【閲覧注意(🎲)・SS】Re:ゾンビ映画を作ろう──終章

  • 11◆wrMSm.CxZiIw25/10/09(㜍) 07:47:52

    お久しぶりです🙇
    どれだけの方が覚えていらっしゃるか分かりませんが、1ヶ月とちょっとぶりにお邪魔します。

  • 21◆wrMSm.CxZiIw25/10/09(㜍) 07:49:57

    過去スレ一覧


    【閲覧注意🎲】ゾンビ映画を作ろう|あにまん掲示板学P「最近、俺は思うんです。あまりにも辛く苦しい方向に進んでしまう物語が多すぎる……と!ならば、初めから創作だと分かっていればいい。演技力向上にも繋がります。」学P「では、最初に主人公を決めておきまし…bbs.animanch.com

    【閲覧注意🎲・SS】続・ゾンビ映画を作ろう|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/5245047/bbs.animanch.com

    【閲覧注意(🎲)・SS】終章・ゾンビ映画を作ろう|あにまん掲示板前スレたちhttps://bbs.animanch.com/board/5245047/https://bbs.animanch.com/board/5345484/昨日スレ画が貼れなくて全部乗っ取ら…bbs.animanch.com

    あらすじなどは最新(8月末……)のスレをご覧ください。

    スレを早期に落としてしまったので、簡単に追っていただけます。

  • 3二次元好きの匿名さん25/10/09(㜍) 07:54:49

    渋でも読んでたけど待ってた

  • 41◆wrMSm.CxZiIw25/10/09(㜍) 07:58:36

    完結はさせると以前にも断言しましたので、可能な限りこちらで再び書き進めていこうと思います。しかし自宅のWifiがあにまんの規制と相性が悪いのか、気まぐれにホスト規制を食らうと数日から数週間ほど足止めを食らってしまうようです。

    また、日中は保守をお願いしたいです。夜になるべく書き進め、更新できないときでもトリップをつけてなるべく保守の生存報告をするようにします。

    これでもしホスト規制を食らったら流石にどうしようもないので、もし丸5日経っても浮上してこなかったらスレを落としてください……。何度も同一のスレを立てるのは憚られるので、これまでの加筆と修正を加えてpixivでゆっくり、こじんまりと完結させます。


    「初星学園映画研究部 〜ゾンビ映画を作ろう〜」/「誘蛾灯」のシリーズ [pixiv]アイドル養成学校、初星学園。若きプロデューサーは、アイドルが舞台で輝くために日々様々なアプローチで少女たちの魅力を引き出していた。 そんな彼が新たに目をつけたのは……映画。フィクションへの没入体験だ。プロデューサー主導のもと、初星学園のアイドルは己の演技力を研磨する(ただし陰惨なwww.pixiv.net

    ↑pixiv版(亀更新です)

  • 5二次元好きの匿名さん25/10/09(㜍) 08:03:21

    あさり先生VSViトレーナーの決着から再び載せていきます。


    ──────────


     喉に突き刺さった刃に、脚に、最後の力を込めて。
     地面に手をつき自重をかけながら、左に大きく一振り。
     半分斬れた首級目掛けて、右に大きくもう一振り。

     ザクンッ……!

     トレーナーの首と胴は、これを以て完全に切り離されて。最初に彼女が持っていた倉本の私兵の生首と同じように、不格好な放物線を描いて廊下に放られた。
     あさりとビジュアルトレーナーによる文字通りの死闘は、あさりの辛勝で幕を閉じた。最後にあさりが見た彼女の顔は……口元だけでなく目元から髪の生え際に至るまで、苦痛に歪んでいたという。

  • 6二次元好きの匿名さん25/10/09(㜍) 08:05:03

    「……く、ふ」

     血みどろの戦いを制したのは、あさりだった。

    「みなさんは、ぶじ……で、しょうか……? あり、むらさん……、ひめさき、さん……」

     浅い呼吸で上級生の名を呼ぶ。教師としての責任は、果たせただろうか。生徒をその場から逃がすことしかできず、彼女たちの無事を祈ることしかできない己の無力を呪った。
     しかしあさりによる強化ゾンビの単独討伐は、一般生徒では到底成し得ない大金星にあたる。腹わたこそくれてやったが、世が世なら女傑として讃えられるべき勇姿であった。

    (──でも、もう身体が動きませんね。火事場の馬鹿力、だったのでしょうか)

    「……はは」

     それでも、さっきまで鮮明だった色が、次々と視界から失われていく。あさりが直感したのは、最初で最後の"死"。
     ……死神?
     いいや、天からの迎えなんて見えやしない。ぐらついた世界で、あらゆるオブジェクトが不鮮明にぼやけていくだけだ。


    「──まもれた、かな」


     ずるり。べちゃ。
     壁にもたれていたはずの身体は、気がつくと血液の海に投げ出されている。

     ……ああ、床から見ると、天井ってこんなに遠いんだ。
     最期の考えごとなのにくっだらない、と。悔やみ切る頃には世界は暗闇に染まっている。
     
     あさりは、一人孤独に意識を手放して────、

  • 7二次元好きの匿名さん25/10/09(㜍) 08:06:20

    ────あたたかい

  • 8二次元好きの匿名さん25/10/09(㜍) 08:08:38

    「──くん、根緒くん!」

    「……?」


    「……!? が、学園ちょ、げほっごっ……!?」

    「ぬおお、喋らんでもよいわ。……良かった。無事、とは言うまいが、手遅れということはなさそうじゃな。おうい、倉本、倉本ぉ! こっちに来んか、根緒くんが目を覚ましたぞい!」
     
    「……はあ、そう何度も呼ばずとも聞こえとる。わしの耳はまだ現役じゃ、老いぼれ扱いするでないわ」

     
     ────生きて、いる!?
     わたしは確かに死んだはず。ならばこの景色は……? あの世からの使者? 髭を蓄えた2人の老爺?

     あさりの脳内を、完結しない情報が駆け巡る。いずれにせよ未だ覚醒していないほぼ死に体の現状では、結論など出てこない。

    「混乱しておるようじゃな。……わしと倉本がおぬしを見つけたとき、おぬしは血溜まりの中で倒れ伏しておった。その上で既に心停止までしておってな、わしらに付いてきた十王家の救護班を総動員して蘇生を試みたんじゃ」

    「……再び心臓が鼓動を打ち始めたのを確認したときは驚いたわい。十王の医療設備というのは素晴らしい、まさかあそこから復活するとは思わなんだ。十王……いや、学園長じゃったか。あやつに感謝しておくんじゃな」

    「……あ、ありがとう、ございます、学園長……?」
    「なに、目の前の人一人救えず組織の長など名乗れんわ。これくらい当然のことじゃ。がっはっはっは!」

     豪快に笑う邦夫と、どこか遠くを見つめる倉本爺。経緯は分からずじまいだが、ひとまずあさりは老年の漢たちの奮闘により命を救われたらしい。
     右手をぐっと握ってみる……力は上手く入らない。それでも掌にちくりと食い込む爪が、ここが現実であることを教えてくれている。

     あさりは生徒を救った。そして爺たちに救われた。荒廃した世界で行われる命のやり取りは、なにも奪い合うだけではないのだ。

  • 9二次元好きの匿名さん25/10/09(㜍) 08:10:24

    「話の腰を折るようで悪いが、十王。貴様とて、いつまでもここにいるわけにはおらんじゃろう?」
    「ああ、そうじゃな。……これを、届けに行かねば」
    「さ、さっきから話が中々読み取れなくて申し訳ないのですが、それはどういう……?」

     一息つき直し、倉本が意味深長に尋ねる。戦闘以降の記憶が定かでないあさりは、困惑の色を一層強めた。
     邦夫はおもむろに、ジャケットの内ポケットに手を伸ばす。そして取り出した何かをしげしげと眺めている。

    「小型の、カプセル?」

     その中身は。

    「────うむ、夜通しの研究で完成した、ゾンビウイルス撲滅ワクチン。秦谷くんを助けるための特効薬じゃ」

    「な……!」
    「根緒くん、おぬしはどの道戦える状態ではない。倉本とともにここで身を潜めていなさい。わしはこれから生徒たちを追う」
    「し、しかし学園長! つまり学園長自ら外に赴くと!? 流石に危険で──ごほっぐっ……!」

     あさりは満身創痍だが、この場で最もゾンビの強さを知っている。だからこそ邦夫を制止しなければと、半ば本能的に警鐘を鳴らしているのだ。
     ……それでも。

    「なあに。……この場において最も強いのは、わしじゃ。それにな、」


     ────愛する孫娘を奪われて、対岸から眺めているだけで終われるわけがなかろう。


     地鳴りのような低い唸りを響かせた邦夫の目には、獣王──獅子の如き威圧感を放つ憤怒が、宿っていた。

  • 10二次元好きの匿名さん25/10/09(㜍) 08:12:55

    「……っ!」
    「根緒くん、といったか。曲がりなりにも十王の強さは本物じゃ。余程のことがない限りは心配など要らん」

     自分に向けられたものではないと分かっていても、感じたことのない重圧にあさりは竦み上がる。戦闘力を補足する形で倉本が2人の間を取り持ったが、あさりは息を呑むことしかできなかった。

    「倉本。おぬしに限って大層なことにはならんじゃろうが、しばし学園と根緒くんを頼んだぞ」
    「うむ、任された。由緒正しき倉本財閥当代の長として、死んでも醜態は晒すまいよ。……まあわしが死ぬことなどありえんがな」

    「どれ、荒々しく大型車のハンドルを切った跡が残っておるわ。あの子らは西へ向かったか……無茶をしおって。待っておれ、秦谷くん……!」

     その大柄な身の丈の半分ほどはあろうかという無骨なメイスを右手に携え、邦夫はアイドルたちの後を追い始める。……その瞬間、

    『ぎゅぐべー!』
    『……れーぜー!』
    「学園長、危ないっ!」

     物陰から突如として2体のゾンビが飛びかかる!
     浅ましくも不意打ちを仕掛けた屍どもを相手に邦夫は、

    「どいておれ、雑兵風情が。────去ね」

     ドグシャアッ……!!
     刹那の出来事だった、声を上げる間もなく奴らの頭蓋が粉々に打ち砕かれたのは。大ぶりなメイスで雑魚を一蹴した邦夫は、その亡骸を一瞥することもなく再び歩き始めた。
     矮小なハイエナがいくら集まったところで、腹をくくった一匹のライオンには到底敵わない。

  • 11二次元好きの匿名さん25/10/09(㜍) 08:15:10

    「……行ってしまった」
    (学園長が戦っているところ、初めて見た……)

     あさりは目を覚ましてからというもの、目まぐるしく飛び交う情報に翻弄されてばかり。彼女はまだ、自分が生きていることを認識するだけで手一杯だというのに。
     それを知ってか知らずか、少し間をおいてから、倉本は再びあさりに声をかける。

    「根緒くん、十王のことは心配せずとも良い。それより先に己の身を案じなさい。今のおぬしは立ち上がることすら困難じゃろうて」
    「えっそれは……あ、痛っ……!」
    「ほれ、言わんこっちゃない。のう、そこの救護班の者、根緒くんを運んでやりなさい。保健室なら、少しは寝かせてやれるじゃろう」

    「はっ。では根緒様、失礼いたします」
    「え……あっ、うわあ!? お、重くない、ですか……?」
    「とんでもございません。多量の出血とここ最近の慢性的な食品のエネルギー不足。むしろ軽すぎるのではないかと」
    「そ、そう……ですか。──よかった、のかな……」
    「わしの家の者は大方斃されてしまったようじゃな。おのれ、なんと痛ましい……」

     学園に残ったのは、倉本とあさり。十王家の付き人を数名従えながら、学園の体裁を保てているかも怪しい寂れた校舎を往く。
     その中で僅かな残党を見つけては、

    「小賢しいわ」

     ズドオオォォン……ッ!

     銃口から立ち昇る微かな白煙。そして重厚な残響が廊下を支配する。
     年季の入った巨大な猟銃を構えた倉本は、怒りと呆れの入り混じったようなため息をついた。遠距離から標的にされたが最後、緩慢なゾンビに銃弾を逃れる術はない。

    「ぬう……十王家から借りた得物はどうにも身体に馴染まん。これならわしの邸宅から脱出する際、倉庫の散弾銃でも一緒に持ち出しておくべきじゃったわい」

  • 12二次元好きの匿名さん25/10/09(㜍) 08:17:24

     倉本の助力。
     ワクチンの完成。
     邦夫の前線への進撃。
     もう何度目かも分からぬアイドルたちの戦いと逃避行。

     この先どれだけの涙が流れたとしても、終局は確かに訪れる。人生は、一度きりなんだ。


    ──────────


    あにまんのご機嫌が良ければ、今晩ないし翌晩以降に続きを書いていきます……!

  • 13二次元好きの匿名さん25/10/09(㜍) 08:30:09

    スレ立ておつ
    更新待ってた。

  • 14二次元好きの匿名さん25/10/09(㜍) 14:48:43

    保守

  • 15二次元好きの匿名さん25/10/09(㜍) 21:23:33

    保守

  • 161◆wrMSm.CxZiIw25/10/10(金) 00:49:49

    保守

  • 17二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 07:48:40

    保守

  • 18二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 17:04:51

    保守

  • 19二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 23:11:59

    保守

  • 20二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 04:21:47

    「……ふむ、ここであれば少しは腰を落ち着けられるじゃろう。楽な姿勢で良い」
    「あ、ありがとうございます」
    「よいよい、わしからすればおぬしもまた未来ある若者じゃ。それに生徒たちを……千奈を、守ってくれたこと。感謝してもしきれんわい」

     アイボリーを基調とした保健室の壁は、未だ血塗られることなく光を反射する。まるで世界から人だけがいなくなったかのように整頓されたまま。久方ぶりの客人を出迎えたのは、かちり、かちり、と規則的に動き続ける秒針の音だけだった。

    「……随分と、片付いておるな」
    「保健室は学園の中でも端に位置していますから。きっと、荒らされることもなかったのでしょうね」

     なんてことない世間話のように言葉を絞り出す。きっともう部屋の主はここに帰らないのだろうと、知っているから。
     
    「……」

     頭の片隅に心配事が残り続けている状態で、冗長な会話などそう続かない。程なくして沈黙が訪れた。あさりも倉本も険しい表情を堅持している。
     どちらとも、考えていることは同じだろう。

    「──無事ですよ、あの子たちは」

     先に沈黙を破ったのはあさりの方だった。

    「あの子たちを逃がすことしかできなかったわたしが言えたことではないかもしれません。それでも……彼女たちは生きています」
    「……ああ」

     根拠も何もない、自分に言い聞かせるような。いや、確信して語りかけるようなトーンで。確かに口にした。
     倉本もそれに同調する。浅い言葉だとあさりを非難することもなく、間違いないといった面持ちで。

    「千奈は。……強くなりおった、本当に。あの子の成長を見届けられんかったことが、無性に悔しく感じるほどにな」

     大人にしては拙いコミュニケーションだったが、思うところは同じなのだ。静かに帰りを待つ。もう一度、笑顔で会えることを信じて。

  • 21二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 05:08:06

     ──時は遡り、あさりの尽力で6人が職員室から飛び出した頃。

    「莉波、少し揺れるよっ!」
    「う、うん!」
    「ゾ、ゾンビが多すぎますわ〜っ!」
    「くっそお、これ、トレーナーと一緒に奇襲してきやがったな!」
    「美鈴、こっち! 早く!」
    「……!」コクッ

     麻央は隻脚の莉波を姫のように抱えながら。千奈とことねは周辺の敵を倒しながら。手毬は動きの鈍い美鈴の腕を引きながら。安全地帯を求めて疾走していた。

    「有村先輩、どこかに隠れましょう! 全方位にいる奴ら相手に、今の戦力じゃ対処しきれません!」
    「くっ……そうしたいのはやまやまだけど、もしまだ近くにいるあさり先生に何かあったら、ボクたちまで一網打尽だ!」

     頭数は揃えども実質的な戦力は人数の半分以下。さらに誰かを庇いながらでは廃ビルの時のような全力の戦闘は望めない。未だ外傷こそないが、戦わずして劣勢なのは誰の目にも明らかだった。
     加えて今は少しでも遠くに逃げなければ、脅威がいつ近づいてくるかも分からない。手毬の言うように体力の消耗を避けるべきではあるが、それは同時に巨大なリスクを内包する賭けでもあった。

    「麻央、私のことはいいから少しでもみんなを……」
    「──莉波。次そんなことを言ったら、キミでも許さないよ」
    「っ!ごめん……」

     麻央の莉波を抱える力が一層強くなる。司令塔として誰かを見捨てる判断は絶対にできないが、麻央自身も両手が塞がっているため迎撃は下級生頼りなのが実情だ。
     防戦一方の中、打破する契機を見出だせるかが明暗を分ける緊迫した状況。……そんな場で最初に動き出す人間は、決まっている。

    「ことねさん! わたくしたちが──、」

    「……おっけ」

  • 22二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 12:34:40

    保守

  • 23二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 20:03:07

    保守

  • 24二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:37:03

    寝る前保守

  • 25二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 08:53:27

    ほしゅ

  • 26二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 17:42:11

    保守

  • 27二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 23:44:13

    保守

  • 28二次元好きの匿名さん25/10/13(㜈) 06:17:51

    「……ふう。麻央先輩、手毬。ちょっと聞いてください」
    「ああ」

     ことねは小さく息を吸い込み、まともに動ける麻央と手毬に戦略を共有する。頭を使え、千奈の機転を実戦に昇華させろ。失敗は許されない。

    「これから千奈の合図で全方位に手榴弾を炸裂させて、爆発の壁を作ります。最前線を爆撃した上で、アイツラが怯んでいる一瞬の隙に、包囲網が一番薄いところから強行突破してください」
    「わたくしはことねさんに近接攻撃から守ってもらいながら、極限まで密集地に手榴弾を投げ続けますわ。……莉波お姉さまと秦谷さんを連れて、すぐにここから離れてくださいまし」

     そう告げたことねと千奈の額には、僅かに汗が滲んでいた。いつだって命懸けの戦場に身を置いてきた。それは今回も同じだ。
     
    「待ってよ、ことねちゃん、千奈ちゃん。それって……、」

     しかしこれまでと違うことがあるとするならば、2人の役目は言わば殿軍の小隊。4人を逃がす隙を創り出しても、自分たちが脱出できるとは限らない。莉波が懸念したのは、2人を犠牲に逃げおおせたときの可能性だった。
     麻央には即座に否定されたが、自分だけを囮に置いてみんなを逃がすことと本質は大きく変わらない。後輩だけを危険に晒すなんて、優しい莉波にできるわけがない。

    「状況は芳しくないが、それにはボクも反対だ。キミたちを囮にするような真似は看過できない」

     それは麻央も同じだ。予断を許さない緊迫感の中でも、誰一人犠牲を出さない可能性を追求していた。

    『けっへへ……!』

     それでもゾンビは待ってくれない。長話をしている場合ではないのだ。話が進まなければそもそも全員食われてしまう。──そんな状況に一石を投じたのは、手毬だった。

    「……私は、ことねと千奈を信じる」

  • 29二次元好きの匿名さん25/10/13(㜈) 06:31:13

    「千奈が信じたことねと、ことねが信じた千奈になら、任せられる。私はそう思う」
    「……っ月村さん!」
    「……あ、えと……っ」
    「ほら、美鈴もそう言ってるよ。今は上手く喋れないみたいだけど」
    「いやそれはホントか? けどサンキューな、手毬、美鈴ちゃん」
    (ごめん! 美鈴の言いたいことは分かんないけど……ことねと千奈がどうにかしてくれるって言うなら大丈夫、だよね? お願い、2人とも!)

     手毬はしたり顔で2人の意見を肯定する。内に秘めた仄かな怯えが表情に滲むことはなかったが、そのお陰で手毬の言葉は2人を勇気付ける純然たるエールとして、ことねと千奈の心に響いていた。

    「麻央先輩、莉波お姉さま。……信じてくださいまし」
    「2 : 4 、ですよ、先輩方。任せてください、あたしたちに」
    『ぐーりあ……』

     ゾンビたちはもうすぐそこまで迫っている。決断の時だ。

    「……絶対に死んじゃだめだからね。約束、だから」
    「莉波、もっとボクの方に身体を寄せて……うん。────頼んだよ、2人とも!」
    「「はい!」」
    『ががりざあーっ!!』

    「参りますわっ!!」

     さあ、逃走劇の始まりだ。

  • 30二次元好きの匿名さん25/10/13(㜈) 06:54:35

    このレスは削除されています

  • 31二次元好きの匿名さん25/10/13(㜈) 07:00:43

    「やああああーーーっ!爆弾の雨、ですわぁーーーーっ!!」

     千奈の咆哮とともに、ドガンと耳を劈く音が四方八方から鼓膜を打ち鳴らす。千奈の半径数メートル程度を基準に、爆発と炎で取り囲まれた安全地帯が形成された。
     
    「……まだですわ、まだ動くときで『がっぎゃあっ!』ババッ
    「千奈ちゃん、危ない!」

     運良くその包囲網を飛び出して牙を剥くゾンビも数体。防壁作りで丸腰の千奈に魔の手が伸びる。それらを捌くのは、

    「ことねさぁん!」
    「ゔぉりゃあああああっ!!」

     千奈を護ることねの役目だ。ぐじゅりという破裂音は爆撃にかき消され、頭を失った躯はそのまま足元に倒れ伏した。
     ことねの振り回すモーニングスターが次々とゾンビを喰らう。炎でむせ返るような熱気の届かぬ床に、冷たくなった屍の絨毯が敷き詰められていく。

    「今ですわ!みなさん2時の方向へ!」
    「ああ!莉波、しっかり掴まって────はあっ!」
    『げあっ!?』バキャアッ
    「美鈴、行くよっ!」
    「……っはい!」

     絶え間なく響く爆発音の中で見いだされた活路。ゾンビの包囲が手薄になった方向へ、4人は振り返ることなく駆け出した。
     密度が小さくなったたかが数体の壁など、今の彼女たちにとっては大した問題ではない。莉波を抱えた麻央の飛び蹴りが、奴らの脆い体幹を吹き飛ばす。炎の防壁とゾンビの包囲から、彼女たちは力強く抜け出した。

    「……ははっ、本当に上手くいくとは、ナ゙ァッ!」

     刺々しい鉄球をなおを振るうことねは、若干驚きながらも余裕のある笑みを浮かべた。
     そして概ね狙い通りの戦略を実行できたのを確認した千奈は、至って冷静な口調で、しかし自慢げに。自分が作り上げた防壁の向こうで足踏みをするゾンビに向かって詰問する。

    「────あなた方は苦手なのでしょう? この燃え盛る炎が!」

  • 32二次元好きの匿名さん25/10/13(㜈) 07:30:58

     千奈は思い出していた。粛然とした祖父の邸宅で、ゾンビに関する資料を捜索していた時のことを。そこで、忌々しい仇敵の弱点が書かれた資料を目にしたことを。


    ───『いずれの被検体(モルモットであろうとマウスであろうと)も、健康体と比べて炎を激しく嫌い、炎を見ると硬直する性質があった。また、恐怖心からか全身の毛が逆立つ個体もいた』
    ───『消炎後、被検体の生命力の低下も確認された。原理は不明だが、以降の実験にも影響を及ぼすため、今後火器を扱う実験は控えるものとする』
    ───『追記。被検体の目指す不死身の生命体は"仮死状態"であり、生物が繁殖と絶滅を繰り返して遺伝子に刻み込まれた死の可能性……焼死、溺死、窒息死などに強い拒否反応を示す。炎や大量の水、閉所に近づけてはならない』


    (お爺様の家から持ち出せた資料はワクチンに関することのみでしたが……まさか、このような場で功を奏すとは!)
    「ま、プリントとかが足元に落ちまくってたらそりゃ引火するわな〜、色々荒れちゃったけどここ学校だもん。マジで助かったわ、ナイス千奈」

     手榴弾で起こした爆発に比べれば、炎の揺らめきは大した規模ではない。それでも、奴らには十分な効果があったことは間違いない。
     職員室を飛び出し駆け抜けた校舎内には、かつて人間が生活していた形跡が残っていた。……それは、散らばったプリントや教科書、数々の可燃物も例外ではなかった。千奈は、そこに目をつけたのだ。
     ことねも攻撃の手を緩め、千奈の機転に改めて感謝を告げる。口頭で咄嗟に作戦を教えられたときは半信半疑だったが、ことねが千奈を信じない道理などない。二つ返事で了承し、結果として全員の安全を確保することができたのだ、あとは自分たちが脱出するだけ。
     敵に立ち向かう作戦としては、100点満点の計略だった。
     

     ────それが仲間にも牙を剥くとは、流石の2人も思っていなかったようだが。


    「……っはあっ、はあっ……!あ、うあ゙ぁぁっ……!」
    「美鈴! ダメ、しっかりして、美鈴……!」

  • 33二次元好きの匿名さん25/10/13(㜈) 15:58:34

    保守

  • 34二次元好きの匿名さん25/10/13(㜈) 22:04:22

    保守

  • 35二次元好きの匿名さん25/10/14(灍) 07:41:04

    保守

  • 36二次元好きの匿名さん25/10/14(灍) 16:25:31

    保守

  • 37ハッシュ25/10/14(灍) 21:59:34

    ホッシュ

  • 38二次元好きの匿名さん25/10/15(ć°´) 07:17:29

    保守

  • 39二次元好きの匿名さん25/10/15(ć°´) 15:31:14

    保守

  • 40二次元好きの匿名さん25/10/15(ć°´) 21:48:28

    保守

  • 411◆wrMSm.CxZiIw25/10/16(㜍) 06:57:18

    続きは今晩に書きます

  • 42二次元好きの匿名さん25/10/16(㜍) 12:50:17

    ちょっと早いが昼の保守

  • 43二次元好きの匿名さん25/10/16(㜍) 20:03:38

    早め保守

  • 44二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 00:46:51

    「今だっ! さっさと火の中からも抜け出して──え、み、すず……ちゃん?」
    「う……あ、やっ……!」
    「ど、どうしよう! こ、ことね、千奈! 美鈴の様子が変なの!」

     手毬に連れられ、確かに美鈴は炎の中を駆け抜けた。その時に不定形な火の影にでも煽られたのだろうか。本能的な拒否と恐怖が、美鈴の全身を蝕むように這い回る。

    「まさか炎が……!? は、秦谷さん、落ち着いてくださ──」
    「あっ……や、やだっ! こないでくださいっ! やめて!」
    「……っ! 秦谷、さん……」

     やや遅れて炎の中から飛び出してきたことねと千奈の輪郭がぼやけて見える。不気味にこちらを見つめる鬼火と、心配そうにこちらを覗き込むことねと千奈。
     2つの境界線が曖昧になり、同化し、怯える美鈴を射竦める。
     その目を見つめ返すことは、今の美鈴には能わなかった。

    「美鈴ちゃん、深呼吸だよ! 落ち着いて、吸って……吐いて……、ゆっくり……」
    「はっ、んあっ……! ふう……んくっ……」
    「手毬、美鈴を背負って歩けそうかい? 少し開けた場所に出よう、息を整えるにしてもここは得策じゃない」
    「は、はい! 美鈴、立て、そう……?」


    「すぅ……ふううっ……」
    「美鈴、おぶるよ……んしょっ、あれ、右脚どこだろ」
    「あっこちらですわ! 少しお手伝いいたしますわね……」

     千奈は優しい。優しいという言葉だけでは説明として不十分な、底なしの慈しみ深さを持っている。いつものように相手を思って、ただ手伝おうとしただけだった。
     ……それでも今は後ろから、ちょこっと触るだけでも、控えるべきだったのかもしれない。

    「月村さん! こちらに手を回して──」
    「……や、あ、やっ! やめて! 近づかないでっ!!」

  • 45二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 01:10:20

     バシンッ!

    「きゃっ──!」

    「千奈! 美鈴ちゃんっ!?」

    「うわああっ!?」

     どたっ。

    「……いてて。美鈴、急に暴れ、て……どう────」



    「痛っ……あぅ、秦谷さっ……!」

    「千奈、大丈夫か!? えと、美鈴ちゃんも、その……!」

    「あ、ち、ちがうんですっ、ごめ、わた、わたしは……! あ、ああ……!!」

     ダダダッ……!

    「ま、待って美鈴! どこ行くつもり!? 勝手に1人で行かないで! 待って……!」

    「やめて、だめ、だめです! ちが、わたしは……やだっ、もう、ちがう……!」

    「ダメ! 行っちゃダメ! 美鈴……っこのぉ……!」

     グッと。走る美鈴の手を、掴んで。

  • 46二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 01:15:34

    「────っ」



    「ち」

    「近づかないでくださいっ!!!」

     パシィン……!



    「────え」

    「……っ!」

     ダダダダッ



     掴んだはずの手を、振り解いて。

     美鈴はどこか遠くへ駆け出した。

     感情のままに。

     呆然と立ち尽くす手毬を、置き去りにして。

  • 47二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 10:59:04

    保守

  • 48二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 20:00:39

    保守組

  • 49二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 22:20:28

    寝る前保守

  • 50二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 07:22:01

    ほし

  • 51二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 16:15:23

    保守

  • 52二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 22:38:09

    保守

  • 53二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 02:54:44

    ほしほし

  • 54二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 09:01:21

    保守

  • 55二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 17:17:14

    保守

  • 56二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:37:34

    保守

  • 57二次元好きの匿名さん25/10/20(㜈) 08:21:59

    保守

  • 58二次元好きの匿名さん25/10/20(㜈) 16:25:50

    保守

  • 591◆wrMSm.CxZiIw25/10/20(㜈) 18:04:05

    千奈ちゃんSTEP3の続報見たら続き書きます!
    お待たせして申し訳ない

  • 60二次元好きの匿名さん25/10/20(㜈) 22:55:45

    保守

  • 61千奈の衝撃で考えてたこと飛んだ25/10/20(㜈) 23:40:55

    「待って、みす──速っ……!?」

     半人半屍の美鈴に備わった、有り余るほどの身体能力。自分のペースに合わない走る力なんていらないのに。追ってくる手毬をどんどん引き離す。

    「止まってよ、ねえ! 聞こえてるんでしょ!?」

     聞こえないふりをして腕を振り、

    「美鈴っ! ……!   
                …………っ!    ────」

     その内本当に、聞こえなくなる。
     手毬の声がやがて届かなくなる彼方まで、美鈴は走り去ってしまった。体力を切らした手毬は、その場にへたり込んでもなお美鈴、美鈴と虚空に音を投げる。


     気づけば初星学園の門まで疾駆していたと手毬が気づくのは、4人が遅れて手毬に追いついた頃だった。

    「月村さん! 秦谷さんは……」
    「……行っちゃった。走って、私を置いて。」
    「おい、行っちゃったって、おま、え──」

     そう言いかけたことねが口を噤む。手毬の目尻に浮かぶ水滴を見て、かける言葉を見失ったからだ。

    「私……、何もっ、何もできなかった! 美鈴がっあんなに怯えた顔してるのに、全然追いつけなくって、それで、どうして……!」

     せぐりあげてくる感情を整理しきれず、堰を切ったように口から言葉が溢れ出す。やり場のない自責が、途切れ途切れの呼吸に乗って、沈黙の壁を殴りつける。その一方で咀嚼されずに吐き捨てられる困惑や恐怖にも、路頭に迷った子供のような弱々しさが内在していた。

  • 62二次元好きの匿名さん25/10/21(灍) 06:20:29

    保守

  • 63二次元好きの匿名さん25/10/21(灍) 13:32:06

    保守

  • 64二次元好きの匿名さん25/10/21(灍) 19:23:03

    ちょい早め保守

  • 65二次元好きの匿名さん25/10/21(灍) 23:05:30

    保守

  • 66二次元好きの匿名さん25/10/22(ć°´) 07:42:04

    保守

  • 67二次元好きの匿名さん25/10/22(ć°´) 15:44:05

    保守

  • 68二次元好きの匿名さん25/10/22(ć°´) 22:42:59

    はやめほ

  • 69二次元好きの匿名さん25/10/23(㜍) 06:10:01

    保守

  • 701◆wrMSm.CxZiIw25/10/23(㜍) 07:02:20

    今晩気合い入れて展開進めます
    以前退場させた香名江さんのフルネームは判明するし、正式にビジュアル公開されるし、CVまでついてきたし、長期化なんてやるもんじゃない…

  • 71二次元好きの匿名さん25/10/23(㜍) 16:09:32

    氷渡さんに思いを馳せつつ保守

  • 72二次元好きの匿名さん25/10/23(㜍) 23:05:20

    保守

  • 73二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 00:17:14

     月村手毬と秦谷美鈴は、かつて一度だけ仲違いを経験している。在りし日の思い出、SyngUp!にまつわる動乱。交差した想いに互いが気づき、取り戻した友情がそこにはあった。雨降って地固まる、盆に返る覆水の一つだってあってもいいだろう。
     しかし二度目はどうだ。経緯はなんであれ、美鈴が引き起こしたのは一方的な遁走。喧嘩別れとは明らかに異なる、小兎のように非力だった目線。
     本能的な拒絶を突きつけられた経験なんて、手毬にはない。盆そのものに亀裂が走ってしまえば、水は返る器を見失う。

    「どう、しようっ……! 美鈴が帰ってこなかったら、私っ……」
     
     今この瞬間手毬が抱える複雑な感情は、最悪の可能性に繋がりかねないと警鐘を鳴らす。追いかけても追いかけても追いつけず、心が折れそうで。このまま今生の別れになってしまうなど……

    「私、どうすれば……っ!」


    「……足、止めてんじゃねえよ。何座り込んでんだ、追いかけ続けろよ」

    「──え、こと、ね、……?」

    「あたしが知ってるお前はそんなやつじゃない。なりたい自分を目指すとか、絶えず走り続けるとか、どんなに辛くたって辞めずにやり遂げる。そんな手毬をあたしはずっと見てきた」

    「……けど」

    「お前がなりたい自分の姿ってのはさ。……こんなところでウジウジ立ち止まってる今みたいな姿なのか?」

    「そ、それは……違う! 私は美鈴を助けたい! このままいなくなるなんて許さない、絶対に!」

    「じゃあ、決まってんだろ。この後やることなんて」

    「うん。……ありがと、ことね」

     そんなはずがない。
     月村手毬がこのまま諦めるなんて、ありえない。

  • 74二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 00:44:05

    「しかし、秦谷さんを追いかけたいのは勿論なのですが……」

     手毬の意志に同調することとは裏腹に、千奈は莉波を一瞥する。敬愛する姉が走る力そのものを失っていることは、何においても喫緊の課題となりそうだ。

    「うん……そうだよね。千奈ちゃん、手毬ちゃん。私のことは気にせず美鈴ちゃんを追いかけてあげて。……麻央も」
    「でも、美鈴を追いかけるからって姫崎先輩のことを無下にするわけにはいきません。有村先輩がよろしければ、私が姫崎先輩を抱えて走ります」
    「ええ!? い、いいよ、私のことは……!」

     スイッチが入った手毬は、一度言い出したことは意地でも変えない。麻央が何かを言うより前に莉波のことを引き受けようとする勢いだが、流石に麻央も待ったをかける。

    「いいや、手毬は美鈴のことに集中するんだ。美鈴を助けられるのは、手毬しかいない」
    「しかし……」
    「莉波はボクが守りきるから、心配はいらないよ。それに、全員を守りながら高速で移動する手段には少し心当たりがあってね」

     そう言って麻央が目線を向けた先には、倉本家所有の大型車。お抱えの警備兵たちが初星学園へやって来る際に次々と乗ってきた、物々しい移動式要塞だ。
     ことねは家族旅行でもこんなでっかい車乗ったことない……と困惑している様子だが、それよりも先に気にするべきことがあるだろう。

    「えっ、ていうか麻央先輩……その、運転できるんですか?」
    「以前、とあるミュージックビデオの撮影で運転を嗜むことになってね。懐かしいな、清夏と広もそのときは一緒にいたんだけど……、いや、何でもない。さて千奈、この車借りてもいいかい?」
    「もちろんですわ! お爺様にはわたくしから伝えておきますわ。麻央先輩のためなら、車の1台くらいすぐにでもお貸しできますとも!」
    「……ありがとう、千奈」

  • 75二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 00:57:55

    「うん、強度も大きさも申し分ないね。これなら、みんなを守りながら移動ができそうだ」
    「凄い……全体的に無骨だけどサバイバルにはお誂え向きって感じがするね。ありがとう、麻央、千奈ちゃん」
    「移動するときの体力も温存できそうだし超デカいし、やっぱすげーな倉本家って……」

     思い思いに感想を述べ、5人は車に乗り込んだ。運転を嗜んでいる麻央がハンドルを握り、手毬が助手席へ。移動が不自由な莉波を、千奈とことねがサンドイッチする形で後部座席に背を預けている。

    「よろしくお願いします、有村先輩」
    「ああ、行くよ手毬。美鈴を助けに……!」
    「美鈴が居そうな場所……なんですけど、いくつか心当たりがあるんです。私が言った方向に進んでいただけますか?」
    「分かった、安全運転を心がけるよ」

  • 76二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 01:04:06

    ─────

    「──有村先輩、ここを左にお願いします!」
    「了解! トゥーザレフトッ!」

    「「「うわあああぁあぁあぁあぁ!!?」」」

    ─────

    「──2つ先の十字路を右です!」
    「ここだね! トゥーザライトッ!」

    「「「きゃあああぁあぁあぁあぁ!!?」」」

    ─────

    「──有村先輩、前の道路割れてます!」
    「ボクに任せて! ……今だっジャンプ!」

    「「「ジャンプ / ですの !!? おあぁあぁあぁあぁ!!?」」」



     灰色に荒廃した街の真ん中を、鋼鉄の四輪駆動車が駆け巡る。
     後部座席に座る3人の悲鳴は、ジェットコースターに乗っている時に匹敵する声量だったという。

    「シートベルトがなかったら、危うく車の中で無重力を体験するところでしたわ……」

  • 77二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 09:12:19

    保守

  • 78二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 17:52:39

    トゥーザ保守ッ

  • 79二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 23:00:08

    寝る前保守

  • 80二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 07:20:52

    保守

  • 81二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 17:13:37

    ギリ保守

  • 82二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 22:18:13

    早いが保守っ

  • 83二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 07:45:07

    手毬だけ騒いでないけど撮影時は内心絶叫してたんだろうなぁ…って

  • 84二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 10:39:29

    そうだった、これ映画の撮影だった。

  • 85二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 20:03:55

    保守

  • 86二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 23:29:28

    早いけど保守

  • 87二次元好きの匿名さん25/10/27(㜈) 00:11:04

     後部座席に座った3人が車に揺られているのと同じ頃。美鈴は1人、草木の茂る小高い丘に佇んでいた。学園が休みの日、心地よいうたた寝を求めて足繁く通った思い出の公園だ。

    「街も、人も、すっかり変わり果ててしまいました。……ずっと、変わりませんね、自然だけは」

     大樹に身をもたれながら見下ろす街の風景。かつて見た人のにぎわいも、行き交う電車も、何もかもが砕け落ちた世界の変容。
     灰色の視界に鎮座する草木に、つい独り言を漏らす。曇天とともに暗い影を落とす美鈴の瞳には、物言わぬ緑だけがどうしようもなく映えていた。

    「……そう、変わってしまいました。人も……」

     独り言は淀みなく続く。草木からの返答は、疎らな葉擦れの音。


    ───『痛っ……あぅ、秦谷さっ……!』

    ───『待って! 美鈴、待って……!』

    ───『近づかないでくださいっ!!!』


    「わたしの……心も、身体もっ! 変わってしまった……!」

     この手は、大切な友人を傷つけた。
     この足は、大切な友人から逃げ惑った。
     この脳は、大切な友人を前にして恐怖に慄いた。

    「そんなの……"わたし"じゃありません……っ!」

     今、丘の上で叫ぶ少女は『秦谷美鈴』か。あるいは『秦谷美鈴の形をした何か』に変わってしまったものなのか。
     辛うじて残っている秦谷美鈴の残滓は、侵食してくる半不死身の肉体の中で行き場所を──自分が自分であるという証拠を──探している。

  • 88二次元好きの匿名さん25/10/27(㜈) 00:47:55

    「──はあっ、けほっ……!」

     ご自慢の歌とはかけ離れた、慣れない叫び。日頃眠っている筋肉を酷使したツケが回ってきたらしい。

    (わたしは、もう……)

     口元を押さえた手の平に視線を移すと、灰褐色の肌が目に入る。緑色の血に驚いていたのが、ずっと昔のように感じられた。

    「……やはり、行くべきなのかもしれません」

     わたしが、少しでもわたしであるうちに。
     そう言って美鈴は、丘の向こうへ歩を進める。……簡素な柵が取り付けられたその先──垂直に近しい急傾斜と、死の香り漂う瓦礫の荒野へ。

       ざっ。
            ざっ。

     罪人が処刑台に向かうような重い足取りで、丘の端へと進んでいく美鈴。人間離れした身体能力を手に入れた……手に入れてしまった美鈴にしてみれば、あまりにも遅いスピードで。
     しかしそれは、秦谷美鈴という"人間"が本来望んでいたであろうスローペースと、皮肉にも一致していたのであった。

    「今ならまだ、飛んで、いけます。わたしが、わたしのまま」

     柵に手をかけ、下を見やる。
     ……高い。ここからコンクリートに打ちつけられれば、人体はひとたまりもないだろう。だが美鈴にとって、確実に"終わらせられる"という確信を得られることはかえって安心材料でもあった。

    (最後に、倉本さんに謝りたかった……ごめんなさい、傷つけて、怖い思いをさせてしまって。そして……わたしはもう、あなたに顔を見せる資格はない)

    (────さようなら、まりちゃん)

     その身を乗り出し、世界が逆さまになろうとした。

  • 89二次元好きの匿名さん25/10/27(㜈) 00:51:51

    「……待ちなよ。私に黙って、どこ行くつもり?」

     ──誰よりも聞き馴染みのある声が、世界の反転を、止めた。

  • 90二次元好きの匿名さん25/10/27(㜈) 08:44:04

    朝保守

  • 91二次元好きの匿名さん25/10/27(㜈) 16:09:21

    保守

  • 92二次元好きの匿名さん25/10/27(㜈) 22:37:54

    保守

  • 93二次元好きの匿名さん25/10/28(灍) 04:36:40

    「……っま、まりちゃん……!? どうして、ここに……!」

     不意に背後から現れた声の主──手毬に驚き、乗り出しかけた身を翻す。表情の起伏がうまく読み取れないような凪いだ面持ちで、なおも手毬は淡々と話し続ける。

    「……美鈴が学園にいないときは、いっつもここでお昼寝してたよね、自主練放り出して。懐かしいよ、燐羽と一緒に連れ戻そうとしては失敗してたあの頃が」
    「し、質問に答えてください! どうしてわたしがここにいると分かったんですか……!」
    「──別に、なんとなく。美鈴なら、きっとここに来ると思っただけだけど」
    「……っ」
    「これでいい? じゃあ、こっちの質問にも答えてよ」

     そう言うと、今まで平静を保っていたように見えた手毬の瞳がわずかに潤む。それは、今にも溢れそうなほど堰き止めていた想いの結晶。

    「……何、しようとしてたの。私を置いて、どこに行こうとしてたの!」
    「そ、それは……っまりちゃんには関係ありません!」
    「関係なくない! 一人でいなくなろうとする美鈴のこと、見てるだけで終われるわけない!」
    「でもっ、わたしはもう……まりちゃんや、他の皆さんと一緒にいていい存在じゃないんです! わたしは皆さんを傷つけた! 皆さんから逃げた! それなのに、どうして……どうして、まだついてくるんですか!?」
    「そんなの決まってる! 美鈴は私たちの仲間で、大切な友達で、絶対に離したくなくて……!」

     崖際の論争。半ばいつも通りといった勢いで激情を顕にする手毬に対し、美鈴も柄にもなく感情を剥き出しにして応戦する。普段の彼女とは似ても似つかぬその姿は、まるで手毬の写し鏡のようだった。
     そしてその時間は、長くは続かない。

    「それでもわたしはっ…………──!?」

       ぼろっ   
                  がらがらっ
    「──……美鈴っダメ!」

    「……あっ…………!」

     緩んだ地盤がいたずらに、美鈴の身体を宙に放った。

  • 94二次元好きの匿名さん25/10/28(灍) 12:45:23

    保守

  • 95二次元好きの匿名さん25/10/28(灍) 17:24:56

    ルナセイモードに入っててクールすぎる手毬の描写、いい……
    台詞一つ一つがCV付きで勝手に脳内再生される

  • 96二次元好きの匿名さん25/10/28(灍) 23:10:42

    保守

  • 97二次元好きの匿名さん25/10/29(ć°´) 05:41:52

    「……っ落ち────!」

    (……いや、いいんです。これで)

     今。自分が何処にも立っていないと美鈴が気づくには、そう時間は要らなかった。突然の出来事に一瞬驚いた様子だったが、日頃から頭の切れる彼女は、この後自分の身に起こるであろう出来事を即座に察知する。

    (……少しばかり予定が狂いましたが、これでいいんです。わたしはわたしのまま終われる、友達をこれ以上傷つけることもない……)

     今日はあいにくの曇りだ。その先に無限に広がっている蒼を見せてくれないなんて、意地の悪いことだろうか。
     ……だったら、これから自分で確かめに行こう。もうすぐ、天の上まで飛んでいけるようになる。太陽さえも追い越して、宙の果てまで満ちる蒼と同化する、遥か彼方まで。

    (もっともわたしが、奈落に堕とされなければ……のはなしですが)

     こちらに向かって手を伸ばす親友の姿を最期にその目に焼き付ける。間もなくやって来る衝撃に備えて、美鈴は静かに目を閉じた。


     ……。


     …………。


     ………………。


     衝撃に備えていた、はずだった。それなのに、いつまで経っても痛みの一つも感じない。もしかして、痛みを感じる暇さえなく一瞬で逝ったのか?──いや、よく感覚を研ぎ澄ますと、その問いに応えるかのように右手に強い引き寄せを感じる。まるで、何かに吊られているような?
     ……その莫大な引力を明確に知覚したとき、美鈴はようやく再び目を見開いた。

  • 98二次元好きの匿名さん25/10/29(ć°´) 05:43:48

    「……っ……んぐぅ……!」

    「──まり、ちゃん……?」

  • 99二次元好きの匿名さん25/10/29(ć°´) 06:04:24

    「……っ!? まりちゃん、何をしているんですか!? は、離してっ、今すぐその手を離してください!」

    「嫌だっ! 前に掴み損ねたのに……今度は離さない、絶対に!」

     思い切り手を伸ばした手毬の決死の覚悟は、命綱となって美鈴に届いた。しかし勢い任せに身を乗り出した影響で、崩れた大地から上半身が大きく飛び出している。
     間一髪、宙ぶらりんとなった美鈴の右手は掴めても、その手を掴んだまま手毬が力尽きれば、2人まとめて地の底へ落ちてしまうだろう。ここで持ちこたえたのは、半ば手毬の意地で成り立つ奇術の類と言っても過言ではなかった。

    「っダメです! このままでは、まりちゃんまで一緒に落ちてしまいます! お願いですから、早くっ、手を離して……!」
    「ここで離したら……この先ずっと、後悔し続ける……自分を、殺したくなるくらいに……!」
    「そんなの……!」

    「──っ、め、迷惑なんです! わたしはもう死にたいのに! 嫌い、まりちゃんなんて嫌いですっ! 離して、早く!」
    「──ウソ、つかないっ……でよっ!!」
    「う、うそじゃありません! 嫌い、大っきらい! まりちゃん……なんて……っ!」


    「────だったら、なんで……泣いてるの……っ!!!」


    「……っ!」

     そこで美鈴は初めて気づいた。自分が、涙を流していることに。頬を伝う水滴の、得体の知れないむず痒さに。

  • 100二次元好きの匿名さん25/10/29(ć°´) 06:20:26

    「私たちは機械じゃない! 人間なんだ! ゾンビでも、不死身なんかでもないっ!!」
    「美鈴は……美鈴なんだよっ……! 優しくて、ちゃんと見えないところで頑張ってて……世界にたった一人の、美鈴なんだ……! 私の大切な──友達なんだ!!」

    「……っ! まり、ちゃん……」

    「だから……生きてよっ……!」

    「────うん、」

    「ずっと、ずっと……! 私の隣に、居てよっ……!!」

    「ゔん……!」

    「……っ! ……美鈴、腹筋、力入れて。──はあああああああぁぁぁぁぁあああああッ!!!」




     雲間から微かに、されど眩い、空色の光が差し込んだ瞬間だった。




    「……はあっ……はあっ……ふん、美鈴、なんて……大っきらいだから……!」

    「──っ! ふふっ……わたしも……まりちゃんなんて大っきらい、です……!」

  • 101二次元好きの匿名さん25/10/29(ć°´) 06:34:22

    このレスは削除されています

  • 102二次元好きの匿名さん25/10/29(ć°´) 06:38:16

    〜オーディオコメンタリー的ななにか〜

    千奈「うっうっ……」
    リーリヤ「うぅぅ……」
    千奈「うぅ〜〜……友情について、とても考えさせられましたわ……! これが"熱い"という感情……涙が、止まりませんわ……!」
    リーリヤ「全人類が見るべき傑作だね……! 手毬ちゃんと美鈴ちゃんの関係性、良すぎる……」
    リーリヤ「この感情の正体に気づいちゃった。──尊い、このふたりが……」

    リーリヤ「清夏ちゃんもそう思うよね?」
    清夏(なんだろう……前にもこんなやり取りをしたような……?)

    手毬「ふーん、つまり私たちが女優ってことだよね? 良い目をしてるじゃん、リーリヤ」
    リーリヤ「ひゃあ! て、手毬ちゃん……! 本物だ……!」
    手毬「今ならこの大女優月村手毬がサインしてあげてもいいよ」
    リーリヤ「い、いいんですか……!?」

    燐羽「……美鈴。アンタまさか、私にこれを見せつけるためだけにわざわざ初星学園に呼んだんじゃないでしょうね?」
    美鈴「はい。まりちゃんは誰にも渡しません」

    学P「おかしい……何もかもがおかしい会話なのになぜ噛み合っている……?」

  • 103二次元好きの匿名さん25/10/29(ć°´) 06:47:03

    オーディオコメンタリー助かる

  • 104二次元好きの匿名さん25/10/29(ć°´) 07:43:40

    まりちゃん、かっこよすぎる。

  • 105二次元好きの匿名さん25/10/29(ć°´) 08:46:54

    まりちゃんも主人公適性が超高いからこの作品が千奈主人公じゃなくて手毬主人公だと偽っても納得されそう(少なくとも現段階でではあるが)

  • 106二次元好きの匿名さん25/10/29(ć°´) 16:56:46

    保守

  • 107二次元好きの匿名さん25/10/29(ć°´) 21:23:09

    保守

  • 108二次元好きの匿名さん25/10/30(㜍) 01:30:39

    保守 

  • 109二次元好きの匿名さん25/10/30(㜍) 09:52:57

    保守

  • 110二次元好きの匿名さん25/10/30(㜍) 17:11:01

    保守

  • 1111◆wrMSm.CxZiIw25/10/30(㜍) 21:33:26

    明後日まで書き込めなさそうなので引き続き保守頼みます
    やる予定のこと全部しっかり書いてたら次スレまで行くなこれ……一体誰ですの、スレタイに終章なんて入れたおばかさんは……

  • 112二次元好きの匿名さん25/10/30(㜍) 22:33:21

    楽しみにしてる

  • 113二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 07:31:22

    保守

  • 114二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 15:25:21

    保守

  • 115二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 21:03:45

    ちょい早保守

  • 116二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 03:03:41

    保守

  • 117二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 10:49:58

    ちょい早め保守

  • 118二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 18:31:07

    保守

  • 119二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 22:09:10

    保守

  • 120二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 04:37:01

    保守

  • 1211◆wrMSm.CxZiIw25/11/02(日) 07:08:06

    助かりました、続きは今晩。

  • 122二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 15:33:57

    保守

  • 123二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 23:11:40

    保守

  • 124二次元好きの匿名さん25/11/03(㜈) 04:43:18

    このレスは削除されています

  • 125二次元好きの匿名さん25/11/03(㜈) 04:49:06

    「……ふふっ、なにそれ。 思いっきり笑ってるくせに」
    「まりちゃんこそ……口角が上がっていますよ」

     不思議と弾む声色に、つい笑みがこぼれて。
     草原に寝転んで仰ぎ見た空は相も変わらず灰色。それでも今は、鬱屈を抱えることなんてない。その向こうにあるものを、嫌と言うほど知っているから。

    「──……おーい、手毬ぃー! 美鈴ちゃーん!」
    「あっ、ことねだ! ことねーーっ!」
    「……むう」

     二人きりの余韻に浸っていたいところだが、それも長くは続かない。丘の麓からこちらを呼ぶ声が聞こえる。だんだんと近づいてくる声の主を不満げに見つめる美鈴。対照的に表情がまた一つ和らいだ手毬に対して、奇妙な感情を覚えていた。

    「うーい、なんだ、意外と元気そうじゃん。ほら、さっさと帰ろうぜ、みんな待ってんだから」
    「まあね! これが私の力ってことだよ。……どうしたの美鈴、急にそっぽ向いて」
    「なんでもありません。……ぷいっ」

    「ふーん……へぇー、ああ〜、そゆことなんだナ〜」
    「……っ! ち、違います!」
    「あっれぇ〜、まだあたし何も言ってないけどお? ま、手毬お前、美鈴ちゃんのこと大事にしてやれよ?」
    「は、当然だけど。急に何?」
    「だってよ。良かったな、美鈴ちゃん♪」
    (ゆ、許しませんよ藤田ことね……!)
    「あ! み、美鈴、顔赤いよ! もしかして熱!? ゾンビも風邪って引くのかな……ことね、冷えピタ持ってない!?」
    「あー、それ放っときゃ治るから気にすんな」
    「藤田ことねさん、いつか絶対にやり返して差し上げます……! 倉本さんの前で同じことが言えないように……!」
    「……すげえや、美鈴ちゃんに脅されてるはずなのに全く怖くない」
     
     あれだけ凪いでいた緑の丘が、今はこんなにも──喧しい。

  • 126二次元好きの匿名さん25/11/03(㜈) 07:47:44

    百合の間に挟まる藤田ことね

  • 127二次元好きの匿名さん25/11/03(㜈) 15:49:37

    保守

  • 128二次元好きの匿名さん25/11/03(㜈) 23:12:09

    保守

  • 1291◆wrMSm.CxZiIw25/11/04(灍) 05:47:27

    保守
    ……のついでにちょっと自我なんですけど、ダイススレの主しかり今複数あるあにまんの長編物の主しかり、バイタリティが凄い方ばかりですよねここ。最近の自分、普通に実生活とプロデュース業だけでもてんやわんやなので、他のSS書きの方々をもれなく改めて尊敬してます。
    それと同時に、色々な助力の上で今もスレを落とさず続けてこられてます、いつもありがとうございます。一応終盤です、本当です。遅筆ですがもう少しだけお付き合いください。

  • 130二次元好きの匿名さん25/11/04(灍) 10:03:27

    自分のペースでええんやで

  • 131二次元好きの匿名さん25/11/04(灍) 18:04:32

    完結さえしていただけるなら半年位は待てますよ

  • 132二次元好きの匿名さん25/11/04(灍) 22:57:39

    更新楽しみにしてる

  • 133二次元好きの匿名さん25/11/05(ć°´) 07:45:55

    保守

  • 134二次元好きの匿名さん25/11/05(ć°´) 17:21:00

    保守

スレッドは11/6 03:21頃に落ちます

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