(CP閲覧注意)未亡人か……2回目

  • 1二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 19:37:28

    夢なら覚めて……


    戦闘中に機体が大破して亡くなったと思われていたエグザベくんが実は地球連邦のMSに救助されており生きていたSSの続きです。
    ハッピーエンドは前スレのレス144で迎えております。以降は曇らせが多くなりますがニャアンかエグザベくんが見ている夢という体で見てくれると助かります。

    エグザベくんが地球連邦の捕虜になっている間に勝手にエグザベくんクローンが作られていたのでこれから3人(?)でドスケベする予定です。

  • 2二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 19:38:29
  • 3二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 19:39:30
  • 4二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 19:40:46

    立て乙
    三人!?

  • 5二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 19:41:32



    本物のエグザベ・オリベは拍子抜けするほどあっさりと返還された。

    地球連邦の言い分は「ティターンズと提携する研究所が勝手にやっていたことで、私たちは何も知らなかった」

    件の研究所は形ばかりの処罰を受け、責任者は懲戒免職を受け現在は拘禁中。
    わかりやすいトカゲの尻尾切りだった。

    ジオンに返還されたエグザベは以前よりも筋力が落ちて痩せた様子だった。
    目の下にはひどいクマができており、どことなく憔悴した様子から彼がどのような扱いを受けていたのか予想はできた。

    しかし彼自身は研究所でどのような扱いを受けたか態度で見せることはなかった。

    エグザベはただ「ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」と謝罪した。

    そして彼の預かり知らぬ場所で自身の体細胞クローンが作られ、連邦兵士として最前線に立っていたと聞かされた時、彼はその人物に会えないかとシャリアに聞いた。

    「別に自分がもう1人いたって構いません。だけど生まれてすぐに無理矢理大人にされて、ずっと戦わされていたと思うと……恐ろしい話です」

  • 6二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 19:42:35

    「彼も自分を“エグザベ・オリベ”を思っている。そう考えると……彼と自分の立場は逆だったかもしれない」

    エグザベはどこまでも高い精神的耐性を持っていた。
    それはクローンである“エグザベ・オリベ”も同様だった。

  • 7二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 19:45:05



    シャリアに案内され、クローンの“エグザベ・オリベ”はジオン軍の医療施設の通路を歩いていた。
    ある病室の扉の前でシャリアは立ち止まる。

    病室の扉は一部がガラス張りになっており、内部の様子が垣間見えた。

    「マジックミラーですので、部屋に中の方々はこちらの様子はわかりません」

    病室の中には自分と同じ顔の男がベッドの上で上体を起こし、綺麗な長い髪の少女と何やら会話している。

    「ニャアン……」

    約1ヶ月ぶりに見るニャアンは、真剣な表情で右手に果物ナイフを持ち、少したどたどしい手つきで林檎の皮を剥いている。
    それを見ているオリジナルのエグザベ・オリベは不安げな表情で、彼女が指を切ってしまわないかとハラハラしている様子だった。

    林檎の皮を剥き終えると小さく切り分け、紙皿に乗せて使い捨てのピックでその一つを刺した。

    彼女はそれをそのままエグザベの口に寄せる。
    エグザベは拒む態度を見せたが、最終的にはされるがまま林檎を口に運ばれていた。

    自分は一体何を見せられているのだろう。

  • 8二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 19:46:23

    「入りましょうか」

    シャリアがノックもなしに病室の扉を開ける。
    ニャアンとその隣にいるエグザベは扉の方を向いて目を丸くした。

    「あ……」

    ニャアンは病室に入ってきたエグザベを見ると、表情をこわばらせて手に持っていた紙皿を落としかける。
    隣にいたエグザベは真剣な表情になり、もう1人の自分に向き合った。

    「ニャアンさん、少しお話ししたいことがあります」

    シャリアはニャアンに声をかける。
    ニャアンは手に持っていたものをサイドボードに置き、シャリアの元に歩み寄る。
    シャリアのすぐそばに立つクローンのエグザベに近付いたとき、ニャアンは哀しさと申し訳なさの混じった表情で彼に視線をやった。

    クローンのエグザベの視線は自分のオリジナルのエグザベ・オリベに向けられている。
    それはあえてニャアンから目を逸らしているようでもあった。

    病室の扉が閉まる。
    部屋には同じ顔の青年が二人、静かな面持ちで互いを見ている。

  • 9二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 19:47:54

    「君が本物で、僕が偽物だ」

    それを言ったのはクローンのエグザベ。
    直感からの言葉だった。
    自身の供与体との遭遇は、彼に全てを理解させるのに充分すぎた。

    「僕は君のクローンで、ずっと自分が地球連邦の兵士だと思っていた……いや、本当はもっと前から違和感を持っていたのかもしれない、でもそれから目を逸らしていたんだ」

    記憶がない自分には、縋るものがそこにしかなかった。
    だが縋るべき対象────自分を兄のように慕ってくれた幼い兵士たちは皆いなくなってしまった。

    「僕は“エグザベ・オリベ”じゃなかった」

    自分は運が悪かった。
    クローンのエグザベはそれを察すると、押し黙った。

    「君は偽物ではない」

    ベッドに座っているエグザベ────オリジナルのエグザベが声を発する。

    「君は君だ……簡単に本物や偽物で片付けられる話ではない」

    自分自身を根幹から否定されることがどれほど恐ろしいことなのか、そしてそれをいとも容易く受け入れるクローンのエグザベの覚悟は誰よりも“エグザベ・オリベ”らしい振る舞いだった。

    「君はこれからどうしたいんだ?」

    オリジナルのエグザベからの問い。
    クローンのエグザベは戸惑いなく答える。

    「自分はもってあと2、3年程度しか生きられない。それまではジオンの管理下で軟禁生活を送ることになっている。だがシャリアさんのおかげで不自由のない暮らしができそうだ……ならばそれ以上は望まないよ」

  • 10二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 19:48:58

    クローンのエグザベが────本来ならまだ1歳のエグザベがここまで達観しているのは、脳に植え付けられた“エグザベ・オリベ”の人格がそうさせていたからだった。

    「それは建前だろ」

    オリジナルのエグザベは彼の感情の奥深くが理解できた。
    クローンのエグザベは考えることを放棄して、そうやって精神を保とうとしている。

    「……」

    クローンのエグザベは暫し黙り込んだ後、口を開く。

    「だいぶ前に、ニャアンから本を借りた」

    猫が表紙に描かれた、旧世紀に書かれた物語。

  • 11二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 19:51:06

    「その本には猫が出てくるんだけど……猫は主人公の未来への希望を表象化した存在なんだ」

    「猫だけはずっと主人公の側に在り続け、彼を導く光だった」

    クローンのエグザベは視線をオリジナルのエグザベから逸らし、病室の扉の一点を見つめた。
    それはマジックミラーの鏡面側で、先ほどまでは病室の中を覗き見られる窓だった。

    鏡面に映る自分を横目に見ながら、クローンのエグザベは答える。

    「猫と生活がしてみたい」

    クローンのエグザベには本物の猫と触れ合った記憶はない。

    “エグザベ・オリベ”が猫が活躍する物語を読んだくらいで猫を飼いたがる人間だろうか。
    クローンのエグザベが指し示す猫とは、本当にただの猫なのか。

    クローンの“エグザベ・オリベ”は鏡の中の自分を見ているようで、もっと遠くを見ているようだった。

  • 12二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 19:52:13

    スレ主です。
    一旦ここまで。
    いけそうなら0時過ぎにまた投下します。

    何卒よろしくお願いいたします。

  • 13二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 00:07:12



    約1年ぶりに“本物”と言われているエグザベ・オリベに会った。

    1ヶ月前に会った、自分のことを地球連邦の兵士と思い込んでいるエグザベとは異なり、ジオン軍人の────自分のよく知るエグザベは少し気まずそうに笑って「久しぶり」という一言を発した。

    痩せていて、肌も青白くなっていた。
    だが本人は辛そうな様子は一切見せずに「心配かけてごめん」「学校はどう?」などと至って普通に振る舞う。

    その様子が逆にニャアンには腹立たしかった。
    お見舞いに持ってきた林檎の皮を剥く手が震えてしまう。
    そもそもこの林檎は目の前にいる彼のために用意したものではなかった。

    「ねえ、やっぱり僕がやるよ」

    なぜあなたが私の心配をするのか、普通逆ではないのか。
    ゼリーにすればよかった。
    少しからかうつもりで小さく切った林檎をピックで刺して彼の口元に運んでやると、躊躇うそぶりを見せたが結局照れくさそうにしながらされるがままになり、差し出されたものを口に含んだ。

    こっちのあなたはとても素直だ。
    あちらの彼とは違って不貞腐れたような顔は一切見せないし、ため息を吐いたりもせず、自分に対する声音も柔らかい。

  • 14二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 00:10:13

    元気そうで何よりです、とは言えなかった。
    今目の前にいるエグザベ・オリベは“保護者”の仮面越しに、ニャアンに対し努めていつも通りに振る舞っているように見えて、複雑な感情が彼女の中で渦巻いた。

    そんな中で、ノックもなく病室のドアが開かれた。
    振り返るとシャリアともう一人のエグザベ・オリベが立っていた。

    ニャアンはその状況が恐ろしくてたまらなかった。

    シャリアに言われるがまま、ニャアンは病室を出て行った。
    むしろ彼女にとってはそれは助け舟だったのかもしれない

    病室のドアを開けられてから出ていくまで、ニャアンはずっともう一人のエグザベ・オリベを見つめていた。
    しかし彼は一度もニャアンを見ようとしなかった。

    『また』と言ってお別れしてから1ヶ月が経ってしまっている。

  • 15二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 00:11:36

    1ヶ月前、突然面会不可となり彼と会うことが許されなくなった。
    ようやくエグザベ・オリベとの面会が許可されたのは1ヶ月後────つまり今日だった。
    お見舞いの品に制限がなくなったと聞き、ニャアンは浮き立つ気分で林檎を買い、まだ彼に貸していない本を鞄に入れてジオン軍基地に向かった。

    しかし基地に着くと、ニャアンは彼が収容されていた施設とは別の施設に案内され、白衣を着た男からわけのわからない話を聞かされた。

    ニャアンが1ヶ月前に会って話をしていたエグザベ・オリベは、自分を地球連邦の兵士だという記憶を植え付けられたエグザベ・オリベのクローン。
    本物のエグザベ・オリベは地球連邦の捕虜になっており、数日前にジオンに返還されたと。
    あなたがこれから面会できるのはその“本物のエグザベ・オリベ“だと。

    ニャアンが案内された施設は医療施設だった。
    わけがわからぬまま通された病室には、自分のよく知るエグザベ・オリベがいた。
    混乱していたニャアンの脳は、彼の姿を見ると少しずつ落ち着きを取り戻した。

    「(林檎……あの人にも食べてほしかったな)」

  • 16二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 00:14:11



    ニャアンはシャリアに案内され、基地内に設置されたカフェスペースのソファに座っていた。

    「私の判断ミスで、あなたにはいらぬ負担をかけてしまいました。なんとお詫びしたらいいか……」

    心労によるものか、シャリアはやつれているように見えた。

    「……一番つらいのは、エグザベ少尉でしょうね」

    ニャアンの声は暗い。
    彼女の言う“エグザベ少尉”はクローンの方のエグザベを指していた。

    「連邦兵士のエグザベ少尉は、私が責任を持って最後まで生活のサポートをします」

    「最後まで?」

    「体細胞クローンであるエグザベ少尉の実年齢は1歳です。それを無理矢理成長させた副作用で長くは生きられないと専門家から通告を受けております。持ってあと2年か3年……と」

    「……え?」

  • 17二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 00:15:24

    地球連邦の兵士のエグザベが実は記憶を植え付けられたクローンだとは聞いていたが、寿命については聞かされていなかった。

    ニャアンは背筋に震えが走るのを感じ、あっという間に両手から血の気が引いて震え出した。

    「そんな……そんなのって……」

    声は震えて、ほとんど掠れていた。

    「ジオン軍は今後、彼に不自由のない生活を用意します。ニャアンさん、あなたにこのような選択を与えてしまったことへの責任も果たします」

    選択って、何を選べばいいの。
    責任を果たすって、何をするつもりなの。
    ニャアンは黙ってシャリアを見つめる。

    選ぶという行為自体が苦手だ。
    自分の前に出て来る選択肢はいつも意地悪なものばかり。
    どちらを選んだって誰かを傷つけてしまう。

    「本当に申し訳ございません……彼がエグザベ少尉のクローンであるという可能性に少しでも気付いていれば、あなたの存在を彼には知らせなかった。あなたにも彼の存在は隠したでしょう」

  • 18二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 00:17:46

    ニャアンは唇を震わせ、声を絞り出す。

    「……クローンで、長く生きられないから……最初から記憶なんてなくて、自分が地球連邦の兵士だと思い込まされていた別の人間で……でも、そんな理由で彼を切り捨てられるほど、私は合理的ではありません」

    彼に愛を証明しようとして、キスをした。
    また会う約束だってした。
    自分は彼を“エグザベ・オリベ”として扱い、その心に触れようとしていた。

    「……本来なら、オリジナルのエグザベ少尉とあなたが元の関係に戻るのが自然です」

    それができたら苦労しない、とシャリアは言外に示していた。

    ニャアンは震えを抑えるために両手を強く握りしめる。

    自分があの人をエグザベ少尉だと信じた瞬間から、責任が生まれた。
    短い時間でも自分は彼と関わった。
    その結果、自分は目の前にいるエグザベ・オリベと心を通わせたいと思っていたはずだ。

    「……あなたのその気持ちが、きっと彼を救うでしょう。しかし同時にあなたを苦しめることにもなります」

  • 19二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 00:19:48

    オリジナルのエグザベ・オリベをニャアンは誰よりも好いている。
    彼といると安心する。国籍目当ての結婚だったが、夫婦になれたのはとても嬉しかった。
    いつか本当に愛し合う関係になりたいと思っていた。

    ではクローンのエグザベ・オリベはどうか。

    そもそも彼が自分をどう思っているかはわからない。彼と関わった時間もとても短い。
    だがキスをした。また会うつもりでいた。
    軍から面会不可の達しがなければ毎日彼の元に通うつもりだった。

    最後に会った時、手を振って「また」と言ったら彼も手を振り返してくれた。
    その表情はどこか寂しそうなものに見えた。

    思い出すだけで胸が苦しくなる。

    彼らは別の人間であるはずなのに、名前も顔も心の一部も共有している。
    どうしても彼らを完全に切り離して考えることはできなかった。
    片方とだけずっと一緒にいれば、きっともう片方のことを考え、今感じているものと同じ苦しさを感じてしまうだろう。

    ニャアンが好きになったのはオリジナルのエグザベ・オリベのはずなのに、悲しい運命が待ち受けているもう一人のエグザベ・オリベに心が傾きそうになっていた。
    ニャアンは不誠実な思考に自己嫌悪に陥る。

  • 20二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 00:21:54

    どちらか一方を選ぶことは裏切りで、両方を選ぶことは不誠実。
    ニャアンは『自分は生きているだけで誰かを傷つける』という結論に至り、沈み込んだ。

    結局どの選択肢を選んでも悲しむことになるのなら、私は不誠実で堕ち切った下衆の卑怯者になるしかない。
    それに彼らが、自分のことをそこまで好いていない可能性も十二分にある。

    「(案外そうかもしれない……私がエグザベ少尉のことを好きなだけで、オリジナルのエグザベ少尉はただの誰にでも優しい親切な人間なだけだし、クローンのエグザベ少尉だって私のことをむしろうざったいと思ってるかも)」

    その考えに至ると、ニャアンの胸のつかえが少し下りるのを感じた。
    自意識過剰だったのかもしれない。

    オリジナルのエグザベ少尉は元々自分にさほど関心はないだろうし、クローンのエグザベ少尉は残りの人生を一人で、あるいは美女を囲ったりなどして自由気ままに暮らしたいだけかもしれない。

    そうであったら、自分が思い悩む必要はなくなるのではないか。

  • 21二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 00:23:04

    スレ主です。
    今日はここまで。
    続きはまた夕方ごろの予定です。

  • 22二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 00:26:34

    うおっインモラル・・・

  • 23二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 03:28:46

    乙です
    ニャアンどっちにも会えてなかったんだな

  • 24二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 11:46:00

    保湿

  • 25二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 15:16:24

    保湿

  • 26二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 19:20:16



    クローンのエグザベ・オリベの軟禁先は意外にも地球に用意されていた。
    軟禁される家はジオンが管轄する地域内に建てられ、近くには綺麗なビーチがあり窓から海を眺めることができた。
    大きな家というわけではないが、過不足なく整えられた住まいは終の棲家として充分すぎるものだった。
    普通に生きていたらこんなところにはそうそう住めないだろう。

    そもそも軍人である自分が穏やかな余生を過ごせるだけでも恵まれているのではないか。
    あと2年か3年の命と言われているが、自分より若くして亡くなった兵士は大勢いる。

    「夕飯、デリバリーにするけど何か食べたいものはある?」

    ぼんやりと窓の外の海を見つめていたクローンのエグザベに、背後で作業をしているもう一人のエグザベが声をかける。

    生活が落ち着くまでの間、オリジナルのエグザベが監視役として共に生活する手筈になっていた。
    監視役と言っても、オリジナルのエグザベは1年間の捕虜生活の影響で筋力は落ちて体力も衰えている。
    彼の地球滞在は療養と身体の立て直しを兼ねてのものだった。

    「広いキッチン……調理器具まで揃えてある」

    ニャアンはキッチンスペースに興味津々の様子だった。
    なぜ彼女もここにいるかと言うと、明日以降に保護猫の譲渡施設へ行く予定を組み込んだからだった。

  • 27二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 19:22:12

    クローンのエグザベは『猫と生活がしてみたい』と発言した。
    いつか保護猫を引き取れるようになりたいと思っていたニャアンは、クローンのエグザベがそのようなことを口にしていたと知ると彼らに詰め寄り「猫を引き取るなら私も同行させてください。きっと私がお世話することになるので」と言った。

    保護猫を引き取る条件は安定した収入と生活基盤があることで、単身者は基本的に認められない。
    クローンのエグザベはオリジナルのエグザベの立場を借り、更に書類上の妻であるニャアンに協力をしてもらうことになった。

    部屋数には余裕があったので、3人で一つの家で寝泊まりすることに何も問題はなかった。

    3人は食卓を囲い、デリバリーの食事を口にする。

    「美味しいね」

    オリジナルのエグザベの言葉。
    ニャアンは口の中に食べ物を含んでいるため声を出せず、黙って頷いた。
    思えばクローンのエグザベは、軍で支給されるレーションと、ジオンの研究施設で提供されたプレートに盛られた合成食品のペースト以外の食事を食べるのは初めての経験だった。
    温かな、栄養補給だけでなく味覚も楽しませるための食事。
    知識では知っていても、実際にそれを体験すると胸にくるものがあった。

    「少尉……ご飯、口に合わなかった?」

    ニャアンがクローンのエグザベの顔を覗き込む。

    「いや、美味しいなって思ってただけ」

    クローンのエグザベは視線は食事に向けたまま答える。

    「……」

    ニャアンは少しだけ寂しげな表情を見せる。
    再会してから、クローンのエグザベは一度もニャアンと目を合わせようとしなかった。

  • 28二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 19:24:10

    「君も僕もエグザベ少尉だから、紛らわしいね」

    オリジナルのエグザベはいたたまれない空気を破るように口を挟んだ。

    「そうですね……じゃあ、これからはあなたのことはエグザベくんと呼びましょう」

    ニャアンの言う『あなた』はクローンのエグザベのことを指していた。

    「エグザベくんはもう軍の人じゃないし……エグザベ少尉はエグザベ少尉のままでいいでしょう」

    ニャアンはあっけらかんと答える。

    「それでいいかもね」

    オリジナルのエグザベは同意し、食事を続けた。

    「エグザベくん、明日はキッチンをお借りしてもいいですか」
    ニャアンがクローンのエグザベに問いかける。

    「別にいいけど……料理するの?」

    「自炊のほうが安く済むし健康にも良いので……故郷の料理しか作れませんが」

    「ニャアンの手料理か、久しぶりだな」

    オリジナルのエグザベは食べたことがあるようだった。

    「エグザベ少尉は食べたことがあるんだね」

    クローンのエグザベは、オリジナルのエグザベに視線をやる。

  • 29二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 19:26:09

    「2回だけだよ。一度ニャアンの家に泊めてもらった時にご馳走になったんだ」

    クローンのエグザベは、目の前にいる自身のオリジナルとニャアンの関係がいかほどのものなのかが気にかかった。

    まだ自分がクローンだと判明していなかったころを思い出す。
    ニャアンは愛を証明するなどという理由で拙いキスをしてきて、歯が当たって唇を切ってしまい、血を落としながら泣きそうな顔をしていた。
    経験の浅さがすぐにわかるようなキスだった。

    オリジナルの『優しくて親切な』エグザベから提案された国籍を得るための結婚。
    彼らはどれほど互いを好いて愛し合っているのか。

    少なくともニャアンはオリジナルのエグザベ・オリベを好いている。
    愛が在ることを証明しようとする程度には。

  • 30二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 19:28:04

    しかしオリジナルのエグザベ・オリベのことはまったくわからない。
    彼のニャアンに対する態度はどこか一歩引いたような、まるで後方から見守る保護者のようなものに見えた。

    彼らの関係性はとてもじゃないが夫婦には見えなかった。

    ああ、そうか。

    クローンのエグザベは気付く。
    オリジナルのエグザベ・オリベのニャアンに対する扱いは、自分がまだ地球連邦の兵士だったころの、同じ部隊にいる幼い兵士たちに振る舞っていた態度に似ているのだ。

  • 31二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 19:29:04

    スレ主です。
    保湿ありがとうございます。
    続きはいけそうなら0時ごろに…
    早くスケベが書きたいです。

  • 32二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 19:38:37

    自分のクローンと過ごしている異常空間なのにエグザベ少尉がずっと普通の態度なのが
    すごくエグザベ少尉らしくてやっぱ変だよこの男・・・ニャアン頭ワケワカしすぎて沸騰してそう

  • 33二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 19:44:24

    ここからスケベに・・・?

  • 34二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 20:16:11

    いつか保護猫を引き取りたいってクローンとは気付かずにだけどエグザベに話して、その上で単身者は難しいという条件がある
    それって『あなたといつか本当の夫婦になりたい』という意味になるのでは?

  • 35二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 23:27:09

    うぅー三人の空気が苦しいけど美味しい

  • 36二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 23:46:50



    翌日の朝食。
    宣言通り食卓にはニャアンの手料理が並んでいた。
    どうやら早起きして食材を買いに行っていたらしく、冷蔵庫には食材や飲み物が補充されていた。

    「起こしてくれればよかったのに」

    オリジナルのエグザベの言葉。

    「エグザベ少尉は、昨日は運転したり住居の支度で疲れていたから」

    クローンのエグザベは昨晩はほとんど眠れていなかった。
    ニャアンのいる部屋から物音が聞こえるのには気付いていたが、買い出しに行っていたとは思わなかった。

    「最新型のキッチンと調理器具が使いたかっただけなので」

    3人は食卓につく。

  • 37二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 23:50:24

    クローンのエグザベは料理を口に運ぶ。

    美味しい。
    だが味よりも、誰かが自分のために手料理を振る舞ってくれたことが嬉しかった。

    何もかも初めてばかりだ。
    普通の食事の次は手料理。次は何が待ち受けているのだろうか。

    「美味しい。これならお店開けるね」

    ありのままの感想だった。
    クローンのエグザベの言葉に、思わずニャアンは笑い声を漏らす。

    「ごめんなさい。前にも同じことを言われたから」

    例え作られた存在で地球連邦にとって都合の良い記憶を植え付けられていたとしても、彼の人格は“エグザベ・オリベ”だった。

    ニャアンは口角を上げて笑っているが、なぜか眉は下がっていた。
    もはやニャアンはやるせなさから笑うことしかない段階に来ていた。

    二人のエグザベは流石に彼女の機微を感じ取ったのか、片方は何も言わずに目を伏せ、もう片方は気遣うような視線を向けた。

  • 38二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 23:53:14



    正午過ぎ、3人は保護猫の譲渡施設に訪れていた。

    「オリベ夫妻ですね。お待ちしておりました」

    午前中、猫の保護団体に電話をかけた。
    その際に提出を求められた資料をメールで送ると、ほどなくして保護施設から折り返しの電話があり、「すぐに来てもいい」と伝えられた。
    すべての項目に問題がないので、とのことだった。

    受付の女性はニャアンとクローンのエグザベを見た後、すぐ背後にいるオリジナルのエグザベに視線を移す。

    「そちらの方は旦那様の……?」

    同じ顔の男が二人。
    普通に考えれば双子か兄弟と思われるだろう。

    「はい、付き添いです」

    ニャアンがそう答えると、受付の女性はまったく同じ、しかも整った顔の男二人を物珍しげに一瞥した後、3人分のグローブを用意した。
    猫の感染症予防と来館者の安全のためのものらしい。

  • 39二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 23:56:43

    譲渡可能の猫がいる部屋に通される。

    広く清潔な部屋の中で、猫たちが遊んだりくつろいだりしている。
    一部の猫はケージの中に入れられており、『皮膚病あり』『風邪気味』などの今現在ケージに入れられている理由の書かれた貼り紙がしてある。

    数匹の猫がニャアンに擦り寄る。
    構ってほしいと言いたげに寝転がってお腹を見せる子もいた。

    「かわいい……」

    ニャアンは床に座り込む。
    施設職員からグローブごしなら触っても良いと言われると、すぐに猫を撫で始めた。

    「わっ!」

    オリジナルのエグザベは猫から飛びかかられて驚きの声を漏らしている。

    一方でクローンのエグザベの視線は、部屋の片隅に向けられていた。

    「どうしてあのケージには毛布が?」

    部屋の片隅には毛布をかけられ、中が見えないようにされている小さなケージがあった。

  • 40二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 23:59:47

    「その中の子はすごく臆病な子で……人間が近付くと威嚇して噛んだり引っ掻いたりしちゃうんです」

    職員がケージにかけられていた毛布を外すと、中には身体を丸めた子猫がいた。
    毛繕いも満足にできていないのか、ぼろ毛のみすぼらしい姿だった。
    ケージの扉を開け職員が手を差し出すと、子猫はそれを激しく威嚇する。
    職員の手をグローブごしに引っ掻き、さらに噛みつこうとしたので、職員はすぐに手を引っ込めてケージの扉を閉めた。

    「健康な子ではあるんです。他の猫とは仲良くできるので、人間が怖いのだと思います。初めて猫を飼う人には勧められませんね……」

    職員は再びケージに毛布をかける。

    「……」

    クローンのエグザベは、職員の手にもはめられているグローブを見てしばらく考えた。

  • 41二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 00:04:35

    「多分だけど……グローブを怖がっている?」

    クローンのエグザベは施設職員に尋ねる。

    「試しにグローブを外してみてもいいですか」

    「直接触らないなら、構いませんけど」

    施設職員はケージにかけられていた毛布を半分だけ捲り上げる。
    クローンのエグザベは左手のグローブを外し、躊躇なくケージに手を近付ける。

    子猫は一瞬怯えたような様子を見せ、だが先ほどのような激しい威嚇はなく、震えつつ少し唸り声を上げながら彼の左手をじっと見つめている。
    ゆっくりと近付いて、おずおずとその手のにおいを嗅ぎ始めた。

    「多分……グローブに嫌な思い出があったんだろうね」

    例えば、グローブをつけた人間の手に酷い目に遭わされたり。

    エグザベの脳裏に地球連邦の兵士だった子供達の姿がよぎる。
    精神が不安定な子ばかりで、強いトラウマを抱えている子も数多くいた。
    その中には男性の整髪料のにおいに強い拒否感を示し、誰が相手であろうとそのにおいを感じるとフラッシュバックを起こしてパニックに陥る少女もいた。

    彼女は人間だったからハッキリと『嫌な記憶がある、だからあのにおいが嫌い』と言えた。
    しかし猫にはそれができない。

    猫のために職員たちもグローブをはめなければいけない。
    この子猫は常に警戒してしまい、職員たちがその原因がグローブだと気付くことは難しいだろう。

    その様子を見ていたニャアンは立ち上がり、クローンのエグザベと職員の間に割って入る。

  • 42二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 00:07:05

    「私たちがこの子を引き取ることはできますか」

    ニャアンは不安混じりの表情で職員に問いかける。
    この子────小さなケージの中で怯えるみすぼらしい子猫。
    クローンのエグザベも同じことを考えていたのか、お願いしますと言って職員に頭を下げた。

    3匹の成猫によじ登られて身動きが取れなくなっているオリジナルのエグザベは、そんな簡単に決めていいのかと思いつつも、彼らの意思を尊重することにした。

  • 43二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 00:09:47



    保護猫には一週間のお試し期間が設けられ、その間に相性を見て正式に家に迎え入れても問題がないか判断される。

    「この子の名前はなんですか?」

    ニャアンから問われると、施設職員は先ほどまで猫が入っていたケージに貼られていた書類を確認する。

    「番号で管理されている子ですね。この子に名前はないです」

    「じゃあ……お試し期間中でも名前をつけてもいいですか」

    「構いませんよ」

    クローンのエグザベとニャアンが猫を引き取るための手続きをしている間、オリジナルのエグザベは施設内の売店で猫の飼育に必要なものを購入した。

  • 44二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 00:11:24



    『オリベ夫妻』は無事に猫を引き取ることができた。

    子猫はクローンのエグザベの軟禁先の家に連れて来られ、慣れない環境に怯えている様子だった。

    ドーム型のベッドの中に隠れている子猫を、ニャアンは怖がらせないように少し離れた場所に座り込んで見つめている。

    「……猫の名前を決めました」

    「僕もつけたい名前があるんだけど、先に教えてくれないかな」

    ニャアンの隣にはクローンのエグザベが座っている。

    「護民官ペテロニウス」

    クローンのエグザベがわずかに口元を緩める。

    「同じ名前を考えてた」

    「長い名前なので、基本的にはピートと呼びましょうか」

    「それがいいね」

    背後に立っていたオリジナルのエグザベは戸惑いを隠せない様子だった。

    「護民官ペテロニウスって……何?」

  • 45二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 00:16:13

    折よく猫がドームからおそるおそるといった様子で出て来る。
    三人は驚かせないように小さな声で会話を続けた。

    「小説に出てくる猫の名前です」

    ニャアンはオリジナルにエグザベに耳打ちする。
    猫はきょろきょろと周囲を確認しながら、おぼつかない足取りで三人に近付く。

    そしてクローンのエグザベの前に座り込んだ。

    視線はじっと目の前の青年に向けられており、不安げな表情だった。
    クローンのエグザベがゆっくりと手のひらを近付けると、猫はその手に自身の身体を擦り付けた。

    「ずっと寂しかったのでしょうね」

    ニャアンは猫がクローンのエグザベに構ってもらおうとする仕草を見て呟いた。
    狭いケージの中、毛布をかけられて外は見えず、ずっと暗い場所で丸まっていた子猫。
    自分が何を恐れているのか伝えることができず、差し出された手を傷つけようとしてしまう不器用な子。

    「護民官としてエグザベたちと仲良くしてあげてください」

    ニャアンの言葉に返事するかのように、猫はクローンのエグザベに撫でられつつも「みぃ」とか細い声で鳴いた。

    物語の中で、猫の護民官ペテロニウスが主人公を裏切ることは決してなかった。
    ずっと、ただの猫として主人公に寄り添い続けた。
    護民官ペテロニウス────ピートは未来への希望の象徴であり、誠実でない人間たちに代わり主人公の『ずっとそばにいる』を完遂させようとした、登場人物の誰よりも健気な子だった。

    人間の身勝手で辛い思いをしてきたはずなのに、こうして人間に心を許そうとしている目の前の猫に、ニャアンもクローンのエグザベも気付けば夢中になっていた。

  • 46二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 00:18:42



    二人は完全に猫の虜だ。

    オリジナルのエグザベ・オリベは猫に夢中な二人に疎外感を感じつつ、窓の外に視線を投げた。

    浜辺を散歩でもしたいが、建前上はクローンのエグザベ・オリベの監視役である自分が勝手に出歩くことはできない。

    「(本当に猫と生活を始めるとは思わなかった)」

    自分の残りの寿命を知った状態だと、死後に取り残されるであろう猫のことが気がかりになるのではないか。
    彼が亡くなればこの家も引き払わねばならない。
    念の為、猫を保護している団体の提示する決まりごとを確認したが、引っ越し後も猫の生活に責任が持てるなら問題ないと記載されていた。

    責任なら問題はない。
    ニャアンは絶対に猫を手放さないだろうし、自分もいる。
    おそらく彼はそれを踏まえて猫を引き取ったのだろう。

  • 47二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 00:27:38

    そもそもあの猫は自分の身分証明書を提示して引き取った猫であり、本来の飼い主は自分ではないか。

    子猫には自分と彼がどう見えているのだろう。

    同じ顔、同じ声に同じ名前。
    何も知らない人間だったら同一人物と判断するだろう。

    しかしあの猫はオリジナルのエグザベとクローンのエグザベをしっかりと区別している。
    クローンのエグザベ・オリベを選び、甘えている。

    嗅覚が鋭いのだろうか。
    オリジナルのエグザベは、クローンのエグザベが猫にとっての唯一無二の存在となっていることに自然と喜ばしさを感じた。
    その喜ばしさは、ほぼ蚊帳の外に追いやられている疎外感すら気にならなくなる作用をオリジナルのエグザベにもたらした。

  • 48二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 00:28:43

    今日はここまで。
    保守に感謝。
    続きは多分また夕方……

  • 49二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 05:35:28

    乙です
    疎外感覚えつつも喜んであげられる所まさにエグザベオリベ

  • 50二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 12:03:32

    保湿

  • 51二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 17:07:38

    保護猫の一週間のお試し期間は問題なく終了し、猫は正式に『オリベ夫妻』の家の子となった。

    たった一週間で猫はすっかり今に環境に慣れ、家の中でくつろぎ、三人にもすっかり懐いていた。
    不思議なことに猫はまったく同じ容貌のオリジナルのエグザベとクローンのエグザベを明確に識別した。

    二人のエグザベは服に興味がないのか軍からの支給品の服しか持っておらず、図らずも揃いの服を着た状態になってしまっている。

    ニャアンは二人の普段の表情と行動、自分に対する態度で見分けることができたが、無言で座って読書などをされると、目の前のエグザベがどちらなのかわからなくなることがあった。

    猫はクローンのエグザベだったら膝の上に乗せてもらおうと、みーみー鳴きながら擦り寄ってくる。オリジナルのエグザベだったら無言で彼の足を踏み踏みしたり、脛をおもちゃ代わりにパンチしたり甘噛みをする。彼の手に持っているものに攻撃して振り落とさせる悪戯も日常的に行った。

    「賢いですね。でもおいたはダメですよ」

    ニャアンは猫チャージと言わんばかりに子猫を抱きしめる。
    猫はみぃ、と鳴くだけで抵抗するそぶりは見せない。

  • 52二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 17:10:04



    夜。

    クローンのエグザベは、リビングに設置された猫専用スペースのすぐ近くに座り込んでいた。
    灯りのついていない暗いリビングで、彼は静かに自分の腕の中を見つめている。
    猫が彼の腕の中ですやすやと寝息を立てている。

    ぺたぺたと足音が聞こえる。
    振り返るとニャアンが眠たそうな目でこちらを見ていた。

    「エグザベくんも、何か飲みますか……?」

    水を飲みにきたのか、ニャアンはキッチンに向かう。

    「僕は大丈夫だよ」

    間もなく水の入ったグラスを片手に持ったニャアンがクローンのエグザベのそばにやって来る。
    隣に座り、彼の腕の中で眠る猫を見て微笑んだ。

    「猫のゆりかごになっていたんですか」

    今にも眠ってしまいそうな、ふにゃけた声だった。

    「動けなくなっちゃっただけだよ」

    クローンのエグザベは視線を猫にやったまま答える。

    「どうして……ずっと私の顔を見ようとしないんですか」

  • 53二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 17:12:33

    その質問に眉を顰めた。
    わざわざ言わなければいけないことか。

    「気まずいからに決まってるだろ」

    わざとらしくぶっきらぼうにそう答えると、彼はニャアンとは逆方向を見て視線どころか顔まで逸らす。

    「気まずいですか……そうですよね。私も気まずいです」

    悲しそうな声。

    そんな声で喋りかけてくるなんて、卑怯でないか。
    今彼女がどんな表情をしているのか、クローンのエグザベは見たかった。
    それでも彼女と目を合わせるのが怖かった。

    言ってしまえば自分と彼女は他人だった。
    自分は自分のことを“エグザベ・オリベ”と思い込んでいる彼の体細胞クローンで、本当は1年しか生きておらず、戦うためだけに作られた存在だった。

    彼女とはジオン軍の収容施設で本当に少しの時間だけ会話して、たった一回のキスしただけ。
    それだって、彼女は彼を“エグザベ・オリベ”と信じていたからだった。
    彼女の夫はオリジナルのエグザベ・オリベであり、自分は偽物だ。
    今こうして一緒にいること自体もおかしなことなのだ。

  • 54二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 17:15:15

    自分は運が悪かったと受け入れてはいる。

    それでも。
    寂しさや虚しさは当たり前にあった。
    だからこのおかしな状況に、少なからず嬉しさを感じているのも事実だった。

    彼女が本当に自分の妻だったのなら、せめて残された時間はずっと一緒にいてほしいと懇願できただろうか。
    初めて会った時からむき出しの心を晒してくれた彼女に、自分も今抱えている感情を全て伝えて、もう一度だけ抱きしめてほしかった。

    いや、本当に彼女のことを想うのであれば自分なんかに時間を使わせてはいけない。

    あと2、3年しか生きられないのに無責任に猫を飼い始めてしまったのも、自分の死後は隣にいる少女と自分のオリジナルにそれを任せようとしているのも、全て身勝手で間違っている。
    仮にも軍人であったはずなのに、自分はなんて情けない行動ばかり取っているのだろうか。

    クローンのエグザベの腕の中にいた猫がもぞもぞと動き出す。
    そのままエグザベの腕の中からするりと抜け、自分のベッドに入ってしまった。
    猫が安心できるようにとオリジナルのエグザベが選んだドーム型のベッドは、猫の姿を完全に隠してしまった。

  • 55二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 17:16:44

    「君は……エグザベ・オリベを愛している?」

    クローンのエグザベは俯いたままニャアンに問いかけた。

    「私、本当は今ワケワカになってて、頭の中がいろんな感情でぐちゃぐちゃになってて、そういうのを考える余裕がないです」

    ニャアンは倦怠を漂わせた声で呟く。

    「不誠実と思われるかもしれませんが……」

    ニャアンは少しの間だけ言葉を選び、続けた。

    「私が好きになったのはオリジナルのエグザベ・オリベです。でも私があなたを自分の夫のエグザベ・オリベだと判断し、愛があると伝えようとした事実は消えない」

    「そして今は……とても勝手なこととわかっていても、あなたの残りの時間を分けてほしいと思ってます」

    それは安っぽい同情心からなのか、判官贔屓というものなのか、とにかくニャアンは隣にいるエグザベ・オリベと関わらずにはいられなかった。

    「あなたが猫と生活したいという意思があると聞いて、安心したんです」

    「あなたは死を待たずに消えてしまいそうに見えたから、生きようとしていることが嬉しかった」

    衣擦れの音。

    「ねえ、お願い……こっちを見て」

    床に手を膝をつき、まるで猫のようにニャアンはクローンのエグザベと距離を詰める。

  • 56二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 17:17:46

    彼女からの誘いに、クローンのエグザベは心を強く揺さぶられる。

    ゆっくりと彼女に視線を向けた。
    自分と彼女は身長がほぼ変わらないから、こうやって上目遣いで見られるのは初めてかもしれない。

    部屋に差し込む月明かりが、彼女の金色の目に光を纏わせる。

    「やっと見てくれた」

    安心したような表情。
    君にはちゃんとした夫であるオリジナルの“エグザベ・オリベ”がいるのに、なぜ自分に心を傾けてくれるのだろうか。

    クローンのエグザベは自分にとって都合の良い空想を抱いた。
    そしてそれを隠さなかった。

    「オリジナルのエグザベ・オリベは君を愛していない?」

    ニャアンが目を見開く。
    想定外の一言に固まっている。

    例えば彼女が自分のパートナーに不満を持っていて、その不満を解消するためのものを探しているとしたら。
    彼女の夫である“エグザベ・オリベ”と同じ顔と声で、人格も同じ、無駄な記憶も他に拠り所もない、2、3年後には死んでいるであろう自分は後腐れもなく、それにうってつけではないか。

    その方がクローンのエグザベには都合が良かった。
    中途半端に期待させるような振る舞いをされている。
    その理由が同情心からくる半端な優しさではなく、彼女の利己的な感情からだったら、クローンのエグザベも自分のエゴを彼女にぶつけられる。

    「僕から見ると、オリジナルのエグザベ・オリベはまるで君を妹のように扱っている」

    これは都合の良い空想ではなく、本当にそう思っての言葉だった。

  • 57二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 17:19:18

    一つの家で生活する中で、クローンのエグザベは猫と戯れる傍ら、オリジナルのエグザベを観察していた。
    オリジナルのエグザベのニャアンに対する言動は穏やかで優しく、とても親切なものだったが、それは夫が妻にする態度ではなかった。
    どこか距離があって、彼はニャアンを妻ではなく庇護対象として扱っているのは明らかだった。

    彼らの関係は、お互い難民出身で仲間意識があった、先輩と後輩のようなものとニャアンから聞いていた。
    ニャアンが国籍を得られるようにと結婚の提案をする、割り切った関係。
    妹のように扱って、きっと夫婦らしいことは何もしていないのだろう。
    それでも彼は聞いた。

    「君は“エグザベ・オリベ”と交わったことはある?」

    ニャアンは俯き、うまく喋れないのか黙って首を横に振った。
    身体を小さく震わせている。

    それを確認すると、クローンのエグザベは姿勢を崩してニャアンに顔を寄せた。

    少しでも動いたら唇が触れ合うほど近い。

    彼女の綺麗な目がよく見える。

    気が付かなかった。
    金色の目だが、瞳を縁取る部分が緑の階調を描いている。
    猫の目のようだ。

    「彼にはしないの? 愛が在ることの証明を」

    「そんなの……」

    できるわけがない、とでも言おうとしていたのだろうか。
    ニャアンは所在なさげに視線を泳がせる。

  • 58二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 17:21:47

    「まっすぐ前を見て。君が言い出したんだから」

    ニャアンは怯えを滲ませながら、視線をまっすぐ前に────エグザベの目を見つめた。
    金色の目が揺れている。
    とても緊張しているのだろう。

    「“エグザベ・オリベ”から拒否されるのが怖い?」

    ニャアンの身体がかすかに跳ねる。
    図星だったのだろう。

    「僕は君のことを守るだけじゃ足りない」

    クローンのエグザベの目はまっすぐとニャアンを捉え、月明かりがその目を照らしている。
    強い光を宿した目は、その分だけ暗い影を共生させているようにも見えた。

    「守るべき存在は……脆く儚くて、今の僕はそれを受け入れることができない」

    クローンのエグザベが思い出すのは、連邦軍にいたころに一緒の時間を過ごした幼い兵士たち。
    自分はあの子たちを守りきれず、全員死なせてしまった。

    「猫は……?」
    ニャアンの震える声。

    「聖域だよ」

    「守るのではなくて、この命がある限りは信仰の対象で、僕はあの子に従い続ける」

    クローンの“エグザベ・オリベ”には生き続ける理由がなかった。
    彼を現世に繋ぎ止めているのはあの猫だけだった。

  • 59二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 17:23:04

    「ニャアン、僕にとって君は守るだけの存在でも、聖域でもない……その意味がわかる?」

    クローンのエグザベがわずかに目を細める。
    獲物を捕らえる直前の、野性の衝動を宿した眼光。

    「大声出して君の夫を呼ぶか、早く僕を突き飛ばして逃げなよ」

    感情を欠いた、いつもより低い声。
    ニャアンが身体をこわばらせて震える姿は本当に子猫のようだった。

    クローンのエグザベはニャアンの頬にそっと片手を添える。
    唇が触れ合うほどに顔を寄せ合った状況で、今からされることなど考えずともわかるはずだ。

    「だ、め……」

    蚊の鳴くような声。
    その言葉を聞いて、彼は安堵した。

    彼女はちゃんと自分の“夫”だけを愛すると示してくれた。
    それなら自分はこれ以上は何もできまい。

    「猫が見てる……」

    「え?」

    見上げると、ベッドから出てきた猫がじっとこちらを見つめている。
    つぶらな瞳で、興味津々といった様子だった。
    クローンのエグザベと目が合うと、すぐにドームの中に隠れてしまった。

  • 60二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 17:24:16

    「……エグザベ、くん」

    ニャアンがクローンのエグザベの服の裾を掴む。

    「いいですよ、私は」

    しっとりとした、絡みつくような声。

    「私なんかが、あなたの対象になれるのなら」

    笑っているのに、なぜかとても悲しそうだった。
    だがクローンのエグザベはそれに忖度などしなかった。

    なぜなら彼にとってニャアンは“心を晒してくれて、自分を受け入れようとする可憐な人”でしかなかったから。

  • 61二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 17:25:26

    スレ主です。
    一旦ここまで。
    続きは0時前後に…

    スケベの光に辿り着けて嬉しいです。

  • 62二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 17:53:31

    ドキが胸胸してきた・・・

  • 63二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 18:09:27

    素晴らしいスケベへの道のり ありがとうございます

  • 64二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 19:19:18

    こ、これはNTRになるの?

  • 65二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 19:30:13

    まあ夢だし・・・

  • 66二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 21:12:21

    一見不倫ぽく見えるけど夢内で分裂したエグザベくんが理性の制約を取っ払って
    ニャアンに欲望の本音をぶつけてると考えたらここから入れる3Pがあっても解釈違いともいえないな

  • 67二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 21:16:24

    ちゃんとクローンザベとニャアンの心情が描かれてるから誰も責めたくない気持ちにさせられる
    現時点であまり底が読めないオリジナルがどう出るかの緊張感がすごい

  • 68二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 22:53:27



    ニャアンが寝泊まりしている部屋のベッドの上で、クローンのエグザベはニャアンから抱きしめられていた。
    彼女の胸に抱かれていると、わずかに残った理性────まだ10代の少女にこれから自分がすることへの自責の念と、彼女の夫への後ろめたさが薄れて消えてゆくのを感じる。

    「全部私が悪いんです。あなたから愛のない結婚と言われて、かちんときて突っ走ってしまったから」

    ニャアンが彼の頭を優しく撫でる。

    「私の故郷の古い言い伝えですが、頭にはその人を守る精霊が宿るらしいです。だからみだりに他者の頭に触れてはいけない……精霊を怒らせたり、もしかしたらその人の精霊が逃げてしまうかもしれないから……」

    「じゃあなんで君は今、僕の頭を撫でているの?」

    「私はそれを信じていないし……あなたを不幸にするのは私ですから、精霊への牽制です」

    「不幸? 不幸になるのは君じゃないか」

    「私は“エグザベ・オリベ”と交わるので何も不幸じゃないです。でもあなたはこれから何者かもわからぬ女を抱くんです。あなただったらいくらでも相応しい相手がいるはずなのに、かわいそう……」

  • 69二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 22:54:29

    「君はニャアン・オリベで、普通の学生じゃないのか?」

    「今は普通の学生ですよ……」

    ニャアンはエグザベを解放する。

    「でも昔は悪魔と言われてました」

    ニャアンは自由になった両手で自分の服のボタンを一つ一つ外し始めた。
    下着がさらけ出され、彼女に備わっている小さな膨らみの存在を教えた。

    「色気のない身体ですいません」

    「そんなことないよ」

    クローンのエグザベも着ていた服を脱ぎ、その場に投げ置いた。
    そのままニャアンを押し倒し、覆い被さる形になる。

    「君の夫にこのことが知られたら、僕にレイプされたとでも言いな」

    「じゃあ、説得力が増すようにしてください」

  • 70二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 22:57:44

    ニャアンは平然と振る舞っているように見えたが、視線は泳いで身体も震えていた。

    言われた通り、クローンのエグザベは片手でニャアンの両腕を掴んで自由を奪う。
    片手でも簡単に抑えられる非力な細腕をベッドに押し付け、自由な方の手で乱暴に下着を剥ぎ取った。

    「あっ……」

    下着の奥に隠されていた可憐な膨らみを、彼は自由な方の手でやや手荒に圧し抱く。

    「〜〜〜っ!」

    ニャアンのせり上がる声を、キスで押さえ込む。

    ニャアンが自由な両足で形ばかりの抵抗をしたので、彼は自身の膝を押し当ててその動きを封じ込めた。

    そのまま彼はニャアンの口内を蹂躙する。
    まともに呼吸も許さぬキス。
    唇だけでなく、舌の裏側も口蓋も、飢えを満たすかのように求める。
    その間もニャアンの愛らしい膨らみは支配を受け、熱を帯びた手から圧をかけられ、絡め取られ、弄ばれる。

  • 71二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:01:18

    クローンのエグザベの手の中で、柔らかな曲線の上で、刺激により尖りを帯び、火照って赤くなったその場所を、花の芽を摘むように指先で力を加えた。

    「っ! 〜〜〜っ!」

    唇の重なりから洩れる吐息混じりの熱を帯びた声。

    そろそろ彼女が酸欠になってしまうか。
    クローンのエグザベは名残惜しげに重ねた唇をほどく。
    口づけの余韻が透明な糸として伸びる。

    ニャアンははあはあと息を切らせて、涙で潤んだ瞳をまばたかせながらエグザベを見上げていた。

    「声、ちゃんと我慢してて」

    ニャアンのなだらかな膨らみの先に宿る蕾を、先ほど指先で圧迫したその場所を今度は咥え、甘噛みをした。
    そうされていない片側は、やはり先程のように指先で弄んだ。

    「ひぅっ!」

    情け容赦なく押し寄せる刺激に、ニャアンは耐えかねて鳴き声とも悲鳴ともつかない高声を上げた。

  • 72二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:02:39

    「あーあ……」

    クローンのエグザベは天井を見上げる。
    敏感なのはとてもかわいらしいが、今の声によって確実に彼女の夫であり保護者は目を覚ますだろう。

    間もなくして部屋の外、廊下からこちらに向かって足音が聞こえてくる。

    「ニャアン、どうかしたの?」

    気遣う声。
    オリジナルのエグザベが扉の向こうにいる。

    クローンのエグザベはいくぶん冷静に、ニャアンに視線をやった。
    服を剥ぎ取られ、両手両足を男に押さえつけられ、胸を激しく上下させている。
    目には涙が浮かび、いかにも哀れな被害者のような佇まいだ。

    助けて、とでも言えばいい。
    そうすれば彼女の夫のエグザベ・オリベが扉を開けて状況を確認し、すぐに自分を殺すか半殺しにして終わらせてくれるだろう。

  • 73二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:04:26

    「ねぼけて、ぶつけただけっ」

    ニャアンはやや舌足らずな声を上げる。
    クローンのエグザベはそれが彼女の選択と理解すると、再び彼女の蕾を口に含み、お礼代わりに甘噛みをした。

    「〜〜〜〜〜っ、!」

    今度は耐えた。
    いい子だ、と彼はニャアンの耳元で囁き、ゆっくりと彼女の身体を撫でた。

    なめらかな肌は上気し、赤みを帯びて、誘うように熱を帯びて手に吸いついた。
    細くてしなやかな腕、細い肩、慎ましやかな膨らみに、細く引き締まったウエスト。

    さらにその下……彼女のもっとも恥ずかしいであろう場所。

    わざとらしく乱暴にショーツをむしり取る。

    指で直接その場所をなぞると、ニャアンは身をよじらせ、吐息をこぼし、身体を震わせた。
    消え入りそうな声で懇願する。

    「てを……はなして。くちを、ふさぎたいの」

    手を離したら、君は本当に逃げ場を失うぞ。
    君はされるがまま、ただ襲われていればいい。

  • 74二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:06:12

    クローンのエグザベは彼女の両腕を握る力を強めた。

    ニャアンが痛みに顔を歪める。

    鬱血を起こさせて、彼女の身体に痕を残したかった。
    手首の内出血を確認すると、彼は掴む力を弱めた。

    ニャアンの目尻からかすかな涙がすべり落ちる。
    クローンのエグザベは彼女のその場所にキスをして、もう一度唇を重ねた。

    ごめんよ。
    泣かせるつもりはなかったんだ。

    心の中で呟き、彼女の熱に浮かされ濡れた深みに指を差し入れる。
    呻き声が漏れる。

    つねられたり噛まれたりしていたのに、そこはとめどなく蜜を滴らせ、侵入してくる指を歓迎するかのように絡みついて締め上げてくる。

  • 75二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:08:32

    こんなに苦しそうな顔をして、呻き声まで漏らしているというのに、なんでこっちは受け入れようとしているんだ。

    違うだろ。
    僕は君を被害者に仕立て上げようとしているのに。

    キスをしたまま、その場所を指で掻き回すように弄んだ。

    「んっ……くぅっ……」

    広げるように、指先を荒々しく走らせ、何度もそこを抉った。

    「うっ……! ……っ!」

    唇を離す。
    改めて見ると、本当に辛そうだ。
    それでも彼女は口を固く結び、哀願するようにこちらを見上げている。

    「本当にいいの?」

    助けを求めるならここが最後だ。
    腕には男に強く掴まれた痕ができてしまって、今にも泣き出してしまいそうな顔をして、なぜ黙っている。
    君にその意思がないのならば、僕はやめない。
    僕は君の知る“エグザベ・オリベ”ではないから。

    硬くなったものを、彼女の腹に擦り付けた。

    これからこれを君の中にいれる。

  • 76二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:11:15

    彼女の細い身体には、とても入りそうには見えなかった。
    横幅も縦幅も、裂けて大怪我にでもなったらどうしようか。

    ニャアンは震えながら、熱を孕んで屹立するそれを見つめている。

    拒む意思を少しでも見せてほしかったが、彼女はすぐに覚悟を決めた表情になる。

    再びニャアンの口をキスで塞ぎながら、自らのものを彼女の中にいれた。

    「ぅっ……! ぁぁ……」

    悲痛な声が漏れ聞こえる。
    それでも容赦せずに熱を孕んだその場所に、彼女の最深部に、自分のものを締めあげて離そうとしないその中に、何度も律動を刻んだ。

    ずっと水の中で溺れている気分だった。
    物理的に酸欠に近い状態になっていると言えばそれまでだが、彼女とこうしているとどんどん自分の本能を剥き出しにされて、溺れる者が一筋の藁に縋るように、自分の中のもっとも恥ずべき雄の部分を彼女の中で無理矢理にでも解こうとしているようで、どんどん自分の愚かさや浅ましさで視界が歪む感覚がしてくる。

    激しい行為。
    自分に組み伏せられている少女に、自分のものを教え込むように、何度もそれを打ちつける。

  • 77二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:15:13

    僕の形を覚えてくれ。
    君の形が変わってしまうくらい、僕だけを感じてくれ。

    一生忘れられないトラウマになったって構わない。
    痛みの伴う辛い記憶でもいい、せめて君の消えない傷になりたい。

    君には本物のエグザベ・オリベがいる。
    猫も本来は本物のエグザベ・オリベの飼い猫で、自分は彼の立場を借りているだけ。

    僕にはもはや君しかいない。
    せめて今は僕だけを考えてくれ。

    己の都合だけの、身勝手な想い。

    他者を顧みることを忘れて、我欲に塗れて自己本位的な愚かしさと傲慢が結託した理屈を並べる、結局は目の前の少女の尊厳を踏みにじることしかできない無能で浅ましい男。

    自己嫌悪する感情を前にしても衝動には抗えず、クローンのエグザベはニャアンの躰を貪りつくし、生まれと手術の影響で生殖能力のなくなった無益に流れるだけの液体を彼女の中に注ぎ込んだ。

    ニャアンは喉奥に迫る声を必死に飲み込み、身体をしなり上げ、それを全て受け入れ、自身の中に飲み込ませた。

  • 78二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:20:32



    疲れ果てたニャアンは髪を乱したまま眠りについてしまった。
    顔には涙の跡、手首には鬱血の跡があり、下半身は血と白濁とした液が混ざり合ったものでドロドロになっている。

    なんとも哀れな姿だろうか。
    誰がどう見たって、頭のおかしい男に襲われたようにしか見えない。

    せめて身体を綺麗にしてやりたかったが、意識のない彼女に同意を取らずに触れるのは阻まれた。

    クローンのエグザベは取るに足らぬと分かりつつせめてニャアンに毛布をかけると、自分はベッドから出て衣服を着る。

    本当はそのまま彼女と一緒に寝てしまいたかったが、彼をずっと待たせるのも酷だろう。

    部屋の扉を開ける。

    廊下。部屋の扉の前にはオリジナルのエグザベ・オリベが座っていた。

  • 79二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:21:37

    目は据わり、強い眼光でこちらを見ている。
    腰を下ろしてその場に座り込み、左膝を立て、そこに左腕をもたげて静かに身を構えているが、その手は強く握られている。

    「外で……話をしようか」

    低い声。
    荒れ狂う嵐のような感情を抑え込んでいるのがわかる。
    こうなることは予想していた。
    クローンのエグザベは無言で彼の言う通りにした。

  • 80二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:24:13

    スレ主です。
    続きは明日に夕方あたりにでも…

    脳破壊鬱ックスは夢の中の出来事って前提がないとしんどいですね。
    スケベは大好きなのでまだ止まれませんが。

  • 81二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:50:37

    しんどいのに濃厚な鬱ドスケべをありがとうございます………


    >>77

    生殖能力ないのか……

    子供すら望めない余命僅かなクローンが、必死で自分の存在を残そうとするのが辛い

    それが愛する人の心の傷になってしまうとしても

  • 82二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 00:20:11

    おぉ・・・鬱ックスだ・・・ありがてぇ・・・

  • 83二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 08:03:47

    保湿

  • 84二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 13:37:24

    スレ主…
    エグニャックス界の直木賞作家と呼ばれたあの方ですよね…!

  • 85二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 13:46:05

    ねっとり鬱ックスありがたい…
    すけべでニヤニヤして 脳破壊で歪んで オリザベ登場でひえーってなって表情筋大忙しだわ
    これが夢でよかった 起きたらえらいことなってそう

  • 86二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:15:31



    二人のエグザベは軟禁先の家からほど近い砂浜にいた。

    風の強い夜だった。
    海風は塩気を帯び、べたついた髪が顔に張り付く感覚が気持ち悪かった。

    海は星の見えない夜の闇と同化して境界を失い、視界に広がる真っ暗なそれは宇宙によく似ていて、眺めているだけで言い知れぬ不安を呼び起こした。

    「……なぜ気付いた時点で止めなかった?」

    クローンのエグザベが切り出す。
    オリジナルのエグザベはちょうど目の前の水面のように揺らぎのない表情で、視線を夜の海から自らのクローンに移す。

    「あの子が助けを求めたら、すぐに止めに入った」

    彼は────オリジナルのエグザベは嘘を吐いている。

    「脅されていたり、口を塞がれていた可能性に気付かないはずがない」

    オリジナルのエグザベがわずかに眉を寄せる。

    「僕に同情している?」

    「……」

    クローンのエグザベの言葉は正解だった。
    オリジナルのエグザベは静かにため息を吐いた。

    同情をやめたら、もうやることは一つしかない。

  • 87二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:17:34

    「エグザベくん、君は殴られる痛みを経験したことはあるよね?」

    「上官からよく殴られていたよ」

    「そうか……じゃあきっと君は僕と同じ考えを持っているはずだ」

    クローンのエグザベは自身のオリジナルの言葉の意図に気付き、わずかに身構えた。
    そして二人のエグザベは示し合わせるでもなく、同じ言葉を発した。

    「「無駄な抵抗をするより、黙って2、3発殴らせてやったほうがすぐ終わる」」

    間髪入れずに、オリジナルのエグザベは目の前にいる男を左拳で殴った。

    ボディに重い一発。

    クローンのエグザベは胃液を吐き出し、よろめく。

    オリジナルのエグザベは赤くなった左拳を押さえながら、暗澹たる想いを抱えた表情で自身のクローンを見つめる。

  • 88二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:19:04

    「こんなにも同じ人格を分かち合っているのに、君の行動が理解できない、許せない。それは僕たちが別の人間だからだ」

    クローンのエグザベは口元を拭いながら、続く言葉を待った。

    「あの子はまだ18で、物事に冷静な判断を下すには若すぎる。きっとすぐにその場の空気に呑まれてしまうだろう」

    オリジナルのエグザベの怒りの焦点は、クローンのエグザベがニャアンの若さゆえの未熟さを顧みずに、彼女自身に判断を任せたという無責任さだった。

    「ニャアンは僕にとって守るべき存在だ。数少ない生き残った仲間だった。それに僕が彼女をジオンに呼び寄せたせいで、彼女を悪魔と呼ばれる存在にさせてしまった。その責任が僕にはある」

    オリジナルのエグザベ・オリベはまっすぐな目で目の前の男を見つめている。

    「返す言葉もない。だけどあんたは……ずっとあの子を対等なものとして扱っていない」

    クローンのエグザベ・オリベも彼から視線を逸らさずに答えた。

  • 89二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:20:47

    クローンのエグザベにとっての守るべき存在は、今は亡き地球連邦の幼い兵士たちだった。
    部下でも後輩でも、妹のような存在でもないニャアンは対等であり、彼女は一人の女性だった。

    「少しは夫婦らしく振る舞え……! あの子はあんたのことを愛しているのに、なぜあんたはそれに応えないでいられる!?」

    思ったままを口にした。
    これは理不尽な怒りで、一つも理屈が通っていないことは彼自身がよくわかっていた。

    「エグザベ・オリベ……君が羨ましいよ」

    すぐにクローンのエグザベは乱れた心を整え、落ち着いた声音で語りかける。

    「君には居場所がある。家族がいる。過去と未来がある」

    「“エグザベ・オリベ”という存在も、ニャアンも、猫も……全て君のものだ」

  • 90二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:23:37

    その言葉に、オリジナルのエグザベは目を伏せる。

    「愛しているから、僕は彼女を傷つけないようにしたんだ」

    オリジナルのエグザベ・オリベはまるで教科書のようなことしか言わない。

    「一年前の戦闘で宇宙空間に投げ出された時……真っ先に浮かんだのはニャアンの顔だったよ」

    彼が地球連邦の捕虜となり、目の前の存在が生み出された原因。

    「後悔したんだ……もっと一緒の時間を過ごせればよかったと」

    「妹のように想ってる子だったよ、今後の人生は戦いとは関係のない場所で、穏やかで幸福な人生を送ってほしいと思ってる」

    「僕が彼女にあげられるものなんて限られていて……でもそれがあの子のためになるなら、自分の苗字くらいあげてよかった」

    「自分は戦うことしかできない。結婚なんて本当はしちゃいけない人間だ……ならば大切な人のために自分の使えるものはなんでも使って、彼女が幸せになるための助力になれればいい」

    オリジナルのエグザベはもう一度、闇の中に紛れる暗い海を見つめる。

    「教えてくれ……それは愛ではないのか?」

  • 91二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:26:30

    オリジナルからの問いに、クローンは答える。

    「僕が君の過去を持っていたら……そう思うのだろうね」

    実年齢は1歳。
    生まれてからジオンに捕縛されるまで、彼の世界はほぼMSの中で完結していた。
    コックピットの中から見る宇宙は、とても小さく窮屈な場所に思えた。

    今目の前にある星のない夜空と地続きのような海は、彼の見ていた宇宙よりも広くて自由だった。

    「帰ろう、猫が起きる前に」

    それはどちらのエグザベの言葉だったかわからなかった。

  • 92二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:28:32


    「私は不法行為をしました……どんな罰も受けます」

    翌朝。
    オリジナルのエグザベの部屋で、ニャアンは正座していた。
    沈んだ表情で、震える手を硬く握りしめている。

    「とりあえず……正座はやめなよ」

    オリジナルのエグザベはまだ寝起きで、寝巻き姿のままベッドに腰掛けている。
    ぽんぽんと左手でベッドを叩いて、自身の隣に座るように促す。

    「左手……怪我してる」

    ニャアンが不安げな表情で彼の左手を見つめる。

    「ちょっとぶつけただけだよ」

    「腫れが酷くならないように、包帯で圧迫を……」

    「ニャアン」

    オリジナルのエグザベは、救急箱を取りに行こうと立ち上がったニャアンの腕を掴む。
    長袖を着るにはまだ暑い季節だった。
    エグザベは直感的に、それを捲り上げた。

    「ひどいな……」

    赤黒い痣が影のようにニャアンの手首を覆っている。
    もう片方の腕もやはり同じような状態で、エグザベは眉を顰める。

  • 93二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:30:39

    「……少しぶつけただけです」

    「ニャアン、座って」

    促す声ではなく、それは命令を含んでいた。
    ニャアンは思わず身をすくめ、言われた通りに彼の隣に座った。

    ニャアンが座ったのを確認すると、オリジナルのエグザベは立ち上がり部屋を出て行った。

    「……?」

    間もなく、彼は折り畳まれたタオルを片手に部屋に戻ってきた。
    再びベッドに腰掛け、ニャアンの手首にそれを当てた。

    冷たい。
    よく見たら氷の入った袋がタオルの隙間から見えた。

    「どうして……」

    どうして優しくするの。

    「……無理やりひどいことをされたと言ってくれれば、僕は君を追及しなくて済むんだけど」

    なぜ彼は私に逃げ道を作ろうとするのか。
    殴って罵倒された方がずっと心が楽になったはずだ。

  • 94二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:32:17

    「いいえ……最初から私が全て。被害者は彼です」

    全て自分がクローンのエグザベ・オリベを抱きしめ、キスをしたことから始まった。

    「とても不誠実で、あなたにもひどいことをした……婚姻関係を解消されても仕方ないと思っていますし、慰謝料も……すぐには払えなくてもちゃんと働いて……」

    ニャアンの視線は氷を包んだタオルに向けられている。

    「学校、行けなくなるけどいいの?」

    「……そうなっても仕方ありません」

    「非合法な仕事で稼いだお金は受け取れないよ」

    「……夜のお店だったら、国籍がなくても大丈夫らしいです。私に需要があるか、わからないけど」

    オリジナルのエグザベは呆れたような視線をニャアンに向ける。

    「ごめんなさい……」

    その視線の意味もわからぬまま、ニャアンは謝罪の言葉を口にする。
    自分は他人を傷つけることしかできない害悪な存在なのだと、ニャアンは自責する。

  • 95二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:33:58

    「何もペナルティがない方が、君は苦しいだろうね」

    オリジナルのエグザベはタオル越しにニャアンの手首に優しく触れる。
    痛みすら彼は与えなかった。

    「正直に言うと、とても悲しい」

    彼から発せられたとは思えない、苦しそうで頼りない声。

    「もしかしたら僕は、君の親になろうとしていたのかもしれない」

    オリジナルのエグザベは、一つ一つ言葉を慎重に選ぶように語る。

    「烏滸がましいよね。自分のことさえ満足に顧みられないのに」

    「親もどきの僕は……君が僕のそっくりさんと良くないことをしていて、裏切られたと思うより先に、君を守れなかった自責と悔しさで……とりあえず彼を殺したほうがいいのかと考えた」

    ニャアンが動揺を隠せない様子で目の前のエグザベを見る。

  • 96二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:35:25

    「殺してないよ。彼は今、部屋に篭ってるだけ」

    「エグザベくんを殺そうと考えるほど……少尉は私のことを……」

    大切に思ってくれていた?

    「愛しているよ。でも今はその愛がどんな形なのかわからなくなっている」

    “エグザベ・オリベ“はニャアンを強く抱きしめた。
    今はこれしかできなかった。

    「いつかこの愛の形が定まって……後追いでこの出来事の怒りが込み上げて来たら、その時は君にそれをぶつける。だからそれまでは保留でいいかな」

    ニャアンは表情と声に後ろめたさをにじませながら、声を絞り出す。

    「エグザベ少尉は……本当にどこまでもお人よしで……私にいいように利用されている」

    罰の執行を留保されていると思えれば気が楽だが、こんなのは許されているようなものじゃないか。

    生温い。
    こんなことがあっていいはずがない。

    「私はあなたを、少なくとも親と思ったことはありません」

    ニャアンは両腕で自分を優しく抱きしめる男を突き放す。
    手首に乗せられていた氷袋が床に落ちた。

  • 97二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:37:11

    「私はひとりぼっちが怖くて……だから誰にでも優しいあなたに縋った。兄とか先輩とか……そんなことを考えてすらいなかった」

    「そして次は、私を特別に扱ってくれないかと期待するようになってしまった」

    「欲の皮が突っ張った私は……あなたが全てほしいとまで思い始めた」

    生々しい手首の痣は、彼女にかけられた手枷にも見えた。

    「その結果がこれです……もう一人のあなたを都合良く使って、あなたを傷つけた」

    二兎を追う者は一兎をも得ず、というものだろうか。
    いつから自分はこんなに強欲で下卑た、恥ずべき人間になってしまったのか。
    いや、人間ですらない。

    理性を欠いた自分は畜生にも劣る。
    人間の都合に振り回され、保健所のガス室で命を絶たれている動物たちのように、あの日自分も毒ガスを撒かれたコロニーで家族と共に死んでいれば、誰も傷つけずに済んだ。

    ニャアンはゆっくりと立ち上がる。

    「本当に……ごめんなさい。頭を、冷やしてきます」

    合わせる顔もなく、ニャアンは俯いたまま部屋を出て行き、自室に篭った。

  • 98二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:40:30

    スレ主です。

    一旦ここまで。

    いけそうなら0時ごろにまた投下します。


    恥ずかしいから言えなかったけどバレてしまったので隙あらば宣伝します。

    前もエグニャックスをシコシコ書いていました。

    相変わらず誤字が多いけどイチャ甘ラブラブエグニャックスなので…お口直しになるといいね…フフフ…


    https://bbs.animanch.com/board/5486679/?res=188

  • 99二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:53:27

    痛々しい展開は心に沁みるね・・・(闇のオタク並感


    >>98

    (エグニャアスレで書きたいとの書き込み見た時から気付いてたことはあまり大きな声では言えない・・・)

  • 100二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 19:05:47

    この時空のニャアンは割と幼めな感じだな
    前作のニャアンは時間や勉強や経験やら積み重ねて大人になっていったのもあるけど

  • 101二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 22:12:58

    >>72の「あーあ……」がほんとエスザベくんでしみじみとエロい

  • 102二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 23:37:15

    スレ主です。
    感想嬉しいです。
    今回のスレは前回のドスケベと別のドスケベがしたい所存です。

    今から仕事なので明日の朝以降に投下します(すまん)

  • 103二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 00:44:25

    >>102

    今から!?朝!?

    お疲れ様です・・・

  • 104二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 02:00:14



    護民官ペテロニウスと大仰な名をつけられた猫は、この家で最も権力を持っているであろう存在だった。
    その猫は世界で一番自分のことをわかっているであろう人間 ────クローンのエグザベにすり寄る。

    クローンのエグザベはいつものように猫を膝に乗せて撫でた。
    だが猫はいつもと違う雰囲気を感じたのか、すぐに膝からを降りて彼を見上げる。

    「……ご飯ならさっき食べたよね」

    猫に人間の言葉がわかるはずがない。
    だが感情の機微くらいは理解できる。

    猫はクローンのエグザベに尻尾を擦り付けながら背中を向け、彼の部屋を出ていく。

  • 105二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 02:01:28

    次に猫はこの家で一番自分に似ている人間────ニャアンのいる部屋に向かった。
    猫が彼女のいる部屋の扉の前で鳴き声を上げると、すぐに鍵が開く音がして、わずかな隙間からニャアンが顔を覗かせた。

    ニャアンはすぐに猫を部屋に招き入れると、そのまま抱きしめて顔を埋めた。
    やはり彼女もいつもと雰囲気が違う。

    猫はみぃ、と鳴いてからするりとニャアンの腕から脱出すると、最後に三人の中で一番遊んでて楽しい人間────オリジナルのエグザベの元へ向かう。

    彼は居間のリビングのソファに座り込み、ぼんやりと窓から見える海を見つめていた。

    猫は遊んでほしいの合図で彼の脛に何発かパンチを入れると、困ったように笑いながら立ち上がり、猫じゃらしを手に取った。

    しばらく遊んでもらったが、やはり猫は物足りなかった。

  • 106二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 02:03:49

    猫はその場でじたじたと足を踏み鳴らす。

    「どうしたの? ご飯ならさっき食べたよね?」

    やはりこの人間は一番話が通じない。
    猫はミャーーーーーーとひときわ大きな鳴き声を上げた。

    「え? どうしたの!? どこか痛いの?」

    猫は構わずミャーミャー鳴き続けると、しばらくして二人分の足音が聞こえてきた。
    ニャアンと、クローンのエグザベが心配そうな表情で猫に駆け寄る。

    「どうしたの!? 何かあったの!?」

    ニャアンが慌てふためきながら猫を抱きかかえる。
    そうすると猫は鳴くのを止めいつもの様子に戻り、ニャアンの腕の中で尻尾をふりふりと動かした。

    「……なんだったんだろうね」

    クローンのエグザベは安心したような顔で呟く。

    ぐぅ、と三人のうちの誰かからお腹の音が聞こえた。

    「……そういえば今日はまだ何も食べてなかったな、僕たち」

    オリジナルのエグザベは二人に視線を送る。

    「今日は僕が用意するよ」

    クローンのエグザベが返事をする。

  • 107二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 02:04:58

    ニャアンは俯いて赤くなった顔を誤魔化す。
    お腹の音の出どころは彼女だった。

    「生理現象だから恥ずかしがることじゃないよ」

    「そうそう、特に君はいっぱい食べた方がいいし」

    エグザベたちの言葉。

    「ノンデリ……」

    ニャアンは猫を抱きしめながら、彼らに背を向けて背中を丸めた。
    猫は彼らがいつもの雰囲気に戻って安心したのか、ゴロゴロと喉を鳴らした。

  • 108二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 02:06:11

    フフフ…!
    思ったより仕事が早く片付いた…!
    短くて申し訳ないですが続きは夕方以降に…!

  • 109二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 05:52:22

    乙です
    ひとまず仲直り…

スレッドは9/30 15:52頃に落ちます

オススメ

レス投稿

1.アンカーはレス番号をクリックで自動入力できます。
2.誹謗中傷・暴言・煽り・スレッドと無関係な投稿は削除・規制対象です。
 他サイト・特定個人への中傷・暴言は禁止です。
※規約違反は各レスの『報告』からお知らせください。削除依頼は『お問い合わせ』からお願いします。
3.二次創作画像は、作者本人でない場合は必ずURLで貼ってください。サムネとリンク先が表示されます。
4.巻き添え規制を受けている方や荒らしを反省した方はお問い合わせから連絡をください。