- 1二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 00:22:24
- 2二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 00:32:29
4人の担当になってわかった事がある
こいつら全員クセがつよい
距離感も近い
スーパークリークなんか隙あらば俺を抱っこしようとする
サクラローレルは俺が女慣れしてないとわかるとからかってくる
ジェンティルドンナはベタベタはしてこないが俺に金属球を握りつぶせとか言ってくる
カレンブーケドールは一見大人しく優等生に見えるがふと気がつくと背中側から俺を抱き寄せてる
甘くて良い匂い…眠くなってくる…幸せ…
とは言え多少我がつよかったりクセが強いほうが競争では有利だろう
クリークは体調…というより調子の良し悪しの良しを待たせるべき
ローレルが一番足元は弱いのだろう、プールや坂路で自分の心臓、心肺を意識させトレーニングの充実を感じさせる
ジェンティルドンナは彼女の自主性に任せつつこちらから提案する形でトレーニングを誘導する
筋量が増えてスピードが落ちないよう留意すれば彼女のセンスにまかせていい
ブーケはまず自信をつけさせるべきだろう、才能・基礎能力は他の3人にも負けてない。 自分ががむしゃらに勝ちをもとめれば一流にも勝てる事をまず自信をつけさせ覚えてもらう
こいつらの成績実績が俺の一生の食い扶持になる
楽して稼ごうとは思ってないが世の中金だ
金があれば幸せなんて言わないが――金がないと不幸だ
幸せも逃げる、不幸がまいこむ
だから金だ
世の中は金だ
こいつらはそのための金のなる木だ
俺はクリークに差し出されるサンドイッチに食らいつきながら気を引き締めた - 3二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 00:34:45
甘くて良い匂い…眠くなってくる…幸せ
おいおいおい終わったわこいつ - 4二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 00:37:39
もう既に取り込まれつつあるじゃねーか
まあ、この4人育ててたら絶対食いっぱぐれないところはある - 5二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 00:39:53
(心に)闇(を持ってる)のトレーナー
- 6二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 00:41:17
だまくらかすとは言ってるがクリークとローレルとブーケは「ほっとけないなこの人」で契約してそう
- 7二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 00:45:33
サクラローレルの大目標はシンプルでわかりやすい
最強ウマ娘ナリタブライアンを倒して凱旋門賞を勝ちたい
一方スーパークリークの目標はコレ以上なく曖昧だ
みんなを笑顔にしたい、誰かに勇気を与えたい、自分の担当になってくれた俺を喜ばせたい
ジェンティルドンナは誰もを打ち破る『強者』である事、その証明
カレンブーケドールはレースを一生懸命走れればそれでいい
一見ジェンティルドンナの目標は明確なようでとても曖昧だ
強者である証明とはどうすればよいのか、イメージしやすいのは春秋グランプリの宝塚・有馬記念
それともクラシック三冠だろうか
いや、ならばもっとわかりやすいものでいい、ジェンティルドンナらしく
俺はジェンティルドンナにティアラ三冠を提案する
最強の王道のクラシック三冠でない理由は簡単だ
クラシックに集う強者をクラシックで勝手に争ってもらう
そこでクラシックを勝った真の強者――そいつを、そいつらをシニアグランプリ、王道路線で打ち破る
皐月賞勝利者を大阪杯天皇賞・秋で ダービー勝者を宝塚記念で 菊花賞勝者を天皇賞春で
その方がよほど【強者】にふさわしい、万人が納得する
その言葉にジェンティルドンナは愉快そうに、満足そうに笑った
俺ならそれをさせられるとドンナに言い切って
内心では鼻で笑う
もしそれが出来なくても俺には最低限の実績が残る もしできれば最高、そうでなくてもこの路線ならジェンティルドンナの実力ならG1を1勝2勝は固い
ジェンティルドンナのやる気をあげるためなら俺は彼女が求めるであろう言葉を吐くし彼女を全身全霊で支える
そこに愛情がなくてもそれがトレーナーのしごとなのだろう
良心? 良識?
そんなものがあるなら俺みたいな人間は生まれてない - 8二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 00:46:39
クリークローレルブーケはたぶんどっかしらで結託してトレーナーの闇を浄化しようとする
ドンナは参画しないが止めもしない
トレーナーが意固地になって自らの闇にしがみつき、クリークローレルブーケに自らの闇をさらけ出すように暴言をはいた時に初めてドンナが動きフィジカルとメンタル両面で完膚なきまでに叩きのめす
心身ボロボロのトレーナーをクリークローレルブーケが癒し、今度こそ浄化に成功する……といったところか - 9二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 00:57:23
皆の笑顔のために走りたい
俺が一番理解できない理由と目標をニコニコしながら挙げたのはスーパークリークだ
元々は別トレの所属だったがあまりにひどいもので声をかけた
――そんなんで走っても逆効果だから1ヶ月ぐらい休んだらどうだ
誰かのため、他人のため、担当トレーナーのため
一番くだらない理由で走っていた。 だから自分の体調も本質も状況も理解出来てない
明らかにオーバーワークだし脚ではなくおそらくは内臓疲労からくる過労
元々脚ではなく体質が弱いのだろう
だからクリークの担当トレーナーにかけあって強制的にでも休ませるべきだと頼んだところ担当トレーナーは激怒
そりゃそうだ、新人のクソみたいな男に突然担当のトレーニングに口出しされたのだから
プライドが傷つくのも当然だしこんな無礼な男に口出しされるいわれはないだろう
だが――俺からしたら重賞クラス、いやG1クラスの素材であるクリークを無駄に教科書のようなトレーニングを強要するほうがよほど『勿体ない』 なぜ金の玉子をドブにすてるのか理解できない
多少口汚く口論をし、強引にクリークの休養を勝ち取って
そしてクリークに逆スカウトされた
『放っておけない』と言われたが自分がどのような状況かわからないのに他人の心配とは恐れ入る
こういうタイプは何か合っても適当に誠実そうにしてればなんでも許すし多少の無茶なローテもこなすだろう
良いように使えそうだ それに才能は十二分にある、おそらくステイヤーだがハイスピードの先行力は中距離でも通用しそうだ――今は単に調子が上がってないだけなのだから焦らなくて良い
それとああ、この卵焼きうまいな、甘くて……うんおかわり
ジェンティルドンナにクラシックではなくティアラをすすめたのも今回は同期にあたるクリークを3000mのある菊花賞に挑戦させたいからだ。
もしかしたらダービーや皐月賞も好走するかもしれない、間に合えばだが
ところで「今回は」ってなんだろうな?
まあどちらでもいい、菊花賞を目標にそこまではゆっくり、ゆっくりでいいのだ - 10二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 00:59:16
ちょいちょい危うい場面こそあれど虚勢を張れているのでドンナ的にもポイント高いですねこれは
- 11二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 01:06:49
無自覚に胃袋掴まれかけてるのいいですねいいですね
- 12二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 01:08:09
一番『勿体ないな』と思ってこちらから積極的に声をかけたのはブーケだ
才能、素質は超一流だが控えめな性格のせいかポジショニング争いが原因の敗走が多い
無茶に突っ込む、多少のぶつかり合いを歯ぁ食いしばって耐える、はねのける
それぐらいの根性と性格の悪さ強さがなければ戦えない
とはいえ性格の問題なのでここをどんな理屈で言いくるめてもレースではなんの役にも立たない
ならばしっかりと戦ってもらおう――鬼婦人ジェンティルドンナと
徹底してジェンティルドンナと並走させる
残念ながら逃げのスピードを維持できるほどの筋持久力はない。バ群とポジショニングの問題なら逃げに転向すべきだがおそらくブーケのスピードを一番活かせるのは先行だ
ならば最も「強い」先行能力をもつジェンティルドンナとガンガンにやりあってもらう
最初は涙目だったブーケもドンナとの交流も含め、遠慮なく戦って良い事を覚えてきた
もちろんジュニアですら鬼婦人と言われるドンナとぶつかり合いで勝てるわけはないが――そのメンタルがあれば十分だ
あとは多少格下の連中と模擬レースを組んで……たった一言
「あいつらは来年クラシックでドンナのライバルになる強者たちだ」
と適当に嘘をつく
模擬レースでバ群に揉み負けず走ったブーケを最大限の笑顔で称賛する
あれだけの猛者相手に一歩も譲らなかったことを勝利そのものより褒める
嘘、虚言、世辞、だまくらかし
それだけでブーケは戦える
これならメイクデビューも安泰だろう……次のカモたちが集まる模擬レースをチェックしなければ - 13二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 01:21:37
サクラローレルは3人より1年早くメイクデビューしたクラシック組
元々は引退すら考えてたらしい
ナリタブライアンに憧れ、一緒に走りたいと
しかし蓋をあければ最強のナリタブライアンを倒したいと
その時のローレルの表情は俺もゾクリと恐怖を覚えるほどだった
しかし彼女の脚は脆すぎた。 あまりに弱く才能とスピードはピカイチなのに脚がそれに耐えられない
ふむふむ
それは――今までのやり方が間違ってるだけだ
俺はそういった。 ちなみに何か根拠があったわけじゃない。
練習風景のそのスピードと類まれなるスタミナは確かにG1級だった
だから口からでまかせをいっただけだ
――壊れるかもしれないならいいじゃないか
――引退するぐらいなら――こわれるかもしれないその脚で
――俺にG1くれよ 引退するなら脚壊れたらでいいじゃん
正直ナリタブライアンに勝てるかどうかなんかわからない。 というかそんなのおそらく無理だ
ジュニアのナリタブライアンは明らかに日本URAの未来を背負って立つレジェンドの片鱗がみえている
あの独特の走法、すべてをくらい尽くすような豪脚、あの『強さ』は当代ではなく歴史上最強なのではないか
さらに1世代上のビワハヤヒデより明らかに違う最強にふさわしい強さだ
でも、そんなのはどうでもいい
サクラローレルという素質の才能がこのまま引退するのは『勿体ない』
だから俺ならお前を強くできるとでまかせを言った
俺ならナリタブライアンに勝たせられる
そこまで言い切った
ローレルは結局契約を打ち切って何一つ――実績も才能も誠実さもないクソなトレーナーと契約をした
……ブライアンに勝てるとしたら――菊花賞だろうか
ローレルはそこまで我慢できるだろうか
それまでローレルには脚に、トモに筋肉をつけて心肺を徹底して鍛えてもらう
筋肉で徹底して骨を弱い脚を固め補強し――それでもその重さに負けなければ
菊花賞に――間に合えばいいが - 14二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 01:28:52
トレーナー室
ソファに座り紅茶を嗜むジェンティルドンナに声を掛けられる
――貴方はその椅子に座ってる時――鬼気迫る表情してるわね
トレーナー室は紅茶の匂い、誰の香水かしらないがやたら甘いいい匂いがする
そんな中俺がどんな表情をしてるかなんか考えたこともない
そもそも鬼気迫るといってもそんな感情的になにかをしてるわけじゃない
ローレルのトレーニングのためにプールと坂路の空きを確保して
ブーケが気持ちよく勝てるちょうどいいカモが出る模擬レースを探して
クリークの体質改善になりそうな書籍やレポートを探して
正直ドンナは一番手がかからない――彼女のトレーニング内容を再確認するだけでいい
だからそんなに自分が鬼気迫るような顔をしてるという事にピンとこない
元々そういうムスっとした顔なのだろう。 とはいえそれでは担当達の信用は得られないかもしれない
君たちの人生とレースに命かけてるんだからそんな顔にもなるかもね
と俺が答えるとドンナはつまらなそうにため息をついて紅茶に視線をおとすだけだった
――貴方に利用されるのは結構。 でも貴方におべっかを使われて喜ぶほど安くありませんわ - 15二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 01:34:44
――他の子たちはわからないけれど
ドンナは前置きをしてから紅茶をすすり
――貴方が心の底から担当たちの人生のために、レースのためにその身を粉にしてるなんて思ってませんわ。 そんな生易しいモノじゃないもの、貴方のその表情
――まるで、自分が人生をかけてレースを走ってるみたい
俺はタブレットでドンナから顔を隠したまま、そんなことはないよ
と白々しく答える。 ドンナは元々本質を見抜くような鋭さと年不相応な達観さがある
だが、もし俺の本性を知ってもなお担当契約を結んでいるのはなぜだろうか?
簡単な事だとドンナは笑って立ち上がる
トレーナーの椅子にゆっくりと歩み寄り、そっと俺の頭をその手で撫でて
――貴方はこの学園で、一番真剣に生きてるわ。強者としてはそれで十分――素質はね
なにが強者だ
生まれも育ちも恵まれてそこから上を目指すのが強者だろうに
俺は他人を利用して生きるだけの寄生虫だ
――それでも、私は貴方が好ましいわ - 16二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 01:43:21
どうやら本性はドンナにはバレてるらしい
幸い担当契約は解除されないしドンナとの関係も良好ならばそれでいい
俺は彼女の成績を実績に。 そのために必要な事をするという事はなにも変わらない
むしろメンタルケアのためにおべっかやお世辞、心にも無い誠意を装う必要もない
それはとても楽だ
しかし
しかしそれは……本当に彼女に『支え』が必要な時、自分はどうすれば良いのか
後日
そんな事を悩んでいるとクリークに昼食に誘われる
テラスのカフェではなくベンチのある噴水でお弁当らしい
クリークは世話好きで家庭的、料理もできる良妻系――いやお母さん系と言うべきか
問題はいつでもどこでも「あーん」でお弁当をたべさせようとするところだろうか
――はい、手作りのお弁当ですよ
とベンチで早速あーんをさせようとするクリークを制しようとしてやめる
クリークはこう見えて気分屋というか、メンタルが競争能力に直結する
気分が良い時のクリークはまるで翼が生えたような大跳びで軽やかに走るのだ
悩みが合ったり気分が晴れてないと明らかにその精細を欠く
だからできる限りクリークが喜ぶように「甘えるフリ」をする必要がある - 17二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 01:50:31
素直にあーんをさせられ、むぐむぐと肉団子を食べる
甘酢の聞いた優しい味だ、家庭的な料理というのはこういうものをいうのだろうか
とても美味しい、クリークは料理が上手なんだね
嬉しそうに満足そうに
鏡をみて何千回と練習した笑顔を見せる
クリークは嬉しそうにニコニコしながら他の料理もあーんさせてくれる
メンタルがトレーニングや競争に直結するというのは
要は俺のためなら頑張れる、という構図をつくればいい
そのための茶番ならいくらでも、喜んで
実際お弁当は美味しい、家庭の味、お母さんの味、そういうのはあまりわからないが美味しいものにはちがいない
お弁当を食べ終えて
食休みをしようと思ったら身体を引き寄せられる
視界がぐるっとまわって――頭が柔らかいものに包まれた
膝枕……視界は空へ、それをふさぐようにクリークの笑顔が俺を覗き込んでいる
これも全部クリークのメンタルのため
俺は甘いクリークの匂いを感じながらウトウトとしてしまっていた - 18二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 01:54:18
(膝からクリークの顔見えるかな…まあ細かいことはええか!)
- 19二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 02:01:36
トレーナー室の隣は空室だ
日当たりがやたらいいそこは空室もエアコンもガスコンセントもある
そんな空き部屋をそっとあけ、その内側のビニールの膜をくぐる
むせ返るほどに甘いたくさんの花の匂い
空き室を利用してDIYで作った温室で花の世話をしてるのはカレンブーケドールだ
ブーケは俺を見つけると笑顔を向けてくれる
自信と気の強い部分がつけばバケそうな少女はやはり花に囲まれてるのが好きな乙女だ
ブーケは今日咲いた花の話を嬉しそうにしてくれる
花に興味なぞあるわけないがここで育ててる花の知識はインターネットで頭に全部叩き込んでいる
ブーケのおかげですっかり花に詳しくなった。 副会長…エアグルーヴと多少の花壇談義できる程度には
クリークとは違う方向だがブーケもメンタルケアが重要だ
ブーケは一人ぼっちじゃない、自分がいつでも見てる、ブーケはすごいウマ娘だ
褒めて、ほめて、おだてて、肯定する
実際のところまるきり嘘というわけでもない
彼女の素質はクリークやドンナにも並ぶほどだと思う、どこかでこの気質やレース運びが覚醒すればだが
一歩譲る、その繰り返しで善戦ムスメの印象だがそれだけ譲って善戦できるほうが恐ろしいのだ
ブーケを全肯定し褒めているとブーケの瞳が潤んで頬がとろけたような顔になる
俺はにこやかにブーケを抱きしめ、背中をぽんぽんと叩いてあげる
もちろん『商品』と間違いをおこすつもりはないがスレスレギリギリなぐらい、ハグし身体を密着させる - 20二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 02:05:38
そろそろ離れようとした俺に優しく抱きつくブーケ
まってブーケもうおしまい、まってブーケあっいい匂い
甘くていい匂いで頭ぽーっとする
――この花の蜜って、海外で媚薬のおまじないにつかわれるそうですよ
まって、まってまって俺と君は担当契約、間違いあったら契約解除
だから待ってブーケ、あっブーケ柔らかくてぎゅっとされると気持ちいい
私がぎゅうってしてるだけ、ですから♡
と耳元で囁かれて足を絡まされ、まるで食虫植物のツタに絡みつかれたようにうごけない
太ももやら身体やらすっごい擦りつけられた気がする
しかし乙女で清楚なブーケがそんな事をするわけがない。 するわけがない
だからあれは気の所為なのだ
なにもなかった……あの温室では何もなかった
そうつぶやきながら俺はトレーナー寮で眠りについた - 21二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 02:16:00
今現在一番ハードにトレーニングをしてるのは実のところサクラローレルだ
プール、坂路など足元に負荷がかからない競技で徹底して筋肉を身体をいじめ抜く
芝ダートのメニューは最高速度を出すためでなくあくまでフォームやポジショニングピッチゲートその他のため
それでも脚はガラスのような軋みをあげるが容赦はしない
故障するなら今しかないのだ。夏秋に故障すれば菊花賞が絶望的になる
それまでに身体を作れるか脚が故障するかをギリギリを探りながら身体をいじめ抜くしない
しかし大したものだ。 脚が壊れるという恐怖は想像を絶するだろうにローレルはそのメニューをしっかりこなす
――トレーナーさんって、マゾですよね?
休憩中、ローレルが突然言った言葉に俺は飲み物を吹き出した
ローレルはからかい上手なお姉さんといった子ではあるがこんな直球で言う言葉ではないだろう
はいはい、そういうのは卒業してからね
とローレルを優しく撫でると、逆にローレルが俺の頬を撫でてきた
ゾクゾクと震える俺に、ローレルが目を細める
――そうですね、今シちゃったらブーケさんやドンナさん、クリークさんに怒られちゃいます♪
とあっさりローレルは離れた
芝にすわったままローレルはじっと俺をみつめてくる
俺はその話を聞かなかったことにして立ち上がろうとしたらローレルが遮るように押し倒してきた
くそ、こんな子供になにときめいてんだ俺は
学生の本文だなんだを言うつもりはない
そんな事にうつつを抜かせば自分の実績も将来も金もパーだ
ローレルもドンナもクリークもブーケもそんじょそこらのどこにでもいるウマ娘じゃない
才能の塊、その輝きは宝石というのも陳腐なほどだ
だからローレルやブーケのこういうのはとても困る
とはいってもローレルは本気じゃなく大人をからかう女子高生なのかもしれないが - 221◆D0W.QptMV4qr25/10/09(木) 02:17:14
寝ます
素人の話なので細かいとこはそうだねプロテインだねでお願いします
ローレル=クラシック
ドンナクリークブーケ=ジュニア
です - 23二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 02:27:26
お疲れさまです
長編になりそうですね
続きを期待してます - 24二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 02:28:42
俺は結構好きよもう半分ぐらい堕ちてそうで草だけど
- 25二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 02:31:27
- 26二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 03:00:42
クリークはそうでもないけどブーケとローレルはもうマークしてないか
- 27二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 03:14:15
メチャクチャ真剣にローレルを勝たせようとしてるんだな
- 28二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 03:18:57
闇(笑)じゃないけどいい奴っぽいのにこのトレなにがあってこんな闇抱えちゃったんだよ
- 29二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 07:26:19
育ちが悪いせいで成長期に栄養とれなくてクリークやドンナと同じくらいの背丈だと私性合
- 30二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 08:07:49
面白いぞ
文章量が多いのにスルスル読める - 31二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 10:38:56
マークと言うかマーキング済みというか…
- 32二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 10:52:52
闇トレだろうと光トレだろうと自分なりの育成理論ができあがってる新人トレは強い
昔そんな自称下衆トレがいたなあと思う - 33二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 10:59:17
これジェンティル以外もトレーナーが自分たちを利用しようとしていることに気づいてなお惚れてついてきてるっぽさそうなのが芸術点高い
- 34二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 11:03:33
クリークのお世話を遠慮してはいけない
俺は闇のトレーナーであり確かに俺自身の過去も人生も自分自身もクソだとは思ってはいる
だが人間関係――他人までクソだというつもりも無いし思ったことはない
クリークは他者を思いやる優しい心の持ち主だ
慈愛に満ちた女性、というのは彼女にピッタリの言葉だろう
そんな彼女の気持ちや思いやりに応えるためにはそれを遠慮してはいけない
誰だって自分がなにかしてやろうと思った時にそれを遠慮されたら肩透かしをくらうだろう?
差し伸べた手の行き場にこまるはずだ
だからその優しさや思いやりは遠慮なくうけるべきだ
正直毎日のようにお弁当を作らせているという事に多少の申し訳なさもあるがそれを遠慮するより
――とても美味しい。毎日クリークにお弁当を作ってもらってとても嬉しいよ
そう微笑むのが彼女にとって幸せなのだろうと思う
彼女は人のために多少無理、無茶をしている方がやりがい、張り合いがあるのだろう
正直俺には何一つ理解はできない。 それどころか覚めた気持ちでいることもある
きっとそれは俺自身が真っ当な人間じゃないからなのだろうな
俺は甘酢あんのかかった肉団子をクリークにあーんしてもらいながらそんな事を考えていた - 35二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 11:14:35
ロクでも無い生まれってのが誇張や闇(笑)のトレーナー的要素ではなく、本当においたわしい生まれ育ち環境だったんじゃねぇかな
- 36二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 11:16:35
- 37二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 11:17:54
クリークが俺に「なぜそんなに一生懸命になってくれるのか」と聞いてきた
正直そんなに必死にやっているつもりもない
トレーナーというのはもっとこう――うまくいかないもので苦労や不満不具合の連続だと思ってた
俺自身仮面の「いい人」を演じる努力も練習も幼少からしてきたが俺が考えてた以上にトレセン学園の生徒はいい子が多いしクリーク達はその中でも飛び抜けて「良い子」たちだ。 手がかからない
正直言うとトレーナーというのはチョロい職業なのではないかと思ってしまう
彼女たち一人一人を把握しそれぞれに合うトレーニングや応対をするサービス業だ
おそらくはトレーナーという人種は本来もっと担当と一心同体になってレース人生を歩むのだろう
だからレースにまければウマ娘と同じように悲しみ、心を痛め、憤るのだろう
俺は彼女たちにそこまで寄り添う気もつもりもないからきっと楽に感じられるのだ
ここまでいい加減なトレーナーでもオモテヅラだけよければいい人、一生懸命だと評価される
トレーナーだからね。 クリーク達に人生を捧げるのは当たり前の事だよ
一生懸命でもなんでもない俺はクリークに笑顔で応える
クリークは目を丸くして――少しだけ顔を伏せたがすぐににこやかに微笑んだ
――私、勝ちますね。 メイクデビュー
ああ、そうあってくれ。 メイクデビューだけじゃなく目標の菊花賞までとりあえず頑張ってくれ、俺の報酬のために
とはいえ、毎日のようにお弁当を作ってもらってるのも多少は気が引ける
なにかお返しをすべきだろう - 38二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 11:27:43
――クリークさんが喜びそうなモノ……ですか?
若い子の流行、趣味、傾向というのはすぐに代わってしまうものだ
こういうのはインターネットでいくら調べてもその時代その世界に精通していなければわからない
例えばアニメに興味無いやつがインターネットでアニメの人気作品を調べても実際の傾向やファンの空気がつかめないようなものだ。 社会的なヒットをした大人気作品ばかり並ぶことだろう
こういうのはやはりウマ娘に相談するのがいい
俺はカレンブーケドールに正直に事情を説明し相談することにした
お弁当のお礼がしたいが最近の女の子が喜びそうなものがわからない、と
温室と化した空き部屋でブーケはすこし考えるように天井を仰ぎ
――哺乳瓶とか、ガラガラでしょうか?
???
何を言ってるのかちょっとわからない
困ったように首を傾げるとブーケは慌てて両手を振る
忘れてほしい、とブーケは笑って
クリークさんは趣味らしい趣味というより託児所で子供のお世話や学園でも他人のお世話をしている
だから欲しいものはプレゼントというより絆創膏だったり、飴玉とかの小さなお菓子だったり
贈り物とは少し離れてそうだと、ブーケも思案してしまっていた
そういえば飴玉をよく口に入れられてる気がする
何かをお世話したり構うのが好きなのはよく分かるしそれは彼女の長所だろう - 39二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 11:35:39
そうなると――ポーチの類だろうか
俺はブーケに女の子はポーチや小物入れが被るとこまるのかなどを聞いてみる
幸い、女の子にとってバッグや小物入れはおしゃれも含め数はいくらあっても嬉しいというのは俺が学生時代に聞いた話と一致していた
絆創膏や飴玉をいれておける、彼女の肩掛けバックに入りそうな小さなポーチがよさそうだ
それと一緒に、ブーケならどんなモノが嬉しいかと聞いておく
ブー今ならやはりこの温室で花のお世話に使える剪定ハサミや可愛い作業衣服があると嬉しいでしょうか――ちょっと女子高生らしくはないかも、ですけどと答えてくれた
それをしっかりと記憶して俺はブーケにお礼を言う
クリークだけ、というのも不公平だろう
彼女たちは皆頑張っているしここらで贈り物でモチベーションがあがるなら安いもの
サクラローレルへのプレゼントはもう決まっている――普通はこんなものをプレゼントにはしないのだがまあマイナスにはならないだろう - 40二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 11:42:35
凱旋門賞のパンフレット
パンフレットというが実際週刊チャンプぐらい分厚い冊子だ
凱旋門賞の歴史・歴代勝利者・その軌跡・ロンシャンレース場の解説やその周辺の自然まで網羅されてる
それと凱旋門賞の歴代レースをまとめたDVD
サクラローレルの目標は凱旋門賞
ナリタブライアンならともかく一般のウマ娘が掲げる目標としては夢物語
それでも――その夢を現実にするにはその馬鹿げた夢をずっと見続けなければいけない
夢が叶うかどうかはわからずともその夢を想い続けなければ実現はしない
ついでにもう一つは一般の安っぽいDVD
こちらはナリタブライアンのトレーニング映像を入手し、焼いたものだ
大目標が凱旋門賞制覇ならこちらは中目標
とはいえナリタブライアンにかつのも夢物語――あの怪物に勝てるようなウマ娘は「まだ」今はだれもいないだろう
それでもこの注目票は凱旋門賞に繋がってる
化物・怪物だらけの凱旋門賞を勝つにはナリタブライアンにも打ち勝てないといけない
本当にローレルがナリタブライアンに勝てるならば――凱旋門賞への道は開ける可能性はある - 41二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 11:48:31
凱旋門賞のパンフレットやDVDをローレルにプレゼントするといたく喜んでくれた
いつも以上に瞳が輝いている。 やはり彼女にとって凱旋門賞は本気の夢なのだろう
ならばその夢のためにも――怪物に勝ってもらわなければいけない
もう一つのプレゼントであるナリタブライアン秘蔵DVDを渡す。 もちろんローレルは喜んでくれたがその瞳は怪物を喰らおうとする狩人のような強い光がこもっていた
嗚呼、この子は本気でナリタブライアンを倒したいのだな
もっと楽に栄光を掴む方法などいくらでもあるだろうに
ナリタブライアンを避け長距離のG2と出走の隙間のG1を狙えばサクラローレルもG1を一つ二つはいける
ナリタブライアンに挑み続ける限りは2着――金の盃は手に入らない
それでも――サクラローレルはその脆く弱く、そして疾く強い脚をかけてナリタブライアンとぶつかりたいのだ
ならばそれに付き合うしかないだろう
そしてどうせやるならば全力で――ナリタブライアンをに勝つつもりでやるべきだ、俺自身も - 42二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 11:59:37
良い…作品だ
- 43二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 12:00:02
担当の四人に贈り物をする
一番贈り物に困る相手はジェンティルドンナだ
家柄が大富豪・金に困る事もなく金で手に入るものは当たり前のようになにもかもすでに持っている
こういう相手が一番困る
モノの値段よりその気持が大事。 そういう言葉があるが実際そんなことはない
送る側はそんなのは屁理屈なのだとよくわかってる
洋服でも香水でもアクセサリーでも自分がどんなに頑張っても買えないものを当たり前のように身につけてる
彼女のライフワークである筋トレのためのアイテムだって一つ一つが俺の給与じゃ逆立ちしたって買えない
くそ…やっぱり世の中金なんだチクショウ
いや俺がこんなみすぼらしい人間だから発想そのものが貧困でジェンティルが喜ぶものが浮かばないのかもしれない
迷いに迷った結果
俺は一人のウマ娘に相談することにした - 44二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 12:06:25
俺は手のひらの収まる小さな宝石箱を握りしめてジェンティルドンナを待った
さながらジェンティルドンナという強者に挑む哀れな身の程知らず、といったところ
ノックのあと数秒を置いてジェンティルが入ってくる
彼女の表情は何か察してるかのようにこちらに微笑みをむけている
渡したい物がある
俺は正直に彼女に打ち明ける
四人に贈り物をしようと思ったこと
ジェンティルドンナへの贈り物が一番困った事
金銭の問題ではないがトレーナーの給与では大したものは買えないこと
――それで? 貴方は迷って悩んで…わたくしに何を贈ってくださるのかしら
愉快そうに試すように笑うジェンティルの前に小さな宝石箱を置く
ジェンティルはそれを静かに開け
――歪んでいますわ
と呟いた - 45二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 12:16:20
宝石箱には小さな小さなペンダントトップ
真っ赤なルビーも小さなモノで台座は銀
高いものではないし台座も装飾部も歪んでいる
当たり前だ――これは俺が作ったのだから
あら、とジェンティルドンナが目をすこし見開いた
俺は続ける。 親が宝石商のウマ娘に相談してハンドメイドの方法を教わった
今はそんなモノしか作れない、でもジェンティルがG1一つ勝つたびに一個作ってプレゼントする
もっと良いものを作って最後にはジェンティルが認めるようなペンダントトップを贈ってやる
プレゼントはペンダントトップではなくて――小さな挑戦状だ
彼女は自身には厳しいが他人が自分に挑み挑戦するのを好む性格だ
そしてそれに負けていてもくじけず再び挑むような不屈さを良しとする
だから良家の御嬢であるジェンティルが認めるようなものをド素人の俺が作ってみせると小さな小さな挑戦状を叩きつけた
まあ、正直に言えば――楽しかったのだ
気持ちでいいんだろ!?だったら手作りでなにか作ってやらあ!ぐらいの気持ちであったが
作っていくうちに楽しくて――ジェンティルを認めさせてみたいと――嬉しい気持ちになってほしいと
そう思ってしまったのだ
だから最終的に歪んだペンダントトップしか作れなくてもそれを今は贈ることにした
ほほほ
と愉快そうに、嬉しそうにジェンティルは笑った
とても良いプレゼント――楽しみに次を待っていますわ
そう答えて、その歪んだペンダントトップにピンを通し左の耳飾りにつけてしまった - 46二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 12:27:49
トレーナー、貴方が欲しいのは名誉? それとも――お金?
ジェンティルが投げたその問いかけに俺は迷わず『金』と答えた
俺の本性はジェンティルにバレている
とりつくろった笑顔も口先だけの褒め言葉も、社交界を戦っているジェンティルドンナには見飽きたもの聞き飽きたものだったのだろう
だから俺も遠慮も嘘もつかない、正直に金のためだと答える
金があれば幸せだとは言わない
でも金がないのは不幸だ
そうかしら?と問うジェンティルに俺は答える
少なくとも金があれば何日もメシが食えないなんてことはない
メシを食うために子供がしたくないことをするなんてことはない
だから――金がないのは不幸だ
世の中が、社会が、世界が
そんな事は言わない。 よくある不幸だ――ただただ、カネがないと人は狂うのだという
だから勉強をして資格とってトレーナーになった
お前らが実績を残せば俺の報酬も増える
だから俺はお前らを本気でレースに勝たせる
それがジェンティルのいう最強・強者としての証明にもなる
――なら、本気で私を最強にしなさいな。 そうしたらう一族の養子にでもなればいいわ
そりゃいい、ジェンティルの一族に婿養子になれば俺の一生は安泰だ。遊んで暮らせるだろう
だが、ソレは出来ないと断った - 47二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 12:34:16
貧乏というのは不幸なものだ
食うものもない・教養も教育も――良識もモラルもない
それは子供に限らない
誰が悪いわけでもない。きっとそうした親も悪くない
だけど――それでも不幸はおこる
メシを食うために法に触れるようなことをする奴はいるのだ
そしてそれを子供にさせるようなこともあるのだ
だからそんなのは名家一流の養子にしちゃいけない、勿論これを今ジェンティルにいうべきではないだろう
それは俺が本当にジェンティルを最強にしてから話そう
と話をはぐらかした
俺が作ったペンダントがジェンティルの左耳できらりと光る
それだけで俺は満足だし少し誇らしい気持ちになる
――ありがとう。 ジェンティルドンナ
自然にお礼の言葉が出た。 ジェンティルは深く詮索はせず部屋を出ていく
すこし、感情的にあれこれ話しすぎたな
疲れが出た俺はソファに転がり目を閉じる - 48二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 12:43:45
頭に…顔に…柔らかい感触が触れている
ぼやけた意識の中まぶたをあけると俺はいつのまにかスーパークリークに膝枕されていた
ああ、少し眠っていたのかと起き上がろうとする俺をクリークが優しく片手で制する
もう少し眠っていて下さい
そんな声にうとうと、と眠さに抗えずに目を閉じる
ブーケやドンナとは違う甘い匂い
安心するようなミルクにもにた優しい匂いだ……母親に抱かれて眠るならばこうなのだろうか
俺はいつしか膝枕のままクリークの腰に抱きついていたらしい
目を覚ました時の格好に仰天して離れ、クリークに謝罪の土下座をしているとクリークは困ったように笑っていた
クリークは立ち上がりトレーナー室のドアに手をかけて鍵をかけてしまう
もう一度ソファに座ってぽんぽんと自分の膝を叩いて
――これなら誰も入れませんし……誰か着たらバレずに離れられますから♪
クリークにはやりたいようにさせるべきだ。お世話や甘やかしを遠慮すべきではない
これはクリークのため……クリークのためだ
自分にそう言い聞かせて俺は再びクリークの膝枕に堕ちる
甘い匂いと柔らかくて温かい空気
安らぎと幸せな時間……でも、これはクリークのためだから…… - 49二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 12:52:17
カレンブーケドールは才能に溢れた強いウマ娘だ
しかし致命的なまでに優しく争いを好まない性格をしている
レースというのは争いで闘いで他人を押しのけ打ち負かした先に勝利がある
正直状況・調子次第ではジェンティルドンナとも良い並走になる。 これはジェンティルドンナも認めている
しかし模擬レースになると途端に能力が何ランクも落ちる
明らかに遠慮したポジショニングとレース運びのせいで明らかに実力をだせない
逃げ指示前提のレースも試したが明らかに精細を欠くのでやめた。 ブーケは間違いなく先行か差しだ
しかし差しのようなバ群に突っ込み押しのけるレースは不可能。 だがポジショニング争いの激しい先行でもその性格が邪魔をする
――争いは好きではない
考えた末に俺は一つの作戦をとることにした
――選抜教習所、担当トレーナーの居ないウマ娘指導いたし〼
そんなこんなで、まだ担当契約が結べてないウマ娘ちゃん達を選抜レースに向けて集め集団指導をする
状況が飲み込めない四人にも手伝ってもらう。 特にブーケに
これは担当契約がまだのカm――もといウマ娘ちゃんたちのトレーニングではなくブーケのトレーニングだ - 50二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 13:00:06
ブーケは気立てもいいし優しい穏やかな性格だ
故にウマ娘たちからの評判もよくすぐに仲良くなっていく
そしたらすぐに模擬レースだ。 勿論メンバーはブーケとその仲良したち
当然ブーケの実力的に圧勝する。 正直この時点でまだ契約を勝ち取れないメイクデビュー前の子では勝負にならない
模擬レースのあと、ブーケは皆から囲まれていた
――ブーケさんってすごいだね
――こんど並走しようよ
――次は負けない…いや着差もうちょっと縮めてみせる
ブーケは戸惑うような、不意をつかれてるような表情で生徒――いや友達に接していた
練習後、ブーケと少し話をする
レースで負けるのは悔しい。 それが模擬レースであっても
でもそれは勝った人間が負けた人間を不幸にしてるわけじゃない
打ちのめしてるわけじゃない
レースで闘ってはいても――レースが終われば皆はきっと争いだとは思ってない
人とのつながりに臆病になるのはわかる
俺だって嘘ばかり、仮面ばかりの人間関係と人生だ
俺はブーケより臆病で卑怯者だ
だから少しだけブーケの気持ちはわかる。 でも
だけどきっとブーケが必死に闘っても、それで1着になっても
悔しいはあっても誰も憎んだり恨んだりはしない - 51二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 13:07:24
模擬レースを繰り返して
選抜も近くなり解散前に一つ大きな模擬レースをする
スーパークリーク・ジェンティルドンナ・カレンブーケドール
この三人も参加する模擬レースだ。もちろん選抜組ではこの三人には敵わないだろうがそれでも挑戦したいという参加者ばかりだった
勝つためにどうしようか、ブロックの相談位置取りの相談も自由にさせた
ある意味卑怯、ある意味貪欲なその光景をブーケは迷うように見つめていた
――ジェンティルドンナに勝ちたくないか?
俺は一つの博打を打つ。 ブーケの奥底にあるウマ娘の本能に問いかける
レースで勝ちたいと思う気持ちはブーケにもあるのだ。 そうでなければ中央トレセンなんかにいない
負けても良いどうせ模擬レースだ全力でぶつかってこい
俺は発破をかけ、模擬レースを開始する
レースはスーパークリークを先頭に速いペースで進む
ジェンティルドンナをマークする選抜組は囲むように
その後ろにブーケが控えしかけどころに入る
ジェンティルはスパートと同時にバ群を押しのけてしまい、クリークに並び
その隣にブーケがいた - 52二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 13:13:00
ジェンティルに張り付くように…間違い一つでぶつかるような張り付き方で
ブーケは今までにない真剣な……必死な表情でジェンティルに食らいついていた
ジェンティルも歯を食いしばってスパートする
スーパークリークも譲らない
それでも二人を押しのけるようにブーケが頭一つ抜け出しゴール前でクビ差で一着でゴールした
ブーケを囲み喜ぶ選抜組
ジェンティルは少し悔しそうだったがクリークはいつも通りニコニコしていた
それでも……ブーケが勝利のために他者を打ち負かした
その本気さ必死さにジェンティルも満足そうな表情でブーケに手を差し伸べていた
結局のところ一番早くメイクデビューに出走したのはブーケでレースは圧勝だったのはもう少し後々の話だ - 531◆qxc6n.SpgKwJ25/10/09(木) 13:14:11
休憩します
ちなみに間にコメントが有っても気にしない性質なのでコメントはあると喜びます - 54二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 13:53:37
真剣でいい奴なのに闇深そう
- 55二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 14:32:48
良いじゃねえの…
応援してるぜ - 56二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 15:06:38
こんなに文量あるのにすらすら読めるのすげぇや
応援してるで - 57二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 15:47:36
ちゃんと担当ウマ娘たちの解像度が高いのは個人的にポイント高い
応援してる - 58二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 15:48:14
いいんだよトレーナー
楽になってしまえよ気持ちいいぞきっと - 59二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 16:02:57
これ闇のTが預かり知らないところで、担当たち同士で「わたしの」トレーナー談義する日が来たりするのかな
- 60二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 16:41:40
ちょっと陥落してないかい?
- 61二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 18:45:12
自分が持たざる側だって自覚と手が届かない世間一般の普遍的な幸せを認知しているのが絶妙なおいたわしさある
- 62二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 19:28:10
壮絶な過去があるからこそ幸せになるために誰かにとっての必要悪になる覚悟を決めてる人、嫌いじゃないし報われてほしいとなるわ
- 63二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 19:56:41
ククク…俺は闇の読者
良作の匂いがプンプンするぜぇ! - 64二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 21:51:50
世の中は平等じゃない公平じゃない
だから努力をするのだ頑張るのだ、そんな事をどこかで言われた気がする
嘘つきめ
世の中は平等でも公平でもないからその努力すらさせてもらえないのだろうが
ウマ娘だってそうだ、脚が弱ければ努力もさせてもらえない。 騙し騙しトレーニングをするのと全力でトレーニングを繰り返すのとどちらが「頑張ってる」のだというのか
サクラローレルはこんなにも才能に満ち溢れてるのにそのガラスの脚のせいだけでまともにトレーニングができない
骨が細く柔らかくそのせいでその周辺の腱に負荷がかかる
将来的に骨折はせずとも屈腱炎、最悪靭帯や健そのものの損傷断裂もありえるだろう
骨折ならまだいい。 靭帯や屈腱の損傷は間違いなくレース人生の終演――彼女は常に死神と並走しながらトレーニングをしている
俺はプールと坂路に出向き毎日のようにトレーナーやウマ娘に頭を下げる
隙間の時間だけでもいい、並走やプールのレーン一つ譲ってもらえるなら万々歳だ
時に菓子折りを持ち時に土下座同然のオーバーな頼み方で高負荷かつ脚に負担のかからないトレーニング場を確保する
頭の下げ方はトレセンに来てから本当に上手くなった
サクラローレルはそんな情けないトレーナーを軽蔑するどころか「ごめんなさい」と謝る - 65二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 22:00:42
脚が弱い、まともにトレーニングが出来ない
だからちょっとでもトレーニングができるプールや坂路を確保するために頭を下げているのだろう
そんな自分のためにトレーナーは頭を下げているのだろう
サクラローレルは俺に謝るが「馬鹿めが」と俺は一蹴する
ナリタブライアンを倒す時にローレルはごめんなさいというのか?
ナリタブライアンはちょっと健康に走れたら勝てる相手なのか?
プールで、坂路で、マシントレーニングで筋肉をつけ続ければクッションになる、筋肉が健を保護してくれる。固めてくれる。 そうすれば芝でもダートでももっともっとトレーニングができるし故障の可能性だってグっと減る
ナリタブライアンに勝つには筋肉と心肺両方を高次元で備える必要がある、凱旋門賞だってそうだ
勝つためにトレーニングをするのだ、それはローレルが可哀想だからじゃない
――ナリタブライアンに、凱旋門賞に勝つためにそれが必要だから頭を下げてでもトレーニングを確保するのだ
そこにごめんなさいなんか要らない。 頑張るのはローレル自身なのだから
それにそこに至るまでローレルが頑張れば多少は俺の実績も上がる
もしナリタブライアンや凱旋門賞に勝つならば俺はトレセン学園でも最高のトレーナーになれる
名誉や立場には執着はしないが報酬は俺が満足するものだろう
その可能性があるなら俺が頭を下げてゴマを擦りそれでトレーニング場を確保できるならば安いものだ - 66二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 22:07:56
世の中は不公平で不平等だ
俺だってローレルに才能を見出さなかったらローレルに声をかけてない
ローレルに類稀なる才能があるからこうしてる
本当にナリタブライアンに勝てるかもしれない・本当に凱旋門賞を走るべき存在かもしれない
だからローレルは俺が頭を下げる分胸を貼ってほしい――どうせ俺にはこの程度しかできない
俺はそんな事を本心を隠しつつローレルに言う
申し訳ない、ごめんなさいじゃなく――ありがとう頑張るねと言えと
脚が壊れたって良いじゃないか――俺にG1くれよ、壊れなかったらでいいから
そんな事を思って誘った俺にごめんなさいなんて言わないでくれ、頼むから
日曜はTV東京杯青葉賞
まだ脚的に本番ではないがここでもし勝てれば――ダービーでナリタブライアンと対決だ
まともなトレーニングが出来ない中でブライアンに勝つのは難しいが菊花賞であいつとぶっつけでやるよりはいい
布石として負けても良いからあいつの側で戦え
俺がそういうとローレルはおかしな事を言ったかのようにクスクスと笑っていいた - 67二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 22:15:01
まるで私がダービーでブライアンちゃんと戦うみたい
とローレルはおかしそうに笑っていた
脚のせいでデビューはジュニアのデビューは絶望的
1月の新馬では脚の違和感で9着 次も3着、好走は出来たが脚の不安感は拭えない
そんな未勝利だったローレルとであったのは1月だったか2月だったか
俺はなぜそんな未勝利の彼女にG1くれよ、なんて言ったのか――だけど
その時の俺の目は間違ってない
そんなサクラローレルは今やGⅢの青葉賞で三番人気に推される存在だ。そして彼女の才能はまだ開花しきってない
サクラが咲くのは春だけど彼女が満開になるのは狂い咲きもいいとこの秋だろう
確かに
そんな遅咲きであろう彼女がまるで青葉賞をあっさり勝ってダービーに挑むかのように話していた
気が早いか……まずは青葉賞だな
――真剣なんですね
――初めてです。 真面目に、真剣にブライアンちゃんに勝つことを、凱旋門賞に勝つことを考えてくれるひと - 68二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 22:22:40
ジュニアではまともにトレーニングすらできない
何度も何度も保健室と病院を繰り返しクラシックでデビューしても大した結果でもない
そんなウマ娘がジュニアのときから歴史に残るウマ娘、クラシック三冠を噂されるナリタブライアンに勝つなど誰が信じるだろう。 元々のトレーナーにも信じてもらえない
だから彼女は引退を決意していた――なし得ない、誰にも信じてもらえない夢と脚を呪う事しかできなかった
知るか――俺だってあの時ブライアンに勝てるなんて思ってなかった
そのスピードは桜の舞い散る春の嵐のようで軽やかで……桜嵐と違ってそれはいつまでも伸びていく
それだけの才能があるのに勿体ないってそう思っただけだ
脚が壊れても良い、正直俺には関係ない
でも脚が壊れなかったら重賞・G1 それぐらいは勝ち取れる才能があった
利用する気満々で声をかけただけだ――馬鹿め、騙されやがって
だけど
ローレルの才能は凄くて、走りも何もかもが異次元の輝きを放っていて
きっと…ガラスの脚さえなければ――ナリタブライアンにも勝てるんじゃないか
そう思ってしまうほどで
しょうがないじゃないか――必死になれば、勝てるかもしれないんだ - 69二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 22:34:30
脚が折れても健が断裂しても俺の脚じゃない
壊れる恐怖もその痛みもやもすれば歩けなくなる恐怖も俺じゃない
だから俺はいくらでもローレルに求めることができる――他人だから、自分じゃないから
だけどローレルは臆することなくトレーニングに向かい合った。誰よりも努力した
努力できることが…トレーニングを一生懸命できる事そのものが嬉しい、楽しいと
――辛いし、キツいし……故障は怖いです。 ジュニアでも散々その痛みを味わってますから
ローレルはそれでも桜が咲くように笑う
――それでも今は夢のために闘ってるから……私は幸せです。
――ありがとうございますトレーナーさん
やめてくれ、俺はお前を利用しようとしただけだ
ナリタブライアンに勝つためにお前を誘ったんじゃない
――だからやめてくれ
桜も全部散って葉桜の葉がまだ透明な青を彩る季節
青葉賞GⅢ
サクラローレルは1着とハナ差の2着だった
ブーケもクリークも――ジェンティルでさえ最後の接戦では大声を出しローレルを後押しするが一歩届かなかった
脚の炎症を発症しダービーは断念するも菊花賞への道はほぼ開けた
俺はローレルに見舞いに行った
――勝つぞ菊花賞、秋に桜を満開にしに行こう - 70二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 22:48:15
このレスは削除されています
- 71二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 22:48:17
ローレルは夏から秋まで休養
ジュニア組のメイクデビューはまだ
デビューが一番早いのはジェンティルドンナだろうか
スーパークリークは明らかに本調子ではない。 トレーニングで内臓疲労を起こさせるよりしっかり食わせてしっかり休んで体質がよくなるのを待ちだ
ブーケは仕上がりは早いし今でもメイクデビューなら十分勝てる実力があるが――いかんせんあの性格ではレースには出せない。 譲るようなクセをつけて負け癖になったら目も当てられない
クリーク、ローレルが休養か……
それでもかなり多忙だ。 今ジュニアの3人がクラシックに上がればもっと多忙になるだろう
そうなると流石にこれ以上は人数はふやせないな
そんな考えを巡らせてるとトレーナー室に4人が入ってきた
4人同時にトレーナー室とは珍しい。 そう思っていると商店街への買い物に誘われる
念をおして松葉杖を使ってるローレルもリハビリも兼ねて参加するようだ
5人で買い物などはじめてだがせっかくだし一緒に行くことにした
チームなのでメンバー同士の諍いや喧嘩は危惧していたが驚くほどに仲がいい
互いに過干渉にならないように距離感をうまく取ってくれているのはとてもありがたい
小さなゲーセンのパンチングマシーンでジェンティルがカンストを叩き出し
ブーケは小さな植木鉢をいくつか買って
そこにローレルが桜やチューリップのシールを貼っていた
クリークは飴玉、絆創膏を買って小さなポーチにしまう。 そのポーチを俺に見せてにこりと笑っていた
ああ、俺が買ったやつか
奇妙なものだ……ああやってプレゼントしたものを使われてるとなんだか嬉しい気持ちになる - 72二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 22:57:05
くじ引き
大昔からある大きな八角形の回すアレだ。一個だけ玉が出て赤だとか金だといいやつだ
ガラポンまで用意するとか随分本格的だな
――あれってガラポンって言うんですか?
――ガラガラじゃないんですか?
――ガラポンですよね?
――アライさんではなくて?
知るか、「アレ」の正しい名称なんて誰もわからん
商店街のくじ引きにしては積まれてる商品もそこそこ新しく力が入ってそうだ
特賞は家族温泉旅行1泊食事付き……写真で見るだけだとやたら高そうな旅館が写ってる
商店街の人に手を引かれ今日買い物した袋を指さされ一回引いていかないかと誘われる
福引券もないのに買い物袋だけで回して良いとは随分気前の良いことだ
あと意外な事にジェンティルがふくびきに興味があるのかガラポンを触ったり商店街のおっちゃんと話してる
名家のお嬢さんはさすがに福引なんかしたことがないか
まあせっかくなので挑戦させてもらおう
無意味に袖をまくり気合を入れてガラポンを回す
――カランカラン! 特賞!特賞でーす! - 73二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 23:00:07
温泉なんて行ったらどうなっちまうんだ
- 74二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 23:01:34
>>――アライさんではなくて?
誰だよジェンティルに新井式廻轉抽籤器とか教えたヤツ
- 75二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 23:08:01
大丈夫?トレーナー違う意味で持つ?
- 76二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 23:10:44
マジか…温泉旅行が当たった
1家族5名までの一泊温泉旅行だ
大はしゃぎのクリークやローレル、戸惑うブーケ、まだ商店街のおじさんと喋ってるジェンティル
こんなので大当たりを引くなんて初めてで俺も興奮してる
普段は3名1組の温泉旅行が「たまに」特賞にでるらしいが5名1家族の温泉旅行は初めてらしい
最初は担当ウマ娘といく事に少々ためらいもあったがタイミング的にはクリークとローレルが休養でメイクデビュー戦前という最高のタイミングだ
しかも温泉療法ならローレルの怪我は勿論クリークの体質にも良いしジェンティルも筋トレでの疲労回復にも良い
ちょうどいいのでたづなさんと理事長に許可をもらい温泉にいくことにする
まだ抽選機の前で商店街のおっちゃんと話してるジェンティルを呼んで日取りの相談を5人ですることになった
初めて見るガラポンにドンナは興味をそそられたらしい。 それならジェンティルに回させるべきだったか
まあ俺が回したから特賞が当たったので結果オーライだ
ふと
俺は夜トレーナー寮の小さな小さな風呂に入りながら疑問が浮かんだ
ジェンティルは初めてあんなものを見たと興味深々だった
まあ名門一族のお嬢様はあんなものは知らないだろう。精々がビンゴ大会の網みたいなボールはいったアレぐらいだろうとは思う。実際抽選機のことを商店街のおじさんとはなしていたようだし
だが――なぜアレが『アライさん』だと当たり前のように知っていたんだろうか
アライさんというのは新井式回転抽選器という正式名称だ。
帽子屋だった新井さんが客へのサービスのために考案したものがガラポンだとかガラガラといわれてるアレだ
新井式抽選器はアライさんとかガラガラだとかガラポンだとか呼ばれるがあんなものを見たこと無いジェンティルがなぜアライさんという名称だけ知っていたのだろうか
ひょっとして
アレをガラポンとかガラガラだとかいうのはごく少数の地方でアライさんが大多数のシェアなのだろうか
俺はそんな事を考えながら眠りについた - 77二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 23:13:06
ひょっとして
アレをガラポンとかガラガラだとかいうのはごく少数の地方でアライさんが大多数のシェアなのだろうか
俺はそんな事を考えながら眠りについた
↑かわいい - 781◆qxc6n.SpgKwJ25/10/09(木) 23:14:24
- 79二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 23:15:32
なぜジェンティルのGIFがついてるんです?
- 80二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 23:16:51
そりゃあインパクトは大事ですから
- 81二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 23:31:37
そりゃ温泉会や水着会にお色気は大事だろォン?
ひょっとしてこの特賞ってジェンティルの - 82二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 23:37:07
おっとそれ以上は圧縮されてしまうよ
- 83二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 23:39:04
出てきた特賞は圧縮された鉄だったか
- 84二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 23:42:05
親の腹に置いてきた物はちゃんと嫁の腹にぶち込むんですねわかります
- 85二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 23:46:54
ガラガラガラガラ・・・・・・ゴトンッ!
ゴーンゴーンゴーン!!特賞大当たりですわ - 86二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 23:54:21
一番重い圧縮鉄球おちたら特賞
- 87二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 23:57:55
悲しいし闇深そうなんだけど腐ったりいじけてる訳じゃなく眼の前に必死で一生懸命なのすごくいいな
- 88二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 00:01:35
だが――なぜアレが『アライさん』だと当たり前のように知っていたんだろうか
あっ - 89二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 01:00:00
- 90二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 01:03:33
文章量おかしい
- 91二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 03:37:13
文章量すごいけど読みやすいのがすごい
それはそれとして24時間でお出しされる量ではない - 92二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 09:56:12
なんかすごい大作だ…
- 93二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 11:48:07
本当の闇のトレーナースレを初めて見たかもしれん
闇(を抱えてる)のトレーナーだけど - 94二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 12:45:31
ドンナ 内心は不明だがトレーナーと担当ウマ娘という距離感守ってくれそう
クリーク 既に怪しいが卒業までは距離感守ってくれそう
ローレル 対ブライアンの決着が着くまでは距離感守ってくれそう
ブーケ 既に怪しい
トレーナーの明日はどっちだ。 - 95二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 12:57:36
温泉旅行などの懸賞やプレゼントには交通費が含まれていない
交通費込のプランも世の中にはあるが懸賞の類には大体含まれていない
自分を含め5人分の交通費というのに薄給のトレーナー業である俺は多少銀行講座や財布とにらめっこをすることになる
そう思っていたのだがこの温泉旅行ファミリーチケットには交通費も入ってる
もっと言えば新幹線の指定席まで入ってる。 なんだこれ
商店街の福引の温泉旅行ということで舐めていたがめちゃくちゃ良い温泉宿だ、高級宿の6人部屋
交通費込み新幹線指定席込……えっとこれ総額いくらだ? あまり考えたくない
とはいえ今回の温泉旅行は全部無料だ
J割とかいうパック料金で新幹線では駅弁とお茶まで無料でサービスされるらしい
駅弁とか何年ぶりだろうか
そういえばジェンティルドンナは名門、良家だが温泉とかはよく行くのだろうか
――ええ勿論リフレッシュに温泉は良く行きますわ。 この温泉も脚にいいからローレルさんの療養にもきっと良いですわ
さすが、詳しいもんだ
俺は黒毛和牛焼肉弁当を頬張りながら話を聞く
4人は向かい合うように椅子を回転させた座席。 俺はその隣の座席での5人旅
隣の乗客に迷惑ではないかと心配だったがオフシーズンのせいか1車両まるまる客はゼロ。 実質貸切
こんな贅沢な旅行なぞ生まれて初めてだ
いや……そもそも旅行そのものが生まれてはじめてか
――トレーナーさん温泉旅行はじめてなんですか?
――ふふ、私もです♪ 今日はいーっぱい楽しんじゃいましょう♪
――あの……温泉でマッサージして差し上げますね
――いつも頑張っているトレーナーさんへのご褒美、といったところですわね
今回はローレルの青葉賞2着のご褒美や療養、慰安目的の旅行だ
1着じゃないにしても重賞2着はURAでも上澄み。 一流ウマ娘の仲間入りなのは間違いない
なにより――ガラスの脚であるローレルにとって出走すべきレースが大幅に減るのはとても助かる - 96二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 13:07:38
J割ねえ
Jは何の略称だろうなあ
さっぱりわからねえなあ - 97二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 13:09:00
ブライアンに挑むのは菊花賞
その菊花賞に出走するには菊花賞の優先出走権利かレートポイント上位に入る必要がある
レートポイントはシンプルに1着になった時に得られるポイント
1勝クラスより2勝クラス、OPより重賞の方が当然もらえるポイントが多い
重賞だけは特別で2着でもこのレートポイントが貰える。 しかもOPよりも大体は多い
本来は5月6月でローレルは2勝クラス、3勝クラスを勝ってからOPクラスに上がる必要があるが青葉賞2着のおかげでOPクラス。 さらに言えば菊花賞前の重賞トライアルに出走するにしても出走除外はないだろう。 場合によっては菊花賞にぶっつけで出走もできる。
脚が弱いローレルには青葉賞2着と3着では雲泥の差だ。 ここで療養に時間をとれるのはとんでもなく大きい
よくやったローレル
――ふふ、1着でないのはとても残念でしたけどトレーナーさんが喜んでくれて嬉しいです♪
――ローレルちゃん本当に惜しかったですね。 もう一歩でした
――ローレルさん脚は大丈夫ですの?
――うん♪ もういつでもトレーニングだって出来ますよ♪
――すごいですよね、菊花賞が目標で……あのブライアンさんを倒そう、って
ローレルの足元の筋肉もトモの筋肉も順調にいっている
目論見通り脚への負担を強い筋肉が軽減してくれて平地でのトレーニングも順調
ジュニア、クラシック3月ぐらいまでとは別人のようにローレルは成長している。 青葉賞だって脚部不安がでなければ1着も十分ありえた
これなら本当に菊花賞ではURAを仰天させられるかもしれない
あの『怪物』ナリタブライアンに勝つことが
――トレーナーさん? どうしたんですかニヤニヤしちゃって - 98二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 13:10:21
あらジェンティルドンナはGからなので別人ですわよJ割とは何かしらね
- 99二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 13:23:27
ローレルがちょっと心配そうに俺に顔を向けている
いかんいかん。 ローレルが日本中を仰天させる事を考えたらだらしのない顔になってたようだ
――温泉旅行ですものね? それもこんなに可愛い美少女が四人も
――まあ♪あらあらトレーナーさんも男の子ですものね♪
――あは♡ 温泉でいっぱいサービスしますね♡トレーナーさん♡
――トレーナーさん、もしかして混浴……想像しちゃいました?♡
そんなわけあるかっ!どどどどどDTちゃうわ!!
思わず上ずった声で叫んでしまった。 こちとら勉強だけの人生でトレーナー試験一発合格だ、何が悪い
そもそも彼女たちは高等部の学生だ。 そんな子達に欲情なんてするわけ……するわけ
いやソコを一切考えてなかった。 正直彼女たちは情緒や心はともかく肉体は成熟した女性だ
クリークやドンナのような肉体に限らずローレルやブーケのような薄めの身体だって女性という意味ではもう十分に成熟してるといい。そもそも国によっては16歳で婚姻だってできる
いや、意識するな意識するな
……でも
……ブーケにハグされた時すっげえいい匂いだったな
――今回の温泉はローレルたちの療養とリフレッシュが目的だからね。『トレーナーと担当ウマ娘』として俺は幻滅されないようにしないとね
にこやかに流そうとする俺。 しかしもうすでにDTちゃうわと怒鳴った事は忘れていた俺
なにやら四人がこれ以上なくいたずらっぽく笑った気がした - 100二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 13:33:22
――実際トレーナーさんはどんな女性が好みなんですの? 勿論パートナーとして
そんな事をジェンティルに問われる
俺だって男だし女性に対して性欲は十分ある。 正直この四人だってそういう対象に見ないように努力してるぐらいには
だってそうだろう?成人済みの女性より体格も胸も腰も太ももも出来上がったG1級の肉体を持ったジェンティルドンナやスーパークリークの胸元が揺れた時、視線を絶対に向けてはいけないというのがどれだけ難しいか
サクラローレルやカレンブーケドールだって体型的には華奢で薄くても女性としての魅力が無いわけでもないし劣ってるわけでもないのだ。 抱きしめたら折れてしまいそうな柔らかさは男性からしたら女性的な魅力は十分にあるだろう
とはいえ、これから2年3年付き合っていく担当ウマ娘をそんな目で見てはいけないわけで
しかしここではぐらかしたり誤魔化してものがしてはくれないだろう
四人みたいな子だよ
優しかったり、慈愛に満ちてたり、自信に溢れていたり、ちょっといたずらぽい艶っぽさがあったり
皆みたいな子が学生時代にいたらきっとアプローチしていただろうね
このぐらいにお茶を濁しておく
四人というのが助かった。 これなら一人に絞った対象を好きだと言わずに済む
実際四人はどの子も可愛いし美人だし彼女になれば男は幸せになれるだろうな
しかし
俺の超高等な話術に四人はこれ以上なく不満げな顔になっていた
ローレルやブーケだけでなくクリークやジェンティルすら頬を膨らませている。特にジェンティルが頬をすこし膨らませてるのは初めて見たかもしれない - 101二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 13:43:43
――もっとハッキリ仰って欲しいのですけれど。 例えば胸は大きな方が良いとか
――線が細めで控えめな胸元がいいとか
――あ、あの……私胸は大きくはないですが……ハグ、いっぱいくっつけて、気持ちいいですよ?
――あらあら♪トレーナーさんはどっちが好みなんでしょうか
なんだ、そんなことか
まあ男でも巨乳派貧乳派という争いはあるので女子からしたらそう思われるのも仕方がないが
それは大きな間違いだと言える
基本的に巨乳派は「どっちかと言えば巨乳が好き」で貧乳派は「どっちかといえば慎ましやかが好き」
であって巨乳派だって慎ましやかな乳だって好きだし貧乳派だってそれはそれとして巨乳だって好きだ
どっちかでしか性欲としても女性としても対象にならない男性などほぼ居ないだろう
そもそもこんな話を女子高生に喋ることすらできるわけもない
そこらは曖昧にぼかして話をなんとか逸らそうとしつつ
そういえば男が女子4人と一緒の部屋はまずいよなあ……
等と考えながら新幹線の中で談笑をする - 102二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 14:10:42
駅に降りるとスーツを着た初老の男性から声をかけられる
「ウキウキ商店街温泉旅行のジェンティルトレ様御一行様」という愉快な呼ばれ方をして
送迎があるとは聞いていたが送迎バスだと思っていたが駅前には大きなリムジンが停まっていた
なんだこれ、購入宿ってリムジン送迎まであるのか?
ほほ、行きましょうとジェンティルが先導になってリムジンに乗り込む
クリークやローレル、ブーケもリムジンに乗るのは初めてのようで緊張とはしゃぐのが混じった顔
腰を下ろすとシートがやわらかく沈むように身体を支える。 すげえ
隣にはジェンティル。 腕に手を回してそのままグラスに入った飲み物を口元に運んでくれる
いやいや待ってなんか当たってるから離れようかジェンティル腕絡めちゃだめ
リムジン内の小さなテーブルに置かれたチョコレートをつまんで、クリークがあーんをしてくれる
あーん…うわこのチョコうま、うまっ!?
うわホント美味しい、あらあらすごいですね
などとチョコレートだけでおおはしゃぎする庶民一同とにこやかにそれを見つめるジェンティル。 もうちょっと身体を離して欲しい。 ブーケやクリークとは全然違う高級だが嫌味さのないバラのような匂いは彼女の香水だろうか
クラクラするようなジェンティルの匂いに包まれてると頭が痺れたように思考が止まりそう
ん、ジェンティル柔らかくて気持ちいい
ジェンティルは満足そうに目を細めて俺の頭を抱き寄せ頭と肩を撫でてくれる
――あ、ずるいですジェンティルさん
――わ、私もハグしたい…です
――あらあらトレーナーさん? 温泉についたら今日こそ…遊びしましょうね?
――ちょ、ちょっとまだ正気に戻しちゃだめですわ! - 103二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 14:22:04
――トレーナーさん……着きましたわ
どうやらウトウトどころか眠っていたらしい。 最近しっかり眠れてなかったが凄く熟睡した気がする
山中の大きな大きな温泉宿。 和風の民宿ではなくホテル型の高級そうな外観
和服の中居さんとスーツ姿の男性が並んで出迎えてくれる。 なんかとんでもなくVIP待遇受けてない?
荷物は降ろしたらすぐにボーイさんが運んでくれて部屋に五人で入る
いやいやいやこれ6人部屋じゃないだろ待って待って広すぎ
これ何畳だ?という和室、その奥は洋室のキングサイズのベッドが3つある洋室
ダイニングキッチン・3人か4人でも入れそうな浴室
窓を挟んだベランダには小さな露天風呂まである
明らかに6人部屋じゃないどころか絶対コレ部屋を間違えている
――問題ないと宿も仰ってますわ、良い部屋でしょう?
ジェンティルは慣れた様子で手荷物を置いてソファでくつろいでいる
ローレルとブーケは物珍しそうに部屋を色々みてはしゃいでいて珍しくクリークもはしゃいでる側だ
まあ、うん……ちょうど洋室と和室でわかれているし俺は四人と別部屋で寝ればいいか
あまりに豪勢な部屋に俺自身も感覚が麻痺しているのかもしれない
とはいえ温泉。 初めての温泉旅行。 俺だって心がウキウキなのはそうだ
――ふふ、初めて見ますわ。 貴方の楽しそうな顔
ジェンティルは愉快そうに微笑んでいた - 104二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 14:25:06
まだ3/4がジュニアなのにもうここまで持ってかれるのは……トレーナー……
- 105二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 14:25:53
トレーナー(さん)はみんなの
- 106二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 14:27:23
お嬢様的な意味じゃなくて社会的にずっと下の方にいたがゆえの世間知らずを良いように利用されてる…
- 107二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 14:36:06
すげえ、湯けむりで対面が見えない
源泉かけ流しの温泉
広すぎて対面の床が見えない。 湯けむりが奥の奥まで続いて真っ白だ
うはははすげえすげえ……とすっかりはしゃぐ俺
あ、っつ……と熱い湯にため息を吐きながらゆっくりと腰を降ろす
あ、あ"あ"と声が出るのは人間の本能だ、うん、きっと
自宅の風呂と違って脚を伸ばし放題、浅く段差のつけられた温泉はほぼ横になっても全然余裕がある
うへええ……気持ちいい
ソレ意外の思考がとろけて消える。 きっと温泉の魅力というのはコレなのだろう
湯に入るという行為ではなく解放されきった空間でゆったりと日頃のストレスも悩みも愚痴も全部温泉に溶かすように思考をしないでいいという気持ちよさ
温泉旅行ははじめてだが温泉旅行という趣味を持っている人の気持ちがわかってしまう。 これは毎日を戦う社会人へのご褒美だ
――お湯加減どうですか? トレーナーさん
ああ、最高最高……脳みそとけちゃうぐらい
俺は湯けむりで見えないクリークの声に応える
ん?……クリーク? はあっ????
だらしなく温泉の中で仰向けに大の字に横になってた俺は慌てて身を起こしタオルを股ぐらに突っ込む
ここの温泉はタオルOKらしいが持ってきて本当に良かった
真っ白なタオルを巻いたクリークが湯けむりの向こうで立っていて、それがゆっくりとしゃがむように背丈が下がる。 おそらく湯に入ったのだろう。「ん…んんっ」と艶めかしいため息がもれている
ちゃぷ、ちゃぷとクリークが俺の方に寄ってきてようやくクリークの顔が見えてきた。同時に白いバスタオルで隠された胸元が大きく温泉の湯をおしのけるように浮いている
うお、すっげ…………いやいやいや見るな見るな見るな!!
――うふふ、トレーナーさんお邪魔しますね♪
いやまてここは男湯だぞクリーク
――うふふ、実はJ割のお客様はこの温泉は混浴が条件、らしいんですよ♪
なんか俺の理解できない話をしだすクリーク。 クリークはこんな冗談を言うタイプではない、と、思う
――もう少ししたら他の子たちもくるんじゃないでしょうか? トレーナーさんお背中あとでお流ししますね♪ - 108二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 14:38:56
なんやこれ食われる前の下準備か?
- 109二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 14:43:58
こっからどうなるか全く読めないな
- 110二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 15:10:15
いや待ってくれ混浴とかやばいしダメだしそもそも女子高生の君等が男NGでしょ?
――ええと…トレーナーさんですし?私はい~っぱい、甘やかしちゃいますよ♪
ニコニコといつも通りの笑顔で微笑むクリーク。いやまってクリークに他意はなくても俺に他意が生まれるから待って
――それより、トレーナーさん。 あの
クリークは微笑みを消し、初めて見せる真剣な表情で俺を見つめて更に距離を狭める
逃げようとする俺の腕をつかむクリーク。 初めて見せるその態度は有無を言わさぬものだった
――「ソレ」 見せて下さい
…ソレ? 俺は首を傾げ……俺の身体を見るクリークの視線にようやく思い当たる
見慣れていて忘れていた。 おれの身体にはそれなりにアザがあったっけか
――虐待痕、ですよね?大人になってもこんなに残ってるだなんて……
泣きそうな顔になっているクリーク。 そうか、この子は託児所で子供のお世話をしているからわかるのか
失敗したな、まさかこんな事になるとは思ってなかった
クリークの言う通り俺の身体中のアザは親の暴力やタバコの痕だったり…まあ色々だ
とはいえ痣だって青々と残ってるわけでもない。 小さいし黒ずんだりしたものでしかない
プールにいったってそんなに目立つものでもないだろう
子供の頃にしつけで多少そういう事があったってだけだよ
今はクリークも皆もいるから何も思うところなんかない - 111二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 15:18:01
うわあ!急にモロにお労しい跡を出してくるな!
お前本当に幸せになれよ… - 112二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 15:21:50
俺は闇のトレーナー
世の中は不公平でこれ以上なくクソで
だからといって全部がクソじゃない。 闇のトレーナーがいるってことは幸せで平和な光のウマ娘だっている
クリークはきっとそういう暖かくて幸せな「普通」のウマ娘だ。 だから他人に優しくできる
ごめんなクリーク。 お前のトレーナーはどうしようもないクソなんだ
その言葉を無理矢理に飲み下す。 苦く痛い感覚が喉を伝う
クリークの優しさや甘やかしを遠慮してはいけない
でも――こんな事をクリークに巻き込むのはもっといけない
だから手を伸ばして濡れたクリークの頭をぽんぽんと撫でて、闇のトレーナーらしく嘘をつく
それでも辛くて苦しくなったらクリークを頼っていっぱい甘やかしてもらうから
その時は頼らせてくれると嬉しい。 クリークが俺の担当で良かった
クリークは俺の言葉に涙を浮かべ、頭を撫でる俺の手を両手でぎゅっと握った
ごめんな、嘘ばっかのトレーナーで
金儲けのためにお前を利用するトレーナーで
その代わりクリークにも絶対に大輪の花を咲かせてみせるから
それで許してくれ - 113二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 15:31:17
虐待痕……か
あまり深く考えた事なかった。 汚いな俺の身体……ぐらいにしか思ってなかったが分かるものなのか
クリークに聞くと多分普通の子は気づかないと思うと言われた
今すぐ逃げようかと思ったがクリークとだけ混浴をしていたのにあれこれ後で言われると面倒だ
多分遠くのあの声は三人だろう……なんて思っていると案の定ジェンティル・ブーケ・ローレルの三人が温泉に入ってきた。
――ふふっ、トレーナーさんサービスタイムですよ♪
――あらトレーナーさん。ごきげんよう
――トレーナーさん、お背中お流ししますね♡
白のバスタオルを巻いたまま三人は湯に浸かる。 タオルごとはノーマナーらしいがこの温泉の入口にタオル着用可となっていた。 今考えれば混浴ゆえの配慮だろうか
トレーナーさんって細くて引き締まってますね♪とローレルがからかい雑じりに言ってくるのを笑顔でながしつつ気になることを聞く
そもそも女の子なのだから男と一緒の風呂など嫌じゃないのか
全く自覚もしようがないが良く言うではないかパパの匂いがとか男は不潔だとか
俺自身男であるゆえこんな美女四人と混浴なんて気が気じゃないが、正直スケベゴコロフルオープンが許される世界であれば俺だって間違いを起こすかもしれない。
女性というのはそんなものは毛嫌いしそうだが
――トレーナーさんも女生徒に妄想を抱いてますわね
当たり前だオトコなんだから。 だからイヤだろって聞いてんだろうが
そんな思いを見透かしたようにジェンティルは俺の事を鼻でわらう
――言っておきますけれど女子高生ぐらいの女子なんて基本「そういう事」に興味津々ですわよ? - 114二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 15:41:05
はーなの♡おかすの♡
うおすげえ胸筋♡ ご職業はモデルか男優さんで?
産むって言った!
12人は産むのよね♡
――女の子だっておピンクな妄想や興味なんて当たり前ですわよ。 むしろ実質女子校なのだからそこらの会話はよくされますわ
待ってそれトレーナーにする話じゃない!やめて俺等オトコの清らかな女子イメージを壊さないで!
やれニシノフラワーはトレーナーをどうやって児童の壁を壊して手をださせるかだの
遺伝子バトルをしかけフジキセキセンパイかっこいいだの
一心同体割メジロアパートだの
飴細工でできたビール瓶を投げつけるアルトレと夫のパチンコ代をパートで稼ぐアルダンだの
なんというか聞きたくない話ばかり並べられる。
いやまってくれ、ローレルやブーケ達はそんなことないよね?
――私も年頃の乙女ですから♪
――わたしは…トレーナーさんとならドロドロになりたいなあ、って♡
――言っておきますがわたくしだってそんじょそこらの男にこんな話をしたりしませんわよ
さっきは頼らないって心に決めたんだけど助けてクリーク!!
――ごめんなさいトレーナーさん……その、私も年頃の高等部でして……でもトレーナーさんのこともいっぱいいっぱい甘やかして差し上げますから!
…………
逃げよう
俺は闇のトレーナー
金のために四人のウマ娘を指導し利用し走らせる男
だからこんなとこで間違いをおかしてはいけない。 全員の夢を叶えて俺は闇に消えるべき - 115二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 15:47:50
食われそう
- 116二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 15:51:47
――結局湯当たりするまで手も出さず押し倒されず……大した精神力ですわね
知らなかった――ウマ娘からは逃げられない
前後左右を囲まれた俺はいつ手を出すのかとワクワクするウマ娘に腕抱かれ後ろからハグされ横から寄り添われ色んな柔らかくていい匂いでとろっとに溶けながらもなんとか一線は超えないように努力した
のぼせて今はクリークに膝枕されて団扇でぱたぱたと仰いでもらってる
俺は闇のトレーナー……温泉旅行で四人のウマ娘に奉仕をさせるクズだ
でもクリークの膝枕気持ちいい……ほっぺに当たるローレルの手ひんやりして気持ちいい
ジェントルも俺の濡れた髪を手で梳いてる
すっごい気持ちいい……幸せ……
『――……』
四人が何か言った気がするが思考がぼんやりでわからない
ああでも起きなきゃ……お風呂上がりだし――ローレルの脚のマッサージしないと
マッサージ……ローレル、マッサージ……
俺はふらふらの四つん這いのままローレルに手を伸ばして、結局ぱたんと倒れる
優しく背中から起こされる俺。 ソファの背もたれのように後ろから抱くローレル
――今日は、おやすみしましょ?
気持ちいい、ふわふわする。 コクコクと頷くと、俺はローレルに抱えられベッドに転がる。
顔にうちわの風があたって気持ちいい
ごめんな、みんな
でも、絶対勝たせるから
凱旋門賞も、ティアラも、菊花賞も、G1も
勝たせるから……俺が勝たせるから
俺はそんな事を考えながら眠りに付く。 - 117二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 16:16:10
闇のトレーナー、アンタ漢だぜ・・・
- 118二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 16:32:59
目が覚めると空が白みかかっていた
おいおいおいおいせっかくの温泉旅行なのにずっと寝てたのか俺!?
と時計を見ると17時……17時?
よくよく考えれば昼ぐらいに温泉に着いてすぐに温泉に浸かって湯当たりをして
それから夕方まで寝ていたらしい。一日寝てたと思ったら夕方だったとかなんか得をした気分だ
俺がベッドから身体を起こし和室に戻るとブーケが一人でちょこんと座っていた
他の三人は夕食前にもう一風呂あびて来るらしい。 ひょっとして俺の看病に気を使わせただろうか
ブーケは俺の顔を見るとふわりと嬉しそうに笑った。 控えめなブーケの笑顔
優しすぎてレースでマイナスばかりで勝ちきれないブーケも周囲と争えるようになってきた
レースで戦う事とプライベートは別だというのを理屈ではなく魂に刻み込みはじめた
まだまだぶつかり合いに弱いところはあるがこれならばレースで経験を積めばバ群やブロックにも負けないだろう
どうしたんですか? とブーケが聞いてくるので俺は畳にあぐらを書きながら正直に応える
強くなったなブーケ、って嬉しかったと
俺のそんな言葉にブーケは少し恐縮したように顔を伏せてしまう
遠慮がちで優しいブーケの性格は同じ「優しい」であってもスーパークリークとか別種のものだ。触れたら折れてしまいそうな清楚な彼女もレースを走る――勝つために走れるようになってくれて嬉しいと思う
――わたしが勝ったらトレーナーさんは喜んでくれますか?
そう問いかけるブーケに「もちろん」と俺は微笑む
ブーケは畳の上でおずおずと俺の隣に腰をずらし、俺の肩にくっつく。 細くて小さくて…極上の蜜のような花の甘い匂い
――強い女性の方が、トレーナーさんは好きですか?
回答に困る。 正直女性として強さというのはあまり気にしたことがない
それでも俺は闇のトレーナー
ブーケの一番の課題はメンタルでありライバルを押しのけてでも勝とうという気概
うん、俺はブーケにもっと強くなってもらってレースを勝ってほしいよ
そう微笑んだ時、初めて違和感に気付いた
ブーケはいつの間にか俺の背中側に回ってバックハグをしていた
細くて白い手が指が、浴衣の隙間から地肌を撫でる
――あはっ ゾクゾクってしちゃいましたね♡
――わたし、もっとつよつよにトレーナーさんにアプローチ、しますね♡ - 119二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 16:36:47
耳に甘い甘い毒が流し込まれたような錯覚
俺は背をのけぞらせるがブーケに優しく抱き寄せられる。 耳元で何度も何度も優しく甘い言葉を囁かれ頭がドロドロに蕩けそう。 ブーケに顔を、身体を、心を全部うずめてしまいたくなる
それを必死に堪えて震えながら違うそっちの強さじゃなくてと悶えるがブーケは頬を紅潮させ爬虫類をおもわせる瞳で俺を真上から覗き込む
――溶けちゃいましょう♡トレーナーさん♡
三人が帰ってこなかったらどうなってたのか
俺は考えたくもない。本当に間違いが起きなくてよかった、よかった……
――ブーケさん?抜け駆けはよろしくなくてよ
――もー、私が最初にしようっておもってたのに
――まあまあ♪ みんな気持ちは一緒ですから
なにやら不穏な話をしてる気もするが俺はもっと不穏な気持ちになっている
和室におかれた巨大な一枚板のテーブル
その上に置かれた謎の物質……いや哺乳瓶と赤ちゃんが手に持つガラガラと音のなるあの輪っかみたいな奴だ
だが赤ちゃん用にしてはちょっと大きいのではないだろうか? そもそもなんであんなものが温泉宿に?
ソレを見ているとクリークがぱあっと表情を輝かせて両手を叩く
――トレーナーさん♪これに興味があるんですね♪ - 120二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 16:43:53
でちゅね遊び
おおよそ日本語では無い気がするがなぜかその響きだけで嫌な予感を感じさせる言葉、それがでちゅね遊び
その単語とテーブルにおかれた哺乳瓶やガラガラが結びついた時
知らない、興味がない。 はやくメシにしよう
と俺は反射的に言っていた。しかしその時にはクリークは俺の背後にガラガラをもって座っていて――
引き寄せられた俺はクリークの膝と身体に身を預ける体勢にさせられていた。 カラカランと鳴るガラガラとどこまでも慈愛に満ちたクリークの笑顔。俺は人生でクリークの笑顔に恐怖を感じるときがくるなんて知らなかった
助けてジェンティル!俺赤ちゃんにされちゃう!
――たまにはその方がいいですわ。 貴方すこし素直になるべきだもの
助けてローレル!俺赤ちゃんにされちゃう!
――ふふふっ、私もいっぱい甘やかしていっぱいはずかしいとこ見ちゃいますね♡
助けてブーケ!俺赤ちゃんになったら困るでしょ!?
――大丈夫ですよ♡ トレーナーさんが赤ちゃんになってなーんもできなくなっても…私が全部幸せにしてあげます♡
助けて!助けて………たすけて……
運ばれてきた夕餉、中居さんたち側に逃げ込む俺
助かった……俺は間違いはおかしてない。大丈夫俺は間違いを起こしてない…… - 1211◆qxc6n.SpgKwJ25/10/10(金) 16:45:51
QKします
- 122二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 16:46:38
今ジュニアの子達がシニアを終えてしまったらどうなってしまうんだ……
- 123二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 16:47:32
これジュニア期なんだよな?
シニア期に入る頃にはデロデロにされてないか・・・? - 124二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 16:49:34
トレーナーの陥落も担当たちの攻勢も早すぎる
無事に3年駆け抜けられるかこれ?3年目の頭には堕ちきってないか?
まあ担当の4人が幸せなら良いか… - 125二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 16:50:22
せめてトレーナーいれて5人にして差し上げろ
- 126二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 17:12:45
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- 127二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 17:17:08
ドンナはともかく3人は結構劇的なことしてるからなあ、引退引き止めてG1くれって言ったり元担当トレと喧嘩になってでも休ませようとしたり優しすぎて勝てないのを全肯定したうえでなんとかしてくれようとしてくれたり
あれこいつ闇どころかめちゃくちゃいい奴なのでは - 128二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 17:55:48
- 129二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 21:34:53
ほしゅ
- 130二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 22:03:20
- 1311◆qxc6n.SpgKwJ25/10/10(金) 22:52:47
- 132二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 22:58:28
- 133二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 23:07:25
結構長いけど1スレに収まるかな?
何スレでも付き合うぞ - 134二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 23:13:31
しゃぶしゃぶ、すき焼き、活造り
刺し身なんて新鮮なら居酒屋も料亭も一緒だろうと思っててごめんなさい
俺は貧乏なトレーナー、だから刺し身の味なんかそんなに違わないと思ってた
……いやホント何がちがうの? なんか刺し身が筋肉モリモリのマッチョに見えるし
一流どころか超一流のお嬢様であるジェンティルドンナはこういうのを食べ慣れてるのだろうがサクラローレル・カレンブーケドール・スーパークリークはまだ庶民よりのようで霜降りがあまりにもきれいなしゃぶしゃぶ肉に感動したりはしゃぎながらキャイキャイと食事をしている
――あら、どうしたのかしらトレーナーさん
意外なのが高級食材高級料理にいちいちはしゃぐ我ら庶民を見てもジェンティルは呆れたりする様子もなくむしろ食べ方を教えたりむしろすき焼き肉をしゃぶしゃぶしようとしたり庶民の行動に合わせていることだ。
こういう時良家というのははしたないだとかマナーがとかそんな顔をするのかと思っていたが
――家は家、プライベートはプライベート。 食事と旅行は「楽しく」ですわ。 その「楽しく」の形が家庭によって違うだけ
立派なものだ、やはり育ちが良いと人間的にも早く成長するのかそれともドンナが特別人間的に立派なのか
しかし育ちがいいのは人間的な部分だけではなく……いやよそう、考えてるとまた視線がそっちに行ってしまう
――トレーナーさん、こっちを向いて下さい♪
あむ、むぐむぐむぐ
美味しい……人間は美味しい牛肉を口に入れると表情がほころぶ。 これってトリビアになりませんか?
クリークにしゃぶしゃぶをあーんしてもらいながらだらしのない表情をしていると逆から口元に布巾が添えられる
口元を拭いてくれるブーケにありがとうとお礼を言いながらお返しに俺はブーケにすこし小さめに裂いたしゃぶしゃぶ肉ををあーんしてみる
以前あーんのお返しにクリークにあーんお返しするとクリークはとても不満げに膨れてしまったのだ。 こういうのはあーんをさせあうのが男女のアレコレだとおもってたのだがクリークは頼られる、甘えてもらうほうがいいようだ
ブーケは基本(?)清楚な乙女なので男性からあーんをしてもらう事に戸惑いつつも必死にその小さな口をあけてぱくんっとしゃぶしゃぶをもぐもぐしてる - 135二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 23:21:37
ほわあ……ととろけるしゃぶしゃぶの幸せに顔が蕩けるブーケ
ああっずるいです私もあーんしてくださいとねだるローレルにもしゃぶしゃぶ肉をあーんして
しかし美味いな、ジェンティルはいつもこんなうまい肉食べてるのか……学園の食堂やカフェのランチじゃ満足しないんじゃなかろうか
――わたくしだってこんな霜降り肉を普段から口にしませんわよ? カロリーの割に赤身が少ないですし
本当にしっかりしている。 貴婦人という言葉に負けない自律っぷりだ
ここまで隙なくしっかりしていると男性に求めるハードルが上がりすぎてすべての男性がナスビかかぼちゃにでも見えてしまうのではないだろうか
――ええ、有象無象であれば。 むしろわたくし……お嫁さんにしたいような男性が良いですもの
…………
……男のお嫁さん???えっとそれはニシノフラワートレのような?
――私が導き、手を取り、私が愛したい男性。という意味ですわ。 見た目の麗しさではありませんの
なるほどわからん。わからんがジェンティルの旦那になる男性は大変そうだが幸せそうだ
ジェンティルの三歩後ろをついていく旦那様というのは最もハードな夫であろう
あれでも鉄球ぐらい握りつぶせる人じゃないとお付き合いしたくないとか言ってなかったっけ?
――そういう気概と根性ぐらいは欲しいという意味ですわ。
――貴方は合格よ、貴方ほど真剣に毎日を生きているトレーナーはそうは居ないもの
なるほどやっぱりわからん - 136二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 23:30:12
というか、わからんのはジェンティルだけじゃない。
すき焼きを食べさせ合う三人に声をかけ思い切って聞く
三人がそれなりに積極的に自分に接してることぐらい分かる。それに流されてはいけない事も重々承知ではあるが
だが俺は身体つきが立派なわけでも高身長イケメンなわけでもない。
ローレルは三人よりは長い付き合いだがジュニア組はまだ2ヶ月ちょいの付き合いだ
正直からかってるだけならまあそれはそれでおどけてみせるだけで良い関係を維持できる
いつしか彼女たちが本当に愛する男性を見つけたら自然に無くなっていくだろう
どうして自分なのか
――だって私にあんなに必死じゃないですか毎日、脚のこともレースのことも
自分の唇の端に指を当て、にっこりと微笑みながらローレルは答える。俺のことを慈しむように瞳が細まって
――トレーナーさんは無事に過ごそうじゃなく「どうしたらレースに勝てるか」「ナリタブライアンに勝てるか」を考えてくれてる。 普通なら私の脚じゃまともにトレーニングができなくてとりあえず1戦1戦頑張ろう、ぐらいです
自分の夢をあんなに真剣に考えてくれる人を好きになるのって自然だと思いますよ♪
嗚呼、そういうものか
自分自身の事を真剣に考えてくれる人というのは大事なのか……そう、思ってしまうのが普通なのか
考えもしてなかったローレルの回答に、ひどく狼狽えてしまう
ローレルの気持ちが嬉しいと思うと同時に――自分の感性がどうしようもなく欠如してる事がイヤになる - 137二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 23:56:31
――わ、わたしもっ…わたしも真剣に私を見てくれるトレーナーさんが好きです!
小さく手を挙げて声をあげるカレンブーケドール
優しすぎる故に気弱な彼女が自己主張のために必死に前を向いている――俺をまっすぐ見つめてる
――走りがよくても気が弱くて……模擬レースで全然勝てなくて……はじめて「すごい」って言われて
――最初はそんな言葉が心地よくて言葉を貰えるのがうれしくて
――だけど、私のことを考えたトレーニングや頑張ったところを毎回褒めてくれて、本気で私のことみてくれてるんだって……そう思ったらもっと頑張ろうとか明日も褒めてくれるかなとか……そんな事とトレーナーさんがどんな人で、どんな事が好きで…どんな女性が好きかなとか今お付き合いしてる人って居ないよね…とか
――トレーナーさんの事ばかり考えてるのは……トレーナーさんがわたしの事を一生懸命見てくれてるからです!
ほっとけよ俺に女が居ないとかほんとやめろほんとに
お前らは本当に純粋で――愚かで馬鹿だ
俺はそんな必死に一生懸命にお前らの幸せなんざ願っちゃいない
ローレルだって脚が壊れたらアンラッキー・脚が壊れず重賞一つ勝てばラッキー
ブーケだってもしその優しすぎる性格がレースで折り合いつけばちゃんと勝てる……折り合いつかず勝てなきゃしょうがないって……その程度でしか考えてないんだ
だからやめてくれよ、金金金報酬ばかりの損得でお前らを見てる俺をそんないい奴に思わないでくれ
そう思っててもお前らに真実を懺悔できない俺を信用なんてしないでくれ
俺はお前らに謝罪すらできない人間なんだ - 138二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 00:04:40
気がついたら膝の上で拳を握りしめていた俺の手を、クリークの温かい両手が包む
クリークはいつもより柔らかく温かい笑顔を俺に向けていた
――トレーナーさんがなにかにずっと悩まされてるのはわかるんです
――大人に何も言えずにいる子供もいまして……トレーナーさんはそれにそっくりなんです
――私も元のトレーナーさんとあんなに口喧嘩をしてまで私を休ませようとするトレーナーさんの気持ちが分かりませんでした。 あの時私は自分がもっと頑張れるんじゃないか……そんな風に思っていましたから
――だけど貴方の言う通りしっかりと休養したら、自分がどれだけ疲れ果てていたか…辛かったかわかったんです
――私自身ですら気づけなかったそれを貴方はちゃんと見てくれた
――だから……今度は私がちゃんと貴方を見なきゃだめだって……この人は放っておいちゃいけないんだなって
やめろよ
俺はそんないい奴じゃないんだ
クリークだって、ジェンティルだって……才能に恵まれてて
俺はそんなお前らの才能に寄生して自分の実績と報酬を目的に誘ったに過ぎないんだ
ちゃんと見てるとか真剣だとか一生懸命だとか
お前らに一生懸命じゃない!俺は俺の金のために必死なんだよ!
だからもうやめてくれ!!! - 139二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 00:08:37
悪かったよ……お前らをだまくらかして
利用しようとして悪かったよ
謝るよ。 どんな風に言われてもいいよ。幻滅しようが暴言を吐かれようがしょうがないよ
だから許してくれ――俺がお前らをそんな真剣にみつめてるとか言わないでくれ
俺はお前らが思う程真っ当な人間じゃないんだ
人の愛し方も好きもわからない
自分のことだけ考えて裏切って利用して奪うような人間なんだ
そんな俺がお前らを騙して、利用しようとして悪かった
だから――こんな闇のクズトレーナーに、どうか騙されないでくれ
俺はお前らが思うより何十倍もどうしようもないクソなんだ
世の中がクソだと思うよりも――その何十倍も汚れてクソな人間なんだ - 140二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 00:12:24
ジェンティルはともかく他三人からは完全に庇護対象として見られてますねこれは…
- 141二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 00:17:13
どこから言葉になっていたのだろう
謝罪を…すべてを懺悔しながらも俺はどこかで自分のトレーナー人生が終わったんだなと冷めた気持ちで考えてた
俺は闇のトレーナー
こんな事になっても自分の保身を考えてる。俺はクズのトレーナー
――なら……なんでローレルさんをナリタブライアンさんにぶつけようとしたの?
ジェンティルドンナの静かで冷たい声が俺に投げかけられる
――トレーナーとして実績を詰むならナリタブライアンや凱旋門賞なんかよりそれを回避する裏開催の方が間違いがないわ……もっともっと言えば菊花賞を回避してステイヤーズSとダイヤモンドS、ナリタブライアンとの対戦の体裁だけ整えるならシニアの天皇賞秋を目標にすべきでしょう?
――もし――天春にナリタブライアンが出走しなければステイヤーであるサクラローレルさんなら大きなチャンスだもの
ああ、そうだ。ローレルの脚とトレーニングからしてそちらの方が絶対にいい
だがそれだと――ナリタブライアンと戦えないかもしれない
もっと言えばシニアで凱旋門賞に出走させるには菊花賞とシニアの中距離G1で結果を出す必要がある
天皇賞春3200Mという長丁場はローレルの能力には適正だが脚の不安を考えると凱旋門賞前に出すより菊花賞で勝ちたい
――どうして? ナリタブライアンも凱旋門賞も諦めたほうが都合がいいじゃない
しょうがないだろそんなの
しょうがないじゃないか――だって
だって……ローレルを見ていたら、必死こけば、もしかしたら
――もしかしたら、ナリタブライアンにも、凱旋門賞にも勝てるかもしれないんだから、しょうがないだろ - 142二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 00:28:15
ローレルは凄いんだよ
自分の脚と故障と闘って、毎日毎日――死神が鎌を持って脚をねらってるような恐怖に追われながらトレーニングをして
脚が速ければ速いほど故障の確率も事故の時の危険も大きいのにずっと全力でトレーニングして
芝を走れば凄いレースができて、レースセンスも抜群で……本当に脚さえ万全ならあのナリタブライアンに勝てる唯一のクラシックウマ娘なんだ
そんなのを見てたら勝たせてやりたいって、勝てるようにしてやるってなっちまうだろう
ジェンティルだってクラシックではティアラを獲れば堂々と王道クラシックの王者、シニアの王者達とぶつかれる
最強を証明することが夢物語やなにかじゃなくて確実に掴めるだけの才能がある
クリークだって今は調子が落ちててもクラシック距離でも通用するスピードもそれを維持するスタミナも間違いなくすごいよ
ブーケもその優しすぎる性格とレースの折り合いさえつけば……きっとそんな凄い三人と真っ向から戦えるんだ……見たろ? ジェンティルとクリークに勝ったあの走りを
お前らは凄いんだよ
だから俺はお前らが勝てるように、走れるようにしてるだけだ
俺がちょっと必死にやれば、お前らはとんでもなく凄いウマ娘になっちまうんだ
だから必死になってるだけだよ、お前らに寄り添ってるのとは違うんだ - 143二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 00:34:46
それは四人に寄り添ってるわけじゃない
ただただ自分の実績と報酬のためだ、こいつらをだまくらかして契約をしたからこいつらを勝たせてやりたい
望む形で成功させてやりたい
そう……思ってしまっただけだ。悪人がちょっと良いことをしただけだ
そんなクソみたいな男のそれを、真剣に見てくれるとかそんな風におもっちゃだめだ
俺にはお前らにそんな風に思われる価値も資格もないんだ
――貴方は立派よ。 だって貴方、トレセンの誰よりも必死だもの
――以前貴方を好ましいと言ったけれど……それは変わらないわ
ジェンティルは穏やかな笑みを浮かべている。こんな表情のジェンティルを見るのは初めてかもしれない
――貴方は汚い人間かもしれない。でもとても人間らしいわ
――汚くて、卑怯で、嘘つきなのかもしれない……だけど人としてとても好ましい人物よ
――だから責任をとって今後も私と契約を続けなさい、今まで以上に必死にね - 144二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 00:43:16
――トレーナーさん、そんな難しい事考えてたんですね
――私はブライアンちゃんに勝ちたい、凱旋門賞に勝ちたいです
――トレーナーさんがどういう算段と思惑で私をスカウトしたのか分かりません
――利用しようとしたならもうそれでいいです。 だって
――だって……ブライアンちゃんに勝つのも凱旋門賞に勝つのも…きっとトレーナーさんが一番真剣に考えてくれる
――だから私は他はどうでもいい……トレーナーさんの本心なんかどうでもいいです
――私は「トレーナーさんとのこれまで」だけ信じてますから
――今更やめたは無しですよ? せめてブライアンちゃんと全力で戦えるレースまでは付き合ってくださいね♪
サクラローレルは俺に顔を寄せ……自分の唇にあてた指を俺の唇にそっとくっつけた
ローレルの使ってるであろうリップの匂いがする
ローレルが離れると、俺の正面にカレンブーケドールが座っていた
――わたしは、貴方じゃないとだめです
――イヤです。 貴方にもっと褒めてほしい。 もっと頑張れって言ってほしいんです
――嘘でもお世辞でも縁起でもどうだっていいです
――貴方の声じゃなきゃ、貴方の言葉じゃなきゃ……嫌なんです
やめなよ
そんな事言うなよ
だって俺クズじゃん? お前らを利用しようとしたじゃん?
今だって俺は自分の保身をどこかで考えてるようなクズじゃん
だからそんな俺を信じるなよ - 145二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 00:50:10
――もう、貴方が望まなくても私たちの考えは一緒ですよ?
クリークはもう一度俺の手をとる
両手で俺の右手を包むようにして、クリーク自身の胸元に埋める
トクントクンと彼女のほんの少し高い体温と彼女の鼓動が手に感じる
――きっと、貴方が思うより世界も人も綺麗じゃないです
――大人も多分子供も
――大丈夫…貴方が自分でおもうよりきっと、貴方はちゃんとトレーナーをしてますよ
――それでもそれが居た堪れなくて辛くて分からなくなったら
――私が支えてあげますから
みっともなく、恥も外聞も見栄もなく
俺は嗚咽混じりに泣いていた
何度もごめん、ごめんと繰り返す俺をクリークは優しく抱きしめ、背中をずっとさすっててくれた
何もわからなくてごめん
お前らの気持ちがわからなくてごめん
お前らの気持ちを聞いても子供みたいに泣く事しかできなくてごめん
ごめん
俺、頑張るから……お前らの事、利用してても裏切らないように絶対に勝たせるから
ごめんな - 1461◆qxc6n.SpgKwJ25/10/11(土) 00:51:56
寝ますおやすみなさい
- 147二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 00:59:55
いい奴なのに自分がクズだと思い込んでるの悲しい
- 148二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 01:02:52
完結したらでいいからpixivかどっかにそのまま上げてほしい
色んな人に見てほしいわこの文章 - 149二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 01:08:14
これ両親がガチKZっぽいけど闇トレが成功したらそのKZ親がたかりにくるんじゃ……
- 150二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 01:11:52
その手の手合いはジェンティルがなんとかしてくれるだろう
このメンバー無敵だな… - 151二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 01:23:18
- 152二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 01:40:20
- 153二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 01:46:53
- 154二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 01:52:00
人によるけどイメージができてればある程度はさっさと書き上げられるもんやぞ
- 155二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 01:55:53
>>8で思ってたよりもみんなずっと優しかった……いい子しかいねぇ……
- 156二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 02:05:37
普通はみんなどこかしら嘘とか打算とか保身とか損得考えて生きてるのにそんな事考える自分はクズで他の人らはそんな事考えないって思っちゃってるのか
悲しいなあ - 157二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 02:08:24
ジェンティルドンナが凄い優しいのちょっと珍しいかも
- 158二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 02:23:28
もうここまでだけで大作SS出来上がってる
- 159二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 02:35:10
最高に面白かった続き待ってる
- 160二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 04:18:12
四人の優しさに耐えきれなくなってる時点でトレーナーはめちゃくちゃ真人間側なのにな
- 161二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 10:01:26
寝て起きたらとんでもない量をお出しされててびっくりした
最後まで頑張ってくれ - 162二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 10:01:30
闇トレは幸せってものを知らずに生きてきたのかな
今は泣け、泣いていいよ - 163二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 10:13:27
- 1641◆qxc6n.SpgKwJ25/10/11(土) 12:36:41
- 165二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 12:43:47
闇トレwキャッキャするはずがなんか普通に幸せになって欲しくなってきた
お前もう報われて良いよ…… - 166二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 12:49:48
ちゃぽん
散々みっともなく泣き喚いて、担当たちを騒がせ
落ち着いた俺は温泉に入ってる
……みっともないトレーナーだ。 いい歳した大人が子供に面倒を見させるなんて
これじゃ立場が逆じゃあないか
温泉をひとすくいして顔を洗う。 涙はとまったが目元がひどく赤く熱く感じる
子供のように幼稚で卑怯で、最低の人間だな。 俺はこんなんで彼女達を指導できるのだろうか
――トレーナーさん、お邪魔しますね♪
サクラローレルの声が耳に届いて慌ててタオルを腰に巻く
白くて細いローレルの後ろにジェンティルドンナ・スーパークリーク・カレンブーケドールたちも白いタオルを身体に巻いて入ってきていた
混浴という恥ずかしさとさっきのあの情けない姿を曝した恥ずかしさが混じって、彼女達の顔を見るのがとても怖い
照れるという気持ちが大きいそれで俺は彼女たちに背中を向ける
――あらお嫌い? 合法的に美少女の入浴が見れるというのに。 しかも四人も
――あはっ、トレーナーさん約得ですよ♪こっち向いてください
――あらあらまあまあ♪トレーナーさん恥ずかしがらずに一緒に楽しみましょう?
うるさいお前らはなんでそんなにオープンなんだ男はオオカミなんだぞ - 167二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 12:59:32
どう見ても食肉です
- 168二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 13:01:47
背中を向けたままほんの少しだけ四人の方を振り返る
タオル1枚だけ巻いて無防備に温泉に入ったまま自分を招くようにおいでおいでをしている
温泉で少し赤みかかった肌と上気した頬、つややかでしっとりとした肌
ジェンティル、クリークは言うまでもなく豊満で胸元がタオル込で温泉に浮き、ローレルやブーケは抱けば折れそうな細くしなやかな肢体をさらしている
勿論いかがわしい事をする気もしたらいけない事も分かる。理屈ではそうだ
しかしこのようなお色気空間を作っているのはむしろあの四人だ。 理屈ではそうでもこのまま手を出したとて許されるのではないかと思ってしまう気持ちだって彼女達をみたら湧き上がってしまうのも当たり前の話
理屈で人間は出来てない。 こんな状況に放り込まれたら人はいかがわしい気持ちが生まれて当然なのだ
あと正直タオルで腰を抑えてないと生きていけない、こちとらまだ20代の男だ
この状況で彼女たちの優しさに甘える、付け入る事をしないだけ理性は働いてるんだと訴えたい。 正直言って女子を襲う犯罪者の気持ちがわかってしまう
――で、実際どうなのかしら。 巨乳派と慎ましやかが好きで分かれても逆がお嫌いではないと言うけれど
両手で自分の胸元を持ち上げるように見つめるジェンティル。 トレーナーさんはどちら派? と聞いてくる
――実際私は体温ちょっと高いですから、トレーナーさんをぎゅーってした時暑くないですか?
クリークは口元に指をあて、困ったように微笑んでる。 クリークに抱きしめられるとすごく安心するし脳が幸せで蕩けそうにはなる。 ハグが幸せ物質や不安がどうこう、というのは間違ってはいないのではないだろうか
――わたしのハグ、好きじゃないですか? でもトレーナーさん…わたしがハグした時凄く幸せそうな顔してくれますよね♡ - 169二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 13:13:27
そう言って背中を向けたブーケが俺の背中に抱きついてくる。 タオル越しとはいえ地肌が触れ合いそうな感触に俺は女の子の悲鳴のような声を挙げて前方向に逃げ出してしまった。
すまんブーケさすがに今はまずいまずいってアイ・アム健全な男子オーケイ?
自分でもあんな声をあげてしまった事にびっくりする俺。ブーケを露骨に拒否してしまった事に申し訳なく後ろを振り返る。 すると
四人は最初あっけにとられたような顔をしていて――そして突然ニヤリと笑った
なにやら面白いオモチャを見つけたようなちょっと邪悪な笑み
待って待って待って、クリークってそんな邪悪な笑みするようなタイプじゃないじゃん! ブーケだっておせいそじゃん!おせいそでいようよ! ジェンティルだってそんなキャラじゃないしローレルだってからかうぐらいでしょ!?
――うふふ♪トレーナーさんが悪いんですよ? 年頃のウマ娘にそんな顔と声だしたら誘ってるとしか思えません♪
本気なのか普段のからかいなのかにじにじとローレルが近寄ってくる。 温泉をかきわけるように
それに続く三人
まって、俺まだ犯罪者になりたくないよ? それに担当契約終わるって
――あらあらまあまあ♪トレーナーさんは優しいんですね♪でもこの場合加害者はウマ娘なわけでして、未成年側が加害者だと世の中色々困ると思うんですよ。
――うふふ♪それに被害者加害者じゃなくてあくまでスキンシップとイチャイチャですよね♪
――諦めなさいなトレーナーさん、ヒトミミはウマミミには勝てなくてよ
――あはっ、優しくしますから……きっと次からはトレーナーさんからおねだりするようになっちゃいますよ♪
やーーめーーてーー!!
……
流石に逆ぴょいとかそういうのは無かったとはいえ
俺は左右にブーケ・ジェンティル腕を絡ませ合い、背中からクリークに抱かれ、逆にローレルを背中から抱くように正面に置くというハーレムのような格好になっている - 170二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 13:23:34
ハーレムじゃん幸せじゃん、そう思うかもしれない
そんな訳ねえだろ美少女四人に抱きつかれくっつかれてそれらにこっちから何一つしちゃいけないんだぞ
地獄だ地獄、生殺しなのに向こうは積極的にくっついたり身体を弄ばれるんだ
俺だって抱きつきたいし背中から抱くクリークに身体を全部預けて背中をあのふわふわした胸元にうずめたい
ローレルをぎゅうっと抱き寄せてそのしなやかで華奢な身体を堪能したい
ブーケだってぎゅっと片手で抱いたら折れそうだし温泉の中なのにすごくいい匂いがする。 そもそもブーケは本当に俺がなにしようと許してくれそうで男性の心を壊してくる
ジェンティルはプロポーションも完璧だしあの貴婦人が俺の腕に自分の腕を絡めて寄り添ってると思うともうこれはオーケーじゃんって思うに決まってるだろう
こうなったら正直シたい、健全な男子なら絶対そう思う。 なのに絶対に手を出したらいけないんだ
地獄にきまってるだろこんなのハーレムの皮かぶった拷問だ
うふふ♪ もっとい~っぱい、甘えてもいいんですよ♪と背中からぎゅっとされる。 おもいっきりあの胸が当たってる、うわこんな柔らかいもんなのいやまってまってやばいって
第一こんなので間違い起きたら君たち四人でしょうが、いきなり四股かける男とそういう事になるのどうなんだよ
――そんなの、四人でトレーナーさんと仲良くイチャイチャでよくないですか?
ローレルが俺の身体に背をあずけてくる。 ジェンティルはクスクスと笑いながら俺の肩を撫でて反応を楽しんでるし、逆にブーケは俺の腕に抱きついてきて凄い幸せそうな上気した表情で俺を見上げてる
俺は脳内で必死にお経を唱え、頭の中を大相撲の力士でいっぱいにしてなんとか感情を萎えさせようとしてるぐらいに頭がゆだってる - 171二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 13:32:41
――むう、男の人ってこういうのは据え膳だって聞きましたけど手ださないんですね。
――そうですねえ、その方がトレーナーさんらしいですけど♪ でも…もう少し甘えて欲しいなって思います
うるさい、この状況でほんの少しでも甘えたら人生終わるぐらい俺だってわかるんだ
――なら上手いことコントロールなさいな。 その上でスキンシップを楽しんだほうがお互いによいのではなくって?
――大丈夫ですよ♡ トレーナーさんは我慢したけど私達が無理やりシちゃっただけですから♡ 誰にもバレませんよ…♡
やめなよ俺の理性をそんな簡単にゴリゴリ削るのやめてよ。なんでどう見てもハーレムの羨ましがられる状況なのに俺は心から耐えなきゃいけないんだよ。
俺はクソでクズだけど流石にこんなのでウマ娘の担当に手をだすような畜生にはなりたくない。クズにもそれなりの矜持とプライドってものがあるんだ
――全く、手を出してるんじゃなく手を出されてるんだというのに。 わかってませんわね
うるせえ! お前名門一族の御嬢だろこんなとこで間違い起こしたら一番やばいだろ!
――いえ全く? そうなったら貴方を養子に迎え入れるなりもみ消すなり…言ったでしょう? ヒトミミはウマミミには勝てないって――アレ、別に力とか腕力だけじゃなくってよ?
こっわ!? なにそれ本当に怖いからやめて!? - 172二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 13:43:36
――実際、トレーナーさんの好みってどういうのなんですか?慎ましやかが好きとか清楚がすきとか
――男子なのですし豊満な女性の方が良いですわよね?
――からかいお姉さんとかどうですか? トレーナーさんって、結構マゾですよね♪
――甘やかしてくれる女性とかどうでしょうか? いっぱい頼って欲しいです♪
……
…………黙秘で
俺は黙秘で逃げようとしたが
――言わないとここでタオルひっぺがしますわよ?もちろん私たちの
やめて!?本当にやめて!?
ジェンティルの脅迫に物凄く不本意だが、このガールズトークに付き合うことにする
そりゃ俺だって男子なので彼女ほしいとかイチャイチャしたいとか性欲だってある
だが俺自身女性とのお付き合いとかしたこともないしそんな暇もなく、そういうのは正直全然わからん
なによりこのぐらいまでそうだと自分からそうそう口には出せない
見た目より、積極的だったり……アプローチしてくれる女性?
俺のその言葉に女性陣が色めき立つ。 キャイキャイと声をあげて「じゃあOKじゃありませんの」「これは誘ってますね♪」「押し倒しちゃったりとかどうですか?逆ぴょいとか」「うふふ、じゃあ今度でちゅね遊びしましょうね~♪」とか好き勝手なこと言っている
クソぉ、俺の純情を踏みにじりやがってえ…俺は女性の愛し方なんかわかるわけねえんだよお…親にすら愛されなかったやつが他人を愛する方法なんかわかるわけねえだろうがよお - 173二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 13:52:36
――では見た目は?
この尋問まだ続くのかよ……俺は前世でどんな罪をおかしたんだ
そりゃナイスバディの方が良いし俺は長身派だ。 長身でおっぱい大きくて腰がくびれてる方がいい……そうは思ってたんだけど
――だけど?
いや
いや……まあ……その――ローレルやブーケを見てると
――……みていると?
細いくて華奢なのもそれはそれでいいなって……すっごく柔らかいし……
きゃーっ♡きゃーっ♡
きゃいきゃいと大はしゃぎの女性陣。 なんだよこれ助けてよお、もう良いだろ?
特にブーケとローレルが手をつなぎ合って「頑張ろうね!」って言い合ってる。 頑張るってなんだよトレーニングとレースだけにしようよ……
――貴方、実は誘っていますの?誘い受け? 誘い攻めですの?
珍しくジェンティルがちょっと興奮したような顔をしてる。 しらねえよ俺は男だぞ勘弁しろよほんと
助けてくれクリーク。 お姉さんとしてこいつらをちょっと落ち着かせてくれ
……クリーク? なんで俺をじーっと見てるんですか?クリークさん?
――うふふ、うふふ……私がママですよ? トレーナーさんはトレーナーちゃんになるべきなんです
クリークが暴走した!? おいタオルを剥がそうとするな! ジェンティル止めろ! ブーケとローレルもクリーク抑えろ!
暴走でちゅねと化したクリークをなんとか3人に押さえて貰ってる間に俺は温泉から逃げ出すことにした - 174二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 14:03:23
――んっ、トレーナーさん♡ ソコ、いいで…すぅっ♡ もっと激しくしても大丈夫……気持ちいいっ♡ トレーナーさんそれいいです♡ もっとシてくださあいっ♡
うるせえッッッ!!マッサージしてるこっちの身にもなれその喋りやめろ!!
腰からかかと、足裏までじっくりとマッサージをする。 この温泉はサクラローレルの療養でもあるのだ
羨ましがるクリーク達と堂々と次お願いしますわと言ってくるジェンティルを制する
すまないが今日に限ってはローレル最優先なのだ。 青葉賞の激闘はレースだけでなくそれまでの脚のダメージの蓄積が原因。 メイクデビューから11月までのジュニア組より菊花賞までに能力も脚も仕上げなきゃいけないローレルを最優先にケアしたい。
太ももからお尻を両手で擦るように揉み上げる。 ローレルが「トレーナーさん、えっち♪」と言ってくるが無視して続ける。 お尻周りは腰、背中、脚まで大きな筋肉とスジが通る重要な部位だ。 いい尻してる、いいケツしてるは一般人からしたら100%セクハラだがトレーナーに限って言えば真面目な「業界用語」でもある
とはいえあんな事こんな事があった直後にマッサージをしてるのだ。 いくらこっちが真面目にやってるとは言え意識してしまうその煩悩を振り払うのにこっちだって必死だ。
脚、大丈夫か? 菊花賞まで多分休みないぞ
菊花賞3000m――それに耐えうる心配とパワー、ナリタブライアンに勝つためのスピード
これまで我慢してきてプールや坂路で鍛えた筋肉のお陰で強度の高いトレーニングができるようになってきた
菊花賞で勝つにはギリギリまでトレーニングが必要になるだろう
――凄いなあ……私、本当に菊花賞でブライアンちゃんと闘って、勝とうとしてるんだ - 175二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 14:16:25
クラシック1月にローレルは引退を考えていた
その頃の彼女はまともにトレーニングが出来ずにナリタブライアン・凱旋門賞はおろか未勝利戦ですら苦戦していた
自分の脚さえまともならば――何度それを思っただろう。 せめて他人と同等のトレーニングさえ出来れば…せめて他人の半分でもトレーニングができれば……せめて、せめて、どうして
夢、思いとは裏腹に現実はローレルを打ちのめしていって……本当はもっともっと走りたいのに引退を選ぼうとしたその時どんな気持ちだったのだろう。
俺はそんな少女の気持ちを利用して――G1くれよ、脚壊れてもいいから、なんて思ってたんだな
菊花賞でナリタブライアンに勝てばURAも業界もサクラローレルに注目する。
そんなローレルがシニアで凱旋門賞に挑むならば、日本もURAもバックアップするだろう。日本中を巻き込まなければ万全を期して凱旋門賞への遠征は不可能だ。 一個人の渡航とはワケが違う。
そのためには菊花賞でナリタブライアンに勝って「怪物」がブライアンだけではないと世間に知らしめる必要がある。そしてシニアで中距離のG1……せめてG2実績を勝ち取れば、世間が凱旋門賞に期待する。
凱旋門賞に出るだけでは足りない。 「勝つ」ためには万全の体勢を整えなければいけないのだ
勝つぞ――菊花賞。 ナリタブライアンに勝ってシニアで凱旋門賞に行くんだ
俺の手にも力が籠る。 まだ7月にもなっていないがローレルの闘いはもうはじまる
夏合宿から休み無しでトライアルに突入し菊花賞までやすめないだろう、それはガラスの脚の少女にはあまりに酷な道のりだ。
それでも……ローレルは頑張った、我慢した。 1月とは別人になった脚の筋肉がそれを確信させる。 彼女のガラスの脚は強い鎧に守られてる。ローレルの心も夢も脚も、簡単には砕けやしない - 176二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 14:24:03
――うん、私……トレーナーさんと契約できて本当に良かった。
やめてくれ、俺はそんなつもりで契約してなかったって言っただろ
――ううん、本当に優しくても誠意があっても寄り添ってもね……私の夢を叶えられる人はトレーナーさんだけだったと思う。 私、頑張るね♪
……ああ、俺も頑張る
ぼふっ
顔に枕が飛んできた。 というかなんだこの大量の枕は
和室に敷き詰められた明らかに5人分以上の布団。 ここはいつから修学旅行の寝床になったんだ
そして大量のまくら。 その枕をジェンティルもクリークも持ち上げてる
――まくら投げに決まってますわ。そんな二人きりの甘い時間になんかさせませんわよ
――ま、まくら投げってわたし初めてで……ちょっとワクワクしますね
――トレーナーさん♪ 私が護ってあげますね♪
三者三様、やる気満々だ。 ローレルは「どうしようか」と言った顔で俺を見ている
決まってる、ナリタブライアンの前に蹴散らしてこい。 1年センパイの実力を思い知らせてやれ。
そうして始まるまくら投げ合戦
全員がはしゃぎながらの大騒ぎ。 俺も参加して容赦なくウマミミパワーにボコボコにされた。
そのまま5人で和室で寝転んで、温泉旅行の一晩を過ごすことになる - 177二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 14:27:36
あんまり大作をここに貼るな
困るだろ
俺の感情が - 1781◆qxc6n.SpgKwJ25/10/11(土) 14:35:09
休憩します
200行きそうなら次スレ立てて続けるのでコメントはご自由にどうぞ - 179二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 15:01:56
良スレを見つけてしまったわ。
俺はウマシコ系は大嫌いなんだけど、温泉のシーンは流石にムラムラしたわ。 - 180二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 20:47:59
楽しみなので保守
闇のトレーナーは自己肯定感を上げろ - 181二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 22:02:08
ダッシュだダッシュだダッシュだ全力ダッシュで昨日より一歩多く脚をうごかせ!
ダッシュ終わっても止まるな! ジョグの速度は維持しろ頑張れダッシュ終わってもトレーニングは終わってないぞ頑張れ!
痛くなるほど両手を叩きサクラローレルを追い込む。 毎日毎日同じ言葉で追い込んで限界まで心肺能力を鍛えていく
サクラローレルの差しのセンスと豪脚はナリタブライアンの上を行く。 ラストスパート勝負なら負けない
しかし総合力でぶっちぎりの性能をもつナリタブライアンは必ずサクラローレルより早く動き前にいる。3000mという長丁場でもその分のアドバンテージはナリタブライアンにあるだろう。
結局のところ我慢比べ、3000mを全力で走るスタミナ、心肺でナリタブライアンを凌駕しなければ勝ち目はない
プールや坂路ではなく菊花賞を走る芝コースでラストスパート最高時速の心肺をただひたすら鍛える。 スピードの出る芝コースで全力疾走する事を繰り返すのはガラスの脚をひたすらハンマーで鍛えようとするような行為だ
――だが、もう今のローレルの脚は脆いだけのガラスの脚じゃない
どのみちナリタブライアンに勝つには自分の脚の最高速度と心肺をひたすら身体に叩き込ませる必要がある。その速度でコーナーを回ればどれだけ遠心力がかかるのか、コーナーを終了して直線に向いた時に身体はどうなるのか
ここらを身体に叩き込むには芝で実際に走り込むしか無いのだ
毎日大声を出しっぱなしで喉が痛い。両手は叩き過ぎで内出血が出来てる
それでも激を飛ばすために大声をだし両手を叩く。 走ってるローレル自身が気付かないペースの乱れと遅れにムチを打ちローレルに全力を出させ続ける。
なにが痛いだ――ローレルは1年以上もっともっと辛い痛みと闘ってきたじゃないか
ようやく闘える、勝てるようになったのはローレルがずっとずっと耐えて我慢して頑張ってきたからだ
まともにトレーニングできるようになったならば……やるしかないじゃないか - 182二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 22:16:49
良いタイムだ!なによりこのタイムをずっとずっと維持し続けられるのが良い!
心肺能力が明らかに鍛えられている。 プール、坂路で鍛えた心肺が今のトレーニングで機能している
アレだけ過酷なスパートとインターバルを繰り返していても4本目になってペースが落ち込むことはない
しかもこのタイムはクラシックどころかシニアG1級だ、それを4本も維持できるウマ娘などそうはいない
すごいぞローレル、お前はやっぱりナリタブライアンにも勝てるウマ娘だ
――嬉しそうですね、トレーナー
ストレッチをしながらサクラローレルが微笑む。俺の顔をじっと見ながら笑っていた。
そりゃそうだろう。ローレルが目標にしていたナリタブライアンに勝つというのが明確に手が届くんだ
やれたらいいな、夢はブライアンちゃんに勝つことです…ではなく次は勝てるという自信と確信
そりゃあテンションもあがる。 あのナリタブライアンという怪物に勝つという不可能を成し遂げられるのだから
ふふふっ♪と、愉快そうにローレルが笑う「まるでトレーナーさんの夢だったみたい」
……嗚呼、そうだな。 俺の夢じゃない。 それでもなんかこう――アガるものがあるだろう
ローレルを見ているとワクワクするんだ。 凄いことを絶対にやらかすぞ!みたいな
興奮した俺がうまく言語化できない言葉でそんな事を言ってるのを眺めながらローレルは目を細める
――遠くを眺めるだけの夢じゃなく……自分で手を伸ばして掴む夢になったんですね
菊花賞までに仕上げてみせるさ。咲くのは菊じゃなく満開の桜だ
俺のそんな言葉にローレルはからかうように笑いながら
――じゃあ、ブライアンちゃんに勝ったらご褒美くださいね。 二人きりのデートとか - 183二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 22:40:41
7月デビュー組はなし、仕上がりが比較的はやいジェンティルも10月か11月……これは阪神JFを視野に入れたローテーション。 長期休養でトレーニングや模擬レースがうまく出来なかったスーパークリークは12月か明け1月だろうか
カレンブーケドールは仕上がりの判断を模擬レースでどこまで勝ちにこだわったポジショニングができるかで決めたい
そんな事を考えながらデスクでノーパソとにらめっこをしていると、ブーケがトレーナー室に入ってきた
ブーケは隣の空き部屋をDIYした温室で花を育てている。 温室という貴重な環境で育つ花は珍しいものも多く最近は生徒会副会長のエアグルーヴも温室に出入りしているようだ
お疲れ様ブーケと声をかけて顔を上げると――彼女の雰囲気がいつもと違う事に気がついた
ブーケは少し考えるように唇を噛んで……しかし俺をまっすぐ見つめて、7月のメイクデビューを直訴してきたのだ
俺は即座に快諾した。お願いします→ああ良いぞぐらい即答だった
物凄く呆気に取られた表情のブーケ。 ぽかーんとした顔をしているのが可愛くて少し苦笑してしまう
ブーケの競争能力はとてつもなく高い。 ジュニア期に限ればジェンティルドンナを上回るかもしれない才能を秘めている。 しかしソレ以上のデバフであるメンタル面が脚を引っ張りすぎているのだ
優しすぎる故にポジショニング争いでぶつかってでも位置取りを保持する能力が無い。 勝負根性と言われる部分があまりに弱すぎる。 それは近代競争における先行作戦では致命的な弱点だ
しかし、そんなブーケもジェンティルドンナなスーパークリークを押しのけて模擬レースに勝つこともある。サクラローレルとの並走でも必死の顔つきで食らいついて追い抜こうとする様も最近は見えた
あとは本人のやる気次第なのだ。 どういう事情かはわからないが本人がやる気を出してるこの瞬間がブーケにとって最高の仕上がりといえるだろう。
ところでなぜ急に7月デビューをしたいと言い出したのかと問えば
――わたしも一番になって、もっとトレーナーさんに注目されたいんですっ! - 184二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 22:43:48
7月デビューは仕上がり上勝ち負けのギャンブル性も強いが明確なメリットが有る
函館2歳S 新潟2歳S中京2歳S 札幌2歳S
ここらをローテーションに組めるのは実は大きい。 ジュニア期のレースなれしていないウマ娘たちが今後強力なライバル達とぶつかる時精神的バックボーンが無いもの同士でぶつかるのだ
元々メンタルが特別に強いウマ娘であるジェンティルドンナのようなウマ娘は稀な存在
強者同士のぶつかり合いで緊張をしないウマ娘はいない。 そこで「自分は勝てる」というバックボーンとしてすでに重賞を走っている、そこに勝っているという実績への拠り所はとてつもなく大きい
特にブーケの実力は抜きん出てる。 ここでもし重賞戦線一番乗りとなれば彼女の大きな自信につながるだろう
――四人で仲良く食べようねって約束はしましたけど――やっぱりトレーナーさんを一番悦ばせてあげたいんです!
うーんなんか俺のメンタルが崩壊しそうだぞ? 俺は重賞に出ないんだけどな
――菊花賞でローレルさんが勝ったらデートするんですよね? その前にあわよくばお先に失礼したくて!
君清楚で乙女で優しすぎる子のはずだよね? なんでソッチになると急に勝負根性S+になってるのかな?
――わたしなら……トレーナーさんのこといっぱい満足させて差し上げられます
――いっぱいハグして、トレーナーさんの弱いとこ、いっぱいわかっちゃってますから♡
いつの間にか背後に回り込んでいたブーケが俺をぎゅっと抱きしめる
甘い香りと柔らかいハグに包まれ、ブーケがくすくすと小悪魔のような笑いをして
結局ブーケが7月上旬にメイクデビューをすることになった。 - 185二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 22:54:16
スーパークリークもようやく本格的に始動だ
元々秀才肌の彼女はこちらのトレーニングメニューをそつなくこなしてくれる
温泉旅行で一番の恩恵をうけたように体調がよくなって、食事量も物凄く増えた
ウマ娘はいっぱい走ってそれでもメシをいっぱい食えるウマ娘が強い。 そんな格言があるがスーパークリークもハードなメニューの夜でも食事量は多いし翌日も食欲旺盛だ
これなら明け1月じゃなく11月12月のメイクデビューも現実的だろう
俺はクリークのあぐらにのっかるように抱っこをされながらそんな事を考える
……あーん、うん卵焼き美味しい。甘いのが好き
明確な目標のあるローレルや自分の道筋の王道を見据えているジェンティルドンナとは違いクリークもメンタルに影響されやすい。 内向的なブーケと真逆で外向的だがその外部からの影響でメンタルが上下する
ブーケよりメンタルケアは重要かもしれない……あ、肉団子もう一個欲しい
仕上がりは決してはやいわけではない。 皐月賞に間に合わない可能性はあるし無理せずクラシック夏か秋から真の本格化といったとこだろうか……あーん、クリークのお弁当美味しいからすぐなくなっちゃうね
俺を抱えるように抱きながら俺にご飯をあーんするクリークの瞳がちょっと怖い気がする
甘やかしたり可愛がりたい気持ちが最近は結構かかり気味になりがちだ
この前大人用の前掛け(赤ちゃん)を見せられた時のクリークはちょっと怖かった
クリークは俺を赤ちゃんにしようとしているのかもしれない
…
……
…………お母さんかあ - 186二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:02:42
親から愛された記憶はあまりない
あそこにいた時の記憶は、のどが渇いて、痛くて、こわくて、空腹で
おなかがすいた――おなかがすいた――おなかがすいた
そればかりで――「おてつだい」をするとその日はいっぱいご飯をたべれた
「おてつだい」はイヤだったけどごはんをたべてるのはうれしかった
おかあさんもその日だけは上機嫌だった
クリークのしてるこれが――皆が享受した「おかあさん」なのだろうか
気がつくと俺はクリークにぎゅうっと優しく、深く抱きしめられていた。 考え事をしていたから気づけなかった
クリークは俺の背中をぽん、ぽんとずっと撫でてくれてる。温かさと背中から心臓に伝わるそれが心地良い
皆のお母さん、っていうのは、子供にこうするものなのか?
俺はなんとなくそんな事を聞いてみた。お母さんというのはこんな無条件に我が子を愛するものなのだろうか
クリークは俺の問いには答えなかった。 ただただ優しく
――なーんにも考えないでください。 私がずっと、こうしてあげますから
俺は無意識に両手をクリークの背中に回し、抱きついて目を閉じる
まあ良いか……今のクリークのハグは気持ちよくて、幸せなのだから - 187二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:13:13
――クリークママにいっぱい甘えられたかしらトレーナーさん
――わたくしもいっぱいハグしてあげましょうか? 情熱的に……全力で
やめなよおトレーナー圧殺事件なんて不祥事ジェンティル家には似合わないって
クリークに赤ん坊のように抱きついてずっと眠ってる俺を見つけてジェンティルは俵を担ぐようにトレーナー室に運んでくれた。 ソファに放り投げられお説教をうけている
まあわからんでもない。 午後からクリークもトレーニングだし
そんな事よりジェンティルに見せたいものがあったのだ。
俺はソファから立ち上がりノートパソコンを開きカタカタと操作してからジェンティルのほうにノートパソコンを向ける
ジェンティルドンナ向けのジュニア期中のトレーニングメニューとレースローテーションだ
中距離向けのジェンティルに桜花賞までを見越したスピード・加速メニュー
ホープフルではなく阪神JFをジュニア目標にしているのも桜花賞への布石だ。のちのちに最強を証明するために強者を打ち倒す想定だがまずはマイル距離でも最強を証明しなくてはいけない。
今まではジェンティル自信のトレーニングメニューを尊重していたがそのトレーニング内容をずっと見続け彼女との対話を続けてきた。現状このトレーニング内容であればジェンティルを納得させられるだろう
彼女はトレーニング内容を2,3俺に確認しつつ「ふぅん?」と鼻を鳴らす
――私の自主的メニューよりもこっちがいいと?
そうだ。 ティアラ三冠とシニア期に最強になるためにそろそろ俺もジェンティルが納得するメニューを出したい。
俺はジェンティルの付き人じゃなくジェンティルを最強にするトレーナーだ
これも一つの挑戦。 ジェンティルを納得させ認めさせるには常にジェンティルにそれをぶつけないといけない
ほほほ
良いですわ……貴方の指示に従いましょう。 それにしてもなんで今までは出してこなかったのかしら - 188二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:23:09
今まではジェンティル自信のトレーニングを確認しトレーニング場の確保が可能かどうか、多少の修正の打診ぐらいだった。しかしそれはジェンティルの性格とトレーニングの意図をきちんと理解するためだ。
彼女は強さを証明するために自身を限界まで追い込むトレーニングを良しとする。
そのトレーニングには無駄が少なく――故にローテーションを使った休息ばかりで全身と心をリフレッシュさせる時間が少ない。 それでも彼女は強くなれるだろうがそれでは最強たる貴婦人には物足りないだろう
――物足りない? 私のメニューが?
量や質じゃない。 あのメニューでも強くなれるが俺のメニューならもっと強くできる
俺にはその自信がある。そのぐらいにはジェンティルドンナを見てきた、その確信を得られるまで――ジェンティルドンナというウマ娘を理解するまで時間がかかっただけだ
――ふぅん? 貴方、私にこうして挑戦しつづけるのね?
当たり前だ。 俺はジェンティルのトレーナーで君は貴婦人ジェンティルドンナ。 トレーナーだから言うことを聞くんじゃなくその内容に納得できるから従うんだろう?
俺は全力でジェンティルが納得するメニューと理論をうちだしてぶつけるだけだ。 納得できないなら自身のメニューでやってもらっていい、その間に納得させられるメニューを新しく作ってくる
あは、あはははっ
ジェンティルの笑い声がトレーナー室に響いた。 本当に愉快そうに満足そうに笑うジェンティルを見るのは珍しい
――良いですわ。 それで良いですわトレーナーさん。 このトレーニングメニューに従いましょう
――今度貴方ジェンティル家に招待するわ。 父に紹介させて頂戴、「私のトレーナー」だと
勘弁しろ、俺みたいな庶民がお前の父上とあったら目があっただけで消滅するわ - 189二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:37:38
――それにしても、クリークさんの抱っこは気持ちよかったかしら? あんなにだらしない顔をして眠っていたのですもの……さぞかし気持ちよかったのでしょうね? クリークさんの胸って大きいですし柔らかそうですものね? ああごめんなさいトレーナーさんはそのほっぺたで柔らかさを確認済みでしたわね? どうでしたの? 柔らかかったかしら?
……なんだこれ、嫉妬にしてはジェンティルはニヤニヤしてるしこんなからかうようなネタで攻めるタイプだったっけジェンティルって。
しかしジェンティルの瞳には少々俺を攻めるような色合いも含んでいる。俺が何をしたというのか
――ブーケさんやクリークさんにはハグされて甘えるじゃないの。 私だって肉体には多少自身がありますわよ?
ああ確かにジェンティルとはそういう事はない
しかし別にジェンティルに魅力を感じてないわけもない。ジェンティルはおっぱいおっきいし腰もきゅっとしてるし太ももムチムチだしおっぱいがおっきいし柔らかそうだしおっぱいがおっきいのだ
――とは言えそもそも俺がクリークやブーケにハグやあーんをおねだりしているわけでもなく、ジェンティルは自分からしないのでそりゃあそういう事にはなるわけがない。
――ならわたくしもこういう事をしていいというのかしら?
ジェンティルが俺を抱き寄せ胸元へ手繰り寄せる。弾力を思わせるが柔らかい感触とジェンティルの香りに包まれて全身の力が抜ける。お互いに立ったまま胸と頭部だけでなく身体をくっつけ太ももを密着させられる
――どうかしら、わたくしのハグ
……すっげえいい匂いする……ジェンティルの匂い
思わず漏れた言葉にジェンティルが言葉にできない表情をしていた。先程より強く抱きしめられ脚を絡ませ身体を少し擦り付けられる
――やはり誘ってますのね? わたくしも名門とはいえ年頃の女ですのよ? このまま手籠めにしてしまおうかしら
気持ちいい――いやまで手籠めはまずいだろ
ギリギリのところで我に返り俺はジェンティルから離れようとあがく
力がこもって痛いとか苦しいとかはないのに腕一つ動かないのだが
――あら♡ もっと本気で抵抗なさいな♡ ……ふうん、それが……本気なのね♡
――本気で抵抗しててそれ……ふうん♡ 本当に、可愛らしいこと……♡ - 190二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:43:24
まってジェンティル! お前強者とか力強いのが好きなんでしょ!? 待って待って待って!?
とはいえ
ヒトミミはウマミミに勝てないのだ
俺はジェンティルに抱き寄せられ、顔をゆっくりと寄せられ
ローレルたちが部屋に入ってきて大騒ぎになったお陰でトレーナー人生の一命をとりとめた
ローレルとジェンティルが珍しく言い争ってるが止める元気がない
言い争ってる内容も「トレーナーは共同財産」「つまみ食いぐらいいつ誰がしてもいい」とかいう話だ
クソが俺の人権は俺のものなのに俺の人権も人生もお前らが勝手に相談して言い争いしやがって
そんな感じでいじけてる俺をクリークはいそいそと膝枕しだし、その隣にブーケが座って頭を撫でてる
普通ならハーレムなのだろうがこれに甘んじると俺のトレーナー人生が終わるし最悪四人のレース人生も終わる
はっきり正直言うが俺も何度もこの誘惑に負けて襲いたいと思ってる。
それをして犯罪者になったらおしまいだから手を出してないし四人に一線を超えさせてないのだ、正直に言おう俺は超えたい。
法律、刑法というのは本当に偉大だ。 こうして犯罪への抑止力になっている。 法治国家万歳だ。
こうして各自つまみ食いや誘惑は自由にしていいけど偶然見つかったら終了、ということで話はまとまったらしい
俺には何一つ確認も相談も意思の尊重もなかった
俺は闇のトレーナー、そして闇のオモチャなのだ。 ヒトミミはウマミミのオモチャでしかないのだ
ガラガラを鳴らすクリークの手を見ながら俺はそんな事を考えていた - 1911◆qxc6n.SpgKwJ25/10/11(土) 23:44:57
休憩or寝ます
続きはSS書く時次スレを立てそちらに書かせていただきます - 192二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:51:01
ジェンティルからは完全に愛玩動物のそれとして見られてますねコレ…
- 193二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:51:14
毎度お疲れ様です
大丈夫?これ下手したらエロゲ行きレベルの綱渡りしてないトレーナー? - 194二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:51:49
乙
食われそうで食われない
だがまだジュニアである - 195二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:53:53
トレーナーはおしまい!
おいたわしや…彼には過ちを犯さないよう頑張って欲しいですね(他人事 - 196二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:54:22
乙です
これまだ四分の三がジュニア期ってマジかよ
こりゃ相当長くなるぞ - 197二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:56:19
シニア期迎える前におめでた迎えてそうなんですが。
- 1981◆qxc6n.SpgKwJ25/10/12(日) 01:34:02
https://bbs.animanch.com/board/5726209/?
次スレを立てました
どうぞ一読いただければ幸いです
コメントに対し筆者は思いつきのみで書いてますのでコメントの通りになるかもしれないしそうならないかもしれません
特定の方のみにコメントを返すのもアレなので基本大筋がおわるまではコメントにレスはつけませんのでどうかご容赦ください、ミラ子が悪いんだよ
- 1991◆qxc6n.SpgKwJ25/10/12(日) 01:35:05
- 200二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 01:42:46
次スレも期待してるぞ