- 1125/09/01(月) 21:06:07
- 2125/09/01(月) 21:08:24
前スレ
【クロス注意】幼馴染inNRC Part23|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼プロローグ
【クロス注意】ここだけ|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>個性は dice1d3=@2 (2)@1. 二人とも使えない2. かっち…bbs.animanch.com▼第一章
【クロス注意】幼馴染みinNRC|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第二章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part3|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第三章
幼馴染inNRC Part5|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第四章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part8|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第五章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part11|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第六章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part14|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第七章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part18|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com - 3125/09/01(月) 21:13:43
- 4125/09/01(月) 21:15:54
素敵な支援SS様
……ノーコメントで | Writeningパソスト風じゃなく普通のSSです。お目汚し失礼。 登場人物:出久+勝己+グリム+エース+デュース+ジャック+エペル+セベク ふわっと頭に浮かんだワンシーンを書きたいなと思ったらなんか長くなってしまいました…writening.netなんてことない普通の日 | WriteningパソストではなくSSです、ご注意を。 登場人物 トレイ・クローバー 尾白猿夫 砂藤力道(名前のみ) 個人的に尾白くんとトレイ先輩は仲良しであってほしいなぁと思う今日この頃。 アリアーブ・ナーリヤとかいっ…writening.netマスターシェフ〜地獄のニラ〜 | Writening登場人物:轟、リリア、砂藤、トレイ、エペル、デュース、エース、麗日、峰田、青山、学園長 ちょっと体調不良表現あるので苦手な方要注意、なんでも許せる人向け 「食」それは生命の礎。 清き海。強き山。優…writening.netもぎもぎパニック!ドアと化したフロイド | Writening登場人物:フロイド、峰田、緑谷、エース、デュース、ラギー、カリム、ジャミル、ルーク、リドル、セベク、飯田、イデア、オルト キャラエミュ間違い、キャラ崩壊あるかも なんでも許せる人向け 「おーいエ…writening.netドキッ!漢だらけの新メニュー決定戦〜飯テロもあるよ〜 | Writening登場人物:アズール、ジェイド、フロイド、ラギー、青山、飯田、上鳴、切島、瀬呂、砂藤(回想のみ) キャラエミュ間違いあったらスマソ、後半キャラ崩壊あるかも 何でも許せる人向け 「……皆さんが集まっていた…writening.net - 5125/09/01(月) 21:17:37
- 6125/09/01(月) 21:33:02
- 7125/09/01(月) 21:35:43
現在好感度まとめ
【出久→相手/相手→出久、 爆豪→相手/相手→爆豪】
*😺グリム 100/100、 93/91
*❤エース 100/100、 43/88
*♠デュース 100/100、 100/93
*🌹リドル 91/93、 79/100
*🔶ケイト 99/100、 85/87
*☘トレイ 30/27、 60/40
*🦁レオナ 26/74、 53/44
*🍩ラギー 14/59、 72/21
*🐺ジャック 84/100、 52/91
*🐙アズール 75/100、 94/31
*🐬ジェイド 26/65、 21/43
*🦈フロイド 8/33、 28/69
*🦦カリム 77/100、 49/86
*🐍ジャミル 95/84、 69/63
*👑ヴィル 100/100、 80/100
*🏹ルーク 100/100、 95/100
*🍎エペル 100/100、 100/100
*💀イデア 100/82、 71/64
*🔥オルト 84/46、 25/36
*🐲マレウス 95/70、 27/22
*🦇リリア 73/53、 100/31
*⚔シルバー 77/99、 98/48
*🐊セベク 24/54、43/19
*🐶クルーウェル 56/-、 13/-
*📚トレイン 78/-、 36/-
*🦾バルガス 16/-、 6/ - 8125/09/01(月) 21:38:23
前回までのざっくりあらすじ
マレウスの作り出した魔法領域から抜け出すため、イデアの立てた作戦のもとで仲間集めのために夢巡りの旅を続ける出久たち。
ナイトレイブンカレッジでのいつメンの一人であるデュースも夢巡りの旅に加わり、ケイトに続いてエースを仲間に加えようと夢を訪れた出久一行だったが、エースは中々夢から醒めなかった。
ケイトとの会話で「戦いたくない」というエースの本心を聞いた出久は彼に語り掛けたのだが―― - 9二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 21:50:04
立ておつ
- 10125/09/01(月) 22:10:18
面と向かって否定の言葉を受けた出久の胸に鈍い痛みが走る。けれどもそれは、出久にとってはとうの昔に慣れてしまったもので、心を揺るがすようなものではなかった。
🥦「――それでも、僕は友だちである君のことを、もがっ」
🔶「しーーっ。ちょっとここはエースちゃんの先輩であるオレに任せてくれるかな、ミドリヤちゃん」
エースのことを守りたい、と続けようとした出久の口が、後ろからケイトの手で優しく防がれた。振り向けば、ケイトがウインクしている。
🔶「……エースちゃんは頭の回転が速いから、あれこれ先回りして身構えちゃうんだろうね。人のことをよく観察してるから、ミドリヤちゃんたちの強さもわかっちゃうんだろうし」
先程までエースを分身で取り囲んでリンチしていたとは思えないほどに優しい口調でケイトが話し始める。
♥「…………」
🔶「でもね、オレ、覚えてるよ。リドルくんがオーバーブロットした日、自分を見失ってたリドルくんを一番最初に叱りつけたのがエースちゃんだったこと」
♥「え……?」
🔶「他のトランプ兵は何も言えなかったけど、エースちゃんだけはリドルくんの言ってることがダメだってちゃんと真正面から伝えてたよね。それに、初めてオーバーブロットなんて見て、リドルくんの圧がヤバくて『こんなの勝てるわけないじゃん』ってオレが逃げなきゃって考えてたときも、エースちゃんは真っ先にミドリヤちゃんたちに加勢してた。超カッコよかったよ」
🥦「……ぷはっ。うん。あのとき、エースくんたちが一緒に戦ってくれて、すごく心強かったよ」
あの日のことはよく覚えている。初めて見たオーバーブロットという現象への恐怖も、薔薇の庭園にいた沢山の生徒たちを守らなければという使命感も。エースとデュースとグリムが魔法で加勢してくれたときの安心感も。
🔶「お前たちがいたから、オレは逃げ出さないで戦えた。あん時はちゃんと言えなかったけど……ありがとな」
ケイトの声は普段の明るさがなりを潜め、低く大人びている。エースは『闇』の沼の中から、じっとケイトを見上げていた。
🔶「だからさ……あのセリフ、今日はオレに言わせてくれる?」
🔶「『勝てる奴にか挑まないなんて、ダサすぎんでしょ!!』」
あの日、戦うことに後ろ向きだったケイトにエースが言い放った言葉。
それをそっくりそのまま返されて、エースは目を大きく見開いた。 - 11125/09/01(月) 22:12:54
Part2を見返してきましたが、当時のスレ主は『勝てる奴にしか挑まないなんて、ダサすぎんでしょ!!』のセリフをカットしていたのでこのスレには存在しないのだ
存在しない記憶になっちゃったけど、当時まだこの辺のメインストーリー実装されてなかったからってことで許してクレメンス - 12二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 22:17:21
通すがりの月島さん『挟んでおいたよ』
- 13125/09/01(月) 22:54:26
🔶「ぶっちゃけ、マレウスくんと戦うのはオレもちょー怖い。ミドリヤちゃんとバクゴーちゃんみたいに、カッコいい笑顔浮かべながら戦うとかは絶対ムリ!」
🥦「……僕も本当は怖いです」
🔶「ええっ、そうなの!?」
🥦「はい。……でも、『怖い時、不安な時こそ、笑っちまって臨むんだ』って憧れのヒーローに……オールマイトに言ってもらったんです。僕もオールマイトみたいに笑顔で人を救けられるヒーローになりたいから、その言葉を実践して自分を奮い立たせてるだけなんです」
🔶「……そっか。なんか感覚バグってたけど、ミドリヤちゃんたちも普通の高校生なんだね」
♥「…………」
🔶「ねぇ、エースちゃん。オレたちはヒーローじゃないけどさ、暗い森の中で『帰り道がわからない』って泣いてる子どもでもないし……誰かの助けを待つのとか、ガラじゃないじゃん。腹くくって、一緒にいこーよ」
🔶「オレたち、ダサいまんまじゃ終われない。そーだろ、エース!」
ケイトが今度こそエースに手を差し伸べる。その手を見つめながら、エースは今にも泣きそうな笑顔を浮かべたた。
♥「…………は、あはは。あははははははっ!」
♥「ケイト先輩、それ……めっちゃズルくね?ここで逃げたらオレ、マジでカッコ悪すぎんじゃん……!」
エースの手が『闇』をかき分け、ケイトの手を取った。
♥「ああ、もう……わかったよ!起きればいいんでしょ、起きれば!」
🔶「そうこなくっちゃ!ミドリヤちゃんも手伝って!引っ張り上げるよ!」
🥦「はい!!」 - 14125/09/01(月) 23:20:08
重たい『闇』の沼からエースを引き上げると、エースは完全に目が醒めた衝撃で叫び声を上げた。同時に、バカンス用のアロハシャツがハーツラビュルの寮服へと変化した。
♥「はぁ、はぁ……ッ、あー、くそ!頭がクラクラする!」
🔶「ははっ……よーやく、お目醒め?おはよ、エースちゃん♪」
♥「アンタが無理やり起こしたんでしょーが!ほんっと、意地悪ぃ先輩!」
🥦「エースくん、目が醒めてよかった。……あの、さっきはごめ」
♥「あーあー、ストップ!別にお前が謝ることなんてないじゃん」
出久の言葉を遮ったエースはきまり悪そうに頬をかいた。
🧨「てめーら、長話は済ンだかよ!!」
――BOOOOOOM!!と爆音が響き、エースを再び『夢』に沈めようと動き出した『闇』の前に勝己が降り立った。
🥦「かっちゃん!」
🔶「今おたすけを呼ぼうと思ってたとこだったけど、さっすがヒーロー!こっちのピンチはお見通しで助けてくれるんだね♪」
🧨「ハァ?甘えンな。ヒーローはクソ程忙しいんだから、追いかけられとる程度の被害ならまずはてめーの方から通報しろ」
🔶「うわぁ、急なマジレス!ま、でもそれはそーね。レオナくん、みんな~!たすけて~~!」
楽しそうに叫ぶケイトの声に合わせて、レオナたちも草影の向こうからやってきた。
🦁「ふん、都合がいいこった。まあいい……軽く体を動かしたいと思ってたところだ」
♠「エース!いっちょヤキいれてやろうぜ!」
♥「ははっ!出た、デュースのワル語録」
悪ガキのような笑顔を浮かべて隣に立ったデュースを見て、エースにいつもの笑顔が戻った。
♥「オッケー……すぐに詰んでやるよ!」
*霊素ダメージロール
出久(77) + dice1d5=5 (5)
爆豪(69) + dice1d5=2 (2)
グリム(75) + dice1d5=5 (5)
シルバー(65) + dice1d5=1 (1)
セベク(83) + dice1d5=2 (2)
- 15125/09/01(月) 23:49:47
😺「オイ、エース~~~!!」
♠「手こずらせやがって、このやろ~~!」
周囲の『闇』を全て消滅させたとたん、グリムとデュースが満面の笑みでエースを小突いた。
♥「いてっ!はぁ~?オレのせいじゃなくて、お前らの説明の仕方が悪いんでしょーが!ケイト先輩もひどくね?いきなりユニーク魔法使って殴りかかってくるとか、ありえねー!」
🔶「あははっ、ゴメンゴメン!でも作戦成功☆結果オーライ♪じゃん?」
🥦「……エースくん。君が起きてくれてよかった」
♥「ミドリヤ……」
ひかえめに話しかけた出久を見て、エースはまたきまりが悪そうに眉をしかめた。
♥「あ~、もう!なんでお前がそんな顔すんだよ!ミドリヤはなんも悪いことしてないでしょーが!」
🥦「えっ……」
♥「……その、お前がオレのこと心配して言っただけだってことくらいわかってるし。………………あんなこと言ってゴメン」
🥦「……!!ううん、僕の方こそゴメン!」
♥「だーかーらー、なんでお前が……って、言ってもキリねーわ、あはは!」
互いに「ごめん」を済ませて、出久とエースは一緒に笑いあった。
🧨「――…………」
♥「で~?バクゴーはオレになんかないワケ?」
🧨「ね~~~~~~わ!!!起きンのが遅すぎンだよクソボケ!!!!」
♥「げぇっ、お前マジで通常運転過ぎんだろ!!もー、寝覚め最悪なんですけど……」
寝起きの頭に爆ギレボイスを叩きこまれたエースはげんなりと肩を落とした。
♥「つーか……今までの流れでココがマレウス先輩が作った夢の中だってことはわかったんだけどさ。アンタら、一体どーやってマレウス先輩に勝つつもりなわけ?」
🔥「それに関しては僕から説明させてもらうね。この動画を見てくれる?」
すでに説明スタンバイ状態だったオルトにイデアのタブレットに表示した『マレウス攻略』を見せられると、エースは自分が置かれている状況が完全にもらい事故であると理解して「マジで納得いかね~~~~~~~!」と天に向かって叫んだ。 - 16125/09/02(火) 00:03:39
♥「ま、もう目が醒めちゃったもんはしょうがないし、仕方ないから一緒に行ってやるよ」
🔶「イェーイ!いつメンクインテットついに集結だね♪んじゃ、記念に1枚」
🧨「勝手に撮ンじゃねーーわ!!」
🔶「うわ!バクゴーちゃんがものすごい見切れ方しちゃった。ま、これはこれでバズりそうだからいっか♪」
衝突もあったが、何はともあれ一件落着。
ケイトは笑顔でピースをしている4人と限界まで首を伸ばしてカメラの画角から顔を外そうとする勝己が収められた写真を夢の中の自分だけのマジカメにアップした。
普段の調子を取り戻したエースは早速セベクを煽って口論に発展したが、「あんまり先輩たちを困らせてると、後でリドルくんに言いつけちゃうからね?」というケイトの一声でセベクともどもピタリと静かになった。
エースは言わずもがな。セベクも馬術部でのリドルの後輩であり、怒ったリドルの恐ろしさが身に染みているらしい。
🦁「なるほどなァ。1年坊どもには『赤鬼が来るぞ』って脅し文句が一番効くわけか」
💀「実際は、こっちからその赤鬼を訪ねて行かなきゃいけないんですけどね。でもその前に……最高のなだめ役を起こしてからにする予定」
次に訪れるのはトレイの夢。エースはオルトから『招待コード』を受け取ると、「ぜって~『迷惑かけてごめんなさい』って言わせてやっからな!」と息巻いた。
ヒーロー精神をもたずとも、プライドと負けず嫌いで格上にも噛みつきにいくのがナイトレイブンカレッジ流だ。
オルトがエースのダミーデータを出力すれば、出発の準備は万全。
トレイの夢を目指し、出久たちはシルバーにしがみついて『夢の回廊』へとダイブした。 - 17125/09/02(火) 00:12:07
このスレのシリーズのどこかでデクとマブの喧嘩シーン入れたいな~とボンヤリ思ってたので、エース夢にもってきました
デクには皆と仲良くしてニコニコしててほしいのですが、デクの性格でNRC生の誰とも衝突起こさないのは流石に嘘だろ……という謎のこだわり
デクはモブNRC生に「良い人すぎて逆に腹黒そう」とか「善人ぶっててキモイ」とか、ネージュを見た時のエースとジャミルみたいな陰口叩かれるタイプだと思う
(そしてモブNRC生はわりとチョロイので、実際に話したらマジで良い奴なので掌クルクルされるやつ)
かっちゃんは普通に「クソの下水煮込み」「暴言製造マシン」「爆発さん太郎」「異常者」って言われてると思う
表情筋も暴言もデズニー世界に馴染まなさすぎるので
良さを知るにはある程度親密度を上げる必要があるけど異常に難易度が高くてモブには無理なタイプ - 18二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 06:25:01
頷き過ぎて赤べこになってる
- 19125/09/02(火) 10:33:38
次に出久たちが降り立った先は、ハーツラビュル寮の前だった。あたりにはバターや砂糖の良い香りが漂っている。トレイがキッチンでお菓子を作っているようだ。夢の主と接触するため、出久たちは早速ハーツラビュル寮に入っていった。
季節のフルーツのタルトにパイ、バターたっぷりのスコーンにクッキー。それから野菜のキッシュ。良い匂いにつられたグリムはイノシシのようにキッチンに突撃していったが、「ちょっとストップ」とケイトに抱え上げられた。
🔶「けーくん、いきなり全員でキッチンに入るのはやめたほうがいいと思うな。この中にはトレイくんだけじゃなくて、NPCのオレらが一緒にいる可能性がある。鉢合わせたらバトルになるかもしれないでしょ」
🦁「そもそも、キッチンにこの人数でぞろぞろと入っていくのもおかしいだろ」
🥦「確かに……」
そういうわけで、キッチンへの先遣隊を派遣する流れになった。メンバーは『闇』と鉢合わせてもユニーク魔法を言い訳にできるケイトをハーツラビュル代表として、ケイトと一緒にいても違和感が少ない同級生のレオナとイデア、そして「学園での困り事で話しやすい先輩に頼りにきた」という設定でトレイに会いに行っても違和感が比較的少ない出久と勝己に決まった。
🔥「兄さんのタブレットに内臓されたマイクを通して、僕たちも話は聞いてるからね」
😺「なぁイズク~。トレイのケーキ、いっぱい持ち帰ってきてほしいんだゾ~」
🥦「う~ん。『闇』でできたお菓子かもしれないから、今回は我慢してね」
😺「ふな~~~」
今にもよだれを垂らしそうなグリムをエースとデュースに預け、出久たちはケイトに続いてキッチンに足を踏み入れた。 - 20125/09/02(火) 10:45:41
🔶「うわあ!?なにこのキッチン!?普段の5倍……いや10倍は大きくなってる!」
トレイの夢のキッチンは、建物の寸法や間取りを丸無視した広さになっていた。最も、ハーツラビュルは現実でもところどころ空間が歪んでいて上下左右が逆さまになっており、お茶会にお呼ばれした際の出久と勝己の三半規管を破壊しにくる構造になっているから、今更なことではあるが。
広々としたキッチンには最新の調理家電がずらりと並び、調理台の上には山のようなケーキが隙間なく敷き詰められている。それでも作り足りなかったのか、ケーキやプリンが魔法でふわふわと空中に浮かされていた。
🦁「甘ったるい匂いで鼻がバカになりそうだ。食べてもないのに腹一杯だぜ……」
🥦「トレイ先輩って本当にお菓子を作るのが好きなんですね」
🔶「ね~。ウチの寮でお茶会が開かれるときは、いつもトレイくんがお茶請けを作ってくれててさ。『作るのは苦じゃない』って言ってたけど、お菓子作りって大変だし、本音はしんどいのを我慢してやってくれてんだろうな~って思ってたんだけど……」
💀『この夢の状況をみると、本当にお菓子を作るのが楽しくてしょうがないとしか思えませんな』
🔶「うん……オレもそう思う」
キッチンの様子に驚いていた出久たちだったが、パイの山の向こうから話し声が聞こえてきたので、あわてて調理台の影に身を隠した。 - 21125/09/02(火) 10:59:28
🐈「ハフハフッ!相変わらずおみゃーの焼くミートパイは抜群やわ」
☘「ホールケーキの最初の1ピースは寮長のもの。……とはいえ、まだ冷まし終わってもいないのにつまみ食いするなよ、チェーニャ」
🐈「トレイのミートパイは出来たてアツアツが一番美味いからにゃあ。最初に食えるのは、寮長の特権だわ」
パイの山の向こうにいたのは、見慣れない厨房着姿のトレイと、現実ならばリドルが頭に冠しているはずの、ハーツラビュルの寮長の証である王冠を被ったチェーニャの姿があった。
🔶「あれは……トレイくんと、チェーニャン!?」
🧨「眼鏡の野郎、今あのイカレ猫のことを『寮長』っつってたな」
🥦「この夢でのハーツラビュルの寮長はチェーニャさんになってるってこと?」
🦁「誰だ、あの縞猫野郎は。ウチの学園で見たことねぇな」
チェーニャと面識のないレオナとイデアに、ケイトが軽く説明を捕捉した。チェーニャはトレイとリドルと同郷出身の幼馴染で、現実ではロイヤルソードアカデミーの生徒である。
🦁「フン。参謀役2人が揃いも揃ってボスの首をすげ替えている夢を見ているとは。……流石にリドルのヤツに同情するぜ」
💀『やっぱりトレイ氏やケイト氏みたいな、普段ニコニコしてて腹の中が読めない人種が一番おそろしいっすな』
レオナは皮肉たっぷりにニヤニヤと笑い、タブレット越しのイデアの声は笑いをこらえるように震えている。
普段はいがみ合っている者同士でも、同じ相手をディスるときだけ息がピッタリになるのがナイトレイブンカレッジ生というものである。 - 22125/09/02(火) 11:08:28
🔶「やっほートレイくん、今日もお菓子作りに精が出てるねぇ♪」
☘「ケイト?……っと、お前は本体じゃないよな」
🔶「えっ?なんでわかったの!?」
夢の主であるトレイに早速コンタクトを取りに行ったケイトだったが、瞬時にこの夢のケイト本人ではないと見抜かれてギョっと目を開いた。
☘「もう3年の付き合いになるんだ。それくらいわかるさ」
🔶「へ、へぇ~……そうなんだ?今までもすぐにバレてたってこと?」
☘「時と場合によるけどな。今日は普段と随分様子が違うから、すぐわかったよ」
トレイはからからと笑うと、ケイトの後ろにいた出久と勝己に気がついた。
☘「おや、ミドリヤとバクゴーじゃないか」
*トレイの様子 dice1d2=2 (2)
1.兄感たっぷりの優しい笑顔
2.心配したような焦り顔
- 23125/09/02(火) 11:22:58
☘「どうしたんだ、お前たち。そんなにやつれてしまって。お前たちがいつもストイックに厳しいトレーニングをこなしているのは知ってるが、根を詰め過ぎたらかえって毒だぞ」
🥦🧨「「???」」
☘「ちょうどもうすぐ新作のケーキが焼き上がるところだから、試食がてらエネルギーを補給していくといい」
トレイはテキパキとダイニングスペースを整えると、出久と勝己を座らせた。
🥦「……この夢の僕たちって、現実の僕たちとちょっと違うのかな」ヒソヒソ
🧨「今までの夢の感じじゃ、何らかの改変入っとってもおかしくはねーが……」ヒソヒソ
☘「ところでケイト、今日は随分と珍しいお客さんも連れてるんだな?」
トレイはケイトに同行してきたレオナとイデアを見て首を傾げた。一応同級生とはいえ、現実でレオナがハーツラビュルを訪れることはまずないし、イデアはケイトと同じクラスだがそもそも自室から出てこないので、当然の疑問ではあるが。
🔶「こないだの小テストの結果がちょーっと悪かったから、天才くんたちに勉強教わろうと思って」
🐈「実践魔法の小テストか。わからない場所があるんだったらリドルに聞けばいいがね」
🔶「……リドルくんって、この寮にいるの?」
🐈「そりゃおるわ。あいつはウチのトランプ兵なんだから。リドルは魔法の勉強が好きだからねぇ。俺たちん中じゃ、一番魔法が得意で物知りさ」
🦁「ふぅん?それほどの実力がありながら、ソイツは寮長になってねぇのか」
☘「リドルが寮長に?はは、そういえばあいつが入学してすぐの頃……『寮長の座をかけてチェーニャに挑む』と言い出して驚いたっけ」
💀『でもリドル氏が寮長になってないなら……決闘に勝てなかったってコト!?』
「リドルが決闘に勝てなかった」という話を聞いて、レオナは驚きで目をかっ開き、イデアはバイブレーション機能が入ったかのようにタブレットを震わせた。
リドルはとにかく魔法の発動が速い。ほとんど詠唱を必要としないリドルの魔法相手では出久と勝己すら完全に無傷で接近することは難しく、さらに魔法の威力もペース配分を完全に無視した超火力。この世界に来てから何人もの魔法士と戦ってきた二人だが、決闘のような短期決戦ならばリドルは最強クラスだったと言える。 - 24125/09/02(火) 11:42:17
驚く面々に、チェーニャは「あいつのユニーク魔法、俺には効かないからにゃあ」と自身のユニーク魔法『笑う縞猫(ノット・オール・マイヘッド)』を披露した。
🐈「ウェッヘッヘッヘ。はねる首がなきゃ、リドルもお手上げってわけさ」
チェーニャの首から下が消えてなくなる。単に透明化しているわけではなく、物質としての存在そのものが消えている。通形の『透過』に似た性質のユニーク魔法だ。
出久と勝己は見慣れた現象だが、魔法としてはかなり特殊な部類に入るようで、魔法構築式の予測が立たずにレオナもイデアも奇妙なものを見る目で生首になったチェーニャを見ていた。
🐈「そいじゃあお客さんがら、ゆっくりお茶でも飲んでいきにゃあ」
話が一区切りすると、チェーニャはそのまま全身どこかに消えてしまった。
☘「まったく。寮長の気分屋にも困ったもんだ。……っと!まずい。そろそろケーキが焼き上がる時間だ。オーブンから取り出してくるから少し待っててくれ」
トレイがキッチンの奥へと引っ込んだ隙に、出久たちはヒソヒソとこの夢の情報を整理した。
この夢ではトレイの幼馴染であるチェーニャがナイトレイブンカレッジに入学して寮長を務めており、リドルはチェーニャに勝てないために一寮生のまま。チェーニャが治めるハーツラビュルの寮でトレイは好きなだけお菓子作りを楽しんでいる。というのが、今のところ得られた情報だ。
トレイに都合の良い設定の改変は随所に見られるものの、他の夢の突拍子のなさを思えば、随分と平和的な夢だった。
💀『こういう、妙にリアルな夢は現実との齟齬を突きつけづらくて一番手強いまであるんだよなぁ。……ケイト氏、なんかトレイ氏を起こすアイデアないの?』
🔶「なんかって言われても……。うーん」
そうこう話している間に、デザートをもったトレイが戻ってきて「よかったらお前たちも試食してくれないか」と3年生たちを出久たちと同じテーブルに座らせた。
「俺たちにだけ試作品の毒見をさせるつもりか?」とレオナの言葉もあり、トレイも一緒になって同じテーブルを囲む形になった。 - 25二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 13:09:53
見た感じ平和な夢だけど前スレのレスを見る限りジェイドと同タイプの夢なんだよね
- 26二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 13:40:40
トレパイからやつれた判定出たってことは、この夢の幼馴染はもう手遅れなんやろなぁ……
- 27二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 13:49:14
やつれた判定⁉︎ケイト先輩は様子が違うなのに二人はやつれた!?やつれた二人…トレパイの言うやつれたとはいったい…