- 1二次元好きの匿名さん21/09/19(日) 18:01:55
「あのウマ娘は終わった」私はそう言われることに苛立っていた。
しかし周りから見たらそうであろうことも事実だ。
今年の初めに怪我をして以降クラシック路線にも出場できず、ようやく復帰できた毎日王冠ではスズカさんやエルに突き放された上、アルゼンチン共和国杯では一番人気に選ばれたのにも関わらず体がついてこず6着。
何と不甲斐ないことか。 期待されないのも当然だ。
そうした不安を打ち消すかのように今までのトレーニングのことを思い出すが、
それが増すばかりのままゲートの前まで来てしまった。 このまま中山の2500mを走りきれるのだろうか?
また怪我をしてしまうのではないか?
そっとトレーナーさんがいる方へ目を向ける。その目は他の観客とは違い私への信頼に満ち溢れていた
―――――鍛えてやる。トゥインクルシリーズでも古今無類のウマ娘へとな
お前は我が子同然だ…どうする?
怪我で心が挫けそうだった私に言ったときの言葉を思い出す。その言葉を噛みしめゆっくりとターフへ目線を戻す
――やります そう小さく呟き私はゲートに入った。 - 2二次元好きの匿名さん21/09/19(日) 18:04:46
グラスの有馬見てゴーストオブツシマやってたら思いついた
- 3二次元好きの匿名さん21/09/19(日) 18:05:12
はよかけ
- 4二次元好きの匿名さん21/09/19(日) 18:07:23
出だしだけで脳みそ詰まっちまったんや。
- 5二次元好きの匿名さん21/09/19(日) 18:38:05
すまん続きできた
- 6二次元好きの匿名さん21/09/19(日) 18:41:10
ゲートが開くと同時に私は、7から8番手を維持するようにペースを維持した。
内側をゆっくりと、しかし遅れないように周りに合わせて走る。
闘争心などないかのようにゆっくりとゆっくりと進んでいく。
これは普段の私そのものである
前の方ではセイちゃんが逃げを打っているようだが、そんなことは関係ない
私が一番得意とする走りを維持するだけだ。
まるで何事もないかのようにそのまま走り続けそのままレース中盤1000mまで来た。
ふとハロン棒の8の数字が視界の端に入った。
―――再加速をされる前に前を塞ぐ。 だからここで仕掛ける。
あまりにも早いスパートはスズカさんの意表をつくことには成功した、このままなら抑え込めるだろうと確信した次の瞬間、圧倒的な再加速をされ、すがることすらできなかった苦い思い出だ。
小さな策など強大な力の前では些末なことであり無意味だとスズカさんから、そしてエルからも”学ばされた”ことだ
自分の強い競バをしたものが最も勝利に近づくことができる
たぎる闘争心を抑えつつ800m地点を通過した時点で少し外にでた、
内側からはよく見えなかったものがはっきりと見える。
ここに来れば後は他の娘に影響されることは殆どない。
あとはタイミング次第だ。 焦る気持ちを抑えつつ、そのタイミングが来るのを待った - 7二次元好きの匿名さん21/09/19(日) 18:56:47
標的はただ一つ。勝利のみである。
今行くか…?いやまだだ…今だ
600mを過ぎた時点で私は仕掛けた。 今まで貯めていた闘争心をゆっくりと絞り出すように
前へ前へと加速していく。
セイちゃんが丁度再加速をかけようとしているのが見えた。 彼女の策は非常に恐ろしいものだ。
その策を持ってしてクラシックの二冠をもぎ取ったのだから。
だがそんなことは関係ない。 私の走りに影響することはない。 外を回る形となり多少のロスはあるが気にせず闘争心をむき出しにしていく。 中山の短い直線に踏み入った。
もはや私を邪魔立てする遠心力も、そして敵もいない。
あるのは内なる己との戦いだけだ。 - 8二次元好きの匿名さん21/09/19(日) 19:08:34
闘争心をむき出しにしてスパートを駆ける。 傍から見たらその時の私は怪物だったのかもしれない。
しかし例えひ弱な乙女だろうが、百戦錬磨の猛者だろうが、卑しき悪魔だろうが戦場に立てば
すべてが対等なのだ。 何とでも言うがいい。
五人 四人 三人 二人…
そして加速していたはずのセイちゃんをたった200mの間で切り捨てた。
さぞかし驚いていることだろうが、慢心も、そして振り返ることすらもしない。 勝負とは非情なものなのだから。
ついに私は先頭に躍り出た。 残り200mである。
だがしかし後ろからプレッシャーが来る。 私の体力も限界に近い。
それでも速度を緩めることはしない。 確かに緩めても二着にはなれるだろう。
だがしかしそれをしてしまったら他の娘に対する、そして信頼を置いてくれたトレーナーに対する、
何よりも私に自身に対する最大の侮辱になるからだ。
だからこそ全力で駆けた。 もはやゴール以外視界に入ることはなかった。
そして私は先頭のままゴール板を駆け抜けた。 - 9二次元好きの匿名さん21/09/19(日) 19:30:56
一着… それは約一年ぶりの勝利だった。
私は闘争心を再び無い振りをして観客の皆へと手を振りつつターフをもう一週ゆっくりと走った。
そして一周を終えた後真っ先にトレーナーさんの元へと駆けつけた。
「グラス…待っておったぞ。よくやった」
無愛想な顔からわずかだが笑みがこぼれていた
「ありがたく存じます」
「よし。 誠大義であった。だがもう一仕事あることを忘れるな… 疲れてはいるだろうが最後まで抜かるなよ?」
「無論です」
「よしいってこい」
トレーナーさんに微笑んだ後私はライブ会場へと向かった。
黄金世代。 後にそう呼ばれる彼女たちの中で「不死鳥」「未知なる栗毛」と呼ばれた者の一幕である
終わり - 10スレ主21/09/19(日) 19:31:51
SSって出だしだけ思いついてすっとかくもんじゃねぇなぁ…
正直すまんかった - 11二次元好きの匿名さん21/09/19(日) 19:33:57
このグラスいやしくないな
- 12二次元好きの匿名さん21/09/19(日) 19:35:01
良質なグラスSSだー!
- 13二次元好きの匿名さん21/09/19(日) 19:36:22
このトレーナー渋いな…
- 14スレ主21/09/19(日) 19:47:41
SSという文化に初挑戦だったが、こういうのってメモ帳にあらかた書き溜めてからやるもんなんだな。
勉強になった。
本当に続きを書こうとすると脳みそが詰まっちまった感覚で何度も書き直しちまった