【安価】ポケモンキャラ二人でバームクーヘンエンドのSS書く

  • 1一枚ずつ剥がして食う25/10/05(日) 11:14:09

    本編ゲームに登場したキャラ限定

    文量は1〜2レス程度ね


    まずは>>2>>3

  • 2二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 11:22:45

    ピオニー

  • 3二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 11:23:49

    ローズ

  • 4一枚ずつ剥がして食う25/10/05(日) 11:42:59

    〜〜〜〜〜〜〜〜

     来る筈もないと思っていた男が面会に来た。同席する刑務官が眉を顰めるような足音を立て、しかつめらしい顔を向けてくる。
     兄と弟。そこまで似ているだろうか、と思う。

    「落ちぶれたもんだな、ええ?元委員長さんよ」

     そう言ったきり、ピオニーは不機嫌そうに黙り込んだままだ。鼻を鳴らしたり、台を指でしきりに叩いたりしながら、目線は上に下にと落ち着かない。
     生産性のない沈黙は嫌いだ。委員長時代、会議では益になるかどうかを問わず何かを言わせたものである。

    「早く用向きを教えてもらえるかな。獄中も存外暇ではないんだよ」

     耐えかねてローズが切り出すと、忌々しげに舌打ちをしたピオニーは手に提げていた袋から、何かを取り出した。

     プラ板越しに、甘い匂いが漂ってくる。

     幾層にも生地が重ねられた丸いシルエットは、バームクーヘンのそれだ。切り分けられているその一つを手に取り、ピオニーは齧り付いた。

  • 5一枚ずつ剥がして食う25/10/05(日) 11:54:06

     ローズの頭に去来したのは、互いを兄弟だと称することに抵抗のなかった幼少期だった。食卓に並ぶ品を口に放り込み、豪快に咀嚼していたあの姿。

     この弟は、成長していないのか。それとも、心の奥底に、あの時から変わることのない何かを持っているということなのか。

    「……ムショに食い物は、差入れしちゃいけないんだとよ!」

    「ここに来るまでそれを調べもしなかったのか?」

     バツが悪そうに、ピオニーはバームクーヘンを放り込んで口を塞ぎ、横を向いた。

    「親になったというから少しは成長したものと思っていたが、どうも短絡的な面は直っていないようだな。お前はいつも」

    「檻の中に入っといて、偉そうに言うな。そっちこそ相変わらずブクブクの腹してんだ、むしろちょうどよかったぜ」

     食べる者と食べることのできない者。どちらもバームクーヘンを見、その香りを嗅いでいる。

     兄弟が同じ景色を見つめるというのは、何十年ぶりのことだろう。早くも半円になったバームクーヘンを見て、ローズは思った。

    〜〜〜〜〜〜〜〜

  • 6一枚ずつ剥がして食う25/10/05(日) 11:58:20

    次、>>7>>8


    〇〇している時、みたいなシチュエーションの指定もOKです

  • 7二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 13:00:23

    めっちゃすごい!ありがとうございます

    連続でやるのもあれなんで>>9さんにお任せします

  • 8二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 13:02:18

    グリーン

  • 9二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 13:03:03

    リーフ

  • 10一枚ずつ剥がして食う25/10/05(日) 13:33:36

    〜〜〜〜〜〜〜〜

    「はいはい、確かにレッドの奴はそういうとこあるよな。うん」

     グリーンに気のない返事をされて、リーフは抗議の目を向けることしかできなかった。
     カントーで最高の、全地方でもトップクラスの実力を誇るチャンピオン・レッド。グリーンとリーフは幼少からの親友で、かけがえのないライバルだった。

     が、リーフとしてはレッドとグリーンに格別の紐帯があると感じる。疎外感というほど深刻ではないが、除け者にされたとの子供じみた不満があった。

     レッド本人は、そんなことはないと言う。グリーンもまた気にしすぎだと度々リーフを諭し、今もそうだ。あしらわれたとの思いは拭えず、リーフは唇を尖らせる。

    「だってぇ、あんたら赤緑で文字通り以心伝心じゃないの。わたし抜きで男の友情深めちゃってさ、ねぇ〜?」

     腕の中のイーブイに頬擦りすると、鬱陶しさを隠さない態度でソファーに走り去ってゆく。

    「……まったく、そんなガキみたいな態度取ってるなら、あれのこともすっかり忘れてんだろうな」

    「あれ?」

    「レッドは今どこにいる?」

     ジョウト地方の霊峰、実力者の聖地。シロガネ山。その名前に思い至った時、リーフは先週のことを思い出した。
     差し入れの名目で、レッドに贈り物をした。

  • 11一枚ずつ剥がして食う25/10/05(日) 13:46:57

     グリーンは機種変更をしたばかりのスマホロトムを取り出し、画面を切り替えた。

    グリーン「死んだり遭難されたら事だからな。二日に一回は動画を送るように言ってんだよ」

     それは大事なので、流石に責めるつもりはない。画面では、差し入れの詰まった箱を開封したレッドの姿が映っている。一際大きい包みを取り出す。

     バームクーヘンだ。たまには奮発して高級な物を食べさせてあげたいと、グリーンと二人で選んだ。
     レッドは手を合わせ、切り分けられたバームクーヘンに手を伸ばす。

     レッドは寡黙だ。食事の時はそれが顕著で、宴席でも中々口を開くことはない。だが、画面の中のレッドは喋っていないというのに、雄弁だった。バームクーヘンを口に入れ、ゆっくりと噛み、飲み下す。
     その度に浮かぶ静かな笑みが、傍らのピカチュウに向けられ、喜びを共有しているようである。

    「何よ、いい顔しちゃって」

     笑顔が伝染しているリーフに、自分は気づいた。それは、詮無いことを気にしていた自身への呆れもあると思った。

    〜〜〜〜〜〜〜〜

  • 12二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 13:48:17

    このレスは削除されています

  • 13一枚ずつ剥がして食う25/10/05(日) 13:49:34

    次は>>14>>15

  • 14二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 15:55:10

    アオギリ

  • 15二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 16:01:43

    じゃあマツブサ

  • 16二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 16:09:29

    1さん文章めっちゃ素敵だね
    即興で湿度の高い素敵な文章で良き

  • 17一枚ずつ剥がして食う25/10/05(日) 17:00:54

    〜〜〜〜〜〜〜〜

     窓の外はいつも夜だった。
     見上げる星空は果てしのない広がりと、手で触れられそうな厚みを持っているようである。

     先行型トクサネ宇宙ステーション、という。リング状の構造を有し、外縁部の限られたエリアには人工重力(ポケモンの技や特性を解析したものだ)が働いている。
     そこに置かれた展望台に、マツブサは腰掛けて外を眺めていた。つい先程到着し、荷解きをしたばかりだ。

     罪滅ぼしのつもりだった。推薦してくれたデボンの御曹司は、マグマ団時代に培われた技術と見識を役立ててほしいと言っていた。本心からだと思う。
     それでも、危険から逃れられない務めを果たし、償いをするとの意思がマツブサにはある。

    「よお!なんともご大層なバームクーヘンじゃねぇかよ!」

     かつて不倶戴天の敵だった男は、相も変わらず海賊の頭領じみた口調で話しかけてくる。その形状から、ステーションをバームクーヘンと呼ぶのは出発前からだ。

    「安直だな、アオギリ。人間の叡智とポケモンの可能性の精華だぞ」

    「だったらトクサネの連中にも言ってやれ。ほら」

     その手には『宇宙バームクーヘン』なる銘の箱があった。トクサネ宇宙センター公認の土産であるようだ。

  • 18一枚ずつ剥がして食う25/10/05(日) 17:19:04

    「オレ達宇宙まで来れたんだぜ?辛気臭ぇ顔してないで、もっと誇らしくしろよ」

     この男に言われる筋合いはない筈だ。初めて話を伺った時もこの男は同席していたが、厳めしい顔に浮かぶ憂いじみた色は、自分と同じような心境のあらわれだろう。

     突然、アオギリが目を見開いた。かぶりつくように窓に駆け寄る。話しかけても、外から目線を外さず手招きするだけだ。窓に駆け寄る。

     ああ、と息を吐いたきり、何も言えなかった。
     目の前にあるのは、眩い光点に照らされた青と緑の球体だった。崇敬じみた郷愁に心がさらわれる。故郷の星とは、ここまで美しいものか。

    「この星は……生きている」

     アオギリのような磊落な男には似合わない詩的な言葉だったが、まさしくその通りだった。海と大地、人とポケモン、その融和が生命活動として、巨大な一つの命を動かしている。

     暫し、時を忘れて見続けた。位置関係により見えなくなってから、二人で初めて窓を離れる。

     どちらともなく、バームクーヘンの箱に手を伸ばした。己の傲慢を本当の意味で思い知らされた自分達には、その甘さが再起を促しているようにさえ思えた。

    〜〜〜〜〜〜〜〜

  • 19一枚ずつ剥がして食う25/10/05(日) 17:20:12

    次は>>20>>21


    >>16

    ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!

  • 20二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 17:38:15

    ヤナギ

  • 21二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 17:43:39

    キクノ

  • 22一枚ずつ剥がして食う25/10/05(日) 19:35:00

    〜〜〜〜〜〜〜〜

     いかりのみずうみに来るのは、髪が白くなる前からヤナギにとって大切な習慣だった。
     ロケット団の愚挙により力を狂わされたポケモンが出たことで、その影響が残っていないかを確認する義務もできている。

    「マンムーよ」

     湖を囲む森に入った。数十年通っているだけに、目を瞑っていても分かると言えるほど道を心得ている。隣を行くマンムーも、緑の息吹を心地よさげに吸い込んでいた。
     大きな切り株に腰掛けた。老ぼれ一人の身には余るほど大きい。年輪をじっと見ていると、若い頃とは違う感慨も湧いてくる。

    「あの、チョウジジムリーダーのヤナギさんですか?」

     老成しながら、澄んだ声が投げかけられる。振り向くと、想像した通りの老淑女が微笑んでいた。

    「貴女は……シンオウ四天王のキクノどのだな」

     ジョウト地方はシンオウ地方と縁深い。かつてシンオウの開拓を主導したのは、チョウジから渡った者であるとも言われている。

    「光栄だわ、ご存じでいらしたなんて。お隣、よろしいかしら」

     あまりにも自然な所作で隣に座してきたので、かえって戸惑った。

  • 23一枚ずつ剥がして食う25/10/05(日) 19:56:51

     傍らで座るマンムーをキクノは優しい手つきで撫でている。マンムーもゆったりとした声を上げ、浸るように目を閉じていた。
     やはり、彼女はじめんのエキスパートである。

    「そうだわ。ジョウトには知り合いに会うために来たのだけどね……いただいたバームクーヘン、ご一緒にいかが?」

    「いや、それは申し訳ない。貴女が貰った……」

    「一人では食べきれませんもの。お嫌いでなければ是非」

     正直、口寂しいとは思っていた。厚かましいのは承知だが、これも縁だと言葉に甘えることとする。
     上品な甘さで、年寄りにも優しい口当たりだった。チョウジ名物のいかりまんじゅうにも劣らない。

     それから、自分でも驚くほどに会話が弾んだ。キクノは聞き上手で、話すことを楽しいと思わせる、天性のものがあるとさえ感じる。
     それでいて、お互いに口を閉じていても気まずくはならないのだ。敢えて言葉にすれば、人徳、が近いかもしれない。

    「そろそろ、お暇いたしますね。今日はとても楽しかったわ」

    「こちらこそ。歳を取ると口数ばかり多くなって、申し訳ない」

    「いいえ。人生経験が豊かであれば、若い方に話しづらいこともたくさんありますもの」

     愛おしそうに年輪をひと撫でして、キクノが去っていくのをヤナギは見つめていた。

    〜〜〜〜〜〜〜〜

  • 24一枚ずつ剥がして食う25/10/05(日) 19:59:34

    スケジュール的な都合により、キリのいいところで終わらせていただこうと思います。

    文章を書く練習のようなものでしたが、応援くださった方、安価にご協力いただいた方に心よりお礼申し上げます。

    本当にありがとうございました!


    よろしければ、このスレを使って書きたい方がいらっしゃれば是非ご活用ください。

  • 25二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:32:53

    良い!!年配の二人らしさが出てて素敵だね!
    楽しませてくれてありがとう!

  • 26二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:38:31

    このレスは削除されています

  • 27二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:40:13

    主のお言葉に甘えて、自分もバウムクーヘンエンド挑戦してみたくなった

    もしよければ、>>28>>29のキャラで駄文書かせてください!

  • 28二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:44:16

    ゼイユ

  • 29二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:45:44

    シアノ校長

  • 30二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:25:33

    【ゼイユとシアノ校長】

     俗語、「バウムクーヘンエンド」とは、いかにもハッピーエンドを迎えそうな二人組が結ばれず、加えて片方は劇中で他の相手と結ばれてしまう、そんな展開のことである。つまり失恋エンドといえば簡単なところか。

    「つまり失恋しちゃってねー。かなり落ち込んでるってわけ」

     胸の前でハートマークを作ったシアノ校長は、すぐにそれをパッと離して両手を上げた。ラブポーズ、からの、お手上げのポーズである。

    「僕、今結構傷ついてるよー。大人の失恋って酷いからね、しかも男。つまりお菓子とか食べる気分じゃないんだよね。食欲なくてさー」
    「だから何なのよ。さすがの私も全然話が理解できないわ……」
    「味の方は保証するよー。ライモンシティのパティスリーが手間暇込めて作ったらしいからねー。それはそれで腹たつねー」
    「そんな情報が聞きたいんじゃないわ……ったく、マイペースにも程があるわねこの中年男」

     ゼイユはバウムクーヘンの箱に目を落とす。何で自分が校長室でバウムクーヘンを手渡されているのか、全くと言って良いほど意味はわからない。それでもまあ食べ物に罪は無いわよね、なんてことを彼女は考えている。

  • 31二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:26:33

    シアノ校長は机を隔て、大きな椅子に座っている。挙動は子供みたいにゆらゆらしていた。キャスター付きの椅子が彼を乗せて回る。薄くなったコーヒーの香りが室内に漂う。

     ゼイユは両手でバウムクーヘンの箱を持ち、「信じられないわ」と独りごちる。「こんな大人げない男が校長だなんて、嘘であってほしいわ。だから部員もズサンなのよね」と続く。


    「校長室に呼び出されたと思ったら、テキトーなお菓子の消費にこき使われるだなんて……普通に意味わかんないわ。何なのこの学校」

    「ほらほら、怒らないでー。リーグ部ってお菓子部も兼ねてるし、ちょうどいいんじゃない?」

    「兼ねてないわよ」

    「でも美味しいお菓子、食べたいでしょー? ウィンウィンってことでさ。ここは手を組もうよー。ね?」


     校長は此度、失恋した。

     長年片想いしていた、なんならプロポーズの準備までしていたライモンシティ勤務のファッションデザイナーにフラれてしまったのである。

     というか、相手にされていなかったのである。

     デザイナーはIT企業のいけ好かない若い男と交際0日婚を果たし、校長は賑やかしで結婚式に呼ばれ、これ見よがしにバウムクーヘンをもらって帰ってきたという筋書きで、まさか憎き恋敵からもらった引き出物をムシャムシャ食べるわけにもいかず、こうして適当な生徒に押し付けたというわけだ。

     とまあ、こんなストーリーを生徒に話したところで、どうなるわけでもない。だからわざと飄々としている。

     校長は気を抜けばツンとしてしまいそうな鼻の奥に力を込める。塩辛かった。大きな窓から青い海が地平線まで見える。失恋って海の味がするんだー、などと思う。


    〜〜〜〜〜〜〜〜

    おわりです!>>28>>29、お題ありがとう!駄文ごめん!

  • 32二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:31:26

    うーん、好き

  • 33二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 06:40:32

    このレスは削除されています

  • 34二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 16:13:05

    このレスは削除されています

  • 35二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 00:22:31

    保守

オススメ

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