- 1二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:02:59
- 2二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:09:55
73年世代牝馬の2歳時
関東の2歳牝馬で最も華々しく活躍していたのはマミーブルー。
快速を生かしてデビューから全て3馬身以上の差をつけて3連勝。
4戦目の京成杯2歳Sでも後の天皇賞馬カミノテシオや重賞3勝馬ユウシオらの牡馬勢をちぎり捨てて優勝、5戦目も後の重賞4勝馬ホワイトフォンテンらを下し無傷の5連勝を飾った。
この時点で関東の2歳最強牝馬候補は彼女が第一に挙げられていた。
ただ快進撃を続ける一方で距離適性に不安があることも徐々に明らかになっており、今後の活躍を不安視する向きもあった。 - 3二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:15:37
マミーブルー程ではないが好成績を収めていた関東2歳牝馬にナスノチグサがいた。
2歳上の全姉に桜花賞馬ナスノカオリをもつ血統で、気性はめちゃ荒いものの頑丈な馬体に恵まれておりデビュー前から期待を寄せられていた。
果たしてデビュー後は2戦連続で5馬身差の圧勝。3戦目にはマミーブルーに敗れたものの、その後のレースでもレコード勝ちを記録するなど好成績を残した。
朝日杯には出ずに2歳を終えたが7戦して5勝2着2回というかなり優れた成績を残し、クラシックの有力候補の一頭として3歳を迎えることになった。
他にも好成績の牝馬にニットウチドリがいた。
デビュー前の入厩時点で馬体が500キロを超えていたというかなり雄大な牝馬で、デビューから連敗こそしたが3戦目を大差のレコードタイムで初勝利。
続くレースも勝利し、5戦目ではナスノチグサに敗れたものの2歳を5戦2勝2着2回という安定した成績で終えていた。
関東でクラシック有力候補と呼べる牝馬は主にこの3頭だった。
しかしクラシックの大本命と目される牝馬は、関西にいた。 - 4二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:19:05
- 5二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:21:01
迎えた72年12月10日、73年世代の2歳王者を決める朝日杯と阪神2歳Sが同日に開催された。
それぞれのレースに無敗のキシュウローレルとマミーブルーは出走した。
だが阪神2歳Sで圧倒的な1番人気に推されたキシュウローレルがそれに応え5馬身差の圧勝で優勝した一方、朝日杯で1番人気ながらも距離への不安から微妙な評価だったマミーブルーはその不安が的中し9着に大敗、この時点でクラシック最有力候補筆頭はキシュウローレルが断然1強となった。 - 6二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:25:21
年が明け、3歳となった73年世代。
前年の最優秀2歳牝馬に輝き世代最強牝馬となったキシュウローレルは、年明け緒戦もあっさり勝利し5戦5勝とした。
関西ではもはや敵なしとなったキシュウローレルに対し関東の牝馬はと言うと、朝日杯で大敗したマミーブルーは脚部不安の為休養に入り、桜花賞出走も絶望的となった。
ナスノチグサは年明け緒戦のクイーンCで気性難が出て期待を裏切る7着に惨敗、この結果を受けてキシュウローレルに勝てないと踏んだ陣営は桜花賞を回避することを決めた。
ニットウチドリは年明け緒戦を勝ち、2戦目のクイーンCでは3着に敗れたものの、打倒キシュウローレル&桜花賞制覇を目指して関西へ向かった。 - 7二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:31:03
迎えた3月18日。
桜花賞トライアルのフィリーズレビュー賞では、キシュウローレルが1倍台前半の圧倒的な人気で、ニットウチドリは3番人気とはいえ2桁台のオッズでの出走となった。
既に関西勢でキシュウローレルに敵う牝馬は見当たらない為事実上キシュウローレルとニットウチドリの対決という構図になったが、誰もがキシュウローレルの勝ちを疑わなかった。
しかしレースでは、これまで全戦でスタートから逃げて連戦連勝していたキシュウローレルが他馬にハナを取られ、2番手もニットウチドリがとり、キシュウローレルは3番手という波乱の展開となった。
その後3コーナーでキシュウローレルは先頭にたったものの、直線でニットウチドリが猛追。
残り200mからは2頭による完全なマッチレースとなり、最後はアタマ差でニットウチドリがキシュウローレルを下し優勝。
キシュウローレルは初の敗北を喫し、彼女1強と思われたクラシックは一気に混戦ムードになった。
ちなみにこのレースではニットウチドリもキシュウローレルも従来のレコードを1秒以上更新するタイムを記録した。 - 8二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:34:11
1か月後の4月8日、桜花賞。
1番人気はニットウチドリが推され、僅差でキシュウローレルが2番人気、3番人気以下は二桁人気と完全に2強の一騎打ちムードとなった。
レースではニットウチドリが抜群の好スタートを切って先頭にたち、それにすぐキシュウローレルが競りかけるという最初からマッチレースの展開に。
そのままハイペースで両馬が先頭を争い、やがてキシュウローレルが先頭に立ってニットウチドリが2番手になった。
そのままレースは進み、直線前では2頭が後続を引き離して完全なマッチレースの展開に。
しかし直線半ばでニットウチドリが逃げ粘るキシュウローレルを捉え、最後は突き離してゴール。
タイムは従来の桜花賞レコードを1秒以上更新するレコードだった。
3馬身離されてキシュウローレルが2着、3着以下は更に3馬身以上離されていた。
クラシック1冠目の桜花賞はニットウチドリが獲得。
一方でずっと大本命だったキシュウローレルはこの敗戦を受け、距離適性のことも考えて今後のクラシックを断念することとなった。
『果たしてこの2頭の一騎打ちになるかどうか!…ニットウチドリ強し!』第33回 桜花賞 ニットウチドリ 牝3 55 横山富雄 1973.4.8 出走馬:キシュウローレル、キソジ、ホウシ
- 9二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:40:06
桜花賞後。
キシュウローレルがクラシックを断念したこともあり、オークスの有力候補は断然ニットウチドリ…という訳でもなかった。
キシュウローレルと同じくニットウチドリにも距離への不安があり、断然彼女の1強とは言えない状況にあったからだった。
桜花賞の半月後、オークストライアルのフローラSが開催。
ここにニットウチドリが参戦した。
人気は勿論1番人気だったが、相手には桜花賞を断念したものの距離適性からオークスの有力候補に挙げられていたナスノチグサ(2番人気)、更にナスノチグサと同厩舎で年明け以降頭角を表してきたレデースポート(3番人気)が出走するなど、侮れないメンバーがいた。
レースでは人気薄の芦毛逃げ馬がケイスパーコがレースを引っ張り、それをニットウチドリ、レデースポート、ナスノチグサの順で追う展開に。
3コーナー過ぎでニットウチドリが先頭に立ち、そのまま直線に入って押し切りを狙った。
しかし残り200mでレデースポートとナスノチグサが猛襲し、残り100mでニットウチドリはその両馬に交わされた。
勝ったのはレデースポートで、クビ差の2着にナスノチグサ、更に1馬身半差の3着にニットウチドリが続いた。
この結果により、オークスは完全に混戦ムードとなった。 - 10二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:46:54
迎えた5月20日、オークス。
1番人気はレデースポート、2番人気ナスノチグサ、3番人気ニットウチドリとトライアル上位組が占め、あとはやや離されたこともあり3強対決ムードとなった。
故障で離脱していたマミーブルーも参戦(6番人気)し、キシュウローレルはいないものの世代の強豪牝馬が全員集ったレースとなった。
レースはトライアルと同じく人気薄のケイスパーコが逃げ、それをニットウチドリ、更にレデースポート、ナスノチグサが追う展開となった。だがトライアルと異なりニットウチドリは3コーナーで先頭を奪い、強引に押し切りを狙う展開に。
直線に入ると、粘るニットウチドリをレデースポートとナスノチグサ、更に人気薄のオキノバンダが猛襲。
しかしその中で脚色が際立って良かったのはナスノチグサで、残り150mでニットウチドリを交わして先頭に立つと、そのままレデースポートとオキノバンダの追撃も突き離し、後続に3馬身半の差をつけて優勝した。
2着は激戦となったがニットウチドリが粘りきり、半馬身差の3着にレデースポートと3強が1〜3着を占めた。
唯一3強に迫ったオキノバンダは4着に善戦した一方、マミーブルーは距離適性もあったか18着に大敗、このレースを最後に引退した。
トライアルと同じく逃げてレースを進めたケイスパーコはトライアルと同じく最下位に敗れた。
第34回 優駿牝馬(オークス) ナスノチグサ 牝3 55 嶋田功 1973.5.20 出走馬:ニットウチドリ、レデースポート、オキノバンダ、ニシノシラオキ、カシハタ、レデイコトブキ、
- 11二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:51:15
オークス後、ニットウチドリは秋を目指して休養に入った。
レデースポートも6月に1戦したもののやはり休養に入った。
ナスノチグサはオークスの3週間後に安田記念に参戦し3着に善戦、その後休養に入った。
秋に入り、10月。
ニットウチドリ、ナスノチグサ、レデースポートの3強は同じ京都牝馬Sで復帰した。
不良馬場での開催となったレースは夏以降台頭したケイリュウシンゲキが1番人気に支持され、ナスノチグサは4番人気、ニットウチドリとレデースポートは人気薄での出走となった。
レースがケイリュウシンゲキが逃げ、ニットウチドリがいつものように2番手で追い、ナスノチグサとレデースポートは後方待機という展開に。
しかし直線に入っても逃げ粘るケイリュウシンゲキの一方でニットウチドリは失速、ナスノチグサも全く伸びず、代わってレデースポートが先頭を猛追し、最後はハナ差で交わして先頭でゴール。
2着は逃げ粘ったケイリュウシンゲキ、ニットウチドリとナスノチグサは8着、9着に惨敗した。 - 12二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:54:47
半月後、迎えた牝馬クラシック3冠目のビクトリアC。
1番人気は前走で勝ったレデースポートがオークスに続いて1番人気。
前走大敗したものの不良馬場だったことやそれまでの実績もありナスノチグサが2番人気、ニットウチドリが3番人気となった。
他に成長著しいケイリュウシンゲキも4番人気に推され、オークスで善戦したオキノバンダやオークス最下位のケイスパーコも参戦した。
レースはスタートからケイリュウシンゲキが大逃げ、ニットウチドリが単独の2番手で追い、更に大きく離された3番手でレデースポートとナスノチグサが追うという展開に。
3コーナーから後続が一気に差を詰め、4コーナーでニットウチドリが先頭に。直線に入るとそのまま押し切り体勢に入り、最後はナスノチグサの猛追も寄せ付けず先頭でゴール。二冠制覇を果たした。
ナスノチグサは粘ったケイリュウシンゲキをなんとかハナ差で差し切り2着。
ケイリュウシンゲキは3着に入った一方、1番人気レデースポートはまさかの9着に惨敗した。
混戦が続いた73年世代の牝馬クラシック戦線は、二冠を達成したニットウチドリが世代最強牝馬の座を手にする結果となった。 - 13二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:57:39
(クラシックを賑わせた牝馬達のその後)
ビクトリアCで大敗し無冠に終わったレデースポートは、そのレースを最後に引退した。
引退後は繁殖牝馬となり、産駒のテンモンが80年に朝日杯、そして81年のオークスを優勝。自らが成し得なかったオークス制覇の悲願を果たした。
秋に存在感を見せつけたケイリュウシンゲキはその後も現役を続け、快速逃げ足を武器に重賞戦線で活躍し、勝ち星も多く積み重ねた。
6歳春に引退するまで通算38戦して11勝を挙げ、牝馬三冠に参戦した牝馬の中では最多の勝利と賞金を手にした。
オークスで4着に善戦したオキノバンダは、重賞は勝てずに現役を終えたものの、繁殖牝馬として82年の菊花賞馬ホリスキーを輩出。
牝馬クラシックに参戦したメンバーの中で唯一牡馬のクラシック馬を輩出した。
オークスで最下位だったケイスパーコは、4歳末のラストランで重賞初制覇を果たし引退。
繁殖牝馬として80年のオークス馬ユウミロクを輩出し、レデースポートと同じく自身の雪辱を果たした。
早熟で終わってしまったものの2歳時に確かな強さを見せたマミーブルーは、繁殖牝馬として複数の重賞馬を輩出。
4代孫には中山大障害馬メルシーモンサンがいるなど、なかなかの繁殖成績を残した。 - 14二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:59:14
いいなこれ バチバチやってる世代ってのは面白い…!
- 15二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:59:38
オークス馬ナスノチグサは4歳以降も現役を続けた。
重賞戦線で多戦走り、好走がありながらも中々勝ち星には恵まれなかったが、4歳夏に新潟記念をレコードで優勝、6年ぶりのオークス馬による古馬重賞制覇を果たした。
更に5歳夏には京王杯OHで1歳下のオークス馬トウコウエルザとの激戦を制しレコードで優勝、オークス馬初の5歳重賞制覇の快挙も達成した。
5歳有馬を最後に引退。
通算39戦出走は60年代以降のオークス馬では最多出走だった。
二冠に輝き世代最強牝馬となったニットウチドリは、3歳末の有馬記念でも2着に好走。
13年ぶりの3歳牝馬有馬連対の快挙を達成し、同期のハイセイコーと共に史上初の年間獲得賞金1億円突破も達成した。
しかし4歳以降は燃え尽きたように凡走が続き、7戦して全て掲示板外に敗れ、4歳10月のレースを最後に引退した。
そして、かつてクラシックの大本命で春にはニットウチドリと激闘を繰り広げたキシュウローレルは、桜花賞敗戦後はマイル以下のレースを中心に出走しながら現役を続けた。
かつての圧倒的な強さは見られることはなかったが、4歳夏にはレコード勝ちをするなど復調の気配が見られ、4歳10月には久々の重賞となる京都牝馬Sに出走。
だが不運にもレース中に故障を発生し競走中止、予後不良となりこの世を去った。
奇しくもニットウチドリとはラストランが同日開催のレースとなった。 - 16二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:04:44
以上
73年世代の牝馬は準三冠&有馬2着のニットウチドリしか知らなかったけど、クラシックは決して彼女1強じゃなくて多くのライバル達がいたことを知った。
繁殖で実績を挙げた牝馬も結構いて面白かった。
個人的にはニットウチドリvsキシュウローレルの対決が凄かった(特に桜花賞) - 17二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:13:21
キシュウローレルの阪神3歳Sはなんか脚が速い馬が先頭走ってそのままゴールしたって感じで凄かった
- 18二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:15:26
キシュウローレルは優駿のエッセイで最期の様子を知ったな
- 19二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:17:18
ナスノチグサの気性難対策として厩舎にヤギを置いたら大人しくなったという話好き
- 20二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:20:11
ウサギも試されていたがウサギとは仲良くできなかった(オブラート)らしい
- 21二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:23:24
ちなみにこの世代の牝馬賞金王はクラシックと全く無縁だったメジロジゾウ(歴代牝馬獲得賞金記録も更新してる)
- 22二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:30:45
マミーブルーの産駒も中々濃いんだよな
メルシーアトラ←90年世代の西の最終兵器と呼ばれた馬 91年日経新春杯で優勝するも同年の産経大阪杯で故障し非運の最期
メルシーステージ←父がステートジャガー。デビュー時にはステートジャガーは種牡馬引退してたけどメルシーステージの活躍により種牡馬復帰 - 23二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:35:02
ニットウチドリが有馬でハイセイコーに先着したのは牡馬勢の意地だったな
- 24二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:40:06
牡馬の賞金王もクラシック未参戦のヤマブキオーだったな
- 25二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:42:52
桜花賞でニットウチドリがゴールした瞬間にキシュウローレル鞍上の梅内騎手がうなだれるのが辛い
- 26二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:46:37
どうでもいいけど桜花賞で杉本さん盛大にミスしてるな(直線でキシュウローレルをクイーンマハールと何度も間違えてる)
- 27二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:57:18
3歳牝馬が有馬記念2着って今考えても凄いよな…と思ったわ
- 28二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 22:20:53
ナスノチグサは3200mの天皇賞でもそこそこ走れてるし距離適性がかなり広い