トレ「冬は鍋?」フェノーメノ「!?」

  • 1二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:16:14

    激動の三年間も区切りがついた。
    己の正義を証明したあの有馬記念から、URAファイナルズへ。

    俺の愛バ。義心の黒焔、フェノーメノはURAファイナルズを勝ちきり、今や国内ではオルフェーブルにも引けを取らないほどの知名度と人気を誇るようになった。

    俺をただの新人トレーナーからここまで連れてきてくれた彼女は、契約延長を申し出てくれた。
    こちらとしても願ったり叶ったりだ。

    と、言うよりはお互いにこのままバディを続けるのが当然だと考えていたので、契約が切れる寸前でたづなさんが慌てて教えてくれたのだが。

    そんなこんなで契約延長の手続きは滞りなく進んでおり、今は次の目標を立てるまでの間、英気を養うターンにある。
    先日は温泉にも行ったが、なんだかんだ観光客への注意などで普段とあまり変わらなかったのだ。

  • 2二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:17:18

    故に、今日は日課の見回り以外については自由時間としていたのだが

    メノ「ふぅ」
    トレ「メノ、良かったのか?せっかくのまとまった休暇なのにトレーナー室にいて。ゴルシなんかは遊びたがってるだろう」
    メノ「ゴルシさんは…遊びたがっていると言いますか、本官で遊ぼうとしていると言いますか…悪い方ではありませんが」
    トレ「そうだね」
    メノ「それに、本官にとってはこのトレーナー室こそが聖域。心が休まる場であります」
    トレ「こたつも設置したしね」

    結局はこうして二人揃ってこたつに入りつつ、年末に撮り溜めた『満月に叫べ!』の特番を流し見しながらお茶を啜っている。

    トレ「お、この話はここで終わりなんだ」
    メノ「一度休憩を挟んで次を見ましょう」
    トレ「そうだな……お、CMだ」

  • 3二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:18:18

    一度休憩を挟むため、一時停止したテレビの画面にはデカデカと鍋の素のCMが映っていた。

    トレ「冬は鍋かぁ、そう言えば忙しくて年末は食べてなかったなぁ」
    メノ「本官もであります。学食では基本出てきませんし、寮であっても、育ち盛りの我々に対して一つの鍋で分け合うと言うのはなかなか厳しいものもあり」
    トレ「そうかぁ、まだまだ寒いし今のうちに食べておきたいよなぁ、鍋」
    メノ「そうですね…」

    撮り溜めたお正月特番は存外に長く、美味しそうな鍋の映像を見て腹の虫が思い出したかのように騒ぎ始める。

    トレ「お腹空いたなぁ」
    メノ「ボ、ボス!!」
    トレ「ん?」

  • 4二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:19:19

    メノ「ボスのご実家ではどのような鍋を?」
    トレ「俺ん家?そうだなぁ……思えば家ではあんまりやらなかったかも。外食でならよく食べてたなぁ」
    メノ「なるほど、して、味付けは?」
    トレ「う〜ん、何味だったんだろう?塩?」
    メノ「本官の実家でも塩味系が多かったでありますよ!!」
    トレ「お揃いだな」

    なんだか最近、メノにどんな食べ物が好きなのか聞かれる事が多くなった気がする。
    この間も卵焼きは甘い派かしょっぱい派か聞かれたっけ。

    トレ「よし、なんか鍋食べたくなってきたし……せっかくなら二人で鍋パーティーでもしようか」
    メノ「はい!!では本官は買い出しに行って参ります!!」
    トレ「野菜は任せた!!俺は……魚でいいかな?知り合いにツテがあるから連絡してみるよ。近くだし、受け取りに行くのも任せていいかな?」
    メノ「お任せください!!」

    こうして突発的に鍋パが始まった。

  • 5二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:20:31

    メノ「ボス、本当によろしかったのでしょうか?本官ばかりがこうして座っているなど」
    トレ「いいのいいの、メノは買い出しも頑張ってくれたし…メノの三年間お疲れ様会でもあるんだから俺にやらせてよ。こう見えてちょっとは料理できるんだから」
    メノ「で、ではお言葉に甘えまして」

    正義感と責任感の強い彼女ではあるが、やはりコタツの魔力には逆らえず買い出しで冷えた身体を優しい温もりティで癒している。
    そんな光景を微笑ましく眺めながら食材を切り揃え、スマホに表示されたレシピに合わせて鍋に投入していく。

    トレ「メノ〜、こたつの上空けて〜」
    メノ「はい!!カセットコンロも設置済みであります!!」
    トレ「よろしい!!お鍋、現着!!」
    メノ「現着!!」

    蓋をした土鍋をカセットコンロに乗せ、火をつける。
    暫く待つとグツグツと言う音と共に良い香りの水蒸気が鍋蓋の穴から飛び出した。

  • 6二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:21:36

    メノ「いい香りであります……!!」
    トレ「煮えすぎても良くないし、そろそろ食べよっか」
    メノ「わぁ」

    火傷防止のため、ミトンを装備し鍋蓋を外すと先ほどの比ではない芳醇な香りと湯気が視界を覆った。
    その先に見えるのはあえて具材を大きめに切り揃えた塩味の寄せ鍋。
    野菜と魚から滲み出た出汁により透き通った黄金に輝くスープが食欲をそそる。

    メノ「この野菜の切り方…」
    トレ「うん、メノの好みに合わせてお野菜は大きめに切ってシンプルな味付けにしてみたんだ」
    メノ「!?もう一度おっしゃっていただいても?」
    トレ「シンプルな味付けに…」
    メノ「そ、その前です」
    トレ「お野菜?」
    メノ「……ふふっ」
    トレ「どうかした?」
    メノ「いえ!!何も!!」

  • 7二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:22:53

    何故か楽しそうなメノに首を傾げつつ、着席して両手を合わせる。

    トレ「じゃあ、食べようか」
    メノ「ええ!!」
    「「いただきます!!」」

    お玉でスープを掬い取り皿に注ぐ。
    そして一息吹きかけて、口内に流し込む。

    トレ「うん!!大体再現できてる!!昔から食べてたのはこんな味で……っく、ふふ」
    メノ「あふい、あふいでありあふ」
    トレ「はい、にんじんジュース」

    熱々の鍋、そして具材が大きいせいで思ったより熱かったのだろう。
    ハフハフと蒸気を吐きながら涙目になる愛バににんじんジュースを差し出すものの、掌で制されてしまう。
    なるほど、一口目は料理の味を濁したくないと言うことか。
    であればジュースではなく水を用意するべきだったかもしれない。

  • 8二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:23:56

    トレ「大丈夫?」
    メノ「はい!!とても!!とても美味しいであります!!」
    トレ「そりゃ良かった」
    メノ「野菜もさる事ながら、この白身魚が絶品でして!!こんなに美味しい魚は初めて食べたであります!!」
    トレ「そっかそっか!!用意して貰った甲斐があったよ。ほら、まだまだあるから食え食え」
    メノ「いただきます!!」

    ……俺も昔、アルバイトをしてた時代に先輩やおじさんの社員達に色々とご飯を奢って貰ってきたが、こんな気持ちだったのかもしれない。
    若い子が料理を美味しそうに沢山食べているのを見るだけでなんか楽しい。

    メノ「─はっ!?あっという間に食べてしまったであります!!」
    トレ「ははは、お気に召したようで何よりだよ」

  • 9二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:24:59

    メノ「本当に美味しかったであります」
    トレ「ね、我ながらいい出来……と言っても切って煮るだけだけどさ」
    メノ「父と母にも食べさせたいぐらいでありました」
    トレ「そっか!!ならメノのご実家にも魚送っとくよ」
    メノ「よ、よろしいのですか!?であれば代金は本官が」
    トレ「いいよいいよ、細やかだけど俺からのプレゼントって事で。今のメノがいるのはメノのご両親のおかげでもあるからさ、お礼も兼ねて送らせてよ」
    メノ「ボス……!!ありがとうございます!!両親もきっと喜ぶであります!!」


    メノ「と言う事がありまして」
    ゴルシ「……ほ〜ん?」
    メノ「ふふっ、ゴルシさんの魚の目利きも大したものでありますがあれほどの魚はそうそういないでしょう」
    ゴルシ「この時期に美味い白身魚か……」

  • 10二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:26:07

    休み明け、フェノーメノは良きライバルであるゴールドシップにちょこっと細やかながら自慢話をしていた。

    メノ「本官がボスの味の好みを調べるはずが、まんまと虜にされてしまったであります」
    ゴルシ「なぁ、さっきから鳴ってんのマメちんの電話じゃね?」
    メノ「おや失礼、父からです──もしもし」
    『メノ!?さっき家にでっかい魚が届いたんだが!?』
    メノ「あぁ!!それはボス……トレーナーさんからで……」
    『これクエだぞ!?しかも20キロはある!!』
    メノ「とても美味しかったからぜひ食べて欲しいと……」
    『トレーナーさんにお礼は言ったのか!?』
    メノ「それはもちろん…え?菓子折り付きで?り、了解。では」

  • 11二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:27:09

    ゴルシ「なぁマメちん」
    メノ「なんです?」
    ゴルシ「この時期の天然物のクエの1キロ辺りの値段、教えてやるよ」
    メノ「はい?」
    ゴルシ「ほれ」
    メノ「え?な、な、な、なななな」
    ゴルシ「因みにマメちんがトレーナー室で麦茶みてーにガブガブ飲んでる緑茶、アレ、最高級の手摘み玉露な?」
    メノ「な゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!?」

    ーーーー

    トレ「お?メノ?どうした?菓子折り?」
    メノ「じ、実家に」
    トレ「あぁ!!届いたんだ!!どう?ご両親は喜んでた?」
    メノ「く、クエ…」
    トレ「あ!もしかして捌くの大変だったかな?ちょっと待ってて!!今手配するから!!」
    メノ「……」
    トレ「メノ?」

  • 12二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:28:09

    トレ「え?ちょ?なんっ……怒ってる?え?え?」
    メノ「…ボス」
    トレ「な、なに?」
    メノ「ボスぅううううううううううう!!」
    トレ「うおああああああ!?」
    メノ「お金は大切に使ってくださあああああい!!」
    トレ「メノ以上に大切な事なんて無いし……」
    メノ「ぬ゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛!!」
    トレ「ぎやああああああ!?」

    対象捕捉!正義遂行!のレベルが上がった

    フェノーメノとかけがえのない絆を感じる一時だった。

  • 13二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:29:06


    季節的にはちょっと早いけどほっこりした

  • 14二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:29:37

    メノには腹一杯美味いもん食って欲しいんですよね
    金銭感覚のバグったトレーナーにとんでもないもの餌付けされててくれ

  • 15二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 04:18:40

    たんと食べろマメちん

  • 16二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 11:29:46

    >お野菜

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