- 1二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 00:00:42
- 2二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 00:02:10
- 3二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 00:03:37
あらすじ
ミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部所属の錠前サオリと才羽ミドリはある日、テレビにて自分たちの生まれ故郷であるアリウス自治区…ミドリの実の姉である才羽モモイがトリニティを襲撃している様子を目撃してしまう。
無関心ではいられないとトリニティへやってきたミドリは、サオリとはぐれたことからアズサと共にモモイを止めるため行動を開始する。
一方サオリはミサキとの久方ぶりの喧嘩の中で、彼女の言葉を受けてある考えが浮かんでいた。
モモイがアズサにより倒され、先生の策により彼女たちの目的は水泡に帰した。
ミドリは、そんなモモイに一緒に帰ろうと提案するものの、モモイはそれに返答をしないまま…どこかへ消えてしまうのだった。 - 4二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 00:05:36
- 5二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 00:09:03
- 6二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 00:10:18
サオリ「何も言わずに出ていったことについては謝る。でも…」
ユウカ「わかってるわよ。これ以上、私からも何も言うつもりはないわ。問題は、何も言わずに出ていったことだもの」
食堂でユウカと話し合っていた。内容は言わずもがな昨日の件だ。
ユウカにはすべてを話した。自分たちがトリニティ襲撃事件における主犯格たちの出身地の生まれであること、その主犯格たちと付き合いがあったこと、そしてトリニティであったこと…。
サオリが知る限りのすべてをユウカに話した。
ユウカ「…幼馴染がそんなことしてたら、そりゃ止めに行こうとも思うわよ。私だって、きっとそうしたでしょうし。…でも、やっぱりアリスちゃんたちに何も言わずに出ていく必要はなかったんじゃないの?」
サオリ「アリスとユズなら絶対ついてくると思ったんだ。…あまり、私たち個人の問題に関わらせたくなかったから、言えなかった」
ユウカ「…まったく」 - 7二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 00:45:25
モモイスレはどうしてこう色々な展開があるのか
- 8二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 01:08:07
サブスティチュート…
代用品、代理人か… - 9二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 02:38:49
このレスは削除されています
- 10二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 02:41:54
そんな会話を少しして、サオリもゲーム開発部の部室に戻った。やはりアリスとユズに心配されたサオリは、改めてアリスたちに謝罪をした。
─まだ気になることはあるものの…少なくともこの一件で自分たちはこれ以上どうこうできないと…サオリはそう考えていた。
…しかし、ミドリはそう考えることができなかった。 - 11二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 08:23:39
その日の夜。
ミドリ「………」
サオリ「…ミドリ?」
ミドリ「…お、お姉ちゃん…」
微かな物音を耳にしたサオリは、玄関の前で外へ出ようとするミドリを見つけた。
サオリ「こんな夜中にどこへ行くつもりだ?」
ミドリ「…こ、コンビニに行こうかなって…」
サオリ「だったら私も行く」
ミドリ「いや、大丈夫だよ!お姉ちゃんは寝ててもいいから!」
何かを隠すように、ミドリはついて行こうとするサオリを拒む。その様子を見て、何も気づかない程サオリは鈍感ではない。
サオリ「…まさかとは思うが、モモイのところに行こうだなんて考えてないよな?」
ミドリ「ッ!」
図星だった。それもそうだ。
あんな別れ方でミドリが納得するわけもない。
ミドリ「…ごめん。でも私…お姉ちゃんが心配で…」
サオリ「そうか。…そうだろうな」
ミドリ「…お姉ちゃん」
サオリ「でも、ダメだ。モモイには、もう会いに行こうとするな」
ミドリ「え…」 - 12二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 11:35:18
真剣な眼差しでそういうサオリの目見て、ミドリは小さく言葉をこぼした。
サオリ「あそこはもう、私たちの知ってるアリウスじゃない。…これ以上、関わろうとするな」
ミドリ「な、何言ってるのお姉ちゃん…?言ってる意味が全然わかんないよ…?」
声が震える。目頭が熱くなる。
それでも、ミドリは精一杯の疑問をサオリへ投げかけた。
サオリ「私たちの居場所は、もうアリウスにはないんだ。だから…」
ミドリ「…だから、お姉ちゃんを見捨ててって言うの?」
ミドリのその問に、苦虫を噛み潰したような顔をして、それでもサオリは言葉を絞り出した。 - 13二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 11:36:51
サオリ「…モモイは、きっと大丈夫だ」
ミドリ「そんなの信用できないよ!」
サオリ「そもそも探しに行くと言っても、どうやって探すつもりなんだ。どこに行ったのかもわからないんだぞ?」
ミドリ「それは…さ、探さないとわからないでしょ!?」
ミドリの語気が強くなっていく。
喧嘩はこれまで何度もしてきた。大半はサオリが折れての決着だったが、これについては折れるわけにはいかない。サオリは冷静であるように努めた。
サオリ「落ち着けミドリ。心配なのはわかる。だけど…」
ミドリ「何がわかるの!?私の気持ちなんてわからないでしょ!?」
サオリ「ミドリ、私は…」 - 14二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 11:42:15
- 15二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 11:43:40
サオリ「ッ!!」
ミドリ「もういいよ!私は行くからね!」
そう言うとミドリは勢いよくドアを開けて飛び出していってしまった。
後に残ったのは、何も言えないままだったサオリと、虚しく響く時計の音だけだった。 - 16二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 20:36:36
苦しい…
- 17二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 23:57:28
このレスは削除されています
- 18二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 00:54:45
誰もいなくなった部屋の中。ベッドの上で、サオリはミサキの言葉を思い出していた。
ミサキ『…なんで…私たちの前から…いなくなったの…』
あの顔が、あの声色が、脳内でリピート再生される。それほどまでに、ミサキのあの言葉はサオリの心を抉っていた。
自分たちはもう、アリウスには関わらない方がいいのではないかと…そう思ってしまうほどに。
─確かに私がアリウスのみんなのことを忘れたことはない。それは事実だ。
だけど、アリウス自治区には戻りたくないとは考えていた。あの地獄のような日々に、戻りたくないと…そう思うこと自体は不思議なことではないはずだ。 - 19二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 00:59:27
…だが、ミドリはそう思ってはいなかったのだろう。モモイのいるアリウスに戻りたいと考えていたのかもしれない。
例えあの地獄のような日々に戻ろうとも、大切な姉と一緒にいたいと…そう考えていたのかもしれない。
しかし、今のモモイたちと私たちがいるのが、違う世界であることは確かだ。エデン条約を奪い取り、トリニティを潰すことが彼女たちの目的。
であればそれを達成できなかったことで、みんながどうなるか…わからないわけではない。
そしてそれに首を突っ込んで、どうなるかはミドリだってわかっているはずだ。それでも、ミドリはモモイの元へ行くことを諦めなかった。
私はもう、諦めていたのに。
あの時、モモイたちが立ち去っていくのを私が止めなかったのも、私とモモイとでは住む世界が違うと…勝手に諦めてしまったからだ。
アリスがリオに連れていかれた時は、諦めなんてしなかったのに。 - 20二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 01:00:48
ミドリはきっと、姉の温もりを私に求めていたのだろう。元々自分がミドリの姉ではないことは、重々承知の上だった。それでも、ミドリが自分を姉と呼び慕うなら…それに応えたいと思っていた。
それができなかった私は。あの時、飛び出して行ったミドリを追いかけることができなかった私は。
サオリ「…わたしは…なにをしているんだろうな…」
彼女の姉には、なれない。 - 21二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 08:18:13
アリスの時とは状況が違うからなぁ…サオリのメンタルは大丈夫だろうか
- 22二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 15:15:57
ほしゅ
- 23二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 19:39:17
あかん、サオリがヒナみたいになってしまった
- 24二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 01:21:50
ミドリが飛び出していったその日、サオリは何も言わずに学校休んだ。あんなことがあったばかりでの無言での休みということで、アリスとユズはサオリたちの家へとやってきていた。
アリス「サオリ!いますか!?」
ユズ「…サオリ?」
サオリの部屋に入った二人が目撃したのは、ベッドの上で蹲っていたサオリだった。
サオリ「…アリス、ユズ…?」
アリス「何も言わずに休んだら、みんな心配しますよ!」
ユズ「…ミドリは?」
その言葉を聞いたサオリは、更に自身の身を縮こませる。
サオリ「…出ていった」
ユズ「え…?」
サオリ「………もうここには、戻ってこないと思う」
アリス「ど、どうしてですか!」
困惑の表情を浮かべる二人に、サオリはそのままの姿勢で答える。
サオリ「…私が、ミドリのお姉ちゃんじゃないから…」 - 25二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 06:59:14
サオリはユズたちにも改めて話した。トリニティで起きたこと、モモイのこと…。
自分たちの住む世界とは違う場所にいる本当の姉を、ミドリはそれでも助けに行こうとしていること。
そんなミドリの思いを否定して、今もこうして何も出来ないままでいる自分が嫌になっていること。
こんな姿を他の誰かに見せるのは初めてのことだった。それほど、今のサオリは精神的に参ってしまっているのだ。
サオリ「…私は…」
落ち込んだ姿勢のまま、サオリは呟く。
そんな彼女にユズが声をかける。
ユズ「…ね、ねぇ…サオリ。ちょっといいかな…。できれば顔を上げて…」
ユズに促されるまま、サオリは顔を上げた。次の瞬間。 - 26二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 07:02:53
- 27二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 13:28:10
大胆だなユズ
- 28二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 19:21:31
ユズ!?
- 29二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 23:29:55
保守
- 30二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 01:08:14
ユズ「…サオリ。覚えてる?アリスちゃんが、リオ会長のところに行って…私たちがどうしようか悩んでた時のこと」
…覚えている。あの時、私は…。
サオリ『…なら話は単純だろう。アリスを連れ戻しに行く』
ミドリ『お姉ちゃん!?』
サオリ『正直、難しい話はよくわからない。だけど、みんな…この状況に、納得できてるのか?』
ユズ『…それは…』
サオリ『…私は納得できない。こんなエンディング、私は認めない。だから私は、アリスを連れ戻しにいく』
ユズ「…あの時のサオリの言葉に…勇気をもらったんだ。ねぇ、こんなエンディング…サオリは認められるの?」
サオリ「………」
認められない。認められるわけがない。
だけど、今の自分には…。 - 31二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 07:45:46
保守
- 32二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 14:19:43
アリス「しっかりしてください、サオリ!」
サオリ「…アリス…?」
アリス「例えサオリにとってミドリが妹でなくても、ミドリは私たちの大切な仲間です!…サオリが、私にそう教えてくれました!」
あぁ、そうだ。確かにそう言った。
サオリ『アリスが魔王だっていうのが真実だとしても。アリスは、私たちの仲間だ』
今までずっと頭にかかっていた霞が一気に払われた故か、あの時の自分の言葉や行動が正確に思い返せるようになった。 - 33二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 14:20:52
アリス「それに、今度発売されるゲーム!ミドリと一緒にやる約束をしています!約束を破るのは、いけないことです!」
サオリ「…約束…」
モモイ『ねぇ、サオリ。もしも私がいなくなったらさ。ミドリのこと、お願いしてもいいかな?』
サオリ『…わかった。そのかわりと言ったらなんだけど…』
モモイ『…?』
サオリ『...私がいなくなったら、アツコたちを...みんなを、守ってあげてくれ』
モモイ『…わかった。約束だよ』
サオリ「…そうだな。そうだった」 - 34二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:25:51
モモイと約束していたのか、サオリ
- 35二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 00:34:07
サオリはゆっくりと立ち上がる。その目に、もう迷いはなかった。
サオリ「私も、約束してたんだった」
アリス「そうなんですか?」
サオリ「うん。少し忘れかけてたけど」
アリス「約束を破ったらダメですよ!」
サオリ「わかってる。大丈夫」
軽く微笑むと、サオリはアリスの頭を軽く撫でる。
サオリ「みんなでミドリを、連れ戻しにいこう」
アリス「はい!」
サオリのその言葉に、アリスは元気よく返事をして、ユズは静かに頷いた。 - 36二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 08:22:30
モモイ「…はぁ…はぁ…」
モモイは怪我を庇いながら、人気のない路地で天を見上げる。
アリウスの追っ手から逃げるうちに、仲間とははぐれてしまった。これからどうすれば…。そう思案に暮れていると、少し先から足音が聞こえた。
一人の足音。されど警戒は緩めずに、モモイは足音のした方に躙り寄る。
やがて、その足音の正体が姿を現した。
ミドリ「お姉ちゃん…!」
モモイ「…ミドリ…?」 - 37二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 14:14:11
再会できたか…とはいえモモイはいつになったら思い出せるのやら…
- 38二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 21:43:36
保守
- 39二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 00:33:02
保守
- 40二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 09:40:38
大丈夫か…?
- 41二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 16:15:48
保守
- 42二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 18:02:48
何故ここに?と、モモイが疑問の声を発するよりも先に、ミドリはモモイに抱きついた。
ミドリ「また会えた…お姉ちゃん…」
今にも泣き出しそうな声色で、絞り出すようにミドリは零す。
モモイは、何も言わなかった。正確には、言えなかったのかもしれない。ただ、体は勝手に動いていた。
モモイの手が、そっとミドリの頭に触れる。そのままモモイは、ミドリを優しく撫で始めた。
ミドリのことは、また思い出せてはいない。それでも、こうしていると…どこか安心感を覚えて─ - 43二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 18:09:31
- 44二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 23:31:51
保守
- 45二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 03:06:43
一方その頃。サオリたちはヴェリタスの部室にてミドリの行方を追ってもらっていた。
ハレ「…うん。どうやらミドリはトリニティにいるみたいだよ」
マキ「トリニティから誰かに連絡したみたいだね」
サオリ「誰に連絡したかはわかるか?」
ハレ「多分先生だね。コタマ先輩の盗聴器からも、ミドリからの連絡に応答したっぽい音声が残ってるよ」
ミドリが既にトリニティにいることに加え、ミドリが先生に連絡を取っていることがわかった。
アリス「アリスたちが連絡しても出なかったのに…」
サオリ「それほど切羽詰まった状況なのかもしれない。私たちもトリニティへ向かうとしよう」
マキ「くれぐれも無茶はしないでね!?」
サオリ「…肝には命じておくさ」 - 46二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 10:24:55
保守
- 47二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 14:34:02
─それからしばらくして、先生はミドリからの連絡を受けトリニティへやってきていた。
“…モモイ”
モモイ「先生…?なんでここに?」
“ミドリから連絡が来たからね”
モモイ「………そっか…」
ミドリが心配そうに見守る中、考え込んだような表情を見せたモモイ。やがて顔を上げると武装を一つずつ地面に置いていく。そして、モモイは先生の前に跪いた。
モモイ「…先生。姫が…アツコが、連れ去られた。このままじゃアツコが、殺されちゃう…!あんなことをしておいて、こんなことを頼むのは…虫がいい話だなんてことはわかってる。いくらでも蔑んでも、罵ってくれてもいいから…!だから…ッ!」
話すにつれて、その震える声と一緒に涙が地面に落ちる音も激しくなる。
モモイ「アツコがいなくなったら…私は…!だから…!!」
“わかった”
断る選択肢は、なかった。 - 48二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 22:08:22
保守
- 49二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 02:21:30
保守
- 50二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 03:50:01
ミドリ「先生!」
“うん、助けに行こう!”
モモイ「…本当に…?…力を…貸してくれるの…?」
力強く頷く先生。モモイはしばらく呆気に取られたが、涙を拭うと大きな呼気を吐いた。
モモイ「先生。これを」
“これは?”
モモイ「ヘイロー破壊爆弾のスイッチだよ。私のこと、少しでも信頼できなくなったら…スイッチを押して」
ミドリ「お姉ちゃん!?」
モモイ「…これでいいんだよ。ミドリ」
モモイは自然とミドリの頭を撫でる。そんな光景を見て先生は少し微笑むと、ヘイロー破壊爆弾のスイッチを踏み潰して粉々に粉砕した。
モモイ「あっ!?」
それをゴミ箱に捨てた先生は、何一つ迷いのない顔をしたままモモイに笑いかける。
“まずはみんなを探しに行こう!”
ミドリ「はい!」
その先生の行動に、モモイは若干呆気に取られていたのだった。 - 51二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 06:30:47
モモイは先生、ミドリと同じくはぐれていたミサキとヒヨリを引き連れ、アリウス自治区へと向かっていた。
ミサキ「どうするの?リーダー」
モモイ「他の入口を探してる時間はない。とはいえ、私たちが知ってるルートは当然マダムもそこを使うと予測してくるはず」
ヒヨリ「だったら…」
ミサキ「強行突破…」
モモイ「…そうだね。それしかない」
モモイは立ち止まると、先生とミドリの方に向き直る。
モモイ「この先は手練のアリウス生もいる。先生とミドリは安全の確認ができたら後ろから着いてきて」
ミドリ「待ってお姉ちゃん。私も戦えるよ」
モモイ「…じゃあ、先生を守ってあげて。先陣は私たちが切るから」
ミドリ「…うん。わかった」
合図と共に三人はアリウス生たちが待ち構えるカタコンベの入口へと向かう。それを先生とミドリはやや離れた位置から追っていた。 - 52二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 12:50:48
やっと合流しての行動
とはいえこの先どうなるか… - 53二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 19:39:38
その最中に先生は「そういえば」と切り出す。
“ミドリ。サオリには何か伝えてたの?”
ミドリ「………」
押し黙るミドリ。応答こそできなかったがずっと来ていたユズからの連絡も併せて、ミドリがユズたちには特に何も言わずに来ていたことは明らかだった。
“みんな心配してるよ。だから…”
ミドリ「いいんです。私がお姉ちゃんを助けたいと思っただけなので」
言葉を遮ってミドリはそう返した。その目には、後悔の念が混じっているようにも見えた。 - 54二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 19:41:55
- 55二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 00:06:30
保守
- 56二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 06:30:48
不穏に響く銃声を、先生とミドリはモモイたちから離れた場所で聞いた。
“今の銃声は…!”
ミドリ「先生!」
モモイから連絡が来ないことも併せて、何かあったと考えた二人は、モモイたちの元へ急ぐ。
そして、ミカと交戦していたモモイたちだったが、その戦闘力はコンディションが万全でないことを抜きにしても圧倒的だった。
ミカ「…ねぇ、モモイ。私はちょっと痛い目に…って言ったよね?ヘイローを壊せなんて、言ってないよね?」
モモイ「…はぁ…はぁ…!」
ミカ「私の大切なもの…ぜーんぶ、なくなっちゃった。学園も、友達も、宝物も、帰る場所も、先生との約束だって…」
モモイ「…先生…」
ミカ「だから、共犯者のあなたたちにも…同じ痛みを味あわせてあげる。特にモモイ…あなたにはね」 - 57二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 06:32:32
狂気を孕んだ目で、ミカはそう告げる。モモイはその言葉を、揺らぎつつあった意識の中で聞いていた。
その時、モモイの後ろから銃声が響いた。
飛んできた弾丸は、ミカを的確に撃ち抜く。
ミカ「ッ…!」
ミドリ「お姉ちゃん!大丈夫!?」
モモイ「ミドリ…!」
そこにいたのは、モモイを姉と慕う、モモイと瓜二つの少女。そして─
“…ミカ…!?”
ミカ「せ、先生…!?」
モモイに妹がいたことと、先生がここにいること。二つの事実に、ミカは驚きを隠せない様子を見せる。 - 58二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 06:34:11
このレスは削除されています
- 59二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 06:49:27
“ミカ、こんなところで何をしているの?”
ミドリ「…先生のお知り合いですか?」
モモイ「お知り合いというよりは、協力者だよ。私たちの、計画に加担した…内通者」
ミカ「先生こそ、どうしてここに…?なんでそっち側にいるの?ねぇ、どうして…こんな姿、先生には…!」
混乱する場を更に掻き乱すように、何処からか攻撃が飛んでくる。
アリウス生A「いたぞ!」
アリウス生B「聖園ミカもいる!撃て!」
追っ手のアリウス生たちが攻撃を仕掛けてきた。先生はミカを案じたものの…。
ヒヨリ「せ、先生…!もう、時間が…!」
ミサキ「急いで入らないと、入口が閉じる…!」
決断を迫られ、葛藤の末先生は駆け出した。
“ごめんミカ!話はまた後でするから、トリニティに戻ってて!”
ミドリ「お姉ちゃん、こっち!」
無我夢中で駆け抜け、何とかカタコンベへと滑り込むことができた。 - 60二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 06:50:33
ミカの苗字誤字ってた
自動変換を信頼すんのはアカンな - 61二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 13:40:52
保守側
- 62二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 21:33:28
ミサキ「まだ完全に通路が閉じるまで時間がある。追っ手が来る前に、急ごう」
ヒヨリ「…ここから先は電波が通じません。迷ったら終わりです…」
モモイ「この先がアリウス自治区だよ。…行こう」
ミドリ「…アリウス…」
ミドリにとっては、久しぶりの故郷。されど、ここまで気持ちの昂らない里帰りもないだろう。
ミドリ「………」
モモイ「…大丈夫だよ。ミドリ」
体を小さく震わすミドリの頭を、モモイは優しく撫でる。
モモイ(…嫌な思い出と向き合うかもしれないのに、それでも…私のところに来ようとしたんだ…)
モモイはそんなことを思いながら、未だミドリのことを完全に思い出せていない自分を厭わしく思うのだった。 - 63二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 01:03:04
保守
- 64二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 07:36:26
保守
- 65二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 15:17:08
一方で追っ手のアリウス生を叩きのめしたミカは、カタコンベへの入口へ向かいながら独り言ちていた。
ミカ「そっか。そうなんだ。モモイ、あなたには妹がいたんだね」
アツコが連れ去られたこと。彼女が殺されそうになっていることは、先程のアリウス生から聞いた。先生がスクワッドの味方についたことにも、納得はした。それでも、自分はもう止まれないと…ミカは自分に言い聞かせるように零す。
ミカ「私が大切なものを失ったんだから、あなたも失わないと不公平だもんね?ねぇ、モモイ?」
そう言いながら、ミカはどこかへと去っていく。
「………」
その後ろから響く足音に、彼女が気づくことはなかった。 - 66二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 22:37:12
なんだ?
- 67二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 22:40:43
誰かがつけてる??
- 68二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 00:19:16
“…ここがアリウス自治区?”
ミサキ「ううん、もう少し先」
五人は遺跡の中を行く。追っ手が来る前に、ここを通り抜け、アリウスへと向かわねば…。そんな中だった。
モモイ「………」
ミドリ「…お姉ちゃん?」
モモイが、ミドリの肩に体の全てを預けた。ミドリが疑問に思ったのも束の間、モモイの体はそのまま崩れ落ちた。
ミドリ「お姉ちゃん!?」
“どうしたの!?”
ミドリ「お姉ちゃん!しっかりして!」
額に触れると、その手に熱を感じる。
ミサキ「酷い熱…。こんな状態で今まで…」
ヒヨリ「や、休ませましょう…!」
時間はないが、こんな状態のモモイを戦わせるわけにはいかない。四人は遺跡内で少し休憩することにした。 - 69二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 00:21:30
先生がヒヨリからアリウスやアツコについて色々と聞いている間、ミサキはミドリに声をかけた。
ミサキ「ちょっといい?」
ミドリ「…ミサキさん?」
ミサキ「…サオリはどうしたの?一緒じゃなかったよね?」
ミドリ「………実は、喧嘩しちゃって…飛び出してきちゃったんです。酷いことを言っちゃいました。私のお姉ちゃんじゃないくせになんて…。お姉ちゃんの代わりになろうと、頑張ってくれてたのに…それを全部否定するようなことを言っちゃって…」
ミサキ「………」
ミドリ「あそこはもう私たちの知ってるアリウスじゃないとか、私たちの居場所はもうアリウスにはないなんて言って…。でも、本当はわかってたんです。私のことを守ろうとして、そんなことを言ったんだって。意固地になって、酷い言葉をぶつけて…」 - 70二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 00:22:41
顔を伏せ、沈んだ感情を表に出すミドリ。そんなミドリに、ミサキは問いかける。
ミサキ「…サオリのことは、好き?」
ミドリ「………うん」
ミサキ「なら、次会った時謝ればいいよ」
ミサキは、心の中で「私は、それが出来なかったから」と付け足した。
ミドリ「…許して、くれるでしょうか…」
ミサキ「あのお人好しのことだから、きっと許してくれる」
そんなことを話していると、モモイが目を覚ました。
ミドリ「お姉ちゃん、大丈夫?」
モモイ「…ごめん。迷惑かけちゃったね。…んー………っふぅ…。さて、いこっか」
ミサキ「大丈夫なの?」
モモイ「うん、何より…急がないと」
ミサキ「…だね」 - 71二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 08:19:03
保守
- 72二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 16:40:36
良かった
- 73二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 21:41:26
アリウス自治区へと突入したモモイたちだったが、そこにいたのは大量のミメシスたちだった。
ヒヨリ「か、囲まれてしまいました…!」
ミサキ「罠…」
ベアトリーチェ「ええ。逃げ出した鼠を捕まえるには最適でしょう?」
モモイ「…マダム…!」
ベアトリーチェ「まさかあなたが裏切るとは思いませんでした。せっかく特別な訓練と措置を行ったというのに…親不孝者ですね、あなたは」
ミドリ「…特別な訓練と…措置?」
ベアトリーチェ「無関係なあなたに話す必要などありません。あなた方には、ここで消えてもらいます」
襲いかかるミメシスたちと交戦を始める四人。ミドリはベアトリーチェの言葉に疑問を抱きつつも、先生を守るため引き金を引く。
そんな中─
ミカ「やっほー☆さっきぶりだね?」 - 74二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 21:42:39
またもミカがその場に乱入してきた。
ミサキ「…しつこいね、あいつ」
ミカ「ごめんね、先生。私もう止まれないの。帰る場所も何もかも…なくしちゃったから」
“仕方ない…。ミカを制圧しよう”
先生の指揮に従い、四人はミカとの交戦を開始する。結果、4対1とは思えないほどの接戦を何とか制し、ミカを制圧することには成功した。
“ミカ、もうトリニティに戻って…。これ以上ミカを傷つけたくない”
ミカ「…先生。…それは、できないよ。私は、魔女だから…幸せな結末なんて、訪れないんだって…」
ミカは涙を流す。嗚咽と共に溜め込んでいた感情が、堰を切ったかのように溢れ出した。そんな風に見えた。
ミカ「私は、悪党だから…!なのに、どうしてあなたたちは…!何の代償もなしに幸せになるなんて…そんなの…」
ミカは銃を構える。その銃口の先には─
ミドリ「ッ!」 - 75二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 05:47:46
ヤバイ
- 76二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 06:14:59
モモイ「ミドリ!」
ミドリに銃口を向けられたのを見て、モモイは咄嗟にミドリの前に出る。
ミカがその引き金を引こうとした、その瞬間だった。
何処からか投げ込まれた手榴弾が爆発し、周囲が煙に包まれる。
ミカ「!?」
モモイ「…みんな!逃げるよ!」
その混乱に乗じ、モモイたちはその場から離脱する。当然ミカもそれを追おうとしたが、後ろから何者かに撃たれた隙に、モモイたちを見失ってしまう。
やがて煙が晴れ、足音とともに攻撃者がその姿を現す。
ミカ「…あなた…誰?」 - 77二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 06:16:11
- 78二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 13:53:47
サっちゃん!
- 79二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 21:16:58
保守
- 80二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 02:01:34
保守
- 81二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 07:12:59
時は少し遡る─
モモイたちの捜索中、少し遠くから銃撃音を耳にしたサオリはその音の発生源へと向かっていた。やがて見えてきたそこにいたのは、ミカと完膚なきまでに叩きのめされたアリウスの生徒たち。
ミカ「そっか。そうなんだ。モモイ、あなたには妹がいたんだね。………私が大切なものを失ったんだから、あなたも失わないと不公平だもんね?ねぇ、モモイ?」
そう独り言ちるミカ。彼女がモモイを追っていることをその言葉から感じ取ったサオリは、見つからないように、気取られないように息を潜めて尾行を開始した。
やがてカタコンベへ足を踏み入れたミカを見失わないよう細心の注意を払って尾行を続ける。途中でユズたちに連絡しようとしたが、電波が通じなかったため断念せざるを得なかった。
そしてカタコンベを抜け、アリウス自治区へと辿り着いた。
数年ぶりの故郷は、悪い意味では変化がないように感じられた。そんな街と過去のアリウスを見比べていたらミカを見失ってしまったサオリ。しかしミカとモモイたちが交戦を開始したことより、再び発見することができた。
─そして、現在に至る。 - 82二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 15:35:35
ミカ「シナリオライター?…何それ、そんな人が何の用なの?無関係な人は首を突っ込まないでほしいんだけど?」
サオリ「無関係じゃないさ。…ここは、私の故郷だから」
ミカ「故郷…?」
サオリ「…二度と帰ることはないとは思っていた。だけど、こうなった以上仕方ない」
サオリは上着を脱ぎ捨て、武器を構える。
サオリ「…モモイたちは追わせない」
ミカ「…ふーん。よくわからないけど…私の邪魔をするんだぁ。やだなー、やっぱり私って嫌われ者なんだ…」
軽口を叩くミカもまた、武器を構えて臨戦態勢を取る。 - 83二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 23:01:33
保守
- 84二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 06:21:47
その戦闘開始の号砲は、モモイたちの耳にも届いた。
ミドリ「お姉ちゃんが…!?」
自分たちを逃がした人物がサオリであることをモモイは全員に話しながら突き進む。
モモイ「煙でよく見えなかったけど…あれは間違いなくサオリだった」
ミサキ「…あいつ、なんで…」
ミドリ「戻らないと…!」
焦燥しきった顔でそう言うミドリを、モモイが止める。
モモイ「気持ちは分かるけど…ダメだよ。サオリはきっと…覚悟してきたんだ」
ヒヨリ「…サオリ姉さん…!」
ミサキ「………」
“…行こう、みんな”
重たくなった空気を、先生のその一言が引き裂く。
ミドリ「先生!」
“サオリの気持ちを無駄にしたくない。それに…ベアトリーチェも色々差し向けてきてるみたいだしね”
モモイ「…うん。ここで立ち止まったら、サオリの思いが全部無駄になる。…進もう」
モモイたちは迎撃してくるミメシスたちを退けながら進む。
目指すはアツコが囚われている、バシリカ。
ミドリ(お姉ちゃん…!)
何やら不吉な予感を感じながら、ミドリもまた突き進むのだった。 - 85二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 13:38:54
保守
- 86二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 21:34:05
ほしゅ
- 87二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 01:04:15
ミカvsサオリは原作でもあった組み合わせとはいえどうなるんだ…?
- 88二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 08:13:58
保守
- 89二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 17:37:38
とにかく急がねばな
- 90二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 19:44:32
問題はこのスレのサオリが原作サオリほどの実力を持っているかだな
- 91二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 00:33:44
サオリ「ぐ…ッ!」
ミカ「…ふぅ、思ったよりやるね…」
倒れ伏すサオリへ、ミカは労うような言葉をかける。トラップや様々なアイテムを駆使して立ち回ったサオリだったが、肝心のミカへの効き目はイマイチで、真正面からゴリ押しされてしまった形だ。
全く歯が立たなかったわけではないものの、それでも力の差は圧倒的だった。
サオリ「…まだだ」
ミカ「えー?まだ立ち上がれるの?やめておいた方がいいと思うけどなー」
サオリ「やめるつもりなんてない…!私は…」
パァン!と銃声が響き、立ち上がろうとするサオリの頭に衝撃が加わる。結果、サオリはそのまま後ろへと倒れてしまった。
サオリ「ぐ…!」
ミカ「ねぇ、なんで?なんで諦めようとしないの?ここまでやられて…どうして?」
それは純粋な疑問だった。どうして立ち上がるのもやっとな有様で、なおも立ち塞がろうとするのか。 - 92二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 09:03:49
保守
- 93二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 15:14:59
サオリ「…約束、なんだ」
ミカ「?」
サオリ「あいつは、もう私のことはおろか…自分の妹のことも覚えてない。…あの環境で生きてきたんだから、記憶に何らかの異常が生じるのは仕方のないことだろう。だけど、私との約束は…守っていてくれていた。もう、覚えてなんていないだろう約束を。…私は一瞬でも、頭から抜け落ちてしまったのにな」
何とか立ち上がったサオリは、ミカの目を見て続ける。
サオリ「…だから、行かせない。モモイやミドリ、ミサキにヒヨリにアツコにも…幸せになってほしいから」
その一言を引き金に、サオリに銃弾が撃ち込まれる。
弾が切れるまで撃ち込まれた銃弾を受け、立ち上がることはかなわなくなった。それでも、サオリは続ける。
サオリ「…しあわせに、なってはいけない人間なんて…いない。だれだって、そうだ。…だから」
ミカ「ッ!」
言葉の続きは、叩きつけられた銃床によって遮られた。
その衝撃を最後に、サオリは意識を手放した。 - 94二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 22:14:12
保守
- 95二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 04:28:33
それから少し時は経ち、モモイたちは追ってくるミメシスたちを退け、ついにバシリカへ辿り着こうとしていた。
モモイ「この先がバシリカだよ」
“この先に、アツコが?”
ヒヨリ「だ、だと思います…」
ミサキ「かなり時間が経ってるし…急ごう」
道は長い一本道。危険な場所ではあるが、立ち止まるわけにはいかない。…その時だった。
ドオオォォン!!
響く爆発音とともに、柱や天井が崩落する。
“!?”
それにより、五人は先生とミサキとヒヨリ、モモイとミドリの二手に分断させられてしまう。
ミドリ「先生、大丈夫ですか!?」
“こっちは大丈夫!”
ミサキ「モモイちゃん!大丈夫ですか!?」
モモイ「………」
ヒヨリ「…モモイ?」
モモイ「…また、あなたなんだね」
ミカ「うん、そうだよ。また私だよ」 - 96二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 10:07:26
やはり避けられんか…
- 97二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 17:18:31
ほしゅ〜
- 98二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 23:25:56
保守
- 99二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 05:57:13
その声を聞いた瞬間、ミドリとミサキは言葉を失った。
ヒヨリ「ミカさん…!?」
いくらミメシスの対処に時間を取られていたといっても、その会敵は予想外だった。
モモイ「…サオリはどうしたのさ」
ミカ「サオリ…さっきの人のことかな?それなら潰したよ、邪魔だったしね」
ミドリ「ッ!」
その言葉を聞いて、ミドリはスナイパーライフルの銃口をミカへと向ける。
ミドリ「フーッ…フーッ…!!」
ミカ「…嫌われちゃったかな?ま、どうでもいいよね。今私が用事があるのは…モモイ、その子だけだし」
怒りを露わにするミドリ。それを止めるように、モモイがミドリの眼前に立ち塞がる。
ミドリ「お姉ちゃん、どいて…!」
モモイ「…ダメ。あなたには、そんなことさせられない」
銃身を下ろさせたモモイは、ミドリの頭を軽く撫でた。 - 100二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 05:59:09
“ッ…!待っててモモイ、今からそっちに…!”
モモイ「ヒヨリ!ミサキ!」
何か言おうとした先生の声を、モモイの声がかき消す。
モモイ「…アツコを、お願い!」
ヒヨリ「…!は、はい!ミサキさん!」
ミサキ「ッ!」
モモイからの言葉を受けたヒヨリは固まったミサキに声をかけ、先生の手を引く。
一瞬反応が遅れたミサキも、それに続いて駆けていく。
“待ってヒヨリ!モモイが!”
ヒヨリ「も、モモイちゃんと合流するには、もう時間がないですから…!」
ミサキ「………!!」
向こう側から聞こえる声が遠くなっていく。
それを聞いていたモモイは、ミカと向き合う。
ミカ「あーあ、先生…行っちゃったね。まぁ、これであなたの望みは叶えられるよ。きっとね」
モモイ「…望み、かあ…。ねぇ、ミカ。あなたの望みは何?」
ミカ「望み…望みかぁ…。…なんだったんだろうね?わからなくなってきちゃった…」
モモイ「…そっか」
そしてモモイはミドリへ顔を向ける。 - 101二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 06:01:06
ミドリ「お姉ちゃん…?」
モモイ「…ごめんね」
ドゴッ!
その言葉と共に、ミドリの鳩尾に衝撃が走る。
ミドリ「!?…お、ね……ちゃ…」
意識を手放し、モモイに体の全てを預けるミドリ。
モモイ「…これ以上、あなたは巻き込めない」
そう言うとモモイはミドリを隅に寝かせ、改めてミカの方に向き直る。
ミカ「妹に暴力を振るうなんて、酷いお姉さんだねー」
モモイ「妹じゃないよ」
深く息を吸って、吐く。まるで、決意するかのように。
モモイ「…私は、お姉ちゃんにはなれないから」
ミカ「ふーん…。ま、どっちでもいいけど?」
モモイ「そっか。でもね、どっちでもいいじゃ困るんだ」
ミカ「?」
疑問を浮かべたミカの足元に、手榴弾のようなものが転がる。爆発したそれは、周囲を煙幕で包む。 - 102二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 06:04:07
ミカ「ゲリラ戦…確かにこの地形ならそれが最適かもね?」
モモイ「…ミカ、私はあなたの憎悪を否定なんてしないよ。あなたが不幸になったのは私のせい」
撃ち込まれる弾丸。ミカはそれを一身に受ける。
モモイ「…だからこれは、私とあなたの問題。あの子は関係ない」
ミカ「いたた…。ちょっと意外だったかも?それを認めるんだって。…だったら全部受け止めてね、モモイ。あなたにとっては全て虚しいのかもしれないけど」
モモイ「………そうかもね。でも…」
全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ。
─だが。
「…それは、足掻くのをやめる理由にはならないから」 - 103二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 11:39:43
保守
- 104二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 17:34:24
保守
- 105二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 20:37:58
サオリ「ミドリ!」
眠っているかのように倒れ伏すミドリ。その光景を目にしたサオリは、ミドリの元へと駆け寄る。
サオリ「ミドリ!しっかりしろ!ミドリ!!」
サオリのその声に応えるように、ミドリはゆっくりと目を開く。
ミドリ「…お姉ちゃん…」
サオリ「ミドリ…!良かった…!!」
穏やかな表情のまま、サオリを呼ぶミドリ。
涙を流しミドリの無事を喜ぶサオリ。
ミドリ「…ねぇ、お姉ちゃん?」
そんなサオリに、ミドリは問いかける。 - 106二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 20:40:37
- 107二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 20:55:09
なんだなんだ
- 108二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 21:05:22
サオリもその夢見るんだ…
- 109二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 23:48:06
保守
- 110二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 07:00:54
保守
- 111二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 10:55:39
なぜここでギャグに走ったwww
- 112二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 12:34:13
ユズ「さ、サオリ!?」
アリス「大丈夫ですかサオリ!私たちのこと、わかりますか!?」
飛び起きたサオリ。その傍でユズとアリスが心配そうな表情でサオリを見つめていた。
サオリ「…ユズにアリス?…あれ、なんで…?」
ユズ「で、電波が通じなくなっちゃったから…何かあったのかなって…」
アリス「ダンジョンに入るまでのルートはヴェリタスの皆さんが何とか追跡してくれました!」
サオリ「…そうか…」
安堵した表情を浮かべた後、ハッとした表情になって立ち上がろうとするサオリだったが、全身に痛みが走る。
サオリ「ッ…!!」
アリス「ああっ、無茶しないでください!回復はまだできていないです!」
サオリ「…わかってる…!でも、行かないと…!」
そうしてややフラフラとしながらも、サオリは立ち上がった。
アリス「あっ!アリス、閃きました!私がサオリをおぶればいいんです!」
サオリ「なっ…!?」
そう言うとアリスはサオリをおぶる。
ユズ「アリスちゃん。サオリをお願い」
アリス「はい!」
ゲーム開発部の三人は、もう一人の仲間と先生の元へと急ぐのだった。 - 113二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 20:05:57
保守
- 114二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 00:59:51
保守
- 115二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 08:28:15
保守
- 116二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 14:45:30
保守
- 117二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 17:23:39
サオリ「…重くないか?スーパーノヴァに加えて私まで…」
アリス「このくらいへっちゃらです!」
自分だけでなく武器である光の剣:スーパーノヴァをおぶっている以上決して軽くはないはずなのに、アリスは問題ないと言わんばかりにそう答える。
そんな時、サオリの目にピンク色の何かが映る。
サオリ「…?…アリス、何か持ってきてる?」
アリス「はい!ミドリの部屋にあった銃を持ってきています!ミドリの銃とそっくりだったので、忘れ物かと…」
サオリ「あぁ、そうか…」
アリス「も、もしかして持ってきてほしくなかったですか!?」
サオリ「いや、ありがとう。…忘れ物は持ち主の所に届けてあげないとな」
アリス「…はい!」 - 118二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 17:28:59
Tips:⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️
アリスがサオリとミドリの家から持ってきたアサルトライフル。
ミドリの銃の色違いのようなデザイン。
全体的にピンク色が目立つ配色でハンドガードにはゲーム開発部のロゴステッカー、マガジンには模様が描かれ、トリガーガードはビーズアクセサリー風になっている。
元ネタ武器:H&K G3/H&K HK33 - 119二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 21:15:17
モモイの銃は持ってたんだな
そしてここからゲ開部参戦か、楽しみだ - 120二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 01:02:47
保守
- 121二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 07:08:26
ミカとモモイの戦いは、熾烈を極めていた。
響く爆発音と銃声。それと共にお互いの感情をぶつけ合う二人。されど、その時間も終わりを迎えようとしていた。
モモイ「うぅ…!」
ミカ「はぁ…はぁ…」
膝を着いたのは、モモイだった。
ミカ「流石、アリウススクワッドのリーダーは鍛え方が違うってこと…なのかな?…いたた、結構手酷くやられちゃった…」
モモイはそのまま、倒れ込んで天を仰ぐ。
モモイ(…あぁ、これで…おわりかぁ…)
静かに目を閉じるモモイ。
すると、まるで堰を切ったように今まで思い返せもしなかった思い出が脳内に溢れ出した─ - 122二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 13:13:50
ついに思い出すか…?
- 123ぬ25/09/21(日) 18:43:48
保守
- 124二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 22:31:38
保守
- 125二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 06:55:36
保守
- 126二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 07:15:17
─過去のアリウス
モモイ「………はい、ミドリ」
一切れのパンを半分に分けたものを、ミドリに手渡す。モモイが持っているそれと比べて、少し大きめのサイズだ。
ミドリ「…そっちのパン、少ない」
モモイ「いいのいいの!私、お腹空いてないもん!」
ミドリ「…お姉ちゃんはいっつもそう言う」
モモイ「…遠慮なんてしなくてもいいよ。カビてないパンなんてそうそう食べれるものじゃないんだし…ね?」
ミドリ「…わかった」
微笑む姉に、妹は何も言えなくなる。
少量とはいえお腹を満たした二人は、食糧を求めて今までとは異なる場所に辿り着いた。 - 127二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 15:22:10
保守
- 128二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 21:38:18
切ない…
かびてないのも贅沢か… - 129二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 00:17:43
保守
- 130二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 02:11:31
保守
- 131二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 08:54:11
保守
- 132二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 14:59:58
アリウス出身ではあれど定住地がないのか
となるとその途中でサオリたちと出会って別れたんかな - 133二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 20:00:42
モモイ「…この辺、人がいっぱいいるね。ここなら少しはマシになるかな?」
ミドリ「…そうだといいなぁ…」
そうして歩いていると、二人は四人の少女と出会った。
サオリ、ミサキ、ヒヨリ、アツコの四人だ。
食糧についてはそこまでマシにはならなかったものの、はじめて友人と呼べる存在には出会えた。
サオリ「そんなところから来たんだね。…どこかに居着く気はないの?」
モモイ「うん。どこにも居場所はないし…。ねぇ、サオリ。…私たち、なんでここに生まれたんだろうね?」
サオリ「…それは…誰にもわからないと思う」
モモイ「…そっか。…そうだよね」
それからしばらくするとまた放浪することになったため、交流した期間としてはかなり短い方ではあった。
モモイ「ミドリ、大丈夫?」
ミドリ「…うん、平気だよ。…お姉ちゃんは?」
モモイ「もちろん私はへっちゃらだよ!」
明るくそう言うモモイ。ミドリはその様子を見て軽く笑む。
モモイ「…大丈夫。お姉ちゃんが守るから。…ミドリは、いなくならないでね」
モモイはミドリの頭を撫でる。温もりを感じるその一時を破壊するかのように─
爆発音が、響いた。 - 134二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 00:01:24
うっわ
- 135二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 06:47:31
モモイ「ッ!?」
直後、二人を引き裂くように大規模な爆発が生じた。必死に逃げたミドリだったが、その隣に姉の姿はなかった。
ミドリ「お姉ちゃん!どこ!?お姉ちゃん!」
ミドリは必死になって姉を呼ぶが、周囲の音にかき消され、その声がモモイの元へ届くことはなかった。
モモイ「…」
いたい。
足に力が入らない。
ミドリ…。ミドリは…?
………。
いない?どこか安全な場所に逃げた?
それとも…。
…あぁ、ダメだ…。
…ちから…ぬけて… - 136二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 13:09:47
あぁ、モモイ…
- 137二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 17:55:10
死ぬな!!
- 138二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 22:15:38
保守
- 139二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 01:03:41
- 140二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 06:34:15
モモイ「あなたが助けてくれたの?」
ベアトリーチェ「ええ、あのまま死なすには惜しいと思いましたので」
モモイは警戒しつつ、ベアトリーチェの話を聞く。
ベアトリーチェ「内戦は私が終わらせました。あなたたちの真に憎むべきは、この環境ではありません。…憎むべきはすべての元凶、そしてこの世界…」
モモイ「難しい話はわからないからいいよ。それよりミドリを探しに行かないと…!」
ベアトリーチェ「…探しに…ですか。ですがもしもいなかった、としたら?」
モモイ「関係ないよ!まだそうなったって決まったわけじゃないから!」
ベアトリーチェは何も言わず佇んでいる。
モモイ「…とにかく、私はミドリを探しに行くから」
ベアトリーチェ「…えぇ、それについて私は止めるつもりはありません。ですが一つだけ言っておきましょう」
一時の沈黙の後、ベアトリーチェは静かに告げた。
ベアトリーチェ「………あなたを助けた時、他に人は見かけませんでしたよ」
モモイ「ッ!!」
聞いていられるか、と言わんばかりにモモイは飛び出した。 - 141二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 06:58:36
保守
- 142二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 12:43:21
昼間保守!!
- 143二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 18:28:49
保守
- 144二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 23:41:33
保守
- 145二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 06:47:52
─それからは、ずっとミドリのことを探して回った。
ミドリの名前を、何度も叫んだ。
宛もなく、それでも呼び続けた。
何度も。
何日も。
何回も。
それでも、その声は虚空に消えるばかりで。
返ってくるのは…残酷な静寂だけだった。 - 146二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 13:04:39
保守
- 147二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 19:23:34
保守
- 148二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 23:07:59
保守
- 149二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 01:01:32
モモイ「………」
ベアトリーチェ「…大切な、人だったのでしょうね」
モモイ「…わたしの…たったひとりの…いもうと…。まもるっていったのに…それなのに…」
虚ろな目でモモイは呟く。涙は、流れなかった。
ベアトリーチェ「えぇ、それが『虚しい』ということなのですよ」
モモイ「…むなしい…」
ベアトリーチェ「『vanitas vanitatum et omnia vanitas』。全ては虚しい。どこまで行こうとも、全ては虚しいもの。…それが、この世界の真理です」
モモイ「…ばにたす…」
ベアトリーチェ「…そう、全ては…ただ虚しいだけなのですよ」
その言葉は、荒んだ心の傷を癒すかのように染み込んでいく。
ミドリを守れなかったのも、ミドリが見つからないのも、そもそもミドリとはぐれてしまったのも。
きっと全ては虚しいものだからなのだと、モモイの中で結論づけられていった。 - 150二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 07:38:59
保守
- 151二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 14:29:02
SS待ってるで
- 152二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 20:25:20
保守
- 153二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 23:49:45
妹を守れなかったばにたすモモイ
ベアおばは記憶飛ぶほどの訓練をしたのか - 154二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 01:23:06
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- 155二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 01:29:53
- 156二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 09:24:34
保守
- 157二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 17:41:55
保守
- 158二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 20:33:13
保守
- 159二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:46:55
保守
- 160二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 01:57:03
兵士として、モモイは訓練に励んでいた。
食事はあるが味はほぼなく、水もほとんど与えられない。
そんな過酷な環境の中で、モモイはその心を砕きながら生きていた。
モモイ「………うっ…うぅ…!」
アリウス幹部「立て。この程度で膝をついていては何も出来ないぞ」
モモイ「…は、はい…!」
その身を削りながら生きてきた。
モモイ「…申し訳ございません…。許してください…。二度と、二度とこのようなことはしません…。もう二度と、大人の言葉を破りません…反抗しません…。将来に希望を抱かないよう努めます…。二度と幸福なんて望みません…祈りません…!どうか、どうか…!」
その言葉の通り、アリウスでの訓練を経てモモイは希望や幸福を自ら手放すようになっていった。 - 161二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 06:24:56
そして後にミサキたちと再会し、彼女たちに指導を行うことになった頃には、自分にとっての『幸せな日々の象徴』であるミドリとの記憶を思い出せなくなっていっていた。
そんな中で、将来に希望を抱いて生きようとするアズサの背中は、モモイにとっては光って見えた。
モモイ「…将来には希望も幸せもないんだよ、アズサ。それなのに、抗うつもりなの?」
アズサ「…何も考えないまま生きたくはない」
モモイ「そっか。でも全ては虚しいものなんだよ?」
アズサ「だとしても、それは今日を頑張らない理由にはならない」
モモイ「………先輩は凄いね」
嫌味らしく呼んでいた先輩という言葉も、もしかすると本心から慕っていたからこその呼び名だったのかもしれない。
モモイ「いい加減わかってよ先輩。全ては虚しいものなんだってさ。………先輩?待って、何処に行くの…?なんで?なんで先輩だけがそっちに行ってるの?私たちはまだここにいるのに…。待って、待ってよ…。行かないでよ、先輩…!」 - 162二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 14:07:59
保守
- 163二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:08:50
保守
- 164二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 23:37:12
─先輩…。
ミカ「ん?」
モモイ「………負け、だよね…。もう…いいや…」
ミカ「もう、いい?」
モモイ「…うん。もう、私は何もわからないんだ。何が正しくて、何が間違ったことなのか…。今までそうしないといけないって思いながらしてきたことが、間違っていたことだったとしても…私はそれに気づけなかった。…そんな私が幸せになれるわけなんてないのにね」
モモイの独白を、ミカは何も言わずに聞いていた。
モモイ「…いや、それだけじゃないかな。今までを振り返ってみてわかったんだ。私はミドリのことを、忘れたわけじゃなかった。ただ、思い出そうとしなかっただけだったんだ。思い出してしまえば、私が今まで生きてきたこと、やってきたことが間違っていたことだったんだって…自ら認めることになると感じたから…。自分で自分の記憶に蓋をしていただけだったんだ。…こんなどうしようもない人間が、お姉ちゃんを名乗っていいわけがないよね。幸せになんて…なっていいわけがないよね」
そう言うモモイの表情は、どこか晴れ晴れとしているようにも見えた。
モモイ「…だから、ここで終わりにするんだ。ミドリは優しい子だからきっと悲しむだろうけどね」
再び目を閉じるモモイ。
モモイ(…あぁ、これが私の物語かぁ…。くだらない…シナリオだったなぁ…)
しかし一向に銃声が聞こえない。疑問に思い目を開くと、そこには─
ミドリ「………」
モモイ「…ミドリ…?」
ミカの前に立つ、ミドリの背中があった。 - 165二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 06:38:17
ミドリのことを思い出すこと自体が心の傷に触れることになってたってことか…
- 166二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 13:52:51
姉妹…
- 167二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 20:33:32
保守
- 168二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 23:39:20
保守
- 169二次元好きの匿名さん25/10/01(水) 07:11:39
保守
- 170二次元好きの匿名さん25/10/01(水) 11:53:58
ミドリ「お姉ちゃんに…手は出さないでください…!」
震える声でミカにそう言うミドリ。モモイはその背中を見つめながら、ぽつりと呟いた。
モモイ「…ミドリ…」
ミドリ「お、お姉ちゃん!」
ミドリはモモイに駆け寄る。その表情は、明らかに怒っていた。
ミドリ「………お姉ちゃんのバカ!幸せになっていいわけないなんてことないよ!幸せになっちゃいけない人なんていないんだから!」
モモイ「…ミ、ミドリ…」
ミカ「………」
怒りを顕にするミドリの姿を見て、怒りの声を上げるミドリの言葉を聞いて、ミカの脳裏に浮かんだのは、先程交戦した生徒が最後に呟いた言葉。
サオリ『…しあわせに、なってはいけない人間なんて…いない』
─ミカは、手に持っていた武器を落とした。
その目には…涙が浮かんでいた。 - 171二次元好きの匿名さん25/10/01(水) 17:36:42
止まった?
- 172二次元好きの匿名さん25/10/01(水) 22:25:33
保守
- 173二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 06:19:33
サオリとミドリが同じこと言ってるのいいな……
- 174二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 13:25:03
保守
- 175二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 20:20:12
保守
- 176二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 23:48:34
保守
- 177二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 08:02:28
保守
- 178二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 15:33:40
姉妹って良いな
- 179二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 21:32:51
保守
- 180二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 01:26:33
保守
- 181二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 08:38:43
保守
- 182二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 15:21:32
- 183二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 21:27:19
無理しないでくださいね
- 184二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 07:04:57
がんば
- 185二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 14:18:34
保守
- 186二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 16:52:28
そんなミカを見て、二人は呆気に取られていた。
モモイ「…ミカ…?」
ミカ「…私は、魔女だから…幸せになっちゃいけなくて…。でも、それでもって…ずっと、思ってた。…そんなことを願っても、幸せになんかなれないって、そう思ってた…」
地面に涙の跡を作りながら、そう話し続けるミカ。
ミカ「…さっきの、シナリオライターって言ってた人…名前はわからなかったけど…。ミドリ、あなたと同じことを言ってたの」
ミドリ「………お姉ちゃんが…?」
ミカ「…私も、幸せになりたい。…全部やり直して、一から出直して…幸せになりたいって…。でも、もう、無理なんだ。モモイ…私も、あなたも…幸せにはなれない。だから私は…あなたに公平な痛みを願っていたのかもしれない…」
ミカのその言葉を、モモイは何も言わずに聞いていた。
ミカ「…私は…!」
ミドリ「…誰が決めたんですか」
ミカ「…え?」 - 187二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 16:55:20
モモイ「ミドリ?」
ミドリ「…幸せになれないって…誰が決めたんですか」
真っ直ぐな目で、ミドリはそう言い放つ。
ミカ「…でも、私はもう…」
ミドリ「…『人生に、リセットボタンはない。コンティニューはある。』…前に遊んだゲームに、そんな言葉がありました。本当にやり直したり、出直したりすることは、確かにできないのかもしれません。でも、それで終わりじゃないんです。まだ、エンディングじゃないんですよ!!」
モモイ「…ミドリ…」
そう訴えるミドリの言葉に賛同する声が、少し遠くから聞こえてくる。
“ミドリの言う通りだよ” - 188二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 23:21:31
もうそろそろ次か
- 189二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 06:58:48
- 190二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 11:25:41
保守
- 191二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 18:52:27
保守
- 192二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:51:40
よく言ったミドリ
そろそろ次スレかな? - 193二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 00:17:30
その声の主が誰なのかは、すぐにわかった。
ミカ「…先生…?」
ヒヨリ「け、結局戻ってきちゃいました…」
ミサキ「…モモイもミドリも…怪我はしてますが、元気そうで何より…」
モモイ「先生…?姫を助けに行ったんじゃ…」
“助けに行くよ。モモイもミドリも…一緒にね”
そう言って微笑む先生の姿が、モモイにはいつになく光って見えた。
ヒヨリ「せ、説得はしましたよ…?でも…」
ミサキ「止められなかった。というか止まらなかった」
ミカは近づこうとする先生を手で制止する。
“ミカ?”
ミカ「…ダメだよ、先生。私みたいな問題児より、もっと大事な生徒がいるでしょう?モモイもその子のこと、心配してるよ?」
“私にとっては、アツコもミカも、モモイもミドリも、みんな…大事な生徒だよ”
ミカ「…!!」
“…だから、ミカのことも…見捨てない。さっきミドリが言ってたように、エンディングはまだ先なんだから。…私は、あなたたちを不幸にはさせないから”
迷いなくそう告げる先生。そこへ─
ユスティナ聖徒会のミメシスが現れた。 - 194二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 00:38:09
- 195二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 00:42:21
立て乙