- 1ジョン25/10/03(金) 01:09:02
- 2ジョン25/10/03(金) 01:10:17
引き金を引いた
嗅ぎ慣れてるはずの火薬の匂いは、いつもより鼻につく
焼けた血の匂いも、吐き気を催す悪臭に感じた
どうしてこうも気分が悪くなってるのか
目の前の光景を前に考え込んだ
ー
”マリー、撃て”
思い出すだけで息が荒くなる、優しい人が言い放った非情な言葉。
あの人の言ったことを理解してしまった私に、今では憤りを感じる。否定し続ければ良かった、断れば済むはずだった、けど、_状況_がソレを許さなかった。 - 3ジョン25/10/03(金) 01:11:17
「駄目です先生ッ!!!………それだけは…」
自分でも聞いたことがない声で言った、震えてたと思う、荒げて声を出した記憶もある。あの人の前でも初めてだったから、一瞬目を大きくしてこちらを見てたと思う。
でも…
「神よ…どうか救いを…どうか………どうか……」−
震える手で銃口を向ける
息がうまくできない、指先が痺れて感覚が鈍い、だけど目だけは良く見えてる。だから、もう時間が無い現実まで良く見える。
”これしか…方法が無い……頼む…”
だめ、やめてください、優しい目で、まだ助かるはず、何かあるはず、他の手が
先生の為に祈りを続けた。続けた、続けた、続けた、続けた、最後まで - 4ジョン25/10/03(金) 01:12:27
カチという音のあと大聖堂に響く銃声、カランと薬莢が地面に落ちる、その音と共に私の何かが崩れ落ちた。あぁ、神はお救いになられなかったのですか、それとも最初から救う気なんてなかったのでしょうか。
知覚できるほど憎悪に変わっていくのが分かる、一つ、一つ、また一つ、ジェンガの一番下を抜き取れば倒れていくように、「神様がいる」なんて積み木はとうに崩れた。
そっか、そうだったんですね、どうして気づかなかったのでしょうか。こんな稚拙なモノに縋るのが間違いだったのです、こんなモノに必死になって縋っていた”私”が間違っていた。
私のせいで、先生は
「…ごめんなさい」
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい___ - 5ジョン25/10/03(金) 01:13:38
世界が黒く染まっていくような、音が無くなった世界に来たような、そんな時間が流れる。
遠くで、鐘が鳴る音がする。どこだろう、今は頭に何も流れて欲しく無いのに。
鐘の音と思っていた音は、次第に強くなっていった
「ッハァ」
胸を叩かれたような衝撃で体が起き上がった。見知った景色、私の部屋、この寝心地も知ってる、私のベット。
夢、そう考えるのが普通、普段なら薄れていくはずの記憶が鮮明に残ってなければただの夢だと思うのに。
【なぜ先生を撃たなきゃならなかった?】
【なぜ止められなかった?】
【なぜ最後まで笑顔でいてくれた?】
その疑問は全てこれで片付く - 6ジョン25/10/03(金) 01:14:46
「夢………」
涙が流れていく。
夢、夢だ、夢のはず。
でも、夢だとしても、アレは、あんなものを見せられるのは、本当にたちが悪い。
無意識に近くのスマホを手に取る、モモトークを開く、見る。トットットッ と無機質な液晶にタップする音が部屋に鳴る。
06:02 [おはようございます、先生]
[おはようマリー] 06:03
なんの変哲もないやり取り、代わり映えのない文章。
でも、今日だけは、こんなことでも掛け替えのない”幸せ”を感じた___ - 7ジョン25/10/03(金) 01:15:59
これにて失礼する、おやすみ
- 8二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 01:50:29
ごめんね、マリー
- 9二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 02:20:54
それすき