- 1二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:55:49
- 2二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:57:46
どれくらいの時間歩いたのだろうか。
家から逃げてきた時はまだ明るかったのにもうすっかり夜になっていた。
人気のない住宅街をあてもなく歩きながら今までの人生を思い返す。
まだ10年くらいしか生きてないけど、物心ついた頃から良い記憶がない。
トップアイドルになるために厳しいレッスンと教育を施されて、友達と呼べるクラスメイトもいない。
起きて、学校に行って、帰ってきたらレッスンをして寝る。
そんな日々に嫌気がさして逃げてきた。
今頃お父さんたちがわたしの事を探してるかもしれない。
見つかる前になんとか隠れないと.......
突然、電池が切れたみたいに足が言うことを聞かなくなった。
両足も激しく痛む。
「うぅ.......」
道端にへたり込む。
立ち上がりたくても足に力が入らない。
一歩も動けなくなってしまった。
追い討ちをかけるように空腹感と喉の渇きが襲ってくる。
無理をしたつけが回ってきた。
もう、わたしの身体には一滴の力も残されていないようだ。
助けを求めたかったけれど、誰に助けを求めればいいのかわからなかった。
人通りが少ない訳ではない。
会社帰りと思われる男の人や買い物袋を提げた女の人がわたしのそばを通りかかる。
でも、わたしと目が合いそうになると素早く視線を逸らして顔を伏せて早足に歩き去っていった。
わたしから声をかければ足を止めてくれたかもしれない。
でも、長い間家族とトレーナー以外の人とコミュニケーションをしていなかったせいでわたしは軽い対人恐怖症を発症してしまっていたようだった。
通行人を引き止めようとしても、上手く声を出す事ができない。 - 3二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:59:14
そもそも、仮に誰かを引き止めることに成功したとしてどんなふうに助けを求めれば良いのかわからない。
何も聞かずに匿ってくださいと言うしかない。
そんな事を言われて怪しまない人間がいるだろうか。
単なる家出と思われて警察に連絡されて家族に連絡が入るに違いない。
.....ふと思った。
このまま......死んじゃおうかな。
不意に降ってきたアイデアは心身ともに疲弊しきっていたわたしにはとても甘美に感じられた。
心残りがあるとすれば、愛情を知りたかった。
誰かに会いたくなった時は鏡の前に立って自分に笑いかけた。
話し相手が欲しくなった時はひとりごとを呟いた。
温もりが欲しくなった時は毛布を丸めてそれに抱きついた。
またひとりわたしのそばを通り過ぎる。
助けてくれないなら、せめて可哀想にと思って欲しい。
わたしに同情して涙を流して欲しかった。
この世界にわたしの事を心配してくれる人はいない。
だから、わたしは自分自身のために泣いた。
膝の間に顔を埋めて声を押し殺して泣き続けた。
とても長い間そうしていたと思う。
疲れで意識が朦朧とし始めた頃、誰かがわたしに声をかけた。
穏やかな声色だった。
「大丈夫?」
願望が生んだ幻聴......ではない。
誰かが目の前でしゃがみ込んで、わたしの顔を覗き込んでいた。
恐る恐る視線をあげてみたけれど、涙で霞んで何も見えなかった。
両手で目を拭ってから、改めてその人の顔を見た。
若い男の人だった。
柔和な顔立ちをしていて、線が細く、どことなく中性的な雰囲気がある。
目が合うと優しげな笑みを浮かべた。
その笑顔によって、わたしの警戒心は一瞬で解きほぐされた。 - 4二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:04:29
この人になら頼れる。
直感的に悟った。
わたしはもう1度手首で涙を拭ってから勇気を振り絞って声を出した。
「あの」
「うん?」
「お願いが、あるんです」
若い男の人は少し驚いたように目を見開いた。
でもすぐにもとの柔らかい表情に戻った。
「何?」
優しく尋ねてくれた。
「何も聞かずに、一晩だけ泊めてほしいんです」
無茶なお願いなのは承知していた。
若い男の人は、わたしの真意を推し量るように沈黙している。
わたしは彼の顔をまともに見る事ができなくて、目を伏せていた。
しばらくして、彼が立ち上がる。
わたしを見捨てて立ち去ろうとしたのかと思ったけれど、そうじゃなかった。
「立てる?」
手が、差し伸べられていた。
震える手を伸ばして手を握る。
足の痛みも少しだけ引いていて、なんとか歩けるくらいまで回復していた。
若い男の人は安心したように微笑んで、わたしを気遣うようにゆっくりと歩き始めた。
「アパート、すぐ近くだから。でも、歩くのが辛かったら言ってね」
わたしは無言で頷いた。
返事をしたら、声が滲んでしまいそうだったから。
「引っ越してきたばかりでまだ片付いてないんだけど......」
若い男の人は弁解するように言った。
部屋には段ボールや梱包材が散らばっていて、かなり雑然としていた。
「何か食べる?それとも先にお風呂の方がいいかな」
「何か食べたいです」 - 5二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:05:43
わたしは即答した。
慎みも忘れるくらいお腹が空いていた。
彼は冷蔵庫から食材を取り出して手慣れた様子でそれらを調理する。
あっという間に2人分の料理が完成した。
普段食べてるのに比べると、かなり濃い味付けだった。
けれど、疲れた身体にはそれくらいがちょうどよかった。
空腹が収まったところで、わたしはまだ彼にお礼を言ってないことに気付いた。
「その、ありがとうございます」
慌てて頭を下げる。
「どういたしまして」
約束通り、彼はわたしに何も尋ねないでいてくれた。
どこから来たのかとか、どうしてあんな所にいたのかとか、当然の疑問さえ口にしなかった。
その代わり、自分の話をした。
「俺も昔、家出をして事があるんだ。君と同じくらいの年の頃に。電車とバスを乗り継いで遠くの町に行った。あてもなく夜の駅前をうろついていたら大人の女の人に声をかけられてさ。『何か困ってるの?』って。『一晩泊めてください』って頼んでみた。そしたら二つ返事で了承してくれてさ、あの時は本当に嬉しかったんだ」
少し間をおいて彼は続けた。
「でも、マンションについてから1時間もしない間に警察官が来ちゃって。こっそり通報してたんだろうね。俺は家に連れ戻されてこっぴどく怒られた。その時決めたんだ。俺が大きくなって家出してる子どもを見つけたら何も聞かずに匿ってやろうって」
シャワーを浴びて人心地つくと、途端に猛烈な眠気に襲われた。
「ベッドとソファ、好きな方を使って」
わたしはほとんど無意識にベッドに倒れ込んだ。
落ち着く匂いのする毛布だなと思った。 - 6二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:07:08
窓から差し込む朝日で目を覚ました。
どうやら12時間ほど眠り続けたらしい。
いつもと違う天井に一瞬混乱したが、すぐに事の次第を思い出した。
恩人の姿を探すと、ソファに横になって気持ちよさそうに眠っていた。
わたしは状態を起こして窓から外を眺めた。
澄み切った青空が見渡せた。
この時、ようやくわたしはあの家から脱走した事をハッキリと実感できた。
彼はわたしの名前を聞かなかった。
その代わり
「君のこと、なんて呼べばいいかな?」
というふうに聞いてきた。
本名を名乗る必要はない、と彼は暗に言っていた。
実際、この場面では偽名を使うのが正解だったのだろう。
でもわたしは誰かに名前を呼んでもらえるという誘惑に抗えず、つい本名を名乗ってしまった。
「せな」
彼が初めてわたしの名前を呼んだ瞬間、何故かはわからないけどわたしの顔は耳まで赤くなった。
無防備な心を指先でそっと撫でられたような、妙な気恥ずかしさがある。
でもそれ以上に、温かかった。
「あなたの事はなんて呼べばいいですか?」
わたしは照れくささを誤魔化すように聞いた。
「学」
彼は簡単に答えた。
「......まなぶさん」
わたしが試しに名前を呼んでみる。
「何?」
名前を呼んで返事をしてもらえる。
それだけなのに妙に刺激的な体験に思えた。
わたしは意味もなくそれを何度も繰り返した。
彼も律儀に返事を何回もしてくれた。 - 7二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:08:19
未来で出会うならリメンバー・ミーみたいなタイトルがピッタリになりそう
- 8二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:09:53
朝食を食べ終えると、彼が遠慮がちに話しかけてくる。
「俺はこの後予定があるけど、せなはその間どうしてる?」
その言葉を聞いてわたしは胸を撫で下ろした。
一晩泊めてもらうだけの約束だったから、もしかしたら追い出されるかもと思っていた。
でもそれは杞憂だったようで、わたしが自分の意思で出ていくと言うまではここに置いてくれるつもりらしい。
優しい人で良かったと改めて思う。
「別にこのまま部屋にいてもいいけど、ずっとここにいるのは退屈じゃない?」
わたしは考え込んだ。
「ひとまず、この町を見て回ろうと思います」
まなぶさんは少しの間何かを黙考していた。
それからスマホを取り出してベランダに出て、どこかに電話をかけた。
会話の内容は聞き取れなかったけど、誰かに謝っているみたいだった。
通話が終わったのか、まなぶさんは室内に戻ってきた。
「実は俺も1度この町をじっくり見てまわりたいと思ってたんだ。引っ越してきたばかりでどこに何があるのかもわからなくてさ。こういうのはひとりで回るよりも2人で回った方が楽しいと思わない?」
わたしは何度も頷いて肯定した。
月光に照り映える銀色の海が終着点だった。
わたしたちは堤防に腰を下ろして静かな波の音に耳を澄ました。
ほんのりと潮の香りが漂ってくる。
海に来たのは初めてだ。
想像していたよりもずっとずっと大きくて、本で読んだ知識でしか海を知らないわたしには衝撃的だった。
「すごいなぁ.......」
そんな感想が自然とこぼれた。
「うん、そうだね」
笑われるかなと思ったけどまなぶさんは共感してくれた。
波を眺めるのに飽きるとわたしは堤防に仰向けに寝転がって夜空を見上げた。
今日1日を振り返る。
多幸感で胸がいっぱいだった。 - 9二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:11:25
数えきれないくらい初めての経験をした。
わたしがずっと夢見ていた事を。
他人の部屋で目を覚まして、2人で朝食を取って、名前を呼ばれて、名前を呼んで、肩を並べて歩いた。
町を見て回って、服を買って、外食をして、公園を散歩して、他愛ないおしゃべりをして、些細な事で笑い合った。
電車にも乗って、バスにも乗って、海を見に行って、潮の匂いを嗅いで、満天の星空を見上げた。
......もう、戻れないな。
わたしはあまりにも知りすぎてしまった。
人のぬくもりを知ってしまった。
今家に連れ戻されてレッスン漬けの生活を送ったら心が壊れてしまいそうな気がした。
人気のないホームで帰りの電車を待ちながらわたしは昨日思いついた事を再検討した。
家族に見つかって家に連れ戻される前に、自ら命を断つ選択肢についてだ。
最上の幸福を経験した今、このまま死ぬのは尚更魅力的に感じる。
きっと、今日以上に幸せな1日は訪れない。
わたしの人生は今この瞬間がピーク。
きっと、まなぶさんは悲しんでくれる。
優しい彼の事だから、出会ったばかりの赤の他人の死にも心を痛めてくれるだろう。
確信とまではいかなくても、家族以外の誰かがわたしの死を悲しんでくれると想像を巡らす余地があるだけで十分だった。
ちょうど、列車の通過を知らせるアナウンスが駅構内に流れる。
チャンスだ。
タイミングを見計らって線路に飛び込めば、確実に目的を達成できる。
静かに息を吸い込む。
海からはだいぶ離れていたけど、まだ微かに潮の匂いがした。
とても自然に、わたしは自分の死を受け入れる事ができた。
わたしはまなぶさんの方を向いて頭を下げた。
「その、色々とありがとうございました」
できるだけ自然に聞こえるように言う。
伝えたい事は山ほどあるけれど、既に視界の隅に列車の照明が見えていた。
わたしは線路に向き直る。 - 10二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:13:31
......さん。
心の中でカウントダウンを始めた。
......に。
「せな」
......いち。
「それだけはやめてくれないかな」
.......ぜろ。
轟音を立てて列車が通過した。
ホームに突風が走り、わたしは思わず目を細める。
あっという間に列車は通過していく。
わたしは一歩も動けず、その場に立ち尽くしていた。
静寂が戻ると、まなぶさんはホームの中にあるベンチに座ってわたしを手招きしていた。
わたしはまなぶさんの2つ隣のベンチに腰を下ろす。
なんとなく、怒られるような気がしたから。
でも、まなぶさんに怒られるならそれも悪くない気がしてしまう。
わたしの想像とは裏腹に、いつまで経っても怒声は飛んでこなかった。
まなぶさんは、言葉に詰まっていた。
口元に手を当てて、じっと線路を見つめて何かを考えていた。
ありふれた言葉でなく、自分の言葉でわたしの事を説得しようとしているのだろう。
それがとても嬉しく感じた。
「......ごめん」
しばらくして、彼は小声で言った。
まさか謝罪されるとは思っていなかったからわたしも困惑した。
「どうして謝るんですか?」
「自分の判断に確信が持てないんだ。ひょっとしたら、せなの選択は正しかったのかもしれない。ここで列車に飛び込んで死ぬ事が正解だった可能性もある」
......正解かどうかなんて、同じ人生を複数回生きてみない事にはわからない。
「俺は君についてほとんど何も知らない。ただ、君が酷く残酷な環境で育ってきたって事はなんとなくわかった。多分だけど、そこから逃げてきたんだろう?」
少し迷った後、わたしは頷いた。
「自分で言うのもなんだけど、俺はどちらかといえば無責任な人間だと思う」
彼は自嘲気味に言った。 - 11二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:14:41
「もし君が正直に事情を打ち明けてくれたとしても、それが一介の学生の手に負えない問題とわかれば同情的な態度を見せるだけ見せてそれでお終いかもしれない。その時、君はかえってがっかりするだろう。だったらいっそ話なんて聞かない方がいいのかもしれない。......さっきまで考えてたのは大筋ではそういうことだった」
どこまでも誠実に、彼はその胸の内を語った。
「だから最終的な判断はせなに任せたい。俺を頼ってもいいし、なんなら次の列車に飛び込んでもいい。本来、俺にそれを止める権利なんてないんだ」
1度突き放すような事を言った後、まなぶさんは付け加えた。
「ただ......俺の勝手な希望を言っておくとせなには死んでほしくないし、悩みがあるのなら打ち明けてほしい。俺を頼ってほしいと思ってる。それは同情だからじゃなくて」
まなぶさんが優しく微笑む。
「ひとりの人間として、せなの事が好きだから」
その言葉を聞いて列車に飛び込まなくてよかったと思った。
頬を伝った涙が手の甲に落ちて、それでようやくわたしは自分が泣いてる事に気付いた。
わたしは自分の半生を語った。
説明は要領を得なかったと思うし、涙で邪魔をされて途切れ途切れで何を言いたいのかもわからなかったと思う。
でも、まなぶさんはわたしの頭を優しく撫でながら真剣に聞いてくれた。
1度話し出したらもう止まらなくて、言葉はとめどなく溢れてくる。
気付けば終電が来る時間帯になっていた。
わたしの話が終わると、まなぶさんはじっと黙り込んだ。
返事に困ってるようでもあったし、話の内容について熟考しているようでもあった。
やがて終電がやってきて、わたしたちはそれに乗り込んだ。
目的地につくまで、まなぶさんはずっと無言だった。
何度か視線を送ってもそれに気付かなかった。
電車を降りて改札を抜けたところでまなぶさんはようやく口を開いた。
「せな」
「......はい」
「好きなだけ、俺の部屋に居ていいよ」
そう言うと、数時間ぶりにあの優しい笑顔を見せてくれた。
「......ありがとうございます」
わたしは消え入りそうな声で礼を言った。
「今まで我慢してきた分、たくさん我儘言っていいからね」 - 12二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:16:41
この時わたしは何を思ったのか、こんな事を言っていた。
「あの......早速お願いがあるのですが」
「何?」
「しゃがんで......目を閉じてください」
口が、体が勝手に動いていた。
まなぶさんはわたしの言う通りにしてくれている。
今日だけで何個目の初めてだろうか。
そう思いながらわたしは......彼にそっと口付けをした。 - 13二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:18:24
結構力入れて書いてた作品なのでここまで書けたのが嬉しくて公開しちゃいました。
あと少しだけ続くので30分くらいでパパっと書いてきます。 - 14二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:50:18
戻りました。
1000字ちょいですが続きます。 - 15二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:51:43
目を開けると知らない天井が広がっていた。
窓から差し込む日光が眩しい。
俺は......何をしていたんだ?
長い夢を見ていたような気がする。
「......先輩?」
隣から妙に懐かしい声が聞こえてきた。
「星南さん.......?」
「先輩?先輩なのね!?」
「俺は俺ですが......」
星南さんの顔は涙で大変な事になっていた。
「心配っ......したんだから!急に倒れて3日間ずっと寝っぱなしだったのよ!」
「3日.....?!」
手元にあったスマホに手を伸ばす。
充電が切れてて現在時刻しか表示されていない。
「寝起きから凄い冗談言いますね」
とは言いつつも、入院着を身に纏ってる以上星南さんの言ってる事が正しいんだろう。
「過労で倒れたって先生が.......う"っ"うぅぅうっ.......」
「な、泣き止んでください.......」
一向に泣き止む気配がない。
気付けば、星南さんの頭を撫でていた。 - 16二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:53:46
「......グスッ...せんぱい.......?」
「.....あ、ああ。急にすみません。この前似たような事をした気がし.....て........」
違う。
俺が星南さんの頭を撫でたのは......さっきまで見てた夢が原因だ。
「......俺、小さい頃の星南さんと会ってましたっけ」
「.......っ...急にどうしたの?」
涙を拭きながら星南さんが答える。
「いや.....あれは夢で......でも.......」
「夢の中で私と会ったのかしら」
「そう、ですね」
「......そう聞くと嬉しいわね。どんな夢だったの?」
覚えてる範囲で星南さんに夢の話をした。
話終わると、星南さんが不機嫌そうに俺を睨んでいる。
「あの、星南さん......?」
「私はこんなに心配してたのに先輩は夢の中で浮気をしていたのね」
「違いますよ?!そもそも今のは夢の話であって......相手も星南さんでしたし........」
星南さんに押し倒される。
寝ぼけてる体は力の入れ方を忘れていたようで、抵抗できなかった。
「そっちの私も酷いわね。小さいくせに私から先輩を奪おうだなんて」
「誤解ですって......」
星南さんは止まらない。
「私にはないのかしら」
「何がですか」
「キスよ」
「ありません」
「そんなの知らないわ。私を不安にさせた分と浮気した分。きっちり払ってもらうわよ」
言い終わると、こっちの答えも聞かずに星南さんは唇を重ねてきた。
それは、夢の中でしたキスのように軽く触れるような短いキスだった。 - 17二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:57:11
これで終わりです。
ここまで読んでくれてありがというございました。
また1万字くらいのネタ思いついたら書こうと思います。 - 18二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:59:41
途中あったリメンバー・ミーみたいな本編見終わった後意味が分かるようなタイトル案出てくるの普通に羨ましい......
そういう洒落てる言い回しのタイトルをいつかつけてみたいものです。 - 19二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 23:26:05
素敵なSSに心からの感謝を
学Pの夢なのに幼い星南のモノローグが聞こえたのは幼かった頃の星南の思いがオーバーラップしたからなのかななんて思うとなんだかしんみりする - 20二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 08:49:08
幼い頃のこういった出会いは大きいよなあ
だから向こうの世界線の星南ちゃんは出会いを忘れずにこっちの世界線とは別のルートでトップアイドルになってほしい - 21二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 10:58:13
この題名どっかで見たんだよな…
- 22二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 16:07:56
何か月か前にも星南ちゃん幼児化スレあったな
幼い星南さん可愛くて幸せにしたくなるから好き - 23二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 16:47:17
このレスは削除されています
- 24二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 17:02:40
pixivは9/9 0:00に投稿されているから持ってくるのは不可能では…?
- 25二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 19:17:02
作者です。沢山のコメントや反応ありがとうございす。こんなにレスや♡がついたの初めてで嬉しいです。
それと9/9 0:00にpixivあがってるのも僕が書いたやつです。pixivの方に書くの忘れて投稿してしまいました。
お騒がせしてすみません。 - 26二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 20:17:47
隠れマゾな清夏書いてる人だった
- 27二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 20:43:33
残暑厳しいとはいえ夏の終わりに読みたくなる爽やかさと切なさがあるいいSSでした
感謝…
せなちゃん可愛いね