【オリウマ】銀河中央殴り込みウマ娘ッ‼︎Ⅵ【勇気爆進】

  • 11着をねらえ!25/10/11(土) 20:41:31
  • 21着をねらえ!25/10/11(土) 20:44:24
  • 3二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 20:45:54

    新スレ乙
    スレタイが昔あったロボアニメシリーズみたいである

  • 41着をねらえ!25/10/11(土) 20:46:32
  • 51着をねらえ!25/10/11(土) 20:51:26

    【あらすじ】
    激闘を制し、桜花賞を勝ったのも束の間、突如現れた『ラストブレイド』がイリフネに宣戦布告をしてきた!?ティアラ路線のレースを馬鹿にされ激昂したイリフネは勢いのままにラストブレイドの誘いに乗り『日本ダービー』への出走を宣言してしまう。

    しかし、イリフネはチームから追い出されお姉さまの手によって締め出されてしまった。意気消沈のイリフネにダイナソアシーはデートに誘い2人は楽しい休日を過ごすのだった…

    迫るダービーまでの期限、見つからない答え、迷いながらも進むイリフネの一生懸命にご期待ください

  • 61着をねらえ!25/10/11(土) 20:53:51

    【お知らせ】

    『質問』『登場して欲しいウマ娘(オリウマ含む)』『こんなウマ娘が見たい』『このレースを走ってほしい』『こんなダイスを振ってほしい』等ヶ引き続き大募集中!

    いただいたウマ娘ちゃんは頑張って全員登場させます。お気軽に送ってください

    ※登場にあたり設定を変更する場合がございます。ご理解のほどよろしくお願いします

    p.s.次のレースは『天皇賞(春)』です。

  • 7二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 20:56:20

    > 登場にあたり設定を変更する場合がございます

    おかげで大丈夫かなこれ?で止まらず安心して出せるから言ってもらえて本当に助かる

    実際いい感じに調整してくれてると思うしありがとうございます

  • 8二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 21:25:13

    このレスは削除されています

  • 9二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 21:26:21

    グランドスラムの一角で確実にソアラ走るやつだしソアラ対お姉さま見たいなあこれ
    前スレでもこの対決が発生したらどうなるかと思ったけどソアラのあと一歩足りない戦績的に固有覚醒できてない雰囲気があるので覚醒の瞬間も見てみたさある
    あるいは予期せぬ珍客が紛れ込んだりとかもあり得そうだが

  • 10二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 22:16:01

    10まで埋めがてら登場して欲しいウマ娘を
    長女&次女を取り巻く諸々からウオッカやギムレットはちょっと見てみたいかも
    ちょっと世代的にウオッカがどうなるかわかんないとこあるけど、
    前シリーズの人物であるコードヘブンの元馬が父タキオンだしシリーズとシリーズの間の十数年の間に走ってる……かな?

  • 111着をねらえ!25/10/11(土) 22:53:16

    「トレセ~ンファイッ!」「「「オッ!」」」

    デートから数日後、トレセン外周にぐるりと巻き付くように配置されたウマ娘専用走行レーンを走るウマ娘の集団の中にイリフネの姿があった。学生らしい掛け声とともに走り込みをするウマ娘は府中では日常の一つであり、道行く通行人から手を振られたり、幼稚園くらいの子供たちからエールを貰うこともある。子供たちがランドセルを背負って追いかけっこしながら帰り、ウマ娘たちが夢を追いかけ走り込み、働き盛りの中年が物流の要としてトラックを走らせ、社会に貢献した老夫婦が手を繋いで買い物に出かける、それがこの町の変わらない風景なのだ。

    「よしお疲れさん、息を整えたら第三グラウンドに集合してくれ」

    校門では筋肉質なジャージ姿の男がストップウォッチ片手に彼女たちを待っていた。全員いることを確認すると一人一人にジャグを手渡しねぎらいの言葉をかけて回る。こうした気遣いと精悍な顔つきに惹かれるウマ娘は多い。しかし、そういった関係になることはない。その理由はイリフネが彼の娘であるという事実だけで十分だろう。
    これからの指示を伝えると父は空になった籠を持って先にグラウンドの方へと行ってしまった。仕事人気質な父のことだ、先に行ってトレーニング器具の準備をしているのだろう。そんなことを考えていると後ろからぬぼっと影が現れる。

    「イリフネ、ダービーに出走するのは本当か?」

    そう言ってイリフネの背後をとるフォフォフォライトは相変わらずの静音っぷりで、彼女と仲のいいイリフネでさえ足音すら気づくことができなかった。あまりにも人の背後に簡単に近づくので、月出身ということもあり『宇宙忍者』なんて呼ばれることもある。そんな彼女がイリフネの次走について尋ねてきた。

    「そのつもりではいるのです。ただ…オルクで出走登録は無理そうなのです」

    チームから追い出されて1週間以上が経った現在でもイリフネは未だにチーム部屋の扉を跨げないでいる。一度訪ねてみた時も答えがないのなら帰れと一蹴されてしまい、途方に暮れていた。
    そんな彼女は現在、自身の父が受け持っているチームの練習に仮参加している状態だ。レースの出走登録は一応他のトレーナーが出すこともできる。緊急的な措置ではあるが、現状でもイリフネはダービーへの出走登録自体は可能なのだ。

  • 121着をねらえ!25/10/11(土) 22:54:16

    しかしそれでは納得がいかない、イリフネはそう感じていた。冷静になればあの日、コーチやムーバ先輩、それにお姉さまも自分に何かを求めていたように思える。それが何なのか分からなければチームに戻ることはできないだろうし、きっとダービーに出てもいい結果を残すことはできない気がする、そんな直感があった。

    「拙者は共に走る仲間が増えることを好ましく思う」

    父のチームで練習すること自体はイリフネにとっても楽しい。友達や知り合いも多いし、和気あいあいとしながら切磋琢磨できる環境はとても魅力的に感じる。だが、ここはフォフォフォライトたちの居場所であって、今の自分の居場所ではないことはイリフネ自身よくわかっている。

    「ありがとうフォフォフォちゃん。でも、私はここに長居はできないのです。答えを見つけて早く元のチームに戻らないと…」

    歩きながらしゃべるイリフネの顔に青々とした木漏れ日がかかり、心地よい暖かさを感じさせる。校門から続く正面大通りの両端には大きな街路樹が何本も植えられていて、春先にはこうして新芽が柔らかな光を大地に届けてくれるのだ。
    火照った体を木陰で涼ませながら歩いていると、道の端の掲示板が目に付く。ここは生徒会広報や各種部活動の勧誘、チームの勧誘に直近のニュースをまとめた校内新聞が掲示されている。イリフネの視線はその中の一つに注がれる。そこには近々開催されるレースの情報が書かれており、その中でもひと際目立つように書かれた文字列があった。

  • 131着をねらえ!25/10/11(土) 22:55:17

    『天皇賞(春)』それは日本のウマ娘レースで最も伝統ある長距離戦の一つで、スタミナと持久力が試されるレース。シニア級の経験豊富なウマ娘達が出走し、春の最強ステイヤーを決める戦いとして知られている。かつてイリフネの母「キンペイバイ」もこのレースに出走し、長距離には不利な傾向のあるティアラ路線出身のウマ娘でありながら持ち前に爆発的な追込で見事に勝利を飾った。
    そんな歴史的なレースにイリフネの目が留まったのは他でもない親友のダイナソアシーが出走するからであった。
    グランドスラム達成を夢に掲げる彼女は昨年、その夢を叶えることはできなかったが今年こそはと意気込みトレーニングに勤しんでいる。イリフネとしても親友の長年の夢の実現、その第一歩の勝利を願っていた。しかし、ここであることを思い出した。

    「あれ…?確か今年のレーススケジュールでムーバ先輩も出走するって書いてあったような…」

    それはチーム「オルク」の先輩、ムーバレズハールもまたこの『天皇賞(春)』に出走するというものだった。

  • 14二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 22:57:14

    今回はムーバが出てくるレースだったか
    そういえば彼女の出走はまだ見れていなかったね
    でもイリフネの様子からするとそれだけでもなさそうか

  • 15二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 08:45:00

    そういえばウマ娘だとコテコテの忍者キャラってまだいないよね

  • 16二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 15:23:06

    ニンジャって馬は実在するんだっけ

  • 17二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 15:34:51

    >>16

    探してみたけどいましたね

    しかもちょっと勝ってる

    https://db.sp.netkeiba.com/horse/2009101652/


    あとはクリークが3着目で忍者やってんのと

    ヤマニン冠が忍者一派みたいな感じでゼファー実装前はまれにネタにされていた気がする

  • 18二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 00:29:58

    板挟み…

  • 19二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 00:46:14

    >>17を見たら父グラスだったわ

  • 20二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 07:28:11

    朝保守
    長距離レース描写に期待

  • 21二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 16:08:47

    保守

  • 22二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 23:48:23

    今思うと、キンペイバイちゃんが天皇賞・春を勝っているのが産駒活躍の裏付けになっているなぁと思う
    母側からのスタミナの供給があってこそ、産駒たちがスピードを出すことができる訳で

  • 23二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 00:24:22

    産駒が基本的に王道路線系が想定されてるのもその辺が大きいよね
    春天牝馬があんな繁殖特性持ってたらそりゃ性別に関わらずスタミナすごかったりそれ使ったスピードになったりもする
    スピード面に特化した子でもエベレスト制覇者が出てるくらいだし

  • 24二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 09:11:34

    スタミナは母側から受け継ぎやすいんだったっけ

  • 25二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 17:50:11

    保守

  • 261着をねらえ!25/10/14(火) 18:18:45

    イリフネは悩んでいた。同じ天皇賞春に参加する親友と先輩、一体どちらを応援すればいいのか。チームに所属する者としてはチームでの先輩にあたるムーバレズハールを応援するべきであるというのは理屈では理解している。しかし、イリフネの心は親友の方へと傾いて倒れない。理性と心、2つの自分に挟まれイリフネは頭から湯気が出るほどに悩んでいた。

    「おーいイリフネ、伸びちゃうぞ」

    イリフネにとってダイナソアシーというウマ娘は無二の親友だ。トレセンに入学してから4年間、同じ屋根の下同じ部屋で暮らしてきたもう一人の家族と言っても差支えない。休みがあればいつだって二人で遊びに行くし、朝昼晩のご飯も一緒、風呂も寝る時もずっと一緒。長期休暇の時には一緒に旅行にも行った。そして、彼女は同期で親友であると共にイリフネの走るモチベーションの一つでもある。先にデビューしたソアラを追いかける形のイリフネは、トゥインクルシリーズで親友と戦う日を夢見ている。具体的にどのレースでというわけではないが、いつかはそうなりたいという漠然としたビジョンが2人の間にはあった。
    では、ムーバレズハールへの思い入れが無いかと言われればそれは嘘になる。イリフネにとってスキルの師である彼女は基礎基本のおじじ様、逃げウマ娘として何より戦う者としての矜持を教えてくれたアメリカの師匠に続き、戦う力を教えてくれた大事な存在でもある。ホープフルステークス、桜花賞、この2つのレースはムーバ先輩との特訓と指導無しでは勝つことはできなかっただろう。

    恩義と友愛、そのどちらを取るべきか。どちらを選んでも正解も間違いもないことではあるが、こういうことは悩まずに決めるとモヤモヤが残ると相場が決まっている。
    ならラーメンを食べている間はせめて悩んでおこう、そう思ってやけに重たい面を持ち上げ啜り上げる。味覚を刺激する鶏ベースのキレのあるスープを中太面が吸い上げこれは…

    「完全に伸びてるのです…」

    「言わんこっちゃない」

    げんなりとしながらラーメンを啜るイリフネにソアラは苦笑いを浮かべる。今度はまた何を難しく考えているのやら、らしくもなくここ最近暗い顔ばかりの親友に善意でメンマを押し付けた。

  • 271着をねらえ!25/10/14(火) 18:21:13

    ということで次のレース天皇賞(春)でのダイナソアシーとムーバレズハールの戦いのエピソードです。特にやることを決めていない緩いお話なので、見たいお話、設定してほしい・ダイスを回してほしいものなどありましたら遠慮なくお書きください。

  • 28二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 18:37:23

    ダイナソアシー固有覚醒
    対戦相手は変われどもやはりチームオルクの先輩が相手
    これまでの話を見てると同チームへの赫怒が自分の走りの壁ごと烈しく弾けるところが見たくなるところある
    もちろんそれとは別の思いで覚醒してもいいし彼女のいいとこみたいなあ、と
    それでムーバと全開で激突してくれたら最高

  • 29二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:13:42

    ママ躍進のレースだし、キンペイバイ一家揃って観戦に来てたりとかして欲しい

  • 30二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 00:49:45

    このレスは削除されています

  • 31二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 00:50:57

    ソアラ&ムーバを筆頭に異例のティアラ路線出身者率に衝撃走る京都レース場
    その中にはやはり左耳の姉を含むフェルティローザの二番目の双子たちも
    みたいなのがふと見てみたいかも
    ちょうど決闘者が出走しますしアポロウーサ出現にはちょうど良さそうかなって

    あとムーバが″本物″たる所以も見たい
    それがソアラに何かをもたらすかもしれない期待も含めて

  • 32二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 07:32:27

    朝保守

  • 33二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 08:18:28

    そういえばクローズドメイデンのことも気になるね
    非常に強力なゲイン能力の固有スキルを持っててスタミナ勝負で巨大なゲタがあるようなものだから春天にいる可能性は高いんだよな
    一応メイデンはソアラとも少し会ったことがあるし

    サイレントオナーズは元ネタ的にタフネス高そうだしセントライト記念に出て掲示板入りしてたあたり
    菊花賞を考慮できた程度の長距離適性はありそうだが、怪我明け長距離はちょっと怖いから可能性は薄そうかな?

  • 34二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 16:27:10

    保守

  • 35二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 23:32:00

    ピピボーイングちゃんの元ネタらしきお店見つけた
    札幌レース場で好成績出してそうだった

  • 361着をねらえ!25/10/16(木) 00:37:49

    「はぁ~いったいどうすりゃいいのです~…」

    机に突っ伏すイリフネの金髪が大理石の天板の上に広がる。でこからは大理石特有のひんやりとした感触を感じるが、それでも今の悩ましい課題にフル稼働中のイリフネの脳を冷やしきるには十分ではなかった。答えではなくため息ばかりが出るばかり一向に解決策は思いつかない。
    もう何度目かも分からないため息が机の縁から太ももの間に吹き生暖かい感触にこれが自分の体から生じたものなのか疑問と嫌悪感が腹の底で唸りを上げている。
    そうして顔を机と一体化しているとコトリと机に何かが置かれた音がしてようやく顔を上げると突如湧いて出てくる明るさに目が上手く開けられない。それでもなんとかこじ開ければそれはグラスに入ったキャロットジュースであった。ご丁寧に氷まで入れられて、グラスの外側には水滴もついている。

    「何かお困りごとですか?」

    エプロン姿でも隠し切れない暴力的な膨らみ、ふわりとした髪に中央の流星がよく目立つ。この店の店主であるメイショウドトウはイリフネの座る席の対面、自分の定位置にもグラスを置くとイリフネよりも眉を曲げた顔で訪ねてきた。

    「ドットちゃん、私は今、答えなき難題に向き合っているのです…」

    頬杖つき、ストローでちゅーちゅーとグラスの中の液体を吸い上げながらイリフネは遠い瞳で思案に耽っている。考え事を詰め込んだ頭は重く、最初は片手だった頬杖もしばらくすると両腕に変わっていた。

    「学校で哲学の宿題でも出されたんですか?」

    「近いけどちょっと違うのです」

    グラスを抱え可愛らしくジュースを飲むドトウはイリフネの悩みをよくは知らない。そもそもイリフネがなぜメイショウドトウが営む宝石店にいるのか。2人のでありは商店街でミカンの箱を崩しそうになったのをイリフネに助けられてから始まる。それからというもの、イリフネがたびたび彼女が経営する店に遊びに来るようになりその度に学校のことやレース、最近流行りの服やグルメなんんかの話で盛り上がりすっかり常連の話し相手になっていた。とはいっても、いつも話題を出すのはイリフネの方からで、今日も遊びに来たイリフネがため息とともに机に伸びていてもドトウの方から話を振る空気ではなかったのだ。

    「ドットちゃんは仲のいい子とお世話になっている先輩のどちらか片方を応援しなくちゃならなくなった時、どうする?」

    「えぇ…」

  • 371着をねらえ!25/10/16(木) 00:39:08

    ジュースを飲み切り、ストローが空気を吸い込んで甲高い音を上げる。
    何とも具体的で悩ましいシチュエーションの提示に流石のドトウも困惑の表情であったが、しばらく悩むとコップを置いて話し出した。

    「私ならどっちかは選べないのできっとどっちも応援すると思います。あ、イリフネさん、クッキー食べますか?」

    店主の申し出に首を縦に振る。確かに、どちらかを選ぶのではなく両方を応援するというのは理にかなっているし実際のところ最適解だろう。しかし、今のイリフネの状況が事態をややこしくしていた。ソアラが春天で戦うのはイリフネのチームの先輩だ。そして今、自分はそのチームから追い出されている状態。
    イリフネはまだ自分の口からは言えていないが、ソアラが今の自分の状況に気づいているというのはなんとなく察している。イリフネは抜けているところがあるがバカではない、親友が傷心中の自分を気遣ってくれているというのはちゃんと理解している。そして親友がチームに怒りの感情を持っているというのもまた理解していた。
    だからこそ、両方を応援するというのは自分を気にかけてくれている親友を裏切るような行為なのではないかと問答を重ねているのだ。
    しかし、中々結論が出るものでもなく、もういっそのこと本人に聞いてしまおうかと考えているとクッキーを取りに行ったドトウの姿が見える。高い位置の戸棚に置いていたのだろう、物置棚に手をかけ、蓋つきの棚に手を伸ばす不安定な体勢でつま先が宙に浮きかけている。何とも危ない体勢だ。

    「取れました~」

    そう言ってクッキー缶を棚から引っこ抜くドトウ。しかし、随分と棚に物を詰め込んでいたのだろう。クッキー缶を取り外した弾みに棚の荷物が雪崩出しドトウを襲い始めたのだ。突然のことに驚いた彼女は思わず手を離してしまい、体勢を崩してこのままでは背中から落ちてしまうという状態。しかし、その背が床に着くよりも先、飛び出した金の髪が数メートルを一跳びに彼女を抱きかかえる。

    「は~ドットちゃんは危なっかしくて目が離せないのです…」

    俗にいうお姫様抱っこの状態、イリフネはドトウが怪我をしていないのを確認し安堵の息をつくがそれも束の間、目線を下げたすぐそこにある巨大な膨らみに眉がどんどん下がっていくのだった。

  • 38二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 01:09:31

    棚や押し入れは何かの拍子に弾け崩れるのがお約束よねえ
    危ない危ない

  • 39二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 10:14:11

    安定のドジ力…!

  • 40二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 18:27:32

    ドットさんよりデカいのなんて、ペイバイママ含めた数名ぐらいしかいないだろうからしゃーない

  • 41二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 23:57:53

    >>40

    規格外な比較対象が身近にいるせいで、自分が持っているものが素晴らしいものだと気付けないパターンって結構あるよね……

  • 42二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 02:16:29

    そういえば以前の毎日王冠だと勝負服自体が幻視だったり発動のタイミングが微妙に違ったりでそういうことはなかったけど
    「物理的にも勝負服を着た状態で」「ほぼ〜全く同時に複数名の固有スキルが発動」した場合人々の幻視する風景はどうなるのか
    それがソアラやムーバ、メイデンあたりから固有スキルが出そうな上のネタ投稿を見てふと気になった
    魂の景色同士が衝突しせめぎ合いや時空間の摩耗などが起きるのか
    それとも混ざり合ってカオスが現出するのか
    あるいはどれでもない別の事象が起こるのか……?
    今回はその辺もワンチャン見られるか

  • 43二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 07:29:58

    >>42

    アプリウマ娘で例えると、サイレンススズカの地平線まで広がる野原に、急にアヤベさんが急降下してきたりオペラオーが宝船に乗りながらフライハイしたりしてくるような事になるのか

  • 44二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 15:39:28

    メイショウ絡み好き

  • 451着をねらえ!25/10/17(金) 21:08:21

    「イ、 イリフネさんはお怪我はないですかぁ…」

    「それはこっちのセリフなのです」

    身じろぎするたびにプルプル揺れるソレ(母よりは小さいが)にショボーン(´・ω・`)としていると腕の中で小さくなっているドトウがイリフネの頭頂部──左耳の根本につけられたものを見ていることに気づいた。

    「これは私が小さいころにお父さんとお母さんが誕生日プレゼントにくれたものなのです。あの頃リボンとかの可愛いものよりもカッコいいものが欲しくてそれまで付けてた耳飾りを付けなくなってすっごくぐずってたってお母さんたちが言ってたのです」

    六角形のクリスタルを金属製のフレームに収めたそれは所謂耳飾りというヤツで、リボンやら布地のものが多い中で大胆に金属や宝石をあしらったそれは現代のトレセンでは随分と珍しくイリフネの個性の一つとなっていた。大きさもイリフネの耳と同じくらいあり、その根元はこれまた綺麗な円形の宝石に接続され懸架されている。
    幼い日の親への迷惑も今ではいい思い出であり、幼少期に贈られたそれをイリフネは今でも肌身離さずに身に着けている。もう10年以上の付き合いだが多少の擦れがあるくらいで出会ったあの時と変わらぬ輝きを保ったままであった。

    「これそんなに気になるのです?」

    じーっと耳飾りを見続けるドトウになんだかむずがゆくなって肩が上がってしまう。

    「いえそのぉ…これ私の家の会社が開発協力していたものだと思うんですけど、ちょっと変だなぁって」

  • 461着をねらえ!25/10/17(金) 21:09:38

    そう言うと中腰になりイリフネの耳元で輝くそれに手を触れる。よく手入れがされ錆はおろか宝石部分に傷のない完璧な状態であることにドトウは関心のため息をつく。
    もっとも、その頭のすぐ下ではイリフネが迫りくる驚異的なモノに今にも押しつぶされそうになっており、そこにドトウのため息が頭皮を撫で全身の毛が逆立ち体が硬直してしまう。

    「これ本当なら宝石部分に名前が出るはずなのにどうしてこんなに余白があるのでしょうか…」

    イリフネの耳飾りの六角形のクリスタル部。よく磨き上げられ透明感の美しいのその部分にはイリフネの名前がアルファベット表記で浮かび上がっている。これはイリフネが無くさないように書いたものというわけではなく、この耳飾り自体がウマ娘の固有の生体電気信号を読み取り、その波形から宝石内の原子構造を組み替え名前を表示しているのだ。
    ウマソウル理論の提唱と共にそれまで天啓と思われていたウマ娘の名前が実はウマソウルに紐づけられているものなのではないかという当時の科学的な好奇心から作成されたこの耳飾りは大衆受けしないコンセプトと価格によってほとんど売れず、その存在を認知しているのも今日では極僅かな時代の波に取り残された旧型デバイスの一つであった。
    しかし、この耳飾り見栄えのため宝石部を大きく使って名前を表示するはずなのだがイリフネの物は片方に詰めて書いてあり、なんだか中途半端な状態になっていた。

    「不良品…もしくは故障なのでしょうか…」

    この業界で働く一人の人間として自分のところの会社が過去に販売していた製品にもある程度目を通したことのあるドトウであるが、こういった不良には初めての遭遇であり、しかも持ち主が仲のいい子とあれば原因を見つけ直してあげたかった。
    そうしているうちにドトウはイリフネの耳元にもっと顔を近づける。顔が近づけば必然として体も近づくわけで、むにゅりと柔らかく暖かな感触が顔面に。善意と一緒に敗北感まで押し付けてくる。しかも母のものと違い底なし沼のように沈み込むそれにもはや声を上げる空間すらイリフネには許されていなかった。そうしてそのでっかいものを押し付けられることになったイリフネはドトウが気づくまで母とは違う匂いに包まれ金髪虚無虚無プリンになるしかなかった。

  • 47二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 21:15:07

    冠を外したことで重力からも自由になったとでも、そういうことなのか……?
    なんかこの辺お姉さまか時代背景の影響がありそう

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