- 1二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:35:12
トレセン学園のグラウンドに夕日が差し込む。ヒシミラクルは今日のトレーニングを終え、呼吸を整えていた。隣には、彼女の担当トレーナーである俺がいる。
「ヒシミラクル、今日のトレーニングも完璧だったな。特に最後の直線、あの伸びは素晴らしかった」
「へへ、ありがとうございます!でも、あれもトレーナーさんの指示のおかげですよ。わたし、トレーナーさんに言われた通りに走るのが、一番気持ちいいんです」
そう言って、ヒシミラクルは眩しい笑顔を向けてくる。その無邪気な瞳に、俺はいつも癒されていた。彼女は、俺がトレーナーになって初めて担当したウマ娘だ。まだ実績もなかった俺を、何も言わずに信じてくれた。その日から、俺たちの二人三脚が始まった。 - 2二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:36:14
しかし、最近、彼女の様子が少しおかしい。時々、スマホをいじる俺をじっと見つめたり、他のトレーナーと話しているだけで、不満そうに口を尖らせたりする。俺は「思春期か?」と軽く考えていたが、まさか、それが大きな勘違いの始まりだとは、その時の俺は知る由もなかった。
- 3二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:37:14
夕方のトレーニングが終わり、ヒシミラクルと話していた時、一通のLANEがスマホに届いた。画面を見ると、『今夜、空いてる?久しぶりにゆっくり話さない?』という文字。差出人は、学生時代からの親友で、今は別のチームでトレーナーをしている女性だった。
俺はヒシミラクルに気づかれないように、慌ててスマホをポケットにしまった。しかし、その一瞬の動揺を、彼女は見逃さなかったようだ。
「……トレーナーさん、今の、誰からのLANEですか?」
ヒシミラクルは少し目を細め、尋ねてきた。俺はしどろもどろになりながら答えた。
「ああ、いや、これは……。ただの昔からの友達で……」
「……友達?本当に?」
ヒシミラクルはぷくりと頬を膨らませ、不満そうに言った。
「わたし、知ってますよ。トレーナーさん、わたしに『ヒシミラクルといると、すごく心が落ち着くんだ』って言ってくれたじゃないですか。あれ、嘘だったんですか?」
「嘘じゃない!本心だよ!」
「じゃあ、この前『ヒシミラクルといると、素の自分が出せる気がする』って言ってくれたのも、嘘だったんですか?」
ヒシミラクルは今にも泣き出しそうな顔で俺を睨んだ。そして、信じられないようなことを口にする。 - 4二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:38:18
「なんでわたしだけ、こんなにトレーナーさんのこと好きなのに……!なのに、他の女の人とデートするんですか!」
「デートじゃないって!だから、ただの友達だってば!」
「じゃあ、この前『他のウマ娘には言えない、ヒシミラクルにしか言えない話があるんだ』って言って、わたしの手を握ってくれたのは、一体……!」
ヒシミラクルは目を潤ませながら、さらに言葉を続ける。そして、とうとう堪えきれなくなったように叫んだ。 - 5二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:39:24
「わたしで童貞捨てたくせに…」
「ばっ!バカ!こんな所でそんな大声で…」
俺は慌てて彼女の口を塞ごうとする。しかし、ヒシミラクルはさらに大きな声で叫んだ。
「わたしで童貞捨てたくせに!!!」
周囲のウマ娘たちが一斉にこちらを振り向く。その視線が突き刺さり、俺は顔が真っ赤になるのを感じた。
「……待て、ヒシミラクル。何かの勘違いだ。俺はまだ……というか、俺が童貞だったとしても、それはお前と関係ないだろ…」 - 6二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:40:28
俺の苦しい言い訳に、ヒシミラクルはさらに涙を流した。
「そんなの、トレーナーさんが、『初めてなんだ、こんな気持ちになったのは』って、わたしの手を握ってくれたから……!あれは、そういう意味じゃなかったんですか……!」
俺は完全に理解した。彼女は俺が過去に発した、『初めて』や『特別な存在』といった言葉を、恋愛的な意味、それもかなり過激な方向に勘違いしているのだと。 - 7二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:41:30
俺は彼女の頭を優しく撫で、その涙を親指で拭ってやった。
「ごめんな、ヒシミラクル。俺がちゃんと説明しなかったから、勘違いさせちゃったな」
「……勘違いなんかじゃないです……」
「ううん、勘違いだよ。あのLANEは、昔からの友達で、トレーナー仲間なんだ。それに、俺が言った『初めて』って言葉は、『ヒシミラクルみたいに、才能と努力を両立するウマ娘は初めてだ』って意味だったんだ。特別な存在っていうのも、俺の担当ウマ娘として、誰よりも大切だってことだよ」 - 8二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:42:30
ヒシミラクルは目を潤ませながら、俺の言葉をじっと聞いている。そして、ようやく納得したように顔を赤らめた。
「もう……!早く言ってくださいよ……!心配させないでください……!」
ヒシミラクルは拗ねたような口調でそう言いながらも、その表情は満面の笑みだった。そして、俺の手をぎゅっと握り、離そうとしない。
「トレーナーさん……。これからも、ずっと、わたしだけのトレーナーさんでいてくれますよね?」
「もちろんだ。約束するよ」 - 9二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:43:38
ヒシミラクルは、嬉しそうに俺に抱きついた。俺の胸に顔を埋めながら、彼女は小さな声で付け加えた。
「……ふふ、でも、ちょっとだけ、ヤキモチ焼いちゃいました」
勘違いから生まれた、ほんの少しのヤキモチ。それが、俺たちの関係を、ほんの少しだけ、特別なものに変えてくれたのかもしれない。 - 10二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:44:45
それから数日後。ヒシミラクルはいつも以上にトレーニングに集中していた。走る姿は力強く、迷いがなく、まるで何かの吹っ切れたようだった。
「トレーナーさん、次のレース、絶対勝ちます!そして、もっともっと、トレーナーさんにとっての『特別』になりますから!」
彼女はそう言い、自信に満ちた目で俺を見上げた。俺は、その熱意に応えるように、彼女の頭を優しく撫でた。
「ああ。俺も、全力でサポートする。一緒に、もっと上を目指そう」
そして、ヒシミラクルの次のレース。彼女は、見事な走りで1着を獲得した。 - 11二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:46:10
ゴールした瞬間、彼女はまっすぐ俺の元へ駆け寄ってきた。
「トレーナーさん!見ましたか!?わたし、勝ちましたよ!」
「ああ、見たさ。最高の走りだった。おめでとう、ヒシミラクル」
彼女は満面の笑みを浮かべ、俺に抱きついた。
「この勝利、トレーナーさんとわたし、二人のものですよね。だって、特別な二人の、初めての勝利ですから!」
彼女は楽しそうに、そして少し意地悪そうに、過去の勘違いを匂わせる言葉を使った。俺は苦笑しながら、彼女の頭を再び撫でた。
この先も、俺たちの道のりには、たくさんの喜びや困難、そして、もしかしたらまた、彼女の可愛らしい勘違いが待っているかもしれない。でも、そのすべてが、普通な俺と、普通なヒシミラクルの特別な物語なのだ。 - 12二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:47:22
おわり
甘々なトレミラだっていいじゃない - 13二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:48:17
乙乙 普通の中にある特別っていいよね…
- 14二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:49:51
しれっとミラ子で童貞捨てたって風評広まってるんですけどいいんすかこれ
- 15二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:53:56
- 16二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:55:48
- 17二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 04:13:40
ヤキヒシモチミラクルは健康にいい
- 18二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 06:08:02
トレミラ悪くないじゃない
タイトルと内容の温度差で風邪引くところだったじゃない - 19二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 07:02:10
なお後日理事長呼び出し確定の模様
- 20二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 09:25:46
召集ッ!
あ〜ヒシミラクルのトレーナーとヒシミラクルは大至急理事長室に来るようにッ!
二人に確認することがあるッ!