ガンダムキャラに文学の一節を添えるスレ

  • 1二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 20:23:02

    なみだは
    にんげんのつくることのできる
    一ばん小さな
    海です

    寺山修司「一ばんみじかい抒情詩」

  • 2二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 20:24:03
  • 3二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 20:29:59

    えたいの知れない不吉な塊が私の心を終始おさえつけていた。焦燥といおうか、嫌悪といおうか――酒を飲んだあとに宿酔があるように、酒を毎日飲んでいると宿酔ぶ相当した時期がやって来る。

    梶井基次郎「檸檬」


  • 4二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 20:34:40

    世間とは、いったい、何の事でしょう。人間の複数でしょうか。どこに、その世間というものの実体があるのでしょう。けれども、何しろ、強く、きびしく、こわいもの、とばかり思ってこれまで生きて来たのですが、しかし、堀木にそう言われて、ふと、
    「世間というのは、君じゃないか」
     という言葉が、舌の先まで出かかって、堀木を怒らせるのがイヤで、ひっこめました。
    (それは世間が、ゆるさない)
    (世間じゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?)
    (そんな事をすると、世間からひどいめに逢うぞ)
    (世間じゃない。あなたでしょう?)
    (いまに世間から葬られる)
    (世間じゃない。葬むるのは、あなたでしょう?)

  • 5二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 20:47:58

    白妙の帆船の舳さき、たゝずみて、

    振放(ふりさけ)みれば、雲の果、見知らぬ空や、

    蒼海(わだつみ)の底よりのぼる、けふも新星。


    上田敏訳 ホセ・マリヤ・デ・エレディヤ「出征」 


  • 6二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 21:08:14

    「クラムボンは死んだよ。」

    「クラムボンは殺されたよ。」

    「クラムボンは死んでしまったよ……。」


    宮沢賢治「やまなし」


  • 7二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 21:10:00

    人間は一生、人間の愛憎の中で苦しまなければならぬものです。
    のがれ出ることは出来ません。
    忍んで、努力を積むだけです。

    学問も結構ですが、やたらに脱俗を衒てらうのは卑怯です。

    もっと、むきになって、この俗世界を愛借し、愁殺し、一生そこに没頭してみて下さい。

    太宰治 『竹青』

  • 8二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 21:22:56

    「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう。」
    ジョバンニが云いました。
    「僕わからない。」
    カムパネルラがぼんやり云いました。
    「僕たちしっかりやろうねえ。」
    ジョバンニが胸いっぱい新らしい力が湧くようにふうと息をしながら云いました。

    宮沢賢治 銀河鉄道の夜

  • 9二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 21:48:30

    いとし前髪、

    李の花よ、

    せめて初恋、

    また一と目。

     汲めよ、カルピス、命の泉、

     春はみなぎる、血はたぎる。

    北原白秋「初恋小唄」

  • 10二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 21:49:34

    きしかたの犯(おかし)の罪の一つだにも。懲(こらし)の責(せめ)を
     のがれしはなし。
    そをもふと、胸はひらけぬ、荒屋(あばらや)のあはれの胸も
     高き望に。

    上田敏訳 アルトゥロ・グラアフ「解悟」

  • 11二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 22:40:38

    魔物だと思って、人間を殺してしまったら、たいへんだからね。
    小川未明『草原の夢』

  • 12二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 22:41:03

    我は死なり、世界の破壊者なり

    ヴィヤーサ『バガヴァッド・ギーター』

  • 13二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 22:43:11

    人間は、この世界の中で、いちばんやさしいものだと聞いている。
    小川未明『赤いろうそくと人魚』

  • 14二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 22:44:32

    宇宙から生れて
    宇宙のなかにゐる私が、
    どうしてか、
    その宇宙から離れてゐる。
    だから、私は寂しい、
    あなたと居ても寂しい。
    けれど、また、折折、
    私は宇宙に還つて、
    私が宇宙か、
    宇宙が私か、解らなくなる。

    与謝野晶子『晶子詩篇全集‐宇宙と私』

  • 15二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 22:47:08

    夢だから、なお生きたいのです。あの夢のさめたように、この夢もさめる時が来るでしょう。その時が来るまでの間、私は真に生きたと云えるほど生きたいのです。あなたはそう思いませんか。
    芥川龍之介『黄粱夢』

  • 16二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 22:57:56

    とにかく恋は罪悪ですよ、よござんすか。そうして神聖なものですよ
    夏目漱石『こころ』

  • 17二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 23:03:47

    さよなら。 なんとなくお気の毒です。 親であるあなたも、その子である私にも、生んだり生まれたりしたことに就てたいして自信がないのです。
    尾形亀之助『障子のある家』

  • 18二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 23:06:14

    私は始めから不幸や苦しみを探すのだ。もう、幸福などは希わない。幸福などというものは、人の心を真実なぐさめてくれるものではないからである。かりそめにも幸福になろうなどと思ってはいけないので、人の魂は永遠に孤独なのだから。
    坂口安吾『私は海をだきしめていたい』

  • 19二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 23:10:52

    また見つかった、何が、永遠が、海と溶け合う太陽が

    アルチュール・ランボー 「永遠」小林秀雄訳

  • 20二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 23:11:44

    そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
    かなしく白くあかるい死の床で
    わたしの手からとつた一つのレモンを
    あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
    トパアズいろの香気が立つ
    その数滴の天のものなるレモンの汁は
    ぱつとあなたの意識を正常にした

    高村光太郎『智恵子抄‐レモン哀歌』

  • 21二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 23:18:14

    このレスは削除されています

  • 22二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 23:20:39

    幕だ、すべてはおわった! 
    ぼくは自由、ぼくはこの世でただひとり
    もうメリーベルのために、あの子を守るために、生きる必要もない
    生きる必要も、ない…

    萩尾望都『ポーの一族』

  • 23二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 23:40:49

    僕はここにいる。僕はあちら側にはいない。
    ここにいる。ここにいる。ここにいる。ここにいるのだ。
    ここにいるのが僕だ。

    原民喜『鎮魂歌』

  • 24二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 00:23:02

    嗤ってくれ。詩人に成りそこなって虎になった哀れな男を。

    中島敦『山月記』

  • 25二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 00:49:02

    恥の多い生涯を送って来ました。

    太宰治『人間失格』

  • 26二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 08:15:45

    >>25

    絶対来るだろうなと思った


    私は確信したい。人間は恋と革命のために生れて来たのだ。

    太宰治『斜陽』

  • 27二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 08:28:34

    忘れがたない、虹と花
      忘れがたない、虹と花
      虹と花、虹と花
    どこにまぎれてゆくのやら
      どこにまぎれてゆくのやら
      (そんなこと、考へるの馬鹿)

    中原中也『別離』

  • 28二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 08:32:52

    ですから彼女は実に、何でもない事に苦しんで、何でもない事に死んで行ったのです。
    彼女を生かしたのは空想です。彼女を殺したのも空想です。
    ただそれだけです。

    夢野久作『少女地獄』

  • 29二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 13:24:30

    「ぼくはもう極楽行きは見合はせることにきめたよ」
    佐藤春夫『われらが四季感』

  • 30二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 15:58:32

    汚れつちまつた悲しみに

    今日も小雪の降りかかる

    汚れちまつた悲しみに

    今日も風さへ吹きすぎる


    中原中也「汚れつちまつた悲しみに……」

  • 31二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 17:02:13

    その瞬間、僕は、すんでのところであいつののどぶえに飛びかかるところだった。

    僕は悪漢だということに決まってしまい、エーミールは、まるで世界のおきてを代表でもするかのように、

    冷然と、正義を盾に、あなどるように僕の前に立っていた。

    彼はののしりさえしなかった。ただ僕を眺めて、軽蔑していた。


    ヘルマン・ヘッセ「少年の日の思い出」

  • 32二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 17:06:28

    その声は我が友、李徴子ではないか?
    中島敦 「山月記」

  • 33二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 20:12:17

    俺は逃げない。それが俺の旅だ。
    俺は逃げられない。俺の牢屋が俺の旅なんだ。
    俺は俺の地獄の苦痛の中で幸福なんだ。

    三好十郎『夜の道づれ』

  • 34二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 20:24:18

    このレスは削除されています

  • 35二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 20:31:16

    人を人でなくさせる。私も、あなたも、誰もが加害者になり得るのだ
    遠藤周作「海と毒薬」

  • 36二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 20:44:00

    ずっと愛がわからない。示し方も、受け取り方も、わからない。
    わからないのに、あれが、あれこそが愛だったと確信している。
    虎は、私が所有した唯一の愛だった。

    千早茜「雷と走る」

  • 37二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 20:49:49

    おやすみなさい。私は、王子さまのいないシンデレラ姫。
    あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?
    もう、ふたたびお目にかかりません。

    太宰治『女生徒』

  • 38二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 20:51:52

    このレスは削除されています

  • 39二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 21:16:12

    どんな時代になろうと、権力のもっとも深い実質は若者の筋肉だ。それを忘れるな。少なくともそれをお前のためにだけ保持し、お前のためにだけ使おうとしている一人の友のいることを忘れるな
    三島由紀夫『わが友ヒットラー』

  • 40二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 21:19:18

    世界は美しくなんかない。 そしてそれ故に、美しい
    時雨沢恵一「キノの旅 the Beautiful World」

  • 41二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 21:20:36

    私たちは、順当な手続きを踏まず、いきなり互いの魂の割れ目に嵌りこんでしまった。

    皆川博子「有翼日輪」

  • 42二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 21:22:24

    いつかこの体も 名前も消えて すがたかたちは変わっても 
    自由な 光と 光として 
    永遠の中で、また 逢いましょう

    雪舟えま「ナニュークたちの星座」

  • 43二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 21:35:40

    人生に正解はない。私にはこれが正解です、ではない形で、私はこれで失敗すると決めたのです、と、言えるぐらいの私は業火でありたい。
    最果タヒ「烈火!烈火!烈火!」

  • 44二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 21:36:21

    推しのいない人生は余生だった

    「推し燃ゆ」

  • 45二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 21:56:01

    このレスは削除されています

  • 46二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 00:51:05

    女のひとは、死にました。そうして、自分だけ助かりました。
    太宰治『人間失格』

  • 47二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 00:53:28

    ――ざまあみろ、有るじゃないか。
    彼はこう叫びたかった。
    ――こんなに温たかい世間が、こんなに善い人たちが、ちゃんと此処にあるじゃないか、ざまあみろ。

    山本周五郎『七日七夜』

  • 48二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 09:06:40

    このレスは削除されています

  • 49二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 09:20:44

    「忘れません」
     その声、その呼吸、その姿、その声、その呼吸、その姿。伯爵夫人はうれしげに、いとあどけなき微笑を含みて高峰の手より手をはなし、ばったり、枕に伏すとぞ見えし、脣の色変わりたり。
     そのときの二人が状、あたかも二人の身辺には、天なく、地なく、社会なく、全く人なきがごとくなりし。

    泉鏡花『外科室』

  • 50二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 09:30:49

    完膚なきまでに、負けた。この姿を見れば、それはわかろう。しかし、私は闘って負けた。そして諸君は、闘わずして負けたのだ。私は、闘わずして負けた諸君に、訣別を告げる。

    北方謙三『三国志』

  • 51二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 10:00:36

    僕は耳と目を閉じ、口をつぐんだ人間になろうと考えた

  • 52二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 10:03:04

    >>51

    書き忘れた

    ライ麦畑で捕まえて

  • 53二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 11:30:17

    無限に空があるくせに、人間だけがあくせくしている。
    林芙美子『新版 放浪記』

  • 54二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 12:37:29

    このレスは削除されています

  • 55二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 13:34:47

    殿方の生命いのちは知らず、女の操というものは、人にも家にもかえられぬ。……と私はそう思うんです。

    泉鏡花『朱日記』

  • 56二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 15:42:41

    >>22を見て 対のイメージ


    置いていきませんとも…!

    わたしたちは結婚するのよ

    そして子どもを生んで育てて

    まろやかな家庭を作るのよ

    なにもかも とりもどせますとも…


    萩尾望都『ポーの一族』

  • 57二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 19:16:44

    進むときは人任せ、退くときは自ら決せよ
    司馬遼太郎「峠」

  • 58二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 19:22:13

    明日、何が起こるか分かってしまったら、明日まで生きる楽しみがなくなってしまうことだろう。

    寺山修司『あゝ、荒野』

  • 59二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 19:37:32

    このレスは削除されています

  • 60二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 19:38:43

    けれども、美しく高ぶった処女の残忍性には限りが無い。ほとんどそれは、悪魔に似ている。


    太宰治「カチカチ山」

  • 61二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 19:47:01

    人生で本当に重要な瞬間は、手遅れになるまでわからない。
    アガサ・クリスティー「ABC殺人事件」

  • 62二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 23:04:44

    愛する心のはちきれた時
    あなたは私に会ひに来る
    すべてを棄て、すべてをのり超え
    すべてをふみにじり
    又嬉嬉として

    高村光太郎『智恵子抄‐人に』

  • 63二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 23:20:43

    僕は死にたくない、それでも僕は、死も怖くない……
    坂口安吾「海の霧」

  • 64二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 08:53:34

    このレスは削除されています

  • 65二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 10:29:58

    これを読んで、馬鹿々々しいと思う人は笑って下さい。教訓になると思う人は、いい見せしめにして下さい。私自身は、ナオミに惚れているのですから、どう思われても仕方がありません。ナオミは今年二十三で私は三十六になります。
    谷崎潤一郎『痴人の愛』

  • 66二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:00:56

    愛するものは、死んだのですから、
    たしかにそれは、死んだのですから、

    もはやどうにも、ならぬのですから、
    そのもののために、そのもののために、

    奉仕の気持に、ならなきゃあならない。
    奉仕の気持に、ならなきゃあならない。

    中原中也『春日狂想』

  • 67二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 23:07:14

    わたしの憂鬱は羽ばたきながら
    ひらひらと部屋中を飛んでゐるのです。
    ああなんといふ幻覺だらう
    とりとめもない怠惰な日和が さびしい涙をながしてゐる。
    萩原朔太郎『蝶を夢む‐黒い蝙蝠』

  • 68二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 00:30:21

    すべてをそのからだに包んでいながら、「隠すつもりはない」だなんて、嘘が下手だね。
    繋いでいた手を投げやって わたしは厚い雲を呼びよせた、ほんとうのことが見えてしまわぬように。
    文月悠光「空の合図」

  • 69二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 00:33:43

    強靭なブルーに赤い心臓をしずめて染めたような夏でしたっけ

    早坂類

  • 70二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 09:45:40

    《幻想が向ふから迫つてくるときは
       もうにんげんの壊れるときだ》

    宮沢賢治『春と修羅』

  • 71二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 18:36:34

    温泉宿から鼓が滝へ登って行く途中に、清冽な泉が湧き出でている。

    水は井桁の上に凸面をなして、盛り上げたようになって、余ったのは四方へ流れ落ちるのである。

    青い美しい苔が井桁の外を掩うている。

    夏の朝である。


    森鷗外「杯」

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