"ナギサ、話したい事って……?"

  • 1二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:29:25

    「婚約する事になりました」
    突然の知らせだった。それも政略結婚だという。
    個人の自由意思が尊重されるべきとされる社会で生きてきた私にとって、お家の為だと嫁がされる事をさも当然の様子で言い放つ生徒の心情は理解の外だ。
    ナギサのご両親がどのような事情で我が子を差し出したかは知る由もない。
    兎に角ナギサは家の意向を汲み、婚約せよとの言い付けに従う様子であった。
    ミカやセイアすらナギサの結婚に口を挟まず、私以外の誰もが『詮無き事』として受け取っているようだった。
    当のナギサが承知した事に誰が口出し出来ようか。私とて例外ではなかった。
    ナギサの婚約に心掻き乱される私をよそに、当の本人はシャーレの執務を粛々と進めている。
    私はそんな彼女を一瞥すると、みっともない内心を押し殺そうとソファに沈み俯いた。
    じき迎える卒業式を祝いたいという気持ちと比例するように、ナギサの結婚式には出たくないという気持ちも増す。
    このアンビバレントが私を自己嫌悪に陥らせた。

  • 2二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:30:29

    私はナギサの事が好きだった。
    出会った当初こそ対立する間柄でしかなかったのだが、それが解消されて友好的な態度で接するうちに立場を越えた好意を抱いてしまっていた。
    それを伝えようとするのは気の迷いと断じたはずなのに、いざ彼女が結婚するとなれば「伝えるべきだった」と後悔している。
    しかしながら、たとえこの想いを伝えていたとしてもこの結末は変わらなかったろう。
    "ナギサは……"
    叶えようともしなかった恋に耽るうち、つい愛おしそうに口走ってしまった。
    「どうなさいましたか」とどこか喜色を露にした彼女の声がしたかと思えば、ソファに埋もれた私の頭を彼女の両手がくいと起こす。
    私の頭上から両頬を伝う柔肌を感じると、もうじきこれが他の誰かに奪われるのかという情けない気持ちになる。
    "ナギサはさ、親に決められた結婚……嫌じゃなかった?"
    事ここに至り引っ込める訳にもいかず、私はついにナギサへ負け惜しみめいた問いを投げ掛けてしまった。
    「そのような気持ちはございません。誇り高き桐藤家の為ならば、私は謹んであの婚約をお受け致します」
    そう答えると分かっていた。
    私はナギサのそういう誇らしくもいじらしいと感じさせる健気な在り方を、好ましく思っていたのだから。

  • 3二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:31:32

    「先生が私の分まで思い悩まれた事はそのお顔で察せられます」
    そんな事はないと言いたかった。
    それどころか、君がどこの誰とも知らぬ相手と結ばれるのが嫌だというみっともない思いでいっぱいなのだ。
    私は君の恋人ではないというのに。
    「……先生のご不安は分かります。親が決めた結婚が上手くいく根拠をご存じないのですから。そして私はその根拠に納得し応じると選択したのですから、必ず良き妻であろうと誠心誠意尽くします。その果てにきっと揺るぎ無い愛情が芽生えると信じて」
    惨めな私に相反し、ナギサはなんと毅然とした態度だろう。
    これでは私が大人のつもりでいた子供で、彼女こそが本当の大人ではないか。いや、事実そうなのだ。
    いつぞや或る敵に向けた「青二才」言葉だって、いつか私が投げ掛けられたものに過ぎない。
    ……こんな私が君の直向きな眼差しに向き合えるはずはないんだよ、ナギサ。
    感銘の後に襲い来る自己嫌悪と後悔が私を苛む。
    本来であればナギサの為に心底からその結婚を喜び祝ってやるべきなのに、私ときたらまるで寝取られたとでも言いたげな内心でいる。
    ああ、私は今地獄の入り口に立たされているのだ。
    「それに確かな前例もございます。ええ、先生がご懸念なされているような事は何一つ起こり得ません。どうか幸せになりましょうね」
    そして私ではない誰かが彼女を幸せにすると誓う儀式を見せつけられる場こそ、本当の地獄なのだ───。

  • 4二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:32:54

    月日は流れ結婚披露宴。
    若くして既婚者となる元生徒のドレス姿を、私は特等席で見せつけられていた。
    純白のウェディングドレスに身を包み、指輪とティアラを光らせながらそれに勝るとも劣らぬ笑みをたたえる彼女。
    親族以外はミカやセイア、その他大勢のトリニティ生も来ており、最近まで行方知れずだった筈の連邦生徒会長も姿を見せている。
    皆の思惑は皆目検討もつかないが、この場の雰囲気に相応しい万雷の拍手を悲喜交々な顔で送ってくれる。
    「……何か仰ってください」
    新婦の入場が済むと、ナギサは照れ隠しがてらドレスを正した後で私の隣へと座る。
    そして司会がマイクを持って挨拶を始めた。

    そう───私は、桐藤家の婿養子になったのだ───。

    WAPPY END.

  • 5二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:33:58

    某パクパクですわちゃんが同じことやってたばっかじゃねーか

  • 6二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:42:29

    先生が婚約したってこと?
    じゃあ"もうじきこれが他の誰かに奪われるのかという情けない気持ちになる。"ってなんだよ!?

  • 7二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:42:51

    連邦生徒会長を解放しろ

  • 8二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:44:09

    何やってんだアロナァァァァァ!!!!

  • 9二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:46:25

    >>6

    先生は事について一切知らされなかっただけなんだ

  • 10二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:46:54

    意味わかんねーよ

  • 11二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:49:17

    このレスは削除されています

  • 12二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:51:40

    >>9先生本人との政略結婚が決定してるのに…???

  • 13二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:53:27

    >>12

    先生は頭おかしいけど先生としてはなんだかんだマトモだから生徒と教師だの年齢差だの持ち出して全力で逃げるから逃走不可能になってから教えられるんだよ

  • 14二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:54:35

    >>5

    気になるから教えて

  • 15二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:56:31

    >>13じゃあ誰がどうやって取り決めたんだよコノヤロー

  • 16二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:58:33

    アロナぁ!

  • 17二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:58:54

    >>15

    こういうのは基本的に先生以外の人には全員に話が通ってるんだ

    外堀を完全に埋め立てて当人は知らないのに有無を言わせないのが目的なんだ

  • 18二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:59:38

    >>17

    実際にありえるのかそんなこと

  • 19二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 15:59:46

    >>17じゃあなんすか、ナギサ1人の作戦勝ちってことすか

  • 20二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 16:00:45

    叙述トリックをしようと思ったら意味不明な物語を生み出してしまった

  • 21二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 16:15:47

    頑固者を仕留めるときは周りにしっかり根回しして絶対断れない状況にしてから実行に移しましょう

    エデもそうだそうだと言っています。

  • 22二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 16:18:48

    >>18

    家と家との婚約ならまぁありえなくは…いや現代の婚約制度だとありえんけど

  • 23二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 16:32:14

    これ前にも似たようなの見たことあるけど同じ方?

スレッドは9/7 02:32頃に落ちます

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