- 1慢心ヒャッハー25/10/12(日) 17:22:15
- 2慢心ヒャッハー25/10/12(日) 17:24:19
[無自覚匂わせ藤田ことね]
昼休み、学園内のベンチで座ってるプロデューサーを見つけた。
何か本を読んでいるらしい。
いつもは事務所で読んでるのに......珍しい。
「お疲れ様でーっす」
「ああ、藤田さん」
プロデューサーの隣に座る。
「珍しいですね。外で読書なんて」
「良い天気だったのでつい」
「確かに今日は外で昼食取ってる人が多いような.......」
そんな事を話してるとプロデューサーがあくびをした。
「お疲れモードですか?」
「いえ、そんな事は......」
本を読むのって意外と疲れるからなぁ。
「でもぉ、自分の疲れは自分では気付きにくいってよく聞きません?」
「藤田さんに言われたくないのですが」
ぐ......それを言われたら何も言い返せない。
でもでも、最近プロデューサーが頑張りすぎてるのは嫌ってくらいわかってんだぞー?
「仕方ないですねぇ」
自分の事なんて後回しにしちゃうプロデューサーを今日は癒してやろう。
「今日はあたしがプロデューサーの事を癒しちゃいますよぉ」
「......大丈夫です」
いつもなら即答で断ってくるのに、今日は時間がかかっていた。
間違いなく、プロデューサーの気持ちは今揺らいでいる。
「ん!」
とりあえず腕を広げてみた。
ハグはリラックス効果があるという記事を最近見た。
試してみよう。 - 3慢心ヒャッハー25/10/12(日) 17:26:23
「急に腕を広げてどうしたんですか?」
え?!
このにぶチン......言わないとわからないのか?!
「抱きしめてあげるってコトですよぉ。恥ずかしいので早くしてくださーい」
「で、ですが......」
「来ないならあたしから行っちゃいますね」
プロデューサーが腕の中に収まった。
抱きしめてるあたしもなんだか幸せな気持ち。
「毎日毎日、あたしのためにありがとうございます」
自然と言葉が出ていた。
「俺は藤田さんのプロデューサーだから当たり前です」
「だとしてもですよぉ。こんなに疲れるまでムリしてくれるなんて」
流れで頭も撫でてみる。
「ん......」
今日のプロデューサー、なんだか可愛いかも。
目もとろんと蕩けてるし.......
「少しお昼寝しちゃいます?」
「藤田さ......」
返事をを待たずにプロデューサーの体を倒す。
プロデューサーの頭があたしの太ももに乗っかった。
幸せな重さだ。
「メガネ預かっちゃいますねぇ〜」
「んん......」
メガネを安全な場所に避難させる。
「藤田さん......」
「どうかしましたぁ?」
「こんな事......悪いですよ」
口ではこんな事言ってるが、体は正直らしい。
起き上がる素振りがないのがその証拠だ。 - 4慢心ヒャッハー25/10/12(日) 17:27:30
「今だけはあたしに甘えちゃってください」
普段の感謝を込めて頭を撫でる。
「こんな時じゃないと、プロデューサーにいつものお返しができる気がしないので」
「藤田さんのために動くのは俺の好きでやってる事ですから」
「だったら今こうしてるのもあたしの好きでやってる事ですしぃ」
プロデューサーの瞼が落ちてきた。
「眠かったら、そのまま寝ても良いですよ」
「そうする訳には.....」
プロデューサーの目元を掌で覆う。
「眩しいと寝れませんよね」
「何故ここまでしてくれるんですか...?」
そんなの......プロデューサーの事が好きに......決まって......
直接言うのすっげー恥ずかしい......///
「えっ、それは......プロデューサーの事が......ぅぅぁぅ........」
ここで言わないでどうするあたしぃ?!
プロデューサーを癒すって決めたんだ.......ビシッと決めなきゃ.......
「す.....大切だからですよ!」
「.....そうですか」
「大切だから、自分を大事にして欲しいんです。だから、今だけはゆっくり休んでください」
「プロデューサーが目を覚ましても、ちゃんと側にいますから」
「藤田さん......」
プロデューサーの寝息が聞こえてきた。
今日のプロデューサーを癒す作戦は上手く出来たと思う。
「.....寝顔、撮っちゃお」
えへへ、待ち受けにしちゃお。
(((((イチャつくなら2人だけの空間でやれよ......))))) - 5慢心ヒャッハー25/10/12(日) 17:29:28
放課後、事務所に着くとプロデューサーが血相を変えてあたしに迫ってきた。
「藤田さん!」
「どうも〜.....って何かあったんです?」
こんなに慌ててるプロデューサーを見るのは珍しい。
「昼休み中、藤田さんの膝を借りたじゃないですか」
「疲れは取れました?」
「その時の写真が学園内に出回ってます」
「そうなんですねぇ〜」
......知ってるし!
なんなら昼休み終わって教室入った瞬間聞かれたわ!
完全にしくじった。
外だって事を完全に忘れてた。
だってあんな2人だけの空間に入っちゃったらさぁ.....?
ムリでしょ、制御するの。
「この画像が学園内だけに留まるとは到底思えません」
「確かにそうですねぇ......」
......別によくない?
「プロデューサー」
「なんですか?」
「別に、写真のちょっとくらい流出してもよくないですか?」
「写ってる内容が不味いんです」
「普通のスキンシップじゃないです?疲れたプロデューサーを癒すために膝枕なんて」
「普通じゃありません」
「ならあたし達で普通のハードルを下げていきましょーよ」
プロデューサーが困惑してる間に腕を組む。
開いてる方の手で自撮りをした。
「な、何をして.....?」
「SNSにアップしようかなーって」
あたしの彼氏みたいなコメントと一緒に投稿しようかと思ったけどそんな事をしていたらプロデューサーに止められそうだったから写真だけで投稿。
プロデューサーがこの世の終わりみたいな顔をしていた。 - 6慢心ヒャッハー25/10/12(日) 17:32:32
「プロデューサーはあたしとそういう関係になるのは嫌ですか?」
「嫌ではありませんが.....」
「確かに、アイドル藤田ことねの今後を考えるなら男を匂わせる写真はあたしを不利にする要素しかないってのは理解してます」
「なら何故......」
「ファンに受け入れて貰ったら外でもイチャイチャし放題って事に
「なりません」
食い気味に否定された。
「良いじゃないですかぁ!」
「普通のカップルでも外でイチャイチャなんてしませんよ」
「あたし達はいいんですぅ〜」
「よくありません」
「やだぁ!プロデューサぁ〜外でもイチャイチャしましょうよぉ〜」
プロデューサーに抱きついて抗議するも全く効いていないみたいだ。
「さっきの写真にもう反応来てますけどみんな好意的ですって!」
「わざわざコメント残す人がアンチな訳ないでしょう」
「ぷろでゅーしゃぁ〜!!!」
が、ガードが固すぎる......
事務所の扉がノックされる音が聞こえた。
「どうぞ〜」
「ちょ.....」
あたしは今プロデューサーに抱きついている。
誰でも良いからこの姿を見ろ!
外堀さえ埋まっちゃえば後はこっちのもんだ。
「ことね、昼休み中の写真見たけどアイドルがそんな.....事を.......していいと........」
手毬が入ってきた。
なんとも言えない人物がきた。
「あ、あの写真......本当にそういう意味だったんだ.......」
「手毬......
手毬に話しかけるも何も答えずに事務所から出て行った。 - 7慢心ヒャッハー25/10/12(日) 17:34:44
「なんだったんでしょうね、あれ」
「絶対言いふらしに行きましたよ」
プロデューサーがソファに座った。
とても疲れてそうな顔をしている。
「大丈夫ですか?」
「......なんかもう、どうでも良くなってきました」
プロデューサーがメガネを外した。
「藤田さん」
「なんですか?」
「膝、貸してください」
「いいですよー」
昼と同じように膝枕をする。
「この問題は明日以降の俺に任せようと思います」
「それがいいですね」
「30分後くらいに起こしてください」
「はーい」
暫くしてプロデューサーの寝息が聞こえた。
その間にも事務所にはいろんな人が入ってきて、あたし達の決定的瞬間を見て帰って行った。
プロデューサー、起きたらどんな顔をするんだろう。
今から少しだけ楽しみだ。 - 8慢心ヒャッハー25/10/12(日) 17:36:56
1作目終わり。なんかPこと限定でリクエストあったらどうぞ。このスレ残ってる間に書ききれる可能性は低そうですが最悪pixivの方にあげます。
※僕の性癖に刺さったネタしか書けません、ごめんなさい。 - 9慢心ヒャッハー25/10/12(日) 18:20:39
[ハグ待ち藤田ことね]
放課後、藤田さんからメールが送られてきた。
先生に呼び出されたせいで事務所にいなかったからだろう。
今どこにいるのか確認するメールのようだった。
『今そちらに向かってます』
『早くしてくださーい!』
この様子だと相当ご立腹のようだ。
これ以上機嫌を損ねさせないためにも急いで事務所まで向かおう。 - 10慢心ヒャッハー25/10/12(日) 18:21:52
扉をノックする。
「プロデューサーですか?」
返事をする前に藤田さんが扉を開けて中から出てきた。
「これで違ってたらどうするつもりだったんですか?」
「あたしを舐めないでください!足音でプロデューサーって分かりますよぉ」
「......そうですか」
何気ない発言だったのかもしれないが、少し俺の心が揺れた。
素っ気ない返事をしてしまう。
「それよりも!どうして時間通りに事務所にいなかったんですかぁ!」
藤田さんの様子を見た感じ遅刻した事は気にしてないと思っていたが違ったようだ。
「すみません、先生に呼び出されてました」
「あたしと先生だったら先生を取るって事でいいですか?」
「そうとは言ってないじゃないですか。許してください
「許して欲しかったら行動で示してくださーい」
藤田さんがソファに座って腕を広げた。
......事務所の鍵、閉めたっけな。
「......鍵なら閉めてるんで早くしてくださーい」
......マズい、このままじゃ本当に機嫌を損ねかねない。
腕を広げている藤田さんの事を抱きしめに行く。
「遅刻したバツで30分はハグハグしてもらいますからね」
「藤田さんの気の済むまで付き合いますよ」
「ふんっ、それくらいとーぜんです」
藤田さんの小さな手が俺の背中に回ってくる。
皺にならないくらいの力が加わった。
「プロデューサー.....♡」
......この様子だと機嫌は治ったみたいだ。
良かった。
「今だけはあたしだけのものですよね?」 - 11慢心ヒャッハー25/10/12(日) 18:22:56
「ずっと藤田さんの事だけを考えますよ」
「えぇ〜♡?だったらあたしが今してほしい事とかもわかりますかぁ♡?」
「勿論です」
藤田さんを軽く浮かせて俺の太ももの上に乗せる。
そのままギュッと抱き寄せて空いてる方の手で頭を撫でた。
「はふぅっ......♡プロデューサーっ♡」
「どうしましたか?」
「頭もっと撫でてほしいですっ♡」
「いいですけど、髪は大丈夫なんですか?」
「あたしがいいって言ってるからいいんですぅ」
リクエスト通り気持ち強めに頭を撫でる。
「プロデューサー♡しゅき♡」
耳元で藤田さんがしゅきと言い始めた。
これをされると俺は自分に言われてる気がして気が気じゃなくなる。
......実際、これは俺に対して言ってるんだろうけど素直に受け取ってはいけない。
「頭撫でられるの好きですね」
「さっきのしゅきはプロデューサーに言ったんですケド」
「そうでしたか」
「それよりももっとなでなでしてくださいよぉ」
30分間は藤田さんの言う事を聞かなくてはならない以上手を再び動かし始める。
けれど、その度に藤田さんは耳元で好きと呟いてくる訳で。
しかもその藤田さんに直接俺に対して言ってると明言された以上俺はこれ以上自分を誤魔化せない。
「ぷろでゅーしゃぁ♡」
......マズい、このままじゃ俺が俺でなくなる......
「あの、藤田さん」
「なんですか?」 - 12慢心ヒャッハー25/10/12(日) 18:24:02
「そろそろ藤田さんのお顔が見たいのですが」
「え〜、でもあたしはまだなでなでもハグハグも満足してませんよ?」
「お願いします」
半ば諦めつつも念押しをする。
「仕方ないですねぇ」
.....お。
これは......きたか?
「そんなにあたしの顔が見たいならぁ......見つめ合いながらしゅきしゅき言い合いましょうよ♡プロデューサー♡」
藤田さんと目が合った。
いつもだったら身長差のせいでこんなにすぐ合うことはない。
「ぷろでゅーしゃー♡」
藤田さんの手が俺の頬まで伸びてきた。
ぺたぺたと小さくて柔らかい手が俺の顔に触れる。
「しゅき♡しゅきしゅき〜♡」
目を合わせながら直接言われると破壊力が桁違いだ。
恥ずかしくなってしまい顔を逸らそうとする。
.....が、藤田さんの手がそれをさせてくれなかった。
「プロデューサーからはないんですか?」
「......流石にプロデューサーという立場上アイドルに好きとは言えません」
「......ウソでもいいですから」
「う、嘘......?」
「はい。実はあたしのしゅきもウソですよ。だからセーフなんです」
藤田さんは続ける。
「ほら、言わないとずっとあたしと見つめ合っちゃう事になりますよー♡」
「......もう1度確認します。今から言うのは嘘です」 - 13慢心ヒャッハー25/10/12(日) 18:25:36
勘違いをしないように。
されないように予防線を張る。
「好き......です」
「あたしも好きですよ......♡」
「俺だって好きです」
「あたしのほうがすきですぅ♡♡」
俺の頬に手を添えたまま、藤田さんが距離を縮めてきた。
「これも......これもうそですからっ.......♡♡」
「.......嘘、ならセーフですね」
「ぷろでゅーさ......♡♡」
「ん......♡ちゅ......♡♡はううぅっ♡♡♡♡♡」
「すきっ.....♡♡うぅぅ〜っっ♡♡」
「.....はっ♡ぷろでゅーさぁあ♡♡♡」
2作目終わり。 - 14二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 18:31:24
甘々すぎるだろ…
いいですね! - 15慢心ヒャッハー25/10/12(日) 19:34:49
[藤田さんが最近やけに俺に甘えてくる]
「......ぷろでゅーさぁ」
藤田さんが今日も俺のスーツの袖をそっと、遠慮がちに摘む。
「またですか?」
こくり、と申し訳なさそうに藤田さんが頷く。
この合図が出されたから普段人通りの少ない廊下の方へ向かう。
誰にも見つからないようにこっそりと。
「少しだけですよ」
いつものように両手を広げて藤田さんを受け入れる体制になる。
藤田さんは無言で頷くと俺の胸にすっぽり収まる形で飛び込んできた。
「たくさん甘えてくださいね」
最近、藤田さんから合図が出されたらこうやって抱きしめて頭を撫でる習慣ができた。
ひょっとしたら誰かに甘えたい年頃なのかもしれない。
高等部とはいえ実家から離れて厳しいレッスンを毎日行う。
バイトも入れて、オフの日でもSNSでの活動を行う。
本当の意味で心の底から落ち着ける日はないのかもしれない。
だから俺は藤田さんの心労を少しでも減らせるようにと最低限の警戒はしつつ要求に応じている。
......それはそれとして。
いつからこんな甘えんぼになってしまったんだろうか。
藤田さんは隙あらば身体的接触を俺に求めるようになっていた。
これまでスキンシップにうるさくして来なかった自分に問題があるってのはわかってる。
なしくずし的にずるずると、ハグまでは許してしまっている。
それが原因なのか藤田さんの要求は日に日にエスカレートしていって、最初は事務所或いは2人きりの時にハグを要求したりする程度だった。
だけど今では廊下だろうか街中だろうがお構いなしに甘えたがるようになってしまった。
「藤田さんは甘えんぼですね」
毎日毎日、貴方は立派に頑張っています。
自慢の担当アイドルです。
藤田さんを撫でながら思う。
藤田さんは俺の胸に顔をうずめて無言を貫いたままだった。 - 16慢心ヒャッハー25/10/12(日) 19:36:48
ハグを許しているとはいえ藤田さんとはいつかは離ればなれになる。
今は一緒でも卒業したらそうなる。
でもこの状態の藤田さんが卒業と同時に俺から離れる事ができるのか。
まぁ、無理だろう。
藤田さんに将来やりたい事をそれとなく聞いてみたら『プロデューサーのお嫁さん』だと。
小学生か。
そんな訳で卒業後の予行練習、とでも言うべきか.......最近は同棲を始めた。
そして帰宅すれば他の人の目はない。
つまり。
「プロデューサー」
「ちょっと待ってください......買ってきた物を冷蔵庫に入れるので」
帰宅早々藤田さんから"私を甘やかせ"というミッションを課せられる。
「......ぷろでゅーさぁ」
「後少しですから」
藤田さんが物凄く寂しそうな声を出ものだから急いで作業を終わらせる。
ソファまで行き藤田さんの横に座った。
......どうしてこうなった?
ノータイムで膝の上に乗って抱きついてくる藤田さんを見て思う。
甘えられるのはいいけど藤田さんのそれはちょっと度がすぎてる気もする。
比較する対象がないからなんとも言えないが.....もしかしたら他の子もみんなこんな感じでこれはプロデューサー特有の悩みだったりするんだろうか。
抱きついて俺の身体に顔をうずめたままの藤田さんがこの時間に何を想っているのか分からない。
けれどこういう場合、藤田さんもどうしてこんなに甘えたくなるのか分かっていないに違いない。
子どもとはそういうものだろう。
「満足しましたか?」
「.....はい、充電率40パーセントです。これでしばらくは大丈夫そうです」
「充電率......」
さっきまであんなに甘えてきたとは思えないほど凛々しい佇まいに戻っている。
本当に充電したんだろうか。
それに充電っていってもあそこまでして40%?
......分からないな。 - 17慢心ヒャッハー25/10/12(日) 19:38:15
風呂、夕飯、明日の支度を終えてリラックスタイム。
適当にテレビをつけて見てみる。
藤田さんも俺にもたれかかるように肩を触れ合わせながらぼんやりとしている。
藤田さんはテレビよりも俺の方に意識が向いているらしく俺の隣にいるためにテレビを見ている。と言った方が正しそうなくらいだった。
まぁでも、今日のスキンシップは軽い方だ。
日によって、時間によって藤田さんの甘え方は異なる。
今日よりも高頻度で1日に何度も抱きついてきた事もあるし、1日なんの要求もなく普通に過ごすような日もある。
前者は流石に呆れた事もあるけど、何もないとそれはそれで寂しいと思う事もある。
藤田さんが甘えてくる事に慣れてきてるんだ。
求められない寂しさがそれを物語ってる。
そんな藤田さんだが決して抱きつく以上の事をしてこない。
いや、誤解はしないでほしい。
変な気は無いんだ。
抱きつく藤田さんに聞いて見たくなる事もあった。
『それで満足ですか?』と。
けれど、これを聞いてしまったら今の関係はきっと壊れてしまう。
藤田さんもそう思ってるのだろうか。
きっと、今の関係を維持するギリギリのラインが藤田さん的には抱きつく事なのだろう。
「眠いならベッドに行きましょうか?」
「プロデューサーが寝るまで待ちます......」
「俺も一緒に寝ますよ」
「んぅ......」 - 18慢心ヒャッハー25/10/12(日) 19:41:07
「プロデューサー」
今日も今日とて袖を摘まれる。
「どうぞ」
いつも通り腕を広げて藤田さんを迎える。
「......」
「藤田さん?」
彼女の目線は横に逸れている。
最初は今更恥ずかしさが出てきたのかと思ったが........申し訳なさが込められているような気もした。
「......今日は、やっぱりいいです」
藤田さんが踏みとどまった。
......親離れ?
藤田さん自身、なんで俺に甘えるのか、抱きつきたくなるのか。
そしてなんで今日踏みとどまったのか、きっと何もかも分かってない。
「そうですか」
......これが本来の姿なんだ。
自分に言い聞かせるように言う。
親離れ。
さっき適当にそう思ったけれど、一般的に考えればそれはいい事だ。
......だけど、今の俺にそういった感情は湧かなかった。
家に帰っても藤田さんは甘えて来なかった。
それは昨日も一昨日もで、ここ数日はずっとこんな調子だ。
だけどこれまでもそういう事はあった。
ある日また突然要求が来る。
明日あたり来るだろうと思ってた。
けれど藤田さんはあれから俺の袖を摘む事はなかった。
「本格的に親離れか......」
藤田さんの入浴中につぶやく。
俺は藤田さんの親ではないけど。
「まぁ、それでもいいか」 - 19慢心ヒャッハー25/10/12(日) 19:42:38
ちっともよくない。
この前まではあんなに甘えてきたのに、急に来なくなるとそれはそれで不安になる。
何か藤田さんの気に触る事をしてしまったのだろうか。
俺じゃなくても良くなったのだろうか。
考えれば考えるほど不安になる。
「プロデューサー、お風呂空きましたよ」
「はい」
いつもなら風呂上がりの藤田さんが静かに抱きついてきた。
「......今日もいいんですか?」
腕を広げて誘ってみる。
「......はい」
藤田さんは平然な顔でそう答えた。
「.......そうですか。寂しいですね」
冗談混じりに寂しいと言ってみる。
その言葉が藤田さんの何かに刺さったのか、動きが固まった。
「寂しい」
「.....え?」
「プロデューサーは、寂しい?」
改めて聞かれると恥ずかしい。
「ええ、少しは寂しいですよ」
嘘。
強がってるだけ。
入浴の準備をしようと藤田さんの横を通り過ぎる。
「そうですか」
すると、藤田さんが抱きついてきた。
久しぶりの感触。
急な心変わりに困惑しつつ、安心感があるのも事実。 - 20慢心ヒャッハー25/10/12(日) 19:44:19
「久しぶりですね。こうやるの」
「......プロデューサーの言葉が聞けたので」
「俺の言葉?」
暫く抱き合ってから藤田さんが口を開いた。
「プロデューサーは優しいからなんでも受け入れてくれます。......プロデューサーが我慢してるんだったら、あたしのワガママだったら自分自身で辞めないといけないって.......」
.......なんだ。
ずっと俺が受け身だったから迷惑なんじゃないかって藤田さんが思って遠慮してただけか。
「今更そんな事で悩まないでください」
思わず苦笑する。
だけど藤田さんがこの考えに思い至るまでに長い時間をかけて悩んで、戸惑って、我慢したっていうのが伝わってきた。
「さっき、プロデューサーは寂しいって......」
「.....ええ、そうです。寂しかった」
藤田さんの抱きしめる力が強くなる。
「あたしが居なくなったら大変ですね」
「抱きつきながら言われても説得力ないですよ」
この時初めて、俺の方からも力を入れて抱きしめ返してみた。
3作目終わり。あと2作くらい乗せようかな - 21二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 20:24:58
最高に甘くて素晴らしいです
やはりPことは至高 - 22慢心ヒャッハー25/10/12(日) 20:49:43
[プロデューサーに1週間出張に出ると嘘をつかれた藤田ことね]
今日は4月1日。
誰もが知っている嘘が許される日。
学園内でも既にそういう話で盛り上がっているグループを何度か目にした。
俺も少し興味があるが.....気軽に嘘をつける相手が先生か藤田さんくらいしかいない。
エイプリルフールとはいえ先生相手は失礼だろう。
藤田さんへは.....担当契約を結んでる以上こっちの信用を落とすような事はするべきではない。
「失礼しま〜っす」
そんな事を考えていると藤田さんが事務所に来た。
「お疲れ様です」
今日は......ん?
何の予定も入ってないな。
「今日はレッスンありませんよ」
「そんな事知ってますよ?バイトもなくて暇なんですよぉ」
藤田さん......成長したな。
契約してすぐはこっそり働いていたのに......
「プロデューサーは今日暇ですか?」
「門限までは付き合えますよ」
「やたっ」
そう言って藤田さんが俺に抱きつく。
「ぷろでゅーしゃ〜♡」
「藤田さんは可愛いですね」
「えへへ〜♡もっと言ってくだしゃ〜い♡」
......最近、藤田さんとの距離感が近いな。
最初の方は媚を売るような狙ってる感じだったはずだ。
それが今となっては100%本心のように思えてしまう。 - 23慢心ヒャッハー25/10/12(日) 20:50:58
「あれ?何か悩み事ですか?」
「い、いえ。そういう訳では」
俺ですら藤田さんの可愛さに魅了されかけた。
やはり、素晴らしい才能を持っているな。
でもこのままじゃ俺の方が不味い。
プロデューサーは担当アイドルの事を好きになりすぎてはいけない。
でも今後この距離感で藤田さんの可愛いオーラに当て続けられたら俺はダメになってしまう。
どうした物かと考えていると、今日が何の日か思い出した。
藤田さんは最近俺との距離感が近すぎる事を自覚してるんだろうか。
「藤田さん」
「何ですか?」
「距離が近いような気がするんですけど」
「これくらいいいじゃないですかぁ」
無自覚.....?
それとも俺ともっと距離を縮めたいと思っているのか?
どちらにせよ問題だ。
藤田さんには悪いけど少しプロデューサー離れをしてもらおう。
今日は嘘をついても許される日だ。
反応を伺って嘘だとカミングアウトしよう。
「藤田さん」
「どうしました?」
「その、言いにくいのですが......」
藤田さんは俺の体をペタペタ触るのを辞めた。
「明日から出張が決まりました」
「.....えっ?」
明らかに動揺している。
やりすぎてしまった感があるが......今引いたところでノーダメージだろう。
「出張......なるべくしないって約束.......」
「それは覚えています。ですが断りきれませんでした」
「な、何日くらいかかるんですか?すぐに戻って来ますよね?」 - 24慢心ヒャッハー25/10/12(日) 20:52:14
「1週間程ですかね」
「1週間......」
藤田さんが不安そうな顔をする。
NIAの時以上にダメージを受けている気が.......
「申し訳ありません」
「ぷ、プロデューサーは悪くないです」
「必ず戻って来ます。少しの間、俺なしでできますか?」
「今のままじゃ多分ムリそう......なので......」
なので....?
電話をしてほしいみたいな要求がくるのか?
「プロデューサー成分.....補給させてください」
なっ......
藤田さんはノータイムで俺の膝の上に座って来た。
「ぷろでゅーさぁ......」
藤田さんに俺との距離感を改めて貰うための嘘だったはずなんだが.......
完全に逆効果だった。
今すぐ嘘だった事を伝えなくては。
「ふ、藤田さん」
「んんぅ.......」
藤田さんは今俺に抱きついて頬擦りをしている。
俺の声がちゃんと聞こえてるのかも分からない。
「絶対、帰ってきますよね?」 - 25慢心ヒャッハー25/10/12(日) 20:53:29
......物凄く実は嘘だと伝え辛い。
「あ、あの......すみません」
「謝んなくてもいいですよ。仕方ない事って...分かってますから」
「あ、あの......」
「せめて思いっきり抱きしめて、あたしが寂しくならないようにしてください」
ま、マズい......!
このままじゃ取り返しが付かなくなる......
「藤田さん!」
仕方ないから藤田さんを抱きしめて俺の声に意識を向けさせる。
「プロデューサー.....?」
「すみません、出張の話は嘘なんです」
「え.....?」
「出張はしません。明日も明後日もずっとすぐ近くで藤田さんのプロデュースをする予定です」
「......ほんとですか?」
「すみません、辛い思いをさせてしまいましたよね」
背中をさすって落ち着かせようとすると、ようやく状況が整理できたのか。
藤田さんは俺の体に身を預け始めた。
「プロデューサーと離ればなれにならない......?」
「なりません。ずっと一緒です」
「......っ...プロデューサーのばか....」
こればかりは俺が悪い。
藤田さんの気が済むまで俺の胸を貸そう。 - 26慢心ヒャッハー25/10/12(日) 20:55:01
「落ち着きましたか?」
「.....誰のせいでこんな事になったと思ってるんですかぁ!」
涙の跡が見える顔を上げて藤田さんが俺に詰め寄る。
「すみません。実は......」
納得して貰えるとは思わないが、1から全て説明をした。
最近俺と藤田さんの距離感が近い事。
それについて藤田さんは自覚がない事。
俺たちはプロデュース契約を結んでいるから適切な距離感を保たなければならない事。
納得......半分はしてそうだな。
残り半分は俺に対する不満を持ってそうな目だ。
「確かにプロデューサーに対してくっつきすぎてたのは認めます」
そう言う今も俺の膝の上だ。
「いくらなんでもやり方って物がありません?」
「まさかここまでなるとは思ってませんでした」
「そもそもなんであたしとプロデューサーは適切な距離感を維持しなきゃいけないんですか?」
「授業で言われるんです。担当アイドルの事を好きになりすぎてはいけないと」
「ちょぉっ.....もしかしてプロデューサー.......」
や、ヤバい。
言わなきゃ良かったか?
「あたしの事ちょー好きって事......?」
「可愛いとは思ってますよ」
「なんでそこ濁すんですか」
「プロデューサー科の教えです」
「それこそが答えになってるんだけどナー」
......困ったな。 - 27慢心ヒャッハー25/10/12(日) 20:57:05
「出張しないので俺の膝の上にいる必要はもうないでしょう。降りてください」
「イヤです」
「さっきの話、理解してくれたと認識しています」
「プロデューサーにウソつかれて傷ついた心がまだ癒せてません」
何も言い返せない。
「ハグを所望しますっ!プロデューサー!」
「......今だけですよ」
「えへへー、ならこの時間でアイドル藤田ことねのトリコにしちゃいますから!」
結局、この日以降も藤田さんとの距離感が改善される事はなかった。
4作目終わり。5作目は手毬と咲季も出てきます。 - 28慢心ヒャッハー25/10/12(日) 22:37:32
[「マズい...咲季さんと月村さんと藤田さんと出かける日が被ってしまった...」]
マズい......
非常にマズいぞ.......
明日の予定をチェックしていたら大変な事が起きていた。
咲季さんと月村さんと藤田さんと出かける予定がいっぺんに入っている......
仲良く4人で出かけるなんて不可能だ。
それに、休日に俺も自分の胃袋の心配をしたくない。
いや、そもそも今俺は物凄く悩んでるんだが......
振り返ってみれば今日の3人の態度、なんかおかしいと思っていたんだ。
みんながみんなソワソワしていて口を揃えて「明日は楽しみにしている」と言っていた。
俺もスケジュール帳を確認するまですっかり忘れていたから適当に「そうですね」なんて言うんじゃなかった......!
下手したらRe;IRISが解散しかねない.......
明日はどんな風に立ち回るか考えてるとインターホンが鳴った。
今のところの計画は俺に用事ができたと嘘をついて朝は咲季さんと、昼は藤田さんと、夕方は月村さんと過ごすつもりでいる。
心苦しいがこれが最良な手だろう。
「プロデューサー」
こ、この声は藤田さん.....?!
「ど、どうかしましたか?」
何故彼女がここに......?
今の時間、普段だともうすぐ寝る頃合いだったはずだが......
まさか、3人と予定が被ってる事がバレてリーダーとして俺の事を問い詰めに来たのか?
いや、そんなはずがない。
来るんだったら3人でくるはずだ。
落ち着け俺.......
「あの、ですねぇ。そのぉ......」
とりあえず玄関を開ける。
良かった、1人だけか。 - 29慢心ヒャッハー25/10/12(日) 22:38:36
藤田さんの姿を見るとやけに重そうな手荷物を持っていた。
何か相談か.....?
「入りますか?」
「えと、その...お邪魔します...///」
「適当にくつろいでください」
「お茶でいいですか?」
「あー、お気になさらず」
にしてもこんな時間にどうしたんだろうか。
とっくに門限は過ぎてるはずだ。
「プロデューサーってぇ、ご飯は済ませました?」
「まだですね」
明日の事に頭を悩ませ続けてさっき風呂に入って体も頭もさっぱりさせたところだった。
「あの....もし迷惑じゃなかったらですけどあたしがつくりましょうか?」
....もしかしてその荷物は食材?
そこまでしてもらって断るのも悪い......か。
「任せきりは良くないですね。俺も手伝います」
「うえっ///?!いやいや!プロデューサーはゆっくりしててください!」
「藤田さんこそレッスン終わりで疲れているでしょう。藤田さんが休んでても良いくらいです
「んぁー...///じ、じゃあ一緒につくります?」
冷蔵庫の中身と藤田さんが買ってきた物を見て大まかなメニューを決める。
「すみません、一緒にって言ったもののキッチン狭いですね」
「いやいや、これくらいで十分ですよー。それじゃ、はじめましょうか」
俺と藤田さんの料理の腕は同じくらいなのかスムーズ....とはいかなくても中々いい感じに進んでいった。
焼こうと思ったら既にその準備ができてるし、欲しい調味料もサッと用意してくれる。
心地いい感覚。
「プロデューサー、味見どぞっ」
藤田さんから箸が伸びてきた。
お腹が空いていたのもあり先にひと口頂くことにした。
「どう.....ですか///?」
「完璧な出来です」 - 30慢心ヒャッハー25/10/12(日) 22:40:13
藤田さんとは味付けの好みも同じの可能性が出てきた。
「盛り付けましょうか」
「そうですね」
夕飯を済ませて食器をつけ置きしてソファで寛ぐ。
いつもだったらすぐ洗うが今は藤田さんがいる。
後回しにしても良いだろう。
「美味しかったですか?」
「はい、とても」
藤田さんが隣に座って頭を預けてくる。
「えへへ....お口にあったようで」
「毎日食べたいくらいでした」
「毎日つくりに来ちゃいますよ?」
「無理はさせたくありません。ならせめて週1に......」
藤田さんが「週1かぁ」と呟くのが聞こえた。
「プロデューサー。いつもは咲季と手毬もいるけど、今はあたししか見てないですよね?」
「そうですね」
「今だけはあたしの物って事にしても良いですか?」
あの2人がいると藤田さんは自分を押さえつけてまとめ役になってるからな。
今日くらい良い気がする。
最初の頃は単独プロデュースだと勘違いさせて怒らせてしまったし。
......それは他の2人もそうだったな。
だったら尚更、出かける予定を被せてしまった事に罪悪感が......
「煮るなり焼くなり好きにしてください」
「重くないですか?!」
「ああ、すみません。ちょっと別の事を考えてしまって......」
「もぉ〜......あたししか見てないって言ったくせに......」
藤田さんが立ち上がった。
「ん!」
そのまま俺の前に来て腕を広げている。 - 31慢心ヒャッハー25/10/12(日) 22:41:29
「.....?」
「ん!」
とりあえず、藤田さんの真似をして俺も腕を開く。
そこに、藤田さんが入り込んできた。
「今日はやけに甘えんぼですね」
「あいつらの面倒みるのちょー疲れるんですぉ......」
「いつもお疲れ様です、リーダー」
藤田さんの頭を撫でる。
「はぁ.....ダメぇ......こんなの知ったら我慢が......///」
「今だけは我慢しないで好きなだけリラックスしてください。藤田さんがいなかったら今頃Re;IRISは解散しています」
「つまり、プロデューサーはあたしになんて言いたんですかぁ?」
「いつも助かってます。感謝してもしきれないくらいに」
「ぷろでゅーしゃ〜♡」
藤田さんが俺の胸あたりに頬擦りをしている。
「もっと褒めてくださーい♡」
その瞬間、インターホンが鳴った。
藤田さんは不満そうにしている。
「......こんな時間に誰ですかね」
「.....すぐ戻ってきてくださいよ?」
「はい」
.....もう9時を回ってるってのに誰だ?
宅配なんて頼んだ記憶もないし......
「プロデューサー!開けてちょうだい!」
.....え?
咲季さん....?
「こんな時間にどうしたんですか?」
普段ならもう寝てるはずでは.....?
「明日一緒に出かける約束じゃない?会えない時間が惜しいから泊まる事にしたの」
ま、マズいぞ......?!
今藤田さんがいるのが両者に知れ渡ったら俺はなんて2人に説明すればいいんだ.....? - 32慢心ヒャッハー25/10/12(日) 22:42:39
「そ、それだと月村さんが1人で今夜寂しい思いをするのでは?」
「なんでことねが部屋にいない事を知ってるの?」
「あ".......」
「プロデューサー?どういう意味か説明してくれる?」
こ、これ......咲季さんも部屋に入ってくるパターンか.....?
「藤田さんがこんな時間に俺の部屋に来るわけないじゃないですか」
「怪しいわね.......」
「プロデューサー、遅くな......い....?」
ヤバいぞヤバいぞ.......
「あー!やっぱりいるじゃない!」
「咲季さん、落ち着いてください」
あぁあっ、外で騒がれても迷惑だし一旦中入れるか......?
「ことねだけズルい!わたしも泊まるわ!」
俺が招き入れるよりも早く咲季さんは家の中に入ってきた。
俺を独り占めできると思ってた藤田さんは見るからに落ち込んでるし咲季さんは荒れてるし......
.....この場を鎮める為だ。
自分を犠牲にしよう。
「2人とも落ち着いてくださう。特別に今からなんでも言う事を聞きます」
「さっきの続きはどーなるんですか?」
.....ぐっ
「......俺は1人しかいません」
「じゃああたしは右半身」
「ならわたしは左ね」
2人がベッドで横になれって睨んでくる......
「プロデューサー、撫でてください」
「わたしを抱きしめて、今すぐに」
なんだこれ。 - 33慢心ヒャッハー25/10/12(日) 22:43:42
左右からいろんな事を指示されて頭がごちゃごちゃになりそうだ。
右耳から小指曲げてっていう細かい指示が飛んでくる事もあれば左から抱きながら頭撫でろって言われている。
いずれ藤田さんの指示を咲季さんにやるんじゃないかという心配がある。
「プロデューサー、わたしのことどう思ってる?」
「とても頼りにしています」
「あたしにはないんですか?」
「勿論、藤田さんもRe;IRISに欠けてはならない存在です」
「「どっちの方がいい(ですか)?」」
......めんど...なんて思っちゃいけない。
「2人とも大事です。なんかこう.....好きになりそうなくらい大事です」
何を言ってるんだ俺は。
「好きになりそうなくらい.....?あやふやな答えね」
「プロデューサー、さっきあたしのこと世界で1番好きっていってませんでしたっけ」
「なっ?!ことねが好きでわたしは嫌いだって言うの?!」
「ぷぷぷ、やっぱ無理やり泊まりにくるからそういう評価になっちゃうんだよナー」
「プロデューサー!今度はわたしと2人きりでお泊まりよ!」
「残念だったねー咲季ちゃん。あたしはプロデューサーにこれから毎日お味噌汁をつくるように言われてて」
「わたしの方が栄養満点な食事がつくれるわよ!」
こ、こんなの身も心も持たない.....!
.....え?
「あ、あの、一旦静かにしてください。今玄関開きませんでしたか?」
「別に良くない?強盗だったらわたしが撃退するわ」
「自分の体をもっと大事にしてください」
「咲季見てきてよ。プロデューサーに見直して貰えるチャンスだぞー」
「ことね、あなたに譲るわ。プロデューサーが抱きしめてきて今動けないの」
な、なんか足音近づいてきてないか......?
「え?!アンタ達がなんでここに?!」
......え?
月村さん.......?
「あ、あの...?玄関の鍵は......?」 - 34慢心ヒャッハー25/10/12(日) 22:45:36
「あ、開いてましたよ」
「あたし締めてきましたー」
「どうせわたし達みたいに合鍵でも持ってるんでしょ」
「え?」
合鍵......わたし達?
「それより2人して何やってるの?!部屋にいないと思ったら......もしかして抜け駆け?!」
「「お前(あなた)が言うな」」
「プロデューサーもプロデューサーだよ!こんな2人も侍らせて......この変態っ!」
や、厄介なのが増えた.....
「ねぇ、あの子なんて放っておいて早く続きやって」
「ことねちゃんもまだまだ満足してませんよ〜」
「早く離れなさいって言ってるの!」
結局、この3人の相手は日付が変わるまで続いた。
明日の約束が有耶無耶になったのは嬉しいが......相当疲れた。
この疲れは寝たって解消されないだろう。
だって、1人用のベッドに4人で寝てるんだから。
咲季さんが俺の左に。
月村さんが右に。
藤田さんが俺の上を陣取っている。
藤田さんの体重だから助かったけれど月村さんが上だと考えたら......恐ろしい。
後何故か左半身と右半身の体感温度が違い過ぎて体がおかしくなりそうだ。
寝返りが打てない。
総合的に見て何もかもが辛い。
「......プロデューサー、起きてますか?」 - 35慢心ヒャッハー25/10/12(日) 22:48:04
藤田さんが話しかけて来た。
「......起きてますよ」
「やっぱり寝づらいですよね」
「ええ、想像以上にキツいです」
「2人で別の部屋で寝ませんか?」
藤田さんが俺の上から降りた。
「そうしたいのは山々なんですけど」
顔を左右にやる。
「あー、あいつら寝相悪いですからね。ちょっと待ってくださいねー」
藤田さんが器用に絡みついた2人の腕や足を静かに解いていく。
「手慣れてますね」
「いつもこいつらの間で寝てますからね〜。慣れたもんです」
「何はともあれ助かりました」
足音を殺して隣の部屋まできた。
「といっても......ソファしか寝場所が......」
「寝袋持って来てるんですけど一緒にどうですか?」
「2人入りますかね」
「ゆったりサイズなんでなんとか入ると思います。あたしもちっこいですし」
藤田さんが寝袋を広げている。
「どぞ」
「ではお先に......」
藤田さんが後から入ってくる。
ちょうど俺の腕にすっぽり収まった。
「んー......ちょっときびしめでしたね」
「さっきに比べたら全然マシですよ」
「なら、救世主ことねちゃんに感謝のなでなでを要求します。でも、眠くなったら寝て良いですかね?」
「できる限り頑張ります」
この後も、小声で少しだけ喋ったていたら藤田さんが寝てしまった。
その頃には俺の瞼も重くなっていたので、自然に眠りに入れた。
4作目終わり。 次の話で最後です - 36慢心ヒャッハー25/10/12(日) 23:34:12
[プロデューサーと同棲したらことねはこんな感じなんだろうなって話]
藤田さんが入浴に行って空き時間ができたから少しだけ作業をしていた。
だけど、さっきまで談笑していたからか頭のスイッチが作業に切り替わらない。
いつもなら数分続けていれば集中できるのに何故か今日だけは違った。
捗らない。
それどころか眠くなってきた。
......今日はもう無理だな。
こんな状態で続けても納得いく仕上がりにはならないだろう。
後日やり直しするくらいなら何も加えない方が楽だ。
そう思いノートパソコンを閉じる。
「お風呂、あがりましたよー」
藤田さんが戻ってきた。
ちょうどいいタイミングだ。
「眠そうですねぇ」
藤田さんが俺の隣に座る。
「んしょ......んー......?ぷろでゅーしゃー?」
「......あぁ、すみません。眠気が........」
「おねむならぁ、あたしの膝貸しましょうか?」
藤田さんが自分の膝をぽんぽんと叩いている。
魅力的な提案に俺は黙って従った。
「えへへ、すぐきちゃぁ♡そんなにあたしに膝枕して欲しかったんですかぁ?」 - 37慢心ヒャッハー25/10/12(日) 23:35:30
藤田さんが頭を撫でてくる。
自然と瞼も重くなる。
「たまにはこんな感じで何もせずまったりする時間も必要ですよねぇ」
藤田さんのゆったりした吐息が聞こえる。
太ももも暖かくて、いい匂いもする。
最高にリラックスできる.......
「明日も朝早いんですか?」
「ええ......」
「そですか。あたしも頑張って早起きしてことねちゃん特製のお弁当、用意しますね」
「いつもありがとうございます」
「お礼を言うのはあたしの方ですよ。いつもあたしのためにありがとうございます。プロデューサーにはたくさんのしゅきをあげちゃいます」
耳元に藤田さんの息がかかる。
「しゅき......♡しゅきしゅき♡♡ん.......♡しゅきぃ.......♡♡」
恥ずかしくなって藤田さんのお腹に顔を埋める。
「甘えんぼなところもしゅきですよ.....♡」
この後も愛を囁かれ続けて、やっと藤田さんは満足したのか俺から距離を取った。
「耳まで真っ赤じゃないですかぁ♡そんなんじゃあたしと結婚したら毎日大変ですよ♡」
今をときめくトップアイドルに愛を囁かれて平気な人間なんてこの世には存在しないだろう。
俺が弱いんじゃなく、藤田さんが強すぎるんだ。
きっと、そうに違いない。
「そろそろ寝室、いきましょっか♡」
藤田さんの手を取って起き上がる。
短い距離の移動なのに、指を絡めて繋ぐ。
俺はベッドに倒れこんだ。
「もう、風邪引いちゃいますよ?」
藤田さんが布団をかけ直してくれた。
そして、リモコンで電気が消される。
「ふぅ.....♡」
藤田さんも隣に入ってくる。
目が合った。 - 38慢心ヒャッハー25/10/12(日) 23:37:38
「ふふっ......♡ぷろでゅーさぁ♡♡♡」
「あたし、こうしてお布団の中でプロデューサーを見ると思うんです。いつか結婚して、子どもも授かって、幸せな家庭を築きたいなぁって♡」
藤田さんが俺に抱きついてきた。
「頼りにしてますよ♡?あなた♡♡」
「藤田さんのお願いなら叶えるしかありませんね」
「そういうところ......しゅきすぎます♡♡♡」
俺も抱き返す。
「ぷろでゅーさーの匂い......♡♡はふぅ.....♡♡幸せしゅぎます♡♡♡」
さっきのお礼で今度は俺が藤田さんの頭を撫でる。
「ぷろでゅーしゃぁ......♡♡♡」
「どうしましたか?」
「なんかっ......♡こんなに近くにいるのに寂しいんですっ......♡♡♡」
「困りましたね」
「ぷろでゅーしゃ......♡♡たすけて......♡♡♡」
頭を撫でるのをやめて藤田さんの頬に手を伸ばす。
「ぷろでゅーさぁっ.....♡♡♡」
そのまま、藤田さんの額に唇を落とした。
「ううぅっ♡♡♡」
「まだ足りませんか?」
「あと......少しだけください......♡そしたら明日も頑張れます......♡」
「ことね」
要望通りもう1回キスをする。
名前呼びも追加して。
これで満足してくれなかったら俺はどうすればいいかわからない。
「んー......!♡♡♡」
藤田さんが俺の体をぽかぽか叩いてくる。
体が揺れて......眠気が.......
「ぷろでゅーしゃー♡♡♡♡」
「......あの、今更なんですがこんな事して寝れるんですか?」
「今いいトコなので邪魔しないでください」 - 39慢心ヒャッハー25/10/12(日) 23:41:39
「俺、そろそろ限界なんですけど.......」
「ムードの読めないニブちんは寝ててもいいですよーだ。あたしひとりで楽しみますから」
「そうですか。では、おやすみなさい」
「ちょおぉっ?!ほんとに寝ちゃうんですか?!」
アラーム......セットしたかな........
まぁいいか.......藤田さんが起こしてくれるだろうし。
「ぷろでゅーさぁ!」
「可愛いですよ......藤田さん.......」
「なんですかその適当な返事は?!」
結婚.....か.......
もっともっと藤田さんに売れてもらう必要があるな........
俺も頑張らないと........
「本当にあたしの好きにしちゃいますからね?」
ご自由にどうぞ。
そう思い思考回路をストップさせる。
その瞬間、唇に柔らかいものが一瞬触れた。
......本当にこの人は。
朝、起きたらお説教が必要だな........
「おやすみなさい、プロデューサー」
藤田さんの体温を感じながら俺は眠りについた。 - 40慢心ヒャッハー25/10/12(日) 23:44:15
これで終わりになります。 最後のはあにまん先行公開なので後日pixivの方にあげます
- 41二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 02:37:04
pことていてい!最高です!