【SS】sudoの先に在るもの

  • 1二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:52:21

    過去のスレにあった現実世界のユーザーがコユキになっちゃったやつです、唐突に天命が下ったので書いてみます。
    スレ立てもSS書くのも初めてなので至らぬ点があっても許してほしい所存。

    自分のペースで書いていきます、よろしくお願いします。

  • 2二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:53:34

    僕は幼少期から変わっていた。孤独ではなかったが、ずっと一人だった。だから「〇〇」と言う二文字とは程遠い学生生活を送った。だけど、心の何処かでは「〇〇」という物を求めていたのかもしれない。そんな僕の...."私たち"の「〇〇」を取り戻すお話。


    僕は人と関わるのが苦手だった。決して話せないわけではない。ただ、僕の好きな事と他の人の好きな事が嚙み合わず、話題を合わせるのが嫌だった。
    そんな僕にも自分を出せる場所があった。ゲームだ。ゲームという存在は瞬く間に僕の体に浸透した。FPS、フロムゲー、レトロゲームとか。色々な種類のゲームがある。その中でも好きだったのが、RPGだ。ストーリーが感動的で、世界観もしっかり作られている。そんなゲームが好きだった。

    ──そんなこんなで、色々なゲームを遊んで次に遊ぶゲームを探していたある日、ふとその広告が目に入った。

    「ブルー...アーカイブ....?」

    透き通るような世界観の学園RPG。そんな文言を掲げているゲーム。僕は惹かれるようにそのゲームをインストールした。

  • 3二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:54:44

    ....正直言おう。物凄く感動した。

    「面白過ぎないか?このゲーム!!システムも画期的で分かりやすいし、ストーリーも惹かれる。特にキャラクターもみんなかわいいし。特にコユキ!」


    そう、文字通り惹かれてしまったのだ。特にコユキに。そして思ってしまった。


    「僕もこういう青春を送りたかったなぁ....。物騒だけど。」


    そんな叶うわけもない幻想を一人部屋で零した。


    そして──


    「さて、コ〇ケに来たぞ!!!コユキの本漁るぞー!!」


    あれからブルーアーカイブは僕の生活の一部になっていた。前までは外に出る事は億劫だったが、本を紙で見たくなり現地にまで足を運ぶくらいに外に出れるようになっていた。
    そんなこんなで、欲しい本をすべて買いつくし、帰路についた。

  • 4二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 23:57:41

    「いっぱい買ったなぁ、家に帰ってから読むのが楽しみだなぁ。」

    そう独り言を零して駅に向かい、電車を待っていたその時。ふと背後から手が伸びてきた──

    「え?」


    気が付くと、僕の体は線路の上で横になっていた。

    痛い、体が動かない、何が起きた?どうして線路の上にいるの?

    そんな混乱した思考を巡らせていると目の前に電車が────


    「私ではだめでした。」


    そんな少女の声が聞こえる。

  • 5二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 00:00:16

    「何が凄いのか、当たり前をどう活かせば良かったのか、分かりませんでした。」

    悲しい声で、静かに、訴えるように言う。


    「ユウカ先輩やノア先輩、みんなが凄いって褒めてくれた、私にとっては当たり前に出来る事、それを活かせませんでした。」

    どこかで聞いたことのある声がそう言う。


    「にはは.....当たり前に出来ることなのに出来なかったんです、私。ダメですね。」

    「怒られて当然ですね。」

    ダメだ、そんな自分を卑下しては。


    「きっと何度繰り返しても、私ではダメなんだなって痛感しました。」


    そんな....そんな事を.....

    "そんな事を言ってしまったら、君は...!"


    「──なので、あなたにお願いします!」

    "え?"

    そんな一言と同時に光が戻ってくる.....その光はとても暖かく思えたのであった。

  • 6二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 00:02:20

    段々と光が強く、眩しくなっていく。そして、意識が深い底から救揚げるように覚醒していく。


    "んぅ....一体何が....?"


    そう目を覚ましたら、知らない天井が広がっていた。


    "あれ?ここは...?確か駅で線路の上に.....?それに声も何か変だな...?"


    目を覚ました僕は知らない部屋にいた。いや、僕はこの部屋を知っている、そう知っているのだ。
    そこには散らかったおもちゃ、ゲーム器具。そして、絶対に開けられないような扉がある。


    "ここは....反省部屋?一体何が起きた?"


    どうして反省部屋に居るのか?さっきまで駅にいたのに?それに頭が痛い、どういう事だ?状況を吞み込めていないと、急に頭の中に何かが流れ込んでくる。


    "──ッ!!これは....記憶....?"


    それはミレニアムのみんなと過ごした思い出。それは反省部屋に入れられた思い出。それはリオ会長にスカウトされた思い出。次々と記憶が流れ込んでくる。それと同時に頭痛も酷くなっていく。

    "僕は...私は.....!どうなるんだ!?"

  • 7二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 00:04:17

    しばらく経った後、頭痛は収まり落ち着きを取り戻した私は、改めて状況を把握した。


    "今私は反省部屋にいる。そして、反省部屋に一人で居るという事はつまり、私は黒崎コユキになった...?しかもコユキ自身の記憶も引き継がれている。そもそもどうして私は黒崎コユキになったんだ?"


    そんな事を考えながら、落ちていた手鏡で自分の姿を確認する。ピンク髪をツインテールに結び、ピンク色の目の中にダイヤマークのハイライトがある。華奢な身体つきをしていて、ミレニアムのセミナーの制服に身を包んだ少女。そこには確かに、黒崎コユキが居た。しかし、違うのだ。


    "姿は一緒なのにヘイローが違う...?どうして?"


    しかし、ヘイローは別の形をしていた。輪に十字を挟んだマーク。それは「先生」を顧問とし、キヴォトスで暮らす生徒の相談に応じる部活のシャーレのマークに似ていた。しかし、決定的に違う点があるとすれば、輪が一つ足らないのだ。シャーレのマークは十字の上に輪があるが、私にはない。一体どういうことなのだろうか?

  • 8二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 00:07:47

    "分からないことだらけだな....このことをよく反省部屋に来るユウカとかに説明しても理解されないだろうな。"


    突然こんな突拍子もない事をユウカやノアに相談しても、軽くあしらわれるだけだろう。それならば──


    "一旦コユキのフリを続けてみるか。"


    そう決め、現在のキヴォトスの状況を確認するため、テレビを点けニュースを見る事にした。

  • 9二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 00:09:12

    「ニュースです。現在カイザーグループの元CEOが...」

    "なるほど、現在の時系列的にはアビドス2章が終わった辺りか。つまり先生はもう居て、ストーリは進行している...と。"


    つまり、次の章はパヴァーヌ編第1章。つまり....


    "次ミレニアムの章じゃん!!先生来ちゃうって!!"


    そんな叫びで私の、"私たち"の「青春」は始まりを告げたのだった。

    プロローグ 完

  • 10二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 00:10:49

    というわけで、スレ主です。ここからは暇になり次第更新していきます!

  • 11二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 00:38:47

    wkwk

  • 12二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 00:43:01

    第一章

    私がコユキになってから早三日、先生はまだ来ていない。そして、分かったことが3つある。まず、コユキ自身の神秘、あらゆる暗号やパスワードが感覚的に分かる能力はそのまま受け継がれているという事、身体能力は据え置き、耐久力は分からない(自分で試すのが怖いから)、そしてコユキとしての振る舞いなどが簡単に出来るという事。


    "コユキとしての記憶はあるけど、コユキが私に代わりを託した意味が分からないんだよなぁ....。"


    そう、分からないのだ。本編時空でのコユキは「私ではダメでした」なんて言うはずがない。元プレイヤー、そしてコユキ推しの私が保証する。でもそんな考えになるにまで精神が憔悴しきっていたとする。そうなった原因は....


    "前回の世界線は絶望的な破滅で終わった....のか?"


    しかもあの言いよう、1度だけじゃなく、何度も経験しているようだった。


    "そんな世界線で私がどうにか出来るのだろうか....?"

  • 13二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 00:45:32

    そんな事を思う。だってそうだろう、コユキという少女自体は決して弱い人ではない。むしろ強いのだ。そんな少女が追い込まれる程の事件、本当に私にどうにか出来るのだろうか?


    "それでも....やるしかないか。"


    そう、やるしかないのだ。好きな少女に、守りたい少女に託されたのだ。ノアやユウカ、ミレニアム、そして、キヴォトスの命運を。ならやるしかない。覚悟を決め、私は立ち上がった。


    "よし、先ずは情報収集と行こう。反省部屋のパスワードは....よし、これで外に出られるな。"


    部屋から出た私はまず──


    「あれ?コユキちゃん?」


    "ゲッ!!"


    しまった、見つかってしまった!どうしてこのタイミングで....!


    「また部屋から脱走しちゃったんですね」ニコニコ


    "ノ、ノア先...輩....?"

  • 14二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 00:50:24

    まずい、怖すぎる。これはコユキが怖がるわけだ。こんなのよく耐えれたな、コユキ。尊敬するよ。


    「直ぐにでも部屋に戻るなら見逃してあげますが....?」


    まだ間に合うと言うようにノアは言う。しかし、私にもやる事がある。ここで部屋に戻るわけにはいかないのだ。そうと決まれば....


    "さようなら!!!ノア先輩!!"


    そう言い残して私は全力ダッシュでノアとは反対方向に逃げだしたのだった。


    「コユキちゃん....何か変ですね?」


    私はそう感じていた。というか、違う点があったのだ。私は一度見たものを忘れる事はない。人の感情や仕草すらも。そんな私が感じた違和感、それはコユキちゃんが何かに焦っているような、大きな使命感に駆られているような。そんな感情、仕草があったのだ。


    「一体どうしたのでしょうか?」

  • 15二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 06:21:11

    私はコユキちゃんを深くは追わず、見逃してあげる事にしたのだった。それにあの顔は、悪だくみをする顏ではなかった。むしろどこか、大人びても見えた。そんな感想を胸にしまいながら、私はセミナーへの帰路をたどるのだった。


    "ふぅ...ふぅ...キヴォトス人ではあるけど、全力ダッシュってキツイなぁ...."


    そんな事を一人ロッカールームの扉の前にへたり込みながら零した私は一度息を整えるために深呼吸をした。


    "とりあえず捲けたかな?"


    (さて、これからどうしようか?まさかこのタイミングでノアに出くわすとは思わなかったな。これで反省部屋から脱走したのがセミナーに伝わったら....一気にハチの巣にされてまた戻されるだけだからな。何とかしてこの建物から逃げないと。でもどうやって建物から出る?建物から出れた後どこに行く?いっその事逃げながらセミナーに潜伏するか?確かに足は速い、出来なくもないかもしれないがいずれは捕まるだろう。捕まったら本末転倒だ。でも....やるしかない!)


    そう私は覚悟を決め、部屋から出た。しかし、誰も追ってきていなかったのだ。人の気配すらもない。思えばそうだ、もし脱走したらサイレンが鳴るはず、それなのに一向に鳴らないのは何故なのか?それは....


    "ノアが...見逃してくれた?"

  • 16二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 06:23:21

    そう思い出口の方へ向かおうとした矢先、突然後ろから声が聞こえてきた。


    "君が...コユキ?"


    私はこの声を知らない、そう知らないのだ。でも分かる。きっとこの人は....先生だ。正直一番会いたくなかった。私は黒崎コユキであって黒崎コユキではない、偽物なのだ。そんな私を先生に、プレイヤーに見せたくはなかった。でも出会ってしまった。


    "あなたは...先生?何故ここに?"


    何故?今日ミレニアムに来る予定だったのか?だとしてもなぜここに?確かゲーム開発部の部室に気絶して運び込まれたところからミレニアムの章はスタートするはずなのに...?


    "ははは....ノアにコユキの様子を見てきてくれって頼まれてさ。行くところがあったんだけど、その前に様子だけ見ようかなって思ってね。"


    そうか、道理で追いかけてこないと思った。先生を呼んでいたのか。

  • 17二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 06:26:24

    "にはは...先生は私をどうするおつもりで?"


    そう警戒しながら私が問いかけると、先生はなんてことないと言った表情でこう答えた。


    "特に何もしないよ?多分コユキにはやるべき事、やらないといけない事があるんだよね。"


    "!!"


    この人はすごい。会ったばかりの私を見てどうしてそこまで分かってしまうのか。それが先生足る、大人足る所以なのか、私にはわからない。でも、だとしたら何故...?


    "でしたら何故私に声を?"


    "いや、伝えたい事があってね。"


    そう先生は言う。とても優しい声色で。


    "伝えたい事?"

  • 18二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 06:29:16

    そう私は返す。殆ど解いた警戒をまた上げて。


    "セミナーへ行くなら今から1~2時間後が一番手薄になるからね。それだけ伝えに来たよ。"


    "へ?"と私が返すと先生は"それじゃ"と言い、手を振って建物から出て行った。


    "本当に先生は何が見えているのかわからないな...あれが──この世界の大人....なのか?"


    そんなことを思いながらあと1時間ほど、どう時間を潰そうか悩みながら出口へと向かうのだった。


    私は見た、黒崎コユキを。そして、ノアから言われた事を思い出す。


    「コユキちゃん、何か大きな事をしようとしているみたいです。先生、見てあげてくれませんか?」


    生徒からそんな事を頼まれたら、断るわけにはいかないのだ。コユキも私の生徒なのだから。しかし、少し違和感があった。それはコユキが私と同じ"大人"に見えたからだ。一体なぜ?そんな違和感を持ちながら、ゲーム開発部の部室へ向かう途中、上から何か硬い物が落ちてくるのだった。

  • 19二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 08:29:37

    ある程度時間を潰せた私は現在、セミナーの建物の裏口にいた。追われる身なのに正面から堂々と入るわけにもいかないので、裏口の人のいない場所から入ることにした。


    "ロックは電子ロックなのか、杜撰だな。"


    そうだ。コユキの神秘の前では電子ロックなど無に等しい。恰好の餌食だ。
    そんなこんなで無事、セミナーの建物に侵入出来た私は書庫に向かうことにした。先生の言った通り、警備は手薄になっていた。多少怪しくはあるが、助かったのは事実である。ここは素直に感謝しておこう。
    監視カメラや書庫の位置は、コユキの記憶から知っているから思いのほか早く辿り着けた。しかし、この書物の量から私の欲しい情報をどう見つけるか....そう悩んでいると、ふと気になる書物が目についた。


    "これは....パラレルワールドの研究?"


    ふと目に付いた書物は、パラレルワールドを研究した際の実験結果だった。書物を開け、最初の1文に書かれていた内容は、簡単にそして私の「やるべき事」を否定するように書かれていた。

  • 20二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 08:33:16

    『基本的に決められた未来は、変えられない。』


    そう書かれていた。私はそれを見た瞬間、大きく絶望した。それはそうだろう、恐らく破滅的なバットエンドで迎えるこの世界を、未来を『変えられない』と言われてしまったのだから。しかし、その中にも少しの希望があった。そう『基本的に』なのだ。つまり、基本に従わなければ未来は変えられる。そう思った矢先、もう一つ大事な事が書かれていた。


    『余りにも基本から逸脱してしまうと、その世界は崩壊してしまう。』


    そう書かれていた。つまり、私がこのブルーアーカイブのストーリーの展開から逸脱して、無茶苦茶な行動をし続けるとこの世界は文字通り崩壊してしまう。それは最も危惧すべきことだ。だとしたら何が出来る?私がコユキを辞め、本編とは全く違う行動をしてしまったら世界が崩壊してしまう。かと言ってコユキの行動に縛られているとこの世界は何れ来る破滅的な何かによって滅ぼされるだろう。それは私も、コユキ自身も望まぬ事だ。


    "これじゃあどうすれば良いんだよ...!"

  • 21二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 08:42:19

    この詰みの状態で私はどうすれば良いのだ。何も思いつかない。あの先生のような大人ならば何か打開策を練られたかもしれない。しかし私の実年齢は大人ではあるが、精神年齢は大人ではない。あの先生のような大人にはなれない。いつまでも子供のような、大人になった自覚がないのだ。そんな私にどうしろと言うのか。そんな絶望を胸に、私は一度反省部屋に帰ることにしたのだった。


    反省部屋へ帰路を辿っている途中、ゲーム開発部一味と先生の姿が見えた。


    "そうか、今から廃墟に行くのか。"


    つまり、アリスと出会うという事。....これはチャンスなのでは?おそらくあの大人、先生はこの世界の常識に囚われない者。つまり、彼ならばこの現状を打破できるかもしれない。しかし、私が何か大きな事をしでかすと世界が崩壊してしまうかもしれない。だから、あくまでストーリーの進行を妨げないように....。


    "にはは!先生!何処かに行くのですか?"


    "ん?コユキじゃないか。私たちは今から廃墟に行こうと思ってね。"


    やっぱり、そうだろうなと思った。そこにいるのはモモイとミドリか。ユズはお留守番と...

  • 22二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 09:14:54

    「ミドリ、この人ってだれ?」


    相変わらず失礼だな、モモイ。そういう所だぞ。


    「お姉ちゃん、失礼だよ!この人はセミナーのコユキさんだよ。確かセミナーの経費を横領して反省部屋にい...た....はず...?」


    "にはは!初めましてですっけ?私は黒崎コユキ!よろしくお願いします!"


    「先生、この人外に出てていいんですか!?」


    あ、バレた。マズイ。


    "んー....まぁ、いいんじゃないかな?"


    流石先生、頼りになる。そんな事を思い、感謝しながら私はなんとか姉妹を説得し先生達と共に廃墟に向かう事にするのだった。

  • 23二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 09:20:12

    廃墟に着いた私達はロボットに見つからないように静かに移動していた。


    「......。」


    「......ねえ、お姉ちゃん。」


    「一体いつまでこうしてればいいの?」


    「静かに。あっ先生、コユキちゃん、もうちょっと頭下げて......!」


    そんな何時ぞやで聞いたことのある会話を聞きながら、私達は着実と廃墟の奥に進んでいた。
    そしてあの本にも書いていたように、当時ゲーム内で見た内容と全く同じ道を辿っていた。どうやら本当に未来は変えられないらしい。そんな事を考えていると、モモイが安心したように身を乗り出して周りを見た。


    「......ひゅー、もう行ったかな?よし、じゃあ行こう。」


    「よし、じゃない!いったいここは何!?あんな謎のロボットが、数え切れないぐらい動き回ってるし!」


    「何って......もう何回も言ってるじゃん。『廃墟』だよ。」


    "これも聞いたことあるな...。"

  • 24二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 09:23:19

    小声でそう呟いていると、どうやらモモイがロボットに見つかってしまったようだった。
    当たり前だが私には戦闘経験が全くと言っていいほどない。ここで正面から戦ってもかえって戦犯になるだけ...でも戦わなければみんなに怪しまれるだけ......どうしようか、そう悩んでいると先生からの指示が来た。


    "あっち!工場みたいなのが見える!"


    「え?こ、工場!?」


    「お、先生ナイス!急いで!ロボットたちを突破して、あの工場に逃げ込もう!」


    どうやら工場に避難する事にしたらしい。ならば、私も状況を見ながら皆の支援をしよう。そう考え、私は一度物陰に隠れて銃のチャンバーを少し引いた。しっかり弾は装填されているようで、弾丸が確りと見えた。
    そうして私は、モモイとミドリの進行方向とはあえて逆側に行った。理由は二つ、一つは私が正面から戦いたくない。もう一つはおそらくあのロボットたちはモモイ達を追って行くだろうと思ったのだ。
    先回りをして挟み撃ちをする為に少し大回りに動いた。どうやら、予想通りヘイトはモモイ達に向かっていて、私が裏に回っているのは気づいていないようだった。ならば──


    "後は簡単なお仕事だよね。"

  • 25二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 09:36:12

    そう一言零し、凡そ30体は居るであろうロボット達の後ろ、廃墟の柱の近くに静かに立ち、先ずは普通のサイズのロボットの頭を正確に狙い撃っていく。1体...2体と倒していくとどうやら相手は裏を取られている事に気づいたようで、私の方へ向かってきた。これも粗方予想通りではあったので、柱の裏に隠れとある爆弾を手にする。
    初めて使うが、コユキの記憶が使い方を教えてくれるから使い方はあまり困らなかった。そして、敵がある程度集まってきたタイミングでその"トリッキーな変数"を敵に向けて投げた。どうやら今回は電界だったらしい。相手のロボットはその電気にやられて身動きが取れていない状態だったので、冷静に一体づつ正確に狙い撃っていく。粗方片付いた後、モモイ達も追いついてきたようだ。


    「コユキさん、戦闘中見えないなと思ったら先回りしていたんですね」


    "私あまり戦闘は得意ではないし、正面から突破するのは少し痛そうだったので!"


    いくらキヴォトス人の体だからと言って、この体に弾丸を受けるのは少々抵抗がある。それに痛いのは嫌だから正面からは出来るだけ行きたくはなかったのだ。


    「...?まあ、ありがとうございます。コユキさん」


    無事工場まで辿り着いた私ことミドリは安堵と少しの違和感があった。その違和感とは、コユキさんの動き方だ。あれはまるで...


    「先生が指揮しているみたい。」

  • 26二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 09:40:40

    そう、先生が指揮しているような動き方だったのだ。私はあまり先生の指揮を見たことはないけど、噂や鎮圧した事件での先生の功績を見てはいるから気づけた。お姉ちゃんはそういうのはあまり見ないから気づけていないみたいだけど。
    そんな話はよくって、どうしてあんな動き方が出来たのかな?コユキさんって一体何者なんだろう?そんな事を思いながら私達は休んでいると突然声が聞こえてきたのだった。


    「接近を確認。」


    工場の中に入って少し息を整えていると、そんな声が辺りに響き渡る。そうか、ここはその場所だったか。このゲーム開発部のターニングポイント、あの少女が...アリスが眠っている場所。

  • 27二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 09:47:06

    てなわけでどうも、スレ主です!初めてSS書いてみたけど、キャラを再現するのって難しいですね...。因みにまだまだ続きます!
    ここからは少しだけ質問タイムを設けます!

    恐らく来るであろう質問に先に答えておこう。

    Q.タイトルの元ネタは?
    A.今は秘密です!今後のストーリーで意味を落とし込む予定です!

    Q.本編の時間軸は?
    A.4th PVが公開される前でございます!

    ちなみにもう最終章までの構想は出来てますので、後は文字にして書くだけという...。ただし、どれだけ長くなるかは分からない。

  • 28二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 12:01:45

    途中で正体バレしますか?

  • 29二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 12:19:23

    >>28

    ネタバレになるので詳しくは言えませんが、現時点でどうやら一人だけ主人公の存在に気が付いてしまったようです。他の人たちにバレるかはお楽しみってことで。

    近いうちに書きます。

  • 30二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 12:27:38

    また筆が乗ってきたので、書いていきます!

    質問は随時受け付けてますので、いつでもどうぞ~。

  • 31二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 12:29:09

    「対象の身元を確認します。才羽モモイ、資格がありません。」


    その無感情な声はそう言う。


    「対象の身元を確認します。才羽ミドリ、資格がありません。」


    再び声が響き渡る。私は急に不安に駆られていた。そう、私は黒崎コユキではあるが、中身は違うのだ。ならばこの身元確認はどうなるのか?そんな不安で頭がいっぱいになっていると、私の手番が回ってきた。


    「対象の身元を確認します。黒崎コユキ、資格がありません。」


    "!!"


    どうやら取り越し苦労だったらしい。そうか、体自体は黒崎コユキだから心配はないのか。そんな安堵を浮かべていると、先生に入室権限が付与された。

  • 32二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 12:30:41

    「えぇっ!?」


    「え、どういうこと!?先生はいつこの建物と仲良しになったの!?」


    そんな声が聞こえてきた。まぁそうだろう、私でも分からないのだから。そして──


    「才羽モモイ、才羽ミドリ、黒崎コユキの3名を、先生の『生徒』として認証、同行者である『生徒』にも資格を与えます。承認しました。下部の扉を開放します。」


    そんな声が聞こえてきた。これは......未来が見えるな...確か床が──


    そんな事を考えていると床が無くなり、私の体は自由落下の法則に従わされてこの世の者とは思えない叫びをあげながら落ちていくのだった。

  • 33二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 12:39:01

    あれからゲーム内本編と同じルートを辿った私達は無事アリスを回収し、ミレニアムまで戻ってこれていた。戻っている最中はびっくりするほど何もなく、本当にさっきまで戦闘していたのか不思議に思うほどだった。斯くして、私は先生達とは別れ反省部屋に戻ってきていた。


    "ふう...帰ってこれた......流石に疲れたな。"


    でも安心は出来なかった。ずっと『未来は変えられない』そんな言葉が私の髪を引っ張るようにくっついて離れないのだ。何れ破滅的な何かに滅ぼされる運命であろうこの世界から、皆を守れない。


    "一体どうすればいいんだ..."


    そんな独り言を零していると、いつの間にか辺りは暗くなっていた。そうか、もうそんなに時間が経っていたのかと私は思う。


    "今日は色々あったな。疲れたし寝るか...。"


    "そうだ、こういう時こそ寝て整理させるのが大事なのだ。"そんな事を誰もいない空間に吐露しながら、私はこれからの不安を抱えて眠りについたのだった。

  • 34二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 12:46:33

    それから2日後、先生達はエンジニア部の所へ行っている頃だろうか?そんな事を考えていると何故かノアが私の部屋に来ていた。


    "えっと...ノア先輩?何故ここにいるんですか?"


    何故なのか、私にはわからなかった。それに対してノアは何でもないかのように答える。


    「あら?私はここにいては行けませんか?」


    "ひぇ...いえ、そう言う訳では..."


    やっぱり怖いなこの人。そんな事を頭の中で思いながら私はそこら辺に放ってあったクッションの上に座り込むのだった。
    そんな私の目の前に座り込んだノアは急にとても真面目な表情で私に問いかけてきた。


    「貴方は本当にコユキちゃんですか?」

  • 35二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 13:43:28

    おっとぉ!?

  • 36二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 13:46:41

    まあそうなるよな

  • 37二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 14:46:58

    その質問は深く私の胸を突き刺した。バレてしまった、絶対バレちゃいけないのに、どうしよう、どうやって誤魔化す、何故気づけた、いや気づけて当たり前か。そんな思考を巡らせながらありきたりな返答で私は返す。


    "にはは?ど、どうしてそう思ったんですか...?"


    そんな私を見てノアは確信したように切り出す。


    「これは私が単独でしたことですが昨日、先生達と共に行動していたようだったので、少し調べさせていただきました。廃墟に行ったそうですね。どうやらひと悶着あったようでしたが。でもコユキちゃんは一人でに脱走して他の人と行動を共にするという事はしないのです。」


    鋭い推察が私を襲う。


    「その前に反省部屋の前で出会った時に私は初めて違和感を感じました。私の知るコユキちゃんは、反省部屋から脱走すると大抵良からぬ事をしでかす子なのです。でもあなたはそうしなかった。私にはまるで大きな使命があるように感じたんです。」

  • 38二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 17:57:33

    流石完全記憶能力者、どうやら隠し通すのは不可能のようだった。マズイ、これでは本編から逸脱してしまう、世界が崩壊してしまう、でも誤魔化すのは無理だ。そんな思考を巡らせているとノアは少しの笑みを浮かべて言った。


    「でもあなたは悪い人ではない。」


    "え?"


    私は困惑した。どうやら顔にも出ていたらしく、ノアはこう続けた。


    「きっとあなたはコユキちゃんの為、引いてはミレニアムの皆の為に行動しているんですよね。話せない内容なのかもしれないのは分かっています、でも協力は出来ます。なので是非私にも頼ってください。」

  • 39二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 18:00:14

    あぁ、なんて優しいのだろう。そんな事を思っていると目から雫が垂れてきた。ノア、君は私が「黒崎コユキ」ではなく、別人であるのにもかかわらず手を差し伸べてくれるのか。そんな彼女を見て私はこのキヴォトスでコユキになってから初めて......心底安心した。そして押し寄せる感情の激流に私はもう逆らえなかった。


    "...全部...分かってたんですね。"


    涙を流しながら言う。


    "みんな私を「黒崎コユキ」として見ていてもあなたは...ちゃんと"私"を見ていてくれたのですね。"


    やがてその涙は大粒となり、いつの間にかノアに抱き着いていた。


    "すっごく怖かったんです。もう何も変えられそうにないって思って、どうすればいいのかわからなくて、頼れる人もいないのに。"


    そんな私をノアは優しく包み込んで、すべて受け止めてくれた。あぁ、久しぶりだなこの感覚。


    これが「安心」か。

  • 40二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 19:48:34

    ひとしきり泣いたあと、私は今話せる内容だけをノアに打ち明けた。
    まず、私は黒崎コユキではないという事、この体自体は黒崎コユキであるという事、乗っ取った形ではあるが、私の意志では決してないという事、これから未来で起こるかもしれない事、そして、これからキヴォトスには破滅的な何かが訪れるかもしれないという事。あえて、アリスの事は話さなかった。ここで暴露してはストーリーに支障が出ると思ったからだ。


    ある程度語り終わった後、ノアは信じられないと言ったような顏で話を聞いていた事が分かった。しかし、それはすぐに心配の表情に変わった。


    「そんな大きな事を抱えて...なるほど、通りで......。」


    "これは大きな事だけど、コユキに託された以上、やらない訳にはいかないんだ。だからやる。その結果、私がどうなろうとも...ね。"


    「それはダメです。」


    ノアははっきりと、強く言った。


    「この世界を救うために自分を犠牲にするだなんて言わないでください。私は一人を犠牲にして皆を救うよりも、誰一人犠牲にせずハッピーエンドを迎える事の方が大事だと思います。コユキちゃんも、もちろんあなたも救えるように。」

  • 41二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 00:33:13

    そう言ったノアは笑みを浮かべて、ハッキリとした物言いでこう告げた。


    「私も協力します。出来る限りの事はやらせてください。それに、一度やってみたかったのです、裏で暗躍をするの♪」


    そう言われた私はまた涙が零れそうな目を手で隠して"ありがとう"と言う事しかできなかった。そんな私をもう一度ノアは、その胸で優しく包み込んでくれたのだった。

    ある程度私も落ち着いた事で、次に2人だけの作戦会議をする事にした。内容は──


    "いづれ来る破滅をどう回避するか"


    これに尽きる。だってそうだろう、今一番の問題点の解決策を見つけない限りはどうしようも出来ないのだ。しかし、その"いづれ来る破滅"がどういう物なのか、私にも分からないのだ。コユキの記憶はあるが、それはこれまで育ってきたかれこれ15年間の記憶のみ。前の世界線の記憶など欠片もないのだ。そんな困った表情を浮かべる私を見て、ノアはこう切り出した。


    「でしたら、先ずはその"いづれ来る破滅"の予兆を調査するのはどうでしょうか?」

  • 42二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 09:11:17

    ほしゅ

  • 43二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 09:28:18

    保守ありがとう!どんどん書いていきます!

  • 44二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 09:29:18

    "...確かに、けどどうやって調べる?"


    確かにそうだ、何もせずにその"いづれ来る破滅"を待っているだけじゃ後手に回るだけ。予兆を調査し、特定出来たのならば後は対策をすれば何ら問題はないのだろう。だが、どういう物で、何処から来るのかが全く分からない状態では、調査のしようもないだろう。そんな思考を巡らせていると、ノアは当てがあると言うように人差し指を縦て提案した。


    「ヒマリさんに頼るのはどうでしょうか?」


    確かに全恥、間違えた。全知の二つ名を持つ彼女ならば何か当てがあるかもしれない。だが、そう簡単に会えるのか?そんな事を聞こうとした私を見たノアに先手を打たれた。


    「確かにヒマリさんに会いづらいのは分かります。ですが、当てはあります。」


    "その当てとは?"


    「一先ず2ヵ月待ってください。」


    "分かった、2ヵ月か....2ヵ月!?"

  • 45二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 11:39:22

    そんなの待てるはずがない!そんな事をしている間に...


    「大丈夫です。少なくとも今はあなたの知っている未来と同じシナリオを辿っているのですよね?ならば、かのエデン条約が終わるまではこの世界は安全なはずです。」


    "!!"


    そうだった。あくまでこの世界は私の知っているシナリオ通りに進んでいる。ならば向日2ヵ月は一先ず心配しないで良いことになる。だが、もしその間で"いづれ来る破滅"が来たら...?


    いや、これは賭けだ、やるしかない。そうと決まれば後は私達がどう動くかだな。

  • 46二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 13:04:32

    "分かった、一先ずこの2ヵ月の間にノアはヒマリとコンタクトを取ってもらって、"いづれ来る破滅"の予兆を調査してもらう。私も単独で動きながら調査してみるよ。"


    「...!はい、お願いしますね♪」


    そう言ってノアは帰っていった。バレてはしまったが、一人、強力な助っ人が出来た。これで少しは動きやすくなる...はずだ。そんな淡い期待を胸に窓を眺めていると、とある建物から光のレーザーが放たれたのだった。


    "これもシナリオ通り...か。"


    私はそんな独り言を零しながら一先ずこの「パヴァーヌ編」は情報収集に徹する事にしたのだった。

    第一章 完

  • 47二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 13:39:29
  • 48二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 13:41:13

    これから章単位を書き終わったタイミングでまとめていきますので、後から読み始めた人も追いつきやすくはなるのかなと思います!

  • 49二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 16:29:31

    第二章の始まるちょっと前...


    ノアと作戦会議をしてから2週間、あれから色々な書類を見て回ったが、これといった情報は何一つ手に入れられなかった。それもそうだろう、元々の情報が何もないのだから。


    "どうしようか..."


    そう言えば、コユキになってからいたずらというものをやっていないな。そろそろやるべきなのでは無いだろうか?確かコユキが良くやっているいたずらは...


    "セミナーの資金の横領...か。いや、規模デカ過ぎないか?"


    どうしよう、流石に良心が痛むな。かと言って、何もしていないとユウカに怪しまれるかもしれないし...


    "やるしかないか。"


    腹をくくろう、これはコユキとして怪しまれないように立ち回るための犠牲だ、しょうがないのだ。だが大丈夫、裏で同時にやっていた事業である程度は稼げているから、横領した分をそこから返せばいいだろう。
    そんな事を思いながら、私は反省部屋から抜け出してセミナーの資金を横領し、わざと問題を起こすのだった。

  • 50二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 17:56:00

    ノアと作戦会議をしてから大体1ヵ月と3週間が経った頃、エデン条約が目の前まで迫ってきたタイミングで私は"夢"を見た。その夢で私は「彼女」に出会った。普通なら出会うはずも、接点すら生まれないはずの彼女と出会ったのだった。


    「やあ、初めましてだね。」


    "あなたは百合園...セイア!?"


    そう、私は彼女の夢に招かれてしまったのだ。「百合園セイア」、トリニティのティーパーティーでホストをしているサンクテゥス派の一人、彼女が私に夢でコンタクトを取ってきたのだ。だが何故私に会いに来たのか?それが不思議でならなかった。確か彼女は未来予知が出来るはず、つまりこれから起きる事に私が必要という事か?
    それはこれからエデン条約で起きるであろう災難の為の戦いか...それとも...。そんな事を考えて警戒していると、彼女は言葉を発した。


    「そう警戒しないでくれ。私は君を戦いに出そうとしている訳ではないさ。」


    「ただね」と加えて彼女は言葉を続けた。


    「君にはこれからティーパーティーに潜入してもらおうかと思ってね。」


    "...え!?"

  • 51二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 00:49:33

    期待保守

  • 52二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 07:49:42

    ほしゅ〜

  • 53二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 12:47:39

    困惑するのは当然だろう。だって、エデン条約と無関係の私がトリニティのティーパーティーに潜伏するなど、もしバレたらその時点で終了だ。しかも本編のストーリーと酷く乖離する。そんな事出来るわけがない。


    「何、簡単なことさ。私が目覚めるまでの間、私の代わりとしてティーパーティーのトップに君臨していただきたい。」


    "そ...そんな事私に出来るわけないじゃないですか!"


    それはそうだろう出来るわけがない。今はコユキを演じながら、情報収集をするので精一杯なのに、そんな大役を私がやれるわけがない。どうやったってストーリーから逸脱して破綻してしまうだろう。そんな事したくない。それにエデン条約は大丈夫だ、先生がいる限りは私がいなくても問題はないはずだ。あくまでコユキの「フリ」をしながら私は彼女の条件を否定しようとした矢先、彼女から言葉が発せられる。


    「おっと、そういえば言い忘れていたね。彼女...黒崎コユキの『真似』はしなくても大丈夫だよ。私は君を"認識"しているからね。」


    "!!"


    まさか...こんなに早く私の正体に気づく人がまた現れるとは予想外だな....。

  • 54二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 14:43:36

    「それに君にとっても良い条件がある。」


    セイアは続けてこういった。


    「トリニティの大図書館、あそこにはミレニアムにはない本がごまんとある。その中には君の求めている本があるかもしれないね。」


    "...!!"


    確かにそうだ。ミレニアムの書物だけを漁っていても埒が明かない、いくらミレニアムといえど、情報源が狭すぎるのだ。盲点だった。だがその為にティーパーティーに潜伏するのか?いくら何でも見返りが少なすぎるような気がするんだが...?
    そう思考を巡らせていると、彼女はまた言葉を発した。


    「それに今後、君にとって利になるような事も起きるだろう。やっておくほうが得策だろうと思うのだがね。」


    なるほど、そう来たか。確かに彼女の「未来予知」は的確だ、それに外れない。いづれなくなるであろうその「未来予知」を使って私に接触した...という事は彼女は今もトリニティの為に動いているのだろう。


    ...おかしいぞ?彼女は確か絶望的な未来を見て諦めていたはずでは?では何故今になって、トリニティの為に孤軍奮闘しているのだろうか?

  • 55二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 16:39:16

    "おかしい...。"


    「おや、どうしたんだい?」


    "いや、おかしいんだよ。確か君はもう未来は変えられないと諦めていたはずだ。なのにどうして今、私に接触してトリニティの為に戦っているのか分からないんだ。"


    「──!そうだね、確かに私は諦めていた。だが、『変数』が現れたのだよ。昨日まではなかったはずのそこに、突如出現したかのように小さな希望が湧いて出てきた。ただ、その希望は私が賭けるに十分と判断した。それだけさ。」


    彼女の言う「変数」とは、恐らく私の事だろう。だってそうだ、私はこの世界に普通は存在しない物、文字通り「変数」なのだ。彼女はそんな「変数」に賭けたいと言った。だが私は先生を、トリニティの皆を信じている。だから...

    "その頼みは受けられない。"

    私がそう答えると、彼女は淡々とした声で言った。


    「それはどうして?」


    "私はあくまでミレニアムの為に動いている。そこに他の学校も視野に入れると潰れちゃうからね。"

    私は"でも"と付け足し、言葉にする。

    "ティーパーティーの代理を務めるのは出来ないけど、出来るだけその見た未来が変えられるように努力はするよ。"


    そう答えて、彼女の顏を見ると何故か笑みを浮かべていた。その顔は、心底安堵したように見えた。

  • 56二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 17:54:21

    「いや、安心したよ。その答えを待っていた。君もあの大人と同じような事を言うのだね。そうだね、じゃあこれから言う事は独り言だが、3日後にアリウス自治区の地下街道に行ったらいいことが起きるかもしれないね。」


    そう言い残して彼女は目をつむった。そして、その"夢"の世界は段々と歪んで、光に包まれていった。
    私は目を覚ました。だが、夢の内容はハッキリと覚えていた。やる事は決まった。私は決意を固め、ノアに4日間トリニティに行ってくると連絡をして、トリニティに向かうのだった。


    あれから私はエデン条約の観覧という形でトリニティに来ていた。ミレニアムだとバレたら元も子もないので、私は私服で古聖堂から離れたカフェでゆっくりティータイムをしていた。もし、本編と同じならば、この後弾道ミサイルが旧聖堂に飛んで行くはずだ。そんなところに私は行きたくないので、遠くに待機する事にした。そして、混乱に乗じて私はトリニティに潜伏するつもりだ。

    やはり、本編と同じように弾道ミサイルが飛んできたらしい。


    "さて、行くか。"

  • 57二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 18:45:45

    独り言を小さく零した私は、トリニティの本校へと向かうのだった。理由は二つ、一つ目は何処かに置いてあるであろう、トリニティの制服に着替えてこのトリニティ内に潜伏する事。二つ目はセイアに言われた時間まであと2日の間、トリニティの大図書館でひたすらに情報収集を行う事。結果的に潜入という形にはなっているが、今はエデン条約の方でドンパチしているはずだから、こっちの警備は手薄になっているはずだ。そんな事を考えながら、順調にトリニティの校舎内に侵入出来た私は、更衣室を探すことにしたのだった。


    「そこの人、止まってください。」


    一人、校舎内を回っていると突然後ろから声をかけられた。この声は聞いた事がある。確か、救護騎士団の団長...蒼森ミネだったはず。マズイ、この人はトリニティの中でも上位に食い込むほどの戦闘狂、戦って勝てる相手ではない!

    そう思い、私は逃げようと足に力を溜めた瞬間、「救護!」という声と共に意識が途切れたのだった。


    目を覚ますと私は知らない教室にいた。辺りを見回しても、誰もいない。しかし、机の上に今日私が着て来ていた服装が綺麗に畳まれて置かれてあった。そう今日来ていた服が置いてあったのだ。だとしたら、私は今何を着ている...?

    私は辺りを見回して、教室の端にあった全身鏡を覗くと、そこにはトリニティの制服を着ている私がいた。意外と似合ってるな、これ。でも何故?そんな事を考えていると、後ろから声が聞こえた。


    「目が覚めましたか。どうですか?トリニティの制服は。」

  • 58二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 21:57:07

    唐突に後ろから声を掛けられ、びっくりした私は"ひゃあ!"と情けない声を上げて、振り向いた。そこには蒼森ミネ、本人が立っていた。


    "な...なぜこんな格好に?"


    素朴な疑問を投げかけると、ミネは少しため息を吐きながらその言葉を口にした。


    「とある方に"夢"であなたの潜伏の手伝いを頼まれまして。ですが、私を見た瞬間に逃げようとしたので、申し訳ないですが気絶させてこの教室に運ばせていただきました。」


    えぇ...そんな力業あるかよ...。そんな事を考えていると、突然ミネの携帯から着信が入った。これはおそらく...。


    「先生が重症!?直ぐ向かいます!」

  • 59二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 03:59:18

    保守

  • 60二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 12:29:01

    ほしゅ

  • 61二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 16:16:09

    やはりそうだろう。おそらく向こうの戦闘もひと段落した...と言っていいのか?まぁどうでもいい、取り合えず今は大図書館へ向かうのが先だ。そう思考を巡らせていると、ミネから一言飛んできた。


    「トリニティ校舎内は自由に動いてもらって構いません。一先ず、私は先生を救護しに行ってまいりますので、それでは!!」


    そう言ったミネは余りにも早いスピードで教室から出て、廊下を駆けていったのだった。

  • 62二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 16:20:48

    あれから予定通り、大図書館に足を運んだ私はその景色に驚かされていた。


    "おぉ、こんなに本がいっぱい...。"


    それは文字通り、大図書館と言った風貌。こんなにも大きい図書館は初めてだ。
    だが、この中から私の欲しい情報など見つけられるのだろうか?そう思っていると、後ろから静かに声を掛けられた。


    「何かお探しですか?」


    この人は確か...


    「初めて見る顏ですね...。初めまして、私は古関ウイと申します...。宜しければ、お探しの本を教えてもらえればご案内出来ますが...。」


    "初めまして!私は..."


    偽名を名乗った方が良いのでは?この子、ウイはこれでも意外と情報通だ。ミレニアムの事情などある程度把握しているかもしれない。だが偽名はどうしようか...確かコユキの二つ名は白兎だったよな...白兎と言えばいなばのしろうさぎ。よし、決めたこれにしよう。


    "イナバと申します!よろしくお願いします!"

  • 63二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:25:41

    「イナバさん...お探しの本は何ですか?」


    よし、特に怪しまれてはいないようだ。そうだな、先ずは...。


    "このキヴォトスの歴史についての本はありますか?"


    「その子はこの大図書館の右奥の方にまとめてあります...。そこまでご一緒しましょうか...?」


    "いえ、大丈夫です!ありがとうございます!"


    そう言って私はこの大図書館の奥の方へと速足で向かったのだった。


    私、古関ウイは人と関わる事は嫌いだ。だが、彼女...イナバさんは何か違う気がした。彼女はキヴォトス人であってそうではないような...そんな気がしたのだ。だが、これは単なる勘、当てにはならないだろう。だが....


    「少し、警戒しておいた方がいいかもしれませんね...。」


    私は手元に置いてあった、アイスアメリカーノを口に流しながら、また古書の復元作業へと戻るのだった。

  • 64二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 22:48:55

    あれから小一時間程、キヴォトスの歴史について調べているが、全く進展が無かった。いづれこのキヴォトスに来るであろう"破滅的な何か"、そのヒント所か一文字も出てこないのだ。これはお手上げ...か。そんな事を思いながら本を棚に戻して、周りを見渡してみると、「禁書庫」と書かれた部屋が隅にあった。扉は固く閉ざされており、南京錠もかかっている普通は入るべきではないのだろう。だが、私はその扉の奥が無性に気になったのだ。南京錠はダイヤル式で、数字が5つ並んでいた。私はその数字5つを感覚で合わせ、南京錠を解除する。そして、ゆっくりと扉を開けた私は少し驚いた。そこにあったのは、地下へ続く階段だった。


    "これ以上行くと引き返せないだろうな。"


    そんな独り言を零し、私は警戒を怠らずゆっくりと階段を下って行くのだった。

    階段を下りた先に広がっていたのは、大きな本棚が2~3個並べてある部屋だった。色々な本を見て回ったが、これと言って情報になるようなものは何一つ無かった。不思議だ、禁書庫と書かれているのに、内容はありきたりな物ばかり...


    "ここ、本当に禁書庫なのか...?"


    そう思いながら、本を元の場所に戻していると、ふと目の前の本棚に一つだけ少し飛び出ている本を見つけた。私は無心で、その本を奥へと指しなおした。すると、何かがハマったような感覚と同時に、目の前の本棚が動き始めた。


    "うわ、なんだこれ!"


    少し経つと、目の前には奥へと続く道が出来ていた。私は警戒しながらも奥へと足を進めるのであった。

  • 65二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 00:59:53

    その先に在ったのは質素な部屋だった。机と椅子、その上に本が一つだけ。まだ読みかけだったのか、ページはまだ浅かった。その本に目を通すと、こう書かれていた。


    『いづれキヴォトスに来るであろう"破滅的な何か"について。』


    私は身を乗り出してその文字の続きを追った。そこにはこう書かれていた。


    『キヴォトスには"忘れられた神々"が存在している。その"忘れられた神々"を消滅させようとしている存在がいる。かつてのキヴォトスの主で、"名もなき神"を崇拝している、現在では既に淘汰され痕跡を残すのみとなった筈の存在。"無名の司祭"だ。』


    "無名の...司祭...?聞いたことが無いな...。"


    だが、相当厄介な相手なのだろう。禁書になるほどだ、これは警戒をしていて損は無いのかもしれないな。そう思いながら続きを読み続けた。


    『無名の司祭は"色彩"を利用して、"忘れられた神々"を、このキヴォトスを消滅させようとしている。』


    "そうか...そういう事か...。通りで、コユキが絶望する訳だ。"


    そうだ、無名の司祭はこのキヴォトスの要である、"忘れられた神々"を消滅させようと企んでいる。その戦闘力はどれほどの物か、私には分からない。だが、コユキは...彼女はきっと、この無名の司祭によって、絶望に叩き落されたのだろう。

  • 66二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 10:34:06

    結構好きやで

  • 67二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 14:57:02

    私は久しぶりに苛立ちを覚えていた。それはそうだ、いくら一人で生きていけているとは言え、まだ15歳やそこらの年齢の彼女達が絶望的な...生きる意味を見失うような目に遭う可能性があるのだ。ならば...ここは大人として、子供を...生徒を守る立場の人間として、放っておく事は出来ない。どんな生徒も、そんな目に遭う必要なんてないのだから。これは私や先生の...大人の責任なのだから。


    "絶対に救ってみせる"


    私は決意を固め、その部屋を後にするのだった。


    それから私は、大図書館を出て、外を見回っていた。どうやら、時間は思ったよりも進んでいたらしく、月が夜を照らしていた。状況は混乱を極めていて、いつ皆が暴走してもおかしくないような状態だった。そして、医務室の前を通り過ぎると、皆を心配している先生の姿が見えた。どうやら先生は無事一命をとりとめたようだった。恐らく、これから先生はヒナの家へ向かい、説得をしに行くのだろう。きっとこれからエデン条約締結、その一歩を踏み出すのだろう。ならば、私のするべき事は...


    私は一人、とある場所へと足を進めるのだった。

  • 68二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 14:59:39

    私は...何がダメだったのでしょうか...。セイアさん○害の件で、代理でホストの座に就任した私は真偽不明の情報の嵐に晒される始末。その中で、セイアさん○害の理由がエデン条約締結の阻止だと気づいた私は、今後私が排除され、ホストがミカさんだけになったとしても、出来るだけ負担が残らないように尽力してきました。
    そこで、「補習授業部」を設立、将来を望まれた天才から一気に転落したハナコさん、経歴が不明のアズサさん、正義実現委員会に対する牽制としてのコハルさん、ブラックマーケットに出入りしている噂の立っているヒフミさん。彼女らを補習授業部に入部させ、万が一には一度に退学に追い込めるように準備してきました。そして、その「箱」を制作するためにシャーレの超法的権限の利用もしました。しかし、先生は私のやり方には賛同せず、彼のやり方を突き通しました。
    おかげで私は随分と疑心暗鬼になってしまいました。誰も信じれなくなり、「全ては大義の為」という建前を使い、度を越えた悪辣な手段も使った。その結果がこれだったのです。


    『あはは......えっと、それなりに楽しかったですよ。ナギサ様とのお友達ごっこ』


    「うぅ....。」


    どうして...どうしてこうなってしまったのでしょうか?何か...何か正解は──


    "何か正解はあったのでしょうか?ですよね...にはは、確かに難しいですよね。"

  • 69二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 18:57:59

    「──ッ!?あなたは...一体!?」


    一体何故ここに生徒が!?ここは私のセーフハウスのはず...。


    "いやー、分かります。私も何が正しくて、何が間違っているか。分かりませんもん!"


    彼女は"でもですね"と言い、言葉を続けた。


    "先生みたいな人に...信頼できる大人に助けを求めるのは間違っていないと思いますよ!自分の中にひたすらに溜め込んで、そんな事をしていると今みたいに、どこかで破綻してしまいますから。"


    彼女は優しく微笑みながら、私のしてきた今までの行動を知っているかのような口ぶりで言った。


    "相談が出来るくらい信頼できる人を作ってみては如何ですか?例えば先生など、あの人はちゃんと信頼できますから!"


    「そう...ですね。そうだったのかもしれませんね。」


    今日初めて会った彼女にこんな事を言われるだなんて、人生まだまだ何があるか分かりませんね。

    「でしたら、貴方にその役割を与えても宜しいですか?」


    "あ、そうなるんですね...。"

  • 70二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 21:04:55

    >>66

    ありがとうございます!

  • 71二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 06:12:19

    興味深いな。

  • 72二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 06:28:21

    彼女、桐藤ナギサは私に向かってそんな事を言い出した。何故そうなる!!もっと相談できる人が居るでしょう!先生とか!!なんて言っても無駄か...。仕方ない、受け入れるしかないだろう。


    "...しょうがないですね、わかりました!私がその役を務めましょう!"


    「ありがとうございます...。」


    そう言った彼女は目に涙を浮かべ、下を向いた。そんな彼女を私はそっと腕で包み込み、安心させてあげたのだった。


    「すいません、お見苦しい所を見せてしまいました...。」


    しばらくして、ナギサは落ち着きを取り戻していた。まだ目元は赤いが、涙を流したおかげかどこかすっきりしたような表情をしていた。

  • 73二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 06:30:24

    「それで、貴方は一体どなたなのでしょうか?」


    それはそうだ、セーフハウスに急に入ってきて、彼女が困惑しないはずはないのだ。そうだな、ここは素直に言っておくとしよう。


    "そうでしたね。初めまして、私はミレニアムでセミナーをやっています!黒崎コユキです!"


    そう自己紹介をすると、彼女はとても驚いたようだった。まぁそれはそうだろう。だって、ミレニアムの生徒がトリニティの制服に身を包み、挙句の果てに自分のメンタルケアまでしていたのだから。

    「なぜミレニアムの方がこちらに!?それにそのトリニティの制服...一体どこで?」


    "そうですね、その理由は明日以降にしっかりとお話するつもりです!なのですいません、実は時間があまりなくてですね。今日はこの辺で失礼します!"


    そう言って私はその部屋から飛び出した、出た瞬間、「あ!ちょっと待ってください!」なんて声が聞こえたが私は無視を決め込むのだった。


    そして、これから向かう場所は...

    "そろそろ行くとするか、古聖堂に。"


    そう言って私は古聖堂に...彼女達のブルーアーカイブを見届ける為に足を進めるのであった。

  • 74二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 14:22:14

    ほしゅ

  • 75二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 20:36:01

    外へ出てしばらくした後、雨が降ってきた。私は花屋の前で雨宿りをしながら、どうしようか悩んでいると、店内から声が聞こえて来た。


    「宜しければ休まれて行かれてはどうですか?夜も深くなってきましたし。」


    "え、いいんですか!?"


    「はい、以前トリニティの方にはお世話になったので、恩返しをと思って。体も冷えますので、どうぞ中でくつろいでいってください!」


    そうか、今の私はトリニティの制服に身を包んでいる。トリニティ生と間違われてもなにも間違いじゃないのか。ここは素直にご厚意に甘えよう。後で何か恩を返せればいいのだけれど...。


    "ではお言葉に甘えて...。"


    そう言い、店の中に入った私は綺麗なお花の数々に目を奪われた。


    "お花...とても綺麗ですね!こんなにいっぱい綺麗な花が揃っているだなんて...。お花をとても大切にしているんですね!"


    素直な感想を言うと、花屋の店主は笑みを浮かべた後、少し寂しい顏をして言った。


    「ありがとうございます。ですが、最近お花を買っていかれる方達もめっきり減ってしまいましてね。そろそろお店を畳もうかなと思いまして...。」

    "──!!"

  • 76二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 03:32:36

    なんと、悲しい

  • 77二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 08:07:49

    「時代は移り変わる。その言葉を私は他の人たちよりも理解しているつもりです。ですが、私は『好き』を仕事にしたかったんです。でも、時代の流れは残酷で...最初はお花を買っていく方々もいて、経営は安定していたのですけれど、最近は...特にエデン条約の話が出てきてからはめっきりお客様が減ってしまって。」


    確かに、時代の流れは残酷だ。ついこの前まで流行っていた物、それが今ではもう古いと言われ、皆の話題から無くなってい行く。それはどんなものでも同じで、結局は時代に流されて皆の興味から薄れていく。でも...でも私はこの綺麗な、とても生き生きとした花を無くしたくない。無かったものにしたくないのだ。だから...


    "ダメです。"


    「...え?」


    "止めたらだめです!絶対に!"


    「何故そこまで...。」

  • 78二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 10:49:09

    "私には分かります。この花は生き生きとしている、それは貴方が大切に、愛情を込めて育てていたからですよね。私はその努力を無駄にしてはいけないと思います!"


    「ですが、お客様も来ないこのお店をどう経営していけば...。」


    "私が全て買います!"


    「えぇ!?そんな無茶な!」


    "無茶ではありません!それに、私が購入して皆さんに配って行けばこのお店の宣伝にもなります!"


    私は決して善者ではない。他人に無条件で善意を渡す事は出来ない。でも、恩を貰ったのに、それを返さないのは私の人情が許さないのだ。だから、恩を貰った分、しっかりと返したいと思う。私はトリニティ生ではない。だから、「トリニティ生だから」と言って恩を貰ってしまうわけにはいかないのだ。貰った分はしっかりと返したい。だから、これは"私"の恩返しだ。


    「──!!そこまで言って下さるのですね...ありがとうございます。」

  • 79二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 11:40:27

    店主は少し涙を流し、私に感謝の言葉を言った。感謝をするべきなのは私の方なのに...。雨が降ってきて途方に暮れていた時、手を差し伸べてくれて、泊まる場所も用意してくれて。こんなにも優しい人がこんなにも苦労しているのだ。恩を返さずしてどうする。私はそんな事を思いながら、雰囲気を変える為、話を切り出す。


    "こんな暗いお話をしていてはお花達が枯れてしまいます!取り合えず、お腹もすきましたので何か食べましょう!"


    「...そうですね。ではこちらへどうぞ。」


    そう言って店主はカウンターの後ろの階段を上って行ったので、私はその後を追いかけるように上って行ったのだった。

  • 80二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 11:41:29

    どうやら、花屋の上は自宅になっていたらしく、暖かいリビングが私を出迎えてくれた。すると、店主の方は「適当な場所に座って待っていてください。すぐご飯をおつくり致しますので。」と言い、キッチンへと向かっていった。私はふと目に着いたソファーに身を預けていると、睡魔が襲ってきた。それはそうだろう、なにせ今日は一日中動きっぱなしで疲れていたのだから。でも、折角ご飯を作ってくれているのだから、食べたいなぁ...。そんな事を思いながら私は深い眠りの底へ行ったのだった。


    「ご飯が出来ましたよ...おや?寝てしまいましたか...。」


    かのエデン条約で事態が混乱を極めている状況で、この方もトリニティの為に色々動いていたのでしょう。疲れていても無理はありませんね。


    「また恩が出来てしまいましたね...。ゆっくりお休みなさいませ。」


    私はそんな独り言を零しながら、寝ている彼女の体に毛布を掛けてあげるのでした。

  • 81二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 17:45:56

    保守
    とてもいい……

  • 82二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 21:24:17

    "んぅ...ここは...?あぁ、そういえばここに泊めてもらって..."


    あれから早朝にになり夜が明けようとしている頃、起きた私は辺りを見回していた。どうやら私が眠ってしまった後、店主の方が気を利かせて冷めないように毛布を掛けてくれていたらしい。


    「おや、起きましたか。おはようございます。」


    "あ、ありがとうございます!にはは...すいません、昨日は途中で眠ってしまって...。"


    私は昨日ご飯を食べられなかった事に謝罪を返すと、店主の方はなんてことない。っと言った風に首を横に振って、「ちゃんと休めましたか?」と聞いてきた。


    "はい!お陰でぐっすり出来ました!ありがとうございます!"


    そう言うと私はすぐに支度をし、出る準備をした。すると、後ろから声が聞こえてくる。


    「もう出られるのですか?せめて、ご飯は食べていかれてはどうですか?」


    "いえ、そう言う訳には...。"

  • 83二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 21:25:56

    そんな事を言っていると、店主の方は少し強めの口調でこう言った。


    「ダメです!朝ごはんは何よりも大事なんですから!是非食べていってください!」


    "そういう事なら...。"


    私はその圧に負けて、ご飯を食べる事にした。


    朝ごはんを食べた後、私は改めて店主の方にお礼を言った。


    "改めて、昨晩は泊めていただきありがとうございます!また近いうちに来ますので!その時はぜひお花を買わせてください!"


    「いえいえ、お礼を言いたいのは私のほうです。あんな励ましの言葉を貰ったのは初めてですし。お店、まだ続けてみようと思います。」


    "──!!にはは、ありがとうございます。ではまた!"


    そう言って家を出た私はまだ雨の降る早朝を駆けて行ったのだった。

  • 84二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 06:00:25

    あれからすっかり朝になり、古聖堂に着いた私は、あのファウストコールの現場を目撃していた。


    "わぁ...ホントに揃っちゃってる...よくあんな恥ずかしいコール出来るなぁ。"


    ぞろぞろと周りに人が集まってきた。どうやら、あのアリウススクワッドを包囲したようだった。すると、こんな声が聞こえて来た。


    「アズサちゃん、私は今すごく怒ってます。すっごくです。」


    平凡な彼女は言う。


    「......。」


    「ですが......それ以上に、無事でよかったです。すっごく怒ってましたが、よく考えてみればそれはアズサちゃんのせいではありません。ですから、私はもう怒っていません。」


    言葉を続ける平凡な彼女に一度絶望に飲まれた少女、白洲アズサはは反応する。


    「ヒフミ......。」


    平凡な彼女は...力強く言葉を続けてい行く。

  • 85二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 06:01:30

    「ですが、あの方々についてはまだ怒っています。殺意ですとか、憎しみですとか......それが、この世界の真実ですとか......それを強要して、全ては虚しいのだと言い続けていましたが......それでも私は......!」


    平凡な彼女は精一杯自分の気持ちを彼女達、アリウススクワッドにぶつける。


    「アズサちゃんが人殺しになるのは嫌です......。そんな暗くて憂鬱なお話、私は嫌なんです。それが真実だって、この世界の本質だって言われても、私は好きじゃないんです!」


    雨はまだやまない。


    「私には、好きなものがあります!平凡で、大した個性もない私ですが......自分が好きなものについては、絶対に譲れません!友情で苦難を乗り越え、努力がきちんと報われて、辛いことは慰めて、お友達と慰めあって......!苦しいことがあっても...誰もが最後は、笑顔になれるような!」


    「そんなハッピーエンドが私は好きなんです!」


    空に光が差し込める。

  • 86二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 06:03:09

    「誰が何と言おうとも、何度だって言い続けてみせます!私達の描くお話は、私達が決めるんです!終わりになんてさせません、まだまだ続けていくんです!」


    段々と空に光が戻っていき、平凡な彼女の姿がはっきりと見える。


    「私たちの物語......。」


    平凡な彼女......阿慈谷ヒフミは強く、希望に満ちた声でその言葉を言う。


    「私たちの、青春の物語(Blue Archive)を!!」


    いやはや、まさか自分の目でこの名シーンを見れるようになるとは夢にも思わなかった。きっとこれからも、彼女の青春の物語は続いていくのだろう。そこにはきっと、苦難や葛藤もあるだろう。だが、その苦難や葛藤と同じくらいの喜びや幸せが待っている。
    私は...大人はそんな彼たちを守るためにここにいるのだ。だから...だからその青春を...夢を壊そうとする者を私は許せない、子供の夢を...壊したり、否定したりするのは間違っている。これは私の..."僕"のやるべき事なのだ。

  • 87二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 06:04:29

    ""ここに宣言する。""


    ""私たちが、新しいエデン条約機構。""


    私たちは、あの大人たち..."ゲマトリア"に向けて、宣言する。「大人」のやり方には「大人」のやり方で、仕返しをさせてもらう。この借りは必ず返す。私は決意を固め、戦っている生徒達を援護しながら、一足先にアリウス自治区へと足を進めるのだった。

  • 88二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 15:05:34

    やったぜ

  • 89二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 23:42:53

    逞しい

  • 90二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 04:40:40

    あの宣言から1日、アリウス自治区に身を置く私は紛争に紛れて逃げて来たアリウス生徒に手当と、食事を用意していた。何故アリウス自治区か、理由は二つ。一つ目はアリウス生徒達の土地勘だ。アリウスで育ってきた彼女達なら、手薄の場所などが把握しやすかったり、私の目的地への案内をお願い出来るからである。二つ目は敵の裏を突く事だ。あの大人、ベアトリーチェは恐らく逃げ出した生徒も把握しているだろう。あの大人はきっと、逃げるならトリニティもアリウスも関係のない場所に逃げるだろうと考えるはずだ。その裏をかいて、この後の戦いを少しでも有利に進めたい。戦える者はここで鼓舞し、無理な者は逃がす経路を作る。これが目的だ。


    「ありがとう、イナバさん。痛みが大分引いてきた。」


    "いえいえ!お安い御用です!それに、私は責任を全うしただけなので!にはは!"


    「まるであの大人......先生みたいな事を言うんだな。私にもあの先生がいてくれたらどれだけ心強かっただろうか。」


    "あなたはまだやり直せますよ。きっとこの先に続く未来には、無限の可能性がありますから!自分の夢...なりたい自分を目指して頑張りましょう!"


    「はは、ありがとうよ。それで、私はどうすればいい?」

  • 91二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 04:42:03

    私の最終的な目的地は「アリウス・バシリカ」アリウススクワッドの一人、秤アツコが連れ去られた場所。そして、私の目標は先生に大人のカードを使わせない事。恐らく、先生とは鉢合わせる形になるだろう。だがこれも狙っている事だ、恐らく先生はこの状況をちゃんと理解して、的確な指示を出してくれる。私は彼に大人のカードを使わせずにこの戦いを終わらせたいのだ。あの大人のカードは代償がどういう形で出てくるか私にも分からない。だが、使わないに越したことはないのが確かなのだ。ならば、使わないように手伝う事が何よりも重要だ。ならば...


    "──そうですね、嫌じゃなければですけど......一緒にベアトリーチェを殴りに行きませんか?"


    「分かった。マダムを──ベアトリーチェを殴りに行くんだな。」


    "案外普通に受け入れてくれるんですね、もう少し怖気づくと思っていたのですが。"


    「いやなに、私もあの大人には恨みがいっぱいあるからな。10発程度殴ってやりたいと思っていたんだ。」


    "その意気です!では、よろしくお願いしますね!"

  • 92二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 04:44:40

    "皆さん!そろそろ「アリウス・バシリカ」に向かいます!向かう途中で乱闘を起こしますので、逃げる方はその場の混乱に乗じて逃げてください!一緒に戦ってくれる方はそのまま「アリウス・バシリカ」までご同行をお願いします!"


    「「了解した!」」


    私は少し笑みを浮かべ、目的地「アリウス・バシリカ」までの歩を進めるのだった。


    夜が深くなった頃、私たちはやっとの事で乱闘を制圧し、「アリウス・バシリカ」前まで来ていた。どうやらこの乱闘で、逃げる者たちはしっかりと逃げれたらしい。そんな安堵をしていると、中から爆発音とデカくて硬い何かが倒れる音と物凄い地響きがした。これは...


    「錠前サオリ──こうして、あなたが綺麗に残ってくれて良かった。」

  • 93二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 14:15:56

    うわ出た

  • 94二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 23:29:57

    保守

  • 95二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 08:56:54

    このレスは削除されています

  • 96二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 09:01:23

    どうやら一番マズイタイミングで着いてしまったようだった。


    「あれは──トリニティの聖園ミカ...?どうしてここに?」


    "──ッ!!隠れてください!!"


    そう言って、彼女の体を引っ張る。するとさっきまで体のあった場所に凡そ銃撃とは思えない一撃が通っていった。その一撃は後ろで爆散し、綺麗な聖堂の壁だった物は瓦礫の山になり果てていた。これが──聖園ミカ。トリニティのティーパーティ、パテル派のリーダー。彼女はその圧倒的なパワーで回りの建物を破壊して回っていた。恐らく、先生を合流させない為だろう。それはそうだ。たとえ1対1だったとしても、先生が付いているのと付いていないのでは、歴然の差が出てしまうのだから。そんな事を考えていると、後ろから声がかかってきた。


    「イナバさん、どうする!」


    そうだ、本来の目的を忘れるな。だが、どうする?錠前サオリと聖園ミカの戦闘は波乱を極めていて、周りの影響など考慮していない。下手に動くと巻き添えを食らってこの後の戦いに支障が出るだけ...いや待て、アリウススクワッドには先生が付いている。あの先生は生徒を見捨てる事を果たしてするのだろうか?いや、きっとしないだろう。ならば──。


    "......今は待ちましょう。彼を──先生を信じましょう。"


    「──ッ!!ホントに信じていいんだな!」


    そう言うと、アリウスの生徒達は皆身を屈め、この戦いの行く末を見守る事に専念するのだった。

  • 97二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 09:03:24

    このレスは削除されています

  • 98二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 09:05:51

    誤字ったので再投稿。

    彼女達の戦いはまだ終わらない。


    「......面白いね、うん。ゲリラ戦でいくんだ?まぁ、この地形を考慮したらそれが最善だろうね。」


    鬲泌・ウは言葉を続ける。


    「それに......それってサーモバリック手榴弾でしょ?あはは☆ちゃんとたくさん用意してる?少量で私を相手にできるなんて思わないでよね?」


    鬲泌・ウは挑発的な声色で言う。


    「......これなら、うん。今からちゃんと相手するからさ......全力で抵抗してみてよ?──あなたにとっては、すべては虚しいものなんだろうけど。」

  • 99二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 09:07:44

    そう言った鬲泌・ウに希望を見出した彼女は言葉を返す。


    「そうか──なら、最後までもがいてやろう。」


    鬲泌・ウは不敵な笑みを浮かべた。


    「へぇ......退屈させないでよね?」


    戦いは勢いが増すばかり、そう思っていた矢先彼女、錠前サオリの体が宙に浮かんだ。地形を利用したゲリラ戦、有利を取れるようにカオスを作り出す為の手榴弾、でも......どうやら相手との実力はそのカオスでは埋まらないほどの差があったらしい。すると、彼女達は小さな声で会話をしていた。


    「......そうか。そうだな......私は負けたのか。」


    そんな会話が聞こえて来た。これは彼女達が成長するために必要な会話だ、邪魔はするべきではないだろう。そう思い、見守っていると先生が合流した。どうやら別ルートを探して、無事戻ってこれたらしい。

  • 100二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 09:10:28

    そして先生は...大人は言う。絶望に飲まれ、己の罪に押しつぶされそうになっている彼女達に希望を与えるために。


    "チャンスは、なければ作り出せばいいからね。"


    "もしそれがダメでも、次のチャンスを作ればいい。失敗したとしても、何度でも。"


    大人は彼女達に手を差し伸べる。


    "道が続いている限り、チャンスは何回だって生み出せる。"


    "──ミカ、サオリ。"


    大人は彼女達の名前を呼び、こう言葉を続けた。


    "一度や二度の失敗で道が閉ざされるなんて事はないんだよ。"


    "──この先に続く未来には、"



    "無限の可能性があるんだから。"

  • 101二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 09:13:29

    大人はその肩に圧し掛かる責任を胸に、言葉を続ける。


    "チャンスがないというなら、私が何度だって作るよ。"


    "──生徒が未来を諦める事なんてあってはいけない。そういう時は、大人に任せて。"


    彼女達はその言葉に目を覚まされたようで、どうやら歩幅は合ったようだった。すると、突然声が聞こえて来た。


    「戯言もそこまでにしなさい!」


    見つけたぞ。子供の──生徒の夢を踏みにじり、すべては虚しいと吐き捨て、他人の命を軽く扱う者。私はお前を許さない、大人として、必ずその身に罰を下してやる。


    ""ベアトリーチェ......!""


    すると、いつの間にかユスティナ信徒に周りを囲まれていた。

  • 102二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 12:34:58

    どうも、スレ主です!エデン条約も後半になってきましたね。

    最近リアルが忙しくて、書く時間が無いのでもしかしたら書くペース落ちるかもです!

    色んな方々に見てもらえてるみたいで、嬉しい限りです。ありがとうございます!まだまだ続きますので、お楽しみくださいませ。

  • 103二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 12:37:04

    私たちは咄嗟に臨戦態勢に移る。ユスティナ信徒の対応に気を取られていると、先生達の姿がいつの間にか見えなくなっていた。どうやら、先生達は先に至聖所へ向かったらしく、もう姿は見えていなかった。


    "これは...どうしましょうか──!!"


    すると、アリウスの生徒から言葉が飛んできた。


    「ここはいいからイナバさん!アンタは先に行ってくれ!マダムを──ベアトリーチェを倒してきてくれ!」


    "──!!分かりました、ではここは任せましたよ!"


    その時、ふと聖園ミカと目が合ったような気がした。私はそんな些細な事に触れる余裕も無く、至聖所へ向かうのだった。

  • 104二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 12:38:16

    「......?あの子──トリニティの生徒?なんでここにいるんだろう?それにここにいるアリウスの生徒達...あの子が連れて来てくれたのかな?」


    私は一瞬見えたトリニティの制服を着た彼女を思い出していると、目の前に弾丸が飛んできた。


    「うわっと!危ない危ない。此処を託されたんだから、ちゃんと守らないと...。」


    きっと彼女達、アリウススクワッドの皆はこれから今までの自分を否定しに行くのだろう。それはきっと......辛くて、痛くて、苦しい物なのかもしれない。でも──その先にはきっとハッピーエンドが待っているはずだから──。


    「あなた達のために......祈るね。」

  • 105二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 20:51:59

    ミカ!

  • 106二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 05:56:40

    「──"君"は何故そこまでするんだい?」


    私は夢の中で"彼"がどう動くか、どういう選択をするのか、ずっと見て来た。
    普通なら関わることのない私たちの為に、あそこまで体を張れる人は少ないだろう。それこそ、"先生"くらいだろう。"先生"は生徒を......夢を守る為に戦っている。彼の行動理念は何時でもそうだ、生徒の夢を壊さない為にいつも頑張っている。しかし──


    「"君"は"先生"ではないだろう?何故そこまで己の体を張れるんだい?」


    私が彼に届かないはずの問いかけをすると、彼は聞こえたと言わんばかりに独り言を呟いた。


    "それはね、コユキが守ろうとした世界を──託された私が守りたいと思ったからだよ"


    「そうか、"君"も"先生"と同じなのだね。守るものがあるから体を張る、例えそれが一人の少女の為でも......か。」

  • 107二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 14:11:44

    保守

  • 108二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 23:45:51

    このレスは削除されています

  • 109二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 06:33:41

    私が至聖所へ着いた頃、アリウススクワッドとベアトリーチェの戦いは既に戦いの火蓋が切られていた。


    "アレが──ベアトリーチェ!?"


    その花は狂気に満ちていた、まるで私たちは搾取されるべき存在だ、私の養分なのだと言わんとばかりに咲き誇っていたのだ。
    その花のおぞましさに足が震える。こんな相手、勝てるかどうかも分からない。でも──やるしかない。すると、その花はアリウススクワッドの不意を突くために、隠れて必殺の攻撃を溜めていた。マズイ、アレを食らえばアリウススクワッドも無事じゃいられない、何とかして守らないと...。私は身を乗り出して、彼女に向かって言葉を発した。


    "ベアトリーチェ!!貴方を倒しに来ました!"


    「!?貴方は一体誰なんですか!?」


    "その声......コユキ!?何故ここに!?"


    皆は私が来た事に驚いたようで、少し反応に遅れが生じていた。私はその隙を突き、すぐに"トリッキーな変数"を投げ、ベアトリーチェの攻撃を阻止した。


    「ぐっ!余計な事を!!」

  • 110二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 14:24:04

    どうやら先生は状況を理解出来ていないながらも、最適解を見つけたようで、すぐにアリウススクワッドの皆に指示を飛ばしていた。


    "先生!私の事は大丈夫ですので、その方たちへの指示をお願いします!"


    私はあくまでサポート、先生の指示で出来た味方の隙を私の攻撃で埋め、少しでも余裕を持たせるのが役目だ。


    「ぐっ、ああ......なりません......!!私の権能が......!たかが......たかが貴様ら如きに......!!」



    勝てる。



    私は油断してしまった。そのお陰で、その一撃を防ぎ切れなかった。その攻撃によって、私の体は壁まで飛ばされ意識を手放してしまった。

  • 111二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 23:21:16

    このレスは削除されています

  • 112二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 06:24:11

    「──"君"は何故そこまでするんだい?」


    そんな声が聞こえる。


    「"君"は"先生"ではないだろう?何故そこまで己の体を張れるんだい?」


    確かにそうだ、普通ならここで関わるべきではないのだろう。だが、彼女から......好きな人から託されたのだ。この「世界」を......ならば──。


    私はその手放した意識を再び手に取り、意識を覚醒させる。そして立ち上がり、言葉を放つ。


    "それはね、コユキが守ろうとした世界を──託された私が守りたいと思ったからだよ"


    すると、突然聞こえるはずのない歌が流れて来た。その歌は慈悲に満ち溢れていた。

  • 113二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 06:47:59

    ──Kyrie Eleison



    これは慈悲を求める歌。


    "主よ、憐みたまえ"


    私は手を合わせ、祈る。アリウススクワッド、あなた達はきっと赦される。希望を捨てる必要はないんだ。すると、ベアトリーチェは言葉を発した。


    「......!!なりません!!!なりません!私の領域で慈悲を語る歌を響かせるなど!」


    ベアトリーチェは動揺する。


    「楽器も蓄音機もすべて破壊したというのに!──奇跡が起きたとでも?なりません!!生徒は憎悪を軽蔑を......呪いを謳わなければなりません!」


    汚い大人はいっぱいの憎悪を発する


    「お互いを騙し傷つけ合う地獄の中で、私たちに搾取されるべき存在であるべきなのです!」

オススメ

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