【🎲閲覧注意】奇蹟の子供達をもう１人増やしてみる

[1 1 25/10/02(木) 19:41:39]

前スレ

【🎲閲覧/CP注意】奇蹟の子供達をもう１人増やしてみる｜あにまん掲示板

あらすじ

ナラティブの奇蹟の子供達に1人増やした

名前はノア・ウィバリー　男　髪が長い　強化筋肉のせいでフィジカルが強い

ヨナとミシェルの仲介者やってるしリタとヨナの仲介者もやってる

[2 1 25/10/02(木) 19:51:02]

保守ついでにいろいろ　これはこのスレでのペンダント（全体像）
下部分をノアが持っている想定です

[3 1 25/10/02(木) 19:53:37]

あっタイトルに「２」入れるの忘れた　まあいいか……
これは前スレで茶濁しに出したリタヨナ絵の前身　実はミシェルもノアもいました

[4 1 25/10/02(木) 20:06:16]

これからの予定としては、ちょっと遡ってリタとの会話、ミシェルとの会話を挟んでⅡネオ・ジオング戦に入る予定なんですけど、ノアは最終決戦に参加しないです
それで描写がどこまで飛ぶか、どこがどう変わるかはまだ未定です

[5 1 25/10/02(木) 20:37:02]

（ヨナがⅡネオ・ジオングを暴走させようとしている辺り）
ふと気づくと、海岸にいた。海鳥の鳴き声が響く。
今にも泣きそうな空だが、向こう側が見えないほど広い砂浜と、海に浮かぶビルが無いのに気づいて急に、毎日のように海で遊んでいたのを思い出した。
父さんに膨らましてもらった浮き輪、どこかに忘れて数を減らした砂場遊びのカップ、買ってもらったまま1度も使えなかったシュノーケル。
裸足で走れる。今なら。
そんな事を思いながら緩やかな波を眺めていると、ばしゃ、と浅瀬で水を跳ねさせる音がした。
そちらを振り向くと、パイロットスーツを着た金髪の女性が佇んでいる。見覚えのあるブロンドが風に揺れた。
あのエメラルドの丸い瞳は印象を残したまま、大人の顔つきへと成長している。
「……綺麗になったね。」
「ノアも、髪伸ばしてくれてたんだ。」
先程まで憎しみに囚われたヨナを止めようとしていたはずなのに、こんな所にいるのは彼女のせいだろうか。
「……ごめんね。」
「謝るなよ。」
その申し訳無さそうに揺れる目から、リタが何かを伝えようとしていることがわかった。ボクじゃなくて、ヨナに。
「………いくらでも手伝うからさ……いじめっ子も倒すし、言われたら殴るのも我慢する。自由研究も抜け羽探しもさ……」
ぶわりと風が吹いた後、そこにいたのは同じ目線で立つ、自ら髪を切った8歳のリタだった。
「……ミシェルはヨナを泣き虫だって言うけど、ノアも結構泣くよね。」
彼女の手がボクの目元を拭う。ボクはそう思わなかった。ボクとヨナが泣き虫なんじゃない。リタとミシェルが泣かなさ過ぎるのだ。
そんなボクの考えていることを感じ取ったのか、リタがくすりと笑って、すぐに哀しそうな顔をする。そんな顔をしないでほしい。
まだ、まだボクは、リタが死んだことを心の底で信じられていないのだ。だって、話せてるのに死んでるなんて、それこそ此処が天国じゃないとおかしいだろう？
「あたしはもう戻れないけど……手伝って、ノア。あたし1人じゃ、届かないから。」

[6 1 25/10/02(木) 20:54:29]

5の絵じゃないんですけど保守として
どちらかというと4人でオーストラリアに帰ってきた時のイメージ

[7 1 25/10/02(木) 20:59:01]

あとなんか保守ついでに言えることあったかな
そうだ　最初の気になってる子ダイスでリタ引いてたらヨナのライバルになってたし、さらにNT度高かったら共犯者みたいな感じで4人目もⅡネオ・ジオング倒すまで視えてるっていうのも考えてました
あとフェネクスがフェネクスLとフェネクスRになるとか　フェネクスに乗るのでリタが残る√と4人目が残る√でまた変わったり……みたいな

[8 1 25/10/02(木) 21:27:39]

今回は奇蹟の子供達に一名増やす形でしたが、一応ゾルタン側にプラスするネタも考えてはいました
それって漫画版読めばいいよね　っていう気もするし過去捏造しまくりだしで今後もやる予定はないです
でも他の人がやってくれたら読みたいぜ

[9 1 25/10/02(木) 21:38:28]

保守ネタが無いな……
なんでこんなスレを立てようかと思ったかっていうと、オリ主スレが楽しそうだな―ってのと、オリ主スレ、1年戦争のモブ兵士かSEEDかアスティカシア生徒モノしか見かけないな……と思ったのでオリ主スレ無さそうな作品でやろうと思ってナラティブを題材に選びました
ちらっとソレビの人とかディアナ親衛隊とかも考えたけど50話あるアニメの原作沿い二次創作するの辛いなと思ったので

[10 1 25/10/02(木) 21:40:21]

これで保守終わりだ！
パイロット能力高かったらオリジナル機体とか出そうかなとか考えてましたが値が18なので即掻き消えました
じゃあおやすみなさい
次の更新はいつになるかわからないけど、できるだけ早くお届けしたいとは思っています

[11 二次元好きの匿名さん 25/10/02(木) 22:04:35]

立て乙
ナラティブものは楽しい

[12 1 25/10/03(金) 02:51:45]

>>11

ありがとうございます

ナラティブいいですよね……

[13 二次元好きの匿名さん 25/10/03(金) 05:17:46]

>>9

昔ゲーム批評か何かで「一年戦争のモブ兵士になりたい需要」があると聞いたのを思い出しました

三国設定の00でオリキャラも楽しそう

[14 二次元好きの匿名さん 25/10/03(金) 10:20:36]

紫髪紫眼……

[15 1 25/10/03(金) 17:41:39]

>>13

いいですね〜三国側で諍いにどう向き合うのか……っていうのも楽しそうですね！でもそれだけ難しそうでもある………

ゲームは詳しくないんですが、そういうモブ目線での一年戦争体験系ゲームってあるんですかね？

キャラ視点はいろいろありそうだけど

>>14

絵柄で目の色見づらいんですがノアは一応茶色系の目してます

ガンダムのキャラで紫髪紫目だと何かあったりするんですかね？

自分はぱっと思いつくのシロッコくらいしかいないな……

[16 二次元好きの匿名さん 25/10/04(土) 01:46:38]

保守

[17 1 25/10/04(土) 10:03:36]

「行くんだろ、わざわざボクに会いに来たってことは。」
少しふてくされたような物言いだった。
声を届けたのはノア自身であるが、その思いはリタのものだ。
リタの『手伝って』という言葉に、皆が応えた。この世にあってはならないものを消すために、自らの意思で行動する。
ただ、ミシェルがその代償に大きな物を払おうとしているのが、ノアには分かってしまった。
「不満？」
「連れてってくれないんだろ？そりゃあ不満だよ」
ノアは薄い布団を引き上げて目を逸らす。成長したミシェルの、意志の強い瞳。
リタを間接的に殺したという罪悪感。ヨナやミシェル、リタの記憶がノアに流れ込んできた時、感じた後悔と絶望。本来彼らをこの道に歩ませたのはあの時のニュータイプ研究所の大人だというのに、背負おうとしてしまうのは、それだけ彼らに強い絆があったということでもある。
「あたしだって本当はこれ以上死者を出したくないもの。《フェネクス》を捕まえるために無理を通したことの始末くらい、自分でしなきゃいけない。」
「抱え込み過ぎだ、ミシェルは。昔からずっと、自分がやるって決めたら譲ってくれない。」

[18 1 25/10/04(土) 17:39:31]

「………」
「終わったら、帰ってきてくれよ。」
その言葉程度では、いや、ノアの力ではミシェルの覚悟を揺らすことなんてできないことを、ノア自身は知っていた。けれど、そう言うしか、そう願うしかできなかった。
時間がないのも分かっている。けれど、何かを話しておきたかった。まだ再開してほんの少ししか経っていないのに。8から15歳の、いわゆる青春時代というやつを全く取り戻せていないのに、幼馴染を運命に置いていく覚悟をしなければならないのが、ノアには酷く苦しい事に思えた。
「……あんたがヨナを支えてくれててよかった。」
自らの命と4人全員が生き残る術として、ニュータイプ研究所から1人”保護”されたミシェルだが、残してきた3人がどうなるかは賭けだった。だから、ノアを計画に引き入れた時にヨナが怒った事に安心したのだ。ヨナは、ノアのために怒れる。それだけで、ミシェルのいない10年間2人が寄り添って過ごしてきた事を文章の報告ではなく、肌で感じ取れていた。
3人が再会してから、過ごした時間は短い。3人一緒にいる時間は、ミシェルの業務もあり尚更だ。けれど、その短時間でもヨナとノアが、8歳の時から変わらない仲でいてくれるのが、ミシェルにとって何よりの救いであった。
不死鳥狩りを行えば、《フェネクス》で死を超える事ができれば、また8歳の頃に戻って、大人達に奪われた時間を取り戻すことができたはずだったのだ。結局、それは上手く行かなかったが。
「もうペンダントはヨナに渡したよ。」
繋ぎ止める術がない、と言うようにノアが呟くと、ミシェルが力なく投げ出された腕を取った。その手首につけられていたヘアゴムを取ると、彼女は肩より少し長い髪を頭の後ろ、少し上の方で纏めた。
「伸ばしてて良かったわ。これ、貰っていくわね」
「……返してくれよ、いつでもいいからさ」
「いつか、ね。」
呆れたように、悲しげに笑うノアの顔を一瞥して、ミシェルは満足そうに微笑んだまま医務室を後にした。

[19 1 25/10/04(土) 23:14:19]

保守
わざとノアがミシェルの髪を結う展開を避けました　ミシェルが自分で髪を結んだのが、自分で全部やり通すミシェルの現れみたいな描写のつもりです

[20 二次元好きの匿名さん 25/10/05(日) 07:50:38]

保守

[21 1 25/10/05(日) 15:57:11]

保守

[22 1 25/10/05(日) 22:50:10]

保守

[23 1 25/10/06(月) 04:33:30]

保守
次どうするか悩んでるのでまた期間空きます……のんびり待ってください

[24 二次元好きの匿名さん 25/10/06(月) 13:07:54]

保守

[25 1 25/10/06(月) 22:00:29]

Ⅱネオ・ジオング戦ほぼ全部すっ飛びそうなので各自好きな媒体で見ておさらいしておくと良いかもしれない（？）

[26 二次元好きの匿名さん 25/10/07(火) 06:26:47]

保守

[27 1 25/10/07(火) 13:52:57]

裏でがんばって書いてるのでもう少しお待ち下さい

[28 1 25/10/07(火) 21:35:49]

次ミシェルがサイコフレームをばらまいてリタと〈そのマシーンの力に触れる準備ができていない〉って言った後の所らへんです

[29 1 25/10/07(火) 21:42:58]

「ねぇヨナ！」
顔を上げると、そこはプライマリースクールの教室だった。そこではまだ皆、10にも満たない幼い子供であった。
「ほら、取り返してきたよ」
「だからもう泣かないでよ」
ノアの広げた手からカラカラと金属のパーツが落ちる。元は一つだったそれは、いじめっ子に踏まれたせいで4つに分かたれてしまっていた。
ノアとミシェルの顔や服には、痣や傷、土がついており、ヨナの大切なものを取り戻そうと相応に暴れた事がうかがえる。
いじめっ子に従わない事で得られたのは自らの自尊心程度だ。皆傷ついていた。柔らかな肌に血が滲み、汚れ、1人は髪を切った。大切な形見でさえも、心無い者には良い弱点に見えていたようだった。
「壊れちゃったけど……」
航空徽章の破片が、木の机の上でもう戻ることはないと言っているようで、ヨナにはそれが世界が自分を責めているような気さえした。
「父さんの……形見……」
二度と会えない父との繋がりが掻き消えて、縋る先も見当たらない。なんで自分だけ、という気持ちがぐるぐると渦巻いていく。大きな目には涙を湛え、悲しさを抑え込もうとして小さな手を握りしめた。
「もういい、いらない……もう見たくない！」
「……ヨナ」
ヨナ破片を腕で追いやって目を固く瞑った。ノアが声をかけようにも、その苦しみをどう分け合えば良いのかがわからず、名前を呼ぶだけで精いっぱいだった。
「じゃ、あたしにくれる？」

[30 1 25/10/08(水) 06:12:31]

意識を研ぎ澄ませると、宇宙に浮いているような気がした。
”この世界にあってはならないもの”が巨躯を駆り、黒い空に花火を咲かせる。衝撃波がほどいた髪を勢いよく靡かせる感覚さえ覚えた。
リタは、《Ⅱネオ・ジオング》を止めるのが、あの小さな頃からわかっていたと言う。ほんの少しだけ早くリタから答え合わせをされたボクは、ただ子供であったリタがそうしなければならなかった、その運命を背負わされた事に深い悲しみと世の不条理を感じた。
このビジョンは、此処までしか視えない。少しだけリタと繋がった、その力として先程まで予知だった映像を脳内で繰り返している。
第二種警戒配備が放送された後、感覚でヨナとミシェルがあの場所に向かったと感じた。自分もなんとかして戦闘状況を少しでも把握したいと思ったものの、ミシェルが軍医にきつく言い聞かせているようで、絶対安静だと言われた。
ボクの体調以上に、無理をして外に飛び出していかないか、も心配なのだろう。
手首に巻いたペンダントを無意識に弄ろうとして、ヨナに預けたのを思い出した。ヘアゴムもミシェルに持っていかれた。
今はただ、あの2つがそれぞれ彼らを守ってくれることを祈るしかできない。
瞬間、脳の奥でサイコ・ウェーブの光が瞬いた。

[31 1 25/10/08(水) 09:50:24]

昼保守できないかもなのでちょっと早いですが保守
次は何も良いことなかったじゃないかって所になると思います

[32 二次元好きの匿名さん 25/10/08(水) 18:26:49]

ほしゅ

[33 二次元好きの匿名さん 25/10/08(水) 22:04:52]

保守

[34 1 25/10/09(木) 06:09:39]

保守

[35 1 25/10/09(木) 13:55:29]

ばら撒かれたサイコフレーム資材が、ミシェルのサイコ・ウェーブに反応し、それぞれが光り、繋がり合い、フィールドを形成する。
《Ⅱ、ネオ・ジオング》は機体の自由を奪われ、動揺した声を上げて藻掻く。しかし、ヨナはその光の中で悲しみに包まれ、操縦桿を持つ手にも力を込めることができなかった。
「何も良いことなかったじゃないか……」
「ずっと怖い思いして、痛いの我慢して……なんでだよ、なんでこんなに苦しまなくちゃいけないんだよ！」
ヨナの脳裏に過去の記憶がばらばらとページをめくるように次々と現れる。拘束され薬剤を投与されるミシェル、手術台に載せられるリタ、抵抗して銃で撃たれるノア、連れて行かれるリタを止められなかったヨナ。それだけじゃない、いじめっ子に殴られたことも、ニュータイプ研究所に連れて行かれるまでに食べ物に困り落ちたものさえ拾ったことも、強い苦しみと絶望の渦が、眼の前で起こったミシェルの死がトリガーになって、引き起こされた。
今、《Ⅱネオ・ジオング》のビームが《ナラティブガンダム》を直撃せず、ばら撒かれた資材に当たり彼を守っているのが、ミシェルの意思であることもヨナは理解していたが、それでも立ち直ることができないでいた。
ヨナが青色の目をぎゅうっと閉じると、湛えられた涙がヘルメットの中に散る。
「生まれなきゃよかったんだ！苦しむだけの命なら、最初から！俺達は、なんのために―――」
「じゃ、あたしにくれる？」

[36 二次元好きの匿名さん 25/10/09(木) 19:14:00]

保守

[37 1 25/10/09(木) 21:58:18]

保守
セリフは原作ほぼそのままの事が多いですが、地の文はなるたけ小説版と被らないようにしてます
暇な人は是非見比べてみてください

[38 1 25/10/10(金) 07:21:46]

保守

[39 1 25/10/10(金) 14:25:36]

ヨナの手で押しのけられた欠片が、リタの手でひとつ、拾い上げられる。羽根の形をした欠片に、使い道を無くしていた髪紐が通され、ただの欠片がペンダントへと姿を変えた。
ヨナの眼の前で、ペンダントが揺れる。その向こうで、リタは苦しいことなどなにもないように笑顔を見せていた。
「ほら、こうすれば使えるよ」
窓から差し込む光に照らされ、きらきらと輝く欠片は、先程とは違い息を吹き返しているようにも見える。
ヨナの涙も、不思議と止まっていた。
「へー、いいじゃん。じゃ、あたしは真ん中のおっきいの！」
「あ、ミシェルずるい！」
リタの隣に立っていたミシェルが、一際目を引く星のようなパーツをさっと手に取った。リタは取り返そうとするが、ミシェルが欠片を握った手を上に掲げて、「早いもの勝ちぃ」と得意げに笑う。
「ボクも貰って良い？」
横から顔を覗かせたノアがそう問う。その言葉にヨナが頷くと、「ヨナはどっちにするの？」とさらに質問を重ねられた。
ヨナはその質問に戸惑い、どちらにしようか悩み、決めあぐねていた。残されたのはもう片方の羽根と、尾羽根らしきパーツだ。
そんな優柔不断なヨナを見て、ノアは尾羽根のパーツを手に取った。
まだ選んでたのに、と言いたげなヨナに、ノアは机の上の羽根の欠片を、次にリタの方を指さして、ほんの小さな声で［おそろい］と伝えた。その時本当にヨナがリタに対して恋情を抱いていたかは、今になってはわからない。しかし、惹かれていたのは確かだった。
友人にお節介を焼かれた、リタを気にしていたことがバレていたことに、ヨナは顔を赤くする。

[40 1 25/10/10(金) 21:44:38]

保守
なんか予想外に難しい所にぶち当たったので少しお待ち下さい

[41 二次元好きの匿名さん 25/10/11(土) 03:06:13]

保守

[42 1 25/10/11(土) 10:35:09]

色々考えた結果、飛んで次のシーンが「またばらばらになっちゃうんだろ？」の辺りになります

>>39の後はミシェルが背中を押して、ヨナがフェネクスに乗ってⅡネオ・ジオングを倒して、次今書いてる所になると思います

ほんともう少しですね　最後まで頑張ります

[43 二次元好きの匿名さん 25/10/11(土) 18:39:08]

保守

[44 1 25/10/11(土) 21:53:47]

臨界の光が、眩むほどの輝きで辺りを照らしていく。フェネクスのコックピットの中は、その光を全面に受け、外界との繋がりを絶たれたような、空間に浮かぶ船になっていた。
その中で、リタ、ミシェル、《Ⅱネオ・ジオング》のパイロットの思惟を取り込んだヨナは、強い感情と、垣間見た記憶、痛みに耐えられずにいた。サイコ・ウェーブが時間の軛を解き放ち、ヨナの時間を巻き戻す。白く照らされたシートに座っていたのは、8歳の頃のヨナだった。
「……また、バラバラになっちゃうんだろ？」
繋がったペンダントを掴むと、ヨナは震える声を絞り出した。
「やだよ。行かないでよ。また守れないの？ずっと置いてかれて……見てるだけなんて、そんなの……」
こぼれた涙を腕で拭うと、先ほどまで見ていた光のコックピットは、あの湖畔へ姿を変えていた。しかし、周りに友人の姿は無く、遠く離れた場所に二人の影が見えた。
白衣を着た、靄がかった大人に手を引かれ歩く子供は、昔ヨナ達が着せられていた検査着によく似たものを身に着けている。それは、《Ⅱネオ・ジオング》のパイロットであるゾルタン・アッカネンの幼き日の姿だった。
先程、サイコ・ウェーブの力によって、すべてわかりあってしまったあの相手。不安げで、その場から逃げ出す手段も力も持ち合わせないただの子供の姿に、彼と自分達は”同じ”だったと、そう理解した。
抵抗もできないまま、身勝手な大人達に振り回されて、身体も、心も削られていく。
「ごめんね、ヨナ」
「リタ……」
その言葉に振り向くと、15歳頃のリタが立っており、いつの間にかヨナも、リタよりすこし高い目線で彼女を見つめていた。
「みんなを巻き込んでしまって……」
そう言ったリタの隣には、同じく15歳頃のミシェルが佇んでいる。そんな彼女の表情は穏やかで、静かにリタの言葉に耳を傾けていた。

[45 1 25/10/12(日) 05:43:04]

保守

[46 二次元好きの匿名さん 25/10/12(日) 15:04:29]

保守

[47 1 25/10/12(日) 20:20:21]

「でも、あたしだけじゃダメだったの。あれを止めるには……」
脳裏に、《Ⅱネオ・ジオング》の姿が現れる。コロニーに入る姿、ヘリウム3タンクを押し潰す姿、《フェネクス》に斬られた、残骸の姿――
「4人の力が必要だってわかっていたから」
「じゃあ、あの時からずっと俺たちは……」
8歳の時、あの海辺の崖でコロニー落としの光景を4人が共有していた。しかし、リタは1人、その後自分達に降りかかる壮絶な未来達を、全て見通していたと言うのだ。離れ離れになることも、《フェネクス》に乗らなければいけないことも。
「君も、ミシェルもそのために……」
自ら命を捧げたのか、という言葉をヨナは口の中へ抑え込んだ。
それでも、彼女らが実際に歩んできた道を思うと、「そんなの……」と泣き言が漏れ出てしまう。
「……全部じゃない」
ヨナの悲観的な思考を遮るように、ミシェルが口を挟む。その姿は、《ダマスカス》の艦内で、ペンダントを受け渡した時の姿によく似ていた。
「この世界は命のもの。こうしたのは私達の意思よ。あんたが気に食わないなら、終わりにする選択肢だってある。」
「終わりに……」
この精神風景の外は、ヘリウム3臨界の光に包まれている。シンギュラリティ・ワンと同型機である《フェネクス》の力を行使すれば、辺り一帯を吹き飛ばす臨界爆発を抑えることもできるだろうが、逆に何もせず、爆発に加担する選択肢も残されていた。

[48 1 25/10/12(日) 23:28:36]

保守

[49 1 25/10/13(月) 08:03:00]

「でも、ヨナにはまだ待ってる人がいる。」
「ヨナを心の底から愛している人が……」
不意に、誰かから呼ばれたような気がして振り返ると、遠くに紫の髪がなびいているのが見えた。
「ノア……！」
《フェネクス》に乗るヨナと医務室で待つノアでは、リタやミシェルのいる思惟の空間との距離が異なるのだろう。表情さえここからでは伺えない。
しかし、その姿だけでも、「早く戻ってこい」と言っているように見えた。
この手に握る父の形見であり、契りの証でもあるペンダントは、現実に戻ればまた離れ離れの状態になってしまう。けれど、例え離れ離れになったとしても――
「命は尽きれば一つに溶け合う」
「だからこそ、血と肉を持たされて別れている命にしかできないことも沢山ある。」
リタの言葉に合わせて、ミシェルが続ける。命があるからこその”選択”を。未来を選び取る意思を持つ事を。
人々は、互いをわかり合うまでに何度も誤解を繰り返し、傷つけて、傷つけられて………憎しみ、争うことだってある。それでも誰かを思い、愛していく。その人を思う”心”を持つことが、この世に命を受けた意味なのかもしれない。
「あたし、ヨナに会えてうれしかった。」
少し落ち着いた声に振り向くと、リタの姿は、ヨナとは型違いの白いパイロットスーツを着たものになっていた。
きっとこれが、死ぬ直前の――23歳のリタなのだろう。
少女らしかった顔は、大人の女性へと成長し、長い髪は高い場所で括られている。けれど、変わらない丸いエメラルドの瞳がヨナを見つめていることに、安心感を感じていた。
それから、少しの心残りも。
「だから、何度でも生まれ変わりたい。それがどんなものでも、出会うために。ヨナは――？」

[50 1 25/10/13(月) 16:19:08]

保守

[51 1 25/10/13(月) 21:44:58]

保守

[52 1 25/10/14(火) 06:08:59]

「心の底から愛している人が……」は漫画版からの引用です
漫画版はゾルタンの過去や大人リタの姿等色々描写されてるのでよかったら見てくださいね

[53 二次元好きの匿名さん 25/10/14(火) 14:11:41]

保守

[54 1 25/10/14(火) 22:31:11]

忙しくて書ききれてませんが、裏で少しずつ進めているのでもう少しお待ち下さい……

[55 1 25/10/15(水) 07:03:14]

「じっとしていたほうがいい。Gで体がやられてる。」
ヨナが意識を取り戻すと、白と深緑にパイロットスーツの男が、自身を覗き込んでいるのが視界に入った。
彼の背後に見えるのは、地球連邦軍の《シルヴァ・バレト》であり、ヨナはそのMSの手のひらの上で寝かされていた事に気がついた。周り360°は暗闇が広がっている。その他には無数の艦船やタンクの残骸が散らばっており、無惨な光景が、戦いが終わったことと、これからの不安を感じさせた。
彼は不安げににしているヨナに、携帯用の救難ビーコンを差し出す。
「じきに救援が来る。母艦に帰ったら、医者に――」
「帰る場所……」
そうヨナが呟くと、その男は言葉を遮られたにも関わらず、ヨナの言葉を聞こうと静かに見守った。
「……前は、そんな物どこにもないと思ってた。」
リタに会う、それだけを思って士官学校に入り、パイロットになった。しかし、彼女の情報を得たのは既に彼女が死んだあとで、贖罪を果たすことも叶わず、あんなに憎んでいたミシェルも、実際は自らの力を使ってリタともう一度生きる術を探していたことに気付かされた。
10年間隣にいてくれたノアにもあんなに頼っていたにも関わらず、視野の狭さで彼が俺を大切にしてくれている事に気づくことができなかった。
こんな状況になってから、ようやく皆が、自分を思ってくれていることを初めて知ったのだ。
その手に握っていたペンダントは、また4つに割れてしまっている。ここにリタとミシェルはおらず、遠い宇宙の向こうへ行ってしまった。
「これから、俺……」
再度ペンダントを握りしめ、喪失感が心を襲い、目の奥が熱くなる感覚をなんとかして堪らえようとした。
思考と心がちぐはぐになってしまって、前を向こうとしても、二人が居なくなってしまった事実の哀しみを振り切れない。
その瞬間、鳥の鳴き声のような音が響いたような気がした。顔を上げると、青色の燐光を飛行機雲のように一線を残して、金色の機体が飛んでいく。
リタとミシェルが、〈側にいるよ〉と暖かく支えてくれているような気がした。

[56 1 25/10/15(水) 07:04:28]

燐光はすぐさま宇宙に溶けていく。夢か流れ星のようなそれを、ヨナは消えるまでずっと眺めていた。
「遠いな……光の速さでも追いつけそうにない。」
「君は……」
よく聞けば、その声は少年のものだ。落ち着いた彼の言葉になぜだか、突きつけられる現実へ向き合う難しさや、哀しみを眼の前にした敢え無さのようなものを感じていた。
「それでも、いつかは……」
「いつか……」
彼は、ヨナの哀しみを見透かしたように、短い言葉をかけた。
ヨナの命が終わったわけではない。その契の証は手のひらの中にまだ残り、心のなかにも希望の光が灯っている。
「ボクらは皆、誰かに託された命を生きている。それをどうするかはボク達次第でしかないんだ」
バイザーの奥に、少年の顔が覗いて見えた。意志の強い瞳と、哀しみを乗り越えたヨナを祝福するような微笑みに、ヨナは頷いて返した。

[57 1 25/10/15(水) 07:06:10]

narrative

[58 1 25/10/15(水) 07:08:53]

とりあえずこれでNT本編のストーリーは書けたので一区切りとします！
後は少しおまけを書く予定ですがそれはちょっといつになるかわからないです
1ヶ月半、見ていただきありがとうございました

[59 二次元好きの匿名さん 25/10/15(水) 14:16:23]

お疲れ様です
ハッピーエンドで……ハッピーエンドだよな？

[60 1 25/10/15(水) 22:02:09]

>>59

ハッピーエンドですよ！！！

ヨナは前向けたので個人的にはハッピーエンドです　原作と比べたら変化したのはほんの少しかもしれませんが……

[61 1 25/10/16(木) 07:04:53]

眼の前に広がる水面に、太陽の煌めきがちらちらと反射する。金色の光が海に道のような筋を引き、水平線を渡った先に空があるようにも見えていた。
幼い頃を思い出す、ビルの残骸のない綺麗な海。故郷と遠く離れ、景色も全く違うが、それでも思い出さずにはいられなかった。
厚着をしていても、ヘルメットを外した頭には寒い風が吹く。塩気を含んだ空気が、喉の奥を凍えさせた。
「ヨナ！買ってきたよ」
その声に振り向くと、先程飲み物を買いに行くと自販機に走っていったノアが戻ってきていた。その手には2つ缶が握られている。
「ほら、微糖で良かったよね？」
彼からコーヒーを受け取ると、手袋越しにもその温かさが伝わってきた。
「ありがとう。」
「……海、綺麗だね」
隣に立ったノアが、ぽつりと呟く。
不死鳥狩りから少し時間は経ってしまったが、ようやく自分の力でここまで来る事が出来た。遠くまで歩んで来れたのも、ノアの支えとリタとミシェルが託してくれた命があってこそのように感じる。
「泳ぎたいか？」
「……やっぱり、分かる？」
遠くを見ている横顔に話しかけると、寒さか照れからか、顔を少しだけ赤くさせてノアは笑う。わからないはずがない。事あるごとに泳ぎたいと言っていたのを、この10年……いや、17年近く聞き続けてきたんだ。
「まだ冷たいよ」
「だろうなあ。」
暫し沈黙が流れた。ゆっくりと沈んでいく日を見つめながら、熱いコーヒーを啜る。喉を通って胃に滑り落ちる液体が、中から体を温めた。

[62 1 25/10/16(木) 07:29:44]

「また、今度にしよう」
俺がそう言うと、彼は嬉しさを滲ませながら、「こんど、こんどかぁ」と繰り返した。
「時間はあるんだからさ」
また何度でも来ればいい。
俺はそっと、胸元のペンダントに手を当てた。自分達が受けてきた苦しみや痛みが無かったことになるなんて事はない。失った過去の時間や、命たちはその空白として残り続けていく。
大きな絶望に飲み込まれそうになる事もあった。それでも、命を受けて3人に出逢えたという奇蹟も、自分の中に残っている。
皆に会えた、そのあたたかさを胸に、俺はもう少し生きてみようと思う。リタとミシェルに追いつくのは、ずっと先になるかもしれない。だけど、追いついたときにはまた――
海鳥が一斉に空へ羽ばたいていく。
水面に映る光の筋が、俺達を導いているように見えた。