あ、あたしだってえっちなことぐらい……できるもん……。【SS】

  • 1二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:34:54

    あーっ!お客様、困ります!

    当店は【閲覧注意】なR-18ドス◯ベ佑芽ちゃんなど取り扱っておりません!あ〜んなことやこ〜んなこともいたしません!……え、看板 を見てここまで来た?

    スゥーーーーーーッ、お客様。大変申し上げにくいのですが、そちらステマや過剰広告といった類のものでございますね。当店は至って健全な1年2組しか取り扱っておりません。悪質なインフルエンサーには騙されることのないよう、お気をつけくださいませ。

    あ、ご注文ですか?……はあ、どうしてもえっちな佑芽ちゃんが見たいと。

    かしこまりました、閲覧注意にならない範囲でご提供いたします。


    ※補習組 + 美鈴の1年2組メンバーがなんやかんやでお泊りするだけのショートストーリーです。書き溜めを少しづつ出します。

  • 2二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:36:13

    期待

  • 3二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:36:50

    ────それは、青天の霹靂。

    『うぇ〜い、咲季ちゃ〜ん♪親友同士、今夜は一緒に寝ようナ〜♡』

    ある夏の夜の始まり、電話越しに花海佑芽の耳に飛び込んできたのは、艶めかしい誘い文句だった。最愛の姉を誑かす悪魔のささやき。忍び寄る不可視の侵略者。
    気がつくと、頭で考えるよりも先に佑芽は吠えていた。

    「お、お姉ちゃんのえっちぃ!」

    佑芽はえっちな出来事に対して甚だ無力である。いつものようにお決まりの捨て台詞を吐き電話を切った、敗走だ。まるで無害な大型犬のように、威勢だけは良い。
    初星学園に入学してから数ヶ月が経ち、そろそろ致命的な欠点が浮き彫りになってきた。そう、花海佑芽は、えっちなことへの耐性が著しく低い……。何かと頬を赤らめては、自分の一存で誰彼問わずえっち認定を繰り返す日々。頭頂部からピンと伸びているご自慢のえっちセンサーは、存外何にでも反応してしまうものだ。

    「うぅ〜、勢いに任せて電話切っちゃった……。お、お姉ちゃんがえっちなのがいけないんだからぁ!」

    枕に顔を押し付けながら、佑芽は一人悶絶する。そして悩む。

    「で、でもやっぱり、あたしももっとオトナにならないといけないのかなあ……?」

    つまるところ花海佑芽には、えっちに対する余裕というものが足りない。いつもいつも紅潮と逃走を繰り返してばかりで、話がとにかく進まない。

    「よし、決めた。あたし、もっとオトナになる!えっちなことなんかに負けない!たとえお姉ちゃんがどんなにえっちでも、あたしは平常心を保ってやるんだからあ!」

    それを振り切ろうと前進を促すのは、心の奥底から沸々と湧き上がる姉への対抗心。この思い切りの良さは彼女の立派な長所と言えるだろう。
    こうなってしまえば話は早い、自分へのえっちへの耐性を高めて、オトナへの第一歩を踏み出すのだ。そう、一歩踏み出……

    「……何しよう」

    どうやって?

  • 4二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:39:34

    「ま、まずは頼れる人を考えてみよう!あたしがえっちなことに耐える特訓をしてくれる人……えっちなことに耐える特訓……?あれあれ?」

    あれ、冷静になって考えてみると、えっちへの耐性を高めるってなんだ?
    そんな問いが佑芽の脳内に浮かび上がってきたが、残念ながらもう計画は止まらないし止まれない。一度走り出そうとしたら1歩目から躓いて、変な方向に転がり続ける。花海佑芽という女の子の特質だ。

    「ま、まあいいよ!え〜っと、まずはプロデューサーさん……」

    まず真っ先に佑芽が思いついたのは、彼女が尊敬してやまないプロデューサーである。咲季と同じく佑芽を溺愛し、その成長に喜びを感じる初星学園のホープ。
    そんな彼の発言と周囲からの評価を少しばかり掘り返してみよう。至高の肉体、豪覇剣、星南曰くおもちゃを買い与えてもらった少年……。

    「至高の肉体を持つ、おもちゃ?────!?わ、わあああああああああ!!!だ、ダメだ!プロデューサーさんはえっちすぎるぅ〜〜!!」

    まさかそんな、(佑芽基準で)えっちすぎる人に対して「えっちへの耐性を高めたい」などと相談できるはずがない!……プロデューサーはダメだ、別の人にしよう。

    「じ、じゃあ星南先輩だよ!うん、だって星南先輩は……」

    十王星南。初星学園の生徒会長にして稀代のアイドル、一番星。ちょっとかわいいところもあるが、その強かな威厳をもって全校生徒を牽引する憧れの存在。
    そうだ、頼れる先輩に聞くのがやはり最適に違いない。星南が言っていたことといえばせいぜい「私のものになりなさい」という誘い文句くらい……、

    「え、えっちすぎますぅ〜〜〜〜〜〜!!?」

    やっぱり星南先輩もえっちだ、そうぼやきながら佑芽はしおしおと項垂れた。プロデューサーも星南もえっち、ならば他に頼れる人といえば……、

  • 5二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:43:44

    「う〜ん、気が進まないけどお姉ちゃんに頼るしかないのかなあ」

    残るは最愛のお姉ちゃん、咲季。佑芽がとりわけ信頼を置く最高のサポーターではあるが、同時に最高のライバルでもある。ここで敵の力を借りることには、どうやらあまり気乗りしない様子だ。

    「でももう頼れそうな人がお姉ちゃんしかいないんだよなあ〜……」

    昔から佑芽の手を引いてくれたのは、いつだってお姉ちゃんだった。最近はプロデューサーにもその役割が受け継がれつつあるが、ここは咲季の出番だろう。
    そう、もしも佑芽と入れ替わったらダイタンな水着写真を撮りまくると言ったり、親友同士で一緒に寝ちゃったりするあのお姉ちゃんのことだ、きっと……きっと────、

    「お、お姉ちゃんのえっちぃ〜〜〜〜〜!!!」

    ダメかもしれない。
    なんだこれは、なんなんだこれは。あたしがお世話になってる人は揃いも揃ってえっちすぎる!……佑芽はどうやら気づいてしまったらしい。こんな発見など嬉しくもないのに。

    「ダメだくっそぉ〜〜〜……みんながえっちすぎて、相談なんてできないよ、恥ずかしすぎるよぉ」

    万策尽きたかと思われたその時、佑芽に電流走る。

    「はあ、これじゃあ相談も特訓も…………!あ゙、そうだ特訓だよ!み ん な で 特訓すればいいんだ!」

    えっちな人に相談できないならば、えっちじゃない人と一緒に特訓すればいい。その理屈が確かなものであるかは誰にも分からないが、佑芽はまた一つ賢くなった気分でいた。
    赤信号とえっちへの架け橋は、みんなで渡れば怖くない。花海佑芽考案、対えっち強化計画が始動した瞬間であった。

    対えっち強化計画ってなんだよ。

  • 6二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:47:29

    後日。

    「さあ広ちゃん!千奈ちゃん!美鈴ちゃん!みんなで一緒にお泊りするぞ〜〜!おーーーー!!」

    ────初星学園1年2組、集結。ここにいるのは他でもない、佑芽の親友にしてえっちさを全く感じさせない(?)3人の無垢な花たちだ。

    「4人で一夜を明かすのは初めて。楽しみだ、ね」

    (佑芽センサーによると)推定非えっち、篠澤広。

    「皆さんと長い時間一緒にいられるなんて、幸せですわ〜!」

    推定非えっち、倉本千奈。

    「ふふ、この4人で集まるのもなんだか久しぶりですね」

    推定非えっち、秦谷美鈴。

    そして、この"えっち強化合宿"なる集会の発案者にして自称非えっち、花海佑芽。ベッドの上で悶えたあの日から壮大な計画を練りに練って、4人の精鋭は千奈の別荘へと集まった。

    「さあみんな、世の中に蔓延るえっちな出来事に負けないように特訓だ〜〜〜!これからみんなで一緒にお風呂に入ったり、恋バナしたり、ドラマを観たりしながら対策を考えて、鋼の精神を手に入れるんだよ!」

    「ほ、本当にやるんですのね……ごくり。わたくしもかねてより、もっとオトナな女性になりたいと思っていましたの!一緒に頑張りましょうね、花海さん!」

    (つまりはただのお泊り会。でも、ここから本当にえっちなことが起こらないとは……言い切れない)

    (お二人とも随分と張り切っていますが……指摘するのは今更野暮ですね。ふかふかのベッドが楽しみです)

    果たして佑芽はえっちへの耐性を高めることはできるのか、広千奈美鈴はこのお泊り会でえっち認定されてしまうのか。ドキドキワクワクの波乱に満ちた"えっち強化合宿"が今、始まる────。

  • 7二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:52:36

    「まずは〜〜〜……みんなでドラマを観るぞー!」

    対えっち強化策その1、オトナの恋情が複雑に絡み合う群像劇を観よう!
    作戦はこうだ。恋い焦がれ妬み妬まれる、愛とえっちのランデブー。刺激的なオトナの世界を覗き込むことでえっちへの造詣を深め、"寛容"な精神を"涵養"するのだ。ふふん。

    「SyngUp!として活動をしていた頃は、このような苛烈な恋を歌ったこともありましたね。……懐かしいです」
    「ロックだった秦谷さんも見てみたいですわ!」
    「あ、このドラマ、前にプロデューサーに『篠澤さんは本当にやりかねないので』って没収されたやつ」
    「はーい、それじゃ始めるよー!」

    ーーーーーーーーーー

    ───『なんで……なんで!私のことを見てくれないの!?』

    ───『私はあなたのことが好き、あなたなしじゃもう生きていけないの!……なのに、どうしてっ…………!』

    ーーーーーーーーーー

    「うぅ、ぐすっ……まさか、あそこから息を吹き返すだなんてぇ……わたくし、涙が止まりませんわぁ……」
    「わたしが思い描く愛の形そのものでした。プロデューサーやファンの皆さんが、ここまでわたしを必要としてくれたなら……ふふ」
    「退廃的で耽美。情熱的で美しい堕落。悪魔みたいな脚本だけど、面白いくらいに魅入っちゃった、ね」
    「えっちだったけど……えっちだったけど……!うわぁ〜〜〜ん!すっごく良かったよぉ〜〜〜!!!」

    その感想は四者四様。えっちかどうかなど気にする暇もなく、4人は吸い寄せられるようにテレビを観ていた。果たして、佑芽たちはえっちに耐えうる精神を手に入れられたのだろうか……。

  • 8二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:57:29

    「ところで美鈴ちゃん、イエローカードだよ!」
    「……ふぇっ?」
    「美鈴ちゃんはえっちかもしれない……あたしは気づいてしまったのです!」
    「う、佑芽さん?突然何を……!」
    「あたし知ってるよ、美鈴ちゃんが美鈴ちゃんのプロデューサーを大好きなこと。でも今日このドラマを観て分かったんだ、独占欲は度が過ぎるとえっちなんだって!」

    なんと佑芽のえっちセンサーは、この一瞬で美鈴に有罪判決を下していた!佑芽と美鈴は十王星南の決めゼリフ『私のものになりなさい!』にともに顔を紅潮させた身であるが、そんなことは関係ない。
    テレビは佑芽に、独占欲で溶けるほどの愛はえっちであるということを教えてくれた。佑芽のえっちセンサーは今日も健在だ。

    「ち、ちち違います!わたしはただ、プロデューサーやファンの皆さんに、ずっとわたしを見ていてほしいだけで……!」
    「うぇええええ!?そ、それって美鈴ちゃんの全部を見せちゃうってことだよね!?えっちだよ!美鈴ちゃんはえっちだよぉ!!」
    「ああぁ……!」

    美鈴は柄にもなく焦りを表出させている。それもそうだ、自分が理想とする愛の形をえっちなんで言葉で片付けられては堪ったものではない。
    ましてや佑芽が「美鈴ちゃんのえっちぃ〜〜〜!!!」などと大音量で叫んでみろ、"秦谷美鈴はえっちである"という極めて悪質で流布されやすい事実誤認が、公然のものとなってしまうではないか!

  • 9二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 21:03:29

    「違います、佑芽さん!わたしはえっちなんかじゃありません!そもそもさっきまであんなにドラマに夢中だったではないですか!どうして急にそんな……」
    「で、でも!美鈴ちゃんがえっちだったらマズいよ!えっちなのはダメなんだよ!」

    このままでは埒が明かない。

    「し、篠澤さんも何か一緒に弁明してください!」
    「うん。あの、ね、佑芽。今日わたしたちは、えっちへの耐性を高めるために集まっている。わたしも美鈴もただドラマの感想を言っていただけ。早とちりは良くない。みんなでえっちなものを見て、それに対する感想を述べるのは自由だ、よ」
    「そ、そうなの?う〜〜ん…………分かった!美鈴ちゃんはえっちじゃない!えっちなんかに負けないよう、一緒に頑張ろう!」

    あっぱれ篠澤広。佑芽の単じゅ……素直さを逆手に取った実にロジカルな説得!えっちセンサーの索敵を逃れたようだ。

    「ほっ……篠澤さん、ありがとうございます」
    「気にしないでいい。佑芽の手にかかれば、どんな言葉もえっちに曲解されてしまうかもしれない。健全にお泊りを楽しむためにも、言葉選びには気をつけていこう」
    「……広ちゃん?」

    どうにか美鈴は難を逃れたが、えっち強化合宿はまだまだ始まったばかり。どうやら今日明日でえっちへの耐性を高めるだけでなく、佑芽のえっち認定を避ける必要も出てきてしまったようだ。4人……いや、3人は無事にこのお泊り会を終えることができるのだろうか。

    「ひぐっ、ぐすっ……あんなにぶつかり合っていたお二人が、最後には報われて、良かったですわぁ……!」

    その頃千奈は、まだ一人で感情に浸っていたという。

  • 10二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 21:06:18

    文章量とストックの都合上、続きは翌日以降にまた少しづつ出していきます。よろしくお願いします。

  • 11二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 21:10:04

    >>9

    ✕感情に浸る

    ◯感傷に浸る


    千奈ちゃんに代わってお詫び申し上げます。

  • 12二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 21:27:02

    ないすえっちです

  • 13二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 02:37:56

    ほし

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