- 1二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:18:24
トレ「メノが怖いか?」
メノ「はい」
トレ「俺にとってメノは可愛い教え子だよ」
メノ「かわっ……んん゛ッ!!ボス、本官は真面目な話をしているのです」
トレ「俺はずっと真面目だけど……」
メノ「……貴方と言うお方はッ」
トレ「メノ?どうしたの」
メノ「失礼、今は目を見て話せる状態ではないため、数分お待ちください」
トレ「わかった」
珍しく……も無いが、担当ウマ娘であるフェノーメノはやたらと深刻そうな顔で自分の元を訪ねてきた。
その結果、なぜか顔を逸らされているわけだが。
共にトゥインクルシリーズを駆け抜ける中で、確かに当初は『怖い』と言う評価をされがちではあった。
しかしそれもシニア期の有馬記念を超えてから一変したと思っていたのだが。 - 2二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:19:26
トレ「メノはかっこいいよ。目付きだって凛々しくて」
メノ「ボス、すみません。褒めていただきたかったわけでは……無くはないのですがそうではなく!!今まさにその精悍さが保てなくなっておりますので、その辺りで」
トレ「ほら可愛い」
メノ「ボス!!」
怒られてしまった。
眉間に皺を寄せつつ目尻がいつもより少し下がっていると言う器用な表情になりながらも、声量はいつも通りだ。
トレ「で?なんでまた急にそんな事を聞くんだ?」
メノ「コレであります」
トレ「SNS?……メノ、前にも言ったじゃないか、自分の投稿の反応は身ちゃダメだよって」
メノ「こ、今回は本官の投稿への反応ではなく!!本官と共にトゥインクルシリーズを駆けた皆様にどのような感想が寄せられているのか気になってしまい……」
トレ「そっか、どれどれ?」 - 3二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:20:29
『ゴルシ、やっぱおもしれーわ!!でもなんで縄で縛ったマックイーンの横で蕎麦打ってんだ?』
『ヴィルシーナの姉力の高さと姉妹との関係性が俺を狂わせる』
『っぱジェンティルでしょ、あの気品とパワーに対して可愛い顔のギャップ!!』
軽くフェノーメノと同世代のウマ娘達をサーチすると、まぁ出るわ出るわ。
だが、フェノーメノへの声もそれなりにある。
『かっこいい、黒いし!!』
『正直バリバリのギャルっぽい格好も似合うと思う』
『捕まりたい』
最後のユーザーは申し訳ないがブロックさせて貰ったが、メノの凄さもジワジワと広がりつつあり思わずニヤけてしまう。 - 4二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:21:54
トレ「なんだ、こんなに応援してくれてる人がいるじゃないか」
メノ「それは……そう言った方々がいることは理解しています。この三年間を通して、皆に模範を示し、本官なりの正義とは何かを走りで見せることができたとも、自負しています」
トレ「うんうん!!」
メノ「しかし、それでも感じてしまうのです。本官には親しみが無いのではないか、と」
トレ「そんな事ないと思うけど」
確証バイアスと言う言葉がある。
自分の今の考えに合った情報のみが目に入ってしまうと言うアレだ。
今のメノもそうなのかもしれない。
メノ「父にはもっと、誰もが気軽に相談出来るような雰囲気がありました。願わくば本官もそうなりたい。どんな些細な悩みでも、手遅れになる前に相談、検討、解決ができる……そんな第一候補に」
トレ「……そっか」 - 5二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:22:59
三年間を走り抜けたとしても、彼女の正義は終わらない。
むしろ今こそ通過点であり、今後、より多くの人々の未来を守るために偉大な父の背中を追いかけているのであろう。
トレ「なら、試してみようか」
メノ「試す、でありますか?」
トレ「メノは1人じゃない。お父さんには遠く及ばないかもしれないけど、俺にも協力させてくれないかな?」
メノ「──ッ!!ボスがいれば百人力であります!!」
トレ「はは、じゃあまずやってみたいことがあるんだ!!」
メノ「はい!!」
担当ウマ娘が悩んでいるのだ、ならばどうにかするのが俺の役目だ。
幸い、メノと過ごす日々の中で俺も警察についてある程度はメディアで勉強している。
その成果を見せる日が来たと言うわけだ。 - 6二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:24:01
メノ「で?貴女はあの時間にあんな所でなにを?」
モブ「い、いえ……特に用があった訳では」
メノ「何も用が無かったなんて事は無いでしょう。夜中の寮、その台所周りで不審にうろつく様を見たとの報告がありますが?」
モブ「そ、それは……」
メノがある生徒からの通報を受け、1人のウマ娘へ取り調べをしている。
やはり圧があるせいか少し萎縮してしまっているようだ。
いつもならここですかさずフォローに入るが、今日はまた別のアプローチがある。
俺は怯える彼女の肩にポンと手を置く。
そして
トレ「カツ丼、食うかい?」
モブ「け、結構です」
断られてしまった。
しまった、もう打つ手がない。 - 7二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:25:05
メノ「ダメでしたね、ボス」
トレ「ダメだったな……刑事ドラマといえばコレだと思ったんだけど」
メノ「同感です。一体何がいけなかったのか……」
トレ「上手に作れたんだけどな……」
メノ「えぇ、絶品です。ボス」
夕暮れ、茜色に染まる中庭のベンチで並んでカツ丼を咀嚼する。
密かに練習していた甲斐もあり、とても美味しくできた。
あの後一度でダメならと、何人もの生徒相手にカツ丼を差し出し続けた結果、やたらと美味しいカツ丼を配る人物がいると話題になり、オグリキャップとスペシャルウィークに追われ気づけばかなりの時間が経っていた。
メノ「正義は一日にしてならず。明日も頑張りましょう、ボス」
トレ「あぁ!!……おや?」
明日も頑張ろうと気合を入れた時、少し離れた所で遊びまわる幼いウマ娘達が見えた。 - 8二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:26:14
トレ「トレセンの制服を着てるけど……本格化前なのか?かなり幼いな」
メノ「飛び級と言うやつでありましょうか……お恥ずかしい話、本官は飛び級組には泣かれてしまうことも多く……」
トレ「まぁあのくらいの年頃だと、叱られるのは特に怖いからね。大人になればそのありがたみがわかると思うんだけどな」
メノ「彼女達の未来につながるのであれば、えぇ。本官に迷いなど──ッ!?」
トレ「メノ!?」
幼いウマ娘達がふざけ合い、よろけてぶつかったのは根性トレーニング用の巨大なタイヤ。
留め具によって静止していたそれは、運悪く金具が外れ、幼いウマ娘達に向かって倒れかかっていた。
トレ「メノ!!」
メノ「は゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 - 9二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:27:19
夕暮れに黒い稲妻が走る。
ジャパンカップでオルフェーブルやジェンティルドンナと競った時もかくやと言うスピードで、フェノーメノは駆け抜け、タイヤを蹴って止めた。
……パワーのトレーニングをおろそかにしなくて良かった。
ロリ娘「あ、あぅ」
トレ「メ──」
メノ「こ゛るぅ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
ロリ娘「ヒッ!?」
ペタリと座り込む幼いウマ娘に、フェノーメノは般若の形相で怒鳴りつけた。
メノ「身体を動かすならターフでと教わったでありましょう!!本官がいたから良いものの、あのままだとどうなっていたか!!」
ロリ娘「ご、ごめんなさぃい」
メノ「今回は金具の留めが甘かったのもありますが、今後は気をつけるように。規則を守る事、それ即ち我が身の未来を守る事ですので」
ロリ娘「ひゃ、ひゃい」 - 10二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:28:33
フェノーメノは服に着いた砂埃を払うと、不器用な笑顔で手を差し伸べる。
メノ「君、怪我はありませんか?」
ロリ娘「だ、だいじょうぶ、です」
メノ「それは良かった。しかし油断はいけません、どこかに痛みが出るようであれば速やかに保健室に行くように」
ロリ娘「わかりました……あ、あの!!もしかしてフェノーメノさん、ですよね?」
メノ「ええ、本官はフェノーメノ。ボスと共にこの学園の規範となるべく邁進する、貴女の先輩です」
フェノーメノに怒鳴られ、涙を浮かべていた彼女だったが、最後にはメノと……何もしていないが俺にもお礼を言い、何度も頭を下げて去っていった。 - 11二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:29:40
メノ「……また、怖がらせてしまったでしょうか」
トレ「んー、そうでもないんじゃない?」
メノ「ボスから見て、今の本官の対応はどうでありましたか?」
トレ「どうもこうもないよ。最初から言ってるけど、今も昔もメノは俺にとっての……正義そのものだよ」
メノ「──ッ」
トレ「無理に変わる必要なんてないよ。今まで通り、俺の信じる君の正義を、ありのままの気持ちを走りで見せていこう。きっと、そこから伝わるものもあるはずだから」
メノ「はいッ!!ボス!!」
トレ「めにしゅきも歌おう」
メノ「はいッ!!はい?」
ラモーヌ「あら、こんな所にも、愛」
ラモトレ「そうだね」
おわり - 12二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:32:19
みたいな事があったような気がするんですよ
- 13二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:35:55
めにしゅきできっとファンも沢山増えたことだろうよ、マメちん
- 14二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 23:07:06
がんばれマメちん
かわいいねマメちん - 15二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 00:20:10
めのしゅき