- 1125/10/14(火) 22:04:38
キラとアスランがオルフェ・ラクスレベルで遺伝子の相性がいい世界線です。
CPはキラアス
前スレ
【閲覧・CP注意】ここだけ読心可能なキラアスpart5|あにまん掲示板キラとアスランがオルフェ・ラクスレベルで遺伝子の相性がいい世界線です。CPはキラアス前スレhttps://bbs.animanch.com/board/5404585/bbs.animanch.com - 2125/10/14(火) 22:06:27
【あらすじ】
初めて会った瞬間から共鳴空間入りした二人。無垢な触れあいを続ける内に性行為と知らず関係を持つように。
その後のアスラン引っ越しにより離れることになるが、距離制限なく会話可能な二人の交流は続く。
戦場で巡り会ったキラとアスランは、双方の意思に反して敵対することになってしまう。
現在、無事にオーブでの再会を果たした二人が、メンデルのご都合薬に翻弄中。
【過去スレ】
part1
【閲覧・CP注意】ここだけキラアスが|あにまん掲示板dice1d4=@2 (2)@1.とても仲が悪いけど何故かずっと一緒にいる2.オルフェ・ラクスレベルで遺伝子の相性がいい3.互いのことが大大大大大好きな4.重度のヤンデレな世界※タイトル通りCPはキラ…bbs.animanch.compart2
【閲覧・CP注意】ここだけ読心可能なキラアスpart2|あにまん掲示板キラとアスランがオルフェ・ラクスレベルで遺伝子の相性が良く、心で会話が出来る世界線です。CPはキラアス前スレhttps://bbs.animanch.com/board/5029422/bbs.animanch.compart3
【閲覧・CP注意】ここだけ読心可能なキラアスpart3|あにまん掲示板キラとアスランがオルフェ・ラクスレベルで遺伝子の相性が良い世界線です。CPはキラアス前々スレhttps://bbs.animanch.com/board/5029422/前スレhttps://bbs.…bbs.animanch.comPart4
【閲覧・CP注意】ここだけ読心可能なキラアスpart4|あにまん掲示板キラとアスランがオルフェ・ラクスレベルで遺伝子の相性がいい世界線です。CPはキラアス前スレhttps://bbs.animanch.com/board/5259729/bbs.animanch.com - 3125/10/14(火) 22:08:05
- 4125/10/14(火) 22:09:48
- 5125/10/14(火) 22:11:31
【イザーク・ジュール】
アスランは負けたくないライバル兼友人…なのだがつい世話を焼いてしまう苦労人。顔に傷を負ったことでストライク討伐へ意欲的…だったが、なんだかんだとアスランに協力してくれている。少しずつキラのことも受け入れつつある。
現在、一人でクルーゼの元で気苦労している。
【ニコル・アマルフィ】
アスランを慕う優しい気質の少年。キラアスの関係を知り、アスランに協力している。キラからの独占欲に気付かないアスランにちょっと呆れてもいる。
どんな局面でもしっかりしており、精神的に一番タフかもしれない。
【ディアッカ・エルスマン】
最年長だからかお兄ちゃん的な雰囲気がちょっとある。
アスランを始め個性的なクルーゼ隊の中でムードメーカーを努めてくれてる。
目の前で繰り広げられる甘々空間に呆れつつ応援してくれている。
- 6125/10/14(火) 22:13:50
【ラウ・ル・クルーゼ】
キラアス腕組み後方理解者仮面お兄さん。気ぶり度は91。推し二人の愛を試す(そして気ぶる)ために裏で暗躍中。メンデルでは最高にイキイキしていた。
キラアスを吸うと健康になる。
【ムウ・ラ・フラガ】
連合側の苦労人。連合が好きじゃないキラの言動にどうしたものかと思っていたが、気付いたら自分も連合ではなくなっていた。本編内外で定期的にキラに振り回されて受難中。でもなんだかんだと面倒見のいいお兄さん。
メンデルでの出来事以降、胃を痛める原因が増えた。
6スレ目です。ようやく無印終盤まできました。いつも♡や保守やレス、イラストなど本当にありがとうございます。特に保守に関しては現状スレ主のモバイル回線規制、Wi-Fiの深夜から朝にかけての規制が強く、今後も落ちてしまいそうだというときにはご協力頂けると助かります。厚かましくて大変申し訳ないのですが…
良ければ、今後もスレ主のキラアスにお付き合いお願いします。
- 7125/10/14(火) 22:48:59
前スレ埋めてきました。
こういうちょっと暗めの話はよく筆が乗ります。 - 8二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 22:56:16
スレ立て乙です!
- 9125/10/14(火) 23:01:05
10まで埋めます
- 10125/10/14(火) 23:02:49
明日はショタ編の続きになります
相変わらず癖全開ですが…ショタのアイディアくれた方々本当にありがとうございます - 11二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:45:17
スレ立て乙です!
2人が幸せなら暗めだろうが何でもバッチコイです!
最近規制厳しくなりましたねほんと…保守がんばります! - 12二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 00:26:26
- 13二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 07:13:14
イチャラブも好きだけど暗めの話も大好物です
- 14二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 16:44:50
ショ待機
- 15125/10/15(水) 22:16:05
皆さんご協力ありがとうございます。いつか規制緩和されることを願います…
キラアス膝枕を実際に拝めるとは…!
この二人だけの空気感がいい…。頭に手を添えてて、手もしっかり握ってて…あとついアスランの胸元に目がいってしまいました。
こうしてイラストにしてもらうのはやっぱり嬉しいですね。ありがとうございます。
- 16125/10/15(水) 22:17:32
キラはアスランを連れて自分の部屋に戻ると、ベッドに座り、彼を足の間に座らせた。
「あーもう、皆してアスランにちょっかい出すんだから」
腕の中にすっぽり閉じ込められたアスランに、キラが首筋に顔を埋める。子供特有の温かい体温が気持ちいい。普段のアスランはキラより少し体温が低くて、それもまたひんやりとしていて好きなのだが。
「アスランも、あんまり他の人に触らせないの」
「そんなこと言われても…」
柔らかなほっぺにすりすりと頬を寄せる。ふにふにもちもちしていて、あの頃のアスランの感触そのままだ。ぺろりと舌で舐めてみると腕の中でぴくりと身体が跳ねた。
(このアスランは、まだ悲しいこと何も知らないんだよね)
母親のことも、戦争のことも。血腥い事とは無縁の、あの思い出の中にいるのだ。こうして腕の中で、無垢なまま。
(……もし、もし元に戻らなかったら。僕が嫌なことから全部遠ざけて、綺麗な所でアスランを育てるっていうのもいいのかも)
戦場から連れ出して、コペルニクスにでも戻って、自分以外の人とは関わらせない。外を見ようとするアスランの目を塞いで、自分だけを意識させて。それが良くないことだとは分かっているが、こうして昔に戻ったアスランを見ているとそんな欲望が湧いてしまう。あむ、と頬を甘噛みすると、流石にアスランが慌てた。
「キラっ」
「んー、やわらかくておいしい」
「美味しいわけあるか!ばか!」
じたばたと暴れる身体を強く抱きしめて封じる。アスランはぶかぶかの軍服を無理やり着ているような状態だから、暴れると服がずれる。邪魔そうだったので、キラはベルトの一番端まで止めてなんとか腰に引っ掛けているズボンをするりと脱がせてしまう。
「っ!?」
「邪魔でしょ。上着だけだとなんかワンピースみたいだよね」
「…そもそも、俺はどうしてこれを着てるんだ?キラもなんで連合の軍服なんか……」
「細かいことは気にしなくて良いよ。服なんてどれも一緒だよ」
恥ずかしそうに縮こまるアスランを見て、キラはふと気付く。試しにそっと合わせの隙間から足を撫でると、歳不相応に熱い吐息がアスランから漏れた。
「…ふふ、そっか。十二歳だもんね、ちょうど僕とするようになった辺りか」
- 17125/10/15(水) 22:19:19
キスだけじゃ物足りなくなってきて、互いの身体に手を伸ばすようになったのがこの頃だった。性行為をしようとしたのではなく、ただアスランと繋がりたくて、授業以上の知識が殆どないまま身体を暴いた。
「でも、流石に手を出したら犯罪かなぁ」
「…今の段階でもだいぶ犯罪だと思う」
「だけど、アスランが何をしてもいいって言ったんだし、元々この頃にはしてたんだし、いいよね」
「ま、まてまて!まってくれ!」
ぽすんとベッドに沈められたアスランは、大慌てでキラの胸を押し返した。
「キラ、結婚するんだろう!?」
「ん?」
「そんな人がいるのにこんな……まさか、大人の俺ともまだこんなことしてるのか…?」
真っ赤な顔で、何処か泣きそうな瞳をしている。傷付いている表情だ。
「そういうのは嫌だ…なんか惨めだろ…」
「……それは、アスランが僕を好きだから?二番さんみたいで嫌ってこと?」
「……好き……?」
「ああ、そっか。まだ分からないよね」
「んむっ!?」
小さな唇をぱくりと食べて、柔らかさを味わうように捏ねる。この頃にしていたキスより恐らくかなりハードなものをたっぷり与えられたアスランは、解放された頃には意識がぼんやりとしているようだった。
「結婚はするよ?アスランとね」
「……おれ、と…?」
「そうだよ。君はね、僕のお嫁さんになるの」
自分より小さくなった左手の薬指の根元に唇を落とす。元に戻っても、戻らなくても、いつか結婚するのは既定路線。
「大丈夫。ずっと一緒だよ」
「……他の人と結婚しない?」
「しない。アスランだけだよ。今も昔も、僕の心はずっとアスランが持ってる。幸せに…してあげられるように頑張るから」
言い切るには、自分の存在そのものに少し自信がなかった。変な火種にならないとも限らない。アスランは昔からずっと変わらない、美しい翡翠色の眼を不思議そうにキラに向けた。
「キラと一緒にいれるのに、俺が幸せじゃないなんてことあるの?」
そんなことはありえないのに、と小首を傾げる姿に、胸の内に込み上げる数多の感情をなんとかキラはやり過ごした。今のアスランじゃ本当に壊しかねない。
「…アスランには敵わないね」
なるべく優しい仕草で頭を撫でると、キラはふわりと力の抜けた笑顔を浮かべた。 - 18二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 07:00:12
垣間見えるキラの闇いいねえ…
自分もショタランのぷにぷに頬っぺた触りたい…
え…絶対ダメ…? - 19二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 14:31:32
触りたい…けどダメだろうからせめて壁になってガン見したい…
- 20125/10/16(木) 22:21:15
検査の結果、アスランの身体には健康異常はなく。要経過観察、とのことだった。
「アスラン、ほらあーんして」
「自分で食べれるから!」
「ちょっと前にアスランが腕を怪我してたときもこうして食べさせてたから、誰も気にしないよ」
アスランを膝に乗せ、キラはその口にスプーンを運ぶ。にこにことしていてとても楽しそうだ。対面に座ってしまったせいでそれを眺める羽目になったディアッカは、アスランの為に視線を逸らしてやった。
しかし、元々甘々な二人ではあったが、これはあまりに猫可愛がりが過ぎる。なんというか、キラがとにかく上機嫌なのだ。いったいなにがあったのかは知らないが、先日まではちょっと暗かったので、持ち直したのならそれはまあいいことなのだろう。
「美味しい?」
「……うん」
「良かった〜」
子供の食事と言えばお子様ランチですわね、というラクスの鶴の一声で用意されたプレートを、アスランは複雑な面持ちで食べさせられている。たぶん、ラクスがお子様ランチを食べるアスランを見たかっただけだろう。
「……キラ、分かってると思うけど、十二歳はそんなに子供じゃない…」
「勿論分かってるけど……可愛いんだもん。でも僕は子供扱いをしてるんじゃないよ?」
キラが額にちゅっとキスをすると、アスランの頬は瞬時に赤く染まった。指先が顎を甘く擽ると、目つきがとろんとしてきて……その時点でディアッカは自分の食事が砂のように感じ始めた。
「……キラ、なんか変わったな」
「え、そう?どの辺が?」
「…こういう気障っぼいことはしなかったし、なんか態度が…」
そこで口を噤んだアスランは、もういいからはやく食べさせろ、と赤い顔でキラの襟を揺すった。照れ隠しが激しい。
移動は手繋ぎ、は元から変わらないが抱っこの時もあるし、座る時は膝の上だし、どこでもほっぺたくっつけてすりすりしてるし、まあスキンシップ過多だよなあとディアッカは味のしない食事を惰性で口に運びながら思った。これ、クセになってて、大人に戻ってもこのままだったらどうしてくれようか。終戦の前に此方の胃が死ぬかもしれない。
「ふふ、賑やかでいいですね」
「やっぱりおまえほんとすげぇわ」
まったく同じ現場を見ているのに、微笑ましそうに食事を続けるニコルに、ディアッカは心底感心する。
結局、アスランは三日ほど三隻の小さなアイドルとなった。 - 21125/10/16(木) 22:23:25
三日後の朝。
アスランの身体は、元の姿に戻っていた。キラの腕の中で目覚めたアスランは、すやすや眠るその頬をぐにっとつまんだ。
「っいたぁ!?え、なに……」
じんじんする頬を押さえながら飛び起きたキラは、シーツを被ったアスランにじとりと睨まれた。
「このショタコンめ」
「えっ、あ、アスラン!?元に戻ったの!?」
シーツに包まっていても、身体が元の大きさになっていることは分かる。良かったぁと抱きつこうとすると、ひょいと躱された。
「アスラン…?」
「子供相手に随分デレデレだったじゃないか。おまえがそういう趣味だとは知らなかったな」
「ち、違うよ!あれはちっちゃいアスランが懐かしくて…!」
「しかも、あんなことまでするとはな…」
「だって、アスラン可愛くて…」
「ほう。じゃあ元に戻って残念だったな」
「そんなことないよ!!今のアスランも可愛いよ?凄い可愛い、大好き」
かなりご機嫌斜めなアスランに、キラは大慌てで愛を伝えるが、彼はシーツの中から目元以外見せてくれず。
「明るくて金髪の次は子供か……キラの好みはよく分からん」
「また変な勘違いしてる!!」
溺愛されていた子供の自分にヤキモチを焼いたアスランが不貞腐れてしまい、ご機嫌を取るのにまた一悶着あったのだが、ひとまず幼児化事件は無事に閉幕となった。 - 22二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 07:08:51
お子様ランチ食べてるアスランも子どもの自分に嫉妬してるアスランも可愛い
大人組に可愛がられるのも見たかったけどキラのガードが固そうだ
それとディアッカの胃に合掌… - 23二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 16:50:20
やはりニコル・アマルフィか最強か
- 24125/10/17(金) 22:08:37
延々ショタ書いてしまいそうなので一旦閉幕です。
次のお薬はネコミミです。
Q.どうして筋弛緩剤&媚薬が新婚生活編なの?
ヒント・このスレのキラさんはだいぶヤンデレ - 25125/10/17(金) 22:10:11
ザフト、地球軍の動向を探りながら、自分達も準備進めているエターナルら三隻。
アスランが小さくなる事件が起きてからはキラ、アスラン両名の模擬戦は行われていなかったが、それもアスランが元に戻ってからは再開された。
特にフリーダム、ジャスティスへ武装されるミーティアの稼働訓練は数で劣る三隻にとって重要なものである。
「大型な分、扱いは難しいが…慣れてはきたな」
コックピットから降り、ヘルメットを外したアスランは着替えの為にロッカールームへ。その後ろからキラもすぐにやってきて、背中へ抱き着いた。
「お疲れ様、アスラン」
「ああ。キラもお疲れ様」
笑って返してくれるアスランに、キラは内心ホッとしていた。先日の事件以降、むすっとしたアスランは中々機嫌を直してくれなかった。お陰で、折角元に戻ったというのにキス一つするまでがとても長かった。まあ、シーツにすっぽり包まっているのも、ツンとした態度もそれはそれで可愛かったんだけど、とキラはじゃれつきながら思う。
アスランも悪かったと思っているのか、キラをよく甘やかしてくれる。
『悔しかったんだ。キラが元気になったのは嬉しいが、俺がなんとかしてやりたい…なんて勝手に思っていた』
俯きがちに、そんなことを言って。
『それに、キラがあんまり可愛がるから…。すまなかった、迷惑をかけたのは俺なのに』
申し訳無さそうに、眉を下げて少ししょんぼりしている様子が、それはもうキラにはツボだったので。
じゃあ仲直りね、とようやく触れさせて貰った後のことは語るまでもないと思う。大体、小さい自分も自分なのに、それでもヤキモチ妬いちゃうなんて、僕って愛されてるなぁとキラはとても嬉しかった。
アスランに想われているということがキラにとっては最も重きを置くファクターなのだ。キラが明るさを取り戻せたのもそのお陰。その辺は、アスランにも理解していって貰わなくては。 - 26125/10/17(金) 22:12:22
「でも、あの薬達どうしようかなぁ」
「そうだな…あの時も、ただ蓋を開けただけなのに煙が立ち込めて……ああなってたからな」
「なんか粉末みたいなやつもあったよね」
「一体なんの薬なんだか…」
何処からかクルーゼの笑い声が聞こえる気さえする。もしかしなくても、愉快犯か?とキラはあの怪しげな仮面を思い出す。
ロッカールームで、誰も来ない内にパイロットスーツからいつもの軍服に着替える。キラとしてはもうこれ着る必要なくない?と思うのだが、パイロットなんだから形だけでも体裁は必要だとアスランに言われてしまっては仕方が無い。
ヤマト少尉、とふざけてアスランに呼ばせてみたのが思いの外悪くなかったとか、そういうオプションもあったので今でも連合の軍服に袖を通している。
「コーヒーでも淹れるか。キラは?」
「飲む!」
コーヒーを淹れて部屋に戻ろうと、食堂のコーヒーメーカーへ。
二人分のマグカップを用意したアスランは、ミルク、シロップ等が置いてあった場所からSugarと書かれた瓶を取り……
dice1d3=3 (3)
1.キラの分だけ砂糖を入れた
2.自分の分だけ砂糖を入れた
3.両方とも砂糖を入れた
- 27二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 08:05:57
保守
- 28二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 08:34:36
ヤンデレはいいぞ…ふふふ…
両方に入れたってことはもしや… - 29二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 18:06:14
食堂にあるってことは誰かがわざと置いたのかな?
- 30125/10/18(土) 22:17:34
(今日は少し疲れてるし、俺も砂糖をいれておくか)
二杯ほどそれぞれのカップにいれ、コーヒーメーカーにセットした。そしてその日は、それを部屋で飲みながら過ごし、就寝した。
「ん…」
心地良い微睡みのなかで、アスランは無意識にキラの方へと寄った。フリーダムとジャスティスの専用艦であるエターナルに拠点を移してからも、二人は当然のように同室だ。毎日一つのベッドでくっついて眠れることの幸せを戦艦で再び味わえるとは、運命の巡り合わせというのは不思議だ。
キラの首元に顔を埋めて、すんすんと鼻を鳴らす。なんだかキラの匂いが今日は特に落ち着く。くすぐったかったのか、キラもうすらと瞼を押し上げ、アスランが側にいると分かると寝ぼけながらも額や頬に口付けを落とし始めた。
「んー……アスラン…」
静かな部屋に甘ったるいリップ音が響き、少しざらざらとした舌がぺろぺろと顔を舐めてくるので、その舌に自分のものをゆったりとした仕草で絡める。寝起きのぼんやりした意識の中でするキスはそれこそ夢見心地で、アスランはこれが好きだ。撫でてやろうと、キラの頭に手を伸ばす。指先が、ふに、と温かいものに触れる。ふわふわの毛並みが気持ちいい。
……毛並み?
アスランがぱっちりと目を開くと、そこにはいつものキラの顔と……その頭にぴょこりと生えた耳が。
「……は?」
ふさふさ。ふわふわ。思わず撫でると、キラの喉からゴロゴロと音が鳴った。
「……っ!?キ、キラっ起きろ!」
「起きてるよ〜…」
「ちゃんと目を開けろっ」
「……んー…?」
キラが眠たそうに目を擦りながら、焦っているアスランの顔をじいっと見て…ぱあっと表情を明るくさせた。 - 31125/10/18(土) 22:19:05
「アスランかわいい!ネコミミだ〜」
「いやミミがあるのはキラ……待て俺にも生えてるのか!?」
「生えてるよ、ほら」
「ふにゃっ」
キラがアスランに生えているらしいネコミミを触ったのか、全身にぞくっとした感覚が走った。思わず両手で口元を押さえるが、既に眠気は吹っ飛んだらしいキラが目を輝かせていた。その背中に尻尾がゆらりと立ち上がっている。
(尻尾まで生えてるのか!?)
「なんか分からないけど、猫になっちゃったみたい?僕達」
茶色の耳、茶色の尻尾。それらを生やしたキラはとても可愛かったが、にんまりと浮かべた笑顔は小型とはいえ肉食獣の風格があった。
「アスランも髪の毛と同じ色だね。でも耳のなかは白くてふわふわ。僕は短毛種で、アスランは長毛種なのかな?」
「……変な気を起こすなよ。まずは医者だ」
「えー…どうせあの薬でしょ?」
「なら何処でそれを摂取したかを特定するべきだろう。被害が増える」
このままではベッドから出られなそうな気配を察知し、先手を打つ。仕方ないなぁ、とキラも渋々頷いた。耳はともかく尻尾が邪魔で、着替えがやりづらい。
このときは、まだアスランは知らなかった。猫化による変化は、猫耳と尻尾が生えるだけではないということを。 - 32二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 07:27:29
猫(というか動物)といえば……
- 33二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 15:46:26
頭の中ですでにR-18が繰り広げられているグヘヘヘ
- 34125/10/19(日) 22:19:47
「今度は猫ってか。おまえらも忙しいねぇ」
ムウの呆れた声に、申し訳ありません、とアスランは耳をぺたりと下げた。
ひとまず先日と同じように検査を済ませ、どこで薬と思われるものを摂取してしまったのか記憶から全て洗い出した。その結果、見つかったのがコーヒーメーカーの隣に置いてあった砂糖だ。
「これ、Sugarって書いてあるけど中身は別物だ。ちゃんと甘いから分かりにくいだろうな」
「どうしてそんなものが…薬は保管されている筈では?」
「あまりにも見た目が砂糖過ぎて、何かの拍子に紛れ込んだ…ってくらいしか思い当たらねぇな。三隻で物資なんかも色々共有してるからなあ」
ムウから瓶を借り、バルトフェルドか精巧に砂糖に擬態している薬品を眺める。
「なるほどねぇ。たぶんこれ、一種のラブグッズとして開発されてたんじゃないかい?」
「ネコミミ尻尾なんて、いかにもなアイテムだしな。生活に溶け込むデザインで、“Sugar”……甘い一時をってとこかな?」
男二人がうんうんと頷き合うのを、両側からマリューとアイシャがやれやれと肩を竦めた。
「なにはともあれ、お二人の体調に問題がないのは良かったですわ。他に被害に遭われた方もいらっしゃいませんし」
椅子に座り、ネコミミ尻尾を生やした二人に、ラクスは優しい笑顔を向けた。そして、ハロも向けた。
「ピンクちゃん、お写真お願いしますわね。ああ、ネイビーちゃんが此処にいたら超高画質で撮影できましたのに!」
「……ネイビーの子が撮影特化なんだ」
「ああ。ラクスに機能追加を強請られてな…」
幼児化したときも散々写真を撮られたから、今回もそうだろうなあとは思っていた。ピンクハロが周りを忙しなく飛び交うなか、キラがよいしょとアスランに抱き着いた。
「いきなりどうした」
「折角撮影してるんだし、僕とアスランがいちゃいちゃしてるとこも残して置いてもらおうかなって」
「助かりますわ〜」
「もう好きにしてくれ…」
猫化すると猫のような仕草もしてしまうのか、すりすりと相手に擦りついて匂いを付けようとしたり、つい舌で頬を舐めてしまったりしてしまう。だからあんまり人前でくっつくのはどうかと思うのだが、ネコミミのキラがとても可愛いので、アスランは抗えない。
まあ、また二、三日で戻るだろう。それまでの辛抱だと、アスランはキラのネコミミを撫でながらラクスの気が済むまで撮影に付き合った。 - 35125/10/19(日) 22:23:32
この状態でモビルスーツ戦をする訳にもいかず(ネコミミ尻尾が邪魔でスーツもヘルメットも装着できない)基本的に自室待機となったが、やることは沢山ある。特にキラは元々アークエンジェルのクルーだった事もあって頼られる事が多かった。
「いいよ、行って来い。俺もエターナルで出来ることは片付けとくから」
「でも……アスラン大丈夫?」
「薬の影響はおまえも同じだろう。まあ、あんまりキラを人前に出したくないとは思うが……」
アスランにだって独占欲というものはある。しかし既に殆どの人に見られた後だし、仕事は仕事だ。アスランはキラの背中を押して部屋から送り出す。
「じゃあ、すぐ戻ってくるから……部屋で待っててね」
何故かとても心配そうにしているキラが、キスを一つ残してようやく去っていった。アスランのネコミミと尻尾がずっとへにゃりと下がっていたことに、本人だけが気付いていない。
一人になった部屋で、アスランはあれこれと部屋で片付くような仕事はこなしていったが、直にそわそわとし始める。
キラの匂いが欲しい。猫になったせいか、嗅覚が変わったようだ。キラの服や小物を集めてみたり、ベッドに埋まってみたりするが、ぽわんと頭がぼんやりするけど満たされない。なんとなく身体が切ない気がする。アスランらしからぬぐちゃぐちゃになった布の山の中でPCを操作するが、調子が悪いのか接続が上手く行かない。直接機体に繋げて調整したほうが絶対早いだろう。
そうだ、もうドックで作業していたほうが、キラが帰ってきたらすぐ会える。いざとなったら機体を動かして向こうに行ってしまえばいい。アスランはキラの上着を羽織ったまま、ふらふらと部屋を出た。 - 36二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 06:49:43
hatsujo!
そんな状態で出て大丈夫…?
絶対に目に毒な雰囲気出てない…? - 37二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 15:16:53
これもしかしてキラも同じような状態になってたりもするのかな?
- 38125/10/20(月) 22:22:11
ネコミミと尻尾が生えても、特に生活に支障がある訳じゃない。まあちょっと尻尾が邪魔で座りにくいが、慣れれば尻尾で物も取れる。これ逆に便利かもしれないと思いながら、キラはアークエンジェルでマードック達に頼まれた仕事をしていた。折角なんであれも弄ってこれも弄ってと、やりだすとキリがない。
「よ、キラ。可愛いことになってるな〜」
「ん?ああ、カガリか。此方に来てたの?」
「そりゃ面白いことになってるって聞いたからな。しかし凄いな、人からネコミミが生えるってどうなってるんだ」
ぴょこぴょこ動くミミや尻尾を、カガリは感心したように指先でつついた。
「ミミはともかく尻尾は止めてね。なんか凄い鳥肌立つんだよ…」
「本当だ。尻尾もぶわって逆立ってる。まあ猫って尻尾触られるの嫌がるもんな」
「神経通ってて急所だからかな、本能が警戒するんだよね。今なら凄い上手に猫飼えそう」
「ネコミミ男が猫飼うのか……そういえばアスランは?」
「エターナルに居るよ。なんかアスランの猫化は心配になって」
「おまえとなにか違うのか?」
「たぶんね」
朝、ネコミミ触った時の反応からして自分とは違う。キラはアスランにネコミミを触られると、凄くリラックスするというかうとうとしてしまうような心地良さがある。優しく髪の毛を梳かれているような気持ちよさに近い。でもアスランは、ちょっとネコミミ触っただけでぴくんと身体を反応させて、しかも、ふにゃ、と大変可愛らしい鳴き声を上げていた。
「アスランが敏感だから?それとも薬の作用に何かあるのかなぁ」
恋人同士で使うラブグッズ。実は何かまだ仕掛けがあっても可笑しくない。やっぱり仕事もそこそこにして、早くエターナルに帰るべきだ。
「なあ、エターナルに行くとき私も連れてってくれ。アスランの様子も見たいし、ラクスとも話したい」
「いいよ。あと三十分待ってて」
キラは高速でタイピングを続け、一先ずやるべきところまで一気に終わらせに掛かった。 - 39125/10/20(月) 22:24:54
フリーダムのコックピットにカガリを乗せ、キラはエターナルに着艦する。ヘルメットもスーツも着用せずに乗るのはかなり久しぶりだ。
コックピットから降りると、キラの嗅覚は甘い香りを捉えた。脳が揺さぶられるような刺激で、くらくらとする。
「この、匂い……」
「匂い?なにかするか?」
思わずよろめいたキラの腕を支え、カガリは首を傾げる。何の匂いもしない。強いて言うなら、MSドックだけあって独特の金属臭みたいなものがある程度だ。
此方へ来いと、自分を探せと誘われているような香りに、キラは本能的により香りが強い方へと向かう。すると、ジャスティスの機体の陰から、素早く人影がキラの方へと飛び込んできた。
「キラ!」
「アスラン…?」
ぎゅうと抱き着いて、胸元にすりすりと顔を寄せてくる。ほんのりと上気させた頬で、嬉しそうに笑っている。酔っぱらいのような、普段のアスランからは到底見受けられない態度だ。その肩にはキラの上着が掛けられている。
なにより、アスランから甘い香りがしてキラを包み込む。
「待ってたんだぞ、キラ……俺にキラの匂いつけてほしい…」
アスランの尻尾が、キラの腰へとするりと巻き付いておねだりをする。潤んだ瞳が、不機嫌そうに細められる。
「他の雌の匂いがする……キラは俺のなのに」
すんすんと鼻を寄せて、不服そうに首筋を舐められた瞬間、キラの感情が限界を迎えた。アスランの悪戯な尻尾をぐんっと引っ張る。
「っにゃ」
「…僕、部屋で待っててって言ったよね」
キラはアスランを羽織っていた上着で包むと、低重力を利用して自分の部屋へと抱えていった。
一人残されたカガリは、とても直視できない色香を振り撒いていたアスランが去ったことにホッとしている整備士達の中でぽつりと呟いた。
「猫って…雌の発情に雄が反応するんだったな……」
人間的に言うと、嫁のお誘いか。あの薬の本来の作用はこういうものらしい。これでは明日までは顔を見れなそうだと、カガリはラクスに報告をしにいった。 - 40二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 07:09:43
うむ、これは100%アスランが悪いね
きっちり旦那にお仕置きされない - 41二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 16:12:45
戻った時に都合よく記憶がなくなってればいいけど残ってたら大変だな…
- 42125/10/21(火) 22:48:09
「……ねえ、いつまでそうしてるの」
呆れた声が振ってくるが、アスランは顔を上げられなかった。枕に顔を突っ伏して先ほどまでの醜態に耐えるのが精一杯なのだ。
「忘れろ……頼むから忘れてくれ」
「ええ、やだよ。凄い可愛かったのに」
「やめてくれ」
あれは俺じゃない。薬のせいで生まれた第二人格かなにかなのだ。でなければ、あんな、人目があるなかで甘ったるい媚びた態度を取るはずがない!思考力の低下も著しかったんだ。
と、いうような事をアスランは脳内で言い訳していた。便利なことに、その言い訳はしっかりキラまで届く。
「でもさ、他の雌の匂いやだ、お腹さみしいってあんなくっついて……いたっ」
「いちいち言わなくていい!」
「もー……恥ずかしがり屋なんだから」
ぴんと伸びたりへにゃっと潰れたり忙しいネコミミは見ていて飽きないが、キラとしてはピロートークに顔が見れないのではつまらない。アスランの項にくっきりついた歯型は、猫の習性。煽られたキラとしても余裕がなくて、がぶがぶ項を噛みながら本物の猫のように交わった。
「僕は嬉しかったよ。アスランが積極的に求めてくれて」
「……凄い怒ってたじゃないか」
「それは怒るよ。他の人の前であんな姿を見せるから。いい加減に僕の独占欲、軽く見ないでよね」
「別に軽いとは思ってない」
キラが想いを十二分に傾けてくれていることは分かっている。行為中だって、目の奥が笑ってないキラの怒りを充分身体で感じた。散々尻尾を引かれては腰を上げさせられて、今回のお仕置きは中々に堪えた。
「でも、あんな作用があるとは思わなかったなあ」
発情し、パートナーを誘う。恋人達の夜に使うグッズだと聞いた時点でこの可能性は考えておくべきだった。なんにせよ、常日頃は奥手になりがちなアスランの大胆な振る舞いはキラを楽しませた。にゃあにゃあ鳴くのも大変可愛かった。猫化してるのは同じなので、もしかしたら自分も言ってたかもな、と思わなくもないが。
no title | Writening「もうお腹さみしくない?」 「……分かってて聞くな。むしろ…」 赤く腫れた眼でキラをじとりと睨む。さっきから少し身動ぐだけでも、散々と中に出されたものが溢れて太腿を伝い落ちる始末だ。しかし、それをね…writening.net会話内容とかがアレなので続きは此方へ入れておきます。
- 43二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 08:15:36
猫ちゃんたち()の戯れ可愛いですよねありがとうございました
最後の薬は無茶した時のお仕置きに使えそうだけど果たしてどうなるのか - 44二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 16:19:27
ふう…猫ちゃん達のニャンニャン()は体にいいなあ…
- 45125/10/22(水) 22:42:57
色々と騒動はあったが、なんだかんだと良い具合に落ち着いたようで。
ネコミミ男子二人は、すっかり見慣れた光景になった。特にキラは、自分の容姿に与えられたオプションの恩恵を遺憾無く発揮することに決めたようだった。
「アースラン、ちょっと撫でて」
「ん」
なにかしらの作業中、隙を見てころんとアスランの膝に甘えては、その手で撫でてもらっている。長年キラを甘やかしていただけあり、アスランの手つきは慣れている。そこにネコミミひとつ増えたくらいでその手が迷うことはなく、さらさらと髪を梳いては頭部を撫で、ネコミミもついでに撫でて。気付けばキラはすやぁと寝ていることもある程だ。
アスランが自分を可愛いと思っていることをきちんと知っているキラは、それを武器にすることに抵抗がない。
「おまえ、それでいいのか」
膝の上でお昼寝をしてすっきりした顔のキラに、カガリは突っ込むのも野暮かと思いながらも言わずには居られなかった。
「なにが?」
「いや……旦那になりたいってくらいだから、格好良いとか思われたいのかと」
「それは勿論、格好良いとも思われたいよ?最近ちょっと鍛えたいなあって思い始めたし……でもねカガリ、アスランって結構可愛いものが好きなんだよ」
「はあ、意外なようで意外でもない感じだな」
「トリィとかハロとか、可愛いもんね。人の好みも分かりやすいよ。仲良しなニコルとか、お姉ちゃんのラクスも可愛いよね」
「確かに…言われてみるとそうだな」
「そしてアスランは僕を可愛いと思っている。更に今は可愛いの代名詞であるネコミミもある。それを利用しない手はないよね」 - 46125/10/22(水) 22:44:28
「……前から思ってたが、おまえって腹黒いところあるよな」
我が弟はとんでもない奴かもしれない。確かに、肩にトリィを乗せ、ネコミミや尻尾をぴこぴこさせる姿は可愛いと言えるだろう。
今の会話内容を全て脳内から消去すれば、だが。
「まあそもそも、当のアスランが宇宙一可愛いんだけど」
「惚気ならいらないぞ」
「あとはまあ、格好良い方面は今後に期待ってことで」
「そうだな、案外二年くらいすると良い感じになってそうな気もするな。私としてはもっとこう、しっかり筋肉がある方が良いが。どうだ、鍛えてやろうか」
「遠慮しておくよ」
カガリの言う体型は恐らくキサカ基準な気がして、キラは丁重に辞退した。アスランがよしよしと可愛がりたくなる立ち位置はキープしておきたい。
「アスランはだいぶストイックな気質だろ?逆にアイツが凄いムキムキになったらどうするんだ」
「僕はアスランならなんでもいいよ?でも、アスランがそこまで真剣に鍛えなくても済むような世界にはしたいかな」
「……そういうところはちゃんと格好良いんじゃないか?おまえ」
さらりとそんなことを言えるのは流石だ。アスランへの愛は日に日に重さを増しているようだが、一緒にいる姿は幸せそうなので外野が口を出すこともない。
一時は出自のこともあり心配していたが、なんとか立ち直ってくれたようで何よりだ。じゃあ僕はアスランの所へ行くね、と去っていくキラを、カガリは安堵しつつ見送った。 - 47125/10/22(水) 22:54:30
アスランは綺麗で、格好良い。そして可愛い。
そういえば初めて会った時も綺麗な子だと思ったんだった。あの瞬間がキラの人生で一番うつくしい思い出かもしれない。
「いや、一番は常に更新されてるかも」
「何の話だ?」
「アスランが好きって話かな」
文字通りの猫舌になってしまったせいで少し冷まさないと飲めなくなったコーヒーを前に、アスランは怪訝そうな顔をした。結局何の話か分からないとぼやき、ふうとマグカップに吐息を吹き掛ける。ちなみにそれはキラのマグカップで、火傷をしないように調整してくれているのだ。
この身体に巣食う感情を恋とするまでに、随分長い時間を掛けたが、その分よく熟しているのだと思う。キラは自分がアスランに向ける想いが一般的な基準から外れることを最近ようやく理解し始めたが、どうにかしようとは思わない。
小さいアスランは、あの頃からキラが好きだった事と一緒に居ることが幸せなのだと教えてくれた。
猫になったアスランは、その身体全てがキラを求めて受け入れてくれることを教えてくれた。
アスランの行動一つ一つが、いつもキラを満たしてくれる。
子を成せぬ同性を愛した、と言ったクルーゼに見通されているようで癪だが、アスランの心身を掌中に収められることはキラに都合が良かった。
アスランの身体は、その体内まで自分専用なのだから。
(綺麗で格好良くて、優秀で、婚姻統制を組まれてまで子を望まれるアスランは、もうそんなこと出来ないんだって、僕だけが知ってる)
僕だけの可愛いアスラン。
口元が自然と緩んだ。
「ふふ」
「なんだよ、急に笑って」
「ううん、なんでもない。もう冷めたかな?コーヒー」
「たぶん良いと思うが、気を付けて飲めよ」
ほら、と手渡されたカップを、キラは笑顔で受け取った。 - 48二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 07:18:20
- 49二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 16:28:05
可愛い!
- 50125/10/23(木) 22:14:06
- 51125/10/23(木) 22:20:21
このところの騒ぎの原因、フリーダムに積まれていたメンデル産の薬品。
未だ残るそれらを前に、キラとラクスが話し合いを行っていた。
「僕らからネコミミも無事に無くなったし、体調にも問題はないけど……」
「放っておくわけにもいきませんわね。子供になったり耳が生えたりと、大きな影響があるのですから」
「クライン派の人達に回して調べて貰ったんでしょ?どうだったの?」
「専門機関のメンデルで極秘に研究されていたものでしょうから、そうすぐに解明はできませんが…アスランが被害にあった幼児化薬、ネコミミが生えた猫化薬は、お二人のサンプルもありましたので研究はつつがなく進みそうですわ」
「まあ、後遺症みたいなものもないし、貴重な体験が出来たから僕はむしろ良かったけどね」
「そうですわね、皆さんの張りつめた空気も少し和らいだようです。可愛いは正義ですわね」
「このもう一つの薬は?」
「それなのですが……実は、これだけとてもシンプルなお薬なのですわ。他の物に比べて、既存のデータで直ぐに特定が出来ましたの」
「へえ、どんな薬?」
「成分的に言いますと、筋弛緩剤です」
「本当に聞き覚えのある薬だね」
「そして、性欲増強や神経が過敏になる成分も混ぜられておりまして……まあ、はっきり言いますと媚薬ですわ。猫化したアスランの発情に近いものでしょうか」
「……なんか、これだけ犯罪臭がやばいね」
「一口飲めば抵抗を全て奪えますから…使う人によっては危険なものではあります」
「ねえ、これは一先ず厳重に保管するとして、戦後は僕が持っていっていいよね。フリーダムに積まれてたってことは、僕宛でしょ?これ」
「駄目といっても持っていかれるのでしょう?まあ、貴方の場合使い道は定まっていますから……程々にしてくださいね」
「実はね、もうこっそりオーブで暮らすための準備は進めてるんだ。やっぱり、家、土地、仕事…旦那に求められるものはしっかり用意しておかないとね」
「流石ですわ。そうなると、私も姉としてアスランに嫁入り道具を持たせるべきでしょうか…」
「身一つで来てくれて全然良いけど、僕は。必要なものは大体用意出来るし…エリカさんと権利関係の話をしっかり詰めておいたお陰で、僕はいまだいぶお金持ちみたいなんだ」 - 52125/10/23(木) 22:21:55
「身も蓋もありませんが、お金は戦後こそ必要なものですから……特にアスランはザラ家の嫡男ではありますが、だからこそ今後の立場がよろしくありません。アスラン個人の資産もどうなるか分かりませんから、その辺りは貴方が支えてあげてくださいな」
「うん、任せて。アスランと結婚する為に稼いだお金だもん、全然アスランの為に使うよ」
「まあ、アスランなら無一文でもどうにかしそうではありますが。しなくていい苦労ならばそれに越したことはありませんものね」
「平和な世界でアスランと暮らす……色々あったけど、僕の夢はそれだけなんだ。だから、僕は立ち止まらない。最後まで頑張るよ。……と、いう訳だから、楽しい新婚生活のスパイスとしてこの薬は貰ってくね」
「あらあら。頼もしくも恐ろしい旦那様ですわね。ちなみに、幼児化薬や猫化薬も、研究が進めばまたご提供できるようになるかもしれませんわ」
「ほんと?どっちのアスランも凄い良かったから嬉しいな。でも、一番可愛かったのは子供の自分にヤキモチ焼いたアスランだった…」
「うふふ、お顔が緩んでいますわよ。そういえば、プロポーズはどうなさいますの?」
「やっぱり戦後落ち着いてからちゃんとしたいなって。アスランもその方がいいだろうし、この状況じゃ指輪も買えないしね」
「初めて会った時にも言いましたが、花嫁さんにとってプロポーズの言葉は一生の宝物です。今のキラなら、きっと素敵なプロポーズが出来ますわ」
「ちょっと緊張するな……でも、ちゃんと言いたいから、頑張るよ」
「その意気ですわ。そうそう、指輪を用意してのプロポーズも素敵ですが、お二人で選びに行くというのもまた素敵かと思います」
「それもいいね……悩むなぁ。アスランに似合うものを選びたいし」
「戦争を終わらせて……こういう幸せな話題で頭を悩ませる世の中になればいいですわね」
「そうだね……皆、それを望んでる筈なのにね」
平和になれば、戦争が終わらしたいと願いながら、一向に叶わない世界。アスランとの幸せな未来を目指して、キラはいま戦うことを選んだのだ。
なお、戦後に自分の資産が更に増えることを、キラはまだ知らない。 - 53二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 07:46:39
ほしゅ
- 54二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 15:25:55
本編でも結構な稼ぎだろうにこの世界線だとどれくらいになることやら
- 55125/10/24(金) 22:48:36
時間が空いたので一汗掻こうと、ムウはトレーニングルームに向かった。するとそこには先客が一人。最近なにかと姿が変わって忙しない話題の青年だ。
既にトレーニングを終えたのか、頬から汗を滴らせてベンチに座っている。ムウに気付くと立とうとしたので、まあまあと手で制す。
「お疲れさん、もう終わるところか?」
「いいえ、小休止を挟んでいるだけで……あともうワンセット行う予定です」
「こんなところでも真面目なんだな、君は。まあ立ち振る舞いを見りゃ相当の手練なことくらい分かるけどな」
鍛えられてはいるが年相応の線の細さもあるこの青年は、隙がない。生身で戦闘になったらムウは恐らくアスランに勝てないだろう。それをコーディネイターとナチュラルの差と言ってしまえばそれまでだが、アスランが文字通りの血が滲むような努力をして身につけた力をそんな一言で片付ければ本人よりキラが許さなそうだ。
しかしなあ、それとは違うところで隙だらけなんだよな。ザフト支給だろうラフなシャツ姿で、上気した頬のまま汗をタオルで拭っているアスランは、どうもそういった点に置いては疎そうだった。
「キラは?」
「ラクスと話があるらしくて。一人で部屋にいるより身体を動かそうかと」
「ふーん。しかし、本当に素の姿を見るのが久しぶりな気がするな。子供になったり耳が生えたり大変だっただろ」
「……その節は、大変お世話になりました」
アスランが十二歳に戻ってしまったとき、ムウは肩車をして遊んでくれた。父親に肩車をしてもらったことのないアスランは素直に嬉しくて、天井に手が触れることに感動していた。
「いや、俺も中々無い経験で楽しかったぜ。でも後でキラに怒られたんじゃないの?なら悪いことしたなって思ってさ」
「怒られてないですよ。そういえば言ってませんでした」
「……そのほうがやばいだろ」
「どちらにしても怒りませんよ。キラは、貴方のことだいぶ慕ってるようですから」
「そうかぁ?生意気ばかり言ってくるぞ」
「それが凄いんですよ。……ちょっと嫉妬してしまうくらいには」
自嘲気味に笑うアスラン。別に申し訳なく思う必要などないのだが、この生真面目な青年は他人へ嫉妬の類いを抱くのを悪いことだと思ってしまうようだ。恋人の身の回りの人間に妬くくらい、可笑しなことでもないだろうに。 - 56125/10/24(金) 22:50:39
「会話できるんだってな、キラと。心の中で」
「はい。俺達にはそれが普通なんです」
「最初はそんな馬鹿なって思ったけどさ、今までのキラの言動を考えると納得しかなかったよ。変だとは思ってたんだよな、日に日にアイツの愛が重くなってくから」
これでも、ムウにも罪悪感はある。今こそこうして話をしているが、アスランはきっとアークエンジェルを恨んだだろう。人の命を背負わせてキラを戦わせたことを許した訳でもないかもしれない。それでも全てを飲み込んで此処にいる。
それも一重に、愛だろう。結婚でもなんでも、二人が納得する結末になればいいのだが。
「ところでさ、おまえさん今までトレーニングとかするとき絶対誰か側に居なかったか?」
「え?…そうですね、ザフトでも大体ニコルとかイザーク……仲間と一緒でしたが…」
「風呂も?」
「絶対に共用シャワーは使うなと言われたので、部屋の備え付けのシャワーを使用していましたが…?」
「流石だな。俺でもそう言うわ」
自分の容姿に自覚が皆無にも程がある。この端正な顔で見つめられるだけでその気になりそうな奴は少なくないだろう。あと憂いがちな表情をすると変に色気があって心配になる。
「それがなにか?」
「いーや?キラも嫉妬するんだし、そんな気にしなくていいんじゃないかって思っただけだ」
「…そうでしょうか」
「お似合いだよ、君ら」
ムウは微妙に納得してない顔のアスランを促し、本来の予定であったトレーニングを始めた。そのうちキラが迎えに来るだろう。
こういう妙なところで天然な相手には、キラくらい雁字搦めにするタイプで丁度いいに違いない。
「その……フラガ少佐に聞きたいことがあるのですが」
「なんだ?」
「男として、どういうことをされたら喜びますか?俺はその手のことは良く分からなくて…」
「……やっぱり心配になるわー、君。そんなこと聞かれたら絶対誘ってると勘違いするやつ出てくるぜ…」 - 57二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 07:18:31
アスランが大人組に可愛がられてるのいいよね
- 58二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 16:26:58
なんだろ…このアスランって割と隙がありそうな感じは…
強い軍人のくせしてカガリの前で寝たりミーアの侵入許してるからかな… - 59125/10/25(土) 22:34:58
しばらく謎の薬に翻弄されていた二人だが、普段は真面目に訓練を行っている。現在三隻でパイロットとして活動している者達は、日々相手を変えて模擬戦を行っている。
その中で、最新鋭機の機体を持つキラとアスランはミーティアを使用するということもあり、ほぼ相手を変えることなく互いを訓練相手としていた。
この際のルールは、読心能力を使わないこと。実戦を想定しての訓練中に呑気に話す訳にはいかない。読心を使わずとも相手の事を知り尽くした二人は、動きの癖や行動パターンを予想し立ち回る。
しかし、これはあくまで訓練なのだと分かっていても、相手に攻撃するのは非常に気が進まない。二人が本気で戦ったのは、イージスが自爆したあの時だけ。それも互いを想うあまりのことだったので、キラが嫌がるのも仕方ない事ではあった。
最初の頃はキラが駄々を捏ねることもあったのだが、これは生存率に直結すると冷静に判断したアスランはキラを説き伏せた。
「仕方ないだろ、今のこの状況では俺とお前が要なのは事実なんだ」
「そうだけど……僕はアスランを守りたいのであって倒したい訳じゃない」
こういうことを言われると、アスランの心臓が甘く鳴くのだが、それは一旦押し殺して。
「俺だって同じだよ。でも、キラはパイロットとして優秀だろう?ザフトで首席だった俺から見ても、キラのような奴は他にそうは居ない」
「そういうもの?僕、正直あんまり他のパイロットがどうとか分かってないんだけど…」
「キラの場合はコーディネイターのパイロットが近くには居なかったし、分かりづらいのかもしれないな。でも、この間もフラガ少佐にまた僕と模擬戦なんて本気ですか?とか言って喧嘩してたろ。なら自分の腕に自覚はあるんだろう」
「……まあ、うん」
「俺としては複雑ではあるが、事実としてキラが強いのは確かだ。おまえがこんなことから今すぐ離れて普通の生活を送るというなら俺は両手を上げて賛成するが、キラとしてはそういう訳にはいかないんだろう?」
「当たり前だよ、今更投げ出したりしない。平和な世界にしないと君、お嫁にきてくれなそうだもん」
「はは、そうかもな。だから、訓練も必要なことなんだ。ザフトでも地球軍でも、相手は正規の軍人なんだからな。それに、腕の立つおまえの相手が出来るのは、俺以外に居るのか?」
「アスラン…」 - 60125/10/25(土) 22:36:39
「言っておくが、俺は別にキラに負けているつもりはないぞ。模擬戦をして、俺が墜とされる前提なのは納得がいかない」
「…負けず嫌いなんだから。でも、そうだね。やっぱり僕にはアスランしかいないや。どんなことでも」
飾り気のない真っ直ぐなアスランの言葉に、キラは仕方ないなあと承諾してくれた。それに、キラが自分の力なんてアスランが好きなように使っていいと言った事に偽りはないのだ。
実際、いざやってみるとこれはこれで相手との繋がりを感じる。日々の戦闘の中で相手の行動を読み合うことが、結果として二機での連携能力を高めたのだ。
「まあ、僕以外の人がアスランに銃口向けてたら反射的にフルバーストしちゃわないとも限らないし、これで良かったのかも」
「それは…自制してくれ」
「ねえ、アスラン?今日はこれで終了でしょ、デートに行こう!」
「デートって…まさか機体に乗ってか?俺達が此処で隠れてること分かってるんだよな」
フリーダムがジャスティスの手を取る。操縦技術を無駄に生かして、恭しく頭を垂れ、手の甲に口付ける仕草までしてくる。何処でこういうことを覚えてくるのだろう。
「少しだけ。大体戦闘してて気付かれないんだから大丈夫だよ」
「しかし…」
万が一があっては、と渋るアスランに、エターナルから通信が入る。
『お疲れ様です、二人とも。辺りの警戒は此方がしていますから、遠くへ行かなければ構いませんわ』
「ラクスまで…いいのか?」
『ええ。アークエンジェルもクサナギも近くにいますから。でも、気を付けてくださいね』
「分かってるよ。アスラン、行こう!」
加速をするフリーダムに手を引かれ、ジャスティスも宇宙を駆る。
「僕達、いま星々の中をデートしてるんだよ。そう思うと素敵じゃない?」
「確かに星の間と言えば間だが、辺りに何も無いし、乗ってるものは兵器だぞ……まあ、悪い気分ではないが」
「ハネムーンは地球一周旅行にしようかと思ってたけど、宇宙旅行ってのもいいね」
「宇宙の何処へ?」
「銀河の果てまで、なんてね」
そういえば、もしかしてこれが恋人になってからする初めてのデートになるのではないか。機体に乗ってとは、色気がない。でも自分達らしい気もするとアスランは笑った。
他愛のない会話をしながら、固く手を握って二機は暫く逢瀬を続けた。
ボアズ侵攻の情報が入ってくるまでの、長いようで短い彼等の日々だった。 - 61二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 06:42:14
ほしゅ
- 62二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 07:00:36
- 63二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 16:30:50
ボアズは陥落か…
フレイも助かってくれよ…本当に… - 64125/10/26(日) 22:40:00
フレイがドミニオンに回収されたことで、アズラエルの手に渡ってしまった“鍵”。
NJCのデータを手に入れたアズラエルは、核を使うことを連合上層部に押し進める。
「核は持ってりゃ嬉しいただのコレクションじゃあない」
ボアズが月艦隊に侵攻されている。
ドックで機体について色々と話し合って居たところに、カガリから通信が入って知らされた。キラとアスランは、急いでラクスの元へ向かう。
「ラクス、動くのか?」
「月艦隊のボアズへの侵攻というのは本当なのか」
バルトフェルドと話し合っていたラクスは、沈痛な面持ちで首を振る。
「いいえ……事態はもっと早く、そして最悪な方へと進んでしまいました」
その言葉に、バルトフェルドが続ける。
「こっちのルートからさっき入った情報だと、ボアズはもう落ちた。地球軍の核攻撃でな」
「ッ!?」
二人の間に、衝撃が走る。地球軍が再び核を使用した。それが今後の戦況にどういう影響を齎すか分からないはずも無い。
また、地球軍がどうして核を使用できたのか。キラには一つ心当たりがあった。
「まさか…あの時のフレイ…?」
「……フレイ?」
何処かで聞いたような気もするが、あまり覚えのない名前にアスランは首を傾げる。キラの知り合いのようだが、その名前を艦内で聞いたことはなかった。
「フレイさんと言いますと、あの赤い髪の女性ですわね。先日のメンデルで、救命ポッドでヴェサリウスから宇宙へ出されていた方ですわ」
「ああ……そういえば、キラは助けようとしていたな」
「うん。あの時は色々あった直後で、あんまりその辺り覚えてないんだけどね。サイの婚約者だから助けてあげたかったんだけど…」
「サイの?そうだったのか……でも、何故そんな人がヴェサリウスに…」
- 65125/10/26(日) 22:41:34
「元々フレイもアークエンジェルに乗ってて、確かアラスカで他に移動になったとか言ってたかな。彼女のお父さんは…大西洋連合の偉い人だったから。もう亡くなってしまったんだけど…」
ジョージ・アルスターの最後を思い返すと、それをアスランが知って気に病んだら嫌だと思ってキラはその辺りはぼかした。事情を知るラクスも、わざわざこのタイミングで知らせる必要はないと思い同様に口を閉ざした。
「もしかしたら、アラスカでザフトに連れてかれたのかも」
「捕虜ってことか?高官の娘とはいえ何故そんなことを…」
「たぶん、あのクルーゼって人じゃないかな。ムウさんがアラスカで会ったと言ってたし、それならヴェサリウスに居た理由も分かる。……フレイが宇宙に放り出された訳もね」
「!まさか……NJCのデータを!?」
「戦争を終わらせる鍵だと仰っていましたね。彼女が中身を知っていたかはわかりませんが…」
「たぶん知らなかったと思うけどね」
重要なのは、結果として事態が悪化したということだ。もし此方で保護できていたらこんなことにはならなかった。あの時のキラはとても平常ではなく、ただただ不安で気持ち悪くて、アスランを失ってしまうことが怖くて、がむしゃらに動いていただけだった。
表面上優しかったが、フレイが自分を含むコーディネイターを憎んでいる事は分かっていた。それは仕方のないことだと思い、基本的にサイに任せてキラは静観していたが、こんなことになる前に一度ちゃんと話しておくべきだったかもしれない。
「とりあえず、僕とアスランはすぐに機体を発進出来るようにしておくよ」
「お願いしますわ」
今此処で悔やんでも仕方が無い。キラはアスランを連れてブリッジを出た。
アスランの口数は少ない。核、と聞いてからユニウスセブンや父親のことが一気に脳内を巡ったのだろう。
(核兵器なんてこの世から消えてしまえばいいのに)
アスランを苦しめるものは嫌いだ。キラはアスランの肩を抱き寄せて、安心させるようにくっつきながら艦内を移動した。 - 66二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 07:56:02
ここからパッパのジェネシスも来るんだよなあ
- 67二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 16:55:56
終盤に差し掛かってきたので可能な限りハッピーエンドで迎えれるように祈りながら保守
- 68二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 16:56:31
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- 69125/10/27(月) 22:32:07
地球軍の核攻撃により、戦線はプラント最終防衛ラインであるヤキン・ドゥーエへ。
ラクス達三隻同盟は、ヤキンへ急行する。
「……ヤキンが突破されれば、そうでなくても核を撃たれれば、プラントは…」
ジャスティスのコックピットで、起こり得る最悪の可能性を考えてしまう。やはりアスランにとってプラントは故郷であり、そして父親のいる所だ。
そう、核を使われて、パトリックが何もしないとは思えない。ましてや、すぐそこまで地球軍が迫っているのに。
(アスラン)
(……大丈夫だ。絶対に、阻止する)
(僕もいるから。核なんて、一つも落とさせない)
(ああ。撃って、撃たれて、それじゃなにも終わらないからな)
(カガリが言ってたやつ?カガリって、たまにハッとするようなこと言ってくれるよね)
(おまえもそういうところあるがな)
(そうかな。…ねえ、僕はプラント行ったことないんだ。君の住んでたところ、見てみたいな)
(……いつかキラに会えたら何処を案内しようとか、ニコルとそんな話をしたことがある)
(へえ、じゃあ尚更楽しみだな。だからね、僕は絶対守るよ)
(俺もだ。これ以上の被害は御免だからな)
自分を気遣って話し掛けてくれたキラに感謝しつつ、アスランは気を引き締めた。
今頃、ザフトは懸命に防衛をしているはずだ。一刻の猶予もない。そこにはイザークがいるだろう。 - 70125/10/27(月) 22:34:28
少し前に、ディアッカがメンデルでイザークと話したときのことを教えてくれた。
『イザークもさ、俺達の行動自体には一応理解を示してくれてるんだ。でも、自分までザフトから居なくなってどうする、戦争が終わるまで誰がプラントを守るんだって言ってた。その点については、アイツ一人に色々任せちゃって申し訳ないと思ったぜ』
『そうか…確かに、俺達が此処に居ることでザフトの戦力は落ちているからな。自惚れでなく、な』
『俺達は赤服だし、そうでなくても今のザフトは一人でも戦力は惜しいだろうからな。あの隊長の元で一人きりはイザークも大変そうだ』
『……クルーゼ隊長は、何を考えているんだろうな。あれこれと荒らし回りながら、本当は止めて欲しがっているように俺には見える』
『おまえがそう感じるなら、そうなんじゃねえの?俺達よりは隊長と一緒にいたしな。そうそう、イザークから伝言だ』
『……嫌な予感がする』
『“おまえのような馬鹿は死んでも治らん。大人しく嫁にでもなって飼われてろ”ってさ』
『アイツ…人を犬か猫のように…』
『素直じゃないねぇ、イザークもさ。俺とニコルは全部終わったらプラントに戻るつもりだから、その時の事も考えてくれてるみたいだぜ。俺以外の誰が貴様ら脱走兵を迎えに行ってやるんだ!って』
『暫く頭が上がらなそうだな。…そうか、そうなるとろくに顔合わせもできない可能性もあるな』
『アスランはやっぱり、キラとオーブへ行くのか?』
『正直、父の事もあってどうなるかは分からない。でも、俺はキラの側に居たいから…そうなると思う』
『いいと思うぜ?良い子ちゃんでいるのも疲れるだろ、たまにゃ反抗くらいしないと。結婚式は、絶対呼んでくれよな。ていうか、呼ばなきゃイザークが怒鳴り込みにくるぞ。ニコルなんかは泣き落としに掛かるかもな』
『さも当然のように結婚式とか言い出す辺り、キラの影響受けすぎてないか…?でも、気持ちは分かった。…死ぬなよ、何があっても』
『お互いにな』
仲間の誠意には応えたい。色んな人に支えられて此処にいることを、忘れないようにしなければ。
(行こう、キラ)
(うん、一緒に戦おう。アスラン)
「平和を叫びながら、その手に銃を取る。それもまた悪しき選択なのかもしれません。でもどうか、この果てない争いの連鎖を断ち切る力を!」
ラクスの言葉を聞きながら、二人は出撃し戦火へと飛び込んでいった。 - 71二次元好きの匿名さん25/10/28(火) 07:15:56
うむ、ディアッカもいい具合に染まったな
イザークの発言聞いたら意気揚々としてアスラン飼いそうなキラさん… - 72二次元好きの匿名さん25/10/28(火) 16:47:51
続き全裸待機
- 73125/10/28(火) 22:19:23
キラとアスランは最前線へと進み、プラントへ向けて撃たれた核に狙いを定める。
散々と訓練を重ねたミーティアを装備したフリーダムとジャスティスは、核を撃ち落とす。
(間に合った…!)
(ひとまず、プラントは無事だな…良かった)
まだまだ気を緩める事は出来ないが、間一髪でプラントを守れたことに安堵した。そこへデュエルが近付いてくる。
『おい、アスラン!』
「イザーク、平気か?」
『平気に決まってるだろうが…!』
「そうだな。じゃあ、此処はよろしく」
『〜〜ッ貴様というやつは!』
アスランはイザークの怒号を浴びつつ、キラと共に残りの核の対処に当たった。自分達の目的は戦争の停止であるので、あまり近くにいてイザークの隊と戦闘になっても困る。
ラクスが連合へ攻撃中止を求める訴えを続ける間、二人はプラントの守備を続けた。すると、ザフト軍の動きに変化があった。戦線から撤退をしていくのだ。
(…?この状況で、何故撤退を……)
何かが可笑しい、とアスランが疑問に思ったその時、先ほど距離を取ったイザークから切羽詰まった声で通信が入った。
『下がれ!!ジャスティス、フリーダム!ジェネシスが撃たれる!!』
「ジェネシス……?」
『早くしろ!!』
「アスラン、とにかく言う通りに離れよう!嫌な予感がする!」
イザークの声と、キラに促されてアスランは急いでその場を離れ……その瞬間、自分達の居た場所に巨大な光が放たれるのを目撃した。
恐ろしい赤色だった。
- 74125/10/28(火) 22:23:20
ジェネシスが放たれ、全機呼び戻しの指示が入った。
エターナルに着艦し、すぐさまブリッジへと向かうアスランをキラは追い掛けた。
「アスラン…!」
「……今は、とにかく皆の所へ行こう」
その表情は硬く、冷静さを保とうとしているようだった。ブリッジへと辿り着くと、カガリも其処に居て、エリカがジェネシスの仕組みを解説しているところだった。
「撃ってくると思いますか?地球を」
「強大な遠距離大量破壊兵器保持の本来の目的は抑止力だろう。だがもう撃たれちまったからな、核もあれも。どちらももう躊躇わんだろうよ。戦場で初めて人を撃ったとき、俺は震えたよ。だがすぐ慣れると言われて確かに直ぐ慣れたな」
「あれのボタンも核のボタンも同じと?」
マリューの言葉に、バルトフェルドは答える。
「違うか?人はすぐ慣れるんだ。戦い、殺し合いにも」
アスランは顔を伏せた。己にも身に覚えのある感覚だった。引き金を引く感覚はもうこの手に馴染んでいる。
ならば、一度ジェネシスを撃ったパトリックも、同じなのだろう。指示を出すだけなら尚更だ。
「……地球は討たせない。その為に僕達は此処に居るんだから」
キラはそれだけ答えると、ラクスに目配せだけしてアスランの腕を引いて出ていった。明らかに気遣われてると分かり、アスランは控えめに制止を掛ける。
「キラ、俺は大丈夫だ。確かに思うところはあるが今は…」
「いいから」
通路であることも気にせず、キラはアスランの身体を腕の中へと閉じ込める。
「僕には強がらなくていいから」
「……キラ」
痛いくらいの抱擁のなかで、アスランはキラの肩に顔を押し当てる。
決して泣きたいわけではなかったが、今は素直に優しさに甘えておきたかった。 - 75二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 08:19:53
ほしゅ
- 76二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 08:43:28
ユウキ隊長とかも生き残って欲しいけどどうなるかな…
- 77二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 17:05:11
この辺りやっぱり辛いなあ
- 78125/10/29(水) 22:34:02
本日は、アスラン・ザラの誕生日。
ハッピーバースデーということで、幼少期の話を載せます。
SEEDの入り口はアスランだったので、令和の今にスレで誕生日をお祝いしているのは感慨深いものがあります。紆余曲折あってキラアス沼にドボンした訳ですが、キラもアスランもキラアスもいいぞ…と毎日楽しいのは彼等と、お付き合い下さる皆さんのお陰です。
作中時間ではアスランの誕生日は終戦後約一ヶ月になるので、正式なお祝いは話がそこまで辿り着いたらにしたいと思います。恐らくかなり日付はズレますが、アスランの誕生日に絡めて結婚式関連の話をしたいなと思ってしまい…でも何もしないというのも寂しいので幼少期の話を書きました。
本編では誕生日を祝ってる余裕があったかは元々かなり怪しい所でしたが、Gジェネで公開されたリコレクションを話の流れに汲むとしたらほぼ確実に誕生日どころではなさそうですね…。このスレでは主にキラの愛で諸々のご都合を押し通していますので誕生日はしっかり祝えると思います。
余談ですが、どうしてもフリジャスのいちゃいちゃが書きたくて先のデート回を捩じ込んだことを白状します。ストフリとインジャは運命でお姫様抱っこがありますが、フリジャスだとたぶんもう機会がないよな…と思いまして。
長々と書きましたが、最後に改めて。
アスラン、誕生日おめでとう! - 79125/10/29(水) 22:36:57
【永遠の幸せ・私のものになって】
これはまだ、二人が出会ったばかりの頃の話。
コペルニクスの小さな公園で、小さな子供達は遊んでいた。ヤマト家からあまり離れていない公園に、キラがアスランの手を引いて連れてきた。アスランと家で絵本を読むのも嫌いではなかったが、キラにはどうしてもやりたいことがあったのだ。
「あのね、これしろつめくさって言うんだって」
「この白い花が?クローバーの花になまえあったのか」
「これでね、かんむり?を作れるんだって、おかあさんが言ってたんだ」
「キラ、そんなことできるの?」
「できるもん、ちゃんと教えてもらったから」
白詰草の群生地に座り、キラはなるべく綺麗なものを選んで摘み取った。眼が良いからか、四つ葉のクローバーも幾つか見つけることが出来た。
「作るから、まっててね」
「うん」
ほんの少し前までプラントにいたアスランは典型的なお坊ちゃんで、こうして友達と地面に座るなんてこともしたことがなかった。草の匂いがなんだか面白くて、アスランは大人しくキラの手つきを眺めた。
「ん、こうして……あれ……こうかな……」
上手く編むのが難しいようで、キラはかなり苦戦しているようだった。それでも、歪ながらに次第に形になっていく。不思議と飽きなかったので、アスランはじっと待っていた。
- 80125/10/29(水) 22:38:09
長い時間を掛け、漸くそれらは輪になった。よれよれで、あちこち茎がはみ出しているが、初めてにしては上出来だろう。
「これ、アスランにあげる」
「ぼくに?こんなにがんばって作ったのに…」
「だって、これ誕生日のプレゼントだから。アスランに作ってあげたくて」
アスランの濃紺の髪の毛、その頭の天辺に、キラはふわりと花冠を被せる。白い花と四つ葉が映えて綺麗だ。
「このかんむり、しあわせって意味なんだって。これがあったら、アスランがしあわせになれるかなって」
「ぼく、もうしあわせだよ。でも、うれしい……ありがとう」
頭にある僅かな重みが、アスランの心を幸福で染めていく。キラに会ってから、いつだって幸せだと感じていたのに、これ以上貰っていいのかとさえ思った。
はにかむアスランの笑顔が大好きで、キラはむぎゅっと抱き着いた。
「いつか、もっときれいなかんむり、アスランにあげるね」
「ぼくはこれでいいよ。……これがいい」
「そうなの?でも、ぼくがもうすこし大きくなったらもっときれいに作れるとおもう。そしたらまたもらってほしいな」
「はは、そんなにもらったらしあわせが多すぎるよ」
アスランは、本当にこの花冠だけで良かった。初めての友達からの、とても大切な人からの贈り物だったから。
あれから、十年が経とうとしていた。キラがあの日の花冠のようなウエディングベールを用意する日が、少しずつ近付いてきている。
- 81二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 06:53:38
可愛すぎて浄化されそう
月時代の二人も可愛いよね… - 82二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 14:10:44
尊くて昇天しかけたけど2人のハッピーな結婚式を見るまでは昇天してはならない
- 83125/10/30(木) 22:55:36
幼少期の二人はかわいいですよね(成長してもかわいいけど)
では本編に戻ります。
キラの腕の中で、深呼吸をしてざわつく心を落ち着かせたアスランは、ゆっくりと顔を上げた。鼻先にあるキラの顔は、視線を反らさずにアスランだけを見ている。
(……こういうとき、キラはずるいな)
どんな時でも、アスランへの対応を外したことがない。自惚れていいなら、かなりマメに気に掛けられて大切にされていると思う。普段、アスランは弱みを見せることはしたくないし、変に慰められたくないという意地すらある。けれどそれを全部知り尽くした上で、そんなこと関係ないよとこうして抱き込まれてしまったら、後はもう解かされるままになるしかない。こんな強引さはずるいとしか言えないだろう。
最も、アスランがそれを許すのはキラだけだけれども。
「お義父さんのこと、アスランは大好きなんだよね」
「……あの人に認められたかったんだ。本当は、母が死んだときにもっと向き合うべきだったんだろう」
それぞれが、それぞれの痛みに籠もってしまった。たった一人の家族になってしまったというのに。思いに応えてくれないのが怖くて、アスランは気付けば逃げていたのかもしれない。
「腹を括らなくてはな」
「大丈夫だよ。だって、アスランのお父さんなんだから。君のことが大切じゃないなんてことないよ」
「キラはそう思うのか?」
「勿論。きっとアスランに似て不器用なんだよ。ん?アスランがお義父さんに似てるのかな」
「……まあ、確かに俺は人間関係は得意ではないな」
「僕はその方が都合良いけどね」
くすくすと笑い合いながら、二人は身体を寄せ合う。人の命が瞬時に吹き飛ばされるこの世界の中で、互いの存在が命綱だ。キラはアスランの頬を両手で掴む。
「頑張るのはいいけど、絶対に死んじゃ駄目だよ。そんなことしたら、彼の世まで追いかけて行くから」
「俺だって死ぬ気はないさ。キラが生きてる限りはな」
目線を合わせ、吐息が混ざって、体温が馴染む。アスランは唇がいまにも触れ合いそうな距離まで近づけて囁いた。
「……キスしてくれ」
重なった唇は、長い間離れることはなかった。
「キラのお陰で気合が入った。父上の顔面をぶん殴ってでも、止めてやるさ」
「それは……痛そうだね……」 - 84二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 07:58:55
ほしゅ
- 85二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 16:47:01
- 86125/10/31(金) 22:42:15
草原に天使が二人いる…!
被せてあげてるキラも、ちょっと頭下げて被せて貰ってるアスランもめちゃくちゃ可愛いです。
こんな可愛い子たちが無邪気に遊んでいた日々…。
素敵なイラストありがとうございます。
- 87125/10/31(金) 22:45:37
「自分も出撃する!?あのモビルスーツで!?」
二人で話し合ったあと、ラクスとカガリと合流した。そこでパイロットスーツを着ていたカガリに驚き、話を聞いたところ、なんと自分も出撃するというのだ。
あの薄紅色の機体、ストライクルージュで。
「人手、足りないだろ?もうこれには私のマークも入ってるしな」
「いやでも……キラ、いいのか?」
絶対私も行くと譲らないカガリに、アスランは推定きょうだいであるキラに問い掛けた。モビルスーツでの初の実戦がこんな戦場なんて無茶としか言えないし、心配するなという方が無理だ。
キラはカガリと眼を合わせ、数秒見つめ合ったあと溜息を吐いた。
「……いのちだいじに、だよ。カガリ」
「おまえにそれを言い返されるとはな。分かってるって」
「それだけでいいのか!?」
「だって、止めたって僕らが出た後に強引に出てきちゃいそうだし。それなら一緒に出たほうがいいよ」
肩を竦めるキラと、ほらみろと言うように目線を寄越すカガリ。家族であるキラが良いというなら、アスランがどうこういうことも出来ず、心配ごとがまた増えたと嘆くしかなかった。
「カガリさんだってお二人が心配なんですのよ。アスランも分かってあげてくださいな」
ラクスがアスランの背をぽんと叩き、それからカガリの手を取った。
「ですがどうかご無理はなさらずに。必ず帰ってきてくださいね」
「ああ。戦艦だって危険なことには変わらない、なんならラクスは余計に狙われるかもしれないんだ。ラクスも気を付けてな」
「ありがとう。私も、此処で自分に出来ることをしますわ。そして皆さんの無事をずっと祈っています」
カガリと抱擁を交わしたあと、ラクスはキラとアスランも纏めて抱き締めてくれた。二人もその背に手を回す。
「ラクス…行ってきます」
「はい、アスラン。決してお姉ちゃんを悲しませないでくださいね。キラも…貴方も大概無茶をしますから」
「うん。いつも見守ってくれてありがとう」
ここからが、正念場だ。戦争を終わらせる為の、最後の機会。
全て終わらせてまた四人で笑い合えるように。
各々、心に決意の炎を灯す。 - 88125/10/31(金) 22:49:38
- 89二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 07:22:16
パトリックにはちゃんとラクスと共に親族席に座って貰わんといけない
- 90125/11/01(土) 11:39:01
これからいよいよ無印最終戦…というところなのですが残念なお知らせがあります。
ついに自宅Wi-Fiまで規制されてしまいました。勿論荒らし行為などはしておりませんので広域規制かと思います。モバイル回線も相変わらずの規制中です。昨日の夜まではなんの問題もなかったので、月が変わって規制範囲が変わったのでしょうか…。
現在はフリーWi-Fiから書き込んでいますが、家と職場問わず近所にフリーWi-Fiスポットが少ないので此方は最終手段にします。
お問合せは送りましたし、もしかしたらタイミングによっては規制が解けてる時間がある可能性もありますので、ひとまずこの三連休は様子見をさせてください。大変申し訳ないのですが、保守のご協力をお願いします。
スレ主としてはこんなタイミングで停止を食らってだいぶ悲しくて悔しいので、なんとか色々探ってみます。
暗い話で締めるのもあれですので、ちょっと先の話をフライングで。
アスランのウェディングドレス、ちょうど誕生日にベールの話をしましたが形に悩んでるんですよね。
誓いのキスでベールを上げる仕草を入れたかったらフェイスアップベールになるんですが、アスランにはマリアベールとかジュリエットベールが似合いそうだなと…。その時になったら皆さんの意見も聞いてみるか!と思ってました。
というわけでご意見募集致します。なんならドレスの形すら全く決めてないので…。
長くなりましたが、どうにか規制を掻い潜れるよう頑張ります。よろしくお願いします。 - 91二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 16:54:27
- 92二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 23:00:27
自宅Wi-Fiの規制はキツいですよね…
自分もモバイル回線はずっと拒絶されたままです…(たまに解除されることはありますが)
マリアベールもいいなとは思いますがやっぱりフェイスアップですかね - 93二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 06:44:16
ほしゅ
- 94二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 14:45:57
ほしゅ
- 95125/11/02(日) 17:40:27
再度お問合せを送ったのが良かったのか単なる偶然か、今はWi-Fiの規制が解けてるようです…保守ありがとうございました。
昨日は突然の規制でちょっとテンパってしまいまして、今となってはちょっと恥ずかしいんですが…。
皆さんも規制があるなか、スレを気に掛けて頂いてありがとうございます。モバイル回線の規制も不便で辛いですよね…此方も一緒に直ってくれたら良かったんですが。
ベールの件もありがとうございます。やはり王道のフェイスアップが最強か…。色々調べてて思ったよりかなり細かくベールのタイプがあるんだなあと学びました。
このまま規制が大丈夫そうなら今夜からまた続きを再開します。 - 96125/11/02(日) 22:17:38
争いの中へと発進していったキラ達。
すぐに、ジェネシス第二射を目の当たりにすることに。
「狙いは……月基地か!」
「今の攻撃で……連合の艦隊の半分は持っていったな。それも狙いなのか…父上」
ここで地球軍が引くなら、三射目はないかもしれない。しかし、キラはここで引くことはないだろうという予感がした。憎しみは目を曇らす。
そして、その予感は当たってしまう。ドミニオンが核攻撃隊を連れてプラントへと向かったのだ。アークエンジェルはドミニオンを追っていった。
(お義父さんの気持ち、僕にだって分からない訳じゃない)
キラも連合は嫌いだ。アスランの心を深く傷付けたのもそうだが、今日至るまでにキラ視点では連合に対して全く良い印象がない。
連合、というよりブルーコスモスがいなくなるだけなら別に構わないとさえ思う。しかし、実際に消えるものは組織でも思想でもなく人々の命だ。
キラはそれを知っている。だから、極力コックピットを避ける。この殺し合いの先にキラが望む形の平和は訪れないからだ。
(僕もちゃんと、アスランをお嫁さんにくださいって言いたいし。お義父さんに認めてもらったら、きっとアスランは嬉しいだろうから)
その為にも、地球を撃たせない。その罪を犯させてはならないと思う。
そして、片を付けなくてはならない問題はもう一つ。あのクルーゼがなにもしてこないとは思えない。
(……もしあの人がきたら僕がなんとかしよう。アスランにはお義父さんのことに専念させてあげたい)
でもまずはこいつらをなんとかしなくちゃ、とキラは連合の新型と交戦に入った。
ちなみに、アストレイ三人娘達は?
dice3d6=2 2 2 (6)
左から、アサギ、マユラ、ジュリのダイスです。
1.大きな被害なし
2〜4.攻撃により怪我
5.機体が中破、大怪我
6.死亡
6を引かなければ怪我をしてもちゃんと治ります。
- 97二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 08:09:39
保守
- 98二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 14:07:45
すげえ!揃って2か!
怪我してるけどほんの軽傷かな? - 99125/11/03(月) 22:40:43
三人とも同じ出目とは仲良しですな…
「「「きゃあっ!!」」」
「ああっ!おまえら!!」
「だ、大丈夫…三機とも大した被害はありません!」
友人達の機体が被弾するのを目の当たりにしたカガリは、友を守るべく思考が研ぎ澄まされるのを感じた。
「おまえらはクサナギに戻れ!手当を受けろ!」
「カガリ様、これくらいならまだ動けます!」
「いいから!」
彼女達を逃がすべく、カガリは奮闘した。
ちょうどその頃、イザークはストライクダガーなどと戦いながら、今後のプラントについて考えていた。二射目は月基地だった。そこで上層部は踏み止まるだろうか。母上は何処まで承知の上なのか。
幾らなんでも地球を撃つほど人は愚かではないと思いたかったが、もうこの状況が既に…。
(アスランは……いや、アイツなら大丈夫だろう。あの男が傍にいることだしな)
イザークはキラ・ヤマトという人間を詳しくは知らないが、彼のアスランへの愛だけは認めている。自分はアラスカでそれで助けられた。父親のことで塞ぐアスランを放って置いたりはしないはずだ。
まずは、プラントに向けられた脅威を全て排除する。それが己のやるべきことだと対応していると、視界の端に見慣れぬ薄紅色の機体を見つけた。恐らくアスラン達の仲間だろうが、連合の新型フォビドゥンに狙われているのが分かり、イザークは咄嗟に割り込んで盾で庇った。
そのまま盾を犠牲に相手に突っ込み、コックピットを貫く。
『イザーク!そいつを助けてくれたのか?』
「俺はあくまで連合の機体を撃っただけだ!助けたわけじゃない!」
『ほんっと素直じゃねぇの』
言い訳を並び立てるイザークだが、近くに居たため駆け付け全てを見ていたディアッカにはお見通しだ。
『ま、なんにせよサンキューな!新型を持っていくとはやるじゃん』
「ふん、貴様らだけにいい顔はさせん」
『すまない、ありがとう。助かったよ』
薄紅色の機体…ストライクルージュから聞こえた声が女性だったことに驚きつつ、イザークは礼を言われることはしてないと素っ気なく返したのだった。
- 100125/11/03(月) 22:47:20
ムウは、突如として現れたクルーゼと戦っていた。しかし、見たことのない新型の機体に苦戦をしいられる。
「これが望みか!貴様の!」
「私のではない。これが人の夢!人の望み!人の業!」
「なにを…!」
「私とてこんな状況にならないことを願っていたがね。だがなってしまったからには仕方ないだろう!このまま行き着くところまで見届けるか……それとも違う結末があるのか!」
「巫山戯るな!まだ企みがあるのか!?」
「他者より強く、他者より先へ、他者より上へ!そんな欲望の中で生まれた命の行く先など、気になるではないか!私も含めてな」
「…!おまえ、キラ達になにか……!?」
「私は結果だ。見せてもらいたいのだよ、私は。この世界のなかで、それでも愛で試練を超えられるのか。それとも抗えず、やはり自らが育てた闇に喰われて人は滅ぶのか。それだけさ。なんにせよ、貴様の知ることではないがな!」
クルーゼの機体…プロヴィデンスに搭載されたドラグーンが、ストライクを取り囲む。四方から降り注ぐ光線に、避けようがなく被弾した。
「ぐぁっ……!」
パイロットであるムウ自身も負傷してしまい、この場からの離脱を図る。クルーゼが易々と逃がしてくれるかは分からないが、やるしかない。
「フラガ少佐!!」
そこへ、直前までミラージュコロイドで姿を消していたブリッツがストライクを抱え、そのまま全速力でプロヴィデンスから離れていく。
「おまえ、居たのか…」
「見たことない機体とやりあっているのが見えて…あれは、もしかしてクルーゼ隊長…?」
「ああ…。とにかく。助かったぜ。俺は大丈夫だから、ニコルは向こうに戻れ」
「このままアークエンジェルまでお供します」
「平気だ。もうすぐそこだし、それよりキラ達とジェネシスをなんとかしろ」
「……分かりました。お気をつけて」
「おう」
この後、ムウは…
dice1d6=5 (5)
1〜4.何事もなく無事にアークエンジェルに着艦
5、6.残念ながら本編通り
1〜4 なら、フレイのとある行動によりドミニオンの発射が防げた。
- 101二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 06:52:23
ムウさああああん!!!!!
- 102二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 15:01:02
三人娘は助かったけど、ムウさんが…(いや生きてるけどね)
- 103125/11/04(火) 22:32:31
「退艦しろ!アークエンジェルに行け!」
コーディネイターへの憎しみで暴走し、銃を取り出してまで戦闘の続行を指示するアズラエルに、ナタルはクルー達にそう命令した。ブリッジクルー達は、救命艇へと急ぎ走った。フレイも席を立ったが、ナタルがその場から動かないことに気付く。
「ナタルさん…!」
「何をしてる、君も行け!フレイ」
「でも…!!」
「君は生きてアークエンジェルに行くべきだ。…ラミアス艦長によろしくな」
ナタルの眼には強い覚悟があった。ごちゃごちゃ煩いとアズラエルが激昂したのをきっかけに、フレイも覚悟を決めて走った。後ろから聞こえる銃声が怖い。何が起きているのか分かるだけに怖い。
(私、が……全部伝えなきゃ。見たもの、聞いたもの全部…ナタルさんのこともなにもかも)
アークエンジェルのクルーに。そして皆に心から謝りたい。
救命艇に乗り込んだフレイが見たものは、ドミニオンから発射されたローエングリンを庇うストライクの姿だった。
「やっぱり、俺って不可能を可能に……」
その言葉を残し、アークエンジェルを守って散ったストライク。
尚も接近するドミニオンを、ローエングリンで討ったマリューだが、その心は深い深い悲しみの中へ。
「帰って…帰ってくるって…言ったのに……!」
顔を手で覆い、涙を流すマリューに誰も何も声を掛けられなかった。しかし、非常なことに、ここは戦場。
「モビルスーツ接近!」
ムウにより生き延びたアークエンジェルは、まだ戦わねばならないのだった。 - 104125/11/04(火) 22:37:51
ムウに起きたことをまだ知らないキラ達。
ジェネシスを目指して、エターナル、クサナギと共に進んでいる最中。キラは何かを感じ取った。
(なんだ、この感じ……嫌な予感がする)
「アスラン!僕、ちょっとアークエンジェルの方に戻る!」
「キラ!?なにかあったのか?」
「なんか良くない輩がいるみたいだ!」
「輩…?分かった…気を付けろよ」
「アスランもね。カガリ、アスランを頼んだよ!」
「任せとけ!」
「普通そこは逆じゃないか!?」
不満気なアスランの声を聞きつつ、方向を転換してアークエンジェルへ。とにかく嫌な感覚がするのだが、この状況では心当たりは一つだ。
(やっぱりきたか……あの仮面。ジェネシス…アスランの方じゃなくて良かったけどね)
親子の会話に邪魔が入るなんて以ての外だ。というか、キラはアスランとだけ繋がって居たいのに、こんな胸騒ぎを寄越すこと自体がそもそも苛立つ。
(虫の予感ってやつ?お陰でアークエンジェルが守れるのは良いけどさ…)
急いでアークエンジェルへと辿り着くと、見慣れぬ機体がかなり近くまで接近していて、バスターが応戦しようとしているところだった。キラもミーティアを発射させ、アークエンジェルから引き離そうとする。
「やはり、君と戦う時がきたな」
聞こえてきたのはやはりクルーゼの声だった。
「望んでたんですか?こんなこと」
「……どうかな、だがこれも運命かもしれんな!」
初めて見る武器、ドラグーンがバスターを容赦なく狙い撃つ。キラは躱しながら、厄介な武器だと舌打ちした。
(自分の部下相手によくやるな……アスランに隊長、隊長って慕われてた癖に!)
言う通りなのは癪だが、つけるべき決着なのだろう。メンデルでは告げられた真実に狼狽えたが、今のキラは何を言われても動揺する気がしなかった。キラの心は、その大部分がアスランに寄りかかっている。他人の言葉など律儀に聞いてはやらない。
フリーダムとプロヴィデンス。二機の戦いが始まった。 - 105二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 07:48:06
「普通そこは逆じゃないか!?」
カガリはお姉ちゃんだからね
手のかかる弟と将来の義弟を守らないといけないからね - 106二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 16:02:36
保守
- 107125/11/05(水) 23:09:04
- 108125/11/05(水) 23:14:24
「君のその様子だと、出自の事はもう気にしていないのかな」
「僕は僕だって、もう分かったから!」
フリーダムとプロヴィデンスは、双方一歩も引かない激しい戦闘を繰り広げる。アークエンジェルとしても援護のしようがなく、固唾を呑んで見守るしか出来なかった。
「大体、貴方は何がしたいんですか?世界を滅ぼすつもりですか?」
「それはただ、行き着いた結果でしかない。人が愚かでないなら、こんな事にはなっていないのではないかな?」
「だから滅んでも仕方ないっていうなら、そんなの貴方の勝手な理屈だ」
「そうとも、人は勝手な生き物さ。君と私が生まれた事こそがそれを証明している」
「個人的な絶望に世界を巻き込むなんて傍迷惑な人だな。一緒にしないでください、僕は違う」
「ほう?最高のコーディネイターとして生まれ、それだけの力を示してもか?知れば誰もが君のようになりたいと望むだろうに!」
「力だけが僕の全てじゃない!」
「それが誰に分かる?」
「僕の可愛いお嫁さん!」
キラは心からそう告げた。例え何があっても此の世でアスランだけは自分を分かってくれる。
「素晴らしいな!この状況でもぶれないその愛は!その為なら平和の戦士になれると?」
「僕は別に英雄のような志で平和を求めてる訳じゃない。ただ、僕の傍にはいつもアスランが居て欲しい。僕から離れたところにいるのが許せない。だから、アスランが二度と軍に志願なんかしなくていいようにしたい。アスランは自分達だけが平和であることを良しとできない人だから」 - 109125/11/05(水) 23:16:09
「……君は、独占欲まで最高のコーディネイターなのかもしれないな。いや、それとも君達の特別な繋がり故の感情かな?そこまで人を愛せるとは恐ろしささえ感じるよ」
言葉と裏腹、クルーゼはどこか楽しそうな、これを待っていたかのような声の弾みがあった。
「…貴方は前に言ってましたよね。僕達を見てると私は期待をしてしまう、と。なんだかんだとそれっぽいこと言って煽って、何が狙いなんですか」
「…さて、どうかな?なんにせよジェネシスが撃たれれば全てが終わる。どちらにせよ終わりさ、なにもかも」
「本気で言ってるなら、貴方を慕ってたアスランが可哀想だ。ディアッカ達も」
「何が言いたいのかね?」
「ジェネシスは撃たれたりしない。アスランが絶対にお義父さんを止めるから」
「ザラ議長は憎しみに染まってしまった。そう簡単に止まれるとは思えんがね。アスランを討つ許可さえ私に下したというのに」
「答えはすぐに分かります。僕はアスランを信じてる」
クルーゼが道化芝居を止めないので、キラも会話はそこそこにして戦闘に専念することにした。メンデルでの彼の態度からして、自分とアスランになにか拘りのようなものがあるのは読み解ける。わざと煽るような物言いといい、キラと戦うことにも意図があると考えるのが普通だ。
(…なんにせよ、目論見通りになんかさせてたまるか)
ミーティアが被弾して片側使えなくなったが、プロヴィデンスの片足も切ってやった。絶対に負けない、とキラはドラグーンの雨を掻い潜った。 - 110二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 07:12:26
上げてからミスに気づく…あるあるなやつですね…
短いレスでも一応投稿ボタン押す前に確認してるはずなのにたまに誤字脱字があるという…
クルーゼがそりゃもうウッキウキなのが目に浮かぶ〜
とりあえず貴方もちゃんと生還してアスラン始めクルーゼ隊の面々に一発殴られよう!
- 111二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 15:30:48
前はデフォルトネコミミキラアスでしたが、等身大ver.も作ったので…
大したことないですがちょっとだけ表には置きにくいものが入ってます。
ファイルなう - アップロードされた複数のファイルIMG_2726.png, IMG_2945.png, IMG_2954.png (3.84 MB)d.kuku.lu - 112125/11/06(木) 22:36:27
か、かわいい…等身大のネコミミは破壊力が高い…。キラアス=かわいい、猫耳と尻尾=かわいい、二つ足して最強ですね…。
どれも全部最高過ぎるんですが、個人的に枕抱えてるアスランのイラストが凄くリラックスしてる感じがして特に好きです。
- 113125/11/06(木) 22:39:36
(……キラ、平気だろうか)
ジェネシスを目指しながら、アスランは先程離れていったキラの事が気になっていた。ああいう時のキラの第六感のようなものは、昔からよく当たった。
良くない輩とか言っていたが、もしかしたらキラにはそれが何か分かっているんじゃないだろうか。考えていると、カガリが声を掛けてくる。
『アスラン、キラが心配か?』
「ああ…」
『気持ちは分かる、私も心配だ。でも、今はお前の方が心配かな』
「大丈夫だ、俺にはやるべきことがあるからな」
エターナル、クサナギと共にジェネシスへ到着し、破壊する為に攻撃を開始する。フェイズシフトに守られたジェネシスは、戦艦のビーム砲すら弾く。
このままでは埒が明かない。破壊するより前にジェネシスが撃たれてしまう。そんなことはさせない、アスランはエターナルへ通信を入れた。
「ラクス!」
『アスラン、どうしたのですか?』
「ヤキンへ突入してコントロールを奪う!その方が早い!」
『そんな、危険過ぎますわ!』
「時間がないんだ!このままでは地球諸共全員ジェネシスに焼かれる!」
もう猶予はない。この破壊活動の合間にも、連合、ザフト問わず撃ち落とされていくだけだ。
『ラクス、私もアスランに着いていく。任せろ、絶対死なせないから。キラにも頼まれてるしな』
『……分かりました。お気をつけて』
現状と天秤に掛け、他に手がないため苦渋の末ラクスは許可を出した。不安そうなラクスの声を背に、アスランはカガリと共にヤキン内部へ。侵入を防ごうとするザフト軍と交戦しつつ、入り口の突破を図る。地球を撃ってでも恨みを果たしたいという彼等の声は鋭いナイフのようだった。 - 114125/11/06(木) 22:41:56
『ボアズには俺の弟もいたんだ!』
「……ッ」
昔の自分を見ているようだ。母を失った時の自分を。だからこそこの手で止めなければならない。半ば強引に内部へ侵入し、機体から降りて銃を手に取る。あちこちに負傷した兵士達と彼等を励ます声が満ちていた。この戦場は地獄そのものだ。
(父上…苦しむ同胞の声ももう聞こえていないのですね)
ぎり、と唇を噛んだアスランの背をカガリが叩く。
「コントロール室はどこだ?」
「……こっちだ、急ごう」
行く手を遮る兵士達と何度か銃撃戦を交わしつつ、アスランは急いでパトリックの元へと走った。アスランも胸騒ぎがするのだ。ほんの数瞬遅れるだけで何もかも終わってしまうような。
扉が開くと同時に、アスランは半ば飛び込むように中へと入った。
そこには、ユウキに銃を構え、今にも引き金を引こうとする父の姿があった。
この後アスランは……
dice1d3=3 (3)
1.ユウキの前に飛び出して銃弾から庇った
2.勢いのままパトリックの顔面をぶん殴った
3.思い切りパトリックに抱き着いて制した
- 115二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 23:14:08
ナイスダイス神!ナイス抱き着きアスラン!!
ひとまず最後の引き金回避したんじゃないか、これ!? - 116二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 08:26:03
頑張れアスラン!
なんなら抱きつきからの背負い投げでも許されるレベルじゃあああ!! - 117二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 08:29:13
ハグ!!いいぞそのまま骨が折れない程度の全裸力で行くんだ!
- 118二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 08:33:06
- 119二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 17:44:48
これならユウキ隊長も無事か!
とりあえずそのままジャーマンスープレックスくらいしても許されるで - 120125/11/07(金) 22:38:42
「父上!!」
反射的に身体が動いた。アスランは、パトリックに思い切り抱き着いて引き金を引くのを制した。
「なっ、アスラン?!」
「もう止めましょう、父上。こんなことをしても母は戻ってはきません!」
「退けアスラン!そこにまだ敵が居るというのに何故討つなと言う?討たねばならんのだ、討たれる前に!!」
「地球を撃てば生物の半数が死滅します!ナチュラルだけではない、コーディネイターにだって未来はありません!」
「ナチュラルは滅ばさねばならんのだ!!離せアスラン!」
「嫌です!!」
振り解こうとするパトリックに、アスランは必死にしがみついた。あらん限りの腕の力を込めて、絶対に離してなるものかと。
「ユウキ隊長、皆さんの避難を!」
「分かった」
やり取りを見ていたユウキは、言われた通りオペレーター達を逃がす指示を始めた。これで周囲の安全は確保される。アスランは父が持つ拳銃を自分の心臓に当てた。
「ッ!?」
「どうしてもと仰るなら俺を撃ってください。死にでもしなれば俺はこの腕を緩めません」
動揺するパトリックの眼を真っ直ぐに見つめ、アスランは銃口を更に強く押し付ける。
「アスラン!」
「何十億という命を奪うジェネシスは撃てても、不出来な息子一人、拳銃で撃てませんか?」
「……お前は!あの日の恨みを忘れたのか?!」
「忘れた訳ではありません。……だからこそ父上に同じ罪を犯して欲しくないんです」
「先に撃ったのはナチュラルだ!奴らはその報いを受けねばならん!」
「既に俺達の手も彼等と同じ血塗れなんです!」
銃口が的確に心臓の上にあるせいか、パトリックの手が震えているのが分かる。引き金に掛けられた指はもう外れかかっていたが、それでもまだ拳銃を手にしたままだ。 - 121125/11/07(金) 22:41:04
「……母は、貴方のことを強く優しい人だとよく言っていました。俺も……そんな父上であって欲しい」
「……」
「お願いです父上…」
ヘルメット越しに、アスランの瞳から涙が流れていた。息子が泣いているのを初めて見たパトリックは、思わず拳銃を手から滑り落とした。
ぼろぼろと泣いていてもその隙を逃さず、アスランはパトリックの足を払って体勢を崩した。そのままくるりと反転し、腕を掴んで一気に背負い投げる。パトリックの身体は見事に空中を舞い、床に背中から叩きつけられた。
「っぐぁッ!」
そして、首の後ろに手刀を一発。パトリックの意識は完全に飛んだ。
「すみません父上…こうでもしないと止まってくれないと思ったので」
すぐさま伸びたその身体をひっくり返して、両腕を後ろで拘束する。
「カガリ!なにか縛るもの!」
「え、あ…ああ!分かった!」
あまりに無駄のない、かつ容赦ない動きに一瞬カガリは呆気に取られたが、同伴していた兵から拘束用のバンドを受け取るとアスランに手渡した。アスランはそのバンドでパトリックの両手首を纏めた。
「……ユウキ隊長、父をお願い出来ますか?」
皆を逃がしたあと、その場に残り様子を見守っていたユウキは、頷いて引き受けてくれた。まだ残っていた側近らに声をかけ、パトリックを運ぶ。
「君はこれからどうするんだ?」
「ジェネシスを破壊します。あんなものを残しておく訳にはいきません」
「分かった。閣下は俺達に任せてくれ」
「お願いします」 - 122125/11/07(金) 22:43:48
数人掛かりで連れて行かれるパトリックを、アスランは見送った。互いに生きてさえいれば、また話すことが出来るだろう。間に合って本当に良かった。あんな風に抱き着いたのは初めてだった。
胸を撫で下ろしていると、今まで沈黙していたカガリにヘルメットを殴られた。
「いたっ」
「なんて無茶するんだ馬鹿!!私がどれだけ焦ったと思ってるんだ!」
「わ、悪い……でも父を止めるのに必死で…」
「万が一お前が死んだら、キラが壊れちゃうだろうが!」
「父が撃たないでくれると信じたんだ」
“君のことが大切じゃないなんてことはないよ”と、キラは言ってくれた。自分一人ではきっと父を信じきれなかったが、キラがそういうなら信じてみようと思った。キラはアスランが此の世で一番信じられる存在だから。
「それに、本当に撃たれそうだと感じたらその時点で腕を捻り上げるつもりだったんだ。死ぬ気なんて最初からない」
「……ほんっとおまえは…」
カガリは頭を抱えた。あの状況で撃たれそうになってから反撃できると自負するだけの戦闘力があるせいで危ない橋を容易く渡ってしまうのは大問題だ。言いたい事は山のようにあったが、説教は後でキラとラクスにでもさせればいいと今は一旦飲み込んだ。
「…ジェネシスの破壊と言ったが、どうするんだ?」
「まずジェネシスは此処で機能を停止しておく。だが、修復不可能なくらいに壊しておきたい」
「ローエングリンでは心許ないか」
「……俺に考えがある。ひとまず、キラに現状を報告しなければな」
心内でキラに話し掛けながら、アスランはコンソールを操作してジェネシスの稼働を停止させていった。 - 123二次元好きの匿名さん25/11/08(土) 07:29:22
よしよしいい感じだ
ジャスティスはやっぱり自爆コースかな…? - 124二次元好きの匿名さん25/11/08(土) 16:21:33
どこぞの漫画版では自爆しようとしたアスラン迎えに来たのがキラだったやつもあるからきっと平和的?な自爆に…
- 125125/11/08(土) 22:57:41
3が一番平穏で一番本編と違う流れになるダイスでした
今まで戦ったどの相手より、クルーゼは手強かった。此方にミーティア装備がなければ手数に対応できなかったかもしれない。
「これが定めさ!知りながらも突き進んだ道だろう!」
「それでも止めようとする人はいる!」
あの武器、本当に厄介だ。先にあれを潰したいが、かといって易々と潰させてくれる相手でもない。
長期戦を強いられる中、キラの心にアスランが声を掛けてくる。
(…キラ、ジェネシスは停止させたぞ)
(!…お義父さんは?)
(大丈夫だ。ちゃんと…止められた。キラのお陰だ)
(……泣いてるの?アスラン)
(一度溢れたら上手く止まらなくてな…この状況で神経が昂ってるのかもしれない)
アスランの心は確かに少しざわざわと落ち着かない様子に感じる。泣き慣れてないというのもあるのか、戸惑っているようだ。
(少しだけ待ってて、此方もすぐ終わらせるから)
その涙を拭ってあげられないのは嫌だ。こんな所に居る場合じゃない。キラは意識をもう一度集中させた。
「貴方だけは、今倒しておくべき人だ!」
「この業を重ねた世界に、君は何を期待するのかね!」
「貴方ほど期待もしてないし、絶望もしてない!ただ、こんな所で世界を終わらせる訳にはいかないんだ!」
キラは遠距離での攻撃を止め、ビームサーベルを連結させてプロヴィデンスに突っ込んでいった。
「なっ!?」
「業や罪がいくらあっても、僕は!」
ドラグーンすら最低限の躱しに止め、勢いを殺さない。
(多少の被弾はこの際どうでもいい…!この武器の使い方は、アスランがよくやるんだよね。これで一気に終わらせる…!)
動揺したクルーゼの背後に回り込み、ドラグーン・システムを切り裂く。そのまま、残りの四肢も切り取った。
「アスランと一緒に生きるためにこの世界を守りたいんだ!!」
「!!……ふふ」
頭部とコックピットのみになったプロヴィデンスの中で、クルーゼは満足そうに微笑んだ。しかし、とどめを刺す気配がないことに首を傾げた。
- 126125/11/08(土) 23:00:52
「……殺さないのかね?」
「最初からそれが狙いだったんでしょ。わざと煽って、自分の言葉を否定させて、最後には僕に殺させるつもりだった。そんな役目は御免です」
「…流石だな君は…」
「ジェネシスは、アスランが止めました。貴方の負けです」
「……そうか……あのザラ議長を……。君達の結論を聞いて、喝采を送りながら死ぬつもりだったのだがね……」
「散々好き勝手しておいて死んで逃げようとか、許しませんよ」
目論見に気付いた時点で殺すつもりはなかった。まずアスランにごめんなさいして貰わないと気が済まない。
あちこちボロボロな上に片足を損失したもののフリーダムはまだ動けそうだ。早くアスランの所に行きたいが、このままクルーゼを放置しておく訳にもいかない。都合良くザフト兵でも通り掛かってくれないだろうか。
(待たせてごめん、僕もこれで直ぐ行くから)
(おまえ誰と戦ってたんだ…?無理をせずエターナルに帰還した方が…)
(平気、機体もまだ動くし。それより、アスランはいま何してるの?)
(……ジェネシスをしっかり破壊しておきたいんだ。だから、内部でジャスティスを核爆発させようと思う)
(…は?駄目だよ)
(勿論ちゃんと脱出する。その為にカガリにも着いてきて貰う予定で…)
(駄目だってば!危険だし、相方が居なくなるフリーダムが可哀想でしょ!)
(しかし他に方法が……明確にジェネシスがなくならなければ連合だって…)
(そうだけど!とにかく駄目!)
アスランにそんな真似させられない。キラがどう説得しようか頭を悩ませていると、ふと、視界にあるものに気付いた。
(……様は、核動力の機体ならいいんでしょ?)
(え?まあ……そうだな?)
(ほんとに直ぐ行くから、待っててね!勝手に余計なことしちゃ駄目だよ!)
キラはアスランに念押しをすると、フリーダムでプロヴィデンスをしっかり掴んだ。
「……キラ君?」
「色々やらかした後始末はつけないと。この機体借りますよ」
身動きできないプロヴィデンスを抱え、キラはアスランの待つジェネシスまで飛んでいった。 - 127二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 08:15:40
プロヴィデンスの有効活用ww
- 128二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 14:04:48
好みのスレを見つけた!ってなって一気読みしてしまった、、ここにはてぇてぇが溢れてる
この後プロヴィデンスくんはドラグーンのデータも抜かれるんだよな、、哀れ、、
Destinyは問題なさそうだけどFREEDOMが辛い、、か? - 129125/11/09(日) 22:39:10
プロヴィデンスを使ってジェネシスを破壊する。確かに、もう大破した機体を使ったほうが効率的だ。クルーゼは柔軟な発想に笑ってしまった。
「まさかこういう結末だとはな」
「戦争が終わらなきゃ貴方に勝っても何の意味もないですから」
キラが四肢を切ってしまったので、プロヴィデンスは自力では動けない。なのでジェネシスの中まで運んで、自爆の起動をさせたら脱出する必要がある。
ジェネシスまでやってくると、アスランが発射口付近で待機していた。
「キラ!?その機体は……?」
「この機体も核動力だから、これを使う。自分がやらかしたんですから、これくらいのことは別に良いですよね」
「構わんよ」
「…その声、クルーゼ隊長?!キラ、まさか…!」
「時間がないから話は後で!ひとまず早く破壊しちゃおう」
プラントのトップであるパトリックが捕まり、直に停戦の手続きとなるのは間違いない。しかし、ジェネシスという目に見える脅威があれば今此処にいる連合兵は矛先を収められないだろう。
「ニコル!ちょっと此方来てこの人を預かってくれる?自爆のついでに死なれたら困る」
「了解です。クルーゼ隊長、僕のコックピットへ」
エターナルの近くに居たニコルを呼び、クルーゼをブリッツのコックピットへ。そこできちんと手を拘束する辺り、ニコルはしっかりしている。
ジェネシス内部へと侵入するフリーダムに、ジャスティスも着いていった。
「俺も行く。……父の憎悪の塊を、きちんと壊したいんだ」
「……分かった。一緒に行こう」
「それに、そのフリーダムの状態じゃ、ジャスティスで全速力で飛んだほうが速いからな」
ボロボロで、本来ならすぐに着艦して修理すべき状態だ。キラは平気だというが、過酷な戦いだったのは見れば分かる。
ジェネシス最深部、キラは一旦フリーダムから降り、プロヴィデンスのコックピットで自爆用のコードを打った。そして、フリーダムのコックピットへ戻ると、ジャスティスがその手を掴んで一気に上昇する。
二機が発射口から飛び出したその瞬間、ジェネシスは内側から爆発し、弾け飛んだ。
核の爆発の色が宇宙を染め上げる。
『宙域のザフト全軍、ならびに地球軍に告げます。現在プラントは地球軍、及びプラント理事国家との停戦協定に向け、準備を始めています。それに伴いプラント臨時最高評議会は全宙域に於ける全ての戦闘行為の停止を地球軍に申し入れます』 - 130125/11/09(日) 22:41:45
プラントから、戦闘行為を停止するアナウンスが繰り返し流れている。
それは、恐らく全ての人々が望んだ戦争の終わり。
フリーダムのコックピットから飛び出したキラは、同じようにジャスティスから此方へ向かってくるアスランに抱き着いた。
「アスラン!」
「キラ……!」
色んな感情が湧き上がって、無重力の中で身を寄せ合った。トリィ、と鳴き声が聞こえた気がして、顔を上げると小さな大切な友達が真っ直ぐに此方へ飛んできていた。二人の間にそっと降りてきて、迎えに来たというように羽羽ばたかせてまた鳴いた。
「…終わったんだね、アスラン……戦争が」
「ああ……終わった……これでやっと…」
トリィを貰ったあのアスランとの別れから、再会するのに三年。その間に、色々なことがあった。変わらず続くと信じていた日々が簡単に壊れてしまうことも、指先一つで大勢の命を奪ってしまえることも、自分がどういう理由で生み出された存在なのかも、今のキラは嫌と言うほど思い知ってしまった。
それでも、アスランへの想いだけが変わらずキラの中で強く輝き続けた。平穏だった日々から遠く離れた場所まで来ても、それだけを道標に何処までだって頑張れると思えた。キラにとって重要なのは、何時だってアスランに関することだけなのだ。
「…君を戦争から解放するのにだいぶ時間掛けちゃった」
「馬鹿だな、お前争いとか大の苦手だったくせに…こんな無理をしてまで…」
「だって、僕にはアスランが必要なんだ。何よりも、誰よりも。それにね、アスラン。戦争は終わったけど、僕達はまだまだこれからが始まりなんだよ」
「始まり……」
「そう。今この瞬間から、また始まるんだ。僕達の人生が」
「…そうだな、これからが本番だ。なにもかも、全部これから…」
戦争の終わり。それは、二人の新たな物語の始まり。
泣きながら、滲んだ視界で互いの瞳を見つめ合う姿を、フリーダムとジャスティスが静かに見守っていた。
- 131125/11/09(日) 22:44:04
というわけで、無印最終回まで辿り着きました。
次からは、色々と戦後の話を回収しつつオーブに降りてからの結婚に関する話になります。
思えば、二スレ目でキラが結婚のダイスをスナイプしてからこのスレの方向性が完全に定まった感じがあります。
それぞれの父親が生きてたりと本編との変更点も多いですが、何よりも今後シン達との出会いやらなんやらするときにアスランが既に人妻になっている可能性は予想していなかったです。
一気読みして頂いたというとても嬉しいレスを見て改めて調べてみたんですが、現状25万字近く書いておりまして、皆さんにとんでもない文字数を浴びせているという…そしてこれからもどんどんと文字数が増えます。
そんなこんなで、スレ主の癖をこれでもかとグツグツ煮詰めたスレですが、これからもこのキラアスの物語にお付き合い頂ければと思います。 - 132二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 07:27:59
ムウさんだけが本編通りになってしまったけど、かなりの平和ルート…!!!
ダイス神に感謝…! - 133二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 15:28:29
続編期待しつつ保守
- 134125/11/10(月) 22:40:00
ムウさん生きてることが判明するまではマリューさんには悲しい思いをさせてしまうけど、ちゃんとまた会えるので…。
停戦となってから、やるべきことは無数にあった。
一旦エターナルに戻ったキラとアスランは、直ぐにアークエンジェルに向かうこととなる。
ドミニオンの救命艇に乗ったクルー達、連れ帰ったラウ・ル・クルーゼなどへの聞き取りや処遇の決定。多方面に人手が足りず、また関係者である二人は呼び出されたのだ。
何より、皆に大きなショックを与えたのは、ムウ・ラ・フラガの戦死だった。
マリューからその知らせを受けた時、キラは思わず持っていたヘルメットを手のひらから滑り落とした。
カラン、と落ちたそのヘルメットを拾い上げ、アスランはキラの背をそっと押した。今の彼女には悲しみを共有する相手が必要だろうという、促された意図と思い遣りを理解し、キラは黙ってマリューに胸を貸した。思えばヘリオポリスから、もう短くはない付き合いになっていた。愛する人を残して死ぬなんてあんまりですよと、キラは拳を握り締めた。
「……ごめんねキラ君……アスラン君も……ありがとう」
暫く涙を流した後、マリューは泣き腫らした眼で微笑んだ。それが無理をしているとは分かったが、艦長としての務めを果たそうという決意を邪魔したくはなかった。
「ドミニオンから逃げてきたクルーに、フレイさんが居たの」
「フレイが?」
「彼女から色々聞いたわ……お陰で、ナタルを恨んだりしないで済むわね。でも……生きて会いたかったわ」
「……そうですね」
「彼女、貴方に会いたがってたわ。後で顔を見せてあげてくれるかしら。今はサイ君が側についている筈よ」
「分かりました」
「それと……イザークさんにはもう会ったかしら?」
マリューがアスランの方へと目を向けるので、はいと頷いた。
「先程会いました。ディアッカを助けてくれたんだと」
「そうなの。それで、この艦で預かってるラウ・ル・クルーゼを、一緒にザフトに連れ帰ってくれるそうなんだけど…」 - 135125/11/10(月) 22:42:26
「俺としてもそれが一番、面倒がないと思います。俺やディアッカ達は今すぐにプラントへ戻る訳にも行きませんし、わざわざザフトへ事情を話すよりイザークが戦場で救助したという事にする方が良いでしょう。ですが、その前に会うことは可能ですか?」
「ええ、今は一旦ディアッカ君達の部屋に置いているけれど…」
「ありがとうございます」
どこの軍にも属さないアークエンジェルでは、捕虜として扱う事もない。知り合いである彼等に任せるのが妥当と判断したのだろう。二人は、言われた通りにディアッカの部屋へと向かうことにした。
「アスラン、会ってどうするの?」
「まず話を聞いて……それから殴る」
「殴る」
「俺と、イザークと、ディアッカと、ニコルから一発ずつな。キラは?」
「僕はさっきフリーダムでボコったからいい」
「そうだったな」
まあ、父親の事といいアスランには当然怒る権利があるので、拳一発で済ませてくれるならむしろ恩情だろうと思う。
(……お義父さんのこと、どうするんだろう。会えるのかな、アスランは)
戦争は終わったが、片付ける問題は山積みだ。今はラクスがプラントにいるシーゲルとコンタクトを取ろうとしているようだが、ほとぼりが冷めるまで表立った動きは出来ないように思う。
「ところで、キラ」
「ん?どうしたの」
「おまえは泣かなくていいのか」
「……今はね。泣きたくなったらお願い」
「ああ」
「色んなことが一斉に起きたからなあ。此処でやることが大体終わったら、すぐエターナルに帰ろうか」
忙し過ぎて喜怒哀楽が追いつかない。それはアスランも、恐らくは他の皆もそうだろう。疲れやら戦闘の余韻やらでハイになって動いてるようなものだ。
その後、アスラン達が一発ずつきっちり殴ったクルーゼをイザークが連れて帰ったり、フレイに謝られたりと、起きた出来事を上げたらキリがない。二人がエターナルに帰れたのは、丸一日経った後だった。 - 136二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 08:26:58
顔ボコボコになってそうだけど仮面お兄さんとても満足した顔をしてそう
- 137二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 17:36:07
クルーゼはボコったしこの勢いでパトリックに1発ぶち込んで結婚の許しを得ようぜ(明らかに喧嘩売っている)
- 138二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 17:43:47
は!クルーゼ生きてるしレイもデュランダルに盲目的にならずに済むのでは…?
- 139125/11/11(火) 22:41:08
「え、プラントに?」
湯上がりのアスランの髪をタオルで包みながら、キラは目をぱちぱちとさせた。
停戦から数日、なんとか一息つける時間が取れるようになって、こうしてシャワーを浴びた後ゆっくり談笑できるくらいの余裕が出来た。なお、二人がシャワールームを使っている時はエターナルクルーらは絶対に立ち入らないという暗黙の了解が裏で取り決められている。
さっきまでアスランがキラの髪を乾かしてくれていたので、次は僕がやるとアスランの柔らかな髪の毛の感触を楽しみつつ水分を拭き取っていたのだが。
「プラントに行く、って…どうして?」
「俺も、父が拘束されている立場で、ザフトから機体を持ち逃げして戦場に割り込んでおいて、プラントに入国は当分無理だろう…と半ば諦めていたんだがな。でもラクスが…」
「ラクスが?」
「シーゲルさんが秘密裏に手を回してくれるから、父に会いに行けと言うんだ」
「お義父さんに…なるほどね」
「ヤキンではゆっくり話す間もなかったから、俺も会いたいとは思うんだが……でも、何かあればシーゲルさんに迷惑を掛けてしまうだろう」
「それで迷ってるんだ」
ぽんぽんと髪の毛をタオルで挟み込んでドライしながら、難しい顔をしたアスランを眺める。確かにバレたら危険だろうが、これ以上ないチャンスでもある。
「良いんじゃない、行こうよ。僕も着いてくけどね」
「……実は、一緒に来てくれないかと言おうと思ってたんだ」
「え!ほんとに?」
あのアスランが自分から…キラはちょっと感動した。
「……俺と結婚するんだろう」
「する!」
「じゃあ、紹介……すべきだろ」
俺の結婚したい人だって。小さく呟いたアスランの声をしっかり拾い上げ、キラは後ろからがばっと抱き着いた。
「僕、ちゃんとご挨拶するね」
「……まあ、どんな挨拶しても絶対怒られるだろうが……頼むぞ」
「任せて」
戦争を終わらせて本当に良かったなあ。キラは嬉しさを噛み締めつつ、ドライヤーをアスランの髪の毛に当てた。 - 140125/11/11(火) 22:51:40
【ポッキーの日】
「アスラン、ポッキーゲームしよう」
「ポッキーゲーム…?なんだそれは」
「ポッキーの両端を咥えて食べ進めてくゲームだよ」
「…それ、やって何の意味があるんだ?」
「さあ?でもひょんなことからポッキーが手に入ったし、やろうよ」
「食べ物で遊ぶな」
「ちゃんと食べるから良くない?僕、やってみたいなぁ」
「……一回だけだぞ」
さく、さく
ちゅっ
「あ、食べ終わっちゃった」
「?……なあ、これゲームなんだよな」
「そうだよ」
「じゃあ、勝敗があるんだろう?何で勝ち負けを決めるんだ」
「うーん、食べた量とか?」
「……今どっちが多く食べたんだ?」
「わかんない、もっかいやろ」
さくさくさくっ
ちゅっ
「ん、……俺の方が多く食べた」
「えー?僕の方が食べたよ。顔の位置からしても、ほら、僕から唇くっつけたし!」
「……もう一回やるぞ」
「いいよ」
「なんだよニヤニヤして」
「なんでもないよ」
(勝負事になるとムキになって可愛いなあ。次はゆっくり食べてアスランからキスして貰おうっと)
ポッキーゲーム、どちらにせよキラの勝ち。
- 141二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 07:25:47
顔がニヤけたまま戻らない
- 142二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 17:04:47
お、待ちに待ったパトリックへの結婚の報告か
シーゲルさんやラクスも立ち会うだろうしさてさてどうなるか