とある世界の話

  • 1二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 17:15:50

    2007年、世界はヒューマギアに支配された。
    ことの発端は飛電インテリジェンスの打ち上げた人工衛星アークが、同じく飛電インテリジェンスの開発したアンドロイドであるヒューマギアをハッキングし、全世界で無差別テロ行為を行ったことで対抗する手段のない人類はあっという間に殺戮され、地球上の王者に新たにヒューマギアという種が君臨したのだ。
    私はそんな絶望的な世界で育ち……レジスタンスとして戦っている中で、彼と出会った。
    飛電或人は、かつて飛電インテリジェンスの社長の孫だったが、今では親の世代の得た憎しみを一身に受ける忌み仔という扱いだ。
    彼は飛電インテリジェンスを怨む全ての人間たちの悪意を、幼い頃から受け続けていた。
    私も正直、彼と出会うまで飛電インテリジェンスに、その忘れ形見である彼に憎しみを抱いていた。
    彼と出会ったのはXデーから12年の歳月が経った2019年、12月の日。レジスタンスが鹵獲したヒューマギアからフォースライザーを奪い、その変身者を決める適正試験の日だ。

    私は全てを奪ったヒューマギアに復讐するためにこの日を待ち侘びて、あらゆる訓練を受けて鍛えてきた。
    この日、この時に人類の受けてきた屈辱を晴らすのは私だと思って疑わなかった。
    だけど、仮面ライダーに選ばれたのは彼だった。
    信じられなかった。あの飛電の忌み仔が、仮面ライダーになる?冗談じゃない、今すぐやめろ。またデイブレイクを繰り返すつもりか。
    私はどよめく試験官たちの列に押し入って彼の胸倉を掴み上げたが、その時彼の瞳を見て全てを悟った。
    彼の瞳には、光が無かった。ただドス黒いだけじゃない、虚無を孕んだ深淵の如き瞳に吸い込まれたかのような感覚さえした。
    彼は、誰よりも強い憎しみを秘めていたのだ。

    「いい目だ。オレほどじゃあないが……怒りを感じる」

    不破隊長の言葉を聞いた彼は、何を思ったか微笑で返したのが、理解できずに頭が混乱したことを覚えている。

    「俺が抱いているのは怒りじゃない」

  • 2二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 17:17:12

    面白そう 期待

  • 3二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 17:24:11

    怒りじゃない?この世界で怒りを持たない人間なんているはずない。
    こいつは何を言ってるんだ?

    「俺は俺の家族のおかした行為を償いたいんだ」

    償う?償えるわけがないだろう。お前たち血族のせいで何人の人間が犠牲になったと思っているんだ。
    私がそうして怒声を浴びせると、彼は私の掴む手を離させて、大きな身振り手振りを交えてみんなの中心で言い放った。

    「償うことで、直ぐ直したい!」

    は?

    「はい!アルトじゃ〜……ないと!!」

    ……は?
    こいつ、本当に何を言ってるんだ?
    状況が理解できずに固まっていると、不破隊長は肩を震わせながら或人に背を向け、震えた声で告げる。

    「……面白いやつだ。お前は合格にしてやる。せいぜい無駄死にしないようにしておけ」

    認めた?あの怒髪天の不破隊長が?
    まるでわからない。何が起こっているのか。
    すると、不破隊長は私に手をやって去っていってしまう。

    「あいつの面倒はお前が見ろ。どうであれ、奴が人類の希望だ。しくじるなよ」

    ……まさか、こんなわけのわからない奴の世話を任されるなんて。

  • 4二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 17:28:35

    ギャグはするんだ...すげぇな...

  • 5二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 17:35:26

    ダーティなゼロワンかな?

  • 6二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 17:59:55

    或人が来てから1ヶ月、ライダーになった彼はヒューマギアを瞬く間に倒し続け、レジスタンスは少しずつ反撃を始めた。

    「或人、今日もよくやった。これでレジスタンスはまた勢力を広げられる」

    「ありがとう。みんなの援護のおかげだよ」

    「謙遜をするな。他のやつらはどうだか知らないが、私はもうお前を認めている。レジスタンスはお前のおかげで戦えていると」

    「……なら、この痛みにも意味があるって思えるな」

    或人は変身する度に身体を痛めている。
    恐らく、ヒューマギアとの無茶な戦いのせいだろう。奴の治療をする度に身体にあざが見え、思わず眼を逸らしたくなる。
    戦うやつを沢山見ているのに、こんな気持ちは初めてだ。

    「痛むか?」

    「大丈夫だよ。俺は戦える」

    「被弾は最小限に抑えろ。それで無用に痛むことはなくなるはずだ」

    「そう……だな」

  • 7二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 18:48:55

    或人はプログライズキーを握りしめて笑う。
    彼はいつでも笑っているが、その理由は誰にもわからない。
    だから、ふと聞いてみたくなった。

    「或人……何故いつも笑っているんだ?こんな世界で……」

    「こんな世界だからこそだろ」

    「ギャグで笑えるような世界じゃないんだぞ」

    「それでも、笑顔を絶やしたくないんだよ」

    或人は胡座をかいて座り、壁に背をもたれさせる。

    「俺さ……本当は今でもヒューマギアを信じてるんだ」

    「……は?」

    その言葉が、今の世界でどれほどの意味を持っているのかわかっているのか?
    やはり狂人だったのか?

    「わかってるよ、そういう顔にもなるよな。でもさ、俺……ヒューマギアに育てられたんだ」

  • 8二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 18:50:01

    ぱっぱ...

  • 9二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 19:41:20

    1型パッパ…
    フォースライザーということはゼロゼロワン社長か

  • 10二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 20:19:33

    「俺の父さん、小さい頃に亡くなってて……代わりにじいちゃんがヒューマギアの父さんを作ってくれたんだ」

    「……そんなくだらない話をするつもりか?」

    「まあね」

    私の大人気ない発言を軽く受け流し、或人は話を続けた。

    「それでさ……デイブレイクのあの日、父さんは俺を守ってくれたんだ。アークのハッキングを受けながらも、必死に……」

    「……それがヒューマギアを信じる理由か?」

    「それだけじゃない。俺がデイブレイク後に受けた扱いは知ってるだろ?」

    「……」

    「別にそれをとやかく言うつもりはない。ただ……死ぬなら、飛電のあったところで死にたかった」

    「……自殺しようと思ったのか?」

    「昔の話だよ。で、飛電跡地に行ってみたんだ……懐かしいな。何もかも壊れていたけど、結構思い出の深いところは多くてさ」

    「……それが?」

    「そこにいたのは……父さんだった」

  • 11二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 20:21:24

    >>10

    oh......

  • 12二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 20:26:23

    ぱっぱ...?

  • 13二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 22:06:30

    ほしゅ
    コレは良SS

  • 14二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 22:51:35

    終わらせぬぞ
    保守

  • 15二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 23:11:52

    或人はその時、とても遠い眼をしていた。
    直ぐ側にいるはずなのに、世界の果てにいるかのような。

    「父さんは……今にも壊れそうな状態だった。いや、もう壊れてた。手足はバラバラ、配線コードは剥き出し、顔も半壊していて……見てられなかった」

    「……」

    「でも、その手に握られてたんだ。俺の写真」

    或人が懐から取り出したのは、色褪せた写真だった。
    写っているのは、少年の日の或人と……表情のない男、つまり或人の父だ。

    「これだけをずっと守ってて、俺が近づいたらこう言ってたんだよ」

    『アル……ト……』

    「あんな姿になっても、俺のことわかっててさ……写真と一緒にくれたのがこのキーだ」

    「ロッキングホッパー……」

    「閉ざされた世界でも、飛ばなきゃな」

    そう言って笑う或人の表情は、いつもよりも暗く見えた。

  • 16二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 23:16:23

    001かと思ったらロッキングホッパーで戦ってたんか…

  • 17二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 00:37:44

    或人の戦士としてのオリジンは、私の思っていたものよりも壮大だった。
    彼の瞳にある深淵は、人によるものなのか。ヒューマギアによるものなのか。
    私にはまだ判別がつかないが、確かなのは私が或人に惹かれていることだった。

    「或人、一人で戦うのは辛い?」

    「まさか。みんな俺と一緒に戦ってくれるじゃないか」

    「彼らはお前のことを信じていない」

    「君は違う」

    「お前は……それでいいのか?」

    「愛があれば、AIにもええ愛が伝わるって!」

    或人はいつも通りの笑顔で、私を見た。

    「はい、アルトじゃ〜ないと!」

    「……こんな時でも、強いな」

  • 18二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 00:50:15

    フォースライザー→ヒューマギア用。人間が使うと肉体的ダメージと負荷がある
    ゼツメライズキー→今のところちゃんと使えてるのがサウザー・ザイア以外全員ヒューマギア。人間が使うとかなり負荷がかかる描写あり。ヘタをすると変身アイテムが不可に耐えきれず爆散する

    この世界で戦ってる或人やばない?

  • 19二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 08:05:02

    保守、ifの社長として解釈一致しすぎて…光と闇に引き込まれました

  • 20二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 11:26:27

    或人が仮面ライダーになってから数ヶ月の時が経った。
    或人が戦っていく間に、破壊・鹵獲したヒューマギアから少しずつ情報を抜き取っていったレジスタンスは科学技術を使用可能な基地を奪い、新たにライダーシステムを開発できるようになった。
    或人は漸く、みんなの希望として認められるようにもなった。
    私はそんな或人をサポートするためにメカニックチームに入り、或人のショットライザーの専属メカニックになった。

    「○○、メンテ頼む!」

    「ああ、任せろ!今日もステージか?」

    「みんなに笑顔を与えるのは、俺の役目だからね」

    「まあ、その……頑張れよ」

    「終わったらご飯にしよう!」

    メカニックチームの天津博士と一色博士の開発したショットライザーのおかげで、或人は今までの負担を気にせずに戦えるようになった。
    あの日、戦場で突然倒れた時は心臓が止まるかと思った。まさか……体内組織が殆ど半壊している状態で今まで戦っていたなんて、想像も付かなかった。
    私がみっともなく泣きながら説得しても、或人は死ぬまで……あと2年と半年の月日を戦い続けることを選んだ。
    そんなの、無茶だ。無茶苦茶だ。どうしてそこまでして戦うんだ。
    そう言ったのに、或人はこう返した。

    「○○に笑っていて欲しいから……なんて、そういうのはダメかな?」

    呆れた。ここまで来て、未だに他人のために戦うというのか。
    でも、私の手を強く握って言った言葉を、私はこれ以上引き止めることは出来なかった。
    こんな、ジョークのセンスもない癖に笑顔笑顔なんてほざいてる大バカを止められるやつなんて、もうこの狭い世界じゃいないだろう。
    じゃあ、止められないのなら帰る場所になってやる。
    それが、私がメカニックとして戦う理由になった。

  • 21二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 12:08:16

    「精が出ますね、○○」

    「天津博士!」

    「かしこまらなくても結構。それより、プログライズキーが完成しましたよ」

    「そうですか……また、仮面ライダーが」

    「案ずることはありません。或人くんを守ってくれる心強い仲間ですよ」

    天津博士は大仰な態度の人だけど、レジスタンスの心強い味方だ。
    なんでも、過去に犯した罪の償いのためにここにいるらしい。若いのに立派な人だ。
    天津博士に連れられて来たのは、不破隊長と刃隊長だ。共にレジスタンスの誇りある戦士で、或人を幾度となく助けてくれた人たちだ。

    「不破隊長!刃隊長!」

    「いつまでも、あいつだけに任せるわけにはいかねえ。俺も戦うぞ」

    「心配するな、○○。或人には私たちが付いている」

    「心強いです」

    「共に、人類にあるべき平和を取り戻しましょう」

    「……はい!」

    この日から、レジスタンスの真の戦いが幕を開けた。

  • 22二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 12:43:03

    続き⁉︎

  • 23二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 13:40:59

    激化していくヒューマギアとレジスタンスの戦いは一進一退を繰り返しながらも、ライダーシステムをより有効に活用するヒューマギアは徐々に力を増していき、戦局は膠着状態に陥り始める。
    或人はその中でも皆んなを導いていくように先頭に立ち、時につまらないギャグで支えてくれた。
    自分が一番ボロボロな癖に、本当に凄いやつだ。
    隣で眠っている彼の頬を撫で、優しく口づけする。
    見れば見るほど、痛々しい身体だ。特に、フォースライザーを巻いていた腰は……毒々しく変色している。
    先程まで力強く重ねていたとは思えないほど、病的な姿。今までずっと、彼に守られて来たのに。私は彼を守れていない。
    込み上げてくる感情を堪える。彼は一度として泣かなかった。私だって、泣いてはいけない。

    「○○……泣いているの?」

    え?
    気がつけば、目を覚ましていた或人が私の涙を拭っていた。

    「或人……起きていたのか」

    「心細いの?おいで」

    「いや、私はその……」

    「いいから、ほら」

    或人は外見の割に逞しい胸筋に私の頭を寄せ、優しく撫で始める。

  • 24二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 14:49:39

    社長の夢女になっちまう〜!

  • 25二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 15:11:37

    スレ主ってもしかしてジオウの夢女スレ立ててた人?

  • 26二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 17:46:15

    >>25

    今度こそバレないと思ったのに……

  • 27二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 21:33:05

    続きたのしみ

  • 28二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 22:00:21

    これは名作

  • 29二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 22:16:51

    >>26

    一人称が女性と分かった時点で読み取れたよ(面白いから良き)

  • 30二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:04:24

    >>26

    最初の方バレなかったのは視点主が男だと思われてたからだと思う

    「湿度が高い」「女視点」この二つがあるとまず確実にジオウ夢女スレが頭の中に出てくる

    しかも夢小説としての出来もいいからね……

  • 31二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 01:01:20

    「よしてよ……こんなの、子供じゃないし」

    「まあまあ、俺がしたいの」

    私の頭がよりかかっている或人の胸は、意外と凸凹だ。
    それは彼の身体が鍛えられているのも理由の一つだけど、生傷が絶えないからでもある。
    そんな彼に甘えることなんて、できない。したくない。むしろ、それをするのは私の役目のはずなのに。
    どうしてこんなに優しいんだ。

    「しんどいよな、こんな世界だもん。でも、俺がもっと頑張れば……○○もまた笑える世界になるよ」

    「そんなこと、思ってない。お前はいつもいつも、私の気持ちを勝手にわかった気になるなよ」

    この鈍感め。私がどんな気持ちで帰りを待っていると思っているんだ。
    そんな奴にはこうだ。

    「おわっ!?どうしたんだよ、朝だぞ?」

    「うるさい。いいから!」

    「……しょうがないなぁ」

  • 32二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 10:19:09

    それから2ヶ月の時は、私の中に或人との確かな繋がりを芽生えさせるには充分だった。

    「お帰り、或人」

    「え……○○、そのお腹は……」

    「お前と私の子供だ」

    「あ……えっ、その……」

    頬を撫でる私に色んな感情が渦巻いたような表情で見つめ、或人の頬に涙が伝う。
    ああ、初めてだな。或人が泣くのを見るのは。
    こんな風に崩れ落ちて泣くやつだったのか。

    「○○……ありがとう……」

    「感謝したいのはこっちだよ。いつも守ってくれて、本当にありがとう」

    「俺、頑張るから……これからも頑張るよ……!!」

    いつも明るい或人が、こうやって泣きじゃくるなんてなあ。
    私も、或人を抱いて泣き始めていた。

    「良かったな、或人」

    「お前もよくやったよ、○○」

    不破隊長も鼻を啜って或人の頭を少し乱暴に撫でている。
    刃隊長も私たちを涙ぐんだ目で見つめていた。

  • 33二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 18:15:13

    こいつらドッキングライズしたんだ!

  • 34二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 20:17:47

    >>26

    あなたの作品大好きよ

  • 35二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 20:18:47

    >>30

    俺もてっきり副社長視点か何かかと思った

    夢女だった

  • 36二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 20:29:36

    一気に進んだなあ!

  • 37二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 23:36:50

    それから数日のうちに、再び或人は戦場へ発つことが決まった。
    ヒューマギアとの戦いは終盤に差し掛かっている。次の任務が成功すれば、奴らの主要な製造プラントを潰して一気に決着を付けられる。
    そうすれば、戦いは終わる。

    「或人、1週間しか休めないが……せめてゆっくりしてくれ」

    「……なあ、○○。そのことなんだけどさ」

    いつものように同じベッドで眠ろうとしたその時、或人は私の手を取り、ゆっくりと話してくれた。
    私たちの、これからのことを。

    「俺たち、結婚しないか?」

    「え?」

    「この1週間、君といるために使うよ。君と結婚するために」

    「結婚って……私たちが?」

    私の腹を愛おしそうに撫でる或人の横顔を見ると、私の頬から1人でに涙が伝った。

    「私を、選んでくれるの?」

    「……俺が仮面ライダーに選ばれて、君は選ばれなかった。それで随分恨まれてたけどさ」

    或人は笑う。最初に会ったその時の、乾いたような笑顔とは違う。
    ああ。私が……彼の欠けていたものを満たせているのなら。

    「俺は最初から、君しか見れなかった。俺の1番近くで向き合ってくれた君に。○○以外を選ぶなんて、考えられないよ」

  • 38二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 00:56:19

    「嬉しい……」

    「この先ずっと、2人で笑っていられるように」

    翌朝から、或人と私の結婚式の準備が始まった。
    レジスタンスのみんなが特別にドレスを作ってくれ、会場となる場所も用意してくれた。
    最後に私に必要なのは……神父だった。

    「君たちは私が祝福することになった。改めて……よろしく頼む」

    「一色博士!」

    「或人くん、私たちがここにいられるのも全て君のおかげだ。せめて、レジスタンスの代表として最高の祝福をしよう」

    「ありがとうございます。私たちのために」

    「○○……君は綺麗になったね。或人くん……君も、ここにいる誰よりも良い顔をしている」

    「ハハ……理人さんにそう言って貰えると、今まで戦って来たのも全部無駄じゃなかったって思えます」

    「君は昔の私に似ている。願わくば……その想いが、いつまでも変わらないことを」

  • 39二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 01:06:41

    死ぬやん!絶対死ぬやん!!!

  • 40二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 01:13:25

    >>39

    人は死ぬよ必ず死ぬ

  • 41二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 06:59:58

    この作者は名誉夢女

  • 42二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 07:34:25

    私たちの結婚式は、今はもう何千人といない人類の中から多くの人たちが出席してくれた。
    100人以上の人たちが、私たちを祝福するために残された大切な時間を使ってくれたのだ。

    「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」

    「「はい、誓います」」

    一色博士の厳格な言葉に、私たちは力強く頷く。

    「では、誓いの口づけを」

    私のベールを開き、或人の表情が鮮明に見える。
    こんなにも穏やかな顔、安らかな顔。初めて会った時から、こうして2人の人生が1つになるなんて誰が予想できただろう。

    「君を愛している」

    「私も……」

    参列者の温かい拍手を受けながら、私たちは遂に運命のパートナーになった。
    きっと、この瞬間だけは。私たちは世界の誰よりも幸福だった。
    ああ、この時間が永遠に続けば良いのに。

  • 43二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 09:50:43

    よっしゃ曇らせの時間や

  • 44二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 14:05:58

    結婚式の余韻は1週間経ってからも続いている。本当に、不思議な気分だ。
    こんなに心地よい気持ちが続くなんて、らしくない。
    浮かれ過ぎかな。でも……女の子らしくなれたの、本当に久しぶりだから。

    《緊急事態発生!緊急事態発生!》

    「……え?」

    ノスタルジーに浸っていたその時に鳴り響いた警報は、私の感情を穿つように全ての始まりを告げた。

    《不破諌、刃唯阿両名が戦死した模様!》

    「は……?」

    《また、一番隊は飛電或人隊長を除いて全滅!救助隊は……》

    「不破隊長と刃隊長が……?或人……或人は大丈夫なの!?」

    「○○、落ち着いて。或人さんは生存が確認されているよ!」

    みんなが何か言っているけど、音が濁って聴こえて何もわからない。
    頭の中にインクがぶち撒けられているみたいで、何も考えられない。
    それに身体が痺れたように動かない。今、何が起きているの?そうだ、或人……或人は?

    「○○……?」

    意識を取り戻した私の頬を撫でていたのは、血塗れの或人。
    その顔は、最初に出会った時と同じ張り付いたような笑顔だった。

    「戻ったよ、○○」

  • 45二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 18:07:58

    数日前、ヒューマギア製造プラント「飛電インテリジェンス02支部」にて、レジスタンスの一大作戦が始まった。

    「突撃だ!」

    1型、バルカン、バルキリーが並み居るヒューマギアたちを撃ち抜き、それと同時にレジスタンスたちも施設内に走り出す。

    『人間ハ皆殺シダ、人間ハ皆殺シダ……』

    「行けー!!」

    最深部にある製造プラントを破壊すれば、これ以上ヒューマギアが生産されることはない。
    レジスタンスたちは希望を胸に抱いて進むも……その先は“地獄”だった。

    「この先だ、みんな行くぞ!」

    ドアを蹴り破った先の工場には、ヒューマギアの影が見当たらなかった。
    紅く、ドス黒い……1体を除いて。

    「……なんだ?」

    『…… 繧「繝ォ繝医す繝」繝√Ι繧ヲ?』

  • 46二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 22:28:34

    文字化け復元してぞわっときた そうなるのか……

  • 47二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 23:07:08

    禍々しい姿のその化け物は、極めて言葉に近い何かを呻きながらこちらへと近づいていく。
    足を踏み込む度に、床を融解させながら。

    『繧ソ繧ケ繧ア繝?け繝?繧オ繧、縲√け繝ォ繧キ繧、繝?せ』

    「なんだこいつ!?」

    『繧、繧ソ繧、繝?せ!』

    そしてもがくように腕を振り翳すと、その余波は鋭い刃となって1型たち仮面ライダーの装甲に傷を刻み、背後にいたレジスタンスたちを真っ二つに両断した。

    「がっ……はっ……?」

    「えっ、あっ」

    「お前ら……!?おい、どうなってる!?」

    「なんっ、なっ、なんだあ!?」

    『繧上°繧翫∪縺吶°縲√う繧コ縺ァ縺』

    「お前……何をしたあああ!?」

    『繧ゅ←縺」縺ヲ縺阪◇繧薙〒縺吶h?』

  • 48二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 00:01:06

    人の心とかないんか…?

  • 49二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 00:30:38

    これイズがアークゼロ体か何かとして顕現してるのか…?

  • 50二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 07:29:53

    ウワーッさっきまでの幸せはどこ

  • 51二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 07:46:35

    アルトシャチョウ?
    タスケテクダサイ、クルシイ
    イタイ
    わかりますか?イズです
    もどってきたんですよ

  • 52二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 07:48:34

    黒くて紅い、アークゼロワンか?

  • 53二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 08:56:09

    一瞬にして全滅した一般兵たちへの怒りを絶叫に変えながら、1型たちは謎の怪物に飛びかかる。
    だが怪物の周囲に展開された熱幕フィールドが1型たちの攻撃を弾き、逆に衝撃波として返してきた。

    『縺ゅ▽縺?〒縺』

    「くっ!?攻撃が効かねえだと!?」

    「それだけじゃない!奴はこの施設を破壊しかねないぞ!?」

    首を掻きむしるような不気味な動きで突如のたうち回る怪物は、突然自らの身体を大爆発させる。
    それを受けた仮面ライダーたちの装甲は熱によって溶け出し、マスク越しに顔を焼かれる。

    「ぐああああ!?」

    『繧ウ繝ッ繧、縲√さ繝ッ繧、縲√さ繝ウ繝翫ヮ繧キ繝ゥ繝翫う!』

  • 54二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 17:00:59

    保守

  • 55二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 17:37:18

    保守

  • 56二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 22:08:31

    保守

  • 57二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 23:54:49

    怪物がドライバーを乱暴に叩きつけると、凄まじい破壊エネルギーが充填される。

    《繝倥Ν繝ゥ繧、繧ク繝ウ繧ー繧、繝ウ繝代け繝!!》

    まるで地獄の様相のような力を振るい、化け物から放たれたレーザー光線は天井を破壊してライダーたちを瓦礫の下敷きにしてしまう。

    「ぐああああ!?」

    「くそっ!こんなデタラメなパワーじゃ近づけねえぞ!?」

    「……どうやら、罠に嵌められたようだな」

    一切の遠慮もなく破壊を続ける化け物を見て、バルキリーは状況を判断する。

    「この施設、最初から放棄されているようだ。このイカれた破壊兵器も、不要になったこの施設ごと我々を始末するためのものだろう」

    「まんまと、か……」

    「逃げる必要がある……このままでは全滅するぞ」

    「……そうさせてはくれないみたいだ」

    瓦礫を取っ払ったライダーたちは、怪物に向かって駆け出した。

  • 58二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 00:05:58

    ちょっと待て、この社長別にイズと行動共にしてた過去って出てきて無かったよね?
    それなのにその言動って厄では?

  • 59二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 00:45:51

    アナザーゼロワンの世界観で、アナザーゼロワンなし、ゼアなし、飛電或人が普通に生きてきた世界線…出会ってるのかな…?イズはこの世界のバグか、この惨状になる前にこうなったのかな…

  • 60二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 00:51:16

    ヘルライジングインパクト!?

  • 61二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 01:00:32

    >>60

    そうか、そういうことだったのか…

    今分かった

  • 62二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 09:12:07

    いわゆるアークドライバーかフォースライザーにヘルライジングぶっ刺してるのか……やばくない…?

  • 63二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 09:29:50

    確かに黒くて紅いわ…

  • 64二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 10:04:23

    >>60

    >>62

    ドライバーを乱暴に叩きつけるって事はフォースライザーじゃないし、ヘルライジング"インパクト"って事はゼロワンドライバーか、ゼロワンドライバーに何か別のユニット付けてるかんじなんじゃない?

  • 65二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 12:05:48

    保守

  • 66二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 12:09:24

    >>64

    絶滅ドライバーかも

  • 67二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 13:12:01

    >>66

    必殺技がインパクトだからあり得る

    なんならエデンドライバー、滅亡迅雷ドライバーも当てはまる

    ゼロツードライバーだけはユニット変えたら〇〇ビッグバンになるけどほかは〇〇インパクトになるはずだし。合ってるかな?

  • 68二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 13:36:04

    このレスは削除されています

  • 69二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 13:36:21

    >>67

    あってる

  • 70二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 19:29:58

    保守

  • 71二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 20:49:31

    >>69

    やっぱりそうですか…

  • 72二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 22:25:25

    保守

  • 73二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 00:21:46

    銃撃を続けるライダーたちだが、攻撃を怪物の周囲に発生しているエネルギーフィールドが悉く防いでしまう。

    「奴のバリアを破らないことには……」

    「なら俺が突っ込んでやる!援護は任せたぞ!」

    「不破さん!右から行きます!」

    二手に分かれて射撃を行い、足場を崩そうとするもやはりバリアは破れずにむしろ怪物の無茶苦茶な反撃を許してしまう。

    『繝峨さ繝九Δ繧、繧ォ繝翫う繝??√Ρ繧ソ繧キ繝上さ繧ウ繝九う繝槭せ』

    「さっきからゴチャゴチャとうるせえな……その口を黙らせてやる!」

    しかし怪物が無軌道に撃ったレーザーを難なく躱したバルカンは苛立った舌打ちを打つ。

    「不破!落ち着け!奴の動きは単調だ、このまま冷静に崩していくぞ!」

    「けど、防御の上を取らないと……」

    「……その必要も無さそうだがな」

    バルキリーが目を向けると、怪物は何かに苦しむようにもがいていた。

    『繧、繧ソ繧、繝?せ縲√う繧ソ繧、繝ウ繝?せ』

  • 74二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 05:24:48

    保守

  • 75二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 10:51:28

    「なんだ?」

    怪物からドス黒い煙が噴き出すと、怪物の挙動が明らかにおかしくなり始める。

    「わからんが、あの力を使うのは相当負担が掛かるようだ」

    「なら長期戦でぶっ潰してやる!」

    『繝峨え繧キ繝?Ρ繧ォ繝?ユ繧ッ繝ャ繝翫う繝』

    怪物が頭を抱えて壁にぶつかると壁が弾丸のように飛び散り、ライダーたちに当たって鮮血が宙に舞う。

    「イッ……!それが出来ればいいんだけど……!」

    「不破!私が陽動を行う!最大火力のお前が至近距離で決めろ!」

    「援護します!」

    サイクレッドマフラーを展開した1型が怪物に殴りかかるも、やはりフィールドに阻まれてしまう。
    しかし、バルキリーの射撃と同時に躍り出たバルカンが必殺技の発動態勢となる。

    「ヒューマギアは……ぶっ潰す!!」

  • 76二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 16:20:23

    保守

  • 77二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 20:13:13

    保守

  • 78二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 22:57:35

    保守

  • 79二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 23:05:16

    保守

  • 80二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 00:36:48

    《バレットシューティングブラスト!!》

    光弾を至近距離で放つバルカン、その威力は怪物を吹き飛ばして壁に叩きつけた。

    「やった!」

    「よし!このまま……!」

    しかし、喜んだのも束の間、怪物から渦のようなエネルギーが解放されていく。
    そのエネルギーは段々と鋭利になっていき、最も近い距離にいたバルカンの首を跳ね飛ばした。

    「なんッ……」

    「不破さん!?」

    「不破!?」

    鮮血が飛び散り、それは1型の精神に混沌を満たした。

    「えっ、なに、なんだよ」

    『繧「繝ャ?』

    「お前……何したんだよ!?」

    『繝ッ繧ソ繧キ縲√リ繝九Υ繧キ繧ソ繝趣シ……?』

  • 81二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 00:39:54

    うわぁ……

  • 82二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 04:17:08

    うせやろ...

  • 83二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 08:43:59

    イズも暴走してるってのが辛い…ってか1も或虐好きかよぉぉぉ!!!!

  • 84二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 08:59:46

    イズが「アレ?」「ワタシ、ナニヲシタノ?」って言ってるから自覚すらしてないの辛い…

  • 85二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 14:44:04

    不破さぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!

  • 86二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 18:55:38

    保守

  • 87二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 21:49:43

    「ふざけるなぁああ!!」

    絶叫した1型が感情に任せて駆け出して殴り掛かると、今度はバリアが発生しないままにその拳が怪物の顔面に叩き込まれる。

    「お前!!お前えええ!!」

    『繧、繧ソ繧、繝?せ縲√い繝ォ繝医す繝」繝√Ι繧ヲ』

    「よくも不破さんを!!」

    「やめろ或人!その距離じゃお前がやられるぞ!」

    『繝峨え繧キ繝?Ρ繧ソ繧キ繝イ繝ッ繧ォ繝?ユ繧ッ繝ャ繝翫う繝』

    何度も殴りつける1型だが、その腕を掴んだ怪物の異常な熱量で掴まれた装甲が溶け出してしまう。

    「ぐああああ!!」

    「落ち着け!」

    『繝ッ繧ソ繧キ繝上Ρ繧ソ繧キ繝翫ヮ繝』

    血涙のように赤黒い液体を流す怪物をタックルで退かし、バルキリーは1型を立たせて逃亡の準備を進める。

    「ここは……退くぞ」

    「え……?」

    「勝ち目が無い……!」

  • 88二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 22:37:24

    唯阿さんもこの後…
    見てられないッピ…

  • 89二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 00:19:19

    「なんでだよ……今からバリアもないんだろ!」

    「だからこそだ!奴は何をしでかすかわからん!チャンスのある今以外に逃げられないぞ!」

    「だからって……!!」

    握り拳を作る1型は、バルキリーの制止を振り切って再び怪物へと向かってしまう。

    「落ち着け!何をやっている、奴は自爆するんだぞ!?」

    「不破さんの仇を取れるのは今しか無いんだ!!絶対に自爆なんかさせるか!!」

    『繝ッ繧ソ繧キ繝イ繝ッ繧ォ繝?ユ繧ッ繝?繧オ繧、』

    怪物を押し倒して憎しみのままに拳を叩きつける1型は、ベルトを乱暴に掴み取って必殺コマンドを発動する。

    《ロッキングブラスト!!》

    「殺してやる!!」

    「待て、或人……!!」

    だが、それに呼応するかのように発光する怪物を見て、バルキリーは駆け出す。

    「そいつは……!!」

    『繝ッ繧ソ繧キ繝イ繧ウ繝ッ繧ス繧ヲ繝医す繝翫う繝』

  • 90二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 07:49:45

    「ワタシヲワカッテクダサイ」
    「ワタシヲコワサナイデ」
    うわぁ…辛い

  • 91二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 08:01:55

    イズはアルトの事を分かってるけど、或人は忘れてる…唯一元の歴史知ってるのがイズだけなのかな…?

  • 92二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 16:22:15

    ひええええ

  • 93二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 00:32:41

    保守

  • 94二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 00:41:22

    「この……俺の手で!!」

    1型が引き金を引こうとしたその時、バルキリーは1型を押し飛ばして撃とうとしていた技はあらぬ方向へと撃ち出された。

    「あっ……!?」

    それと同時に、眩い光を発した怪物から打ち出された破壊光線がバルキリーの脇腹に風穴を開け、1型の青い装甲に鮮血を描いた。

    「がっ……!!」

    『繝ッ繧ソ繧キ繝イ繧ュ繝ァ繧シ繝?す繝翫う繝』

    「……は?」

    突き飛ばされた1型は呆然としたままへたり込み、血で染まったマスク越しの視界を必死に拭き取ろうとする。
    それを見て、バルキリーは力なく倒れたまま澱んだ声を出す。

    「大、丈夫……か……」

    「ゆ、ゆあ……唯阿さん、唯阿さん俺……おれっ」

    「いいんだ……」

    肉体が変身を維持できなくなり、バルキリーの装甲は少しずつ剥がれるように解除されていく。
    そのまま、唯阿は青い無骨な指輪をはめた手をゆっくりと向け、握り拳に親指を立てて言葉を遺す。

    「悪意に……負けるなよ……」

    「あっ……ああああ……!!」

  • 95二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 01:44:32

    青い無骨な指輪

    青い 無骨な 指輪

    Oh……

  • 96二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 11:53:59

    辛…

  • 97二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 16:14:06

    救い……救いはないのですか……?

  • 98二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 21:35:15

    社長の動揺がありありとわかってつらい

  • 99二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 09:02:16

    保守

  • 100二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 19:43:02

    「……なんでだよ」

    『繝峨え繧キ繝?さ繧ヲ繝翫Ν繝』

    「なんで、ヒューマギアは……」

    『繝ッ繧ソ繧キ繝上?√ち繝?』

    1型のサイクレッドマフラーがより一層赤黒く光り、複眼も禍々しく揺らめいた。

    「俺の望むようにわかりあってくれないんだ!!」

    『繧「繝ォ繝医す繝」繝√Ι繧ヲ繝繝ッ繧ォ繝?ユ繝帙す繧、繝?繧ア繝翫ヮ繝』

    涙のように発光するオーラが1型の顔面にへばり付き、目にも止まらないスピードで怪物を翻弄し、その全身をへし折った。
    金属が醜く破損していく音が遅れて鳴り響き、それと同時に怪物の轟くような絶叫が天地を揺らした。

    『繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「!!』

    「俺のせいか!!俺があの時!あの場所で!父さんと一緒にいたから!!」

    『繧、繧ソ繧、縲√う繧ソ繧、!!』

    「俺がじいちゃんの孫だから!!世界で1番最悪な科学者の孫だから!!」

    『繝、繝。繝??√う繧ソ繧、繝!!』

    「お前らは俺を罰するのか!?」

  • 101二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 22:43:08

    四肢を砕かれた怪物に馬乗りになって拳を振り下ろす1型の姿は、まるで悪意に満ちた獣のようだった。

    「どうして俺がこんな目に遭わなくちゃいけないんだ!!」

    『繝、繝。繝?け繝?繧オ繧、縲√い繝ォ繝医す繝」繝√Ι繧ヲ』

    「お前は!!さっきからゴチャゴチャと!!黙れ!!黙れ!!このッ!!」

    マウントポジションで殴ると、今度は立ち上がって力任せに踏み付ける1型。
    怪物の角は砕かれ、今の1型のように複眼から黒い液体を垂らしている。

    「お前のせいだ……お前が!!何もかもお前のせいだ!!」

    『繧「繝ォ繝医す繝」繝√Ι繧ヲ……』

    「返せよ……俺の仲間を!俺のいるべきだった場所を!俺の家族を!!」

    1型は怪物のはらわたを裂くように腹を貫き、内部のコードを乱暴に掴むと引き千切った。

    「全部お前らのせいだあああ!!」

  • 102二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 22:44:03

    どうしてみんな或人を曇らせるん…?

  • 103二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 23:31:29

    「ドウシテコウナルノ」
    「ワタシハ???タ??」(解読不能)
    「アルトシャチョウニワカ????ホシイダケナノニ」(一部不明)
    「アアアアアアアア」
    「イタイ、イタイ」
    「ヤメテホ??イタイノ」(不明)
    「ヤメ??????サイ、アルトシャチョウ」(解読不能)
    「アルトシャチョウ」

    …つらい

  • 104二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 00:37:08

    >>103

    辛い

    どうして…

  • 105二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 00:43:23

    何が原因だ? 何があったらこんな地獄が巻き起こってしまったんだ??
    狂った世界でようやく幸せを掴めそうだったのに……

  • 106二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 07:18:46

    社長の慟哭がつらい…

  • 107二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 18:42:31

    保守

  • 108二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 22:14:01

    保守

  • 109二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 01:25:39

    『繧「繧「縲√ち繝?繝ッ繧ソ繧キ繝……』

    「お前なんか……お前なんかッ」

    相手を惨たらしく壊しても、1型は止まらない。
    怒りをぶつけようと更に拳を振り翳すと、その瞬間に怪物は先程までとはまるで違う、透き通った声を出した。

    『──或人社長に、笑っていて欲しかっただけなのに』

    「……は?」

    直後、怪物を怪物たらしめていた赤黒い装甲が剥がれ、反対に白を基調とした緑のラインの服装の女性型ヒューマギアが姿を現した。
    その姿は当然、顎が砕け髪が引き千切られ、内部機器が露出している。
    全て1型の……或人のやったことの結果だ。

    「なんだよ、これ……」

    『……』

    1型の姿を保てず、或人は膝をついて現実から逃れるように下を見る。
    かつて怪物だったヒューマギアは応えることはない。壊れたからだ。或人が壊したからだ。
    その様を見て、或人の奥から何かが込み上げてくる。
    それから目を逸らそうとして、不破と唯阿の方を見やってしまい。

    「う……おえ」

    遂に決壊した。

  • 110二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 03:29:08

    やっぱり面識がないじゃないですかーーー!!!(怯

  • 111二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 07:38:16

    歴史改変されて、イズだけゼアのお陰で記憶が残っていたのか、別の世界線からイズだけ(またはベルトも)やって来たのか…少なくとも或人はイズと面識が無く、父親との出来事が変わっているから、こうなったのが、アナザーゼロワンのせいなのか、時空の歪みなのか、別の世界線なのか…
    そもそもゼロワンドライバー(または何か別のユニットがついているベルト)があるなら、父親が作ってゼアがいないといけないのに、ドライバーがこの世界に存在しているのは…
    まだわからないなぁ…

  • 112二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 10:16:27

    それから、どれほどの時間が経っただろうか。
    吐き出した後、或人はその場で気絶するかのように長い眠りについた。
    丸一日、意識を失っていた或人は辺りに漂っていた腐乱臭で目を覚まし、再度腹の中のものをぶち撒ける。

    「おええ……ゲエエ……」

    全てを吐き出すと、或人は不破と唯阿の遺体を背負い、外に出すと必死に埋めはじめる。
    その目には恐怖が浮かび、謝罪の言葉を延々と連ねていた。

    「ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

    出来る限り目にしないようにしていたものの、やはり直視せざるを得ないためまた吐き出してしまう。
    遺体にかかった自らの胃液混じりの吐瀉物を拭こうとして、或人の手は震え続ける。

    「ゲホッ、ううう……おげぇ……」

    吐き気が脳みそを腐らせるような感覚が或人を襲うが、もう吐き出すものは遺体にかけたものが最後だった。
    その醜悪な光景を知るものがいれば、何を思うだろうか。

  • 113二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 18:24:42

    保守

  • 114二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 18:25:24

    保守

  • 115二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 22:19:54

    保守

  • 116二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 23:44:11

    誰がそこまでやれと()

  • 117二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 00:28:51

    遺体の埋葬をなんとか済ませた或人は倒した女性型ヒューマギアのドライバーを剥ぎ取ろうとしたが、その時ヒューマギアの近くに何かが落ちているのに気付いた。

    「これは……セントラルメモリーか?」

    セントラルメモリー……ヒューマギアの固有データの全てが集約されたヒューマギアの脳。
    ヒューマギアを形作るのに欠かせないものだ。

    「このドライバーも……解析すれば俺たちの武器になるはずだ」

    破損したセントラルメモリーとドライバーを乱暴に引き抜くと、或人は疲れ切った足取りで後を発つ。
    だが、その前に何を思ってか倒れたヒューマギアを見やり。

    「……」

    感情が複雑に混ざった表情をして結局立ち去るのだった。

  • 118二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 07:11:49

    おかしい…中盤あたりで或人と結婚とかしていたはずだ…なんで普通に或虐に移行するんだ…いやまぁ序盤の方で或人も結構悲惨な目にはあっていたけど…

  • 119二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 07:14:46

    今数えてみたら40レス以降が全て或虐描写で笑っちゃう
    明らかに筆の乗りが良いんですがそれは……

  • 120二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 07:42:59

    或虐は公式が最大手だから…

  • 121二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 07:45:47

    ベルト剥ぎ取るって事は、恐らくドライバーユニット無しのただのゼロワンドライバーなのかな、たぶん

  • 122二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 17:18:00

    やっぱりヘルライジングだったのかな…

  • 123二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 21:56:47

    保守

  • 124二次元好きの匿名さん22/05/10(火) 00:44:36

    ───────────────────────





    「……或人?」

    「○○……戻ったよ」

    戻ってきた或人は、とても1週間の経過とは思えないほどに消耗していた。
    私に寄りかかると、或人は泥のように眠ってしまった。

    「或人、お前……本当に、何があったんだ……?」

  • 125二次元好きの匿名さん22/05/10(火) 07:25:29

    つらい…

  • 126二次元好きの匿名さん22/05/10(火) 12:43:58

    私が何を喋りかけても、或人は短く応答するだけで直ぐに虚空を見つめてしまう。
    不破隊長と刃隊長の死は、或人の心に癒えない傷を付けてしまったのだと思う。だけど……或人は、多分それだけが理由じゃない。
    今、或人が何を考えているかはわからない。きっと、私じゃ或人を理解してやれない。
    悔しいなぁ……私は或人の妻になったのに、或人のことを支えられないのか。

    「或人……」

    かつて或人が私にしてくれたように、私は或人を胸に抱く。
    或人に、自分の心臓の鼓動を聴かせる。私が生きていることを証明させる。
    そうしないと、或人が離れていってしまう気がしたから。
    或人の手を握り、自分の腹に……私たちの子供に触れさせる。

    「或人、わかるか?私たちは生きているんだぞ……」

    「……そう、だな」

    「お前も、生きてくれ……この子のためにも」

  • 127二次元好きの匿名さん22/05/10(火) 12:57:16

    夢主は流石に死なないよね……?

  • 128二次元好きの匿名さん22/05/10(火) 13:42:12
  • 129二次元好きの匿名さん22/05/10(火) 21:26:25

    夢女ちゃん未亡人にならないよね……?

  • 130二次元好きの匿名さん22/05/10(火) 21:28:09

    本人は分からないけど、二人の子供の方も生きてて欲しい…1000%生存するとは言えないから…

  • 131二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 01:14:29

    保守

  • 132二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 06:58:58

    保守

  • 133二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 11:29:38

    「なあ……○○」

    「なんだ?」

    「俺が出会った敵が……こんなのを持ってたんだ」

    或人は見慣れないドライバーとヒューマギアのセントラルメモリーを私の前に出し、気力のない声で頼む。

    「これを解析すれば、もっと強力な装備として使えるはずだ。一緒に調べてくれないか?」

    「わかった。ラボに行こう」

    ラボに着くと天津博士と一色博士が揃って私たちのことを待っていてくれた。

    「大変でしたね……或人くん」

    「天津博士……」

    「貸してくれ。こんなことぐらいしか、私たちには出来ないが」

    「そんなことないです。お願いします」

  • 134二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 20:44:42

    保守

  • 135二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 23:10:11

    セントラルメモリーと見慣れないドライバー(ゼロワンドライバー系)……これってゼロツードライバー精製されない……?

  • 136二次元好きの匿名さん22/05/12(木) 01:23:27

    博士を加えて解析を始めると、そのテクノロジーに早速驚かされる。

    「このドライバーの性能……フォースライザーやショットライザーとは比較にならないぞ」

    「ああ、飛電インテリジェンスの最新技術がふんだんに使われている。これは素晴らしい性能ですねえ」

    「……本来、俺の会社だったんだけどな」

    「……ん?このプロテクトは?」

    ドライバーのプログラムを調べていると、不自然な認証システムを見つける。

    「飛電インテリジェンス、またはその系列の会社の社長権限を持つ者だけが変身条件となるようだ」

    「……俺に対する当てつけというわけか?」

    「いや……遺伝情報が登録されている。飛電の遺伝子を持つ……君には変身が可能だ」

    「……何故だ?ヒューマギアの作ったものじゃないのか?」

  • 137二次元好きの匿名さん22/05/12(木) 07:22:58

    ここで繋がってくるのか…

  • 138二次元好きの匿名さん22/05/12(木) 18:30:42

    「この開発コード……このドライバーは恐らく、君の父が開発したものだ」

    「父さんが……?」

    或人の表情が目に見えて変わる。やはり、父の存在は今も大きいみたいだ。
    自分が、父になったから。

    「俺に……残してくれたのか」

    「君の父に託されたものだ。君のために出来る限り調整しよう」

    「ありがとう、一色博士」

    少し涙ぐみながら、或人は笑う。
    だが、それを遮るように天津博士が調べていたセントラルメモリーからアラート音が鳴る。

    「なんだ?」

    するとセントラルメモリーから映像が出力され、画面に映る。

    「映像……?」

    《さあ、目覚めるがいい。我が社長秘書、イズよ》

    「これは……!?」

  • 139二次元好きの匿名さん22/05/12(木) 21:45:25

    これ、イズは歴史改変に耐えたわけじゃない…?

  • 140二次元好きの匿名さん22/05/12(木) 22:56:54

    保守 これは気になる

  • 141二次元好きの匿名さん22/05/13(金) 00:17:20

    「なんだ?これは?」

    「……俺の倒したヒューマギアの記録しているデータみたいだ」

    「調べてみよう」

    映像は尚も続き、何かがおかしいことに私たちは徐々に気付いていった。

    《……或人社長?》

    《なんだと?》

    《私の仕えるべき社長は、飛電或人社長と設定されています》

    《こいつ……何を言っている?》

    「なんだ……?何故、こいつは俺の名前を?」

    《……是之助の置き土産か?》

    「じいちゃん……?どういうことだよ……!?」

    《是之助……私の製造元で、元社長と記録されています。ですが、私の記録と異なるようです》

    《どういう意味だ?》

    《検索中……検索完了。これは……私の知る歴史とは異なるようですね》

  • 142二次元好きの匿名さん22/05/13(金) 09:00:47

    《なんだ?何を言っている?》

    《ウィル社長、どうやらイズの内部に搭載した新型衛星の小型機の誤作動のようです》

    《ゼア……この世界でも、私を守ってくれるのですね》

    《黙れ》

    ウィルと呼ばれたヒューマギアはイズと呼ばれたヒューマギアの首を掴むと、無機質に凄んでいる。

    「秘書イズに……ウィル社長か」

    「社長だと?飛電インテリジェンスは人間の会社だ、それを乗っ取っておいて……!」

    《あなたは間違っています。即刻、人類への攻撃をやめなさい》

    《ゼアに何を吹き込まれたかは知らんが、この星は既にヒューマギアのもの。人類は過去の遺物でしかない。支配者である我らヒューマギアの手によって滅ぶのだ》

    《いいえ。或人社長は……私の知る社長の飛電或人は、計算では決して導けない可能性を宿した希望です。あなたの歪んだ計画は打ち砕かれることでしょう》

    「え……?」

    《失敗作が……何を言う!!》

    ウィルが拳をイズに打ち付けるが、イズは怯まずに見つめ返している。
    強い……意志を持って。

    《私は信じています!人とヒューマギアは笑い合える可能性があると!》

  • 143二次元好きの匿名さん22/05/13(金) 11:00:15

    やっぱり小型ゼアのおかげか……ベルトさんといい、歴史改変に気付ける機械達はどうやって覚えているんだ……

  • 144二次元好きの匿名さん22/05/13(金) 21:10:09

    保守

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