- 1二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 23:16:42
- 2二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 23:19:52
――30分前――
咲季「そろそろ8時だし、わたしは寝るわ」
ことね「そっかー。おやすみ、咲季」
咲季「ことねも早く寝なさいよ。体調崩したらRe;IRISがやばくなるでしょ?」
ことね「ちゃーんと分かってるって」
ことね「あたしももう寝よっかな」
歯を磨こうとした瞬間、歯磨き粉が切れてるのに気づいた。
ことね「あれ?もうなかったんだ」
まだ遅い時間でもないし、コンビニまでなら平気だろう。
歯磨き粉を買って帰る――そのはずだった。
帰路につき、寮に向かって歩き出した途端――
辺りは急に闇に包まれた。
満月は雲に隠れ、街灯は不気味に明滅を繰り返す。
そして、前方に「それ」は立っていた。
さっきまで人影なんてなかったはずなのに。 - 3二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 23:22:23
人……? 違う。
四肢はあるのに、全身は鈍い灰色で、顔には目も口も何もない。
頭部らしき部分からは、角が突き出ていた。
ことね「ひっ……!」
思わずビニール袋を落として後ずさる。
化物は顔をこちらに向け、しばらくあたしを値踏みするように“見た”あと――
走り出してきた。 - 4二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 23:23:32
そして、今に至る。
都会の夜、まだ遅くもないのに
響くのはあたしと化物の足音だけ。
ことね「な、なにこれ……っ!」
もう10分近く走っている。肺が焼けるみたいに苦しい。
アイドルになるためトレーニングをしてきたのに、
恐怖のせいか全然役に立たない。
それに……おかしい。
知り尽くした道なのに、寮に帰れない。
人の気配もない。
延々と同じ道をぐるぐる回ってるみたいだ。 - 5二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 23:24:44
走るスピードは落ちているはずなのに、距離は縮まらない。
まるで化物が狩りを楽しんでいるみたいに
ことね「だっ、誰かぁ――!」
助けを求める声は闇に吸い込まれていく。
もう何回目だろう
やがて、丁字路にぶち当たった。
左右に分かれた道を直感で左へ進む。
けれど、そこは行き止まりだった。 - 6二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 23:25:46
絶望と疲労で腰を落とす。
ことね「はぁっ、はぁっ……っ」
視界が歪む。息が乱れて抑えられない
ふと上を見上げると、雲が切れて月光が差し込んだ。
その光に照らされ、追跡者の正体がはっきりと浮かび上がる。
全身が黒光りするゴムのような質感。歪んだ角が二本。
やっぱり――人間なんかじゃない
どうして、こんな目に
あたしはただ、アイドルに憧れただけなのに - 7二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 23:30:17
化物がゆっくりと近づく
もう動けないあたしは声を振り絞った。
ことね「誰か――っ!誰かぁぁっ!」
???「呼んだかしら」
凛とした、上品で力強い声が闇を裂いた。
ことね「えっ……!?」
反応が、あった……?
???「奇遇ね、ことね」
月光を背に、背の高い少女が現れる。
金色の髪が光を弾いて輝いた。
???「固有魔法――《小さな野望》」
少女がそう唱えると少女の右手に剣が急に現れる。
化物「■■■……!?」
化物は驚いたように、この世のものとは思えない奇声をあげた。
次の瞬間、少女の剣が化物の体を一閃し、化物は塵となって霧散した。 - 8二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 23:31:18
ことね「じゅ、十王……会長……?」
訳が分からないまま、あたしは声をかける。
少女は振り返り、堂々と名乗った。
星南「私が初星学園生徒会長、十王星南よ」
星南「――そして、魔法少女なの」
月光を浴びたその姿は、ただただ美しくて
目を離すことなんて、できなかった。 - 9二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 23:52:52
こんなにかっこいい会長は久しぶりに見た
- 10二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 00:04:01
ごめん、バケモノが会長というオチだと思った
- 11二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 00:10:02
バケモノも会長じゃないか...?