【TSしのぎゆ・みつおば注意】義勇者の伝説へⅡ【鬼滅DQ】

  • 1二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 18:41:11

    TS冨岡義勇でDQⅢルックスB勇者(女勇者)やりたいと思い軽率にぼうけんの書を作った2スレ目です
    プレイログと茶番
    TSCP注意:しのぎゆ&みつおば(おばみつ成立済)
    鬼滅の刃本編軸の記憶有な実質後天的TS
    基本ギャグのラブコメですがプレイをしながら意外と
    ラブコメ要素になりえる設定を生やせる余地があったので
    今回はギャグ少な目ラブコメ比率高め
    自己満足スレですがコメント・ハートをいただけると励みになります

    プレイ環境:HD-2Dリメイク版ドラゴンクエストⅢそして伝説へ…(Switch版)
          難易度「楽ちんプレイ」

  • 2二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 18:42:33
  • 3二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 18:45:06

    前回のハイライト

    ぎゆう:メダルおじさん
    しのぶ:命名アワオ
    みつり:ワオーンワオーンワオーン
    おばない:セクシーギャル

    以上です

  • 4二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 18:46:31

    シャンパーニの塔を降りカザーブの町まで戻る
    取り戻したきんのかんむりを届けにすぐさまロマリアまで戻ってもよかったのだが
    カザーブのさらに北方が気になったため少しだけ寄り道をすることにした
    それというのもカザーブの北方に目を凝らせば視界に入るほど近い村が見えたからだ
    目的物を手にして少し心に余裕ができたためか
    寄り道の寄り道にみつりの「やせいのかん」で魔性をなくしたモンスターも保護することもできた

  • 5二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 18:47:35

    カザーブの北方の村はノアニールという名前らしい
    どんな村だろうかと楽しみに足を進めていたが徐々にその村に近づくにしたがって
    少しずつ嫌な予感がしてきた
    村全体が何かもやか霧のようなものに包まれている

  • 6二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 18:53:02

    ノアニールの村に入るとその村は一面に静けさが広がっていた
    カザーブの田舎町特有ののどかな静けさとは違う
    この村は本当に人がすんでいるのか?と疑うくらいの静けさなのだ

  • 7二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 18:55:06

    「どういうこと?村の人たち…みんな寝ちゃってる!?」
    「それも立ったまま…明らかに『何か』がありますね」

  • 8二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 18:56:31

    「大人も子供も…みな等しく眠っている」
    「声をかけてもゆすってみても一向に起きる気配がないな…」

  • 9二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:08:56

    「ダメだ…建物の中にいる者も眠ってしまっている」

  • 10二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:12:07

    「誰か起きている人はいないのでしょうか」
    「こうなった原因がわからないことには対処のしようもない」
    「おい!起きている者がいるぞ!」

    ((((安定のおじいさん!))))

  • 11二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:14:19

    ぎゆうたちに気づいた老人はすがるように訴えかける。
    「おお!どなたかは知りませぬがどうかエルフたちに
     ゆめみるルビーを返してやってくだされ!」

  • 12二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:15:52

    「ゆめみるルビーを探してエルフに返さなければこの村にかけられた
     呪いが解けませぬのじゃ」

    「呪い…そうか、この村の人々は呪いで眠らされているのか」
    「村全体に呪いをかけるなんて相当大きな魔力を持ったエルフでしょうね」
    「ゆめみるルビーって何かしら?」
    「エルフに返すということはこれもまた誰かに奪われでもしたということか」

  • 13二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:17:14

    老人の話によればエルフは西の森の中に住んでいるという
    「このままノアニールの村の人たちを放置しておくこともできませんしね」
    関わってしまったからには仕方がない
    これも勇者たるものの宿命だと諦めてエルフの隠れ里を探すことにした

  • 14二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:18:34

    ノアニールの西には広大な森林が広がっている
    この中からエルフの隠れ里を探すのは大変なことだと思っていたが
    森の中でもひときわ大きな木を見つけるとそこに体が自然に引き寄せられていった

  • 15二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:20:17

    光る花やキノコ、シダが点在するその場所は明らかに周辺の森とは違い
    そこがエルフの隠れ里であるとすぐにわかった
    ここにはエルフやエルフに友好的なドワーフたちが住んでいるが
    どうにも人間には警戒して冷ややかな態度をとられてしまう
    これもゆめみるルビーが奪われたことと関係しているのだろうか?

  • 16二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:22:00

    勇者一行は里の中でも一番光で溢れる大きな木の根元にある建物に入っていく

  • 17二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:23:21

    建物の中も花で溢れた美しい空間の中央にはひときわ美しいエルフの女王が玉座についていた

  • 18二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:25:15

    「あなたがた人間がこのエルフの里にいったい何の用です?
     呪い?…たしかにノアニールの村に呪いをかけたのはこの私
     私の娘のアンは人間の男に恋してゆめみるルビーを持ってかけおちしてしまったのです
     しょせんエルフと人間、アンは騙されたに決まっています
     今頃、ゆめみるルビーを奪われ人間に騙されたとわかっても里に帰るに帰れずにいるのでしょう
     ああ、かわいそうなアン…お行きなさい、人間なんて見たくもありません」

  • 19二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:26:31

    「今の話、本当かしら?本当だとしても逆恨みだわ
     だって、ノアニールの村の人たちには関係ないことだもの」
    しゃくぜんとしないみつりに他の仲間たちもおおむね同意する
    「しかし、ゆめみるルビーを持ちだしたのが当のエルフとは」
    「どこを探せば見つかるのか見当がつきませんね」
    そう話していると突然、池のほとりで一人の人間の老人に声をかけられた

  • 20二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:27:36

    「お前さんたち、ゆめみるルビーを探そうとしてくれているのか?
     …じつはエルフの娘と駆け落ちした男はわしの息子なんじゃ
     息子は決してゆめみるルビーを奪おうとするような男ではない
     しかし駆け落ちしてしまったことには謝りたい
     じゃが、エルフの女王は一切話を聞いてくれなくてのう」

    手分けして聞き込みをしてみるもなかなかにエルフたちに話を聞くだけでも難航して時間をとってしまった
    エルフの娘と人間の男はここから南西にある地底の湖に向かったところまでは目撃されていたらしい
    何か手がかりがその地底の湖にあるだろうか?

  • 21二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:40:59

    森の中にぽっかりと穴をあけた岩肌の洞窟
    エルフの隠れ里からはほど近い距離にあるこの場所はされど人気はない

  • 22二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:43:34

    そもそも人間たちが住まう場所からは離れているしエルフたちにとってこの場所は
    神聖な聖地のようなもので特別なときにしか訪れない場所だという

  • 23二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:45:44

    入り組んだ洞窟を降りていくととても澄んだ水を湛えた湖に近づいていく
    こんな美しい場所だというのにここにもモンスターが入り込んでいてたびたび戦闘になった

  • 24二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:49:58

    戦闘を繰り返したぎゆうのレベルが上がると一気に新しい呪文特技を覚えた

  • 25二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:51:15

    「ちょっと覚えすぎじゃないですかね」
    「勇者のみが扱えるという雷の攻撃呪文か…冨岡、貴様本当に勇者だったんだな」
    「心外!!」
    「蘇生呪文やキメラのつばさと同じ移動呪文もあるのね」
    「これでメダルおじさんのところに行きやすくなるな」
    「どれだけ気に入ってるんですか、メダルおじさん」

  • 26二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:53:14

    「あら?あんなところにおばけアリクイがいるわ」
    「以前も保護したことのあるモンスターだな」
    「同じ種類2匹目の保護もいいんですね」
    「モンスターじいさんの話だと保護した同じ種類のモンスターの頭数が増えると
     そのモンスターが強くなる…らしい」
    「どういう仕組みで強くなるのかしら?仲間パワーでパワーアップ?」

  • 27二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:54:43

    「なんだ?あの場所は」
    道を進むと何やら特別に作られたであろう人工物が見えた
    「エルフたちの作ったものだろうか?」

  • 28二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:56:55

    その床には陣が彫り込まれていてひとたびその床の上に乗ると光が4人のまわりを包んだ

  • 29二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 19:58:22

    「…これは」
    「すごい、回復したわ!」
    「HPもMPも全快、すごい力です」
    「さらに地下に進むための休憩所ということか」
    「万全の態勢で臨まなければいけない場所がこの先に待っている…ということでしょうか?」

  • 30二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:00:15

    さらに地下へゆくとエルフの隠れ里で見た光を放つ植物の数が増してきた
    地上の光はあまり届かないくらい奥深くだというのにこれらの植物のおかげでやたらと視界は良好だ

  • 31二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:02:06

    やがて最奥部へたどり着くと光の花の咲く橋があった
    その橋を渡ると…

  • 32二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:04:55

    8体のエルフの大きな像に囲まれた場所に小さな木箱が置かれているのを見つけた
    「開けてみるぞ」
    すると

  • 33二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:06:20

    その箱の中に探していたゆめみるルビーが入っていたのだった
    「これがゆめみるルビー…」
    「でもいったいどうしてこんな場所にこれだけが置いてあるんでしょう」
    「待て、まだ何か木箱に入っている」
    「これは手紙かしら?」
    「急いで書いた書置きのようだな…読んでみる」

  • 34二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:08:34

    震えた字で書かれているそれを読み上げる

  • 35二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:09:52

    このレスは削除されています

  • 36二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:12:59

    『お母さま、先立つ不孝をお許しください
     わたしたちはエルフと人間
     この世でゆるされぬ愛なら…
     せめて天国で一緒になります… アン』

  • 37二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:14:03

    「この書置きを残して、おそらく、この湖に身投げを…」
    「あの女王は娘がそそのかされてゆめみるルビーを持って駆け落ちしたと思っていたようですが」
    「このゆめみるルビー、道具として使用するとまひの効果があるようだな」
    「わざと自分たちの体をまひさせて水に落ちたらもう二度と浮き上がってこれないようにした…と」
    「結婚を反対されて無理心中を選んだ…」

    「そんな…そんなのってないわ!!」

  • 38二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:15:08

    みつりが大粒の涙をぼたぼたと溢れさせて叫ぶ
    「どうして?どうして二人が死ななければならないの?」
    「甘露寺…」
    「死ぬしかなかったわけじゃないのに…っ」
    おばないが小さな手を伸ばしてみつりの頬に伝う涙を拭う

  • 39二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:16:39

    「天国でって約束したって…か、叶うかわからないのに…
     も、もう一度、人間に生まれ変われたらって約束したのにっ、男の子になっちゃって
     お嫁さんになれないなんて思わなかったのに…」
    「甘露寺、君は…」
    「伊黒さんごめんなさい…私、私…男の子になっちゃっても伊黒さんが好きなの!!
     だから…私のこと伊黒さんのお婿さんにしてくれる??」

  • 40二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:17:55

    おばないは驚いて目を見開いたが反射的に口から言葉がこぼれた
    「俺のほうこそ、女になったせいで君の『お嫁さんにしてほしい』という願いを叶えられないと思っていたのに」
    (…だが、だからこそ、この体は明らかに以前の卑しい血の入った体ではないと確信が持てる)
    すうっと深く息を吸い込んで答える
    「喜んで…君が俺でいいと言ってくれるなら
     自分がどんな自分でも、君がどんな君でも、俺は君のことが好きだ」

  • 41二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:19:56

    目の前で起こった展開にぽかんと半ば口を開けてぎゆうはかたわらのしのぶに
    「あれはどういうことだ?」と視線で訴える
    以前の伊黒と甘露寺は確かにお互いに好いていたように思えたが
    決して恋人同士だとかいう間柄ではなかったはずなのだ
    しのぶは思わず笑いをこらえてこっそりとぎゆうに耳打ちする
    「冨岡さんはあの世から見てませんからねえ
     あのお二人は亡くなる直前に来世で結婚する約束をなさってたんですよ?
     それはそれは素敵なプロポーズでした」
    「そうか…今が来世か」
    なんとなく合点がいったような気になる

  • 42二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:22:41

    「伊黒さん、甘露寺さん、ご結婚おめでとうございます!」
    「??…しのぶちゃん、ちょっとそれは気が早くないかしら?だってまだ…」
    「甘露寺さん、ここ、どういう場所だと思います?」
    「特別な時にしか訪れないエルフの聖地…?」
    「はい、エルフがお互いに愛の誓いをたて結婚の儀式をする場所です」

  • 43二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:23:55

    知らぬ間にエルフ式の結婚式をしていた…らしい
    「俺たちは…エルフじゃないがいいのか?」
    おばないが明らかに動揺している
    「だってきっとアンさんと人間の男性もここで結婚の儀式をして
     夫婦になってから身投げされたんじゃないですかね
     だからきっと人間にも有効ですよ」
    「身投げするだけならわざわざモンスターをかいくぐってまでここには来ないだろうな」
    「それとも、無効にしたいんですか?」

    「「それを無効にするなんてとんでもない(わ)!!」」

  • 44二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:25:58

    地底の湖から出てしばらくぶりに日の光を浴びる
    みつりとおばないは多少照れながらも幸せそうに並んでいる
    微笑ましいなと思いつつふと疑問が浮かんだ
    「ところで」
    「なんですか?冨岡さん」
    「何故そんなに詳しかったんだ?」
    「ああ、地底の湖とエルフの儀式についてですか?」
    「そうだ」
    「エルフの女王の部屋をご覧になったでしょう?
     たくさんの蔵書が並んでいた中に
     運よく聞き込みで得られた場所についての本がありましたのでこっそり拝借したんです
     …ご心配にはおよびません、ちゃんと今からお返しにいきますよ」
    「…」
    有能、ではあるのだがなんとも危なっかしく倫理観が心配になる仲間に呆れた

  • 45二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:27:54

    エルフの隠れ里に戻るとすぐにエルフの女王の元へと急いだ

    「その手に持っているのはゆめみるルビーでは?」
    女王は信じられないといった表情を見せる

  • 46二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:29:05

    「なんと!アンと男は地底の湖に身を投げたというのですか!?
     …おお!私が二人を許さなかったばっかりに…」
    女王は長い間言葉につまった
    彼女が想像していた結果とあまりにも違う
    いつか、騙された娘が戻ってきたらきっと傷ついただろうあの子を温かく迎え入れようと思っていたのに

  • 47二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:31:39

    突然突き付けられた現実にそれでも答えを見つけようとする

  • 48二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:32:51

    「わかりました
     さあ、このめざめのこなを持ってお戻りなさい
     そして呪いをときなさい
     アンもきっとそれを願っていることでしょう…」
    ぎゆうはめざめのこなを女王から受け取った

  • 49二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:34:04

    「おお、アン!
     ママを許しておくれ…」
    深い悲しみに嘆くエルフの女王に決して自業自得だと突き放すことはできなかった
    若い二人を反対したのだってきっと心から娘を心配していたのだ

  • 50二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:35:34

    「あなたがたにはお礼を言わねばなりませんね
     けれど…私は人間を好きになったわけではありません
     さあ、おゆきなさい」

    エルフたちがここのような隠れ里に人間から隠れて住まう必要がある『何か』があったのだろう
    おそらく数百年の時を生きている彼女がその考えをやすやすと変えることはできないのだ
    エルフの長としてエルフたちを守るために

  • 51二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:37:22

    ノアニールの村へと戻る道すがら魔性をなくしたアルミラージを保護した
    ふわふわとした毛並みが愛らしい
    エルフの女王に何か言おうと思っていたけれど何も言えず
    少しもやもやとした気持ちを抱えていたみつりはこのウサギのようなモンスターを撫でると
    ようやく少し気持ちが落ち着いた

  • 52二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:38:24

    ノアニールに戻るとぎゆうはめざめのこなを取り出す

  • 53二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:39:28

    めざめのこなを手のひらに載せると高く掲げる
    めざめのこなは風に舞い上がってノアニールを覆っていく

  • 54二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:40:55

    ノアニール中の人々が目覚め始める

  • 55二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:41:58

    おお…聞こえる…聞こえるぞい!
     人々のざわめきが…」
    唯一眠りの呪いにかかっていなかった老人も周囲の気配を感じて家から飛び出てきた

  • 56二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:43:31

    「どこのだなたか知らぬがなんとお礼を言ってよいやら!
     やれうれしや!」

  • 57二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:44:39

    ノアニールの時が動き出した
    この村の住民たちは自分たちがほんの少し居眠りをしていたと感じているようだ
    実際には村中が生い茂った草に埋もれるほどの時がたっていたのだが
    けれどそれは住民たちに知らせずにこの村を発つ
    何もなかった、何もなくこの村の日常は変わらなかった…勇者一行はお互いに無言で頷く

  • 58二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:46:07

    一瞬でその場を去る4人
    ぎゆうが習得した移動呪文ルーラを初めて使った
    キメラのつばさを使うようにこれまで訪れた場所に一瞬で移動する呪文だ
    それを使って訪れた場所は…メダルおじさんの館だった

  • 59二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:47:22

    よっぽどぎゆうはちいさなメダル集めを気に入っているのだろうか
    しばらくメダルおじさんを訪れなかったせいでもうちいさなメダルは15枚にもなっていた

  • 60二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:49:03

    12枚集めたほうびにシルバートレイと

  • 61二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:50:38

    15枚集めたほうびにいのりのゆびわをもらった

  • 62二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:52:22

    シルバートレイは盾の一種で盗賊のしのぶが装備できた
    いのりのゆびわはいかにも装備品のようだが実はMP回復に何度か使える消耗品だ
    全員をバランスよく攻撃力守備力充実させようと思っているのだが
    それぞれの職業によって装備可能品が違うためぎゆうは少々頭を悩ませる
    もう少しみつりの装備品を充実させたほうがよさそうなのだが何かいいものがあるだろうか

  • 63二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:54:42

    「ところできんのかんむりは返さなくてもいいのかしら?」
    「…」
    手持ちの装備品でああでもないこうでもないと試行錯誤して
    みつりにきんのかんむりをかぶせようとしたとしたところで指摘されようやく思い出した
    カンダタから取り返したこのきんのかんむり、ロマリア王に返さず私的に装備していいような代物ではなかった

  • 64二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:55:50

    大慌てでロマリアにルーラした勇者一行

    「おお!ぎゆうよ!
     よくぞきんのかんむりを取り戻して来てくれた!」

    喜ぶロマリア王の前で笑顔を取り繕うが内心は後ろめたい

  • 65二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:57:19

    「そなたこそまことの勇者!
     一国の国王としてもふさわしい人物じゃ!
     …と、いうわけで、どうじゃ?
     わしに変わってこの国を治めてみる気はないか??」
    突然ロマリア王が気が触れたとしか思えないことを言い始めてぎゆうは驚いた

  • 66二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:58:33

    「そなたがはいと答えるだけですぐにでも王位を譲ろうぞ!
     どうじゃ?」
    何を言っているんだと困惑するばかりではいともいいえとも言い出せない

  • 67二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 20:59:58

    「…と、思ったがそなたよく見れば女ではないか
     これは驚きじゃ!
     ここロマリアの歴史に女性が王になった前例はないのだが…」
    うーんとロマリア王は考え込む
    諦めてくれそうかと思ったその矢先、
    「いや、しかし、カンダタを倒したその実力は王としてふさわしいものじゃ
     よろしい!今こそこの国初めての女王の誕生じゃ!!」
    (何故そうなる…!?)

  • 68二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:01:35

    (いくらなんでもこれはないだろう…)
    寄ってたかっておそらく王妃のものであろうピンクのドレスに着替えさせられる
    自分でも似合わなさにとにかく閉口するばかり
    いくら自分が並みの男には負けないような筋肉質な体格だとしても
    それでも実際のところは16歳のうら若き乙女なはずなのだ
    色だとかデザインだとか気をつかえばもう少し似合うものだってあるだろうに
    まるで男がウケを狙って女装したときのような珍妙な姿にげんなりとする

  • 69二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:02:47

    そのまま勝手に女王として即位させられてしまった
    勇者として世界を救う旅をしているというのにこんなところで女王をしている場合ではないのだが…
    いやしかし、頼まれてしまったからには女王としてこの国を治める義務があるのだろうか
    落ち込むぎゆうを見かねて傍らの大臣が声をかける
    なんでも元ロマリア王はいつもこんな調子なのだという
    隙あらば他人に王位を譲り自分は好き勝手に城下町で遊んでいるという
    「あなたは使命を託され、旅をしているとアリアハン王よりお聞きしています
     ですので、もし旅に戻りたければ元ロマリア王を探して王位を返還されるといいでしょう
     きっとバトルロードにいるはずです」

  • 70二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:03:57

    自分の力を請われて王位を譲られたのだと一瞬でも思っていたのが馬鹿らしい
    怒り心頭のぎゆうは一直線にモンスターバトルロードの会場に走っていった
    案の定、元ロマリア王がご機嫌で観戦していた

  • 71二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:04:57

    ぎゆうにバトルロードの面白さを語り庶民が羨ましいと宣う
    「そなた頑張ってこの国を治めてくれよ?」
    「いいえ」

  • 72二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:06:13

    「なんと女王様になってるのはもうイヤじゃと申すのか?」
    「はい」
    ぎゆうの答えに元ロマリア王は落胆する
    しかし、すぐに気を取り直したようだ

  • 73二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:07:43

    「わしも少しではあるが息抜きができたしな…
     あいわかった!ぎゆうよ!
     そなたはやはり旅を続けるがよかろう!」
    結局、元通り
    ぎゆうは旅に戻ることとなったのだった

  • 74二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:09:23

    さて、次の目的地だが兵士長に聞いたまほうの鍵を探し出すためにピラミッドに向かうのがいいだろう
    だが、世界地図を広げて見てみると南にあるというピラミッドは
    南にあるにはあるのだがロマリアから直線では海を越えて行かねばならない場所に位置していた
    船を手に入れるためにポルトガに向かうのに必要なまほうの鍵を求めているというのに
    そのために船が必要となっては本末転倒である
    遠回りになってしまうが一旦東へ回り込んでから陸路で南下、さらに西へ向かうしかないだろう
    砂漠に入る前に装備を整え、一旦休息をとれるようにアッサラームという町を目指すことにした

  • 75二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:11:28

    ロマリア街道を抜けたあと、大陸と大陸をつなぐ大きな橋を渡る
    大陸を移動するとそこに生息する生き物ががらりと変わることがある
    それはまたモンスターもしかり
    「皆さん油断しないでくださいね」
    注意深く進むことにしたのだが…

  • 76二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:12:35

    「か、かわいい~!!」
    飛行する猫型のモンスター、キャットフライに初めて遭遇し思わずみつりのテンションがあがる
    いくら可愛くても魔性を失っていないモンスターは獰猛だ
    少しの油断も命取りとなる…のだがそこは元恋柱、ムチさばきも軽快にばったばったと敵をなぎ倒す
    「怪我は?」
    「大丈夫!」
    しかしやはりそろそろ敵の攻撃の一撃が重く感じはじめていた
    次の目的地アッサラームは交易の中心地だと聞く
    良い装備を整えるにはおあつらえ向きだろう

  • 77二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:13:42

    ロマリアを出てからかなりの時間がたった
    夕暮れから夜になるまでは一瞬だ
    夜になると敵モンスターも強くなるがまだ目的地までしばらくかかりそうだと
    少し不安に思っていたところ、しのぶが新しいとくぎを覚えた
    しのびあし、敵とのエンカウント率を下げる特技だ
    これで少しは旅路が楽になることだろう

  • 78二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:15:13

    「旅の道中で使う他にも何かと便利そうな特技ですよねえ」
    「悪だくみに使おうとするな」
    最近のしのぶがどこか調子に乗りすぎているような気がしてぎゆうが釘を刺す
    「浮かれすぎだな胡蝶」
    同じように思っていたおばないもぎゆうと同意見なのが不本意ではあるが同意する
    「…敵討ちという悲願が叶ったんです
     人生を楽しんでみようと思ったっていいでしょう?」
    そう言われてしまうと何も言えなくなる
    確かにそれはそうなのだが…ただその楽しみ方の出力に経験不足による不器用さをどうにも感じてしまう

  • 79二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:16:15

    すっかりと夜も開けた頃、ようやくアッサラームの町が見えてきた

  • 80二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:17:34

    交易の中心地として発展したここアッサラームの町は数多くの店、露店で溢れている

  • 81二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:18:49

    商品も集まるが情報も集まるのがこういった町の特徴だ
    ピラミッドがあるという砂漠にはオアシスにできたイシスという国があるという
    ピラミッド探索をするのにアッサラームを拠点とするよりもイシスを拠点としたほうがいいだろうか

  • 82二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:20:03

    多くの店をのぞきながら町を歩く
    町の外れの露店の裏で商品が置かれていると思ったらわらいぶくろだった
    魔性をなくしたモンスターだったようで保護してモンスターじいさんのもとへと行ってもらうことになった

  • 83二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:22:42

    さて、かねてからの課題だったみつりの装備品であるが町の北西にある掘り出し物の店にて
    ビーストウィップというムチを購入することができた
    この店舗はぼったくり店だと悪評がたっていたのだがきっちりと値切れば
    割高ではあるがそれなりの値段で購入することができる
    おばないはネチネチと店主にぼったくり価格の追及をして当初の提示価格の八分の一になったが
    それでもまだ割高価格が気に入らない様子ではあった
    割高であったとしてもそれでも魅力的な品揃えなので多少は仕方がない
    みつり用でなければ妥協せずに交渉決裂していたであろうが

  • 84二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:23:52

    ごく普通の店でも多少装備品を購入してそれなりに個人個人の攻守のバランスが整ってきた気がする
    しのぶの攻撃力が低めなのが気になるが全体攻撃できるやいばのブーメランを装備しているのでそこには目をつぶる

  • 85二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:26:15

    たくさんの店を見て回ってみたが中には昼間には店を開いていない店舗もあるという情報を得た

  • 86二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:30:47

    砂漠に突入する前にできるかぎりは装備をそろえておきたいので町周辺の探索をして時間をつぶすことにした
    ついでに夜にしか姿を現さないというモンスターの保護も無事できた

  • 87二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:33:33

    アッサラームの町に戻ると昼間は人気のなかった武器屋に店主がいた

  • 88二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:34:57

    少し変わった武器をおばない用に購入する

  • 89二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:39:49

    「なんだこの武器はふざけているのか?」
    「面白そうな武器ね!この見た目で結構攻撃力が高いのがすごいわ」

  • 90二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:42:14

    とりあえずはこれで買い物は終了だろうか
    やれやれと一行は店を出ようとする
    すると店の店主に声をかけられる
    「お客さんたち、アッサラームに来るのは初めてかい?
     この町は買い物だけの町じゃねえ、名物のベリーダンスが見れる劇場は行ってみたか?
     人気の踊り子ビビアンちゃんは必見だぜ」

  • 91二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:43:57

    「すごい、この町、劇場なんてあるのね!」
    「そういえば町の南のほうに大きな建物があったような気がしましたがそこでしょうか?
     昼間にそこの前を通ったときには気づきませんでしたね」
    「ねえ、少しくらいいいでしょう?行ってみたいわ」
    「今日はもう今から出立するには遅い時間だ
     この町に泊まることにして明日の朝、砂漠に出発するとしようか
     今夜は少し羽を伸ばしてもいいだろう」

  • 92二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:45:23

    勇者一行が劇場に向かうと踊り子の恰好をした美しい女性がとある家の前にたたずんでいるのを見かけた
    劇場の関係者かと思い、ぎゆうは声をかけてみた
    「こんばんは、おじょうさん
     星がとってもきれいな夜ね」
    にこやかに挨拶を返された
    だが彼女は劇場の案内やベリーダンスの紹介をするわけでもなさそうだ

  • 93二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:47:48

    少しアテが外れたが劇場の建物はすぐ近くにあり、4人は吸い込まれるように劇場の中に入っていった
    夜だというのに煌々と照明に照らされたステージはまばゆく
    その上でベリーダンスを踊る踊り子たちはとても魅惑的だ
    一朝一夕には習得できないであろう極めたダンス技術と人の心をつかんでやまない視線や表情
    ひとときを夢中に過ごすには十分すぎた

  • 94二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:49:57

    一度、踊り子たちが休憩時間に入る
    ようやく見物している者たちも一息がつけるというものだ
    今までステージにしか目がいかなかったがふと周囲を見渡すととある立て看板を見つけた
    『ニセ踊り子に注意!
     甘い言葉には気を付けましょう』
    「ニセ踊り子…?」
    「注意喚起のもののようだが」
    「ニセ?ここの踊り子さんたちはみんなすごく踊りが上手いからニセ踊り子ではないわよね?」
    「…もしかして、ここに来るまでに会った踊り子のことでしょうか?」

  • 95二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:51:50

    「あの踊り子が?とても危険人物には見えなかったが…」
    と、ぎゆうは言いかけてふととある考えに思い至り口を閉じる
    「…こういった町にはつきものではあるな」
    察したおばないも言葉を濁す
    みつりとしのぶは少しの間を置いて「ああ!!」「ああ…」と同時に声を出した

  • 96二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:53:40

    そういった女性に男の身であったときには声をかけられ誘われることもあったが
    今の姿でいるとあんな普通の対応をされるのだなと新たな知見を得る
    「まあ今の冨岡さんにはあの反応ですよね
     …私だったらどうなんでしょう?やっぱり普通にお誘いを受けるんでしょうかね?」
    「しのぶちゃん!?」
    「胡蝶、何を言い出す?」
    突然のしのぶの発言にみつりとおばないは驚きを隠せない
    「だって気になりますし面白そうじゃないですか」
    「…やめておけ、注意喚起も出ているような相手だ」
    「いいじゃないですか少しくらい」

  • 97二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:55:02

    「あ~ら素敵なおにいさん!
     ねえ、ぱふぱふしましょっ
     いいでしょ?」
    しのぶが件の女性に声をかけると思った通りの反応が返ってきた

  • 98二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:56:26

    試してみてこれで満足しただろうとぎゆうはしのぶに声をかけようとするが
    ぱふぱふ娘が矢継ぎ早に言葉をつづけて割り込めない
    「いっぺんにはお相手できないわよ
     一人でついて来て?いい?」

  • 99二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:57:47

    →はい
     いいえ
    「あらうれしい!
     じゃああたしについて来て!」

  • 100二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:00:07

    「待って、しのぶちゃん!危ないわ」
    「大丈夫ですよ、いざとなれば逃げだせます
     でんこうせっかのスピードは伊達ではないですよ」
    「いかにもな罠に自らかかりに行こうとは…らしくないな胡蝶」
    「罠かどうか確かめてみますよ
     罠じゃなければ…まあ、男の身になったので一度くらい経験してもいいかと」
    「えぇ…でも…」
    「甘露寺さんには伊黒さんがいらっしゃいますから必要ないでしょうけどね」
    しのぶの言葉に閉口しておばないは珍しく露骨に視線をそらし、みつりは瞬時に顔を赤くする

  • 101二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:01:14

    「じゃあ行ってきます」
    やりとりの間、一言も口をはさまなかったぎゆうは複雑な思いでしのぶの後ろ姿を見つめた

  • 102二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:03:06

    しのぶは建物の二階に案内される
    「ねえ、ベッドに座っててね」
    部屋の中心に存在感を放つベッド
    (なるほどなるほどこうなっているものなんですね)

  • 103二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:05:26

    「明かりを消して暗くしてもいい?」
    ぱふぱふ娘が体を近づけてくる

  • 104二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:06:42

    「消すわよ…」
    照明が全部消え辺り一面暗闇になる

  • 105二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:08:44

    ぱふぱふぱふぱふ

    身構えていたしのぶに人肌の温かさが触れる

  • 106二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:10:13

    「こ、これは…
     き、気持ちいい…」

    えも言えぬ心地よさに思わず声を出してしまう

  • 107二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:11:52

    しのぶの声を聞いてぱふぱふを施してきた相手が満足そうに言う

    「どうだ坊主!
     わしのぱふぱふはいいだろう!」

  • 108二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:13:39

    再び明かりがついたときには見知らぬ中年男性が傍らに立っていた

  • 109二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:14:50

    「あたしのお父さんよ
     ぱふぱふがとっても上手なの」
    ぱふぱふ娘はにこやかに自らの父親を紹介する

  • 110二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:16:20

    「わっはっは!
     じゃあわしはこれで…」
    ぱふぱふ親父は奥の部屋へ戻っていった

  • 111二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:17:36

    「どう?肩こりが治ったでしょう
     また来てねっ♪」
    想像していた展開とは全くもって違ってはいたが
    「こんな短時間ですっかり肩こりがなくなって…なんて按摩技術なんでしょうか!
     素晴らしいです、また機会があればぜひお願いしたいですよ!」
    いたく感激して大満足のしのぶだった

  • 112二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:19:38

    (でもこのまま出ていくのもなんですからね)
    こっそりとルーズソックスを頂戴して盗賊は出ていった
    ルーズソックスは娘のものか親父のものか定かではないのだが

  • 113二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:21:44

    外に出ると仲間たちが待っていた
    万一ゴロツキやらが出てきて身ぐるみがはがされる可能性も考えて念のため待機してくれていたようだ
    無事に戻ってきたしのぶを見るとぎゆうは黙ってしのぶを元通り仲間に加えた

  • 114二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:24:24

    「思っていたのとは違いましたがおススメですよ?」
    「え?マッサージのお店?…なあんだ、私てっきり…」
    「胡蝶、甘露寺に勧めるな
     …本当にそれだけの店だろうな?」
    宿屋に戻る道すがら誤解されたままなのもなんなのでとしのぶはあのぱふぱふ屋の説明をした
    笑い話にできるのまで含めてまあ経験してみるものだなと思っていたのに
    宿屋でそれぞれの部屋に入ってすぐにぎゆうに部屋凸と説教を受けることになるとは

  • 115二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:26:00

    「危機意識が足りなさすぎる」
    「厄介ごとを起こすな、首を突っ込むな」
    あまりにも目に余るしのぶの言動、行動はそのうち笑い話ではすまなくなると説得する
    「まあ、言いたいことはわかりますし、以降注意しますが…」
    正論の説教を受けるなんて思ってもみなかったので意趣返しがしたくなる

  • 116二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:29:21

    「冨岡さんこそ危機意識足りていませんよ?」
    「は?」
    「ダメじゃないですか、女の子が夜半に男の部屋に一人で来たりしちゃ」
    笑顔を作って、でも声は低めに出しながらぎゆうの顔の横の壁に腕をついた

  • 117二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:31:43

    「何を言っている?」
    ぎゆうが呆れて言う
    「この身では男相手には警戒する必要があるだろうが胡蝶と甘露寺は意識上は女だろう
     俺だって自分の意識は男のままだ」
    壁についたしのぶの腕をぐっとつかんで下ろさせる
    あまり力を入れていなかったのだろう、簡単にその腕は動かせた

  • 118二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:34:00

    「まあ、それはそうですけど…」
    面白くない顔をしてしのぶはぎゆうを自分の部屋へ戻るように促してドアを開けた
    「でも、意識は肉体に引っ張られることもありますから…
     冨岡さんが思っているよりかは私も甘露寺さんも男ですよ?」

  • 119二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:36:11

    翌朝、勇者一行はアッサラームの町を出発した

  • 120二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:39:29

    求めているまほうの鍵の情報について詳しく知る人物がいるとの情報を宿屋の主人が教えてくれた
    その人物は砂漠のほこらに住んでいるという
    砂漠のほこらはアッサラームの町から砂漠に入ってすぐに南に方角をとり
    ずっとずっとまっすぐ進んでいった先にあるのだという

  • 121二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:43:07

    ただの砂の砂漠だと思っていたが南方に進み続けるそのうち山道になり進むのにとても手間取ってしまった
    時間がかかり到着する前に夜になってしまった
    ただ単に夜というだけでも強いモンスターが出現するので困るのだが
    いざ砂漠のほこらを遠くから見つけたぎゆうたちはさらに困惑した
    その砂漠のほこらはなんと毒の沼地に囲まれた場所に立っているのだ

  • 122二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:48:45

    よくもまあこんな場所にほこらが立っていて、しかもそこに住んでいる人物がいるものだ
    「食料とかどうしてるのかしら…」
    こんな毒の沼地ではまともな植物は育たないので自給自足なんてできないだろう
    ならばほかの町まで買い物にいくとして出入りのたびにこの毒の沼地を超えるのも不便なんて言葉では片づけられない
    「おい、冨岡、お前の呪文で何か対策はできないのか?」
    「無理だ」
    「一度片道だけでもたどり着ければあとはルーラでなんとでもなるでしょうけど…」
    「うぅ…やっぱり覚悟キメてみんなでがんばらないとだめかなあ」

  • 123二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 22:55:18

    残りHPに気を付けつつ、一気に毒の沼地を渡り切った
    「ぐ…そこまでHPが削れたわけではないが」
    ぎゆうは毒によって体力が徐々に減っていく感覚がなかなかに堪えがたいようだった
    敵モンスターから攻撃を受けたときの毒と違い毒は自分の体内に直接的には入ってはいないと思うのに
    このようなダメージを食らうということは沼地の毒は経皮吸収でもしてしまっているのだろうか

  • 124二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 23:17:14

    そこまでの思いをしてたどり着いた砂漠のほこらに入るとそこにいたのは

    ((((なんでおじいさんなんだろうなあ…))))

    「ほっほっほ…旅の者よ
     まほうの鍵をお探しか??」

  • 125二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 23:19:25

    老人は勇者一行のどこか冷めた視線などおかまいなしに続ける
    「カギは砂漠の北部、ピラミッドの奥深くに眠るという
     しかしその前にまずっ!」

  • 126二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 23:20:56

    「イシスの城を訪ねなされ
     確か西のオアシスの近くにあるはずじゃ」

    ぎゆうたちは老人からの情報を聞いてがっくりと肩を落とす

  • 127二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 23:23:58

    現在いるここ砂漠のほこらは砂漠の中で南東に位置しているはずだ
    それが目的地のピラミッドは北方、先に向かえと言われたイシスは西方
    ちなみにアッサラームから砂漠に入った地点は砂漠の北東である
    つまりこのだだっ広い砂漠をぐるっと一周しろということだ

  • 128二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 23:28:52

    砂漠地帯は目印に乏しくどこまでいっても同じような風景に道を見失う者が後を絶えない
    最悪の場合はルーラが使えるという安心感がなければ尻込みしてしまうだろう
    砂漠のところどころで迷った冒険者や商人が遺していった遺物が見つかる
    彼らの魂は浮かばれているのだろうか

  • 129二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 23:31:11

    暑さと乾燥にダメージを食らいながら気力を振り絞って足を進める
    そしてやっとのことで砂漠のオアシスのほとりの国、イシスを見つけたのだった
    久しぶりに目に入る緑に4人はとても安堵した

  • 130二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 23:35:13

    イシスもまたアリアハンやロマリアと同じ、城と城下町で構成されている
    アッサラームほどではないが行きかう人々のざわめきにどこかほっとする

  • 131二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 23:41:52

    「ようやく着いたか…」
    「厳しい旅だったわね
     暑いのももちろんなんだけどやたらと固いモンスターがいたりして」
    「これで胡蝶のしのびあしがなかったらさらに苦戦していただろうな」
    「正直モンスターのエンカウントを下げなければ死活問題ですよ」
    「…?しのぶちゃん大丈夫?ちょっと顔赤くない?」
    「多少無理をしてましたからね
     軽い日射病かもしれません」
    「日射病は気温の低い場所で十分に休まないと治らない…だったかね
     しかし、このイシスの暑さでは休めるものだろうか」
    「イシスのルーラ登録はできた、飛ぶぞ」

  • 132二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 23:46:31

    すぐさまぎゆうは移動呪文ルーラを唱えた
    イシスよりも涼しく、水(噴水?)のイメージがあるロマリアを目的地にした

    「冨岡!!急に使うな!!身構えれないだろうが」
    ルーラ酔いしやすいおばないから苦情をうけたがしのぶを早く休ませたほうがいいと判断した
    ぎゆうは苦情を聞かずにさっさと宿屋の手続きに向かった

  • 133二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 23:50:01

    幸いにも軽症だったためか数時間ゆっくり休んでしっかりと水分をとったあとは
    特に問題なくしのぶは動けるようになっていた
    夜の静かな空気の中、町の中を歩いているとこんな都会の街中でアルミラージを見かけた

  • 134二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 23:53:29

    魔性をなくしたアルミラージも2匹目だ
    これで少しは強くなっただろうか
    そういえばイシスにモンスターバトルロートが存在するらしい
    しかし、自分たちはここロマリアのモンスターバトルロードも一切挑戦していない
    今はまほうの鍵を手に入れることが先決ではあるがそろそろ下位クラスくらいは挑戦してみてもよいのだろうか

  • 135二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 23:54:56

    中途半端な気もしますがとりあえず今回はここまでで切ります
    次回またイシスから再開予定
    用意ができたら投下するスレをたてますのでよろしくお願いします

  • 136二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 06:16:11

    スレ画をストーリーに沿って変えたい気持ちもあるのですが
    変えたらわかりにくくなるから固定のがいいんですかね
    仲間は転職で容姿変わるけど勇者は固定だから今のがベストな気もする

  • 137二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 14:53:13

    保守

  • 138二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 21:42:23

    保守していただけたので少しだけ続きを書いていきます

  • 139二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 21:45:23

    念のためロマリアで朝まで過ごしたのちイシスに戻る
    イシスの城を訪ねることにした勇者一行は城に入った途端にたくさんの猫たちを目にした

  • 140二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 21:51:53

    ここイシス城には数多くの猫が放し飼いで飼育されている
    ネズミ捕りのためだろうか?

    「ねこちゃんでいっぱいなんて素敵なお城ね」
    みつりがうきうきと猫たちに手を伸ばす
    よく人に慣れた猫はすりすりとその手に体をすりつけごろごろと甘える
    「変わった城だな…」
    「この城の城主は女王様らしいですからね
     女王の趣味なのかもしれません」
    「女王…」
    思い出したくないロマリアの女王の記憶が思い起こされてぎゆうは眉間にしわを寄せる

  • 141二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 21:54:41

    その女王陛下に謁見を申し入れる
    ロマリアのときでもそう思ったがすぐに旅人と会ってしまう
    この世界の王や女王は彼らを警備する兵士たちも気が気ではないであろう

    「みなが私を褒めたたえる
     でもひとときの美しさなど何になりましょう」

  • 142二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 21:59:08

    確かに飛びぬけて美しい女王だ
    だが初対面の旅人への第一声がそれはどうなのだろうか
    この女王大丈夫か?という心配がちらっと頭をかすめたが

    「私にはわかります…
     何かを探してこの国にやってこられたのですね?」

    ごくごく真面目に話を続けられた

  • 143二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:01:15

    「けれどイシスは危険な土地です
     太古に作られた遺跡には不気味な罠がたくさん残っています」

    これからピラミッド探索に向かうつもりの勇者一行は女王の言葉にドキリとした

  • 144二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:03:21

    「砂漠の北にあるピラミッドや地下に作られた墓場などでは
     宝箱をむやみに開けてはいけませんよ?」

    少し話を聞いただけでもわかる
    この女王は真面目で聡明な女王だ
    じゃあ、何故あの第一声だったというのか

  • 145二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:18:41

    「きっと容姿のことばかり周囲に言われ続けているのだろうな」
    「会話の前に釘を刺しておかないとまともに話を聞いてもらえないのかもしれませんね」
    美人過ぎるのも苦労があるというものだ
    「でも女の子だったときのしのぶちゃんや
     今の伊黒さんや冨岡さんもみんな美人だけどあんな感じじゃないわよね」
    「女王という身分のせいもあるだろう」
    「ふふ…」
    「何がおかしい胡蝶」
    「いえ、ちょっと…以前の冨岡さんの女王様姿を思い出してしまって」
    「忘れろ」
    「あれはドレスが似合っていませんでしたね
     あのイシスの女王のような格好なら似合うかもしれませんよ?」
    「断る」

  • 146二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:21:12

    しかし、女王の話ではピラミッドには相当な罠が待ち受けていそうだ
    何の知識もなく向かっては我が身に呪いがふりかかるかもしれない
    そう思っていたところ、この城の女官から思いがけない話を聞いた

    「子供が歌うわらべうたには
     ピラミッドの秘密が隠されているそうですわ」

  • 147二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:23:58

    意外でもあり、それと同時にありそうな話だとも思う
    炭治郎の家に伝わっていたヒノカミ神楽が実は日の呼吸であったように
    わらべうたの中に伝承を混ぜ込んであることだってありそうだ

    「子供はどこかにいないだろうか?」

  • 148二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:26:46

    玉座にほど近い城の一室で子供達がきゃっきゃと笑って歌いながら遊んでいた
    この子たちは女王の子供にしては大きい気がするので年の離れた弟たちだろうか

    「まんまるボタンはおひさまボタン♪
     クルクルまわせばとびらがひらく♪」

  • 149二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:32:34

    「東の東から西の西♪」

    わらべうたを聞いただけではよくわからないが
    いずこかの扉を開くための何らかのヒントではありそうだ

  • 150二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:37:42

    「ところで」
    おばないが先ほどから考えていた疑問を声にする
    「ピラミッドはわかるが地下に作られた墓場とはどういうことだ?」

    ピラミッドには地下墓場があると受け取っていたが
    言われてみればピラミッドはそもそもそのすべてが墓場のような気がする
    となれば地下墓場とは…

  • 151二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:43:07

    城のあちこちを聞いて回って情報を集めるとどうもこの城の地下には王墓があるらしいということがわかった
    しかもほしふる腕輪という貴重なアイテムもその王墓にねむっているらしい

    「腕が鳴りますね」
    盗賊の血が騒ぐのかしのぶはやる気をみせる
    立派な王宮の正面から回り込んだ場所に地下への入り口を見つけた

  • 152二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:46:44

    地下へ地下へ
    歴代の王族が眠る墓だということで
    (これって罰当たりじゃないかしら)
    とみつりは少し心配になる
    一番大きな、これが王墓の中で一番の場所だとでも言っているかのような墓所に
    1つの宝箱を見つけた

  • 153二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:48:41

    いつもよりも宝箱を開ける手が慎重になる

  • 154二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:52:17

    思った通り!中にはほしふる腕輪が入っていた

    このほしふる腕輪、装備者のすばやさをなんと倍にするという

    とてつもなく強力なものである

    戦闘中はすばやさの順に攻撃ターンがやってくるためこれまでは

    しのぶ>みつり>ぎゆう>おばない

    という順番が固定だったものがある程度変えられるようになる

  • 155二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:53:29

    だが、ぎゆうたちが喜びを表す前に目の前にある棺がごとりと動いた

  • 156二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:54:55

    貼り忘れ

  • 157二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:57:32

    勝手に棺の蓋が開いて開いた場所から白い煙が出てくる
    さらに開ききると今度は紫色したモヤがあふれてきた

  • 158二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:59:58

    驚きを隠せない勇者一行に中から現れた骸骨は話しかける

    「わたしの眠りをさましたのはお前たちか?」

  • 159二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 23:01:26

    →はい
     いいえ

    「ではそこの宝箱の中身をとったのもお前か?

    →はい
     いいえ

  • 160二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 23:04:32

    「お前は正直者だな
     よろしいどうせもうわたしには用のないもの」

  • 161二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 23:06:26

    貼り忘れ

  • 162二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 23:09:45

    「はあああぁ…焦ったぁ…」
    「絶対に戦闘に入るかと思っていたのだが」
    「こんなこともあるんですね」
    「剣を抜かずにすむならそれにこしたことはない」

    なかなかに話の分かる骸骨で助かった勇者一行であった

  • 163二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 09:08:29

    保守

  • 164二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 18:09:16

    保守ありがとうございます
    画像の用意はあるのですがスレの残り的にピラミッドが終わらなさそうなので
    またある程度撮りだめ、書きだめしてから新規でスレ立てますので保守は不要ですが
    雑談等に使っていただいても大丈夫です

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