ここだけノエル先生が『一周目の記憶』を引き継いだ世界 12.5

  • 1スレ主25/09/03(水) 23:34:08
  • 2スレ主25/09/03(水) 23:35:33
  • 3スレ主25/09/03(水) 23:37:35

    このスレのノエル先生
    ・フランス事変後に修道院に隔離されて間もなく『一周目の記憶』を自覚する
    ・隔離後すぐに代行者として就任。この時点でエレイシアに対する報復を決意し復讐者として生きる
    ・エレイシアが目覚めて代行者になるまでの六年半でひたすらに自己研鑽&限界を超えるための代償を払い続ける。その甲斐あって原作とは非にならない強さを得る
    ・人間以上の耐久を得るための一環で左足を聖別化した義足に改造してもらってる
    ・偶然にも手に入れた十四の石を用いて人外と化す。外見の変化は肌が白くなったくらい。完全に適応してからは恐らく瞳孔も十字になってると思われる
    ・幻想種の中で神獣に区分される『白鯨』モビーディックの遺骸を直接的な経口摂取で取り込み、更に肉体の存在規模を拡張させる事に成功している
    ・現時点での強さは少なくともシエルとの連携でなら後継者をも斃せるまでになっている
    ・というよりシエルとの連携の末に二十七祖のクロムクレイに引導を渡すという大快挙を成しえてしまった
    ・↑の功績もあって教会から『焔(ほむら)のノエル』という異名をつけられる
    ・着実に強くなっていってる事と『一周目の記憶』の自分を反面教師にしてる事もあって大分精神が安定している
    ・ただし完全な復讐者として生きているので高い身分だの裕福な生活だのと言った人並みの幸せには全く固執していない。もはや彼女が望んでいるのはロアやシエルに対する復讐のみとなっている
    ・そんなんだからマーリオゥからは『手を焼かせる制御不能の猪』と厄介に思われてる
    ・ここまで復讐鬼に振り切っているものの、無辜の人々が死徒に虐殺されるのを何よりも許せない代行者としての正義感もちゃんとあったりする
    ・実はシエルを誰よりも憎み蔑んでいる一方で、憎んでいる故に誰よりも彼女を気にかけていたりする。シエルの理解者
    ・√によっては割とアッサリ死んでいる。ノエル先生だからしょうがないが……

  • 4二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 23:40:28

    おかえり

  • 5二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 23:42:03

    待ってました

  • 6二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 23:51:21

    保守

  • 7スレ主25/09/03(水) 23:51:55

    て事でお久しぶりです
    前回から大分間が空いたので一応これまでの流れをざっくり辿りますね

    ノエルがシエルを死徒にして故郷の跡形の廃教会に監禁する

    ついでに志貴も拉致監禁してシエル共々に拷問浸けの日々に晒す

    その果てにシエルの四肢を切り落として志貴の血を無理やり吸わせて彼も死徒にしようとする

    その直前にアルクェイドが乱入。寸でのところで2人を助けてノエルとバトる

    その隙に2人はアルクェイドの事前の施しで何とか動ける程度に回復。彼女がノエルの相手をしてる間にそそくさと廃教会から逃げる

    アルクェイドがノエルとバトるも途中からノエルが神獣である白鯨を顕現させて劣勢に追いやる。それでもアルクェイドは遠くへ逃げてる2人をノエルの手から守る為に奮闘する(←今ここ)

  • 8スレ主25/09/03(水) 23:56:29

    一方、ノエルの方はそんなアルクェイドを見下ろしつつも、自分の優位に慢心する事はしない。
    数多の死地を生き延びてきた彼女に、そのような概念など在りはしない。

    「まだ抵抗の意思があるようだけど、おまえのような災害が服着て歩いてるも同然のバケモノはさっさと消えてちょうだい。後からエレイシアと志貴クンも、まとめて地獄に送ってあげるからさ。
    ま、既にこの光景が地獄みたいなものだけどねっ!はははははは!」

    劫火で燃え盛る跡形を眼下に見据えながら、ノエルは両腕にオドを集中させる。
    間もなく手のひらの上で形成された火球は、ノエルが薙ぎ払った勢いで広範囲に拡散し、流星群の如くアルクェイドへと降り注いでいく。

    「―――――っ!」

    それと同時に、アルクェイドは白い影となって疾駆する。

    ガタが生じている肉体にムチを打ち、襲い来る炎弾を捌きつつノエルへ目掛けて跳梁した。
    その突貫に対してノエルは即座に攻撃を切り替え、先ほどまで繰り出していた巨大な焔の渦を解き放つ。
    しかし、アルクェイドはそれを瞬時に予測していた。焔の渦と衝突する寸前、身体を最小限に捻って突貫の軌道を強引に変えると、そのまま流れるように渦そのものに跳び移った。
    間髪入れずに渦を踏み台にして加速度的にノエルへと肉迫していく。ノエルもまた、ほんの一瞬ながら虚を突かれたものの焔の渦を掻き消して距離を取る事を判断する。

    「―――おそいっ!!」

    だが彼女がそうして距離を取る前に、アルクェイドは足にマナを収束し注力させる。
    次の瞬間、影すら置き去りにせんほどの爆発的速度でノエルに接近し、その勢いのままに“下の方角”へ向けて蹴り飛ばした。

    「ぅあっ!?」

    コンマ一秒以下で反射的に槍斧の柄を盾にして直撃を防ぐが、大砲に被弾したかのような凄まじい衝撃に抗えずに弾き飛ばされる。
    ノエルは地面に降下させられながらも、冷静に着地に備える。
    同時に、今にも襲いかかるであろうアルクェイドの追撃に構えるが――――ここで彼女は更に動揺させられる。

    「アイツ―――まだ上に跳んでる……っ!?」

  • 9スレ主25/09/04(木) 00:02:22

    アルクェイドは追撃をしないどころか、ノエルを無視して尚も上空を跳び上がっていた。

    彼女の狙いはノエルではない。ソレに行き着くまでに邪魔だったから、そしてソレから少しでも遠ざけるべく全力で蹴り飛ばしたに過ぎない。

    そう、即ちアルクェイドが向かっているのは―――――――
     

    「―――――まずはお前から潰す。白鯨!」

    『■■■■■■■■■■■―――――!!!!』
     

    ノエルが白鯨と共鳴し、無尽蔵の魔力を得ているのであれば、その供給源たる白鯨を除いてしまえばいい。
    アルクェイドとて、白鯨には硝酸を舐めさせられた因縁がある。
    仮にも真祖の王族である自身を地に叩き付けてくれた事への返礼も兼ねて、ここで決着をつけなくてはならない。

    対して、白鯨は自らに向かってくる白い吸血姫へ迎撃の意を以って咆哮を轟かす。
    悠々と空を泳ぎながら己の周囲のエーテルを凝縮し、水のレーザーに変換して拡散させていく。
    ウォータージェットの如く放たれたレーザーはその一つ一つが人間や死徒の扱える域を遥かに越えた神秘であり、二十七祖であっても直撃を避けなければならない威力だ。

    無論、今の弱ったアルクェイドにとってもそれは例外ではない。一つでも被弾すればそこから成す術なく潰される。
    一斉に自身へと殺到する水砲の雨あられを捌きつつ、それらを駆け移りながら必死に白鯨へと接近していく。

    それを確認した白鯨は、今度は10mは下らない規模の流水の魔力球を展開し、吸血鬼へと差し向ける。
    数にして六十。これにも被弾は一つとて許されない。そう判断したアルクェイドは星の息吹で迎撃し、次々と爆散させていく。

    それならばと白鯨は残りの水球らを全て飛散させ、無数の水弾による絨毯爆撃を図った。
    アルクェイドはそれらをエーテルの膜で弾き、ブースターの要領で更に速度を付けて駆け上がっていく。

  • 10二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 00:02:34

    蓄積ダメージ的にノエルの優位は崩れないと思うがどうだ

  • 11スレ主25/09/04(木) 00:06:02

    「っ―――!」

    白鯨まで残り300m。その瞬間、アルクェイドの真横を水砲のレーザーが掠めていく。
    それを気にする間もなく、またも至近距離からレーザーが次々に容赦なく発射される。
    更に脅威はそれだけではない。水砲をいなしつつも上に目を向けると、いつの間にか先ほどの巨大な水の魔力球が此方に接近しつつある。
    しかも、よく見ると今度は一つ一つが倍以上の規模になっている。勿論、相応に威力も上がっているのは明らかだ。

    「ああ、もうっ!わたしが言えた事じゃないけど、やりたい放題しすぎでしょう!?
    所詮はノエルを媒介にしないと自力での顕現もできない亡霊モドキの癖に……っ!!!」

    苛立ちのあまりに罵りながらも、あらゆる角度から撃ち抜いてくる水砲と迫りくる水球に対処する。
    白鯨は抵抗しながらも確実に距離を詰めてくる吸血姫を見やりつつ、自らも更に上空へと泳いでいく。
    動きそのものはゆったりとしてはいるが、白鯨そのものが小山ほどの巨体(スケール)なので結果として上昇速度も凄まじく速い。

    無論、供給源であるノエルから離れればその分だけ供給効率が落ちてしまうが、そもそもノエルの方からほぼ一方的に寄越されて尚も有り余るほどの膨大な魔力を生み出せる白鯨からすれば、如何に供給の効率が落ちたところで問題にもならない。
    況してや一匹の手負いの小さきモノを撃墜する分には、何らデメリットではない。 

    何より―――、

    『■■■■■■■■………!!!』

    白き海の神獣が夜空へと吼える。神に等しい獣の咆哮(こえ)は雲の果てまで響き渡り、空気中のエーテルを急速に活性化させていく。 

    「……! これ、は―――」

    アルクェイドは瞬時に周囲の空間の異常を察知する。エーテルの純度が、濃度が、尋常じゃない域にまで達しつつある。
    既にこの空間は、今を生きる地表の生命体の一切が活動できないほど異常活性したマナによって支配されている。正確な範囲は特定できないが、何れにせよこの場はもう向こうの領域と化した。
    高度4000m。白鯨はここに来て、今いる空域を自らの力を最大限に発揮できる陣地に変換した。

    即ち、媒介であり宿主であるノエルとの供給がいくら弱まろうとも、自前で最適な供給の力場を構築できる故に憂慮する必要が全くないのだ。

  • 12二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 00:08:49

    白鯨さん宿主でもあるノエルの事かなり気に入ってない…?

  • 13スレ主25/09/04(木) 00:10:18

    例えるならば――――――ここは果てなく拡がる雲と星々の見える夜空が織り成す『海』であり、今のアルクェイドはそんな『海』を支配する巨鯨に挑む、小さな一匹の鯱に等しかった。

    「上等じゃない。それなら―――!」 

    さりとて、マナ操作に長けているのは真祖たるアルクェイドとて同じ事。

    自らを中心とした半径5m圏内に外部からのエーテル干渉を遮断するマナの障壁を展開。そのまま臆する事なく白鯨へと果敢に向かっていく。
    前方と後方から繰り出されるレーザーの集中放火を物ともせずに突貫する。最初の追走の時点で発動しなかったのは障壁の維持に神経と魔力を割くので、その分だけ迎撃の精度が落ちるというリスクがあったが故だった。
    しかし、白鯨との距離はもはや目と鼻の先。正確にはまだ200m以上空いているが、本来の彼女であれば一瞬で到達できる距離だ。

    故に、ここは防御に注力して最短距離で――――――つまり直進で突撃する!

    「アイツはまだ余裕に満ちている。だからこそ、これ以上何かされる前に早々に潰して排除しないと………!」

    星の息吹や大気の爪をフルで行使して迎撃する。されど、襲い来る水のレーザーや水球は勢いを露ほども落とさない。
    空想具現化で『箱』の中に捉えて破壊する、という考えも過りはした。
    だが、それはほぼ確実に対象を殺せる利点がある一方で力の消費も物凄く、少なくとも今の弱った状態で行使すれば一時的な魔力切れに陥り兼ねない。

    加えて、それで白鯨を殺せたとしてもまだノエルという脅威が残っている。仮にガス欠に等しくなった状態でアレと戦おうものなら、斃すどころかまともな抗戦もできずに焼き殺されるのがオチだ。
    ならば多少のリスクを負ってでも決着を早める必要がある。
    敵は白鯨だけではない。ノエルを殺せるだけの力を温存する為にも、こんなところで長々と浪費するワケにはいかない……!

    アルクェイドのそういう小さくない焦りを察してか、或いは彼女がそうしてくるのも想定していた事だったのか。
    彼女の突撃に対して白鯨は次なる一手に出た。

    『■■■■■■■■■■……っ!!』

  • 14スレ主25/09/04(木) 00:14:58

    「っ―――あれは……!」

    白鯨の咆哮により周囲のエーテルが共鳴し、白き巨尾の方へと加速度的に吸収・凝縮されていく。

    先に自分へ向けて打ち放ち、街を国道沿いの地形ごと破壊した大津波。それを繰り出す気だと悟ったアルクェイドは、何としても阻止せんと加速する。
    だが、白鯨の方も当然ながら迎撃に出る。水砲のレーザーや水球のみならず、更にアルクェイドの頭上と真下の位置に巨大な渦潮を召喚し、これを押し潰さんと挟みかかる。
    これに対しアルクェイドは、イチかバチかで展開していた障壁を解除。瞬時に全てのリソースを急加速に回し、迫りくる渦潮の圏内からの脱出を試みる。

    「鬱陶しい……!!」

    無論、その間にもレーザーが飛び交い、水球がじわじわと確実に接近する。障壁を解除しているので被弾しないように気を配らなければいけない。
    上下の渦潮はその間にもどんどん迫ってくる。隙間が段々と狭まる中でアルクェイドは必死に、ただ一点を目指して余計な動作・思考を全てカットし突貫していく。
    飛んでくる攻撃に対して迎撃は一切しない。そんな事をいちいちしていれば脱出に間に合わなくなる。
    故にいなす。躱す。最小限の動きで只管に避ける。

    ―――渦潮の圏外まで、あと30m。絶え間なく襲い来る大海の脅威を全力で捌いていく。 

    ―――20m。渦潮の織り成す激流の轟音が大きくなる。視界が渦潮の影で急速に暗くなっていく。

    ―――10m。ただ無心となって突き進む。間に合わなければそこで終わり。文字通り海の藻屑となるだけだ。

    ―――5、

    ―――3、

    ―――1。

    二つの巨(おお)きな渦潮が衝突し合い、互いの間にあった全てを跡形もなく激流葬へと誘う。

    果たして真祖の姫は、奮闘虚しくその身を粉々に破壊され尽くした―――――――。

  • 15スレ主25/09/04(木) 00:17:35

    「ふ―――、本当に、間一髪だったじゃない……っ!!」

    とはならず、寸でのところで脱け出すに至った。

    しかしながら、まだ案ずるにはあまりに早すぎる。白鯨は未だに尾ひれにエーテルを吸収・圧縮している。
    依然として状況は何も好転していない。一秒でも迅速に阻止せねば、どちらにしろ大津波の前に沈み果てる。

    「急がないと、アレが来てしまう……!!」

    一瞬の思考の後、アルクェイドは障壁を形成せずにそのまま突貫に出た。
    防御の一切を捨て、白鯨の大津波を阻止させる為に極点までマナを集中する事にしたのだ。

    一方、白鯨は確実に距離を詰めつつある白き真祖へ更なる集中放火を矢継ぎ早に嗾けた。
    四方八方より放たれる激流のレーザーはより数を増やし、もはや爆撃もかくやという勢いで真祖を打ち貫かんと襲いかかる。
    そして逃げ場を狭めていた水球は、その全てが先ほどのように一斉に飛散し、無数の水飛沫の弾幕となって殺到した。
    レーザーはともかく、飛沫による弾幕を凌ぎきるのは不可能。そう悟ったアルクェイドは、そのまま被弾上等で強引に突き進む。

    「―――、―――、―――!」

    散弾銃などとは比にならない威力・弾速・密度の雨あられが、美しき白無垢の玉体を容赦なく傷を入れていく。
    皮膚を掠め、抉り、貫かれる痛みに晒されながらも、白き姫君は決して怯むことなく海の化身に接近していく。

    残り100m。白鯨は間もなく充填を完了させる。その後は馬鹿正直に突っ込んでくる小さきモノへと解き放つだけだ。

    残り70m。白き巨鯨の周囲の空間が揺らぎ始める。マナの密度の加速度的な上昇により、空間そのものが歪曲を起こしている。

    残り40m。アルクェイドが周囲のマナを吸収し、収束させる。同時に白鯨も口からエーテルのレーザーをオールレンジで放つ。

  • 16二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 00:20:46

    ノエルについて完全にノーマークなのが気になるところ…
    ノエルと白鯨が感覚を共有してるならアルクが何をしようとしてるのかお見通しだろうし

  • 17スレ主25/09/04(木) 00:21:07

    「―――間に合え」

    残り30m。アルクェイドは右腕を前方に掲げて障壁を展開し、レーザーによる爆撃を正面から防いで進む。

    「―――間に、合え」

    残り10m。右腕を代償にレーザーの集中放火を突破したアルクェイドは、残る左腕に圧縮した分の全エネルギーを装填させる。

    「―――――間に合えぇぇぇぇぇえええええっっっ!!!!!」

    渾身の想いを込めて、何十倍にも出力を上げた星の息吹を拳に乗せて解き放つ。

    激しい攻防を潜り抜けた末に放たれた白い真祖の決死の一撃は、白き海の化身に炸裂し、エーテルの流れそのものを破壊した。

    『■■■■■■■■■■………っっ!!!??』

    予想だにしなかった―――否、想像を上回る小さきモノの一撃に白鯨は吃驚の悲鳴を響かせる。
    かくして放つつもりであった大津波は、その直前で儚く阻止された。

    白鯨自身も無傷などではない。超高出力で浴びせられた星の息吹の熱量は、周囲の空間歪曲と白鯨自身の対魔力の壁を易々と貫通し、表面の大半を焼き焦がした。

    「このまま、畳み掛ける……っ!」

    アルクェイドは即座に白鯨へと飛び移り、白き巨躯を駆けていく。

    右腕は先のレーザー群を防いだ際の過剰負荷で、左腕は極点まで圧縮した星の息吹を解き放った反動でそれぞれが使い物にならなくなっている。
    故に彼女は、腕よりも力のある足で白鯨を蹴り砕き、ブチ貫く事にした。
    巨躯の頂点まで到達し、同時に跳び上がる。白き真祖は蒼白に煌めく月を背にして、そのまま急転直下で弾道ミサイルの如き速度で降下する。

    狙う先は―――――――白鯨の脳天だ。

  • 18スレ主25/09/04(木) 00:29:14

    だが、そう都合よく問屋は卸さない。容赦なく、完膚なきまでに脳天を打ち貫くと思われた真祖の足は、その直前で不可視の膜のような何かに阻まれる。

    「これ、って……エーテルの壁!?」

    水面のように揺らめいているそれは、エーテルの障壁だった。

    アルクェイドが跳び上がり、こうして急降下する僅かな間に白鯨は破壊されたエーテルの力場を即座に修復。
    すぐさま周囲のエーテルを総動員で活性化させて障壁を展開し、寸でのところで間に合わせた。
    全盛期のアルクェイドであれば、そんな急造の障壁など物ともせずに貫いただろう。
    しかし、今の弱り切っている彼女がこれを破壊するのは簡単な事ではない。
    仮にも生物の域を逸脱した神獣、それも竜種すら凌ぐ白鯨の構築したモノだ。急造であれ、本来なら人間は愚か吸血鬼すら破るのは不可能に近い。

    そして、それを悠長に待っているほど白鯨は鈍くない。
    攻めあぐねている小さきモノへ山の如き巨躯をぶつけ、有無を言わさずに遥か上空へと弾き飛ばす。

    焼けた表面にオドを回して自己再生を行う。そして、今度は自らが小さきモノへと突貫した。 

    『■■■■■■■■■――――――!!!!』

    咆哮を轟かす。それだけで周囲のマナは可視化するほど異常活性し、白鯨を蒼々と煌めかせる。
    水の波紋ように揺らめくエーテルを纏いながら上空に昇っていく様相は、宛ら仄暗い海の底から悠々と現れる巨(おお)きな巨鯨そのものだ。

    「っ、コイツ……!!」

    アルクェイドは上空まで打ち飛ばされながらも、何とか体制を整えて迎撃しようと構える。
    マナを出来うる限り迅速に吸収しつつ、向かってくる白鯨に合わせて星の息吹を撃ち放つつもりだ。

    だが―――そんな急ごしらえで苦し紛れの迎撃に止められるほど、白鯨は脆弱な生命体ではない。

  • 19スレ主25/09/04(木) 01:14:02

    白き海の化身は、放たれた息吹を正面から軽々と打ち破り、白き真祖の姫へと喰らいつく。
    そして速度を落とさずに旋回し、真祖を器用に咥えたまま地表へと“潜航”する。

    「こ、っの……放せ!放せっ……!!」

    必死に抵抗するが、弱々しくなった腕や足を幾ら叩き付けたところで白鯨の顎は何の損傷も受けない。
    それどころか焼き焦がした表面も、徐々に元々の純白を取り戻しつつある。

    それならばと、アルクェイドは再びマナを肉体に圧縮させる。
    殴ろうが蹴ろうが意味を為さないのであれば、口の中に直接叩き込んでやればいい。
    そんな事をされれば少なくともこの拘束からは脱出できる上、追撃のチャンスも生まれる。

    「いい加減、お前にも辟易しているわ。そろそろ消えな、さ―――!?」

    その時、白鯨の口内の奥が急速に眩い煌めきを放ち出す。
    次の瞬間、アルクェイドの身体はその場から消えた。距離にして僅か数メートル、ほぼゼロ距離で彼女は白鯨のエーテル砲を直撃させられた。
    計測するのも馬鹿らしい威力のエーテルの波に包まれながら、彼女は音速を超える勢いで成す術なく地上へと向かっていく。
    咄嗟にマナの障壁を展開する間もなく、そのまま高度2000m付近から強制的に一気に叩き落された。

    着弾の衝撃はアルクェイドのみならず、その周囲の地形をも1秒足らずで容赦なく破壊し尽くす。
    結果として、核弾頭が炸裂したかと思わせるほどのクレーターが形成された。
    周りには霧散した高濃度のエーテル素が漂っている。その中心に、白い吸血姫が息も絶え絶えな様相で地に伏していた。

    「は――――、ぁ――――、ぅ、あ―――、」

    穢れなき純白のドレスは見るも絶えないほど破けており、受けた傷も甚大なものだ。
    マナを循環させる為の神経や血管の損傷も尋常ではなく、再生できないワケではないが吸収・変換の効率が更に悪化してしまっている。
    殺すつもりが、逆にこうして地に墜とされた。今のアルクェイドでは、白鯨とノエルを殺しうるのは無理難題に等しかった。

  • 20スレ主25/09/04(木) 01:42:40

    書き溜めてた分はここまで
    こっから時間管理しながらちょくちょく更新していきます
    あとこの時点でアルクのフォローをしておくと仮に相手がノエル先生だけだったら真祖としてのスペックゴリ押しでギリギリ勝てました
    そして白鯨の戦闘描写描いてる時にずっと思ってたんだけどFFの召喚獣みたいだな……

  • 21二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 01:53:33

    >>20

    実際にノエルという宿主を媒介にして召喚されているから意味合いとしては違いは然程ない

    特に召喚者と共鳴している=ある意味で一心同体と言える点でXVIの設定に近いかな

  • 22二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 02:04:45

    まあ確かにきのこから直々に超兵器みたいなもんとか評されてるような怪物なら自力で魔力供給の領域を形成できても納得だわ
    ていうかこんな化け物の遺骸の一部をよく取り込めたなノエル先生…

  • 23二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 02:23:03

    現状だと単独でのノエルを相手するのは不可能
    シエルが助太刀に来る事でようやく五分…?
    いやでもノエルの能力そのものが死徒に対する特効でもあるから代行者時代と比べて超絶不利なんだよな
    魔性を焼き滅ぼす体感温度1万度以上の焔と竜種を遥かに超え神代の超兵器とも称される神獣の流水の時点でシエル側は一発もらったスリップダメージだけで致命傷になりかねない

  • 24二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 05:33:58

    お久しぶりです

スレッドは9/4 15:33頃に落ちます

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