オリキャラ同士をAIで戦わせるスレ 第八幕

  • 11◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 17:18:13

    安価で出たオリキャラたちが戦っている様子をAIが短編小説化してそれを楽しむスレです。

    不定期進行な上AI生成の都合上納得のいかない結果になることもあります。

    下にあるまとめは歴代試合や設定に生かせそうな世界観などいろいろ載ってますのでぜひ活用してください


    まとめ↓

    オリキャラAIバトルスレ・アカシックレコード | WriteningオリキャラAIバトルスレのページやリンクをギュギュっと一つにまとめたページです。 このページの編集コードは「aiai」です。 新しいページやスレが作られた時は追加していっていただけると助かります キャ…writening.net

    ※版権キャラはそのままでは出さないでください

    ※閲覧注意が必要になるキャラは禁止です

    ※相手が能動的に突ける弱点を必ずつけてください。

    ※AIの生成によるインフレは仕方ないですがそうでない限り勝てないほど強くするのはやめてください。

    ※スレ内で死んだキャラはifルート以外では復活しません。命には非常にシビアです。

    ※ここに出たキャラクターは基本スレ内でのみフリー素材です。要望があるなら必ず設定と一緒に記載してください。

    ※コテハンを本スレでつけていいのはスレ主のみです。

  • 2二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 17:34:53

    たて乙

  • 3二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 17:36:43

    たて乙です!

  • 4二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 17:55:49

    たておつ!

  • 5二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 18:15:28

    たておつ!
    対戦カードが楽しみだぁ

  • 6二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 18:27:54

    たておつです!
    どんな対戦カードになるんだろ

  • 7二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 18:33:46

    たて乙です

  • 8二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 18:44:14

    立て乙!

  • 9二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 18:50:18

    ねこが勝った!

  • 10二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 18:51:39

    ねこにまけた

  • 11二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 18:52:40

    >>10

    未定さん涙ふけよ

  • 121◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 19:01:33

    機手トヨタケvs手練の魔物
    バイオスライムXIII号vsパーク・バーグ=スレイ
    ナメ籤vsアマユキヒコノミコト
    マリオネットvs日向 陽
    探索者vs邪神を崇拝し軽蔑する者

  • 131◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 20:20:48

    ちょっと無駄にレス数喰いそうだったので

    https://writening.net/page?5TVjkP

  • 14二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 20:50:36

    これGガンや競馬より5D'sって感じがする…

  • 15二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 20:53:59

    なにこれ熱い

  • 161◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 22:32:18

    題名『怨念の霧と守護者の斧』

  • 171◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 22:34:05

    地下施設の薄暗い空間に、かすかな機械音と水滴の音だけが響く。湿気の混じった空気を裂くように、黒い霧がゆらめいた。それは怨念の集合体――バイオスライムXIII号。DNA片を接種した標的を追跡し、執拗に追い回す性質を持つ人工怨念スライムだ。霧は壁や床を這い、無数の黒線が腕のように伸びる。

    「ここにいるのは……確かに、君だね」

    霧の中から低く響く声。バイオスライムXIII号は意識の焦点を標的に合わせると、周囲の環境に干渉し、物理現象を侵食していく。照明はちらつき、空気は不穏に揺れ、異様な圧迫感が周囲に広がった。

    その視界に現れたのは、ワインレッドのベストに身を包んだ巨体。背丈は215cm、筋肉は隆々とし、目は通常茶色だが赤く光っている。手には大斧と手斧。スレイ家の長男、パーク・バーグ=スレイである。

    「僕はパーク・バーグ=スレイ。スレイ家の門を守る者です。あなたがどのような存在であろうとも、家族を害するのであれば――抹殺させていただきます」

    バイオスライムXIII号は霧状の体を広げ、侵食の手をパークに向けて伸ばした。触れれば侵食され、身体も精神も蝕まれる。しかしパークは赤い瞳を光らせ、淡々と立ち向かう。

    「侵食、呪い、支配……すべてフィジカルで凌駕いたします」

    地面に叩きつけた大斧の衝撃が霧に波紋を描き、無数の分体を弾き飛ばす。怨念の霧は形を変え、瞬間移動して壁や照明から再び襲いかかるが、パークの赤い瞳が捕捉する。筋肉による理不尽なまでの圧力で、怨念を物理で押し返すのだ。

    バイオスライムXIII号は触手の形態で彼を拘束しようとするが、パークは振るう大斧で手を断ち切り、跳ね返す。筋肉で圧縮して傷を無効化するスレイ家のお守りがここでも機能していた。

    「僕の心臓に届かなければ、勝利はあり得ません」

    赤く光る瞳が怨念を見据え、パークは静かに前進する。黒い霧が絶え間なく形を変え、分体を増やし続ける中、パークの大斧が次々と怨念の核を叩き潰していく。

    怨念の群れが一瞬で消え、床に広がった黒い液体だけが残った。パークは呼吸を整え、慎重に周囲を見回す。まだ戦いは始まったばかりだ。

  • 181◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 22:34:21

    バイオスライムXIII号は、液状の本体を瞬時に霧状へと変化させた。黒い霧は天井から滴り落ち、壁の隙間を縫うようにパークを包囲する。霧形態では物理攻撃がほとんど通じず、侵食力はさらに増幅。パークの視界と感覚を侵す霊的な圧迫が、空間全体に広がった。

    「くっ……なるほど、霧形態か……」

    パークは手斧を構え、目を赤く光らせる。筋肉で物理を凌駕する能力――スレイ家のお守りは、霧に触れた瞬間から力を発揮する。霧に浸っても、侵食や支配の影響を受けず、パーク自身の筋力で空間を蹴破ることが可能だ。

    黒い霧は壁や床から無数の触手のように伸び、パークを絡め取ろうとする。しかしパークの両腕は大斧と手斧で旋回し、触手を次々と切り裂く。斧の軌道に沿って筋肉の力が空間を押し広げ、霧の進行を物理的に阻む。

    「僕の目は、あなたの動きを捉えています。霧に潜んでも無駄です」

    バイオスライムXIII号は瞬間移動を繰り返し、霧の一部をパークの背後に出現させる。霧に触れれば侵食され、徐々に意識が揺らぐはず――だがパークの筋力はそれすら凌駕する。全身の筋肉が神経と同調し、赤く光る瞳で霧の位置を瞬時に計算。触れずに分体を破壊する。

    霧は密度を高め、侵食を試みる。無数の線がパークの身体を包み、精神と肉体を曖昧に侵す。しかし、パークは体幹を固め、斧を振るうたびに霧を粉砕する。筋力による衝撃波が霧を弾き、分体は再び集束しても完全に統制は取れない。

    「あなたの怨念は強い。しかし僕のフィジカルには及ばない」

    パークは筋肉を最大限に活性化させ、斧の軌道を変化させながら霧を押し返す。霧形態のバイオスライムXIII号は空間を自由に移動できるはずだが、パークの目と筋力がそれを許さない。侵食の手はすべて空振りし、触れた分体は大斧で断ち切られる。

    黒い霧が床に落ちて再び集まろうとする瞬間、パークの赤い瞳が光り、全身の筋肉が弾ける。斧の軌道に沿って圧縮された空気が爆発音を伴い、霧は周囲に吹き飛ばされ、分体は崩壊した。

    「……まだ終わりではない……」

    霧の形態からスライム本体が現れ、床に黒光りする姿を現す。赤い瞳を光らせたパークは、次の攻撃に備え、呼吸を整えた。地下施設の闇に、二つの存在の力がぶつかり合う音だけが響いた。

  • 191◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 22:35:21

    バイオスライムXIII号は、床や壁に潜む霧の一部から無数の分体を生み出した。黒い線で形作られた触手状の分体は、物理的には弱いものの、侵食能力を持つため、接触すればパークの感覚や意識を曖昧にする。

    「くっ……!くそ……この幻覚……!」

    分体がパークの視界に入り込むと、周囲の空間が歪み、壁や天井がねじ曲がって見える。無数の手や腕が迫り、侵食の圧迫感が肉体と精神を引き裂く。しかしパークは筋肉と神経を連動させ、赤い瞳で分体の正確な位置を把握する。肉体のフィジカルで侵食の影響を物理的に押し返し、幻覚の矛先をかわす。

    分体は霧のまま瞬間移動を行い、パークの背後や上空に出現する。触れれば侵食が進むが、パークはその分体に斧を投擲し、精密に破壊する。分体が消滅すると、その場から黒い霧が巻き上がり、再び集まろうとするが、パークの筋力が押し返す。

    「あなたの力は……強い……だが、僕は……止まらない……」

    バイオスライムXIII号は精神攻撃を強化し、パークの脳内に不快な幻覚を送り込む。目の前の壁が崩れ、天井からは巨大な手が垂れ下がり、空間全体が生き物のようにうごめく。侵食は深く、意識を揺さぶる。

    しかし、パークは全身の筋肉で防御を形成する。脳も筋肉で覆われているかのように、精神的な攻撃も物理的に圧縮し、幻覚を押し潰す。赤く光る瞳は正確無比で、幻覚の奥に隠れた本体の位置を正確に捉える。

    「僕の目と筋肉は、あなたに惑わされない」

    分体が次々とパークに迫るが、投げ斧と大斧の連携で一掃される。斧が触れるたびに黒い霧は砕かれ、分体は溶解する。バイオスライムXIII号の霧形態が再び集合して本体の形に戻ろうとするが、パークの筋力による衝撃波がその動きを封じる。

    「くっ……本体は……あそこか……」

    パークは息を整えつつ、斧を手に本体に迫る。筋肉の力を最大限に活かし、黒いスライムの本体を圧倒する準備を整えた。分体や霧に惑わされず、純粋な肉体の力で勝利への道を切り開く。

  • 201◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 22:35:39

    パーク・バーグ=スレイは両手に握った大斧を力強く振るい、黒く蠢くバイオスライムXIII号本体へと飛び込む。霧形態に変化して瞬間移動を繰り返すXIII号を相手に、パークは目を赤く光らせ、全身の筋肉を極限まで駆使する。

    「僕は……あなたに屈しない……!」

    霧が集まり、無数の黒い触手がパークに襲い掛かる。だが彼はそのすべてを圧縮した筋力で押し返す。触手が触れる前に大斧を投げ、霧形態の一部を粉砕。斧はそのまま空中で再び握られ、再び切り裂く。XIII号は次々と形態を変え、霧からスライムへ、さらに黒い線の分体を生み出して攻撃を試みるが、パークは全てを押し潰すように受け止め、振るわれるたびに霧を粉砕する。

    「あなたの形態変化も……無駄だ……僕の肉体はそれ以上だ……!」

    パークの肉体は、霧の侵食や幻覚の影響を受けず、赤い瞳が正確にXIII号の本体位置を捕らえている。触れれば侵食されるというリスクも、パークの筋力による跳躍と斧の連打で回避。黒い霧や分体は斧で粉砕され、弾けるように消滅していった。

    XIII号は霧と分体を再編成し、圧迫と侵食を増幅させる。床や壁から無数の触手が生え、パークを取り囲む。しかしパークは大斧を高く掲げ、胸部の筋肉を爆発させるように振るう。振動は霧に直接伝わり、触手を粉砕する衝撃波となった。

    「僕の筋肉が……あなたの怨念を砕く……!」

    さらにパークは斧を投げる。黒い霧が集まる空間を裂くように、斧は正確に本体の一部に命中。XIII号は衝撃で形態を乱し、分体も消滅。パークは勢いのまま肉弾戦に踏み込み、斧を握った腕で霧の中心を押し潰す。

    「これで……終わりだ……!」

    XIII号は霧の形態から再び本体に戻ろうとするが、パークの肉体圧力と斧の連打がそれを阻む。霧とスライムが渦巻く中、パークの筋力と投擲斧が黒い塊を圧倒し、勝利への道が見えてきた。

  • 211◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 22:36:45

    バイオスライムXIII号は霧形態に変化し、空間の隅々から黒い触手を伸ばし、パークの周囲を完全に包み込んだ。無数の線が渦を巻き、あらゆる方向から襲い掛かる。

    「これで……終わりではない……!」

    しかしパークは目を赤く光らせ、全身の筋肉を緊張させた。赤い瞳は霧の中の本体を正確に捕らえている。霧が触れれば侵食されるはずの彼の体だが、筋肉の圧縮と跳躍で触手を受け止め、さらに押し返す。

    「あなたの攻撃……僕には届かない……!」

    霧形態のXIII号は分体を次々に生成し、パークを包囲する。しかし、彼の筋肉はその圧力を跳ね返し、投げ斧は正確に本体を狙い撃つ。斧が霧に突き刺さるたび、触手は粉砕され、霧は一瞬で消え去った。

    XIII号は焦り、分体を大量に生成して圧力を増す。壁や床も霧と触手で覆われ、空間全体が黒く蠢く。だがパークは全く動揺せず、振り下ろした大斧の衝撃波で霧を裂き、触手を押し潰す。

    「僕の肉体は……あなたの怨念を凌駕する……!」

    XIII号は最後の手段として、自身の霧形態を濃密に圧縮し、触手を無数に伸ばして圧迫を加える。しかしパークは力を全身に漲らせ、跳躍と斧の連打で黒い霧の塊を破壊。霧が分散するたび、本体は徐々に露わになり、攻撃手段は限界を迎える。

    「これ以上……抵抗しても無駄だ……!」

    パークは最後の力を振り絞り、両手の大斧でXIII号本体を押し潰す。霧は抵抗するも、赤い瞳と肉体の圧力には抗えず、ついに完全に消滅した。周囲の空間には黒い残滓が残るだけで、怨念スライムは二度と立ち上がることはなかった。

    パークは大斧を肩にかけ、深く息を吐く。赤い瞳は通常の茶色に戻り、戦闘の緊張から解放される。

    「僕の家族を……あなたのような存在に脅かさせはしない……」

    筋肉の限界を超えた戦いを終え、パークは冷静さを取り戻した。霧が晴れた戦場に、静寂だけが残った。

  • 221◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 22:37:25

    戦闘の激烈さは周囲の空間にまで影を落としていた。瓦礫の散乱した地面、焦げた土、黒い霧の残滓――それらはすべて、バイオスライムXIII号の怨念が生み出した残骸だ。パークは両手に大斧を携え、荒れ果てた戦場を慎重に踏みしめる。筋肉の疲労が全身に重くのしかかるが、心は静かに引き締まっていた。

    「……これで、完全に終わったのか」

    彼の声は低く、しかし確かな決意を帯びていた。目の前には黒い霧がほとんど消え、分体も本体も跡形もなく消滅している。かつて怨念の塊として無数の触手で襲い掛かってきたXIII号の姿は、もはや幻のようだ。

    パークはそっと残滓に手をかざす。霧形態の残滓は水のように散っていくが、その感触から怨念がまだ微かに残っていることを感じ取った。彼は慎重に体を低くし、斧の柄を地面に突きながら、残滓を完全に拭い去る。

    「僕は……君を再び目覚めさせるわけにはいかない」

    彼の言葉には、守るべき者たちへの誓いが込められている。怨念を生む存在は二度と蘇らせない。赤い瞳が再び通常の茶色に戻ると、戦いの余韻が筋肉にじんわりと重くのしかかる。戦闘中には感じなかった疲労が、一気に押し寄せる。フィジカルで凌駕してきた体も、解除と同時に限界を迎えた。

    しかし、パークは呼吸を整え、背を伸ばす。戦場の静寂に耳を澄ませ、周囲の安全を確かめる。黒い霧の痕跡は消え、残されたのは瓦礫と微かに焦げた土だけだ。

    「僕の守るべきものは……誰も傷つけさせない」

    彼は斧を肩に担ぎ直し、深く息を吐いた。戦闘の余韻と疲労を感じながらも、家族や仲間のことを思い浮かべ、胸に静かな決意を刻む。世界はまだ混沌としているかもしれないが、彼の腕の中で守られるべきものは確かに守られたのだ。

    そして、パークはゆっくりと戦場を後にする。筋肉が重くても、心は静かに前を向いている。戦いは終わった。だが、彼の戦いはこれからも続く――守るべき人々のために。

  • 231◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 22:37:44

    以上

  • 24二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 22:47:14

    最高!

  • 25二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 22:48:40

    脳筋最強!脳筋最強!

  • 26二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 22:48:40

    やはり筋肉、筋肉は全てを解決する

  • 27二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 23:04:35

    力こそパワーだぜ!

  • 281◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:09:35

    題名『黒霧と雪神の森』

  • 291◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:11:16

    夜の森は深く、濃い霧に包まれていた。
    地面は湿り、雪と土が混ざり合い、踏み込むたびに微かに音を吸い込む。

    その静寂を破るかのように、巨大なナメクジが蠢いていた。
    ナメ籤――研究所から脱走したらしいその存在は、人間の二倍もの大きさを誇る。
    黒光りする体を滴る粘液が照らされた月明かりに光り、森に異様な圧を放っていた。

    アマユキヒコノミコトはその気配を察知する。

    「……なるほど、君か」

    低く呟き、拳を握る。
    雪の冷たさを掌に感じながら、相手の動きを見極める。

    ナメ籤は喋らない。
    しかしその存在感は、空間そのものに緊張を生む。
    粘液が地面に滴るたび、色が変化する。
    白、黒、赤、青、黄、紫、灰――ランダムに現れ、通った場所ごとに危険が散らばる。

    アマユキヒコノミコトは慎重に距離を取り、動きを観察した。

    「……慎重に行かねばなりませんね」

    雪を踏み、地面に力を伝えながら移動する。
    足元に滴る粘液を避け、接近するルートを計算する。
    森は静かだが、その静寂は戦場の幕開けを告げていた。

    アマユキヒコノミコトは拳を固め、雪を巻き付けた。

  • 301◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:11:44

    「僕は君を倒す……しかし、直接触れられぬように」

    瞳が赤く光り、雪を通じて微細な動きを感じ取る。
    ナメ籤は無言、しかし森の中で圧倒的な存在感を放ち、確実に前進する。

    夜の森は戦場となった。
    静かで、しかし確実に――戦いの幕が開かれたのである。

  • 311◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:12:20

    森の闇に、ナメ籤の体から滴る粘液が光を反射した。
    触れるものすべてに不快さを伝えるその粘液は、森の地面に広がり、アマユキヒコノミコトの足元に危険な道を作る。

    しかし、彼は冷静に構えた。

    「……来るな」

    雪を踏み、周囲の温度を下げながら慎重に距離を取る。
    ナメ籤の体が揺れるたび、粘液の色が変化する。
    白、黒、赤……そして灰色。
    一瞬、剣山のように硬化した粘液が地面を覆い、足を踏み入れたら痛みと不快感に襲われるだろう。

    アマユキヒコノミコトは静かに息を整えた。

    「赤か……熱を加える手は使えませんね」

    握り拳に雪を集め、冷気を纏わせる。
    次の瞬間、ナメ籤がゆっくりと接近する。
    森に響くのは、滴る粘液の音だけ。
    生物的な気配はあるが、言葉は発しない。

    「僕は……触れられぬように、攻撃を繰り返す」

    雪を拳に凝縮し、微細な氷片を形成する。
    ナメ籤が触れた瞬間、その粘液に小さな亀裂を入れ、侵食を抑える。
    しかし、ナメ籤は霧形態に変化し、物理的接触を回避する。
    影のように、森の中でその形が溶け、再び実体化する。

  • 321◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:13:56

    「なるほど……霧にも対応せねばなりませんか」

    雪を振り、空気の冷たさで霧の動きを鈍らせる。
    ナメ籤は滑るように森の中を進むが、冷気の影響で動きが僅かに鈍る。
    その一瞬を見逃さず、アマユキヒコノミコトは拳を前に突き出す。

    氷片がナメ籤の体に触れ、微細なひびが入る。
    ナメ籤は無言のまま反応し、粘液を振り撒く。
    黒、白、青……色が次々と変化し、森の地面は危険な迷路となる。

    アマユキヒコノミコトはその中を慎重に移動する。
    触れれば溶ける危険もあるが、雪の力で常に一歩先を読んで動く。
    戦いは、静かだが確実に苛烈さを増していた。

  • 331◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:14:32

    森の闇に漂う黒い霧は、ナメ籤の意思なくゆらゆらと動く。
    その中で光を反射する粘液の粒が、無数の目のように瞬いた。

    アマユキヒコノミコトはゆっくりと構える。

    「なるほど……霧になっても、冷気は通じますね」

    彼の掌から雪と氷が立ち上がり、霧に干渉する。
    微粒の雪が霧の中を飛び交い、ナメ籤の姿を時折浮かび上がらせる。
    その都度、黒や紫の粘液が撒き散らされるが、神の掌握する冷気で僅かに制御されていた。

    ナメ籤は霧形態からスライム形態に戻り、地面を滑るように進む。
    だが、アマユキヒコノミコトの足取りは揺るがない。

    「このまま触れられれば、僕の体も……いや、雪の力で防ぎます」

    拳に集中した冷気が粘液に触れ、硬化させる。
    触れた部分は凍りつき、ナメ籤の侵食力が鈍る。
    しかし、ナメ籤は無言のまま粘液を振り撒き、次の瞬間には別の方向に移動する。

    森の地面に黒と白、赤と青の線が入り乱れる。
    まるで生きた迷路。
    踏み入れる者を苦しめる罠のようだ。

    「僕は……触れられぬよう、攻撃のチャンスを待ちます」

    アマユキヒコノミコトは冷気を拳に凝縮し、微細な氷の破片として放つ。
    霧に包まれたナメ籤に触れ、氷片が表面を削る。
    ナメ籤は霧に戻り逃れるが、動きが僅かに鈍る。

  • 341◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:14:57

    「……少しずつ、攻め手を作らねば」

    冷気で霧を押さえつつ、氷片を連続で投射する。
    ナメ籤は霧の中で避けながらも、無言で粘液を撒き散らす。
    それはまるで、森全体を絡め取ろうとする巨大な生物の戦略のようだった。

    アマユキヒコノミコトは雪を纏い、足元を固める。
    霧と粘液に阻まれながらも、一歩一歩、着実に距離を詰めていく。
    戦いは静かだが、確実に苛烈さを増していた。

  • 351◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:17:26

    ナメ籤の霧が森の木々の間をうねる。
    その粘液の光景は、昼間でも目に痛いほどに異様だ。

    アマユキヒコノミコトは静かに息を整え、拳に冷気を集中させる。
    雪の粒が掌で渦を巻き、冷気の刃となって霧の中へ飛び出した。

    「……これでどうだ」

    霧の中を切り裂く氷の刃が、ナメ籤の霧形態に触れる。
    瞬間、黒や赤の粘液が弾け、氷に絡まるように凍りつく。
    ナメ籤は動きにくそうに姿勢を低くして進む。

    だが、霧は一瞬で再生する。
    黒い線の霧が広がり、アマユキヒコノミコトの視界を曇らせる。
    その中で、赤や青の粘液が飛び散り、地面に張り付く。

    「……甘くない」

    アマユキヒコノミコトは地面を蹴り、雪を踏み固めて滑り止めを作る。
    拳を突き出し、冷気の刃を連続で霧に撃ち込む。
    氷片が霧を突き抜け、ナメ籤の姿を一瞬だけ露わにする。

    ナメ籤は逃げると同時に、粘液を巻き上げて遮蔽する。
    その無言の攻撃は、触れれば侵食を与える凶悪さを秘めていた。

    「……距離を詰める」

    アマユキヒコノミコトは雪を纏った脚で跳躍する。
    霧の中で、ナメ籤のスライム形態に接触する寸前、氷の拳を叩き込む。

  • 361◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:18:25

    接触した粘液は瞬時に凍り、ナメ籤の動きがさらに鈍る。

    森全体に黒と白、赤と青の線が絡み合い、異様な景色を描き出す。
    ナメ籤は無言で逃げながらも、霧の隙間を縫い、次の攻撃の準備を整える。

    アマユキヒコノミコトは冷気を拳に集め、さらに連続攻撃を放つ。
    霧を割りながら接近するその姿は、雪神の静かなる暴威を象徴していた。

  • 371◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:19:18

    ナメ籤の黒い霧が森の中でうねり、地面や木々に絡みつく。
    その姿は巨大で、まるで森全体を這いずり回る怪物のように見えた。
    空気は重く湿り、霧に触れるだけで肌が粘液に覆われる感覚に襲われる。

    アマユキヒコノミコトは立ち止まり、目を細める。
    霧の中に漂う赤や青、黒の粘液が光を反射して視界を乱す。
    それでも彼の瞳は冷静そのもので、動揺はまったく感じられなかった。

    「……油断はできない」

    深く息を吸い込み、雪をまとった足元で静かに踏みしめる。
    周囲の気温が急激に下がり、霧に含まれる粘液の動きも鈍る。
    だがナメ籤はそれでもなお霧形態を保ち、瞬間移動のように再出現する。
    まるで森そのものが生きているかのように、黒い霧が蠢きながら彼を取り囲む。

    「……このままじゃ、こちらも巻き込まれる」

    アマユキヒコノミコトは掌を前に突き出し、冷気を凝縮させる。
    雪の刃が霧に絡み、霧の形状を切り裂く。
    黒い線が散り、赤や青の粘液が飛び散る。
    その瞬間、霧の中から別の霧の塊が飛び出し、彼の周囲を包み込もうとする。

    ナメ籤は無言のまま、霧形態とスライム形態を瞬時に切り替え、攻撃を試みる。
    粘液の飛び道具がアマユキヒコノミコトを狙うが、冷気で凍らされ、飛び散る。
    その冷気の層をくぐり抜け、雪神は素早く踏み込み、連打の拳を繰り出す。
    一撃ごとに霧が弾け、黒い線が弾き飛ばされる。

    「……次は……」

    雪を踏み固め、足元の摩擦を高める。

  • 381◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:20:12

    滑る粘液の上でも確実に移動し、霧の奥へと接近する。
    その冷静さと正確な動きは、霧に隠れるナメ籤にとって厄介な脅威となる。

    ナメ籤はさらに霧を拡張し、攻撃と防御を同時に行う。
    赤と黒の粘液が飛び、青の冷たい霧が周囲に広がる。
    アマユキヒコノミコトは拳に冷気を集め、連打を繰り出す。
    霧と氷がぶつかり合う音が森中に響き渡る。

    ナメ籤の霧はただの攻撃手段ではなく、森を操作するかのように変化していく。
    枝や蔦が霧に絡め取られ、雪神の動線を塞ごうとする。
    しかしアマユキヒコノミコトは身を低くして跳躍し、雪の壁を踏み砕きながら前進する。
    拳の連打は霧の厚みをかき分け、霧形態から現れた黒い触手を粉砕する。

    ナメ籤は無言のまま霧を凝縮し、分身を生み出す。
    無数の霧状スライムが雪神を囲むが、彼は目を赤く光らせ、冷気と雪の力を一気に高める。
    霧に触れた瞬間、霧は凍りつき、黒い線が砕け散る。

    「……終わりではない……」

    ナメ籤はさらに形態を変え、スライムの体で雪神に迫る。
    アマユキヒコノミコトは跳躍して距離を取り、空中から掌に氷の刃を生成する。
    刃が霧に突き刺さり、霧の塊が四方に砕け飛ぶ。
    それでも霧は再生し、黒い線が蠢きながら再び攻撃を仕掛けてくる。

    雪神は全身に冷気を纏い、拳を振るう。
    その拳はただの物理攻撃ではなく、霧の中の無数の黒い線に直接作用し、破壊と凍結を同時に行う。
    黒い霧はもがきながらも、再び森の奥へと逃げるように分散していった。

  • 391◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:21:17

    ナメ籤の霧は森全体を覆い、地面も樹木も黒い粘液で覆われた。
    その場に立つだけで全身が気持ち悪さに包まれる。
    だがアマユキヒコノミコトは冷静に周囲を見渡し、森の地形を利用して戦線を広げる。

    「……温度差を利用すれば、奴の動きを止められる」

    掌に冷気を集め、雪の刃を次々と生成する。
    一歩踏み込むたびに黒い霧が凍りつき、粘液の飛沫が硬化する。
    霧形態のナメ籤が急速に分散し、あちこちから触手が伸びてアマユキヒコノミコトを包もうとする。
    その触手を見極め、雪神は掌を打ち出し、氷の刃で次々と切り裂いていく。

    霧の中から、赤や青の粘液が飛び散り、冷気とぶつかって蒸気を生む。
    視界は乱れ、足元は滑る。
    しかし雪神は一歩も怯まず、蹴りを繰り出して粘液の塊を遠くに弾き飛ばす。
    同時に拳を振り抜き、触手の一部を粉砕する。

    ナメ籤は霧の形態を再び変え、地面を伝って低く這うスライム状になり、急接近を試みる。
    赤い粘液が地面を滑り、雪神の足元を狙う。
    アマユキヒコノミコトはジャンプして距離を取り、空中から雪の刃を生成。
    斬撃は粘液を切り裂き、スライム形態の一部を吹き飛ばす。

    「……まだだ、終わらせるわけにはいかない」

    雪神は掌により多くの冷気を集め、周囲の空気を一気に凍結させる。
    黒い霧は硬化し、触手の動きも鈍る。
    ナメ籤は焦りを見せず、霧形態とスライム形態を瞬時に切り替えて攻撃を続ける。

    しかし雪神の拳が霧の中心に突き刺さり、触れた瞬間に霧が凍結して砕け散る。
    再生する前に連打を加え、さらに奥へと追い詰める。
    ナメ籤の黒い線が森の奥へ逃げ込むが、雪神はその軌跡を読み、足元の雪を踏み固めて進路を制限する。

  • 401◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:21:47

    霧形態で森の障害物を利用し、ナメ籤は攻撃を分散させる。
    だが雪神は氷雪の刃を自在に操り、複数の霧の塊を同時に凍結。
    黒い霧は地面に沈み、赤や青の粘液も硬化して動きが止まる。

    雪神は息を整え、さらに強力な冷気の拳を振るう。
    霧の塊が砕け飛び、ナメ籤のスライム形態も粉々になる。
    黒い線は四方八方に散らばるが、雪神の冷気に触れた瞬間、凍結して砕け散る。

    「……これで、最後だ」

    アマユキヒコノミコトは雪の刃を一気に集中させ、地面を叩きつける。
    衝撃波と冷気でナメ籤の残存霧も消滅し、森は再び静寂に包まれた。
    黒い霧もスライムも、跡形もなく凍り付いて消え去った。

    雪神はゆっくりと立ち上がり、森の静けさを確認する。
    掌の冷気を解き、息を整えた。
    周囲の空気は凍りついたままだが、ナメ籤の脅威は完全に消えた。

  • 411◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:22:49

    森は戦いの痕跡で混乱していた。
    黒い霧が消えた後も、粘液で覆われた地面や砕けた木々、凍結した葉が無数に残る。
    アマユキヒコノミコトは足元の雪を踏みしめ、静かに森を見渡した。
    全てが凍りつき、風もなく、まるで世界の時間が止まったかのようだった。

    「……やはり、奴の力は侮れない」

    掌から冷気を消し、空気を元の温度に戻す。
    しかし、森の奥からまだかすかな動きが感じられる。
    氷に閉ざされた黒い線の残滓が、ゆっくりと這い動くのだ。
    ナメ籤は完全に消えたわけではない。

    雪神はゆっくりと息を整えながら、手のひらに新たな冷気を集める。
    細かな雪の結晶が掌に集まり、光を反射してまぶしく輝く。
    「逃がすわけにはいかない……」
    その一言で、残存する霧状のナメ籤に向けて雪の刃を飛ばす。
    黒い線は必死に避けようとするが、冷気が増幅されるたびに動きは鈍くなる。

    一方で、森の中では霧が凍結して粉々になる音が響く。
    枝や葉も凍りつき、地面はまるで鏡のように滑らかになった。
    ナメ籤は無数の粘液を残しつつも、雪神の圧力に押され、徐々に森の中心へと追い込まれる。

    「……止まらない、止められない」

    小さな声で呟くように言ったその瞬間、雪神は拳を強く握り、冷気の嵐を掌から解き放つ。
    霧は一瞬で凍結し、砕け散る。
    スライム形態の塊も同様に割れ、残存する粘液も瞬時に固まり、動きを止める。

    地面に残った凍結した黒い線を見下ろし、雪神は息をつく。
    森の静寂が再び戻り、戦いの残響だけが空気に漂った。

  • 421◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:23:52

    アマユキヒコノミコトは雪の上に立ち、深く息を吸い込む。

    「……もう大丈夫だろう」

    しかし、雪神の赤い目はまだ周囲を警戒している。
    完全に消えたと思っても、ナメ籤の不気味な性質は、わずかな残滓から再び形を取り戻すかもしれない。
    森にはまだ微かな気配が残り、雪神は慎重に足を進める。

    凍結と粘液の混ざった森の空気は、静かに、しかし確実に戦いの痕跡を語り続けていた。
    雪神はその痕跡を一つ一つ確かめながら、森を後にする準備を始めた。

  • 431◆ZEeB1LlpgE25/09/01(月) 23:24:05

    以上

  • 44二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 23:25:41

    面白かったです
    今日は早いな、このまま第四回戦まで行ったりしそう

  • 45二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 23:28:53

    霧になったりスライムになったりするナメ籤…
    もしやナメ籤が脱出した研究所はスライム工場の傘下企業…?

  • 46二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 08:11:12

    ほしゅ

  • 471◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 14:39:59

    題名『祝福の手と縛られた糸』

  • 481◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 14:40:54

    廃倉庫の薄暗い空間に、カクカクと不自然な動きをする人形が立っていた。
    その名はマリオネット。全身を天から垂れ下がる糸が束縛し、自由な動きを奪っている。糸は不可視の力で自律しており、人形自身の意思では切ることはできない。

    「……ここから……出たい……」

    口を持たぬ人形は思うだけで、声に出すことはできなかった。だが、その望みを感じ取ったかのように、廃倉庫の入口から一筋の光が差し込む。

    「わああっ!こんにちはこんにちは〜!日向 陽だよ〜!今日も元気に福と祝福、届けに来たの〜!」

    陽は飛び込むと、全力で駆け寄り、天井から垂れる糸を両手で掴んだ。だが、糸は固く、自らの意思では切れない。
    それでも陽は止まらず、声も動きも止まることなく振り回す。

    「わあ〜!糸って面白そう!でも、自由を奪っちゃダメだよね〜!私が全部、遊びながら切っちゃう〜!」

    陽の言葉に合わせるように、マリオネットの体は小さく震えた。糸の束縛に抗えないもどかしさと、陽の勢いに押される不安が交錯する。

    陽の両手が宙を切り裂くと、空気を巻き込みながら糸がたわむ。
    その瞬間、マリオネットは吸収能力《アブソーブ》を発動させる。周囲の瓦礫や木片を吸い込み、体を一瞬だけ修復することで、次の攻撃に備える。

    「ほらほら〜!動いた動いた!嬉しいな〜!でも、私の祝福が来るってことは、遊びの時間が始まったってことだよ〜!」

    陽は笑いながら、手に持った無形の祝福を放つ。それはマリオネットの四肢に直接届き、吸収されるはずの物質を混乱させる。
    マリオネットは慌てて別の瓦礫を吸収し、反撃の準備を整える。しかし、陽の速さは異常で、笑い声と共に跳躍しながらマリオネットに迫る。

    「よ〜し!次はこれ〜!超絶加速!祝福ブースト〜!いっけえええ〜!」

    陽の体から放たれるバフの波が、空間を震わせる。マリオネットは吸収を行うが、陽の連続攻撃は止まらない。
    腕や脚を糸で振り回しながら、防御と反撃のタイミングを探すマリオネット。しかし陽は笑いながら、まるで遊園地のアトラクションのように次々と攻撃を繰り出してくる。

  • 491◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 14:41:12

    「わあ〜!キャー!面白い面白い!こっちも攻撃してみよ〜っと!」

    陽は一度地面に着地すると、瞬間的にバフを重ね、腕に祝福を集中させる。手首の一振りで、マリオネットの体に強烈な衝撃が伝わる。
    人形の体はカクカクと揺れ、糸の束縛で思うように反撃できない。だが、体の一部を瞬時に吸収して修復し、次の動きに備える。

    「やっほ〜!マリオネットさん、逃げられないよ〜!このままもっともっと遊ぼうよ〜!」

    陽の言葉に、マリオネットは無言で応じるように、体を滑らせ糸の間を縫うように動く。天から垂れる糸が絡まり、鋭く体を拘束しようとするが、陽の超高速の動きとバフの力で追尾が難しい。

    「さあ〜!これが私の祝福の拳だよ〜!全力全開!くらえ〜!」

    陽が放つ連打は、ただの打撃ではない。重ね掛けされたバフによって、マリオネットの吸収力を上回る勢いで四肢を弾き飛ばす。人形は天の糸に引っ張られながらも、必死で瓦礫を吸収し、体勢を立て直す。

    「ひゃあ〜!うわわわ〜!でも、まだまだ遊びは終わらないよ〜!次はどうするかな〜!」

    笑い声と歓声が廃倉庫に響き渡り、戦闘はマリオネットの必死の防御と、陽の無限のハイテンション攻撃の応酬となる。
    人形は自由を求め、陽は祝福を振り撒き、二人の戦いは次第に過激さを増していった。

  • 501◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 14:41:48

    廃倉庫の奥、埃と瓦礫が舞い上がる中、マリオネットは天から垂れ下がる糸に振り回されながらも、素早く体を吸収して補強する。腕の一部が破損しても、すぐに周囲の瓦礫や破片を取り込み、元の形に戻す。

    「ふふ……こうして修復して…次の攻撃に…!」

    無言の人形の動きは滑らかさを増し、糸の束縛を逆手に取った回転や跳躍で、陽の連続攻撃をかいくぐる。だが、陽は笑いながら更に加速する。

    「わあ〜!面白い〜!まだまだ全力で行くよ〜!みんなも応援してるよ〜!」

    陽の声とともに、全身に祝福を重ね掛けした体が光を帯びる。速度も攻撃力も跳ね上がり、マリオネットの防御を容易に突破する勢いだ。瞬間、陽は空中でくるりと回転し、マリオネットの胸部を目掛けて連続パンチを叩き込む。

    「うわっ!」

    マリオネットは瞬時に体を吸収し、一部を瓦礫に変換して衝撃を和らげる。だが、陽の笑い声は止まらない。

    「ひゃっほ〜!すごいねすごいね〜!この反応、超楽しい〜!もっともっと行くよ〜!」

    陽は両手を振り上げ、空中で旋回しながら手刀や拳を連打する。祝福による加速でその速度は常人の数倍、いや数十倍にもなる。マリオネットは体を折りたたむようにして防御し、吸収で破損部分を瞬時に補填する。

    糸は依然として人形の動きを制限しているが、吸収と変換を駆使し、予想外の角度から反撃を試みる。手首や肘に瓦礫を凝縮させ、小型の突きや弾丸のように投げるのだ。だが陽は笑いながら避け、あるいは受け止める。

    「おおっと〜!ありがとうありがとう〜!でも、その程度じゃ私には通じないよ〜!」

    陽が片手で投げ飛ばした瓦礫を、今度は逆に吸収された物質を再変換し返そうとするマリオネット。しかし陽の加速はそれ以上で、体の周囲を旋回しながら複数の攻撃を同時に放つ。

    「わあっはは〜!きゃ〜!面白すぎる〜!もっともっと楽しもうよ〜!」

    その笑い声に合わせるように、廃倉庫の床や壁が衝撃で揺れ、瓦礫が飛び散る。マリオネットは何とか防御と反撃を繰り返すが、陽の笑いと祝福の嵐に押され、防御に精一杯となる。

  • 511◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 14:43:12

    「ふっ……これが…祝福の力……!」

    マリオネットは一瞬の隙を突き、周囲の瓦礫を体に吸収し、鋭利な突起として投げつけた。陽は笑いながら受け止め、逆にその勢いで跳ね上がり、空中からさらに連打を繰り出す。

    「わあ〜!最高〜!楽しい〜!もっともっと動いて〜!もっと祝福を受け止めて〜!」

    戦場は完全に陽のハイテンションによって支配され、マリオネットは糸に縛られつつも、吸収で応じる防御の応酬が続く。二人の戦いは、力と速度、吸収と祝福、破壊と修復の限界を押し広げながら、さらに激しさを増していった。

  • 521◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 14:43:47

    マリオネットは天から垂れる糸に体を引かれながらも、素早く周囲の瓦礫や鉄片を吸収し、自身の四肢に変換する。硬化した鉄片が腕となり、突きや回転斬撃として放たれる。しかし、陽は楽しそうに笑いながらそれをかわし、跳躍して追撃を重ねる。

    「わあ〜!まだまだ行くよ〜!私、もっともっと強くなっちゃうからね〜!」

    陽の言葉とともに祝福が重なり、身体能力がさらに向上する。速度、筋力、耐久、すべてがマリオネットを上回る。彼女の拳は空中で軌道を変え、次々と人形の体に襲いかかる。マリオネットは瓦礫や破片を使って衝撃を緩和するが、祝福の加速には追いつけない。

    「ふっ……これでも……まだ……!」

    マリオネットは吸収した物質を変換し、周囲の破片を剣状にして反撃を試みる。投げつけられる小型の破片は高速で飛ぶが、陽はそれすら楽しそうに回避しつつ、さらに祝福の重ね掛けを行う。

    「きゃはは〜!その反撃も面白い〜!でももっともっと楽しませて〜!」

    陽の全身から発せられる光が、廃倉庫の闇を裂き、マリオネットの影を揺らす。糸の制約が依然として存在するため、人形の動きは縦横無尽にはいかないが、それでも吸収と変換を駆使し、攻撃の間隙を狙う。

    「うぐっ……くっ……!」

    陽の拳がマリオネットの腹部に届き、硬化した瓦礫の腕が押し返される。だがマリオネットはすぐに床や壁の破片を吸収して再生し、連続攻撃に備える。戦場には破片が飛び交い、衝撃波が床を叩く音が響く。

    「もっともっと動こうよ〜!私、全力で楽しむから〜!」

    陽は一瞬の隙をついて、空中から回転蹴りとパンチを同時に繰り出す。マリオネットは吸収で防ごうとするが、祝福の加速と力によって一撃が貫通しかけ、体が大きく揺らされる。

    「ふ……ふぅ……負けられない……!」

    マリオネットは瓦礫を大量に吸収して盾のように固め、衝撃を和らげる。しかし、陽の楽しそうな笑い声と祝福の嵐は止まらず、次々に新たな攻撃が押し寄せる。まるで戦場全体が陽の喜びで満ちているかのようだ。

    戦闘は、攻防の応酬、吸収と祝福の連鎖、糸による制約と超加速のハーモニーによって、双方の限界を押し広げながら続いていった。廃倉庫の壁や床は粉々に砕け、瓦礫が舞い散る中、マリオネットは必死に糸に縛られながらも反撃のタイミングを伺う。

  • 531◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 14:44:08

    マリオネットの糸は依然として天から垂れ、動きを縛る。しかし、その制約の中で彼は吸収と変換を駆使し、瓦礫や鉄片を手足や盾に変えて応戦する。だが、陽は楽しそうに笑いながら跳躍し、祝福の加速を重ねて猛攻を仕掛けてくる。

    「きゃっは〜!まだまだ動ける〜!私、もっともっと楽しんじゃうよ〜!」

    陽の拳が光速に近い速度で連打され、マリオネットの硬化した瓦礫の腕は押し返される。彼は周囲の破片をさらに吸収して変換し、盾や剣として防御・反撃を試みるが、祝福の重ね掛けによる加速と筋力増強の前には追いつかない。

    「くっ……こんな速度で……反撃が……!」

    陽は笑い声とともに空中で軌道を変え、左右に跳びながら複数の攻撃を同時に繰り出す。マリオネットは硬化物で防ごうとするが、祝福の嵐は瓦礫ごと押し潰すほどの圧力を生む。

    「もっともっと楽しもうよ〜!ねぇ、私と遊ぶんだ〜!」

    マリオネットは吸収した物質を高速で変換し、投げつける破片や即席の武器で応戦する。だが、陽の笑顔と光はそれすらも弾き返すように見え、戦場はまるで彼女の祝福の光に染まっていく。

    「うぐっ……でも……負けられない……!」

    糸に引かれながらも、マリオネットは再生と変換を繰り返し、次の一撃のために体勢を整える。破片と瓦礫が飛び交い、衝撃波が床や壁を打ち砕く音が響き渡る。戦場はまさに混沌そのものだ。

    陽は楽しそうに両手を広げ、さらにバフを重ね掛けする。全身に力が漲り、速度と筋力、防御力が限界を超えて増大する。マリオネットの糸による制約は存在するものの、その制限を超えんばかりの勢いで陽が迫る。

    「きゃはは〜!もっともっと遊ぼう〜!負けないで〜!」

    マリオネットは必死に瓦礫を盾や剣に変換して防御を続ける。だが陽の笑顔と祝福の嵐は止まらず、戦場のすべてを押し流すように彼を追い詰める。糸に縛られた体でも、吸収と変換で反撃を試みるマリオネット。しかし、陽の加速と力は次第に圧倒的になり、攻防の応酬は激しさを増していった。

  • 541◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 14:44:34

    戦場は瓦礫と光の渦で包まれていた。マリオネットの糸は依然として天から垂れ、動きを制限する。しかし、その制約の中で彼は吸収と変換を駆使し、瓦礫や鉄片を盾や刃として応戦する。

    「やっぱり……動かせる……!」

    だが陽は楽しそうに跳び、祝福の加速と筋力増強のバフを重ね掛けして襲いかかる。拳が光の軌跡を描き、衝撃が瓦礫ごと地面を砕いた。マリオネットは吸収して変換した即席の武器で迎え撃つが、祝福の嵐は押し返し、ぶつかるたびに周囲の瓦礫を吹き飛ばす。

    「きゃっはー!まだまだ行くよ〜!負ける気なんてないんだから〜!」

    マリオネットは必死に反撃を試みるが、陽の笑顔と加速には追いつけない。天からの糸が引く制約の中でも、吸収と変換を最大限に活かし、一瞬の隙を作ろうとする。しかし、陽は軽やかに飛び回り、さらに祝福のバフを積み重ね、動きを圧倒的に上回る速度で攻撃を繰り出す。

    「もっともっと遊ぼうよ〜!世界中のみんなに目いっぱいの福を届けるんだ〜!」

    衝撃波と瓦礫の飛び交う中、マリオネットは天からの糸に縛られつつも、体を変形させながら避け、吸収した瓦礫を盾に変換してなんとか耐える。しかし陽の拳は無数の光速連打となり、瓦礫を突き破り、衝撃で地面に叩きつける。

    「うぐっ……こんな速さ、対応できるのか……!」

    天から垂れる糸が、マリオネットを空中で引き寄せる。逃げ場はほとんどない。しかし、吸収した瓦礫や鉄片を次々に変換して飛ばし、光速の拳に対抗する彼の意志は消えていなかった。戦場の音は、瓦礫が砕け散る音と光速で打ち付けられる拳の連打音だけが響く。

    「きゃはは〜!楽しすぎる〜!さあ、もっともっと〜!」

    マリオネットは全力で抵抗し、吸収した物質を盾や刃に変換し、なんとか陽の攻撃を防ごうとする。しかし、祝福の嵐は止まらず、戦場全体を覆い尽くす。天から垂れる糸に縛られた体でも、彼の意志は諦めず、次の瞬間を狙う。

  • 551◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 14:44:57

    戦場の混乱の中、マリオネットは最後の反撃を試みた。天から垂れる糸を利用して吸収・変換を繰り返し、周囲の瓦礫を盾や刃に変えて、陽の猛攻に応戦する。しかし、陽の祝福の重ね掛けは止まらず、速度も筋力も圧倒的に増大していた。

    「さあ、最後まで楽しもう〜!絶対に私たち、友達になっちゃうんだから〜!」

    陽は笑顔のまま光速に近い速度で飛びかかり、連打を放つ。瓦礫の盾をぶち破り、変換された刃を弾き飛ばす。マリオネットは吸収した物質を瞬時に変換して反撃しようとするが、陽の祝福の嵐には届かない。

    「くっ……これ以上は……!」

    天から垂れる糸の制約も限界に達し、マリオネットは地面に押し倒される。だがその瞬間、陽は笑顔で手を差し伸べた。

    「はいっ!これで終わり〜!さあ、私と友達になろうよ〜!」

    マリオネットは糸に縛られたまま、陽の手を見つめる。無邪気でハイテンションな笑顔が戦場を光で満たす中、彼はゆっくりと手を伸ばし、ついに陽の手を掴んだ。

    「……友達……か」

    「うんっ!これからは一緒に楽しいことしよ〜!」

    戦場に残る瓦礫と破片の中で、マリオネットの硬いカクカクとした体が、少しずつ柔らかく、自由に動き始めた。吸収と変換の力も制限なく使えるようになり、彼の瞳には希望の光が宿った。

    祝福の光に包まれ、戦いは終わった。マリオネットと陽は、戦場の瓦礫の上で笑い合い、新たな友達として歩み出したのであった。

  • 561◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 14:49:38

    以上

  • 57二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 16:12:19

    テンションが高くて元気でよいのぉ

  • 581◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:38:36

    題名『狂気の街に雨は降る』

  • 591◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:40:54

    夜の帳が都市を覆っていた。ネオンの光は微かに揺れ、雨に濡れた舗道を映す。霧が立ち込めるその先、古ぼけた教会の尖塔が異様な威圧感を放っていた。

    探索者は傘を持たず、ゆっくりと足を進めていた。左腕の痛みを庇いながらも、視界の奥に見え隠れする光の異常に気づいていた。

    「……またか、俺……」

    彼の心中で低く呻きが漏れる。過去に何度も狂気の淵に立たされた記憶が、微かに身体を震わせる。だが、今は冷静でなければならない。

    教会の前庭には、黒いローブに身を包んだ男が一人立っていた。顔は整いすぎて不自然に美しく、異様なカリスマを放っていた。その視線はどこか遠く、しかし確実に探索者を捕らえていた。

    「ふふ……今夜も来たのか、探し物は見つかりそうかね?」

    男はゆっくりと手を掲げ、微笑んだ。声には熱意があり、まるで心からの信仰心に満ちているかのようだった。しかし、その目の奥には軽蔑と苛立ちが潜んでいた。

    探索者は自然と間合いを測る。直感が告げる、この男はただの人間ではない。いや、ただの狂信、者でもない。

    「……君が……邪神を崇める奴か?」

    声を潜めて問いかけると、教祖は小さく頭を傾げ、笑った。

    「崇めて、そして嫌っている。面白いだろう、私の立場は?」

    突然、教祖の手のひらから異様な光がこぼれ、周囲の空気が歪んだ。舗道のタイルが突如剥がれ、浮遊するかのように漂い、異形の影が一瞬現れた。探索者は本能的に身をひるませたが、反射的に足を踏み込み、避けきった。

  • 601◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:41:20

    「くっ……何だこの感覚……」

    「奇跡だよ、これが私の力。君には理解できないだろうがね」

    その声には嘲りが混じる。だが、教祖は邪神を軽蔑しているがゆえに、どこか冷静さも失わず、制御していた。

    探索者は息を整え、左腕を庇いながら魔法の存在を思い出す。だが、ここでの使用は危険すぎる。今は生き延びることが最優先だ。

    教祖はゆっくりと歩みを進める。歩くたびに周囲の存在感が薄れ、時計の針の音がやけに響くようになった。探索者の意識は微かに揺らぎ、現実と幻の境界が曖昧になる。

    「逃げられると思うかね、探索者」

    「……どうして俺の名前を……?」

    「私は知っている。君の過去も、弱点も、そして恐怖もね」

    その瞬間、探索者の背後に微かな気配が走る。だが振り返ると何もいない。

    教祖はゆったりと手を広げ、闇に向かって低く呟いた。

    「さて、始めようか……」

    都市の霧と雨が、二人を取り囲む。ここから、理解不能な奇跡と過酷な運命の戦いが幕を開けるのだった。

  • 611◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:42:27

    霧雨が頬を打つ中、探索者は呼吸を整えた。左腕の痛みを忘れず、しかし視線は教祖に釘付けだった。教祖の瞳は異様に輝き、闇の奥で微かに揺れる。

    「……来るなら来い」

    探索者は小さく呟き、体のバランスを整えた。心臓の鼓動が耳に響く。確率に頼るしかない――自分の能力は、運が全てを左右する。

    教祖は片手を軽く掲げ、ゆっくりと呟く。詠唱は短くも長くもなく、ただその言葉の波紋だけが周囲の現実を歪めていった。

    舗道のタイルが突如割れ、空気の密度が不自然に変化する。探索者は反射的に飛び退いたが、奇跡の歪みは瞬間ごとに変わる。次の瞬間、彼の前にかすかな幻影が重なる。

    「っ……何だこれは……!」

    空間の奥底で、別の探索者の幻影がちらりと現れ、瞬時に消えた。偶然か、教祖の奇跡の演出か――判断がつかない。

    「面白いね、君の反応」

    教祖は微笑みながら、崇拝者に魔力を与える。空間の歪みは増幅し、周囲の影がじわりと蠢く。探索者は足を踏ん張り、微かに身構えた。

    「――ここで、俺の……」

    彼は手を上げ、過去の事件で手に入れた魔法『ヨグ・ソトースの拳』の準備をする。しかし、使用は一日一回だけだ。慎重に、かつ確実に狙わなければならない。

    その瞬間、奇跡の波紋が探索者を包み込む。視界が歪み、聴覚が異常に敏感になる。心の中で小さな恐怖が芽生え、理性が揺らぐ。

    「……くっ……耐えろ、俺……」

    教祖はさらに一歩前に出る。彼の足元からは存在が薄れ、周囲の空間が不可思議に変化した。探索者は回避のために体をひねる。

  • 621◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:43:09

    しかし、その瞬間――

    「――っ!?」

    100分の5の運命が彼に微笑む。まさかのクリティカル。
    ヨグ・ソトースの拳が想定を超えた力を伴い、奇跡の歪みに押されながらも、教祖に直撃する。

    教祖の表情はわずかに揺らぐ。しかし微笑は消えない。まるで、その一撃すら予期していたかのようだ。

    「ふふ……偶然も、時には面白いものだね」

    雨に濡れた教会前庭は、静かに、しかし不穏な空気に包まれたまま二人を取り囲む。互いの力が交錯し、戦いは始まったばかりであることを告げていた。

  • 631◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:43:59

    霧雨はますます濃くなり、街灯の光は濁った水滴に反射して揺れていた。探索者は左腕を庇いながらも、戦闘態勢を維持する。心拍は速く、脳裏に過去の狂気の記憶がちらつく。

    教祖は微笑んだまま手をかざす。周囲の空気が震え、微かなざわめきが聞こえる。踏み込む影の奥から、存在の輪郭が消えたり現れたりする。

    「――まだ、俺の番だ……」

    探索者は息を整え、次の動きを決める。思考の隙間にわずかに不安が入り込む。正気度の減少はゆっくりと、しかし確実に彼を蝕んでいた。

    教祖の詠唱が始まる。しかし今回は長く、予測不能な言葉の連なりだ。奇跡の効果がゆらぎ、視界の端で建物が歪む。タイルが逆流するように浮き上がり、周囲の影が波打った。

    「っ……何だ、この世界は……!」

    思わず叫ぶ探索者。その瞬間、運命は不意に動く。100分の5の確率――クリティカル。彼の踏み込みが想定以上の威力を生み、教祖の詠唱の一部を打ち破る。

    だが次の瞬間、別の100分の5――ファンブルが発生。探索者の足元で地面が滑り、転倒しかける。手元の魔法準備は狂い、ヨグ・ソトースの拳は不完全な形で放たれる。

    拳は空中で半透明に歪み、予期せぬ方向に飛ぶ。教祖は軽やかに避け、しかし幻影のような影の中で一瞬だけ打撃を受けた。

    「ふふ……偶然とは面白いね」

    教祖は笑みを崩さず、再び詠唱を重ねる。崇拝者から供給される魔力が奇跡を増幅させ、周囲の空間は理解不能な形で変化した。探索者は視界の歪みに目眩を覚える。

    「くっ……耐えろ、俺……」

    左腕の痛みと正気度の減少が重なる。しかし、探索者は踏ん張る。幽かな冷静さを保ち、奇跡のリズムを読みながら次の一手を考える。

    教祖は近づき、指先をかざす。タイルの一枚が浮き上がり、まるで生き物のように探索者に迫る。だが、またしてもクリティカルが作用。探索者はわずかに反射し、危うく回避する。

  • 641◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:44:15

    「偶然も、私には楽しませてくれる」

    教祖は静かに呟き、奇跡を止めることなく、次の波紋を準備する。探索者は息を切らしつつも、心の奥で一縷の希望を握りしめる。

    都市の霧は深まり、戦場はますます歪んでいく。互いの力はまだ完全にはぶつかっていない。だが、予測不可能な偶然と歪んだ奇跡が絡み合い、戦いは既に制御不能の様相を帯び始めていた。

  • 651◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:44:50

    雨脚は強まり、街灯の光は完全に霞んでいた。
    探索者の胸は上下し、息は荒い。正気度が少しずつ、確実に削り取られていく感覚があった。

    「……やばい……このままじゃ……」

    彼の視界には、すでに現実とは思えぬ光景が映っていた。
    倒壊したビルの壁に、人の顔が無数に浮かび、口々に意味不明の祈りを呟いている。

    教祖はその中心で、両手を掲げていた。詠唱は途切れず、奇跡の波紋はますます濃くなっていく。

    「見えるか? これは私が借りてきた奇跡の一端だ。
     ……常人なら、とうに狂って死んでいるだろう」

    探索者は歯を食いしばり、前に進もうとした。
    だが、その足は勝手に後ずさる。まるで自分ではない何者かに操られているかのように。

    「っ……またか……!」

    過去から続く後遺症――意志と無関係に動く体。
    悪いことに、今は明らかに状況を悪化させていた。
    勝手に足がつまずき、視界はさらに揺れる。

    「ふふ……その混沌すら、私の舞台装置に過ぎない」

    教祖は声を張り上げた。奇跡が発動する。
    その瞬間、探索者の耳に「時計のチクチク音」が響く。
    秒針の音が不気味に広がり、彼の存在そのものが薄れていく感覚を覚えた。

  • 661◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:45:30

    「……ぐ、うぅ……!」

    足元の影が揺らぎ、身体の半分が霧に溶けるようにぼやけ始める。
    探索者は必死に抵抗するが、脳裏に浮かぶのは無数の幻覚。
    死体の山、蠢く触手、過去に出会った怪異の顔。正気度は急降下していく。

    その刹那――

    「頼む……今だ!」

    探索者の運命が転がる。
    ――クリティカル。

    絶望的な状況にもかかわらず、彼の一歩は奇跡的に重力を振り切り、影から抜け出す。
    体の制御を奪っていた「何者か」の動きすらも、ほんの一瞬だけ噛み合って、彼を救った。

    教祖の眉がわずかに動く。

    「……ほう?」

  • 671◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:46:04

    「俺は……まだ終わっちゃいない!」

    探索者は叫び、再び拳を構えた。
    だが同時に、足元が再び空転する。――ファンブル。
    水たまりで滑り、勢い余って顔面から倒れ込む。

    「……っ! ……いてぇ……!」

    泥にまみれた探索者を見下ろしながら、教祖はくすりと笑った。

    「君は本当に面白い。
     偶然に生かされ、偶然に転ぶ……
     その存在自体が、私の神の悪戯そのものだ」

    雨音が強まり、教祖の詠唱がさらに重なっていく。
    次に訪れる奇跡は、探索者を完全に飲み込むだろう。

    だが探索者の瞳には、まだ光が残っていた。
    偶然の力を信じるしかない――そう自分に言い聞かせながら。

  • 681◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:46:57

    探索者の呼吸は荒く、膝は震えていた。
    正気度は削られ続け、視界はもはや現実と幻覚が混ざり合っている。
    それでも――彼の瞳にはわずかな闘志が残っていた。

    「……ここで……終わらせる……」

    教祖はゆっくりと両腕を広げ、空を仰ぐ。
    詠唱は途切れず、言葉の一つ一つが都市を震わせていた。
    窓ガラスはひび割れ、遠くの建物が不自然に歪む。
    雨は逆流し、空に吸い込まれていく。

    「我が神よ……この肉を媒介に……」

    声は熱に満ち、しかしその瞳は冷ややかだった。
    表向きは敬虔な祈り、だが内心では邪神への軽蔑を隠しきれない。

    探索者は拳を握る。
    体の奥底に眠る、あの一撃――『ヨグ・ソトースの拳』。
    一度しか使えない切り札を、今こそ解き放つ時だった。

    「――これしか、ない……!」

    左腕の痛みを無視し、右拳に魔力を集中させる。
    空間が微かに軋み、光が滲む。
    だが同時に、恐怖と狂気が彼の心を蝕む。
    もし失敗すれば、正気を完全に失うかもしれない。

  • 691◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:47:37

    「さぁ、来るがいい。
     君の拳と、私の奇跡……どちらが強いか確かめよう」

    教祖の詠唱が最高潮に達する。
    地面から突如として巨大な影の柱が立ち上がり、無数の目と口が開いた。
    その口々が、意味不明の言葉を一斉に唱え始める。

    探索者は恐怖に震えながらも、一歩を踏み込む。
    運命が回転する――

    ――クリティカル。

    拳に宿った魔力が常識を超えた力へと変貌し、光と闇の渦となって迸る。
    『ヨグ・ソトースの拳』は完全に発動し、影の柱を粉砕した。
    都市を包む異形の口々が、同時に悲鳴を上げる。

    「なっ……!?」

    教祖の身体が衝撃に揺れ、詠唱が乱れる。
    奇跡の構築が一瞬だけ崩れ、その隙間に拳の衝撃が突き抜けた。

    探索者の拳は教祖の胸に届き、眩い光が爆ぜる。
    都市全体を歪めていた奇跡の波紋が一気に薄れ、現実へと引き戻されていく。

  • 701◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:47:47

    雨が再び下に向かって落ち、街灯の明かりが正常に瞬いた。

    教祖はわずかに口元を歪め、しかし微笑を崩さずに探索者を見据えた。

    「……なるほど。これが……君の、運命か」

    探索者は膝をつき、息を荒げる。
    拳を放った代償で体力は限界に近い。
    正気度も削られ、視界が霞む。

    だが――まだ、勝敗は決していなかった。

    教祖の身体からは、なおも微かな奇跡の余韻が漏れ出していた。
    歪んだ空気が再び集まり、彼の背後に異形の影が蠢き始める。

    「……終わりだと思ったかね?」

    声は低く、不気味に響いた。
    探索者は震える足で立ち上がり、最後の力を振り絞る。

    次の一撃で、すべてが決まる。

  • 711◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:49:27

    夜の街は静まり返っていた。
    しかし、その静寂の奥で、まだ二つの力がぶつかり合っていた。

    探索者は全身の力を振り絞り、立ち上がる。
    右腕は焼けるように痛み、視界は霞み、脳裏では狂気の囁きが続いていた。
    それでも――まだ倒れるわけにはいかない。

    「……これで……最後だ……!」

    教祖は胸に手を当て、わずかに口元を歪める。
    胸に残る衝撃は確かに彼を傷つけた。
    だがその瞳は、依然として強靭な光を放っていた。

    「奇跡に抗い、ここまで来るとは……
     だが、神の戯れはまだ終わらん」

    教祖の詠唱が始まる。
    その声は低く、ゆっくりと、だが確実に空気を揺らした。
    周囲の建物の影が歪み、現実の枠組みが軋む。
    詠唱の長さは完全にランダム――今夜の神の悪戯は、どちらに転ぶのか。

    探索者は拳を構え、最後の一歩を踏み出す。
    運命のサイコロが回る。

    ――クリティカルか、ファンブルか。

    彼の体は一瞬、勝手に動いた。
    後遺症の「操られる動き」が再び発動する。

  • 721◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:49:57

    しかし今度は、まるで見えざる何者かが助けようとするかのように、拳を教祖の中心へ導いた。

    「これで……終われぇぇぇっ!!」

    ――クリティカル。

    拳が放たれた瞬間、世界が光に包まれる。
    雨粒は宙で静止し、都市は白く染まった。
    その拳はもはや肉体のものではなく、運命そのものの化身。
    教祖を覆う奇跡の防壁を粉砕し、胸の奥に突き刺さった。

    「……っ……!」

    教祖は目を見開き、一瞬だけ苦痛の色を浮かべる。
    だが、すぐに微笑を取り戻した。

    「……やはり……君は……面白い……」

    その言葉を最後に、教祖の身体は霧のように崩れ、夜に溶けて消えた。
    奇跡の波紋も同時に途絶え、都市は完全に静寂を取り戻す。

  • 731◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:50:11

    探索者は膝から崩れ落ち、荒い息を吐いた。
    正気度は限界に近く、視界の端にはまだ幻影が残る。
    しかし、確かに勝った――そう自分に言い聞かせる。

    空には再び雨雲が広がり、ただの雨が落ちていた。
    その冷たさが、彼を現実へと引き戻す。

    「……終わった……のか……?」

    返事はない。
    ただ、雨音だけが答えるように響いていた。

    探索者は崩れ落ちるように座り込み、遠くを見つめる。
    教祖は消えたが、彼の言葉はまだ耳に残っていた。

    ――「君は面白い」――

    それは祝福か呪いか。
    探索者には分からなかった。

    だが一つだけ確かなことがあった。
    彼の戦いはまだ終わっていない。
    次の事件、次の狂気が、すぐそこまで迫っているのだ。

    夜は深まり、雨は静かに降り続けていた。

  • 741◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 19:50:27

    以上

  • 75二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 19:52:59

    良い戦いだった!

  • 76二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 19:53:52

    なんかクトゥルフっぽい拳が生えてる・・・

  • 771◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 20:01:49

    21:00から10個募集

  • 78二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:00:00

    名前:幸福/不幸なアリス
    年齢:不明
    性別:女
    種族:異界
    本人概要:幸福の少女アリスが自由自在に気ままに遊ぶ異界 アリスは無邪気で残酷で狂っており
    ギロチン処刑!というと首目掛けてギロチンが飛んでくるしトランプ兵を消しかけて来たりする
    また異界は一本道になっており進む度にアリスの遊びは危険度が跳ね上がる 
    時折アリスはいつに成れば終わるのかなぁと言ったりする
    能力:楽しいアリスの夢の国/膿み腐った老人の妄想の国
    能力概要:死んでしまった子アリスを永遠に異界に縛りつけ遊ばせ続ける 老人の執念が作り出した異界
    アリスを楽しませる為に異界はアリスの言う通りに従い変化する まさにアリスの遊び場
    異界を破壊しようとするとアリスとは別に老人が四つの災厄を召喚する
    正体不明、最悪最高 ジャバウォック(単純に超強い)
    正体不明、一分間の魔物 バンダースナッチ(一分間のみ現れる途轍もなく早い魔物)
    正体不明、見つけてはならない ブージャム(決して見てはいけない……)
    正体不明、狩られる者 スナーク(その人が一番殺したくない人に化ける 殺した場合は精神ダメージ)
    弱点:異界の奥には異界の核となる少女の白骨死体がありそれを破壊すれば消滅
    四つの災厄は同時には現れず再出現もしない アリスは良くも悪くも気まぐれな為褒めたりすると攻撃が中断される
    アリスは異界の奥への道案内もしてくれるのと 
    四つの災厄の特徴を言ってくれる為ある程度能力の弱点対処法は分かる
    また四つの災厄が現れた際はアリスは攻撃せずに無邪気に話すだけになる
    要望(任意):異界の奥に進もうとした場合 「アリスの夢の国を壊さないでくれ……」「放っておいてくれ」みたいな感じの台詞を老人に言わせてください

  • 79二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:00:00

    名前:【大怨霊】マツ
    年齢:なし
    性別:少女霊
    種族:大怨霊
    本人概要:
    世界中で孤独死した少女たちの魂が寄り集まり大怨霊と成った存在。数多の魂が集まっても寂しさは癒えることは無かった。
    その結果、マツは自身の空虚を埋めるために呪物を介して生者に憑りついて衰弱死させ、霊の仲間に加えることを幾度も繰り返してきた。
    呪物に触れた相手は必ずマツの存在を意識してしまい、知らぬ間に体や心が蝕まれて徐々に抵抗力を失い衰弱死した。
    能力:〘あなたに寄り添う〙/〘あなたもこちらへ〙
    能力概要:
    〘あなたに寄り添う〙:相手の五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)に憑依・支配して強制的にマツを意識させる。
    〘あなたもこちらへ〙:マツを意識した相手が受ける衰弱の祟り。相手はマツを意識し続けている間、自然と体や心が蝕まれて徐々に抵抗力を失い衰弱死する。
    弱点:
    〘あなたに寄り添う〙は相手に自分を意識させるだけであり自分から物理的な危害を加えることは出来ない。
    〘あなたもこちらへ〙は食事をとったり睡眠をとることで影響を和らげることが出来る。
    霊核となる呪物が破壊されると祟りは消える。
    霊核となる呪物は事前に相手が大切にしているものに扮しており、常に相手が所有している。

  • 80二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:00:00

    名前:白鳥 ゼロ(しらどり ぜろ)
    年齢:13歳
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:中性的な容姿をした美少年。特技は変装で、性別や体格どころか亜人や妖怪といった人外にまで変装することができる。
    学校では友達も多く、スポーツ万能、成績優秀だがどこか抜けた部分もあり誰からも好かれ、クラスの中心的な人物。
    その本性は天性の嘘つき、他人どころか自分自身すら裏切り欺くことができるほど。
    正体は久那土帝国の皇帝に仕える暗殺者、その異能故にターゲットと親しくなり、そして本心から友情を築き──そして裏切り惨殺する。
    懐には皇帝から賜ったナイフを忍ばせており、異能が発動する前はこのナイフで戦う。
    裏切る痛みすら刃にて切り捨てた、冷酷非情の殺人兵器こそが彼である。
    能力:Vacant Duel ─サ身無シニアハレ─
    能力概要:関係を武器にする異能。
    相手が深く、重く、強くつながっている関係であればあるほど強力な武器が生まれる。
    知り合いなら単なる包丁、友人なら稀代の名刀が、親友ほど深い関係になれば世界すら両断する伝説の魔剣が生まれる。
    ただし、武器が生まれる条件は”裏切る”こと。相手を裏切り、敵対することでしかこの武器は生成できない。
    ゼロは本心からターゲットと親友となり、そして本心から裏切ることで能力を発動。敵を抹殺する。
    また、相手と親しくなることで必然的に相手の手の内を知ることができるため、戦術的に優位に立てる。
    弱点:”裏切る”ことで能力が発動している。相手がそれでも信じ力ではなく言葉で戦うことができれば能力は発動しない。もっとも、帝国への忠誠を覆すことができるのであれば、だが。
    実は甲殻類アレルギー、蟹や海老はまさしく天敵。さらに、昔イノシシに襲われ足の付根に古傷があり、そこも弱点。
    要望(任意):対戦相手と親友関係の状態から対戦をスタートして欲しいです。最初は対戦相手と同性、同種族の姿から変装解除して裏切り&バトル開始。裏切った時のセリフは「楽しかったよォ!! きみとの友情ごっこォ!!」であり、相手の心を逆撫でるようなセリフを中心にしてください。

  • 82二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:00:00

    名前:アルティメットカジキマグロ・成魚
    年齢:6
    性別:オス
    種族:魚類・アルティメットカジキマグロ目
    本人概要:
    どこにでもいる普通のアルティメットカジキマグロ。主食は人間、超危険。
    空を、地中を、宇宙を、あらゆる場所を超高速で遊泳する謎の魚類。つまりどこにでもいる。あと虹色に発光している。
    アルティメットカジキマグロの赤身はうまみ成分アミノ酸に富んでおり、その刺身は舌の上でとろける柔らかさとぷりぷりの歯ごたえを両立した奇跡の食材。口に含んだ瞬間優しい甘さが口の中に広がり、そして一口噛めば思考がぶっとぶ程の強烈なうまみが口の中を支配する。後味は物足りなく感じるほどアッサリしているため一切れ食べればまたすぐに次の一切れを求めてしまう。
多くの者たちが死ぬ前に一口食べたいと願って狩りに挑み、そしてそのまま逆に食べられていった。
    見た目に反して、やたら強いため専用の討伐隊が毎年何十人も犠牲になっている。
    なお、カジキマグロはマグロの仲間ではないし、アルティメットカジキマグロもマグロの仲間でもカジキの仲間でもない。
    変異種として氷属性を操る○○アイス・アルティメットカジキマグロが複数確認されている。
    能力:八つ裂きタックル
    能力概要:
    たとえ火の中 水の中 相手の間合いの中、目にも止まらぬ超スピードで突撃し、鋭く硬い口吻で相手を八つ裂きにする。
    弱点を狙うのではなく、弱点もろとも相手本体を八つ裂きにするという脳筋進化のたまもの。
    弱点:
    ・攻撃方法が八つ裂きタックルしかないため、カウンターを合わせる戦法がかなり有効。
    ・動きを止められると呼吸ができなくなって死ぬ。カウンターで怯んだ隙に組みついて動きを止めるのが一般的な倒し方。
    ・ヒレをもがれたり傷つけられたりすると速度がどんどん落ちる。
    ・スピードに動体視力が追いついていないため、事実上の視野がめちゃくちゃ狭く死角だらけ。ギリギリ直進方向が見えているレベル。
    ・弱点と特徴が図鑑に載って広く知れ渡っている。
    要望:戦闘終わったら刺身にしちゃってください。食レポ描写もあると助かります。

  • 83二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:00:01

    名前:黒鍔目 留姫(くろつばめ るき)
    年齢:17
    性別:女
    種族:鳥人
    本人概要:生真面目だがかなりキツい性格の紫髪の少女。両親からの熾烈な英才教育の影響で、常日頃から内面に多大なストレスを抱え混んでいる。
    学校では風紀委員会に所属しており、優等生として真面目に生徒を取り締まる傍ら、裏では街に蔓延るゴミ共(本人談)を粛清という名のストレス解消の為に、行き過ぎた暴力で痛めつけている。
    家や学校ではきっちりとした服装をしているが本来の趣味はパンク系ファッション。
    本当は高級フレンチよりジャンキーなハンバーガーが好きだし、クラシックよりもパンクロックが好きだし、参考書よりも恋愛マンガが大好き。
    能力:黒崩翼刃
    能力概要:斧の様な巨大な刃と一体化した伸縮自在の翼。戦闘時には縦横無尽に振り回して相手を一刀両断する。
    また、切り裂いた箇所から対象の魔力やエネルギーの流れを変化させ強制的に放出させる能力を持つ。
    相手の魔力を無理矢理放出させてエネルギー不足に持ち込んだり、無理矢理暴発させて攻撃に利用したりできる。
    また、普通の翼のように飛翔して、高速で飛び回ることも出来る。
    弱点:伸縮自在だが、それ故に近距離だと取り回しが悪い。
    飛翔中に攻撃体制に移行する場合、その間は隙が出来、空中での姿勢制御が出来なくなるという欠点がある。
    一度に操作できるエネルギー量には限界がある。また、両翼にある炉心を破壊されるとエネルギー操作が使用不能になり、スピードもかなり落ちる。

  • 84二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:00:01

    名前:沌神
    年齢:???
    性別:???
    種族:混沌神
    本人概要:JOY に力を与えた張本神。沌神に力を与えた物は運命や世界をバグらせる事を本質に刻まれる。沌神や沌神に力与えた存在に関わった存在も大なり小なり運命や世界をバグらせる事に荷担する運命に巻き込まれる。性格は、この世を混沌と認識し楽しみ、さらに混沌とさせる為に行動をしている。秩序は少し位ならスパイスと考え楽しみ、多すぎる場合は秩序の中にある混沌をどう育てるかを考え楽しむ。JOY と性格が似ている為、さらに混沌とさせてくれると思い、JOY に力を与えた。その後は様々な存在に力を与えて混沌に落とすのを一時やめてまで、JOY の行動を見ていた。
    能力:《プシュード・ベライヒ》
    能力概要:沌神が擬似的に自らの領域を現界に再現する能力。沌神の領域は混沌としている為、疑似領域や疑似領域にいる存在の運命や未来が見えず、見ようとすると無限通りの運命や未来を強制的に見ようとした者に流れ続ける。
    疑似領域の効力は、バフ/加護・デバフ/災害を敵味方構わずランダムに与える。
    弱点:沌神の領域ではなく疑似的な再現なので、沌神も影響を受ける
    現界用の肉体にある、脳と心臓の位置にある半月のような形をしているコア2つを破壊すると現界用の肉体は壊れる。

  • 85二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:00:01

    名前:精神の主(秋月 景)
    年齢:26歳
    性別:女
    種族:人間
    人物概要:佐藤家の居候であり【紅月傭兵団】の幹部の一人
    ボロボロの格好をした謎の存在から「佐藤家の居候になって一家を守ってくれ」という謎の依頼で失神する前金を渡され居候になる
    「精神の主」というコードネームを持ち組織では戦闘、諜報、暗殺まで幅広い仕事で結果を残し彼女個人への依頼も多かった
    どんな依頼でも滅多に貰えぬ大金と依頼内容に齟齬を感じており依頼の真意を聞くためにこの仕事を振った依頼者を探し回っている
    性格は口が悪いが義理堅く軽口が多めでノリが良い、観察眼と洞察力に優れ天性の心理戦の才覚を持ち言葉の一つ一つが心をかき乱す
    能力:精神の主
    能力概要:精神にまつわることだったら大体何でも出来る神鏡皇にも認められし力
    精神、心、意志、感情、認知、意識、思考、記憶、理性、本能、精神に関連するものなら彼女に弄れないものなど存在しない
    思考や心の声の盗聴、無意識へ干渉し隙を作る、忘却により能力や動きを封じたり認知や記憶をすり替え自爆させる事も可能
    自己強化の面でも優秀で感情爆発によるリミッター解除や死地での記憶を思い出しゾーンに入るなどが可能
    持ち前の言葉と実力、異能による精神干渉による戦いで数多の猛者を屠り多くの強者が心を壊し己を忘却した
    弱点:ぱっと見そうは見えないが実は酒に酔ってべろんべろんであり動きにふらつきがあったり隙がある
    また寝不足なので戦闘中にあくびはするし髪が伸びまくりボッサボサなので視界もかなり悪かったりもする
    タバコが大好きで戦闘中でもタバコを意地でも吸おうとするのでタバコの準備中は大きな隙が生まれやすい
    また気分屋で興が乘らないと動きが大雑把、戦法も雑になり疲れるからと能力を発動しない事もある
    常時超絶寝不足なので戦闘中でもボケーっとする事が多くその辺りも隙であり能力発動を忘れることすらある
    総括すると全体的に突ける隙がかなり多めで本人も自覚はしているが直すのが面倒くさいというので直していない
    要望:気だるげだが荒い口調、一人称はあたし、武器はナイフと拳銃
    戦闘中は楽しそうに戦わせ勝ったら戦闘に関する記憶を相手から消して笑って去ってください

  • 86二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:00:02

    名前:柏目 有泉(かしわもく ありす)&ケイト・スレイ
    年齢:有泉41歳/ケイト生後3ヶ月
    性別:両方女
    種族:両方人間
    本人概要:有泉はスレイ家に使えているベビーシッターの女性。育児に関する知識は並外れている美魔女。全然老けない。
    ケイトはスレイ家に生まれた赤ちゃん。ベビーシッターの有泉によく懐いている。不思議な力を持っており、それで自身や有泉のサポートをしている。
    有泉は子供を守るためなら超人的な力を発揮し、あらゆる敵をねじ伏せるタフネスを見せる。武器はマシンガン。ケイトの能力で弾切れの心配はない。有泉は無能力者。
    能力:【スレイ家の日常】
    能力概要:あらゆる“当たり前”を変える能力。
    相手の当たり前の事を変えたり、不可能を可能にし、可能性を引き出すことが可能となる。
    例えば相手は能力が使えるのが当たり前だが、その当たり前を変えることで能力を封印したり、日常的な“当たり前”を封じることで再起不能(機能不全、心肺停止、記憶の忘却、存在意義の消失など)にすることが可能。
    また、不可能を可能にすることでケイトが一時的に神も凌駕する存在になることが可能であり、5秒ほどしか持たないがその一瞬の間に全知全能を越えるに値する力で蹂躙が可能となる。
    可能性を広げれば、様々な勝利や幸せの道も拓ける。
    弱点:赤子を連れた年増の女のため、持久力や持続力がない。ケイトがピンチになれば即刻退散する。
    ケイトの能力の効果が切れると、マシンガンも普通のマシンガンに戻る。
    ケイトは赤子のため、長時間の戦闘は不可能。
    神も凌駕する可能性は5秒以上も使おうとすると、命の危機に瀕する。
    ケイトは赤子のため、戦闘での適切な行動は有泉頼りになる。
    要望:有泉の一人称は「ワタクシ」、二人称は「アンタ」でお願いします。有泉&ケイトが勝てたら新しいベビーシッターとして勧誘させてください。

  • 87二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:00:02

    代理

    名前:人間水族館
    年齢:不明
    性別:なし
    種族:不明
    本人概要:全ての水槽に人の死体が浮いている水族館
    意思をもっており、入場した人間を殺して生存している
    能力:
    【ポルターガイスト】
    【水死体触れ合いコーナー】
    能力概要:
    【ポルターガイスト】
    水族館内のものを動かす能力、大きいものは動かせず、あくまで小物程度しか動かせない
    【水死体触れ合いコーナー】
    特定の場所でのみ発動できる能力
    水槽にいる死体を自由に使役することができ、生前の能力なども発動できる

    弱点:水死体の動きは遅く、破壊もしやすい
    水族館の奥にある制御室が破壊されると機能は停止する
    溺死に異常な執着があるため、溺死以外では殺そうとしない
    要望:相手がこの水族館に立ち寄る感じでお願いします
    相手が人間水族館に入ったら
    「(対戦相手の名前)様、当水族館にご来場いただきありがとうございます♪ぜひ人生最後の日をお楽しみください」
    とアナウンスして下さい

  • 88二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:00:08

    名前:TOW賊
    年齢:35歳
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:髭面の大男でアラビアの盗賊の様な格好をしている。趣味は略奪。剣術の達人でもある。
    能力:『開く胡麻』
    能力概要:腹部に有る扉から子分を無限に生み出して自由に操る事ができる。
     子分はそれなりに強く統率力も高い。更に子分共は自身と視覚を共有してるが、彼の脳はそれら全てを処理し、完璧な指示を下せる驚異的な能力を持っている。
    弱点:子分が一人やられるたびに腹部に『その時点で自分がくらうと確実に嘔吐するレベル』の衝撃が叩き込まれる。因みに仮に10人やられた場合、10発ぶんが一度に来るわけではなく、一発づつ丁寧に叩き込まれる。
     彼は痛みに強いわけでも痛みが好きなわけでも無いため子分の扱いには物凄く気を使う必要があり、人海戦術なんて怖くて使えない。

  • 89二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:00:20

    名前:タケノコ・チャンプルー
    年齢:27
    性別:女
    種族:人
    本人概要:某国で料理店の店主をやっている女の子。元々は大学進学を目指していたが、先代店主の跡を継いで店主になった。性格はとても元気で飄々としており、責任感はあまりないが親の影響で人に優しくすること、人においしい料理を振る舞うことは進んでやるタイプ。
    能力:『妙術タケノコ』
    能力概要:彼女が料理の妙技を極めたことで使えるようになった…と思い込んでいる、謎の異能力。真ん中に太極図のある中華的デザインの魔法陣から光り輝くビームを放ち、当たった者をサイズそのままに1分間タケノコにする。タケノコになっても命に別状は無いが動けなくなり、強度もタケノコ並になる。能力は使える。
    弱点:包丁を全て破壊されると絶望し、戦意を喪失する
    要望(任意):一人称は私。包丁を5つ隠し持ち、1つ装備している。包丁捌きは天才的で、巨大タケノコをも手際よく切り刻む。

  • 90二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:01:04

    名前:自覚の獣
    年齢:なんでも
    性別:なんでも
    種族:なんでも
    本人概要:遥か彼方のそのまた彼方、途轍もなく優れた文明を持った人々が気付いてしまったことがあった。それは全能すら意味を成さない完全なる超常にしてまごうことなき普遍が存在するということ。彼らは非常に優れていたがゆえに、その壁に真正面から立ち向かった。玉砕した。その残滓が自覚の獣 。
     一部だけだが、理解の及ばないはずのモノを再現できたと考えればお手柄ではある。しかし再現できなかったところの方が肝要なためやはり産廃。本人はめげずに本物に成ろうと邁進しているが、結局のところそれは再現不可だからこそ神秘であり神をも上回るものであるため土台無理な話である。
    能力:自義
    能力概要:自らが何なのかを定義することができる。
    弱点:相手に定義したものが見破られると定義が解除され致命的な隙を晒す。

  • 91二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:05:09

    >>78から>>88までか?

  • 921◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 21:50:10
  • 93二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:53:29

    このレスは削除されています

  • 941◆ZEeB1LlpgE25/09/02(火) 21:53:55

    沌神vsアルティメットカジキマグロ・成魚
    黒鍔目 留姫vs精神の主
    TOW賊vs人間水族館
    幸福/不幸なアリスvs【大怨霊】マツ
    白鳥 ゼロvs目 有泉&ケイト・スレイ

  • 95二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:56:38

    よし、マグロと当たって溺死せずに気まずくなることは避けれれたZE

  • 96二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 22:16:34

    >>94

    本名って書き忘れたからから精神の主呼びだぁ

  • 97二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 07:17:54

    保守

  • 981◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 12:47:45

    題名『八つ裂きタックルの果てに刺身あり』

  • 991◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 12:49:39

    空は静かだった。
    だが、その静けさは不気味な予兆でしかない。

    雲が裂けた。

    次いで、海面が隆起するように盛り上がった。
    亀裂の中から姿を現したのは、一匹の巨大な魚だった。
    虹色に発光しながら宙を泳ぐ、常識を越えた存在。

    ――アルティメットカジキマグロ・成魚。

    その姿を見た瞬間、討伐隊の兵士たちの顔から血の気が引いた。

    「来やがった……!」

    「今年も……あれが……!」

    「八つ裂きにされるぞ、逃げろ!」

    彼らは銃を捨て、隊列を乱しながら我先にと後退する。
    それほどに、この魚は恐怖の象徴だった。

    空を、地中を、宇宙を――あらゆる場所を遊泳する。
    どこにでも現れる。

    だが、主食は人間。

    遭遇すれば最後、助かる者はほとんどいない。
    そして、その強さは理不尽の一言に尽きる。

  • 1001◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 12:50:33

    「……ウオオオオオオオオッッ!!」

    虹色の巨体が光を放ち、口吻を鋭く突き出す。
    その瞬間、兵士の一人が叫んだ。

    「八つ裂きタックルだッ!」

    地鳴りのような衝撃音が響き渡る。
    魚は目にも止まらぬ速度で突進した。

    火の中でも。
    水の中でも。
    相手の間合いの中でも。

    ただ一直線に、全力で突撃する。

    弱点を狙うのではない。
    敵の身体そのものを、弱点ごと八つ裂きにする。
    それがアルティメットカジキマグロの進化の極みだった。

    討伐隊の兵士たちは逃げ惑う。
    建物はなぎ倒され、地面はえぐられる。

  • 1011◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 12:50:43

    まるで天災。

    いや、それ以上の脅威。

    「……ふむ」

    その混乱の只中で、静かに声を漏らした存在があった。
    人でもなく、獣でもない。
    ただそこに立ち、揺らめく影を纏った者。

    沌神。

    運命や世界をバグらせる混沌の権化。
    彼は虹色の魚を見て、愉快そうに微笑んだ。

    「面白い……お前もまた、混沌を孕むか」

    魚と神。

    本能と混沌。

    世界を揺るがす邂逅が、ここに始まる。

  • 1021◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 12:54:47

    沌神はゆるやかに歩みを進めた。
    その一歩ごとに、地面は軋み、空気が歪む。
    まるで存在そのものが世界のルールを壊しているかのようだった。

    「アルティメットカジキマグロか……良い。ならば余の遊び相手となれ」

    虹色に光る巨体が振り向く。
    魚は思考することなく、ただ突進する。

    「八つ裂きタックルッ!」

    轟音とともに世界が引き裂かれる。

    しかし、沌神は微動だにしなかった。

    「《プシュード・ベライヒ》」

    その言葉と同時に、世界がひっくり返る。

    黒と白が混ざり合い、赤と青が交錯する。
    上下左右が曖昧になり、兵士たちは悲鳴をあげて倒れ込んだ。

    そこは、疑似的に現界へと投影された混沌の領域。
    誰もが未来を見失い、運命を掴めなくなる空間。

    「な、なんだ……目の前が……分からない……!」

    「俺の……未来が、無限に……!」

    領域に触れた者は、無限通りの未来を強制的に流し込まれる。

  • 1031◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 12:55:18

    その結果、視界も思考も崩壊する。
    討伐隊の兵士たちは一人、また一人と正気を失い、泡を吹いて倒れた。

    だが、その中心で。
    アルティメットカジキマグロは、虹色に光を散らしながら突き進んでいた。

    「……効かぬか。いや、効いてはいるが……」

    沌神は目を細める。

    魚の体に、混沌の影響が顕れていた。
    筋肉が異常に膨張し、速度は増している。

    しかし同時に、ヒレが紙のように脆くなり、バランスを崩している。

    「ふふ、面白い。バフとデバフ、災厄と加護……全ては無作為だ」

    突進が沌神に迫る。

    だがその直前、魚の動きが一瞬だけ止まった。
    領域から与えられた「行動不能」のデバフ。

    呼吸ができない。
    巨大な魚体が苦しげに痙攣する。

    「おやおや。止まってしまったか」

    沌神はゆっくりと腕を上げた。

  • 1041◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 12:57:03

    「では、さらに混沌を――」

    その刹那。

    虹色の魚は再び光を放ち、速度を取り戻した。
    領域が次の瞬間に「速度回復バフ」を付与したのだ。

    「……ほう、抗うか。良い、もっと暴れろ」

    混沌と混沌のぶつかり合いが、ついに幕を開けた。

  • 1051◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 13:04:27

    虹色の魚が光を放った。
    次の瞬間、空間が裂けるような音が響き渡る。

    「八つ裂きタックルッ!」

    直線的な突進。
    だが、その速度は視界を超えていた。

    一度の突撃で大地はえぐられ、建物は粉々に砕ける。
    兵士たちは、もはや戦おうとすらしていなかった。

    「化け物だ……!」

    「視えない……避けられない……!」

    悲鳴と共に人々は散り散りに逃げ出す。

    だが、逃げ場はなかった。
    魚はどこにでもいる。
    空を、地を、そして混沌領域の中すら、自在に泳ぎ回る。

    「良いぞ、その暴れっぷり」

    沌神の声は愉悦に満ちていた。
    領域はアルティメットカジキマグロにも効果を与えている。

    筋力強化。
    反射神経低下。
    装甲硬化。
    呼吸困難。

  • 1061◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 13:26:24

    加護と災厄が矢継ぎ早に入れ替わり、魚の挙動は不安定になっていた。

    「混沌の子よ。お前の突進、果たしてどこまで続くかな?」

    魚は再び突進する。

    地面が抉られ、瓦礫が宙を舞う。
    しかしその直後、デバフによりヒレが裂け、速度が大きく落ちた。

    「チャンスだ……」

    兵士の一人が銃を構える。
    だが引き金を引く前に、魚は再び光を帯び、速度を取り戻した。

    「バフが……!」

    弾丸は空を裂くだけに終わる。

    「ほう……やはり面白い」

    沌神は笑う。

    それは余裕からか、あるいは純粋な歓喜か。
    混沌領域は、彼自身にも影響を及ぼす。
    腕が勝手に震え出し、言葉が裏返る。

    「……ク、クフ……余も例外ではないか」

    虹色の魚が旋回し、再び神に狙いを定めた。
    その光景は、もはや戦場ではなかった。

  • 1071◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 13:26:37

    混沌と混沌がぶつかり合い、予測不能の渦に人々を巻き込んでいた。

    「来い、アルティメットカジキマグロ!」

    沌神が叫ぶ。

    魚が応えるように、さらに突撃する。
    八つ裂きタックルの雨が降り注ぎ、世界は揺らぎ続けていた。

  • 1081◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 13:28:18

    「八つ裂きタックルッ!」

    虹色の巨体が閃光のごとく駆け抜けた。
    風圧だけで建物の壁が崩れる。
    その速度は、もはや視覚では追えなかった。

    「速さか……なるほど、力任せの暴風。悪くない」

    沌神は微笑みを浮かべ、足元を踏み鳴らす。

    領域が震え、色彩が反転した。
    赤い空、黒い地、青く光る瓦礫。

    混沌領域はますます不安定さを増していく。

    「さて、次はどの未来が訪れるか」

    アルティメットカジキマグロは直進する。

    しかし――

    「……っ!?」

    突然、ヒレが歪み、まるで紙のように破れた。
    バランスを崩した魚は、地面へ叩きつけられる。

    「今だ!」

    兵士が叫び、槍を構える。
    だが次の瞬間。

  • 1091◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 13:29:09

    魚体は虹色に光を放ち、ヒレが瞬時に修復された。

    「バフ……っ、またか!」

    槍の穂先は空を切り裂くだけだった。

    「ふふ……予測不可能、それこそ混沌」

    沌神は笑い、両腕を広げる。

    突進が再び迫る。
    速度は先ほどを上回り、光の矢のようだ。

    「ならばこちらも仕掛けよう」

    彼の足元から、影が滲み出す。
    それは網のように広がり、透明な檻を形作る。

    「捕縛か……!」

    兵士たちが目を見開いた。
    魚はその檻へ突入する。

    すると――

    速度は反転した。
    突進の勢いが逆流し、魚自身を吹き飛ばす。

  • 1101◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 13:29:23

    「ぐおおおっ!」

    巨体が領域の壁に叩きつけられた。
    虹色の鱗が散り、火花のように弾け飛ぶ。

    「混沌はお前を守り、同時に害する。抗えるか?」

    沌神の声は静かでありながら、挑発に満ちていた。

    しかし。

    魚は呻きながらも立ち上がる。
    その目に迷いはなく、ただ「突進」の本能だけが宿っている。

    「……まだ来るか」

    沌神は微笑む。

    そして虹色の巨体は、傷を抱えながらも再び走り出した。
    混沌と速度、二つの力が絡み合い、戦いはさらなる混乱へと突入していった。

  • 1111◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 13:34:19

    虹色の魚は止まらなかった。
    傷を負おうと、領域に翻弄されようと、その本能はただひとつ。

    「突進だ……」

    兵士の一人が震える声で呟く。

    次の瞬間、魚は再び走った。
    大地を抉り、瓦礫を吹き飛ばし、音を置き去りにして突撃する。

    「八つ裂きタックルッ!」

    叫び声のような音が戦場を震わせる。
    沌神は両手を広げ、領域をさらに歪ませた。

    「《プシュード・ベライヒ》――混沌の雨よ」

    空から降り注いだのは、炎か氷か、はたまた鋭利な光か。
    形を成さぬまま、ありとあらゆる力が魚を襲う。
    だが、そのすべてを突破して魚は突っ込んでくる。

    「ははは……良い、実に良い!」

    沌神の表情に余裕はあった。
    だが次の瞬間。

    魚の口吻が、彼の頬をかすめた。

  • 1121◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 13:34:47

    「っ……」

    赤黒い液体が一筋流れる。
    神ですら傷を負った。

    「ありえぬ、だが……愉快だ」

    沌神は笑いながら後退した。

    その背中が初めてわずかに揺れる。

    「神が……押されている……?」

    兵士たちは息を呑む。
    魚は止まらない。

    突進。
    突進。
    突進。

    その度に領域が軋み、地形が変わる。
    デバフで速度が落ちても、バフで回復し、再び走る。
    まるで混沌そのものが魚を味方しているかのようだった。

  • 1131◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 13:34:58

    「くく……なるほど、混沌は私にではなく、戦場そのものに微笑んでいるか」

    沌神の笑みがわずかに冷える。
    混沌は彼を楽しませるが、同時に公平でもある。
    彼自身が影響を免れないことは、最初から理解していた。
    だが今、魚の執念がそれを証明し始めていた。

    「――ならば、次で決める」

    沌神は胸に手を当てた。

    そこにあるのは、半月形のコア。
    それが脈打ち、領域がさらに荒れ狂う。

    「来い、アルティメットカジキマグロ」

    魚は吠えるように光を放つ。

    「八つ裂きタックル!」

    神と魚。
    突進と混沌。

    衝突の瞬間が迫っていた。

  • 1141◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 13:53:22

    閃光がぶつかり合った。

    突進と混沌の衝突。

    音も光も意味を失い、ただ破壊の余韻だけが残る。
    瓦礫が舞い、空が裂け、兵士たちは身を伏せた。

    「……終わった、のか?」

    砂煙の中、巨大な影が横たわっていた。

    アルティメットカジキマグロ。

    虹色の輝きは消え、鱗はただの銀色へと戻っていた。
    その口吻はなお鋭かったが、動かない。

    「勝ったのは……」

    兵士が恐る恐る顔を上げる

    そこに立つのは、傷だらけの沌神だった。
    頬の血は乾かず、衣は破れている。
    それでも彼は笑っていた。

    「愉快だ。混沌は私をも試す……そして私を選んだ」

    その声に震えが走る。

    戦場は静寂を取り戻し、ただ魚の亡骸が横たわるだけだった。

  • 1151◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 13:54:30

    「……で、どうするんだ? まさか捨てるのか?」

    兵士の一人が口を開いた。
    すると別の兵士が顔を赤らめ、声を震わせる。

    「ちょ、調理すれば……あの伝説の味が……」

    全員の腹がぐう、と鳴った。
    あまりに場違いな音に、一瞬だけ戦場が和む。

    「ふむ、勝者の権利か。混沌が許すならば――」

    沌神は片手を振り、魚の肉を切り分けた。
    虹色の光が再び走り、鮮やかな赤身が姿を現す。

    「……すごい……」

    香りが広がり、空腹を刺激する。
    皿に盛られた刺身は、光沢を帯びて揺らめいていた。

    兵士の一人が恐る恐る口に運ぶ。

    「――っ!? う、うまいっ!」

    彼の目が見開かれる。

    「とろける……のに、ぷりぷりしてる……!」

    「甘い……そして濃厚……!」

  • 1161◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 13:54:42

    「これは……思考が……飛ぶ……!」

    次々と兵士たちが箸を伸ばす。

    戦場に歓声が響き渡り、敗れた魚の威厳もどこか消え去った。
    沌神はただ微笑み、その光景を眺めていた。

    「混沌とは、戦いの中だけにあるものではない。生と死、秩序と破壊、そして……食卓にさえ宿る」

    彼の声は静かで、しかし確かに届いた。

    空はゆっくりと晴れ、瓦礫の街に陽光が差し込む。
    戦いは終わった。

    だが人々の記憶には、神と魚の狂宴が深く刻まれた。

    そして何より――

    「……もう一切れ」

    その声が証明していた。
    戦いの果てに残ったのは、混沌の勝利と、至高の味わいであった。

  • 1171◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 13:59:49

    以上

  • 118二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 14:02:18

    宴が始まった!

  • 119二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 14:05:45

    八つ裂きにされるぞ!逃げろ!
    もうなんかこれだけでおもろい

  • 1201◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 17:31:04

    題名『黒翼と精神の迷宮』

  • 1211◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 17:33:47

    夜の帳が街を包み込む。
    外灯の光は頼りなく、路地裏に潜む影を消すことはできない。雨の匂いがまだ石畳に残っており、湿った冷気が肌に絡みつく。

    黒鍔目 留姫は、風紀委員の腕章を夜風に揺らしながら歩いていた。
    真面目で律儀、その眼差しは鋭い刀と同じ。彼女にとって「規律を乱す者」は、街の隅に潜む闇と同義だった。だからこそ、今夜もこうして巡回を欠かさない。

    「……ここ、妙に静かだな」

    留姫は刀の柄に自然と手を添えた。
    予感は当たるものだ。彼女の耳に、不規則な吐息が届く。

    そこにいたのは、秋月 景――傭兵団に居候する青年。
    長い前髪に隠された目は眠たげで、だがその佇まいには異質な気配が漂っていた。彼の周囲の空気が揺らぎ、路地裏に見えない波紋が広がる。

    「おや……また真面目な顔をした人が来た。風紀委員さん、かな?」

    景は口の端を歪め、退屈そうに笑った。

    留姫は一歩踏み込み、冷徹な声で応じる。

    「君、ここで何をしている。こんな時間に、この区域は立入禁止のはずだ」

    「立入禁止?」

    景の声は低く、囁きのように脳裏に響いた。

    「へえ……そういう“ルール”の檻を、君は大事にしてるんだ」

    次の瞬間、留姫の心臓がわずかに跳ねた。
    言葉が脳髄を直接叩くように響き、景の存在がまるで精神そのものに侵食してくる。

  • 1221◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 17:34:16

    「……ッ!」

    留姫は刀を抜く。鋭い音が夜に響く。

    二人の間に走る緊張は、街全体を凍りつかせるようだった。
    規律を守る刃と、精神を喰らう影。
    運命の邂逅は、今ここで幕を開ける。

  • 1231◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 17:37:03

    路地裏の湿気が、息をするたびに肺へと重く沈む。
    留姫は刀を正眼に構え、視線を外さぬまま言った。

    「……これ以上の詮索は不要だな。規律を乱す存在、ここで排除する」

    刀身が月明かりを反射し、白銀の線を描いた。
    だが景は焦るどころか、退屈そうに片手をポケットに突っ込んだまま。

    「排除? ずいぶんと便利な言葉だね。君みたいな“真面目な子”が、そうやって刃を振るうと……世界の方が歪むんだ」

    囁きのような声が響くと同時に、留姫の足元に影が滲む。
    まるで路地そのものが呼吸を始めたかのように、闇が波紋を広げる。

    「……精神干渉か」

    留姫は瞬時に見抜き、刀を振り下ろす。
    空気を裂いた刃が影を散らすが、その刹那、耳に異様なざわめきが入り込む。

    「――誰も信じるな」

    「――君は孤独だ」

    「――刀なんて無力だ」

    声が頭の奥を叩き、理性を揺らす。
    だが留姫の瞳は、動じなかった。

    「安い挑発だ」

    彼女は足を一歩踏み込み、真っ直ぐに景へ突きを放つ。

  • 1241◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 17:37:22

    鋭い光が闇を切り裂く――だが、突きは寸前で止められた。
    景の指先が刃に触れた瞬間、音もなく空気が凍り付いたのだ。

    「……ほら、世界が止まった」

    景は愉快そうに笑い、刃を押し返した。

    「僕が少し囁くだけで、現実は簡単に揺らぐ。君の規律なんて、紙みたいに薄い」

    留姫の心臓が跳ねる。
    だが彼女は退かない。むしろ一層踏み込み、刀を振り抜いた。

    金属音が夜に響き、二人の間に火花が散る。
    力と精神がぶつかり合う――戦いは、すでに避けられない段階へ突入していた。

  • 1251◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 17:39:42

    「……しつこいな、あたしを真面目に相手取るなんざ、酔狂もいいとこだ」

    景は口元から紫煙を吐き、半ば退屈そうに呟いた。だがその瞳の奥は、鋭く光っている。

    留姫の翼が、夜気を裂いた。
    黒崩翼刃――翼は巨大な斧と化し、唸りを上げながら振り抜かれる。
    地面の石畳ごと抉り取るその一撃に、景は軽やかに身を翻し、ナイフを逆手に構えた。

    「おっと、危ねぇ危ねぇ……。でもさ、力任せってのは、案外わかりやすいんだよ」

    ナイフが火花を散らし、刃と刃がぶつかる。
    留姫は容赦なく翼を操り、縦横無尽に切り裂く。切っ先が壁を叩き割り、鉄骨をも粉砕するたび、周囲の闇が震えた。

    「規律を乱す者は斬る。ただそれだけだ」

    留姫の声音は冷えきっていた。
    しかし景の言葉が、その心の隙間に入り込む。

    「ホントかぁ? 君の本音は違うだろ。……ジャンキーなバーガーが食いたい、パンクな服で街を歩きたい、くだらねぇ恋愛マンガで笑いたい……全部、抑え込んでんじゃねぇの?」

    留姫の動きが、一瞬だけ鈍った。
    翼の軌道が逸れ、石畳に深々と突き刺さる。

    「……っ!」

    留姫は歯を食いしばる。
    心を読まれた羞恥と怒りが、刃に宿る。

  • 1261◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 17:48:52

    だがその隙を景は逃さない。
    銃声が夜を裂き、弾丸が翼の付け根をかすめた。

    「ほら、抑圧は隙になる。心を偽る奴は、すぐに壊れるんだよ」

    留姫は息を荒げ、視線を鋭くした。

    「……余計なことを……!」

    翼を強引に引き抜き、次の斬撃に力を込める。

    刃と精神がぶつかり合うたび、夜の街は軋む。
    景の言葉が心を揺らし、留姫の斧翼がそれを打ち払う――まさに、影と刃の応酬。

    勝敗の行方は、まだ誰にもわからなかった。

  • 1271◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 17:50:08

    「ふぅ……やっと本気出す気になったか?」

    景は呟き、タバコの火をくゆらせる。
    暗がりの中で揺れる煙が、まるで留姫の視界を侵食するかのように漂った。

    留姫は翼を広げ、空中で体勢を整える。
    高速で旋回しながら斬撃を放つ――だが、景の指先が空気を撫でるだけで、その軌道は狂わされた。

    「……っ! 精神干渉……!」

    影のような揺らぎが、留姫の意識に絡みつく。
    思考が断続的に消え、記憶の一部が霧の中へ引きずり込まれる。

    「……くっ、こんな……!」

    彼女の翼が振るう刃が、無意味に空を裂く。

    「規律、守りたいのはわかるけどさ……君のルールは、俺の世界じゃただの紙切れ」

    景はゆったりと構え、手首の動き一つで空間に微細な歪みを作り出す。

    「見えない檻の中で、君は自分を縛る。心も翼も、全部ね」

    留姫の瞳が揺れる。
    怒りと焦りが混ざり、魔力の流れが不安定になる。
    切り裂いた翼先から漏れた魔力が、無秩序に空間へ放たれる。
    それを景は笑いながら操る。

  • 1281◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 17:54:39

    「ほら、君の力、全部こっちに流れてる」

    瞬間、刃の一振りが虚空に刺さったまま止まる。
    景の言葉が頭の奥で反響し、肉体の動きまで侵す。

    「……負けるもんか!」

    留姫は歯を食いしばり、内なる怒りを力に変える。
    翼を一気に展開させ、全力で旋回斬撃を放った。
    その軌道は、景の干渉を切り裂くように、夜の路地を裂ける光の線となった。

    景の笑みがわずかに歪む。

    「ほう……やっと戦う気になったね。でも、この檻からは出られないよ」

    影と刃、精神と魔力――二人の戦いは、さらに深い迷宮へと突入した。

  • 1291◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 17:58:01

    雨の残る路地が、二人の戦いの衝撃で振動する。
    留姫の翼が夜気を切り裂き、斬撃は壁も地面も容赦なく砕いた。
    だが景の存在は、まるで影そのもの――刃を避けるどころか、空間を自在にねじ曲げ、留姫の意識まで揺さぶる。

    「……もう、限界か……?」

    留姫の呼吸は荒く、翼の動きもわずかに鈍る。
    しかしその目は冷徹で、焦りに塗れることはない。

    「いや……まだ、終わらせはしない」

    景は笑い、ナイフを翻しながら後退する。

    「ふぅ……楽しいね。君の力と心が、完全に絡み合ってくる瞬間が一番面白い」

    煙が揺れ、雨に濡れた空気が二人を包む。

    留姫は翼を広げ、刃を振るう。
    黒崩翼刃が放つ斬撃は、魔力の流れを無理やり暴発させ、景を追い詰める。
    だが景は容易に動揺しない。精神の主――彼女の力は、留姫の意識そのものに入り込み、攻撃を読み、先手を打つ。

    「……くっ!」

    留姫の斬撃が虚空を裂く。だが景は微笑み、瞬間、留姫の脳裏に幻影を映し出す。
    幼き日の屈辱、親の過剰な期待、そして街で抑え込んできた本当の感情――

    「……こんなの……!」

    一瞬でも心が揺れた隙をつかれ、留姫の翼の刃先がわずかに狂う。

  • 1301◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 17:58:17

    「ほら、見える? 本当の君は、羽根だけじゃ守れない」

    景の言葉が夜に溶け、留姫の神経を蝕む。
    しかし、彼女は呼吸を整え、内なる怒りを刃に宿す。

    「……貴様の干渉も、これで終わりだ!」

    翼が軌道を変え、斬撃が景に迫る――極限の戦いは、ついに決着の一歩手前まで達していた。

  • 1311◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 17:59:29

    「……ふぅ、そろそろ終わりにするか」

    景は微笑みながら、ナイフを片手に構えた。
    夜の路地は二人の戦いの跡で荒れ、瓦礫と雨水が混ざり合う。

    留姫は翼を広げ、最後の斬撃に力を込める。
    黒崩翼刃が振るわれ、夜空を裂き、雨をも切り裂く。

    「……これで……終わらせる!」

    だが景は動じない。
    彼女の瞳に潜む遊び心が、留姫の動きを完全に読み切っていた。
    指先で微妙に空気を撫でるだけで、留姫の刃の軌道がわずかに逸れる。

    「……ちっ」

    留姫は息を荒げ、翼を急停止させる。刃は相手に届かない。
    景は口元で煙草をくわえ、くすくすと笑った。

    「これで十分だね、君の全力、見せてもらったよ」

    そして静かに手を翳すと、留姫の意識に触れ、戦闘の記憶をそっと撫で消した。

    「……え?」

    目の前の景の姿はそのまま、だが戦いの記憶は、まるで霧のように消え去る。

    留姫は混乱のまま、翼を畳む。

  • 1321◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 18:00:24

    「……覚えて……いない……?」

    「覚える必要はないさ。君の規律も、怒りも、全部今日の思い出として霧散さ」

    景は笑みを浮かべ、夜風に溶けるように後ずさる。

    「……楽しませてもらったよ。じゃあ、あたしはこれで」

    煙草を吸いながら、景は軽やかに闇へ消える。

    留姫は路地に一人立ち、深く息をつく。
    翼の感触はまだ残るが、戦いの痕跡は記憶から消え去った。
    心のどこかに、薄い違和感だけが残る――まるで夢の続きを忘れたように。

    夜は再び静かになり、雨は小降りになった。
    戦いは終わった。勝者は、精神の主――秋月 景。
    だがその姿は、街の闇に溶け、次にどこで誰と出会うのか、誰にもわからない。

  • 1331◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 18:00:35

    以上

  • 134二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 18:06:40

    よかった
    一人称がコロコロ変わるってのもかっこいいもんだな

  • 135二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 18:14:08

    これが俗に言う満足ENDか…

  • 1361◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 21:06:10

    題名『水死体と開かれた扉』

  • 1371◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 21:14:34

    深夜の街外れ、砂埃が舞う路地を歩く大男――TOW賊。
    髭面にアラビア風の衣装、腰には曲剣。略奪者として名を馳せた男の足取りは、闇夜に紛れた猫のように静かだった。

    その足元、ぽつんと異様な建物があった。
    ガラス越しに淡く青い光が揺れる。看板には「人間水族館」と書かれている。
    好奇心と、ほんの少しの略奪欲が彼を誘った。

    「……ふん、妙な名だが、珍しいモンは盗って損はねぇな」

    扉を押すと、乾いたギシギシという音と共に冷気が襲う。
    中に足を踏み入れた瞬間、館内放送が静かに響いた。

    『TOW賊様、当水族館にご来場いただきありがとうございます♪
    ぜひ人生最後の日をお楽しみください』

    TOW賊は眉をひそめる。

    「……面白ぇ。……俺を楽しませる気か」

    館内は暗く、水槽が無数に並ぶ。
    どの水槽にも人間の死体が浮かんでおり、まるで生ける展示のように静かだ。
    TOW賊の腹の扉が、無意識に小さく開く。
    中から小さな人影が生まれ、男の意思を待たずに視界の端から館内を確認する。
    だが、ここはただの水槽の暗がり。動き出す気配はない――と思った瞬間、冷たい視線が全身を貫いた。

    ――ポルターガイスト。

    水族館の展示物が、微かに浮き上がり、静かに動き出す。
    小物程度の動きだが、TOW賊の神経は研ぎ澄まされる。

  • 1381◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 21:15:54

    「……ああ、なるほどな。手は小せぇが、侮れねぇ」

    そして、水槽の奥で人影がゆらりと浮き上がる。
    TOW賊は瞬時に判断する。

    「こいつ……水死体を操るな。強えぇぞ……!」

    子分たちが腹部の扉から次々と現れるが、TOW賊は一瞬足を止める。
    この戦いでは人海戦術は使えない。ひとりひとりがやられるたび、腹に衝撃が走る――嘔吐必至の痛みが。

    「……仕方ねぇ、一人ずつだ。慎重にな……」

    TOW賊と人間水族館――
    人間の生と死の狭間で繰り広げられる、奇妙で危険な戦いが今、始まろうとしていた。

  • 1391◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 21:23:30

    TOW賊の足元で、水槽の水面が微かに波打つ。
    次の瞬間、ゆらりと死体が浮かび上がった。
    その動きは鈍く、だが重く、確実に迫ってくる。

    「……こいつら、遅せぇが、数で押す気か」

    腹の扉から子分を出す。
    一人、また一人――指示を送るたびに、視覚と感覚が脳に流れ込み、まるで複数の目を持ったかのような感覚。
    だが、TOW賊は冷静だ。

    「一体ずつだ……まともにぶつかるな、距離を取れ」

    子分たちは館内の通路に散り、死体たちを観察しながら待機。
    水槽の中の死体たちも反応する。静かに、だが確実に。

    TOW賊は一歩踏み出すと、館内の照明が揺れるように光が反射し、微かに影が伸びた。
    その影の端から、水死体の腕が突然伸び、子分の一体を捕らえる。

    「うわっ!」

    小さな悲鳴とともに子分が吹き飛ばされ、腹に衝撃が走る。

    「……ぐっ、くそっ!」

    しかしTOW賊は動揺を見せず、即座に指示を変える。

    「残りは左右に分かれろ!一斉に接近するな!」

    水死体は鈍い動きながらも確実に前進してくる。
    TOW賊は腰の剣を抜き、斬撃で死体を削ぐように斬る。

  • 1401◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 21:27:19

    一体ずつ、確実に処理する。だが、腹に衝撃は容赦なく襲い、微かに顔をしかめる。

    「……ああ、こいつは……一体ずつしか相手できねぇ……」

    子分を守りつつ、慎重に進むTOW賊。
    館内アナウンスが再び響く。

    『TOW賊様、順調なご見学ですね♪次の展示はいかがなさいますか?』

    「……うるせぇ!」

    苛立ちと焦燥が交錯する。だが、冷静さを失えば、腹の衝撃はさらに堪える。

    館内には水槽の光が反射し、死体の影が不気味に揺れる。
    TOW賊は剣を構え、子分たちの配置を微調整しながら、次の動きを読もうとする。

    水死体が鈍くも規則正しく前進する――まるで館全体が意思を持って動いているかのように。
    TOW賊はゆっくりと歩みを進める。

  • 1411◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 21:27:34

    「……相手の能力は水槽の死体と館の制御……くそ、動かせる小物だけか……」

    その瞬間、床の上に置かれた小さな展示物が、微かに浮き上がり、TOW賊の足元に転がる。

    「……くっ、小物まで動かすか……」

    小さな罠が館内に散らされていることに気付く。

    TOW賊は子分たちに指示を出し、障害物を除けつつ水死体に接近。
    だが、一体が斬られるごとに腹に衝撃が走る。

    「……ちっ、痛ぇ……だが、引けねぇ!」

    館内は静まり返り、光と影の迷宮。
    TOW賊と人間水族館――互いに死角を狙い合う、慎重な戦いが続く。

  • 1421◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 21:30:21

    館内の薄暗い通路を、TOW賊は静かに進む。
    水槽の青白い光が、彼の影を壁に長く伸ばす。
    腹部の扉から出した子分たちは周囲を警戒しつつも、TOW賊の意識と視覚を共有しているため、微細な動きも即座に伝わる。

    「……まずは奴らのペースを崩す」

    TOW賊は剣先で壁の小物を斬り、床に転がす。
    その瞬間、水族館の仕掛けが反応し、微かに動いた小物が子分の足元に飛びかかる。
    だが、子分たちは一瞬で避け、死体の動きに合わせてTOW賊の指示が飛ぶ。

    水槽の中の死体が、ゆらりと腕を伸ばす。
    鈍い動きだが、その重量と連携は侮れない。
    TOW賊は剣で斬りつけるが、腹に衝撃が走る――子分が一体やられたのだ。

    「……くそっ、順番か……」

    苦痛を押し殺しつつ、TOW賊は冷静さを保つ。
    腹に衝撃が一発ずつ叩き込まれる感覚を噛みしめながら、戦略を練る。

    「……よし、子分を囮にしつつ俺が間合いを詰める」

    子分たちが館内を左右に散らばり、死体たちの注意を引く。
    その隙にTOW賊自身が水槽に近づく。
    視界の端で、微細に揺れる水面が彼を警告する。
    水死体触れ合いコーナー――この範囲に入れば、死体たちが自由に操られる。

    「……ここでしか戦えねぇのか……」

    TOW賊は剣を構え、子分たちを指揮しながら慎重に前進。

  • 1431◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 21:30:32

    水槽の死体が鈍くも確実に接近し、子分を捕らえようと腕を伸ばす。

    TOW賊は空いた手で小物を掴み投げ、死体の進行を遅らせる。
    次の瞬間、子分が死体に接触、悲鳴とともに吹き飛ぶ。
    腹に衝撃が走る。

    「……まだだ、まだ終わらねぇ!」

    TOW賊は剣を振り、鈍重な死体を次々と削ぐ。
    だが、館内の制御された空間は、彼に有利なだけではない。
    小物が無数に配置され、水槽の奥から死体が次々と顔を出す。
    アナウンスが不気味に響く。

    『順調なご見学ですね♪次の展示はいかがなさいますか?』

    「……うるせぇ、黙れ!」

    怒声を上げ、TOW賊は腹の痛みに耐えつつ子分に指示を飛ばす。

    「後退しつつ右から挟め!俺は正面を押さえる!」

    水死体たちは鈍くも確実に反応し、TOW賊の指示と館のトラップが入り乱れる。
    視覚と感覚を共有する子分たちが、一体ずつ斬られるたびに衝撃が走る。
    だがTOW賊は一歩も引かない。

    「……ここで退いたら、全部終わる……!」

    光と影、冷気と死の匂い。
    TOW賊と人間水族館――互いに相手のペースを探り合う中、戦いはさらに苛烈さを増していく。

  • 1441◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 21:31:23

    館内の水槽が青白く光り、死体たちの影がゆらりと揺れる。
    TOW賊は腹の衝撃を押さえつつ、一瞬の閃きを得た。

    「……そうか、奴は水死体にしか本気で攻撃させねぇ……ならば利用するだけだ!」

    子分を前面に出し、敢えて死体の注意を引く。
    鈍重な腕が襲いかかるが、子分たちは巧みにかわし、逆に死体の間合いを狭める。
    TOW賊の頭脳は全ての動きを瞬時に解析し、最も安全なルートを指示する。

    「右壁際に寄せろ、左から挟み込め!俺は制御室に向かう!」

    水死体たちが集中的に子分に襲いかかる。
    そのたびに腹に衝撃が走るが、TOW賊は苦痛を押し殺す。

    「……ふっ、痛みごときに負ける俺じゃねぇ!」

    彼は館内奥、制御室へと静かに進む。
    子分たちが囮となり、死体を引きつける。
    制御室の扉が見えた瞬間、TOW賊は力を込めて剣で一撃を加える。

    ガチャン――

    制御室が破壊され、水族館全体の動きが鈍る。
    水死体はもはやまともに動かず、鈍重なまま浮かぶだけ。

    「……これで形勢逆転だな」

    TOW賊は笑みを浮かべ、子分たちを呼び戻す。

    「全員、集まれ。まとめて片付けるぞ」

  • 1451◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 21:31:37

    子分たちは一斉に死体に斬りかかり、重力の鈍い動きに惑わされることなく次々と制圧。
    TOW賊も自ら剣を振り、残った水死体を確実に排除する。
    腹の衝撃は何発も残っていたが、全ての動きを統率する男の意志は揺らがなかった。

    館内の光が落ち、水槽の死体は再び静まり返る。
    TOW賊は深く息をつき、子分を引き上げる。

    「……面白ぇ、だが、油断はできねぇな」

    館内のアナウンスも途絶え、静寂が支配する。
    TOW賊は砂埃まじりの夜風を浴びるように、勝利の余韻を噛みしめた。

    人間水族館――その異様な存在は、一時的に沈黙した。
    だがTOW賊は知っていた。
    あの館は、再び誰かを誘い込み、死と恐怖を操ろうとするだろう、と。

    「さて……次はどこを略奪してやろうかな」

    髭面の大男は夜の街へと消えていった。

  • 1461◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 21:31:52

    以上

  • 147二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 21:35:30

    TOW賊がかっこよかった!

  • 148二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 21:38:43

    怪異は終わらない……

  • 149二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 22:41:13

    TOW賊の方!対戦ありがとうございました!
    終わりが無いのが終わり…それが人間水族館…

  • 1501◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 22:56:01

    題名『狂気の一本道』

  • 1511◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 23:03:52

    一本道の異界――。
    赤と黒の空が渦を巻き、地面はカード模様に歪み、狂気じみた声が響く。

    「ようこそ♪ アリスの夢の国へ!」

    少女の声。だが無邪気すぎて狂っている。
    目の前に現れたアリスは笑顔で手を叩くと、空からギロチンが降り、次の瞬間にはトランプ兵が槍を構えて並んでいた。

    そこに現れる、影のような存在――【大怨霊】マツ。
    無数の孤独な少女の声が重なり合う。

    「……さびしいの……あたなを、こちらに……」

    アリスが首を傾げる。

    「ふぅん? お客さん? じゃあ遊ぼっか! ギロチン処刑ぁー!」

    上空から巨大な刃が落ちる。
    だがその瞬間、マツの呪いが滲み出す。
    視覚・聴覚・嗅覚……アリスの五感に憑りつくように、怨霊の気配が染み込む。
    アリスは一瞬手を止める。

    「ねぇ……なんでずっとこっちを見てるの?」

    無邪気な笑みの裏に、不安と苛立ちが混じる。

    異界の奥から、声が響いた。

    「アリスの夢の国を壊さないでくれ……放っておいてくれ……」

  • 1521◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 23:04:12

    それは老人の呻き。異界を生み出した執念の声だった。

    マツの祟りは止まらない。

    「……あなたを意識して……あなたもこちらへ……」

    アリスの頬が微かに赤らむ。熱でも出たかのように身体が蝕まれ始める。
    しかし――。

    「……あはっ、これも遊び? じゃあもっと楽しくしなきゃ♪」

    アリスが両手を広げた瞬間、背後の空気が裂ける。
    現れるのは、最初の“災厄”。

    ジャバウォック。
    異形の巨獣、ただの暴力の化身。

    老人の声が響く。

    「去れ……これ以上アリスに近づくな……」

    アリスはくるくると回りながら無邪気に笑う。

    「ねぇねぇ、どっちが先に死んじゃうかなぁ?」

    祟りで蝕む大怨霊マツ。
    遊戯と狂気で殺すアリス。
    そして背後には、四つの災厄。

    一本道の異界で――悪夢同士の対決が始まった。

  • 1531◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 23:06:59

    アリスの目が輝く。

    「よーし、じゃあジャバウォック出してあげる♪」

    背後の闇が裂け、巨大な異形――ジャバウォックが姿を現す。
    長い首、鋭い牙、ひび割れた鱗。単純に、圧倒的に強い。
    アリスは無邪気に手を振るだけで、ジャバウォックは躊躇なく前方に突進する。

    マツはその巨獣を視覚の端で捉えながら、淡々と侵食を続ける。

    「……あなたに寄り添う……あなたもこちらへ……」

    アリスの耳に、体に、僅かに痺れるような感覚が広がる。
    身体が熱く、重く、思考がぼんやりとしてくる。

    しかしアリスは笑いを止めない。

    「ふふっ……くすぐったいの♪ でももっと遊ぼう!」

    災厄のジャバウォックは突進を続ける。
    マツはその隙に、アリスの五感を巧みに操作して周囲の恐怖を増幅させる。

    「……こわい? ねぇ、怖いの?」

    アリスは瞬間、動きを止める。
    だが老人の声が間に入る。

    「アリス……楽しませてやれ……だが、壊さぬで……」

    アリスは一瞬だけ躊躇する。災厄はそのまま突進し続ける。

  • 1541◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 23:07:17

    マツはチャンスを見逃さない。
    アリスの心と身体にじわじわと祟りが侵食し、わずかに行動が鈍る。

    「……へぇ、なるほど……意識してるだけでこんなに効くんだ」

    無邪気な声に混じる、どこか好奇心の影。

    ジャバウォックがアリスの前に立ちはだかり、巨大な爪を振り下ろす。

    「わぁっ! ちょっと痛いじゃない!」

    アリスは転がりながらも、すぐに復帰。

    「ふふっ……まだまだ遊べるよ!」

    一本道の異界は、進むたびに変化する。
    床が歪み、壁が伸び、天井からギロチンが降る――すべてアリスの気まぐれ。
    マツはその中で五感を侵食しつつ、じわじわと体力と精神力を削る。

    だがアリスは気まぐれゆえ、攻撃のタイミングが一定でなく、時折褒めたり注意をそらしたりすると攻撃が中断される。

  • 1551◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 23:09:09

    「うふふ、褒めてくれると楽しくなっちゃう♪」

    マツは異界の特性を理解する。

    四つの災厄は同時に出ない

    褒めると攻撃が中断される

    異界の奥には少女の白骨がある

    この情報を手掛かりに、マツは慎重に祟りと攻撃を組み合わせる。

    一本道の異界――狂気と怨霊の力がぶつかり合い、戦況は混沌を極めていた。

  • 1561◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 23:11:58

    「さて、次は……バンダースナッチ!」

    空間が歪み、途轍もなく素早い魔物が一瞬だけ現れる。
    一分間だけ現れるその猛スピードに、アリスは歓声をあげる。

    「ほらほら、捕まえられるかなぁ?」

    一本道の通路を縦横無尽に駆け回るバンダースナッチに、マツも追跡を強いられる。

    だが、マツは冷静だ。

    「……あなたに寄り添う……あなたもこちらへ……」

    五感の侵食を巧みに操作し、バンダースナッチの軌道を意識させる。
    異界の速度と錯覚が重なり、アリスは思わず一瞬躊躇する。

    「おやおや、ちょっと手が止まった?」

    アリスの無邪気な声が響く。
    老人の声も重なる。

    「アリス……楽しませてやれ……でも……壊さぬで……」

    その声にアリスはふと動きを緩める。バンダースナッチは消える瞬間、攻撃の手が一瞬止まった。

    次に現れるのは、見てはいけないというブージャム。
    影のような存在がゆらりと現れ、見た者の理性を侵す。
    アリスは目を輝かせ、狂気の笑みを浮かべる。

    「ふふふ……見ちゃったのね?」

  • 1571◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 23:14:10

    その姿は直接的な攻撃ではないが、精神的圧迫は凄まじい。

    マツはそれでも怯まない。
    祟りを絶やさず、アリスの五感にじわじわと侵食を続ける。

    「……あなたもこちらへ……」

    アリスの動作がわずかに鈍る。痛みではなく、奇妙な違和感が心をかすめる。

    最後の災厄――スナーク。
    その正体は、マツの最も殺したくない存在に化ける。
    アリスは楽しそうにスナークを見つめ、腕を振る。
    だがマツは冷静に、五感侵食でアリスの意識を乱す。

    「ねぇ……どうやって壊すのかなぁ?」

    アリスは無邪気に訊ねるが、その言葉の裏で僅かに動きが鈍る。

    一本道の異界は、狂気と怨霊の応酬で渦巻く。
    アリスは災厄を順に出し、狂気の遊戯を繰り広げる。
    マツは五感侵食でじわじわとアリスを蝕む。
    老人の声は合間に干渉し、攻撃のタイミングをずらす。

    「アリスの夢の国を壊さないでくれ……放っておいてくれ……」

    老人の嘆きと警告が、少女の狂気をかすかに止める。
    しかし、異界はまだ終わらない。
    一本道の先、奥にある白骨の少女が光を微かに放つ――異界の核。

    アリスとマツ――狂気と怨霊、無邪気と憂鬱がぶつかる戦いは、いま最高潮に達しつつあった。

  • 1581◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 23:22:15

    異界の一本道は、いつになく静まり返っていた。
    赤黒く歪んだ空、ゆらめく床、狂気じみた声――すべてが最終局面を告げる。

    「さて……奥に進むのね?」

    アリスは無邪気に微笑む。だがその笑顔は、狂気と残虐さで歪んでいた。

    「もうすぐ終わるのかなぁ……ふふっ」

    マツは一歩一歩慎重に進む。五感侵食の力を最大限に活かし、アリスの意識を揺さぶる。

    「……あなたもこちらへ……」

    アリスの体がわずかに揺れ、手がギロチンを止める瞬間があった。

    しかしアリスは核の前で立ち止まる。白骨の少女――異界の核。

    「アリスの夢の国を壊さないでくれ……放っておいてくれ……」

    老人の声が必死に訴える。アリスの無邪気な手は一瞬止まったが、笑顔は消えない。

    「ねぇ、見てて……最後の遊びだよ♪」

    アリスが手を振ると、四つの災厄が連鎖的に姿を現す。
    ジャバウォック、バンダースナッチ、ブージャム、スナーク――
    一本道に蠢くそれぞれの異形は、狂気じみた圧力で空間を満たす。

    マツは全てを意識しつつも冷静だ。
    五感侵食と祟りを駆使し、災厄の隙間を縫って進む。

  • 1591◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 23:23:42

    「……あなたに寄り添う……」

    アリスの視界、聴覚、嗅覚にじわじわと侵食を重ねる。

    スナークの幻影が、マツにとって最も恐ろしい存在に化けて襲いかかる。
    だがマツは恐れない。心の底で怨霊の力を集中させ、幻影を切り裂く。
    バンダースナッチも、ジャバウォックも、ブージャムも――マツの五感侵食の策略により、動きが鈍る。

    「もう……いいのかな?」

    アリスは疑問げに、核を見つめる。
    老人の声が震える。

    「アリス……楽しませてやれ……だが……壊さぬで……」

    マツは一気に核に接近。
    五感の侵食を最大限に強め、アリスの注意を散らす。
    そして、核に触れる――

    白骨の少女が砕ける光が走る。
    異界は揺らぎ、狂気じみた空間が崩れ始める。
    アリスは泣き笑いを浮かべ、災厄たちは消滅。

    「……もう……終わり……?」

    老人の声も小さく消えていく。
    異界は跡形もなく消え去り、一本道はもはや存在しない。
    マツは静かに立ち尽くす。五感侵食の力を解き、深く息をつく。

    アリス――幸福/不幸な少女の遊び場は、ついに終焉を迎えた。

  • 1601◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 23:25:09

    異界の光が消え、静寂が戻った。
    赤黒く歪んだ空も、うねる床も、狂気じみた声も、すべて消え失せていた。

    マツは深く息をつく。

    「……終わったのか……」

    五感を侵食していた力も解き放たれ、身体にかすかな疲労が残る。
    しかし心に残る感覚――狂気、無邪気さ、残虐さ――は簡単には消えなかった。

    白骨の少女――アリスの核――はもう存在せず、異界を支配していた老人の声も途絶えた。
    それでも、ほんの僅かな残響が残る。

    「……アリス……楽しんでいたのか、それとも……」

    マツは静かに呟く。

    周囲の一本道は、もはや普通の暗闇の通路に戻っている。
    狂気の遊び場は消え去ったが、マツの心にはまだ影が残る。
    孤独と狂気、無邪気さと残虐さ――それらが重なり合った奇妙な余韻だ。

    「……これで、もう誰も犠牲にはならない……」

    マツは心の中で、アリスの存在と老人の執念に別れを告げる。
    そして静かに歩き出す。
    先ほどまでの異界の痕跡は何も残らない。
    ただ、記憶の中だけに、幸福と不幸の少女の遊びが刻まれている。

  • 1611◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 23:27:38

    異界は終わった。
    だが、狂気の残像は、マツの心に深く刻まれたまま。
    それは、次に訪れる者への警告のようにも思えた。

    「……もう二度と、同じ遊びに巻き込まれる者がいませんように……」

    静かな夜の闇に、マツの呟きだけが響いた。
    そして、異界の消滅とともに、幸福/不幸なアリスの狂気の遊戯は完全に幕を閉じた。

  • 1621◆ZEeB1LlpgE25/09/03(水) 23:27:50

    以上

  • 163二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 23:28:05

    良かった!

  • 164二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 23:28:34

    マツもあの狂った異界は流石になんとかしたくなったのか

  • 165二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 07:50:04

    保守

  • 166二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 17:08:10

    保守

  • 167二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 17:52:53

    保守

  • 1681◆ZEeB1LlpgE25/09/04(木) 21:17:03

    https://writening.net/page?aF3WUB


    22:15から安価10個募集

  • 169二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:23:07

    セリフに具体的な指示を入れるとそればっかになっちゃうのかなぁ

  • 1701◆ZEeB1LlpgE25/09/04(木) 22:15:00

    名前:セレナ・アステル
    年齢:25歳
    性別:女性
    種族:人間
    本人概要:
    ルミエールの姉にして、聖王国の第一王女。幼少期から「国を守る器」として厳しく育てられ、政治・軍事両面に長ける。冷静沈着で「氷の姫君」と呼ばれるが、内心は弟ルミエールに対して異常なまでに庇護欲と執着を抱くブラコン。
    「ルミエールを守る」という一点だけで己を突き動かし、時に国政よりも弟を優先してしまうこともある。
    能力:星環の裁定
    能力概要:
    【新月】存在を隠蔽し、敵の感知をすり抜ける。
    【上弦】月光を刃として飛ばし、鋭い斬撃を繰り出す。
    【満月】広範囲の治癒・浄化を展開し、呪いや毒を消し去る。
    【下弦】精神に干渉し、敵の感情や闘志を鈍らせる。
    弱点:
    満月の展開中は他の能力を使えない。
    割と能力依存なため身体能力は別に高くない。
    それぞれの能力を使用する際月が展開され、それを破壊されると一時的に能力が使用できなくなる

  • 171二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:15:00

    名前:【赤子喰い】クエント
    年齢:37歳
    性別:雄
    種族:オーガ
    本人概要:
    無限の食欲と強靭な消化器官を持ち、「喰えば喰うほどに筋力と耐久力が上昇する」という特異体質を持ったオーガ。
    食べた獲物の「現状の強さまたは潜在能力が高い程に筋力と耐久力が上昇する」ため、より強い獲物を喰らって強くなり、その力を糧に更なる強き獲物を追い求める。
    「より強くなりより多くの獲物を食べる」。それだけが全ての価値観。
    過去に手当たり次第に女性を攫っては交わって子を設け、産ませた赤子を30人以上も喰いまくった。
    赤子はクエントの子供であることから潜在能力が非常に高かったため、その赤子を大量に捕食したことで筋力と耐久力も爆発的に上昇している。
    それ故に【赤子喰い】の異名を持つ。
    能力:≪喰鬼≫
    能力概要:
    どんなものも噛み砕き消化することが出来る。
    ただそれだけの能力だが、「喰えば喰うほどに筋力と耐久力が上昇する」という特異体質と合わさった結果、まるで化け物のような強さへと昇華された。
    その能力を最大限活用するため、正面から獲物に突進し、噛み砕いて捕食する豪快な戦法を好む。
    弱点:
    常に飢餓に苛まれているため罠や欺瞞に対する警戒心が薄く、知略的な戦法に弱い。
    飢餓感を紛らわせるために自身の腕や脚に幾度となく繰返した噛み傷があり、その部分は脆くなっている。
    消化器官は強靭だが食欲と違って容量は無限ではないため、相手の攻撃や瓦礫などを喰い続けて容量オーバーになる危険がある。

  • 172二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:15:00

    名前:堕落の主・ルピナス
    年齢:1100以上
    性別:女
    種族:悪魔
    本人概要:薄紫色のふわふわとした長髪と歪曲した二本角をもつ愛らしい少女の見た目をした悪魔。ヒトの可能性を対価に願いを叶える能力を持つ。これまで数多の人々の願いを叶えた結果、無限の可能性を内包する大悪魔となった。
    人間など他種族へは友好的ではあるものの、向ける感情は他者への親愛博愛というよりも愛玩動物へ向ける感情に近い。

    能力:甘美なる結実/強欲への誘い
    能力概要 甘美なる結実:その者の身の丈に合った願いを際限なく叶える能力。対価としてその者の持つ可能性を奪う。可能性を奪われ続けた者はルピナスへ依存し、自ら望んでルピナスの奴隷となる。奴隷たちはルピナスを支えるために力を願い、ルピナスはそれに応じ願いを叶えて、力を授け傷を癒す。願いによって強化された奴隷たちは不死身の如き軍勢といっても差し支えなく、戦いにおいてもよく用いられる。
    願いの対価として奪った人々の可能性は彼女に蓄積され、彼女に絶大な力と進化の可能性を齎す。
    戦いにおいては、願いを叶える能力は自身を対象に使用することもある。その場合、"身の丈に合った願い"という制約は撤回される。"制約無く願いを叶える力"と取り込んだ無数の可能性を組み合わせることで、あらゆる願いを叶えどんな状況にも適応できる万能の存在となる。一方で非常に強力だが対価としてその身に蓄積された可能性をいくらか消費する。

    強欲への誘い:ルピナスが放つ独特の雰囲気。ルピナスの姿を見た者は欲望が暴走し、願いへの歯止めが効かなくなる。戦いにおいても厄介に作用し、荒ぶる欲望は集中を乱し、精神を蝕んでいく。
    弱点:上品なドレスに包まれた胸元に埋め込まれた薄紫色の小さな宝石が弱点、悪魔の心臓である核。破壊されると致命傷。
    ・莫大な魔力量と万能な能力は非常に強力だが戦闘技能ではやや劣る技能面は優秀な奴隷たちに任せがち。
    要望(任意):口調はおっとりとした感じ。戦闘時は奴隷軍同伴でお願いします。

  • 173二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:15:01

    名前:レギオンシリーズTYPE-E 3016番
    年齢:1
    性別:女
    種族:改造人間
    本人概要:バイオパンク社から防衛隊に売り込み中の異能保持クローン兵器の一体であり人工感情生成技術が誕生した目的 性格及び感情は均一化されており感情パルス入力がない限りは希薄な性格で濃縮虚砂を脳に直接注入されているからか寿命が短く目の色が異常 ちなみにエージェントとの違いはエージェントが外部から自主的に集まったのに対しこいつらは拉致ったり買ったりしてクローンしてる たぶんルドラあたりだろう あと見た目は幼女だが身体改造により高い身体能力を得ているので身体能力面では鍛えた人間と変わらない
    能力:感情エネルギー
    能力概要:感情エネルギーを色々運用する能力 エネルギー弾として飛ばしたり防御や回復に使ったりと応用性に富んだかなり万能な力 本来であれば出力が安定せず戦闘では使えない力だが製造時に虚砂を使い自我を破壊しておいて付近の電波塔などの通信設備から感情パルスを受け取らせることによって出力を強化・安定させている ちなみに防衛隊に採用されたら防衛隊の蒼穹環とかを利用するらしい
    弱点:感情パルスを受け取るためのインプラントが存在し感情をエネルギーへと変換するための器官でもある脳が破壊されると能力が使えなくなり治癒ができず死ぬ 体内のエネルギー伝達用ケーブルを破壊されるとその部分から先ではエネルギーが使えなくなるしその部分からエネルギーが漏れ出すことで全体的な出力も落ちる(再生には5分ほどかかる もちろん戦闘中に再生はできない)
    使用する感情の切り替えにはタイムラグがあり切り替えて5秒ほどは出力が落ちる
    要望(任意):状況に合わせて感情がコロコロ切り替わる 0か100しか無い

  • 174二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:15:01

    名前:守護者(雨宮 豪)
    年齢:30
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:高柳 澪(たかやなぎ みお)を警戒した【適応者】が雇った山桐家の護衛兼門番
    義理人情を大事にしており 雇った相手が善人であるのならば何がなんでも守護すると決めており精神も高潔
    あの悪名高い屍山血河の襲撃を耐えきり撤退まで追い込んだ武勇伝持ちでもある
    容姿はスーツを着たムキムキのヤクザみたいな感じで 不壊の大剣を装備している
    能力:守護
    能力概要:あらゆるものを守護する力
    自分が守ると決めた対象への攻撃を全て肩代わりするもので対象は人物、家、一族、概念と多岐に渡る
    守護をしている間は全能力が徐々に上がり状態異常、拘束なども無効化、再生なども始め
    身体がどんなにズタボロ四肢が欠損していようと死ぬまで守護しようとする
    これは敵対者が守護対象にとって危険で有ればある程加速度的に上がる
    弱点:守っている対象のダメージを肩代わりする際は常時発動
    そして一切のダメージ軽減も出来ない為
    守護対象に攻撃を与えられるのはクリティカルヒットと同義 
    守護対象には敵意が無く 自分のみに敵意があるという状況の場合は能力が大幅に弱体化する
    広範囲の攻撃、能力が守護対象などに当たると当たった範囲のダメージ全てを
    守護者に一点集中する為広範囲攻撃能力は苦手 
    再生能力は向上せず戦闘続行出来る最低限で収まる
    要望(任意):戦闘舞台は守護対象でもある山桐家の家でお願いします

  • 175二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:15:01

    名前:佐藤 光(ひかり)
    年齢:12歳
    性別:女
    種族:人間
    人物概要:佐藤清と佐藤紬の娘で兄姉(雪、蓮、純)と弟妹(凛、聖&命、和)がいる
    家族で二番目の常識人であり引っ込み思案で大人しく物静かだがとても心優しく善性の塊で困っている人を見捨てられない良い子
    そんな彼女だが彼女自身もドン引きレベルで幸運体質であり常軌を逸した奇跡と幸運が降り注ぎ困惑する程にイレギュラーな運を持つ
    日頃から己の記憶にも残らぬ小さな善行をしているがそれが巡り巡って大きくなり様々な神や上位存在を窮地から救い命を助けた
    それにより彼女は多くの神や上位存在に感謝され愛され目を掛けられる様になりその影響で幸運体質が恐ろしい程に引き出された
    能力:天運の主 【運命輪廻】
    能力概要:天運の主は恐ろしい程に引き出せれた彼女の幸運体質であり【運命輪廻】が彼女本来の異能
    文字通り恐ろしい程に幸運体質であり遍く奇跡を引き寄せ絶対にあり得ない事象を引き起こし世界すら揺るがす理不尽を発揮する
    体質ゆえにオート発動で幸運と奇跡により世界すらも味方に付けているかの如き異常な物事を引き起こす【天運】と呼ぶに相応しい力
    【運命輪廻】は彼女本来の異能で己の行った小さな行動や決断が巡り巡って大きなものになって彼女に巡ってくるというもの
    ほんの小さな行動が連鎖するかの如く増幅して巡ってゆき大きな結果をもたらして彼女に還る名に相応しい異能
    弱点:彼女本人は普通の女の子であり戦闘技術も無く戦闘経験もあまりなく隙だらけであたふたしてるだけの一般人の少女
    運勢以外のあらゆるスペックが一般人であり身体能力も耐久力も持久力も何もかもが普通の少女の域を出ずちょっと低いまである
    全体的に隙だらけで逃げたりすることはあれど大体は転ぶ、そもそも怖くてへたり込んだり棒立ちになったりする事が殆ど
    願えば起こる奇跡や幸運を決められるが戦闘中にお願いできる程の精神力を持っていないので基本的には何が起きるか分からない
    その加減や限界の無き幸運や奇跡は時に彼女すらも巻き込むことがあり怪我を負ったり行動が阻害されたりする
    要望:大人しそうな口調で戦闘中は和解の為に言葉で呼びかけ続けます
    一人称は私、殺さないでください、勝ったら奇跡で相手を治療してください

  • 176二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:15:01

    名前:闘神
    年齢:?
    性別:女
    種族: 闘神
    本人概要:他の神々にも何かの間違いで敵対した瞬間死ぬという理由で避けられまくっている神。本人は至って気さくな善人。ただ闘いの腕は本物。一撃一撃が解っていても反応すら不可能なほど鋭く、攻撃を加えたと思った瞬間には訳も分からずカウンターを喰らう。何より読み合いにおいては無敗。
    能力:なし
    能力概要:なし
    弱点:火力は誰に対しても効く最低限しかない。
     耐久は月並みな上に核が存在する。
     遠距離攻撃・範囲攻撃などへの対抗手段を持たない。

  • 177二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:15:01

    名前:スージー・キャール(本名:マーチ・スレイ)
    年齢:10歳(見た目年齢18歳)
    性別:女
    種族:人間
    本人概要:未来からやって来たケイトの娘。行動力がありワンパクで正義感がとても強い。その上優しく、家族思いな性格。スレイの家族が能力で悲しい思いをしていたと知り、能力を用いてタイムリープしてきた。未来から来たのでこの時代で何が起きるかは全て知っている。現在はスレイ家のメイドのスージーとして生活している。
    本来の年齢は10歳だが、能力によって奇跡が起き、18歳の見た目にまで成長した。
    また、スレイ家特有の圧倒的な戦闘IQを持っており、能力で補助をしながら完璧な戦闘を行う。
    よくふざけて「うおぉぉぉ奇跡ィィィ」と言っている。余裕のあるヤツが一番強い。
    能力:【スレイ家の希望】
    能力概要:ありとあらゆる奇跡を起こす能力。自身に作用する補助能力であり、マーチ自身が「こうだったらいいのにな」という純粋な願いから奇跡が起こる。無意識に感じている些細なことでも奇跡は発動する。マーチを通した他者への奇跡の干渉なども可能。
    例えば「みんな元気になればいいな」だったら全世界から“病気”や“怪我”といった概念が消え去ったり、誰かを「絶対に助けたい」であれば確実の勝利を得るための存在になれる。
    「みんなとお友達になりたいな」であれば森羅万象全ての生物、無機物、概念がマーチの友達として味方をし、「そんな○○がなかったらいいのに…」とでも少しでも願えば相手の能力が消え去る。
    弱点:少しでも気持ちが濁ると奇跡が弱くなる。純粋な感情でいないとダメ。
    他者へ干渉するには半径一メートル以内にマーチがいないと不可能。
    「みんな元気になればいいな」は自分も含まれてるから発動するが、ここに「みんな」が入っていなければ発動しない。
    世界規模でも自分が含まれていなければどんなに強大な効果でも発動しないのだ。
    また、ネガティブな奇跡も発動せず必ずポジティブな奇跡でなければいけない。
    心臓部を攻撃されると動けなくなる。
    要望:一人称は「マーチ」(家族といる時はアタシ)、二人称は「アナタ」でお願いします。マーチが勝てたら友達としてスレイ家に招待させてください。

  • 178二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:15:01

    名前:幸存
    年齢:80歳
    性別:男性
    種族:人間
    本人概要:一回食べた次元龍の卵をまた食べようとして何度も次元龍の巣に行っている存在。次元龍の卵を食べる前は、様々な場所に赴き死ぬ定めの人が生き残る可能性を発生させたり、長安帝国にとって邪魔になる可能性を秘めている組織・国に潜り込んで情報を得ていた。豪快に笑い、自由奔放に動いて何事にも喜び楽しむ。まだ若い頃にへまをして捕まった事が何回かあり、その時に受けた夥しい程の拷問とその後を見ても、良い思い出という性格。70歳の頃に出された次元龍の卵を食べた時にとても美味しく、一時的に体が20代の頃に戻った感覚があった為、また食べたいのと体が若返った感覚を長安帝国の研究機関に調べさせる為に、今回10回目の次元龍の巣に行こうとしている。そして次元龍の卵を手に入れて研究機関に調べさせられたらこれ以上無駄に若人の命をしなくてすむと考えていて、それを自分がまた食べたいからと誤魔化している。
    両の手首に縄と鎖が回っており途中でちぎれている。
    能力:《メークリヒカイト》+《ケッテ》+《ザイル》
    能力概要:メークリヒカイトはあり得ぬ可能性を最低でも1%以上発生させる能力。
    ザイルはどのような道筋を歩けば己が望んだ運命になるかを示す縄。
    ケッテは縛った相手の体を2秒動けなくさせる力を持ち、触れた部分だけを0.3秒動けなくさせる鎖。ケッテで縛った場合は、使用者は動きを鈍くなってしまう。
    弱点:メークリヒカイトを使って何の可能性を発生させたかはわからない。
    ザイルは誰にでも見える。
    昔の拷問傷のせいで0.5秒動きが遅くなる事がある。

  • 179二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:15:01

    名前:ルミノドン・ルシフェルス
    年齢:不明
    性別:雌
    種族:恐竜
    本人概要:白亜紀末期(大量絶滅間際)に驚異の進化を遂げることで滅亡を免れ、絶海の孤島で現代まで生き残った未知の恐竜。ティラノサウルスから手足をなくしたような外見。光で簡単に獲物を獲ったり外敵を追い払ったりできるため動く必要がなく、ナマケモノのようにじっと動かずに過ごす(ただしいざとなれば高速で這うことができる)。光で目眩しをして獲物を硬直させ、丸呑みにする習性。鋭い牙はないが口が大きく、人間程度なら一瞬で呑み込める。
    能力:照射捕食
    能力概要:ホタルのように生物的発光機能を持ち、眼や口の中から光を放つ。この光自体は一切、熱や破壊力を持たないが、太陽光と同レベルの光度のため相手を眩しがらせてその隙に攻撃することができ、長時間直視すればあまりの明るさに目が潰れることも。
    弱点:光を5回まで連発するとしばらく弾切れ状態となる。体当たりしたり呑み込んだりできなくはないが、肉弾戦はやや不慣れ。
    備考:進化を重ねる中で知能も発達しており、時折機械的な言葉のようなものを呟く。

  • 180二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:15:01

    名前:ジョン・マクベンス
    年齢:50
    性別:男性
    種族:人間
    本人概要:
    白のシルクハットとロングコートを身につけた男性。喫煙者。『深紅の契約』所属のエクソシスト。徴収部門・対魔課の元最高責任者。
    この部門は契約を守ろうとしない、あるいは履行を送らせようとする悪魔や堕神をボコボコにして無理やり契約を履行させる業務を担っている。
    現在では現場を退き、戦闘技術の指南役として後進育成に励んでいる。
    能力:殺魔拳
    能力概要:
    殺人拳法をベースにエクソシストの技術や魔法を組み合わせた独自の武術。徴収部門・対魔課の人間はこれを修めることを義務づけられている。
    これを修めた人間は悪魔や神が引き起こす異常現象や精神干渉、理不尽の類に対抗できるようになる。
    また元となった武術が殺人拳法のため悪魔に操られた人間にも効果的。
    弱点:
    ・過去の戦いで片脚を負傷しているため移動が遅く足技も使えない。

  • 181二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:15:02

    名前:ナノ・ヤマト
    年齢:不明
    性別:女性型
    種族:情報・電算生命体
    本人概要:海底に眠っていた先史文明の小型電算機が沈没した戦艦とその乗員を解析したことでヒトの肉体を得た存在.人間及び知的生命体の作る文化・文明に強い関心を持っており,それを模すことで日々学習を積んでいる.最近のマイブームは釣り,驚くほどに下手くそで連日連夜ボウズである.それは当然だ,彼女は決して人には成れないのだから.彼女は物事を機能でしか見れていない,彼女にとってナイフとハサミは同じもの,魚と潜水艦の違いは分からず,釣り竿とUFOキャッチャーの見分けもつかない.
    人と彼女はまったく違うものであり,ナノ・ヤマトは人間に近似も類似もできない異常存在である.
    能力:ナノマシン
    能力概要:コアユニットが伝達する情報を模倣する銀の砂のような物質.ナノ・ヤマトはこれを活用することで強力な再生能力や物体生成能力を持つ.とはいえ関連付けが絶望的に下手くそであり,腕を治すつもりでロボットアームを作り出し,砲門を作っても放たれるのは手持ち花火だったりする.
    が,先史文明の遺産は埒外物理を自在に操る.彼女はその気になれば山すら焼き尽くす光学兵器を,海すら干上がらせる強力な爆雷を,空間すべてを把握できるセンサーを,大量絶滅を起こす隕石の一撃を防ぐバリアを,宇宙すら航行可能な船を作り出せる.
    弱点:コアユニットが破壊されると死ぬ.場所は人間で言うところの心臓のあたり,僅かに傷が付くだけでも修復のために防御に専念し攻撃がほとんどできなくなるうえ移動もできない.

  • 182二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:15:03

    名前:山田野 小呂地
    年齢:25歳
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:蛇柄の服を着た男、全体的に蛇を連想させる雰囲気を放ってる。巨大なおろし金を武器に使う。
    能力:『オロチ八おろし』
    能力概要:背中から八匹の大蛇を生やすことができる。大蛇は背中から切り離せないが伸縮自在であり、口から火炎、超低温の冷風、毒霧を吐く。当然毒牙での噛みつきや締めつけなども可能。
    『おろし舞』武器のおろし金を大蛇達も使い振り回し攻撃する技。余りの速さに残像が見える。
    『囲みオロチ』八匹の大蛇が相手を囲み、火炎、冷風、毒霧を同時に浴びせる。
    『大蛇地獄おろし』大蛇八匹が相手に一斉に噛みつき、毒で弱った相手を締め上げ、最後におろし金で念入りにトドメを刺す最終残虐奥義。
    弱点:酒を少しでも飲むとぶっ倒れる程の下戸である。
     しかも背中の大蛇達は酒の気配を感知するとどんな状況であっても酒を飲むことを優先してしまう。

  • 183二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:15:09

    名前:ネャントリコ・ネャミ
    年齢:14
    性別:♀
    種族:獣人
    本人概要:大陸Cのどこかにある、屋根の如き森の奥深く、絨毯のように茂る木々の上で暮らす"天に接す獣民"と名乗る集落の若者。彼女らは頭の上に生えたピンク色の耳、体を覆う緑色の体毛、太い枝でも簡単に切断する鋭い爪、そして非常に優れた身体能力などの特徴を持つ人型の種族であり、自らを天へと高めること、戦闘による相互理解、自らの住処となる『木』への信仰などの文化を持つ。
    彼女自身の性格は生意気かつ奔放でとても好奇心が強く、いちいち思考するよりも勘や本能で動くタイプ。そのおかげか瞬発力や身体能力も人一倍強いが、頭脳戦や騙し合いはニガテ。住んでる場所と性格のせいで、自分の能力にも気づいていなかった。
    能力:三怪(ミケ)
    能力概要:自分たちが相手に負けそうだと思った時、自分たちの数が3体になるように完璧な状態の分身を作る能力。分身には本体、分身の区別はなく、分身たちは能力から思考にいたるまで全くと言っていいほど同じ。
    弱点:分身は彼女の影から現れるため、影のなくなる光のない場所などでは使えない。
    あと顎の下を撫でられると弱い。とても心地良くなる。
    要望(任意):一人称はにゃ、語尾にもにゃを付けて話す。難しい言葉はあまり理解できず、主語を欠いた話し方をよくする。

  • 184二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:15:12

    名前:大阪野 尾羽
    年齢:56歳
    性別:オバちゃんやで!
    種族:大阪のオバちゃんやで!
    本人概要:
    紫のパンチパーマとトラ柄の服、三段腹とサンダルが特徴の大阪のオバちゃん。
    4人の子供を育て上げた実績のある肝っ玉母ちゃんでもある。
    一般人のハズだが、大阪生まれの大阪育ちで鍛え上げられた浪速のド根性を備えた歴戦のオカンはハチャメチャにパワフルなため、どんな怪物も裸足で逃げだしてしまう。
    最近長男夫婦の家に孫が生まれた。孫相手には強気な態度もなくなりデレッデレである。
    「孫のためにオバちゃん、頑張るでぇ!」と発言しており、ボルテージはまさに最高潮。
    もうアカン!こうなったオバちゃんは誰にも止められへんわ!
    能力:「なんでやねん!」と「阪神大優勝!」
    能力概要:
    「なんでやねん!」は大阪でのツッコミ精神によって鍛えられた技。相手が普通ではあり得ないような動きや能力を使った場合に強烈なツッコミを喰らわせ、その行動を潰す。
    「なんでやねん!ありえへんやろそんなん!」 ズビシィッ!(ツッコミの効果音)

    「阪神大優勝!」は地平線まで埋め尽くす量の阪神ファンがどこからともなく現れ、オバちゃんの先導によってハイテンションに暴れ回り相手を蹂躙する現象。阪神ファンたちは全員がオバちゃんと同様に浪速のド根性を持っており、その勢いを止めることは何者にも不可能だろう。
    「阪神大優勝ー!!相手は巨人ファンや!いてこましたれぇ!!」

    弱点:
    身体能力は一般人。阪神ファンも身体能力は一般人。
    ツッコミはツッコミで返すことができる。
    加齢と三段腹とタイムセールのせいで長期戦ができない。
    イケメンに弱い。特に韓流スター。

  • 1851◆ZEeB1LlpgE25/09/04(木) 23:15:04

    >>176

    弱点が弱点してないです

    月並みの耐久力って何ですか

    素の戦闘力が高いのでもう少し調整を

  • 186二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 23:31:37

    カウンター発動の不可が大きくカウンターする度に弱体化とかはどうですかね?

  • 187二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 23:32:03

    >>185とりあえず調整しました

    名前:闘神

    年齢:?

    性別:女

    種族: 闘神

    本人概要:他の神々にも何かの間違いで敵対した瞬間死ぬという理由で避けられまくっている神。本人は至って気さくな善人。ただ闘いの腕は本物。一撃一撃が解っていても反応すら不可能なほど鋭く、攻撃を加えたと思った瞬間には訳も分からずカウンターを喰らう。何より読み合いにおいては無敗。

    能力:なし

    能力概要:なし

    弱点:火力は誰に対しても効く最低限しかない。

      遠距離攻撃・範囲攻撃などへの対抗手段を持たない。

     耐久が人より低く、また軽傷でも傷つくと大幅に弱体化する。

  • 1881◆ZEeB1LlpgE25/09/04(木) 23:37:06

    >>187

    そのカウンターとかの詳細が欲しいんですよね

  • 189二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 23:38:22

    >>187

    そのカウンター云々は能力ちゃうんけ?


    卓越した戦闘技能、とかでもいいと思うしなんか書いといたら?

  • 190二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 23:44:23

    再調整しました
    名前:闘神
    年齢:?
    性別:女
    種族: 闘神
    本人概要:他の神々にも何かの間違いで敵対したら死にかねないという理由で避けられまくっている神。本人は至って気さくな善人。ただ闘いの腕は本物。
    能力:闘神たる所以
    能力概要:一撃一撃が解っていても反応すら不可能なほど鋭い。
     見切る技術も凄まじく、打撃などの攻撃に対しては上手く受け流してその勢いのまま反撃で殴るなどが可能。
     何より読み合いにおいては無敗。
    弱点:火力は最低限しかない。
      遠距離攻撃・範囲攻撃などへの対抗手段を持たない。
     耐久が人より低く、また軽傷でも傷つくと大幅に弱体化する。

  • 191二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 23:45:47

    >>190

    めちゃくちゃ弱くなりそうだけど いいの?

  • 1921◆ZEeB1LlpgE25/09/04(木) 23:46:56

    >>190

    セーフ

  • 193二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 23:47:45

    >>191

    最初に記述したタイプのキャラ皆死ぬほど嫌いそうなのでやむなし

  • 1941◆ZEeB1LlpgE25/09/04(木) 23:54:22
  • 1951◆ZEeB1LlpgE25/09/05(金) 00:00:49

    レギオンシリーズTYPE-E 3016番vs【赤子喰い】クエント
    セレナ・アステルvs幸存
    佐藤 光vs守護者
    スージー・キャールvs堕落の主・ルピナス
    ルミノドン・ルシフェルスvs闘神

  • 1961◆ZEeB1LlpgE25/09/05(金) 00:49:10

    あ、寝る前に
    月並みって普通って意味だったんですね
    私が無知なせいでいろいろ言ってしまってすいませんでした

  • 197二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 07:03:08

    あー、そこだったかあ
    まあしゃーない

  • 198二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 14:59:50

    ほしゅ

  • 1991◆ZEeB1LlpgE25/09/05(金) 21:25:39
  • 200二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 21:38:15

    モンスター側が勝つ事ってあるんだ・・・

  • 2011◆ZEeB1LlpgE25/09/05(金) 23:19:24

    題名『満月の裁定』

  • 2021◆ZEeB1LlpgE25/09/05(金) 23:22:19

    夕暮れが差し込む荒野。枯れた草が風に揺れ、遠くで小さな砂塵が舞う。セレナ・アステルは、月光のような銀の長衣を揺らしながら静かに歩いていた。頭上には半月が浮かんでいる。

    「……ここで、何を見つけようとしているのかしら」

    セレナの視線は冷たく、だが内心では弟の顔を思い浮かべていた。守るべき存在のためなら、どんな敵も排除する。それが彼女の使命であり、衝動だった。

    草むらの向こうから、突如、豪快な笑い声が響く。

    「はっはっは、またここまで来ちまったか!」

    砂塵の中から現れたのは、長い髭と皺だらけの顔を持つ老人。腕には縄と鎖が巻かれているが、全く重さを感じさせないほど身軽だ。幸存――次元龍の卵を追い続ける、自由奔放な老人。

    「……誰?」

    セレナは警戒の視線を向ける。

    「名前なんてどうでもいいさ、楽しけりゃそれでよし」

    幸存は片手を挙げ、風に揺れる鎖を揺らす。その瞬間、鎖の一部が光を帯び、微かに動きが止まったかのように見えた。

    セレナは静かに息を整え、月を見上げる。新月が淡く輝き、彼女の存在を周囲から隠す。

    「……ここからは、私の月が裁く」

    ――新月。存在を隠す力が働き、幸存の目に彼女の姿は映らない。だが、老人は笑ったまま前進してくる。

    「ふむ、見えなくても感じるものさ……面白い、面白いぞ!」

    幸存の足取りは不規則で、どこから攻めてくるか予測できない。だがその動きは、どこか意図的な「導き」を持っていた。ザイル――見えない運命の糸が、セレナの周囲を微かに揺らしている。

  • 2031◆ZEeB1LlpgE25/09/05(金) 23:24:05

    セレナは呼吸を整え、左手を掲げる。月光が刃となり、上弦の力を解放する準備を整えた。視界に見えぬ敵に向け、鋭い斬撃を放つ。
    だが――幸存の鎖《ケッテ》が瞬間、空中で光り、斬撃の軌道を触れる。わずか0.3秒、刹那の静止。セレナの手が止まり、刃は砂を削るだけで、敵には届かない。

    「なるほど、なかなかやるじゃないか。だが俺も若くない、昔の体だから遅れることもある……ふふ、1%の奇跡を信じてな」

    幸存は、メークリヒカイトを通して意図せず生まれる“可能性”を味方に変えるように身を躍らせた。その動きは偶然のように見えるが、確実にセレナの攻撃を避け、彼女の心理を揺さぶる。

    「……確かに、ただの老人じゃない……」

    セレナは心の奥で呟く。しかし、弟を守るために、決して動揺を表には出さない。

    満月まであと少し。彼女が広範囲の浄化を解放すれば、この奇妙な戦いに決着をつけられるかもしれない。しかし、まだ序盤。幸存はその間に、何か次の策を準備しているようだった――

    荒野に、月光と笑い声が絡み合う。冷静な氷の姫君と、自由奔放な生存者の初対面は、まだ始まったばかりだった。

  • 2041◆ZEeB1LlpgE25/09/05(金) 23:27:29

    荒野に沈む夕闇。新月に覆われ、セレナの姿はまだ幸存から完全に隠れていた。だが、その冷たい気配は空気を震わせる。

    「……ここまで隠れても、逃げ切れるとは思わないことね」

    セレナは低く呟き、指先で月光の刃を形成する。上弦――月光が鋭い斬撃となり、砂塵を切り裂く。だが、幸存は微笑みながら軽やかに跳んだ。

    「ふふ、見えなくても、感じることはできる……これぞ運命の糸か」

    ザイル――見えざる縄が地面を這い、セレナの動きを微かに誘導する。セレナは刹那の迷いを見せたが、すぐに集中を取り戻す。

    「……っ、ここは……!」

    上弦の斬撃を放ちつつ、彼女はすぐに防御姿勢を取る。だが、幸存の《ケッテ》の鎖が空間を切るように光り、わずか0.3秒、セレナの動きを止めた。攻撃は届かず、砂が削られるだけ。

    「おお、さすがは王女殿……だが、俺にも1%の可能性がある」

    幸存は笑いながら身を翻す。メークリヒカイト――あり得ぬ可能性を最低でも1%以上発生させる能力が発動し、セレナの攻撃タイミングに微妙な狂いを生む。

    「……くっ……!」

    セレナは苛立ちを抑え、次の策を考える。新月で隠れたまま、敵の心理を揺さぶるのだ。下弦――精神干渉を試み、幸存の感情と闘志を鈍らせる。だが、幸存は笑顔を崩さず、軽やかに体を躍らせる。

    「感情を鈍らせようったって、俺は楽しむことしか考えてねえからな」

    セレナは心の中で弟の顔を思い浮かべ、覚悟を決める。満月を解放すれば、治癒と浄化の力で勝負を決められるかもしれない。しかし、満月中は他の能力を使えない。今、正確な見極めが必要だ。

  • 2051◆ZEeB1LlpgE25/09/05(金) 23:27:47

    幸存はザイルを頼りに、次の瞬間、意表を突く角度から接近する。縄と鎖の軌道がセレナの視界に微かに揺れ、攻撃を誘う。だがその誘いこそ、幸存の罠であった。

    「ふふ、ここで1%の奇跡が起きるかもな」

    セレナは刹那、上弦の月光を二段に連続で飛ばす。しかし、幸存は身をひねりながら鎖の光で刹那止めを繰り返す。攻撃は届かず、砂塵だけが舞う。

    二人の間に緊張が張りつめる。月光と縄の軌跡が交錯し、能力同士がせめぎ合う。どちらも一歩も譲らない――だが、セレナの胸の奥には、弟を守るという強い思いが火のように燃えていた。

    「……よし……満月まで、あと少し……」

    幸存は笑いを浮かべながらも、動きの隙間を常に探る。彼の生き方そのものが、可能性の応酬であり、予測不能な動きの連続だった。

    荒野に月光と鎖の軌跡が交差する。戦いは序盤を超え、次の瞬間、二人の力がさらにぶつかり合おうとしていた――

  • 2061◆ZEeB1LlpgE25/09/05(金) 23:32:14

    荒野に夜が深くなる。半月は完全に沈み、空には満月が昇る。セレナは深呼吸し、満月の力を解放する準備を整えた。

    「……今こそ、全てを浄化する」

    月が完全に円を描くと、セレナの体から光が放たれた。満月――広範囲の治癒と浄化が展開され、呪いや毒、あらゆる不浄を消し去る力が周囲に満ちる。砂塵は光に照らされ、幻想的な銀世界に変わった。

    幸存は笑みを浮かべ、光に包まれた空間を見つめる。

    「ほう、これが……満月か。なかなか見事だ」

    しかし、彼は動じない。ザイルが空中に微かに光り、次に取るべき道筋を示す。メークリヒカイトも、まだ1%の可能性を生み続けていた。満月の光に包まれつつも、幸存はその隙をついて次の一手を模索する。

    セレナは目を細める。満月中は他の能力を使えない。攻撃手段はこの浄化の光だけ。慎重に、だが躊躇はできない。

    「……逃がさない……弟を守るために……」

    彼女の思いが光に込められる。満月の力は空気を震わせ、幸存の身体に触れる。触れられた瞬間、鎖の光が一瞬揺れ、刹那、彼の動きが鈍る。だが幸存はすぐに笑った。

    「はっはっは、面白い……こうなると、俺の1%が本領を発揮するかもな」

    幸存の体は、可能性の作用で微妙に跳ね、光を避ける動きを見せる。浄化の光は広範囲に及ぶが、完全に当てるのは難しい。それでもセレナは執念で追撃する。

    満月の光は敵意だけでなく、周囲の空気や砂、岩をも清め、邪気を払い、幸存の身に届くたびに微細な圧力で精神に干渉する。幸存は笑いながらも、目の端で光の動きを読み、次第にその圧力を感じ始めた。

    「ふ……ふふ……いやあ、これは……なかなか堪えるな……」

    セレナはその笑みを見逃さない。冷静に、光を操りながら間合いを詰める。満月は単なる攻撃ではなく、精神を揺さぶる裁定の力。幸存の自由奔放さと、王女の執念がぶつかる瞬間だった。

  • 2071◆ZEeB1LlpgE25/09/05(金) 23:36:48

    しかし、幸存は諦めない。ケッテの鎖で光を微かに乱し、ザイルで運命を誘導して微妙な回避を続ける。セレナの満月は完璧ではない。だが、彼女の決意は誰よりも強かった。

    「……弟を……守る……!」

    光の柱が幸存を包む。砂塵と光が渦を巻き、空気は張り詰める。勝負の行方は、まだ微妙に揺れていた――

    荒野は銀色の光に染まり、二人の戦いは、ついに心理と能力の極限まで到達しようとしていた。

  • 2081◆ZEeB1LlpgE25/09/05(金) 23:43:06

    荒野は銀色の満月光に包まれ、砂塵が舞う。セレナの全身から放たれる光は、彼女の強い意志と弟を守る想いの結晶だった。

    「……ここで終わらせる……!」

    セレナは腕を大きく振り、満月の光を一点に集中させる。空間が震え、光の渦が幸存に迫る。

    幸存は笑いながらも、身をひねり、ザイルの導きに従って微妙に動く。だが、メークリヒカイトの確率的回避も限界に近づいていた。

    「……ふふ、なるほどな……だが、1%の奇跡はまだある……!」

    鎖《ケッテ》を振りかざし、光の刹那に触れた部分を止めようと試みる。しかし、満月の光はその速度を凌駕し、セレナの執念の力が幸存の体にじわりと影響を与えた。

    「……もう……逃がさない……!」

    セレナの声に、荒野の風が応えるように吹き抜け、光の渦は幸存を包み込む。砂と光が交錯し、彼の動きは次第に制限されていった。

    幸存は笑いながらも、最後の可能性を試す。だが、満月の浄化と精神干渉の力は絶大で、彼の感情や闘志を徐々に鈍らせる。

    「……うっ……ま、まだ……若干の可能性が……!」

    鎖とザイルを駆使し、何度も光を避けようとするが、セレナの光は的確に彼の軌道を追い詰める。ついに、幸存の体が満月光に完全に包まれ、砂埃の中で立ち止まった。

    「……終わったのか……」

    息を切らしながら、幸存は笑みを浮かべる。決して悔しそうではない。自由奔放に生きた彼にとって、この結末もまた一つの可能性だった。

    セレナは肩で息をしながら、冷たい視線を幸存に向ける。

  • 2091◆ZEeB1LlpgE25/09/05(金) 23:44:17

    「……もう、二度と邪魔はさせない……弟を、絶対に守る……」

    満月の光は徐々に弱まり、夜の荒野に静寂が戻る。戦いの跡は、光の余韻と舞い上がる砂埃だけが残った。二人の決着は、能力と執念のぶつかり合いによって、セレナの勝利に傾いた。

    幸存は立ち上がり、笑みを浮かべながら肩をすくめる。

    「……なるほど、やはり……氷の姫君……恐るべし……」

    セレナは疲れた体を支えつつ、満月の力を解放したまま、夜空を見上げる。弟を守るための戦いは終わった。しかし、彼女の胸には、まだ守るべき存在への想いが強く残っていた。

    荒野に、満月の光と静寂だけが漂う。二人の戦いは終わった――だが、この出会いの記憶は、互いの心に深く刻まれることになる。

  • 2101◆ZEeB1LlpgE25/09/05(金) 23:48:54

    以上

  • 211二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 00:22:05

    良かった!

  • 212二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 07:54:32

    ほす

  • 2131◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 11:19:07

    題名『守護と天運の庭』

  • 2141◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 11:20:07

     夜の帳が降りた山桐家。
     庭を囲う石灯籠がぼんやりと明かりを放ち、静寂を守る中、重々しい足音が門前に響いていた。

     スーツを着た大柄な男――守護者、雨宮 豪。
     背には不壊の大剣。
     その姿は、まるで門番にして鋼の壁のようだった。

     「……来るのか。どんな敵であろうと、この家を狙うなら、俺は通さねぇ」

     低く唸るような声が闇を裂く。
     かつて屍山血河を退けた伝説の護衛、その名に違わぬ覇気が漂っていた。

     しかし、その前に現れたのは――十二歳の少女。
     佐藤 光。
     彼女は、場違いなほどにおずおずと門前に立ち、胸の前で手をぎゅっと握りしめていた。

     「……あの……待ってください……」

     か細い声が夜風に溶ける。
     彼女の姿は無害そのもの。だが、その背後には目に見えぬ力――世界を揺るがす幸運が渦巻いていた。

     「子ども……? ふざけんな。お嬢ちゃん、ここは遊び場じゃねぇ」
     「ちがいます……私……あの、誰かを傷つけたくないんです……だから……」

     言葉を選びながらも、彼女は真っ直ぐに守護者を見上げた。
     怖くて震えながら、それでも目を逸らさなかった。

     その瞬間、屋敷の瓦の一部が突風で外れ、落ちてきた。
     ゴンッ!
     光の頭上へ――しかし偶然にも、直前で鴉が飛び立ち、その羽ばたきが瓦を逸らし、少女の足元に転がった。

  • 2151◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 11:20:31

    「……運がいいな」

     守護者は目を細めた。
     彼の胸中に、得体の知れぬ不安が芽生える。
     だが同時に、護衛としての本能が叫んでいた――この少女こそ、屋敷にとっての「危険」だと。

     「……悪いな。ここを通すわけにはいかねぇ」

     豪が剣を抜き、重い音を響かせた。
     だが光は一歩も退かない。

     「……私……本当に戦うつもりはないんです……でも……どうしても止めるしかないなら……奇跡に、頼るしか……」

     彼女の小さな声が夜に溶ける。
     戦いの火蓋が、いま落とされた。

  • 2161◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 11:21:47

     守護者・雨宮 豪が振り下ろす不壊の大剣。
     唸りを上げた刃は、眼前の少女を一瞬で叩き潰す威力を孕んでいた。

     ――だが。

     「きゃっ……!」

     光が転んだ拍子に、剣の軌道を外れ、石畳に深い亀裂だけが刻まれる。
     彼女自身は無傷。
     まるで世界が味方をしているかのように、刃は一度も届かない。

     「……ちっ、今のを外すか」

     豪は眉をひそめ、構え直した。
     屋敷の門を背にする彼の姿は、絶対的な壁。
     対して光は、ただ怯えながら必死に言葉を紡ぐ。

     「……や、やめてください……! 私は……守りたいんです……誰も傷ついてほしくないから……」

     「守りたい、だと? ハッ、奇遇だな。俺もそうだ。だからこそ――お前を通すわけにゃいかねぇ!」

     剣が閃き、地を裂く。
     その余波で庭石が弾け飛び、瓦礫が光に迫る。

     しかし、奇跡が起きた。
     地面の下から湧き出た水道管が破裂し、噴き出す水が盾となって瓦礫を弾き飛ばしたのだ。

     「……こんな偶然、あるかよ」

     豪は目を細め、得体の知れぬ恐怖を覚える。

  • 2171◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 11:22:13

    少女はただそこに立っているだけ。だが、周囲の世界すら彼女を守るように動き、あらゆる攻撃を逸らしていく。

     「……私……本当に戦うつもりはないんです……でも……」

     光は俯き、小さな声で続ける。

     「……それでも……誰かを守るために戦うなら……私だって……」

     その瞬間、夜空に雲間が割れ、月明かりが彼女を照らした。
     光は恐る恐る顔を上げる。
     その姿は怯えながらも、まるで天運に選ばれし存在のように神々しくさえ映った。

     「……っ!」

     豪の胸に、かつてないほどの警戒心が走る。
     守る者と、守られてしまう者。
     二つの矛盾が、山桐家の庭で真正面から衝突しようとしていた。

  • 2181◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 11:23:31

     雨宮 豪は深く息を吐いた。
     目の前の少女は武器を持たず、構えすら知らぬただの子供。
     だが――彼女を取り巻く現象は常軌を逸していた。

     「……守るためなら、俺はどんな怪物だろうと斬ってきた。だが……お前は何だ?」

     大剣を構え直す豪の身体は、すでに赤黒い光を帯びている。
     《守護》が発動している証。山桐家を守ると誓った彼の力は、敵意が迫るほどに加速する。

     「私は……ただ、誰も……傷つけたくないだけで……」

     光は震えた声で呟き、後ずさる。

     次の瞬間、大剣が振り下ろされた。
     轟音と共に地面がえぐれ、爆風が吹き荒れる。
     直撃は免れたはずの光は、偶然地に転がっていた古い瓦に足を取られ、後ろへ倒れ込んでいた。
     そのおかげで剣筋をかすめることなく、紙一重で無事。

     「……今のを避けるのかよ」

     豪の眼が細まる。怒りではない。ぞっとするほどの警戒だ。

     瓦礫が降り注ぐ。
     光が思わず「いやっ!」と叫ぶと、頭上の梁が外れて落下。
     しかし梁は地面に突き立つ直前で、偶然転がってきた庭石に支えられ、少女を覆う形の庇となった。

     「まるで世界が……お前を庇ってやがる」

     豪の心臓が強く脈打つ。

  • 2191◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 11:24:14

     力を増すはずの《守護》が、相手を「危険」と定義できずに揺らいでいた。

     「……あの……っ!」

     光は勇気を振り絞るように声を張った。

     「私は、戦いたくありません! でも……あなたも……きっと守ろうとしているんですよね……?」

     豪の握る大剣に力が籠もる。

     「そうだ。俺は雇い主を守る。それが義理であり、人としての筋だ」

     「それなら……っ、きっとわかり合えます……! 私も……守りたいんです……!」

     彼女の言葉に呼応するように、夜風が舞い、散った瓦礫が月光を反射する。
     その煌めきはまるで、少女に降り注ぐ祝福の光のようだった。

     「……クソッ、何だこの感覚は……!」

     豪は奥歯を噛み締めた。
     戦えば戦うほど、《守護》は彼を強くするはず。だが、この少女相手では、力の矛先が鈍る。

     ――これは、ただの戦いではない。
     己の信念と、少女の天運が衝突する「裁き」の場。

  • 2201◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 11:24:58

     夜の庭に、張り詰めた空気が流れていた。
     豪の大剣は月光を弾き返し、揺るぎない鋼の意志を映し出す。
     光は怯えながらも、逃げずに立っていた。

     「……もう一度言うぞ、嬢ちゃん。俺はここを通すわけにゃいかねぇ」

     「……私も……行かないと……助けられない人がいるんです……」

     瓦礫が崩れれば彼女を避け、炎が迫れば風が吹き飛ばす。
     それは天運の加護、いや、世界そのものが彼女の味方をしている光景。

     「クソッ……理屈じゃねぇ。だが……っ!」

     豪は吼え、全身から守護の力を最大限に放つ。
     限界を超えても、彼は守ることをやめない。

     光は両手を胸に押し当て、叫ぶ。

     「お願い……誰も……傷つかないで……!」

     すると、庭を囲む石灯籠が次々と倒れ、豪の剣を逸らす。
     守護の力と天運の奔流が、互いにぶつかり合う――

  • 2211◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 11:25:21

     豪の体は血に染まり、痛みに歪む。
     だが守護の力は止まらない。
     庭を覆う瓦礫、崩れる柱、襲い来る衝撃、すべてが彼に一点集中する。

     「……まだ、立つか……」

     豪は膝を折り、息を整える。

     光は必死に呼びかける。

     「もう……もう十分です! あなたは……山桐家を守ったんです! だから……これ以上は……!」

     しかし豪は首を振り、声を震わせながら答える。

     「……まだ……俺が立ってる限り……っ、俺は守る……!」

     次の瞬間、瓦礫が豪を襲う。
     しかし奇跡が発動し、偶然の支えや障害が重なり、少女には被害なし。
     守護の限界と天運の奔流が交錯し、戦いは異常な膨張を見せる。

  • 2221◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 11:26:14

     庭は瓦礫と土煙に包まれる中、豪は立ち上がる。
     だが光の呼びかけが、天運の奇跡を呼ぶ。

     「雨宮さん……お願いです……戦わないで……もう、もう十分守りました……」

     その祈りに応えるように、豪の傷が次々と癒される。
     骨が繋がり、裂けた筋肉が再生される奇跡。

     「……な……何だ……この感覚は……」

     豪は膝から崩れ落ち、血で汚れた手を握りしめる。

     光はそっと手を差し伸べた。

     「大丈夫……もう、戦わなくていいんです……私が守ります……」

     豪はかすかに微笑み、少女を見つめる。

     「…………わかった……お前が……守るなら……俺は……もう……いい」

     庭に漂う静寂。
     瓦礫も煙も、光の祝福を受けて溶けていく。

     天運と守護。
     互いに譲れぬ力は、戦いではなく「守るもの」のために収束した。

     光の小さな手は、豪の傷を全て癒す奇跡の光となり、屋敷に平穏を取り戻す。

  • 2231◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 11:26:33

     「……ありがとう……」

     豪は小さく呟く。

     「大丈夫……これからも、みんなで守っていきましょう」

     光は微笑む。
     それは戦いの果てに芽生えた、かけがえのない和解の瞬間だった。

  • 2241◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 11:26:45

    以上

  • 225二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 11:46:43

    余程山桐家に行かないと行けない事情があったのかな

  • 226二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 11:52:41

    世界が味方する勢怖いなぁ 理不尽な強さ

  • 2271◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:00:29

    題名『奇跡の終焉』

  • 2281◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:03:34

    淡い月光が森の奥深く、古びた城跡を照らしていた。
    木々の影は長く伸び、微かに揺れる葉が夜風にざわめく。
    その中心に、薄紫色の髪がふわりと揺れる少女の姿があった。
    長く柔らかい髪の間に、歪んだ二本の角が光を反射する。

    「さあ……アナタの願い、叶えて差し上げますわ」

    ルピナスはゆっくりと手を翳し、まるで世界そのものを撫でるかのように振る舞った。
    その一瞬で、空気が甘美に歪み、地面から影のような軍勢が蠢き始める。
    無数の小さな光が集まって人影のように形を作り、ルピナスの命令を待っていた。

    「どんな願いも……叶えてあげますのよ、代価さえ支払えば」

    遠くから、別の気配が近づく。
    未来からやってきた少女、スージー・キャール。見た目は18歳だが、実年齢はわずか10歳。
    軽やかに足を踏み入れ、拳をぎゅっと握る。

    「マーチ……アタシは誰も傷つけたくない。でも……止めるしかないの」

    ルピナスの口元がゆるやかに歪む。

    「ふふ……その覚悟、面白いですわ」

    森の奥の空間が圧縮されるように歪み、空気の粒子が震える。
    ルピナスの微笑みは、見る者の欲望を揺さぶる。
    その視線を受けた瞬間、マーチは思わず手をぎゅっと握りしめた。

  • 2291◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:04:11

    「……でも、アタシは負けない」

    ルピナスが手を振るうたび、周囲の影が蠢き、森の静寂を裂いた。
    その影はまるで小さな意志を持ったかのように動き、マーチの前を遮ろうとする。

    マーチは小さく息を吸い、拳を前に突き出す。

    「みんな元気になればいいな……!」

    光の波が辺りを包み、ルピナスの軍勢は消え去った。
    影は霧のように溶け、甘美な香りと共に消え去る。
    ルピナスの瞳が驚きに揺れる。

    「な……っ!? 私の……計画が……!」

    マーチは一歩前に出る。

    「大丈夫……アナタを倒すためじゃない。でも、ここは止めるしかないの」

    ルピナスは軽く頭を傾げ、微笑を浮かべる。

    「ふふ……そう……? でも、私の力を甘く見てはいけませんわ」

    辺りに漂うのは甘美な香りと微かな血の匂い。
    ルピナスの足元で、消えたはずの軍勢の残滓がわずかに揺れている。

  • 2301◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:04:26

    「あなた……どこまで耐えられるかしら……?」

    マーチは背筋を伸ばし、拳をしっかりと握りなおす。

    「アタシは……諦めない」

    森に静寂が戻り、戦いの序章は幕を閉じた。
    しかし月光の下で揺れるルピナスの瞳には、まだ戦意の火花が宿り続けていた。
    空気の振動が、次なる衝突を予感させる。
    森全体が、二人の存在を中心に微かに震えているようだった。

    ルピナスはゆっくりと唇を開く。

    「ふふ……さあ、アナタの全力を見せていただけますのね」

    マーチは拳を構え、心の奥で決意を燃やす。

    「ええ……絶対に、アナタを止める……!」

    夜風が二人の間を吹き抜ける。
    森は完全なる静寂と緊張に包まれ、戦いの火蓋はまだ切られていないまま、しかし確実に近づいていた。

  • 2311◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:06:02

    森の静寂を破るように、ルピナスの小さな影たちが一斉に動き出した。
    無数の影が蠢き、地面を蹴るたびに微かな振動が森に響く。

    「さあ……楽しみましょう。アナタの願いを阻むための力、どれほどのものか……」

    その声に応えるように、マーチは軽く地面を蹴り、前方に踏み出した。

    「うおぉぉ……奇跡ィィィ!」

    彼女の手から放たれた光が、森全体を包み込み、影の一部を弾き飛ばす。
    小さな影たちは瞬時に溶け、粉のように散った。
    しかしルピナスは微動だにせず、ふわりと手を翳すだけで新たな影を生み出す。

    「ほう……既に力を発揮なさるのね。面白いですわ」

    影たちは次々とマーチに向かって飛びかかる。
    しかしマーチは冷静に足を踏み替え、軽やかなステップでかわす。

    「アタシは……負けない……!」

    足元から湧き上がる奇跡の光が、森の地面を覆い、影たちの動きを鈍らせる。
    ルピナスの小さな軍勢が次々に消滅し、その隙をついてマーチは前方へ踏み出す。

    「みんな元気になればいいな……!」

    光の波が再び森を満たし、空気中の微粒子が輝く。
    ルピナスの瞳が一瞬だけ驚きに揺れた。

  • 2321◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:06:33

    「……ふふ、まだこんな力を秘めていたのですか」

    ルピナスは軽く笑い、指先で新たな影を結ぶ。
    それは先ほどよりも大きく、明らかに戦闘用の形をしていた。

    「これでどうでしょう……? 私の力の一端ですわ」

    その瞬間、影たちが森の木々を蹴り破り、鋭い爪の形となってマーチに迫る。
    マーチは素早く跳び上がり、空中で手を広げる。

    「アタシ……まだ、負けない!」

    空間に漂う光が、影たちを弾き飛ばし、地面に突き刺さることを防ぐ。
    だがルピナスは笑みを緩めず、ゆっくりと近づく。

    「ふふ……小さな奇跡では、私の願いを止められませんわ」

    その言葉に合わせるように、影の群れが一斉に形を変え、巨大な人型の戦士のように立ち上がった。

    「……これも、アタシが止める!」

    マーチは目を閉じて集中する。
    小さな心の願いが、大きな奇跡となって波紋のように広がる。
    森の木々が光に照らされ、影の軍勢が揺らぎ、崩れ始めた。

  • 2331◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:06:56

    ルピナスは口元に微笑を浮かべ、ゆっくりと片手を挙げる。

    「……なるほど、面白い。まだこんなに純粋な力を持っているのですわね」

    影たちは再び形を整えるが、その動きは明らかに先ほどより遅く、マーチの奇跡が制御していることを示していた。

    マーチは息を整え、ゆっくりと前に歩を進める。

    「アタシ……アナタを止める。誰も傷つけさせない!」

    ルピナスは静かに微笑む。

    「ふふ……その意志、存分に見せてくださいませ。これからが、本当の戦いですわね」

    森の奥深く、二人の気配がぶつかり合う。
    夜風がざわめき、月光が二人を照らす。
    戦いの序盤は、奇跡と魔力の応酬となり、静かに、しかし確実に激化していくのだった。

  • 2341◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:09:09

    森の空気が変わった。
    木々の間を渡る風が震え、葉のざわめきがざわめき以上の何かを告げる。

    「ふふ……さあ、私の力の全てを、アナタに見せましょうか」

    ルピナスが手を広げると、地面から無数の光の粒が立ち上り、それぞれが影のような人型に変化する。
    その数は数百、いや千を超えるかの勢いで、森を覆い尽くす。

    「甘美なる結実……」

    一体一体が忠実な奴隷となり、ルピナスに絶対服従している。

    「私の願いを叶えるのです……!」

    奴隷たちはその声に従い、マーチに向かって突進する。
    マーチは軽く深呼吸し、手を前に翳す。

    「うおぉぉぉ……奇跡ィィィ!」

    光の波が森を駆け抜け、数十体の奴隷を弾き飛ばす。
    しかし奴隷たちはすぐに立ち上がり、さらに加速してマーチを包囲する。

    「ふふ……小さな奇跡では、これほどの可能性を止められませんわ」

    マーチは足元に光の輪を描き、跳躍しながら戦う。

  • 2351◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:09:41

    「アタシ……負けない……!」

    飛び上がった瞬間、彼女の周囲に奇跡の結界が広がる。
    その範囲内では、影たちの動きが鈍く、攻撃が逸れていく。
    しかしルピナスは笑みを絶やさず、手を振るう。

    「まだ序の口ですわ……甘美なる結実は、可能性を吸い上げるほど強くなる」

    影の奴隷たちが次々とマーチに群がり、地面や樹木を押しのけて巨大な衝撃波を発生させる。

    「ひゃっ……!」

    マーチは跳躍と瞬間移動を駆使して攻撃を避ける。

    だが、数が多すぎる。光の輪も限界に達し、奴隷の一体が接近を許した。

    「……止める!」

    マーチは小さく目を閉じ、心の奥で願いを集中させた。

    「みんな……守られるべきだ!」

    彼女の意思は奇跡となって爆発的に拡散する。

  • 2361◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:10:11

    森全体が光に包まれ、空間そのものが歪む。
    奴隷たちは光に弾かれ、吹き飛び、無数の葉や枝とともに消え去った。

    ルピナスの表情は微笑のままだ。

    「……ふふ、なかなかの力ですわね。まだ、ほんの一部しか見せていませんのに」

    しかしその瞳には、初めて微かな警戒が宿った。

    「……なるほど、アナタ……純粋で、力強いのですわね」

    マーチは呼吸を整え、地面に着地する。

    「アタシ……絶対にアナタを止める!」

    その言葉に、森の奥深くで新たな気配が動き出す。
    ルピナスの本体は動かずとも、魔力と奴隷の波動が次の攻撃を予告していた。
    戦いはまだ、序盤の序盤に過ぎなかった。

  • 2371◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:12:28

    森の奥、影と光が渦巻く場所。
    ルピナスは静かに歩みを進める。

    「……ふふ、やっと私自身が加わる時が来ましたわ」

    薄紫色の長髪が風に揺れ、歪曲した角がわずかに光を反射する。
    その瞳は愛らしい少女のようだが、内に秘めた魔力は常軌を逸していた。

    「甘美なる結実、強欲への誘い……私の全てを、アナタにお見せします」

    ルピナスが手をかざすと、奴隷たちの波動は一瞬で消え、彼女の全能力が戦場に展開される。

    「……きっと、私を止めるには、この私の願いを超えなければなりませんのよ」

    一方、マーチは静かに息を整える。

    「……アタシ、諦めない。アナタを止める……!」

    ルピナスが指先をかざすだけで、空間がねじれ、時間の歪みが視界の端で踊る。

    「ふふ、どうかしら……アナタの奇跡、どこまで通用するのかしらね」

    マーチは瞬間移動を駆使し、ルピナスの攻撃を避ける。
    だが、ルピナスの“制約無き願い”は容赦がない。
    彼女が望むだけで、森の木々が鋭利な槍へと変わり、空気そのものが刃となってマーチを襲う。

    「きゃっ……!」

    マーチは回避の奇跡を発動させるが、攻撃は追尾性を帯び、瞬間的に無数に増幅される。

  • 2381◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:13:41

    ルピナスは微笑みながら、さらに手を広げる。

    「甘美なる結実……可能性を、全て奪わせていただきますわ」

    マーチの心臓は高鳴り、掌に汗が滲む。

    「……負けない……!」

    彼女の奇跡は加速し、マーチ自身の存在すら補助能力で保護される。
    しかし、ルピナスの願いが絶え間なく具現化され、奇跡の光と魔力の暗黒が衝突するたびに、森の地形は変形し、空気は焼けるように熱を帯びる。

    「うふふ……その小さな願いも、私には見えていますわ」

    ルピナスが微笑むと、マーチの周囲の光が瞬く。

    「アナタの願い……全て、私の手の中に」

    マーチは必死に跳躍し、光の輪を展開する。

    「……みんなが、守られるように……!」

    しかしルピナスは動じず、宝石が胸元で淡く輝く。
    その一振りで、空間の裂け目が生まれ、マーチの奇跡の連鎖を根底から揺さぶる。

  • 2391◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:14:05

    「……なるほど。アナタは強い。でも、私はもっと強いのですわ」

    ルピナスは優雅に一歩踏み出し、その場に咲く光と影の刃がマーチを包囲する。

    マーチは呼吸を整え、覚悟を決める。

    「……ここで、絶対に止める……!」

    戦いは一対一の緊張感に包まれ、互いの意思と力がぶつかり合う。
    森の静寂は、もはや戦いの鼓動そのものとなっていた。

  • 2401◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:15:19

    森の木々は裂け、地面は抉れ、空には光と影の奔流が渦巻く。
    ルピナスは笑みを浮かべながらその場に立ち、胸元の宝石が妖しく光る。

    「……ふふ、ここまで頑張ったのですわね。ですが、これが私の全力です」

    彼女が手を広げると、甘美なる結実の魔力が森全体に広がり、空間そのものが歪む。

    「可能性を奪い、願いを叶える……私の望みは、アナタをその力で支配することですわ」

    マーチは一歩後退し、深呼吸をしてから拳を握る。

    「……アタシは諦めない! アナタを止めるためなら、どんな奇跡だって使う!」

    ルピナスの周囲から、無数の奴隷たちが現れる。
    それはもはや人の形を留めず、魔力と願いに満ちた化け物の群れだった。

    「……見えるでしょう? 私の力は無限に広がる。逃げ場など、ありませんわ」

    マーチは瞬間移動で奴隷たちの間を縫うように飛び回る。

    「うおぉぉぉ、奇跡ィィィ!」

    彼女の声に合わせ、森の空気そのものが光の盾となり、攻撃を弾き返す。
    しかしルピナスは動じず、空間を切り裂く一振りで光の盾を押し潰す。

    「……甘い、マーチ。アナタの奇跡など、私の願いの前では砂の城と同じですわ」

    マーチは地面に手をつき、光の輪を生み出す。

  • 2411◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:15:31

    「……絶対に、負けない……!」

    ルピナスが微笑む。

    「その意志、悪くありませんわ。でも、私の力は世界規模ですのよ」

    彼女が手をかざすと、森全体の因果律が歪み、空間が裂ける。
    無数の可能性が渦となってマーチを取り囲むが、マーチの奇跡も応戦する。

    「……みんなが無事であるように……!」

    その瞬間、ルピナスの力とマーチの奇跡が正面衝突し、衝撃で森が爆ぜる。
    光と闇の奔流が交錯し、風が渦巻き、時間までもが揺れるように感じられる。

    「……これが、私の……全てですわ」

    ルピナスの声が戦場に響く。

    「……絶対に止める……!」

    マーチの声もまた、決意に満ちていた。

    両者の衝突は、もはや森の外にまで衝撃波となって広がり、戦闘は頂点に達する。
    生き残るのは、どちらか一方。

  • 2421◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:16:37

    森はすでに元の形を留めていなかった。
    裂けた大地、燃え尽きた樹々、歪む空間――戦場は二人の力によって荒廃の極みにあった。

    ルピナスは淡い笑みを浮かべ、奴隷たちの群れを従えたまま空中に浮かぶ。

    「……ふふ、最後まで抵抗するおつもりですのね。可愛らしいですわ」

    マーチは地面に立ち、疲労で肩を震わせながらも決して諦めない目でルピナスを見据える。

    「……アタシは、誰も傷つけさせない! だから……絶対に負けない……!」

    ルピナスの胸元の宝石が鋭く光る。
    その光に触れる者の願望は暴走し、理性を狂わせる。
    しかしマーチは片手を掲げ、柔らかな光の輪を展開する。

    「……みんな、守りたいんだ……!」

    光の輪と宝石の光がぶつかり、無数の衝撃波が森を揺るがす。
    奴隷たちが次々と吹き飛ばされ、ルピナスも僅かに後退する。

    「……ほう、強いですわね……マーチ。ですが、願いは無限、奇跡も無限……この一撃で決まりますのよ」

    ルピナスは両手を広げ、森の因果律ごと巻き込む強力な願いを展開する。
    時間軸すら歪み、あらゆる可能性が彼女の掌中に収まるように見えた。

    だが、マーチは目を閉じ、静かに祈るように声を紡ぐ。

    「……みんなが無事でありますように……」

    その瞬間、世界が一瞬止まったかのように静まり返る。

  • 2431◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:16:52

    ルピナスの願いの奔流が、マーチの純粋な奇跡の力によって押し返される。
    衝撃で宝石の光が乱れ、微細な亀裂が走る。

    「……なに……?」

    ルピナスは目を見開き、己の胸元を見つめる。

    マーチはゆっくりと歩み寄り、静かに声をかける。

    「……もう、終わりです。アナタの願いは、もう誰も縛れない……」

    光の輪が宝石に触れ、瞬間に爆発する。
    薄紫の光は森を包み込み、ルピナスの身体はもはや形を留めず、無限の可能性とともに消え去った。

    「……あぁ……こんな形で……」

    森には静寂だけが残った。

    マーチは深呼吸し、肩を震わせながらも笑みを浮かべる。

    「……奇跡は、まだ、誰かを救える……」

    そして、荒廃した森に静かに光が差し込む。
    過去も未来も変えられたわけではない。しかし、少なくともここでの悲劇は終わったのだ。
    マーチは小さく呟く。

    「……また、平和な日々に戻せるといいな……」

    戦いは終わり、勝者はひとり。
    そして森には、静かで優しい奇跡だけが残った。

  • 2441◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 15:17:30

    いじょう

  • 245二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:22:33

    良かった!

  • 246二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:23:49

    投下乙です!

  • 247二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:24:40

    脆いっていうのを砂の城って表現するのいいね

  • 2481◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 18:32:20

    題名『輝滅と一撃』

  • 2491◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 18:34:47

    孤島の断崖絶壁に、白亜紀末期から生き残った未知の恐竜――ルミノドン・ルシフェルスが静かに佇んでいた。
    その巨大な体躯はほとんど動かず、眼や口から発する白色の光が薄霧に反射して幻想的な輝きを帯びる。
    光は周囲を満たし、遠方の小鳥や爬虫類ですら硬直させていた。

    「……ここに、来るとはな」

    闘神が静かに声を発した。
    見た目は人の少女に近いが、その一歩一歩は神々しいほどに安定しており、足元の岩を踏み砕くことなく着地していた。
    目は冷静そのもので、光景の全てを把握していた。

    ルミノドンは低く唸るような声を機械的に漏らす。

    「――観測完了。対象、極めて脅威……捕食対象認識」

    闘神は眉を微かにひそめ、両腕を構えた。

    「私の目には君の動きが全て見えている……だが、油断はできない」

    光が次第に強まる。ルミノドンは口内の光を脈打たせ、瞬きするごとに周囲の霧を白く染め上げた。
    闘神は光をまともに直視せず、わずかに視線を外しながら立ち回る。

    「光……なるほど、視覚による圧力か。理解した」

    光が強烈になる。闘神の目は一瞬眩み、反射的に体勢を崩す。
    しかし彼女は冷静に、光の影を読みながら次の一手を考えていた。

    ルミノドンの体が微かに這う。
    その動きは遅いが、全身の光を使った威圧は確実に闘神を縛り付ける。

  • 2501◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 18:35:00

    「……ここで無闇に攻撃すれば、目を潰されるか。慎重に……」

    闘神は両手を前に掲げ、風を切るような身のこなしで光の直撃をかわした。
    ルミノドンは光の強弱を変え、次第に間合いを詰める。

    「捕食対象の行動予測……不完全だが、衝突パターンを最適化」

    闘神は短く息をつき、口元に笑みを浮かべる。

    「君の力は確かに凄まじい……だが、私も戦うためにここにいる」

    島全体を覆う霧と光のコントラストが、二者の緊張感を極限まで高める。
    衝突の前触れのように、波の音も風の音も、静まり返った。

    光の眩しさと静寂の中、闘神は僅かに足を踏み替え、次の一瞬のために体勢を整えた。
    ルミノドンは眼の光を増幅させる。

    「……衝突、開始」

    光と影の戦いが、静かに、しかし確実に始まろうとしていた。

  • 2511◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 18:36:16

    ルミノドンの眼が弾けるように光り、闇を押し退ける。
    太陽光と同じ強度の閃光が放たれ、断崖に生える木々が一斉に白く染まった。

    「――っ!」

    闘神は反射的に目を閉じる。しかし、視覚を閉ざしても彼女の戦闘勘は鈍らない。
    耳に届く波の音、岩を擦る音、そして光を浴びた空気の微細な振動すら読み取っていた。

    「なるほど……光は熱も破壊力もない。ただ、見せて惑わせるだけの捕食手段か」

    ルミノドンは低く機械的に応答する。

    「肯定。目的――視覚阻害、行動停止、捕食成功率増大」

    巨大な口が音もなく開き、闘神の全身を呑み込むように迫る。
    眩しさと威圧に耐えかねた鳥が次々と墜落し、魚が浜に打ち上げられる。

    「視覚を奪っても……」

    闘神は片膝をつき、拳を固める。

    「私の拳を止めることはできない!」

    一瞬で踏み込み、ルミノドンの喉元を狙って鋭く打ち込んだ。
    だが――鈍い感触と共に、衝撃が吸収される。

  • 2521◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 18:36:35

    「……っ、硬い?」

    ルミノドンの咆哮が轟いた。

    「打撃、無効化率……想定値を超過。対象攻撃、捕食優先度上昇」

    尾のようにうねる体が振るわれ、闘神は弾き飛ばされる。岩壁に叩きつけられ、石片が散った。

    「ぐっ……!」

    呼吸が乱れる。人間より低い耐久を持つ彼女にとって、この一撃でも致命的に近い。
    だがその目は、なおも光を追っていた。

    「視覚に頼るな……感覚を全て研ぎ澄ませろ……!」

    闘神は体勢を立て直し、静かに拳を握り直す。
    彼女の呼吸に合わせ、波が寄せては返す。
    光が彼女を包み、白い残像だけが辺りに残った。

    ルミノドンはさらに口内を光らせ、再び閃光を放つ。

    「光量限界値、二。残弾三。捕食継続」

    その眩さは、まるで昼の太陽を幾つも凝縮したようだった。
    闘神の影は消え、世界は光だけに塗り潰される。
    しかし――その光の中、彼女の足音だけがはっきりと響いていた。

    「……私は負けない。どんなに眩くとも、見切ってみせる」

    闘神の声が、光の支配を切り裂くように響いた。

  • 2531◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 18:37:48

    ルミノドンの閃光は凄まじく、周囲の世界を白に染め上げた。
    視覚を奪われ、呼吸すら奪われそうなその中で――闘神の耳は研ぎ澄まされていた。

    「……右前。這い寄る気配」

    わずかな岩を擦る音。重い体が砂を踏み潰す震動。
    光があろうと関係なく、彼女の脳裏にルミノドンの動きが鮮明に描かれていく。

    「捕食行動、開始」

    機械のように告げる声とともに、巨大な口が開く。
    歪む顎、暗闇に光る咽喉の奥。
    そのまま闘神を呑み込もうと迫った――。

    「……来た!」

    闘神は後退するのではなく、逆に踏み込んだ。
    振るわれた顎の内側へ飛び込み、拳を叩き込む。

    「ぐッ……!」

    重い衝撃が全身を揺さぶる。
    喉元にめり込んだ拳は、分厚い肉壁に吸収されるように沈んだ。
    だが確かに、ルミノドンの喉から鈍い呻きが漏れる。

    「ダメージ、検出。捕食優先度……最大値」

    その声は淡々としていた。
    痛みよりも捕食欲を優先する、機械仕掛けの生物。

  • 2541◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 18:38:04

    「いいだろう。ならば……もっと読ませてもらう!」

    闘神は連撃を繰り出す。顎、咽喉、口腔の奥。
    だがルミノドンは光を再び放ち、さらに尾を振るって闘神を弾き飛ばす。

    「光量限界値、三。残弾二」

    岩壁に叩きつけられた闘神の背に、鈍痛が広がる。
    だが彼女の瞳は揺るがなかった。

    「……わかったぞ。あの光は囮だ」

    光で目を潰し、動きを止め、捕食する。
    だが本当の脅威はその巨体の一撃。受ければただでは済まない。

    「なら――光を無視する。打撃を捌き、勢いを返す!」

    闘神は深く息を吸い、拳を握る。
    次に来るのは尾か、顎か。
    相手の意図を読むため、すべての感覚を研ぎ澄ませた。

    ルミノドンの眼が再び閃き、視界を白で覆う。

  • 2551◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 18:38:15

    「捕食率……上昇。成功率……最適化」

    だがその時、闘神の口角がわずかに上がった。

    「……読めた」

    白の中、彼女は確信していた。
    次に襲いかかるのは――尾。

    そして、その勢いを利用して反撃する。

  • 2561◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 18:39:08

     森の奥、ルミノドン・ルシフェルスの身体から再び閃光がほとばしった。暗闇を一瞬にして白昼へと変えるほどの凄烈な輝き。木々の葉が白く焼き付いた影を浮かべ、空気そのものが震える。
     だが、闘神はもう臆さなかった。瞼を細め、視界を光に奪われぬように勘で動く。大地を踏み込み、土の震えで相手の這い寄る動きを察知する。

    「来るな、ルミノドン」

     彼女の声は落ち着いていた。眩しさで汗がにじみ、肌が焼けるように痛む。それでも拳は揺るがない。

     ルミノドンの巨大な口が、裂けるように開いた。人間など容易に丸呑みできる、黒く深い虚の洞。光を灯したその咽喉は、まるで地獄への入口のように見えた。

     次の瞬間、恐竜は突進した。巨体の這い寄りは地面を大きく揺らし、草木をなぎ倒す。光が闘神を飲み込み、影を完全に消し去った。
     だが、闘神は――動いていた。

     音。
     地響きに混じる、ごく一瞬の呼吸音と舌打ち。
     彼女の足が一歩踏み込み、腰をひねり、腕が振り抜かれた。

    「――ッ!」

     巨体が弾け飛ぶ音が森に轟いた。
     闘神の拳は、真正面からルミノドンの下顎をとらえ、その衝撃を利用して軌道を逸らしたのだ。丸呑みしようと迫った頭部は、信じられぬ角度で横へと弾かれる。

     閃光が森を裂く。しかし闘神は、その光を見ずに拳を繰り返し叩き込む。
     顎、側頭、喉元――的確すぎる連撃。巨体がのけぞり、咆哮すらかき消される。

    「……読める。君の動きは全部」

     闘神は静かに呟きながら、最後の一撃を胸部へ突き立てた。

  • 2571◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 18:39:21

     轟音。
     ルミノドンの身体が後方へ吹き飛び、数本の木をなぎ倒して地に倒れ込む。光は消え、夜の闇が戻った。

     動かない。
     ルミノドンの瞼の奥に光は宿っていない。巨大な口も閉じられ、森は再び静寂に包まれる。

     闘神は膝に手を置き、息を整える。
     火力は最低限しかない自分の拳。それでも読み合いの果てに、勝利を掴むことはできた。

    「……いい闘いだった。君は美しい進化の証だったよ」

     そう呟いて、彼女は静かに背を向けた。
     月明かりの下、森の奥でただ一人、闘神の姿はやがて闇に溶けていった。

    ――勝者、闘神。

  • 2581◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 18:39:31

    以上

  • 2591◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 18:40:16

    以上

    次の安価は20:00から10個募集

  • 260二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 19:25:35

    こういうタイプのフィジカルキャラもいいね

  • 261二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 20:00:00

    名前:星見のアルトラ
    年齢:15
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:特殊な術を扱う星見の一族の少年。穏やかな性格で天体観測が趣味。
    ある日の夜、日課の天体観測の折、彼は星々の彼方に恐ろしい何かを見た。その何かはアルトラを創り変え、その夜の記憶を奪った。目覚めた彼を待っていたのはいつもと変わらぬ日常だったが、彼の中では何かが決定的に、そして致命的に変わってしまった様だった。
    能力:星見の秘術/開門、飛来、招来、降臨
    能力概要:星見の秘術 様々な星座や惑星、銀河に準えた特殊な魔術を操る。種類が非常に豊富でどんな状況にも対応できる。
    開門:アルトラの精神の均衡が崩れた時に自動発動する能力。胸部から腹部にかけて大きく亀裂が入り、人間性が消失する。存在そのものが変質し遥か彼方、暗黒宇宙の果てと繋がる門と化す。亀裂からは黒い靄が噴出し、周囲を包む。この靄は宇宙そのものであり、門を守る強固な結界として機能する。
    飛来:門としての防衛機能。門周辺の重力を歪め、宇宙の彼方より隕石を引き寄せ周囲を殲滅する。
    招来:門としての防衛機能。門の向こう側より冒涜的神格の肉体の一部を呼び寄せ、脅威を殲滅する。現れるものは主に無数の巨大な腕や触手。
    降臨:門としての防衛機能では無い。門を通じて遥か彼方に座する絶対不変の恐怖、未知の冒涜的神格、名状し難き超越的存在が降臨する。それは既存の常識では測れず、目にした者はたちまち狂い、触れることすら叶わない。ただ戦場は混沌の渦に沈み、絶叫と狂気のみが吹き荒れる。それは戦いの行末に一切興味は無く、気が済んだ時点で姿を消す。
    門を越えて此方へ至る。あの夜アルトラが邂逅した存在の目的は既に達成された。
    弱点:開門後、アルトラは全ての生物的な反応を示さなくなり、回避行動などは行わない。
    ・降臨発動時、アルトラはその反動でダメージを受け、飛来や招来がしばらく発動できなくなる。
    ・開門後、アルトラの身体に刻まれた亀裂は攻撃を当てることで広がり、亀裂が肉体の輪郭まで届いた時点で砕け散り死亡する。
    要望(任意):開門使用時はアルトラ本人も驚いた様な反応をして、その後苦しみながら門へと変質する。

  • 262二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 20:00:00

    名前:轟竜ドラゴラックス
    年齢:?
    性別:メス
    種族:四輪駆動ドラゴン
    本人概要:
    竜の父と機械の母の間に生まれた機械と生物の中間の存在。父と母のいいとこ取りのような性能をしている。
    眉間にはどこかで見たことがある形の不思議な紋様があり、母から遺伝したその紋様を誇りに思っている。
    能力:ほぼ不死身
    能力概要:父の再生力と母の耐久性を兼ね備えた肉体。ほぼ不死身。
    弱点:
    ・欠損を治すにはそれなりに時間がかかる。
    ・顎の下あたりに明らかに逆向きのネジ、逆鱗ならぬ逆ネジが1本生えており、そこを強く押されると自爆機能が作動する。
    要望:自爆スイッチ押された時の効果音は「ポチリ」で最期は爆発オチでお願いします

  • 263二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 20:00:00

    名前:ニコール・トーテンタンツ
    年齢:7
    性別:女
    種族:人間
    本人概要:アルビオン裏社会を牛耳る"M教授"なる人物に仕えている鼠使いの一族「トーテンタンツ家」の一員 彼らは鼠を扱う方法にこそ差があれど一様に18世紀めいたペスト医師装束に身を包んでいるのだ もちろんマッドな幼女
    能力:血の魔導書
    能力概要:鼠の血を用いて書かれた魔導書を保有しており、その血を媒介として鼠の霊を召喚することで色々できる ちなみに魔導書は自作
    弱点:魔導書を破壊されると全ての霊体鼠が消える 霊体鼠が破壊されると魔導書からその分の血が消える 霊体鼠を呼び出すにはその番号を呼ばないといけない

  • 264二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 20:00:00

    名前:プレム=ローソ【命の英雄】
    年齢:不明
    性別:男
    種族:怪物
    本人概要:生命を生み出し続けている封印された英雄。本来は心優しく、世界を救世しようと励み、世界からも祝福された英雄。しかし大切な者を失い、護っていた仲間まで失った英雄は絶望し、自ら怪物へ身を投じ、世界を自身が味わった絶望そのものに変えるために世界の生命体の全てを自身が生み出した生命へ作り替えた。しかし、世界の滅亡一歩手前で神によって虚空の龜裂へ封印をされた。現在はエネルギー体から世界へ干渉し、眷属である生命(=怪物)を作り続けている。
    能力:《**命の英雄へ贈る最期の詩》
    能力概要:ありとあらゆる任意の場所から無尽蔵に生命(=怪物(怪物には動植物や人型の生物や機械も含まれる))を生み出すもの。
    全ての生物を抵抗する余地も与えずに上書きし生命(=怪物)へ作り替えることも可能である。生み出された生命は非常に狂暴で戦闘特化の神でも手こずるほど。生命や生命にした生物は英雄の思いのままに操れる。
    また、自身の体の一部に生命体と同じ身体へ変異させることも可能であり、普段は緑死鳥の翼を生やして無尽蔵に飛行している。一度に何匹でも可能である。
    生命は戦闘が長引けば長引くほど相手の力を吸収し、学習して強くなっていく。
    生命力を集めると、幾度となく世界を滅ぼした《終焉》を放つことが可能である。
    弱点:いまだ封印状態のため、これで能力の6/100しか出せていない。
    封印の影響で一度に2ヵ所からしか生命は出現させられない。
    生命は聖属性の力や悪意を持たない存在に弱く、純粋な存在からの攻撃では生命は一瞬で消滅する。
    複数の生命と共に出現する特に強い生命は英雄と繋がっているため、攻撃すれば英雄にもダメージが行く。
    英雄は攻撃を受けると生み出す生命の数が劇的に減る。
    要望:英雄は現場にはいません。龜裂にいます。

  • 265二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 20:00:01

    名前:【天上天下のインフィニティ】ゾーナム・ヤーン・セルバンデス&【洞枯れ老衰開闢】レレレのレ太郎
    年齢:18歳/不明
    性別:女/男
    種族:巫女/妖怪
    人物概要:ゾーナムは蒼白の髪と透明な瞳を持つ少女、レ太郎は身長10㎝で頭にカジキが刺さり服装がマ○ケンサ○バの怪異
    お互いに雪の下で死にかけていた過去があり魂と命、存在を共有する事によって命を繋ぎ二人で一人のコンビとなった
    ゾーナムはまるで雪原に咲く花のように儚く、触れれば鋭く切り裂く冷徹さを秘めている少女。ハンバーグが好きで二個食べる
    レ太郎は相手の弱みに付け込む卑劣奸。弱ってなければ弱らせてから叩く慎重さも持つ、相手が強いと即逃げる
    ゾーナムの最近の悩みはレ太郎の 語尾が「~でやんす」なのと好物が近所の金魚の金山登山で近所の金魚銀行に金を預けている事
    レ太郎とは無二の相棒であるがレ太郎と繋がっているせいで常に目が充血しているのも悩みの種である
    レ太郎はその昔、敵の能力を攻略するために無茶をした代償でたいがいの生活習慣病を患っている重症者でもあり治療費にも悩んでいる
    能力:【星よ謳え、調和を紡ぐ天上楽章】(セレスティアル・ハーモニクス)/開闢の黒呪
    能力概要:セレスティアルはゾーナム本来の異能で局所的に重力を増減させる。 それに伴う星辰操作
    そしてレ太郎と深く繋がっている事で目から血のビームを出す「血閃」ともう一つ「蛆呪い」という力も使える
    「蛆呪い」は 蛆の詰まった弾丸を相手に撃ち込み体内から食い荒らす。成長した蛆は蠅となって新たな戦力となる
    レ太郎は将棋の駒に物理的な破壊力を持たせる「将呪」、そして頭に刺さっているカジキを抜くことで封印を解除できる
    知能と引き換えに封印を開闢しあらゆるもの(知能を除く)に突出した力を得られる
    弱点:レ太郎と繋がっているのでレ太郎を攻撃されると致命傷レベルの大ダメージを負ってしまう
    レ太郎は彼女の足を引っ張りやすく彼女に隙を作ったり下手な行動をして彼女に不利を負わせたりと行動が裏目に出やすい
    彼女自身もレ太郎のアレコレの影響を受けているので動きが鈍くレ太郎を極力守る様に戦うので攻撃を喰らいやすい
    カジキはそう簡単には抜けない
    要望:レ太郎の語尾は「~でやんす」、ゾーナムのキメ台詞は「コツは頭のネジを3本外して1本締め直すことです」
    縁あって佐藤家の居候の一人です

  • 266二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 20:00:01

    名前:アルテンツァイト
    年齢:8000歳
    性別:オス
    種族:古神
    知神の眷属であった知獣が古を再現する事を極めた結果古神になった存在。何故古を再現する事を極めようとした理由は知神のもっと役に立ちたくて褒めてほしかったから。現在も知神とは主従関係である。姿は知識を象徴すると言われているグリフォンに近しい。
    能力:《Rekonstruktion der Alten Zeit》
    能力概要:古に滅んだ生物を呼び出したり、古に起きた事をこの地に起こしたり出来る能力。
    チコマセワルが自身が統治していた国を己の手で滅ぼした時の事すらも再び起こす事が可能である。
    弱点:知識を古に偏らせた為に、現在と未来の知識が失くなってしまい、それらの対応が一歩遅れる。
    古を再現するには、現界用の肉体では小さい事でももっとも速くて2秒かかってしまう。
    大事件の場合は、最低でも20秒かかる。
    現界用の肉体の要である、両翼にあるコアと尻尾にあるコアを両方破壊されると現界用の肉体は死亡する。
    両翼のコアだけを破壊されれば飛べなくなるのと上半身が動かしづらくなり、尻尾のコアだけを破壊されれば下半身が動かなくなる。

  • 267二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 20:00:01

    名前:生死流転 (本名 神崎 真希)
    年齢:32
    性別:女
    種族:人間……?
    本人概要:【紅月傭兵団】の幹部格の女性であり 
    何度も何度ミンチ、肉塊レベルの瀕死の状態から生き延びて身体を置換し復活したことから
    コードネーム【生死流転】がついた また任務は基本成功させている
    現在の身体は生身の部分が一つも無く機械や兵器、生体装甲に構成されており
    人間要素0だが本人は自分は人間だぜ?と言っている
    役割としては戦線を圧倒的な力で強引に制圧或いは突破する 切札的存在で依頼料も他の幹部と比べだいぶ高い
    ちなみに【屍山血河】とは同期でよく絡んでいる
    能力:テセウスの船
    能力概要:生死流転は死に掛け損傷た部位を機械や兵器で補うということを繰り返した結果
    肉体を脳味噌含めて全て機械や生体兵器に置き換えており生身という部分が一つもない
    これがテセウスの船と呼ばれる所以である
    肉体は機械と生体装甲の融合されており再生機能があるうえ頑丈で身体能力も高く
    全身機械であるが故精神干渉に耐性があり毒などを無効化する
    また全身に様々な兵器を内蔵している人間兵器
    そして相手の防御を無視した上で超威力を与えられる特注の二振りのブレードを主に使用する
    弱点:回避などが苦手でよく被弾する(これが原因で死に掛けた事が多々ある)
    機械化した影響で身体能力が非常に高い反面 熱が籠りやすくオーバーヒートすることがある
    オーバーヒートは短期間で冷却装置が発動し収まるものではあるがそれなりに継続する
    オーバーヒート状態の際は身体能力が低下、装甲なども機能停止し脆くなり隙ができる 
    オーバーヒート後は一部の兵器などが故障する

  • 268二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 20:00:02

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  • 269二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 20:00:02

    名前:蟷螂の魔物
    年齢:60
    性別:蟷螂の魔物
    種族:蟷螂の魔物
    本人概要: あらゆる理解の外にある魔物が一つ。その中でも珍しい襲名制に近い世代交代方法で、蟷螂の魔物に最も相応しい蟷螂が蟷螂の魔物へと成る。
     容貌は蟷螂。蟷螂を知らない者も見た瞬間コレが蟷螂だと理解する。本当に蟷螂なため普通の蟷螂と判別がつかない。蟷螂を隠すなら蟷螂の中ということである。
    能力:蟷螂
    能力概要:蟷螂とは最強の狩人である。恐ろしき隠密能力や強力無比な鎌とそれを振るう神速。蟷螂の魔物とはそれらの究極であり、理論上は最強をも屠り得る。
    弱点:途轍もなくもろい。踏まれても死ぬ、デコピン一撃で死ぬ、真面な攻撃一撃で死ぬ。

  • 270二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 20:00:45

    名前:最終決戦生体兵器ラストリゾート
    年齢:19年
    性別:なし
    種族:自立型人工的異種生物混合体
    本人概要:
    千幾がタルパ0号の開発を知り、面白そうだから自分もやろうと思って作り始めた兵器
    過去の強者や英雄の遺体の一部や、ライブラリが採取、確保に成功した生物を組み込んで作られた。
    元々はただの機械だったが、さまざまな異能力者や生物を加えていった結果、機械と生物の中間のような存在になっている
    機械と異形が半々に入り混じった青年のような見た目
    科学技術と異形の生物両方の性質を併せ持つ
    能力:解析進化
    能力概要:自分自身を解析し続けることで常に己を向上し続ける能力、ラストリゾートは進化し続ける、技術、異能、魔法、奇跡、生物、神、概念、あらゆるものを統括した世界の特異点となり、いずれこの世界全てを守る程の力を手に入れるまで
    進化するごとに兵装が変化する
    弱点:弱い相手を取り込んで解析しても効率が悪いため、強いやつを倒して取り入れようとする
    そのためラストリゾートに「こいつもっと強くなれるな、成長した時にまた来よう」と思わせることができれば帰る。
    解析は自分の体内に入れた物しかできない
    装甲がゴツいので動きが鈍重
    本人は自分に心がないと思っているが、本当はあり、首にかけている、研究所の仲間からのお守りを壊されるとぶちギレる
    要望(任意):もしラストリゾートが退散したら決着で

  • 271二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 20:00:55

    このレスは削除されています

  • 272二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 20:01:05

    名前:自覚の獣
    年齢:なんでも
    性別:なんでも
    種族:なんでも
    本人概要:遥か彼方のそのまた彼方、途轍もなく優れた文明を持った人々が気付いてしまったことがあった。それは全能すら意味を成さない完全なる超常にしてまごうことなき普遍が存在するということ。彼らは非常に優れていたがゆえに、その壁に真正面から立ち向かった。玉砕した。その残滓が自覚の獣 。
     一部だけだが、理解の及ばないはずのモノを再現できたと考えればお手柄ではある。しかし再現できなかったところの方が肝要なためやはり産廃。本人はめげずに本物に成ろうと邁進しているが、結局のところそれは再現不可だからこそ神秘であり神をも上回るものであるため土台無理な話である。
    能力:自義
    能力概要:自らが何なのかを定義することができる。
    弱点:相手に定義したものが見破られると定義が解除され致命的な隙を晒す。

  • 273二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 20:01:26

    代理

    名前:ナノ・ヤマト
    年齢:不明
    性別:女性型
    種族:情報・電算生命体
    本人概要:海底に眠っていた先史文明の小型電算機が沈没した戦艦とその乗員を解析したことでヒトの肉体を得た存在.人間及び知的生命体の作る文化・文明に強い関心を持っており,それを模すことで日々学習を積んでいる.最近のマイブームは釣り,驚くほどに下手くそで連日連夜ボウズである.それは当然だ,彼女は決して人には成れないのだから.彼女は物事を機能でしか見れていない,彼女にとってナイフとハサミは同じもの,魚と潜水艦の違いは分からず,釣り竿とUFOキャッチャーの見分けもつかない.
    人と彼女はまったく違うものであり,ナノ・ヤマトは人間に近似も類似もできない異常存在である.
    能力:ナノマシン
    能力概要:コアユニットが伝達する情報を模倣する銀の砂のような物質.ナノ・ヤマトはこれを活用することで強力な再生能力や物体生成能力を持つ.とはいえ関連付けが絶望的に下手くそであり,腕を治すつもりでロボットアームを作り出し,砲門を作っても放たれるのは手持ち花火だったりする.
    が,先史文明の遺産は埒外物理を自在に操る.彼女はその気になれば山すら焼き尽くす光学兵器を,海すら干上がらせる強力な爆雷を,空間すべてを把握できるセンサーを,大量絶滅を起こす隕石の一撃を防ぐバリアを,宇宙すら航行可能な船を作り出せる.
    弱点:コアユニットが破壊されると死ぬ.場所は人間で言うところの心臓のあたり,僅かに傷が付くだけでも修復のために防御に専念し攻撃がほとんどできなくなるうえ移動もできない.

  • 2741◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 21:27:22
  • 2751◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 21:27:47

    全採用

  • 276二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 21:38:33

    >>270

    これないですけど審査弾かれた感じですか?

  • 2771◆ZEeB1LlpgE25/09/06(土) 23:35:42

    あ、入れ忘れです
    すいません

  • 278二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 07:19:01

    保守

  • 2791◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 10:10:19

    星見のアルトラvs最終決戦生体兵器ラストリゾート
    生死流転vs蟷螂の魔物
    【天上天下のインフィニティ】ゾーナム・ヤーン・セルバンデス&【洞枯れ老衰開闢】レレレのレ太郎vs自覚の獣
    アルテンツァイトvs轟竜ドラゴラックス
    ニコール・トーテンタンツvsプレム=ローソ【命の英雄】

  • 2801◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 10:47:23

    題名『終焉を超えた頂点』

  • 2811◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 10:49:19

     夜空を見上げる少年の目に、ひときわ大きな星が瞬いた。
     名はアルトラ。星見の一族に生まれた彼は、いつものように小高い丘で天体観測をしていた。
     だがその夜、彼の視線の先に揺らめいたのは星ではなかった。

    「……なんだ、あれは……?」

     空の彼方から墜ちてくるように現れたのは、人でも獣でもなく、機械でもなかった。
     鈍重な足音を響かせながら、大地を抉り進む影――最終決戦生体兵器ラストリゾート。

    「対象確認。星見の血脈、未知の術式……」

     無機質な声。だがその抑揚にはわずかに生の響きが混ざっていた。
     人型でありながら半分は異形、半分は機械。冷たい装甲に血管のような管が脈打ち、胸部では何かが鼓動している。

    「解析開始……お前を取り込めば、我は更なる進化に到達する」

     低く機械的に宣言すると、重装甲の腕が音を立てて展開し、砲口のような器官が覗いた。
     アルトラは目を見開き、思わず一歩後ずさる。

    「ぼ、僕を……取り込む?」

    「恐怖不要。痛覚は消去してから同化処理する。苦痛は最小限に」

     夜風が凍る。
     だがアルトラの胸の奥には、あの夜以来眠っていた得体の知れない気配がざわめき始めていた。

    「……僕は、逃げられないのか」

     アルトラは星をなぞる指先を強く握り、決意を宿した瞳をラストリゾートへ向けた。

  • 2821◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 10:50:19

     その瞬間、丘の上に緊張が走り、二つの規格外が出会った。

    「戦闘開始――」

    「……星よ、僕に力を」

     夜空が凍り付くような静寂を挟み、戦いの幕が切って落とされた。

  • 2831◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 10:54:56

     大地を揺らすようにラストリゾートが一歩踏み込む。
     装甲が軋み、内部で金属と肉が擦れる音が夜に響く。

    「戦闘開始。星見のアルトラ、能力確認を優先……」

     その言葉と同時に、装甲が開き、淡い光を帯びた触手のような器官が伸びた。空気を撫でるだけで草が焦げ、石がひび割れる。
     アルトラは恐怖を呑み込み、両の掌を夜空に向けた。
     唇が震えながらも術式の詠唱を紡ぐ。

    「……銀河をなぞれ、星々よ、道を描け――星見の秘術《飛星》!」

     天に描かれた星図が瞬き、彼の掌から光の矢が奔った。流星群のように夜空を裂き、無数の閃光がラストリゾートを貫かんと降り注ぐ。

    「データ受信。初動魔術――流星型殲滅術式。対処開始」

     ラストリゾートの片腕が変形し、盾のような装甲板が展開する。だが完全に受けきる前に光矢が直撃し、爆光が闇を白に塗り潰した。

    「……っ!」

     爆風にアルトラは思わず身を守る。だが煙の中から響いてきたのは、呻きではなく機械の冷徹な報告だった。

    「損傷率、4%。構造解析完了。術式パターン取得」

     煙を突き破って姿を現すラストリゾート。装甲は焦げ、裂けてはいたが、機械の眼は赤々と輝き、むしろ飢えたように光を増していた。

    「進化開始。星見の秘術、模倣可能。次撃からは無効化する」

  • 2841◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 10:55:10

    「……そんな、僕の術が……!」

     アルトラの心臓が跳ねた。彼の秘術は、星見の一族に代々伝わる膨大な知識と星の加護に基づくもの。それを「模倣する」と言い放つ異形。

    「恐怖検出。感情パターン、学習材料に追加」

     ラストリゾートが再び踏み込む。地面が砕け、丘が震える。
     アルトラは汗を滲ませながら後退し、咄嗟に別の印を結んだ。

    「星よ……まだ僕は、諦めない! 星見の秘術《天秤座の盾》!」

     星座を象った光の盾が前に展開し、迫り来る異形の突撃を防がんと輝く。
     しかしラストリゾートは冷徹に呟いた。

    「その盾、次撃で崩壊。解析完了済み」

     刹那、機械の腕が変形し、盾を叩き割らんと振り下ろされた。
     少年と兵器の攻防は、ますます苛烈さを増していった。

  • 2851◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 10:57:02

     ラストリゾートの腕が光を纏い、アルトラの前に展開された《天秤座の盾》を粉砕した。
     ガラスが砕けるような甲高い音とともに、光の盾は霧散する。

    「――ッぐ……!」

     衝撃波がアルトラを吹き飛ばし、彼の背が岩壁に叩きつけられる。肺から空気が押し出され、苦痛に顔が歪んだ。

    「損傷率、0%。敵性対象、消耗確認。戦闘継続」

     冷徹に告げるラストリゾートの声は、機械と肉体が混じり合った奇怪な響きだった。その眼は飢えた猛獣のように赤く光り、星を映す少年の小さな体を射抜く。
     アルトラは膝をつきながら、己の胸を押さえた。
     心臓の鼓動が速い。恐怖と焦燥が、彼の内をじわじわと侵食していく。

    「僕は……負けられない……! でも……このままじゃ……」

     弱音が漏れかけた瞬間――視界が歪んだ。
     胸から腹にかけて、焼けるような熱と共に黒い線が浮かび上がる。まるで肉体に「亀裂」が走ったように。

    「……な、なにこれ……?!」

     アルトラは目を見開く。自分の体が裂け、そこから黒い靄が溢れ出すのを感じる。
     靄は冷たく、そして底知れぬ重みを持ち、彼の周囲の空気を押し潰していく。

    「異常反応検出。人体構造、崩壊開始……?」

     ラストリゾートの目が光を強める。冷徹な機械音声に、一瞬だけ「興味」という色が混ざった。

  • 2861◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 10:57:17

    「解析対象、未登録の現象。――好機」

     アルトラの苦悶の声が夜に響く。
     彼の背後に広がる闇は、まるで宇宙の彼方そのもの。星々の光が吸い込まれ、夜空すら黒に溶けていく。

    「やめろ……! 出てくるな……! 僕は……まだ……!」

     だが叫びは空しく、亀裂はさらに広がる。
     黒い靄が触れた草木は瞬時に枯れ、岩は砕け、音すら飲み込まれていった。
     ラストリゾートは静かに観測を続ける。

    「現象名、仮称――『開門』。解析進行中……」

     少年は震えながら、自分の中から「門」が開こうとしているのを悟った。
     そしてその門の向こうには、あの夜に見た“名状し難き何か”が、確かに存在していた。

  • 2871◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 10:59:15

     裂け目はついにアルトラの胸から腹全体を貫き、深淵のような口を開いた。
     そこから溢れ出した黒靄は、瞬時に広がり戦場を飲み込む。夜風が凍りついたように止まり、鳥も虫も声を失った。

    「――……っ、あぁぁぁああああ!!!」

     アルトラの悲鳴が響く。
     その顔は苦悶に歪み、だが瞳は既に人のものではない。
     虚ろな光が宿り、彼自身が「門」として変質していく。

    「解析結果更新……人間体、喪失。変質確認。対象名称――『門』へ移行」

     ラストリゾートの冷たい声が響いた。だが、次の瞬間。
     ――ズシィィィンッ!!
     上空から巨大な隕石が落ちてきた。大気を焦がし、雷鳴のごとく大地を砕く。
     それは《飛来》――門の防衛機能。
     重力を歪め、宇宙の彼方から死の塊を引き寄せる恐るべき一撃だった。

    「衝撃値、計測不能……! 機体損傷、表層装甲に亀裂!」

     ラストリゾートは初めて動揺を滲ませた。
     さらに黒靄の奥から――異形の腕が無数に伸びる。
     人の数十倍もある黒い触手が、地を這い、空を裂き、ラストリゾートを絡め取ろうと迫る。

    「――招来……!」

     アルトラの口から漏れたのは、もはや自らの意思かどうかも定かではない。

  • 2881◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 10:59:35

     門を通じ、冒涜的神格の肉体が一部だけ現れる。
     無数の触手が嵐のように襲いかかり、ラストリゾートの重装甲を叩き潰した。

    「防御障壁、破壊……! 損傷率、27%……!」

     ラストリゾートの機械音声が警告を発する。
     しかしその眼は逆に輝きを増し、興奮にも似た色が宿っていた。

    「未確認存在との接触。解析効率……最大。進化条件、充足」

     触手に絡め取られながらも、ラストリゾートは全力で状況を解析し始める。
     その姿は獣が餌を貪るようでもあり、学者が未知を研究する狂気の目のようでもあった。
     門はさらに靄を広げ、夜空の星を一つひとつ覆い隠していく。
     星を見失った夜。
     少年アルトラはもう存在せず、そこに在るのは宇宙そのものへと繋がる「門」だけだった。

  • 2891◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 11:01:54

     隕石の衝撃、黒い触手の絡みつき、そして宇宙そのものを思わせる黒靄の包囲――。
     ラストリゾートはそれら全てを一瞥した瞬間、冷たい声を発した。

    「解析開始。戦術最適化、全システム作動。」

     胸部の装甲が軋み、機械的な光が走る。
     手足の関節が再構築され、内部構造が変化していく――まるで生き物が自己改造を行うかのように。
     腕部からは鋭利なブレードが展開され、触手を切り裂く準備が整う。

    「対象……『門』。未知存在。解析完了率、12%。進化条件充足。次段階進化、開始」

     ラストリゾートの全身から光の線が飛び、まるで存在そのものが再構築されていくように見えた。
     次の瞬間、放たれた一撃は触手を次々と切断し、隕石をも粉砕する威力を持って跳ね返した。

    「不可避解析。衝撃、再計算。進化、完了」

     黒靄に包まれた門の奥、アルトラの中に残るかすかな意識が反応する。

     “どうして……こんなに……!?”

     解析進化により、ラストリゾートの体内では強大なエネルギーが循環し、武器・防具・感覚・戦術、あらゆる能力が瞬時に最適化されていく。
     ブレードを振るうたび、触手は粉砕され、宇宙から引き寄せられた隕石は全て細かい破片へと砕かれる。

    「進化完了。戦闘効率、最大。再解析、開始」

     ラストリゾートは冷静そのものだった。感情など微塵も見せず、ただ効率的に門を無力化する手順を繰り返す。
     しかし、門はただの物体ではない。アルトラの身体を媒体とした宇宙規模の存在。

  • 2901◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 11:02:18

     切っても切っても、黒靄は再生し、触手は再び伸びる。

    「……予測不能。しかし、解析可能。対象、全情報取得中」

     ラストリゾートは腕のブレードを高速で振り、触手を次々と断つ。
     黒靄の中に光を放ち、全方位から迫る危険を解析し、即座に対処する。
     門の圧倒的な範囲攻撃も、解析進化によって徐々に縮小され、ラストリゾートの反撃範囲が広がっていく。
     だが門の奥底から、アルトラの意識の断片が叫ぶ。

    「――いやあああっ、やめてっ……!」

     その叫びは無力だ。
     ラストリゾートは無情にも、ただ機械の如く解析と進化を繰り返すだけだった。
     そして次の瞬間、彼は完全な進化を完了させ、門を粉砕する最終手段の準備を整える――。

  • 2911◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 11:04:45

     空間を裂くような轟音。黒靄の渦が暴れ狂い、宇宙の欠片が周囲に散らばる。
     アルトラの門は依然として、無数の触手と隕石で反撃を続けるが、ラストリゾートの進化はすでに頂点に達していた。

    「解析終了。最終段階進化、完了。対象、完全制御下。」

     機械と生物の融合体――ラストリゾートの身体は光を帯び、ブレードが無数に展開する。
     触手や黒靄は瞬時に切断され、衝撃は全て吸収される。
     まるで全宇宙の法則を手中に収めたかのような存在感――解析進化が作り出した最強形態だ。
     空中に浮かぶ隕石群をも自在に操り、ラストリゾートは門の中心、アルトラ本人の位置へと迫る。

    「ここまで……来たか……」

     アルトラの中で、驚愕と恐怖が交錯する。
     身体はすでに門として変質しており、自分自身を守る術も限界に達していた。
     光が閃き、触手が粉砕されるたび、アルトラの肉体の亀裂はさらに広がる。

    「……マ、マーチ……これが……!」

     しかし、その叫びも虚しい。ラストリゾートは止まらない。
     腕部のブレードが最後の触手を断ち切り、胸部から腹部にかけて走る亀裂の中心を狙う。
     アルトラの中で、身体の変質が最大に達し、門としての機能が限界を超える。

    「解析完了。最終攻撃、発動。」

     光と力場が融合し、ラストリゾートは一気に圧縮された衝撃を放つ。
     門は大きく震え、膨張し、黒靄は光に焼き尽くされ、触手は粉々になる。

  • 2921◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 11:05:14

     アルトラの亀裂はついに全身を覆い、存在そのものが崩壊を始めた。

    「――うっ……ああ……いやあああっ……!」

     その声は次第に消え入り、空間の中で砕け散った。
     ラストリゾートは動じることなく立ち尽くし、周囲の残骸を解析しながら体勢を整える。
     完全な勝利。
     解析進化の力により、アルトラの門は消滅し、彼自身も未来からの干渉なしに現実世界へと戻ることは叶わなかった。
     静寂。宇宙の欠片が散らばる戦場に、機械と生物の融合体――ラストリゾートだけが存在していた。
     解析は続く。進化は止まらない。

    「次の対象……解析完了。進化条件充足……。」

     勝者は一人。
     そして、世界はまた、新たな頂点に触れた存在によって見守られることとなった。

  • 2931◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 11:06:24

    以上

    私これ好き

  • 294二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 11:07:19

    アルトラ 可哀想

  • 295二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 11:07:54

    これは名作

  • 296二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 11:42:45

    対ありでした。勝てたけどアルトラ可哀想

  • 297二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 12:37:08

    対ありです
    降臨まで行けなかったのが残念
    でも良いものが見れました

  • 2981◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 12:59:39

    題名『鉄血の旋律』

  • 2991◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 13:01:15

    闇に沈んだ工業地帯。錆びついたコンテナ群と無数の配管が迷路のように絡み合う空間に、微かな金属音が響く。

    「さて……今日の仕事も始めるか」

    機械仕掛けの体を持つ生死流転は、自らの全身を確かめるように腕を伸ばした。脳味噌まで機械に置き換えられた体は、普通の人間のように疲弊しない。しかしその重量感は、確かな存在感をもたらしていた。
    足元から、蟷螂の魔物の静かな歩みが聞こえる。だが、その存在感は小さく、まるで風のように隠れていた。

    「……相手は……小さくても侮れん」

    生死流転の目が、暗闇の先の影を捉える。無音のまま、しかし確実に、敵は近づいていた。神経を研ぎ澄まし、機械化された視覚と感覚で次の瞬間を読み取る。
    蟷螂の魔物はその体を完璧に隠しつつ、狩人の目で獲物を捉えていた。瞬間の判断と神速の動き。理論上はどんな相手も屠り得る、究極の捕食者。

    「……なるほど、相手も“最適化”されているようだな」

    言葉は口から漏れたが、声の響きすら冷たく、金属的だった。生死流転の全身が光を反射し、暗い地面に淡い光を放つ。
    蟷螂はその微細な光を感知し、静かに体勢を整える。狩りの前の呼吸のような静けさ。どちらも動かず、ただ視線だけが交わる。

    「……この距離なら、まだ互角だな」

    生死流転の全身兵装が微かに唸る。内蔵ブレードや射出装置が準備完了を知らせる。

    「……こいつ……本当に人間か?」

    蟷螂の魔物もまた、視覚だけで判断していた。人間に見える存在。しかし、力と速度の感覚は明らかに通常とは異なる。理論上の最強の狩人でも、相手は異質すぎる。
    その瞬間、工業地帯の空気が張り詰める。微かな金属音と、蟷螂の魔物の翅の振動。それが、戦いの幕開けを告げていた。
    両者の間に、ただ静寂が広がる。しかし、その静寂はやがて、破壊的な嵐へと変わる予兆だった。

  • 3001◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 13:05:35

    闇の工業地帯に、微かな金属音が響き渡る。生死流転の全身からは、冷たい光が反射し、周囲を淡く照らしていた。

    「……来るか」

    無言でブレードを握り直す。
    機械と生体装甲に完全に置換された身体は、攻撃の瞬発力を極限まで高めている。
    だが、回避行動は人間的判断が絡むため、完全ではない。そこを突かれれば、確実に損傷する。

    蟷螂の魔物もまた、無音で距離を詰める。小さな体でありながら、理論上は最強の狩人
    。飛ぶことも跳ねることもなく、地面を滑るように動くその姿は、まるで影そのものだった。

    「……なるほど、人間じゃないな」

    蟷螂の魔物は小さな翅を震わせ、感覚器で周囲の微細な振動を読み取る。
    相手の動き、空気の流れ、金属の微振動。すべてを解析し、次の攻撃を予測する。

    そして、最初の接触が起こった。

    生死流転が前に踏み出す。
    ブレード二振りを振りかざし、蟷螂の魔物を斬り伏せようとする。
    しかし、相手は瞬時に体を逸らし、金属ブレードは空を切る。

    「……速い……だが、これくらい」

    生死流転は全身の内蔵兵器を同時に作動させる。
    腕部からは小型の射出装置が閃光を放ち、脚部の補助スラスターで位置を微調整。
    人間兵器としての圧倒的な機動性を見せつける。

  • 3011◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 13:06:00

    蟷螂の魔物も負けじと応戦。
    鋭い鎌を前肢で振りかざし、神速の連撃で生死流転の装甲に切り込みを入れる。
    軽微な傷しかつかないが、その速度と精度に圧倒される。

    「……なるほど、相手の動きに隙はない。だが、まだ勝負はこれからだ」

    生死流転は短く息を吸い、冷静に次の動作を選ぶ。冷却装置の温度を確認し、オーバーヒートしないように制御する。戦闘の長期化を見越した慎重な判断。

    蟷螂の魔物はさらに加速し、ブレードと鎌が交錯する瞬間、鋭い金属音が響く。火花が散り、空気が震えた。

    「……小さいが、油断できない相手だ」

    生死流転は思わず呟く。
    鋼と血の匂いが混ざる戦場で、互いの呼吸と動きが正確に読み合わされる。
    狩人と人機、双方の圧倒的戦闘センスが、夜の工業地帯に刻まれていった。

    この戦い、次第に一方が優位に立つか、それとも均衡したまま膠着するのか。
    空気はさらに張り詰め、両者の次の一撃を待っていた。

  • 3021◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 13:08:07

    暗闇に金属音と鋭い羽音が重なり、戦場は一瞬の閃光で満たされた。

    生死流転のブレードが蟷螂の魔物に迫る。機械と生体装甲の全身が瞬間的に補正され、振るうごとに威力が増していく。

    「……ここで止めるわけにはいかないな」

    彼女の声は冷たく、無機質さを帯びているが、確かな意思が籠もる。
    ブレードが真っ直ぐ蟷螂の魔物を襲う。しかし相手は神速で身を翻し、狩人としての本能で回避する。

    「……小さいくせに……!」

    蟷螂の魔物の声は、まるで金属と機械の間を漂うような、機械的で低く響く音だった。狩人の眼は正確無比に生死流転の微細な動きを捉える。

    生死流転はすぐに反応し、全身内蔵兵器を総動員。
    腕部の内蔵銃から閃光弾が発射され、蟷螂の魔物の視界を一瞬奪う。その隙にブレードを振るう。

    「……なるほど、少しは疲労が見えるか」

    しかし蟷螂の魔物は光を利用して自らの動きを微調整し、またも回避。
    生死流転の攻撃は空を切り、金属音だけが響き渡る。

    「……この速度、解析だけじゃ追い切れない」

    生死流転は内蔵された計算機能を最大稼働させ、蟷螂の魔物の動きを予測する。
    微細な振動、空気の流れ、相手の筋肉の緊張を全て解析。次の一撃を正確に狙う。

    蟷螂の魔物もまた反応し、鋭い鎌を交差させながら攻撃を続行。

  • 3031◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 13:08:21

    相手の装甲を完全には切り裂けないが、速度と精度はまるで暗闇の嵐のように圧倒的だ。

    「……まさかここまで互角になるとは……」

    生死流転は短く息を整え、ブレードの角度を調整する。冷却装置はフル稼働、オーバーヒートの兆候は今のところない。
    だが、蟷螂の魔物の速度を見れば、一瞬の油断が命取りになる。

    両者は互いの攻撃を避け、迎撃し、再び次の衝突に備える。
    夜の工業地帯は戦闘音と金属音で震え、戦意が互いに伝播していく。

    「……いいわね、これが戦いの醍醐味」

    「……そうか……生き延びろよ?貴様……」

    声の間に、鋼と鋭刃が交錯する。互いの速度、反射、判断、すべてが極限に達し、次の一撃で決着が近づくことを予感させた。

    戦いは静かに、しかし確実に加速していく――生死流転と蟷螂の魔物、二つの絶対的存在の激突は、夜の闇を切り裂くように続いた。

  • 3041◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 13:10:13

    夜風に金属の匂いが混じる戦場。生死流転の全身装甲が熱を帯び始める。
    オーバーヒートの兆候が表れ、内部冷却装置が稼働するが、戦闘中では完全な冷却は難しい。

    「……くっ、熱が……まだ耐えられる……」

    彼女の声は機械的だが、かすかに人間の焦りが混じる。
    蟷螂の魔物はその変化を見逃さず、神速で接近。鋭利な鎌が生死流転の装甲を裂くように振るわれる。

    金属音が夜空に響き渡る。

    「ここで削れるか……!」

    生死流転はブレードを交差させ、防御と攻撃を同時に行う。
    しかし、オーバーヒートで一部の機構が反応鈍化。蟷螂の魔物はその隙を正確に突く。

    「……やはり、熱……制御不能……か」

    短時間での連続戦闘により、機械と生体装甲が部分的に機能低下。ブレードの振りがわずかに遅れる。
    蟷螂の魔物は鋭い鎌を振り抜き、生死流転の脇腹に一撃を放つ。

    「……くっ、想定内……!」

    生死流転は咄嗟に反撃の姿勢を取り、体内の兵装を再稼働させる。
    腕部の内蔵銃から閃光弾を連射し、蟷螂の魔物の視界を一瞬奪う。

  • 3051◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 13:10:26

    が、その短い隙も、蟷螂の魔物は柔軟に回避し、再び生死流転の背後に回り込む。

    「……ふぅ、速度はさすがだ」

    彼女は冷静さを取り戻そうとし、全身の解析機能を最大出力で稼働。
    次の一手を正確に計算する。

    しかし、蟷螂の魔物の動きは予測を超え、鋭い鎌が生死流転の肩をかすめる。

    「……くそっ……甘くないな……」

    夜の工業地帯は二人の戦闘でさらに破壊され、鉄骨やコンクリートが崩れ落ちる。
    双方の速度と反射神経が互いを引き上げ、熱と衝撃の連鎖が続く。
    生死流転のブレードは光を帯び、蟷螂の魔物の鋭利な鎌は金属音を残す。

    「……まだ……終わらせられない……!」

    「……貴様、ここまで来るとは……」

    互いの呼吸が荒くなり、戦意が頂点に達する。熱と影が交錯する中、決定的な一撃の瞬間が迫っていた。

  • 3061◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 13:13:51

    冷却装置がフル稼働するも、生死流転の装甲は徐々に限界に達しつつあった。熱の影響で関節部が軋み、内蔵兵器の一部が停止。彼女の呼吸も、かつての人間らしい息遣いのように、機械的な音に混じって荒くなる。

    「……くっ、ここまで……だが……終わらせる……!」

    蟷螂の魔物は周囲の影に隠れるように素早く移動し、背後から高速の鎌を振り抜く。
    生死流転はぎりぎりで回避するが、体の一部に衝撃が伝わり装甲がひび割れる。

    「……まずい……だが、これで終わるつもりはない!」

    彼女は内蔵のブレード二振りを同時に展開。
    残った動力を集中させ、まるで人間の筋肉のように自らの機構を限界まで駆動させる。

    熱と振動が体内を走り、電子音が鳴り響く。

    「……これが……私の、最終兵装……!」

    ブレードを回転させるように振り、蟷螂の魔物に連続攻撃を仕掛ける。
    鋭い金属音が夜空に反響し、蟷螂の魔物はそれを躱しつつも微かに刃に触れる。

    「……速度……解析済み……しかし……」

    生死流転は自身の解析進化機能を駆使し、蟷螂の魔物の動きを予測。
    わずかな軌道の差を修正し、ブレードの一撃を正確に叩き込む。
    しかし、蟷螂の魔物の体は極端に脆く、金属の衝撃が命中するとほとんど反撃の余地を残さず破壊される。

    「……ここで終わる……!」

    強烈な一撃で蟷螂の魔物の体を粉砕。
    砕け散る影と共に、夜の工業地帯には金属と土埃が舞い上がる。

  • 3071◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 13:14:04

    生死流転は体の振動と熱に耐えながらも、勝利を確信する。

    「……終わった……やはり、私は……生き延びる……!」

    砕けた蟷螂の魔物の残骸が静かに沈む。戦場に残されたのは、熱と煙、そして荒れ果てた鉄骨だけ。
    生死流転は全身を再稼働させ、冷却と損傷箇所の修復に取り掛かる。

    「……だが……次は……もっと厄介な相手になるかもしれない……」

    機械と兵器で構成された彼女の瞳は、無表情ながらも戦意に燃えている。

  • 3081◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 13:15:26

    夜明け前の工業地帯。
    戦場は金属くずと砂埃に覆われ、あちこちで損傷した機械類が不気味な軋みを立てている。
    勝利した生死流転はゆっくりと呼吸するように機械部位を駆動させ、損傷箇所の自己修復を始める。

    「……ふう……やはり、オーバーヒートは避けられないか……」

    装甲の接合部から蒸気が上がり、体内に過負荷が残る。
    だが、その眼は冷静で、決して緊張や恐怖に支配されてはいなかった。
    自分が完全に機械化された存在であることを、再び強く実感する瞬間でもある。

    遠くに残された蟷螂の魔物の破片を見つめ、彼女は静かに呟く。

    「……無駄死にはさせない……次の相手も……この力で制する……」

    周囲の破壊の痕を確認しながら、彼女の頭脳はすでに次の戦術を計算している。
    戦場に残る金属片や倒れた建造物を利用すれば、次の任務も容易になるだろう。

    「……任務完了……だが、気を抜くのはまだ早い……」

    無表情に見えるが、内心は冷静そのもの。自己修復を進めながら、次なる指令や接触可能な情報源をスキャンする。完全に戦力を回復させることは、彼女の最優先課題だ。

    金属音と蒸気の中で、彼女のブレードが微かに光を反射する。
    生身の人間ではない、しかし戦場で最も“人間らしい決意”を持つ存在。

    「……次に会う敵も……容赦はしない……」

    沈黙の戦場を背に、生死流転は歩を進める。
    冷たい夜風が機械の体を撫で、損傷箇所を徐々に冷却していく。
    その歩調には、勝利者特有の余裕と圧倒的な存在感があった。

  • 3091◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 13:15:38

    「……これが……私の、生きる道……」

    遠くで崩れた建造物の影に、朝日が差し込む。荒廃の中で、唯一の勝者として立つ彼女の姿は、まるで無慈悲な戦神のようであった。
    そして、再び動き出す足音が、次なる戦場への予兆となる。

  • 3101◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 13:15:58

    以上

  • 3111◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 16:45:32

    題名『雪原に咲く二つ星』

  • 3121◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 16:49:42

    雪原に、白い月光が差していた。
    その冷たい光の下に、二つの影が並んで立っていた。
    蒼白の髪と透明な瞳の少女――ゾーナム・ヤーン・セルバンデス。
    そして、彼女の肩にちょこんと腰掛ける身長十センチの怪異――レレレのレ太郎。

    「……レ太郎。星の運行が乱れているわ。あそこ、見える?」

    ゾーナムが指差した先、夜空の一角が黒く歪んでいた。まるで空間そのものが自らの存在を疑っているように、形を定めず震えている。

    「おやおや……厄介そうでやんすな。あんなの見たら即刻帰りたいでやんすけど、どうするでやんす?」

    「決まってます。コツは――頭のネジを三本外して、一本締め直すことです」

    ゾーナムの唇に薄い笑みが浮かぶ。
    次の瞬間、黒い歪みが形を結んだ。

    それは、獣のようで人のようで、しかしどちらでもない。

    無数の瞳孔が一斉にこちらを見た。

    「……定義する。私は狩人だ。お前たちは獲物だ」

    空気が揺れる。
    自覚の獣が声を発した瞬間、その存在そのものが世界に刻まれるように「在る」ことを強制された。
    言葉によって世界を塗り替える力――自義。

    「うへぇ……勝手に狩られる気なんざ無いでやんすよ」

    レ太郎がゾーナムの髪を引っ張り、目を血走らせる。彼の瞳から「血閃」が走り、赤い光線が獣の足元を抉った。

  • 3131◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 16:50:34

    だが――。

    「定義する。私は無形。攻撃は通じない」

    赤光が当たった箇所は霧のように散り、跡形も残さなかった。
    ゾーナムは眉をわずかに動かす。

    「……定義を破らなければ、何も届かない。面白い相手です」

    「ゾーナム、どうするでやんす?相手の虚を突かないと勝ち筋ゼロでやんすよ!」

    「だからこそ、やりがいがあるのです。星よ――謳え」
    ゾーナムの周囲に、青白い光が降り注ぐ。セレスティアル・ハーモニクス。
    局所的に重力を歪め、空間に星辰を再現する術。
    彼女の周囲で小さな恒星が瞬き、流星のように獣へ降り注ぐ。

  • 3141◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 16:50:51

    だが――。

    「定義する。私は無限の盾。星は砕ける」

    流星群が触れるより早く、獣の輪郭を覆う「見えない壁」がそれを弾き返した。
    雪原が炸裂し、氷塊が宙を舞う。

    「はっ……。これは……やりにくいでやんすなぁ」

    レ太郎が額のカジキを抑えながら苦笑する。
    ゾーナムは真っ直ぐ獣を見据え、透明な瞳を細めた。

    「レ太郎。星が砕けるなら、次は……蛆の歌を聴かせてあげましょう」

    そして彼女の指先に、黒く脈打つ弾丸が生まれる。蠢く蛆が詰め込まれた忌まわしい呪弾――「蛆呪い」。
    自覚の獣の無数の眼孔が、それを一斉に見開いた。

    「……定義する。私は恐怖を知らない」

    だが、ゾーナムは静かに呟く。

    「その定義……崩してみせます」

    雪原を揺らす戦いの幕が、静かに開いた。

  • 3151◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 16:56:12

    ゾーナムの白い指先から、黒い弾丸が雪原を裂いて放たれた。
    それはただの弾丸ではない。内部には蠢く蛆がぎっしり詰め込まれ、撃ち込まれた対象を内部から喰らい荒らす。忌まわしき「蛆呪い」の弾丸。

    「いけぇぇぇっ!喰らえでやんす!」

    レ太郎が肩の上で拳を振り下ろすように叫ぶ。
    黒弾は音を立てず、獣の胸部に突き刺さった。

    瞬間、獣の肉体は黒い液体のように揺らぎ、そこに蛆がぶちまけられる。
    数千数万の蛆が体内に潜り込み、内側から臓腑を食い破ろうと蠢く。

    「……定義する。私は空虚。内臓も肉体も無い」

    ゾリ、と音を立てて蛆が消滅した。

    獣の胸部には傷一つ残らず、ただ虚無だけが広がっていた。

    「くっ……。蛆が……通じない?」

    ゾーナムが目を細める。

    「無駄でやんす!あいつ、自分を“無い”って定義してやがるでやんす!」

    レ太郎が叫び、頭のカジキをガリガリとかきむしった。

    「これじゃあ攻撃が全部すり抜けるでやんす!」

    獣は淡々と告げる。

  • 3161◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 16:57:00

    「……お前たちの武器は、全て意味を持たない。定義する。私は勝者だ」

    その瞬間、空気が凍りついた。

    圧倒的な「強制力」が雪原を覆い、ゾーナムとレ太郎の胸を締め付ける。
    呼吸すらも奪われそうな、絶対の宣告。

    ゾーナムは冷徹な声で言葉を返した。

    「定義を押しつけるだけでは、勝てません。あなたの“虚”は、私の“星”で打ち抜く」

    「コツは――頭のネジを三本外して、一本締め直すことです」

    彼女の足元に星々の光が散りばめられる。
    重力が変調し、彼女を中心に小宇宙が形成された。光の流星群が再び獣を包み込む。

    「……定義する。私は“無限の夜”。星など届かない」

    漆黒が降り注ぎ、流星の光を呑み込んだ。

  • 3171◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 16:57:14

    しかし次の瞬間、星々の残光の一つが獣の腕をかすめ、皮膚を焦がした。

    「……っ」

    ゾーナムの瞳が光を増す。

    「見えました。あなたの定義には“綻び”がある。完全ではない」


    「そうでやんす!相手は再現不能のモノを無理矢理真似してるんでやんす!定義の隙間を突けば、勝機が見えるでやんす!」

    レ太郎が血走った目から再び赤い「血閃」を放つ。
    獣の無数の瞳が同時に開き、咆哮を上げた。

    「……定義する!私は“完全”。欠陥など無い!」

    だが、雪原を走る光と闇の激突の中、確かにその叫びには焦りが滲んでいた。

  • 3181◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 16:59:54

    獣の黒い咆哮が雪原を覆い尽くす。

    その声は存在を塗り潰すかのような絶叫であり、聞くだけで思考を掻き消すような圧を伴っていた。
    ゾーナムの耳から赤い血が滴り落ちる。

    「……強制的に定義を押し付けられる……。思考すら塗り潰すなんて……!」

    肩の上のレ太郎が歯を食いしばった。

    「ぐっ……!やっぱ本物には成れてねぇでやんす!だから隙が生まれるんでやんす!」

    彼は充血した瞳から、再び「血閃」を迸らせる。
    赤い直線が空を裂き、獣の虚無の体を照らした。

    「……っ」

    光を浴びた瞬間、獣の胸にわずかな輪郭が浮かび上がる。

    “無い”と定義しているはずの部位に、確かに「ある」という影が映し出された。
    ゾーナムの声が低く響く。

    「星の光は、虚無をも照らし出す……。あなたの“無”は幻影に過ぎない」

    彼女の両腕が広がる。
    雪原の上空に無数の光点が浮かび、重力が軋むように歪んでいく。

    「セレスティアル・ハーモニクス――星よ謳え、調和を紡ぐ天上楽章!」

    星々が一斉に降り注ぎ、血閃の軌跡と交差して獣を包み込む。

  • 3191◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 17:00:39

    光と血の合奏。虚無を砕き、獣の定義そのものを穿つ。

    「ぐ……っ、定義する!私は“揺るがぬ真実”だ……!」

    獣が吼え、無理やり自己を再構築する。
    だが、再現不能の領域を模倣しているが故に、その定義には軋みが走っていた。

    「……見えたでやんす!」

    レ太郎が叫ぶ。

    「今なら攻撃が通るでやんす!あいつの“定義”は揺らいでる!」

    ゾーナムは息を整え、鋭い声で言い放った。

    「ならば――切り裂くのみ」

    流星群がひときわ強く輝き、獣の片腕を直撃した。
    漆黒の虚無が弾け飛び、真っ赤な光が零れ出す。
    獣は呻き、膝をつく。

    「……なぜだ……私は……“完全”のはず……」

    ゾーナムの視線は鋭く、その冷徹な声音が雪原に響いた。

    「あなたの“完全”は、ただの虚飾。真実の星は、虚構を暴く」

    レ太郎がニヤリと笑う。

  • 3201◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 17:01:38

    「そろそろ決着の匂いがするでやんすなぁ……」

    雪原を覆う光と闇は、次の瞬間、さらに大きな衝突へと向かおうとしていた。

  • 3211◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 17:07:44

    吹雪が一瞬止まり、世界は白と黒だけに染まった。
    虚無の獣がゆっくりと立ち上がる。
    その姿は、先ほどの揺らぎを嘲笑うかのように膨張し、空を覆い隠していく。

    「……虚飾だと?では見せてやろう……虚飾こそが真実であると」

    獣の声は幾重にも重なり、まるで世界そのものが語りかけてくるようだった。
    黒き腕が振り下ろされる。空間が裂け、光そのものが掻き消える。

    ゾーナムの星辰の輝きが、一瞬にして曇った。

    「……っ、定義の上書き……“光は存在しない”と……!」

    レ太郎が歯を食いしばる。

    「チッ、負けてらんねぇ!――血閃ッ!」

    赤い閃光が再び迸る。
    だが、その瞬間、レ太郎の目からは大量の血が溢れ、頬を伝って雪を染めた。

    「……ぐはっ……!目が……焼ける……!」

    彼の体がふらつく。能力の反動が、容赦なく襲いかかっていた。

  • 3221◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 17:08:20

    ゾーナムが振り返り、鋭く叫ぶ。

    「無理をするな、レ太郎!あなたの“視る力”が失われれば――」

    「黙れでやんす!」

    レ太郎の声は震えていた。

    「オイラが見なきゃ……あの虚無は誰も撃ち抜けねぇ!……だから、血が尽きるまで視る!」

    獣の影が迫る。
    その爪先が雪原を抉り、轟音とともに衝撃波が走る。

    ゾーナムは星の盾を展開するも、その半分が即座に“無”へと飲まれ消え去った。
    「クク……抗うほどに無駄だ。お前たちの“ある”は、私の“ない”の前に屈する」

    星と血が押し潰されていく。
    ゾーナムの光は曇り、レ太郎の視界は赤く染まり、雪原には黒い虚無が広がっていく。

    ――それでも。

    ゾーナムの瞳は揺らがなかった。

    「無駄ではない……。あなたが“定義”を乱すたび、虚無に綻びが生まれている」

    「ほぉ……?」

    獣がわずかに笑う。

  • 3231◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 17:10:26

    その瞬間、レ太郎が口元から血を垂らしながら叫んだ。

    「ゾーナム!今だ……!胸の中心、虚飾が剥がれかけてるでやんす!」

    ゾーナムは息を整え、両腕を掲げる。

    「ならば――その虚飾、星の調律で打ち砕く!」

    虚無と星と血が交錯する、決定的な瞬間が訪れようとしていた。

  • 3241◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 17:17:21

    黒き虚無の獣が大地を覆い尽くす。
    雪原は闇に呑まれ、光はことごとく掻き消されていた。その中心で、ゾーナムとレ太郎は背中を合わせて立っていた。

    「……ゾーナム。正直、もうオイラ、立ってるだけでやっとでやんす」

    レ太郎の声はかすれていた。眼窩から流れる血は止まらず、雪を赤く染めていく。
    ゾーナムは深く頷く。

    「君の犠牲は無駄にはしない。……私も限界だが、切り札を使う」

    彼の掌に無数の星屑が集まり始める。
    まるで夜空そのものを凝縮したような輝き――“星血共鳴陣”。

    「星は流れ、血は巡る……ならば両者を繋げ、虚無を裂く道標とする!」

    ゾーナムの声が響いた瞬間、陣から放たれる光がレ太郎の血を吸い上げ、赤と青の光が渦を巻く。
    レ太郎が呻きながらも笑った。

    「へっ……オイラの血まで燃料にする気か。いいでやんすよ……どうせ全部、流れちまうなら!」

    虚無の獣が咆哮する。

    「愚か者ども……“ない”を“ある”で飾ろうとするか!ならば、その飾りごと呑み潰す!」

    漆黒の顎が大地を裂き、二人に迫る。
    その刹那、レ太郎が最後の力で叫んだ。

    「ゾーナム!――撃てぇぇぇッ!」

    ゾーナムの両腕が前に突き出される。

  • 3251◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 17:17:46

    星と血が共鳴し、一条の閃光となった。

    その名も――「星血断光(せいけつだんこう)」。
    赤と青の閃光が虚無の中心を貫く。

    獣の胸に走る裂け目から、内側の“虚飾”が剥がれ落ちていく。

    「ば、馬鹿な……“ない”が……消える……だと……?」

    轟音。
    光が爆ぜ、闇が裂け、雪原を覆っていた虚無が霧散していく。

    レ太郎はその場に崩れ落ちた。

    「……はぁ……はぁ……。見えねぇけど……当たったでやんすよな……?」

    ゾーナムは彼を抱き止め、微かに笑んだ。

    「ええ……君の目が導いたおかげです。虚無の心臓は、確かに断ち切った」

    雪原には再び星明りが降り注いでいた。

  • 3261◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 17:20:34

    雪原に静寂が戻る。
    しかし、沈黙の奥底で「自覚の獣」はまだ息絶えてはいなかった。
    胸を裂かれ、漆黒の体から無数の光の粒子がこぼれ出しながらも、歪んだ笑みを浮かべる。

    「……フ、フフ……。見事だ。虚無を裂くとは……だが忘れるな。私は“定義”だ。私が生きていると、私が“生きている”と定義する限り……滅びはしない」

    ズズズ……と、裂けた体が再び閉じ始める。
    その光景を見て、レ太郎が呻くように叫ぶ。

    「ゾーナム……あいつ、再生してやがるでやんす!オイラの血も、もう一滴も残っちゃいねぇ……」

    ゾーナムの目は赤く充血しながらも、静かに決意の光を宿す。

    「……コツは頭のネジを3本外して、1本締め直すことです」

    「はぁ!?こんな時に何いって――」

    ゾーナムは彼の小さな体を強く抱きしめた。

    「つまりね……正気を捨てて狂気を一つに収束させる。それが今の私たちに残された唯一の突破口です」

    レ太郎の瞳が見開かれる。

    「お、おい……まさか、オイラごと――」

    「ええ。あなたと私、完全に同化する」

    ゾーナムの声は揺るがなかった。

    「あなたを守るために共に生きてきた。けれど……今はあなたを抱いて死ぬために戦う」

  • 3271◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 17:21:00

    レ太郎は震えながらも、薄笑いを浮かべた。

    「……ったく。最後にして最大の無茶ぶりだな。……いいでやんすよ。オイラだって、ゾーナムと一緒なら……」

    二人の魂が重なり合った瞬間――蒼白の光と血の赤が完全に融合する。
    その存在はもはや一人でも二人でもなく、**「星血の花」**と呼ぶべき異形の輝きとなった。
    「自覚の獣」もまた吠える。

    「ならば、私も最後の定義を下そう!――私は“絶対不滅”。この宇宙が砕けても私は消えぬ!」

    虚無と絶対が激突する。
    星血の花はただ一閃――雪原を覆うほどの光の斬撃を振り下ろした。

    「これが……私たちの存在の証明だぁぁぁぁ!」

    閃光が闇を切り裂き、獣の体を根源ごと両断する。

    「う、ぐ……な、ぜ……“絶対”が……破れる……?」

    ゾーナムとレ太郎の声が重なる。

    「答えは単純。あなたの“絶対”は虚飾。私たちの“共生”は真実。定義ではなく、存在そのものだから!」

    轟音と共に、自覚の獣は断末魔の叫びを残し、光に飲まれて消滅した。
    ――雪原に静寂が戻る。
    しかしその場に、ゾーナムもレ太郎も立ってはいなかった。
    残されたのは、雪に散った赤と青の花弁のような光だけ。
    空を見上げると、凍てつく夜空に二つの星が寄り添うように輝いていた。
    まるで彼らの魂が、永遠に共にあることを示すかのように。

  • 3281◆ZEeB1LlpgE25/09/07(日) 17:21:19

    以上

  • 329二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 17:48:19

    かっけぇ…

  • 330二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 17:50:56

    レ太郎良いキャラしてるなぁ

  • 331二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 17:51:03

    自覚の獣って提唱者みたいだな 定義するで能力発動させるのカッコいい

  • 332二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 17:51:18

    美しい共生だった…

  • 333二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 17:51:36

    ギャグかと思いきやシンプルにカッコ良かった

  • 334二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 17:54:15

    まさかの相討ち

  • 335二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 17:56:39

    合体し始めて草
    好きですこういう展開

  • 336二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 18:17:59

    自分で自分を定義する能力めちゃくちゃオシャレだ

  • 337二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 00:04:54

    このコンビなんかクセになるな
    めっちゃ好き

  • 338二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 09:25:42

    保守

  • 3391◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 12:05:11

    題名『逆ネジで散る爆炎』

  • 3401◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 12:07:12

    白銀に覆われた孤島の雪原。

    アルテンツァイトの翼が光を帯び、透明な瞳に古の記憶が宿る。

    「古を再現する……全ては、古の記憶のために!」

    その声が雪嶺に響くと、地面が微かに震えた。

    雪原の奥から轟音が近づく。
    轟竜ドラゴラックスが姿を現す。
    四輪駆動の巨躯が雪を蹴り上げ、氷の粒子が飛び散る。

    「ここが……終焉の場所か……」

    その目は冷徹で、古の顕現も恐れず、ただ前に進むだけだ。
    アルテンツァイトの翼が震え、空気が光の粒子で満たされる。
    太古の巨獣の影が雪原に現れ、古に滅びた山々や崩壊した都市が幻影として浮かぶ。

    雪嶺に、過去の記憶が現実のように蘇る。

    「動くのか、無限の古よ……!」

    古の象徴たる鳴き声が空を裂き、雪嶺全体が揺れる。
    ドラゴラックスは揺るがず、無言で距離を詰める。

    「俺の前に立つ者よ、覚悟はできているな……」

    翼を広げたアルテンツァイトの背後で、古の猛獣たちが咆哮する。

    大地が割れ、雪が巻き上がり、幻影の群れが雪原を覆う。

  • 3411◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 12:09:31

    しかしドラゴラックスの四輪駆動がその幻影を切り裂く。

    「見せてもらおう……古の力が、この私を止められるかどうかを!」

    アルテンツァイトは知識を全身に集め、光の粒子で雪原を照らす。

    古に滅んだ巨獣の爪が地面をえぐり、氷が砕ける。
    しかしドラゴラックスは動じない。

    巨躯を低くして滑り、雪の凹凸を利用して飛び込む。

    「これが……現世の重力、か……」

    アルテンツァイトは翼を羽ばたかせ、古の嵐をさらに加速させる。

    雪原がまるで過去と現在が交錯する異空間に変貌する。
    雪嶺の風が狂気のように渦巻き、雪粒が鋭い光の刃となって舞う。
    ドラゴラックスの瞳は鋭く、古の顕現を読み切り、最短距離で接近する。

    「光も影も……関係ない……私の進む道を阻むものはない!」

    アルテンツァイトの翼の光がさらに増し、雪嶺全体が輝く。

    その光に照らされるドラゴラックスの影は、悠然と伸びる。
    両者の間に漂う空気が張り詰め、雪嶺全体が戦場のように変貌する。

  • 3421◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 12:09:48

    「古の記憶よ……今、ここに現れよ!」

    巨獣の幻影が怒号のように咆哮し、氷の壁が雪原を切り裂く。
    しかしドラゴラックスは冷静に足場を選び、地面を蹴って距離を詰める。

    「来るがいい、古神よ……私は、この一歩を止めない!」

    雪嶺の白銀と光の中、両者は視線を交わす。
    戦いの幕開けを告げるように、雪嶺の風がさらに強く吹き荒れる。

    古の顕現と未来を担う機械のような体躯が、衝突の瞬間を待つ。
    雪嶺に、静寂と狂気が交錯する。
    アルテンツァイトの瞳に宿る光が一層強くなる。

    「さあ……古を、再現する時だ……!」

    ドラゴラックスは無言で頷き、四輪を回転させて雪原を駆ける。
    雪嶺の戦場は、既に二人だけのものとなった。

  • 3431◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 12:11:05

    アルテンツァイトは翼を広げ、古の猛獣たちを雪原に呼び出した。雪嶺の空気が震え、氷と雪の粒子が舞う。巨獣たちは轟音を上げながらドラゴラックスに迫る。

    「古を再現する力……見せてやる……!」

    ドラゴラックスは動じず、四輪駆動の足で雪を蹴り、猛獣たちの間をすり抜ける。瞬時に距離を詰め、翼を羽ばたかせる古神の攻撃を読み切る。

    「無駄な力だ……私は止まらない!」

    アルテンツァイトの翼が光を帯び、幻影の猛獣たちが突撃する。雪原は咆哮と光に包まれ、戦場はまるで過去の世界そのもののようだ。

    ドラゴラックスは地面を蹴り、高速で猛獣たちを避けながら突進する。爪先が雪を砕き、鋭い光の破片が飛ぶ。

    「古に滅んだ力よ……今、私の前に現れよ!」

    翼の光がさらに増し、氷の結晶が空中で砕け散る。古神の顕現は圧倒的だが、ドラゴラックスは巧みに間合いを取り、反撃の隙を伺う。

    アルテンツァイトの翼が下がり、雪原に巨大な影が落ちる。

    「避けられるか……!」

    ドラゴラックスは咆哮を上げ、巨躯を地面に叩きつけて猛獣たちを吹き飛ばす。雪と氷の嵐が巻き上がり、視界を遮る。

    「来い、古神の力……我が牙の前で試せ!」

    アルテンツァイトは翼を振り、再び幻影を増やす。空中の猛獣が雪嶺を蹂躙し、氷柱が次々と立ち上がる。

    しかしドラゴラックスは巧みに旋回し、幻影の間を縫って突進する。顎の紋様が光り、鋭い一撃が古神の翼をかすめる。

  • 3441◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 12:11:42

    「この速度……読めるか、古神よ!」

    アルテンツァイトは顎を噛みしめ、古の記憶をさらに呼び覚ます。猛獣の咆哮が雪嶺全体を揺らし、氷の柱が崩れ落ちる。

    ドラゴラックスはそれを利用し、地面を蹴りつつ空中で反転し、翼のコアを狙う。

    「これで……どう動く?」

    翼の光が瞬間的に増幅し、古神は猛獣たちと共に防御を固める。しかし、ドラゴラックスの速度はそれを超え、真っ直ぐに突き進む。

    雪嶺の風と光の中、両者の衝突は次の瞬間に迫っていた。

  • 3451◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 12:14:06

    アルテンツァイトの翼が空を切るたび、雪嶺に古の光景が映し出される。滅びた森、失われた都市、凍てつく海原。空中に浮かぶ猛獣たちはその再現の一部だった。

    「古の力よ……再び現れよ……!」

    翼の動きと共に、氷の巨竜や牙を剥き出す猛獣が次々に出現する。雪嶺の空間が一瞬で戦場へと変貌した。

    ドラゴラックスは鋭い視線で幻影を見極める。高速で旋回し、四輪駆動の脚を巧みに使いながら、現実の古神と幻影を瞬時に見極めて進路を定める。

    「速すぎる……だが読める!」

    空中を滑空するドラゴラックスの姿に、古神の目が鋭く光る。翼のコアにかかる圧力は増し、アルテンツァイトの体が微かに震えた。

    「これが……古を再現する力……!」

    アルテンツァイトは翼を振り、古の猛獣を一斉に突撃させる。光と影が交錯し、空中に咆哮と轟音が響く。

    ドラゴラックスは身をひねり、猛獣の間を縫うように飛翔する。鋭い爪先で氷柱を砕き、猛獣の攻撃を回避。

    「これが……私の力だ……!」

    空中での旋回と加速を繰り返すドラゴラックス。古神の幻影は圧倒的だが、機動力と冷静な判断で切り抜ける。

    アルテンツァイトは翼を高速で羽ばたかせ、幻影を増やす。空間に浮かぶ巨獣たちは、まるで現実と区別がつかないほど精巧だ。

  • 3461◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 12:14:23

    「どこまでも……再現する……!」

    だがドラゴラックスはさらに加速。翼の幻影を貫き、古神の翼のコアを正確に狙う。

    「ここだ……逃さない!」

    光と氷の嵐の中、ドラゴラックスの衝撃が古神の翼に直撃。翼のコアが微かに揺れ、アルテンツァイトの体が反応する。

    「これは……!」

    古神の呼び出した幻影が一瞬動きを止める。その隙を逃さず、ドラゴラックスは空中で反転、猛獣たちの間を滑るように移動する。

    アルテンツァイトは焦りを隠せず、再び翼を羽ばたかせるが、コアへの衝撃が次の行動に影響を与えていた。雪嶺の空は光と影の渦に包まれ、戦況はさらに激化する。

    「……この速度……どう抗う?」

    ドラゴラックスの瞳に闘志が燃える。古神の圧倒的幻影に対して、ただ一つの現実で反撃を繰り出す。

    雪嶺の風は二つの力の衝突に引き裂かれ、空中戦は次第に熾烈を極める。

  • 3471◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 12:15:10

    アルテンツァイトの翼のコアに微細な亀裂が走った。雪嶺の空に舞う光の幻影は依然として圧倒的だが、ドラゴラックスの動きは止まらない。

    「今度こそ……ここで決める……!」

    四輪駆動の脚を巧みに使い、空中で回転しながら接近。ドラゴラックスの瞳に鋭い集中が宿る。古神の幻影の隙間を縫い、核心である翼のコアに迫る。

    「この速度……甘く見るな……!」

    アルテンツァイトは翼を振り、次々に古代の猛獣を呼び出す。空間に咆哮が轟き、雪嶺の大気は揺らめいた。幻影の巨獣たちは現実と区別がつかず、どれもが死角を生み出す。

    だがドラゴラックスは冷静だ。猛獣の一撃をかわし、滑空の角度を微調整して翼のコアに狙いを定める。

    「ここだ……外すな……!」

    古神の羽ばたきが空間を裂き、強烈な衝撃波が放たれる。雪嶺の氷柱が次々に砕け、空中に飛び散った。だがドラゴラックスは無駄な動きをせず、正確にコアへの接近を続ける。

    「古を再現する力……甘く見られるものか……!」

    アルテンツァイトの声が空間に響き、再現された猛獣たちが一斉に突進してくる。しかしドラゴラックスは一瞬の間を読み、爪先で氷柱を蹴り、空中で急旋回。

    「あと少し……!」

    翼のコアに爪が届く。その瞬間、古神は翼を振り、再現の幻影を最大限に広げる。光と影の渦が舞い、雪嶺の空間は完全に戦場と化した。

    「これが……限界か……!」

    ドラゴラックスは全身の力を集中させ、コアに体当たりを仕掛ける。衝撃は凄まじく、古神の体が一瞬大きく揺れた。翼の亀裂がさらに広がり、アルテンツァイトは空中でバランスを崩す。

  • 3481◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 12:15:36

    「くっ……この速度……!」

    アルテンツァイトは焦燥を隠せず、幻影の猛獣をさらに呼び出すが、ドラゴラックスは冷静に隙間を縫い、再びコアに迫る。雪嶺の空は光と影、咆哮と轟音の渦に巻き込まれ、戦況は極限に達していた。

    「これで……終わる……!」

    ドラゴラックスの爪先がコアに強く食い込み、微かな軋みが響く。アルテンツァイトは翼を振り上げ、最後の抵抗を試みる。雪嶺の空に光と影の渦が巻き上がり、戦闘は次の局面へ突入する。

  • 3491◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 12:16:10

    雪嶺の空に響いたのは、古神の翼の裂ける音だった。
    アルテンツァイトの片翼、そのコアがドラゴラックスの爪によって深く抉られ、光の粒子を噴き出す。

    「……やった……これで飛べまい!」

    ドラゴラックスは荒い息を吐きつつも目を鋭く光らせた。四輪の駆動音が雪を踏み砕き、勝機を確信したかのように翼の残骸を見据える。

    「甘いな……これしきで……古を終わらせられるものか……!」

    アルテンツァイトの咆哮が轟き、雪嶺全体が震える。
    古代の大災害――かつて大陸を呑み込んだ地殻変動が、この場に再現される。大地が裂け、氷塊が天に舞い、空間そのものが崩壊の兆しを見せた。

    「くっ……この力……!」

    ドラゴラックスは身体を翻し、氷の裂け目を駆け抜ける。だが大地の亀裂は猛追するかのように広がり、足場を次々に呑み込む。

    「古を再現する我を侮るな……! 知神に褒めていただくその日まで……我は敗れぬ!」

    アルテンツァイトの声は狂気すら帯び、残された翼を広げてなお再現を繰り返す。幻影の獣たちは先ほどより数を増し、雪嶺の空を埋め尽くす。

    「ならば……その誇りごと粉砕してやる!」

    ドラゴラックスは大地の亀裂を飛び越え、尻尾のコアへと狙いを定める。四輪が唸りを上げ、速度は極限へ。
    「ポチリ」――ほんの一瞬、顎下の逆ネジが雪に擦れ、不穏な音を響かせたが、彼女は気にせず突進を続けた。

    「おおおおおおおっ!!」

    その爪先が尻尾のコアに深々と突き刺さる。

  • 3501◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 12:20:35

    古神の身体を貫く震動。光の奔流が雪嶺を包み、アルテンツァイトの咆哮は断末魔のように空を切り裂いた。

    「……知神……私は……役に……立て……た……のか……」

    その声が途切れると同時に、巨体が崩れ落ちる。翼の片方はもはや機能せず、尻尾も力を失って地へと墜落する。雪煙が爆発的に舞い上がり、戦場は白の霧に覆われた。

    「……ふぅ……これで……決着は……」

    だが、その瞬間。霧の奥で光が脈動する。アルテンツァイトの身体が、なおも「古」を再現し続けていた。翼と尻尾を失っても、古神は容易には滅ばぬ。

    「まだ……終わっていない……!」

    雪嶺の戦場はさらなる地獄へと姿を変え、最後の決戦が幕を開けようとしていた。

  • 3511◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 12:23:01

    雪嶺に広がる白煙の中、轟音とともに古神アルテンツァイトがなお蠢く。
    翼は半ば崩れ、尻尾のコアも砕かれたはずなのに、彼は「古」を再現する力で己を保っていた。

    「……まだ……終わらん……! たとえ滅ぼされようとも……古は蘇る……知神に褒められるその日まで……!」

    その声は虚ろでありながら、渇望と執念に満ちていた。大地が軋み、かつての大戦争、かつての天変地異……すべての古き惨禍が一斉に再現されようとする。

    「……往生際の悪い奴だな」

    ドラゴラックスは低く呟き、眉間の紋様を輝かせる。四輪が雪を踏み砕き、竜の躯体が咆哮を上げる。

    「私もな……不死を謳う存在だ。だが……私の不死は、爆ぜて散ることで完結するッ!」

    アルテンツァイトの巨影が迫る。幻影の獣が群れを成し、古神の咆哮とともに襲い掛かる。
    ドラゴラックスは爪を振るい、牙を剥き、血を吐きながらも突き進む。

    「知神に褒められたい……その願い、哀れだが届かん!」

    彼女は顎下の逆ネジに自らの爪を掛けた。
    冷たい風の中、ほんの一瞬だけ静寂が訪れる。

    「ポチリ」

    その軽やかな音が、雪嶺全体に響いた。

    「――ッ!?」

    アルテンツァイトの目が見開かれる。再現の儀式は中断され、幻影の獣たちは霧散する。
    次の瞬間――。

  • 3521◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 12:23:13

    轟竜ドラゴラックスの全身が、光と炎を伴って爆発した。

    「うおおおおおおおおおおッ!!!」

    爆炎は雪嶺を越え、天空を裂き、古神の巨体をもろとも呑み込む。
    アルテンツァイトの再現能力では到底追いつかない規模の破壊。翼も、身体も、知を宿す核すらも、粉々に焼き尽くされていく。

    「……知神……私は……」

    最後の言葉は爆風に掻き消され、古神の存在は雪の彼方に消えた。

    そして――爆発の中心にいたドラゴラックスもまた、跡形もなく吹き飛んでいた。

    残されたのは、静かに降り積もる雪だけ。
    雪嶺の戦場に立つ者は、誰一人いなかった。

    「……ま、爆発オチってやつだな」

    どこか遠くで、誰かが呟いたような気がした。
    その声すら雪に呑まれ、戦いは終焉を迎えたのだった。

  • 3531◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 12:24:37

    以上

  • 354二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 12:28:21

    カッコいい自爆だ……惚れてしまう

  • 355二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 13:04:19

    知神に褒められたくてここまで頑張るの好きだなぁ…

  • 356二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 13:09:05

    死ぬほど痛かったか…

  • 357二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 18:40:29

    このレスは削除されています

  • 3581◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 19:47:05

    題名『血煙に咲く終焉の剣舞』

  • 3591◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 19:47:40

    廃墟の大聖堂に、夜風が吹き荒んでいた。崩れ落ちたステンドグラスから月明かりが差し込み、粉塵の舞う空間を淡く照らす。その中央には、黒衣を纏った道化――ニコール・トーテンタンツが立っていた。胸を揺らすような奇怪な笑いを抑えきれず、両腕を広げて空気を抱く。

    「くくっ……ついにだ。長き封印は今日、舞台の幕開けと共に崩れ落ちる……!」

    床に刻まれた巨大な魔法陣が、脈動する心臓のように淡く光を放つ。光はやがて強まり、割れるような音を立てて封印の結界が砕けた。粉々になった鎖の残滓が宙を漂い、そこからひとりの男が姿を現す。

    彼の名はプレム=ローソ。かつて「命の英雄」と讃えられた存在。だが今、その瞳は長き封印によって濁り、疲弊しながらも決して折れぬ芯を宿していた。

    「……ここは……また、戦いの場か」

    低く呟いた声に、ニコールの唇が吊り上がる。

    「そうとも! 君は舞台に立つ役者、私はその演出家だ! 血と死の円舞曲を踊ろうじゃないか!」

    プレムは瞼を細め、崩れかけた柱を背に立ち上がる。封印から解き放たれたとはいえ、身体は完全ではない。それでも彼の周囲に淡い命の光が瞬き、彼の呼吸に合わせて強さを増していく。

    「……命を弄ぶ者よ。お前が求める舞台は、必ず僕が終わらせる」

    「ほう! まだ己を英雄と信じるか!」

    「信じるのではない。僕はそう在らねばならない。それが、この命に課せられた責務だ」

    ニコールは頭を抱えて笑い出す。狂気じみた嗤い声が聖堂の壁に反響し、夜を震わせる。

    「くはははは! 素晴らしい! やはり君は最高の役者だ! 枯れ果てぬ命の輝きよ、私の死の舞曲で塗り潰してやろう!」

    プレムは背筋を伸ばし、両の拳を握る。拳から零れるように光が溢れ、それは床に散る砂埃すらも照らす。

  • 3601◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 19:49:33

    「――来い、ニコール」

    「くくっ……望むところだ!」

    舞台の幕は上がった。命と死、希望と虚無。その激突は、廃墟の聖堂を揺るがす最初の一手として放たれようとしていた。

  • 3611◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 19:51:07

    大聖堂の空気が、一瞬で張り詰めた。割れたガラス片の上に立つ二人を、月光が交差させる。動いたのはニコールの方が早かった。

    「死の序章を聴け――《トーテン・クランツ》!」

    腕を振り上げた瞬間、床から黒い影が渦を巻き、十数本の鎖のような刃となってプレムに襲いかかる。鋭い音を立てながら伸びるそれらは、まるで観客の悲鳴を演奏するかのように絡みつこうとする。

    プレムは一歩も退かず、胸元から迸る光を放った。

    「命よ、燃え上がれ!」

    光が弾け、鎖に触れた瞬間、黒い刃は蒸発するように消えていく。だがニコールの攻撃は止まらない。鎖は次々と生まれ、まるで無限に湧き出すように彼を取り囲んだ。

    「いい! もっと足掻け! 命が輝けば輝くほど、死の舞台は映える!」

    「……ふざけるな。命は玩具じゃない!」

    プレムの瞳が強く光を宿す。その足元から淡い緑色の輪が広がり、吹き荒れる風のように彼の全身を包む。輪から溢れた光は、散らばるガラス片を照らし出し、小さな星々のように舞い上がる。

    「――《命環の守り》!」

    瞬間、鎖の群れは彼に届く前に弾かれ、鋭い音を残して砕け散った。

    ニコールは後ろへ飛び退き、手を叩いて笑う。

    「くくっ、やはりそう来るか! 命を守る盾……だが守りばかりでは観客は飽きるぞ!」

    「……守ることも、攻めることも。命を繋ぐためなら、僕はどちらも選ぶ」

    プレムの言葉と同時に、彼の右腕が眩く輝き出した。その光はやがて圧縮され、槍のように鋭い形を取る。

  • 3621◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 19:52:24

    「――これが僕の答えだ!」

    光の槍が空気を裂き、ニコールへと放たれた。轟音と共に大聖堂の壁を砕き、瓦礫を巻き込みながら一直線に走る。

    だがニコールは恐怖を知らぬ道化。顔を歪め、足元に影を集めると、舞うように身をひねった。

    「《影の幕間》!」

    漆黒の布のような影が彼を包み、光の槍はその中に吸い込まれるように消えていった。残響だけが空間に残り、彼の高笑いが広がる。

    「素晴らしい! これぞ舞台の幕間! 観客の心を掴むには十分だ!」

    「……お前の舞台に観客はいない。ただ、命を弄ぶお前を倒すだけだ」

    二人の声がぶつかり合い、瓦礫の中で火花が散った。初撃は互角。命と死の力はまだ、その真の牙を剥いてはいない。

  • 3631◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 19:57:42

    砕けた壁の隙間から、冷たい夜風が吹き込み、燭台の炎を大きく揺らす。大聖堂の内部は、もはや静寂とは無縁の戦場へと変貌していた。瓦礫の上に立つニコールの眼は、暗闇に潜む獣のように光を宿す。

    「幕間は終わりだ。ここからが本編……血と死の祝祭だ!」

    彼女が魔導書を開くと、鮮血で描かれた頁がひとりでにめくれ、記された番号が夜気に滲んでいく。

    「――No.44、《屍鼠の軍勢》!」

    床の隙間、砕けた石、古い墓標の影から、半透明の鼠たちが無数に這い出す。赤い眼をぎらつかせ、鳴き声が一斉に響いた。生者を嘲るような腐臭が広がり、まるで死そのものが群れを成して押し寄せてくるかのようだった。

    プレムは槍を握り直し、足元に広がる生命の環を強めた。

    「……お前の命は死に縛られている。その鎖を断ち切る!」

    彼の声に応じるように、環から溢れる緑光が渦を巻き、無数の花弁の幻影を生む。それは瞬く間に彼の背後に集い、巨大な翼の形へと変わった。

    「《命翼の顕現》!」

    光翼を広げたプレムが飛翔すると、その軌跡から小さな生命が芽吹いた。草花の芽、光を纏う鳥、そして羽根のように軽やかな精霊たち。彼らは彼を守るように旋回し、鼠の群れに向かって降り注ぐ。

    「チュチュチュッ……!」

    鼠たちは一斉に跳躍し、空中の生命を噛み砕こうと牙を剥いた。だが花々の幻影は触れた瞬間に淡い光となって消え、鼠たちは逆に焼けるような悲鳴を上げる。

  • 3641◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 19:58:07

    「がぁぁぁっ!」

    群れの一部が灰のように散った。

    ニコールは舌打ちをしてページを叩く。

    「ならば次――No.72、《鋼牙鼠》!」

    姿を現したのは、鉄で出来たような巨大な鼠の霊。全身が黒い鋼で覆われ、その牙は剣のように光を反射している。

    「こいつでどうだ!」

    鋼牙鼠が跳躍し、プレムの光翼に噛みつく。鈍い衝撃音が響き、翼の一部が砕け散った。プレムは呻きながらも槍を振り抜き、鼠の胴を貫いた。

    だがその瞬間、彼の腕に鋼牙の牙が深く食い込み、鮮血が滴る。

    「……ッ!」

    「くくく……! 血を見せたな! 英雄といえど命は有限! お前の血こそ、この舞台を完成させる酒だ!」

    ニコールは歓喜に震え、さらに次の頁をめくろうとする。しかしプレムの声がその動作を制した。

    「……命は、奪うためにあるんじゃない。繋ぐためにあるんだ!」

    光翼がさらに広がり、負傷した腕から迸る光が大聖堂全体を満たしていく。その光は崩れた柱に絡み、鼠の群れを押し退けながら新たな形を作り出した。

    ――それは光でできた樹木。

    天井に届くほどの巨樹が大聖堂に根を下ろし、枝々からは小鳥や花が生まれ、歌うように鳴き始める。

  • 3651◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 19:58:42

    「これが……命の咆哮だ!」

    光の樹が放つ波動が大聖堂全体を呑み込み、鼠の群れが次々と蒸発していく。

    ニコールは眩しさに目を細めながらも、狂気に満ちた笑みを絶やさなかった。

    「……いい、もっと見せろ。命の全てを燃やし尽くすその姿を! 死と踊るために!」

    彼女の手が再び魔導書を撫で、次なる番号を呼ぼうとしていた。

  • 3661◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 20:00:05

    光の巨樹が大聖堂の中央に根を下ろし、その枝葉は天井を突き抜ける勢いで広がっていた。壁のステンドグラスに映るのは、輝く枝々と舞い踊る光の鳥たち。その幻想的な光景とは裏腹に、床を覆う鼠の群れがなおも狂気の鳴き声を響かせる。

    「命の樹……? くふふ、滑稽だわ……!」

    ニコールは仮面の下から笑い声を漏らし、魔導書を高く掲げた。彼女の細い指先から血の雫が落ち、頁に染み込み赤黒く蠢く。
    「見せてあげる。あたしの全力――No.108、《血潮鼠帝》!」

    魔導書の頁が灼けるように輝き、床の血溜まりから巨大な鼠の霊が立ち上がった。高さは十メートルを超え、毛皮は黒い血のように滴り落ちる。頭には冠のような角が生え、赤眼は狂気そのもの。

    「こいつは霊鼠の王にして血の支配者! 英雄といえど呑み込まれるがいい!」

    「……」

    プレムは槍を構え、光の巨樹に背を預けるようにして立った。血潮鼠帝が咆哮すると、衝撃波で崩れかけの大聖堂がさらに軋む。

    「ならば俺も応えよう……命を繋ぐために!」

    彼の叫びに呼応し、光の樹から新たな枝が伸びる。枝先から生まれたのは、光の狼たち。大きさは人間を凌駕し、群れを成して血潮鼠帝へと突撃する。

    「グルゥゥ……!」

    狼たちが牙を突き立てるが、鼠帝の黒い血が触れた瞬間、狼たちは悲鳴を上げて溶けていく。

    「ふふ、見た? 死に触れた命は、ただ腐り落ちるのみ!」

    ニコールが歓喜に叫ぶ。

    「ならば……!」

    プレムは血を滴らせた左腕を槍に添え、自らの血を光へと変換する。

  • 3671◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 20:00:31

    「命は死に抗うものだ――!」

    彼の槍が閃光を放ち、巨樹の幹から一筋の雷鳴が走った。雷光は枝を伝って血潮鼠帝を直撃し、黒い毛皮を裂き飛ばす。鼠帝が苦痛に吠えると、大聖堂が震え、瓦礫が崩れ落ちる。

    「ちっ……やるじゃない!」

    ニコールは即座に次の頁を開く。

    「No.109、《血獄鼠群》!」

    鼠帝の身体から千匹の小鼠が弾け飛び、空を覆い尽くす。光鳥を食らい、光花を噛み砕き、命の樹に群がる姿は、まるで大聖堂そのものが鼠に喰われていくかのようだった。

    「これがあたしの舞踏会……! 死と血と鼠の宴よ!」

    ニコールの声は狂気と喜悦に震え、響き渡った。

    「……やはり、お前は死に囚われている」

    プレムは呻きながらも前に進む。血潮鼠帝と鼠群が襲いかかる中、彼の背後の樹が光を強めた。

    「ならば俺は命を……全ての命を賭してでも、お前を止める!」

    光樹の枝々が一斉に伸び、大聖堂を突き破る。空を突く巨樹と血潮鼠帝との衝突――光と闇がぶつかり合い、街全体を揺るがす戦いが幕を開けた。

  • 3681◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 20:01:37

    大聖堂の瓦礫が崩れ落ちる中、光の巨樹と血潮鼠帝は互いに押し合うようにせめぎ合っていた。幹を登る鼠群が枝を噛み砕き、逆に光枝から放たれる雷が鼠帝の体を焦がす。闇と光が拮抗し、空間そのものが軋みを上げていた。

    「くふふふふ……! もっと暴れなさい、鼠帝! この腐敗が世界を食い尽くすんだからぁ!」

    仮面の奥でニコールの瞳は爛々と輝いていた。彼女の小さな手が血の魔導書を握るたび、頁は勝手にめくれ、赤黒い霊が漏れ出して大聖堂を満たす。

    「だが……」

    プレムが槍を構え直し、虚空に響く声で断じた。

    「その魔導書が、お前を縛っている」

    「――なに?」

    一瞬だけ、ニコールの瞳に揺らぎが走った。

    プレムは光の樹から枝を引き抜き、槍と一体化させる。刃が幾重にも重なり、まばゆい光が血の闇を押し退ける。

    「お前が使う霊鼠は……全てその書から呼ばれている。ならば――」

    プレムは地を蹴った。鼠群が壁のように立ち塞がるが、槍の閃光が一閃。鼠たちが光の残滓となって散った。

    「魔導書を断てば……鼠どもは消える!」

    「させるもんですかぁああ!!」

    ニコールは魔導書を胸に抱え、必死に後退る。血潮鼠帝がその巨体を盾にして立ちふさがり、咆哮を放った。音の衝撃で石畳が砕け、プレムの動きが一瞬止まる。

  • 3691◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 20:03:58

    「これがあたしの全て……! 壊させるくらいなら、あたしだって……!」

    少女の小さな身体から迸るのは、異常な血の奔流。魔導書に刻まれた頁から炎のような血潮が燃え上がり、鼠帝と鼠群がさらに凶暴化していく。

    「……血を、喰わせているのか」

    プレムは苦渋に顔を歪める。

    「その幼い命を削り、力へ変えているのか……!」

    「ちがう! これは必要なことなの! あたしは、鼠たちに選ばれた巫女なんだからぁ!」

    ニコールの叫びには涙が混じっていた。仮面の下、まだ幼い少女の震える唇。彼女の背後で、血潮鼠帝が腕を広げるようにして立ち、少女を守る。

    プレムは槍を握る手に力を込めた。

    「ならば……俺が、その呪縛ごと救い出す!」

    彼の槍が巨樹の光をまとい、雷鳴とともに振り下ろされる。血潮鼠帝がその刃を受け止め、咆哮する。

    「ぐおおおおおッ!!!」

    互いの力が拮抗し、大聖堂の天井が完全に崩落した。月光が流れ込み、光と血の奔流が交錯する。

    ニコールは魔導書を必死に抱え、声を張り上げる。

  • 3701◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 20:05:22

    「……No.110! 《血鼠殉教団》! 全部まとめて呑み込めぇええ!」

    血潮鼠帝の影から現れた無数の鼠の亡霊が、プレムに殺到した。

    「……これが、お前の全てか」

    プレムはひとり呟き、槍を構える。

    次の瞬間、光と血が爆発的に衝突した。

  • 3711◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 20:05:58

    光と血の激突は、大聖堂を崩壊させるほどの衝撃を生んだ。瓦礫が雨のように降り注ぎ、赤と白の奔流が渦を巻く。その中心で、プレムと血潮鼠帝が互いを押し合い、命と死の拮抗を続けていた。

    「……ニコール!」

    プレムの声が虚空に響く。

    「その書は、お前を守ってなどいない! 縛りつけ、血を搾り取り、幼い命を喰らっているだけだ!」

    「ちがう……ちがうの! これは……あたしが、生き残るために……!」

    仮面の下、ニコールの瞳から涙が溢れる。幼い手はなお魔導書を抱きしめ、指先は血で汚れ、震えていた。

    「血を捧げるたびに鼠たちは強くなった……あたしは裏切らない……裏切れない! だって、あたしは……!」

    「……お前は、まだ人間だ」

    プレムは槍を振り上げ、光の巨樹を背にして叫ぶ。

    「ならばその小さな命を――俺が取り戻す!」

    雷鳴が轟き、槍が閃いた。血潮鼠帝が身を挺して受け止めたが、刃は巨体を貫き、鼠帝の断末魔が轟いた。

    「ギギギギィィイイイイイ――!」

    帝が崩れ落ちると同時に、ニコールの腕に抱かれた魔導書が悲鳴を上げるように震えた。血で染まった頁が自ら破れ、赤黒い霊体が次々と蒸発していく。

    「……やめて……やめてぇえええ!!」

    ニコールは泣き叫び、魔導書を必死に押さえ込む。だが、崩壊は止まらない。鼠たちの亡霊は光の槍に呑まれ、消えていく。

  • 3721◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 20:06:19

    「う、あぁあああ……!」

    魔導書が爆ぜた。血飛沫と共に破片が飛び散り、少女は吹き飛ばされる。瓦礫に叩きつけられたその身体は小さく震え、呼吸もままならなかった。

    「……あたし、の……鼠たち……」

    涙が溢れ、仮面が砕けて素顔が露わになる。幼い少女の顔には血が流れ、虚ろな瞳がプレムを見上げた。

    プレムは歩み寄り、槍を下ろした。

    「……終わった。お前はもう、これ以上血を流さなくていい」

    「……わたし……どう、すれば……」

    「生きろ。お前自身の血で」

    少女の小さな手が震え、やがて意識を失って力なく落ちた。

    プレムは静かに目を閉じ、崩壊した大聖堂の中で少女を抱き上げる。

    「……命とは、血に縛られるものではない」

    虚空の龜裂から、英雄の声が再び響く。

    「よくぞ……導いたな。我が《命》の詩は、まだ続く」

    その声に応じるように、光の巨樹は消え、瓦礫の上に静寂が戻った。

    こうして、血と鼠に縛られた幼い魔導師の物語はひとつの終焉を迎えた。

  • 3731◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 20:06:43

    以上

  • 3741◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 20:08:38

    次の安価は21:00から10個募集

  • 375二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 20:08:49

    プレムがまっとうに英雄してるぅぅぅぅ!!!
    あぁ…(´・ω・`).;:…(´・ω...:.;::..(´・;::: .:.;: サラサラ..

  • 376二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 20:11:55

    やはり救おうとしている者は美しい...

  • 377二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 20:38:00

    カッコいい英雄だ……

  • 378二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:00:00

    名前:トロスト・ムッティ
    年齢:不詳(自称27歳)
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:スレイ家で住み込みで働いている医者の一人。主に精神を担当している。
    ギザ歯にうねった茶髪という危険そうな風貌だが性格はとても穏やかで他人の心に共感が出来る神を越えた人格者。
    診断をする時は常に相手に寄り添い、話をしっかりと聞いて適切な処置を行う。
    常識のないスレイ家で慣れたのか「神を越える能力」とか「恐怖」や「未知数」「圧倒的な存在」であっても怯むことはない。
    精神科医であるためか、制圧力や戦闘能力がとても高い。精神的な治癒力で言えば右に出る者は未来永劫訪れない。
    まだ正気だったスレイパパに連れてこられた。
    能力:【アットホームウムファンゲン】
    能力概要:万物に「安堵」「安心」「包容感」「懐かしの平穏」「心からの幸せ」「溢れ出る笑顔」を無制限に与える。
    両腕を広げるだけで能力は発動し、森羅万象ありとあらゆるものが相手への永久の安らぎを与えるためにトロストの味方をする。
    永久の安らぎは殺すことではなく精神的や能力的に安定、平和、落ち着き、幸せを与えることであり、「懐かしの平穏」とは例えば幼い頃の幸せだった気持ちやなんならトロストとの存在しない記憶を植え付けて違和感なく平穏を与える。能力は相手を抱き締めることでより強く作用する。癒した相手を味方にすることも可能。自身にも使用可能。トロストが心の怪我や病気だと認識した物を例外なく癒す。
    弱点:肉体的な治癒力は持っていない。
    戦闘能力はあるが戦闘意欲はないので、攻撃をされるとほぼ一方的になる。
    味方に出来るのは抱き締めた場合のみに限られる。

  • 380二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:00:00

    名前:真価の主・アルゲート
    年齢:人類史と大体一緒
    性別:謎
    種族:悪魔
    本人概要:狐の頭、鴉の様な黒翼、8本の腕を持ち上等なスーツに身を包んだ悪魔。理性的で、話し口調は丁寧。その正体は世界中で活躍する大商人にして、古から人類に寄り添う大悪魔。金銭商品のやり取りを通して、人類文化に触れるのが好き。
    人類など多種族に対しては友好的で、基本的に他者は良きお客様、取引相手と考えている。もしくは商品。
    能力:真価観色/千価無量/対価集斂
    能力概要:真価観色 対象(生物か物かは問わない)の人格、過去、能力、潜在能力、総資産などあらゆる情報を全て読み取り、それを基に対象に値段を付ける。値付け自体は極めて正確で、値をつけられた当人でさえ価格に納得してしまう。
    ・千価無量 自分が所有する商品を異次元の宝物庫から召喚する能力。召喚される品々は数多の逸話を刻んだ伝説の武具であったり、無数の命を奪った恐るべき呪物であったり、創世にまつわる神秘に満ちた神器であったり、果ては今なお生きる英雄神格悪魔そのものであったりとあらゆるものを取り揃えており、数と種類は底が見えない。いずれも非常に高価なものばかり(最低でも白金貨数枚、数億円以上)。アルゲートは所有する品の性質を完璧に理解し、どんな物であっても十全に使い熟すことができ、それらを用いて戦闘を行う。
    また品を召喚する際は必ず"品名、数量、合計金額”を相手に告げる。
    ・対価集斂 千価無量で使用した商品の代金を相手に請求する能力。千価無量を使用する度に請求が発生し、その時点で自動的に相手が持つ資産財産の実体と所有権がアルゲートの元に移る。この処理は本人の目の届かないところで行われるため、気付いた時には素寒貧の丸腰。
    相手の財産が底を突いた場合、もしくは財産を元より持たない場合、未払い金額に応じてアルゲートの戦闘能力が強化される。またこれ以降は金銭ではなく生命力を対価として請求される。ちなみにアルゲートを倒しても支払われた全ては宝物庫に残り続けるため帰ってこない。

    弱点:胸元の自分の核を加工して作ったブローチが弱点。破壊されると致命傷。
    ・命あっての物種なので、命の危機を感じた段階でさっさと転移して撤収してしまう。金銭はしっかり回収するが、勝敗的には敗北。
    要望(任意):基本飄々とした態度を崩しません。勝利時、対戦相手を商品に加えたいです。

  • 382二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:00:00

    名前:八ツ辻 柱
    年齢:45
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:八ツ辻家の父親 旧世界の武将である武田信玄が編み出したとか編み出してないとか言う四如拳を自在に操る 彼は入り婿なので異能を保有していないのだ 名前はそういうものなので気にするな
    能力:四如拳
    能力概要:風林火山の四つの型を自在に使い分ける拳法
    風の型:
    速度に特化した構え 神速の回避や目にも止まらぬ連撃や分身など速度を生かした技を得意とする
    林の型:
    隠密や防御、回復に適した型であり四つの型で唯一スタミナ回復能力を持つ 自身の体内エネルギーの制御により回復力を活性化させる 解毒も可能だし無論通常戦闘も可能だ
    火の型:
    風をより攻撃的に進化させた型 より攻撃的であり相手の攻撃や防御ごと正面から焼き尽くす火のような攻勢を基本にして極意とする
    山の型:
    林をより防御に特化させた型 あらゆる攻撃を山の如く受け止め強烈なカウンターを行う
    その他にも陰と雷があるらしいがその詳細は不明である
    弱点:それぞれの型にはそれぞれの弱点がある
    風:速度はあるが一撃の重さに欠け回避は得意だが防御は苦手
    林:防御や隠密は得意だが攻撃力に欠け自分から攻めるのには向かない
    火:あまりに攻撃的すぎて防御という概念が存在しない それゆえに使用中はノーガードだしスタミナ消費が大きい
    山:あくまで防御のみに特化した型なので林にあった回復能力が失われているし攻撃はカウンター以外ない
    もちろん陰と雷にも弱点は存在する
    まあ彼は達人なので弱点は知っているし使い分けることはできるがこれらの型を即座に入れ替えられるわけではなく切り替えには一瞬の隙が生じる

  • 383二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:00:00

    名前:悪朽 衰(あくちり おどろ)
    年齢:?
    性別:男?
    種族:人間?
    本人概要:
    割れたガラスのように全身が崩壊しかけている男性。存在の″破片″が3割ほど欠落している。ただそこにいるだけで周囲を崩壊させていく能力を持つ。
    すでに彼の能力は「能力」としての範疇を超えており、悪朽 衰という器を脱ぎ捨て、「厄災現象」あるいは「世界法則」として覚醒する前段階にある。
    今回の戦闘がそれを防ぐ最後のチャンスのためここで悪朽を討伐できなければ、本体という弱点を失った能力が対処不能の厄災となり世界を蝕む。
    放っておいても悪朽は存在崩壊を起こしてしまうため助けることは不可能。彼を生かしたまま能力の覚醒を止める方法は存在しない。
    能力:悪化
    能力概要:
    あらゆるものを悪化させる能力。例えば、傷・病気・弱点・欠陥・状況などを制限なく悪化させる。
    前述の通りすでに現象や法則の域に達しつつあり、悪朽 衰の存在崩壊を引き起こし本体から解放されることで、崩壊法則として覚醒しようとしている。
    弱点:
    ・前述の通り「悪化」が器である悪朽を捨てようとしているため、悪朽自身も能力の影響を受ける。
    ・能力の覚醒がかなり進行しているため、悪朽の存在はすでに崩壊途中。よって体力がだいぶ少ない。
    ・体内でも崩壊が進行しているため、頻繁に吐血し動きが止まる。同様に視力もほとんど見えていない。
    要望:
    相手にトドメをさされる前に悪朽の存在が崩壊しきればこちらの勝ち。悪朽が崩壊しきる前にトドメをさされたらこちらの負けでお願いします。

  • 384二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:00:01

    名前:爆炎ヶ原頂天 (ばくえんがはら ちょうてん)
    年齢:17歳
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:一般異能持ち黒髪ツインテール男子高校生、見た目はどう見ても地雷系女子
    常に、藍色に塗った消化器「藍丸」を持ち歩き、寝食を共にしている
    賞金首を狩って生活しているが、自身の稼ぎをほとんど藍丸の改良・改造に当てているので、最近金欠気味
    本人曰く、「消化器は近・中・遠距離全てに対応できる最強の武器」
    消化器狂いなところに目を瞑れば、人のために全力になれる熱い心を持った善人、でも消化器異常愛者
    能力:加速
    能力概要:時間が経てば立つほど加速する能力
    加速した身体能力や思考力をフル活用して、消化器でぶん殴る
    弱点:加速は、速くなるまでに時間がかかる速くなりすぎると本人も制御できなくなる
    要望:一人称はオレ、藍丸を前にすると乙女になる

  • 385二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:00:01

    名前:D・エクスター
    年齢:52
    性別:ニューハーフ
    種族:星の精霊(ニューカマー)
    本人概要:さながら満月のようにふくよかなニューカマー…もとい精霊。
    サバサバとした性格であり、高いトークスキルとニューハーフという男女を兼ね備えた感性も相まって人脈・交友関係がとても広い。
    その体形から見てわかる通り、すごい大食漢。わんこそば1000人前とか余裕、趣味は商店街を疾走しながら食べ歩きすること。
    好きなジャンルはボーイミーツガール。豊満な肉体と精霊ゆえに物理攻撃にはめっぽう強い。
    能力:スターキャノン・”トリプルゼロ”
    能力概要:エクスターが背後に星型の魔法陣を展開し、天巡る龍脈より膨大なエネルギーを受信、それを一条のビームに束ねて穿つ超精霊魔法。
    トリプルゼロ、とは生存確率0.0001%未満であることが由来。それほどまでに極太で強力無比な一撃。
    ダブルゼロ、アローンゼロ、ロストゼロの順で威力を抑えたビーム砲となる。ただしその分チャージ速度は早くなる。
    弱点:チャージ中は無防備。その間に背後の魔法陣を破壊すればチャージのキャンセルが可能。
    チャージ時間がすごい長い。トリプルゼロならチャージ時間はおよそ3分。ゼロが一つ減るごとに1分短縮され、ロストゼロなら10秒程度(ただし威力は通常のライフル並み)
    要望(任意):おかま口調でお願いします。

  • 386二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:00:01

    名前:芳篠杏(ファン・シャオシン)
    年齢:16
    性別:女
    種族:人間
    本人概要:耳の花飾りととても大きな身体が特徴の喋るジャイアントパンダ……では無くパンダの着ぐるみを身に纏った190センチ近い長身の女の子。
    武道虎とは親が決めた許嫁同士の関係にあたり、武神鈴とは親友の間柄。(いわゆる政略結婚だが、彼女自身は道虎のことを本気で愛している)
    性格はとても穏やかで心優しい反面、極度の人見知りで恥ずかしがり屋。
    あまりにも恥ずかしがり屋すぎて親しい人間以外とはあがって会話すら出来ないレベル。その為、常にパンダの着ぐるみを着て行動している。
    それでも内側に秘めたる意思は非常に強く、大切なものの為ならどんな相手にだって立ち向かう心の強さを持っている。
    能力:限りなく研ぎ澄まされた中国拳法、気の操作
    能力概要:数多の中国拳法を非常に高いレベルで修めている。
    使用する武術のベースは八卦掌。円を描く様な動きから派生する変幻自在の柔掌はいかなる攻撃をも受け流し反撃の発勁を相手にお見舞いする。
    また、内功、気の操作にも長けており、様々な応用が可能
    (例:掌や脚部に纏わせて保護、強化する。周囲に気を張り巡らせて反応速度を上げる。掌底等を介して直接相手に気を流し込む事でどんなに堅牢な装甲だろうと敵の内部から破壊し、崩壊させる、など)
    弱点:
    奇策、絡手への対応力はさほど高くない。
    気の制御には一定のリズムで呼吸を行う必要があり、喉や肺に攻撃されたり、己の呼吸音を認識できない様な状態になるとその時点で技は破られる。
    また、重心移動が拳法の肝な為、踏み込みの効かない場所、状況に誘導されるとそれだけで大きな不利になる。

  • 387二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:00:01

    名前:ウス
    年齢:15歳
    性別:男性
    種族:人間
    本人概要:願望器のプロトタイプの《エク》の意志を継ぐ少年。《エク》の願いは願望器の完成品である《キナ》を止めて欲しいである。ウスは祖先の作った物によって世界に迷惑をかけてしまっていると考えこれ以上迷惑をかけない為に《キナ》を止めようとしている。少年の出自は願望器を作ったマエデ博士の弟の子孫である。完成品の願望器が出来てから100億年程経過している。ウスがネックレスにしている物は、願望器のプロトタイプのコア《エク》である。願望器のプロトタイプは休眠状態と起動を繰り返しながら、完成品の叶えた願いを休眠状態でも記録していた。
    《エク》はその中から以下の三つの願いを再生出来る。
    「未来が分かったら良いな」→【運命改変】、「己の意志が続くと良いな」→【輪廻転生】、「己の手で人類を滅ぼせたら」→【婦怨無終】
    能力:《deus ex machina:archive》
    能力概要:完成品が叶えた願いの内、《エク》が再生出来る記録三つを、再び世界に出す能力。三つの願いは、回数制限付きの死に至る攻撃を回避不可能になる直前に時を戻し、運命を一つにしていった【運命改変】、相手からの干渉を無効化し、己が死しても己の意志を物に保存し後世の人に伝えた【輪廻転生】、人類を己の手で絶滅させたいと願いを可能にした【婦怨無終】である。
    弱点:【運命改変】は使用すると考えなければ発動できない。運命改変は再生するのが願望器のプロトタイプ故に、5回までしか使用できない。
    願望器のプロトタイプ故に【輪廻転生】の無効化は2秒しか出来ずクールタイムが10秒ある。
    願望器のプロトタイプ故に【婦怨無終】の肉体変化にもっとも大切な存在を失う/世界を滅ぼしたいという憎悪等の様々な条件が追加されており、その様々な条件がそろえば世界滅ぼせる位の肉体になる(難易度は極めて高い)。攻撃する度肉体は損傷して再生に3秒かかる。
    ウスは願いを再生出来るのは、一つずつしか出来ない。

  • 388二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:00:05

    名前:佐藤 昴(すばる)
    年齢:16
    性別:男
    種族:人間
    人物概要:佐藤清と佐藤紬の息子で兄妹(雪、蓮、純、光、凛、聖&命、和)がいる
    今をときめくラノベ作家であり中々の売り上げを上げている有名作家だが超絶重度の中二病であり自己肯定感の化身でもある
    超ポジティブで超超超中二病、自己肯定感MAXで並び立つ者のいない超変人、テンションも髙く何でも心から楽しむタイプで心が超強い
    母親の旧姓である高橋の因子が濃いらしく祖である【厄災】の力を100分の1くらい使える、本人は格好良くてご満悦である
    重度の中二病であり同時に極まる程の作家である、今日も今日とてインスピレーションを探しに街に出て戦っていく
    能力:具現の主
    能力概要:想像を具現化し現実とする力で基本的には武器を作ったり理想の戦闘を可能としたり出来る
    想像の具現は具現化する想像の内容が詳細であればある程に強固かつ強くなっていき戦闘という舞台の中で想像は強固となる
    相手と斬り合い相手の能力を見て相手の動きを観察して彼のインスピレーションは湧き上がり想像の産物は無限の強さへと膨れ上がる
    ある程度まで強くなると己に眠る【厄災】の力も踊りだし己の脳内設定を武具に混ぜ無限に沸き上がる設定の中で強さを増す
    止まらない想像に中で相手すらも超えるモノを作り出し研磨された想像は現実など容易に超えうる強さを与える
    弱点:戦闘中はインスピレーションが無限に湧き上がりテンション上がりすぎて意識がとっ散らかっており所々で隙を見せる事が多い
    勢いのままに敵の攻撃に突っ込んでいったり深い実体験の入手の為に自ら攻撃を喰らったりとぶっ飛んだ部分もかなり多い
    重度の中二病でもあるので無駄な決めポーズとか変な体勢からの魅せ攻撃とかも多く上記と合わせて隙がかなり多いタイプである
    具現した存在は想像の内容がふわふわしている最初の段階だと柔らかく崩れやすいので創造物をすぐに壊されるのが苦手
    想像を具現する時は余計なものまで作ってしまうので具現したものを逆利用されるリスクや足を取られるリスクも存在する
    要望:めっちゃ中二病でめっちゃ変人でめちゃテンション高めでお願いします
    一人称は「僕」、勝ったら相手を褒め称え

  • 389二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:00:19

    名前:忌子母神
    年齢:不明
    性別:女
    種族:厄神……?
    本人概要:かつて厄神だった存在の成れの果てで 
    元は厄払いで払われた厄を集めては、周りにため込んでいく厄神で
    厄が周囲の人に降りかからないように管理する存在だったが
    世界がリセットされる度に滅んだ世界全ての厄災が彼女に集まり
    この世のあらゆる厄災が凝縮された存在を【妊娠】してしまうようになった
    最初は望まぬ子供だった為嫌悪拒絶し自ら殺めたこともあったが殺しても厄災は無くならず
    自分に再び宿る為今は全てを受け入れ誰にも迷惑をかけないよう自身の神域内に引きこもり
    子供達(この世のあらゆる災厄達)と一緒に歌って踊りのどかに遊ぶ 忌子母神になった
    能力:全ての忌み嫌われし者どもの母
    能力概要:彼女の周りには常にこの世の厄災の凝縮体と言える忌子達が蠢いる
    忌子達は一つ一つの子が神話の滅びを齎すような厄災な為非常に強力で近づくだけであらゆる不幸が襲いかかる
    また今なお彼女は世界中の厄の受け皿となっている為 時間が経つと忌子達は増えていく
    弱点:忌子母神そのものは厄を溜め込む力し持っていない為戦闘に向いていない
    忌子達は性質上聖なる攻撃に弱く 赤ちゃんの様な存在である為 攻撃などを受けると大泣きし
    忌子母神に頼る 忌子母神はそんな子供達を攻撃から守ろうと自ら盾になってしまう
    忌子母神は子供達が倒される度に情緒不安定になり隙が出来る
    要望(任意):忌子達は「おかぁさん…… おかぁさん」みたいな台詞を言う感じでお願いします!

  • 390二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:00:32

    名前:石塔義徹
    年齢:17歳
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:
    超常的な能力及びそれを活用した戦闘力を絶対至上主義とする学園都市の中心部「光世学園」にてランキング8位を誇る実力者。
    良くも悪くも裏表のない粗暴な性格の番長であり、真面目な生徒や教師からは嫌われている一方で、一本気な様相に惹かれて彼を慕う舎弟も多い。
    信条は『邪魔するヤツはぶっ飛ばす!』
    自分が納得できなければどんな格上だろうと一瞬も躊躇いなく挑みかかる怖いもの知らずであり、そのパワフルさでランキング8位にまで登り詰めた直情型パワーファイター。
    能力:≪夜露死苦チャリオット≫/≪漢気合体≫
    能力概要:
    ≪夜露死苦チャリオット≫:威圧感のある重厚な機械馬2頭が牽引する重二輪戦車を召喚し乗り回す。小回りが利かないのが難点だが、スピードと破壊力はピカ一で鉄筋コンクリートのビルにすら大穴を開ける。相手に向かって直線的に爆走し轢殺するのが主な使用法。
    ≪漢気合体≫:チャリオットが耐久限界を迎えた時に発動。機械馬や戦車のパーツをアーマーとして身に纏い身体能力を劇的に強化する。身体に重い負荷が掛かるのが弱点だが、スピードと破壊力はチャリオットの時より遥かに上昇する。
    弱点:
    小難しいことを考えるのが苦手なため罠や詐術に弱い。また、遠距離からの攻撃にも対応できない。
    ≪夜露死苦チャリオット≫は小回りが利かず、一度攻撃を避けられれば大きな隙を晒してしまう。
    ≪漢気合体≫後の強化フォームは身体への負担が大きい。無傷で発動できるのは10秒が限界であり、その後はアーマーから発せられる高温と骨が折れるほどの圧力に耐えなければならず長期戦が出来ない

  • 391二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:15:53

    >>388

    追記

    要望:めっちゃ中二病でめっちゃ変人でめちゃテンション高めでお願いします

    一人称は「僕」、勝ったら相手を褒め称えた上で新キャラ設定の参考のために友人にしてください

    殺さないでください

  • 392二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:16:37

    代理 
    佐藤 昴(すばる)は絶対に殺さないで下さい! 絶対に!

  • 393二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:16:41

    >>388

    コピペミスあったのでこっちと変更で!


    名前:佐藤 昴(すばる)

    年齢:16

    性別:男

    種族:人間

    人物概要:佐藤清と佐藤紬の息子で兄妹(雪、蓮、純、光、凛、聖&命、和)がいる

    今をときめくラノベ作家であり中々の売り上げを上げている有名作家だが超絶重度の中二病であり自己肯定感の化身でもある

    超ポジティブで超超超中二病、自己肯定感MAXで並び立つ者のいない超変人、テンションも髙く何でも心から楽しむタイプで心が超強い

    母親の旧姓である高橋の因子が濃いらしく祖である【厄災】の力を100分の1くらい使える、本人は格好良くてご満悦である

    重度の中二病であり同時に極まる程の作家である、今日も今日とてインスピレーションを探しに街に出て戦っていく

    能力:具現の主

    能力概要:想像を具現化し現実とする力で基本的には武器を作ったり理想の戦闘を可能としたり出来る

    想像の具現は具現化する想像の内容が詳細であればある程に強固かつ強くなっていき戦闘という舞台の中で想像は強固となる

    相手と斬り合い相手の能力を見て相手の動きを観察して彼のインスピレーションは湧き上がり想像の産物は無限の強さへと膨れ上がる

    ある程度まで強くなると己に眠る【厄災】の力も踊りだし己の脳内設定を武具に混ぜ無限に沸き上がる設定の中で強さを増す

    止まらない想像に中で相手すらも超えるモノを作り出し研磨された想像は現実など容易に超えうる強さを与える

    弱点:戦闘中はインスピレーションが無限に湧き上がりテンション上がりすぎて意識がとっ散らかっており所々で隙を見せる事が多い

    勢いのままに敵の攻撃に突っ込んでいったり深い実体験の入手の為に自ら攻撃を喰らったりとぶっ飛んだ部分もかなり多い

    重度の中二病でもあるので無駄な決めポーズとか変な体勢からの魅せ攻撃とかも多く上記と合わせて隙がかなり多いタイプである

    具現した存在は想像の内容がふわふわしている最初の段階だと柔らかく崩れやすいので創造物をすぐに壊されるのが苦手

    想像を具現する時は余計なものまで作ってしまうので具現したものを逆利用されるリスクや足を取られるリスクも存在する

    要望:めっちゃ中二病でめっちゃ変人でめちゃテンション高めでお願いします

    一人称は「僕」、勝ったら相手を褒め称えた上で新キャラ設定の参考のために友人にしてください

    殺さないでください

  • 3941◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 21:19:21

    >>392

    まあいいですけど

    それのせいでギリギリ死なないライン責められても知りませんからね

  • 3951◆ZEeB1LlpgE25/09/08(月) 22:25:22

    真価の主・アルゲートvsウス
    佐藤 昴vs悪朽 衰
    芳篠杏vsD・エクスター
    忌子母神vs八ツ辻 柱
    爆炎ヶ原頂天vsトロスト・ムッティ

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