- 1二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 15:24:49
- 2二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 15:30:02
「脈拍さらに低下!!これ以上下がると命が!!」
看護師の叫びが主治医の男の意識を呼び戻した。
彼女を助ける方法がないわけではない。
しかしそれはあまりにも、彼女の尊厳を踏み躙るものに他ならない。
たとえ救えたとしても、彼女のアイドルとしての人生をここで終わらせてしまうかもしれない。
それでも男のとれる手段は他にはなかった。
彼は覚悟を決めるともう一人の看護師に指示を出す。
「救急車の手配を。それと彼女を移送する準備も一緒に」 - 3二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 15:34:20
ピーポーピーポー(救急車のサイレン)
ガラガラ(リーリヤを乗せたストレッチャーを走らせる音)
看護師「先生、どうして学園に?それにこれはどこに向かっているんですか?」
医者「説明は後だ、今は一刻も早く『事務所』のある校舎を目指すぞ」 - 4二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 15:39:16
学園校舎
医者「着いた!!どこかによさそうな教室は・・・あった!!」
看護師「教室のドアを少し開けて・・・何をしているんですか?」
医者「・・・ふんっ」ブチッ(人工呼吸器のマスクに繋がれた管を機械から引きちぎる音)
看護師「何をやってるんですか!?」
医者「彼女を救うにはもうこれしかないんだ・・・!!」(管のマスクとは逆の先端を少しだけ開けたドアの隙間にねじ込む)
看護師「?」
医者「頼む・・・生き返れ・・・!!」 - 5二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 15:45:31
教室内
咲季P「・・・咲季さん、さっきから一体何をしているんですか?」
咲季「ああ、これ?この棚の上のものを取りたいんだけど、ちょっとだけ、手が、届かないのよ」(精一杯背伸びをして手を伸ばす)
咲季P「そういうことなら先にいってください・・・どれが必要なんですか?」(椅子から立ち上がり咲季の背後から棚の中を探す)
咲季「え!?え、えっと・・・そこにある、赤いファイル・・・」
咲季P「奥の方・・・ちょっと見えづらいですね」(前傾姿勢で棚の中を覗くように探す) - 6二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 15:51:27
咲季「ちょっと!!流石に近すぎるわよ!!」(思わず上を見上げる)
咲季P「おっとすみません、探すのに夢中になってしまいました。でもおかげでこの通り」(赤いファイルを手に持ちながら背後から大きかぶさるような体勢)
咲季「!!」(顔が近くて思わず言葉に詰まる)
P「・・・大丈夫ですか?顔が真っ赤ですよ」
咲季「う、うっさいわね!!ちょっと教室が暑かっただけよ!!」
P「そうでしたか。すみません、気が利かずに」 - 7二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 15:59:17
心電図「・・・・ピッ・・・・・ピッ」
看護師「患者の脈拍再開しました!!先生、これは?」
医者「やはりそうか・・・。この患者のカルテを見た時からまさかとは思ったが・・・」
医者「彼女は今、この教室に満たされている濃い関係性の空気で息をしているんだ」
看護師「・・・?」
医者「この教室に満たされた赤髪のお嬢さんとスーツの男の甘酸っぱいやり取り、それが今の彼女を生かしている」スポッ(管を教室から引き抜く音)
リーリヤ「・・・うぅ・・・」
心電図「ーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
看護師「心肺停止!!でも本当に!?」 - 8二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 16:02:08
なんだこれは!?(なんなんだこれは)
- 9二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 16:06:16
医者「信じがたいがこれが事実だ」スポッ(管を教室に差し込む音)
リーリヤ「・・・スゥ・・・スゥ」
心電図「・・・・ピッ・・・・ピッ」
医者「つまり彼女が患っている病気は『お気に入りカプから醸し出される空気を吸う』ことでしか治せない」
医者「身内のナマモノからしか摂取できないとは・・・これを知られれば彼女のアイドルとしての人生は終わる」
看護師『それ人として終わりなんじゃ」
リーリヤ「・・・うぅ」
医者「いかん、ここの空気もそろそろ薄くなってきたみたいだ。早く他を探さねば」 - 10二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 16:14:12
医者「よし、運よく隣もよさそうな環境だ。それでは少し失礼して」スポッ
看護師「・・・大丈夫なんですか?」
医者「心配するな、ここにはどうやら彼女の知り合いの事務所が多く固まっているみたいだ。幸い供給源には困らないだろう」
看護師「別にそこ心配してるんじゃなくてあなたの頭を心配してるんですよ」 - 11二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 16:21:43
教室内
手毬「ねえ、プロデューサー」
P「どうしました、月村さん?」
手毬「・・・その『月村さん』っていうのやめて欲しいんだけど」
P「ほう、ではどのようにお呼びすればいいですか?」
手毬「分かってるくせに、私に言わせたいんだ?」
P「いいえ、ただ呼び方に皆目見当もつきません」
手毬「・・・もういいよ、私レッスンに行ってくるから」
P「はい、わかりました。それでは頑張ってきてくださいね、手毬さん」
手毬「!!・・・うん、行ってきます」 - 12二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 16:26:33
心電図「ーーーーーーーーーーーーーーーーー」
医者「クソ、なんでだ!?名前呼びイベントで呼吸が安定しない!?何が間違っているんだ!?」
看護師「治療法じゃないですかね」
医者「・・・まさか・・・『解釈違い』?」
心電図「ピッ」
看護師「心拍で返事しないでください」
リーリヤ「うぅ・・・」
医者「患者の表情が歪んでいる・・・。何がいけなかったんだ」 - 13二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 16:31:38
心電図「ピッ・・・ピピーピピッ・・・ピッ」
医者「これはモールス信号?彼女が心拍で何かこちらに伝えようとしている」
看護師「これもう意識戻ってないですか?」
リーリヤ「・・・うぅ・・・」
看護師『都合悪くなると病人のふりしてないか』
心電図「手毬ちゃんだったら『特別に下の名前で呼んでもいいよ?』っていうはずです」
看護師「めんどくさいなこの患者」 - 14二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 16:39:17
リーリヤ「」
心電図「ーーーーーーーーーーーーーーー」
看護師「患者の心肺停止しました」
医者「とにかく早く次の補給源を探さなければ彼女の息がもたない。次の教室に行くぞ」スポっ
医者「最後の言葉が解釈違いの説明なのはかわいそうだからな、絶対に救ってやる」 - 15二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 16:50:49
医者「頼む、ここは彼女にとってのいい補給場所であってくれ」スポッ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
教室内
ことね「お疲れ様で〜す♡ってあれ、プロデューサー?」
P「・・・zzz」
ことね「珍し、こんなところで寝てるなんて・・・これはプロデューサーのメガネ?」
ことね「そういえばいっつもかけてるところしか見たことないけど・・・うっわ、まつ毛なっが」
ことね「ってヤバい、なんかめっちゃ恥ずかしくなってきた・・・。ってこのメガネめっちゃ度が強いな」スチャ
ことね「全然見えないし・・・私もあんまり目は良くないけどそれ以上かもな」
P「・・・んん・・・」
ことね「あ、プロデューサーおはようございます」 - 16二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 16:59:01
P「・・・」(寝起きなのと裸眼のせいでぼやける視界と意識)
ことね「おーい、プロデューサー?」
P「・・・」(誰か分からず、とりあえず顔を近づける)
ことね「ちょっ!!プロデューサー!?そのいきなりすぎると言うか心の準備がまだというか!?」
ことね『あ、目つきの悪いプロデューサー、普段とのギャップでめっちゃかっこ良く見える・・・』
ことね「・・・」(覚悟を決めてそっと目を閉じる)
P「・・・藤田さん?」 - 17二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 17:05:03
ことね「・・・はい」
P「・・・すみません、つい寝てしまってたみたいです。裸眼だったので誰か全く分かりませんでした」
ことね「あ、あーーそうですよね!!逆に私もメガネかけてたんで余計に分かりづらかったですよね!!あ、これお返しします!!」
P「ありがとうございます・・・どうかしましたか?」
ことね「いえいえ全然何も!!あ、私これからレッスンなので失礼します!!」タッタッタ - 18二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 17:08:34
教室外
ガラガラガラ
タッタッタ(ことねが顔を真っ赤にして走っていく様子を眺める医者と看護師と心電図)
医者「・・・甘酸っぱいな」
看護師「甘酸っぱいですね」
心電図「ピッ」
医者「しかしこれなら彼女の病気を治すのに十分なカプ濃度になったはずだ」
リーリヤ「」
心電図「ーーーーーーーーーーーーーーーーー」 - 19二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 17:14:49
医者「なぜ心拍が戻らない?これ以上のカプはないはずだが」
リーリヤ「」(若干もどかしそうな表情をしながら)
心電図「ご都合だけど、あそこまでいったら事故でキスするところが見たかった」
看護師「死にかけのくせにオーダー細かいな」
医者「しかしどうする、一刻を争うこの状況で次の補給地を探す時間なんてどこにも」
看護師「待ってください、スーツの男性の様子が少しおかしいです」 - 20二次元好きの匿名25/10/13(月) 17:17:07
厚かましすぎる
- 21二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 17:17:15
想像してたより全然平和そうなSSそうで安心した
- 22二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 17:21:02
教室内
P「・・・」(藤田さんは行ったか)
P「・・・はぁ・・・誰かと思って顔を近づけたら藤田さんだったとは、まったく」
P「・・・俺、顔に出てなかったよな・・・?」(口元を押さえて一人で赤面しながら)
P「近くで見る藤田さん、可愛すぎるんだよ・・・仕事、するか」 - 23二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 17:31:17
リーリヤ「」(こう言うのでいいんだよみたいな表情)
心電図「ピピピピピピピピピピピ」
看護師「患者の脈拍、急上昇しています」
医者「なんとかなったのはいいが、これはこれでマズいな。なんとかして彼女の脈拍を落ち着けなければ」
看護師「でも一体どうやって?」
医者「これの逆をする。しかしただ解釈違いを見せても容態が悪化するだけかもしれない。賭けだが次の部屋に行くしかない」 - 24二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 17:32:47
面倒くさいなこの患者
- 25二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 17:35:55
センパイ連れてこい
- 26二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 17:43:16
ガラガラガラ
看護師「ここは・・・どうやら主にこの学園の3年生たちの事務所みたいですね」
医者「さっき事情を説明して教師からこの学園の生徒名簿を借りてきた。この名簿通りならこの辺りに・・・あった」
看護師『良くこの様子を見て貸してくれたな』
医者「俺の予想、いや仮説が正しければ・・・頼む、戻ってくれ」スポッ - 27二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 17:47:56
すみません、飯食ってきます
戻ったら再開します - 28二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 19:21:09
飯食ったので再開します
一応飽きるまでですが、オチはつけます。きっと - 29二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 19:35:42
教室
P「ーーーと言う感じで今週はスケジュールを組みますが・・・と、聞いてますか姫崎さん?」
莉波「え!?あ・・・うん、ごめんね。ちょっと考え事をしてて」
P「少しお疲れのようですね、少し休憩しましょうか」
莉波「ごめんね、心配かけちゃって」
P「大丈夫ですよ、むしろもっと頼ってください。私はあなたのプロデューサーなんですから」
莉波「プロデューサーくん・・・」 - 30二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 19:40:43
莉波『プロデューサーくん、本当にあの頃からすごくかっこよくなって・・・。このままじゃ私、お姉ちゃんのままじゃいられないかも・・・』
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
廊下
リーリヤ「」(ご満悦の表情)
心電図「ピピピピピピピピピピ」
看護師「心拍数の上昇、止まりません。このままだと流石に患者が」
医者「いや、大丈夫だ。頼む・・・耐えてくれ・・・きた!!」 - 31二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 19:47:46
P「そういえば以前言っていたパンケーキのお店ですが」
莉波「あ、この前私が話してたお店、覚えててくれたんだ!」
P「はい、とても楽しそうに話をしていたので。今度そこに行ってみませんか?」
莉波「え!?・・・あ、それって麻央とかと一緒にですか・・・?」
P「なぜ有村さんが出てくるんですか?もしかして有村さんと既に行く予定だったりしましたか?」
莉波「え!?いや!?全然、全然そんな予定ないけど・・・でもどうしていきなり?」 - 32二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 19:52:43
P「いえ特に理由はないのですが、姫崎さんと一緒に行ってみたいと思いまして」
莉波「!?」
P「でもそうですよね、いくら担当とはいえアイドルが男性と一緒に仕事以外で出かけるなど」
莉波「いや大丈夫!!私もプロデューサーくんと一緒に行きたいなとちょうど思ってたの!!」
P「そうですか、それは良かったです。では、来週の土曜はどうでしょうか?ちょうど仕事も入っていなかったかと」
莉波「来週の土曜日だね!!ちょっと待ってて、今確認するから!!」 - 33二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 20:02:20
莉波『やった!!プロデューサーくんとお出かけ!!・・・これってデートってことだよね?もう今からすっごく楽しみ!!確か予定はなかったはずだからこのままカレンダーに予定入れちゃおっと♪」
ピロン
莉波『ん?誰からのメッセージだろ?』
中学の時に周りからの圧力で付き合ってて仕事でこっちに上京してきていた一個上の元カレ「来週の土曜どうせ暇だろ?いつもんとこ集合な。わかってると思うけど拒否権ねえから」
莉波「・・・」
P「姫崎さん?どうかしましたか?」
莉波「・・・ううん、ごめんねプロデューサーくん。その日はちょっと用事が入っちゃってて」
P「そうですか、ではまた日を改めましょうか」
莉波「うん、でも誘ってくれてありがとうね」
莉波『ごめんねプロデューサーくん、やっぱり私、もうあなたのお姉ちゃんじゃいられないかも』 - 34二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 20:06:09
廊下
心電図「🤯」
リーリヤ「🤯」
医者「🤯」スポッ(管を抜く音)
看護師「なんで先生までダメージ受けてるんですか」
医者「・・・いや、直接見るとまさかここまでダメージを喰らうとは」
医者「しかし予想は当たった・・・これで患者の心拍数も」 - 35二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 20:07:33
この患者、最終的に尊死しないだろうな
- 36二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 20:10:18
看護師「さっき先生と一緒に能破壊されてましたよ」
リーリヤ「」(認めたくないけど認めざるをえない表情)
心電図「・・・ピッ・・・ピッ」
医者「よし、正常に戻ったな」
看護師「聞きたくないですけど、一応なんで戻ったか聞いてもいいですか?」 - 37二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 20:23:35
医者「必要だったのは二つ、患者を納得させること、そしてそれをしながらテンションを下げること」
医者「いないんだよ、カプ厨でNTRものにまったく興味のない人間は」
看護師『何言ってんだこいつ、頭ハッピーミルフィーユか?』
心電図「初めてNTRを感じたのはギ◯スで紅蓮が可翔式から聖天八極式に勝手に改造された時」
看護師「分かりづらいな例えが」
医者「しかし完治にはもう少し空気が必要みたいだな。しょうがない、次にいくぞ」 - 38二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 20:33:31
ガラガラガラ
看護師「また一年生の方に戻ってきましたけど、何か心当たりがあるんですか?」
医者「ああ、おそらく彼女を治療するのにこれ以上ない場所がある・・・よし、着いたぞ」
看護師「さっきまでと変わらない、いたって普通の教室ですが?」
医者「いや、大事なのは場所じゃない。そこに誰がいるかと言うことだ」 - 39二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 20:48:23
「ねえ見てみてPっち!!じゃーん!!」
窓から入ってくる夕陽が教室に影を落とす夕暮れ時。
いつもはどちらともなく部屋の電気をつける時間だったけど、Pっちは仕事に集中していて時間が経っていることに気づいてないみたい。
あたしはと言うと、これを見て欲しくてPっちにいつ声をかけようかで頭の中がいっぱいでそれ以外のことを考える余裕なんてなかった。
「イヤリング、ですか」
「うん、週末にリーリヤと一緒に買いに行ったんだ!!」
耳が見えるように髪をかきあげる。
いつものような口調で話しかけたけど、内心なんて言ってもらえるかドキドキしていた。 - 40二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 20:56:28
「・・・」
目の前で黙ったままのPっち。
もしかしてあんまり似合ってなかったかな。
持ち上げた手を下ろし、かきあげた髪をすぐに戻した。
「・・・なーんてね!はい、お披露目終了、それで次のライブのことなんだけど」
次の言葉が怖くて思わず話題を逸らした。
Pっちが酷いこと言うはずないってわかってるのに。
そう思っているとPっちの手が私の頭に伸びてきた。
何が起こっているのか分からず、思わず目を瞑る。 - 41二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 21:10:20
右側に伸びてきたそれは、ふわっとあたしの髪を持ち上げた。
その後すぐにPっちが口を開いく。
「すみません、もう一度よく見たかったので。イヤリング、似合ってますね」
「・・・え、あ、うん・・・ありが、と」
Pっちの細くて骨ばった指の先がもう少しであたしの首筋と触れそうな距離。
そのせいか触れられてないはずなのに、Pっちの体温が指先から伝わってくるような気がした。
見終わったのか手の甲で持ち上げていた髪から手を離す。
数本の髪が、引かれていくその指に名残惜しそうに絡まっては夕日に照らされてキラキラ輝いていた。 - 42二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 21:17:38
多分窓から入ってくる夕日がまぶしいせいだとは思うけど、なんだかPっちの顔を見ることができなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
廊下
看護師「やばいですねあの男、やってることほぼはみだしですよ」
医者「幼馴染の濃厚な空気を吸ったんだ、これで彼女も」
リーリヤ「」(白目をむいて泡をふいている)
心電図「ーーーーーーーーーーーーーーー」
医者「まずい、逆に濃厚すぎて昏睡状態に戻ってしまった。しかしここにはこれ以上のものはないぞ」
看護師「待ってください、まだ何か言ってますよ」
心電図「もうちょっとだけ見ていきません?」
医者「・・・ったく、しょうがねえな」スポッ - 43二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 21:25:01
突然のことに何を言っていいか分からなくなってしまう。
頭の中では「サンキュー!!」とか「めっちゃいいでしょ?」とかいつもの軽口が思い浮かぶけど、それを口に出そうとするたびに胸の奥で言葉がつっかえる。
あたしってこんなに話すの下手だったっけ?
それでもずっと黙ってるのもなんだか変に気を遣わせちゃいそうで、何か言わなきゃと目に見えるものをなんでもいいから口に出した。
「そ、そういえばPっちも左耳に空けてた痕あるよね」
「やっぱり気付かれてましたか」
そう言って少し恥ずかしそうに左耳の耳たぶを触るPっち。
恥ずかしがってるところがなんだか珍しくて、ずっと気になっていたことを聞いてみた。 - 44二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 21:32:05
「それっていつごろ開けたの?学園に入ってから・・・じゃないっぽいけど」
既に穴は塞がっていて、ちょっとした傷跡だけが残っている。
ここ数ヶ月の話ではないだろう。
「はい、実は昔にちょっと」
そう言いながら、はにかんで何かを誤魔化そうとするPっち。
私だからわかる。
あれは人間が何かを隠そうとするときの不自然な笑みだ。
「それって、あたしが聞いてもいいやつだったりする?」
「・・・そうですね、別に隠すようなことでもありませんし」
再び左耳を触るPっち。
少しの間の後、ゆっくりと口を開いた。
「開けられたんです、昔の彼女に」 - 45二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 21:37:11
廊下
医者、リーリヤ、心電図、看護師「🤯」
医者「まさかここでこんな爆弾に遭遇するとは」
リーリヤ「私もまさか幼馴染がこんなことになってるなんて」
心電図「ちょっと高校生には刺激が強いんじゃないですかね?」
看護師「静かにしてください、話が始まりますよ」 - 46二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 21:49:30
別に元カノがいたって何にもおかしいことなんてない。
それなのにその言葉を聞いた瞬間、あたしのお腹のそこに何か重いものが落ちてくる感覚があった。
「高二の時に私の部屋でピアッサーを使って。独占欲の強い人でどうしても開けたいと聞かなくて」
「それじゃあ今その人とは・・・」
「全然連絡なんてとってませんよ。高三で彼女が転校したのをきっかけにそのまま」
それからピアスを外した際にどこかになくしたと言って、そのまま付けてないらしい。
なんとなく分かっていた、Pっちの接し方的に彼女がいたことあるんだろうなって。
それに今話した子だけじゃなくて、多分前には何人かいたことだってあるだろう。
その時初めて気づいた。
あたしって結構重いんだなって。 - 47二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 21:57:24
「Pっちってさ、重い子ってあんまり好きじゃない?」
気づいた時には既に言葉が口から出てしまっていた。
しまったと思った時にはもう遅くて、あたしはどうやって誤魔化そうかかんえていた。
「ごめん、やっぱりなんでもないや。今のは忘れ
「そうですね、あまり得意ではないかもしれません。あの時も成り行きで付き合っただけなので」
「・・・そう、なんだ・・・」
「はい、どちらかというと私が重い方だと思うので」
「・・・え?」 - 48二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 22:00:35
「私、結構重い方なんですよ。もし私が当時逆の立場だったら、確かに開けて欲しくなる気持ちもわかりますね」
「そっか・・・ねえPっち」
「なんでしょうか?」
「もしあたしがピアス開けたいって言ったらさ、どうする」
「そうですね、アイドルとしてはせめて高校卒業まではイヤリングで我慢していただきたいなと」
「もう!!そういう事じゃなくてさ!!」
「ではどういう事でしょうか?」 - 49二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 22:05:25
「そうじゃなくて・・・もし私が初めてピアス開ける時はさ、・・・Pっちに開けてほしいなって」
真っ赤になった自分の耳を触りながら言葉にする。
「葛城さんじゃなくていいんですか?」
「うん・・・初めてはPっちがいいかなって・・・って何言ってるんだろうねあたし」
「分かりました、では清夏さんのここは私が予約しておきますね」
そう言ってあたしの手の上から耳を触るPっち。
その時耳からPっちの体温が私に伝わってきた。
「・・・うん・・・約束、だからね?」 - 50二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 22:08:24
翌日、ベンチで冷たくなっているリーリヤが発見され、医者と看護師と心電図は病院内で静かに息を引き取った。
リーリヤP「・・・何やってるんですか、葛城さん」
リーリヤ「あ、センパイ。お疲れ様です」 - 51二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 22:12:40
これで終わりです。
ラストは投げやりです。
リーリヤは平気な顔して「P清はですねぇ・・・Pが重い方が輝くんですよ」(ニチャア)とかセンパイに言ってそうだなと思ってやりました。
反省はしていません。 - 52二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 22:12:46
このりーぴゃんは自分の恋路にはクソボケだと非常に助かるのが俺
- 53二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 22:16:14
このリーリヤはまさか自分ごときがナマモノの対象になるわけないやろの精神でいるのでだいぶストレートに気持ちぶつけないとクソボケかますタイプのリーリヤです
- 54二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 23:21:25
なんて素晴らしいリーリヤありがとうございます