- 1二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:46:18
- 2二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:46:36
脚本家がセンスあるからだよ
- 3二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:46:39
君が相手だから
- 4二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:46:40
- 5二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:46:43
君が魅力に溢れているからだよ
- 6二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:47:20
深い理由はない、自然と出てくるんだ
- 7二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:47:30
「……っ❤」
その甘美な声や言葉に声が詰まり、意識が遠退きかける。自分自身の興奮を抑えきれなくなりそうになるのを必死で堪える。今日は、今日こそは常日頃思っていた疑問符をぶつけてやるのだ。その豊富な語彙力はどこから生まれたのか、と。
呼吸をなんとか整え、彼の方へ向き直る。
「……トレーナーさん、質問があります」
「そうかな? あんまり意識したことはないんだけど」
少しばかり重い春雨が窓を濡らす中、彼は苦笑しながら答えた。今、再熱しているものがある、と。意識せずにあんなことやこんなことを常日頃言われていては堪ったものではないが。
近頃ライスシャワーのトレーナーと夜な夜な書物を読み耽っているそうだ。彼女のトレーナーは、彼女の本の制作の手伝いもしていて、本の表現が制作に大きく役立っているのだという。またリラクゼーションも兼ねて無くてはならない大切な時間になっているそうだ。
では何故自分のトレーナーがというと、初めて会った時に趣味は読書だと伝えたところ、彼の書庫の読書会に誘われるようになったのだという。成程、魅力的な表現が踊る本は、本好きからすればある一種の褒美とも捉えられるし、また同じ趣味を持つ同僚にもそれを勧めるのは何ら不思議ではない。
しかし今度は別の疑問が沸き起こる。再熱という言葉だ。もしかして過去に彼を変えた転換点があったのかも知れないと思うと、是非とも問うてみたくなる。
- 8二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:47:38
………っ❤️
- 9二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:48:05
うわあSSに続けるな!
- 10二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:48:06
「……昔の友人のお陰かな。僕が本を好きになったのは」
昔を懐かしむように思い出しながら、ゆっくりと語り始める。
彼が小学生だった頃は今とは全く違い、本を好んで読むことは無かったという。今との変化ぶりにただ驚いたが、"男子、三日会わざれば刮目して見よ"という言葉もある。人は数年もあれば大きく変わるのだということを感じさせた。
「それで林間学校ってあるよね? フラッシュのところで言うサマースクールってやつ」
ターニング・ポイントになったのはどうやらそこらしい。その日の夜、校舎の窓から近くの林を眺めていた時後ろから声をかけた人物、それが自身に革命を起こした張本人だったという。「なんだオマエ一人で。折角来たんだから楽しまなきゃソンだぜ! ……星、見たくないか?」そんな独り黄昏れていた自分に声を掛けてきた、と。
「けれどその時は今日と同じような、雨こそは降らなかったんだけど、あんまり良い天気じゃなかったんだ」
「……どうして彼はそんな天気の中で星が見れると思ったのでしょうか」
「確かに本物の星は見えなかったね。でもあの輝きは確かに星だったんだよ」
まるで謎掛けのようなことを言う。本物の星ではないのに確かな星? ということは地上で見られる何かの光か、そんなことを考えたがついに答えは導き出せなかった。
「……ごめんなさい、分かりませんでした」
「まあフラッシュにとっては馴染みが薄いから難しかったかな? じゃあ正解をと思ったけど、喋りすぎて喉が渇いたな」
「この答えはコーヒーでも飲みながらゆっくりと話そう」
- 11二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:48:41
未だ止まぬ春雨を背に、彼はブラックを。私は少し甘めなモノを。それぞれ自分の手元へと運ぶ。
「じゃあ答え合わせと行こう。フラッシュが導き出せなかったモノ、それは"蛍"だよ」
「ホタル……ですか? あの光る」
「そう! 今は殆ど見ることができなくなってしまったけれど、当時は山に行けば結構見ることができたんだ」
蛍は自分で発光できる珍しい昆虫だ。しかしそれがどうして星に繋がるのだろう。確かに数が多ければそれは幻想的とも言えるが蛍は蛍、星に成れる訳ではない。
「……理解できません。ホタルはホタルです。星に成ることは有りえません」
「僕も彼に同じことを言ったよ。"星じゃなくて蛍じゃないか"って。けど、彼が言った言葉が確かな星と思わせてくれたんだ」
────────
「勝手に飛び出しちゃ怒られちゃうよ!」
「大丈夫だって安心しろよ! 道に迷ったって言えばヘーキだから!」
集合時間はとうに過ぎ、先生達に怒られるのは必然となってしまった中、彼と手をつなぎ夜の林を駆けていた。その自信は一体どこから生まれてくるのか不思議で仕方なかった。叱られたときに彼にすべて押し付けようと心の中で決心したとき、小川のほとりに辿り着いた。
「着いたぜ!」
「着いたって……わあっ……!」
眼の前に広がったのは、淡い光の軌跡を残して優雅に舞う蛍達だった。写真やテレビでしか見たことがない、光の舞。それが今現実になって自分の瞳に焼き付こうとしている。
けれど彼が言っていた"星"ではないことに、文句が漏れてしまう。
「凄くキレイだけど……でも本物の星じゃないよね」
そんな言葉に彼が返した言葉は今でも忘れられない。
「確かに本当の星じゃない。だけど」
光の舞踏会を背に、満面の笑みを見せた。
「足を一歩踏み出して、手を伸ばせば届く。宇宙のどんな星々よりも近い天ノ川だよ」
- 12二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:49:18
「子どもなのに"なんて素敵なんだろう"って思ったんだ。僕もこんな素敵な言葉を覚えたいって」
「それで読書家に……」
「いつか彼みたいになりたいって思ってね。色々読み始めたんだ」
そう言うものの、彼の視線は温くなってしまったコーヒーに落ちたままだ。
「彼とは今も友人を?」
そんな質問に首を振られ、
「いいや、中学に上がる頃に離れ離れになってしまったよ。今何をしているのかさっぱり」
ようやく上げた顔はどこか憂いていて、見ているこちらさえも寂しさを覚えさせる。
そんな雰囲気に居たままれなくなった私は、自分の思いを伝えることにした。
「……私、もっともっと日本の文学に触れてみたいです」
「フラッシュ? それは嬉しいけど、どうして?」
何故、と言う様な顔に優しく微笑む。
「いつかトレーナーさんと一緒に彼に会ったとき、何も知らないではつまらないですから。それに」
「トレーナーさんと同じ想いを感じてしまった、というのは変でしょうか」
「今頃彼は何をしているんだろうね」
帰り支度をしている最中、そんなことを呟かれる。確かにあんな素敵な表現をしているなら、今頃は物書きにでも成っていそうだが。
「でもどんなことをしていても、良い人であることは変わりないと思うんだ」
「どうしてですか?」
先ほどとは打って変わって、こちらが困惑した顔になる。すると彼は同じように微笑んだ。
「だってあんなことを言える人は、素敵な善い心を持っているからさ」
- 13二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:49:53
「……ックシュン!」
季節外れの寒さによるものなのか、それとも誰かが噂をしているからなのか、くしゃみをしてしまう。それを心配そうな顔が覗き込む。
「……大丈夫?」
「あぁゴメン……風邪にでもなっちゃったかな」
そんなことを言うと、心配そうな顔が驚きの顔に変わる。
「大変!じゃあ今日はお兄ちゃんの為にご飯作ってあげる!」
「おっカレンの手料理か!楽しみだ!」
そんな二人は小雨に変わった春雨の中をゆっくりと歩いていった。
おわり
- 14二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:53:36
急にSSスレになるのはルールで禁止っスよね(賞賛)
- 15二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:53:57
フラトレのギザ男設定がお兄ちゃんの影響だったら美しいなって思ったお話
- 16二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:55:09
初めて辻SSやってみたけど面白いっすね!これはハマりそう
- 17二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:58:07
回り回って同期の担当トレーナー同士かぁ‥
- 18二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 00:01:42
いきなり何か始まったと思ったら
- 19二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 01:36:35
ネタスレをグチャグチャに崩壊させるんだ
これはもううまぴょい以上の快楽だ - 20二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 13:00:26
ほんとにびっくりしたわ