- 1ケイちゃんと添い遂げる25/09/25(木) 00:59:03
「トレーナーさんは、初めて仕事をするのに、こんなに不安定なおれを迎えてくれました。
おれが、病気になっても、毎日毎日病室までやって来て、林檎を向いてくれました。ずっとずっと、小さい頃から見ていた同じ部屋が、少し変わりました。トレーナーさんの手は、ものすごく暖かくて。トレーナーさんにも、成長したおれを見せたくて……自主練習で無茶しすぎちゃった時に、ものすごい剣幕で怒ってくれたのを、忘れることはありません。
それでもおれは、みんなにありがとうを返したかった。今まで、家族やお医者さん、トレーナーさんに周りの人達を巻き込んでしまって。ずっと点滴に繋がれて、同じ薬を何度も何度も飲み込んで、苦しくてトイレで吐いたり……周りに、迷惑しかかけられなかった自分が気持ち悪くて、怖くて、醜くて、何回も何回も泣きました。それからトレセン学園に入学できて、久しぶりに全力で走った時……恐ろしさもあったけど楽しくて…そんな時に、トレーナーさんは更に、手を差し伸べてくれて。おれは幸せ者です。
おれの意識が途切れてしまった時から、トレーナーさんは毎日毎日病室にやって来て、時間の限界まで部屋に一緒に居てくれたとお医者さんから聞いた時は、丁度トレーナーさんはいなかったけれど。胸がいっぱいで、また迷惑をかけた罪悪感と嬉しさが混ざって……涙が枯れる程泣きました。次の日も早くからやってきて、目が腫れてるおれを心配してくれるトレーナーさんに、絶対に恩返しするぞ、って更に思ったんです。
おれがスプリンターズステークスで勝った時のトレーナーさんの顔は、世界で一番綺麗でした。
どうか、まだ迷惑をかけるかもしれないけれど……トレーナーさんは、同じ道を歩んでくれますか。」 - 2ケイちゃんと添い遂げる25/09/25(木) 01:00:03
文法も話の細かな内容も考えずに発した声に、トレーナーは優しく微笑む。木の葉がそよ風に揺られて地面に舞い落ち、一面を枯葉模様に染め上げた公園。少しばかり沈黙を挟んだ後に、トレーナーはミラクルを輝いた眼差しで見つめながら口を開いた。
「うん、勿論。これから先も、ミラクルにも私にも何があっても……私は貴女と歩き続けるよ」
風が二人の髪を揺らし、葉を舞わす。
ミラクルの揺れる横髪を外に寄せながら、トレーナーは続けた。
「私達って、白鳥みたいだね─────」
二人の近くの池には、白鳥が二羽、猪目を作るように停まっていた。 - 3二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 01:09:51
寝る前に尊いSS読ませてもらいました、有難う!
借り物のお礼で申し訳ないですがちょっと白鳥さん置いていきますね…
『白鳥ハート』白鳥さんは流し撮りメインで狙っているので、なかなかチャンスがなかった白鳥ハート ちょっと歪なのは、ご愛嬌って事で で、ここからはいつもの流して、そして流して…ameblo.jp - 4二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 01:14:17
今日酷いケイちゃん概念で心がすり減らされてたから良い保養になったよ、ありがとう