- 1125/09/20(土) 22:19:36
- 2125/09/20(土) 22:21:04
前スレ
【クロス注意】幼馴染inNRC Part25|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼プロローグ
【クロス注意】ここだけ|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>個性は dice1d3=@2 (2)@1. 二人とも使えない2. かっち…bbs.animanch.com▼第一章
【クロス注意】幼馴染みinNRC|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第二章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part3|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第三章
幼馴染inNRC Part5|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第四章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part8|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第五章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part11|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第六章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part14|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第七章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part18|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com - 3125/09/20(土) 22:23:08
- 4125/09/20(土) 22:25:23
素敵な支援SS様
……ノーコメントで | Writeningパソスト風じゃなく普通のSSです。お目汚し失礼。 登場人物:出久+勝己+グリム+エース+デュース+ジャック+エペル+セベク ふわっと頭に浮かんだワンシーンを書きたいなと思ったらなんか長くなってしまいました…writening.netなんてことない普通の日 | WriteningパソストではなくSSです、ご注意を。 登場人物 トレイ・クローバー 尾白猿夫 砂藤力道(名前のみ) 個人的に尾白くんとトレイ先輩は仲良しであってほしいなぁと思う今日この頃。 アリアーブ・ナーリヤとかいっ…writening.netマスターシェフ〜地獄のニラ〜 | Writening登場人物:轟、リリア、砂藤、トレイ、エペル、デュース、エース、麗日、峰田、青山、学園長 ちょっと体調不良表現あるので苦手な方要注意、なんでも許せる人向け 「食」それは生命の礎。 清き海。強き山。優…writening.netもぎもぎパニック!ドアと化したフロイド | Writening登場人物:フロイド、峰田、緑谷、エース、デュース、ラギー、カリム、ジャミル、ルーク、リドル、セベク、飯田、イデア、オルト キャラエミュ間違い、キャラ崩壊あるかも なんでも許せる人向け 「おーいエ…writening.netドキッ!漢だらけの新メニュー決定戦〜飯テロもあるよ〜 | Writening登場人物:アズール、ジェイド、フロイド、ラギー、青山、飯田、上鳴、切島、瀬呂、砂藤(回想のみ) キャラエミュ間違いあったらスマソ、後半キャラ崩壊あるかも 何でも許せる人向け 「……皆さんが集まっていた…writening.net - 5125/09/20(土) 22:27:16
- 6125/09/20(土) 22:29:15
- 7125/09/20(土) 22:31:47
現在好感度まとめ
【出久→相手/相手→出久、 爆豪→相手/相手→爆豪】
*😺グリム 100/100、 93/91
*❤エース 100/100、 43/88
*♠デュース 100/100、 100/93
*🌹リドル 91/93、 79/100
*🔶ケイト 99/100、 85/87
*☘トレイ 30/27、 60/40
*🦁レオナ 26/74、 53/44
*🍩ラギー 14/59、 72/21
*🐺ジャック 84/100、 52/91
*🐙アズール 75/100、 94/31
*🐬ジェイド 26/65、 21/43
*🦈フロイド 8/33、 28/69
*🦦カリム 77/100、 49/86
*🐍ジャミル 95/84、 69/63
*👑ヴィル 100/100、 80/100
*🏹ルーク 100/100、 95/100
*🍎エペル 100/100、 100/100
*💀イデア 100/82、 71/64
*🔥オルト 84/46、 25/36
*🐲マレウス 95/70、 27/22
*🦇リリア 73/53、 100/31
*⚔シルバー 77/99、 98/48
*🐊セベク 24/54、43/19
*🐶クルーウェル 56/-、 13/-
*📚トレイン 78/-、 36/-
*🦾バルガス 16/-、 6/ - 8125/09/20(土) 22:39:29
前回までのざっくりあらすじ
『闇』から仲間を逃がすために『夢』に捕らわれた勝己と出久を助け出すため、夢渡りの旅の続行を選択したエースたち。
ほぼ自力で『夢』から醒めた勝己が仲間に加わった後、エースたちは出久の夢へと降り立った。
出久の現実の記憶を刺激して夢から醒まさせそうと、勝己が死にかけの自身の偽物を出久に見せたのだが、ショックが強すぎて出久は『闇』によってさらに深い眠りに誘われてしまう。
出久を追いかけて『闇』に飛び込んで降り立った夢の二層目は、瓦礫と廃墟だらけの「出久が誰も巻き込まずに一人でAFOと戦うことを選択できた世界」だった。 - 9二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 22:45:37
ヒーロースーツ出てくるの地味に楽しみだった
- 10二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 22:57:45
立て乙!楽しみ!!
- 11125/09/20(土) 22:58:26
この世界のA組のクラスメイトは皆『闇』だ。『闇』の集団に向かって歩いていく勝己の背中に引き留める声が届いたが、構わずに進んだ。
『OFA』を宿した出久を今から一から捜索したのでは、どれほど時間がかかるか分かったものではない。一度この世界で出久に接触したという設定になっているであろう『闇』のクラスメイトたちに協力を仰ぐ方が何倍も現実的だ。
勝己の足音に気づいた耳郎と障子がいち早く立ち上がり、警戒態勢に入る。出久のイメージが作り出した本人そっくりな『闇』の前に、勝己は堂々と姿を現した。
🎧「みんな気をつけて……って、爆豪が二人!?」
🐸「アナタまさか、トガヒミコ……!?」
🧨「違ぇ。俺は本物の爆豪勝己だ」
勝己の姿を見たA組のクラスメイトたちがどよめく。その中には、包帯を巻いたままの勝己の姿もあった。
♥「お、おいバクゴーまずいって。『闇』に囲まれてんじゃん」
😺「そうなんだゾ!いくらオメーでも、あんなにいっぱい相手にしたら勝てるわけねーんだゾ」
🧨「いい。黙って聞いてろ」
勝己は心配そうについてきたエースたちを制した。同じく、警戒し今にも戦闘に入ろうとするA組のクラスメイトたちを委員長が制し、前に出てきた。
👓「……一応、話は聞こう。俺たちは雄英を出る前からずっと爆豪くんと行動をともにしていた。もし、君が本当に爆豪くんだというのなら、どういうことなのか説明してもらおう」
飯田の声は落ち着いているが、目は鋭い。その後ろでは轟と『闇』の勝己が大技の待機動作に入っている。
🧨「――俺は、てめぇらから見た dice1d2=1 (1) から来た」
1.未来の世界
2.並行世界
- 12125/09/20(土) 23:26:21
飯田たちに向かって、勝己は嘘偽りのない顛末を述べた。
先の大戦の結末。復興作業中に出久と二人で異世界に飛んでしまったこと。そこで魔法災害に巻き込まれ、『夢』を渡って旅することになったこと。ここは出久の作り出した『夢』の世界であること。
事実上、この『夢』の住人である彼らから見れば、勝己は未来の人間だった。
👓「――そうか。それなら、合点がいった。君の話を信じるよ」
飯田は勝己の話を聞くと、ほんの少し安堵したように息を吐いた。
👓「実は、緑谷くんに振り切られたときから、俺たちはここから動けなくなってしまったんだ」
🔥「動けなくなったって、どういうこと?」
👓「緑谷くんを追いかけようとしても、体が勝手に雄英に戻ろうとしてしまうんだ。それでも緑谷くんを追いかけようとして――進むことも戻ることもできなくなってしまった」
🍑「どうした現象か分からずに当惑しておりましたが、謎が解けましたわ。私たちの意志とこの世界の主である緑谷さんの意志が拮抗して、バグが起きていたのですね」
飯田と八百万の話に同意を示すように、クラスメイトたちが頷いた。
出久が信頼するクラスメイトたちが、ここで出久を諦める真似をするはずがない。『闇』のクラスメイトたちは、本人たちと同じヒーローとしての意志を宿していた。マレウスの魔法で歪められた出久の意志にも負けない、強い意志を。
飯田はくるりと後ろを向くと、クラス全員に号令をかけた。
👓「諸君、今の話は聞いたな!今の俺たちはこの場から離れることはできない。だから――」
クラスメイトたちが一人、また一人と立ち上がる。出久と一戦交えた後で、みんな疲弊している。けれども、その目には強い光が宿っていた。
👓「爆豪くんと、異世界で緑谷くんが出会ったという友人諸君が緑谷くんのもとに辿り着けるように、A組一同全力でサポートするぞ!!」 - 13二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 23:35:20
- 14二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 23:40:23
デク君がクラスメイトをよく理解して信じてるからこそ、こういう出力になるんだな…
- 15二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 23:45:15
A組と協力展開キタ━━(゚∀゚)━━!!!!
NRC生から見た雄英光属性ばっかりだろうしロイソ的な感じでちょっと居心地悪そうだったら笑う - 16二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 23:46:16
この場に青山くんはいる?
どんな顔してるんだろう - 17125/09/20(土) 23:51:40
🐊「……おい、バクゴー。奴らは『闇』だぞ。本当に信用できるんだろうな」
🧨「出久の中のアイツらが、卑怯な真似を出来るわけがねぇ。大丈夫だ」
出久のイメージで作り出されたクラスメイトたちは、勝己たちを送り出すためにキビキビと動き始めた。
🍑「爆豪さん。ここを去ったときの緑谷さんの速度と飛んでいった方角から現在のおよそ位置を割り出せるのですが、リアルタイムの位置変化を求めるための数式をお教えしてもよろしいでしょうか?」
🔥「はいはーい!計算なら僕におまかせ!地図もあれば完璧に演算することが可能だよ!」
🍑「まあ!それなら、紙でよろしければ地図もお出ししますわね」
👓「俺のスピードで君たちを送り出したいのだが、乗り物のようなものはないだろうか。八百万くんは先の戦いで脂質を使い果たしてしまって、今は大きなものは創造できないそうでね」
♠「乗り物……乗り物……。ええと――出でよ、大釜!!」
♥「出た、デュースの大釜」
😺「デュースが大釜出してるとこ、久しぶりに見たんだゾ」
⚡「おお、魔法すげーな!でも、シートベルトとかないけど、スピードが出た大釜の中でミンチにならん?」
💃「緩衝材として私の酸入れとく?溶解度は限界まで下げとくからさ。えいやっ!」
😺「うわっ、なんか酸っぱい匂いがするんだゾ!」
💃「そりゃ酸だからね~。嫌だった?」
😺「うんにゃ、レモンジュースみたいで美味そうなんだゾ!」
💃「あはは、飲んじゃだめだぞ!!」
🌿「…………」ジー
⚔(手袋しか見えないが、視線を感じる……)
⚔「すまない、俺は何か粗相をしてしまっただろうか」
🌿「あっ、ゴメンゴメン!違うの!なんか君、轟くんに雰囲気似てるなって思って!」
⚔📛「「…………?」」
⚔「そうだろうか?」ボンヤリ
📛「そうなのかもしんねぇな」ボンヤリ
🎧「ホントだ……なんか似とる。ジワジワくる、フフッ」
🌿「でしょでしょー!」 - 18二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 23:54:53
凄い!絵文字なのに誰が誰か分かる!
- 19125/09/21(日) 00:43:22
デュースが出した大釜を1年生たちが防護魔法で強化し、シルバーと轟が氷で滑走路を作っていく。
その傍で、勝己はヒーロースーツに袖を通した。勝己を“大・爆・殺・神ダイナマイト”たらしめるスーツで身を包めば、より一層気が引き締まる心地がした。
🔥「わあ!それがバクゴーさんのヒーロースーツなんだね!恰好良い!」
😺「腕が爆弾になってるんだゾ!カッケー!」
♥「へえ。『S.T.Y.X.』のスーツもイかしてたけど、青よりオレンジのほうが似合ってんね。いいね、クールじゃん」
🐊「フン。見かけ倒しならば承知せんぞ!」
🍵「爆豪くん。私たちの分まで、デクくんのことお願いね」
🧨「ハッ。言われンでも」
🍵「そうだよね。――頑張れ、爆豪くん!」
麗日が大釜に乗り込む面々触れていく。出久に接近したらオルトが特定の周波数で耳郎に合図を送り、『無重力』を解除してもらう手筈になっている。
👓「……爆豪くん、君たちが出発してしまう前に一つだけ聞いても良いだろうか」
大釜に乗り込む前の勝己の傍に飯田がやってきた。
👓「現実の俺たちは、孤独に戦った緑谷くんをどうやって連れ戻すことができたんだろうか」
🧨「――委員長が追い付いて手を引いて連れ帰った。ンで、麗日が雄英の市民に演説ブチかまして帰る場所を作った。その後は男子連中で風呂入れて洗い殺して……オールマイトに会った後には安心してソファで寝とった」
👓「そうか。――俺の手からすり抜けていく緑谷くんの後ろ姿が頭から離れなかったんだ。……あんなに辛そうな顔をした緑谷くんが本当はいなかったんだと、聞けてよかった。ありがとう」
飯田が目を細める。大人びた顔立ちの飯田の微笑みには、出久とはまた違った人を安心させる力があるように思えた。
👓「さあ、諸君!!いよいよ送出の時だ、段取りの通りにいくぞ!!プルス―――」
「「ウルトラ!!!!」」 - 20125/09/21(日) 01:05:47
👓「“レシプロターボ”!!」
🌑「黒影(ブラックシャドウ)、“終焉(ラグナロク)”!!」
飯田は両脚を最大出力で加速させ、勝己たちが乗りこんだ大釜を押した。常闇の黒影が力を添えて初速を助ける。
👓「行けェッ!!!」
飯田たちの行動可能範囲ギリギリまで作られた氷の滑走の端に来て、無重量状態の大釜は空へと飛んでいく。
✨「“ネビルレーザー・スーパーノヴァ”!!!」
ダメ押しで青山の光線が大釜を押す。その衝撃で、大釜の側面に峰田の『もぎもぎ』で固定していた勝己のBN式手榴弾が爆発して更なる推進力を生んだ。
😺「うわあああああ、目が回るんだゾ~~!!」
♠「セロって奴がテープでシートベルト作ってくれなかったらヤバかったな」
🔥「ミドリヤ・イズクさんの最新の位置情報を計算します――軌道修正のためにスラスターを展開。……みんな、ミドリヤさんの零素反応を捕捉できたよ!」
キィイイン!とオルトから電子音が鳴る。耳郎経由で信号が麗日に届き、大釜に重力がかかって下降を始めた。
🧨「――いた!!」
勝己たちの視界の先に、『黒鞭』を垂らしたまま、緑の閃光を纏って移動する出久がいる。
♥「あれが――ミドリヤ?」
😺「なんか真っ黒なんだゾ」
血と泥に塗れ、禍々しい容貌になってしまったヒーロースーツ姿の出久を見て、エースが困惑の声を上げた。 - 21125/09/21(日) 01:20:36
🧨「てめぇ、クソな夢みてんじゃねェ出久!!!」
勝己は大釜から飛び出して、クラスターで出久に向かって突っ込んだ。KABOOOOOM!!という大きな爆音を聞いて、マスクを被ったままの出久が弾かれたように振り向いた。
この場に出久に敵意をもった者など誰もいない。『危機感知』の探知性能が優れている分、そこさえ掻い潜ってしまえば出久への不意打ちは難しいことではなかった。
🥦「――かっちゃん!?どうやってここに、それにその人たちは――」
🧨「余計なことに頭回す余裕があンなら、とっとと思いだせや!!!」
*対抗ロール
出久 dice1d8000=89 (89)
爆豪 dice1d8000=6959 (6959)
- 22二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 01:23:26
ダイス結果の差が酷いwww
いけいけ!大・爆・殺・神ダイナマイト!! - 23二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 01:54:26
すごいダイス目になっとる
ヒーロースーツ補正でも出てるのか大・爆・殺・神ダイナマイト
それとも出久の勝利のイメージがそのまま適用されたのか - 24125/09/21(日) 02:13:31
🥦「ダメだ……これはOFAとAFOの戦いだから、皆はついてこれない!!」
🧨「誰が何についてけねェって?一体いつの話してやがンだァ~~??」
出久の『黒鞭』が勝己を捕らえて遠ざけようと縦横無尽に襲い来るのを、勝己は全身爆破で全て躱した。ヒーロースーツに着替えてからずっと、掌に汗の珠を溜め続けていた。汗の珠が無理やり体の中を通り抜け、噴き出してくる痛みが勝己に新たな力を与える。
フィジカルさえ許すのならば、センスの塊である勝己が一度習得した技術を再現できないはずはなかった。
🥦「――何だ!!?今、掌以外で爆発が」
🧨「遅ェ」
🥦「―――ッ!!」
KABOOOOOOM!!
勝己の『爆破』は掌由来である、という強い先入観が出久の判断を鈍らせる。全身爆破による高速かつ不規則な軌道に翻弄される出久に、勝己は思い切り爆破をぶつけた。
黒鞭が出久の全身を覆い、鎧の役目を果たそうとする。
🧨「テメェら、今だ!!!」
「「――氷よ!!」」
魔法の詠唱が重なる。黒鞭で出久の視界が悪くなる瞬間をずっと狙っていた。轟の大氷海嘯には及ばないが、グリムとエースとデュースとセベクとシルバー5人分の魔力を合わせた氷塊が出久の動きを一瞬止めた。
🧨「――出久、俺を見ろ」
勝己は籠手を外し、スーツの襟元を下げた。縫合痕だらけの歪んだ右腕と、惨たらしい傷の残った胸を出久の目に晒す。
🥦「何で……その傷は……!?うぐっ!?」
ぐら、と『夢』が揺らいだ。
ここは出久が"誰も巻き込まず済んだ世界”であり、同時に"まだ取り返しがつく世界"でもある。
この世界ではまだAFOも死柄木もトガヒミコも生きている。荼毘も致命傷を負っていない。破壊された土地はまだ元の姿を留めたまま。エンデヴァーが腕を失うこともなく、ホークスが『剛翼』を決定的に失うこともなく、麗日が腹を刺されることもなく、勝己が右腕と心臓に傷を負うこともない。
勝己の体の傷は、この夢の前提に反する齟齬そのものだった。 - 25二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 08:17:27
そうだよなあ、それは示せる齟齬だ
忘れられない傷の一つだ - 26二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 09:27:52
委員長は迷子の手を引くヒーローだからね(大号泣)
- 27二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 09:29:05
毎回レスにハートが14とかついてるの見ると人気なんだなこのスレって思ってた笑顔になる
- 28二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 11:35:26
最終巻まで、ファンブックまで見て改めて思うけど爆豪って、悪い意味でも良い意味でもデクに人生狂わされてるな
デクの無個性化に泣く→A組と共に自分が中心になりデクアーマー出資→自分の事務所に勧誘
最初の頃はただえさえ視界に入れたくないのに頭から離れてくれないのにいつの間にか自分にとって最高のライバルになってるし
後半の爆豪、初期爆豪と真逆すぎて…
ツイステ世界での2人の成長やツイステキャラとの絡みが見れてとても嬉しいかぎり…スレ主さんいつもありがとう - 29二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 14:09:09
良くも悪くもかっちゃんにとってでけぇ影響を与えてきて隣でずっと競い合って生きていきたいと思うようになって事務所にも誘うくらい良い関係性なれてるの凄いことだよなあ昔のいじめとか消えない、変えられない過去はあれど、未来は作れるし変えられる(デクをヒーローの世界に皆と共に戻すとか)
- 30二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 19:53:23
保守
- 31二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 22:45:13
A組のみんなありがとう……そしてダイス神は暴れっぷりが凄い
- 32125/09/21(日) 23:28:39
🥦「何だ、この記憶は……あ、頭がっ!!『危機感知』の痛みじゃない……ッ!」
頭蓋をこじ開けらるような痛みに出久が呻いた。出久の脳裏に傷ついていた仲間たちの姿が浮かび上がる。四肢を失ったミルコ。腹から血を流していた波動。蹲り動かなくなった天喰。心臓が破れて血の色を失った勝己。その傍で膝をついたベストジーニスト。間に合わなかった出久を詰り嘲る死柄木の声。
🥦「ハァッ、ハァッ……、どうしてみんな……僕のせいで、うぐッ、アアア!!」
🧨「目ェ開けてこっち見やがれ!!ジーパンとエッジショットのおかげで俺は生きてる!!他の奴らも、あンとき傷が残った奴は大勢いっけど、誰も死なずに済んだだろうが!!思い出せ!!」
混乱する出久の内心を映したかのようにのたうち回る黒鞭をいなしながら、勝己は懸命に語り掛けた。
「「ミドリヤ!!!」」
大釜の中で待機していた面々も、出久のために危険を承知で駆け出した。
🥦「君たちは……」
♠「ミドリヤ!!僕はお前たちがどんな戦いをしてきたか全然知らないけど――入学早々シャンデリアをぶっ壊して退学になりそうになった僕に力を貸してくれたときから、お前は僕のヒーローで、マブなんだ!だから、僕たちのことを思い出してくれ!!」
⚔「ミドリヤ!お前は俺が『闇』に呑まれそうになったとき、自ら『闇』に飛び込んで俺を助けにきてくれた。だから、今度は俺がお前を助ける番だ!」
出久の負の感情に寄ってきた『闇』が、攻撃魔法で退けられていく。
🐊「ミドリヤ。僕はこの『夢』を巡る旅の中で、何度も貴様の強さを目にしてきた。貴様は『闇』に討ち負けるような輩ではないだろう!!さっさと目を醒まさんか!!」
♥「最初はお前のこと、馬鹿みたいにお人好しで意味分かんねぇって思ってた。そんで、危険なことにも突っ込んでいくイカれた奴だって。でも……でもさ、そんなお前のこと、ずっとすげーって思ってたんだ!!だから、いつものお前に戻ってくれよ!!『闇』になんか負けんな!!」
😺「イズク!!さっさと起きて、オンボロ寮に帰って、オレ様、早くオマエと一緒にまた飯を食いたいんだゾ!!」
🥦「みんな……」
出久を眠りに引き戻そうとする『闇』が取り払われていく。頭の痛みとともに、靄がかかっていたような思考がクリアになっていく。 - 33125/09/21(日) 23:48:01
🧨「出久。俺が死柄木にぶっ刺された時に言ったこと、覚えてンな」
🥦「うん……覚えてる。『一人で勝とうとしてんじゃねェ』って」
『夢』がぐらぐらと揺れる。出久はもう、黒鞭で勝己を遠ざけようとはしなかった。
🥦「……かっちゃん、謝ってくれた。飯田くんが手を握ってくれた。麗日さんが居場所を作ってくれた。みんなが雄英に連れていってくれて、う、うぐ、うううッ……!!」
出久の本当の記憶が溢れ出す。辛い記憶も、忘れられない記憶も、全て。
辛いときに激励してくれた通形。落下する天空の棺を受け止めたジェントル・クリミナルの『個性』。オールマイトが絶対絶命の危機に陥ったときに、死の淵から蘇って真っ先に救けにきてくれた勝己。
死柄木との戦いの最中、ずっと寄り添ってくれた『OFA』の継承者たち。精神が干渉し合う世界で握りしめた転弧の手。相澤が届けてくれたエリの力と、メンズノンノ全サ第5弾Tシャツ。力を貸してくれた沢山の仲間。最後の最後に飛んできてくれた勝己。
最期まで敵たちのヒーローであろうとした死柄木の、少し意地悪そうな淡い笑み。
🥦「うわあああああアァァァアアアッ!!!」
出久の右の頬の皮膚は擦り切れ、額が切れる。左腕は右腕と同じくらいにボロボロになり、両腕とも感覚が鈍く遠くなっていく。
全てを思い出した出久は、その場に崩れ落ちた。
🥦「僕は……なんて夢を……。一生忘れないって誓ったのに……!」
*出久の涙腺 dice1d100=94 (94)
(51以上で涙が出ます)
- 34二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 23:50:33
splash!
- 35二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 00:05:15
びっちゃびちゃで草
思い出せてよかったね………!!! - 36二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 00:08:05
大泣きですやん、当たり前だけど
- 37二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 00:13:14
弔のことは忘れて無かったけど
弔とのやりとりとスピナーへの宣言が無かったことにされてたな… - 38二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 02:11:14
ここでそんな夢を見せたマレウスじゃなくて自分を責めるのが出久だなぁ…って
- 39二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 06:39:34
NRC勢で一番最初に駆けつけてくれるのがデュースなの熱いな
このスレで出久と好感度がお互いにカンストしたのが一番最初で、デュースも考える前に体が動くタイプだからな - 40二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 11:35:17
ほしゅ
- 41二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 15:56:00
あーもうみんなかっこいい……
そうだよな、忘れないって誓ったもんな…… - 42二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 19:24:07
出久、ちゃんと思い出すことが出来て良かったなぁ。大切な記憶だもんね。
- 43二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 19:52:34
出久の根っこの部分、ちゃんと理解してたんだなエース
本当によく人を見てるし、そこふまえて肯定できるの良いなぁ - 44二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 22:16:51
エーデュースともいい関係築けてるんだよなあ改めて
良い友人達だよ…… - 45二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 22:35:45
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- 46125/09/22(月) 22:36:55
🥦「うぅ、ぅ……」
出久の目からとめどなく涙があふれる。出久の足元にすぐさま水たまりができる。
🔥「ミドリヤさん」
都合の良い『夢』を見ていた己への失望で涙する出久の傍に、オルトがふわふわと近寄った。
🔥「――僕たちはシガラキさんという人のことを良く知らない。けど、ここまで断片的に得た情報から、なんとなく、あなたと彼がどういう結末を迎えたのか導き出すことができた」
オルトのガラス質のアイレンズが出久を映す。これをあなたに話したことは兄さんには内緒にしてね、と前置きをして、オルトは小さな声で出久に語り掛けた。
🔥「――マレウスさんの魔法領域の中で、兄さんは“オルト”がナイトレイブンカレッジに通っている『夢』を見てた。“オルト”が側にいる世界で、“ORTHO(僕)”が生まれることはない。だから、兄さんの夢で僕は姿を現すことができなかった」
🔥「でも僕は、兄さんがそんな『夢』を見ていたからって、兄さんが僕を二人目の弟だと言ってくれた言葉に嘘があったなんて思わないよ」
🥦「オルトくん……」
🔥「もう二度と会えない人と一緒にやり直せる『夢』を見るのは、何も悪いことじゃない。それだけその人に強い想いがあったってことの証明だ」
星色にきらめくオルトの瞳が出久の両目を覗き込む。
🔥「シルバーさんが僕のハンドパーツを握ってくれたとき、僕の思考演算からネガティブな要素が消えたんだ。人間風に言うなら、安心したっていうのかな。だから、あなたも!」
オルトが小さなハンドパーツを出久に差し出した。機械仕掛けの手はエネルギーが通っていて温かい。出久がオルトの手を取ると、その手はへたり込んでいた出久の体を力強く引き上げた。 - 47125/09/22(月) 23:03:10
🥦「うん……ありがとう、オルトくん」
🔥「ふふ、やっと笑顔が戻ったね!」
空中でくるりと回ったオルトの後について、出久は夢渡りの旅を共にした仲間たちの輪に歩き出した。
ありがとう、と口にして、ガラスが割れたような甲高い音にかき消された。この『夢』が崩壊を迎えるのだ。
🐊「そうか。この先の戦いの結末を体現するバクゴーが現れたことで、この夢のミドリヤは完璧なハッピーエンドを迎えられなくなったということか」
⚔「とにかく、今は急いでこの夢から離脱しよう」
感動の再会は後にすればいい。みんながシルバーの周りに集まって『夢』からの脱出に備える。出久もそうしようとしたところで、突如地面の底が抜けたように体が水たまりの中に沈みこんだ。何も反射することのない、真っ黒な水たまり。『闇』だった。
🥦「うわぁっ!?」
🧨😺「「出久!!/イズク!!」」
反射的に反応した勝己とグリムが出久の肩を掴んで支えた。しかし、出久の体はどんどん『闇』に飲み込まれていく。
😺「ふな”~~っ!お、重いんだゾ!!」
🧨「おい!てめぇ今は『OFA』使えんのか!?」
🥦「ダメだ、『闇』に吸い取られて何も出せない!」
出久は『黒鞭』で体を固定できないか試そうとしたが、何も出すことはできなかった。超パワーも今は使えない。
🥦「……二人とも、手を離して」
😺「で、でも、それじゃイズクが!」
🧨「……信じていいんだろうな」
🥦「勿論。僕を信じて。……リドルくんやアズールくんや、他のみんなみたいに、必ず戻ってくる」
深淵と誘う『闇』は、一度囚われたら物理的に抜け出すことはできない。抜け出すには、夢の最下層から自力で戻って来るしかない。出久は一度深淵まで落ちる決意を固めた。勝己の赤い目が心得たように一度まばたきをした。
🧨「なら、さっさと行って帰ってこい」
🥦「えっ、ちょっと待って!だからって沈めないでよ!!本当に信じ難いな、ゴボゴボ……」
心が通じあった次の瞬間には、勝己の手が出久の頭を『闇』に押し込んできた。言葉通り、早く言って帰ってこいということらしい。
⚔「この夢はもう限界だ、離脱する!ミドリヤ、必ずまた会おう!!」
シルバーと周りのメンバーが光に包まれ出久の『夢』から抜け出して消えたのをなんとか見届けると、出久の体は頭のてっぺんまで『闇』に飲み込まれた。 - 48二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 23:07:13
聞き覚えのあるフレーズだと思ったら転弧の深層意識での下りのオマージュか!ヒーローがヴィランに手を伸ばす下りがヴィランがヒーローに手を伸ばす構図になってるのツイステとのクロスだからこその味って感じがして良い
- 49二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 23:31:04
沈めるかっちゃんマジで草
- 50二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 07:48:42
自分の手で押し込めちゃうのほんとかっちゃんって感じするわ、、
- 51二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 07:51:54
ヒロアカもツイステも「手をとる」事に特別な何かがある気がする
ヒロアカは言わずもがな
ツイステは最初の一人を選んだとき「決してその手を離さぬように」みたいな事を言われたし - 52二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 11:41:11
これ黒デクと対峙するフラグだな?
- 53125/09/23(火) 15:53:42
気が付くと、出久は暗い闇の底にいた。
目の前には、スーツのあちこちが擦り切れて解れ、血と泥に塗れた姿の“デク”がいた。
――君は、僕?
ボロボロになったデクは薄汚く、オールマイトの笑顔を象ったマスクが歪み、いっそ悪魔のように不気味な容貌だった。己の姿を客観視して、道理で救けた人たちが自分を見て逃げてしまったわけだ、と出久は今更ながらに思った。
けれど、“デク”のマスクの下で優しく光る目に敵意はない。
――僕は君の中にある『OFA』の記憶だ。やっと、僕のところまで来てくれたね。
その声は、自分のもののようにも、初代のもののようにも聞こえた。
デクはその場から動かない。そのとき、出久ははた、と気づいた。デクの足には枷がかけられている。動けないのだ。それは、出久が自分自身にかけた“現実”という枷だった。
――世界が危機に瀕しているんでしょう。なら、僕の力を使って。
デクがグローブを外し、傷だらけの手をさらけ出した。それが意味することを悟り、出久はデクのもとまで歩み寄って枷を外した。
――君はほんのいっとき力を得て、また失う。それでもいい?
――うん。それでもいい。それで、皆を救けられるなら。
イメージが具現化するはずの世界で、出久はずっと『OFA』の力を使うことができなかった。無個性に戻ってしまったから、もう『夢』は十分に見たのだから、本当の自分のまま強くならないといけないのだと強く自分に言い聞かせていた。 - 54125/09/23(火) 15:55:04
――宝物を失うことより、誰かを救けられないことのほうが怖い。僕は皆を……マレウス先輩を救けたいんだ!
枷を外すと、出久は自らもグローブを外した。出久の手には、先ほど勝己の爆破を食らったときの熱でわずかに皮膚が剝けてしまった箇所がある。
手の傷同士が重なり、DNAが交じり合う。真正面から見たデクの瞳には、8つの光が宿っていた。使命のために戦う出久に寄り添ってくれた、義勇の心を宿した者たちの意志の光だ。
――また君の傍で戦えることを嬉しく思うよ、九代目(緑谷くん)。
まずは本体となる『OFA』の力。そこから次々に歴代の『個性』の力が出久の中に流れ込んでくる。
出久に力を譲渡すると、デクの姿は光となって解けてゆっくりと消えていった。最後に残った金色の光が出久を抱きしめる。
――オールマイト、見ていてください。必ず救けて勝って、戻ります。
出久の言葉を聞くと、金色の光は優しく微笑んで出久の中に溶けて消えていった。
母のデザインを基調とした緑色のヒーロースーツに走った鮮やかな黄色のラインが、グラントリノから受け継いだボロボロのマントが、金色に輝く。
受け継いだ力を確かめるように拳を握れば、緑色の閃光が弾けた。
――スマーーーーッシュ!!!
周囲を取り巻く闇に向かって、出久は拳を打ち込んだ。雲が割れるように、闇にあいた風穴から光が差し込む。
『闇』から出久が戻ると信じて待っている仲間のもとへ駆けつけるため、出久は光に向かって飛び出した。 - 55二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 16:01:23
優しい一体化だ…
- 56二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 20:25:29
頑張れデク!頑張れかっちゃん!頑張れNRCのみんな!
- 57125/09/23(火) 20:34:48
光の眩さに一度瞬きをすると、出久はいつの間にか自宅の玄関にいた。
🦜「いってらっしゃい、出久」
🥦「……お母さん」
振り向けば、母の引子がいた。『闇』であることは分かっている。でも、優しく目を細めた顔は本人そのもので、出久は早く母の待つ家に帰りたくてたまらなくなった。
🥦「――うん、いってきます!!僕、必ず帰るから!!」
🦜「うん?気をつけて帰ってきてね」
手を振る『闇』の引子に手を振って、出久は玄関の扉に手をかけた。爽やかな朝の光が漏れだした扉の向こうには、逆光になったヒーロースーツ姿の勝己と、異世界で知り合った仲間がいた。
🧨「遅ェ」
🥦「これでも迷わず戻ってきたんだけどな……」
♥「ったく、バクゴーは相変わらず素直じゃねーな。おかえり、ミドリヤ!」
♠「おかえりミドリヤ。ひょっとして、今家の中にいたのがミドリヤの母さんか?すごく優しそうな人だな」
😺「イズク~~!オレ様、待ちくたびれたんだゾ!」
🥦「おっと!ただいま、グリム!!」
ぴょんと飛びついてきたグリムを抱き上げ、出久は待っていてくれた仲間のもとに戻った。
🔥「ミドリヤさんのヒーロースーツも、すごく恰好良いね!」
🐊「崩壊前の姿はボロボロで雑巾のようだったが、今は悪くないではないか」
⚔「ミドリヤ、よく『闇』の底から戻ってきてくれた。本当によかった」
🧨「……お前、今は『OFA』使えンの」
🥦「うん。まだ実感が薄いけど、歴代の個性も全部使える」
*かっちゃんの反応 dice1d100=40 (40)
1:見た目上は反応薄い
100:なんか嬉しそう
- 58125/09/23(火) 20:58:22
🧨「ブランクあっからって、下手な動きしたら前線から爆破し飛ばすかンな」
🥦「大丈夫。不思議と、勘は鈍っていないのが自分でもわかるんだ」
二人がヒーロースーツを着て並び立つのは、あの日以来のことだった。互いが互いを奮い立たせる。時間は空いてしまっているが、二人は今すぐにでも出動できる状態だった。
🔥「――みんな、聞いて!!今、兄さんから通信が入ったよ!!兄さんとリドルさんが、『チートツール』を完成させたんだ!!」
オルトが空中でくるりと宙返りした。兄の無事を知ったオルトの頭の炎がゴウゴウと強くなる。
🔥「さあ、みんな!兄さんの『夢』に集合だよ!いよいよマレウスさんとの最終決戦が始まるんだ!!」
それぞれがオルトから受け取っていた招待コードが光を放ち、目の前に突如として『扉』が現れた。招待コードは鍵へと形を変え、目の前の『扉』の錠を開いた。
🔥「さあ、行こう!全宇宙が、僕たちを待ってる!!」
🥦「――うん!!」
🧨「やっとかよ、モヤシギークが!」
😺「いよいよなんだゾ~!!」
出久たちはイデアへの『夢』へと続く扉を潜った。扉を通ると、まるで薄い膜を通り抜けたように、世界を構成する理が全く異なる空間へと入ったのを肌で感じた。
ここから先は、『チートツール』によってイデアが支配者となった世界。イデアの支配下になった『夢』でマレウスを弱体化させ、ナイトレイブンカレッジの面々で袋叩きにしてボコボコにする。そういう計画だった。
😺「――大魔法士グリム様のおでましだ!おい、オメーら!ついてこい!」
🧨「――ラスボス様が来てやったぞ。“大・爆・殺・神ダイナマイト”を敵に回したこと、みっちり後悔させてやんよ!!!」
🥦「――絶対にマレウス先輩を止めてみせる。救けて、勝つんだ!!」
『扉』の先は、ナイトレイブンカレッジの“鏡の間”だった。そこには、青い唇の端を吊り上げて得意げに笑うイデアの姿があった。
💀「さあ、期間限定バトルイベント、『NRC・深淵の支配者=討伐戦=』のスタートだ!」 - 59二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 21:00:20
OFA使える様になったけどこれって歴代継承者もいるのかな?
- 60二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 21:13:18
- 61二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 21:16:10
これはスレ主イグニハイド寮
- 62二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 21:45:40
ということは、対AFOラキを蹂躙したアレが見れるのか…
- 63125/09/23(火) 21:50:58
てなわけで、ダイス振りながら考えてたかっちゃんの 『夢』の設定です。あらかじめ展開がある程度固まっていたため、かっちゃんの『夢』より自由度低め。
デクの夢の設定 | Writening【前提条件】 4歳前の個性検査の日が分岐地点 【選択肢➀】かっちゃんの推測 1.出久が個性をもって生まれた世界 →出久が検査の日に『個性』を発現させた世界。個性の内容は『引力』『火』『引力と火の複合…writening.net出久にとって雄英は「最初から受け入れてくれた場所」なので殆ど現実との齟齬がないが、地元の人間はマレウスクオリティの魔改造を施されている。
かっちゃんはそのままの人格だとマレウスNG判定くらってしまったようで、綺麗なかっちゃんにされてしまった模様。
二層目は本編の展開固定。
画像入れ忘れたことを後悔しているのですが、こんなスレを立てておきながら実はスレ主のヒロアカの推しは飯田くんだったりする。
飯田くんはウルトラハイパーカッコイイかつ可愛い男。デクと打ち解けた後お茶子と三人で下校するシーンが大好き。
- 64125/09/23(火) 21:54:23
ゲームカテは見ないのですが、そこそこツイステ勢の方も見てくださっているのですね……
普通にツイステのワードで検索しても引っかからないはずなので、不便なところへようこその気持ちです
おそらくスレを通して読むととんでもない文字数になっているかと思うので、継続して見てくれているスレ民の皆さまに感謝です
- 65二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 21:54:36
- 66二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 21:56:54
- 67二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 22:30:33
- 68二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 22:33:50
それ!!
- 69二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 22:38:20
- 70二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 22:51:42
何度見てもダイス神の采配がすごい。
ノートを爆破して暴言を吐く展開予定がダイス神により幼馴染の死体もどきを見るというえげつない方向に向いたのほんま草 - 71二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 22:58:07
中学生かっちゃんよりクソ下水煮込みしてる…
- 72二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 06:25:13
ダイス神容赦なぁい!
- 73二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 12:42:59
ダイスさんってばお茶目〜!!
- 74二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 13:02:40
- 75二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 20:17:55
なんか凄いことになってきて面白いので今のうちに保守
- 76二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 22:23:26
- 77125/09/24(水) 22:33:07
💀「SSRのみなさん、ようこそ作戦指令室へ」
鏡の間にイデアの声が響き渡ったかと思うと、急に周囲がモニタールームのような風景に変わった。
作戦司令室、と言われたその場所で不敵な笑みが浮かべながら出迎えてくれたイデアを見て、オルトが飛び込むように抱き着いて再会を喜んだ。イデアはオルトを労わると、モニターの一つに映し出された鏡の間に全員の視線を誘導した。
💀「さあ、じゃんじゃんいきますぞ……。いざ導かん!闇の力を秘めしものをッ!」
鏡の間に次々と『扉』が現れて、出久たちが招待コードを渡して回ったナイトレイブンカレッジの生徒たちが召喚されていく。それぞれが内に秘めた精神を体現する寮服を纏って一堂に会したその光景は壮観だった。
💀「SSR[ナイトレイブンカレッジの問題児]のみなさん、元気してる?こちらイグニハイド寮長、イデア・シュラウドですどうも。ようこそ、拙者の『ツイステ』サーバーへ。居心地はいかがかな」
ゲーマーであるイデアが構築した世界(サーバー)は、ゲームのUIを参考にした構造になっている。
“マップ”状に区切られたいくつかの空間に分けられており、それぞれが独立したバトルフィールドとして機能する。
召喚された生徒たちのスマホに強制的にインストールさせた『ツイステッドワンダーランド』というアプリがこの世界とリンクしており、戦況の確認や通信を一元的に行える、とイデアが指令室から鏡の間にいる生徒たちに向かって説明した。
💀「さて。そろそろみんなにマレウス氏を閉じ込めてあるバトルフィールドに移動してもらおうかな」
『チートツール』でイデアの支配下におかれたこの世界では、マレウスでさえイデアによる制限を受ける。イデアは『チートツール』を完成させたその瞬間に、自身の『夢』に侵入していたマレウスを独立した空間に隔離することに成功していた。 - 78二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 22:37:10
ここツイステ知らない時にshortか何かで流れてきて笑った覚えがある
メタいwww - 79125/09/24(水) 22:41:15
⚔「イデア先輩。アプリを確認したところ、ディアソムニア(俺たち)のバトルフィールドがないようなのだが……」
🐊「僕たちはいつでも参戦できるぞ!」
💀「君たちには別の仕事を頼みたい。後で指示するから、今はとりあえず大人しく座ってて」
指令室の椅子に座る者にふさわしく、イデアは普段のどもった口調が嘘のように淀みなく指示を出した。
マレウスを警戒する必要がなくなった今、オルトは『S.T.Y.X.』のスタッフとともに教師陣と残りの生徒たちの目を醒ます旅へ。出久と勝己はオンボロ寮のバトルフィールドへ。グリムは指令室に残り、問題児たちのサポートをするように。
😺「え~!オレ様も戦いたいんだゾ!」
💀「拙者はイベントが開始したら無限に湧いてくるであろう、バグとの戦いが始まるから……。代わりにアプリから回復支援やバフの付与、リトライなんかのコマンドを打ってほしいんすわ」
😺「それってすげー地味なんだゾ……」
🥦「そんなことないよ!全体の戦況を見渡して支援するオペレーターの大役じゃないか!僕たちが倒れないように見守ってて、グリム」
😺「おぺれーたー?なんかそれってカッコいいな。フフン、しょうがねーな。オレ様がいないとダメなオメーらのために、オペレーターしてやるんだゾ!」
🥦「うん!頼りにしてるよ!」
イデアによるとオンボロ寮のバトルフィールドでの戦闘は後半になるということで、出久と勝己はグリムがオペレーターとしての仕事に慣れるまではサポートのサポートで指令室に残ることにした。
イデアの指示でそれぞれの寮に割り当てられたバトルフィールドに人が移動していく。その中にリリアの姿はない。『S.T.Y.X.』の情報によれば、リリアはマレウスによって再び深い眠りにつかせられてしまったということだった。
リリアの夢の中で出久たちは『招待コード』を彼に渡すことができてないので、強制的にこの場に呼び出すことはできない。
シルバーは硬い面持ちでイデアに話しかけた。
⚔「戦いが始まる前に、召喚に応じ、共に戦ってくれるみんなにどうしても伝えたいことがあるんだ」
💀「べ、べつにいいけど。アプリに話しかければ通じるよ」
シルバーはイデアの承諾を得ると、緊張したように息を吸い、言葉を紡いだ。 - 80125/09/24(水) 23:00:38
少しだけ俺の話を聞いて欲しい、と前置きをして、シルバーはこの場にいる全員に語り掛けた。
主君であるマレウスが引き起こした魔法災害に巻き込んでしまったことを申し訳なく思うこと。マレウスが乱心した原因の一つが自分であること。父を失いたくない、最期の時まで側にいたいというシルバーの願いを叶えようとして、マレウスがこの度の暴挙に出たこと。
⚔「俺の父の名は……リリア・ヴァンルージュ。ディアソムニアの副寮長だ」
「「えぇええぇーーーっ!?」」
モニターの向こうがざわめく。リリアが子持ちであったことに驚く者や、耳の形が違う二人が親子であったことに驚く者、親子で同じ学園の同じ寮に通って一緒に学園生活を送っていたことに驚く者、反応は様々だが、皆一様に目を丸くしていた。
⚔「知っての通り、リリア先輩は魔力……否、生命力が尽きかけ……学園を中退し、遠方へ移住する予定だった。マレウス様は、その運命を捻じ曲げようとしておられる。今、マレウス様の目は悲しみで曇り、平時の時の優しく冷静なお心を失っている状態だ。俺は……俺たちは、何としてもマレウス様をお止めした」
シルバーが真摯に語った胸の内を聞き、ナイトレイブンカレッジ生たちの目が真剣になった。真剣にこんなことを引き起こしたマレウスを一発ぶん殴りたいというエゴでもって、それでも全員の心は一つだった。
💀「えー。ではバトルへの意気込みも十分高まったところで……まずマレウス氏から戦ってもらうのは、ポムフィオーレ寮だ」
👑「我らポムフィオーレ寮は、ナイトレイブンカレッジで一番伝統のある寮。先陣を切るのは当然ね」
いよいよマレウスとの戦闘が始まる。
ポムフィオーレの三人がバトルフィールドへ転移し、ヴィルがイデアに付与された特殊な装備である「オーバーブロットフォーム」へと変身したところで、マレウスがバトルフィールドへと移動させられてきた。
🐲「ほう……これがシュラウドの企みか。僕のためにずいぶんと趣向を凝らしてくれたようだ」
現れたマレウスはオーバーブロットした禍々しい姿だった。同じくオーバーブロットした姿であるヴィルが、その凍てつくような威圧感にも負けず不敵に笑った。
👑「さあ、行くわよ。ポムフィオーレの美しさと強さ、見せつけてやりましょう」 - 81125/09/24(水) 23:03:56
各寮のバトルマップと戦闘はカットさせていただきます!!
それぞれの寮生が事件を経て絆が深まったことがわかる会話が見たい方は本家で見てネ
『ツイステ』の演出は文字だけだと厳しかった…… - 82二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 23:05:44
ええんやで
- 83125/09/24(水) 23:34:20
イデアの用意した『チートツール』は、機能としては『天空の棺』に近い。強大すぎる相手を戦闘が成り立つレベルにまで弱体化させつつ、閉鎖空間に閉じ込めて逃げの手を与えない。
ブロット研究機関である『S.T.Y.X.』の技術の結晶であるオーバーブロットフォームの装備を纏ったヴィルは真っ向からマレウスに立ち向かい、ルークとエペルが彼をサポートした。
弱体化しても尚強大なマレウスの力にヴィル達が限界を迎えれば、次は軍隊のように統率の取れた動きのハーツラビュル、その次は水中でひらめくような動きで翻弄するオクタヴィネル、そのまた次は踊るような身のこなしで身軽に戦うスカラビアへと戦いのバトンが渡されていく。戦況が不利に傾けば、グリムが一生懸命にサポートをして彼らを助けた。
無尽蔵であるかと思われたマレウスの魔力も、『チートツール』の力によって戦いを重ねるごとに翳りが見えてきた。一人では勝てない相手も、力を合わせて立ち向かえば勝利を掴むことができるのだ。 - 84125/09/24(水) 23:36:53
*
戦いの裏で、イデアは指令室で次から次へと湧いてくるバグ対応に追われていた。ようやく落ち着いたタイミングで、見計らったように彼の両親から通信が入った。
要件は、現実でのマレウスとの戦闘に備えてイデアが『S.T.Y.X.』に依頼していた『雷霆の槍』の代替品について。
ドラゴンの炎を防げるのは、世界最高の魔法耐性をもつ金属『ミスティウム』の盾のみ。硬い鱗で覆われたドラゴンに攻撃を通すことができるのは、特別純度の高い魔力を含んだ高度の高い魔法石を使用した剣のみ。
防具用のミスティウムは茨の谷のジグボルト氏の強力でかき集めることができたが、剣に使うための魔法石が見つからない、とのことだった。
🥦「うーん……僕の『夢』に戻って八百万さんにお願いしたらなんとかならないかなぁ」
🧨「流石のアイツでも、俺たちの世界に存在しねェ鉱物は出せねェだろ。……いや、この世界で原子構造が解明されてりゃいけンのか?」
💀「あ~~~、どっかにボロっと落ちてないかな!?伝説の剣!」
⚔「伝説の……剣……?」
⚔🐊「「ああーーっ!!」」
思い出した、というように、シルバーとセベクが声を揃えた。なんでも、リリアの旅立ちにあたり彼の荷造りを手伝っていた際、彼が右大将時代に使っていた、彼の伝説的な武勇を支えた魔石器が出てきたのだという。
🥦「リリア先輩の魔石器というと……」
😺「リリアが『夢』で持ってた、緑色でピカピカした包丁みたいな武器のことかぁ!?」
🧨「普通に危険物だろ。ンでそんなもん学校の寮に持ち込んどンだよ」
⚔「そ、その……実家では薪割りに使っていたんだが、手に馴染みがいいと言って、それで……」
💀「魔石器を薪割りに!?いや、今はそんなことはどうでも良い!それ、どこにあるの!?」
⚔「引っ越しの荷物として、送別会の前日に国際郵便で関流の国へ送った。郵便局の指示に従って厚手の洋服にくるみ、品名に『工具』と書いて発送してしまったのだが……」
💀「伝説の魔石器を工具扱いすな~~ッ!!」
シルバーの話を聞くと、イデアは大慌てで各所の郵便局に問い合わせるように『S.T.Y.X.』に伝達した。 - 85二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 23:40:37
- 86二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 23:47:30
伝説の武器を普段使いしてたり
とても高価な原石がドアストッパーになってたり
まあ、そういうことあるよね - 87二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 00:14:24
- 88二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 00:23:31
どうでもいいけどベストジーニストとリリアって同じ声優なんだよね
もしこの二人が会ったらどんな反応するんだろう - 89二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 04:25:19
ツイステ勢だからヒロアカのほうあまり詳しくないんだけど創造って物体の素材の種類とかでもカロリー食う感じなんです?
薪割り武器の大きさ自体はそうでもないけどミスティウムはチート素材だからそっちにカロリー使うならヤバそう - 90二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 08:20:26
あんまり語りすぎるとあれだし間違ってるところもあるかもだが、体から物体を取り出すような形で作るんだけど作るのには脂質が必要
基本的には大きさや量に応じたカロリー(脂質)を使うとしか言われてないから、多分材質はそんなに関係ないと思う
けど上で書いてる人もいる通り、あらかじめ対象物の素材や構造を正確に理解することに加えて、生成時に対象物のイメージを精密に構築する必要があるから、魔法系素材はそこが難しいだろうなあというのはある
- 91二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 14:26:52
実際構造さえちゃんと分かってれば食事(脂質)取りながら素材だいぶすごい量供給出来るのは最終決戦の裏方の様子で分かってるもんな
魔法構造や影響次第だと思う - 92二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 19:48:45
ほしゅ
- 93二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 22:20:09
本人にとっては当たり前に使ってたものならまあ特別扱いもせず日常の使えるところに使うよねっていう
- 94二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 23:42:06
- 95二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 23:55:16
ようやく追いついた、、、!
スレ主さんの文章構成能力が高すぎてすっっっごく面白いです!
ヒロアカは最近離脱気味だったツイステ民なんですが本当に各キャラクターの言動に違和感がなくよくキャラを見ているなと思いました。おさななクロス重視のテンポ感が読みやすくて、でも双方の作品のいいところをしっかり引き出して綺麗にまとめており本当に凄いです。個人的なことになりますが、私がヒロアカの良さをまだ拾いきれていないと思いじっくり読み直してみるいいきっかけになりました。
語彙力がない感想をすみません、SS完結まで応援しています! - 96二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 07:27:08
保守
- 97二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 07:31:48
「ツイステ」起動シーンはここまでプレイしてきたからこその感動があるよね
是非見てほしいから未プレイの皆んなもやろうぜ!(定期的なダイレクトマーケティング)
ちなみにワイは初見時に手叩いて笑ったあと五体投地した
- 98二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 14:53:33
いろんな手遅れになる前に止めないとだもんな、デク
- 99二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 21:37:40
擬似的というか夢の中だけど、2人で並んで全開で戦えるな……
- 100125/09/26(金) 21:54:43
各寮生がマレウスと戦っている間、司令室の状況もめまぐるしく進展していく。
『S.T.Y.X.』の努力で捜索から間もなくリリアの魔石器が輝石の国の配送センターで発見され、ドラゴンを倒す武器たり得るかの強度テストへ供試された。
そのすぐ後には途中でオルトからの通信が入り、ナイトレイブンカレッジの教師陣を『夢』から醒ますことに成功したため、今後は彼らがオルトともに残された生徒たちの覚醒と現状説明の任務に当たるという。
ちなみに、イデアが教師陣の覚醒を後回しにしたのは、「生徒をオーバーブロットさせて戦わせる作戦に正論でギャーギャー言われたら堪りませんからな」という理由からである。
🧨「クソ角野郎の様子は……まだ勢いに衰えてねェが、余裕ヅラが崩れてきたな」
😺「へへ~ん!オレ様がアイツらの回復してやったり強化してやってるおかげだな!」
🥦「みんな――頑張れ!」
マレウスとの戦闘が映し出されているモニターでは、カリムとジャミルがマレウス討伐に向けて動き始めたところだった。
『夢』での殴り合いを経て、二人の関係は随分と自然なものに変化したようだった。スカラビアの二人だけではない。みんな、出久たちと出会ったばかりの頃と比べると、見違えるほどに絆が深まっていた。
カリムとジャミルがマレウスの差し向けた『闇』の軍勢を打ち払って本人との戦闘に入る頃、再び『S.T.Y.X.』からの通信が入った。
リリアの魔石器が『S.T.Y.X.』本部へと転送され、強度テストが完了したという連絡だった。茨の谷のジグボルト氏の呼びかけで、往還士が力を貸してくれたことで驚くべき速さでの輸送が実現したのだという。
強度テストの結果は、ジェム硬度10。『雷霆の槍』に使用されているものにも引けを取らない魔力伝導率を兼ね備えた最高ランクの魔法石で、間違いなく『対ドラゴン用決戦アームズ』に使用できるとのことだった。 - 101125/09/26(金) 22:59:30
🌸『シルバーくん。これはあなたのお父さんの、大切な思い出の品よね。加工するにあたって、この魔石器はバラバラに解体しなくちゃならない。それでもいい?』
⚔「……はい!父もきっと、そう望んでいるはず」
シルバーは主君の道を正し、大勢の命を救うため、迷いなく魔石器を差し出す決断を下した。
『S.T.Y.X.』の技術主任であるイデアの母はその決意を汲み、「責任をもって、加工させていただきます」と静かな声で告げた。
🌸『それで……イデくん。集めてきたミスティウムで作る予定のアーマー2着と防護盾、それから伝説の剣こと決戦アームズは……操縦者を誰に設定するつもりなの?』
💀「そんなの……シルバー氏とセベク氏以外にいる?」
イデアはバグを修正する手を止め、不敵な笑顔を浮かべてシルバーとセベクに向き直った。
今まであえて情報を伏せてきたけど、と前置きをしてイデアが語ったところによると、今現在、現実世界でマレウスは『全人類の敵』一歩手前の厄災扱いされている状態なのだという。“一歩手前”で留まっているのは、被害範囲が賢者の島だけに収まっているからに過ぎない。もし魔法領域の解除後にマレウスが抗戦の意志を示すなら、完全に厄災認定されて魔法機動隊と『S.T.Y.X.』からの集中攻撃は避けられない状態だ。
💀「だから、眠りから醒めてすぐ、外の大人たちが学園に入ってくる前に……僕たちだけでマレウス氏を無力化するんだ。そうすれば、マレウス氏は『全人類の敵』一歩手前で踏みとどまれるし、『S.T.Y.X.』はオーバーブロットによる魔法災害の被害を最小限に抑えたヒーローになれる」
💀「どう?悪い話じゃないだろ。この話……当然乗るよね?」
⚔🐊「「当然だ!」」
果たして、セベクとシルバーの声が揃い、密約が成立した。
😺「オメーら、こういうズルは嫌がりそうなのに反対しねーんだな」
🥦「いやぁ……。僕はあんまり人のこと言えないからなぁ……。無許可で『個性』使って戦闘した件を警察に揉み消してもらったことがあるから……」
🧨「てめーまじでクソだな」
🥦「かっちゃんはヘドロ事件以外では無許可で『個性』使って人に攻撃したことないよね。あっ!でも小さい頃は爆破しながらパンチしてきたことがあった気がするな」
🧨「………………悪かったよ」ボソッ
😺「ふなっ。バクゴーのこんな小せェ声初めて聞いたんだゾ」 - 102二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 23:05:12
ハロイベのセベクかよ
- 103125/09/26(金) 23:53:32
『対ドラゴン用決戦アームズ』の作製を急ぎながら、イデアは魔法領域解除後の作戦について説明した。
覚醒したら、出久と勝己とセベクとシルバーが何とかしてマレウスをディアソムニアの中に引き留め、その間に学園の結界を自由に出入りできる生徒であるイデアが正門の外まで移動して『S.T.Y.X.』から『対ドラゴン用決戦アームズ』を受け取りセベクとシルバーのもとまで運搬する。そして、『対ドラゴン用決戦アームズ』の力でマレウスを鎮圧できれば作戦成功だ。
🧨「本当にそんな武器がねェとクソ角野郎を倒せねェのかよ」
🥦「最終決戦の死柄木みたいな感じなのかな。ドラゴンの鱗はものすごく硬くて、その上マレウス先輩は角から無限に自然の魔力を取り込める……ってことは、回復魔法を無限にかけ続けられるってことだから、実質『超再生』があるようなもので……」
🧨「チッ。てめェが死柄木をブッ倒すのに『OFA』を無理やり譲渡したみてェに、魔王を倒すのに専用の武器がいるってことかよ。面倒クセェな」
他愛のない会話をしながら、出久と勝己は戦闘に備えてストレッチをはじめた。グリムはすっかりサポートツールの使用に慣れてきて、横で様子を見ている必要もなくなった。
モニターでは、カリムとジャミルが限界を迎え、マレウスを強制転移させてサバナクロー寮へと戦いのバトンが渡されたところだった。
マレウスがイデアの『夢』から脱出しようとして生じるバグを抑え込み続けるイデアの脳疲労が限界に差し掛かり始めた頃、オルトが魔道工学に詳しいイグニハイド寮生を助っ人として連れてきた。
マレウスは息が切れ始めている。彼らの助力で、マレウスの魔力切れまでなんとか『チートツール』を保たせることができそうだった。 - 104125/09/27(土) 00:06:43
🐲「……どうして、どうして僕の『祝福』を拒む?お前たちはみな、自分の望む幸せな夢に浸っていただろう。夢の世界にいれば、なんでも望む者が手に入る。お前たちも、僕も……何も失わずに済むというのに……!」
レオナ率いるサバナクローと対峙するマレウスの顔には疲労が色濃く浮かんでいる。『チートツール』によって弱体化を受けているマレウスは、肉体の傷がその場で癒えず、魔力が消費されて減っていく初めての感覚に戸惑いを覚え始めた。
*
🌸「イデア特務司令官、ご確認を」
『S.T.Y.X.』の技術により、ついに『対ドラゴン用決戦アームズ』が完成したと連絡が入った。
真実の剣『アレテイア・ブレード』。美徳の盾『ディケー・シールド』。そして、調和の鎧『ハルモニア・フレーム』
強く美しい武器たちは、リリアが所持していた魔石器の翠の輝きの面影を残している。
*超カッコイイ武器を見たときのテンション
出久 dice1d100=69 (69)
勝己 dice1d100=29 (29)
- 105二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 08:07:18
緑谷が「おおっ」ってなっててかっちゃんの方が「ふーん」ってなるのなんか納得だ
- 106二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 14:53:56
ちょっとテンション上がってる出久分かる
- 107125/09/27(土) 16:41:50
🌸『『ハルモニア・フレーム』は装着するとミスティウムの性質によって、操縦者に最も適合するよう、形状が変化するの。どんな鎧になるかは、現実で着てのお楽しみね』
😺「すげ~!剣も盾も、キラッキラなんだゾ!」
🥦「おぉ~!まさか、伝説の武器を実際に目にできるなんてすごいや!」
⚔「納屋にあった薪割り用工具が、こんなかたちで生まれ変わるとは……驚きだな」
🧨「武器ってのァ、どんなに良いモンでも使う奴がカスならカスだからな」
⚔「重々承知している。……実家に居た頃は毎日のようにあの魔石器を握っていた。きっと手にも馴染むだろう」
剣も盾も重量は見た目相応だが、出力は『雷霆の槍』と同等かそれ以上。人間が一人で両方を扱えるような代物ではないため、イデアの采配によって剣の操縦者はシルバーに、盾の操縦者はセベクに設定された。
🐊「ふむ。僕が盾でマレウス様の炎を防ぎ、機を見てシルバーが攻撃をしかける……というわけだな。心得た!」
🥦「魔導アーマーのバッテリーがもつうちは、僕とかっちゃんもマレウス先輩と戦える。二人だけに負担がかかりすぎないようにサポートするね!」
🐊「貴様らの戦闘力の高さはここまでの夢渡りの旅で散々目にしてきた。ありがたい申し出だが、貴様らとてマレウス様の炎を浴びれば無事ではすまないのではないか?」
🧨「ンなもん、当たンなきゃ関係ねぇわ」
危険な戦いへ参加することに躊躇いのない二人の目を見て覚悟を感じ取ったセベクは、素直に「恩に着る」と礼を言った。
今回の戦いの勝利条件は、シルバーの剣でマレウスの角を折ること。
ドラゴンの角は自身の魔力を蓄えると同時に、自然界の魔法エネルギーを集めるアンテナの役割も果たしている。角があるうちは実質『超再生』があるようなものだが、角さえ折ってしまえばただの人と変わらない状態にすることができる。
装備が整ったところで、セベクとシルバーは仮想空間内で伝説の武器を使いこなす特訓へ入ることになった。次に二人と会うのは、この『夢』を終わらせて現実世界へと戻ったときだ。
💀「さて、レオナ氏率いるサバナクローもそろそろHPが限界……オルト、準備はいい?」
🔥「もちろん!いつでも行けるよ、兄さん」
イデアの呼びかけに応じ、オルトが瞬時に司令室に戻ってきた。イデアは司令官の上着を脱いで、寮服姿になる。次に出撃するのはイグニハイド寮だ。 - 108125/09/27(土) 16:52:12
💀「回復やバフの付与は今まで通りグリム氏に。寮生たちにはバグの修正対応、『S.T.Y.X.』や他寮との情報伝達など、討伐イベ本部の運営を一時的に任せる。ミドリヤ氏とバクゴー氏は、拙者たちがマレウス氏を仕留めきれなかった場合に備えてバトルフィールドで待機オナシャス」
🧨「ようやくクソ角野郎をぶん殴れる順番が巡ってきたみてェだな」
🥦「イデア先輩、オルトくん、気をつけて。グリム、後のことはよろしくね」
😺「もう慣れたもんだ。オレ様にどーんとまかせとくんだゾ!」
マレウスとの戦いもいよいよ大詰め。出撃に備え、出久と勝己はオンボロ寮の敷地を模したバトルフィールドへと転移した。
*
🔥「……とうとうここまできたね、兄さん」
💀「そうだね、オルト。本当に本当に長く、辛い戦いだった……」
🔥「うん。もうダメかもってピンチを、何回も乗り越えてきたよね。でも……僕、最高に楽しかったよ。兄さんと……ナイトレイブンカレッジのみんなと一緒に、大冒険ができて」
💀「ヒヒッ、冒険か。確かに、夢の中とはいえ世界中を巡ったしね」
いつか嘆きの島で語った『夢』が実現して、シュラウド兄弟はくすくすと笑い合った。
💀「さて。マレウス・ドラコニアめぇ……未曾有の有事だからって母親にパソコンの中身を全て見られた恨み。今、ここで晴らす時!いきますぞ……!『ドリームフォーム・チェンジ!オーバーブロットフォーム!!』」
魔法の呪文を唱えれば、真っ黒なブロットが鎧となってイデアを覆い、オーバーブロットした禍々しい姿へと変貌させた。ブロットを焼却する『祝福』を体現したイデアが、溢れる力で力強く燃え盛った。
🔥「ふふっ!死者の国の王にお供するのは、やっぱり冥府の番犬・ケルベロスだよね」
オルトは装備を『ケルベロス・ギア』へと換装した。イデアが設計し、母が完成させた、世界最高峰の魔導ギアだ。
💀「行こうオルト!全宇宙が僕たちイグニハイドの出撃を待っている!」 - 109125/09/27(土) 17:10:10
🐲「ようやく姿を現したな……シュラウド!」
タルタロスの底を模したバトルフィールドに姿を現したイデアをみて、マレウスが凄まじい怒りの形相を浮かべた。ここまでの戦いで、マレウスは相手を追い詰めた瞬間にイデアによる強制転移を繰り返されてきたため、フラストレーションが溜まりに溜まっている。
🐲「誰が挑んでこようが結果は同じ……僕の作り出した闇の軍勢で全てなぎ倒してやろう!」
マレウスが杖を振りかざせば、大量の『闇』が溢れて兵士の軍勢へと姿を変えていく。
イデアはそれを見て、楽しそうに口の端を吊り上げた。
💀「おっけおっけ。なら、バトルマップ乗っ取り合戦といこう。こちらも夢の中でしか使えない大技、使わせてもらいますわ」
💀「――ゲーム・セット・マッチ。『開かれた冥府の扉(ゲート・トゥ・アンダーワールド)』!!」
タルタロスの底とは、即ち『冥府』の入口だ。イデアが自分たちのバトルフィールドをここに設定したことに意味がある。イデアのユニーク魔法は日常では全く意味の無いものであり、同時に世界を破壊しうるものでもある。
固く封印されていた『冥府』の扉が開く。『闇』の大群に勝るとも劣らない量のファントムたちが這い出で、ついには『冥府』そのものさえ姿を現した。
🌀「ブンバダブンブンブン!!ハァーッ!暗くて辛気臭いところからこんにちは~、みんな元気してる?」
マレウスのファントムに勝る巨躯の『オルト』が、陽気に手を振る。
🐲「なんだこいつらは……『闇』?いや違う、これは……!」
🌀「僕たち?冥府の亡者(ファントム)さ」
💀「どう、驚いた?これが僕が温存してきた秘密兵器……とっておきのカーブだ!」
💀「ヒヒヒ!オーバーブロットにはオーバーブロットを、大群には大群をぶつけるんだよ!」
ファントムの軍勢と二人の弟とともに、イデアはマレウスとの戦闘を開始した。 - 110125/09/27(土) 17:25:23
🥦「イデア先輩のユニーク魔法を最大限生かすためのバトルフィールド……!」
🧨「『闇』とファントムがやり合ってっから、本命の消耗も少ねぇ。悪くねぇ作戦だな」
出久のスマホの『ツイステ』アプリを通じ、二人はイデアたちの戦況を見守っていた。
小さな画面の中で、シュラウド三兄弟がマレウスと戦っている。マレウスのファントムを『オルト』が抑え込み、イデアと『ORTHO』がマレウス本体を相手取っている。
依然としてマレウスが優勢ではあるが、ここまでの連戦の積み重ねで、マレウスの動きも鈍りが生じている。
🧨「こっから俺らンとこまで繋いでくれりゃ――」
🥦「――勝てる」
*戦闘前に声をかけるのは dice1d2=1 (1)
1.出久→爆豪
2.爆豪→出久
- 111125/09/27(土) 17:43:51
🥦「ねえ、かっちゃん」
🧨「ア?何だよ」
戦い直前の緊張感が高まり言葉が少なくなってきた頃、出久がぽつりと呟いた。
🥦「……今度は、作戦通りだ」
🧨「……ああ。そォだな」
あの日、二人がともに戦ったのは、オールマイトを救けるために手を取り合ったほんの一瞬と、最後の最後で勝己が出久の一撃をサポートした瞬間だけだ。
事前に立てた作戦も、打ち合わせていた連携も、何もかもが無駄になってしまった。
🧨「まさか魔王気取りと二回もバトることになっとは思わなかったからよォ~~。あんときの作戦の伏線回収、今ここでさせてもらうぜ!!」
オンボロ寮に暗雲が立ち込め、緑の雷が落ちる。イグニハイドが戦闘を終え、最後の強制転移を受けたマレウスが二人の目の前に現れた。
🐲「……今度はお前たちか。シュラウドめ、つくづくこざかしい真似を!イズクとカツキ……フン。魔力ももたない、脆弱な人間風情に一体何ができる」
🧨「ハッ、舐めプか?いいぜ、その角へし折ってやんよ!!!」
🥦「マレウス先輩!!こんなことはもうやめてください!!学園のみんなも、シルバーくんとセベクくんも、リリア先輩も、あなたも!誰も幸せになれない!!」
🥦「あなたはきっと……ただ寂しいだけなんだ!」
🐲「この期に及んで僕に“寂しい”だと?一体、何を宣うかと思えば……」
マレウスの体からオンボロ寮の芝生に冷たい緑の炎が燃え広がり、空からは雷光が降り注ぐ。
🥦「やっぱり、戦うしかないのか……!」
🧨「手負いでも油断すりゃ命取りだ、行くぞ“デク”!!」
🥦「――うん!!」
*戦闘ロール
出久 dice9d9999=1031 3580 9435 9698 3665 8746 2345 9879 7671 (56050)
爆豪 dice5d8000=3502 6669 7194 6628 5949 (29942)
マレウス dice10d9999=262 4457 4359 2075 966 9728 9122 8558 6093 3534 (49154)
- 112125/09/27(土) 17:49:39
スレ主は毎回「負けたらどうしようかな~」と思いながらダイスを振ってます
負けたらどうなってたんでしょうね(適当マン) - 113二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 17:54:15
おうおおおお!?
デクくんマレウスに数値で勝ってる!!
頑張れデク!! - 114125/09/27(土) 18:26:05
🧨「――“ハウザーインパクト・クラスター”!!!」
勝己の掌から眩い光が弾け、雷鳴にも負けじと爆音が空気を震わせる。激しい爆発はドラゴンの鱗を砕くことは叶わずとも、疲れの見えるその巨体を空へと打ち上げた。
🐲「ガハッ……!貴様、その腕――」
🧨「俺だけ見てて良いンかよ?こっちにゃもう一人いんぜ。――デク!」
🐲「何を、イズクがここまで飛んでこれるわけが……」
🥦「マレウス先輩」
🐲「ッ!!?」
7th"浮遊"。『OFA』をその身に宿した出久は、自由に空を飛ぶことができる。何の力ももたないと思っていたはずの出久に空中で背後を取られたマレウスが、今日初めて目を驚愕に見開いた。
🥦「――2nd、トランスミッション」
出久にとって『個性』は自分に備わっている身体機能ではないため、出久は歴代の個性を切り替える前に必ず力を使うイメージをする。
ガシャコ、とギアレバーを動かすような予備動作の後に、出久の体にバチバチと緑の閃光が走り、迸る力の奔流で出久の髪が逆立った。
🥦「変速、五速(オーバードライブ)……」
🥦「――デトロイトスマッシュ、五重(クインティプル)!!!」
世の理すら捻じ曲げる一撃が、ドラゴンの鱗をも砕いてマレウスの体を貫く。ドラゴンの巨体が苦悶でくの字に折れ曲がった。
🐲「グハァッ!!お前、その力――」
🥦「マレウス先輩、お願いです!止まってください、取り返しがつかなくなる前に!!」
🧨「何もかもてめぇの思い通りにできる訳ねぇだろ!!いい加減現実見ろや!!!」
🐲「この僕に指図をするとは……人間風情が、思い上がるのも大概にするがいい!」
思考がブロットで染まり切っているマレウスに、二人の言葉は届かない。
🐲「僕の本当の力を見せてやる。思い知れ……悪の力を!」
地面が揺れ、空に亀裂が入る。マレウスの作り出した魔法領域が崩壊を迎えるのだ。
🐲「現実に戻り、僕の祝福を失えば、お前たちは無力な人の子に戻る……」
🐲「あーっはっはっはっは!」
滝壺に放り込まれたような、世界そのものがひっくり返る衝撃に、出久と勝己の視界が暗転した。 - 115125/09/27(土) 18:42:19
夢から醒めるその一瞬、出久は夢を見た。
永遠に続くようにも思われた邪悪な妖精の支配だったが、愛と正義をその胸に宿し、彼女に立ち向かう王子が現れたのだ。
彼がその手にする妖精の加護が宿った剣と盾は、邪悪な妖精の配下を次々と薙ぎ払っていった。
――破滅をもたらす雲よ。空を覆い、呪いの言葉と共に飛んでゆけ
邪悪な妖精が杖を振るい、空を覆う黒い雲が、妖しい緑色の雷光を蓄えていく。
――あの城を我が魔力で包むのだ
呪われた姫君が眠る美しい白亜の白が、禍々しい黒い茨で覆われていく。しかし、王子は怯まず、白馬に跨り茨を払って姫君のもとを目指した。
真実の愛のキスで姫君は目覚める。王子が進み続けるのを見た邪悪な妖精は、とうとうドラゴンの本性を現した。
――こうなったら今度は私が相手だ。思い知れ、悪の力を!
配下を打ち倒された邪悪な妖精は、巨大なドラゴンの本性を現した。
強大な力によって王子は追い詰められていく。そしてついには、断崖絶壁の縁へと追いやられてしまった。 - 116125/09/27(土) 19:06:16
目が醒めるとそこは、ディアソムニアの談話室だった。テーブルには華やかな料理と、グラスに注がれたドリンクが並んでいる。リリアの送別会をしていた当時のままの談話室で、招かれた他の生徒たちが次々と目を醒ましていく。
オルトの機体から緊急魔法災害警報が鳴り響いた。
🐊「あ、ああ……」
⚔🐊「「マレウス様ッ!!」」
談話室には、オーバーブロットした姿のマレウスもいる。
🐲「愚かな人間どもめ……僕に逆らったことを後悔するがいい!」
マレウスはブロットの緒で繋がっている自身のファントムを取りこみながら、黒く巨大な竜である真の姿を現した。
談話室が阿鼻叫喚となり、その場にいた生徒たちがパニック状態になって我先にと逃げ惑った。
🥦「このままじゃ怪我人が出る。避難誘導を――」
🧨「クソ角野郎の力で飛んでくる瓦礫だのなんだのは俺が対処すっから、てめーはそっち行ってこい!」
🎩「その必要はありませんよ」
🥦🧨「「学園長!?/クソ烏!?」」
マレウスが差し向けてくる魔力の茨を防ぎながら、学園長が魔法でディアソムニア寮へと転移してきた。
🎩「『S.T.Y.X.』製の特別な装備を用いてドラコニアくんを取り押さえるという作戦については、オルト・シュラウドくんから聞いています。夢の中で、ではありますが、全職員、全校生徒にも作戦は伝達済みです」
🎩「というわけで、作戦に参加しない生徒は、速やかにディアソムニアから退避!皆さーん!いいですか!非難は『よ・い・こ』ですよ!『よく見る・急いで逃げる・声をかける』!」
学園長の指示のもと、各教職員が防衛魔法でマレウスの魔法を食い止め、各寮の副寮長が先導を、寮長が殿を務めて避難誘導に当たった。スカラビアのみ、カリムが絨毯に乗って先導を務めるようにジャミルが指示を出し、ジャミルがその場の時間稼ぎへと加わった。
⚔「ディアソムニア寮生は、親……リリア先輩に続いて……。はっ、瓦礫のむこう……マレウス様の足元で倒れているのは……親父殿ッ!」
この場でリリアだけがまだ夢から醒めておらず、安らかな寝息を立てているままだった。 - 117二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 19:41:16
そういやかっちゃんの黒仮面に対してのあだ名クソ鳥だったんだね
- 118125/09/27(土) 20:53:15
⚔「親父殿!目を覚ましてください!」
シルバーの必死の呼びかけも届いていないのか、夢が深すぎるのか、リリアは目覚めない。彼のもとへ駆け寄ろうとしたシルバーだったが、マレウスが吐いた炎の壁に阻まれた。
マレウスの体はついにはディアソムニア寮に収まらないほどに巨大化し、天井を突き破って外へと羽ばたいた。リリアを瓦礫から守るためか、黒い茨が彼を覆っていく。
🎩「さあ、みなさんも早く退避しますよ!!ああ、そうでした。イズクくん、カツキくん。オルト・シュラウドくんからの頼みで、オンボロ寮から荷物を取ってきたんでした。私、優しいので」
学園長が二人に渡したのは、『S.T.Y.X.』製の魔導アーマーが入ったケースだった。
🥦「ありがとうございます、学園長!」
🥦🧨「「ドリームフォーム・チェンジ!!」」
🔥「ここは現実世界だから呪文は必要ないけど……特撮ヒーローの変身シーンみたいでカッコいいからいっか!」
金属製のケースがナノマシンに分解され、出久と勝己の体を覆う。
出久の魔導アーマーは緑のジャンプスーツと黄色のマントへ。勝己の魔導アーマーは黒地にオレンジのラインが入ったハイネックタイプの発熱スーツと手榴弾形の籠手へ。
着慣れたヒーロースーツは、二人の体によく馴染んだ。勝己がスーツの機能を確かめるために右手を何度か握って開いた。動かないはずの右手が動く。
😺「ふなっ!?オメーらのその格好って……」
🔥「魔導アーマーが『夢』で見た二人のヒーロースーツに変化してる!?」
🧨「右が疑似的に動くっつーことは『S.T.Y.X.』のアーマーがベースになってるみてぇだが……。まァいい、理屈は分かンねぇが、着慣れたスーツならクソ角野郎と存分に戦り合える!!」
🥦「マレウスが学園外に出てしまえば、厄災として討伐対象になってしまう。イデア先輩が『対ドラゴン用決戦アームズ』を届けにくるまで、絶対にマレウス先輩をディアソムニア寮に引き留めるんだ!!」
相手が世界屈指の魔法士だろうと、強大なドラゴンだろうと関係ない。二人はヒーローとして、できることをするまでだ。
賢者の島と、その外の世界の人間と、ひいてはマレウス自身を守るため、出久と勝己はマレウスがぶち開けた天井の穴から彼を追って飛び出した。
🥦🧨「「――更に向こうへ(プルスウルトラ)!!」」 - 119125/09/27(土) 21:07:07
先にダメージロール振っておきます。
7章は現実世界でここまでダメージロール振ってないので、ここの数値がそのままリザルトになります。
*戦闘ダメージロール
出久 dice2d100=94 20 (114)
爆豪 dice2d100=39 24 (63) (アーマーの効果で反動ダメージなし)
セベク dice1d100=61 (61)
シルバー dice1d100=80 (80)
- 120二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 21:29:42
デクお前!という気持ちとそんな気はしていたという気持ちの2つある
- 121二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 21:30:08
このレスは削除されています
- 122125/09/27(土) 21:33:13
🥦「――マレウス先輩!!あなたを、この外へは行かせない!!」
🧨「――“閃光弾(スタングレネード)”!!」
勝己の閃光にディアソムニアの上空を飛んでいたマレウスが気づき、視線を二人へと向けた。
下方ではディアソムニアから退避するために闇の鏡へと向かう生徒の列がまだ残っている。絶対にそちらへ攻撃をいかせるわけにはいかなかった。
🥦「もう一度……デトロイトスマッシュ、五重(クインティプル)!!!」
🐲「ぐっ……!!何なんだその力は、忌々しい……!!」
出久の体が眩い緑の閃光を纏い、マレウスに思い一撃を撃ちこんだ。大技を放てば魔導バッテリーの残量を大きく食ってしまう。けれど、強大な力をもつマレウス相手に出し惜しみすることはできなかった。
👑「あれは……イデアの『夢』で、スマホの中継でみた力……!?」
🌹「これはいったいどういうことなんだい?いや、今はそんなことは良い。二人がマレウス先輩を引き留めている前に、残るものは早急に退避を!!」
殿を務めて闇の鏡の前に残っている寮長たちが、上空で戦う出久と勝己を見て目を丸くした。
♥♠「「寮長ーーーー!!」」
👑「小ジャガたち!遅いわよ。何をしてたの!」
逃げ遅れていた一年生とシルバーも寮長たちと合流し、リリアを除いた全員が寮内からの避難を完了した。
🌹「『マレウス・ドラコニア鎮圧作戦』に参加しないものは、速やかに寮外へ退避!急げ!」
♥♠「「はいっ!」」
♥「でも……」
♠「その前に……!!」
♥♠「「ミドリヤ!!バクゴー!!頑張れ!!!」」
エースとデュースがマジカルペンを構え、自身の残りの魔力を全て出久と勝己のアーマーへと注いだ。
🐺🍎「「俺たちも!!絶対負けんじゃねーぞ!!」」
ジャックとエペルも二人に続く。
魔導バッテリーという制限つきで戦う今の出久と勝己にとって、彼らの応援は何よりの力となった。 - 123125/09/27(土) 21:56:39
🧨「デク!!手ごたえは!!」
🥦「鱗は砕ける!でも、向こうの回復魔法による再生に追いつかない!!急所の角は特殊な魔法で守られてるのか、触る前に弾かれた!!」
🧨「チッ、まるっきり『超再生』だな。面白ェ、逆に嫌になるほど爆破食らわせてやんよ!!――“ハウザーインパクト・クラスター”!!」
『夢』で着用していた夏コスチュームよりも、今身に纏っている冬コスチュームのほうが発汗機能が高い。勝己は汗の珠が溜まったタイミングで、自身の最高火力である技で突っ込んでいった。爆発は振動を伴う現象だ。勝己の個性ではドラゴンの鱗を砕けずとも、低く唸る振動がマレウスの臓腑に不快感を与える。
🐲「小賢しい!!」
🧨「バァカ、当たンなきゃ意味ねーよ!!デカくなった分、のろくなったんじゃねーの!!」
🐲「この……!!!」
蜂のようにBOM!BOM!と飛び回る勝己にマレウスが炎を吐いたが、勝己は全て見切って避けた。
勝己とぶつからないように出久も攻撃に加わり、巨大な竜の影で二つの光がチカチカと瞬いた。
🌹「……このままここで見ていても、僕たちの魔法はマレウス先輩に届かない。なら、僕も、僕のトランプ兵たちに倣おう」
👑「ええ。たまには、ヒーローを支えるヒロイン役も悪くない」
🌹「頑張れ二人とも!負けたら承知しないよ!!」
👑「頑張りなさい、小さなヒーローたち!」
リドルとヴィルの魔力が出久と勝己へ注がれる。
🦁「直接トカゲ野郎とぶん殴ってやりたい気持ちもあったが、手を下さずにアイツを仕留められるならそれもいいか。――上手くやれよ、お前ら!!」
🐍「この場で俺が戦闘で果たせる役割はない。ならば、彼らに託すのが最も賢い手か」
🐙「使い古されたセオリーですが、いつの世もヒーローとは負けないもの。ここで彼らに恩を売ったほうが得ですね」
🐍🐙「「二人とも、負けるな!!」」
レオナとジャミルとアズールも、己の魔力を出久と勝己に託した。
🎩「頼みましたよ、異世界のヒーローたち!!」
学園長までのその輪に加わる。声援とともに贈られた魔力が、傷を負っている二人に戦い続ける力を与えた。 - 124二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 21:59:04
わー!熱い!声援と魔力!
連なる絆が2人の力に - 125125/09/27(土) 22:15:04
😺「アイツらひょっとして、このままマレウスに勝っちまうんじゃねーか?」
🐊「いいや、よく見ろ。確かに奴らが優勢に見えるが、マレウス様は傷を負われたそばから癒えているだろう」
⚔「ああ。この戦い、長引けば長引くほど二人が不利だ。それに、彼らの装備では、マレウス様の炎を少しでも浴びてしまえば致命傷になる。ギリギリの戦いなんだ」
🔥「兄さん……お願い、早く来て!!」
上空の戦いを見守るオルトが祈った途端、古めかしい佇まいのディアソムニアにはそぐわないエンジン音が響いた。
🔥「あっ!!この音は!」
💀「『S.T.Y.X.』宅配便でーす!『対ドラゴン用決戦アームズ』のお届けに参りましたァ!」
輸送コンテナを届けにきたイデアは、学園祭の展示用にイグニハイド寮が作成したマジカルホイールに跨っていた。
🐙「ああ、安心しました。イデアさんのことですから、輸送コンテナをここまで運ぶ体力が本当にあるのか心配していたんですよ」
💀「ヒヒッ。拙者のモヤシボディーで、こんなクソ重たいもの持って、無駄に広い敷地移動するとか無理に決まってるでしょ」
🎩「待っていましたよ、シュラウドくん!さあ、残っていた各寮代表も全員ディアソムニアの外へ退避!」
💀「学園長、学園の結界の強化と、魔法省の偉い人たちの言い訳、任せましたぞ!」
🎩「お任せください。私、それっぽい言葉を駆使して場を収めるのは得意なので!」
💀「学園長、普通に最悪で草ァ!」
学園長が残っていた寮長たちを連れて闇の鏡から退避していった。この場に残ったのは、オンボロ寮とイグニハイドと、ディアソムニアの者だけになった。
イデアが『S.T.Y.X.』から託された輸送コンテナを開けると、魔導アーマーのように、ミスティウム製の鎧がみるみるうちに変形して操縦者に相応しい姿となった。
セベクの鎧は夢で祖父から託されたものと同じ、茨の谷の王宮近衛兵が纏っていたものと似た鎧へ。シルバーの鎧は、夜明けの騎士が纏っていたものと似た鎧へ。
異常なく鎧を装着した二人の手の中に、『アレテイア・ブレード』と『ディケー・シールド』がひとりでに収まった。
💀「これで魔王マレウスと戦う準備はオールオッケー!後は空から地上に引きずり下ろすだけだ」
🔥「よし、それなら僕の拡声機能で……『ミドリヤさん!!バクゴーさん!!伝説の武器が到着したよ!!』」 - 126二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 22:38:10
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- 127125/09/27(土) 22:41:51
オルトの声が届き、出久と勝己はひたすらマレウスのソースを自己回復に割かせて食い止める行動から、シルバーの手の届く位置にマレウスを運ぶ行動へと切り替えた。
🐲「フン……あんな玩具で一体なにができる!」
🧨「余所見か?余裕だなァ!!」
🐲「お前たちも、そろそろ魔力が続かなくなってきただろう。カツキよ、先ほどからお前の爆発は不発が多くなってきているぞ」
飛び回る勝己の回りには、戦い初めの頃には無かった煙がもくもくと絡みついている。
🐲「その力、痛みが反動として伴うだろう。お前の苦しみを終わりにしてやろう――キシャアアッ!!」
🧨「クソ余計なお世話だ、バァカ!!」
あえてマレウスのヘイトを集めていた勝己は、マレウスの口が建物から逸れた位置で攻撃を食らうように誘導していた。炎が当たる直前、勝己は全身爆破で躱した。
🧨「この煙は、俺ンじゃねーんだよ!!」
勝己は本命からマレウスの目をそらすための目くらまし。『煙幕』の向こうから、緑の閃光がバチバチと光った。
🥦「5th“黒鞭”、3rd"発頸"……強化捕縛、黒鎖!!」
黒鞭に発頸で力を溜めて纏わせる“黒鎖”。出久の魔導アーマーは歴代の個性に似た機能を備えていても、それそのものではない。3rdに寄せた『魔導スプリング』は関節部分の特殊なバネに力を蓄えることしかできないし、5thに寄せた『神経連動式ワイヤー』は鎖状に変形したりしない。
それでも、出久が思い描いたとおりに、アーマーが応えた。
💀「ドゥエエエエ!?よく見たら、あの二人のアーマー何事!?しかも、ミドリヤ氏が使ってるアレ何!?あんな機能搭載しておりませんが!!?」
🔥「突っ込むのは野暮ってものだよ、兄さん。強い願いが奇跡を起こすって、僕の存在が証明してるんだから!」
出久の黒鎖がマレウスの胴を捉え、そのまま超パワーを駆使して地面へと叩きつける。
🥦「マレウス先輩、止まって!!このままシルバーくんたちを傷つけたら、きっと後悔する!!」
🧨「魔王と戦った身として言わせてもらうが、テメェにゃ魔王の才能なんざまるで無ぇよ!!騒音野郎と遊色ヤローに世話焼かれて、たまにジジイの見舞いして、ボンヤリやってンのがお似合いだ!!」
黒鎖で拘束したマレウスが再び飛翔しないよう、出久と勝己が二人がかりで抑え込む。
剣と盾を携えたセベクとシルバーが、マレウスの正面に立った。 - 128二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 22:57:59
魔法は強い奇跡を願う思いによって引き起こされる物だから、ヒーローに勝ってと願う心がアーマーの仕様を変化させたのかもしれないね
- 129125/09/27(土) 23:12:30
🐲「下がれ、愚か者!!」
自身に歯向かう二人の姿を見たマレウスは、激昂して炎を吐いた。セベクが盾を構え、炎から後ろにいるものを守る。
🐲「これだけの炎を浴びせても融けないとは……その盾、さてはミスティウム製か。一体どこからかき集めてきた?」
🐊「あなた様を止めるため、マレフィシア様の命のもと、茨の谷の妖精たちと人間の技術者が手を取り合い作り上げたのです」
セベクが必死に叫んだ。出久たちの出会ったばかりの頃の、人間だからと無条件に周囲を見下していた彼は、もうどこにもいなかった。
🐲「何故だ……何故、人間の味方を?おばあさまですら、僕の敵になるというのか!」
🐊「いいえ……いいえ、マレウス様!マレフィシア様は、茨の谷は……僕たちはみな、あなた様の味方です!!」
⚔「我らの願いはただ一つ。あの日……妖精と人間がいがみ合って生まれた悲劇を繰り返さないために……。あなたを人間の敵に、悪の支配者にさせないために!」
大好きだから、大切だから、正しい道へと戻ってほしいのだ。間違った道を突き進んだ先に待つものは、いつだって破滅だけだ。
国の資源を差し出した茨の谷の妖精たちと、命がけでマレウスの前にたつ二人の行動は、全てマレウスを愛するが故だ。
🐊「シルバー!!行け!!」
⚔「絶対にここで、あなたを止めてみせる!父さん、母さん……親父殿!どうか、俺に力を!」
炎を防ぎきったセベクがその場に倒れる。シルバーは魔法の剣を構えてマレウスのもとへと駆け出した。
🧨「これ以上火ィ吐かせっかよ!!」
🐲「グ、ゴホッ!?グギャアア!!」
マレウスは再び口腔に炎を蓄えたのを見て、勝己が普通の汗でコーティングしたニトロの珠を飛ばして、マレウスの口内で爆破を起こした。マレウスが咳き込み、炎が不発に終わる。
🐲「グギャアアアアア!!!」
🧨「暴れんなコラ!!大人しく角切られろや!!」
🥦「く、ぅ、なんて力だ……!!」
巨躯を振り回して暴れるマレウスを抑え込むのは並大抵の仕事ではなく、出久も勝己も必死だった。
🐲「ガァアアアア!!!」
無理やり吐き出した不安定な炎がマレウスの口から漏れ、剣を振りかぶって防御が疎かになったシルバーに降り注いだ。
🦇「やめろーーッ!」
あわやシルバーに炎が届こうかというそのとき、その体が横に飛んだ。シルバーを押しのけ庇ったのは、愛する息子を守ろうとしたリリアだった。 - 130125/09/28(日) 00:41:18
🥦「シルバーくん!!」
シルバーが倒れた拍子にその手から剣が落ちた。
💀「……ターゲット・ロックオン!『アレテイア・ブレード』出力全開!」
イデアがタブレットにコマンドを打ち込んでいく。『アレテイア・ブレード』は剣の形をしているが、『S.T.Y.X.』の技術で作られた魔導機巧でもある。操縦者登録せずとも、イデアは使用できるのだ。
💀「素早く正確に……一直線に飛べッ!!!」
『アレテイア・ブレード』が浮き上がり、矢のように飛んでいく。搭載されたホーミング機能によって、その刀身は正確にマレウスの角を切り落とした。
🐲「ギャオオオオオオオオッ!!!」
🥦「うわぁッ!!」
🧨「ぐうッ!!」
その瞬間にヒーローの勝利を願う者たちの祈りの力が切れたのか、はたまたただのバッテリー切れか。出久と勝己は魔導アーマーによる補助を失い、のたうち回ったマレウスの力で弾き飛ばされた。
🥦「うっ……!!」
😺「イズク!!」
飛ばされた方向が悪く、出久は石畳に強かに頭を打ち付けてしまった。
鈍痛とともに視界が暗くなり、出久の意識は遠のいていった。 - 131二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 01:15:35
頭かぁ頭かあ…頭の真後ろに当たってそうだなあ…やばいなあ…
- 132二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 08:32:03
ほしゅ
- 133二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 13:56:06
- 134二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 19:36:38
保守
- 135125/09/28(日) 21:23:06
遠のく現実の光景と入れ替わるように、出久は白い白昼夢を見た。
畏れ恐怖する悲鳴が白い空間にこだまして、誰かの感情が出久の中に流れ込んでくる。
生まれ持った力が強すぎるが故に、少し感情が昂っただけで周りの者たちを傷つけてしまう。それがたとえ、唯一普通に接してくれた大切な人ですら。『祝福』を騙る『呪い』のせいで、誰かと笑い合う方法も、触れ合うことで得られるぬくもりも、本当に欲しいものは手に入らない。
気がつくと、白い空間に黒い角をもった少年が立っていた。少年の周囲は、冷たく凍り付いている。
出久は、感情を抑え込んだ少年の氷のような表情が救けを求めているように見えて、体に霜が下りるのにも構わずに駆け寄った。
「もう大丈夫だよ、僕が来た」
「……来るな。僕はお前を傷つけてしまう」
出久が話しかけると、少年は全てを諦めたように淡々と拒絶した。
「……誰も傷つけない人なんていないよ」
傷つけて、傷ついて、その繰り返しで人は自分と他者の心について知る。
出久はそっと少年の両手を握った。氷の中にいた少年の手も、冷気に冒されつつある出久の手も冷たい。けれど、ぎゅっと握りしめれば、二人の手は互いの熱でわずかに温かくなった。
「……話をして何になる。僕が怒り、笑い、泣けば、お前は簡単に壊れてしまう。だから僕は……」
「君は優しい人だ。誰も傷つけたくないんだね。だったら、僕と一緒に練習しよう」
「何を……」
「僕ね、いっぱい練習して、一歩間違えれば人を殺してしまうような強すぎる力をちゃんと使いこなせるようになったんだ。電子レンジに入れた卵を爆発させないイメージだよ!」
「でんしれんじ?」
家電に馴染みがないのか、少年は不思議そうに首を傾げた。その顔はあどけない。まだ大人に甘えていたい、小さな子どもの顔だった。
――それは君の力だ。だから否定しないで。きちんと使えば、大切な人を救ける力にだってなるんだ。
だから僕と一緒に練習しよう、と伝えれば、少年の目の縁に涙が溜まり唇が綻んだ。
「―――ずっと、寂しかった。みんなと一緒に笑いたかった。泣きたかった」
「うん。……君の気持ちをもっと聞かせて」
出久の言葉で、少年が堰を切ったように大粒の涙を流して泣いた。暴風と雷が周囲に吹き荒れる。気を抜けば飛ばされてしまいそうな嵐の中で、出久は少年と離れてしまわぬよう、しっかりと抱きしめた。 - 136二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 21:53:44
ようやく追いつきました!
キャラの動かし方から作品への愛とリスペクトをひしひしと感じられて最高です!
デクとかっちゃんの夢パートが始まったときには
もう口角が上がって仕方なかったです!
7章ラストスパート頑張ってください! - 137125/09/28(日) 22:09:10
白い空間の光が強くなり、出久はあまりの眩しさに一瞬目をぎゅっと瞑った。
次に目を開けたとき、出久の前にいたのは、マレウス・ドラコニアその人だった。
――マレウス……マレウスや。
白い空間に、リリアの声が響いた。見れば、体が薄っすらと透けているリリアがそこにいた。彼の低く落ち着いた声が、優しく諭すようにマレウスへと語り掛ける。
――よく聞け、マレウスや。人間の凶星たれと祝福を……いや、呪いを受けた子よ。
――我ら妖精とて、もはや御伽噺の世界で生きていくことは叶わぬ。お主の魔法をもってしても、時の流れには抗えんのだ。
――さあ、マレウス。夢から醒める時がきた。わしもそろそろ行かねばならぬ。
――リリア?どこへ行く?
リリアの体が少しずつ光へと溶けるように消えていく。悲愴に目を歪ませたマレウスとは対照的に、リリアは穏やかに微笑んでいた。
――案ずるな。お主の言う通り、1000年など瞬きのうちよ。次に会えた時、今度はお主の旅の土産話をたくさん聞かせておくれ。
――外つ世界より来臨せし英雄よ。こやつのことを頼んだぞ。
――お主に夜の祝福があらんことを。
リリアの姿がついに光の向こうへと消える。
――待て……行くな。行かないでくれ!
彼を追いかけようとするマレウスの手を出久はしっかりと握った。どんなに辛くても、ヒーローは人をそちらに行かせてはいけないのだ。
――リリアーーー!!
子が親を呼ぶような声でマレウスが叫ぶ。
リリアの姿が完全に見えなくなるとともに、出久の視界が明転した。 - 138125/09/28(日) 22:32:50
⚔「そんな、俺たちをかばって……親父殿!」
🐊「リリア様、しっかりしてくださいっ!」
シルバーとセベクの必死な声で、出久は目を覚ました。
ズキズキと頭が痛むが、自己診断とはいえ骨は割れていなさそうだ。出久は慎重に体を起こし、彼らのもとへと這って近寄った。
🔥「対象、意識喪失、脈拍なし!医療班、至急応援願う……!」
オルトの体から平坦な電子音が鳴る。ナイトアイとお別れをした病室で聞いたものと同じ音だった。
🥦「リリア先輩……!」
その音に、出久は状況を理解する。リリアはマレウスの攻撃からシルバーを庇って、そのまま。
🧨「……デク!起きたンならテメェのポーチの中身出せ!」
リリアの傍にいた勝己が、目を覚ました出久に気づいて駆け寄ってきた。
*出久 ヒーロースーツのポーチ
dice1d2=2 (2)
1.中身がある
2.中身がない
- 139125/09/28(日) 23:05:15
🥦「……ダメだ。変形しても、中身は流石に入ってない」
🧨「チッ!てめーのポーチに人工呼吸用のシートでも入ってりゃベストだったが、ないならしょうがねェ」
🥦「――!!」
勝己の目はまだギラギラと燃えている。彼はまだ、諦めていないのだ。勝己の命を最後まで諦めなかった、エッジショットのように。
🥦「――かっちゃん。僕も手伝う」
🧨「そンなら、俺が胸骨圧迫すっからてめーが人工呼吸やれ。んで、タイミング見て俺のニトロの珠ぶち込んで蘇生を試す。おいメラメラ!妖精の心拍カウントしろ」
🔥「了解!」
ピッ、ピッ、と断続的な電子音が響く。
悲しみに暮れるセベクとシルバーの間に割り込み、二人はリリアの心肺蘇生を開始した。
😺「!!シルバー、オメー、髪の色が!」
シルバーの髪の色が、夜の月の銀色から陽のような金色へと変化した。リリアの『夢』で一瞬だけ見た、シルバーが生まれ持った髪の色だ。
⚔「え……髪?あ、ま、まさか……親父殿の祝福が、消えっ……!」
🐊「嘘だ……嘘だと言ってください、リリア様ァ!」
⚔「いやです……親父殿、親父殿おぉーーーッ!うわああぁあああああ!」
セベクとシルバーがリリアの側で泣き崩れる。リリアの顔は蝋のように白い。
🧨「まだ死んでねェ!!諦めンな!!」
🥦「二人とも、そのままリリア先輩に呼びかけ続けて!」
敵を倒すことだけがヒーローの仕事ではない。二人は日本最高峰である雄英のヒーロー科で、人を救うための方法をスパルタで叩きこまれてきた。
もてる知識と技術をフルで動員して、二人は今出来る限りの救命措置に当たった。 - 140125/09/28(日) 23:35:38
🐲「リ、リリア?そんな、うそだ……僕が、この手でお前を……?」
オーバーブロットから目覚めたマレウスが、呆然自失とした状態で近づいてきた。リリアの白い顔を覗き込むと、マレウスの表情が絶望に染まっていく。
🐲「違う……僕は、僕はこんなことがしたかったんじゃないッ!!」
🐲「待っていろ、今すぐに傷を全て癒してやる。僕の力なら、その程度……がはッ!!」
リリアに回復魔法をかけようとしたマレウスだったが、割れるような頭痛で魔法を発動できず不発に終わる。何度試しても結果は同じだった。
魔力を操る器官であるマレウスの角は、先ほどの戦いで右側が折れてしまっている。
🐲「はぁ、はぁ……なぜだ、どうして魔法が使えない!?」
🐲「お前を失ったら、僕は、一体なんのために……!」
🥦「マレウス先輩、“大丈夫”だ!リリア先輩の心拍が止まってすぐに心肺蘇生を始めたから、ちゃんと血と酸素が全身を巡ってる!オルトくんが信号を出してくれたから、医療チームの人もこっちに向かってる!」
🧨「ひとりごと言いながら泣き喚くくらいなら、ジジイにデケェ声で呼びかけながら泣け!!」
心肺蘇生を受けるリリアの側に膝を折り、マレウスはひんやりとしたリリアの手を縋るように握った。
🐲「僕はただ……ただ、寂しかったんだ。最後までずっと一緒に、そばにいてほしくて……。なのにどうして、あ、あぁあ……!うわあぁああぁああーーーーーっ!!!」
幼い子どものように、マレウスが声を上げて泣いた。
🐲「お母様、お父様……お願いだ。何でもする……寿命でも、翼でも、何でも捧げる!だから、リリアを連れて行かないでくれぇ……。ううっ、うぁああ……ッ!」
🧨「ハァ、ハァッ……!今ニトロも舌下に入れた、効き目があっかは正直賭けだが……!」
🥦「頼む、間に合ってくれ……!」
胸骨圧迫と人工呼吸だけで体を持たせるには限界がある。タイムリミットが刻一刻と近づいている。
賢者の島は孤島であり、さらに堅牢な結界に覆われているため、外部の人間が入るには時間がかかる。
出久と勝己の背中に冷たい汗が流れる。確実に脳まで酸素を送り届けるために勝己が続けた胸骨圧迫で、すでにリリアの肋骨は何本か折れてしまっている。人工呼吸を施す出久は、回を重ねるごとにリリアの唇が冷たくなっていくのを感じていた。 - 141125/09/28(日) 23:40:21
- 142二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:41:47
- 143二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:43:44
ちゃんと専門的な訓練をうけたヒーローって感じがすごく好き
- 144二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 00:14:13
ワンダーランドのヴィランと現実のヒーローって感じの対比がいいと思う
- 145二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 07:22:41
むしろここで動かなかったら2人(ヒーロー)じゃないからよし!!
- 146二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 13:18:22
逆にこれだけやってもダメっていう絶望感が増してますね…
- 147二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 18:35:51
リリアを生かすことを諦めてない二人のヒーローがすごく好き
- 148125/09/29(月) 20:48:33
😺「……!?なんだアレ?すっげぇキラキラ光ってる!」
懸命な救命措置が続き、絶望的な時間が過ぎ去っていく中、グリムが驚いたように耳の炎を噴き上げた。
🔥「半径10m圏内に魔力濃度の急速な上昇を感知!……これはなに!?僕の計測器が壊れそうなほど、強い魔力が渦巻いてる!」
🧨「敵襲か!?」
💀「いや、違う……。魔力源はマレウス氏の折れた角……まさか、蓄積し続けた力が放出されてる!?」
不可思議な現象に見守っていた面々が困惑する中、シルバーの指輪が共鳴するように輝いた。
🥦「一体何が……」
🧨「フン。こういうときこそ、魔法の都合良いとこ見せてみろや。“愛”とは不可能を可能に変える力、っつってな」
勝己が唱えたのはリリアからの教えだ。シルバーははっとしたように悲しみに伏せるばかりだった眼を見開いた。
⚔「そうか、そういうことか!父が言っていた。『願い』は、どんな魔法よりも純粋で、強い力を持っていると!強く願って、信じるんだ!奇跡は起きると!マレウス様、どうか俺の手を!」
シルバーとマレウスが手を取り合い、未だ固くまぶたを閉ざしているリリアに向き直った。
⚔「親父殿、どうか帰ってきてください……!」
🐲「リリア。……お前を愛している!」
信じる心が、真実の愛が、奇跡を起こす。マレウスの角とシルバーの指輪の共鳴が強くなり、眩い光が周囲を包み込む。
🥦「――あ」
リリアの口元に一番近い位置にいた出久の耳に、リリアの息が吹き返した小さな音が聞こえた。 - 149125/09/29(月) 20:58:23
🦇「…………うっ……。ここは……?」
リリアのマゼンタ色の目がゆっくりとひらく。目の前で手を取り合うシルバーとマレウスの姿をとらえ、リリアは微笑んだ。
🦇「はは、マレノアと夜明けの騎士が手をつないでらぁ。……そうか。お前ら、こっちで仲直りしたんだな。めでたいこった……。ああ、バウルまで一緒に……」
続いてセベクへと視線を向けたリリアだったが、そこで急に我にかえったように目がカッと開いた。
🦇「ん?いや待てよ。バウルはまだ生きてるはず……あれ?わし、もしかしてまだ生きてる?というか、あばら折れとらんか? dice1d24=13 (13) 本くらい逝っとるような……」
⚔🐲🐊「「親父殿!!/リリア!!/リリア様!!」」
目を覚ましたリリアをシルバーとマレウスとセベクが抱きしめ、わんわんと子どものように泣きじゃくった。
ヒーローの役目はここまで。出久と勝己は感動の再会を邪魔しないよう、ひっそりとイデアたちのもとまで下がった。
🦇「シルバー、セベク……よくぞマレウスを止めてくれた。出来た弟子を持てて、わしは本当に幸せ者じゃ」
🦇「それから……マレウス。お前にも随分寂しい思いをさせてしまったようじゃな。……気づいてやれず、すまなかった」
リリアに抱きしめられ、三人の泣き声がますます大きくなる。
角が折れた今、マレウスがどれだけ泣いても嵐が起きることはない。マレウスはシルバーとセベクよりも大きな声で、今までの寂しさを全て洗い流すように泣き続けた。
🦇「よしよし、好きなだけ泣け。……子どもは泣くものだからな」
🥦「――本当に、よかった」
🧨「…………まァな」
😺「一件落着、なんだゾ!」
新たな悲劇が生まれずに済んだことに、出久と勝己はほっと息を吐き、グリムが普段の調子を取り戻した。
永遠の別れにならずにすんだディアソムニアの面々をみて、イデアとオルトも微笑んでいた。
- 150125/09/29(月) 21:26:54
それから間もなく島の外から派遣されてきた医療チームが到着し、リリアとシルバーとセベクが運ばれていった。そのすぐ後に、第二陣の医療用魔導ヘリコプターが来たかと思えば、今度は出久と勝己もほぼ強制的に病院へと連行されることとなった。
マレウスは『S.T.Y.X.』でブロットケアを受けるため、イデアたちとともに嘆きの島へと輸送された。
*
検査の結果、強く打った出久の頭も、全身爆破で痛めつけまくった勝己の全身も問題なしと診断されたが、要経過観察ということで数日間の入院生活を余儀なくされた。
入院生活の間に世間では大きな話がポンポンと進んでいたようで、学園長から二人の病室宛てに届いたプリントは細かい文字でびっしりと埋め尽くされていた。
あの一件以降、原因不明ながらリリアが一定の魔力を取り戻したこと。
破壊されたディアソムニア寮が茨の谷から派遣された妖精の魔法によって復元されたこと。
マレウスが『魔法災害特急保持個体』に認定されたこと。
『魔法災害特急保持個体』。文字通り、マレウスを“生ける災害”と国際魔法評議会が定めた新しい制度だ。
“災害”が未然に発生を防ぐことも抹消することもできないように、マレウスもそういう存在として扱い、被害を最小限に食い止める対策を打つことで共生をはかるもの、ということらしい。
大きすぎる力をもつマレウスを“普通”の存在として扱うことはできないが、排斥せずに受け入れていくための処置。決して完璧ではないが、平等ではない者たちが、それでもともに生きていくための大きな一歩だ。
🥦「――リリア先輩は復学が決まって、マレウス先輩も復学できる可能性があるんだって。よかったぁ~~」
🧨「まァ、糸車は今回のやらかし以外、他の寮のクソ生徒どもと比べりゃフツーにマトモだったからな」
プリントの最後のほうは、マレウスのユニーク魔法を打ち破ったナイトレイブンカレッジの学生への世間からの評判がうなぎ上りになっていることが興奮気味の文章が続いている。
エースとデュースから出久のスマホにメッセージが届いたが、学園は至っていつも通りで、大きな事件があったにも関わらず学年末テストが予定通りに行われることに対する愚痴だった。
大きな変化はあれど、世間はすっかり日常に戻っていた。 - 151二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 21:31:42
感動的なシーンだとは思ってるけどリリアの折れた肋骨ダイス見た瞬間涙引っ込んだw
- 152二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 21:36:56
愛「肋骨は範囲外」
うんまあ、救命措置の副産物だからね - 153125/09/29(月) 21:47:53
それから、二人は退院してグリムが待つオンボロ寮へと帰った。
日を同じくしてセベクとシルバーも退院したようで、二人がオンボロ寮に挨拶に来たのだが、シルバーの髪は夜の祝福をうけた銀色に戻っていた。
出久たちの退院を聞きつけたミッキー交信調査のメンバーもやってきて、グリム一人でがらんとしていたオンボロ寮はあっという間に賑やかになった。
🥦「みんな、来てくれてありがとう!とりあえず玄関じゃなんだし、麦茶でもどうぞ」
♥「それよりも聞いてよ、大ニュース!!」
――マレウス・ドラコニア復学決定!!
興奮気味に告げられたその言葉に、セベクとシルバーがその場で崩れ落ちるようにして喜びと安堵を露わにした。
この復学は賢者の島の地元住民の熱心な協力があってのものだと、エースたちが学園長の受け売りで説明してくれた。
賢者の島は、はるか昔に大魔法使いとその弟子が住んでいた島。あるとき、才能に溢れる弟子が過ちを犯してしまったが、大魔法使いは破門せずに叱るに留め、正しい魔法の知識と制御の術を授けた。
その精神は大魔法使いの弟子、弟子の弟子、さらにその弟子へと、賢者の島の発展とともに引き継がれてきた。賢者の島の住民はその教えを守り、反省しているマレウスに魔法を制御を見につけるチャンスを与えて見守ることがこの島の使命だとして、今回の決定に至ったらしい。
🥦「――すごい」
過ちを犯した者にチャンスを与え、見守る。言うのは簡単だが、実行するには相応の覚悟が必要で、地域全体の協力が不可欠だ。
😺「イズク、オメーなんか嬉しそうだな!」
🥦「そうだね。希望がある話が聞けて……とても嬉しい気分だ」
誰もが手を差し伸べ合うことができる社会。そこに至るまでの歩みと道筋を見れたような気がして、出久の頬は自然とほころんだのだった。 - 154125/09/29(月) 22:03:40
その後、マレウスから「感謝の夕べ」への招待状が届いた。
丁寧で言葉で綴られた招待状の冒頭には、今回の事件に対する謝罪と、復学に際する理解と協力への深い感謝が綴られていた。
本題は、マレウスが復学を許可されたことに対する感謝のパーティーを開催する知らせだ。
開催日時は5月15日の0時。場所は旧茨の国の野ばら城。
出久にも勝己にも断る理由はなく、招待を受けてオンボロ寮の三人は専用の迎えの魔法の馬車に乗ってパーティーへと向かったのだった。
*
初めて訪れた現実の野ばら城は、かつての荘厳な雰囲気を残しつつも、茨に覆われた廃墟になっていた。
トレインが魔法史の授業で触れていたが、野ばら城は茨の国から人間の手に渡ったのち様々な権力者が奪い合い、最終的には争いを仲裁した魔法評議会の管理区域としてどの国にも属さない特別な場所に指定されているらしい。
🐲「これはこれは……ナイトレイブンカレッジの皆々様。本日は僕の招待に応じてくれたこと、深く感謝する」
野ばら城の広間に手今回の招待を受けたナイトレイブンカレッジの生徒たちが歓談していたが、0時きっかりになると緑の炎のともに招待主であるマレウスが現れた。マレウスは茨の谷の次期当主としての正式な装いでありながら柔らかな表情で、その傍にはピンピンしたリリアの姿もあった。
🐲「……このたびの一件、僕の至らなさゆえに、皆に迷惑をかけてしまったこと、申し開きの言葉もない。心よりお詫びを申し上げる」
マレウスは深く謝罪をした後、復学に関わった全ての者への惜しみない感謝の言葉を述べた。 - 155二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 23:17:56
かっちゃんのマレウスの呼び方、糸車に戻ってる!
糸車呼び、かっちゃんにしては洒落たネーミングで好き - 156125/09/29(月) 23:32:19
🐲「最後に……。シルバー、セベク。前へ」
改まった謝罪を終えると、マレウスは柔らかな声色で二人を玉座の前へと呼んだ。
🐲「僕が今こうして愛する者たちと共に過ごせるのは、お前たちが果敢に立ち向かい、僕を止めてくれたからだ。王が道を見失う時、恐れずに諌言を述べられる臣下こそ真に忠義厚き者……貴殿らの忠義と功績を称え、ここに贈り物を授けよう」
マレウスが指先を一振りすると、セベクとシルバーはディアソムニアの寮服姿からミスティウム製の『ハルモニア・フレーム』を纏った姿になった。
あの日、たった一瞬だがマレウスの炎を近くで受けた甲冑は、形が歪み機能を失ってしまったはずだった。
🐲「茨の谷の腕利きの職人に修理させた。嘆きの島の番人たちが仕込んだという、からくり細工までは再現できなかったがな」
🦇「その甲冑は此度の戦いのため、バウルがかつての近衛兵たちに呼びかけ、国中からかき集めたミスティウムで作られた。武具の出番など、この先二度とないほうがよい。じゃが……」
🦇「ミスティウムは今の時代、め~っちゃ貴重で高価な金属じゃからな!溶かして売れば、豪邸の1件や2軒軽く建つぞ。へそくり代わりにするがよい」
🐊⚔「「絶対に売りません!!」」
声を揃えた二人の姿に、マレウスとリリアはニコニコと目を細めた。
🐲「ふふふ……。そして、もうひとつ。女王マレフィシアにかわり、貴殿らに茨の谷の騎士の称号を授ける」
🐊⚔「「き、騎士に……!?」」
生粋の日本人である出久と勝己は騎士の称号のもつ重みはわからないが、非常に栄誉あるものであることくらいは創造できる。
「騎士になりたい」と『夢』の世界で語った二人は、マレウスの言葉を聞いて口をぽかんと開いた。
茨の谷の女王より、セベクは『雷光の騎士』、シルバーは『夢幻の騎士』の名を賜ると、恭しく跪いた。
🐊「あ、ありがたき幸せ……!」
⚔「俺は……俺は、幼い頃からマレウス様と親父殿を守る騎士になるのが夢でした。強く信じれば、夢は叶うというのは……本当なのですね」
めでたく栄誉ある瞬間に立ち会った者たちから拍手が上がる。二人は騎士の名を賜った幸福を噛みしめる。
セベクはそのまま頬を紅潮させたが、シルバーは悩ましげに眉を寄せた。 - 157125/09/29(月) 23:48:49
🦇「どうした、シルバー?何かいいたげな顔じゃな」
⚔「いえ、…………あのっ、……、……」
🐲「なんだ。言ってみろ」
マレウスに促されると、「たいへん烏滸がましいお願いなのですが」と言葉を詰まらせながら、シルバーはミスティウム製の甲冑を『S.T.Y.X.』と賢者の島に譲りたい、と申し出た。
⚔「ミスティウムが非常に貴重なものであることは、重々承知の上です。だからこそ、誉れの証として森の家に飾っておくよりも、未来のために役立ててくれる者たちに譲りたい。俺への贈り物は、騎士の称号だけで十分です」
🐲「いいだろう。ではお前の鎧は2つに分け、賢者の島と嘆きの島へ贈ることとする」
マレウスはシルバーの無欲な願いを聞き届け、シルバーの鎧を片付けて代わりに騎士の制服を授けた。
⚔「ありがとうございます……っ!」
🎩💀「「ありがとうございます~~!!」」
貴重なミスティウムが棚ぼたで手に入った学園長と、嘆きの島の番人であるイデアは、ガッツポーズをしながら叫ぶように礼をした。
🐲「しかし……称号だけで十分だとお前は言うが、それでは僕の気がすまない。他に欲しいものはないのか?」
⚔「…………欲しいもの……ですか」
🐲「僕にやれるものなら、何でもやろう。言ってみるがいい。今日はお前の18歳の誕生日だろう?お前に贈り物をするのにちょうど良い日だと思い、この夕べの日取りをリリアとともに決めたのだ」
マレウスとリリアが柔らかく笑う。
二人に見つめられながらシルバーはしばし考え込み、ようやく言葉を紡いだ。
⚔「1つ、思いついたのですが。これは、マレウス様から賜れるものでは……」
🐲「?」
⚔「……もし。もし、叶うなら……」
シルバーは口ごもっていたが、やがて覚悟を決して願いを口にした。
⚔「――ヴァンルージュの名を」