あ、あたしだってえっちなことぐらい……できるもん……。【SS】

  • 1二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:34:54

    あーっ!お客様、困ります!

    当店は【閲覧注意】なR-18ドス◯ベ佑芽ちゃんなど取り扱っておりません!あ〜んなことやこ〜んなこともいたしません!……え、看板 を見てここまで来た?

    スゥーーーーーーッ、お客様。大変申し上げにくいのですが、そちらステマや過剰広告といった類のものでございますね。当店は至って健全な1年2組しか取り扱っておりません。悪質なインフルエンサーには騙されることのないよう、お気をつけくださいませ。

    あ、ご注文ですか?……はあ、どうしてもえっちな佑芽ちゃんが見たいと。

    かしこまりました、閲覧注意にならない範囲でご提供いたします。


    ※補習組 + 美鈴の1年2組メンバーがなんやかんやでお泊りするだけのショートストーリーです。書き溜めを少しづつ出します。

  • 2二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:36:13

    期待

  • 3二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:36:50

    ────それは、青天の霹靂。

    『うぇ〜い、咲季ちゃ〜ん♪親友同士、今夜は一緒に寝ようナ〜♡』

    ある夏の夜の始まり、電話越しに花海佑芽の耳に飛び込んできたのは、艶めかしい誘い文句だった。最愛の姉を誑かす悪魔のささやき。忍び寄る不可視の侵略者。
    気がつくと、頭で考えるよりも先に佑芽は吠えていた。

    「お、お姉ちゃんのえっちぃ!」

    佑芽はえっちな出来事に対して甚だ無力である。いつものようにお決まりの捨て台詞を吐き電話を切った、敗走だ。まるで無害な大型犬のように、威勢だけは良い。
    初星学園に入学してから数ヶ月が経ち、そろそろ致命的な欠点が浮き彫りになってきた。そう、花海佑芽は、えっちなことへの耐性が著しく低い……。何かと頬を赤らめては、自分の一存で誰彼問わずえっち認定を繰り返す日々。頭頂部からピンと伸びているご自慢のえっちセンサーは、存外何にでも反応してしまうものだ。

    「うぅ〜、勢いに任せて電話切っちゃった……。お、お姉ちゃんがえっちなのがいけないんだからぁ!」

    枕に顔を押し付けながら、佑芽は一人悶絶する。そして悩む。

    「で、でもやっぱり、あたしももっとオトナにならないといけないのかなあ……?」

    つまるところ花海佑芽には、えっちに対する余裕というものが足りない。いつもいつも紅潮と逃走を繰り返してばかりで、話がとにかく進まない。

    「よし、決めた。あたし、もっとオトナになる!えっちなことなんかに負けない!たとえお姉ちゃんがどんなにえっちでも、あたしは平常心を保ってやるんだからあ!」

    それを振り切ろうと前進を促すのは、心の奥底から沸々と湧き上がる姉への対抗心。この思い切りの良さは彼女の立派な長所と言えるだろう。
    こうなってしまえば話は早い、自分へのえっちへの耐性を高めて、オトナへの第一歩を踏み出すのだ。そう、一歩踏み出……

    「……何しよう」

    どうやって?

  • 4二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:39:34

    「ま、まずは頼れる人を考えてみよう!あたしがえっちなことに耐える特訓をしてくれる人……えっちなことに耐える特訓……?あれあれ?」

    あれ、冷静になって考えてみると、えっちへの耐性を高めるってなんだ?
    そんな問いが佑芽の脳内に浮かび上がってきたが、残念ながらもう計画は止まらないし止まれない。一度走り出そうとしたら1歩目から躓いて、変な方向に転がり続ける。花海佑芽という女の子の特質だ。

    「ま、まあいいよ!え〜っと、まずはプロデューサーさん……」

    まず真っ先に佑芽が思いついたのは、彼女が尊敬してやまないプロデューサーである。咲季と同じく佑芽を溺愛し、その成長に喜びを感じる初星学園のホープ。
    そんな彼の発言と周囲からの評価を少しばかり掘り返してみよう。至高の肉体、豪覇剣、星南曰くおもちゃを買い与えてもらった少年……。

    「至高の肉体を持つ、おもちゃ?────!?わ、わあああああああああ!!!だ、ダメだ!プロデューサーさんはえっちすぎるぅ〜〜!!」

    まさかそんな、(佑芽基準で)えっちすぎる人に対して「えっちへの耐性を高めたい」などと相談できるはずがない!……プロデューサーはダメだ、別の人にしよう。

    「じ、じゃあ星南先輩だよ!うん、だって星南先輩は……」

    十王星南。初星学園の生徒会長にして稀代のアイドル、一番星。ちょっとかわいいところもあるが、その強かな威厳をもって全校生徒を牽引する憧れの存在。
    そうだ、頼れる先輩に聞くのがやはり最適に違いない。星南が言っていたことといえばせいぜい「私のものになりなさい」という誘い文句くらい……、

    「え、えっちすぎますぅ〜〜〜〜〜〜!!?」

    やっぱり星南先輩もえっちだ、そうぼやきながら佑芽はしおしおと項垂れた。プロデューサーも星南もえっち、ならば他に頼れる人といえば……、

  • 5二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:43:44

    「う〜ん、気が進まないけどお姉ちゃんに頼るしかないのかなあ」

    残るは最愛のお姉ちゃん、咲季。佑芽がとりわけ信頼を置く最高のサポーターではあるが、同時に最高のライバルでもある。ここで敵の力を借りることには、どうやらあまり気乗りしない様子だ。

    「でももう頼れそうな人がお姉ちゃんしかいないんだよなあ〜……」

    昔から佑芽の手を引いてくれたのは、いつだってお姉ちゃんだった。最近はプロデューサーにもその役割が受け継がれつつあるが、ここは咲季の出番だろう。
    そう、もしも佑芽と入れ替わったらダイタンな水着写真を撮りまくると言ったり、親友同士で一緒に寝ちゃったりするあのお姉ちゃんのことだ、きっと……きっと────、

    「お、お姉ちゃんのえっちぃ〜〜〜〜〜!!!」

    ダメかもしれない。
    なんだこれは、なんなんだこれは。あたしがお世話になってる人は揃いも揃ってえっちすぎる!……佑芽はどうやら気づいてしまったらしい。こんな発見など嬉しくもないのに。

    「ダメだくっそぉ〜〜〜……みんながえっちすぎて、相談なんてできないよ、恥ずかしすぎるよぉ」

    万策尽きたかと思われたその時、佑芽に電流走る。

    「はあ、これじゃあ相談も特訓も…………!あ゙、そうだ特訓だよ!み ん な で 特訓すればいいんだ!」

    えっちな人に相談できないならば、えっちじゃない人と一緒に特訓すればいい。その理屈が確かなものであるかは誰にも分からないが、佑芽はまた一つ賢くなった気分でいた。
    赤信号とえっちへの架け橋は、みんなで渡れば怖くない。花海佑芽考案、対えっち強化計画が始動した瞬間であった。

    対えっち強化計画ってなんだよ。

  • 6二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:47:29

    後日。

    「さあ広ちゃん!千奈ちゃん!美鈴ちゃん!みんなで一緒にお泊りするぞ〜〜!おーーーー!!」

    ────初星学園1年2組、集結。ここにいるのは他でもない、佑芽の親友にしてえっちさを全く感じさせない(?)3人の無垢な花たちだ。

    「4人で一夜を明かすのは初めて。楽しみだ、ね」

    (佑芽センサーによると)推定非えっち、篠澤広。

    「皆さんと長い時間一緒にいられるなんて、幸せですわ〜!」

    推定非えっち、倉本千奈。

    「ふふ、この4人で集まるのもなんだか久しぶりですね」

    推定非えっち、秦谷美鈴。

    そして、この"えっち強化合宿"なる集会の発案者にして自称非えっち、花海佑芽。ベッドの上で悶えたあの日から壮大な計画を練りに練って、4人の精鋭は千奈の別荘へと集まった。

    「さあみんな、世の中に蔓延るえっちな出来事に負けないように特訓だ〜〜〜!これからみんなで一緒にお風呂に入ったり、恋バナしたり、ドラマを観たりしながら対策を考えて、鋼の精神を手に入れるんだよ!」

    「ほ、本当にやるんですのね……ごくり。わたくしもかねてより、もっとオトナな女性になりたいと思っていましたの!一緒に頑張りましょうね、花海さん!」

    (つまりはただのお泊り会。でも、ここから本当にえっちなことが起こらないとは……言い切れない)

    (お二人とも随分と張り切っていますが……指摘するのは今更野暮ですね。ふかふかのベッドが楽しみです)

    果たして佑芽はえっちへの耐性を高めることはできるのか、広千奈美鈴はこのお泊り会でえっち認定されてしまうのか。ドキドキワクワクの波乱に満ちた"えっち強化合宿"が今、始まる────。

  • 7二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:52:36

    「まずは〜〜〜……みんなでドラマを観るぞー!」

    対えっち強化策その1、オトナの恋情が複雑に絡み合う群像劇を観よう!
    作戦はこうだ。恋い焦がれ妬み妬まれる、愛とえっちのランデブー。刺激的なオトナの世界を覗き込むことでえっちへの造詣を深め、"寛容"な精神を"涵養"するのだ。ふふん。

    「SyngUp!として活動をしていた頃は、このような苛烈な恋を歌ったこともありましたね。……懐かしいです」
    「ロックだった秦谷さんも見てみたいですわ!」
    「あ、このドラマ、前にプロデューサーに『篠澤さんは本当にやりかねないので』って没収されたやつ」
    「はーい、それじゃ始めるよー!」

    ーーーーーーーーーー

    ───『なんで……なんで!私のことを見てくれないの!?』

    ───『私はあなたのことが好き、あなたなしじゃもう生きていけないの!……なのに、どうしてっ…………!』

    ーーーーーーーーーー

    「うぅ、ぐすっ……まさか、あそこから息を吹き返すだなんてぇ……わたくし、涙が止まりませんわぁ……」
    「わたしが思い描く愛の形そのものでした。プロデューサーやファンの皆さんが、ここまでわたしを必要としてくれたなら……ふふ」
    「退廃的で耽美。情熱的で美しい堕落。悪魔みたいな脚本だけど、面白いくらいに魅入っちゃった、ね」
    「えっちだったけど……えっちだったけど……!うわぁ〜〜〜ん!すっごく良かったよぉ〜〜〜!!!」

    その感想は四者四様。えっちかどうかなど気にする暇もなく、4人は吸い寄せられるようにテレビを観ていた。果たして、佑芽たちはえっちに耐えうる精神を手に入れられたのだろうか……。

  • 8二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:57:29

    「ところで美鈴ちゃん、イエローカードだよ!」
    「……ふぇっ?」
    「美鈴ちゃんはえっちかもしれない……あたしは気づいてしまったのです!」
    「う、佑芽さん?突然何を……!」
    「あたし知ってるよ、美鈴ちゃんが美鈴ちゃんのプロデューサーを大好きなこと。でも今日このドラマを観て分かったんだ、独占欲は度が過ぎるとえっちなんだって!」

    なんと佑芽のえっちセンサーは、この一瞬で美鈴に有罪判決を下していた!佑芽と美鈴は十王星南の決めゼリフ『私のものになりなさい!』にともに顔を紅潮させた身であるが、そんなことは関係ない。
    テレビは佑芽に、独占欲で溶けるほどの愛はえっちであるということを教えてくれた。佑芽のえっちセンサーは今日も健在だ。

    「ち、ちち違います!わたしはただ、プロデューサーやファンの皆さんに、ずっとわたしを見ていてほしいだけで……!」
    「うぇええええ!?そ、それって美鈴ちゃんの全部を見せちゃうってことだよね!?えっちだよ!美鈴ちゃんはえっちだよぉ!!」
    「ああぁ……!」

    美鈴は柄にもなく焦りを表出させている。それもそうだ、自分が理想とする愛の形をえっちなんで言葉で片付けられては堪ったものではない。
    ましてや佑芽が「美鈴ちゃんのえっちぃ〜〜〜!!!」などと大音量で叫んでみろ、"秦谷美鈴はえっちである"という極めて悪質で流布されやすい事実誤認が、公然のものとなってしまうではないか!

  • 9二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 21:03:29

    「違います、佑芽さん!わたしはえっちなんかじゃありません!そもそもさっきまであんなにドラマに夢中だったではないですか!どうして急にそんな……」
    「で、でも!美鈴ちゃんがえっちだったらマズいよ!えっちなのはダメなんだよ!」

    このままでは埒が明かない。

    「し、篠澤さんも何か一緒に弁明してください!」
    「うん。あの、ね、佑芽。今日わたしたちは、えっちへの耐性を高めるために集まっている。わたしも美鈴もただドラマの感想を言っていただけ。早とちりは良くない。みんなでえっちなものを見て、それに対する感想を述べるのは自由だ、よ」
    「そ、そうなの?う〜〜ん…………分かった!美鈴ちゃんはえっちじゃない!えっちなんかに負けないよう、一緒に頑張ろう!」

    あっぱれ篠澤広。佑芽の単じゅ……素直さを逆手に取った実にロジカルな説得!えっちセンサーの索敵を逃れたようだ。

    「ほっ……篠澤さん、ありがとうございます」
    「気にしないでいい。佑芽の手にかかれば、どんな言葉もえっちに曲解されてしまうかもしれない。健全にお泊りを楽しむためにも、言葉選びには気をつけていこう」
    「……広ちゃん?」

    どうにか美鈴は難を逃れたが、えっち強化合宿はまだまだ始まったばかり。どうやら今日明日でえっちへの耐性を高めるだけでなく、佑芽のえっち認定を避ける必要も出てきてしまったようだ。4人……いや、3人は無事にこのお泊り会を終えることができるのだろうか。

    「ひぐっ、ぐすっ……あんなにぶつかり合っていたお二人が、最後には報われて、良かったですわぁ……!」

    その頃千奈は、まだ一人で感情に浸っていたという。

  • 10二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 21:06:18

    文章量とストックの都合上、続きは翌日以降にまた少しづつ出していきます。よろしくお願いします。

  • 11二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 21:10:04

    >>9

    ✕感情に浸る

    ◯感傷に浸る


    千奈ちゃんに代わってお詫び申し上げます。

  • 12二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 21:27:02

    ないすえっちです

  • 13二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 02:37:56

    ほし

  • 14二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 10:44:31

    「さあ!感動的なドラマを観たあとは皆さんでお風呂!ですわ〜〜〜〜〜!!!!」
    「あれ、千奈ちゃんがもう立ち直ってる」
    「いつだって前向きな倉本さんらしいですね」

    千奈の涙が止まったのを確認した一同は、いそいそと脱衣所へと向かう。以前補習組で温泉に入ったことはあったが、今回はそこに不良までついてきてしまった。
    ここにいるのは揃いも揃って問題児のはずなのだが、不思議とその雰囲気は終始和やかである。

    「おおー、脱衣所だけでわたしたちの教室よりも広大な空間」
    「これ、お風呂に行ったらどうなっちゃうんだろう!?あたし今からワクワクしてきたよ!」

    対えっち強化策その2、ハダカの付き合いをしよう!
    作戦はこうだ。4人で倉本宅の豪華な温泉に入って、極上のリラックス体験を嗜む。……ただそれだけ。

    「ここにお召し物を置いてください、タオルだけ持ってバスルームへと参りましょう!」
    「……倉本さんはいつも、この開放的なスペースを一人で占有しているんですか?」
    「いいえ!わたくし、いつもはたくさんのメイドたちに身体を洗ってもらっていますの。ですが今日は、皆さんとご一緒するために席を外してもらっていますわ!」
    「や、やっぱりお嬢様って凄いんだ……!じゃなくて!千奈ちゃん、えっちだよ!」
    「ひゃいっ!?」

    安らかな心でお風呂に入る至福のひとときを過ごすだけのはずだったのだが……もはや入浴以前の問題である。佑芽のえっちセンサーは、なんだかいつもより調子がいい。

    「わ、わたくし、メイドに全身をモコモコにされてしまうだけですわ!えっちなんかじゃありませんわ〜〜〜!」

  • 15二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 11:19:44

    でも、メイドのカナエが千奈の体を洗うためにぷにぷに千奈をお触りってえっちだな...
    俺は佑芽なのかもしれない

  • 16二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 16:30:52

    これはえっちでも仕方ない。

  • 17二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 16:38:23

    「身体を洗ってもらうだなんて、背中もおなかもスリスリ、ツンツン、ぷにぷにだってされちゃうんだよ!そんなのえっちに決まってるよ!ダメだよ千奈ちゃん、イエローカードだよ!」
    「お、落ち着いてくださいませ花海さん!そんなよこしまな考えを抱く者など、倉本の家にはおりませんわ!」

    えっちなどという誹りを黙って受ける倉本の娘ではない、違うものは違うとはっきり言わなくてはならない。しかし相手は花海佑芽、高機能センサーを備えたえっちの申し子だ。
    両者のディベート力は拮抗しているが、断定力の高さから佑芽がやや優勢と見られる。でも大丈夫、千奈には秘密兵器がついている。

    「し、篠澤さぁ〜〜〜〜ん!!!」
    「佑芽佑芽、聞いて。もしも身体を洗ってもらうのがえっちなことなら、今日はわたしたちで身体を洗いっこするべき」
    「な、ななななんでぇ!?広ちゃんまでえっちになっちゃったの!?」
    「違う、このお泊りの目的はえっちへの耐性を高めること。もしも身体を洗ってもらうのが本当にえっちなら、身をもって体感することで精神力を鍛えるべき。それでえっちじゃなかったら、それはそれで何の問題もない」
    「おお〜確かに、さすが広ちゃん!あたし、もう少しで勘違いしちゃうところだったよ。ごめんね、千奈ちゃん!」
    「い、いえ、さすが篠澤さんですわあ……!」

    驚異の説得力の持ち主、篠澤広。今回も、千奈がえっちだという謂れのない事実誤認が蔓延するのを未然に防いでみせた。
    いつもの笑顔に戻った佑芽を見て、千奈は胸を撫で下ろす。全員が一糸纏わぬ生まれたままの姿でなかったならば、とても心温まる情景であったに違いない。

    「では、わたしは篠澤さんのお身体を流して差し上げましょう」
    「よろしく美鈴。わたしも美鈴をもっと綺麗にできるよう、頑張る」

    「じゃあ、千奈ちゃんの綺麗な髪はあたしが洗ってあげるね?」
    「いつも香名江がやってくれるように、花海さんをつるすべにしちゃいますわ!」

    お互いを洗いっこすると決めて進んだ先には、湯気を通して山紫水明が広がっている。鳥のさえずりが心地よく、清廉な1年2組を歓迎しているかのようだ。
    身も心も洗い清めて、その身を団らんに委ねよう。洗いっこに潜むえっちが、彼女たちに牙を剥かない限りは。

  • 18二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 16:47:49

    (あれ?あたし、さっきから全部広ちゃんに言いくるめられてるような。さっきの話も、あれで千奈ちゃんがえっちじゃないとは限らない、よね。……ま、いっか!)

    「よーし、お風呂だーーーーーーー!!」
    「ああっ、花海さん!そんなに走ったら……」
    「あいたぁ!」

  • 19二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 19:09:34

    ほのぼの()1-2イイぞイイゾ

  • 20二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 19:43:53

    えっち強化合宿なのに初星えっちティア最上位と思われる広美鈴が入ってるのガバガバすぎる

  • 21二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 23:50:06

    佑芽基準だから全員等しくえっちにもなるし、えっちじゃなくもなる。

  • 22二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 08:17:50

    保守

  • 23二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 08:24:08

    「もうっ!床が滑るので気をつけてくださいまし、と言おうとした直後でしたのに」
    「えへへ、みんなでのお風呂が楽しみすぎて、ちょっとはしゃぎすぎちゃった……♪」

    今時小学生でもここまでの勢いはないのではという速度感で、佑芽は盛大な尻もちをついた。心配といえば心配なのだが控えめにはにかむ佑芽を見ると、千奈もなんだか絆されてしまう。どちらも幼い頃から数々の寵愛を受けて育った2人の少女、この一瞬を切り取って生まれた愛嬌は、あの千奈にも引けを取らない佑芽なのだった。
     
    「……ふふっ、花海さんってば、とってもかわいらしいですわ!」
    「え〜?どうしたの千奈ちゃん急に〜、照れちゃうよ〜!」
    「だって、事実なんですもの!ですが、どこかお身体打ってしまってはいませんか?丁寧に洗って差しあげ────」

    ……と言いかけたところで千奈の言葉が止まる。
    先程佑芽は、豪快に尻もちをついていた。だからだろうか。

    (は、花海さんのお、おし……おしりが、真っ赤っ赤ですわ〜〜!!)
    「……千奈ちゃん、どうしたの?早く身体洗っちゃおうよ〜」

    打ってしまった箇所を丁寧に洗う?そんなことをしたら、佑芽のおしりをスリスリツンツンぷにぷにする羽目になってしまう!
    ……いくら気の置けない友人同士でも、少しはプライベートゾーンがあるはず。ましてや臀部に触れるなんて「千奈ちゃんのえっちぃ〜〜〜〜!!」などと叫んでくださいと言っているようなもの。 倉本千奈は、突然の佳境に戸惑っている。佑芽のおしりのケアをしつつえっち判定を避ける、究極の綱渡りに!

  • 24二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 13:33:57

    悩む必要などあるのだろうかイヤ無い!あ、保守

  • 25二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 21:22:18

    「い、いえ!何でもありませんの!お座りになって?……香名江、わたくしに力を貸してくださいまし……」
    「はーい!それじゃあ千奈ちゃん、よろしくお願いしますっ!」
    「……ふう。それでは参りますわ。花海さんには香名江直伝、全身モコモコ殺法を受けていただきますわよ!えやああああああああああ!!!」ワシャワシャワシャ
    「わー!モコモコだーっ!」

    じゃくさんせい?のおーがにっく?なボディソープをこれでもかと泡立て、佑芽のオトナなボディをこれでもかと包み隠す。泡で摩擦を極限まで減らし、超高速のさりげないおしりケアを悟らせない作戦だ。脚、おなか、時々おしり。どんなダンスよりも速く、疾く、千奈は手を動かし続ける。
    モコモコワシャワシャ、真っ赤なおしりも綿雲で見えなくなり、佑芽も合わせて大はしゃぎ。千手観音の如く繰り出される神速のボディタッチは純白に覆われ、真実は闇……いや、泡の中に葬られたのだった。
    いつもありがとう、香名江────!

    「わあああ!見て見て千奈ちゃん、指先まで真っ白〜!……と、わわわ!くすぐったいよ〜!」
    (なんだか今の花海さんは、お茶目なおさるさんみたいですわ。全身がふわふわで、楽しそうで……\プニュッ/……!?)
    「あれ、千奈ちゃん?手が止まっちゃったけど、どうしたの?」
    「な、なんでもありませんわ!続けますわね!」
    (お、おおおお胸の辺りに手を伸ばした瞬間にばいんと跳ね返ってきましたわ!?なんでしょう、今のは……変な虫さんでも入ってしまいましたの……?)

    こうして千奈は、危機的状況を持ち前の機転によって切り抜けたのだった。そして他方には、仲睦まじい佑芽と千奈を微笑ましく見つめる広と美鈴の姿もある。

    「賑やかな声がすると思ったら、それ以上に賑やかな見た目だった、すごくもこもこ」
    「篠澤さんは、あのようなふわふわの泡はお好きですか?よければわたしも泡立てますが」
    「ううん、美鈴の好きなようにお願い。滑るような手つきが密着して気持ちいい」
    「こうしていると、昔まりちゃんの身体を洗ってあげていたことを思い出すんです。篠澤さんの落ち着き具合とは大違いですが」
    「へえ、昔の手毬。ちょっと気にな────ふあぁっ!?」
    「……?篠澤さん?」

    ……どうやらこちらにも、小さなドタバタ劇がありそうな様子。

  • 26二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 00:55:39

    保守

  • 27二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 06:42:30

    保守

  • 28二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 13:23:47

    保守

  • 29二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 20:51:18

    保守

  • 30二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 20:54:04

    「な、なんでもない。続けていい、よ」
    「まあ……ではもう少し、わたしにお話させてください。昔からまりちゃんは夜が苦手な子でした。ですから日が暮れてお風呂に入るときは、いつもわたしが側にいたんです」
    「ふふ、なんだか可愛らし、ぃんあっ……!」

    美鈴はそう言って広の背中に向き直り、手毬との昔話を淡々と語り始めた。微かに寂寥を覗かせるスミレ色の瞳は、広の身体を通してどこか遠くを眺めているような、不思議な面持ちだ。

    「今わたしが篠澤さんにやっているように、まりちゃんのお肌を撫でてあげるんです。そうすると、まりちゃんはくすぐったそうに笑っていて……」
    「確かに、ちょっとくすぐったいか、も……ひゃあっ!」

    触れるだけで折れてしまいそうな広の体躯に、美鈴の手指が蛇のように絡みつく。知ってか知らずか、広もまた快感に悶えるような甘い声が漏れていた。

    「まりちゃんは、腰回りにするりと手が巻き付くのがお気に入りだったんですよ?こんな風に、するすると撫でてあげたなら……」

  • 31二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 21:01:20

    「ひゃ、ふあっ、あっあ……!や、くすぐっ……!?」

    「ゆっくり丁寧に、指先まで余すことなく……」

    「ま、まっへ、みす……!このさきは、まずぃあっ、だめっ……」

    「まーえ、うしろ、みーぎ、ひだり」

    「ふ、あはははは!ひゃははっ!や、やめ、はへ……!」

    「そうです、こうやって今みたいな可愛らしい蕩けた声が目の前から……あら?」

    「……は、はあ、はあ……!」
    「し、篠澤さん!?大丈夫ですか?」
    「ふあ……知らない感覚が、全身を、駆け巡っていた……。でも、気持ちいいかも……♡」
    「すみません、少しまりちゃんのことを考えすぎてしまいました。つい懐かしくなってしまって……」
    「……ふ、ふふ、へえ。手毬はいつも、これをやってもらってたんだ。──羨ましい、わたしにもやってほしい、もっと」

    洗ってもらう側が満身創痍とはこれ如何に。鼓動が高まり息を切らしながら、広はささやかな願望を口にした。その声には挑戦的な艶が乗っており、どうやら過酷なトレーニングを終えたときと似た感触を覚えたらしい。
    手毬と同じ調子でついつい手が滑ってしまった美鈴だったが、どうやら双方幸せになれそうだ。

    「まあ……よろしいのですか?それではわたしが尽くせる限りのおもてなしを、篠澤さんにも受けていただきましょう」

  • 32二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 21:11:17

    これから始まるままならない惨劇を前に、広は期待を膨らませる。そして静かに……

    「……っ!?……ふ、ふうっ、ふっ、は……!」

    「ひゃ!?んあっ、あ、あはっ、はははは!!」

    「ん、んんんっ……!や、やあっ、ひゃはあ、へはは!」

    「ぅあんっ!?はひゃーーーーはははは!ふあぁぁぁはひぃーーーっ!」

    「や、だ、だめっ!し、しぬっ!ひゃははははっやらっ!しんじゃっ!あっ!んううううーーーーっ!!」

    「はへぇ……♡」

    いや、激痛を伴うマッサージよりもはるかに明朗な声で、笑ってみせた。歌唱を凌駕するその笑い声は一体どこから出てきたのか。広自身も知らない潜在能力が、まだまだ秘められているようだ。

    「楽しんでいただけたようでよかったです」

    こうして入浴で身体を癒すどころか、むしろ疲れを蓄積させた広。しかし実に幸福に満ちた表情である。大声を出した割に喉は大変潤っていて、湿潤な自然の恵みをさりげなく享受しているのだった。
    美鈴も気持ち肌ツヤが増しており、双方ともに大満足。このまま温かいお湯に浸かろうとしたところで……

    「ああーーーっ!広ちゃんがえっちな顔してるーーーっ!」

    最新のえっちセンサーは簡単には逃がしてくれないらしい。

  • 33二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 23:44:45

    ほしゅ

  • 34二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 23:49:15

    これはえっちすぎる

  • 35二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 05:59:27

    これは佑芽が反応しても仕方ない。

  • 36二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 14:17:59

    ほしゅ

  • 37二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 22:22:27

    保守

  • 38二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 00:38:04

    そもそも広はえっちなんだ

  • 39二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 05:43:02

    「あたし、もう騙されない!その顔でえっちじゃないなんて言い訳は聞けないよ!」
    「ふあ……♡ま、まって、うめ……ちが……!」
    「ひ、広ちゃん!腰がガクガクだよお!えっちしたんだ!美鈴ちゃんとえっちしたんだあ!うわ゙あああああん!」
    「佑芽さん!?これはえっちなんかじゃありません、れっきとしたおもてなしです!」

    すっかり憔悴してしまった広が、まともな反論を構築できるわけもなく。途切れ途切れの一縷では、佑芽を説得するには能わない。紡いで一途にするより前に、えっちの結論が下されるだろう。美鈴の当たり障りない言葉では覆いきれないほどの佑芽ワールドが、えっちに対して強固なアラートを鳴らし続ける。

    「そ、そうです!佑芽さんも、わたしのおもてなしを受けていただけませんか?きっと気持ちよくリラックスしていただけますから!」
    「そ、そうやってあたしをトロトロの腰砕けにする気なんだ!広ちゃんみたいに!やっぱり美鈴ちゃんもえっちなんだ!」
    「ま、まるで聞く耳を持ってもらえません……!?」

    えっちを巡る一進一退の攻防は、鳥のさえずりをかき消すほどに白熱する。一体何がそんなにも彼女たちを駆り立てるのか。

    「むう〜〜〜!広ちゃんと美鈴ちゃんのえっt────ムグッ!?」
    「そ、そこまでですわ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
    「倉本さん!」
    「……花海さん、本質を見誤ってはいけませんわ。いくら篠澤さんや秦谷さんがえっちでも、わたくしたちは大切なお友達同士ではありませんか!」
    「倉本さん!?」
    (え、えっちでしたわ……!あれはどこからどう見てもえっちでしたわ!……あら?ということは月村さんも…………!?は、はわぁ〜〜〜〜〜!!)

    ああ、これは致命的。えっち認定に待ったをかけるかの如く佑芽の決めゼリフを遮った千奈に、背中からナイフで刺されてしまった。言動では覆せない、えっちすぎる状況証拠が全てを物語っている。

  • 40二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 05:52:41

    このレスは削除されています

  • 41なんで俺こんなの書いてたんだ?25/09/08(月) 05:55:07

    (はっ!千奈ちゃんのおめめがぐるぐるしてる!おのれぇ〜広ちゃんと美鈴ちゃんめぇ〜〜!)
    「むむ……ごほん!ここは千奈ちゃんに免じて今追及はしないけど、お風呂から上がったら裁判だよ!えっち裁判をやるよ!」
    「きゅう……♡」
    「ああっ!篠澤さんが力尽きて、クラゲのように温泉にぷかぷかしていますわ!?」
    (ま、まずいことになってしまいました……このままではわたしの安眠と謂れのない誤解が……!)

    「だめです!えっちなのは!えっちは怖くて、恥ずかしくて……でも…………」

    ついにえっち認定を受けてしまった広と美鈴。えっちに対する耐性を高めるのは立派なことだが、同時に自分たちがえっちであってはいけない。えっちとは、危険で恐ろしい淫猥の入口なのだ。

    ……果たして、本当にそうなのだろうか?

    えっちなお姉ちゃん、咲季。
    えっちなおもてなしを受ける手毬。
    えっちに同衾を試みることね。
    えっちに至高の肉体を称賛するプロデューサー。
    えっちな誘惑で仲間を増やしてきた星南。

    その他にも、えっちな人は初星学園に数多く存在する。しかし全員がアイドルに真剣であり、頼れる仲間だ。えっちとは、本当にいけないことなのだろうか?
    そんな疑念が、佑芽の中に生まれつつあるのだった。



    本人の知らぬ間に勝手にえっち認定された手毬は泣いていい。

  • 42二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 12:42:10

    これは流石にえっち

  • 43二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 12:54:34

    脳内男子中学生がよぉ…………皆えっちなのはそれはそう

  • 44二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:14:52

    でも今のところ美鈴が一番えっち

オススメ

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