- 1二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 00:27:41
- 2二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 00:29:52
また、あんなに無理をして
- 3二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 00:37:54
病室の窓から差し込む夕暮れの光は、どこか遠い世界のもののように感じられた。
白いカーテンが微かに揺れるたび、影があなたの横顔をやさしく撫でていく。
「とても長いお昼寝ですね……」
そう呟きながら、私はあなたの手をそっと握りしめる。
体温は確かにあるのに、指先の感触はあまりに静かで、言葉をかけても届かない場所にいるようだった。
規則正しい電子音だけが、時間の流れを告げている。
その音に合わせるように、心の奥底で押し殺した悲しみが波紋を広げていく。
けれど私は声に出す。祈りに似た言葉を。
「どうか、目を覚ましてくれますように。ずっと待っていますから……」 - 4二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 00:54:58
思い出すのは、最後に交わした何気ない会話だ。
アイドル・秦谷美鈴の方針について話すあなたの姿が、あまりに鮮明で、夢と現実の境界がわからなくなる。
その姿を思い描くたび、胸の奥に小さな痛みが走る。
けれど同時に、その記憶が私を支えてくれてもいた。
窓の外、赤く沈んでいく夕日を眺めながら、私は心の中で誓う。
どれだけ長い時が流れても、待ち続ける。
あなたの目が再び開かれるその瞬間まで。
ただ静かに、祈り続ける。 - 5二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 01:19:02
──そのときだった。
握っていたプロデューサーの指が、かすかに動いた気がした。
気のせいかもしれない。そう思いながらも、私は息を呑む。
もう一度、祈るように手を握り直すと、確かに応えるように指先が微かに返ってきた。
涙が頬を伝った。
「……待っていますから。ずっと、ずっと」
窓の外では夕日が沈みきり、薄闇の中に小さな星が瞬き始めていた。
それは夜の始まりを告げる光であり、同時に、ここに残された希望のように思えた。 - 6二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 02:42:12
良い……
- 7二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 05:53:32
ええい性懲りもなく地球にやってきたな美鈴クモラ星人め!スレタイに閲覧注意もつけずに死別ネタを投下しおって!今日という今日は成敗してくれるそこに直れぃ!と思ったがこれクモラ星人か……?いや違うか…?違いそうかな……違うかも……
- 8二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 06:05:16
美鈴の涙は世界を救う。
- 9二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 06:21:47
おはようございます
ぼちぼち続き投下します - 10二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 06:29:24
握っていたあなたの指がかすかに動いたあの瞬間から、私の世界は少しずつ変わり始めた。
あれは偶然だったのかもしれない。
けれど確かに、確かに私の手に伝わってきた。
その日から、私はより一層、あなたに語りかけるようになった。
病室の窓際に置かれた小さな花に触れた話。
外で聞いた子どもの笑い声の話。
満ちて、欠ける月の話。
季節がゆっくり移ろっていくことを伝えるように。
そして数日後、またあの日と同じように手を握ったとき、あなたの瞼がほんの一瞬震えた。
見間違いではなく確かに震えた。
看護師を呼ぶ声が、思わず震えていた。
「目を……開けようとしているんです」
その日はまた、長い眠りに戻ってしまった。
けれど、そのわずかな仕草は、暖かな月明かりと共に確かな希望の灯となった。 - 11二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 06:56:11
どれだけの時が経っただろう、ある日、あなたの唇がかすかに動いた。声にはならなかったけれど、呼びかけようとするように。
閉じられた瞳がゆっくりと、薄明かりを確かめるように開いた。
『……秦谷、さん……』
それは掠れた声だった。けれど、私の耳には世界でいちばん美しい音として響いた。
涙でにじむ視界の中で、私はあなたに精一杯に笑いかける。
「おはよう、ございます……プロデューサー……」 - 12二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 07:30:42
掠れた声が病室に落ちたとき、私はその場に縫い止められたように動けなかった。
頬を伝う涙が止まらない、抑えようとすればするほどとめどなく溢れてくる。
「よかった……よかった……」
嗚咽混じりに繰り返す。
長い長い眠りからようやく戻ってきたプロデューサーが、かすかに微笑んだ。
それだけで世界の色が一度に戻ってくるのを感じた。
日々は静かに、しかし確実に変わっていった。
短い会話、目の動き、わずかな指先の運動。
一歩一歩、プロデューサーは現実へと帰ってきた。
そしてある日の午後。
窓から差し込む柔らかな光の下で、プロデューサーは支えられながらベッドを離れた。
まだおぼつかない足取り。けれどその一歩は、確かな「始まり」だった。
「大丈夫です、ゆっくりで……」
私は肩を貸しながら、プロデューサーに声をかける。
こちらを見遣り、小さく、優しく微笑み頷いた。
廊下の先には、まだ長い道が待っているだろう。
けれど二人でなら進んでいける。
悲しみに閉ざされた時間は終わり、頂点へと続く日々が始まる。
「プロデューサー、一番星(トップアイドル)あなたに捧げてみせます」
私はその瞬間を、胸の奥に深く刻んだ。
再び歩き出したあなたと共に、未来へと歩んでいくために。 - 13二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 07:38:24
- 14二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 07:54:22
めちゃくちゃ良き、最初は曇らせかと思ったけどハピエンでほんと良かったよ
- 15二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 08:19:36
オデ ゼンブ クウ
ということでアナザールートの追加注文を頼むシェフ - 16二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 09:10:48
こちらあったかもしれないアナザーストーリーです。心を強く持ってご覧ください。
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「とても長い、お昼寝ですね……早く、目を覚ましてください。私はここで、ずっと待っていますから」
その言葉はもう何度繰り返しただろう。
祈りのように、呪文のように、私はただ唱え続ける。
数日前、いや数週間前か。
あなたの指がほんの少し動いた。
けれど、その後は何の反応もない。
あれは夢だったのかもしれない。
それでも私は、夢の中のあなたにすがりつく。
穏やかな横顔。安らかな呼吸。
まるで眠り続けることで、この世界の苦しみから解き放たれているかのように見える。
だからこそ、余計に胸が痛んだ。
私はとっくに気付いている、医師からも伝えられた。
あなたが二度と目を開けないかもしれないことを。
それでも、この手を離すことはできなかった。
窓の外には小さな星が瞬いていた。
それは希望の証なのか、あるいは慰めに過ぎないのか
「いつか……あの星さえも見えなくなる日が来るのでしょうか……」
それでも──私はただ、ここに座り続ける。
祈りの言葉を胸に抱き、どれほど長い夜であろうと、永遠に待ち続けると決めて。
あなたが目を覚ますその日を信じるふりをしながら──。 - 17二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 12:45:38
アイドルからのメッセージだけでいくらでもSS書けそうやな