魔王学院原作初見感想待機スレ11

  • 1二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 16:00:11

    魔王学院原作初見感想待機スレです
    スレ主が見ている範囲までのネタバレあり

  • 2二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 16:02:13
  • 3二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 16:04:06

    待機

  • 4二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 16:06:06

    待機

  • 5二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 16:09:00

    待機

  • 6二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 16:11:02

    待機

  • 7二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 16:13:09

    待機

  • 8二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 16:15:10

    待機

  • 9二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 16:17:48

    待機

  • 10二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 16:19:50

    待機

  • 11二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 16:27:14

    立て乙です

  • 12二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 22:00:37

    おお、建ってたんか。乙

  • 13二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 22:42:25

    保守

  • 14二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 01:07:43

    待機

  • 15二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 07:39:17

    保守

  • 16スレ主25/09/02(火) 12:38:25

    「ミサ」


     彼は優しく微笑み、後ろで見守る彼女に言った。


    「君の言葉が欲しい」


    「……え、えーと……ですね……」


     恥ずかしそうに俯き、上目遣いでミサは言う。


    「……だ、大好きなレイさんが勝つところを、見たいです……」


     瞬間、光が爆発するかの如く、膨れあがり、<聖愛域テオ・アスク>を纏った霊神人剣はかつてないほどの輝きを放った。


     アヴォス・ディルヘヴィアと戦ったときよりも、王竜を倒したときよりも、二人の愛は今一番光り輝いている。


     それもそのはず、彼らの前に立ちはだかっているのは他でもない、俺とシンだ。


     たとえ魔法や剣の勝負に負けたとしても、<聖愛域テオ・アスク>では、負けるわけにはいかない。なればこそ、レイとミサはその絆を、その愛を、熱く燃えたぎらせた。

  • 17スレ主25/09/02(火) 12:39:38

    彼の想いが、その愛が、全身から滲み出るように周囲に光の粒子を撒き散らす。
     それは、魔眼めを凝らせば、雄弁に彼の意志を語っていた。

     ――僕が勝ったら、聞いてもらいたいことがあります、お義父とうさんっ!―― 

    「吠えたところで、愛が強くなるわけでもないでしょうっ……!!!」

     レイの想いを真っ向からはね返すかの如く、シンが地面を蹴り、爆発する光の剣を大きく振り上げる。

     ――戯れ言は一本取ってから吐くがいいわっ! 小僧っ!――

     バチィィィィンッと光の剣と光の剣が衝突し、愛と愛が激しく鬩ぎ合う。

     ――必ず聞いてもらいますっ!――

     ――聞かぬっ!―― 

     ――いいえっ! 聞いてもらいます。大事な話です。お嬢さんの話ですっ!――

    まだ語る気だったのかお前

  • 18スレ主25/09/02(火) 12:41:13

    「――<聖魔愛憎剣爆撃ディオ・グレゼアス>」


     俺の声と共に、レイの根源が次々と爆発していく。

     吹き飛ばされながらも五度死んで、五度蘇り、再び五度死んで、同じ数だけ蘇った。


     地面にひれ伏す一瞬の間に、レイは合計十本取られていた。


    「い、今のは……?」


    「新しく開発してな。<聖魔愛憎剣爆撃ディオ・グレゼアス>は、愛と憎しみを爆発させる一撃。元来は二人の愛を一つに重ねる<聖愛域テオ・アスク>だが、これは愛と憎しみを一つに重ねることにより、<聖愛域テオ・アスク>を発動している」


    「憎しみって……もうそれ愛魔法じゃないんじゃ……?」


     ミサが不思議そうに言った。


    「ただの憎しみならばな。だが、ときとして愛が一線を越え、憎しみに変わるときがある。それこそが愛憎だ。娘の恋人に対するままならぬ想い、決して退けぬという不器用な愛、その親心こそが、恋人同士の<聖愛剣爆裂テオ・トレアロス>を打ち砕く刃、<聖魔愛憎剣爆撃ディオ・グレゼアス>」


     娘への大きな愛ゆえにシンは、娘を奪おうとするレイに並々ならぬ憎悪を燃やす。だが、それは決して心底憎いわけではない。憎悪の深淵を覗いてみれば、その根底には愛がある。憎悪もまた愛なのだ。


     レイの<聖愛剣爆裂テオ・トレアロス>をいとも容易くねじ伏せるほどのこの魔法に欠点があるとすれば、行使できる条件が、シンがレイと対峙したときに限るということぐらいか。


    ほぼほぼ条件的に役に立たねえじゃねえかこれ!

  • 19スレ主25/09/02(火) 12:42:53

    「レイ。今日はわたくしが……。わたくしに、合わせてくださいますか……?」


    「愛しているよ」


     かーっとミサの頬が紅潮する。

     顔を背けながら、恥じらうように彼女は言う。


    「…………そんなこと、言われなくてもわかっていますわ……」


     二人の<聖愛域テオ・アスク>の輝きが一段と増し、光が竜巻のように立ち上っていく。


     ミサの動作に、レイは完璧に同調する。

     身も心も一つとなりて、今、恋人たちは父親という偉大な存在に挑む。


    「「<双掌聖愛剣爆裂リガロ・ティル・トレアロス>」」


     突き出されたその愛情溢れる剣撃を、シンは足を踏ん張り、歯を食いしばって、<聖魔愛憎剣爆撃ディオ・グレゼアス>で受けとめる。


     光と光が衝突し、愛と愛が唸りを上げる。


    多分一生分の愛の字を見た それはそれとして

  • 20スレ主25/09/02(火) 12:44:46

    「……あ、お母様っ……」

     ばっとシンがもの凄い勢いで振り向いた。
     そこには無論、誰もいない。

    「今ですわっ!」

    「君には負けるよ、ミサっ!」

     シンの一瞬の油断。戦いの最中によそ見をするなど、魔王の右腕にあってはならない一生の不覚。

     それを生みだした一言こそが、どんな卑怯な手を使ってでも認めてもらいたいという彼女の健気な恋心だ。

     それに応えてやらねば、男ではない。

     熱く、熱く、その愛の剣が燃え上がる。

    「愛しているっ!!」

    「わたくしも愛していますわっ!」

     その圧倒的な光の爆発、二人の愛の熱量に、愛憎の剣もろとも、シンは飲み込まれていった――

    なんで攻略法がギャグ漫画的なあれなんだよ!

  • 21スレ主25/09/02(火) 12:46:26

    ばっとシンがもの凄い勢いで振り向いた。
    そこには無論、誰もいない。

    ここ好き

  • 22二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 14:28:30

    あれ?なんか涙が出そう、彼女欲しい……

  • 23二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 14:43:16

    >>21

    わかる。めっちゃ好き

  • 24二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 23:26:55

    保守

  • 25二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 07:26:47

    保守

  • 26二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 14:12:58

    待機

  • 27二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 23:12:45

    待機

  • 28二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 07:52:06

    待機

  • 29二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 12:29:13

    >>22

    魔族錬成(アズヘブ)の出番か

  • 30二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 15:44:23

    >>29 彼女を錬成しろと……?

  • 31二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:22:35

    待機

  • 32二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:41:45

    このレスは削除されています

  • 33二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 01:11:21

    待機

  • 34二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 07:17:04

    保守

  • 35二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 09:31:33

    待機

  • 36スレ主25/09/05(金) 12:28:05

    「……なにっ…………!?」


    「……信じられませんわ……」


     驚愕の視線を向けながらも、レイとミサは足を踏ん張り、腰を入れ、互いの想いと呼吸を愛の剣に集中する。


     衝突する光の剣と光の剣の力はほぼ互角。

     いや、僅かに俺たちが優っていた。


    「……いったい、なんですの……? わたくしとレイの愛に優るほどの<聖愛域テオ・アスク>をお父様とアノス様はどうやって作り出していますのっ……?」


    「わからぬか、ミサ。愛とは恋人同士の専売特許ではない。親の愛もあるならば、友としての愛、主君と臣下の愛もある。この友愛と敬愛が俺とシンの愛の形、もう一つの<双掌聖愛剣爆裂リガロ・ティル・トレアロス>だ」


     二本の剣をまっすぐ、俺とシンは前に突きだした。

     迸る膨大な光に押され、ミサとレイの足が地面にめり込む。


    「……本当に君って奴は、信じられないことをするね……。友愛と敬愛で<聖愛域テオ・アスク>を使っただけじゃなくて、それを恋愛の域まで高めて、<双掌聖愛剣爆裂リガロ・ティル・トレアロス>を放つなんて……そんなことは勇者の魔法の常識ではありえなかった……」


     恋する男女の愛は、いかなる愛にも優る。

     それが愛魔法の魔法術式が示した不文律だったが、しかし、俺はその構造の欠陥を見つけた。


    「思い込みにすぎぬ。愛とはそのような不自由なものではない。見よ、俺たちの友愛は、恋愛を超えたぞ」


    もはや何も言うまい……

  • 37スレ主25/09/05(金) 12:30:06

    「……ねえ、みんな……さっきアノス様が、ときとして親の愛が一線を越えるって、言ってたよね? それが愛憎だって……」


     ぽつり、とエレンが呟く。

     ファンユニオンたちは、皆、はっとしたような表情を浮かべた。


    「言ってた……」


    「あたしも聞いた」


    「間違いないよ……」


    「じゃ、あれっ! 今のシン先生とアノス様の友愛が、一線越えちゃってるんじゃないっ!?」


    「見て、あたしたちの<理創像エドニカ>がっ!?」


    「ああっ……! 光に向かって走っていってるっ!」


    「きっと、ついてこいって言ってるんだよっ!」


     全力で逃げる生徒たちの<理創像エドニカ>とは真逆、ファンユニオンの<理創像エドニカ>は、あろうことか、光の爆心地へと突っ込んでいく。


    「行かなきゃっ!」


     ファンユニオンたちは決意を固めたかのように、走り出した。


    もうここまで来たらファンユニオン達も一種のバグでしょこれww

  • 38スレ主25/09/05(金) 12:35:07

     光と光が衝突し、愛と愛がぶつかり合う、その凄まじい鬩ぎ合いに、耳を劈くような爆発音が、何度も何度も鳴り響く。


     まさにここは愛の爆心地。

     敬慕と愛念が狂おしく絶叫する真っ直中だ。


    「……ミサ……愛しているよ……」


    「……わたくしも……愛していますわ……」


     言葉を重ね、愛を重ねる毎に、二人の<双掌聖愛剣爆裂リガロ・ティル・トレアロス>が熱く燃え上がる。


    「……僕たちは、負けないっ……!! ミサが誰よりも好きだからっ。アノスッ、君がどれだけ強くても、今日だけは、この愛だけは譲れないんだぁぁっっ!!!」

  • 39スレ主25/09/05(金) 12:36:38

    「そうだ。レイ、ミサ。お前たちは、愛が恥ずかしいものだと思ってはいないか?」


    「今更……恥ずかしがって……なんか…………!」


    「そのような浅い部分の話ではない。もっと自らの深淵を覗いてみよ。深く、深く、深く潜れ。心の奥底に、愛の深淵に、隠しきれぬ羞恥がある。それがお前の愛に躊躇いを作り、鈍らせてしまっているのだ。友愛や敬愛にはさほどないその羞恥こそが、恋愛の欠点」


     レイがはっとしたような表情を浮かべる。


    「理解したか。愛魔法の深淵を。羞恥心を克服して初めて、愛はその深奥に至る。ならば、方法は一つ」


     友への愛を込め、俺は言った。


    「さらけだせ。お前たちの真の愛を。どこにいようと誰が見ていようと、二人きりだと思えばいい」


     一歩足を踏み出す。


     まるで俺がそうすることが事前にわかっていたかのように、シンはまったく同じタイミングで、足を踏み出していた。


    「見せてやろう。シン」


    「御意」


     V字を描いた剣が、愛魔法の光で漆黒に染まり、膨張した。


    「「<双剣聖魔友愛爆裂砲ヴァヴィロ・ヴァーチェ・トライアス>」」


    はっ…恥じらいあったの…?

  • 40二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 12:37:57

    晒してるつもりでも、心の底では晒しきれていなかったんだよっ!!!

  • 41二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 13:33:13

    あのアノスとシンがハートになるようにポーズとるのアニオリなんだよね。ノリノリで爆笑した

  • 42二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 21:12:14

    ハート演出に草生えましたわ

  • 43二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 22:34:56

    待機

  • 44二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 01:46:29

    待機

  • 45二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 06:59:38

    待機

  • 46二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 08:59:35

    待機

  • 47二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 14:03:01

    待機

  • 48二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 19:29:41

    待機

  • 49二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 22:56:28

    待機

  • 50二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 01:32:07

    待機

  • 51二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 03:08:40

    そういや六章って作中屈指の威力を誇る、圧倒的なまでに強力な魔法が2個も出てくるんだよな。何気にインフレ章だと思うの

  • 52二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 07:48:47

    保守

  • 53二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 10:49:51

    待機

  • 54二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 14:12:31

    待機

  • 55二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 20:00:28

    待機

  • 56二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 22:37:46

    保守

  • 57二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 00:48:40

    待機

  • 58二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 04:20:03

    >>51

    6章からは未来神とか痕跡神みたいな神族の最上位クラスが相手だからアノスも相応の力出さないと勝てないからね

  • 59二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 07:47:18

    保守

  • 60二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 08:37:56

    待機

  • 61二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 13:39:54

    待機

  • 62二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:04:59

    待機

  • 63二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 23:34:29

    保守

  • 64スレ主25/09/08(月) 23:55:11

    「あの~、アノス様」

     居残りのナーヤが手を挙げる。

    「どうした?」

    「アノシュ君がいないみたいなんですけど……? どうしたんでしょう?」

     不思議そうに彼女は言う。

    「あれ、本当だな」

    「そういえば、<理創像エドニカ>の訓練のときに見たか?」

    「いや……見てないかも……ていうか、それどころじゃなかったし……」


     生徒たちがざわざわと騒ぎ始める。


     休みにしておいてもいいが、大魔王教練のときに限ってアノシュが休むと思われれば、勘繰る者も出てくるかもしれぬ。


     かといって、わざわざアノシュの体を魔法で作って動かすというのも面倒だ。

     それなりの精度にしなければ、見抜かれるだろうしな。


     ならば――

    「くははっ。なにを言っている。アノシュなら、ずっとそこにいるだろう」


     俺はなにもない空間に視線を向けた。


    「え……?」


    「そこにアノシュ君がいるんですか?」


    「ああ」

     俺はそこまで歩いていき、言葉をかけた。

    「<幻影擬態ライネル>と<秘匿魔力ナジラ>か。俺から隠れようとするとは、なかなか悪戯好きのようだが、まだまだ深淵には届いておらぬ。この際、大魔王教練の間はそれで通してみるのだな。一度でも俺の魔眼めを欺いたならば、合格点をくれてやる」


    ナイス誤魔化し

  • 65スレ主25/09/08(月) 23:56:48

     すぐ隣を俺は<飛行フレス>で飛び、その後ろには、エールドメードとシンが続いた。


    「わーお、楽しいぞっ! 飛んだっ、飛んだね、ゼシアっ」


    「……快適……です……」


     エレオノールとゼシアが二人で雪の竜に乗っている。

     その横をミーシャとサーシャが<飛行フレス>で並んだ。


    「というか、エレオノールとゼシアはついてこれるでしょうに」


     サーシャが苦言を呈すると、ミーシャは首をかしげた。


    「ずる?」


    「……ち、違うんだぞっ。ほら、雪の竜に乗ってみたかったから」


     などと、エレオノールは言い訳になっていない言い訳を口にしている。

     じーっとミーシャが無表情に彼女を見つめる。


    「それにほら、この雪の竜を参考にして、新しい魔法を作れるかもしれないし……」


    ずっと愛愛愛愛言ってたから普通の会話がめっちゃ微笑ましい……

  • 66スレ主25/09/08(月) 23:59:35

     人に慣れているのか、特に襲いかかってくる気配はない。
     ジオルヘイゼを訪れた巡礼者の駆る竜なのだろう。

     雪の竜たちは平原へ次々と着地し、生徒たちを降ろしていく。

     ちょうど、そのときだった。
     地割れのようなけたたましい音が頭上から鳴り響いた。

    「なによ、この音……?」

    「見て」

     ミーシャが彼方にある天蓋を指さす。
     また大きく頭上から地響きがした。

    「見てって言われても、ミーシャほど魔眼めはよくないんだけど……」

    「天蓋が落ちてきてる」

    「はぁっ……!?」

     ガ、ガガ、ガガァァンッと一際大きい音が鳴り響き、天蓋が下に降下する。
     それは、まるで空が落ちてきているかのような光景だった。

    天蓋が落ちてきてるとかいう謎ワード

  • 67スレ主25/09/09(火) 00:00:48

    「アノス様、歌を聴きにいってもいいですか?」


     エレンが俺に尋ねてくる。

     アルカナを見ると、彼女は言った。


    「ジオルヘイゼの治安は良い。ここに住む者には厳しい戒律が課せられるが、旅人には比較的緩い。いたずらに神を否定することがなければ、戒律に反しても、教団に身柄を拘束されるだけ。異端審問にかけられるまでには猶予がある」


     問題なさそうだな。


    「では、三時間ほど自由行動としよう。各々見聞を広めてくるがよい。なにをしていても構わぬが、俺のそばにはあまり近寄らぬ方がいい。ここの教皇に狙われているやもしれぬ」


     エレンに言うついでに、他の生徒たちにも<思念通信リークス>で伝えた。


    「ありがとうございますっ!」


    「行ってきますっ、歌も覚えてきますねっ!」


     そうカーサが言う。


    「ふむ。では、聞かせてもらうのを楽しみにしていよう」


    「きゃーっ、やったやったっ! ご褒美ご褒美ーっ!」


     カーサが嬉しそうに拳を振りながら走っていく。


    「あー、ずるいっ、カーサッ。抜けがけ禁止っ」


    「間接ご褒美しなさい、間接ご褒美っ!」


    本当に何処でも絶好調すぎる集団

  • 68スレ主25/09/09(火) 00:03:40

    「……なんで、あんなに危機感ないわけ……ねえ、ミー……」
    もぐもぐとミーシャは屋台で買ったばかりの串竜カツを食べている。
     通貨は、見聞を広める費用として事前に配ってあった。
    「サーシャの言う通り」
     はふはふ、と熱いカツに苦戦しながら、ミーシャは食べる。
    「けいかいはひふよう」
    「なに食べてるのよっ!?」
    「くひりゅうかふ」
    「串竜カツなのは、見ればわかるわよっ! なんで食べてるのって聞いてるのっ?」

    「屋台のおじさんが美味しいって」

    「ここ、敵地よ。敵地。敵地のど真ん中だわ。毒でも入れられたら、どうするのよ?」

     ごくん、とカツを飲み込み、ミーシャは言った。

    「見たから」
     ミーシャの魔眼ならば、大抵の毒は容易く看破できるだろう。
    「ちゃんとサーシャの分も残した」

     ミーシャが串竜カツの残りをサーシャに差し出す。

    「別にわたしの分がないと思って怒ったわけじゃないんだけど……」

    「いらない?」
     ミーシャが小首をかしげて、訊いた。

    「……もらうわ」

    平和だ……(なお場所は敵地)

  • 69スレ主25/09/09(火) 00:05:36

    「あの、熾死王先生、どちらへ行かれるんですか?」
     彼の後ろからナーヤがついてきた。
    「カカカ、教会に興味があるのだ。この地底世界に生きる竜人たちは、竜や神、その他、魔力に優れた魔法生物を召喚することに長けている。特に教会の聖職者ならば、盟珠を持ち、誰でもそれが扱えるそうでな。召喚魔法は地上にもあるにはあるが、やはり彼らの方が一日の長があるだろう。実に興味深い」

    「そうですか」

     立ち止まり、くるりと振り返ると、熾死王は言った。

    「オマエも一緒に来るか、居残り」

    「……でも、先生の邪魔をしてしまうんじゃ…………?」

    「カッカッカ、このオレが学ぼうとする生徒を邪険にするわけがないではないか。だが、気をつけろ。地底では、なにが起こるかわからない」

     エールドメードはナーヤをつれて、教会の前に立った。
     ノックをすると、やがて扉が開き、優しげな表情の竜人が姿を現す。

     纏っている法衣は、アルカナから聞いたところによれば、司教のものだ。

    「見慣れぬ顔の御方ですな。いかがなさいましたか?」

     エールドメードは杖をつき、堂々と言った。

    「地上から来たのだが、入信したい。コイツも一緒だ」

    「ええぇっ――むぐぅっ……!!」

     ナーヤが声を上げた瞬間、エールドメードが手でその口を塞いだ。

    この教師と教え子の組み合わせめっちゃ好きだったりする

  • 70二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 00:07:19

    エールドメード先生と居残りのコンビ、すこすこのすこよ

  • 71スレ主25/09/09(火) 00:07:41

     ふむ。なにを考えているのやら?
     今のところ、おかしな動きを見せていないとはいえ、油断するわけにもいかぬ。

     その気になれば、熾死王の方が教皇などよりもよほど厄介だろうからな。
     無論、奴のことだ。ただの好奇心ということもあるだろうが、一応、釘を刺しておくか。

    「どうしたの、アノス?」

    「サーシャ、ミーシャ。ともに来い」

     こくりとミーシャがうなずく。

    「それは、いいけど」

     歩き出すと、エレオノールとゼシアが寄ってきた。

    「みんなでどこ行くの? ボクたちも行っていい?」

    「構わぬ」

     エールドメードが入っていった教会の前に立ち、扉を叩く。
     しばらくして、先程の司教が姿を現した。
     
    「……旅の御方、いかがなさいましたか?」

    「入信したい。いばら」

    話早すぎて怪しすぎる入信希望者ww今のところは完全に味方だけど油断しない辺りは流石

  • 72二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 02:15:57

    >>71 ちゃんと魔王の敵を求めているのは流石ですよねぇwww

  • 73二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 04:30:28

    4章はエールドメードの手のひらの上だったから謀略に関してはアノスの上いってるよね
    狙い通りにノウスガリアをアノスにけしかけつつ天父神の秩序を手に入れて身の安全を確保してるし

  • 74二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 07:40:30

    保守

  • 75二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 09:34:05

    待機

  • 76二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 14:01:12

    待機

  • 77二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 22:38:25

    このレスは削除されています

  • 78二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 01:27:21

    待機

  • 79二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 07:45:54

    保守

  • 80二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 15:03:22

    保守

  • 81二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 17:16:34

    待機

  • 82二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 17:28:38

    >>71

    聞かれてもいないのに即いばらって答えてるけどアノスって横着なところあるよね

  • 83二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 22:57:35

    このレスは削除されています

  • 84二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 02:20:01

    待機

  • 85二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 07:59:16

    待機

  • 86スレ主25/09/11(木) 09:43:37

    ちょっと困ってる現在
    仕事の合間とか休憩時間で読んでるってスタンスなんですけど何故か昨日からスマホがホスト規制食らって……

  • 87二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 14:10:33

    >>86

    実は俺もソーナノ

    感想をメモって書き込める時に載せるとかどうだろうか?

  • 88二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 23:05:02

    このレスは削除されています

  • 89二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 02:11:14

    俺達が待機しとくぜ!

  • 90二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 07:39:50

    保守

  • 91二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 13:03:01

    待機

  • 92二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 14:14:12

    待機

  • 93二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 22:30:34

    待機

  • 94スレ主25/09/12(金) 23:14:46

    「誰か失敗した方がいいのかしら?」

     サーシャが言った。

    「なに、構わぬ。可能性としてないわけでもあるまい」

     無造作にかがり火に手をつっこみ、盟珠の指輪を手にした。

    「おお……! 素晴らしい。火傷一つ負わないとは。あなたは紛れもなく天命に選ばれし――んんっ?」

     エレオノールが無傷で盟珠の指輪を手に入れる。

    「簡単だぞっ」

    「……ゼシアも……天命、選ばれました……」

     司教が唖然と二人を見つめる。

    「……一度に三人も今日はなんという――なぁっ……!?」

     ミーシャとサーシャがやはり火傷を負わず、盟珠を手に入れる。

    「……ご、五人も……」

    「カカカッ、簡単なことではないか」

     エールドメードが盟珠を手にする。
     ナーヤも思いきって、かがり火に手を伸ばした。

    ちょろい

  • 95スレ主25/09/12(金) 23:16:38

    「さあ、まずは、お試しくださいますよう。なにもわからないかとは存じますが、どうぞご安心を。召命の義は何度でも行うことができます。一度で成功できる者は、一〇〇人に一人と言われているほど、特に難しい儀式なのです。今日は、召命の始まりの日として、神聖なる神の御手に少し触れるのだと考えていただけ――」

     司教が唖然としたように言葉を失った。

     ミーシャとサーシャが盟珠の内側に魔法陣を描くと、炎が立ち上り、そこに竜の影が浮かんでいたのだ。

    「初めての魔法だけど、これでうまくいってるのかしら?」


    「大丈夫だと思う」


     炎が散り、現れた竜は司教が召喚したものより、一回り以上大きかった。

    「……これ、は…………!? まさか、初めての召喚で、私の竜を上回るとは……しかも二人も――!?」


     驚愕の表情を浮かべた司教が、次の瞬間、それ以上に目を見開く。

     更に二つの炎が立ち上り、竜が召喚されたのだ。


     エレオノールとゼシアの<使役召喚リテルデ>だ。

     やはり、司教のものよりも、竜は巨大だった。


    「くすくすっ、うまくいったぞ」


    「……大きい……竜です……」


     満足そうに二人は竜を見上げる。


    「……よ、四人も……今日はなんという……なんという日なのでしょうか、<全能なる煌輝>エクエスよ……あなたは私をどこへ導こうというっ――!?」


     目の前の光景に、彼はただ立ちつくした。

     エールドメードが召喚した竜が、広大な天井に頭をつくほどの大きさだったのだ。


    「……なんと巨大な竜……これは、千年を生きた竜と同じぐらいの……」


    そういや皆上澄み集団だったなって改めて感じた

  • 96スレ主25/09/12(金) 23:20:05

    「……ち、小さいですけど、なんとかできました……」

     他の竜とサイズが違いすぎるからか、少し恐縮したようにナーヤが言う。
     だが、エールドメードは、興味深そうにその竜に近づいていく。

     小さな竜の至近距離で立ち止まると、彼はその全身を舐めるように見た。

    「見たことのない竜ではないか」

     彼がそう呟いたときだ。
     クゥッと小さな竜が鳴き、口を開いた。

    「えっ……?」

     瞬間、この場に召喚された六体の竜が透明な魔力の球に体を囲まれていた。
     その魔力球の内側がぐにゃりと歪むと、みるみる小さくなっていき、それに伴い竜の体が縮んでいく。

     あっという間に、ボールぐらいの大きさと化した魔力の球が、吸い込まれるように、小さな竜の口元へ飛んでくる。

     キュウッとひと鳴きし、小さな竜は魔力の球を食べてしまった。
     緑色だったその竜の鱗が、僅かに赤みがかった気がした。

    「……竜を、食べた……? いや、竜が竜を食べるなど……見たことも聞いたことも……」

     まるで事態についていけないといった風に、司教が愕然としている。

    もうやめて!司教様のキャパが持たないよ!

  • 97スレ主25/09/12(金) 23:21:33

    「こ、こんなことが……召喚の炎がこんなに激しく立ち上るところなど……う、お、うおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉっっっっ!!!」

     室内すべてを覆うほどに火勢を増した召喚の炎を見て、司教は絶叫した。
     俺は彼の周囲に反魔法を張り、それを防いでやった。

    「大人しくしていろ。やはり、燃えるようだ」

     忠告するも、司教は反魔法の外側へ恐る恐る足を踏み出す。

    「……ご安心ください。燃えるはずがないのです。火勢が強く見えても、召喚の炎は、聖職者を裁くことなき、授肉の炎っ」

    「ちょ、ちょっと……アノスッ! 室内ぜんぶは危ないわよっ……」

    「少々、地底の魔法は勝手が違うな。魔力を調整しても、あまり加減が効かぬ。死なぬよううまく防げ」

    「カカカカッ、つくづくオマエは暴虐の魔王だ。それでこそ、アノス・ヴォルディゴードではないかっ!!」

    「司教のおじさんが燃えた」

     ミーシャが呟く。
     大人しくしていろと言っただろうに。

    草ww

  • 98スレ主25/09/12(金) 23:23:26

     透明な魔力の球が真紅の竜を覆っていくが、しかし、途中で泡のように弾けて消えた。
     キュウゥ、と小さな竜は少々悲しげな鳴き声を上げる。

    「ふむ。さすがに無理か」

     真紅の竜が僅かに体躯をひねれば、ドガラガァァンッとけたたましい音を立て、教会が更に破壊され、無数の瓦礫が落下した。

    「ちょっ、ちょっとアノスッ、なんとかしなさいよっ。このままじゃ、ぜんぶ崩落するわっ」

    「そう心配せずともよい」

     真紅の竜を見据え、俺は命令を下した。

    「邪魔にならぬ場所へ飛んでいけ」

    「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァッッッ!!!」

     大きな咆吼を轟かせると、その震動で地下の天井とその上の建物部分が粉々に砕け散る。
     地盤を砕きながら、荘厳な翼を広げ、その真紅の竜は地底の空に飛び立っていった。

    「ふむ」

     教会は跡形もなく消滅し、地下までは完全な吹き抜けとなってしまっている。

    「見よ。これで崩落しまい」

    「馬鹿なのっ!」

    司教様に幸あれ……不憫すぎる

  • 99スレ主25/09/12(金) 23:27:06

    ただでさえ頻度遅いのにホスト規制で更に遅くなりそうなのが辛い


    >>87

    この案使って感想貯めておこうかな……

  • 100二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:54:31

    >>99 全然大丈夫ですよ。皆で何時までもスレ主さんの帰りを待っていますから

  • 101二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 06:41:59

    >>98

    ふむが大分味わい深い気がする。崩落させた言い訳考えてるよね

  • 102二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 09:21:40

    >>101 草ですねぇ

  • 103二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 15:16:31

    保守

  • 104二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 22:40:12

    待機

  • 105二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 02:11:39

    待機

  • 106二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 07:42:26

    保守

  • 107二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 14:13:21

    待機

  • 108二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 18:24:27

    待機

  • 109二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 22:38:42

    このレスは削除されています

  • 110二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 23:09:49

    このレスは削除されています

  • 111二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 00:53:49

    待機

  • 112二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 07:24:10

    待機

  • 113二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 14:14:35

    このレスは削除されています

  • 114二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 19:17:37

    待機

  • 115スレ主25/09/15(月) 21:08:08

     熾死王が指先で竜の口を軽く叩くと、ペロリと小さな舌がそれを舐めた。

    「そうかそうか、魔族は口に合わないのだな、トモグイ」

    「と、トモグイって、なんですか?」

    「コイツの名だ。オマエがつけたいか?」

     ぶるぶるとナーヤは首を左右に振った。
     コン、とエールドメードは杖をつき、彼女の顔を覗く。

    「いやいや、面白くなってきたではないかっ。居残り、今度は神の召喚を試してみようではないか?」

    「え、あ、はい…………えっ? か、神? 神様ですかっ?」

     戸惑ったような顔でナーヤは熾死王を見返した。

    「お、お待ちなさい。召命はかないました。あなた方は晴れて、このジオルダルの聖職者たる資格を得たのです。しかし、神の召喚となると、そう容易いことではありません」

     呆然としていた司教が、慌てたように声を発した。

     先程まで死んでいた自覚も、まだはっきりとはしていないだろうが、彼は職務を全うするため、説明を始める。

    心折れてないの立派すぎるww

  • 116スレ主25/09/15(月) 21:10:46

    「だが、魔王ならば話は別だぞ」


    「ふむ。では、試してみよ」


     俺はそこに魔法陣を描いてみせた。


    「これが神を喚ぶ<使役召喚リテルデ>の魔法術式だ」


     それを見た途端、司教が驚愕と言わんばかりに目を見開いた。


    「……ま……ま、さ、か………………」


     絞り出すような声が漏れる。


    「……どこでその術式を…………いえ、知られるはずが……では、本当に、この場で作りあげたというのですか…………?」


    「大したことではあるまい。この盟珠と竜を喚ぶ<使役召喚リテルデ>の魔法術式、それから盟約が必要ということが分かっていれば、自ずと術式の最適解は限られる」


     アルカナを召喚する<神座天門選定召喚グアラ・ナーテ・フォルテオス>も、術式の基本構造は変わらぬようだしな。


    「一応だが、これが<憑依召喚アゼプト>だ」


     別の魔法陣を描いて見せる。


    「……あ…………<憑依召喚アゼプト>まで…………!?」


    アノス様凄いとかよりこんな光景見せられても頑張ってる司教様応援したくなる

  • 117スレ主25/09/15(月) 21:12:50

    「カカカ、居残り。オレはとある神の力を簒奪さんだつしてな。早い話、この熾死王が神のようなものなのだ」


    「……え、熾死王先生が、神様……ですか……?」

     ナーヤは話についていけない様子だった。

    「その通り。証拠を見せてやろうではないか」

     エールドメードがシルクハットを手にし、それでお手玉をする。

     すると、シルクハットが四つに分裂した。


    「カカカッ、行くがいい」


     彼はそれを次々と飛ばしていく。

     ある程度、飛行した後、シルクハットはぴたりと宙に停止した。


    「天父神の秩序に従い、熾死王エールドメードが命ずる。産まれたまえ、四つの秩序、理を守護せし番神よ」

     四つのシルクハットから、紙吹雪とリボンのような光がキラキラと大量に降り注ぐ。

     まるで手品のように、それらはみるみる神体を形作っていく。

     産まれたのは四名の番神である。

     二本の杖を手にした異様に長い髪の幼女。

     再生の番神ヌテラ・ド・ヒアナ。

     翼を持つ人馬の淑女。

     空の番神レーズ・ナ・イール。

     巨大な盾を背中に背負う屈強な大男。

     守護の番神ゼオ・ラ・オプト

     槍、斧、剣、矢、鎌など十数種類の刃を持った黒い影。

     死の番神アトロ・ゼ・シスターヴァ。

    「……か…………か……ぁ…………」

     畏れと崇敬を抱くあまり、司教は最早口すらうまく回らぬ様子だ。

    「……秩序を産む秩序……<全能なる煌輝>エクエスの光を最も放つ神……天父神ノウスガリア…………!!!」


    ノウスガリアの力とかまだ残ってたんだな……

  • 118スレ主25/09/15(月) 21:13:59

    「……こ、これはっ…………!?」

     今日一日で一生分の驚きを使い果たそうとでもいうのか、司教はまたしても激しく驚愕していた。

    「なんと……四名の神と盟約を交わしたのみならず、同時に召喚するというのですか……そんなことは、選定神に選ばれた八神選定者ぐらいしかできないはずでは……そもそも、盟珠は一名の番神を召喚するのが限界、それ以上は石がもたずに砕け散るはず……!?」

     司教の予想とは裏腹に光はみるみる実体化していき、そして、ナーヤの目の前に先程盟約を交わした四名の番神が現れていた。

    「……奇跡が……神よ……今日一日で、私に何度奇跡を見せるというのでしょうか……おおぉ、おおおぉぉぉっ……」

     天啓でも下ったかのように、司教はまた号泣している。

    「……で、できたんでしょうか…………?」

    「なるほど。なるほどなるほど、なるほどな。わかったぞ、居残りっ!」

     エールドメードがこれまでにないほど活き活きとした表情を浮かべ、ナーヤを杖でビシィッと指した。

    「な……なにがですかっ……?」

    「オマエの可能性がだ。確かにオマエは魔力に乏しい。根源を器とし、魔力を水とするならば、オマエの器はそう、まさに空っぽ同然だ! 本来、根源から溢れるべき水がこれっぽっちも溢れてこないのだからなっ!」

    「………………はい……」

    まあなんか感動してるからいいか……

  • 119スレ主25/09/15(月) 21:15:12

    「カカカ、なにを落ち込んでいる? わからん奴だ。褒めているではないか。確かにオマエの根源からは魔力が溢れてこない。しかし、その根源の器は、この上ないほど広く、大きく、そして上等だ。四名の番神を喚んでなお、隙間があるほどにな」


    「えーと……」


    「召喚魔法に向いていると言っているのだ。自分の魔力は乏しいが、それだけの器があるのならば、外からたっぷりと注いでやればいい」


     熾死王の言う通り、地底の召喚魔法に必要なのは、根源の隙間のようだ。

     ゆえに、俺が先程竜を召喚した際、魔力を調節しても大した変化がなかった。


     俺の器の大きさが変わらなかったからだ。


     <使役召喚リテルデ>や<憑依召喚アゼプト>では、魔力が満ちていないその根源の器、言わば余白を、神との盟約や召喚の際の術式で埋める。だが、大抵の者にはそんな空きがないために、盟珠を器にしているのだ。


     盟約を重ねるほど、召喚すればするほどに、器の空きはなくなってしまう。

     だが、ナーヤには盟珠を使わずとも、受け入れるだけの根源の空きがあったというわけだ。


    「ナーヤ、この熾死王と盟約を結べ。オマエがオレの配下となるならば、オレはオマエの神となり、願いを叶えてやろう」


    このコンビやっぱ良いなぁ……

  • 120スレ主25/09/15(月) 21:17:28

    「お前は熾死王をどう思う?」

     一瞬考え、それから彼女は答えを口にした。

    「……その、とても良い先生だと思います……。熾死王先生についていけば、こんな私でも、もしかしたら、ディルヘイドの役に立てる日が来るのかなって……」

     うなずき、俺はナーヤに言い聞かせた。

    「その通りだ。熾死王ほど優れた教師はディルヘイドにはおらぬ。死にものぐるいでついていけ。必ず、お前の目指す場所へ導いてくれるだろう」

     彼女は嬉しそうに頬を綻ばせた。

    「彼を信じ、生徒として励め。そして恩を受けたと感じたならば、成長をもってそれに報いてやるがいい」

    「……はいっ……」

     ナーヤは明るく声を上げた。
     その様子を見て、熾死王は愉快千万とばかりに唇を歪める。

    「……カカ、カカカ、クカカカカッ! カーカッカッカッ!!」

     彼の笑い声が、地底の空に遠く響き渡る。

    「さすがは、さすがは暴虐の魔王ではないかっ! まさか、見過ごすどころか、この熾死王の背中を押そうとはっ! ああ、それでこそ、それでこそ、この神の力さえ容易く凌駕する、この世界の王の言葉だっ!!」

    熾死王が楽しそうでなによりです

  • 121スレ主25/09/15(月) 21:18:51

    「さあ、これでいい。願いを言え。盟約を交わそうではないか」

    「……え、ね、願いって言われても……?」

     困ったように俯き、ナーヤは笑う。

    「カカカ、遠慮せずに言いたまえ。オマエの望みをすべて叶えてやろう」

    「……えーと、じゃ……」

     ナーヤは顔を上げ、熾死王に言った。

    「……その、じゃ……先生は、いつまでも私の先生でいてくれますか……?」

     ニヤリ、とエールドメードが笑う。

    「引き受けよう。ナーヤ、この熾死王がありとあらゆる真理から、なんの役にも立たぬ雑学に至るまで、オマエのその脳髄と体に叩き込んでやろうではないかっ!」

     大げさな身振りで熾死王がそう言うと、彼の体が光に包まれる。
     次第にその光が収まっていけば、神体から元の姿に戻ったエールドメードがそこにいた。

     熾死王とナーヤの盟約が、完了したのだった。

    先生はいつまでも私の先生でいてくれますか? ここめっちゃ好き

  • 122二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 22:03:28

    エルナヤコンビ、本当に好きなカップリングなんですわ。尊い……()

  • 123二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 00:17:01

    待機

  • 124二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 07:04:04

    待機

  • 125二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 15:01:10

    待機

  • 126二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 22:53:20

    このレスは削除されています

  • 127二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 00:48:14

    待機

  • 128スレ主25/09/17(水) 01:16:55

    「オレの国を統べるのは、あそこにいる魔王だ。オレもあの男に仕える身。主君をさしおいて、その配下に頭を下げるのが、オマエたちの礼儀か? ん?」


     戸惑ったように司教は言葉を返した。


    「……し、しかし、神とは王の上に立つ至上の存在。彼が王だというのならば、あなた様がその王権を授けたのでございましょう。盟約を交わしているのもその乙女なれば、信徒たる私はまずあなた方に頭を下げるのが、神への礼儀と思った次第でございます」


    「カカカ、では覚えておけ。魔王とは、その神の上に立つ存在だ。そもそも、天父神の秩序もあの魔王、アノス・ヴォルディゴードがノウスガリアから簒奪し、このオレに与えたのだからな」


    「なんと……」


     畏れるような表情で司教は俺を見た。


    「神の上に立つもの。神の力を奪い、そして与えるもの。それでは、まるで<全能なる煌輝>エクエスではございませんか……」


     司教は俺の前に歩み出て、うやうやしく跪き、祈りを捧げる。


    「蒙昧な私には、真実が見えません。ゆえに神のお言葉をただ信じましょう。神の上に立つ御方、魔王アノス・ヴォルディゴード様。申し遅れました。私はジオルダルの司教ミラノ・エム・シサラドと申します。先程の非礼をどうかお許しくださいますよう」


    ディスガイアでも魔神より魔王の方がランク高いからね、仕方ないね

  • 129スレ主25/09/17(水) 01:18:16

    「神を信仰し、神を敬い、神に歌を捧げる、この信仰の国ジオルダルに、邪教に堕ちた愚者がいるのです。彼は神を冒涜するかの如く、教皇を貶め、信徒を嘲笑い、<全能なる煌輝>エクエスの存在を否定して回ります。それを真に受けるような不信心な者はこの都にはおりませんが、様々な祭礼の邪魔をされ、最早捨ておくことはできません」


    「ふむ。その邪教に堕ちた者の名は?」


    「ジオルダル元枢機卿、アヒデ・アロボ・アガーツェ。邪教に堕ちたため、教皇より洗礼名を剥奪され、今はただのアヒデと呼ばれています」


     やはり、アヒデか。

     洗礼名を剥奪されたということは、最早聖職者ではなくなったのだろうな。


    「彼は祭礼の度に現れては、神を冒涜します。一度は捕縛され、罪人として投獄されました。しかし、そのときの様子は思い出すだけでも恐ろしい」


     ミラノは身震いしながら言った。


    「なにがあった?」


    「まるで取り憑かれたかのようでした。夢から覚めろ、なぜ覚めぬと譫言のように繰り返し、その表情は、まるで狂気に染まった悪魔の如し。その異様さ、不気味さを信徒たちは忌み嫌い、目を向けることすら憚られたのです。そうして、目を離した隙に、逃走してしまいました」


    「監視が緩んだといえ、さすがに自力で逃げられるとは思えぬが?」


     司教はうなずく。


    「ご明察でございます。愚かなるアヒデは、ガデイシオラに入信した様子。奴らはまつろわぬ神を信仰する邪教の徒。なにをしでかすかわかったものではございません」


     ふむ。なるほど。神をいないことを吹聴するために、異教徒と手を結んだというわけだ。


    絶好調男アヒデ再び、まだ来るんですねあいつ……(げんなり)

  • 130スレ主25/09/17(水) 01:19:41

    「では、また明日、アヒデを教皇の手土産に引きずって来るとしよう」


     教会を後にしようとし、ふと思い立って足を止める。


    「そういえば、この辺りに良さそうな宿はあるか?」


     司教は恐縮しながら答えた。


    「……明日は聖歌の祭礼ということで、多くの巡礼者がジオルヘイゼに訪れております。教会や宿はすでに満員となっているでしょう。しかし、ご要望とあらば、なんとか部屋を空けて参ります。何名分必要でございましょうか?」


     ふむ。空けるとなれば、他の巡礼者や教会の人間を追い出すことになろう。


    「それには及ばぬ。どこか空き地でも借りられるか? 地中でも構わぬ」


    「この近くの竜着き場でございましたら、私の権限で管理している土地です。どうぞ、ご自由にお使いくださいますよう」


    「それは助かる。ありがたく使わせてもらおう」


    「<全能なる煌輝>の御心のままに」


     うやうやしく頭を下げ、祈りを捧げる司教と別れ、俺たちは教会を後にした。


    アヒデにも手土産という存在価値が出来たね!司教様最後まで人格者だったわ

  • 131スレ主25/09/17(水) 01:23:59

    「面白いことをしているな」
     声をかけると、ファンユニオンの少女たちが恐縮したように身を縮める。
    「あっ、アノス様っ……も、申し訳ございません。勝手なことをして……」
    「なに、自由行動に口は出さぬ。それにしても、上手いものだな。初めての曲だっただろう」
    「はい……でも、歌いやすい曲だったので。今のイリーナさんたちは、この街の聖歌隊の人みたいなんですけど、すごく綺麗な歌を歌う人だなぁって見てたら、一緒に歌わないかって誘ってくれたんです」
     それで一緒に歌っていたというわけか。
    「ジオルヘイゼでは歌が盛ん。歌を通して、竜人たちは様々な交流を行っている」
     アルカナがそう説明した。
    「あの、明日も自由時間って、ありますか?」
    「聖歌の祭礼を観にきたいのか?」

     こくりとファンユニオンの少女たちがうなずく。

    「あ、でも、できたらで、ほんと、他にやることがあるんでしたら、全然かまわないんですけど」

    「ジオルダルの文化を体験できるまたとない機会だ。明日は全員で観に来よう」

     エレンはぱっと顔を輝かせた。

    「やった! ありがとうございますっ!」

     ファンユニオンの少女たちは嬉しそうに互いにハイタッチを交わしている。

    「だが、一つ、気をつけることだ」

     エレンが不思議そうに俺の顔を見つめる。

    「よからぬ輩が祭礼の邪魔をしに来るという話だからな」

    もしかしてファンユニオン作詞以外は才能凄い…?よからぬ輩…一体何ヒデなんだ……

  • 132二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 01:29:26

    司教は神を敬いつつ実質交換条件出してる辺りしたたかだよね

  • 133二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 06:23:07

    待機

  • 134二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 11:41:35

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  • 135二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 14:06:37

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  • 136二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 15:59:18

    アイツ、マジでしつこくて草

  • 137二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 22:24:38

    待機

  • 138二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 23:54:31

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  • 139二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 08:02:46

    待機

  • 140二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 15:25:50

    このレスは削除されています

  • 141二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 22:02:53

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  • 142二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 00:37:03

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  • 143二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 07:35:01

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  • 144二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 14:37:45

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  • 145二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 21:37:22

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  • 146二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 22:55:22

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  • 147スレ主25/09/20(土) 02:34:02

    「これが、あなたが夢で見た記憶?」

    「妹と暮らしていた家のようだがな」

     じっとアルカナはその家を見回す。

    「どうしてだろう? 覚えがある気がする」

     彼女はすっと歩いていき、別室へ続くドアに触れる。

    「ここは、寝室?」

    「そうだ」

    「ベッドが二つある」
     アルカナが扉を開ける。
     そこに並んでいた二つのベッドを、彼女は不思議そうに見つめた。

    「そういえば、妹の名を教えてなかったな」

     アルカナの後ろに立つと、彼女が顔を後ろに倒し、見上げるように俺に視線を向ける。
     白銀の髪がふわりと揺れた。

    「アルカナだ」

     一瞬口を噤み、それから彼女は言った。

    「……どうして、わたしと同じなのだろう?」

    なんででしょうなぁ

  • 148スレ主25/09/20(土) 02:36:34

    「わたしがあなたの妹だったなら、わたしの夢とあなたの夢を重ねれば、強く記憶を想起できるかもしれない」

     なるほど。

    「あなたへの負担は大きくなる」

    「構わぬ。それで記憶が戻るかもしれぬならば、やってみるがいい」

    「ありがとう」

     アルカナは俺の体に跨るように膝をつき、そっと胸に手をおいた。
     そうして、額と額と重ねてくる。

     彼女の体に魔法陣が浮かび、纏った衣服が光り輝き、うっすらと消えていく。

     そのとき、バゴンッと勢いよくドアが開け放たれる。

    「ちょ、ちょっと待ちなさいよっ!」

     アルカナが振り向く。
     サーシャとミーシャがそこにいた。

    「嫌な予感がして来てみれば、このふしだら神っ。わたしがいる限りは、そういう不埒なことはさせないわっ!」

    やっぱサーシャのこういう所可愛いなぁ 

  • 149スレ主25/09/20(土) 02:39:01

    「……問題は…………」
     サーシャは俯く。
    「だって……」
     真っ赤な顔で、か細い声を絞り出すかのように、彼女は言う。
    「だって、嫌なんだもん……」
    「なぜだ?」
     困ったようにサーシャが口を閉ざすと、代わりにミーシャが言った。
    「サーシャはアノスが心配」
    「アルカナが俺になにかすると?」
     ミーシャが首を左右に振る。
    「アルカナは良い子。でも、心配は心配」
     まあ、わからぬ話ではない。
     万が一にも、主君になにかあればと考えるのは配下としては当然のことだろう。

    「ならば、ちょうどいい。お前たちも夢の番神に過去を見せてもらえ」
    「……はい?」

     サーシャがきょとんして俺を見返す。

    「心配ならば、そばで見張っていろ。そのついでに夢を見させてもらえばいい。夢の番神の秩序に直接触れていれば、なにか不審な動きがあったときにもわかるだろうからな」
    「……で、でも……それって……」
     サーシャがもじもじとしながら、俺の意図をうかがうように視線を向けてくる。
    「一緒に寝る?」
     ミーシャが訊いた。
    「それで問題あるまい」
    「も、問題あるまいって……」
    「不服か?」
    「……そ、そういうわけじゃないけど……」

    うむ、やはり可愛い というか色々と積極的なのがサーシャくらいだから素直に応援したくなる

  • 150スレ主25/09/20(土) 02:40:37

     手を伸ばし、サーシャの頭をつかんではゆるりとこちらへ向ける。

    「きゃっ……え、えと……あの……あのっ……?」

    「俺の目を見よ」

     じっと彼女はその瞳を俺に向ける。

    「…………はい……」

    「俺のために来てくれたのだろう?」

     こくりとサーシャはうなずく。

    「嬉しく思うぞ。だが、それほど気負わず、いつも通りにしていればよい。どうせ何事も起こらぬ。ただ昔の夢を見るだけだ」
     
    「……うん」

     そう口にすると、サーシャは俺を護ろうとでもするように、額を俺の体にぴたりとつけてきた。
     まだ幾分か固さは残っているが、だいぶ気負いはとれたようだ。

    ナイスイケメンムーブ

  • 151二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 06:11:24

    サーシャに対してアノスってよくイケメンムーブするよね

  • 152二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 09:03:08

    女心を理解してない割にはよくやるなーって毎回思う

  • 153二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 14:36:35

    待機

  • 154二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 20:49:23

    待機

  • 155二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 22:26:26

    待機

  • 156二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 02:43:00

    待機

  • 157二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 07:50:49

    保守

  • 158二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 10:46:36

    待機

  • 159二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 15:08:17

    待機

  • 160二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 18:10:17

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  • 161二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 22:46:45

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  • 162二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 07:37:02

    保守

  • 163二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 12:29:55

    待機

  • 164二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 14:06:41

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  • 165二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 22:21:54

    待機

  • 166二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 04:16:02

    待機

  • 167二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 10:06:45

    待機

  • 168スレ主25/09/23(火) 12:02:20

    「お、お兄ちゃんっ……!」


    「なに、今日は冷える。ちょうどいい温かさだ」


     反魔法でそのブレスをかき消すと、アノスは魔法陣を三門描いた。

     そこから、小さな漆黒の太陽が僅かに覗く。


    「覚えたての魔法だ。食らってみるがいい」


     <獄炎殲滅砲ジオ・グレイズ>が至近距離で発射される。

     男たちは、その小さな太陽を弾き飛ばそうと、鱗のある手の甲で払う。


     途端に彼らは黒く炎上した。


    「ぐおぉぉぉっ、ば、馬鹿なっ……」


    「俺が、この俺が燃えるだとぉぉぉっ……!?」


    「こんな、小僧に、なぜ、これほどの力がぁぁぁっ……!!?」


    なんて理想的なやられ役台詞なんだ……

  • 169スレ主25/09/23(火) 12:05:28

     アノスが指でくいっと手招きすると、本棚にあった本が一冊、彼の手元に飛んできた。

     タイトルは『嘘つきドーラ』である。何度も読み返したからか、装幀はところどころ剥げ、ボロボロになっている。

     アノスはそれを妹に語り聞かせるように、読み始めた。

     ディルヘイドではない、架空の国を描いた物語である。

     ある村に、ドーラという少女がいた。

     彼女はある貴族の令嬢だという。
     どんな魔法も使いこなす才能があるため、悪い奴らに狙われないように、辺境の村で暮らしている。

     だが、時折、有名な魔法使いが尋ねてきては弟子にして欲しいというのだという。
     こっそり不治の病を治したりしている。

     両親は誰も見ていないところでこっそりと会いに来る。
     母も父もドーラを溺愛していて、一刻も早く彼女と暮らせる日を夢見て、がんばっているのだ。

     それらはすべてドーラが作りあげた嘘である。
     
     いつもドーラがつく大小様々な嘘に、村人たちは右往左往するのだが、あるとき、同じ歳の少年がドーラの嘘を暴いてしまう。

     嘘がバレたドーラは一人ぼっちで寂しく暮らした。
     彼女は嘘を認めることができず、いつか、いもしない両親が迎えに来るのを待っていた。
     嘘をつき続けた彼女は、とうとう自分自身にさえ嘘をつき、いつしか、それを本当のことと思ってしまった。

     そんな彼女は結局、最後まで誰にも信じてもらえることなく、その生涯を終えてしまうのだった。

    子供が好んで読む話じゃねえだろこんなん……いや童話とか絵本としてはマジでありそうな話だけど

  • 170スレ主25/09/23(火) 12:07:59

     アノスが自分のパンを彼女に差し出す。

    「え……?」
    「今度は落とすな」
     怖ず怖ずと彼女はそのパンを受け取る。
    「お兄ちゃんは?」
    「なに、実は街で珍しいものを食べてきてな。あまり腹は空いておらぬ」
    「えー、ずるいずるいーっ」
     ぽかぽかとアルカナはアノスを叩く。
    「許せ。お前にも今度買ってきてやろう」
    「絶対、約束だからね。お兄ちゃん一人で食べたら、いけないんだよ?」
     こくりとアノスがうなずくと、アルカナは嬉しそうにパンにかじりついた。

    「お前の嘘はドーラとは違う」

     もぐもぐとパンを頬ばりながら、アルカナがアノスを見る。

    「俺がまた食べ物を探しにいくのが大変だろうと思って、気遣ったのだろう?」

    「……だって、お外は寒いし、お兄ちゃんが可哀相だから……」

     アノスはアルカナの頭を撫でる。

    「誰も傷つけぬ優しい嘘だ。お前は決してドーラのようにはならぬ」

     嬉しそうにアルカナは笑い、彼女はアノスの肩に頭を傾けた。

     本の続きを読みながら、二人はドーラの巻き起こす大騒動に、ああでもないこうでもない、と楽しげに感想を言い合っていた。

    微笑ましい兄妹って以外何もわからねえ!

  • 171二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 18:08:33

    アルカナの反応、一々可愛いな

  • 172二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 18:42:47

    嘘つきドーラの話はアルカナがアノスに罪悪感を抱いてるから出てきた物語みたいなの感想欄で見た気がする

  • 173二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 22:34:09

    このレスは削除されています

  • 174二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 00:52:48

    >>172 ワイ、全巻読破済み勢。初めて知りもうした

  • 175二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 07:41:46

    保守

  • 176二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 13:10:51

    待機

  • 177二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 20:52:16

    結構感想欄でしか出ない情報(というか補足?)もあるからね…

  • 178二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 22:32:54

    待機

  • 179二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 01:49:13

    待機

  • 180二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 07:44:29

    保守

  • 181二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 14:45:01

    このレスは削除されています

  • 182二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 22:59:43

    待機

  • 183二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 06:23:28

    待機

  • 184二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 07:38:58

    待機

  • 185二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 14:19:18

    待機

  • 186二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 14:39:22

    アニメと原作どっちがおもしろい?

  • 187スレ主25/09/26(金) 18:54:43

    午前中に規制解除

    昼休憩に進めよう

    ホスト規制

    今週こんなんばっか!

  • 188スレ主25/09/26(金) 18:56:11

    >>186

    原作でも楽しいけどやっぱテンポ良いアニメも捨てがたいわ

  • 189二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 20:53:53

    待機

  • 190二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 22:53:31

    このレスは削除されています

  • 191二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 02:14:45

    待機

  • 192二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 07:58:41

    >>187 しゃーない

  • 193スレ主25/09/27(土) 10:08:41

    ちょっと我儘?なんですけどスレギリギリなんで次スレ立ってから続きやろうかと

  • 194二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 16:50:04

    >>193

    了解でーす

  • 195二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 20:08:39
  • 196二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 21:00:53

    埋め

  • 197二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 21:01:55

    待機

  • 198二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 21:02:55

    埋め

  • 199二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 21:05:51

    埋め

  • 200二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 21:07:03

    埋めた

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