【色々注意】ダメではないか我が同胞……いつまでも眠っていては(ビリッビリングユアドリーム

  • 1二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 21:08:03

    「……は?」
    まるで旧友に語りかけるような声色と視線。攻撃の手を止めたベルルムのそれはどれも──白銀の戦士たるゴジュウポーラーに向けられていた。ほぼ神を名乗る彼も意図を掴みかねたのか、困惑の声が漏れる。
    「クラディスともあろう者が、顕現に手こずっているのか。……確かに、器とするには些か厄介なものを選んだかもしれないが」
    「オマエっ、さっきから熊手に何言ってるクマ!」
    ポーラーに構えられたままのべアックマが憤りの声を上げた。他の五人も状況が読めず、当惑の視線を交わしあう。その最中、ゴジュウレオンの耳には速まる鼓動の音が届いた。……誰だ? 釣られるような焦燥感に、思わずレオンが視線を彷徨わせた、その時だった。
    「仕方がない。我が手を貸そう──目覚めよ、同胞よ」
    途端、重圧に身体が押しつぶされ、ウルフたちは地面へと膝をつく。腕で必死に身体を支えるが、それでも長くは持ちそうにない。どうにかしなければ。何か手を──無理やりに顔を上げた五人の視線の先で、咆哮が響き渡った。
    「──熊手!?」
    荒い呼吸と苦しみに満ちた声色。抗うように時たま飲み込まれていく悲鳴は、しかし少しずつ変容していく。形容しがたい、熊手真白とは異なるナニカに。
    「くっ、熊手、熊手ぇ! 大丈夫──くまぁっ!?」
    おろおろとポーラーの周りを飛び回っていたべアックマは、主の腕に跳ね除けられ、ころころと地面に転がる。それを合図にしたように、白熊を模した戦士の姿が掻き消え、白のガウンを羽織る人間の姿が現れた。
    「何が、起きている……?」
    ティラノの言葉に、誰も何も返せなかった。白い炎が見知った姿を包み込み、彼の姿形が歪んでいく。炎の中に見ゆる像は見知ったゴジュウポーラーのようでありながら、何かが違う。やがて、彼の声がピタリと止んだ。
    「ようやく目覚めたか」
    灰色の影が立ち上がる。白色は淀み、その瞳は鈍い赤色だ。まとう気配も何もかも、熊手真白のそれとは違う。
    「お前……何もんだ」
    引き攣る喉を無理やりに動かし、ウルフはその存在を睨みつけた。その敵意さえ嘲笑うように、ポーラーに似た何かは低く喉を鳴らす。
    「我は深淵なるクラディスが一角。……いや」
    ゆっくりと、厳かに。わざとらしく両腕を掲げ、ソレは高らかに声を上げた。
    「俺様こそが、貴様ら人間を滅ぼす厄災である。貢物は──まず、貴様らの指輪としよう」


    はい。

  • 2二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 21:10:53

    おい続きが気になるタイプのガチssテロはやめろ

  • 3二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 21:11:01

    ビリビリスレかと思ってスレ開いたらなんだこれは…???

  • 4二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 21:14:42

    ビリビリスレなんかでやるなこんなもん!!!

  • 5二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 21:14:59

    ....えっ!?此処で終わり!?!?
    続きは何処に!!!

  • 6二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 21:41:13

    このシーン本当にエンディング流れてるだろ
    流れたうえで途中でエンディング止まるやつだろ

  • 7二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 21:51:56

    ....おかしいと思わなかったのか?
    なぜ「ただの人間」が「一万年も」「石になって」無事でいられたのか
    ....今頃は全ての機能が復活できないほどに停止しているのが「自然」ではないかね?
    それこそ誰かしらの「祝福」がないかぎり

  • 8二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 21:57:06

    は、はいじゃないが……

  • 9二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 22:08:28

    いくら世直し料を出せば続きが出てくるんだ???

  • 10二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 22:22:33

    また終わりら辺で衝撃の展開やってる…

  • 11二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 22:49:51

    灰と赤ってプレバンで出てるテガナグール版のポーラーだよな…?
    通称で厄災ポーラーとか呼ばれるやつだコレ

  • 12二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 22:54:45

    白って事は支配の方か?神になるって願いは人間を支配とも言えるだろうし

  • 131ではありません25/09/28(日) 23:04:17

    熊手真白が厄災の1人?ゴジュウジャーは混乱していた。
    目の前にいるベルルムが玲と同化していたように厄災が真白と同化していたのか?
    「てめえ!熊手をどうしやがった!」
    ウルフは元真白である灰色のポーラーを問いただした。
    「見て分からなかったか?あの神を名乗る男は俺様の供物となって消えた」
    「ふざけんな!」
    ウルフデカリバーを振るう。灰色のポーラーは事も無げにかわす。
    「真白はてめえら厄災と戦ってたんだろ!何で真白に取りついた!」
    「そうだな。やつは強かった。さしもの俺様も消滅を覚悟した。俺様を倒したと思い油断したやつに取りついたのは賭けだったよ」
    ポーラーが拳を振るう。ウルフはまともに食らい打ち上げられる。
    「だが、こうして俺様は賭けに勝利した。感謝するぞベルルム」
    「気にするな。共にゴジュウジャーを倒そう」
    「いや、ここは俺様に任せろ。目覚めたばかりで体がウズウズする」
    ポーラーは他のゴジュウジャーには襲いかかる。ティラノはティラノハンマーを振るう。ポーラーはパンチをハンマーにぶつけて押し返す。
    「なんてパワーだ!」
    「熊手!やめるクマ!」
    ベアックマが止めようと割り込む。
    「邪魔だ退け!」
    ポーラーは容赦なく殴り飛ばした。
    「くまぁ~」
    「ベアックマ!」
    ユニコーンがベアックマを受け止める。
    ポーラーは追撃をかけようとした。その動きが突然止まる。
    「や、やめろ……」
    「熊手!?」
    熊手の声がポーラーから流れた。

  • 14二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:13:03

    一回普通に名乗ろうとしてるのに、それを切り上げて熊手の口調で熊手が絶対に言わないこと言ってくるの趣味が悪くて良いな……

  • 15二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 23:55:13

    ネクスッ ナンバーワンバロゥ!

    ♬ビリッビリビリングユアードリ-
    💐「最後の厄災……まさかそれが……」
    ♬Don't say どうせムリ 君が君を疑ったら
    🐻‍❄️⬛️「愚かな貴様ら人間に、救いを与えてやるというんだ!」
    ♬誰が信じるの?
    ✋「他に手段はない……」
    ♬サヴァイバルなWinner
    🐺「目ェ覚ませよ熊手ェ!」
    ♬ご褒美あげたいな 願いと私との
    「第-話、シークレット!現れる白き厄災」
    レディーゴー!

  • 16二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 00:02:32

    >>15

    シークレットって事はカクレンジャーか

  • 17非125/09/29(月) 00:38:05

    「や、やめろ……」

    「熊手!?」

    熊手の声がポーラーから流れた

    「まだ生きてんのか!熊手!」

    「な…何を言ってる!俺様は愚かな貴様ら人間に、救いを与えてやるというんだ!」

    そう言ったとき、ポーラーから眩い光が放たれる。その光を浴びたゴジュウジャーたちは変身解除された

    「指輪が…消えた!?」

    「どうだ?俺様の力だ!」

    「なんだと…っ!」

    「俺様を舐めるからこうなる!所詮は愚かな人間…我々厄災の力無しでは穢れは無くせぬ!」

    「さあ…とどめをさしてやろう!」

    ポーラーが拳を振りかざす

    「もう…なんとか…できねえのかよ!」

    吠は地面にひれ伏すことしか出来なかった。もう命を捨てるしかない。ポーラーの拳が当たる…その時だった

  • 18非125/09/29(月) 00:45:01

    「っ!何!?」

    ポーラーに銃弾が当たる

    「そんな面して本当に俺様のライバルかぁ?」

    「全く…大変趣味が悪いですね」

    「僕の弟に手を出さないでもらえるかな?」

    「ファイアキャンドル…クオン…と誰だっけ?」

    「慈愛のブーケですわ!」

    「なんでお前らが…」

    「ずっと見てたぜえ?お前が指輪を奪われるところもな!」

    「な!」

    「ただ、お前は俺の唯一の好敵手だ。ピンチなら救うしかねえだろ?」

    「弟のピンチに駆けつけない兄はいないよぉ…吠」

    「最後の厄災……まさかそれが……ゴホンゴホン私も大事な人がピンチですもの」

    ブーケは陸王をみて言う

    「ほら!立て!砂まみれじゃねえか…ほら武器貸してやるから行くぞ!」

  • 19二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 01:01:35

    >>1

    世直し必須のssがとっ散らかるビリビリスレでガチのssをお出しするな!

    嘘です、続き頼むイッチ

  • 20二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 01:07:30

    これは無事に分離した熊手が名乗り入るパターンだな?

  • 21二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 01:16:50

    生身の厄災in熊手、ガチで熊手がしない表情してそう
    エンゲージも熊手みたいに肩慣らしはせずに淡々と手のひらでボタンを押すんだろうな

  • 22二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 01:23:46

    そういや熊手って指輪いくつか持ってるからそのまま奪われた事になるんだよな…

  • 23二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 08:15:44

    とりあえず保守

  • 24二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 17:38:33

    続き二期待

  • 25二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 22:57:51

    キュウレンのツルギに似てるとはよく言われるけど、ここの熊手も自分ごと厄災消そうとしてきたらどうしよう

  • 26二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 23:37:25

    神さま仏さま(厄災堕ち?)熊手さまのご加護があることを願って保守~

  • 27125/09/30(火) 00:57:33

    「ゴジュウポーラーが厄災ィ!?」
    目を見開いたファイヤキャンドルは、女王の面前であることも忘れてひっくり返った声を上げた。普段ならそれを諌めただろうブーケも、ただ言葉を失い立ち尽くしたまま。かつてこの場所を賑やかに彩っていた一心同体の夫婦さえも姿を消し、がらんとした謁見の間には呆気なく静寂が灯る。

    「そうだ。熊手真白の中に厄災が巣食っていた、という方が正しいようだが」
    「くそ、ナイフの旦那の件も片付いてねぇってのに……そうだブーケ嬢! 前にポーラーと二人で行動してたよな!? 本当に妙なことされなかったか!?」

    与えられた情報の分析に時間を要していたのだろう。呼ばれた名にブーケは肩を揺らしながらも、「そんなことは」と小さく声を落とす。

    「彼は傲慢ですが、私がノーワンを愛するように、彼は彼なりに人間たちを愛している……そう感じました。厄災の気配なんて、少しも……」
    「ならば見定めよ、慈愛のブーケ」

    テガジューンの声色は変わらない。ブライダンという生命を生み出した母たる彼女は、愛の名を与えし少女に命を下す。その重みを、幹部たちが理解できぬはずもない。

    「お前の目なら分かるはずだ。ソレが愛を抱く戦士か──世界を蝕む厄災であるか」

    #c70067の瞳が女王を見上げる。ホルダーにしまい込んでいる馴染みの双銃がずしりと重くなった、気がした。だが──。気遣わしげな視線を向ける同僚に不器用な微笑みを返し、花束は凛とした所作で傅いた。

    「はい、女王様。もしもあの男が忌まわしき厄災に身を落としていたのなら……この慈愛のブーケ、必ずや彼奴の企みを討ち滅ぼしてみせます」

  • 28二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 08:08:17

    願い通じてるー!?
    もしかしてこれブーケ嬢vs厄災熊手回来るやつか…?

  • 29二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 14:43:42

    ビリビリで始まってるのに大真面目な作品が出来てる!

  • 30二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 17:29:27

    これもビリビリスレの新形態と言っていいんだろうか…?新たなビリビリの夜明けなのかもしれない

  • 31二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 20:08:36

    保守

  • 32二次元好きの匿名さん25/10/01(水) 01:26:53

    多分展開的に四騎士モチーフじゃない奴かな

  • 33二次元好きの匿名さん25/10/01(水) 10:46:38

    保守…!

  • 34二次元好きの匿名さん25/10/01(水) 19:28:52

    #c70067ってルビーのカラーコードか……

  • 35二次元好きの匿名さん25/10/01(水) 21:47:31

    保守!

  • 36二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 01:20:12

    実際こういう感じで本編で熊手が離脱したら色々不安になるだろうな…

  • 37二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 08:15:00

    保〜

  • 38二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 10:44:53

    ペスティスがラテン語で疫病、ベルルムがラテン語で戦争
    だからコイツはラテン語で支配者を意味するドミヌスが名前になるのかな「支配のドミヌス」

  • 39二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 20:14:23

    熊手の姿で活動するやつだ

  • 40125/10/03(金) 00:08:59

    状況は最悪だった。息をするたび凍りつくような冷気が身体に入り込み、遅効性の毒じみたそれはじわじわと戦士たちの動きを鈍らせる。その僅かな隙を見逃さず打ち込まれる拳は速く重く、防戦に徹してもなおゴジュウジャーの体力を削っていく。

    前回争奪戦のチャンピオンたる熊手真白は、その名に恥じず、戦士として頭一つ抜きん出た実力者だ。そこに厄災の呪いという加護が重なり、彼の力を増幅させているのが分かる。テガソードたちの親子喧嘩を戯れに手伝ったことはあっても、彼が本気で自分たちに拳を向けたことはなかったが……こんな禍々しい力が、彼のものであるはずかない。

    「っ、らしくないんじゃない、熊手!」
    「目を覚ませ熊たん! 傲岸不遜の君はどこに……ぐっ!」

    とにかく彼を取り押さえようと同時に両腕に飛びかかった二人の視界は呆気なく反転する。まるで力の流れが目に見えているかのような動きでレオンをいなし、地面に転がしたイーグルの腹部を、ポーラーは迷いなく踏みつけた。自重以上の圧に呻くイーグルに、愉しげに笑い声を上げながら。

    「はッ、なかなか悪くない身体だ。我らを一度は地の果てへと追いやっただけのことはある」
    「余所見してんじゃねェ!」

    背後から振り下ろされたウルフの一撃は拳で受け止められた。邪魔だとばかりにイーグルを蹴り飛ばし、そのままの体勢でポーラーはウルフと睨み合う。

  • 41125/10/03(金) 00:10:20

    「自称神のくせに、厄災なんかに取り憑かれやがって……!」
    「取り憑かれた、か。相も変わらず人間とは哀れだな。貴様らもこの器も。そうは思わないか、"二代目"?」
    「ッ、てめぇ!」

    身体の持ち主の癖を真似るように顔を傾け、その呼び名を口にしたポーラーは、激昂したウルフの追撃を半歩後ろに飛んで軽く避ける。地に転がり、或いは必死に攻撃の隙を探している満身創痍のゴジュウジャーを見渡し、やれやれと言いたげに肩をすくめた灰の戦士は、「そもそも」となんてことのないように腕を組んだ。

    「この身体はとっくの昔から我のものだ。本来なら一万年前に死んでいたものを、ここまで持たせてやったのだからな」
    「…………死ん、でた?」

    テガソードを構えたウルフの姿勢が緩む。奇襲のタイミングを探っていたユニコーンは気配を消すのも忘れ、何言ってんの、と小さく声を落とした。それ以上、誰も何も言えなかった。冷たい汗がスーツの中を滑り落ちるのが分かる。嫌な、予感がした。

    「何を驚くことがある。テガソードと指輪の加護を与えられたとはいえ、所詮は人間。神々の戦いや時空の狭間に巻き込まれて無事でいられるとでも?」

    ポーラーは──支配の名を持つ厄災は淡々と語る。五人の動揺を、はぐれものたちの運命を蔑み笑うような軽薄な響きで。

    「この人間は指輪争奪戦の勝者となり、我ら厄災を退ける代わりに命を落とす。初めから"そう"定義された存在だ。我はその因果に代わり、この肉体をもらってやったに過ぎない」

    ウルフは呆然と自らが握る武具に目を落とす。その中心に嵌る自身の証明を示す指輪の赤色。慣れ親しんだはずのそれが、今は酷く惨たらしい色に見えた。

  • 42二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 08:08:26

    保守

  • 43二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 13:17:03

    全裸保守!

  • 44二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 21:06:26

    保守

  • 45二次元好きな匿名さん25/10/03(金) 23:01:56

    >>41

    え…じゃあ今までの熊手は何

  • 46二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 08:11:56

    保守

  • 47二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 13:23:04

    全力待機してるけど更新されるたびにこれビリビリスレなんだよな……と思う

  • 48二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 16:21:56

    た、例え死んでいたとしても!乗っ取るなんて残酷だ!

  • 49二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 23:06:47

    まじでここまでの展開がほんとに本編でも有り得そうなのが(いろんな意味で)怖い
    一番恐ろしいのは1の文才だ

  • 50二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 02:08:55

    文豪スレ主ありがとう
    続きゆっくり待ってる保守

  • 51二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 06:45:20

    続き待ってます

  • 52二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 14:27:25

    神様仏様!どうか次の話もお恵みください

  • 53125/10/05(日) 15:36:03

    「まぁ、本来なら我の傷が癒えるまで時空の狭間で眠らせておくつもりだったが──破滅の王子の力、これはこれで面白い」

    おかげで、少々余計な時間は食ったがな。言うが早いがポーラーはぐっと体勢をかがめ、地面を蹴りつけ距離を詰める。動揺は見えたが、それでも目の前の敵の存在を忘れてはいなかったらしい。持ち前の反射神経でポーラーの一撃を避けたウルフは、すぐさま切っ先を振り下ろす、が──。ブレる軌道には明らかな迷いが見て取れ、瞬きの間に刃を逸らしたポーラーはふっと鼻を鳴らした。

    「なんだ、動きが鈍くなったな。この救世主とやらのなりぞこないに情でも湧いたか?」
    「っ、意味わかんねぇことばっか言ってんじゃねェよ! 起きろ熊手!!」

    ウルフだけではない。告げられた言葉を飲み込んだ五人の脳裏には最低の想像が過ぎっていた。

    熊手真白を生かしたのが、本当に厄災の力なのであれば。この厄災を倒せば、熊手は──。

    仲間と素直に呼び合うような関係ではない。それでも共に肩を並べて戦ってきた相手の命と、世界の命運を天秤にかけられるほど、彼らは非情でも勇敢でもなかった。
    我が身を顧みず胸ぐらを掴み、ウルフは真っ直ぐにポーラーの目を睨みつける。届くはずだと思った。遠野吠の知る熊手真白とは尊大で、傲慢で、救世主と語る己を絶対に曲げない、"気に食わねぇがすげぇヤツ"であるのだから。

    運命?定義?因果? 小難しい理屈など理解する気はさらさらない。抗いもせず動きを止めたポーラーに、固唾を飲んで見守る周囲の視線に希望が灯るのがわかった。

  • 54125/10/05(日) 15:39:48

    「お前は、」

    テガソードを超える神になって、世界を救うんじゃねぇのかよ。続けようとした言葉はパキリと無機質に鳴った氷音に呑まれる。本能が警鐘を鳴らし、咄嗟に避けようとするがもう遅い。氷塊をまとった拳が、予備動作もなしにウルフの顎を打ち上げた。ぐらりと脳が揺れたことで生まれた隙を見逃すわけもなく、身体に回転をかけたポーラーの蹴りが脇腹にめり込む。

    「ぐ、ァ……ッ!!」
    「遠野!!」

    胴体をへし折られる痛みに呻きながら地を転がったウルフの変身が解かれる。ベルルムとの戦いで既に消耗しきっていた肉体は重く、起き上がることさえ容易ではない。それは他の四人も同じで、張り詰めた空気の中に絶望の二文字が浮かび上がる。

    「どこまでも愚かだな、貴様らは。弱く、愚鈍で、欲深く……底知れぬまでに醜い生き物だ。やはり人類に生きる価値はない」

    ポーラーはそのスーツと同じく、白から鈍色へと染まったグローブを掌で叩く。冷気があたり一帯を支配し、反射的に「まずい」と吐き出した誰かの息が白く立ち昇る。大地も大気も凍らせる絶対的な死の気配。まともに食らえばそこで終わりだ。そう思うのに、とうに限界を迎えている身体は動かない。

    「ここで俺様が引導を渡してやろう」

    "フィニッシュボンバー"
    構えを取ったポーラーの腕が空を切り──だが、一瞬だけその動きが止まる。そのまま軌道は捻じ曲がり、何かを振り払うように横薙ぎに振るわれた腕から放たれる衝撃波が、その先にあった崖の表面を氷で覆い尽くした。

  • 55125/10/05(日) 15:42:53

    反動で巻き起こった絶対零度の旋風へ防御の姿勢を取るゴジュウジャーをよそに、灰の戦士は緩慢に首を鳴らし、忌々しげに片手を見下ろす。

    「まだ馴染むまではいかないか。供物にしては活きが良すぎるが……仕方あるまい」
    「見逃すのか、ドミヌス」
    「今だけだ。やるなら徹底的に、絶対的な絶望で潰さなければつまらない。そうだろう?」

    元より力試し程度にしか思っていないのだろう。変身を解いた熊手──もとい支配の厄災・ドミヌスは、黙って行く末を眺めていたベルルムにそう告げる。吊り上げられた口角も、細められた瞳も、熊手のそれと同じはずなのにどこまでも違った。違和感は嫌悪感へと膨れ上がり、何もできぬ現状に歯噛みする。

    「ではな皆の衆。せいぜい最後まで足掻けよ」
    「おい、待てッ……!」
    「そう喚くな。この人間の意思も直ぐに消える。世界を救うなどというくだらん戯言もな。その時こそあの御方の復活の時だ」

    ドミヌスはそう語りながら、テガソードの紋様を背に写した白のガウンを肩から抜き、背後へと雑に放り捨てた。その奥で地面に這いつくばった吠をせせら笑い、蜃気楼のごとく歪んだ二体の姿がその場から消える。

    「い……いやクマ、熊手っ、熊手ぇ!!」

    べアックマの悲痛な叫びだけが響くなかで、残された五人は何も言えず、ただ強くこぶしを握りしめる。決着の時は近い。そんな予感が胸の内を焼いた。

  • 56125/10/05(日) 15:44:08

    >>38

    名前設定お借りしました!)

  • 57二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:48:36

    上でも言われてたけどちょいちょい熊手の口調になるの良い…尊厳破壊を感じる…

  • 58二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:02:17

    あぁ、べアックマちゃんッ、!!!
    やばい、続き待ってます、めっちゃ良いSS

  • 59二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 07:02:54

    保守

  • 60二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 16:03:12

    保守

  • 61二次元好きな匿名さん25/10/06(月) 23:20:44

    厄災なんてこの世から無くなればいいのに…(ボソ)

  • 62二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 06:43:23

    保守

  • 63二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 07:11:51

    保守

  • 64二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 16:06:43

    これは素晴らしいSSッ!続き待ってます 保守

  • 65二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 21:34:01

    保~守~

  • 66二次元好きな匿名さん25/10/07(火) 22:31:18

    これからどうなるんだ!?

  • 67二次元好きの匿名さん25/10/08(水) 08:04:39

    熊手を奪われたベアックマに悲しき現在…

  • 68二次元好きの匿名さん25/10/08(水) 11:24:07

    これじゃまたビリビリスレの考察スレが立っちゃうよ

  • 69二次元好きな匿名さん25/10/08(水) 15:59:56

    保守!

  • 70125/10/08(水) 18:54:09

    本日貸切の札をかけたテガソードの里。その店内に満ちる沈黙は重く、息苦しいものだった。思い返してみれば、彼がこの店に馴染んでからというもの、こういう状況で口火を切るのは彼であることも多かったのだと気づく。

    ……はじめはあれほど警戒していたというのに、いつの間にやら変わってしまうものだな。手当を終え、救急箱を閉じた竜儀はぼんやりとそんなことを思う。たった一人いないだけで、妙に店内ががらんとして見えるのだ。

    「ほら、もう泣かないで、べアックマ。熊手ならきっと……」

    戻ってきてからも嗚咽を上げてばかりいるべアックマの背を撫で、陸王は優しく声をかけるが、その声も途中で止まる。きっと大丈夫? きっと無事? どこにその根拠があるというのだろう。

    熊手真白なら、と思っていた。もちろん指輪を譲る気などなかったが、それでも。なんだかんだでゴジュウジャーの中心となっている吠とはまた質の異なる鮮烈な輝きと、本人の大言からブレることのない立ち姿。無意識のうちに、その存在を頼りにしていた自分に今更気づく。だからこそ……その基盤がこんな形で崩れるなど、想像もしていなかった。

  • 71125/10/08(水) 18:58:26

    行き詰まりの空気の中、シケたツラしてんじゃねぇ、と荒っぽく声を上げたのは吠だった。

    「あの攻撃を逸らしたのは熊手だ。アイツはまだ厄災の中にいる。厄災ぶちのめして、熊手を引っ張り出せばいいんだろ」
    「そうか!ノーワンに取り込まれた人を助けるときのように、熊たんと厄災を分離すれば……!」

    『不可能だ』

    がたんと椅子を鳴らし立ち上がった禽次郎の瞳が希望に輝く、が──。その奥、階段の中央に鎮座するテガソード像から声が響く。テガソード様!?と目を見開き慌てて姿勢を正す竜儀とは対照的に、「どうして?」と珍しくも食ってかかったのは陸王だった。

    「テガソードの力なら可能性はあるんじゃないかな。いつもやってることでしょ?」
    『……ノーワンの"生成"はあくまで、自らの存在を保つための核として人間を取り込むもの。だが、熊手真白の状況は違う』
    「あぁ?どういう意味だよ」
    「待って……核って、まさか」

    顔色を変えた角乃に、小さな依代に宿ったテガソードは頷いた、ように見えた。

    『厄災の言葉は恐らく正しい。そうだとすれば、今の熊手真白の肉体の核は厄災の方にある』
    「……テガソード様、それは、つまり」
    『あぁ。熊手真白は、もはや厄災と同化した。厄災を切り離せば、あの男はその存在を保つ術を失い、──死ぬ』

  • 72二次元好きな匿名さん25/10/08(水) 22:45:49

    あぁああ悪夢だぁ悪夢だぁ

  • 73二次元好きの匿名さん25/10/08(水) 22:53:21

    ベアックマがまた荒れる…!

  • 74二次元好きの匿名さん25/10/08(水) 23:20:03

    打つ手がないのか… ぜ、絶望的すぎる…

  • 75二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 07:18:09

    これ見るとゴジュウジャー本編ってまだシリアスじゃないっていう

  • 76二次元好きな匿名さん25/10/09(木) 16:22:25

    保守

  • 77二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 22:46:31

    スレ主、最初から連載ssのつもりだったのか単発予定だったのかだけいつか教えてくれ……未だにスレタイ見て奇妙な気持ちになるんだ

  • 78二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 07:10:04

    保守

  • 79二次元好きな匿名さん25/10/10(金) 15:42:37

    保守

  • 80二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 21:53:52

    保守

  • 81二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 06:40:58

    保守

  • 82125/10/11(土) 11:04:27

    もはや沈黙とさえ呼べない静寂が落ちる。誰もが何かを言おうとして、けれど濃度を増したような空気が喉に絡まり、形になることなく消えていく。

    「……な、わけ、ないクマ」

    そのなかで一体。相棒の肩の上という定位置を失い、それこそただの玩具のようにテーブルの上で項垂れていたべアックマは、その愛らしい見た目に似合わない掠れ声を零した。べアックマ、と陸王は気遣いの視線を落とす、が──視界に入ったのは白い残像のみで。

    「そんなわけないクマ!!」

    がしゃん、と金属がぶつかる派手な音とともに、竜儀から声にならない悲鳴が上がった。それも気にとめず、べアックマは倒れた祭壇の上で、地に転がる小さなテガソードを睨みつける。

    「熊手は、厄災こそが元凶だって、それを排除するのが熊手の役目だって、そう言ってたクマ! そんな熊手が……熊手が厄災なはずないクマ!! 間違ってるのはお前クマ!」
    「おいべアックマ!」

    吠の呼び止めも虚しく、くるりと体を反転させたべアックマはテガソードの里を飛び出していく。

    「僕が行くよ」
    「私も行く。竜儀のことは任せたわよあんたたち!」
    「あ、おい!」

    すかさず立ち上がった陸王と角乃がそのあとを追って駆け出す。……後者は怪力伝道師から逃げたかったのではないか、という疑念を残しもしたが。

  • 83125/10/11(土) 11:06:50

    「あぁおいたわしやテガソード様……!!」
    「あ〜〜その、竜儀」
    「大目に見てやってくれ竜てゃ!あの子もまだ動揺しておるんじゃ!」

    すぐさま祭壇に駆け寄ってテガソードをうやうやしく拾い上げた竜儀に、恐怖を隠しきれていない二人の声が飛ぶ。骨の一本や二本では済まない事態だ。当然、間に入る方も命懸けである。

    だが二人の緊張に反し、竜儀は「私とてそれは分かってます」と冷静な様子で立ち上がった。片手で倒れた祭壇を慎重に起こすと、丁寧な手つきで場を整えていくその背に、吠と禽次郎は顔を見合せる。

    「物に──それもテガソード様に当たるなど言語両断!……だが、奴が平常心を失うのも理解できる」
    「……あんなこと聞いたら、なぁ」

    僕も、まだ信じられん。伏し目がちに呟いた禽次郎の言葉が、全員の心中の総意だろう。道を迷い、指輪を棄てようとする者はこれまでもいた。全てに絶望し、自分諸共世界を滅ぼそうとする者がいるのも知っている。だが今彼らの前に立ちはだかるのは、もっと理解不能で理不尽な何かだ。

  • 84125/10/11(土) 11:08:38

    『──元を辿れば、ユニバース大戦に熊手真白を巻き込んだのは私だ』
    「うお、まだいたのかよお前」
    「遠野ッ!静粛に!」
    「竜てゃが一番声大きいぞ……」

    据え直された像を介し、再び言葉を響かせたテガソードは、三人それぞれの反応を黙って眺めた。テガソードは人類を愛している。赤、緑、青、黒、黄の五色を持つ、或いはかつて持っていた彼らのことも。だからこれ以上、自分が残した禍根を、人類に背負わせるわけにはいかないのだ。

    『熊手真白が完全なる厄災の器となったその時は、私が厄災ドミヌスを討伐する』

    戦え。散々繰り返してきた言葉をテガソードは言わなかった。如何にも神らしい淡々とした物言いは、しかし少しずつ垣間見えてきたその実像を知る吠にとっては違う。

    「気に入らねぇ」

    低く吐き捨てれば、竜儀と禽次郎は強ばった表情のまま吠を振り返る。その視線を受け止めながら、吠は真っ直ぐにテガソードを見据えた。

    「勝手に決めてんじゃねぇよ、あの厄災は俺の獲物だ」
    「吠っち……」

    顔を合わせればしょうもない小競り合いをしてばかりの二人にも、彼らなりの絆はあったのだ。胸を打たれた禽次郎はそう声を震わせる、が。

    「大体──まだ痛ェんだよ横っ腹が!!」
    「……うん?」
    「思い切りやりやがって……次に会った時はぜってぇ借りを返す!ついでに熊手も一発殴る!」

    右手でつくった拳を左手で受け止め、気合十分といった様子で宣言した吠のぎらついた眼差しは本気だ。唖然と立ち尽くす禽次郎の背を、竜儀は宥めるようにそっと叩いた。

  • 85二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 14:31:31

    一つ言わせて、暴力振るったの熊手さん本人じゃなくね?

  • 86二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 16:01:35

    うおー!続きだ!待ってました!

  • 87二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 20:49:20

    待ってました!!
    めっちゃ神SSだ、

  • 88二次元好きな匿名さん25/10/11(土) 22:11:15

    保守

  • 89二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 06:28:26

    保守

  • 90二次元好きな匿名さん25/10/12(日) 13:39:04

    保守

  • 91二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 14:10:28

    保守

  • 92二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 21:17:27

    吠らしいといえばらしいな

  • 93二次元好きな匿名さん25/10/12(日) 22:08:00

    保守

  • 94二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 01:44:25

    続ききてたんだね嬉しいな
    深刻だけど声デカ竜儀の所和む…

  • 95二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 07:07:25

    保守

  • 96125/10/13(月) 09:24:50

    ───

    光に紛れて見失いそうになる白い影を追いかけ、ようやく立ち止まったそこは小さな広場だった。木の根元に墜落するような勢いで身を寄せたべアックマは、また唸りにも似た嗚咽を上げている。

    「べアックマ……」

    思わず後を追ったはいいものの、かける言葉が見つからない。熊手を自らの器と呼んだ厄災。熊手を救うことはできないと語ったテガソード。状況は解決の糸口が見つかるどころか、閉ざされていくばかりだ。

    「……熊手は……もう、帰ってこないクマ……?」

    ぽつりと落ちるその声は、いつもの小憎たらしい口ぶりからはあまりにかけ離れていた。

    「それは……」
    「熊手はあのとき……自分がどうなるのか、分かってたはずクマ。なのに、クマが厄災の力に巻き込まれないように庇ってくれたんだクマ……」

    厄災に呑まれる寸前、普段の甘い態度からは想像もつかない乱暴さで、熊手はべアックマをはねのけた。それこそが、きっと彼の意志だったのだろう。
    原理は分からないが、べアックマの機械仕掛けの瞳からぽろぽろと涙が溢れていく。目の前で厄災に姿を変えた大切な人。いつか見た光景がまぶたの裏に蘇り、陸王は無意識に手のひらへ爪を立てる。

  • 97125/10/13(月) 09:25:58

    「……助けたいなら、こんなところでうずくまってる場合じゃないわよ」

    その意識を引っ張り上げたのは、隣に立つ角乃の揺るぎない声だった。

    「考えるの。どうしたら助けられるのか、どうしたら今度は守れるのか。何も分からなくても考えて、考えて考えて考えて……できることは全部やる。どれだけ無謀でも無茶でもね」
    「……角乃ちゃん」
    「あんただってそうでしょ。私にとっては顔面ボッコボコにしてやりたい相手だけど」

    ふんと鼻を鳴らした角乃の横顔は凛としたもので、いつかの狼狽など欠片も感じさせない。強いなぁ、と幾度となく思う。尊敬の念も含めた笑みを口元にたたえ、「そうだね」と陸王は頷いた。

    「べアックマ。君の願いはなに?」
    「クマ……クマは、熊手と一緒にいたい、クマ」
    「なら取り戻さないと。悩んでる暇なんてないわ」
    「うん、方法を探そっか」

    たどたどしく紡がれる願い。それを即座に受け止めた二人に、目を丸くした(形状として元から丸いが)のはべアックマの方だった。

  • 98125/10/13(月) 09:27:00

    「お前らは、熊手を、倒さないクマ……?」
    「テガソードの言うこととはいえ、他人の言葉を簡単に鵜呑みにしてちゃ探偵失格ね。他の連中も物わかりが良いとは思えないし」
    「それに、あの熊手がこんな簡単に厄災に負けるなんて、ちょっと僕には考えられないかな」

    何しろゴッドネスだし。でしょ? そう笑いかければ、べアックマはしばしの沈黙のあと、ようやく小さく頷いた。

    「そう、クマ……熊手が負けるはずないクマ。クマが、絶対助けるクマ!」

    飛び上がったと思えばその場でぐるりと旋回し、正面から二人に向き直ったその目は熱く滾っている。

    「毎度手がかかるわね、ほんと」

    角乃はうんざりと言いたげに肩を竦めたが、おせっかいナンバーワンたる彼女の本心はそれだけではないだろう。ふ、と口元を緩めた陸王を目ざとく睨みつけ、「何にやにやしてんのよ」と怒られたのはこの際ご愛嬌ということにする。

    「お前ら遅いクマー!さっさと店に戻るクマ!」
    「……まぁこっちもご愛嬌かな」

    すっかり普段のふてぶてしさを取り戻したべアックマに苦笑しながらも、慌ててそのあとを追う。

    「何か手がかりでもあるわけ?」
    「テガソードに聞きたいことがあるクマ。もう手遅れかもしれないクマが……」
    「え?」

    不穏なワードに二人の表情が曇る。べアックマは主に似た尊大な口ぶりで、だがそこに不安を滲ませながら口を開いた。

    「グーデバーンのことクマ。もしかしたら……もう既に厄災は動いてるかもしれないクマ」

  • 99二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 18:14:19

    保守

  • 100二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 20:52:22

    続きだー!待ってました!!!
    まさかグーデバーンにも不穏フラグが!?

  • 101二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 20:54:42

    あのースレ主さん、本編で玲さんベルルムと分離しましたけどこのシリーズの玲さんの安否は大丈夫なんですか?

  • 102二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 22:22:02

    保守

  • 103二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 23:07:05

    やべぇー
    !!!めっちゃいい

  • 104二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 07:11:12

    保守

  • 105二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 15:50:05

    保守

  • 106二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 22:42:33

    保守

  • 107二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 07:10:06

    保守

  • 108二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 15:57:10

    保守

  • 109二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 20:43:01

    保守

  • 110125/10/15(水) 21:04:13

    >>101

    スレ立て時点では玲さん取り込まれ状態のイメージでしたが、一応分離されたあとの時系列としてもいける気がするので、>>96からはその想定で進めてます

    つまり無事にムショです

    たぶん今後も本編進むと状況変わるとは思うんですが、自由に脳内補足してもらえると助かります…

  • 111125/10/15(水) 21:05:33

    ───

    誰かに名前を呼ばれている気がする。
    絶え間なく、懸命に。それは祈るような、……或いはむしろ正反対なような。
    救いを求める声なら応えなければならない。だが、一体何処の誰のものなのだろう。ぼんやりと視線を彷徨わせていれば、背後から声が投げかけられる。

    「おい、真白」

    振り向けば、青いレザージャケットを羽織った青年が呆れたような顔で真白を見つめていた。指先にはまる青い指輪に、妙な違和感と懐かしさが立ち昇る。目を瞬かせる真白に、青年は訝しげに顔をしかめた。

    「何してるんだ。その猫、飼い主に返しに行くんだろう」
    「……あ、あぁ。そう、だったな」

    その言葉に視線を下げれば、自分の腕の中には白くもふもふとした塊があった。ぐるりと首を回したそれは真白を見上げ、にゃあとひとつ返事をする。
    そう、今日の人助けは迷い猫探しだった。手がかりのない猫探しは、色々あってゴジュウジャーの四人さえ巻き込む大騒動となって、それで。

    「結局、捕まえたのは俺だったな。猫探しナンバーワンも俺のもんだ」
    「屋根の上まで追いかけるお前がおかしいんだ。俺たちがどれだけ聞き込みしたか……大体お前は、」
    「あーはいはい、もう聞き飽きたっての。なぁ子猫ちゃん」
    「……よくそんな恥ずかしい呼び方できるな」

  • 112125/10/15(水) 21:07:19

    呆れを隠さない声は無視して、抱えた猫を抱き上げる。そのとき、白い毛に埋もれた自分の指を彩る赤が目に付いた。見慣れたはずの赤のリング。陸の王の戦士を象るそれに、ちり、と脳の片隅が焼ける。確かにこの力は自分のものだ。だが、……それだけじゃ、なかったような。

    「……、なんだ……?」
    何も間違っていない。完成したパズルのように、目の前の景色はすべて正しいと本能が告げている。だが──それだけでは片付けられない胸のざわめきに、思わず足を止めた真白の背に、ぽん、と軽い体温が触れた。

    「どうしたんだ、お前らしくもない。ほら、この子の飼い主が待ってるんだろう」

    隣に立った青色の顔をまじまじと見つめる。指輪争奪戦のなかで出会った同盟相手。背中を預けて戦う戦友。真白にとっては、ただ一人のゴジュウレオン。そのはずだ。何も、間違ってなどいない。

    「あぁ……そうだな」
    真白は頷き、ようやく一歩踏み出した。次第にその足が早まり、気づいた青年が「おい」と声を荒らげた頃には殆ど走り出しながら、無邪気な笑みを背後に向ける。

    「モタモタすんな、置いていくぞ!!」
    「おい急に──、っ待て、このっ、俺様!!!」

    そうだ。この世界は正しい。"熊手真白"にとっては、この世界だけが。
    厄災に呑まれた意識の奥底。もう戻れない過去を永遠とした夢の中。赤の狼はひとり、ただの人として、目を閉じた。

  • 113二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 22:06:51

    保守

  • 114二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 07:03:14

    やった!続きだー!
    うわぁ…これは中々に目が覚めにくいものに囚われているな熊手…

  • 115二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 07:10:27

    保守

  • 116二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 16:10:44

    保守

  • 117二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 22:09:12

    保守

  • 118二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 07:08:16

    保守

  • 119二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 16:25:09

    保守

  • 120二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 22:12:46

    保守

  • 121二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 06:50:27

    保守

  • 122二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 10:43:44

    ハッピーエンドになるんだよな…?
    期待待機してます

  • 123二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 13:49:21

    保守

  • 124二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 16:10:17

    保守

  • 125二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 22:12:23

    保守

  • 126二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 07:12:22

    保守

  • 127125/10/19(日) 12:25:15

    ───

    テガソードでさえ簡単には入れぬよう、力ずくで閉ざした空間。大地を揺らすような吹雪の中で、グーデバーンはその姿を見た。
    見知った影に違和感はないはずだった。そもそもこの空間に立ち入れるのは彼ぐらいだ。確立する自己を持てず泣き喚くばかりだったグーデバーンの前に現れた、その時から。だが──。
    熊手真白の形を持ったそれは、にこりと人好きのする笑みを浮かべながら、言った。

    「よう、テガナグール」

    機体にヒビが走るような衝撃と痛み。一呼吸する間もなくぶわり強まる威圧に、近くにあった氷塊が大きく音を立てて弾ける。歪む氷の表面が擦れ合い、耳をつんざくほどの悲鳴を奏でてもなお、ドミヌスは平然とした様子でグーデバーンの前に立っていた。

    「熊手さんから離れろ、厄災!!」
    「ほう? 生み捨てられた忌み子でも神は神か」

    案外、目は確からしい、とドミヌスは笑う。蔑みに満ちたその表情さえ冒涜に等しく、酷く神経を逆撫でた。

    「この身体に宿る力の半分はお前のものだろう。挨拶程度はと思ってな」
    「何を……っ熊手さんをどうするつもりだ!」
    「どうするも何も無い。かつてのゴジュウウルフは消え、我がその肉体を引き継いでやった。それだけだ」
    「嘘だ!!」

    指輪を通し、熊手の気配が変わったことには気づいていた。圧倒的な存在感。ほぼ神を名乗る彼のそれが透けるように薄くなり、今では感覚さえ掴めない。
    だがいざそう言われて、はいそうですかと飲み込めるわけがない。グーデバーンにとって熊手真白は絶対の存在だ。暗く冷たい氷を砕き、光をくれたただ一人の神様。厄災などに負けるはずがない。消えたりなんてするものか。

  • 128125/10/19(日) 12:27:02

    殺意にも近い眼光を前に、ドミヌスはなお笑みを崩さぬまま、「それに何の問題がある?」と顔を傾けた。

    「そもそも──お前がこの男の元に導かれたのは、我の力を求めてだろう」
    「──、なに、言って」
    「生まれたばかりのお前が時空の狭間に迷い込み、熊手真白を目覚めさせた。そのとき、何を道標にしたか」

    確かにグーデバーンの眼差しに動揺が映った。右も左も分からず駆け回った記憶は曖昧で、熊手との最初の出会いさえも定かではない。すべて無意識での行動だったはずだ。その自覚が、嫌な予感を増幅させる。

    「お前は世界を滅ぼす力を求めた。まぁ赤子の本能だろうな。そうして我を──厄災の力を内に宿す熊手真白の元に辿り着いた。そうだろう、破滅の王子、テガナグール」
    「ち……違う!僕は、そんな、そんなこと……!」
    「なぜ否定する? お前は"そういう"存在だ。思考など無用。ただあるがままを受け入れれば良い」

    ドミヌスの瞳が細まり、その冷たい視線に、グーデバーンは凍りついたように動けなくなる。ドミヌスはゆっくりと歩を進めた。足跡が雪の上に残り、その数が増えるたび、心臓部に埋め込まれた指輪が大きく脈打つ。

    「可哀想になぁ、テガナグール」

    やがてグーデバーンのすぐ傍まで歩み寄ったドミヌスは、ゆるりと顔を上げ、演技じみた憐れみの声を上げた。

  • 129125/10/19(日) 12:28:50

    「光に焦がれて生きるのはつらいだろう? 本来の在り方を否定するから苦しいんだ」
    「本来の、在り方……?」
    「破壊し、傷つけ、終わらせる。終焉をもたらす破滅の王子。それはお前が生まれ持った役割であり本能。否定することはない。誇っていいんだ。お前は、選ばれしものなのだから」

    残酷で、それなのに甘い言葉がグーデバーンの内側へと入り込む。だが神の子の中にはまだ光がある。彼がくれた名前。その名が、世界と自分を繋げてくれたのだ。

    「う、るさい……ッ!それでも熊手さんは、熊手さんは僕を信じてくれた!僕に手を差し伸べてくれた……!」
    「あぁ。だが奴は神などではない。運命にも抗えぬ、ただの弱い人間だ」

    我がそれを証明してる。そう自らの胸に手を置いたドミヌスからは、彼の気配はほとんど感じられない。いつだって自分を照らしてくれた太陽を雲が覆う。強まる吹雪のなかでも、ドミヌスの周囲だけは凪が広がっていた。自らも身体を凍らせながら、平然とした顔で自分に手を伸ばしたかつての彼の姿が、そこに重なる。

    「なぁテガナグール。名前を変えただけで、運命から逃れられると本気で思ったのか?」

    運命は変えられない。お前にも、この男にも。ドミヌスの手がグーデバーンに触れる。その瞬間、全神経の回路が捻じ曲がったような気がした。かってないほどの力が全身を駆け巡り、封じ込めていた欲が叫び出す。

    あぁ、そっか。"正しさ"なんて、最初から僕には意味のないことだったんだ。
    地を覆う氷に亀裂が走り、それを最後に氷塊の悲鳴が鳴り止む。すべての音を無くした世界で、グーデバーンの瞳が赤く光った。

  • 130二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 14:39:04

    このレスは削除されています

  • 131二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 17:43:22

    ぎゃー!グーデバーンもプレバンの灰と赤のテガナグール闇堕ち形態に!
    続きは嬉しいけれども展開が…展開が…

  • 132二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 17:58:13

    気配すらほとんど感じ取れなくなってるの悲しすぎる……

  • 133二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 20:31:47

    良すぎるー、展開が

  • 134二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 22:12:13

    このレスは削除されています

  • 135二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 07:04:23

    このレスは削除されています

  • 136二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 14:46:34

    グーデバーンちゃん〜😢

  • 137二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 22:25:01

    なんと!この展開は予想外です。また続き楽しみにしてます

  • 138二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 07:07:57

    保守

  • 139二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 16:08:12

    保守

  • 140二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 18:19:23

    保守

  • 141二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 22:12:06

    保守

  • 142二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 07:12:13

    保守

  • 143二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 15:58:57

    保守

  • 144二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 22:09:27

    保守

  • 145二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 06:45:02

    おは保守〜

  • 146二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 07:03:49

    保守

スレッドは10/23 17:03頃に落ちます

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