戻ったらすぐに全て実行するので、嘘ではないのよ)
(ソーンにはこれから話すことだけど、何も問題はない)
ピナ「これはひどい豪腕経営者」
デビ「ワンマン社長の鶴の一声」
ステ「ソーンさん可哀想」
エル「…………でも、商機は大事だからね」
ウィル「……たまにやってしまうんだよな」
デビ「この……有産階級どもめっ!」
ステ「落ち着いてくれデイビッド。その分け方だと僕らほぼ全員そっち側だ」 - 33司会精霊25/08/26(火) 20:43:13
(「神」を自称する魔物に生贄を要求されたサクリ村)
(討伐隊のリーダーになったモリクと、その恋人のノノ)
ピナ「開発者の中に346Pでもいたのかしら」
エル「その“ミシロピー”も別世界の?」
ピナ「別のゲームのキャラで……よく机の下に入ってる女の子とあの2人が名前似てるのよ」
クロ「何が流行っていたんだ君の世界」
ピナ「大雑把に言ったら歌と踊りのゲームよ」
ウィル「歌と踊りと“机の下に入る”の接点とは……?」
(旧来の「魔皮紙」とエミが発明した「魔草紙」とレミリアが改良した「魔造紙」)
デビ「すげー発明がどんどん出てくる……」
ウィル「国家に有用……」
ステ「返す返すもあんな扱いをしたのは大きな過ちだった……」
(飼い主の帰宅を待つペットみたいなソーン)
ピナ(あたしもこんな風に男を侍らせたかったなぁ)
(村の診療所を任された元冒険者のケルルク)
司会(内科医系っすけどこの人ってDr.ヒルルクと名前の由来一緒なんすかね)
※ドイツ語で「外科医」は“Chirurg(ヒルルク)” - 34司会精霊25/08/26(火) 20:44:16
(港街の天界の鍵)
ピナ「なんかコイツ自作自演とかマッチポンプ的なやり方ばかりしてない!?」
司会「条件が揃った時に周囲を巻き込んで大爆発するものを制御のために小さい爆発で前もって処理しようとするなら人の手で爆破する形になるっす」
ピナ「というか私が貰うはずの天界の鍵と名声を勝手に盗んでる!」
司会「いやホント……男性キャラの攻略を後回しにしてダンジョンの攻略とレベル上げを優先してれば指輪が持ち去られたのも星の乙女抜きで物語が進んでいるのも気づけたしワンチャン男性キャラ攻略の糸口にもなったでしょうに何やってたんすか……」
(本人は良かれと思っているらしい「ぜひうちの息子と会ってくれ」だなんて失礼な言葉も三十回ほど聞かされた)
(あのねぇ。最高級の金剛石を前に「ぜひこの屑鉄で作った台座にはめてアクセサリーを作らせてくれ」って申し出るのは失礼だって分からないのかしら?)
ピナ「やなやつ! やなやつ! やなやつ!!」
クロ(当然の考え方では?)
ウィル(というか多分同じ状況になったらお前も同じようなこと思うどころか口に出すだろ) - 35司会精霊25/08/26(火) 20:45:33
(花の都ファレのリュジーナ)
ピナ「へー。あの敵って闇落ち前はこんなビジュアルなんだ」
ステファン「闇落ち」
司会「物語の中だとこの人は恋人に裏切られた絶望で潜在能力が暴走し、街中の男を魅了の力で操っていたらしいっす」イメージ図どんっ
ウィル「うわぁっ」
エル「これはこれは何ともまあ」
デビ「すげー格好だ」
ステ「あんな清楚な美人がこんなひどいことに……」
クロ「悪魔的な魅惑ってやつなんだろうか」
デビ「……そう考えると格好そのままで悪魔みたいな姿になってたピナってある意味すごいよな」
ピナ「は??」
ステ「いや確かに恐ろしかったけど」
エル「一生残る悪夢として脳裏に焼き付いた人も多いだろうね……」
ピナ「あぁ゙ん?」
(カインとリリス)
クロ(うわ)
デビ(うわ……)
ウィル(うわぁ……)
司会(要するにこの世界におけるリィナさんの同類っすね)
ピナ「とんでもないクズもいたものだわ」
男性陣(((((!!???)))))
司会(自分で自分のダブスタに全然気づけないっすからねこの人……) - 36司会精霊25/08/26(火) 20:47:51
(見つけたわ。ドワーフ国の王女サラスティリ)
ピナ「悪い顔ねぇ」
ステ「なんか相手見惚れちゃってない?」
ウィル「魅了の魔法使ってる?」
エル「ちょくちょく“悪役令嬢”の方の素で相手を惚れさせてるよね彼女」
(わたくしはエミを意識してこのお転婆なお姫様と接していたのですぐ仲良くなれたが、きっと初対面の同性には嫌われるあの女じゃ無理だったでしょうね)
ピナ「なんだとぉ……」
デビ(そりゃあなあ)
クロ(だろうな)
ステ(光景が目に浮かぶようだよ)
「わたくしがここを訪れた目的はただひとつ。火の神に『聖鎧』を賜りたく参上いたしました」
ウィル「えっ」
ステ「そういえばそういう話だったね」
デビ「王国民としちゃなかなか衝撃的な話だよな」
エル「世代交代が進めば“聖女レミリアによる世界救済の前に生まれた王国民にとっては”という但し書きに変わっていくんだろうね」 - 37司会精霊25/08/26(火) 20:49:02
「してそなたは『聖鎧』をもって【誰】を討つつもりか?」
「天界の主。そして世界の創造神を」
クロ「は?」
ステ「はい?」
デビ「はあ?」
ピナ「そういえば私ちゃんと邪神のこと伝えたのに誰も信じてくれなかった! みんなひどい!」
エル「……あー」
ウィル「そういえばなんかそんなことを言っていたような……」
司会「ピナさん信用がないので……」
ピナ「あぁ゙ん?」
司会「あとピナさん説明も下手なので……」
ピナ「おぉ゙ん?」
司会「ギヤニュートラルで空ぶかしするのやめてほしいっす」
ピナ「アタシがギヤ入れたらこうだぞお前」
司会「どうせウィリーっす」
ピナ「ブオオオオオンッ!!!💢💢💢」
エル「抑えて抑えて」 - 38司会精霊25/08/26(火) 20:50:15
「神討を成し遂げました暁には、必ず火の神様のもとに聖鎧を返しに参ります」
「……人の世に存在する中では二度と手にする事の出来ない価値と力を持った品だが、何ゆえ手放すと、その結論に至った?」
「人の身には過ぎた品だからでございます。わたくしの存命の間はともかく、後世に人の間にも神に対しても諍いを生む事になりましょう。神のみもとに返す事こそ相応しく思います。どうか次の世に必要とする方がいましたら火の神ご自身がお授けください」
「……よく言った」
エル「ここまで言われちゃ王室の権威も形無しだ」
ウィル「すごいな、レミィは……」
「ごきげんよう、邪神」
ピナ「つっっっよ」
デビ「俺たち本来ならこの両方と戦う予定だったのか……」
ステ「全く想像できない……」
司会「物語的にレミリアさん、天界の主、創世神様、(+アンヘル?)は終盤のボスになるんでそりゃ強いっすよ。主人公側の皆さんはレベルを上げて装備を揃えて仲間を集めて数の力とアイテムで押し切って各個撃破って感じっす」
ウィル「すごいな、レミィは……」
クロ「すごいや姉さん」 - 39司会精霊25/08/26(火) 20:51:30
《返せ!! ボクの心臓ぼくのぼくくくのぼくのぼくの》
ステ「うわぁ……」
ピナ「きっっしょ」
エル「神にも色々いるんだねえ……」
「は? そんなんだから振られるのよ。気持ち悪い」
デビ「それはまあ……そうだろうな」
ウィル「僕らが言う筋合いは無いだろうが哀れに思っても同情はできない」
「感謝なさい。世界が少しきれいになったわ」
クロ「格好いいな、姉さん……」
ピナ「アンタも大概何でも良い人になってる?」
デビ「素の表情を隠す必要ないからめっちゃのびのびしてるよなこのレミリア」
ステ「物理的に羽を伸ばしだしても最早驚きがない」
(城の裏の試練の洞窟を踏破すると装備が手に入るのだが、あれは星の乙女の専用衣装なので興味はない。「レミリア」にそんな物を身につけさせる気はさらさら無かった)
(そもそもあの女とわたくしでは体型が違いすぎて入ると思えないし。胸が窮屈そうで嫌よ)
ピナ「お゙?」
ウィル「落ち着け」
クロ「体型が違うのは事実だからな」
司会「異世界から来た魂が入る前のピナさん栄養状態とか生育環境がだいぶアレだったんで……」 - 40司会精霊25/08/26(火) 20:52:52
(スフィア到来)
「私を貴女の騎士にしてほしい」
「婚約は破棄! 実家とは縁切り! 騎士も除隊してきた!」
「騎士団長の家との繋がり欲しさにくずと娘を結婚させようとしていた家族だ。なんの未練もない」
デビ「うぅ……っ」
ウィル「耐えられるかデイビッド」
デビ「なんとか……」
(利用者に貴族も多かったこの店が潰れた理由は「星の乙女が商品を独占しようと店主を略取し飼い殺しにしようとした」と広めておいたら、毛生え薬や痩身薬の手に入らなくなった貴族達はピナの事を見事に恨むようになった)
ピナ「何してくれとんじゃあの女ァ!!」
デビ「事実だろ」
ステ「そっちが作った状況を後押ししただけだからね」 - 41司会精霊25/08/26(火) 20:54:03
「それでね、村長さん。わたくしお目通りしたい方がいるの」
「目通り? そんな偉い方の知り合いなんてレミリア様以外に俺にはいませんけど……」
「魔王陛下にお会いしたいの」
ピナ「ずるい! ずるいぃ……! こんなに早くアンヘル様のところに行くなんて……」
クロ「さっきの“物語”の話からするともう世界救済の大詰めなんだよな」
司会「まあこの映像自体けっこうかいつまんだ編集になってるのと、さっき言ったように“実質ラスボス”のレミリア様ご本人が攻略の旅を進めているのと、物語の知識とレミリア様の魔法で効率的に旅を進めているのと、あと学校卒業前に追放されて本来の物語よりも早いタイミングから準備を進めてたので被害が少ないうちに片付けられているのもあるっすね。……そういや転移魔法無いと魔国に行けないんすけどピナさんどうするつもりだったんすか」
ピナ「えーと……物語通りの筋書きになってアンヘル様が向こうから会いに来てくれるか、そうならなければどうにか魔族を捕まえて転移の方法を聞き出すか……」
ウィル「ご都合主義と強硬手段の2択なのか……」
エル「そのどちらも失敗しているわけだけれども」 - 42司会精霊25/08/26(火) 20:55:10
「わたくしには、この世界を救う乙女の記憶があるのです」
「ただ、それを良しと思わぬ悪しき心を持った存在に妨害を受けてしまい、記憶の中の出来事とは大きな乖離がありますが……」
(魔王の中ではその「悪しき心を持った存在」が周囲を騙してわたくしを追放したように見えるだろう)
ピナ「この悪役令嬢めぇぇ……!」
司会「ピナさん悪気は無かったけど悪意にまみれていたっすからね」
デビ「最悪じゃねーか」
クロ「その2つが両立することってあるか?」
司会「……他の例だとピナさんが学園に来た後の皆さんが割とそんな感じなんすけど」
ステ「うっ」
エル「最後の確認なんだけど別に市井で伝えられているような邪神の手先の悪魔として世界を破滅させようというつもりはなかったんだよね?」
ピナ「んなワケないでしょうが! 何をどう邪推すればそんな話になるのよ!」
ウィル「しでかした事からすればそう見做す方が自然なくらいなんだが」
司会「シンプルにまとめるなら周囲からの称賛を独占すべく動いたのが知識不足と思慮不足、他者の心への無理解に怠け癖、生来の強欲さやその他諸々の悪性によって全部破綻したのがこの人の人生っす」
ステ「哀れな生き物すぎる」 - 43司会精霊25/08/26(火) 20:56:12
「どんな神が定めたどんな過酷な運命だろうとも、わたくしが世界《エミ》を救うと決めた信念には敵わない」
ピナ「今なにかすごいルビが見えたわね」
クロ「それを貫くためにずっと動いているんだものな」
エル「思えばそれでこんな状態だった魔国も廃村そのものだったルグラーツェも、あるいは王国も他の国々もあそこまでの繁栄をもたらしてしまうのだから……」
ウィル「やっぱりすごいよ。レミィは」
(いったい いつ以来のことだろう)
(誰かの背に守られ戦うのは)
ピナ「リアル創世神キモッ」
デビ「面子的にもとてつもないハイレベルな戦いになるな……」
ステ「これでレミリアと魔王の側はまだ余裕が有るっていうんだから……」 - 44司会精霊25/08/26(火) 20:57:27
「陛下のおかげです……共に戦ってくださってありがとうございました」
(世界のために戦うエミのレミリアの勇姿をその長い寿命で語り継ぎなさい)
エル「なんだか愉快なこと思ってるね」
デビ「よく知ってる顔が知らない表情と思考してるのまだちょっと慣れねえんだよな……」
「ありがとう」
「こちらこそ……どういたしましてアンヘル」
ステ「でもこういう時は僕らの知ってるレミリアと寸分違わないんだよね」
ピナ「良いなあ、呼び捨ての許可も貰ってるし、こんな綺麗なスチル自分で回収したかった……」
クロ(実力的にも人格的にも無理だったろうな) - 45司会精霊25/08/26(火) 20:58:34
「わたくしはあなたに「浄化の乙女」の称号を授けます」
(心底いらない)
ピナ「オイ」
ウィル「心の声がでかい」
「そんな、このような称号、わたくしに相応しいとは到底思えません……!」
「いや、レミリアにこそふさわしい」
(やめて嘘偽りなくこんな呼び名を付けられたくなどないわ)
ピナ「自業自得で草」
司会「まあ仕方ないっすよね」
(ソーンに状況報告をした反応はなかなか愉快だったわね)
「え!? 瘴気の原因を潰した!? 狂化解決!? 治療もできる!? 昨日の今日ですよ!? 嘘だろ……!! マジか……マジか……!!」
エル「それはそうだろうね」
デビ「今この反応見てもちょっと気持ちがいいもんな」 - 46司会精霊25/08/26(火) 21:00:03
「彼女の記憶を頼りに世界各地で集めた転移門の素材です」
「そしてこれが作り方です」
クロ「準備が良すぎる」
ピナ「3分クッキングじゃねえんだぞ」
「村で商売をするからには隠れるなんて選択肢は存在しないわ」
(不遇に慣れすぎて未来を描くことに慣れていない。自分たちの市場価値を理解していない)
(安心なさい。わたくしが最大限活用してあげる。すべての人間を代替の効かない魔国商の虜にし、諸外国、王都への物流をわたくしの領地がすべて牛耳るの)
ピナ「ねえ、悪意云々で言ったらこいつはどうなるの?」
司会「悪気はあるんだけどそれ以上に善性の効果が大きいっていうか、小さい悪意を大きく膨らませてしまうピナさんと対照的にエミさんの思考を意識してるからか怒りや憎しみによる行動をみんなの喜ぶ結果に昇華するのが上手いっていいますか……」 - 47司会精霊25/08/26(火) 21:01:03
「優しい人《エミ》が安心して暮らせる世界を創りたいの」
(ああ……世界を救うとは、そういうことをいうのか)
エル「彼女の場合、野心的なものも我欲というよりすべて敵の排除と上げた成果を最愛の人に捧げるためみたいだからね」
ウィル「でも捧げるって言ったって“エミ”の魂はもう……」
ピナ「お墓へのお供え物みたいにしかならないじゃない」
デビ「言い方」
司会「レミリアさんは魂の研究に着手して自分の中に眠るエミさんの魂を復活させるために動いたっす」
ステ「は!?」
クロ「できるのかそんなこと!?」
司会「エミさんはショックで倒れてしまったようなもので星の乙女と違って肉体から離れたいとは望んでいないので体の中で眠っている状態っすから」
エル「……まさか魔国の“エミ王女”って単に名前を貰ったとかではなく」
司会「成功したっす」
デビ「マジかよ」
ウィル「よもやそこまで……」
ピナ「もう何でもできるじゃんレミリア」 - 48司会精霊25/08/26(火) 21:02:24
「僕は……謝罪のチャンスを与えたんだ。それをむげにしたのはレミィのほうじゃないか」
「聡明で優しい完璧な女性だと信じていたのに、あんな醜い一面を隠していたなんて心底失望したよ」
「嫉妬のあまり犯罪に走る者に国母になる資格はない」
(ああそうだ。僕は絶対に、間違ってなんてない)
「だいたい感情任せに行動していい立場じゃないだろう。それができなかったら外交でどんな問題を起こすことか……下手したら戦争だ」
ウィル「うぅ゙ぅっ……」
クロ「まさかこんなやりとりも監視されていたとは……」
司会「……ところでこんなこと言っておきながらなんでピナさんを夜会に連れてきたんすか?」
ピナ「どういう意味よ」
ステ「そりゃずっと閉じ込めておくのも無理だし……」
デビ「飼い慣らせる相手でもないだろコレは」
ピナ「どういう意味だよ」
「今大丈夫かしら?」
「レミリア!」
「折り入って相談したいことがあるのだけど」
「相談!? もちろんだ!」パアァァ
ピナ「ちくしょう……私もアンヘル様にこんな顔されたかった」
クロ「あれだけ男侍らせといてまだ足りないのか」
ピナ「攻略対象の中でもアンヘル様は特別なんだよぅ! ずっと推しだったのにそれをあの女ァ!」
司会「正直ピナさんの性格見てると陰のある美男子だから惚れ込んだのかそれとも物語の都合上付け込みやすそうな美男子だから惚れ込んだのかわかんなくなってくるんすよねー……」 - 49司会精霊25/08/26(火) 21:03:42
「必ず同盟を締結しその王としてレミリアの後ろ盾になると誓おう」
「俺は……レミリアの隣に立って恥ずかしくない男になりたいんだ」
ピナ「うぐぅっ」
ウィル「うぅ゙っ」
デビ「大丈夫か?」
「お待たせいたしました。主人がお待ちです」
司会(女中じゃなくて執事に“主人”と呼ばれてるってことはドレリアス夫人この時すでに未亡人か旦那さん隠居してるかそれともここ夫人専用の邸宅なんすかね)
ピナ「……あの双子は女? 男?」
司会「前髪整ってる方が多分女の子で前髪下ろしてる方が多分男の子っす」
ピナ「攻略対象にいたっけ……」
ステ「舌の根も乾かぬうちに?」
ウィル「欲望に際限が無いな」
エル「すごい美人なのは否定しないけどね」 - 50司会精霊25/08/26(火) 21:05:04
「この農法はね、「輪栽式農業」って言うの」
ピナ「ぁ゙ーっ私の成果にしたかったもの全部奪われていく!!」
ウィル「こちらと向こうで理解度に隔絶した差が開いているんだが」
ステ「もう何でも知ってるじゃんあの人たち……」
司会「何でもは知らないっす。知ってることだけ」
クロ「知ってることの範囲が広大無辺すぎる」
「第二王子が王都を離れたらしいな」
「それに聞いたか? 右腕の文官がこのタイミングで長期休暇に入ったらしい」
エル(当時のこちらの視点では“腹心の部下が自ら離れてくれたのはラッキーでしたね”という話だったが、ここまで干渉を受けていたなんてね)
ウィル「この状況を招いたのがこちらとはいえ……」
デビ「まさか魔法で思考に影響を与えるとは……」
ピナ「悪役令嬢らしいやり口ねぇ」
クロ(それ言ったらお前は何なんだ) - 51司会精霊25/08/26(火) 21:06:07
(マヨネーズ、と言ったかしら。エミも再現しようとしていたけど、この世界で新鮮で清潔な卵が手に入らず諦めていた。結局ウィリアルドの作ったマヨネーズとやらは、商品化の前に食中毒患者を大量に作って頓挫していた)
エル「向こうの世界では手に入るのか……」
司会「こっちの世界では向こうの世界の味よりもお酢を強めにしたりする必要があるらしいっす」
(一応浄化の魔法はかけてから生卵を使っていたようだが、食中毒が微生物によって起きるとピナがきちんと理解さえしていればこんな事にならなかったのに。浄化は人にとって害がある存在を自動で判断して取り除くような都合の良い魔法じゃないのよ? 瘴気や毒や汚れ、使用条件は無生物に対してと「穢れ」の除去に限ると気付けなかったみたい)
ピナ「雑菌って毒や汚れや穢れの範疇に入らないの!?」
司会「その辺の細かい性質の違いはかなり注意深く念入りに確かめないと理解できなかったかもしれないっすね」 - 52司会精霊25/08/26(火) 21:07:19
(他にもカレーやチョコレートなど色々手を出していた。カレーとやらは高価な香辛料をふんだんに使っていたため一時物珍しさに注目されていたが、あっという間に忘れ去られていた。多分レシピを考えたピナの舌が悪いんじゃないかしら)
ピナ「なんだとぉ……」
司会「ちなみに前世でカレー作ってた時ってルーは……」
ピナ「レトルトだけど?」
司会「ですよねー」
エル「……なんとなく察しがついたけどそういうスパイスとかの配合のバランスって素人にはなかなか難しいよね」
(また、ウィリアルドが洪水を繰り返す地域に河岸の補強を含めた大規模な治水事業を行う予定だったのを、それより上流に位置するわたくしの領地の奥にダムを作った事でその計画を潰した事もある。河川工事を請け負う予定だった選定済みの国の息がかかった業者ではなく、地元の人夫をメインに工事の発注を行った)
ウィル「ことごとく先手を打たれてる……」
デビ「これについては立地の運がなかったよ」
ステ「河岸の補強もやらないよりは良いって」 - 53司会精霊25/08/26(火) 21:08:28
「この同盟が無事結べたら」
「いや……いい。こういうのはめでたい話がまとまって落ちついてから伝えたい」
(きっとアンヘルはわたくしに求婚するつもりなのだろう)
ウィルデビステクロピナ「「「「「ぅぅ゙うっっ」」」」」
「レッ レミリアは今想っている相手はいないか?」
(………………俺……では?)
(えっ俺では?)
(これは間違いなく俺では?)
(これは間違いなく俺だな!!)
ピナ「おえ゙っ」
クロ「ここまで確信を得ながら外してるのは少し魔王に同情する」 - 54司会精霊25/08/26(火) 21:10:04
(同盟締結)
(まぁ星の乙女とウィリアルド達が学園を卒業してから1年も経っておらず、エミのようなレベリングもしていなかったのを考えると、逆らったところで魔王含めた魔族に立ち向かえるような戦力が無いというのが大きいだろう。物語の中で、当時国内の最高戦力だったドミニッチ騎士団長が魔族と戦って討ち死にした事から推測するに、物語の中のような無理な強化と育成を行なっていない人間が魔族に戦闘で勝つのは無理な話だ)
(やはり外交の要は圧倒的武力……!)
エル「確かに“外交と軍備は車の両輪”とも言うけどね……」
「嫌がらせ程度は実際あったのだろうが、あれが相手ならその気持ちも少しは分かるし、婚約破棄はやりすぎだったのでは」
ピナ「どういう意味よ!」
デビ「どうもこうも」
エル「嫌がらせする意思すら無かったのを“嫌がらせ程度は実際あったのだろう”まで持っていっただけでもすごいが……」
ステ「そういう周囲の状況を歪めようとするような言動をその後も続けているんだからこういう評価にもなるでしょ」
ピナ「レミリアだってシナリオ歪めてたじゃん!」
ウィル「エミのは善意、レミィはエミのための復讐」
司会「そしてピナさんは我欲で動き過ぎっす」
ピナ「はぁ?」 - 55司会精霊25/08/26(火) 21:11:10
(なんでこんなことになっているんだ……)
(どうして 僕を愛しているくせに)
「僕の元に戻りたいと言わないんだレミィ……」
(ビシィ)
(パーティではちゃんとエミのように笑えるわ)
ステ「ヒィッ」
デビ「そういえばこの座席温かい飲み物も出せるんだよな? ……めっちゃ肝が冷えた」
クロ「違うんだ姉さん、そんなつもりじゃ……」
ウィル「あの時は本当にどうかしていて……」
エル(国を滅ぼされなくて本当に良かった……!)
ピナ「この女なんで聖女扱いされてんのよ」
司会「……エミのように笑えていたから?」
(自分の作った魔晶石を異性に渡してプロポーズする文化が魔族にあるのも、それを身に付けるのが承諾を示すのも物語の知識から知ってはいたが、「レミリア」としては事実聞いた事がなかったのでそう答える)
ピナ「ずるくない?」
ステ「結構抜け道があるんだなあの嘘を見抜く眼」 - 56司会精霊25/08/26(火) 21:12:16
(不安げに見えるように作ったわたくしの顔を覗き込みながら、アンヘルがわたくしの膝の上の手を取る。広い馬車の中でわざわざ隣に座った彼は、向かいに座る自分の弟妹の呆れた視線に気付かないフリをしたまま「俺がついてるから」と甘くささやいた)
ピナ「ガルルルゥ!!」
(正装したアンヘルの胸元には、物語の中では主人公の瞳の色である薄紅色が存在していたが今は見ての通り水色のクラヴァットが飾られている。わたくしの瞳と同じ色。カフスなどの小物はわたくしの髪と同じ濃い金色でまとめてある。反対にアンヘルの髪と瞳の色を身に付けたわたくしを見れば、何も知らない人からは恋人同士としか思えないだろう)
ウィル「ぐぅぅ゙うッ」
エル「2人とも人間性を取り戻してくれ」
(ただ、国賓対応になるアンヘルの腕をとって最初から目立つのはこの後の復讐劇を考えると良い判断では無い)
(だって、わたくしがアンヘルのパートナーなのを最初から見せつけたらつまらないでしょう? あの女が調子に乗った所を叩き潰すところからやりたいわ)
ピナ「おのれェえええ゙ええ゙えっ!!」
クロ「駄目そうですね」 - 57司会精霊25/08/26(火) 21:13:33
「これまた趣味のよろしいことで」
「人望の下り坂に反して予算だけは右肩上がりのご様子」
「髪にちりばめられているのは砕いた金剛石かしら?」
「それにしてもなんて香り……」
ピナ「なんか態度悪いわねこいつら」
司会「とりあえず香水つけすぎだったんじゃないすか?」
ピナ「またとないチャンスだから確実に仕留めなきゃと思って……」
デビ「仕留めるとか言うな」
司会「一度に2倍使ったら2倍効くようなアイテムでもなかったでしょうに」
(この酒はリリンの実の特性を活かした「恋の秘薬」の解毒薬だ)
ピナ「何してくれとんのじゃこの女アアアッ!!」
ウィル「こっちの台詞だ」
クロ「人の言動をおかしくするような惚れ薬を学園中にばら撒くとかほぼテロ行為だろ」
ピナ「だってそもそもレミリアがゲームのシナリオ狂わせるから……本当は私だってまともな手段でみんなと仲良くできるはずだったのに……恋の秘薬だってちゃんと公式にあったアイテムで……」
司会「そりゃゲーム内では使われてたっすけど悪しき心の持ち主が悪用することは想定されてないっすよ」
ピナ「誰が悪しき心の持ち主やねん」
司会「というか本来の星の乙女ならレミリアさんの魂が転生者だろうが関係なく普通に皆と仲良くなって世界救済の旅に参加出来てたっす」
ステ「そうなのか?」
ピナ「私も正真正銘本物の星の乙女だが?」 - 58司会精霊25/08/26(火) 21:14:53
司会「話の尺や感情移入のさせ方の都合で省略されてる部分で主人公がどんな言動をとっただろうかという視点を見落としてたし、多分あなたは前世で似たようなことしてた時以上に人から好かれるのが下手になってたと思うっす」
ピナ「そんなに?」
司会「まず救世の旅で攻略対象のイケメンたちに慕われることと魔王アンヘルと結ばれることとをピナさんの目的とするならレミリアさんに冤罪かけて追放する必要もなかったっす」
デビ「……確かに」
ピナ「え? だってゲームのシナリオだと……」
司会「向こうもゲームのシナリオでそうして破滅することがわかってるのに同じ方法はとらないっす。むしろ転生者2人で協力して旅した方が被害も少なく効率的だったと思うっす」
ピナ「でもそれだと攻略対象取られちゃうじゃない」
司会「人の心は独占できないっす。聖女ムーブのエミュレートが完璧に出来れば救世と浄化の聖女コンビとして行く先々で攻略対象に敬愛され、嘘を見抜く瞳を上手く凌げればレミリアさんは婚約者のウィリアルド様とそのまま婚姻してピナさんが魔国王妃だったかもっす」
ピナ「そ、そんなルートが……!?」
ウィル(まあ無理だろうな)
クロ(無理だろうね)
エル(大前提としてレミリア嬢に入った魂に敵意も悪意もないことはクリアしたとしても……)
ウィル(完璧な聖女としての振る舞いを維持した上で……)
クロ(嘘を見抜く瞳に引っかかるヘマをおかさない……?)
デビ(無理だろ)
ステ(絶対に無理だね) - 59司会精霊25/08/26(火) 21:16:02
司会「そろそろ映像に戻るっすか」
「ほう、良い『お飾り』のようだな」
ピナ「? ……あれそういう意味だったの!?」
デビ(今かよ)
ステ(ようやく?)
エル(時間を置いて少し冷静になったのかもしれない)
(何故この女を国賓の前に出そうと思えたのだろう?)
司会「……当時の王様は止めに入らなかったっすか?」
デビ「それが出来ていれば苦労は……」
ウィル「世話係を任されている以上ここで父の手を煩わせるには……」
ステ(今思えば借りた方がまだマシだったかもしれないけど)
クロ(しかし借りたところであの王だからな)
エル(マルガレーテ叔母上が匙を投げた存在をウィリアルドに押し付けるというのがそもそも酷だったのでは……) - 60司会精霊25/08/26(火) 21:17:14
(もちろん、この女の手に渡ったのは実際にはリリスの花の蜜でない、特徴的な匂いのする魔界原産の害のない花を使ったただの無害な香水だ。ピナ自身も実物は手にしたことが無いのだから気付かないだろうと罠に使ったのである。こうして証拠を身に付けて出てきてくれて、いっそ可愛いと感じるほどに愚かな女)
エル「この時点で魔国のある大陸への渡航経験者は限られているから罠としては非常によく効いただろうね」
ピナ「ピンクダイヤまで支払ったのにニセモノ掴まされてたの!?」
司会「複数人仲介人挟んだらしいし中抜きもだいぶやられたんじゃないすかね」
ウィル「そのピンクダイヤの費用国庫というか王室の予算から出てるんだが……」
ステ「偽の乙女騒動でどれだけの資産が流出したやら……」
クロ「国内の商人に流れた分は多少の経済振興と納税で返ってきたと思っておこう……」 - 61司会精霊25/08/26(火) 21:18:20
(1人で鍛錬するにも限界があるし、本格的な魔物の討伐に行くためには騎士団の訓練日程で数日必要だが……名目上は「星の乙女」であるピナの護衛で長くは離れられないデイビッドはその時間も取れていない。騎士達の多くがピナの護衛を嫌がるからデイビッドの稼働を増やすしかないのですって)
司会「それならピナさんデイビッドさんとステファンさん連れてダンジョン行けたんじゃないすか? 騎士団長と魔導士長の息子でウィリアルド殿下がついて行けなくても王室からの信頼はあるでしょうし」
ピナ「その2人は攻略済みだし……新しいキャラとのイベントが進められなきゃダンジョンまで行っても骨折り損っていうか」
デビ「あぁ゙ん?」
ステ「世界を救うためのレベル上げは?」
クロ「レベルを上げて諸国の問題解決に動かないと新しい攻略対象とやらに会うこともできないだろうに」
司会「逃げたらひとつ、進めばふたつ、動かなければゼロっす」
ピナ「いや私は私なりに色々やってたよ」
ウィル「色々やった結果がメインストリートに汚物か」 - 62司会精霊25/08/26(火) 21:19:40
(あんなにバカだったかしら。エミの住んでいた世界は発展しすぎていて、この国よりはるかに成熟した社会制度と安定した税収がないと同じ事を導入できないのは少し考えれば分かると思うのだけど)
クロ「流石だよ姉さん……やはり偽の乙女なんかとは格が違うや」
ピナ「おお゙ん?」
司会「色んな意味で張り合う相手じゃないっすよ向こう」
「……なぁレミリア、こいつは何を言ってるんだ?」
(アンヘルの弱点は、相手がそれを真実と思い込んでいる場合に混乱してしまう事ね。まるで雨に濡れて救いを求める仔犬のようなすがる目で見つめられて、場違いにも和んでしまいそうになったわ)
ステ「……魔王とウィリアルドかわいそう」
ウィル「いや……それはもうどうでもいい」
ピナ「? これ何かダメだったの?」
エル「まがりなりにもウィリアルドの婚約者候補である人間がたった今殺意を向けてきている魔国王相手に突然求婚を始めたところかな……」 - 63司会精霊25/08/26(火) 21:20:48
(あらあら、ここで喧嘩を売るつもりなのね。エミなら晒し者にするような真似はしないとアンヘルの怒りも宥め、奥に引っ込ませてあげようと思ったのにピナはそれを無碍にするつもりらしい。まぁ、お前ならそうすると思っていたけれど)
デビ「怖……」
ウィル「こんな恐ろしい暗闘が行われていたなんて……」
ピナ「……罠にかけられた?!」
司会「罠を仕込むまでもなく行動を完璧に予測されてるっすね」
(どんな汚い手を使ったのよ!! 追放してから二度と復帰できないようゴロツキに襲うよう金を握らせたのに……!)
クロ「どんな汚い手を使ってるんだよ!」
ステ「持ち逃げされて本当に良かった……」
デビ「行っても返り討ちだっただろうけどな」 - 64司会精霊25/08/26(火) 21:22:03
(どうにかアンヘル様の誤解を解かなくちゃ……!)
(レミリア……絶対に絶対に許さない!)
(なんであたしがこんな目に!)
ウィル「自業自得」
エル「自縄自縛」
デビ「身から出た錆」
ステ「自分で蒔いた種」
クロ「因果応報」
ピナ「一人くらいあたしの味方いないんか?」
司会「四面楚歌」
ピナ「やかましいわ」 - 65司会精霊25/08/26(火) 21:23:09
「レミリアは創世神の末娘レンゲ様に加護をいただく浄化の乙女でもあるが、その加護がなくても俺は君を愛しただろう」
ピナ「ぅ゙!!」
ウィル「うぅっ」
デビ「うぐっ」
クロ「うぅ゙……」
ステ「ああ……」
ピナ「……っていうか人の頭光の演出みたいに映すのやめなさいよ!!」
司会「砕かれたダイヤモンドもまさかこんな場面でエフェクトみたいになってる角度があるとは予想してなかったでしょうね」
(なんて……見る目があるの……!)
(わたくしもエミが何者でも関係なかったの)
(タイミングも最高よ!)
デビ「この場面こんな受け取り方だったのか!?」
司会「レミリアさん常に“エミのレミリア”を人に見せてるっつー意識で動いてるので……」
ピナ「この程度の意識のやつにアンヘル様をとられたの……? こんな……アンヘル様を道具のように扱ってるやつに……」
クロ(お前の方こそ魔国王をトロフィーかアクセサリーくらいにしか見ていなかっただろ)
ウィル「この感じならひょっとしてこの時は僕にもまだチャンスが」
司会「無かったっす」 - 66司会精霊25/08/26(火) 21:24:15
「! ち、ちがうのウィル……私本当にいじめられて……その、レミリア様が怖くて、えっと、」
(実際ピナはエミの事が怖かったのだろう。好感度を上昇させるアイテムなんて使わなくてもエミは彼らに好かれていた。自分が物語の知識の中でも卑怯な手を使っている自覚があったからあそこまで焦ったのだ)
ピナ「はあー!? 違いますけどー! むしろそっちの方が卑怯だったんじゃないですかー!?」
ウィル「本当に……本当に僕を取られまいと嫉妬するレミィはいなかったのか……」
司会「ああ、はい」
(……エミは、星の乙女が現れた後ウィリアルドが心変わりをするなら婚約解消を受け入れるつもりだった。父親に言っても了承はされないだろうから、と王妃にだけだが、「ウィル様が心を寄せる相手ができた時、その方が私より国のためになる人なら婚約解消を受け入れます」と)
ウィル「そんな……」
司会「まああくまで“物語と同じ運命を強制されるかもしれない”という不安への覚悟としてっすけどね。エミさんもウィリアルド殿下のことは好きになってましたけど、4人とも“エミのレミリア”よりもピナさんの方を優先する形になってしまったんで結局不安的中っす」
クロ「いや、私は……」
司会「薬の効きが他の人より弱い時はあったかもしれないけど結局他3人と同じような動きしかしなかったんだから全く同罪で何も変わらないっす」
デビ「あの時スフィアを信じてたら何か変わっていたか?」
司会「その前にレミリアさんを信じなかったんで同じ場所には立てないっす」
ステ「進言を止められていなければ」
司会「せめてお父上にでも相談出来てたらっすねぇ」 - 67司会精霊25/08/26(火) 21:25:16
(信じていたわ。正義感の強いあなたならこうしてくれるって)
「スフィア……」
デビ「そしてこの思考と表の顔の声色の差よ」
エル「彼女もすごい演技派だよね」
“チ~〜~ン”
「さぁラストステージの幕開けだ! この歴史的瞬間を! 存分に刮目しようじゃないか! 悔いなきよう双方全力で戦いたまえ!!」
ウィル「でもってこの人は本当に何なんだ?」
ステ「何ていうか、世界が違う人としか……」 - 68司会精霊25/08/26(火) 21:26:33
「おやおやあれはフロレンス地方の……」
「成金貴族に名家の嫡男。よりどりみどりだな」
「今年は裁判長の懐にいくら入ることやら」
司会「残業手当つくにしても司法界は大変だったでしょーねー」
クロ「いや、“懐に入る”って賄賂……」
司会「……そっちっすか?」
エル「そういう話題だと君はそっち側の感覚なんだね」
「君がコートの下に薄着を仕込んで迫ってきたことがあっただろう」
“ウィル〜♡ 卒業祝いよ♡”
“あ・た・し♡”
“ワァアアア!?”
デビ「ガチ驚愕の悲鳴じゃねーか」
司会「薄着ってネグリジェとかベビードールとかで想像してたんすけどなんで裸リボンチョイスしたんすか」
ピナ「セクシーじゃん?」
司会「hot(興奮させる)というよりもどちらかというとHOT LIMIT寄りっすね……」
クロ「というかこれよく一人で巻き付けられたな」
ピナ「メイドさんが手伝ってくれたわ」
司会「メイドさん……」
ウィル「その侍女も可哀想に……」
ステ「心中お察しするよ……」
ピナ「? “大層お似合いでございます”って微笑んでくれてたわよ?」
司会「メイドさん……!?」
デビ「かなり神経太そうだぞそのメイド」
ステ「心中お察しするよ」 - 69司会精霊25/08/26(火) 21:27:46
「そーゆーのいいんだよ! お前! お前も転生者なんだろ! ヤな女、分かんないフリしといてさぁ!! わざわざここまで来て……っ私が幸せになる寸前でこんな事するとかほんとムカつく……!!」
ウィル「“幸せになる寸前”ではないよな」
デビ「魔王への求婚失敗してるからな」
ステ「あそこまでやりたい放題してまだ幸せになる寸前でしかなかったならもう何やっても幸せにはなれないよ」
エル「そもそも追放された直後からずっと動いているからね」
クロ「追放されたエミが愚かだったというならお前も同じように“レミリア・ローゼ・グラウプナー”よりも愚かだったんだろう」
ピナ「耳に痛いことをズケズケ指摘するわねあんたら」 - 70司会精霊25/08/26(火) 21:29:02
「オトキシ……? そんなの知らないし……わたくしに物語で見るような前世なんて無いわ、生まれた時からレミリアであった記憶しか……」
(オトキシなんて知らないと口に出してからエミの記憶を探ってみた。なるほど、この世界を描いた物語の名前は「星の乙女と救世の騎士」というらしく、それを略して「オトキシ」と呼ぶそうだ)
(実際わたくしは転生者じゃないわ。転生者であるエミの記憶を覗けるだけで。前世があるのもエミだもの、わたくしではない)
ピナ「ずるくない?」
エル「実際、嘘はついてないから……」
(エミならきっと、この女のためにだって泣いてたわ。優しい子だもの。わたくしみたいにわざとこの女の神経を逆撫でするような言葉なんてもちろん使わないけれど)
ピナ「やなやつ! やなやつ! やなやつ! やなやつ!!」
「冤罪をかけてきた相手にさえ憐憫の情を抱くなんて……どこまで慈悲深いんだ」
(完璧な代弁をありがとうアンヘル)
ピナ「くそが!!」 - 71司会精霊25/08/26(火) 21:30:31
「……レミリア嬢の治める街の功績と、その運営資金のために頻繁にダンジョンに潜っていたのは報告で知っていましたが、ご令嬢が1人で世界中を回っていたとは……」
司会「……実際、世界を旅する貴族令嬢が国内外の市井で噂になっているのを王室政府は全く把握してなかったんすかね?」
エル「重臣の中にも“救世の乙女”とレミリア嬢を結びつけられた者はどれほどいたか……。細かい報告が人を介す中で過少評価を重ねて上まで上って来なかった場合もあるだろうし、そもそも“物語”の知識と転移魔法の才能を活用した世界救済が当時の情報伝達速度をはるかに上回っていたというのもあるだろう」
ステ「勇者御一行として皆で旅して対処するような世界中の問題を1人で解決してるだなんて到底想像できないよ……」
デビ「しかも辻褄合わせに季節外れの雪まで活用するんだからな」
(ピナをわかりやすい罪の象徴に仕立て上げ不都合な真実を隠滅するつもりね)
(でもね、ダメよアンヘル。その『クソ女』はわたくしの獲物だもの)
(死で償うことすら許さない)
(「後悔」というのが肝心よね、「贖罪」も「反省」もいらないわ、あの薄汚い性根のまま、一切改心する事なく「嘘をついてレミリアを陥れたりするんじゃなかった」と一生後悔しながら過去の自分を恨んで死んで欲しいわ)
ウィル「……ああ、これ。そういう意図だったのか」
クロ「あの時はとても驚いたけど実際の姉さんの意図を見せられると納得がいく」
ピナ「最悪か?」
司会「でも死にたくはなかったでしょう」
ピナ「死に方にもよるだろ」
司会「この世界の処刑ってかなりキツいと思うんすけど」 - 72司会精霊25/08/26(火) 21:32:02
「わたくしもあなたに恋をしていたわ」
「でもその言葉が何より聞きたかったあの日のわたくしは、もういないの」
クロ「本当に別人なんだものなぁ」
ウィル「レミィ……」
デビ「泣くなよ……」
(そう……そうよ、エミだった「レミリア」はお人好しで……悪役として死んでいったレミリアの事に同情して涙を流してくれるほど優しくて、すれ違ったウィリアルド達に何度も傷付けられたくせに、でも救える手段があるのに助けないのは見捨てるのと一緒だって、そんな義務なんて何処にも無いのに「何かしたい」って走り出せる素敵な女の子なのよ)
ピナ「アンヘルぅ……」
エル「君もか」
ステ「しかし結婚相手の選び方としてそれで良いのだろうか」
司会「エミさんの記憶に心を灼かれた時点でレミリアさんの自己認識はああいう風にしかならないっすからね。一応幸せな夫婦にはなれたっぽいっすよ」
ピナ「あたしがなりたかったのにいぃ……」 - 73司会精霊25/08/26(火) 21:33:20
「スカウト蹴って良かったのか? エルハーシャ殿下とレミリア様に声をかけられるぜいたく、今後の人生二度とないチャンスだぞ」
「一緒に店やんない?」
「わぁ~どうしよう今までで一番魅力的な誘い文句だ」
ウィル「こんなこと言える立場じゃないけど、彼らが幸せでいてくれるだけでほんの少しだけ救われたような気持ちになる」
ステ「……そうだね」
(不老不死の錬金術師ゾーシモス/シモン)
(それにしても、ゲームの中では「陰のあるスパダリイケメン」という枠だったはずなのよね。普段は一歩後ろから見守っていて、主人公を重い愛情でくるむ男として描かれていた)
(今のアンヘルは、口数は少ないのと愛情が重いのは変わらないが陰はなく、感情表現自体もずっと豊かに見える。顔を合わせただけで、喜びが表情から透けて見えるほどで……わたくしは何だか大型犬のような愛嬌すら感じていた)
「……好きだ、レミリア」
「知ってるわ」
ピナ「いいなぁ!」
ウィル「いいなぁ……」
デビ「気持ちはわかるけどよ」
ステ「さっき少し上がった株が下がり直したよ」 - 74司会精霊25/08/26(火) 21:34:31
(聖女様の研究室)
「あら、命乞い? 耳障りねぇ」
「あら、わたくしは外面は良いけれど、陰で使用人につらく当たり、気にくわない人間を虐げる犯罪者だとあなた達が言ったんじゃない」
「証言する時に偽りは述べないと誓ったくせにねぇ」
「何でもあなたは、『お嬢様の好奇心からの悪い遊びにつきあわされて望まぬ奉仕を強いられてる』……だったかしら? 今はその通りね。何も事実と異なることは口にしてないわ」
「その善良な女の子だったわたくしを否定したのはお前達じゃない。良かったわね言っていた通りになって」
ウィル「ひぇ……」
ステ「ひっ……」
デビ「うぉ……」
クロ「おぅ……」
ピナ「うわ」
エル「うわぁ……」
「自らあの女を利用して依存させるほど大好きだったかわいいわたくしには見えない? それなのに卒業後はあっさりわたくしのことなど忘れて、ずいぶん薄情な親友よね」
「レ……レミリア、私をどうする気……?」
「……? 興奮しているの? とんだ変態ね」
クロ「え」
ステ「えっ」
ピナ「ええ……」
ウィル「本当に僕が言えた立場じゃないがどうなってんだ当時の生徒会は」
司会「世界を救うも滅ぼすも気持ち次第なラスボス令嬢×1、信念次第で家も国も捨てて飛び出す女傑×1、星の乙女に入った悪霊にコンプレックスを煽られてまんまと従わされる羽目になったノブレス×4、突如として頭角を現した謎の変態令嬢×1←New!」
エル「……まあ人によって裏の顔も色々あるよね」
ピナ「名前も知らないモブ女のキャラが唐突にめちゃめちゃ濃くなった……」
デビ「名前は覚えとけよ偽証の罪にまで協力させたんだから」 - 75司会精霊25/08/26(火) 21:35:34
(本来の星の乙女)
「わ、わたし、中から見てるだけしか出来なくて……」
「たくさん嫌なものを見たのね、可哀想に」
「嘘をつくのも、止めたかったのに」
「止めようとしてくれたのでしょう? とても勇敢で正しい行いだわ」
「何も……何も出来なかった、ごめんなさい……」
「いいえ、あなたが1人で耐えていたのはわたくしが知っていてよ。……今までつらかったでしょう、あなたは十分頑張ったわ。偉かったわね」
(「あなたは悪くないわ」「つらかったわね」「もう大丈夫よ」って言ってくれて、その度にわたしの心の中で苦しみを生んでいた重い淀みがひとつひとつ解けて無くなっていく)
デビ「……お前さ」
ピナ「苦しめようと思って苦しめてたわけじゃないわよ。そもそも元々の魂が意識を保ったまま体の中に残ってるなんて発想なかったし」
ウィル「そりゃそうだろうけれども……」
「ええ、だからね。あなたに提案しにきたの。……わたくしの子供になる気はない?」
ステ「保護のためとはいえこれ実験台なんだよな」
司会「ただ星の乙女の生まれ変わりなんで人から好かれやすいという性質は据え置きだったから幼少期にネグレクト受けてたレミリアさんも子供を愛し育てることに自信がついてWin-Winっす」
エル「運命というのはわからないものだね」 - 76司会精霊25/08/26(火) 21:37:08
(記憶の中では何度も鏡ごしに見た覚えのある顔が、目の前に存在した。いや、私の記憶より大人の女性になって美しさが増している。それに、私が入ってた時のなんだか抜けた顔より100倍美人に見えるし)
ウィル「それは流石に謙遜し過ぎだけど……最後に別れた時からさらに美しくなっているのは間違いなさそうだ」
ピナ「あたしは更にその20倍は美人だけどね」
デビ「それはない」
クロ「そもそも今星の乙女の顔で出てきてるだろ」
ステ「どんなに素材が良かったとしても表情と性根がすべてを台無しにしてる」
ピナ「くっ……」
「そう……やっぱりそこで意識が途切れているのね。エミ、落ち着いて聞いてね。……あなたがあの夜ショックを受けて意識を失って、わたくしが表に出てから……15年経っているの」
「15年?!」
クロ「そりゃ“落ちついて聞いてくれ”って話になるよな」
司会(看護師を呼ぶことにならなくて良かったっす)
デビ「不老長寿化で向こうの見た目若いままだからなおさらな」
エル「貴族たちの中には数十年間見た目の変化がない魔王夫妻に畏怖の念すら感じた者もいるかもしれないね」 - 77司会精霊25/08/26(火) 21:38:10
(ひょええ……! 記憶見られるって、アレでしょ! 前世で「うひょーレミリアたん可愛いぺろぺろ」とか言ってたのも全部見られてたの?! レミリアたんが愛しすぎて、なのに原作では悲しい終わり方をするレミリアたんを幸せにしたすぎてレミリアたん総愛されのちょっぴり大人の同人誌買いあさってたのも全部知られてるよね?!)
(ひいっ、恥ずか死ぬ……! 誰か私の記憶消してください……! 恥ずかしい記憶が存在した事実を抹消してくださいこんな女神に私のアレやこれや人には言えない色んなことまで全部知られてるとかマジ勘弁ほんとお願いします許してください何でもしますから!!)
(実はレミリア様が星の乙女に救われるちょっと百合っぽい小説も書いてみたりしたこともある。もしかしてそれも読まれてるのだろうか。ぴええ)
ピナ「ただのオタクじゃねーか」
ウィル「何ていうか愉快な人だよね彼女」
ピナ「私に引いてたクセにその態度の違いは何なのよ」
司会「欲望の出方が奪う系メインか与える系メインかの違いじゃないすか?」
「レミリアた……レ、レミリアさん」
「そんな、今更よそよそしく呼ばれたら悲しいわ。今まで通りにわたくしの事を呼んで欲しいの」
ステ「そりゃそうだ」
クロ「遅きに逸してる」
デビ「通らねェよそれは」 - 78司会精霊25/08/26(火) 21:39:21
(心が美しすぎでは?)
(その微笑みには慈愛があふれすぎている。レミリアたんだと知らなければ女神か聖母にしか見えないところだ)
(そっか、良かった……レミリアたん、幸せになったんだ。幸せになれたんだ。良かった。私の中にいた……ゲームの画面越しに何度も幸せを願って、でも何もしてあげられなかった女の子は……いつの間にか、ゲームの中の姿でも笑っていた)
(やっぱりレミリアたんは寂しかっただけだったんだよね。ゲームの中じゃ間違えちゃってたけど、きっと本来のレミリアたんはこんな風に愛情深くて優しい人だったんだ。私が思ってた通り)
クロ「…………うん」
エル「そうだね」
デビ「多分な」
ウィル「きっとね」
ステ「おそらくは」
ピナ「山ほど文句があるけど言いたいことが多すぎて言葉にならない」 - 79司会精霊25/08/26(火) 21:40:23
「ふふ、自分の事じゃなくて、真っ先にこの世界の心配をするのがエミらしいわ」
(いや、だって正直あのピナって子に世界の命運たくすのちょっと……ちょーっと無理じゃないかなって……冤罪であんなことされたからという私怨が入ってるのは否定しないけど)
ピナ「あんでよ」
クロ「実際農地とかにちょっとお祈りしてまわる程度でしか王都の外へ出られなかったからな」
(なっ涙……やはりあの女も男どもも殺すべきかしら)
ピナ「えっ」
ステ「待って待って」
デビ「弁明をさせていただきたい」 - 80司会精霊25/08/26(火) 21:41:33
(正直、ウィルの事は一緒に過ごすうちにすごく好きになってたし……ほんとの弟みたいに思ってたクロードや、幼馴染みの彼らが私を信じてくれなかったのも悲しいしつらいけど……少しだけ、ピナさんと結ばれるのに私が邪魔で、ウィル達が画策してやったんじゃって思ったから怖かった。そうじゃなくて……そうじゃ無かっただけで、良かった)
ウィル「……本当に、本当に申し訳ないことをした」
クロ「……ああ」
(私がやっと回復した頃、レミリアたんは自分の事も話してくれた。1人で世界中のダンジョン攻略してストーリーに必要なアイテムを集めて、最後に一緒に邪神の浄化をしたアンヘルとその後だんだん距離が近付いて、なんと結婚したのだそうだ。恥じらいながらその過程について話すレミリアたんが女神すぎて、つい拳を握りしめて「それで?! それで?!」と続きを促しながら聞いてしまった。今は5歳になる男の子もいるんだって。髪と目の色は魔王のものだが見た目はレミリアたんそっくりだそう。何それ絶対美ショタだし将来妖艶な美青年に育つやつじゃん……はぁ……推しの遺伝子を後世に残してくれてありがとうございます!!)
ピナ「完全に同意だけど母親がレミリアでさえなければ……でも美ショタなのはマジなのよねクソぅ」 - 81司会精霊25/08/26(火) 21:42:54
(レミリアたんの見た目が全然実年齢とあってないのもそのせいなんだって。大切な人と同じ時間を過ごすために不老不死に似た状態になってるそうだ。大切な人って魔王様のことだよね? 言い方恥じらいすぎて可愛いさがヤバイのだが?)
デビ「お前お前」
ステ「きみきみ」
(ゲームでよく見る幽霊っぽく青白い半透明の私の体からは胸骨のあたりから白い紐が伸びて、反対側はレミリアたんの爆乳の谷間に埋もれている。……たぶん胸骨同士……心臓のあたりで繋がってるんだと思う。レミリアたん側はおっぱいで見えないだけで。10代のころよりけしからん成長を遂げている……)
ウィル「そこに注目しないでくれ」
クロ「見ないようにしていたところを」
ピナ「サイッテー」
デビ「仕方ねえだろアレは!」
司会(マリー・アントワネットとどっちがデカいっすかね……) - 82司会精霊25/08/26(火) 21:44:18
(親にも婚約者にも愛されなかった。世界にも創造主にも不幸であることを望まれた。望まれるままに世界を壊してもわたくしには何一つ欲しい物など与えられない。存在さえ許されない悪役。誰にも望まれず神に見放され世界に居場所すらないこの苦しみがわかるかしら。惨めに狂い果てるくらいなら生まれてこなければよかったとわたくしでさえわたくしを見捨てたのに)
(あなたが、あなただけがわたくしを愛しわたくしの幸せを願ってくれたの。ねえ、これがどれほど幸せなことかわかるかしら。この世であなただけがわたくしのために頑張ってくれたのよ。わたくしがどれほどうれしかったかわかるかしら)
「ねえエミ……わたくしは生まれてきてよかった……ッ」
(そう思えるようにエミに育んでもらえたことが無上の幸福なの)
ステ「ああレミリア……」
エル「“レミリアのために”真っ先に頑張れた人は彼女をおいて他にいなかっただろうね」
クロ「彼女がいてくれて良かった」
デビ「そうだな」
ウィル「本当にね」 - 83司会精霊25/08/26(火) 21:45:28
(エミ王女)
(お兄ちゃんがママとパパといると親子ってすぐ分かるけど、私が三人と一緒に並ぶとよそのうちの子みたい)
「エミ……わたくしの大切なエミ、大丈夫よ、すぐにそんなこと気にならなくなるわ」
(私はこの国に、芸術や音楽を学べる学校を作りたいのだ。そのためには自分がまず学ぶのが一番。
当初はその外国である……学園の寮に入る予定だったのだが。突如(、、)私に転移魔法の才能が芽生えてここから毎朝通うこととなった)
「え、救世の聖女って呼ばれてるママが魔国から出るなんて大騒ぎじゃない。そんなことしないでしょ」
(この時はまだ、入学式を迎えた私がママの姿を新任教師として紹介される壇上に見て驚く羽目になるのをまだ知らない)
デビ「…………あのさ」
ステ「いや仕方ないよ」
ウィル「生まれる前から世界で一番大好きな相手だったんだから」
クロ「それの母親になったらそりゃこうもなる」
エル「……まあ、楽しそうにやっていて良かったよ」 - 84司会精霊25/08/26(火) 21:46:48
司会「というわけで、復讐を終えてエミちゃんとも一緒に生きられるようになったレミリアさんはちょっと娘が大好き過ぎるけど他の人のこともちゃんと愛せる幸せなママになり、生まれ変わったエミさんは前世の記憶がぼんやりとしか残ってないけど色んなことに全力なバイタリティ溢れる性質はそのままに相変わらず推し活を続けてる―――といったところでだいたい大きな波のあるところはいったん終了したんで映像もここで締めくくりとさせていただくっす」
クロ「前半生といったところか」
エル「我々から見て一番わかりやすい激動の時期を越えたからね」
デビ「不老長寿にもなったしな」
ピナ「…………ねえ?」
司会「はいっす」
ピナ「なんで私にこの映像見せたの?」
司会「色々びっくりだったでしょう?」
ピナ「そりゃ驚いたけれども!!」
ステ「僕らの反応を見たくなるっていう気持ちが身をもってわかるくらいにはびっくりさせられたよ」
ピナ「だいたいレミリア視点でレミリア主人公ならあの女に都合の良い話になるに決まってんじゃない! 私視点の映像作ってレミリアに反省させたり男たちに後悔させたりしなさいよ!」
司会「え、嫌っすけど」
ピナ「なんでよ!」
司会「だって今回の映像の範囲内でもあなたは言動と精神のギャップとか全然なさそうじゃないっすか」
エル(確かに正体が露見した後だとレミリア嬢ほどの衝撃は無いよね)
ピナ「……まあ確かに裏表の無いのは私の数ある美点のひとつだけど」
ステ「は?」
クロ「ぁ゙?」
ウィル「お゙ん?」
デビ「あぁ゙ん?」 - 85司会精霊25/08/26(火) 21:48:13
“偽ピナさんに残酷な真実(四人の中でのエミリアの優先順位)を突きつけるパート”
ピナ「でも皆ひどいよ。薬の力で好感度消されたからってあっさり私のこと裏切るなんて……」
ウィル「なっ……」
クロ「こいつ……ッ」
ピナ「だって映像の中でも言ってたでしょ。恋の秘薬に洗脳効果はない、既にある好感度を増幅するものだって。皆もともと私のことを好きでいてくれてたはずじゃん!」
デビ「いや、それは……」
司会「そこは確かに、秘薬と香水で好意を持って相手の言う通りにレミリアさんに意地悪なこと言って、冤罪かけて追放するまでやっておきながら心の中では4人ともずっとレミリアさんが一番好きだったなんてあんまりな話だと思うっすよ」
ステ「うぐっ」
エル「ん?」
ピナ「……え? は? 何? 待ってどういう意味?」
司会「星の乙女の魂に与えられる精霊の加護の中には“自分や周りの人の運が良くなる”というのもあったっす。星の乙女の体に本来の乙女と転生者の魂が突然同居しちゃったんで若干加護の出力がおかしくなったかもしれないけど、前世で人を操った時の経験と精霊に与えられた幸運で目的を果たすのに最適な言葉が無意識にでも口から出たはずっす。“大好きな人たちの近くにいる私に嫉妬したレミリア様が意地悪をする”って」
ピナ「―――まさか」 - 86司会精霊25/08/26(火) 21:49:53
司会「だから“品行方正で高嶺の花だったレミリアさんが自分のためにそこまで妬いてくれるなんて”と皆浮かれてピナさんの言葉に従うようになり、そんな状況をもたらしてくれたピナさんは自分たちにとって役に立つという評価がお店のアイテムで増幅される好意の種となったっす」
エル「……それは果たして本当に好意と呼べるのか?」
司会「さあ? とりあえずあの時のピナさんが願っていたのは“自分の周りに人を集め、レミリアさんの悪評を流して物語の筋書きと同じように追放すること”だったっすから、“幸運にも”そこまでは望み通りに果たされたっす。同時に本当の星の乙女の魂が耐えきれずに肉体から離れてしまったのでそこが文字通りの運の尽きっすけど」
ピナ「そんな……違う……貴族令嬢なんかとは違う平民の星の乙女の心根に惹かれたからみんなあたしを愛してくれて……だからアイテムも効いたはずで……」
司会「本当にピナさんのことが大切だったら意地悪がされないようにレミリアさんとピナさんの両方に王家の監視をつけて問題を防げば良かったっす。それだとピナさんの偽証や冤罪の目論見は失敗しちゃうしウィリアルド王子たち4人にとっても“レミリアが嫉妬してくれる気持ちの良い状況”が終わってしまうんで“幸運にも”そういうことは行われなかったんすけれども」
ピナ「―――」 - 87司会精霊25/08/26(火) 21:51:05
司会「ウィリアルド王子はずっとレミリアさんに戻ってきて欲しがってたでしょう。あれだけおかしな状況になっても当時の王子的にはずっとレミリアさんが正妻っす。婚約者候補であってもピナさんはせいぜい側室とか妾の扱いっす。ずっと」
ピナ「 」
ウィル「薬の効果で精神を操られていたとはいえ……そこは流石に申し訳なかったと思う」
ステ「謝るだけでもまた魅了の呪いにかかりそうで恐ろしいけど」
司会「秘薬や香水のアイテムもなく星の乙女の魂もいない今、この人の魂単体ではそんな能力ないっす」
ピナ「それじゃあたしは……アイテムどころか星の乙女の魂とレミリアの存在ありきの好感度を積み重ねてきたあたしって……すべては幻……2度のあたしの人生はいったい…………」
クロ「なんて哀れな……」
司会「あなたは多分間違った愛情の集め方を本物だと前世の始めに勘違いしちゃったんす。善と悪、あるいは真偽、正誤、優劣、損得、美醜、賢愚、幸不幸……あらゆる基準がひっくり返って狂っちゃってるから全部の選択肢を間違ってひたすら良くない方に進んで行っちゃうっす」
ピナ「何もかも間違えるとか、そんなこと言われたらもう何もできないじゃん……」
司会「やり直しはできるっすよ」 - 88司会精霊25/08/26(火) 21:52:05
ピナ「……やり直し?」
司会「リセットボタンって押したこと無いっすか? 次生まれ変わる時はバッドエンドになっちゃった人生を最初の画面に戻ってニューゲーム始めるタイミングっす。反省点を洗って気持ちの整理がついたら前よりもっと良いキャラ育成を始められるっす」
ピナ「前よりも良くって、何をすれば良いか全然わかんないよ」
司会「奪い合うよりも分け合える仲間を見つけるとか、分け合えないものを覚えるとか、奪い合わずにすむものを見つけるとか色々あるっすけど、仮に今回の上映会を活かせたならエミさんがどんなことやって成功したのかとレミリアさんがエミさんのどんなところを真似したのか考えてみるという手もあるっすね」
ピナ「そんなに色々できるかな……。仲間を作るのだってまた……」
司会「今回は色々イレギュラーな転生だったけど、赤ちゃんからやり直したなら大事なこと何でもちょっとずつ覚えられるっす。友達作りだって子供だったら何度喧嘩しても仲直りし直して、本当の友達になっていけば良いっす。……まあ多分生まれ変わった時には今の記憶ほとんど残ってないっすけど、普通の環境で普通に育てばそう何度もひどいことにならないはずっすよ」 - 89司会精霊25/08/26(火) 21:53:13
ウィル「まあ生まれ変わって万が一また会う機会があるとすれば、お互いより良い人間として巡り会うことを願うよ」
クロ「……確かに、今が底値であってほしいよな」
デビ「イイ女になれよ。……いや生まれ変わるなら男でも良いのか。真っ当なやつになれ!」
ステ「芸術の良さがわかる人間になってね」
エル「不幸になるために生まれる人も悪者になるために生まれる人もいないのだからね。良い人生を」
ピナ(ああ…………アンヘル様がこの場にいないのはまだちょっと悔しいけど、あたし今ゲームの王子様たちから自分の悪いところを知られた上でそれでも成長できるって初めて期待してもらえたんだ)
ピナ「ありがとう……! みんなに応援してもらえると、とても頼もしいよ!」
デビ「当たり前だろ。こちとらお前が余計なことしなけりゃ救世の騎士サマだったんだぞ」
ピナ「それは本当にごめんなさいっ!?」
ステ「僕らも来世こそまともな成長を遂げたいものだよ……」 - 90司会精霊25/08/26(火) 21:54:26
司会「既に言った通りここで見たものも含めて生まれ変わる前の記憶はほとんど消えるはずっすけど、精霊王様も神様たちも優しい方ばかりっすから、ワンチャン来世に役立つ今回の反省点とか残ることを祈っておくっす。―――といったところで、そろそろお開きのタイミングっすかね」
エル「そうだね。名残惜しい、というのも変だがそれなりに楽しめたよ」
ステ「本当に散々びっくりさせられたけどね」
ピナ「久しぶりにコーラも飲めたし」
デビ「……俺もそれ挑戦しとけば良かったか」
クロ「存外、これからの人生や来世で飲むチャンスはあるかもね。この人たちの転生前の世界に行かなくても僕らの世界だったら姉さんが“エミ”の記憶から再現しておいてくれてるかもしれない」
ウィル「何でもできてしまうからねレミィは」
ピナ「ひょっとして今こっちで転生すればこれまでより良い暮らしができちゃったりするのかしら」
クロ「お調子者め、と言いたいところだが……」
デビ「あのレミリアとエミのいる世界だからな……」
エル「それなら来世はお互いに素晴らしい世界で出会えることを期待しておこうか」
ステ「またね」
ピナ「次は救世の乙女にも星の乙女にも負けないくらい名を上げてやるわ!」
デビ「おう」
クロ「空回りしないように」
ウィル「ほどほどに期待してあげるよ」
ピナ「最後くらいもっと盛り上げなさいよーっ!」 - 91司会精霊25/08/26(火) 21:56:28
司会「……行ったっすねぇ」
司会(混乱を招いても仕方ないんで言わなかったけど彼らはあくまで人格のコピーだからここでの記憶は輪廻転生の輪に乗らないはずだし、本来の彼らの魂がどういう道すじを辿っていつどこのどんな存在に生まれ変わるかは自分の管轄じゃないから把握してないっす)
司会(いや、この世界天国や地獄の概念あやふやだし、魂に傷がついて砕けたら微生物に転生? っつー話だったっすか? コピーじゃないリィナさん本体の魂がどこで何に転生するのかマジでわからんしレミリア嬢がすんなり転生させてくれる可能性も薄そうっす)
司会(今回の催しはあくまで一時の娯楽のため。ヒトの心がない一端の精霊のイタズラみたいなものっすけど、せめてもの人情として各々良い運命に向かえるようお祈りだけはしておいてあげるっす)
司会「―――ところで、そっちは楽しめたっすか?」
精霊A「おおむね良好」
精霊B「それなりに」
精霊C「おみくじに例えると半吉」
司会「もうちょっとテンション上げろよせっかくやったんだから! まあポジティブ寄りの評価なら良しってことにするっす。それじゃ、スタッフ全員しゅーごー! この劇場解体するっすよー! 家に帰るまでが遠足、お片付け終わるまでが遊びっすからね。怒られないように気合入れて証拠隠滅するっすー!」
――― fin ――― - 92司会精霊25/08/26(火) 22:06:00
……てなわけで、連投を続けさせていただいてこちらのSSはどうにか100レス以内、2時間以内で完走することができました
来てくださった方々もありがとうございます
最後の締め方がキャラ救済になるのか否かは各々の好みと考え方に任せます
そもそも記憶のコピーとかではない本体の方の彼らが今何歳くらいのタイミングなのかとかもあやふやなまま決めてなかったので、「こんな奴らに救済なんてとんでもない」という方はそのように、「どんなキャラにも来世にはより良い人生があってほしい」と思う方はそのようにご想像ください
SSスレとしてはそれなりの長編になりましたがお付き合いいただいた皆様改めてありがとうございました
以降「上映会ネタでこういうの思いついた」とかスレが荒れない程度にご自由にどうぞ - 93二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 22:24:37
- 94二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 22:32:46
ありがとうございました!凄くおもしろかったです!
- 95二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 23:07:19
ギャグセンスに感嘆しました
- 96二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 23:52:32
これ以上(本編夜会並に?)好き勝手されるとまず収集つけるの大変だろうからな……
- 97二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 00:09:40
きっと労役で魂から疲労困憊してて暴れる余力なんてなかったんだろう
- 98二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 00:14:58
それはそれでここまでボケツッコミできる余力があるのすげえ