- 1◆EPynOvGJx225/09/01(月) 23:09:49
- 2◆EPynOvGJx225/09/01(月) 23:10:43
- 3◆EPynOvGJx225/09/01(月) 23:19:30
続き
アメジオはゆっくりと瞼を持ち上げた。
(……俺は眠っていたのか?)
ぼんやりとした頭に疑問が浮かぶ。身体は柔らかな寝具に包まれているわけでも、床に横たわっているわけでもない。霞んだ視界に瞬きをすれば、身体は宙に浮かんでいるように見える。
(ここはどこだ……?)
アメジオは記憶を必死に辿る。自分はついさっきまでギベオン様に謁見していたはずだ。それがどうしてこんな場所に?
混乱する頭の中に、不意に聞き慣れた声が入ってきた。
「おはようございます。と言っても、貴方の意識が途切れていたのはほんの数秒ですが」
アメジオが反射的に顔を上げると、薄闇の中に浮かび上がったのは忌々しい男の姿だった。
「スピネル……ッ!なぜお前が……ッ!」
そう言った瞬間、アメジオは異変に気づいた。声と同時に動かそうとした腕も足も、どんなに力を込めても微動だにしない。
「な……ッ!?」
アメジオは顔を動かし四肢が金属の塊にすっぽりと覆われているのを見て驚く。
dice1d4=3 (3)
1.「ここはどこだ!なぜ俺は拘束されている!」
2.「俺をはめたのか!」
3.「そのポケモンは……?それとあそこの赤と青のヤツらは誰だ……?」
4.「なんだその髪型と服装は!」
- 4◆EPynOvGJx225/09/01(月) 23:51:59
アメジオは再びスピネルの方へ顔を向け、訳を問いただそうと口を開きかけた。しかし、目の前の巨大なケースに注意を奪われた。
その中には見たことのないポケモンが入っていた。ピンクのもやに身体を包まれ、瞳は眠っているように閉じられている。
(このポケモンは……?)
アメジオは眉をひそめ、さらに周囲へ視線を巡らせた。そこで気づいたのは、近くに立つアゲートの存在とその奥に控える二人組の存在だった。赤と青の髪色が特徴的な男女だが、アメジオには一切見覚えがない。彼らの着ている制服も見た事のないデザインだった。
「そのポケモンは……?あそこの赤と青のヤツらは誰だ……?」
溢れる疑問を口に出すと、普段と装いの異なるスピネルはそれに答えず、逆にアメジオに問いかけてきた。
「貴方は今までどこにいましたか?」
その質問を怪訝に思いながらも意図は掴めず、結局正直に答えることにした。
「……俺はついさっきまで、ギベオン様に呼ばれ直々に会って話をしていた」
その言葉を聞いた途端、スピネルは何かを思案するように口元へ手を当てた。広い空間に流れる沈黙が、アメジオの胸にざわりとした不安を作り出す。
- 5二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 00:05:39
赤と青のヤツら…確かに
- 6◆EPynOvGJx225/09/02(火) 00:56:39
- 7◆EPynOvGJx225/09/02(火) 02:07:31
「ラクリウムの影響だと……?」
ラクリウムは祖父が求める、この世界に永遠のめぐみをもたらすもの……それをなぜ、スピネルがこんな場所で口にしたのだろうか。
「その様子だとラクリウムの作用についてまだ何も知らないみたいですね。まあ実験には何ら関係のないことですが」
スピネルは薄く笑い、背後に控える二人へ視線を流した。
「ルーベラ、インディ。ユクシーを移動させてください」
「「はっ!」」
名前を呼ばれた二人は即座に動き、アメジオの目の前に置かれた巨大なケースに黒い布を被せ、キャスターの軋む音と共に慎重に出口へ押し運んでいく。どうやらユクシーと言うのはケースの中に眠るポケモンの名前らしい。
アメジオがその光景を目で追っていると、いつの間にかスピネルがアメジオのほぼ真下の位置まで詰め寄っていた。
- 8◆EPynOvGJx225/09/02(火) 02:12:15
「……っ」
アメジオは思わず身を引こうとするが、四肢は縫いつけられたように動かない。スピネルの白い手が伸びてきて、アメジオの首元に指先が滑り込んでくる。
急所に触れられ息が詰まった。首を絞められるのではないかと危惧したが、スピネルの手は襟の先を掴むだけに留まった。
「早速実験を再開しましょう。アゲート、貴方もそこで見学されますか?」
スピネルはアメジオに視線を向けたまま問いかけた。
「私は監視と警備で忙しいのでな。失礼する」
アゲートは短い返事の後、ユクシーを運ぶ二人を追い抜き扉の向こうへと姿を消した。
スピネルの薄い唇が弧を描く。
「さて……服を脱ぎましょうか」
襟元を指先でなぞられ背筋がゾワリとした。
「俺に触れるな……っ」
「おや、自分で脱ぎたいのですか?それならケースの蓋を閉じてから手足を自由にして差し上げますよ」
dice1d2=1 (1)
1.「自分で脱ぐ……」
2.「お前は何を企んでいる!」
- 9◆EPynOvGJx225/09/02(火) 02:48:15
「……自分で脱ぐ」
アメジオは低く吐き捨てるように言った。実験の詳細については何も分からないが、とにかくここから逃げた方がいいのは確実だ。手持ちのボールを奪われているのが窮地だが、手足が自由になれば僅かにでも脱出する望みが生まれるかもしれない。
「やけに素直ですね。ではケースを閉じます」
スピネルがケースに組み込まれた機械を操作した直後、片側から分厚いガラス板が現れしゅるりと音を立てながらアメジオを中に閉じ込めた。構造はユクシーの入っていたケースと変わらないだろう。少しの衝撃を与えた程度では恐らくびくともしない。
「どうしました?早く裸になってください。服を着たままでは身体の変化が分かりづらいでしょう?危険があっても気づかず対処できないかもしれませんよ」
ガラス越しでも伝わる流暢な語り。スピネルはアメジオの思惑など見通していたのか、追い詰めるように言葉を連ねる。
dice1d2=2 (2)
1.襟のボタンに手をかける
2.スピネルを睨みつける
- 10◆EPynOvGJx225/09/02(火) 03:19:40
拘束が解かれ、落ちた際に硬い床とガラスにぶつけた膝や額がじんと痛む。よろめきながら立膝をつき、ガラス越しにスピネルを睨みつけた。
前々から怪しい男だと思っていた。ジルとコニアに見張りを付けさせていたが、謁見後に受けた報告ではエクシード社を出てどこかに移動したと聞いた。自分はエクスプローラーズの本部にいたが、そこで捕まってしまったというのだろうか。一体どんな手を使って?そもそもここはどこなのだろう。考えれば考えるほど疑問ばかりが頭を覆い尽くし思考はまとまらない。
「脱がないようなら、このまま実験を始めてしまいましょうか」
スピネルの指先が機械に触れようとした、その瞬間だった。
「dice1d5=3 (3) !」
(1.サイコカッター2.かえんほうしゃ3.シャドーボール4.みずのはどう5.メガホーン)
- 11◆EPynOvGJx225/09/02(火) 08:09:17
保守
- 12◆EPynOvGJx225/09/02(火) 16:06:21
保守
- 13二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 17:25:42
うーん脱がないか
- 14◆EPynOvGJx225/09/02(火) 22:33:36
- 15二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 06:56:41
ソウブレイズ登場か!
今までどこにいたんだろう…? - 16◆EPynOvGJx225/09/03(水) 14:24:36
保守
- 17◆EPynOvGJx225/09/03(水) 22:31:39
「ソウブレイズ!お前も来てくれたのか」
「ブレッ」
ソウブレイズは力強く頷き、瞳の炎を揺らしながらアメジオを見つめた。そして正面に向き直ると、青い炎を纏った大剣を構え敵を真っ直ぐに見据える。アメジオもそれに習った。
煙は晴れ、スピネルは既に広く間合いを取っていた。その頭上にはオーベムがゆらゆらと漂っている。スピネルは余裕を浮かべた顔をドアの方に向けた。
「ハンベル。私に歯向かうおつもりですか?」
ハンベルは普段と変わらない佇まいでそこに立っていた。
「もとよりそのつもりです。私の主はギベオン様、そしてその後継者であらせられるアメジオ様です。スピネル。貴方はトップに相応しい人間ではありません」
ハンベルは髪に隠された眼を光らせ、冷静かつきっぱりと言い放った。示し合わせなくともハンベルとアメジオは同時に動いた。
「ヨノワール!シャドーボール!」
「ソウブレイズ!サイコカッター!」
漆黒の球と光る斬撃が一直線にスピネルとオーベムに向かって放たれた。
- 18二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 07:02:55
保守
- 19◆EPynOvGJx225/09/04(木) 16:06:50
- 20◆EPynOvGJx225/09/04(木) 22:24:00
外に出た瞬間、アメジオの視界に広がったのは見覚えのある造りの廊下だった。壁も床も、かつて何度も歩いた本部のそれと同じだ。
「ここはエクスプローラーズの本部か……?なぜスピネルはこんな場所で俺を……」
同じ組織のメンバーを裏切るつもりなら、あの用心深いスピネルがわざわざこんな目立つ場所に自分を拘束する意味が分からない。アメジオが眉を寄せると、ハンベルが振り返って声をかけた。
「急ぎましょうアメジオ様。こちらです」
ハンベルが先を行き、アメジオとソウブレイズはその後を追って駆け出す。しばらく廊下を走り抜けた後、突然角の向こうから二人の人間が飛び出してきた。
※出てきたのはdice1d2=1 (1)
1.敵
2.味方
- 21二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 07:08:10
敵誰だろう
- 22◆EPynOvGJx225/09/05(金) 15:56:00
現れたのは赤と青が特徴的な男女――先程ユクシーを運び出していたスピネルの部下二人だった。
「ここを通させはしない!」
「大人しく着いてきてもらおう!」
二人は廊下を塞ぎ、息を合わせたようにモンスターボールを構えた。
「随分手回しが早いですね。ですが我々を止めることはできません」
ハンベルの頭上に闇の渦ができ、音もなくヨノワールの巨体が現れた。ソウブレイズは剣を鳴らし、こちら側の戦闘態勢は整っている。
アメジオは敵を見据えつつ、ふと頭にとりとめのない考えが過ぎった。
(確かこの二人の名前は……)
dice1d2=2 (2)
1.(ルーベラとインディだったか)
2.(ルージュラとウインディだったか……?)
- 23二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 21:35:35
記憶戻らないか、、、
- 24◆EPynOvGJx225/09/05(金) 22:44:32
- 25二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 01:35:17
ルージェラとウインディ草
- 26◆EPynOvGJx225/09/06(土) 07:31:16
保守
- 27◆EPynOvGJx225/09/06(土) 15:48:57
保守
- 28◆EPynOvGJx225/09/06(土) 22:32:24
「ナゲィッ!」
「ダゲッ!」
重々しい鳴き声と共に姿を現したのは、それぞれ赤と青の体に道着を纏う二体のポケモンだった。
「ナゲキにダゲキですか。イッシュ地方を代表するかくとうタイプの二体です」
ハンベルの解説にアメジオは手持ちのポケモンに想いを馳せた。
「ひこうタイプのアーマーガアなら有利を取れたが……ソウブレイズ。今はお前だけが頼りだ」
「ブレイッ」
ソウブレイズは敵を睨みつけたまま短く返事をした。すると敵の二人は腰元を探り、何かを取り出した。
「この際相性など二の次だ」
「このストロングスフィアさえあれば……!」
二人の手から放たれたのは、モンスターボールのような奇妙な球体だった。放り投げられたそれは空中で開くと濃いピンクの煙を噴き出し、瞬く間にナゲキとダゲキの全身は煙に包み込まれてしまった。ほどなくして煙が晴れると、二体は先程より激しく鳴きだし、足を床に打ち付け明らかな興奮状態になっていた。
「なっ……!?一体何をした!」
アメジオは異様な光景に目を疑った。
- 29二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 23:39:49
ホウエンだったらプラマイだったのかな…マイナンどうしてるかな
- 30◆EPynOvGJx225/09/07(日) 07:34:34
保守
- 31二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 15:36:26
保守
- 32◆EPynOvGJx225/09/07(日) 22:50:19
「ゆけ!」
「本能のままに暴れろ!」
二人の台詞にアメジオは耳を疑った。
「本能のままにだと……?」
技の指示など一切ない。それなのに、ナゲキとダゲキの瞳はぎらつき、猛獣のような唸り声を漏らしこちらを睨みつけている。
「ナゲイッ!」
先陣を切ったナゲキが床を踏み鳴らし、腕を大きく振りかぶってソウブレイズへ殴りかかる。
「ソウブレイズ、かわせ!」
「ブレッ!」
ソウブレイズは後方へ跳び退き、拳が通り過ぎる寸前に身を翻した。
「この素早さ……やはりストロングスフィアの力は侮れませんね」
ハンベルが呟いた言葉にアメジオは眉をひそめた。
dice1d2=2 (2)
1.ストロングスフィアについて尋ねる
2.反撃する
- 33二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 07:55:11
保守
- 34◆EPynOvGJx225/09/08(月) 16:49:28
- 35◆EPynOvGJx225/09/08(月) 22:11:30
- 36◆EPynOvGJx225/09/08(月) 22:21:41
「ヨノワール、二体に向かってシャドーボール」
ハンベルの号令に応じ、ヨノワールは両手に闇の球体を生じさせ勢いよく放つ。やはりトレーナーの二人は立っているだけで何の指示も出さない。それにも関わらず、二体は迷わず俊敏な動きで技をかわすと、まとめてソウブレイズに飛びかかってきた。
「ブレッ……!」
このスピードは避けることは叶わないだろう。
「怯むなソウブレイズ!かくとう技とノーマル技ならお前には効かない!」
アメジオは冷静に呼びかけた。先程ナゲキは相手がゴーストタイプであるにも関わらず打撃技を打ち込んできた。恐らくあれはかくとう技だろう。ならばヨノワールも含め、こちら側がかなり有利な立場と言っていい。
- 37二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 06:59:47
保守
- 38◆EPynOvGJx225/09/09(火) 14:27:56
しかし次の瞬間、ソウブレイズは二体に組み伏せられた。
「なっ……!?ソウブレイズ!」
「グゥッ……ブレィッ……!」
ナゲキの太い腕がソウブレイズの首を締め上げ、ダゲキは動けない体を思うままに蹴りつける。苦しそうな鳴き声がソウブレイズの喉元から絞り出された。
「なぜゴーストタイプのソウブレイズが……!あれはかくとう技ではないのか……ッ!」
焦るアメジオにハンベルは低く呟く。
「……あれは技ではなく“わるあがき”です。滅多に目にしませんが、ポケモンには何らかの理由で技を繰り出せない状態に追い込まれると、本能のままに暴れ、本来のタイプ相性を無視して攻撃する力が備わっているのです」
「では今は技を繰り出す理性さえ失っていると言うことか」
「あるいは、技の通じない相手に対し本能が無理やり勝つ術を見出したのか……真相は分かりません」
- 39◆EPynOvGJx225/09/09(火) 22:15:24
- 40二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 05:46:07
保守
- 41二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 12:25:38
アメジオがソウブレイズに駆け寄るの好きだわ
- 42◆EPynOvGJx225/09/10(水) 16:25:39
- 43◆EPynOvGJx225/09/10(水) 23:48:54
- 44二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 07:56:28
良かった抜群引けた
- 45二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 17:14:08
保守
- 46◆EPynOvGJx225/09/11(木) 22:21:44
保守
- 47◆EPynOvGJx225/09/11(木) 23:43:50
- 48◆EPynOvGJx225/09/11(木) 23:49:36
- 49◆EPynOvGJx225/09/11(木) 23:54:45
「時間稼ぎは十分にできた」
男の方がそう言うと女もふっと微笑を浮かべた。
「もうすぐ警備が到着する頃だ。この狭い廊下で大勢に囲まれれば逃げることはできない」
アメジオは奥歯を噛み締めた。
「最初から勝敗などどうでもよかったと言うことか……!」
アメジオが二人を睨みつけると、隣にいたハンベルが一歩前に出て落ち着いた声で告げた。
「こちらも時間稼ぎは十分にできました」
アメジオははっとしてハンベルの横顔を見た。すると先程敵の二人が現れた方向から走ってくる足音が聞こえた。
最初に出てくるのはdice1d5=1 (1)
1.フリード2.リコ3.ロイ4.ドット5.ジルコニア
- 50二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 07:23:05
このレスは削除されています
- 51二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 13:08:08
記憶なくなってるんだよな
一応54話辺りまでの記憶あるっぽいからガチ初期に比べたらRVへの敵対感情大分マシだろうけどどうなるかな… - 52◆EPynOvGJx225/09/12(金) 20:46:24
※消えていたので再投稿
「お前は……!」
現れた人物にアメジオは目を見開く。いつにも増してラフな格好に身を包み、白髪に特徴的なゴーグルをかけた、にやけた笑顔が妙に鼻について仕方のない男。
「お!いたいた!」
フリードはアメジオと目を合わせた途端なぜか嬉しそうな顔をした。
「ピカチュ!」
ほぼ同時に現れたピカチュウがフリードの肩に飛び乗り、何やら後ろに向かって呼びかけた。そして角の向こうからまたしても知っている顔ぶれが飛び出してきた。
「あ!アメジオいた!」
「ホントだ!」
「ハアハア、ボクもう走るの限界……」
(子供達まで……!RVCがなぜここに……!)
※アメジオが注目するのは?→2
(1.リコ2.ロイ3.ドット)
- 53◆EPynOvGJx225/09/12(金) 20:47:28
- 54◆EPynOvGJx225/09/12(金) 22:03:11
「コニア!ジル!」
名前を呼ばれた二人はアメジオを捉えた瞬間目を潤ませた。
「ア、アメジオ様!」
「よくぞご無事で!」
(なっ……!?泣くほどの事か……?)
大袈裟な態度にアメジオが少々面食らっていると、青い方の部下がジルとコニアに体を向けつつハンベルを横目で睨みつけた。
「……我々をここに引き付けておいて、その間にこの者たちにRVCを逃がすよう指示したのだな」
続けざまに女が鋭い口調でジルとコニアに問いただす。
「お前達もエクスプローラーズに歯向かうつもりか」
しかしジルとコニアは一歩も引かず、力強く言い放った。
「もう一度歯向かった身だ!相手が幹部だろうとトップだろうと少しも怖くないぜ!」
「私達はいつだってアメジオ様の味方よ!」
アメジオはいつもより逞しい二人の様子に呆気に取られた。
- 55◆EPynOvGJx225/09/12(金) 22:32:58
アメジオは目の前で繰り広げられている光景に理解が追いつかず困惑していた。
(なぜジルとコニアがRVCを助けた?それもハンベルが指示しただと?)
渦巻く疑念を抑えきれず声を荒らげる。
「ハンベル!これは一体どういうことだ!」
「どうされたのですかアメジオ様」
「なぜお前がRVCの味方をしている!俺が拘束されている間に何があった!」
そう問いかけると、ハンベルの前髪から覗く片目が大きく見開かれる。ハンベルの口が僅かに開きかけたところでフリードの声が響いた。
「おふたりさん!早いところ逃げようぜ!」
アメジオはハッとして前を向き直った。スピネルの部下ふたりはポケモンを瀕死にさせられ、我々とRVCに挟み撃ちにされ身動きが取れない。逃げるなら今がチャンスだ。
- 56◆EPynOvGJx225/09/12(金) 22:37:00
「アメジオ様、こちらを……」
近寄ってきたハンベルに差し出されたのは馴染み深いモンスターボール二つと、ハンベルから受け継いだテラスタルオーブだった。
「あのお二人が回収し、大切に持っていてくださいました」
ハンベルにつられてジルとコニアに目をやると、二人は頼もしい表情でアメジオをまっすぐに見つめていた。アメジオは黙って両手でボールとオーブを受け取る。
その時、複数人の大声が廊下に響き渡った。
「いたぞ!」
「アメジオとRVCだ!」
ポケモンを連れた警備隊がアメジオ達の周囲を取り囲んだ。
「思ったよりも数が多いな」
アメジオが呟くとスピネルの部下二人はにやりと笑い、素早く警備隊の方に駆け寄ると先頭に立った。今にも攻撃を仕掛けてきそうだ。
※アメジオはdice1d4=4 (4)
1.ソウブレイズに攻撃を命じる
2.アーマーガアに攻撃を命じる
3.様子を見る
4.ソウブレイズをテラスタルさせる
- 57二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 01:05:02
ロイに注目したの背が伸びてるからか…なるほど…
- 58二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 08:04:01
保守
- 59二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 15:28:50
保守
- 60◆EPynOvGJx225/09/13(土) 23:10:10
- 61二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 07:29:54
やっぱテラスタルは良いな…
- 62◆EPynOvGJx225/09/14(日) 14:11:17
保守
- 63二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 18:38:13
テラスタルやっぱかっけー!!!
- 64◆EPynOvGJx225/09/15(月) 00:09:56
「怯むな!立ち上がれ!」
赤い女の方が頭を抱えながらも警備隊を鼓舞する。
「アメジオ以外にも狙いを定めろ!」
青い男もふらつきながら立ち上がり、二人の指示で警備隊が体制を建て直し始めた。
「隙を与えるなソウブレイズ!」
「ブレッ!」
応じたソウブレイズは剣に力を込めたまま一気に廊下を駆け抜ける。シャドークローに薙ぎ払われた警備隊は悲鳴を上げながら、今度こそその場に崩れ落ち恐怖で動けなくなった。スピネルの部下ふたりもダメージを負い、すぐに立ち上がることは容易ではないだろう。
「ソウブレイズの後に続け!」
アメジオに応え、ジル、コニア、ハンベル、そしてRVCの面々も揃って頷いた。全員が開いた道の方へ一斉に駆け出す。逃げ道は確保したが、後方からは残った警備隊が追いかけてくる。
その時、少女の声が響いた。
リコの呼び方dice1d4=4 (4)
1.テラパゴスを持つ娘
2.ロコとリイだったか…?
3.名はリコだったな
4.忘れたからとりあえずヘアピンと呼ぶか
- 65◆EPynOvGJx225/09/15(月) 01:19:01
「私達も戦わなきゃ!出てきてマスカーニャ!」
ヘアピンのボールから光と共にポケモンが現れた。
「ニャアー!」
スラリとしたしなやかな体にマントを身にまとったその姿から、アメジオは目を離せなかった。
「マスカーニャだと……!」
あの島でニャオハからニャローテに進化したのを目撃したばかりだった。あれからさほど期間は開いていないはずだが、既に最終進化を遂げている。
「出てこいアチゲータ!」
「ウェルカモもお願い!」
ロイの呼び方dice1d4=1 (1)
(1.黒いレックウザを追う少年2.いや、やはりロコとリイのはずだ…!3.名はロイだったな4.忘れたから前髪ピンクと呼ぶか)
ドットの呼び方dice1d4=3 (3)
(1.エンジニアの少女2.ピクセルみたいな雰囲気だったな3.名はドットだったな4.忘れたからチェリム(ネガフォルム)と呼ぶか)
- 66二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 01:52:37
一番面識少ないドットだけ名前覚えてるのか
- 67二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 07:40:31
保守
- 68二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 14:52:39
保守
- 69◆EPynOvGJx225/09/15(月) 18:52:33
(アチゲータにウェルカモだと……!この前見た時はまだ進化していなかったはず……)
「マスカーニャ!マジカルリーフ!」
「アチゲータ!かえんほうしゃ!」
「ウェルカモ!アクアカッター!」
三人の指示が重なりポケモン達は一斉に技を放った。葉と炎と水が絡み合い、大きな軸となって追っ手に襲いかかる。呻きと悲鳴が廊下に響き、追っ手は一気に奥へと押し返された。
「やったねマスカーニャ!」
「いいぞアチゲータ!」
「ありがとうウェルカモ!みんな先を急ごう!」
ヘアピン、黒いレックウザを追う少年、ドットはポケモンをボールに戻すとすぐさま走り出す。
(この三人はこんなに逞しかっただろうか……)
三人の背中を見つめながらアメジオはそう思った。今までならピンチの時はフリードが先陣を切って戦っていただろう。
(俺の知っている子供達ではない……まるで別人のようだ)
アメジオの胸に隠しきれない違和感がじわじわと広がっていく。
(まさか……)
dice1d4=4 (4)
1.短期間でとてつもない努力をしたのか?
2.凄い特訓を受けたのか?
3.スピネルに人体実験でもされたか?
4.俺の成長が遅いのだろうか…
- 70◆EPynOvGJx225/09/15(月) 19:55:43
- 71◆EPynOvGJx225/09/15(月) 21:47:48
- 72二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 23:14:00
成長が遅い…間違ってないっちゃいないんだけども…
- 73◆EPynOvGJx225/09/15(月) 23:17:12
「アメジオ達はマイナン見なかった……?」
ヘアピンが不安げな顔で問いかけてきた。
「見ていない。少なくともお前たちが俺の前に現れた時には既にいなかった」
「そっか……それならジルさんとコニアさんに助けられて部屋から脱出した時にはもうはぐれてたのかも……」
ヘアピンは落胆し俯いた。他のRVCのメンバーも黙り込み、廊下に重たい空気が流れる。
その空気を切り裂くように、アメジオは一歩身を乗り出した。
「スピネルならすぐに新たな追っ手を向かわせるはずだ。悠長に探している時間はない」
「で、でも!」
「マイナンを置いてなんていけない!」
ヘアピンに続いて黒いレックウザを追う少年も口を挟む。フリードやドットも訴えかけるような瞳でアメジオを見た。
- 74◆EPynOvGJx225/09/15(月) 23:25:17
アメジオは小さくため息をついた。
「ポケモンを置いていけなどと非情な事は言わない。だが、ここは闇雲に探すよりポケモンの力に頼る方がいいだろう」
「ポケモンの力……」
ヘアピンはアメジオの言葉を繰り返した。
「例えば、お前達の中にエスパータイプのポケモンを持っている者はいないか?エスパーの力でポケモンの位置を把握できるかもしれない」
そう伝えるとヘアピンの顔がパッと晴れる。
「そっか……!私のテブリムならポケモンの感情を感じ取れるよ!感情のする方向へ辿っていけばマイナンの居場所が分かるかもしれない!」
ヘアピンは早速ボールを取り出してみせた。
「お願いテブリム!」
「テブリ!」
光と共にピンク色をした小さなテブリムが元気よく現れた。
「テブリム、マイナンの感情を感じ取ってみて……!」
「リィ……」
テブリムは頷き、祈るように目を閉じた。
※50以上でマイナンの感情を感じ取るdice1d100=79 (79)
- 75◆EPynOvGJx225/09/16(火) 08:10:42
保守
- 76◆EPynOvGJx225/09/16(火) 12:37:19
- 77◆EPynOvGJx225/09/16(火) 16:40:10
- 78二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 22:23:11
一番マシなの引いたか…?
- 79◆EPynOvGJx225/09/17(水) 07:33:13
「RVCと協力するつもりはない」
アメジオは怒りを抑え冷静に告げた。
「ハンベル、ジル、コニア。行くぞ」
踵を返し歩き出すが背後に続く足音はない。振り返ると三人はその場から動いていなかった。そしてソウブレイズも。
「どうした、早くしろ」
アメジオが急かすと、ハンベルが一歩前に出た。
「アメジオ様。フリード様の言う通りです。脱出は早い方がいいですが、下手に別行動をすると戦力が分割され、かえって危険を招きます。ここは皆様と協力した方がよいかと」
ハンベルが言うと、ジルも真剣な顔で身を乗り出してきた。
「アメジオ様昨夜の電話で言ってたじゃないですか!RVCと協力してスピネルを倒すんでしょう!」
続けざまにコニアも口をひらく。
「私達はアメジオ様がRVCに何度も助けられたとお聞きしました。それなら……」
コニアは眉を寄せ、不安そうにアメジオの様子を伺っている。
アメジオはdice1d3=3 (3)
(1.ソウブレイズを見る2.RVCを見る3.ハンベルを見る)
- 80二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 15:30:33
そろそろ記憶消えたことに気付くか…?
- 81◆EPynOvGJx225/09/17(水) 16:48:57
(ジルとコニアは何を言っている……?俺はRVCと協力すると言ったつもりはないし、彼らに助けられたこともない。それにスピネルの監視を命じたが倒すとは一言も……)
混乱したアメジオは信頼する従者の方を見た。
「ハンベル……一体何が起こって……」
ハンベルは視線を合わせると、アメジオの方に歩み寄ってきた。ソウブレイズもそれに続く。目の前に立つハンベルの左目が、前髪の影からアメジオをしっかりと捉えていた。
「アメジオ様。ここは私を信じてください。詳しいことはここを脱出した後で話し合いましょう」
「俺は……」
アメジオは言葉に詰まると、視線をソウブレイズに向けた。
「ブレッ」
信頼する相棒は力強く頷いてみせた。アメジオは混乱していた頭が少し落ち着き、ゆっくりと息を吐いた。
「……分かった。全員で脱出しよう」
アメジオが決意すると、前から甲高い鳴き声が響く。
「テブリー!」
テブリムが急かすように呼んでいる。RVCが駆け出すと、アメジオは仲間と共にその後に続いた。
- 82二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 21:49:58
保守
- 83◆EPynOvGJx225/09/17(水) 22:47:05
テブリムを先頭に来た道を駆け戻り、先程は通らなかった角を曲がった。
「テブッ……!」
突然、テブリムが苦しそうにうずくまり、小さな体を震わせ始めた。
「テブリム大丈夫……!?どうしたの?」
「テブリ……」
ヘアピンが慌てて駆け寄ると、テブリムは弱々しく鳴いた。その様子にフリードが眉をひそめた。
「強い感情を察知したのかもしれないな……早くマイナンを見つけないと……」
「テブッ!デブリィッ!」
フリードがそう言うと、テブリムが甲高い声で鳴き始めた。どうやら何かに怒っているようだ。急にテブリムは身を翻すと、廊下を突き進んで先にいってしまった。フリードはその様子に頭を搔く。
「ハハ……昂った感情が余程気に食わないみたいだな。こりゃ会ったん瞬間マイナンがテブリムに鎮められかねないな……」
テブリムを追いかけていると、不意にぴたりと止まった。部屋のドアを睨みつけ、激しく鳴いている。
(あの中にマイナンがいるのか……?)
あの部屋は恐らく物置だろう。こんな場所にマイナンがいるのだろうか?
アメジオはdice1d2=2 (2)
1.ドアを開ける
2.開けない
- 84◆EPynOvGJx225/09/17(水) 22:53:22
- 85◆EPynOvGJx225/09/17(水) 23:17:48
(な、なんて奴だ!怒りに任せてドアを破壊するとは……!)
アメジオはテブリムに怒りが湧いた。
(ここはエクスプローラーズ本部……!ギベオン様の願いを叶える為の大切な場所だと言うのに……!)
アメジオは怒りに震えながら、記憶に新しい祖父の顔を思い浮かべた。ピンクのもやに包まれていたが、久々に直接顔を合わせることができた。
(俺はギベオン様に覚悟を示した。父とは違い、必ずギベオン様の役に立ってみせる……!)
怒りの感情はやがて祖父への忠義に代わり、アメジオはスタスタと前に出ると部屋の前に立った。狭い物置の中、潰れたドアが中央の何かにつっかえて斜めに倒れかかっている。その上ではテブリムが部屋に向かって激しく鳴いていた。
- 86◆EPynOvGJx225/09/17(水) 23:22:04
- 87◆EPynOvGJx225/09/17(水) 23:24:27
- 88◆EPynOvGJx225/09/17(水) 23:56:00
「おい。そこの少年」
アメジオは黒いレックウザを追う少年に呼びかけた。
「えっ!その少年ってぼくのこと……?」
少年はきょとんとした後、戸惑い気味に指で自分の顔を差した。
「他に誰がいる。こっちに来て手伝え」
黒いレックウザを追う少年はアメジオの顔をまじまじと見たが、素直に呼びかけに応じこちらにやってきた。
「それなら近くにいるおれに頼めよ」
「そこをどけ」
口を挟んできたフリードにアメジオは冷たく言い放った。フリードは何か言いたげな顔をしたが、渋々といった様子で場所を少年に譲った。アメジオはフリードだけには頼りたくなかったのだ。
ドアに乗っていたテブリムはふわりと飛び上がり、ヘアピンの元に戻っていった。
「せーの!よいしょ!」
少年のかけ声と共に潰れたドアを起こす。ドアを廊下の壁に立てかけ、息をつく間もなく部屋の中に視線を戻す。
「……ッ!」
目の前に現れた光景に、アメジオも少年も一瞬言葉を失った。
- 89◆EPynOvGJx225/09/18(木) 07:40:43
保守
- 90◆EPynOvGJx225/09/18(木) 16:01:52
- 91◆EPynOvGJx225/09/18(木) 18:06:10
「クリームパン……」
「えっ」
零れ落ちた言葉が隣の少年に聞こえたらしく、少年は目を丸くしてこちらをジロジロと見てくる。ケースで魅惑的にゆらめく黄色の頭部。アメジオにはそれがクリームパンに見えてしまい、ついそれを口に出してしまった。言った後でハッと我に返り、こめかみに冷や汗が一筋流れる。
(俺は何を口走っている……!?)
そこで初めて、アメジオは自分が酷く空腹なことに気づいた。
「アメジオお腹空いてるの?」
「だ、黙れ!腹など空いていない!」
少年に図星をつかれ慌てて言い返すと、傍で見ていたフリードがこちらにやってきた。
「何やってんだ二人とも……中に何かあったんじゃ……」
フリードは部屋を覗き込んだ瞬間、アメジオ達と同様に言葉を失った。他の皆も入口を囲むように覗き込むと、ケースの中にいる存在に唖然とさせられ、廊下に沈黙が流れた。
※説明する人物dice1d2=1 (1)
(1.フリード2.ハンベル)
- 92◆EPynOvGJx225/09/18(木) 19:23:55
- 93◆EPynOvGJx225/09/18(木) 19:51:03
- 94◆EPynOvGJx225/09/18(木) 19:54:03
- 95◆EPynOvGJx225/09/18(木) 22:21:32
なぜかは分からないが、アメジオにはユクシーの怒りが伝わってくるように思えた。
(ユクシーは俺と同じようにケースの中に拘束されていた……ユクシーもスピネルの実験に利用されているのか?)
「あ、おい……」
アメジオはフリードの呼びかけを無視して物置の中に足を踏み入れた。ホコリっぽい空気の中、ケースの分厚いガラスに手をつき中で眠るユクシーを見上げる。ユクシーを包み込むピンクのもやには見覚えがあった。祖父が過ごすあの部屋の光景によく似ている。
(このピンクのもやは、やはりラクリウムなのだろうか……)
アメジオはスピネルが何か恐ろしい事を企んでいる気がしてならなかった。
「……スピネルは独断で怪しい研究をしている。恐らくユクシーもスピネルに捕獲され、いいように使われているのだろう」
「あいつのやりそうなこった。それならユクシーを助けてやらねえとな」
フリードの言葉にアメジオは頷く。
「ああ。確証はないが、ユクシーがいないことでスピネルの研究を中断させられるかもしれない」
アメジオは改めてユクシーが閉じ込められているケースを眺めた。これはケースと言うより拘束具という方が正しいだろう。簡単に開けることはできなさそうだ。だが、ケースごと運ぶにも重たすぎる。
「何かこのケースを開ける方法は……」
dice1d3=2 (2)
(1.ドットを頼る2.ソウブレイズを頼る3.ケースを力いっぱい殴りつける)
- 96◆EPynOvGJx225/09/18(木) 22:47:13
- 97◆EPynOvGJx225/09/18(木) 22:58:42
- 98◆EPynOvGJx225/09/18(木) 23:13:56
- 99◆EPynOvGJx225/09/18(木) 23:20:08
- 100◆EPynOvGJx225/09/18(木) 23:39:24
「おい!どうした!」
アメジオはフリードに駆け寄り、その肩を支えて顔を覗き込んだ。
「ハハ……すまん、ちょっとばかし目眩がしてな……」
苦笑いを浮かべながらフリードは力なく答える。
「立てるか?」
「ああ何とか……」
アメジオはフリードの体を支え、立ち上がらせようと力を込めた。その時――
「……ッ!?」
アメジオは呼吸が乱れその場に蹲った。胸を押さえ、気管が締め付けられるような苦しさに悶える。
「どうした……!」
頭上でフリードの声がする。自分が支えているはずだったフリードの肩に、今は逆にもたれかかっている。情けないが、アメジオはどうすることもできなかった。
※dice1d100=67 (67)
(40以上で倒れる、50以上で凶暴化、60以上でポケモン化)
- 101二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 07:08:20
ああ…
- 102◆EPynOvGJx225/09/19(金) 09:18:03
荒い呼吸が突然止まった。代わりに全身が熱く、視界がチカチカする。
「……!?ア、アメジオ!」
アメジオは獲物に飛びかかる猛獣のようにフリードに襲いかかった。フリードを勢いよくガラスの破片の上に押し倒し、その首を両手で力強く締め上げる。
「ぐあッ……は、なせ……!」
フリードの顔が苦痛に歪む。必死に腕を剥がそうとしているが、アメジオの力は常軌を逸していた。爪が食い込み、皮膚が裂け、フリードの首筋に血がにじむ。
「アメジオ様!おやめください!」
駆け寄ったハンベルが後ろから腕を掴んだ。同じく駆け寄ったジルも必死に体を引き剥がそうとする。
「くっ……!」
「ぐはッ……!」
二人は信じられない力で振り払われた。ハンベルは背後のケースに、ジルは壁に叩きつけられ二人とも呻き声を上げて崩れ落ちる。
- 103◆EPynOvGJx225/09/19(金) 09:22:39
「ジル!ハンベル様!」
コニアの悲痛な声が響いた。
アメジオの手はガラスで切ったせいか処々赤く汚れていた。だが傷跡は一切なく、血は一滴たりとも落ちてこない。
「……ぐ……ッ」
フリードが抵抗を止めて段々大人しくなってきた。アメジオはその手にさらに力を込めようとした――その時、アメジオの体がびくりと痙攣した。
「あ……」
次の瞬間、ふっと力が抜けフリードの首から手が離れる。アメジオは糸の切れた人形のようにフリードの上に崩れ落ちた。
「アメジオ様!」
薄れていく意識の中、コニアが自分を呼ぶ声が聞こえた。
「ゲホッ、ゲホッ……アメジオ……!」
フリードも咳き込みながら自分の名前を呼んでいる。
「アメジオ様!」
「アメジオ!」
ハンベルやジル、子供達の声も自分を呼んでいる。アメジオは目を閉じ、ぼんやりとした意識を手放した。
目覚める場所dice1d2=2 (2)
(1.アメジオの家2.ブレイブアサギ号)
- 104二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 09:24:46
このレスは削除されています
- 105二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 09:31:53
アメジオ元に戻れるんか…?でも見た目がポケモンっぽくなるわけじゃないんだな
- 106◆EPynOvGJx225/09/19(金) 14:47:34
- 107◆EPynOvGJx225/09/19(金) 15:29:29
「お、やっと起きたな」
フリードは部屋の中に入ってくるとドアを閉めた。アメジオは昨夜の記憶を必死で辿る。
「……ソウブレイズがユクシーの入ったケースを切断し、お前が切断部を持ち上げた瞬間その場に崩れ落ち、俺は思わず駆け寄った……俺が覚えているのはそこまでだ。その後一体何があった……!」
「そうか……」
フリードはアメジオの問いかけに対し一言そう答えると、優しげにふっと目を細めた。敵にそんな顔をされるとは思いもしなかったアメジオはフリードの表情に戸惑う。
ふと、フリードの首に酷く締め付けられたような赤黒い痕があることに気がついた。よく見れば腕や手にも赤い傷跡が処々にできている。
アメジオはdice1d2=1 (1)
(1.傷について尋ねる2.ここはどこか尋ねる)
- 108◆EPynOvGJx225/09/19(金) 17:24:23
「その痣と傷は……」
アメジオは思わず尋ねた。
「ああこれか?これはな……ハハ……」
フリードは困ったように頭をかきしばらく悩んだ後、決心した様子で口を開いた。
「実はな、これお前にやられたんだ」
「俺が……?」
思いもよらない答えにアメジオは目を見開く。
「お前がおれに駆け寄ってくれた時、お前も急に苦しみ始めたんだ。息が荒くて、様子がおかしいのは誰が見ても明らかだった。そしたらお前がいきなり我を忘れたみたいにおれに飛びかかってきて、止めに入ったハンベルさんやジルのことも吹っ飛ばしちまった」
アメジオはとても信じられなかった。頭の中でそんなはずはないと繰り返したが、フリードがこんな状況で嘘をつく男だとも思えなかった。
- 109◆EPynOvGJx225/09/19(金) 17:50:26
「そんな……俺が、そんなことを……」
アメジオは俯き、ぎゅっとシーツを握り締めた。胸は痛いほど締め付けられ、上手く言葉が出てこない。
するとフリードが傍にやってきて、ベッドの横にしゃがみこんでアメジオの顔を覗き込んだ。
「安心しろ。みんなお前が理由もなしにそんなことをする人間じゃないって分かってる。もちろん、おれもな」
そう言いながらフリードは親指で自分の顔を指した。アメジオは晴れない気分の中、心の奥に芽生えた疑問を口にした。
「なぜそこまで敵である俺を信用している……?」
アメジオの問いに、フリードはきょとんとした顔をしたが、すぐににかっと笑った。
「なぜって……おれたちゃもう敵同士じゃなくて仲間だろ?」
仲間。フリードははっきりとそう言い切った。アメジオは否定するにも返す言葉が見つからず、何も言い返せなかった。
- 110◆EPynOvGJx225/09/19(金) 17:54:08
フリードは眉に力を込め、顔を真剣な表情に切り替えた。
「これはおれの仮説だが……おれ達はあの時、ラクリウムの影響を受けてしまったんじゃないかと踏んでいる」
「ラクリウムの……?」
アメジオは驚いた。フリードがラクリウムについて知っていることにも、自分達が影響を受けたということにも。フリードは頷いて続ける。
「ユクシーのケースの中に漂ってた、あのピンクのもやの正体はラクリウムで間違いないだろう。あのもやがケースを開けた時にうっかり物置に広がっちまって、おれもお前もそれを吸い込んで体調がおかしくなっちまったんだ。あくまで推測だがな」
「そんなことが……」
アメジオの中で密かに恐怖が芽生えた。フリードは真剣な顔をしていたが、不安げなアメジオを落ち着かせるためか肩を竦めてみせた。
「心配すんなって。この通りおれもお前ももういつも通りだろ?お前に至っては露出が少ないおかげか怪我もなかったからな。それかまたすぐに傷が塞がっちまったのかもしれないな」
「……?どういう意味だ?」
アメジオは眉をひそめた。
- 111◆EPynOvGJx225/09/19(金) 17:59:22
「リコもお前も、怪我してもすぐに治っちまうだろ?若いからかもなーって一昨日の夜ホテルで話したじゃねえか。まあ眠かったし覚えてなくても無理ねえか……」
(俺がフリードと……リコと一緒にホテルにいた……?)
噛み合わない会話にアメジオの中で違和感が生まれるが、口には出さなかった。
「ポケモンがラクリウムスフィアで本能剥き出しになっちまうみたいに、人間が凶暴化することもありえるんじゃないかって。この説を皆に話した時、お前の執事さん?ハンベルさんも賛同してくれたんだ」
(ハンベルが……RVCを信用している……)
アメジオは昨夜ハンベルになぜRVCと協力しているのか問いただした事を思い出した。あの時、ハンベルは何かを言いかけていた。
アメジオの行動dice1d2=1 (1)
(1.窓の外を見る2.フリードに謝罪する)
- 112二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 18:12:16
おっヘアピンじゃなくなった
記憶なくなってるの辛いって思ったけどよく考えたら恥ずかしい思いしたことも忘れられてるんだよな… - 113◆EPynOvGJx225/09/19(金) 18:19:57
部屋に差し込む光がふっと明るさを増した。アメジオは反射的に窓の方を見た。フリードの足元にアメジオの靴が置いてあるのに気づくと、フリードが気を利かせたのか立ち上がった。アメジオは靴を履いて丸い窓に近づき、外を覗く。
窓の外には澄んだ青い空と柔らかそうな白い雲が広がっていた。
「ここは飛行船、ブレイブアサギ号の中だ。外に出りゃあパルデアのはるか上空だぜ」
アメジオは景色に魅入っていた。同時に、ここから逃げ出すのはそう簡単ではないと悟った。
「そうだ。アメジオ、お前に会いたいって人が来てるぜ」
振り向くと、フリードがドアを開け、外にいるであろう人物にアイコンタクトをとっている。そして部屋に入ってきた人物に、アメジオは驚いて声を上げた。
「アメジオ……!」
「お父様……!」
※クレイブの服装dice1d3=3 (3)
(1.スーツ2.作業着3.シャツ)
- 114◆EPynOvGJx225/09/19(金) 18:31:31
- 115◆EPynOvGJx225/09/19(金) 22:03:57
「……なんのことですか」
父から目を逸らし、喉から絞り出した声が震える。一呼吸置き、肩に乗せられた手を無理やり振り払って顔を上げた。
「俺はあなたの元に戻ってきてなどいません!」
アメジオは父の顔を睨みつけた。
「アメジオ……」
父の声に動揺が滲む。
「今更何のつもりですか……!家族を顧みようともしなかったあなたなんて俺は認めません!」
「アメジオ聞いてくれ。この一年間私はお前のことをずっと……」
「俺はずっと寂しかった……!子供の頃からずっと……」
アメジオの抑えていた感情が一気に溢れ出す。幼い頃から胸に溜め込んでいた想いが言葉になって口から飛び出していく。
「俺が家族だと思っているのは、ハンベルとおじい様だけです!」
その言葉が放たれると沈黙が訪れ、部屋の空気が重く沈んだ。
※口を開く人物dice1d3=1 (1)
(1.アメジオ2.フリード3.クレイブ)
- 116二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 00:39:21
本編の親子との差よ…
アメジオの記憶消えてるから無理もないか - 117二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 08:04:58
保守
- 118◆EPynOvGJx225/09/20(土) 15:52:15
アメジオは酷く疲弊していた。目を覚ませばスピネルに拘束されていて実験体にされそうになり、知らないうちに人に暴力を振るい危害を加えていた。仲間は身に覚えのないことばかり言い、ついにはRVCまでもが自分を仲間と呼ぶ。そして仕事にしか興味がないはずの父がいきなり自分を訪ねてきた。頭の中は滅茶苦茶だった。
「一体何が起こって……」
アメジオの口から小さな声が漏れた。片手を額に当て深く俯く。おもむろに、父が静かな声で語りかけてきた。
「その制服……まだ持っていたのだな。アメジオ、お前はまだおじい様の残したエクスプローラーズに未練があるのか……?」
アメジオはムッとして顔を上げた。
「おじい様が残したとはどういう意味ですか?ギベオン様はエクスプローラーズを退いでなどいません!」
語気を強めて言い放つと、父の表情が固まった。後ろにいるフリードまで驚いてアメジオの顔を見ている。父はしばらく黙った後、諭すような口調で言葉を紡いだ。
「お前も見たのだろう?ラクアでおじい様がラクリウムと共に消失したのを……」
アメジオはdice1d2=1 (1)
(1.取り乱す2.言葉を失う)
- 119二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 19:47:24
そりゃそうなるよな
- 120◆EPynOvGJx225/09/20(土) 23:18:43
アメジオは父の言葉を理解できなかった。
「何を馬鹿なことを!俺はおじい様と……ギベオン様と直接会って話をしたばかりだ!消失しただと?そんな荒唐無稽な話があるはずない!」
その時、ガチャとドアノブが回る音と共にドアが開かれた。
「よろしいですか」
現れたのはハンベルと、その後ろに立つソウブレイズだった。ハンベルはアメジオの元に歩み寄る。
アメジオは思わずハンベルに詰め寄った。
「ハンベル!ギベオン様はトップの座を退いてなどいないだろう!」
ハンベルは眉間に皺を寄せた。少し頭を悩ませているようなその仕草に、アメジオの気が張り詰めた。ハンベルは決心したのか、アメジオの目をしっかりと捉えながら口を開いた。