エボリューション ︎進化する小説「走れ皇成」

  • 1二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:41:53

    は激怒した。

    必ず、かの邪智暴虐の王をせねばならぬと決意した。

    には政治がわからぬ。は、村の牧人である。笛を吹き、と仲良く暮して来た。

    けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。

    今日未明は村を出発し、野を越え山越え、十里離れたこのにやって来た。

    には父も、母も無い。と十六の、内気な妹がいるだけだ。

    この妹は、村の律気な一牧人を、近々、花婿として迎える事になっていた。結婚式も間近かなのである。

    は、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。

    には竹馬の友があった。である。今はこので、石工をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。

    久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。

  • 2二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:42:58

    歩いているうちには、市の様子を怪しく思った。

    ひっそりしている。もう既に日も落ちて、街の暗いのは当たり前だが、けれどもなんだか、夜のせいばかりでは無く市全体がやけに寂しい。

    のんきなも、だんだん不安になって来た。路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年前にこの市に来たときは皆がを出して、街は賑やかであった筈はずだが、と質問した。

    若い衆は、を小さくし、答えなかった。

    しばらく歩いて老爺に逢い、こんどはもっと、語勢を強くしたが質問した老爺は答えなかった。は両手で老爺のをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

    「王様が、を要求します。」

    「なぜなのだ。」

    「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」

    「たくさんの人にを与えたのか。」

    「はい、はじめは王様の妹婿さまを。それから、御自身のお世嗣よつぎを。それから、妹さまを。それから、妹さまの御子さまを。それから、皇后さまを。」

    「驚いた。王は乱心か。」

    「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。あれは1年前、ある臣下がはちみつ納豆を進めたのが、始まりでした。あまりの不味さに吐いた王は、それ以来、人を信じる心を失ったのです。」

     それを聞いて、は激怒した。

    「呆れた王だ。生かして置けぬ。」

  • 3二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:44:01

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  • 4貼り直し(すまん)25/09/13(土) 18:45:01

    は、頭が切れるのか、単純なのか、よく分からない男であった。

    の中に小型の刃を仕込んだかと思えば、正面から王城に入って行った。

    たちまち彼は、巡邏の兵士に捕縛された。も調べられて、中からは刃が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。は、王の前に引き出された。

    「この刃で何をするつもりであった。言いなさい!」

    暴君は静かに、けれども威厳を以もって問いつめた。その王の顔は蒼白で、眉間の皺は、よく混ぜた納豆のようにに深かった。

    「市を暴君の手から救うのだ。」とは悪びれずに答えた。

    「貴方が?」

    は、憫笑した。

    「仕方の無いやつです。お前には、僕の孤独がわからぬ。」

    「言うな!」とは、いきり立って反駁はんばくした。

    「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の信頼さえ疑って居られる。」

    「疑うのが、正当の心構えなのだと、僕に教えてくれたのは、貴方たちだ。人の心も、味覚もあてにならない。人間は、もともと私慾の塊さ。信じては、ならぬ。」は落着いて呟つぶやき、ほっと溜息をついた。

    「僕だって、平和を望んでいるのだが。」

    「何の為の平和だ。自分の地位を守る為か。」

    こんどはが嘲笑した。

    「罪の無い人に?何が平和だ。」

  • 5二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:46:11

    「だまれ、下賤の者。」

    王は、さっと顔を挙げて報いた。

    「口では、どんな清らかな事でも言える。僕には、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。貴方だって、いまに、を払えなくて、泣いて詫びるはず。」

    「ああ、王は利口だ。自惚れているがよい。私は、ちゃんと払う覚悟があるのに。言い訳など決してしない。ただ……」と言いかけて、は足もとに視線を落し瞬時ためらい

    「ただ、私に情をかけたいつもりなら、三日間の日限を与えて下さい。たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は村でな結婚式を挙げ、必ずここへ帰って来ます。」

    「馬鹿な!」と暴君は、はちみつ納豆を食べた後のような声で低く笑った。

    「とんでもない嘘を言いますね。貴方は脱獄したが刑務所に帰って来るというのか?」

    「そうです。帰って来るのです。」

    は必死で言い張った。

  • 6二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:46:41

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  • 7二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:47:50

    最近

    不足だったから助かる

  • 8二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:47:53

    「私は約束を守ります。私を三日間だけ許して下さい。が、妹が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にという石工がいます。私の無二の友人だ。彼を、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人にを押し付けて下さい。頼む。」

     それを聞いては、残虐な心で、そっとほくそ笑む。

    生意気なことを言う。どうせ帰って来ないにきまっています。この嘘つきに騙された振りして、放してやるのも面白い。

    そうして身代りの男からを取るのも気味がいい。人は、これだから信じられぬと、僕は悲しい顔して、その身代りの男を処してやるのだ。

    世の中の、正直者とかいう奴輩にうんと見せつけてやりたいものさ。

    「願いを聞こう。その身代りを呼ぶがよい。三日目の日没までに帰って来い。遅れたらその身代りにを課す。ちょっと遅れて来るといいぞ?お前の罪は、永遠に許してやろう。」

    「な、何をおっしゃる!」

    「はは。金が大事だったら、遅れて来なさい。お前の心は、わかっているぞ。」 は口惜しく、地団駄を踏み、何も言えなくなった。

  • 9二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:49:04

    竹馬の友、は深夜、王城に召された。

    暴君の面前で、友と友は、二年ぶりに相見える。

    は、友に事情を語った。は無言で首肯うなずき、をひしひしと抱きしめた。友と友の間は、それでよかった。

    は暴君に縛られた。は、すぐに出発した。初夏、満天の星である。 はその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急ぎ、村へ到着したのは、翌る日の午前、陽は既に高く昇って、村人もも野に出て仕事を初めていた。

    十六の妹も、今日は兄の代りに羊群の番をしていた。よろめいて歩いて来る兄の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく兄に質問を浴びせた。

    「なんでも無い。」

    は疲れを押し殺し、無理に笑おうと努めた。

    に用事を残して来た。またすぐに行かなければならぬ。明日、お前の結婚式を挙げたい。急ですまないが、早いほうがよかろう。」

     妹は頬をあからめた。

    「嬉しいな。綺麗な衣裳も買って来た。さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来い。結婚式は、明日だと。」 は、また、よろよろと歩き出し、家へ帰って神の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。

  • 10二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:51:35

     眼が覚めたのは夜だった。

    は起きてすぐ、花婿の家を訪れた。そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれと頼んだ。

    婿の牧人は驚き

    「それはいけない、未だ何の仕度も出来ていない、の完成まで待ってくれ」と答えた。

    は、待つことは出来ぬ。明日にしてくれ給え、と更に頭を下げて頼んだ。婿の牧人も頑強であった。

    なかなか承諾してくれない。夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめて説き伏せた。

    結婚式は真昼に行われた。作り方を時短したもこれはこれで、美味だった。

    新郎新婦の神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。

    祝宴に列席していた村人たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持ちを引きたて、狭い家の中で、えいえいむんむん蒸し暑いのも怺え、陽気に歌をうたい、手を拍った。

    も、満面に喜色を湛え、少しだけ、王とのあの約束を心の片隅に置いた。祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。

    は、一生このままここに居たいと思った。この美しき村で生涯を暮らして行きたいと願ったが、今は、自分の体は自分のものでは無い。

    ままならぬ事である。は、我が身に鞭打ちついに出発を決意した。

    明日の日没までには、まだ十分の時が在る。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。

    その頃には、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。

    ほどの男にも、やはり未練の情というものは在る。

  • 11二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:52:03

    >>2

    チンコ出すなよ!?

  • 12二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:52:59

    今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、

    「おめでとう。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。眼が覚めたら、すぐにに出かける。大切な用事があるのだ。私がいなくても、もうお前には優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無い。お前の兄の、一番嫌いなものは、人を疑う事と、それから嘘をつく事だ。お前も、それは、知っているね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。お前に言いたいのは、それだけだ。お前の兄は、G1こそ勝てないけど、誇りは捨てない偉い男なのだから。お前もその誇りを持っていろ。」

     花嫁は、夢見心地で頷いた。

    は、それから花婿の肩をたたいて

    「いきなり結婚式を頼んですまない。私の家の、宝といっては妹と羊と、チケットだけだ。他には何も無い。私には無用なものだ。全部あげよう。もう一つ、の弟になったことを誇ってくれ。」

     花婿は揉み手して、照れていた。

    は笑って村人たちにも会釈して、宴席から立ち去り、ふと、除いたされたことをショックを受けながら、死んだように深く眠った。

  • 13二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:54:28

     眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。

    は跳ね起き、しまった、寝過したか。いや!まだまだ大丈夫。これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う計算だ。

    今日は是非とも、あの王に、人の信実の存するところを見せてやろう。そうして笑ってを払ってやる。

    は、悠々と身仕度をはじめた。雨も、いくぶん小降りになっている様子である。身仕度は出来た。は、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢の如く走り出た。

     私は、今宵される。身ぐるみを剥がされるために走るのだ。

    身代りの友を救う為に走るのだ。王の奸佞邪智を打ち破る為に走るのだ。走らなければならぬ。

    そうして、で全財産を失う。金を失っても名誉は守れ。さらばふるさと。借金返済で帰ることはないだろう。

    若いには、辛かった。幾度か、立ちどまりそうになった。えいえい、むん!と大声挙げて自身を褒めながら走った。

    村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止やみ、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。

    は額の汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練は無い。妹たちは、きっと佳い夫婦になるだろう。

    今や私には、なんの気がかりも無い筈だ。約束まで王城に行き着けば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必要も無い。ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気さを取り返し、途中ので大盛り牛丼を食べ始めた。

  • 14二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:55:40

    腹も満たし、二里行き三里行き、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧わいた災難。の足は止まった。

    見よ、前方の川を!

    昨日の豪雨で山の水源地は氾濫し、濁流滔々と下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵に橋桁を跳ね飛ばしていた。

    彼は茫然と、立ちすくんだ。

    あちこちと眺めまわし、声を叫び呼びたててみたが、繋舟は残らず浪に浚われて影なく、渡守りの姿も見えない。

    流れはいよいよ、ふくれ上り、海のようになっている。は川岸にうずくまり、男泣きしながらに手を挙げて哀願した。

    「ああ、鎮めたまえ、荒れ狂う流れを! 時は刻々に過ぎて行きます。太陽も既に真昼時です。あれが沈んでしまわぬうちに、王城に行き着くことが出来なかったら、あの佳い友達が、私のために死ぬのです。」

     濁流は、の叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。浪は浪を呑み、捲き、煽り立て、そうして時は、刻一刻と消えて行く。

    は覚悟した。泳ぎ切るより他に無い。ああ、神々も照覧あれ!

     濁流にも負けぬ愛と誠のな力を、いまこそ発揮して見せる。ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、な闘争を開始した。

    満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしき!と掻きわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍を垂れてくれた。押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのである。

    ありがたい。は馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先を急いだ。

  • 15二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:56:43

    これ以上、時間を無駄には出来ない。陽は既に西に傾きかけている。で大盛り牛丼を腹に流し込んだことを後悔しながら、峠をのぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊が躍り出た。

    「待て。」

    「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬ。放せ!」

    「どっこい放さぬ。持ちもの全部を置いて行け。」

    「私には命の他には何も無い。川で流されてしまった。残った唯一の命も、これから王にくれてやるのだ。」

    「だったらここで座っていろ。逃がさんぞ。」

    「さては王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな。」

     山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒を振り挙げた。

    はひょいと、体を折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、

    「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち三人を殴り倒し、怯む後隙に、さっさと走って峠を下った。

    一気に峠を駈け降りたが、流石に疲労し、折から午後の灼熱の太陽が、かっと照って来て、は幾度となく眩暈めまいを感じ、これではならぬ、と気を取り直してはよろよろ二、三歩あるいて、ついにがくりと膝を折った。立ち上る事が出来ぬのだ。

    天を仰いで、は悔しくて泣き出した。

  • 16二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:58:02

    ああ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒した韋駄天よ。ここまで突破して来た、真の勇者よ。今ここで、疲れ切って動けなくなるとは情けない。

    愛する友は、おまえを信じたばかりに、を払わなければならぬ。

    貴様は、稀代の不信の人間、まさしく王の思う壺だ。と自分を叱ってみるのだが、全身が萎えて、もはや芋虫ほどにも前進叶わぬ。路傍の草原にごろりと寝ころがった。

    身体疲労すれば、精神も共にやられる。もうどうでもいいという、勇者に不似合いな不貞腐れた根性が心の隅に巣喰った。

    私は、これほど努力したのだ。約束を破る心は、みじんも無かった。神も照覧、私は精一杯に努めるはずだ。動けなくなるまで走って来たのだ。私は不信の徒では無い。

    ああ、できる事なら私の胸を引き裂き割って、な心臓をお目に掛けたい。愛と信実の血液だけで動いているこの心臓を見せてやりたい。

    けれども私は、この大事な時に、精も根も尽きたのだ。私は嘘つきな男だ。

    私は、きっと笑われる。私の一家も笑われる。私は友を欺むいたのだ。中途で倒れるのは、初めから何もしないのと同じ事だ。

    ああ、もうどうでもいい。これが私の定った運命なのかも知れない。

    よ、許してくれ。君はいつでも私を信じた。私も君を、欺欺きたくなかった。私たちは、本当に佳い友と友であったのだ。

  • 17二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 18:59:06

    は深い眠りについた。

    心が折れた勇者は、もう走る気力を失った。の友と友の間にある信実は、この世で一番誇るべき宝はもう手に入らない……




    ババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!



    は眼を覚ました。この聞き慣れない音は、いったい何なのか。で牛丼を食べたことに激怒したのか、それとも友を見捨てたことに呆れたのか。

    茫然自失のの上空に影が覆いかぶさった。そう……なんと、ヘリコプターが飛んできたのだ!!まさに

    ヘリコプターの中からに花嫁、花婿。そして操縦者の知らない男が現れた。

  • 18二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:00:12

    このレスは削除されています

  • 19貼り直し(すまん)25/09/13(土) 19:01:12

    「誰だ。」

    は困惑ながら尋ねた。

    「私の名はです。貴方のお友達の弟子でございます。」

    その石工はの前に立ち話を続けた。

    「事情は全て聞きました。王にを、そして人の信実を確かめるために走り出したことを。」

    それを知ったはヘリコプターで宙を舞い、の村に飛び立った。ところがすでに村を出た後なのを知った。

    「まさかあの川を泳いで渡るなんて。これ以上の無理はやめてください。このヘリコプターに乗って国王の元に向かいましょう。さん達も、事情を知って心配しています。」

  • 20二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:01:42

    待ってヘリが出てきたんだが??????

  • 21二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:02:58

    今何時代よ

  • 22二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:03:19

    「離してくれ。」は、差し伸べられた手を払い除けた。

    私は負けたのだ。だらしが無い男よ。放っておいてくれ。

    王は私にちょっと遅れて来い、と耳打ちをした。遅れたら身代りにを与えて、私を助けてくれると約束した。

    私は卑劣な王を憎んだ。けれども、今になってみると私は王の言うままになっている。

    私は、休んで遅れて行こうと思ってしまった。王も国も、私を嘲笑い、事も無く私を放免するだろう。

    今の私は、自分のことが死ぬより憎い。私は裏切者だ。地上で最も、不名誉の人種だ。


    「それは違います。」はきっぱりと否定した。

    貴方は信じられている。もそう心に決めていた。だから暴君に縛られている。

    裏切者?まだ王の思い通りになった訳でもなく、貴方の身勝手な自己嫌悪など、今は誰も求めていないんだ。

    死んでお詫びする、などと気分の悪い言い訳は求めていない。貴方は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。乗れ!

    を助けたいのでしょう。

  • 23二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:04:31

     言うにや及ぶ。まだ陽は沈まぬ。

    最後の勇気を尽して、はヘリコプターに乗った。の体は、もう一人のものではない。、妹、花婿。

    わけのわからぬ大きな力によって得た繋がりはの心が諦めても支えるには充分だった。

    陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、は疾風の如く刑場上空に突入し、間に合った。

    「待て!その人を殺してはならぬ。が帰って来た。約束のとおり、今、帰って来た!」と大声で刑場の群衆にむかって叫んだ。

    群衆は響めいた。あっぱれ!ゆるせ!と口々にわめいた。は、から解放されたのである。

  • 24二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:05:41

    は眼に涙を浮べて言った。

    「私をしてくれ。私は、途中で一度、頭に悪い考えが過ぎった。君がもし私をしてくれないなら、私は君と抱擁する資格さえ無いのだ。殴れ。」

     は、すべてを察した様子で首肯き、刑場一杯に鳴り響くほど音高くの右頬を殴った。殴ってから優しく微笑み、

    、私もしてくれ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらっと君を疑った。生まれて初めて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない。」

    は腕に唸りをつけてを行った。

    「ありがとう、友よ。」二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。

  • 25二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:06:44

     群衆の中からも歓喜の声が聞えた。暴君は、群衆の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、こう言った。

    「貴方たちの望みは叶ったぞ。貴方は、僕の心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。本当にすまなかった。国民に化したは全て僕が返金する。」

     どっと群衆の間に、歓声が起った。

    「万歳!万歳!」

     群衆の中から、一人の少女が緋のマントをに捧げた。

    はまごついた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。

    、君は真っ裸じゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、そのを皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」

     勇者は、ひどく赤面した。

  • 26二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:07:38

    >>21

    時代でしょ(適当)

  • 27二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:09:05

    スーッと流し読みしても大体何が起こってるかわかってダメ

  • 28二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:09:17

    うるせぇ!!!!!

    あと途中で行ったり余裕ありまくりじゃねえかよえーっ

  • 29二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:11:40

    このレスは削除されています

  • 30二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:12:18

    久しぶりの進化する日本昔ばなしかと思ったらちょっと違った

  • 31二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:12:32

    はウマカテ最高の宝だな

  • 32二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:12:42

    はい

  • 33二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:13:01

    なんてモン書いてんだ太宰啓介

  • 34二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:13:31

    全 ラ ム ジ ェ ッ ト が 泣 い た

    映 画 化 決 定

  • 35二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:20:31

    後半走ってねえ...小説でタイトル詐欺なんてセコいぞ

  • 36二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:52:08

    このレスは削除されています

  • 37二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:54:46

    >>5

    タヴァラ脱獄してるとこで笑ったわ

  • 38二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 19:58:16

    ノリさんに闘魂注入!?

  • 39二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 20:01:38

    >>4

    鳥千は凶器なのか…

  • 40二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 20:24:38

    が闇に落ちた理由がはちみー納豆なのは説得力ある

  • 41二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 20:46:01

    闘魂注入が迫真すぎてウケる

  • 42二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 20:47:08

    途中エボが減ってるのはメロスの疲労を表している…?

  • 43二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 20:47:34

    スレタイで笑って>>1で声出た、ありがとう

  • 44二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 21:00:00

    こんな無駄に丁寧な無駄なパロディ初めて見た

  • 45二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 21:08:06

    圧倒的皇成率

  • 46二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 21:11:41

    ほしのあきと暮らすのは羨ましいってレベルじゃねぇぞ
    時代が時代なら天下人や

  • 47二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 21:34:11

    いいだった

  • 48二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 21:44:55

    >>20

    にもヘリくらいあるだろ

オススメ

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