楽しかったよ。アルちゃん達と便利屋ごっこするの

  • 1二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 03:00:16

    携帯はすぐにでも投げ捨てたかったけれど、まだこれには役割がある。だから、既読の付いたメッセージに返事が来る前にアカウントをブロックしてから、画面を消さずに鞄に放り入れた。

    愁いを帯びた曇り空が徐々に夕日に焼かれて、薄紫の影が濃くなる。
    その光景をぼんやりと眺めながら、汗の滲む掌から滑り落ちない様に改めてケージの持ち手を強く握り締めた。



    「───浅黄ムツキ」



     ───背筋が凍る様な声が、頭上から私の名前を呼ぶ。

     早い。もう少し猶予をくれてもいいじゃんか。
     かくれんぼの鬼がカウントダウンを雑に済ませてズルをしようとしたときに、子供が叫ぶ文句みたいな言葉が心の中で持ち上がる。

     ゲヘナ自治区の何処にでもある路地裏の一区画。私が【これ】を持って便利屋の事務所から姿を眩ませてから、まだ20分も経っていない。

    「これが最後の警告よ。───それを、私に引き渡しなさい」

     紫焔の翼を大きく広げ、滑空しながら私の前に降り立つ。ゲヘナの魔王───…普段であれば、間違いなく適切な表現ではないが。少なくとも、今の私からすれば彼女は『魔王』以外の何物でもない。

    「───くふふっ。あーあ、かくれんぼはおしまいかぁ」

     表情を歪める空崎ヒナの前で、いつものように道化を演じる私。
     声が震えない様にかなり努力した。なにせ、みんなで起こした騒ぎやしでかしに呼ばれて駆け付けた、普段の風紀委員長のそれとは明らかに本気度が違う。

  • 2二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 03:01:21

     きっと彼女は、そうはしないのだろう。だけど、分かっていても───

    「三度は言わない。大人しく投降して」

     ────もしかしたら、本気で殺されてしまうんじゃないか。それだけの意思と覚悟が、アメジストの瞳の内に立ち昇る黒炎となって宿っている。

    「やーだねっ」

     べ。舌を突き出す。いつも通りに。



    「────!」

     瞬間、右から閃光。僅かに遅れて強烈な爆発。

     「在る」事を知っているか否かが生む差は、単純な実力差よりも格段に大きい。

     現に、隣の廃ビルのワンフロアを吹き飛ばす威力の爆裂を前に、動き出しの先手を取ったのは私の方だ。

    「あッはは!やっば、思ったより火薬多すぎたかも!」

     空元気。絞り出した笑い声を響かせながら豪快に崩れ落ちるビルを横目に真後ろへ跳ね、瓦礫で空崎ヒナとの間に即席の壁を作る。
     巻き込まれたら終わり。覚悟を決めたムツキちゃんのキルスコアがたったビル一棟では、このゲヘナじゃ自慢も出来ない。
     かといってあんなお粗末な即席バリケードぐらい、風紀委員長なら2秒で飛び越える。全力で瓦礫を避けつつ砂煙に紛れて崩れるビルの真ん中を突っ切りでもしなければ、即捕まってこれも終わり。

  • 3二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 03:02:49

    「言う事聞かせたいなら『鬼ごっこ』だよ、風紀委員長!!」

     廃ビルの上階が落ちて来る轟音の中で、それに負けない様に鋭く叫ぶ。

    「どんな手を使っても、私を捕まえたらそっちの勝ち!!制限時間は───」

     ルール説明。及び───宣戦布告。

    「───ムツキちゃんがゲヘナ学園をぶち壊すまでッ!!」

     残機1のソロプレイ。クリア条件は学園壊滅。
     たとえこれが、ムツキちゃんの最後の「遊び」になったとしても───。



    ...みたいな感じで、依頼で『雷帝の遺産』を掴まされて風紀委員と万魔殿の両側から袋叩きにあったけど、依頼者の事情が事情すぎて優しいアルちゃんは断り切れなくて、ゲヘナ自治区に居るだけでそれはそれは筆舌に尽くし難い目に遭いながらも依頼の為に奔走する中で、みるみる憔悴しきっていくアルちゃんを見ていられなくて、「そんなに「雷帝」とかいうヤツの痕跡を無くしたいならこの学園もろとも消し飛ばしちゃえ☆」って思い至ったムツキちゃんが『遺産』を奪ってアルちゃんを遠ざけ、空崎ヒナとデッドヒートを繰り広げながら「トリニティとの衝突」だったり「シャーレ襲撃」を装ってゲヘナにキヴォトス中からのヘイトを向けようとするSSを書こうと思ったんですが、肝心の遺産の中身とアルちゃんが断りきれないだけの理由を持つ依頼者の概要が全く思いつきそうにないので流産です。ありがとうございました。

    ~完~

  • 4二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 03:47:47

    安価とか...ダイスとか使って...どうにか続きを...!

  • 5二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 05:01:53

    >肝心の遺産の中身

    安直に、実は雷帝がゲヘナで流布されているような人物ではないと示す直筆の日記とか


    >アルちゃんが断りきれないだけの理由を持つ依頼者の概要

    安直に、雷帝の妹でゲヘナにおいて露骨に攻撃されてないものの遠回しに迫害されているが

    名誉回復のために公表したいがさらに幼い妹を守るために自分では身動き取れない

    しかしその日記を狙ってくる者がいるから安全な隠し場所が見つかるまで隠し持っておいてほしいとか


    ムツキを主役に据えるという一風変わったところを見て保守しようと思っただけで

    ライターそこまで考えてないと思うよな雷帝で話を考える気はないし、単純にヒナが嫌いだからやるとしたら無様にするか最悪死なせるだろうから自分では書かない

  • 6二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 05:05:43

    依頼者に妹がいることにアルが絆されて受けてしまうってのが勇み足ならば、実はアルにも妹がいて金銭的に便利屋をやる理由になっているとか適当に設定つくってもいいんじゃね
    ブルアカストーリーでの言動に邪魔になる設定ではないと思うしな

オススメ

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