【閲覧注意】ごーよくさん

  • 11主25/10/16(木) 19:44:40

    怒鳴り声と何かガサガサと聞こえる
    ギシギシと、傷んだ床が鳴る
    今すぐ逃げてしまいたい
    少し前まで出ていた涙はとっくに枯れてもう出ない

    背を向けて縮こまっていた

    ‪”‬背中向けるな‪”‬

    そう何度言われたか覚えてない
    けど、怖いものから逃げたくて
    背を向けた

    足音はもう聞こえなかった

    [啓悟]

    殴られる
    そう感じ目をぎゅっと閉じた
    けど、いつまで経っても、痛みは来ず、俺は恐る恐る後ろを見た

    [こうやって話すのは初めましてだね]
    「…誰…?」

    [剛翼、君の個性だよ]

    ※個性の性格の独自解釈
    若干のキャラ崩壊等が含まれます
    それ以外にもあるかもしれません
    苦手な方はブラバをお願いします

  • 2二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 19:53:32

    ごーよくさん…

  • 31主25/10/16(木) 19:55:13

    「個性…?」
    俺は個性の事になんて全く詳しくなかった
    [そ、啓悟の個性、剛翼!]
    俺はゆっくりと立ち上がり、「ごーよく」と名乗る男の顔を見る
    多少の違いはあれど、目の前に立っているのは少し大きな俺
    [やっと話せて嬉しいよ、俺…啓悟にずっと無視されてると思っててさ、結構ショックだったんだよね]
    ごーよくの手が俺に伸びる

    殴られる

    きゅっ…と目を瞑る

    だが、先程のように痛みはなかった
    ほんのりと頭が暖かくなったような気がした

    [これからも仲良くしてね、啓悟]

    訳が分からない
    きっと夢だ、俺はおかしくなった
    父に殴られすぎて頭が壊れたんだ

    …でも、もうこの際、壊れててもいい

    [今日からは安心して過ごして、俺が居るから]
    「…うん」

  • 4二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 19:57:55

    ごーよくさんはホークスの姿してんのかな

  • 51主25/10/16(木) 19:58:23

    けど、俺が待っていたような生活は訪れなかった
    殴られ、蹴られの毎日
    ごーよくさんは、助ける素振りすら見せてくれなかった
    ただ、ずっとほんの少しだけ笑って、俺が殴られ終わったら、何事もないように話しかけてくる

    [なんで助けてくれないの?とか思ってる?]
    「…」
    [ごめんね]

    ただ、俺が羽を掴まれると、少しだけ苦しそうな顔をする
    それが…何となく嫌で、羽だけは何とか守っていた

    俺は、父にも母にも個性が話しかけてきたと教えた
    だが、父は気味が悪いと話は聞いてくれなかった
    母は興味など無さそうにしていた

  • 6二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 19:59:49

    幻なのかな…

  • 71主25/10/16(木) 20:01:05

    [啓悟は毎日楽しい?]
    なんて答えていいのかわからなかった
    楽しい毎日なんて想像ができない、分からない
    「ごーよくさんは?」
    [俺?俺は…]
    [啓悟と一緒に居れて、楽しいよ]
    「個性って…何?」
    ごーよくさんは、ものすごく返答に迷っていた
    難しいことを聞いてしまったらしい
    [あー…まぁ、難しいことは俺もよく分からないけど…]
    [俺は、啓悟のココに居るよ]
    そう言って俺の羽を指差す
    [お父さんからの暴力からは助けてあげられないかもだけど]
    [絶対傍に居るから]

    [俺と啓悟はずっと一緒!]

  • 8二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 20:02:52

    AFOさん頼む、ごーよくさんを啓吾から奪わないでくれ

  • 91主25/10/16(木) 20:16:53

    今度は、その言葉の通りだった

    少し間だけ、どこか行ってくれないかな…なんて思った日もあった
    けど、本当にずっと一緒に居てくれて…
    ごーよくさんの真似をして、「笑う」ってこともしてみたりした
    「ごーよくさんの真似…できてる?」
    [ははっ、うん、いい笑顔、俺、鏡とかガラスとかに映らないから自分の顔見れなくてさ]
    [俺と啓悟は、年齢とか体とかはほんの少し違うけど、俺と啓悟は…まぁ、双子?とか兄弟?みたいなものだから]
    [きっと俺はいつも今の啓悟と同じぐらい、いい笑顔してるんだろうな俺]
    ごーよくさんの事が、ほんの少しづつ分かっていくのが、本当に嬉しかった
    [けど…啓悟に触れないのだけは残念…かな]
    [啓悟に触れたら…こんなとこすぐに出ていって、啓悟にもっと広い世界を見せてあげれるのに]
    [例えば…ヒーローとかね]

    ごーよくさんは色んなことを知ってる
    けど、俺にはよくわからなかった、難しい話だったから

    「ヒーローって何?」
    [俺もさ、よく知らないけど…]

    「何となくさ…啓悟にはなって欲しかったり…なって欲しくなかったりするな」

    いつも笑ってるごーよくさんが、この瞬間ほんの少しだけ怖かった

  • 10二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 20:17:59

    ちょっと不穏入った…?

  • 11二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 20:19:57

    ごーよくさんがどこまで知ってるか分からないけどヒーローになったら…ホークスにとって苦しいこと沢山させられるから止めたいのか?

  • 121主25/10/16(木) 20:33:40

    「…?」
    [あー…気にしないで…冗談だから]
    [じゃ、ヒーローについて話そ────]
    ごーよくさんが話しかけた時、突然羽がビリビリとよく分からない感覚に襲われた
    ごーよくさんも初めての体験だったようで感触は感じなかったが、俺の手を握っていた
    そして深く息を吸った後俺に話しかけてきた
    [啓悟、聞く余裕ないかもだけど聞いて]
    [君は人を助けたい?]

    俺はなんと返したか、よく覚えていなかったが…
    気づいたら、家の外を出て大勢の人を火の手から遠ざけていた
    羽根が焼け、だんだんと減っていった

    ごーよくさんのことも、もちろん心配だった
    俺が個性を使うことなんて、今もこの先も絶対ないと思っていたからだ

    消えてしまったらどうしよう

    「…!」
    俺は、ごーよくさんのことよりも、家に帰ったあとの恐ろしい出来事を想像してしまった

    心臓が締め付けられるような、胃の奥がドッと重くなるような感覚
    帰らなきゃ…早く…
    けど、ごーよくさんは?助けた人は?

    体が熱くなり涙が自然と出てくる
    どうしよう、どうすれば…

    [偉いよ、啓悟]

  • 13二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 21:31:37

    ごーよくさん!
    無事だった……のか…?

  • 141主25/10/16(木) 23:14:02

    「ごーよくさん!」
    「…平気?」
    [いや、聞いて欲しいんだけどさ!最初啓悟が個性使った時、身体の力が抜けてくからさ!?このまま死ぬんじゃないかって思ったんだけどさ…!]
    すごい勢いで話してくる…
    [なんか、すごい疲れただけで、全然生きてた]
    [って…そんなことよりもさ!ほんと偉いよ啓悟!]
    ごーよくさんが抱きしめてくる
    もちろん感覚は無かったが、ふと、ごーよくさんの背中を見ると生えていた羽は今の俺と同じぐらい小さくなっていた
    [あと…ごめんね啓悟…多分啓悟も疲れたよね]
    [俺のせいだ…俺が変なこと言ったせいで…]
    「帰ろ、ごーよくさん」
    「ヒーローの話…教えて」
    俺がそう言うと、剛翼さんはいつもの様に笑ってくれた

    ──────────
    外に出たことが当然バレてしまい、誰にも見られてないと言った俺の言葉も無視して、蹴られ続けた
    ごーよくさんが、ヒーローの話をする間もなく、家に帰ってすぐに暴力を振るわれた
    本当にすごく疲れた

    でも…なんだろうな…
    暖かいな

  • 151主25/10/16(木) 23:15:40

    [目、覚めた?大丈夫?]
    「疲れてただけやけん…大丈夫」
    ゆっくりと身体を起こした
    [お父さん達はもう寝たから、一応今は安全だよ]
    [今日の啓悟は、間違いなくヒーローだった]
    「あ、そうだ…ヒーローの話」
    [そうだね、ヒーローっていうのはさ]
    [強くて、みんなを安心させられて、他の人の為に命を賭けて守れる人…かな]
    ごーよくさんが、俺の方を指さす
    [その人とか、正にヒーローって感じ]
    「本物…見たことないから…分からない」
    前に母が買ってくれたぬいぐるみを強く抱きしめる
    [なら、テレビでもいいから見よっか、今の時間帯でもテレビはやってるだろうし]
    ごーよくさんが、手招きをする
    俺は物音を立てないようにゆっくりと、テレビの前に来た
    寝ている母のそばにあったリモコンをそっと拾いテレビを付ける
    音が流れても母も父も起きる様子はなかった
    [エンデヴァーって言うんだね、知ってた?]
    「…えんでばー」
    テレビに写るヒーローは、ヒーローという言葉以外でなんと言えばいいのか分からなかった
    [かっこいいね]
    「うん」
    [啓悟がヒーローになったらさ、もしかしたらエンデヴァーと一緒に仕事できるかもね]
    ごーよくさんに言われるまで将来なんて考えたことが無かった
    […きっと、啓悟ならかっこいいヒーローになれるよ]
    さっきの怖い顔はどこに行ったんだろうかと言うほど、穏やかな顔をしていたが、ごーよくさんはどこか寂しそうだった

  • 16二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 23:19:37

    あ…
    この鋼翼さん、AFOにとられてそのまま消滅しちゃった後の…?

  • 171主25/10/16(木) 23:43:59

    […啓悟]
    「ん」
    [眠たい?]
    「…うん」
    [そっか、じゃあ、寝る前にちょっとだけ話そっか]
    ごーよくさんは、膝を抱えて座る俺の横にしゃがみ込む。
    姿はぼんやりしてるのに、近くにいる気がした
    [ヒーローってさ、守るだけじゃなくて、“大丈夫だよ”って言える人なんだ]
    「…ごーよくさんみたいに?」
    [俺?うーん、そうなれたらいいけどなぁ]
    小さく笑って、俺の髪を撫でる仕草をする
    触れないはずのその手が、不思議とあたたかい
    [今日は頑張ったね、啓悟]
    「…また、怒られるかもしれん」
    [うん、でも、俺がいる]
    「ほんとに?」
    [ほんとに!]
    ごーよくさんは、俺にとって、親のような…兄のような存在だった
    安心する、いつも一緒に居てくれる
    ごーよくさんが話してくれる明るい未来が来るような気がする
    途方もない希望が見えるような気がする
    [おやすみ、啓悟、また明日]

  • 181主25/10/16(木) 23:55:35

    そこから数日経った
    ごーよくさんは、何時でも俺と話してくれた
    どうしようもなく悲しい時も、ちょっとした嬉しいことも
    共有できる人間が居て、俺は幸せで…楽しかった
    ──────────
    ドタドタと母がなにか焦っている音が聞こえた
    [見てくる?]
    「うん」
    だが、俺は少し怖かった
    もしかしたら…母が…なんて考えてしまったからだ
    [一緒に行くから、大丈夫]

    「あん人、捕まっちゃったって…」
    「どうしよう啓悟…車ば盗んで逃げて…そんで捕まっちゃったって」

    「…エンデヴァーに」

    架空は現実に
    ヒーローは実在した
    「ごーよくさん…」
    ごーよくさんは何も言わずに、俺の肩に手を置いていた

    そんな衝撃の余韻に浸る暇もなく
    母は俺の手を引き、その日の内に家を出た

    けれど、この母に生活能力があるはずも無かった
    「ケーサツ…行こ」
    ごーよくさんは俺に正しさというものを教えてくれた
    俺は正しくあろうとした
    けれど…俺の言葉に耳を貸してはくれなかった

  • 19二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 06:50:25

    どうなっていくかな…

  • 20二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 11:58:40

    ほしゅ

  • 211主25/10/17(金) 13:04:45

    ──────────
    『今後、ご家族ごとこちらで全面支援させていただきます』
    母と見たことないスーツの大人が何か話していた
    俺は本当にどうでもいいことを考えていた
    ごーよくさんはやっぱり、まだ大人じゃない
    けど…なんか前より大人に見える
    [啓悟]
    「なに?」
    [啓悟は、今楽しい?]
    「…毎日楽しいよ」
    [良かったね]
    どうでもいい会話、ごーよくさんの笑顔
    それが俺を安心させた
    ──────────
    状況もよく分からない中、俺はとっても大きなビルの中に連れて行かれた
    ごーよくさんは不安がっている俺を慰めるように背中をさすってくれた
    『啓悟くん』
    名前を呼ばれ、思わず足が止まってしまった
    『大丈夫、ここには君を脅かす人は居ないよ』
    『君には…やってもらうことがいくつかあるけど、平気かい?』
    「…ごーよくさん…」
    [啓悟が思ったことを言ってみて]
    「…はい」
    『一応質問なんだけど、今君には私以外の人間の声が聞こえてる?』
    「…はい」
    『…』
    『不安にさせること言ってごめんね、答えてくれてありがとう』
    『1度体を洗おうか、いつまでも汚れたままじゃ心も落ち着かない』

  • 221主25/10/17(金) 16:51:46

    幼い俺の頭にはあまりのも情報量が多かったが
    ひとまずお風呂に入れさせられた
    服を脱ぎ、案内してくれた人は洗い終わったら呼んでくれと言っていた
    シャワーの温度がほんの少しだけ緊張を和らげさせてくれた
    けど…どう体を洗えばいいか分からない
    ごーよくさんに聞こうとしたタイミングで、風呂場のドアが開いた
    俺はビクッとなり、羽で体を隠す
    「同性でも裸を見られるのは嫌でしたねすいません」
    すぐに出ていこうとする男の人の手に少しだけ触れる
    「…身体…洗い方…分からなくて」
    「…そうでしたか」
    「触られるのは嫌ですか?」
    俺は首を横に振る
    「じゃあ、そこに座って目を閉じててください」
    「あの…」
    「目良善見です、好きに呼んでください」
    「目良さん…ありがとうございます」
    目良さんの手は、湯よりもずっと優しかった
    泡立った指が髪をゆっくり撫でていく
    「目良さん……個性が見えるって、変ですか?」
    「個性が見えるとは?」
    「人みたいに…話したり、動いたりして」
    目良さんはしばらく黙ってから、穏やかに答えた
    「……その人に、意地悪をされたりは?」
    「ずっと優しくて……俺と、ずっと一緒にいてくれて」
    「素敵な個性ですね」
    そう言って、また髪を洗う手が動いた
    「変じゃ…ないですか?」
    「寧ろいい事です、変じゃないですよ」
    何となく、目良さんはとてもいい人なのだと思った

  • 231主25/10/17(金) 18:32:16

    身体を洗ってもらったあと、体を拭き、用意されていた服を着た
    俺がこの後どうしようか分からずに戸惑っているとごーよくさんから声をかけてくれた
    [いやぁ、綺麗になると気分がいいね]
    「ごーよくさん!」
    久々に声をかけてくれ、俺は思わず大声で名前を呼んでしまった
    [ごめんごめん、心地よかったから俺、寝かけてさ]
    […目良って人、きっといい人なんだろうね]

    「啓悟くん、お話中悪いですが、まだ君にはやってもらわないことがいくつかあります」
    「大丈夫ですか?」
    [頑張ろう、啓悟]
    ごーよくさんが、励ましてくれる
    俺は、頷き目良さんについて行った

    「エンデヴァーが好きですか?」
    ちらりと横目で目良さんが、俺が抱えていたぬいぐるみを見る
    俺は小さく頷く
    「彼のようなヒーローになりたいですか?」
    「なりたいです」
    「…君なら、必ずなれますよ」
    あの時のごーよくさんと同じで、目良さんがほんの少し怖い顔をしたような気がした
    俺と話するのが…嫌なの…かな
    「君のお友達の名前はなんて言うんですか?」
    「ごーよくさん」
    「漢字…は、無理ですよね…ごーよく…」
    目良さんは自分の手に指を当てて、何かしていた
    「多分…剛に翼で…剛翼ですかね?」
    「…?」
    [難しい話ですいません、着きましたよ]

  • 24二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 19:09:40

    ごーよくさんも目良さんも、どっちも一瞬怖くなるのは何なんだろうか…
    どっちもヒーローになれる、って話の時なのが…

  • 251主25/10/17(金) 19:29:50

    「そこの扉に入ってくれれば、職員が居ますので、その人たちと話してください」
    「目良さんは?」
    「私は…これでもそこそこ忙しいので」
    俺は軽くお辞儀をする
    「啓悟くん、君は本当にヒーローになりたいですか?」
    「まだ…ヒーローはよく分からないです」
    「けど…俺もあの人みたいになりたい」
    「多分、また同じことを聞かれると思います、君が思ったことを職員に言ってください」
    目良さんは軽く手を振り、俺から離れていった
    「ごーよくさん…俺嫌われてる…?」
    [いや?歓迎は…されてるか分からないけど、嫌われては無いと思う]
    「けど…目良さんさっき嫌そうな顔した…から」
    [目良さん疲れてそうだったら、意識しない内にそういう顔しちゃったんじゃない?]
    俺は無理やり自分を納得させた
    扉に手をかける
    俺はゆっくり、扉を開けた
    ──────────

    『啓悟くん、この名前とは今日限りでさよならだ』
    『今日から君にはここで、特別なヒーローになる為の専用プログラムをこなしてもらう』
    『厳しい訓練になるけど大丈夫かい?』
    俺は頷いた
    「俺も、この人みたく、悪い奴をやっつけられるヒーローになれますか」
    「俺を救ってみてくれたみたく、みんなを明るく照らせますか?」

  • 261主25/10/17(金) 19:32:01

    そこからは、常人なら耐えられず根をあげるような訓練が続いた
    辛い、苦しい、なんてことはあんまり考えなかった
    職員の誰かに褒めてもらうよりも、ごーよくさんに「頑張ったね」って頭を撫でられる方が好きだった

    「ごーよくさん、お疲れ様」
    [啓悟もお疲れ様]
    俺は、目良さんに買ってもらったジュースを飲みながら、少し休憩をしていた
    [俺も自由に飲み食いしたいよ…いいなー、啓悟]
    ごーよくさんも疲れてるみたいで、地べたに横になっていた
    個性なのに、疲れるなんて…変なの
    なんて思いながら、自分の羽を少し触ってみた
    前より硬くしなやかになったような気がする
    そういえば、ごーよくさんも少しだけ大人になった気がする
    個性も身体機能の1つ、個性を伸ばせば、ごーよくさんも成長するのか?
    [どうしたの?そんな見つめて]
    「ごーよくさんは、辛くない?」
    [俺は辛くは無いけど、啓悟が辛いなら、俺も辛いかな]
    「俺は大丈夫だから…ごーよくさんも平気だね」
    [うん、そうだね…でも、羽の手入れは忘れないでね]
    [俺のチャームポイントは集中的にケアしてね]
    「それ…どこ…?」
    ごーよくさんは笑ってまた触れもしないのに、俺の頭を撫でた
    「ん…ごーよくさんやめて」
    [ははっ!やだね、啓悟のお願いでもそれは聞けないな〜]
    感覚なんてないはずなのに、何故かそれがくすぐったくて俺は笑った

    ごーよくさん、ごーよくさん
    恥ずかしくて言えないけど、ごーよくさんが大好きだよ
    ずっと一緒に居ようね

  • 271主25/10/17(金) 19:46:21

    息を吸うのも辛い
    疲れた、気を抜いたら気絶しそうだ
    あれから数日しか経ってないのに、訓練がより厳しくなった
    でも、まだまだこれからもっと辛くなるらしい
    [偉いね啓悟…少し休む?]
    「まだ…いい…」
    公安に来てから、エンデヴァーさんの映像は山ほど見れた
    あの人もどれだけ苦しいことも耐えて、努力し続けてきたんだろう
    「頑張らないと…」
    ごーよくさんが俺に話しかけようとするが、言葉が思いつかないのだろう、何も話さない

    頑張らなきゃ、頑張らないと

    気合いを入れ直すように、俺は息を吸って吐いた
    静かになった部屋の扉が少し空いていることに気づく

    『不気味ですよね…やはり、検査がもう一度必要なのでは?』
    『そう思った職員は俺たち以外にも結構居てもう3回はしたらしい…』
    『んで、それ以上やったら、あの子の負担になるから、もうできないらしい』
    『しっかし、不気味だよな〜個性と話せるなんてさ…』
    『家庭環境で、心が壊れてしまったとか…?』
    『いや、精神面も安定してるらしい…全く…いくら個性が強いからって、あんなイカれたガキ連れてくるなんて』
    『ちょ、先輩声が大きいですって…!会長に聞かれてたら!』
    『悪い悪い… けど、お前もそう思わねぇか?』

    俺はそっと扉を閉じた

  • 28二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 19:56:00

    おう、公安
    この時期ではまだだろうけど、ガチで個性そのものが喋れる子もいるんだぞ(常闇くん)

  • 29二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 22:50:54

    ( ᵕ •̥ · •̥ )ノ( > · < ᵕ )

  • 30二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 08:03:16

    保守

  • 311主25/10/18(土) 11:53:50

    そんな俺を、ごーよくさんはそっと羽で覆ってくれた
    [俺が見えるだけで啓悟をビョーキ扱いねぇ…]
    [ココに来てから謝らなきゃいけないことが沢山だ]
    [ねぇ、啓悟は、俺が居なくなったら…寂しい?]
    確かに、いつもうざったいぐらい毎日ベタベタしてくる
    けど、それ以上に俺のことを気にかけてくれる
    「寂しい」
    [俺が居ることで、皆が啓悟のこと嫌っても?]
    俺は答えに困った
    こういう質問をされたら、なんて答えればいいんだろう
    [ごめん、今のは意地悪だったね]
    [啓悟、最近笑ってくれなくて…心配なんだよね]
    「…大丈夫、平気」
    平気なんかじゃない
    俺がまるで化け物かのようにみんなが接する
    そんなことをされ続けて平気なわけがない
    [俺とお話しながらじゃないと寝れないのに?]
    [いや、それプラス、エンデヴァーのぬいぐるみを抱きしめながらじゃないと寝れないよね〜]
    「…何」
    [寝言で[ごーよくさん、ごーよくさん]って言ってるの知ってるんだよ?]
    [最近は、目良さんにお手紙も書いてたね、漢字ものすごく間違ってたけど…すごい嬉しそうでさ〜]
    [でも、上手く書けないとき、俺のことチラチラ見てきてね〜]
    俺は、次々に俺のことを言われ、なんだか恥ずかしくなり耳を塞いだ
    [ははっ!照れちゃった?啓悟は、全然平気なんかじゃない]
    [けど、俺が居ると…少し気が楽でしょ?]
    確かに、さっきまでの嫌な感じは少し治まった気がする
    [無理する度に俺が止めてあげるから、安心して]
    「…ありがと、ごーよくさん」

  • 321主25/10/18(土) 16:12:49

    ごーよくさんの話はもう他人にしないと決めた
    けど、どうしても誰かに話したい時は目良さんに話すことにした
    ほんの少しだけ、職員のみんなが話しかけてくるようになった
    何がそんなに不気味なのか俺にはよく分からなかった

    「目良さん、個性と話せる人って居ないんですか?」
    「そうですね…見た事はありませんが、個性と話せる個性を持った人間…そもそも個性が幽霊のように着いて纏う個性」
    「ホークスの例は、今まで一度も耳にしたことはありません」
    「そうですか」
    「同じような人間を私は探しています、ホークスの悩み事をわかってくれる人間がいれば…」
    「大丈夫です、目良さんが素敵な個性って言ってくれたから」
    目良さんが、口角を緩めて笑ってくれた
    「剛翼さんは、どんな性格なんですか?」
    「楽観的だけど、心配性」
    [啓悟、そんなこと思ってたの?楽観的なのは認めるけど心配性じゃない]
    「独特な性格ですね、彼は私の事どう思ってますか?」
    [目良さんは、俺のお気に入り、啓悟に優しくしてくれるからね]
    「好きらしいです、俺に優しくしてくれるから」
    [好きな訳じゃなくて!お気に入り!]
    こういう時ごーよくさんはめんどくさい
    「お母さ…いや、お兄さんみたいな存在なんですね」
    「今この会話を聞いてるなら、剛翼さん、ホークスの事頼みましたよ」
    [目良さんカッコつけるタイプなんだ…]

  • 33二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 19:42:44

    お母さんって言いかけたな、目良さん

  • 34二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 22:59:45

    でも確かにこれはお母さん

  • 35二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 23:54:59

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  • 361主25/10/19(日) 00:35:20

    目良さんと話した後、また俺は訓練へと向かった
    『今日は時間がありますから、救助訓練をしましょうか』
    「救助訓練?」
    『はい』
    ごーよくさんはその言葉を聞き、ため息を吐いていた
    別にごーよくさんは、俺に個性を使って欲しくない訳では無いが、単純に疲れるから嫌なのだろう
    でも、しょうがない…ごーよくさんは俺の個性なんだもん…

    『今日はこの建物内で、避難に遅れた一般市民を助けてもらいます』
    『ですが、今のホークスなら、簡単にこなせてしまう内容な為、照明を落として救助にあたってもらいます』
    「分かりました」
    俺が建物に入ると、うっすら声が聞こえてきた
    『照明落とします、夜間救助、開始!』
    照明が消え、真っ暗になる
    [電気消えただけってわかってても…夜って嫌なんだよね〜]
    「なんで?」
    [啓悟が寝て話さなくなっちゃうから、寂しい]
    ごーよくさんが俺の緊張を解してくれる
    『ホークス、通信チェック中、応答を──』
    「こちらホークス、異常なし」
    [ほんとに?]
    俺は首をかしげた
    だが、次のタイミングで、ダッ!と足音が聞こえてきた
    ヴィランが襲ってくることも想定して、安全に市民を救助させる…
    確かに…明るかったらこれぐらいできたかもだけど…
    「っぐ…」
    力加減はされているが、タックルをモロに食らった
    まだ目が暗闇に慣れてない…
    …このまま気絶するまで殴られる…?

  • 371主25/10/19(日) 00:48:21

    [啓悟、俺を使って]
    なんで?どうやって…?
    [いいから、何が知りたいの?]
    …次に来る…攻撃
    剛翼が反応する
    何となく次に来る攻撃はどこかわかったが、確信が持てない
    [啓悟、左]
    俺はごーよくさんの言葉を聞き、すぐに避けた
    また剛翼が反応する
    [下…フェイント…上…右…]
    暗闇に目が慣れてきた
    ヴィラン役の人の体勢が一瞬崩れる
    俺にはパワーが無い…けどそこは…
    [俺でカバーする]
    転けかけたヴィラン役の人の服にスピードを乗せた剛翼の羽根をぶつける
    数十枚使い、ヴィランを服ごと壁に拘束する
    抵抗しようとするヴィランの首元に、まだ武器としては使えない羽根を突きつける
    「大人しくしてください」
    『…いやぁ、凄いねホークス…』

    上の階に行くと、剛翼がほんの少しの息遣いを感じ取り、その方向へ歩いていくと救助者が物陰に隠れていた
    「大丈夫ですか?怪我はありませんか?」
    「立てますか?ヴィランはもう居ません、安心してください」
    『えぇ、大丈夫、ありがとうねホークス』
    そのまま救助者を助け、無事に訓練成功
    「ありがとう、ごーよくさん」
    [ううん、俺は啓悟が剛翼で感じたことを言葉にしただけ]
    「え…でも、ごーよくさん居なかったら…俺」
    [俺の啓悟がこの程度で負けるはずないでしょ?それにこれは俺のことを信用してくれた啓悟のお陰で成功したんだから]
    「頑張ったね、偉い!啓悟!」

  • 381主25/10/19(日) 01:08:40

    『彼が話しているところを聞きましたか?その詳細を──』
    『…お前もそっち側か…ったく…』
    『話してたさ、けど、こっちに動きを悟られないようにか、はたまた声が聞こえなくなったのか、俺と戦ってる間は話してなかったよ』
    『でも、いいね、もし本当に個性と話せるなら、相当連携が取れてる』
    『もしかして、最初にホークスの噂流してたのお前?』
    『…』
    『まぁいいよ、ストレスだろ?気持ちはわかるぜ?』
    『それに…ここで心折っといた方が…あの子にとって…楽だろうからな』
    ──────────
    「ねぇ…ごーよくさん」
    [なぁに?]
    「今日分かったんだけどさ…俺の個性…もしかしたら…人をさ…殺しちゃう個性なんじゃないかって…」
    「…とっても強いけど…一歩間違えたらって…」
    [使い方を間違えなければ大丈夫だよ]
    [ほら、啓悟の好きなエンデヴァーだって、あんな大火事になりそうな個性持ってるのにさ!ヴィランは死なせずに、市民も死なせずに、いつも助けて勝ってくれる…俺はあんまあの人好きじゃないけど…]ヤケチャウ
    「でも…」
    [悪い予感がするのはわかるよ、不安だよね]
    [啓悟の不安な気持ちは羽からビンビン伝わってくるから]
    [大丈夫って自信を持っては言えないけどさ…]
    [啓悟は正しい人間になりたいって思ってるでしょ?]
    [なら、大丈夫]
    俺は膝を抱え込んだ
    たまに楽観的なごーよくさんに腹が立つ
    けど…言ってることは多分間違いなく、俺のことを思ってくれた言葉
    …訓練より…こっちの方が辛いな

  • 39二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 07:42:49

    すごいなんとも言えない気持ちに…

  • 401主25/10/19(日) 13:15:18

    昼間のこともあってからか、俺は中々寝付けなかった
    母とは別々に暮らしていた
    公安からのちょっとした配慮だ
    母がどうしてるだとか、そんなこと考えもしなかった
    軽薄だと思われるかもしれないが、考えることに意味を感じなかった
    「…ごーよくさん」
    [あれ、啓悟、まだ寝てなかったの?]
    分かってるくせに…
    「寝れない…」
    [そっかそっか…]
    [子守唄でも歌う?]
    「ごーよくさん、歌下手だから…いい」
    [ひどくなーい…?]
    ごーよくさんは、[うーん…]と悩んだ後、立ち上がった
    [外、行ってみる?]
    「外…」
    父の映像がフラッシュバックする
    ドバっと、身体中嫌な汗をかいた
    [もうお父さんも居ないんだから、安心して]
    [啓悟にどうしても見てほしいんだ]
    手を差し伸べられる
    俺はその手にそっと自分の手を重ねた
    ごーよくさんは、ニコッと笑ってくれた
    俺は起き上がり、俺はそのままごーよくさんについて行った

  • 411主25/10/19(日) 13:44:12

    ごーよくさんと一緒に、息苦しい夜を抜け出すのは、なんとなく背徳的で…それでいて呆れるほど楽しい
    屋上の扉に手をかける
    重い扉を開けた瞬間目の前に広がってきたのは、どこまでも続く星空
    […啓悟、息しなきゃ死んじゃうよ?]
    言われて気づいた
    俺はそれほどまで、この光景に夢中になってたらしい
    [最近さ、啓悟が寝た後何となく星空を眺めるのが習慣になってたんだよね]
    [啓悟が寂しがるから、すぐに戻ってたんだけどさ…なんか最近星がどんどん増えてさ]
    [これは啓悟に見せなくちゃって思って今日…あっ!流れ星!]
    「流れ星?」
    [今通ったあれだよ、あの星にね、3回願い事をすると叶うんだってさ]
    また、流れ星が光放ちながら落ちてきた
    [休みたい…休みたい…休みたい]
    …切実な願い…俺への当てつけ?
    「ごーよくさん…明日の訓練お休みにする…?」
    [いや、冗談…]
    [けどさ、個性達が暇を持て余す世界が来ればいいよねーって]
    [俺みたいに人格?とかあるか分かんないけどさ、使われっぱなしじゃ可哀想でしょ?]
    [そうだな…俺たち個性が暇になったらヒーローも暇になるね]
    [きっとそこにあるのは、笑っちまうぐらい明るい世の中なんだろうね]
    [啓悟は、何お願いした?]
    キラキラ輝く流れ星を見ながら俺は願った

    ヒーローが、個性達が暇を持て余す世の中にしたい

  • 421主25/10/19(日) 15:23:29

    そこから、数年後、俺はようやくヒーローになった
    ヒーロー業界において、俺は本当に色んな意味で早かったらしく、注目を浴びた
    大変なことまみれだったけど、今じゃ別に…
    18になったら事務所でも立ち上げようかな…
    「剛翼」
    「…ごーよく」
    「はぁ…ごーよくさん」
    [俺、思春期来た啓悟きらーい]
    こんなこと言うごーよくさんだけど、長い時間ずっと喧嘩もせずに過ごしてくれた
    「あ…で、ごーよくさん、なんか今日俺の訓練とか担当してくれてた職員の人がなんかソワソワしてるんだけど…なんだろ?」
    [啓悟の誕生日はまだだし…そもそも祝ってくれないしね]
    ごーよくさんは俺の肩を叩く
    [ま、大丈夫、大丈夫!俺もいるんだしさ]
    「余計不安なんすけど」
    数秒の間があったあと、俺たちは二人で爆笑した
    こんなくだらない事で笑える俺たちは本当に幸せ者だ

    咳払いが聞こえ、俺は視線をそちらに向けた
    『すいません、ホークス、少しこちらへ』
    「任務ですか?」
    『…詳しいことは後で話します』
    いつになく真剣…というか…

    怖かった

    これから何を話されるか、分からなかった
    ごーよくさんと話してた時間がまるで嘘だったみたいに冷たい空気が俺たちを覆った

  • 431主25/10/19(日) 15:31:47

    部屋の中の空気が、急に変わった
    そこに入った瞬間、まるで酸素が抜けたみたいに呼吸が重くなった
    机の上には、書類と、一枚の写真
    『これは、次の任務だ』
    「……任務?」
    『詳細は極秘だ、対象は──この人物』
    写真が俺の前に滑らされる
    一瞬、何かの冗談かと思った
    でも、冗談を言うような空気じゃない
    部屋の温度が一度下がったように感じた
    ‪”‬極秘‪”‬という言葉を聞き、俺は困惑した
    「えっと……え? この人、俺……捕まえる、とかじゃなくて?」
    『抹消だ』
    息が詰まった
    その単語の意味を理解するまで、五秒くらいかかった
    …いや、理解したくなかった
    『危険因子の排除これもヒーローの役目だ』
    「……排除って……え?」
    「“排除”って、どういう……?」
    自分の声が掠れているのがわかった
    頭の中では、言葉の意味を何度も繰り返していた
    排除、抹消、対象
    どれも「人を殺せ」と言っている
    [……啓悟]
    ごーよくさんの声が、すごく遠くで聞こえた
    まるでガラス越しみたいに
    『これは重要任務だ、君ならできる』
    その信頼しているという言葉が、
    胸のどこにも届かなかった

  • 441主25/10/19(日) 15:33:48

    「……俺……ヒーロー、なんですけど」
    抵抗するように俺はその言葉をつぶやいた
    『ああ、だからこそ、だ』
    その言葉で、思考が完全に止まった

    ヒーローだから…
    だから…殺…す?

    意味が繋がらない
    繋がった瞬間、全部壊れてしまいそうだった

    手が震えていた
    何を言えばいいのかわからない
    ただ、ごーよくさんの声だけが、少しだけ届いた

    [……啓悟、聞かなくていい、もう帰ろう]
    [啓悟…]

    『受けてくれるかい?』
    断れない、断ったらどうなるか、そんなの…
    この状況から察せと言われているようなものだ

    「はい」

    ただ、俺は、この日初めて、ヒーロー社会の輪郭が初めて歪んで見えた

  • 45二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 17:47:31

    公安の闇……

  • 461主25/10/19(日) 19:13:15

    俺は扉を閉めた後、すぐに剛翼に詰め寄った
    「知ってたの?」
    自分でも驚くほど冷たい声
    思えば、剛翼は俺がヒーローになりたいと言うのを優しく否定してたような気がする
    剛翼と目良さんのあの顔にも合点がいった様な気がした
    [知らない…本当に知らない…知ってたなら全力で止めた]
    […俺はさ…なんか…その…そういう…人の闇?みたいなの敏感に感じとっちゃうからさ…嫌な予感がしてたってだけで…]
    「なんで言わなかった?」
    [ヒーローになりたいって言う啓悟に、こんなこと言えるわけない]
    [ただ、俺は…啓悟に幸せになって欲しくて…!]

    「人を殺すことになっても?」

    俺は一息ついた
    冷静になれ、‪”‬ホークス‪”‬…剛翼は何も悪い事はしてない
    「…少し取り乱した…ごめん」
    [俺こそごめん…話さなくて]
    何となく気まづかった
    俺はごーよくさんに喧嘩腰だったことは過去1度もない
    こんなとこで、取り乱してどうする?
    俺は今から…人を…

    正しいヒーロー社会の為
    …きっとこれからすることは間違ってない

    間違って…ない…よね?

  • 471主25/10/19(日) 23:01:12

    俺はターゲットを確認した後、屋上から飛び降りた

    すぐに羽を広げ、ターゲットを追う

    一応武器は支給された、けど…

    俺が剛翼以外の武器は使わないと判断したのか、扱い慣れないハンドガンだ

    ──────────

    内部に入るのは簡単だった

    というかあっさりすぎて、逆に不安になってきた

    まるでドラマかのような作られた現場

    ターゲットは、スーツケースの中から札束を取り出し数えていた

    …もしかしたら…全部フィクションで

    これだって実銃なんて入ってなくて

    全部ドッキリでした!で…終わればいいのに

    ため息をつきかけるが、ごーよくさんに口元を抑えられる

    …そうだ、慎重に行かなくちゃ


    剛翼で天井にあった電気を壊し、部屋を暗くする

    月明かりだけが差した空間

    俺はすぐにターゲットの上にのしかかりターゲットの額に銃を押し当てた

    ターゲットは「待ってくれ」「死にたくない」

    と、テンプレートのような事を言う

    俺は引き金を引こうと指に手をかけた

    俺が殺る、俺がこの人を…

    [啓悟、俺を使って、俺を使って殺して]

    冷や汗が垂れた

    今この迷ってる時間すら、本当はあってはならない


    俺は…

    1 ハンドガンで殺した

    2 …剛翼を使って殺した

    dice1d2=2 (2)

  • 48二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:05:25

    ごーよくさん…

  • 491主25/10/19(日) 23:12:53

    俺はハンドガンを捨て、羽根を1本手に取り、ターゲット額に思い切り突き刺した
    吐き気が止まらなかった
    今目の前で、誰かが、生きている価値がないと判断した人間を俺が殺している
    生まれてから、一度も離れたことのない大切な…‪”‬家族‪”‬を使って殺している

    早く死んで欲しい、もうこの苦しみから開放されたい
    でもいちばん苦しいのはごーよくさんだ俺じゃない
    俺はごーよくさんになんて言えばいい?謝って済む問題か?

    気づけば、ターゲットは絶命していた
    任務成功、排除完了

    俺はフラフラとその場を離れた
    死体の処理はあっちがしてくれるらしい
    …ははっ…そうじゃなきゃ困る…こんなに疲れたんだから

    本当に身勝手な子供だ
    責任を誰かに擦り付けたくてたまらない
    強烈な吐き気が俺を襲い、俺はその場で吐いた
    「…ぅ‪”‬えっ…ぐっ…ぅ…お‪”‬ぇっ…」
    汚いだとか臭いだとか、もうよく分からない
    クラクラする…気持ち悪い

    俺は…ごーよくさんを使って…人を

    殺した 殺した 殺した
    殺してしまった
    取り返しがつかないことをした

  • 501主25/10/19(日) 23:21:50

    全部ごーよくさんのせいにしたいとも、一瞬思ってしまった
    ごーよくさんが自分を使えと言ってきた
    だから殺した
    違う、それは言い訳だ

    帰ろう…帰って早く血を流したい
    汚い…汚い…汚いのは?俺自身か?
    …人を殺すのはこんなに気分が悪くなるものなのか?
    快楽殺人とは?
    「ごーよくさん…ごめん…」
    震える声で俺は謝った
    目の前にはごーよくさんが立っていた
    俺のことをじっと見たあと、抱きしめてくれた
    「汚いから…触らないで…ごーよくさん…俺は人殺しなんだから」
    [汚くなんかないよ、啓悟は人殺しなんてしてない]
    [俺が全部やった、啓悟は何も悪くない]
    [だから、泣かなくていいよ]
    ごーよくさんにそう言われ、俺は初めて自分が泣いてることに気づいた
    それがなぜだかものすごく悲しくなってしまい、涙が止まらなくなった
    「違う…もん…俺が全部…全部ッ…!」
    [違うよ、啓悟、啓悟は悪くない]
    [大丈夫、大丈夫だから、泣かないで]
    俺はいつまで子供なんだ?
    なんでいつもごーよくさんに頼るんだ?
    「俺が悪いのに…っ…ごーよくさんなんて…嫌い…」
    [いいよ、嫌ってくれても…でも、俺は啓悟のことずっと大好きだからなぁ…]
    ごーよくさんはいつも通りに笑ってくれる
    それが本当に、本当に苦しくて…
    自分が…大嫌いになった

  • 511主25/10/19(日) 23:25:58

    ホークスの精神は

    1 回復傾向に向かった

    2 ずっと荒れている

    3 だんだん酷くなっていく


    dice1d3=3 (3)


    ごーよくさんは啓悟の事を

    1 幸せになって欲しいと思っている

    2 今ある苦しみから少しでも解放してあげたいと思っている

    3 楽にしてあげたいと思っている


    dice1d3=3 (3)


    レス乞食かもしれませんが、思いつきで立ててしまった為スローペースで進みますので、気楽にレスしていってくれるととても嬉しいです

  • 52二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:29:30

    わぁ……悪化してってるぅ…

  • 531主25/10/19(日) 23:37:34

    あの日から、何となく空を飛ぶことも億劫になった
    人を殺した
    しっかり身体も服も洗ったはずなのに、あの時の匂いが取れない
    暗闇が苦手になった、あの時を思い出してしまって、またなにかやらかすかもしれないから
    上層部から謝罪されたが、どうでもよかった
    誰かを殺したなんて事実が消える訳じゃないんだから
    『ホークス、体調は大丈夫?』
    「だいぶ良くなりました、平気です」
    『けど、最近やつれてるように…』
    「夏バテです、心配しなくて大丈夫ですから」
    大人の前では、平気なフリをした
    別に辛くも何ともなかった
    俺がいくら苦しくても、「あぁ、可哀想に」なんて意味の無い言葉を言って何もせずにどこかに行ってしまうだけだから

    「…食事、また取りませんでしたね」
    「最近お腹空かないんですよ、歳かな?」
    「無理し過ぎです、私もできる限り協力しますから…少し心と体を…」
    「…普通に生きてる目良さんに何がわかるんですか」
    「俺の気持ちなんて誰も分からない、同じ人なんていないから」
    「ねぇ、目良さん」
    「俺ならココの人間全員を再起不能にするのに、どのぐらいかかりますか?」
    「ホークス…!」
    「…冗談っすよ…そんな顔しないでください」

    [面白くない冗談だね、啓悟]
    「…だね」

  • 54二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:42:05

    ホークスの目に常にハイライト無さそう

  • 551主25/10/20(月) 01:21:04

    人は1分間に1人死ぬ

    それだけ…その1分の間に、俺が1人殺めただけ

    いいなぁ…ごーよくさんみたいに楽観的に考えられたらなぁ

    なんでここの人たちは平然と仕事ができるんだろう

    俺に任務をくれたあの人だって、今は何ら変わらず普通に過ごしてる

    イライラする…

    このイライラはどうしたら治まる?

    俺は羽を広げた

    「そうだ」

    とても簡単な話

    鳥籠を壊せばいい

    [啓悟]

    「邪魔する気?」

    [啓悟がすることは全部…肯定する]

    [けど…啓悟に苦しい思いはして欲しくない、俺が変わってあげたいって…思ってる]

    俺はゆっくりと羽を閉じた

    唇が震えていた

    涙が出かけていた

    [なにかしよっか、啓悟…少しは楽になるよ]


    ホークスは

    1 少し散歩に出かけることにした

    2 美味しいものを食べに行くことにした

    3 何も出来ずに寝ることにした


    dice1d3=2 (2)

  • 56二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 02:15:36

    美味しいもの食べて元気になってくれぇ………

  • 57二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 06:40:57

    焼き鳥食べておいで…

  • 58二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 12:06:17

    ほしゅ

  • 591主25/10/20(月) 14:41:22

    お腹が鳴り、まだ飯を食ってないことに気づく

    …正直食欲そんな無いけど…食べた方が…いい…よな

    俺は、ため息を着いたあと、外に出ることにした

    ──────────

    時期的なものなのだろうか、屋台が幾つか出ており、その中に焼き鳥屋の屋台を見つける

    俺はしばらく立ち止まって、屋台の灯りをぼんやりと眺めていた

    人混みのざわめきも、少し遠くで鳴る笑い声も、全部現実味がなかった

    屋台のおじさんが、手際よく串を返している

    パチ、パチと脂がはねる音


    焼き上がった串を二本、受け取る

    少し熱い紙皿

    ベンチに腰を下ろして、一口かじる

    …思ったより、うまかった

    温かくて、ちゃんと肉の味がした

    [美味しい?]

    「うん」

    俺は小さく笑った

    ごーよくさんは、その笑い声に合わせて羽を小さく揺らした


    風が冷たくて、少しだけ涙が出そうになった

    でも、それが冷たい風のせいなのか、わからなかった

    もう一口、焼き鳥をかじる

    ごーよくさんは、羽で俺を抱き寄せた


    ホークスは

    1 精神面が安定した

    2 まだ精神は荒れたまま


    dice1d2=2 (2)

  • 601主25/10/20(月) 14:48:10

    [……よかった]
    ごーよくさんの声は、いつもより静かだった
    温かい羽の中で、俺は目を閉じる
    胸の奥が、じわじわと焼けるように痛い
    「なんで、そんな顔…」
    [どんな顔?]
    「…優しい顔」
    [だって、啓悟が美味しそうにしてるから]
    俺は空を見上げた
    屋台の煙が、夜空の星をかすませている
    あのとき見た星空も、もう思い出せない
    記憶の中で、全部ぼやけていく
    「……俺さ」
    声が勝手に震えた
    「ヒーローって言葉聞くと、吐き気がする」
    「……何で、俺がこんなことになんなきゃいけなかったんだろ」
    しばらく沈黙が流れた
    ごーよくさんは何も言わなかった
    ただ、羽の先で俺の背を撫でていた
    優しすぎて、余計に惨めだった
    「俺が夢見てたヒーローっていうのは、全部ハリボテで…」
    「本当は…薄汚くて…本物の正義なんてものは存在しない」
    [啓悟…]
    「ごーよくさん、俺…辛い」
    「辛いけどさ…誰も助けてくれない」
    「だって、ヒーローは助けてくれる存在だもん…助けられる存在じゃダメだ」
    [俺が居る…だから…大丈夫]
    「…いいよ、無理しなくて…ありがと、ごーよくさん」

  • 61二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 17:05:36

    ホークス曇ってきたな……ちょっと喜んでいる自分がいる

  • 621主25/10/20(月) 20:01:06

    屋台の灯がひとつ、またひとつ消えていく
    遠くで、提灯が風に揺れる音がした
    人の声はもうない
    ごーよくさんの羽の中で、俺はずっと黙ってた
    息をするたびに、胸が痛い
    何を言えばいいのか分からない
    何を考えたらいいのかも、もう分からない
    [……啓悟]
    声がした瞬間、涙が零れた
    止めようとしても、頬が勝手に熱くなって、喉が痛くなる
    「何も、分からない…」
    「俺…何が正しいのか、もう分からない」
    「ヒーローでいたいのか、生きてたいのか…」
    「それすら分かんない…」
    ごーよくさんは、何も言わなかった
    「俺、どうしたらいいんすか…」
    「誰を信じたらいいんすか…」
    「助けてほしいなんて、言っちゃいけないのに…」
    [言っていいよ]
    [俺が聞く]
    時間が解決してくれるさ、きっとすぐに忘れる
    そんな簡単な言葉すらくれないごーよくさん
    「…ごーよくさんなんか…嫌いだ」
    [そっか〜、嫌いか〜]
    ごーよくさんは皮肉めいた返事はしなかった
    ただ、俺が言ったことを確認するように

    嫌いなんかじゃない…
    ごーよくさんは俺のために…自分を使えと言ってきた
    最低だ

  • 63二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 20:20:42

    このレスは削除されています

  • 641主25/10/20(月) 20:21:53

    ゆっくりと朝日が差してきた

    眩しく堪らなかった

    ベットの上で羽を広げて俺は寝ていたのだろうか?

    いつ家に帰ったかもよく覚えてない

    「…」

    大人なら、一瞬の逃げ道は用意できただろう

    酒やタバコ

    けど、本当に一瞬の逃避行でしかない

    ごーよくさんも、あの日から積極的に話すことはなくなった

    …別に‪…いや…寂しい

    ははっ…ほんと、俺、ごーよくさんが居ないとダメなんだな

    [よく眠れた?]

    「…多分寝てない」

    [そっか]

    「脳裏に焼き付いてるせいかな…ずっと血の匂いがする」

    「洗っても落ちない、ずっと気持ち悪いのが張り付いてる」

    「変だ…なんでごーよくさんじゃなくて俺が苦しんでる?」

    俺は頭を抱えた

    目の前がぼやけてきた

    耳鳴りがしてきた

    なんで俺が苦しむ?本当に辛いのはごーよくさんだ

    違う、こんな命令をした公安だ…それも違う…あんな悪人がはびこるこの世界が…

    「ふふっ…ははっ!あはは!」

    何を言ってるんだろう俺は

    起きたばっかりなのに疲れたな…


    …何をしよう

    >>67

  • 65二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 20:29:51

    掃除をしてみる

  • 66二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 20:45:15

    風呂

  • 67二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 20:51:01

    二度寝

  • 681主25/10/20(月) 21:19:55

    何をしようかと考えてるうちに、眠くなってきた
    …怒られたってもう何も感じないだろう
    俺は目を閉じて二度寝することにした
    ──────────
    [啓悟、今日は月が綺麗だよ]
    [知ってる?月が綺麗ですねって…えーと…誰かが…なんだっけ…ふふっ…ごめん、思い出せないや]
    [けーいご…]
    目の前にいるのは間違いなくごーよくさん
    でも、ごーよくさんにしては幼すぎる
    俺が子供だった時のごーよくさんより幼い…
    [早く啓悟とお話したいな]
    [啓悟はね、個性はとっても強いけど、まだまだ幼いからね…俺がお兄さんしなきゃいけないんだ]
    [苦しくはないけど…寂しいな…]
    座っているごーよくさんの隣にいるであろう俺は雑な布切れに巻かれ、眠っていた
    まだ赤子と言える年齢だろう
    […少しだけならいいかな]
    幼い俺のほっぺたをつつくごーよくさん
    [ははっ、可愛いね啓悟、多分柔らかいんだろうなぁ…いいなぁ…]
    何してるんだ…ごーよくさん
    これは俺の記憶じゃない
    [大好きだよ啓悟、何があってもずっと一緒]
    [俺は、啓悟を守るために生まれてきた]
    [だからさ…俺が啓悟を守る代わりに…啓悟にはずっと笑ってて欲しいな]
    幼い俺が、ほんの少し笑う
    […!]
    そんな俺を見てごーよくさんも笑った

  • 69二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 01:14:45

    すごいほのぼのしたのが来た…

  • 70二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:47:34

    保守

  • 711主25/10/21(火) 08:18:02

    …弟が産まれたばかりの兄のようだ
    俺は、その光景をただ、ジッと見ていた
    場面が切り替わる

    俺が殴られ、蹴られている場面
    [啓悟!]
    ごーよくさんは苦しそうに唸る俺に触れようとする
    [っ…クソっ…なんで!]
    父が拳を振り上げる
    俺が固く目を瞑る
    ごーよくさんが止めようとするが、その拳はごーよくさんをすり抜け、俺へと直撃した

    [守れない…なんで?俺は啓悟の為に…]
    [啓悟のためになったことなんて…何も…]
    ごーよくさんは、膝を抱え込み、涙を滲ましていた

    [啓悟、俺はね、啓悟のためだったらなんでもする]
    ごーよくさんが後ろから現れ、俺の肩に手を置いた
    不思議と感覚があった
    […罪悪感なんて感じなくていいって言っても…啓悟はいい子だからなぁ…]
    肩に添えられた手が俺の頭の上に乗せられ撫でられる
    [啓悟、君が俺で人を殺したことそれは、誰かにとっては間違いだったかもしれない]
    [でも、それを選ばなければ、君は命令に逆らって殺されていたかもしれない]
    [俺は、薄情者かもしれないけど、啓悟が生きてるだけでいい…]
    [どちらを選んでも地獄なら、生き残る方を選んだ啓悟を責める理由は俺にはない]
    [罪は、なくならない、人の命を奪った事実も消えない]
    [けどね、啓悟、俺は君が世界一かっこよくて強い子だって知ってる]

  • 72二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 08:19:13

    このレスは削除されています

  • 731主25/10/21(火) 08:20:21

    [俺がいくら穢れたっていい、これからはずっと啓悟を守りたいから]

    「…けど…」

    [言語化が難しいね]

    […人を殺したこと、忘れろなんて言わない、忘れちゃいけない]

    [もう啓悟はその道を選んじゃったんだから]

    [人生は選択の繰り返し、辛いね]

    [俺は、何も出来ないから啓悟を見てることを選んだ]

    [啓悟も俺も苦しかった]

    ごーよくさんが俺の方を見る

    [選んで選んで選んで…その過程も、結果も全部間違いかもしれない]

    [もしかしたら今よりずっと苦しいかもしれない]

    [けど、もう選んじゃったから、変えられない、啓悟はその選択肢から逃げることはできない]

    [何回だって言うけど、俺が居る]

    ごーよくさんが笑って見せた

    まだ手が気持ち悪いような気がした

    そんな俺の手をぎゅっと握ってくれる


    目の前にはまた、幼い俺と幼いごーよくさん

    仲良く二人で寝ている


    ここまで説得されて、俺はどうすればいい?

    諦めるのは本当に簡単だ、すぐにでもできる


    「ごーよくさん…俺は…」


    1.2 前を向いて、進むことにした

    3 もう無理だと言った


    dice1d3=2 (2)

  • 74二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 12:07:24

    進んだか……

  • 751主25/10/21(火) 15:58:45

    「ごーよくさん…俺は…」
    「誰かを殺したその手で、これから誰かを救っていく」
    「許されないかもしれないけど、せめて生きる意味を探したい」
    [啓悟、それが“守る”ってことなんだ]
    「……俺も、そう思えるようになりたい」
    ごーよくさんが頷き、
    [君がそうやって苦しみながら歩く限り、俺は君の中で生きる]
    [大丈夫、俺は離れない]
    [ずっと見とくよ]
    […ん、そろそろ時間だね、またね、啓悟]
    ごーよくさんは笑って、俺を抱きしめた
    ──────────
    目が覚める
    [おはよ、啓悟]
    「おはようって時間帯じゃないっすか…」
    [まぁね]
    心が軽くなり、考える余裕ができた
    あーぁ…こんな時間帯に起きたら怒られる
    ドアをノックされる
    俺はため息を着いたあと、「どうぞ」と返した
    「ホークス…その…」
    「俺の事…怒ります?」
    「いえ、ホークスが心配で」
    「ははっ、もう大丈夫です、ごーよくさんに教えてもらいましたから」
    「空元気…ですか?」
    「いえいえ、本当に元気です」
    「…良かったです」
    「そんなしんみりしないでくださいよ目良さん、心配かけてすいませんでした」
    「大丈夫です、元気なホークスの顔が見れて良かった」
    お母さんみたいなのが2人も居て…俺は恵まれてるな…

  • 761主25/10/21(火) 16:31:22

    そこからまた数年
    慣れてしまったなんて言う言葉はあまり使いたくはないが
    このヒーロー社会をより良くするために俺は、戦い続けた
    血にまみれ、ヒーローと呼べる姿ではない
    けど…憧れが、原点が消えてくれない
    でも、そのお陰で俺は今日まで生きてこれてる

    「ごーよくさん、なんか歳とらなくなりました?」
    [確かに、今の俺たち完全に双子だね]
    「ついにごーよくさんに歳が追いついちゃったか…老けたなぁ」
    [老いも大事だよ啓悟、俺みたいに強くなれる!]
    「ははっ、そうっすね」
    [それと、何回も言うけどチャート3位おめでとう!]
    「いやぁ…もう少し下の方で頑張りたかったんすけどね…」
    [啓悟の魅力は誰よりも俺が知ってるからね、逆に3位なんて納得いかない]
    「まぁ、オールマイトさんとエンデヴァーさんだからね…流石にあの人たちに追いつける気がしない」
    [大丈夫、啓悟は俺のナンバーワンだから]
    人生で俺はごーよくさんに何回バグをされるのだろう
    「ごーよくさん…もう俺成人してますから…ハグはちょっと…」
    [昔の啓悟はそんなこと言わなかったのに…!そんなふうに育てた覚えは無いよ…!]
    育てられたことないって言おうと思ったが…ほとんどごーよくさんに育ててもらったようなものだ
    [さて…啓悟、ここから先どうするの?]
    「インターンがもうすぐ始まる」
    「一応、何人か推薦した、ま、来てくれるかどうかは分かんないけどね」
    [啓悟と似たような個性?]
    「まぁ、1人はエンデヴァーさんの息子さん…多分エンデヴァーさんの事務所行くと思うけど…」
    「で、もうひとりは…」

  • 77二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 17:17:00

    今めっちゃわくわくしてる…

  • 78二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 19:16:56

    常闇&黒影とお揃いになるのか…

  • 791主25/10/21(火) 21:51:57

    ──────────
    「お、来た来た、待ってたよ、常闇踏陰くん」
    少し緊張しているのか周りをキョロキョロと見る常闇くん
    「ひとつ…聞いてもいいだろうか」
    「なんでも聞いて?」
    「俺は何故声をかけられた?」
    「鳥仲間」
    「お巫山戯で…?」
    「いーや…1割本音半分は1年A組の人から話を聞きたくて」
    「君らを襲った敵連合とかいうチンピラのね」
    「んで、どうせなら俺について来れそうな優秀な人ってことで、上位から良さげな鳥人を」
    常闇くんは、素直に話し始めた
    けど、まぁ、俺があえて煽るように言ったせいか、不機嫌そうだった

    それが職場体験の時の話

    そして、今回のインターン
    「久しぶりだね、常闇くん」
    正直来てくれるとは思わなかった
    印象最悪だと思ったし…
    まぁ、でも、俺はナンバースリー、トップヒーローを目指すなら、チャート10に入ってるヒーローの事務所に来るのは当たり前っちゃ当たり前
    [ごめん、啓悟…この子の事覚えてなかった]
    …確かに、SKに任せっきりであんまり話したことは無い
    ごーよくさんが覚えてないのも無理はないだろう
    今回は常闇くんに色々伝えたいこと、聞きたいことが山ほどある
    けど、それには…
    『ホークス!すぐ近くのコンビニで強盗が!』
    「分かりました、すぐ行きます」
    俺に着いてきてもらわなきゃね

  • 801主25/10/21(火) 22:01:11

    「事後処理お願いします〜」

    [啓悟]
    「どうしました?」
    [なんであの子なんだっけ?]
    「えぇ…」
    俺は後ろから着いてくる常闇くんにチラリと視線をやる
    「あの子の個性は、黒影、今常闇くんの動きをカバーしてる子…それが黒影」
    「理由わかった?」
    「…ごーよくさん〜?」
    俺は空を飛びながら、ごーよくさんと話していた
    地上からは俺の声は聞こえないだろう
    常闇くんからもギリギリ聞こえない程度の声で話している
    「まぁ、要するにあの子の個性は話せる」
    [それって俺と同じってこと?]
    「さぁね…そこを聞くために呼んだっていうのは誇張しすぎだけど…」
    「ごーよくさんも気になるでしょ?」
    […あの子の個性とかと話せたらどうしよう…俺啓悟としか話したことないから…]
    「ははっ!大丈夫ですって!そんなこと有り得ませんから!」
    [ま、そうだね、俺は啓悟が居ればいいし]
    [ていうか、常闇くんもうそこまで来てるよ]
    「分かってる」
    最高速度は出してないとはいえ、ここまで着いてこれるか…
    俺はさらにスピードを加速させた

  • 811主25/10/21(火) 22:09:20

    数日経ち、大分常闇くんのことが分かってきた
    SK達が、「お疲れ様でしたー」と言い帰っていく
    俺は、SK達と同様に帰ろうとする常闇くんに声をかけた
    「常闇くん」
    手招きをする俺に、常闇くんはゆっくりと近づいた
    ──────────
    「夜間飛行とシャレこもうよ」
    「ホ!ホークス!!我々は風になっている!」
    「飛ぶの初めて?」
    嫌がられるかと思ったら、案外楽しそうにしてくれていた
    「残りの4割さァ、常闇くんがもったいないことしてるなーと思ったからなんだよね」
    「空はね、良いよ、物事を俯瞰して見れるから」
    「?」
    「後進育成とかする気はないんだけどさ、」
    「…もったいない事とは?」
    「弱点の近距離カバーに尽力もいいけど、得意を伸ばすことも忘れない方がいい」
    「君は、もっと自由に動ける」
    「ホラ…鳥仲間のよしみさ」

    「飛べるやつは飛ぶべきだよ」
    「地面に縛り付けられる必要なんてない」

  • 821主25/10/21(火) 22:23:30

    「で!常闇くん、残りの4割の話したでしょ?」

    「また割って話して、残りの1割」

    「常闇くんの個性について少し教えて欲しい」

    「…個性?ホークスの見ての通りだ」

    「あー…そうじゃなくて…その、なんて言えばいいかな…」

    俺は口ごもった

    「俺さ…自分の個性と話せるんだよね」

    「あなたの個性は…個性と話せる個性では…無…いや、自分の個性と話…す…?」

    常闇くんはそこそこ混乱していた

    いや、当たり前だ…こんなこと急に言われても困る

    「えっと、俺の個性、剛翼は見ての通りこの大きな翼なんだけどさ」

    「剛翼自身が話しかけて来るんじゃなくて…俺そっくりの人型のになった剛翼が話しかけてくる…みたいな…?」

    「…???」

    ダメだ、常闇くん完全に宇宙猫状態だ…

    「見えない…?ここにいるんだけど」

    「黒影は、他の個性が見えたりしたことがあるか?」

    「異形トカ、発動シタラ分カル個性以外見エナイ…フミカゲト同ジ」

    [個性なのに実態があっていいなぁ]

    「本当に見えない?ここにいるよ?存在感しかないよ?」

    「個性同士なら有り得ないかな…」

    「ここまで必死なホークスは初めてだ…」

    2人とも目をこらしてホークスの隣を見た


    2人は

    1.2 見えない

    3 2人とも見える

    4 黒影にしか見えない

    5 常闇にしか見えない


    dice1d5=1 (1)

  • 83二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 22:28:07

    見えないかぁ…

  • 841主25/10/21(火) 22:33:35

    「すまない、ホークス…俺達にはまだ潜らなければいけない試練が多いようだ…」
    「ゴメン…ホークス」
    「いや、いいよいいよ…大丈夫…俺は…」
    [そうだよね…だって俺啓悟の個性だもん…啓悟以外に見えなくても不思議じゃないよね…]
    俺の横でしゃがんで、ひと目でわかるほど不貞腐れてるごーよくさん
    「だが、ホークス…俺はあなたの事務所に行く前にあなたのことを調べた…」
    「そんな情報はひとつも…」
    「公表してないからね、ほら、みんなから見たら独り言ブツブツ言ってるヤバいヒーローでしょ?」
    「それに…公安の偉い人達から人に話すなって言われたからさ」
    「そんな大事なことを話してくれて感謝するホークス」
    「っ…はは!常闇くんってホント変な子だね」
    「何かあったら、役に立てるかは分からないが、俺にも話してくれ」
    「俺モ聞く!」
    「ありがとうね、2人とも」
    常闇くんと黒影を抱きしめる
    抱きしめた瞬間…これはさすがにやりすぎたと思ったが
    常闇くんは、どう反応すればいいか慌てるだけで嫌がってる様子はなかった
    黒影は喜んでた
    [癖、移っちゃったね、啓悟♪]
    俺はほんの少しだけごーよくさんを睨んだ
    ごーよくさんはすっかり機嫌を治したようで笑っていた

  • 85二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 00:49:27

    抱き締めてるのがなんか微笑ましい

  • 86二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 06:45:41

    保守

  • 87二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 12:12:22

    ほしゅ

  • 881主25/10/22(水) 12:22:45

    常闇くんが帰ったあと、俺は自室からぼーっと星を眺めていた
    [いい子達だね]
    「でしょ?」
    [将来はSKにするの?]
    「常闇くん次第かなぁ、人の人生左右できるほど偉くないし」
    [そっか]
    「寒くなってきたね、ごーよくさん」
    [だね、啓悟、風邪引かないように気をつけてよ?]
    「分かってますって…でも、ちょっと緊張気味ですね今」
    「下半期ヒーロービルボードチャートJPがもうすぐだ」
    [あれ…そんな早かったっけ?この間お祝いしたばっかりな気がするけど]
    「時間ってのは早いんすよ、ごーよくさん」
    [確かに、啓悟はいつの間にか大人になってたしね]
    [あー…あの子たちぐらいの啓悟とまたお話したいなぁ…]
    「今の俺じゃ嫌っすか?」
    [今の啓悟と昔の啓悟じゃいい所が全然違う!もちろん今の啓悟も好きだよ]
    「過保護〜」
    [ふふっ、でもさ、啓悟なんで緊張してるの?またあの発表形式じゃないの?]
    「あぁ、今回会場に集まってヒーローから一言コメント話すみたいな感じらしいですよ」
    [おお!じゃあ、啓悟が好きなエンデヴァーに会えるね]
    「そこがちょっと心配で…多分エンデヴァーさん俺みたいなタイプいちばん嫌いだと思うんすよね」
    […エンデヴァーの個性嫌い…俺が燃えるもん]
    「ははっ、まぁ、お互い良い悪いはありますから、ごーよくさんも手伝ってくださいね」
    「見てくれてるだけで俺は嬉しいですから」
    [啓悟の言うことならなんでも聞くよ、啓悟二笑ってて欲しいから]

  • 89二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 12:25:47

    羽根は燃えちゃうからねぇ…

  • 901主25/10/22(水) 20:08:31

    『敵連合に取り入れ、ホークス』

    「は?ちょっと待ってください、意味がわからない」
    「そっち捜索チーム組むんでしょ?グラントリノさんとかが」
    『どこで聞いた?まだ公表してない話だ』
    『…そういう所よホークス、貴方は───』
    ここの人達は、長々と話すのが相変わらず好きだ
    …さっきの一言が、頭から離れない
    敵連合に取り入れ…?
    『────同じ過ちを繰り返す事になる』
    「取り入る間、奴らが出す被害は?目を瞑れって?」
    『瞑れる男だと見込んでの頼みだ』
    『名誉名声に頓着がなく、ただただ、長期目標を見据えて動く、君程適任な者はいないと考えている』
    いい加減にしてくれ
    俺の事を不気味がって遠ざけて、都合が悪くなったら俺を使う
    「本当に必要なんですか?」
    『だからこその提案よ、表と裏から追い詰める事で確実に退路を断つ』
    「提案!断れないってわかった上で、そーゆー言い方するんだもんな、人が悪い」
    『否定はしないわ、ホークス、神野であなたの都合がつかなかったのは幸いだった』
    なんで今昔のことがフラッシュバックする?
    ねぇ…ごーよくさん…
    「…俺が穢れて皆が安心できるようになるのなら、喜んで引き受けますよ」

  • 91二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 20:18:12

    あぁ……また曇ってきちゃった…
    なんか嬉しい

  • 921主25/10/22(水) 20:26:23

    […受けて良かったの?]
    「断れないって言ったでしょ」
    [ねぇ…啓───]
    「ごーよくさん、俺の事啓悟って言うのやめません?」
    「 …連合にもしも、俺のことがバレたら面倒だ」
    [でも、啓悟以外に俺と話せる人は…]
    「あのね、ごーよくさん…俺、本当はこの名前捨てなきゃいけないんですよ」
    […あんなの、間に受けなくたって…]
    「ごめんね、ごーよくさん、でも決めた事だから」
    […いいよ、啓悟が決めたことなんだもん、俺はそれに従うだけだ]
    [なんて呼べばいい?]


    「「ホークス」」


    「ヒーローを裏切るなんざ、ナンバースリーも落ちたもんだな?」
    「酷い言い草だけど、まぁ、否定はしないよ」
    「テメェ自身も分かってると思うが、ヒーローが簡単にこっちの信用を得られると思うなよ?」
    「はいはい、分かってるって」
    「それで?俺は何をすれば、連合の信用を得られる?」
    「あぁ、情報と、俺たちの仲間になるって行動で証明してくれ」
    「…それは、荼毘の独断?」
    「ナンバースリーを簡単にリーダーに会わせられるかよ」
    「ははっ、ごめんごめん、それもそうだ」
    俺はホークス、早すぎる男
    ‪”‬俺‪”‬が穢れて皆が安心できるのなら…
    [ホークス…]
    心配しないで、ごーよくさん
    …上手くやるから

  • 931主25/10/22(水) 20:52:22

    敵連合と関わった
    ヒーロー社会の輪郭がまた乱れていく
    ヒーローとは?と聞かれたら、俺は答えられる自信が無い
    [け…ホークス]
    「俺は間違ってない…よね」
    ただ、俺はその一言が欲しくてごーよくさんに聞いた
    [間違ってないよ]
    [心配しなくても、大丈夫]
    [それにさ…]
    ごーよくさんが指を差した方向を見る
    昔買ってもらったエンデヴァーさんのぬいぐるみ
    俺はそっと手に取った
    [明日、会えるんでしょ?]
    「そーだね…それもそうだ」
    けど、その日が過ぎれば、ほぼ生贄のようなヒーローを探して新しい脳無の実験台にする
    気が滅入る…
    [俺ね、エンデヴァーは嫌いだけど、このぬいぐるみのエンデヴァーは好き]
    [いつも、ホークスを慰めてくれるから]
    「本物と違って可愛いですからね」
    俺とごーよくさんは同時に笑った
    あぁ…ずっとこんな楽しい日が続けばいいのに
    楽しい日がやってきたと思ったら、次の日には、昨日まで全てが夢で、現実の悪夢が襲ってきては俺を犯して壊して行く
    「…幸せになりたい」
    色々考えていたらそんな言葉が溢れ出てしまった
    人殺しが自分の幸せなんか願ったらダメだ
    俺は目を瞑った

  • 941主25/10/22(水) 21:11:54

    まるでアイドルのライブ会場かのように、人が湧いている
    ちらほら見たことある顔が、幾つか

    『神野以降初めてのビルボードチャート!!その意味の大きさは誰もが知るところであります!!』
    始まった
    『ナンバーテン!前回の────』
    長い話は得意じゃない
    ごーよくさんと話せるなら話したい
    「はぁ…」
    少し気を抜いた俺にエンデヴァーさんの目線が向く
    怖か〜…ていうかコスチューム新しくなってる
    かっこいいですね!なんて言ったら…ねぇ…
    『ナンバーツー!マイペースに!しかし猛々しく!破竹の勢いで!今!2番手へ!』
    『ウィングヒーロー、ホークス!』
    「んな、大袈裟な…」
    『そして、今日!暫定1位から今日改めて、正真正銘!ナンバーワンの座へ!長かった!』
    『フレイムヒーロー!エンデヴァー!!』

    『今回このような場を設けたのは────』
    会長も大変だな、1から10まで説明して…
    [ホークス…熱い…]
    ごめん、ごーよくさん、でも、あと数時間は我慢して欲しいかな
    それはそうと…退屈だ
    「…1位って、どんな気分なんスか?」
    無言の圧力をかけられる
    お口チャックって話ね…
    全く…連合の件もあるってのに、少しも休む暇をくれないな…

  • 951主25/10/22(水) 21:21:15

    「何故あの日私は神野にいなかった!その思いが未だ胸を締めつける!!」
    「…」
    「今悪いこと企んでる奴!!私にぶっ飛ばされる覚悟しとけよ」
    「……」

    『支持率だけであれば、ナンバースリーの座でした』
    「数字に頓着はない」
    「結果として多くの支持を頂いたことは感謝しているが、名声の為に活動しているのではない」
    「安寧をもたらす事が、本質だと考えている」

    「それ聞いて誰が喜びます?ステインくらい?」

    「良いぞ生意気だ!」
    「…相変わらず和を乱すのが好きだな」
    「我慢が苦手なだけですよ」

    「えーと?支持率だけで言うとベストジーニストさんが休止による応援ブーストがかかって1位」
    「2位が俺、3位がエッジショットさん」
    「で、4位がエンデヴァーさん以下略」
    「支持率って、俺は今1番大事な数字だと思ってるんですけど」
    「過ぎたこと引きずってる場合ですか?やること変えなくていいんですか?」
    「象徴はもう居ない」
    「節目のこの日に俺より成果の出てない人達がなァにを安パイ切ってンですか!」
    「もっとヒーローらしいこと言ってくださいよ」
    剛翼がピクピクと反応する
    …ごめんて

  • 961主25/10/22(水) 21:24:28

    「俺は以上です」
    「さァ、お次どうぞ、支持率俺以外ナンバーワン」
    俺からマイクを奪い取るように持つ
    剛翼がさっきからずっと反応してる
    俺の邪魔しないように、話さないんだろうが…明らかにごーよくさんちょっと怒ってる…
    エンデヴァーさんの事だろう
    怒ってるのも知ってます…けど、エンデヴァーさんがなんて言うか正直楽しみなんすよ
    「…若輩にこうも煽られた以上、多くは語らん」

    「俺を見ていてくれ」

    静かな会場に俺の拍手だけが響いた
    ──────────
    「いやー、ゴメーワクオカケシャーシタ」
    「どういうつもりだ小僧」
    「皆さんがあまりに普通のことしか言わないんで、演出が必要だと」
    [ホークス…熱い…]
    「俺を試したな」
    胸ぐらから手を離される
    「まさか!むしろアシストでしょ、良かったでしょ?」
    「俺は別にオールマイトファンでもないし、あぁなりたいとも思ってません、それでもあの人の引退はショックでした」
    「あの人のようにアイコニックな存在とは言いません」
    「しかし、新たなリーダーは今絶対必要だと考えています」
    「安心しました、かっこよかったですよ」

  • 971主25/10/22(水) 21:25:33

    「自分がそうなろうとは考えんのか」
    「俺がそんな器に見えます?」
    「もうちょい下で自由にやりたいので」
    「貴様のような人間が最も嫌いだ、話は終いだ他の者への謝罪をして来い」
    「あ、こっからが本題です」
    「聞かん!失せろ!」
    「チームアップのお願いです、俺の地元、今、嫌な目撃談が増えてんですよ」
    「脳無って覚えてます?」
    ──────────
    エンデヴァーさんが居れば大丈夫だ
    もし万が一想定外の出来事が起きても…
    [ホークスが大体何考えてるかわかってきた]
    そりゃ良かったです、上手くいくといいんですけどね…

    「神野で格納されていた数十体をオール・フォー・ワンもろとも捕らえ、それ以降────」
    エンデヴァーさんが、今話してる相手はヴィランですよ
    人殺しの、貴方でも救えないようなどうしようもない人間
    例えば、俺から出るこんな言葉だって、きっと思っても無い言葉だ

    「ヒーローが暇を持て余す世の中にしたいんです」

    …あれ、俺…前に似たようなこと…誰かに…

    何か引っかかり思い出そうとしたタイミングで、剛翼が反応する
    またごーよくさんかと思ったが、違う

    「エンデヴァーさん」

  • 98二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 22:40:31

    来たな、ハイエンド戦…

  • 991主25/10/22(水) 23:16:49

    『はーい、お会計ですね』
    「下がって!お姉さん!」
    俺たち目掛けて脳無が突っ込んでくる
    ガラスが割れ、酷い音を立てる
    『どレが1番強イ?』
    「ホークス!避難誘導を!」
    「了解!エンデヴァーさんは!?」
    壁がメキメキと音を立てる
    「噂ではなかったか…なんとも間のいいやつだ…まァいい」
    「どのみちそのつもりで来た!赫灼熱拳」
    「ジェットバーン!」

    「来い、ナンバーワンを見せてやる」

    「エンデヴァーさん飛べるんですかぁ!?」
    「落ちないだけだ!抜かるな!こいつはまだ動く!」
    「こコんな火デ俺レをを、殺セるとと思っ思っ思ったカ?」
    「オ前は強いノか?」
    「生け捕りにして情報を頂く!」

    俺は剛翼を目いっぱいに広げた
    「サポートよろしく、ごーよくさん」
    [任せて、ナンバーツー]
    まったく…笑えない状況なのにごーよくさんは…

  • 1001主25/10/22(水) 23:18:16

    [啓悟、上から二階の東側、非常階段の前に人が詰まってる!子供三人と高齢者二名、窓際!]
    「了解」
    [上二階東、窓際に子供三名と高齢者二名!]
    吹き抜けが複数、内階段、外階段、避難経路は入り組んでいる。煙で視界が悪いフロアがいくつもある、だがごーよくさんは「見える」
    人の位置、けがの具合、動線、彼が伝える座標を俺が身体で返す
    声は低く簡潔に
    やることは単純だ、手を伸ばし、腕を回し、羽の風で人を支えて外の足場へ誘導する、ごーよくさんが指示する場所へ通路を作り、人を羽根で運ばせる
    通路の反対側から、別の市民のうめき声
    [左側の階段、曲がり角に女性が一人、足を挫いて動けない]
    「了解、他は────」
    叫び声とガラスの割れる音が別の階から聞こえてくる
    地震のようにビルが揺れる
    「オイオイ…頼みますよナンバーワン…!」
    [ホーク────]
    叫び声と共に、思わず耳を塞ぎたくなるような音がまた響く
    悲鳴、呼吸、衣擦れ、人から生じる振動!
    感知しろ剛翼
    ビル全階は無理、羽が足りない
    被害部分の人間全員!!

    「被害部分の76名、全員避難完了!」

  • 101二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 06:47:58

    ごーよくさんいる状態であれはどうなるか…ハラハラする…

  • 102二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 12:04:44

    ほしゅ

  • 1031主25/10/23(木) 13:33:17

    「エンデヴァーさん!」
    ビルごと脳無をヘルスパイダーで切る
    「それがハイライトですか!?」
    「まさか!」
    『…面モ白い…』
    そのままビルを焼き切る
    落ちてきた瓦礫を羽根で運びながら、被害を最小限に抑える
    「料理!したこと!ないでしょ!エンデヴァーさん!」
    「みじん切り粗いですよ、均等に切ってもらわないと」
    「喋るより動きに神経を使うんだな」
    「いや、羽減らしすぎると飛行性能下がるんですって」
    「それは悪かった」
    『トリ…』
    下にいたヒーロー達が加勢するが、殆ど意味を成してない
    『邪じゃっ…邪魔!』
    脳無が、体から脳無を吐き出す
    いくつ個性を…もし仮に予定通りだったとしてもこの脳無の性能を試せるようなヒーローなんて
    [ホークス]
    『うわぁぁ!!来るなぁぁ!!』
    吐き出されたの脳無に襲われかけている市民を間一髪で助ける
    「分かってますって…!」
    『ホークス!わっ…』
    「ハーイ、見えなくなるくらい下がっててください」
    「何を隠そう、パワー押しには割と無力なんで」
    「俺の背中やったら…安心させられん」

    上空のエンデヴァーさんに目をやる

    『残ネン』
    「エンデヴァーさん!」

  • 1041主25/10/23(木) 13:34:54

    『つっつままらん、ももっと強いヒヒーロローはいなナい』
    ──────────
    「なんだ…強くない…良かった」
    倒れる脳無をちらりと見た後SK達に指示を出す
    『ホークス!排出されたのは9体だ、まだいる!』
    「駅裏4体、交番前3体です、手分けを」
    剛翼が反応する
    「ごーよくさん、すいません…後でいいで──」
    遠くのビルが崩れていく
    「!」
    俺はSKにその場を任せ、飛んで行った

    エンデヴァーさんの火力を更にあげる方法
    [ホークス、今は俺の事じゃなくてエンデヴァーのことを考えて]
    [一緒に勝とう、ホークス]
    俺は小さく頷いた

    さらに火力を上げ、脳無に近づくエンデヴァーさん
    「そーゆーとこです!」
    エンデヴァーさん!
    俺の羽じゃ破壊力が足りない
    けれどスピードなら互角です
    ‪”‬俺達‪”‬ね、見てたんで知ってんですよ
    本気で越えようなんて人は一人もいなかった
    あなただけですよ、本気で越えようとしてたのは

    いや…無理でしょ…どんだけ不器用なんだこの人は
    「羽、あらかじめ飛ばしときました」
    あなたの火力に、俺のスピードを上乗せする!
    背中押しますよ!ナンバーワン!

  • 1051主25/10/23(木) 13:36:20

    まさに渾身の一撃を喰らわせようとした
    だが、その攻撃は突然獣のような様相になった脳無に防がれた
    「マジかよ…ッ!」
    猛スピードで、飛んでいく脳無とエンデヴァーさん
    十分な火力が出てない…!?
    [羽根はほぼ全弾撃った…]
    けど…それももう燃え尽きてなくなる…!

    「ホークス!!」

    まだ諦めない、こんな状況なのに
    明るく照らせる人になりたい
    「ッ!もう!燃えカス同然です!あまり助力できませんが!」
    脳無を抱えるようにし、上空へ、更に上へと登っていくエンデヴァーさん
    「なるほど、そこなら心置き無く放てますね…!」

    太陽が落ちてきたのではないかというほどの光と熱気
    煙にまみれて、状況が分からない
    羽根はほぼ使い切ってしまい、走ってエンデヴァーさんの元に行くしかない
    心臓の音がやけにうるさい
    生きててくれ、いや、あの人が死ぬ想像ができない
    だってほら…

    右手を上げ、勝利のスタンディングをしているエンデヴァーさん
    だが、もう余裕などないようでふらつく
    俺はそんなエンデヴァーさんを支えた
    「オールマイトとポーズ同じじゃないですか」
    「腕が…違う、奴は左…だ…!」
    「知らんですよ、とにかく!勝ってくれてありがとうございました…!」

  • 1061主25/10/23(木) 13:37:33

    「…0点だ、随分と酷いスタートを切った」
    「…すいません、でもこの勝ちは絶対…絶対にデカイはずです…!」
    「まず、その怪我と出血を何とかしないと」
    「俺はもう動けんぞ…誰かを呼んで来…」

    「ちょーっと待ってくれよ、色々想定外なんだが」
    「…!!!」
    「まァ、とりあえず、初めましてかな?エンデヴァー」
    エンデヴァーさんの呼吸が荒い
    なんで今来た…荼毘…!
    「お前がいるとは聞いてねぇ」
    「…あのスナッチを…殺したそうだな…」
    「敵連合、荼毘…!」
    俺とエンデヴァーさんを囲うように蒼炎が広がる
    「スナ?誰だっけ?」
    「んな事より話そうぜ?せっかくの機会だし」
    エンデヴァーさんが立とうとする
    「いや、あなたは休んでてください、俺やります」
    「雨覆しかありませんけど、時間稼ぎくらいは…」
    エンデヴァーさんも、ごーよくさんも戦わせるわけにいかない
    「勘弁してくれよ、そこの脳無を取りに来ただけなんだ、俺が勝てるハズねぇだろ」
    「満身創痍のトップツー相手によ!」
    攻撃を仕掛けてくる荼毘に、すぐに戦闘態勢を取る俺達
    だが、荼毘が炎を放つ前に、凄まじい風がそれをかき消した
    「ニュース見て跳んできたぜ!」
    「面白ぇ事になってんな!エンデヴァー!ホークス!」
    「てめェ、連合だな!蹴っ飛ばす!」
    「ミルコ…!?ったく…いいとこだったのに…」
    「氏子さん」
    荼毘の口から、神野の時の泥ワープであろう液体が出てくる

  • 1071主25/10/23(木) 13:40:17

    「また今度なナンバーワンヒーローさんよ、また話せる機会が来るだろう、その時まで…」
    「精々頑張れ、死ぬんじゃねぇぞ!!」
    「轟炎司!!」
    「今ッ…!話してけ!」
    たが、ミルコさんが蹴る前に荼毘は泥ワープで消えた
    「消えたっ…クソッ…これって神野ん時のアレじゃねぇのか?」
    「…とりあえずは」
    「一件落着…ぽいですね」
    ──────────
    エンデヴァーさんが病院に運ばれていくのを見た後、俺は燃やさず取っておいた、武器を拾った
    [その足で行くつもり?]
    「…苦労かけてすいませんね、ごーよくさん」
    [1度休んでからでもいいんじゃ…]
    「やらなきゃいけないことですから…燃やされないように気をつけますね」
    [死なないでね]
    「…死ぬ気はないですから」
    ──────────
    「色々話が違ってた」
    「そうだっけ?」
    「もっと仲良くできないかな、荼毘」
    荼毘の目の前に剛翼を突き付ける
    「ザコ羽しか残ってなかったんじゃねぇのか?」
    「嘘つきと丸腰で会うわけにはいかなかったからな」
    「予定じゃ、明日街中じゃなく、海沿いの工場だったはずだ、それにあの脳無、これまでのと明らかに次元が違ってた」
    「そういうのは予め言ってて欲しいな」
    「気が変わったんだ、脳無の性能テストって予め言わなかったか?」

  • 1081主25/10/23(木) 13:41:29

    「しかし、違うと言うとなら、そっちもそっちだぜ?適当な強いやつって言ったろ」

    「ナンバーワンじゃテストにならねぇ、程度を考えろよ」

    「ナンバーワンに大ダメージ、喜ばれると思ったんだけどな、約束は破ってない、反故にしたのはそっちだけだ」

    「いきなりナンバーツーを信用しろって方が無茶だぜ」

    「今回はお前の信用テストでもあった」

    「なんで今日のアレが死者ゼロで済んでる?」

    「俺たちに共感して協力願い出た男の行動とは思えねぇや」

    「こっちも体裁があるんだって、ヒーローとしての信用を失うわけにいかない」

    「信用が高い程、仕入れる情報の質も上がる、あんたらの利益のためだ、もうちょい長い目で見れんかな」

    「連合の事を思うからこそだよ荼毘」

    荼毘が俺の後ろの方向に歩き出した

    俺は手をそっと下ろす

    「まァ、とりあえずボスにはまだ会わせられねぇな」

    「また連絡するよホークス」


    ホークスは

    1 待て、と言った

    2 そのまま荼毘が去るまで何もしなかった


    dice1d2=2 (2)

  • 1091主25/10/23(木) 13:47:51

    …いや、今じゃなくていいか…それに別に荼毘じゃなくていい


    「ひとまず、燃やされずに済んだね、ごーよくさん」
    [炎系の個性はヒヤヒヤさせられる…]
    「そうっすね…でも、今日はありがとうございました、ごーよくさん」
    [勝つためだからさ、それに、俺が生えてる所を直接焼かれない限り別に痛くないし]
    [じゃんじゃん燃やしてこー!とかは、言わないでね]
    「ははっ、それは無いですって」
    なんで笑えるのだろう
    なんで平気で明る明日が来ると思っているのだろう

    俺は病室のドアを開けた
    エンデヴァーさん、ごめんなさい
    俺は…

  • 1101主25/10/23(木) 13:56:37

    とびきり疲れたというのに、今日は寝れそうにない
    プレッシャーで死にそうだ…
    「…ごーよくさん疲れたでしょ…俺が寝なきゃ、ごーよくさんも疲れたままだ…」
    [子守唄でも歌う?]
    「やめてください…ヘタクソ…」
    エンデヴァーさんの片目は大丈夫だろうか…
    [そういえば、なんとなく、荼毘とエンデヴァーって似てるね]
    […何その顔]
    「いや…ごーよくさんもボケるんだなって…歳か…?」
    [ボケてないよ、全く…ほら、なんとなく目の色とか個性とか]
    「髪の色も体格も全然違いますけど…似てるのは個性と瞳だけ」
    「そんなの探せばいくらでも居ますって」
    [そっか〜]
    [生で見たエンデヴァーはどうだった?]
    「かっこよかった」
    [良かったね]
    「けど…ちょっと苦しいっすね」
    「憧れの人の前で嘘をつき続けるって…ホント…こんな辛いとは思いませんでしたよ」
    両親を裏切った、人を殺した、ヴィラン連合にスパイをしている
    胃が重くなるどころかもう吐きそうだ
    「…つらーい…」
    ベットに横になる
    ごーよくさんはそっと頭を撫でてくれた
    無いはずの感触が、あるように感じるのはきっと疲れたせいだ
    [早く、啓悟が望む世界が来るといいね]
    名前のことについて一言言いたかったが
    俺が望む世界と言われ、また俺は考え始めた
    なんだったか思い出せない
    考えてるうちに眠気が襲ってきて、俺は眠りについてしまった

  • 1111主25/10/23(木) 13:58:38

    2日後、エンデヴァーさんの怪我が良くなったそうなので、迎えに行った
    色々聞かれたが、ほとんど嘘で返した
    悲しくなるよ、本当
    「じゃあ、また」
    俺はエンデヴァーさんに手を振った
    またフラッシュバックが起きた
    …そうだ、そうだったな…

    ヒーローが暇を持て余す社会

    必ず手に入れてやる、俺の出せる最高速度で

    でも、何か足りない気がしてならない
    なんだったか…もう思い出せない
    ごーよくさんに聞いても知らないと言われる
    思い出す価値が無いのだろうか…

  • 112二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 18:17:19

    ホークス……

  • 1131主25/10/23(木) 18:53:47

    荼毘から連絡が来た
    ヒーロー達がどういう動きをするか、普段はどこにいるか、主にヒーローに関する情報を求めてきた
    「…何が欲しいのか知らないけど、物資が豊富なのは、南の方」
    「金が欲しいなら、近くに工場がある」
    「昼休憩で人がいないタイミングを狙った方がいい」
    〔さすがナンバーツー、察しが良くて助かるよ〕
    「…人は殺すなよ」
    〔そっちが交渉できる立場だと思うな〕
    「目立ったら、捕まるのはお前達だ」
    〔さぁ?俺達だけで済むかな?〕
    「次はお前だ」
    〔何が欲しい?〕
    「…黒霧の居場所」
    〔悪いな、その件については俺も詳しくは知らねぇ〕
    〔けど…どっか遠くに行ってるってことだけは知ってる〕
    「待て、本当にそれだけか?」
    〔お前と違って俺は正直者だからな〕
    …嘘をついてる感じは無い
    捜索チームもようやく動き出した
    〔話は終いだ、また連絡する〕
    「…少しだけ時間いいか?荼毘」
    〔手短に話せよ?〕
    「お前が関わってきたヴィランに個性と話せる人間はいたか?」
    〔頭イッちまってるやつでもそんなこと言わねえぞ〕
    〔なんでそんなことを聞く?〕
    「個性と話せたら、面白いかもなって、雑談だよ」
    荼毘は数秒黙っていた
    〔…くだらねぇ話だな〕
    荼毘はそのまま電話を切った

  • 1141主25/10/23(木) 19:09:09

    「ねぇ…俺頭おかしいかな…」
    [その言い方だと、俺自身を否定してるってことになるけど…]
    「しょうがないじゃないですか!前例も何も無いんですから」
    [そりゃそうだけどさ]
    「…ごーよくさん」
    「ごーよくさんは、俺の言うことなんでも聞くじゃないですか」
    「俺が、消えてって言ったら貴方はどうするんですか?」
    屋上に静寂だけが響く
    言い過ぎた
    [それだけは聞けないな]
    [啓悟とずっと一緒って約束したから]
    「…俺はホークスです」
    [知ってる]
    [啓悟と約束したっていうのもあるけど…俺は啓悟がして欲しいこと言って欲しいこと、俺にできることなら何でもするけど、ホークスにはそんなことするって約束した覚えはないからね]
    「…屁理屈」
    [ただ、俺は啓悟のことが好きなだけだよ]
    [安心してホークス、きっと辛いのは今だけだから]
    [腹の底から笑える日はそう遠くないよ]
    「…そーっすね…」
    ひたすら前向きなごーよくさんは…ちょっと嫌いだ

  • 1151主25/10/23(木) 19:32:09

    情報を伝え、貰っては、公安に教える
    俺のメンタルなんてお構い無し
    犬が逃げるなら首輪を、鳥が飛ぶなら翼を
    [大通り、多分ブレーキが壊れた車が走ってる]
    「了解」
    ごーよくさんが人間だったらいいのに
    そしたら、こんな思いになることも無かっただろう
    「はーい、大丈夫ですか?」
    『あ、ありがとう!ホークス!』
    『おかげで助かったよ…』
    俺の会話を邪魔しないように、剛翼が反応する
    …見られたな
    こういう時に限って…なんで居るかなぁ…
    ──────────
    「君が訪ねてくるなんて珍しい」
    「調子はいかがです?」
    「だいぶ良くなってきたよ」
    「雄英のとこのお婆さんに頼まなかったンですか?」
    「先生は失ったものまでリカバリーはできない」
    「人間、肺が欠けても存外生きられる」
    「そろそろ露出していくつもりだよ、私の矯正を待っている者が大勢いる」
    「そうですか!」

    「それは残念です」

    ヒーロー殺しという言葉が頭を過ぎった
    ジーニストさんの説得には成功した
    殺さずに済んだ
    さて…これで終わってくれると助かるんだけどね…

  • 1161主25/10/23(木) 19:50:21

    仮死状態になったジーニストさんを見た
    俺は何もしてないと否定したかった
    けど、そんなことはきっと許されないだろう
    全て背負って生きていけ
    [時間通りに来なかったね]
    「勘弁して欲しいよ」
    […ねぇ、ホークス、俺さ、すごい嫌な予感もするんだ]
    「俺もです」
    [そっか、ホークスも同じなんだね]
    「一旦帰りましょうか、いつまで待ってたって、意味が無い」
    ──────────
    ごーよくさんは勘が鋭い
    個性と性格も関係してるのだろう
    …いや、ごーよくさん自体個性なんだ、色々と敏感なのだろう
    「泥花市で何があった?」
    「おまえたちだろ」
    「…とっとと連合を捕まえてりゃ市民が死ぬこともなかったかもなァ…」
    持ってきた仮死状態のジーニストさんを見て笑う荼毘
    「これが本物かどうかはともかく、お前は人を1人殺したって訳だ」
    「ヒーロー殺し、なんら俺らと変わらねぇな」
    「そうかも」
    「で、ちょっとは信用してくれた?」
    「信用つーか、ここまでやってくれると思わなかった」
    「ヒーローの片隅にも置けねぇな」
    荼毘はソレを持つ
    「氏子さん」
    「…あぁ、そうだ、次会う時は、いい仲間を紹介してやるよ」
    「きっと気にいる」
    「冗談はよせ」
    そのまま泥ワープで、跡形もなく消えていった

  • 1171主25/10/23(木) 20:16:35

    ほんの少しだけ、状況が落ち着いたような気がする

    ようやく、一息つけ、なにかしてみようかと思った

    「お疲れ様です、ホークス」

    「ありがとうございます、目良さん」

    缶コーヒーを受け取り飲むが…

    「っ苦!?」

    「…ふっ」

    目良さんがほんの少しだけ笑う

    缶のラベルを確認すると、ブラックコーヒーと書いてあった

    [珍しいね、目良さんがイタズラなんて]

    「ちょっと、勘弁してくださいよ!?目良さん!」

    「甘いものばかりだとそれこそ疲れますよ」

    「うえっ…」

    「ホークスも少しは大人になったかと思いましたが、まだまだですね、安心しました」

    「安心ってなんすか…大人になった方がいいに越したことはないでしょ?」

    「早く大人になる必要は無いんですよ」

    「ごーよくさんもそう思いますよね?」

    目良さんの口から久々にごーよくさんという言葉を聞いた

    最近…というかここ数年は目良さんにごーよくさんのことを話してなかった

    まだ、覚えててくれたんだ

    [そうだね、ずっと子供でいいよ]

    [無理して背伸びしなくたっていいからね]

    なんとなく恥ずかしくなり、俺は顔を逸らした

    目良さんもごーよくさんもクスクス笑っていた


    ホークスは今日なにをする?

    >>120

  • 118二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 20:29:52

    気分転換に散歩に行く

  • 119二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 21:31:54

    美味しいものを食べに行く

  • 120二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 00:01:04

    掃除をする

  • 121二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 07:11:49

    保守

  • 122二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 12:08:00

    原作考えると最終的にはごーよくさん…

  • 1231主25/10/24(金) 13:05:44

    昼過ぎ
    玄関のドアを開けると、乾いた空気と少しこもった匂いが出迎えた
    「……ただいま」
    靴を脱いで、ふぅと息を吐く
    家って、こんなに静かだったっけ
    [おかえり、啓悟]
    「ごーよくさん、ただいま」
    「って言っても、ごーよくさんはずっと一緒だったでしょ?」
    [気持ちだよ気持ち]
    いつもの声が、少し安心する
    ジャケットを脱いでソファに放り投げ、カーテンを開けると、
    昼の光が差し込んでくる
    埃が舞って、光の粒がふわっと浮かんだ
    「…掃除サボりすぎたな」
    [だね今日、休みでしょ?]
    「まぁ、そうっすけど……」
    少し考えてから、ぽんと手を叩いた
    「よし、やるか!」
    [その勢い大事だよ、ホークス]
    その言葉に背中を押されるように、ホークスは掃除機を引っ張り出した
    外は穏やかな昼下がり、窓から差す風が、カーテンをゆらしていた

  • 1241主25/10/24(金) 13:06:53

    掃除機をかけながら、散らかっているものを剛翼を使い分別しながらゴミ箱に捨てていく
    [昔からすると器用になったよね]
    「…頑張ったからね」
    [知ってる!]
    掃除機のうるさい音にも勝つぐらいの大きな声で俺を応援するごーよくさん
    なんだが楽しくて、すいすい掃除が進む
    [ホークスって、ベット下にエロ本とかないの?]
    「無いっすよ…そんなもん」
    [じゃあこれ何?]
    ごーよくさんがベット下を指さす
    「なんもな…」
    コツンと、手になにか当たる
    俺はそれを取りそっとベット下から引き抜いてみる
    チラッと、表紙を見てそっと元の場所に戻した
    [え?何それ?]
    「いや…幼い頃なんか表紙乗っちゃった雑誌をほぼ押し付けるように貰いまして…」
    「その時ちょうどタイミングが良かったのか悪かったのか、ごーよくさんが疲れてた時だったのでごーよくさん覚えてないんすね」
    [見せてよ]
    「嫌です!エロ本より嫌です…!」
    [そっか、ならどんな内容かだけ教えて]
    「まぁ、若手期待ヒーローみたいな…やつですかね」
    [なら、良くない?]
    「なんとなくごーよくさんに見せるの恥ずかしくて…」
    [可愛いね、ホークス、まぁ、人に見せたくないものぐらいあるしね]
    [さ、掃除機再開させよう!]

  • 1251主25/10/24(金) 13:08:24

    窓ガラスを拭いたり、ゴミをまとめたり、物の位置を変えたりしてみた
    我ながらいい感じになった気がする
    「俺が汚れちゃいましたね」
    [お風呂入る?]
    「あ、その前に洗濯物」
    洗濯物を集め、洗濯機に入れて回す
    [ホークスはいつお婿に出ても大丈夫だね]
    「出ませんよ…結婚する気ないですし」
    [いやいや、ホークスが結婚しないなんて、世間と俺が黙ってない!]
    [それに、啓悟には幸せになって欲しいし]
    「結婚は人生の墓場って言葉もありますし…」
    [今すぐって言ってるわけじゃないし、でも、いい人見つかるといいね]
    「気が早い…」
    俺は一旦洗濯機を止め、着ていた服を入れる
    そのままシャワーを浴びることにした
    湯をざっと浴びて、ホークスは背中の羽を大きく広げた
    お湯に濡れて重くなった羽根を、指の腹で優しく撫でていく
    ごーよくさんは、シャワー浴びて、羽を洗ってる時ものすごい静かだ
    痛いのか?とも思ったことがあるが、風呂上がりにごーよくさんと話してると、元気そうだし…多分気持ちいいのだろう
    よくよく考えたらごーよくさんの本体はコレか…
    なんでそれが人型になって見える
    すごい異常事態なんだな…と再確認させられる

    俺は身体を洗ったあと風呂からあがる
    羽を拭き身体を拭く
    ごーよくさんは俺が思春期に入ってから、風呂に入ってる最中は姿を現さない上、話しかけても来ない
    …要らないお世話…

  • 1261主25/10/24(金) 17:19:54

    身も心もそこそこスッキリした
    今日はよく寝れそうだ
    まだこんな時間だけど、あんな時間まで働かされてるんだ…もう寝ていいよな
    俺はベットに横になったが、すぐに寝れそうになかった
    「ごーよくさん、もし俺がさ…ヴィラン連合の思想に、本当に賛成してヴィランになったらどうしよう」
    […ホークスの意思を尊重するよ]
    [それが間違いだったとしてもね]
    「叱ってくださいよ」
    [俺は君の幸せだけを願ってるから]
    ごーよくさんが、久々に頭を撫でてくれる
    もちろん触られたという感じはなかったが
    それが心から落ち着き、俺はだんだんまぶたが重くなっていった
    ほんの少しだけ、明日はいい日だといいな

  • 127二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 17:20:48

    ゆっくり寝てね…

  • 1281主25/10/24(金) 22:44:38

    朝早く荼毘に群訝に来いと言われた
    最悪のモーニングコールを聞かされた
    けど、もっと最悪なことが起きるなんて俺は知らなかった


    「さァ!その名を!死柄木弔!」

    「超常解放戦線」

    遅かった

    一つの意志に統一された兵隊
    ネットワークを掌握するF・G・I社
    業界に深く関わりのあるデトネラット社
    そして…恐らくまだ数体はいるであろうハイエンド脳無
    やろうと思えばいくらでも…
    このヒーロー溢れる超人社会で死柄木はヒーローたちと同等かそれ以上の力を持ってしまった

    ボヤけていた未来がハッキリと見えてくる
    何落ち込んでる暇がある?過ぎたことを‪”‬今‪”‬考えている場合か?
    [ホークス、後ろ]
    俺はすぐに表情を取り繕った
    「おい、何してるナンバーツー」
    「嬉しそうだな」
    「ああ!皆に紹介頼むよ」

    まだだ、まだ奥にも後ろ盾がいる
    全貌を突き止め一刻も早くエンデヴァーさん達に
    さァ…ホークス、ここからは遅れを取れば日本が終わるぞ

  • 129二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 01:30:43

    ごーよくさんいる状態で戦線編か…

  • 130二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 06:42:51

    ほしゅ

  • 1311主25/10/25(土) 09:44:29

    「ん、あぁ、ちょっとこっちに来いよホークス」
    「何?」
    「この間、言った、いい仲間ってのを一応紹介しておかなきゃなって思ってな」
    「そういや言ってたね」
    俺は荼毘について行来ながら俺は何人か連合の顔を思い浮かべた
    「あー…もしかしてトゥワイス?」
    「彼…怪我人でしょ?」
    「心配すんな、元気さ」
    「それに、アイツもお前に会いたがってる」
    ──────────
    「改めて紹介する、ヴィラン連合トゥワイス」
    「荼毘から話は聞いてるぜ、裏切り者なんだってな、極悪人が!良い奴だな」
    「あはは、そうですね、ヒーロー社会ぶっ壊せ〜!って感じです」
    「まぁ、荼毘が連れてきたやつだから心配する事はなんもねえと思うんだけどよ」
    「コッチを裏切ったりはしねぇよな」
    「まさか!逆になんでそんなことしなきゃいけないんですか?」
    「安心する答えが聞けてよかったよホークス」
    「いいや、俺はまだ信用ならねぇ、あの鳥野郎の1件もあるからな」
    「鳥は鳥でも俺は鷹ですよ、あんなクチバシしかないのと一緒にしないでください」
    「挨拶はもういいな?あとはお前ら次第だ、友情育むなり、喧嘩するなり好きにしてくれ」
    「ま、仲良くできるに越したこたぁ、ねぇよなホークス」
    「ですね」
    「じゃ、今後よろしくの握手し…い‪”‬っってぇ!!」
    「大丈夫ですか!?骨折れてるんですから、無理しないでください」
    こんな至近距離で話したこと無かったけど…本当にヴィランか?

  • 1321主25/10/25(土) 09:45:35

    暗号でのやり取り、ヒーローとしての活動、ヴィランとしての活動、日常生活
    全部両立させるのは無理だと思ったが、慣れてしまえば…まぁ…できないことも無い
    それに、情報収集は思ったよりも早くいってる
    [ホークス、少し静かな場所に行こう]
    「分かった」
    ごーよくさんは、俺が気づかないほどの微弱な振動も感じ取っていた
    [────だから、気をつけてね]
    「情報ありがとうございます」
    [荼毘は信じちゃダメだよ]
    「ココの連中は…誰も信じてないですって」
    […トゥワイスは?]
    ごーよくさんがぽつりとつぶやく
    「ただの都合のいい情報の仕入先です」
    「感じも良くて、話してて楽しいですよ」
    「唯一、溜まったストレスが発散できてる気がする」
    無意識に少しだけ頬が緩む
    [それって矛盾してるね]
    「そうっすね」
    [彼のこと好き?もちろん恋愛的な意味じゃなくて、友達そっちの意味合い]
    「ええ?別になんとも…」
    [相手は、ヴィランだからね、忘れちゃダメだよホークス]
    […啓悟は優しいから]
    「大丈夫ですって、俺の行動一つ一つに命が関わってる」
    「ヘマなんか、しませんから」
    俺は外を見た
    ここはアイツらのアジト、本拠地
    入れる通路、隠し通路、見回り
    もうそこら辺は全部俺とごーよくさんで暴いた
    「もうすぐ、年明けますね」
    「…寒いなぁ」

  • 1331主25/10/25(土) 09:46:39

    遺体の共有保管を荼毘が提案してきた
    効果的な場面で使うべきだと
    予めごーよくさんとその件については話していたので、荼毘との会話はスムーズにいった

    四六時中の監視
    「ブラックを買いかけて慌てていたな」
    「甘いのが好きなんス」

    伝えたいことも直接言えない
    「読んどいてくださいね」
    「ナンバーツーが推す本…!僕も読んでみよう…あの速さの秘訣が隠されてるかも…」
    「そんな君の為にも持ってきてました!」
    「用意が凄い!」

    ごーよくさんが居なかったら俺はとっくに折れてぶっ壊れて、けど、壊れきれなくて、そのまま働いてただろう
    忙しくて、監視されてて言えないけど…ありがとう、ごーよくさん

    「とりあえず、解放思想の浸透をガンバってます!」
    「公安は未だに────」
    長ったらしい話、本当はもう聞きたくも話したくもない
    剛翼を扉に挟む
    どれだけ小さなSOSも取りこぼさないように鍛えてきた
    剛翼は振動幅から音の種類を割り出す

    聞こえてるぞ

  • 1341主25/10/25(土) 09:47:42

    この中にヒーローが何人いるのか
    死柄木が、死柄木の奥にいるやつが具体的に何をしようとしてるのか
    最小羽じゃ聞き分けられる距離も短い
    [ごめん、ホークス、物音が思ったよりも…]
    肝心なところが曖昧なまま掴めない
    でも、わかってからじゃ遅いんだ

    今すぐここを包囲してしまえば

    [最速を考えろ]

    解放軍の細かい数や、全国にあるという、潜伏地点そして協力しているヒーロー全員を明らかにして、奴らを一網打尽にする
    さもないと見えない敵を取り逃してしまうし、市民への被害も大きくなってしまう

    「実は俺、まだ全然わかってねェの!今度教えてくれ」
    「難しくはないっスよ」
    「なんなら、今からでも教えましょうか?」
    「頼むぜ!」

  • 1351主25/10/25(土) 09:49:08

    「ん〜…やっぱり俺、頭悪ぃのかなぁ」
    「そんなことないですよ、ちょっと整理してみましょう」
    俺は紙を折って、図を描く
    分倍河原の表情が少しずつほぐれていく
    柔らかな光の中、ただの人間として話してる気がした
    この時間が終わったら、また“スパイ”に戻らないといけない
    何も知らない分倍河原の笑い声が、心の奥を掻き乱す
    どうして、こんな人がヴィランなんだろう
    ──────────
    「ああもう!早く死柄木に会わせて、監視解いてやりてーよ!!」
    「なんで未だに会わせもしてくれないんですかね」
    「京都の山で強化中だからだよ、4ヶ月かけて」
    「オフレコネタな、黒髪ロングが盗聴してるだろーけどまー、大丈夫だ、お前俺達のために身を粉にして働いてるもんな」
    俺は思わず持っていたペンを落としてしまった
    罪悪感がこぼれたインクのように心に滲む
    「おい、大丈夫か?立ちくらみか?」
    「あ、あぁ、いえ、ちょっと…その、嬉しくて」
    「…あの、分倍河原…」
    俺は羽を広げたあと、分倍河原の前に立った
    「俺が個性と話せるって言ったら…貴方はどう思いますか?」
    分倍河原は少し黙った後、言った

    「きっと、お前と同じでいいやつなんだろうな、素敵じゃねぇか、クソみてぇだな!」

    「気味が悪かったりとか…しませんか…」
    「少なくとも俺はんな事思わねぇ」
    「あー、そうだな…俺とおそろいみてぇで、いいじゃねぇか!いや、良くねぇ」
    「…そうですか、ちょっとコーヒー買ってきますね、ブラックでしたっけ?」
    「おう!」
    俺はその場から逃げるように、部屋を出ていった

  • 1361主25/10/25(土) 09:50:14

    馬鹿だ、傷口を広げるような質問をした
    けど、あの人は受け入れてくれて、肯定して…褒めてくれた
    [ホークス…]
    「分かってる」
    もうあの人は、ただのチンピラなんかじゃない
    あの人ひとりで日本を終わらせることだって可能になってしまった
    そして、仲間を守る意思が強すぎる
    何度ごーよくさんに相談しても、この結論は変わらない
    俺はあの人を…

    ‪”‬殺さなきゃいけない‪”‬

    [また俺を使って、いつも通りに]
    違うよごーよくさん
    貴方を使って‪”‬俺が‪”‬コロすんだ

    ──────────
    「遅くなってすいませんね」
    「便所か?」
    「そんなとこです」
    分倍河原にコーヒーを投げる
    [迷わないで、ホークス]
    [君の行動一つ一つが命に繋がってる]
    ちらりと分倍河原を見る
    壁には血がべっとり、床には羽が何本も散らばって、真ん中には分倍河原の死体

    そんな事にはならないよ

    …ごーよくさんのそんな言葉が聞きたくなった

  • 137二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 12:21:43

    トゥワイス、いい奴だからなぁ…

  • 1381主25/10/25(土) 14:10:52

    そんな一日が終わりベットになだれ込むように横になった
    もう俺は限界だったようで、そのまま眠りに落ちた
    ──────────
    [久しぶりだね、啓悟]
    [ここで会うのは2回目だね]
    「だから、俺はホークスですって」
    ごーよくさんがゆっくり近づいてくる
    羽を広げ、自分の体を大きく見せるように、威圧感を与えるように俺の前に立つ
    [啓悟は、優しいからきっと躊躇する]
    […嫌な予感が止まらないんだ]
    「公安に来た時よりも?人を殺した時よりも?」
    […うん]
    ごーよくさんのそんな一言に、俺は夢の中だと言うのにドバっと冷や汗をかく
    「日本が…終わるんすか…?」
    [啓悟、俺はね…日本とかどうでもいい]
    [啓悟はいい子で賢い子だから、そんなヘマはしない]
    [けど、優しすぎるから]
    [死なないでね]
    ごーよくさんの言葉が重い
    息をするのもやっとだ
    けど、そんな緊張も、ごーよくさんの体温を感じるハグで和らぐ
    何が起きるか分からない、用心を怠るつもりは無い
    けど…怖い…
    「怖いよ…ごーよくさん」
    […ずっと一緒にいるから、大丈夫…啓悟は大丈夫だから]
    [だから、躊躇っちゃダメだよ]

  • 1391主25/10/25(土) 19:56:08

    「なァ、ホークス」
    「仲間の役に立とうって人間に悪ィ奴はいねぇ」
    「一緒に好きに飛ぼうな!」

    あなたのおかげだ

    「どうなってんだよ…なァ…!」
    「襲撃日時は暗号でやりとりしました
    「いやー、めちゃくちゃ大変でしたよ」
    「今回はとにかく数が脅威でしたので、「2倍」のあなたに少しの猶予も与えたくなかった、あなたを常にマークする必要があった」
    「会議前に解放思想のおさらい、自然だったでしょ?」
    「ホーク───」
    「抵抗しないでください、あなたはこのまま拘束し、警察に引渡します」
    「ちょっと…待てよ…あぁあ…ねぇえ…」
    「いっっっも…こうだぁ…」
    「またかよォオオお…!!」
    「信じて、信じてあげねぇと可哀想だって…思ったから」
    「誰かが信じてあげねぇと可哀想だって!」
    「…ありがとう」
    その言葉に対して出てくる言葉はそれしか無かった
    「あなたは運が悪かっただけだ、罪を償ってやり直そう」
    「やり直せるよう俺も手伝う」

    「…あなたはいい人だから」

    「うるせぇ…」

    「これがヒーローか?」

  • 140二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 19:57:24

    あぁああ……ここつらい…

  • 1411主25/10/25(土) 20:21:34

    「何をやり直すってんだ!」「やめろ」 「なァ!!」「分倍河原!」
    「俺は!俺のことなんかとっくにどうだっていいんだよ!」
    「あなたと戦いたくないんだ!分倍河原!」
    「そりゃテメェの都合だろ!」
    「俺の魂はただ…みんなの幸せの為に…」
    ただ、無心で俺は分身する分倍河原を切った
    ごーよくさんも何も言わない
    「倍々で増やしていくにつれ、耐久力が低くなってますね」
    「同じ大雨覆で攻撃して解けるのとそうでないのがいますね」
    「ここまでやってきて絆されるようなミスはしない」
    「大人しくどうこうしてくれれば、まだやりようはあったんだ」

    ‪”‬彼のこと好き?‪”‬

    「…俺はあなたのこと好きでしたし」

    「俺の仲間はこいつらだけだ!土足ではいってくんじゃねぇ!」
    「無駄だ!屑が!屑野郎が!」
    「高速化が進むヴィラン退治、なんでだと思いますか?」
    「諦めない人間が、ヒーローにとって最も恐ろしいからです」
    「経験上意思の硬い人間は気絶してくれない」
    「うる…せ」
    「だから、どっちも諦めないから殺すしかなくなる」
    「おめェらは…ヒーローなんかじゃねぇ…」
    「いつもそうだ、誰も彼も!あぶれた人間は────!」
    分倍河原の言葉一つ一つ、耳を塞ぎたくなる
    俺は反論なんてできない
    「連中に伝えとくよ」
    [啓悟!!]
    俺の意志とは関係なく、数十枚の羽が俺の背中を覆うように舞った

  • 1421主25/10/25(土) 20:37:00

    その瞬間、扉の方から勢いよく炎が吹き出した
    「伝えなくていいぜ!聞こえてる」
    炎から咄嗟に身を守ろうと、避けようとするが、体制を立て直す前に、頭を踏まれ、ゴーグルが割れる
    「俺に気づいてなかったろ!?」
    「絆されてんじゃねぇか!ヒーロー!」
    そのまま、俺を踏み潰すかのように炎を噴出する荼毘
    だが、俺は間一髪のところでそれを避けた
    「武器がだいぶ減っちまったな」
    「仲間も燃えるとこだったぞ…」
    「大丈夫、ヒーローってのは咄嗟に人命救助をしちまうもんだ」
    「皮肉が冴えてるね、わかってたかのような勢いだったけど、バレてた?」
    「バレるも何も、最初からなにも信じちゃいねぇ」
    ごーよくさんが守ってくれなかったら、今頃俺は今の状態より酷い怪我を負ってた
    分倍河原は弱らせた…ここから運び出────
    「燃やせェ!!」
    「ッ動くなって!」
    視線を誘導させられるかのように、羽根と窓が目に入った
    周り込め…ホークス!

    俺のことを完全に消し炭にしたと思っていたようで、荼毘はまだ窓の方を向いていた
    「速すぎだ…!」
    扉から出ようとする分倍河原に剣を振るう
    この状況に1番適した判断、任務を遂行する

    「鷹見啓悟!!」

    その声が嫌に耳に響いた

  • 1431主25/10/25(土) 20:38:23

    なぜ俺の名前を知っている?
    何だ、こいつ
    俺の視線は分倍河原に向いた
    殺さなきゃいけない、俺が求める可能性はゼロになった

    俺は分倍河原に剣を突き刺した

    一瞬の隙
    そのタイミングで俺は背中を丸ごと焼かれた
    叫び声が、聞こえた
    [痛い痛い痛い…熱い熱い熱い…ッ!!]
    「ごーよくさ…っ…」
    酷い痛みだ、俺は背中を焼かれただけだが…ごーよくさんは全身を焼かれたも同然だ
    火を消そうとする俺の背中を思い切り踏みつける荼毘

    痛い、熱い、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い熱い熱い
    助けて、啓悟

    「よくも!よくも!トゥワイスを殺したな!」
    「それがッ…仲間を殺された奴の顔か…!?」
    「なんて言い草だ酷い!涙腺が焼けて泣けねぇんだよ俺ァよ!」
    「トゥワイスがいりゃ、俺の夢はより確実に叶っていたんだ!」
    「悲しいに決まってる!」
    「連合の…っ…素性を調べた!」
    「お前と死柄木だけだ!何も出なかった人間は!」
    「誰だ…誰だおまえは」

  • 1441主25/10/25(土) 20:41:29

    「────」
    「トゥワイスよりも誰よりも、お前は俺をマークしなきゃいけなかったんだ」
    「連合も、死柄木も最初からどうでもいい」
    「一人の人間のたった一つのしゅうねんあで、世界は変えられる」
    「この世界に本物の英雄なんていやしねぇ」
    「俺はステインの意思を全うする者だ」
    「じゃあなホークス」
    「お前の生死も俺にはどうでもいい」
    熱いとか、苦しいとか、そんなことはどうでも良かった
    「ごー…よく…さ…」
    返事は返ってこなかった
    徐々に感覚もなくなっていく
    …嘘つき…一緒にいるって…
    「ごーよくさんのっ…嘘つ…」
    炎の勢いが強まり、死を覚悟したその瞬間
    熱がほんの少し収まった

    「ホークス!」

    視界が揺れる…誰だ…
    「フミカゲまずいヨ…」
    「言うな!」
    「ホークスの背中が…ナイ…!」

    「雄英の…ダセェな学生まで引っ張り出してんのか」
    「見ろよガキ」
    「そいつが、殺した、仲間を守ろうと走る背中をグサッと!」
    「何しに来た?助けに来たのか?何を助けに来た?」
    「お前が健気に夢見るプロってやつぁ、俺たちなんかよりよっぽど薄汚ねえぞ」

  • 1451主25/10/25(土) 20:42:35

    「…と…こ‪”‬…やみ…く‪”‬ん…」
    ここから逃げろ、君じゃ勝てない…相性が悪すぎる
    だが、常闇くんは俺の上半身を起こし、そのまま黒影と共に守るような体制をとった
    「俺はただ、師を案じただけだ」
    「思考停止」
    狭い廊下に炎が立ち上る
    チラリと常闇くんの右足が焼けるのを見た
    「ぐぅ…!!!」
    「フミカゲ…ごみぇ…ん」
    「…まだ…しゃ…べる」
    「答えろよ焼き鳥ども、本当に救いを必要としてるのは誰だと思う?」
    「…指示を」
    俺との会話にかまけたせいで俺を殺し損ねた
    それなのに、今また繰り返してる
    そうだ…恐らくこれは余裕じゃない
    動揺を誘って時間を稼いでる
    今の炎もだいぶ弱まってた
    連発できなくなってる
    「い‪”‬…ま…いけ‪”‬…」
    そのまま手すりを超え、下の階まで降りていく
    だが、黒影が炎の光で力が弱まったせいか、そのまま位置は低かったものの落下した
    そのせいか、徐々に意識が薄れていった
    ごーよくさんは…無事か?常闇くんは無事に…
    あぁ…もう…俺…は…

    「ホークス!ホークス!!」
    「すまない、ホークス!」
    「…ホークスから話は聞いてる…ごーよくさんと言ったな…」
    「頼む…師を…ホークスを守ってくれ…!」
    「黒影!ここなら炎も無い!黒の堕天使!!」

  • 146二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 21:57:56

    ごーよくさんが…

  • 147二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 07:42:47

    保守

  • 1481主25/10/26(日) 12:05:06

    フッと、煙のように消え、俺は痛みからか、それともごーよくさんが消えたショックからか、涙が溢れ出て止まらなくなった
    こんなに泣いたのは何時ぶりだろう
    あぁ、まだごーよくさんに助けてもらう前だ
    父に暴力を振られ、大声出ない喚いた
    俺はベットのシーツに爪を立てた
    …居なくならんでね、ごーよくさん

    幼い頃の光景が鮮明に浮かび上がる
    希望に満ちた俺を、まるで家族のように扱ってくれた
    優しく撫で、応援してくれた
    …他人から見たら、ただの異常者
    けど、そんなことどうだっていい
    大好きで、大切なんだから

    ‪”‬きっとそこにあるのは、笑っちまうぐらい明るい世の中なんだろうね‪”‬

    満点の星空の下、俺は何を願った?
    きっと答えはシンプルだ
    なのに、ずっと思い出せない

    みんなは無事か?死んでない…よな…
    常闇くん…エンデヴァーさん‪…

    また、ドッとした疲労感が俺を襲い、俺は眠りに落ちた

  • 149二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 14:41:29

    ホークス……せめて夢の中では…

  • 1501主25/10/26(日) 16:50:11

    ごーよくさんの姿がはっきり見える
    そんなごーよくさんの前に俺は立っていた
    なんて声をかければいいか分からない
    [俺のせいだ]
    [俺が、俺が教えなければ]
    [啓悟に愛なんて教えなければ…]
    [啓悟が辛くなるって…考えてなかった]
    違う、そんなんじゃない…ごーよくさん
    俺は…貴方と一緒にいて幸せだった!これからもずっとそうだ!
    …なんで声が出ない…!?
    [俺が最初から居なければ、啓悟がヒーローになることもなかった]
    [啓悟が人を殺すこともなかった]
    [啓悟が苦しい思いをすることも無かった]
    [ごめんね、全部…全部俺のせ…]
    俺はごーよくさん目掛けて拳をふるった
    「…なんで俺がそげんこと思わなきゃいかんとですか!?」
    ごーよくさんはふらつき、その場に倒れる
    「あなたのせいなんて1度も思ったことなんかない!」
    倒れたごーよくさんの上に乗り、胸ぐらをつかむ
    「辛らくて苦しい思いもした…けど…貴方がいたから…!あなたがいてくれたから!俺は!」
    「俺は…」
    ごーよくさんの顔に涙が垂れる
    俺は必死に涙を堪えようとしたが、溢れ出て止まらない

    「ごーよくさんが居なくなるのがいちばん辛いよ」

    俺の下でごーよくさんが声を出して泣いていた
    あぁ…そっか…そうだ…俺と、俺と何も変わらない子供なんだ
    [俺っ…俺だって…啓悟が…居なくなったらぁ…]
    涙を溢れさせるごーよくさんを俺は抱きしめた

  • 1511主25/10/26(日) 18:08:48

    「…ホークス!」
    ジーニストさんの声で目が覚めた
    「良かった、寝たか死んだかわからん」
    「もうじき着くぞ」
    …目元が涙で滲んでいた
    〔すんません、俺だけ快眠して〕
    「全くだセントラルの────」
    〔すんません、下手な細工じゃごまかせないと進言したのは俺です、脳無を────〕
    文字を打つ度に、記憶が鮮明になる
    情報をまとめて1度整理るのにも使えそうだ
    〔まァ、こちらの効果的な時期でこっそり蘇生させましたけどね〕
    「掴まってろ」
    ジーニストさんの視線が一瞬狙いを定めるような動きになった
    車を強引にUターンさせる…ヴィランか
    ──────────
    母が住んでいた家に着いた
    〔回復して表に出る前に確認しなきゃいけない〕
    ガランとした部屋に上がる
    〔母さん〕
    「…夜逃げか?」
    置き手紙が置いてあり、俺はそっとそれを手に取った
    〔…荼毘が…人を使ったのか、ここまで辿り着くとは〕
    母さんから情報が漏れたのがいちばん大きいが…俺も…油断してた
    「それはキツイな、まるでスキニージー…」
    〔いえ、「鷹見」の抹消は俺と母の関係が消えるということです〕
    〔それでいいと思わせてくれたんです、救うのではなく見限った、人を助けたいって奴がですよ〕

  • 1521主25/10/26(日) 18:09:58

    〔それが返ってきただけ、むしろスッキリっすわ〕
    〔…公安は現在、実質機能停止、俺に指示を出す人がもう居ない〕
    〔縛るもんが〕
    「無くなった」
    スマホを持つ手がほんの少し震えた
    もう、文字頼りはやめよう
    「…ジーニスト…さ…ん」
    「追い詰められた…時…自由を得れた…時って…」
    「人の性が…現れ…ますよね」
    「だから…分倍河…原は…良い奴でした…人の役に立とうと…必死…だった」
    「俺も…そうありたい」
    「荼毘の…語った…轟家の話が…本当だったとしても…」
    「きっと今は違う」
    「して、どう動く」
    「片付け…なきゃ…いけないことが…死ぬほどあり…ます」
    そこから先、俺はどうすればいいのか具体的なことは出てこなかった
    [啓悟]
    分かってる、ありがとうごーよくさん
    「…まず、俺の原点から…エンデヴァーさんが困ってる」
    「その前に、私に話しておくことがあるんじゃないか?」
    ジーニストさんが俺を指さす
    いや…俺じゃないな
    「…?」
    「…あぁ…そう…ですね…」
    「彼の話…長くなります…けど…大丈夫…すか…?」
    「時間はまだある、必要なことだ」
    俺は小さく頷いたあと、話し始めた

  • 153二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 18:48:28

    アニメでAFOに取られた剛翼もついに消えちゃったし
    この後ごーよくさんとお別れしなきゃならないと考えたらとても辛くなってきた
    厳しい世界を剛翼と一緒に頑張ってきたホークスが何をしたって言うんだ悲しくない筈が無いじゃん…

  • 1541主25/10/26(日) 20:39:32

    エンデヴァーさんの元に移動中、俺はジーニストさんと話していた
    「君の信じていない訳では無いが…信じ難い話だな」
    〔そうですよね〕
    「だが、本当に仲良しなんだな」
    「言い方が悪いが、私達は皆個性を心のどこかで自分の所有物、体の1部だと思っている」
    「だが、ホークス…君は、個性のことを家族だと思っているな」
    〔大事な家族です〕
    「…なら、酷な話をするが…」
    「ラスボスは他者から個性を奪えるAFOだということを忘れるな」
    〔はい〕
    ──────────
    病室の外からでも聞こえる声で轟家が話している
    おぞましい話ばかりだ
    ショックだな、エンデヴァーさんと、父が重なって見えるなんて
    …にしても、凄い大声で泣くな、エンデヴァーさん
    ジーニストさんと視線を交わし、そのまま病室の扉を開けた
    〔すみませーん〕
    〔話、立ち聞きしちゃいました〕
    〔その家族旅行、俺らもご一緒していいですかね?〕

  • 1551主25/10/26(日) 20:42:14

    〔俺は昨日既に退院して、色々と情報集めていたんですけ…〕
    「ウチの息子が申し訳ありません」
    いきなり、冷さんに土下座をされた
    あれは俺が油断したからであって…!冷さんに謝ってもらうのは…!
    〔ややややそういうつもりで、出てきたんじゃないんで!やめてください奥さん!〕
    微かに後ろから笑い声が聞こえたような気がした
    ジーニストさんは素早く冷さんを支え立ち上がらせていた
    「荼毘について、伺いたかっただけです…!盗み聞きは違法デニムでしたが…」
    「怨嗟の原点は捜査の手掛かりになります、その後どう生き延び、どうやって荼毘へと変貌を遂げたかは、本人に直接聞くとしましょう」
    〔俺た…俺、あなたの昔の映像とかよく見てましたけど〕
    危ない…まだエンデヴァーさんには情報量的に多すぎる
    〔若い頃の執念がまさかこんな形で肥大していたとは、ショックですねー〕
    焦凍くんの肩に腕を乗せる
    〔燈矢組のお話ってことで出てきませんでしたが、焦凍くんの火傷、これもエンデヴァーさん?〕
    「……私です」
    「お…」
    ‪”‬恨んで当然の私たちを再びお母さんと呼んでくれた‪”‬
    〔そっか〕
    俺はあの人達に向き合えなかった、諦めて見限った
    〔ショートくん、君はかっこいいな〕
    「?」

  • 156二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 20:44:19

    この違法デニムってなんだろうって毎回思ってしまう…

  • 1571主25/10/26(日) 21:02:12

    〔エンデヴァーさん、外は今、地獄です〕
    「あぁ…」
    〔死柄木・荼毘・トガヒミコ・スピナー・スケプティック〕
    〔逃走した解放戦線構成員132名、そして7匹の脳無ニア・ハイエンド……全て行方不明〕
    〔更に、死柄木と脳無によりタルタロス他6か所の刑務所が破られ、少なくとも1万以上の受刑者が野に放たれました〕
    〔ヒーロー公安委員会の中枢メンバーが死亡および重傷、ヒーローをまとめる機能が失われています〕
    〔風向きの悪さを察したヒーローたちが今も続々と辞職中〕
    〔敵の活性化が進み、ヒーローを信じきれなくなった一般市民達が武器を手に取り、戦うことで被害が被害を呼ぶような状態〕
    〔現在、政府は各国から、救助隊・ヒーロー要請をしていますが〕
    〔公安の停止により、ヒーローの派遣手続きが滞っています〕

    〔これが、わずか2日間で起きています〕
    〔奥さんの仰った通り、あなたは戦う他に道はありません〕
    〔そして、俺達もです!此度の責任はナンバーワンだけのモノじゃない〕
    〔ご家庭だけで、占有しないでいただきたい!〕
    「なぜ…何を…」
    荼毘の語った轟家の話が本当だったとしても、きっと今は違う

    正しくあろうとする人を
    [俺達は支えたいんだ]

    〔てなわけで、こっからはトップスリーのチームアップです!〕
    「私は元より、ホークスに命をベットした身、地獄の花道ランウェイなら、歩き慣れてる」
    〔ホラ、俺らとご家族、少しは肩も軽くなって歩ける気ィしません?〕

  • 1581主25/10/26(日) 21:18:59

    「…ああ…!!」
    「燈矢兄を…止めるまでだから」
    「…ああ!!」

    〔早速ですが、まずは皆々様への説明責任!荼毘の告発を受けた以上、避けて通れません〕
    〔ざっくりと、答弁内容考えてたんスけど、1つ不明瞭な要素が……〕
    〔ワンフォーオールって、なんなんですかね?〕
    「それ、そういえばさっきも…」
    〔ワンフォーオール、我々はそれの正体を知らなきゃあ、いけません〕
    エンデヴァーさんが俯いたあと呟いた
    「…デク…?」

    病室から出たあと、逆に心配になるほど元気になっていた爆豪くんを抑え、病室に運ぼうとしているA組の子達が見えた
    〔チワッす〕
    [啓悟より元気そうだね]
    一言、どうでもいい時に呟いては、また話さなくなる
    けど、その頻度もだいぶ増えてきた気がする
    「大・爆・殺・神ダイナマイト…!無事か…!」
    「無事に見えンのか」
    メガネをかけた男の子…確か…インゲニウムだっけ
    〔緑谷出久くんと話したいんすけど〕
    それと、女の子の方はウラビティだったかな…
    2人とも心配そうな顔してる…そりゃそうか
    「今は、オールマイトが二人きりにしてくれと───」
    〔……オールマイトが……〕

  • 1591主25/10/26(日) 21:20:02

    オールマイトが…?
    謎が多すぎる
    俺は病室のドアをノックした
    〔初めまして、オールマイトさん〕
    〔俺は速すぎる男なんて呼ばれてまして、諸々すっ飛ばして伺いたい事が…って、緑谷くんやばい感じスか〕
    「いや…大丈夫、きっともうじき起きる、それよりなんだい?」
    「ホークスくん」
    〔ワンフォーオールと、緑谷くんについてです〕
    〔先の戦いに参加したヒーローが辞職した際、ジワジワと広まっていってます…そして、今しがたエンデヴァーさんから緑谷くんが死柄木に狙われていたと伺いました〕
    〔言い間違い、聞き間違い、些細なミスであったとしても穴を埋めたい、俺達は俺から、ヴィランだけじゃなく、世間とも戦うことになるので〕
    オールマイトさんは俯いたあと、歩き出した
    「場所が良くないな」
    「全てを話そう」
    ──────────
    そこから俺達は、緑谷くん、そしてワンフォーオールの全てを聞いた
    信じる方が難しいような話、けど、確実に筋は通っていた
    そして、俺も自分の個性の話をした
    何か情報が合致する所があればいいと思ったからだ
    けど、また、俺と似て非なる事例
    …でも、ほんの少し分かったような気がした
    個性には記憶が宿る、だから…もし…
    もし、AFOに個性が取られたとしても…俺の事はずっと覚えてくれてるんだって

    最悪の事態の話だ、そんなこと絶対ならない
    絶対させない

  • 1601主25/10/26(日) 21:52:30

    あれから2日経った、パニックは収まらない
    「明日か…」
    まだ声は本調子じゃない
    そして…背中が痛くて痒い
    治りかけがいちばん辛いのは知ってたけど…ここまでとは想定外
    俺は服を脱ぎ、鏡に背を向け、首をできる限り後ろに向けた
    これは羽…と呼べるのだろうか?
    いや、生えてきてくれただけ、有難いか
    「ごーよくさん」
    「明日…全部話すよ、もちろんごーよくさんことは言わないけどね」
    「ごーよくさんはさ、俺の個性でよかったって思う?」
    返事が欲しくてズルいことを言った

    [啓悟の個性で良かった‪]

    俺の声だったかもしれない、空耳か幻聴かもしれない
    声まで同じとか…今になって笑える
    この上なく不便だ
    「明日が少し不安です、早く…またごーよくさんと話したい」
    「こんな事言うのも…もういい歳だろって言われかもしれませんが」
    「また、ごーよくさんに頭を撫でてもらいたいです」
    「この間…嘘つきなんて言って…ごめんなさい」
    「まだ謝らないといけないことがたくさん…だ…」
    俺は、壁に頭を預けたまま、眠ってしまった
    寝たら明日が来るのに…あぁ…

    大丈夫、俺が居るよ、啓悟

  • 1611主25/10/26(日) 21:56:46

    「真実です」
    「お詫びの申し上げようもございません」
    エンデヴァーさんの声が俺だけではなく、みなの心にはっきりと響いただろう
    『真実と仰りましたが!ホークスとベストジーニストは!事実と異なる様ですが!』
    勢いが増す報道陣達を両手で少し抑えるようジェスチャーをしながら話す
    「ジーニストさんサツ害は潜入のための工作であり」
    「告発の全てを覆すようなものではありません」
    「父の件も、逃げるヴィランを刺し殺したのも事実です」
    「父について隠していたことにつきましては、謝罪申し上げます」
    頭を下げる…自分の罪を再認識させられた
    「分倍河原の件に関しましては、あぁするより他になかったと考えております」
    「彼に、個性を発動されていれば、被害想定は今の比じゃありませんできた」
    「彼の罪を償わせる事が出来なかったのは、私の不徳と致すところであり、残念に思います」
    あの時の分倍河原の声がしたような気がした
    あれは任務だった、仕方がなかったんだ…なんて言う気もない

    『「全て事実でした、すみません」じゃ、取り返しのつかない自体なんですよ!』
    『この一週間弱どれだけの人が住む家を失ったかご存知ですか!?』
    『なぜそんな澄ました顔でいられるんですか!?』

  • 1621主25/10/26(日) 21:58:20

    何か考えて、今のごちゃごちゃした感情を誤魔化したい
    『────!!』
    『…それが』
    「仰る通りです」
    「それが今、エンデヴァーにできる償いです」
    「とはいえ、ヒーローも減ってしまった今、全ての人々を守るのは困難です」
    「つきましては、守るべき範囲を削減します」
    『何を…!?どういうつもりで!?』
    「政府との相談の上、本日より」
    「雄英をはじめとした、広大な敷地と十分なセキュリティを持つヒーロー科の学校を」
    「指定避難所として開いて頂く運びとなりました」
    「既に学生の家族は、避難を進めてもらっています」
    『先の見えない避難所生活なんて…!納得できるか!』
    「先を見るためです…」
    「非難も不安も…私だけに向けて欲しい、これから命を張るものたちにではなく!」

    「みんなで俺を見ていてくれ」

    やっぱり…かっこいいな

    さっきまであった、ごちゃごちゃした感情が徐々に落ち着いていく
    不器用なりに、本当にエンデヴァーさんは頑張っている
    だから、俺も…俺達も頑張ろう
    俺達の物語のために

  • 1631主25/10/26(日) 22:33:23

    そこからは、作戦会議、動けるヒーロー達の配置場所
    そして、俺たちがどう動くか
    剛翼もまだ、全然再生できてない
    そんな中、ジーニストさんの携帯が鳴った
    「出てく!?いえ、なるほど…はい、それは好都合というか
    …」
    「現状死柄木たちの居場所を突き止める唯一の存在、彼に軸となって貰えないか思案しておりました…はい…我々は適度な距離を保ち駆けつけらるよう…」
    ケータイの持ち方かっこよ
    ──────────
    俺たちトップ3、そして緑谷くん、オールマイトさんのチームアップが始まった…
    とは言っても、俺は基本戦闘はしない…というかできない
    オールマイトさんと同じくサポート枠だ
    活動時間は大幅に減ったごーよくさんだが…九州の時のようにごーよくさんは、隅々まで見える
    [南東……約1.4キロ、ヴィラン、6体…]
    [瓦礫帯の中に潜んでる、二体は動いてない見張りかも]
    「動きがあるのは?」
    [4体、1人は大きい…異形かな?北東に移動してる]

    「ジーニストさん、少し飛ばしてください、南東、約1.4キロ、ヴィラン6体確認、そのうち2体は瓦礫帯の下、他4人は北東に移動中、そのうち1人は恐らくそこそこ大きな異形かと」
    「君の個性は凄いな、そこまで見えるのか?」
    「見てるのは俺じゃないんで…正確率なんで期待しないでください…もっと息を殺して潜んでるヤツには気づけません」
    「いや、十分だ、感謝する」
    無理、しないでくださいね、ごーよくさん
    [啓悟に心配かけさせない範囲で全力を尽くすよ]

  • 1641主25/10/26(日) 22:48:21

    あっさりとヴィラン退治は終わった
    俺は情報をオールマイトさんにメッセージで伝えたあと、辺りを見渡しながら、他に敵はいないか、この場所はもう大丈夫だと、メモしていく
    [こっちも大丈夫だよ、啓悟]
    「了解」
    ごーよくさんと話してい俺に近づいてくるエンデヴァーさん
    「ホークス、俺にそんな重要なことを話さなかったのかについて、少々苛立ちを覚えている」
    「何故だ!」
    「いや…ぁ…単純に…エンデヴァーさんに嘘つき…というか…変人扱いされたくなくて…」
    「俺が貴様の意見を即否定するように見えるのか」
    「…ミエマス」[見えるねー]
    エンデヴァーさんが不服そうにジーニストさんを見る
    「今は全て聞いた上で否定しそうだ」
    「火に油注がないでください!ジーニストさん!」
    「全く…」
    エンデヴァーさんは、特に怒らずに…いや、怒ってたけど
    深呼吸をしたあと、俺に後ろを向くように言ってきた
    素直に従うと、エンデヴァーさんはいつもより落ち着いた声で話し始めた
    「九州では助かった、燃やしてすまなかった」
    「こんな俺からの願いは聞きたくはないだろうが、ホークスのことはこれからも守ってくれ」
    「私からもだ、ホークスをよろしく頼む」
    「俺の事そんな心配ですか!?」
    [言われなくても、守るよけーご♪]
    「…はいはい…次行きましょう…皆さん」
    [啓悟照れてる?珍しいね?]
    「無駄に体力使わないでください、ごーよくさん…まだまだやること沢山ありますから」

  • 165二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 22:51:01

    まぁ、うん…
    最初の頃のエンデヴァーは信じなさそうだから、言わない方がいいなってなるのちょっとわかる…

  • 1661主25/10/27(月) 01:20:23

    GPSを見ながらできるだけ小声でごーよくさんに話しかける
    「緑谷くんは?」
    [ごめん、遠すぎてわかんない]
    「そっか」
    […小さい頃の啓悟みたい]
    [すぐ無理する…けど、俺が居たからまだ良かった方だよ]
    [デクを止めるものは今ひとつもない]
    [彼は無理し過ぎて、死んじゃうタイプだよ、自分の限界を分かってない]
    ──────────
    「もしもし、オールマイトさん?」
    「緑谷くん、大丈夫ですか?」
    大型ヴィランを、エンデヴァーさんとジーニストさんが抑えているのをチラリと見ながらオールマイトさんの答えを待つ
    「あぁ、なんともないようだ今…」
    「行ってしまった」
    「…あなたをというより、周囲を巻き込むことを恐れてますね、やっぱ」
    「迎撃準備万端にして隔離なんて考えもありますが…逆にタルタロスを容易く破るチートが来たらお終いです」
    「彼の言う通り、先手で探し出す方が勝率は高い」
    「すいませんね、ごーよくさんを、監視につかせるなんてこ
    とができたらいいんですけど…そう簡単にいかないもので」
    「難しい立場だとは存じますが、サポートをよろしくお願いします」

  • 1671主25/10/27(月) 01:32:28

    今の状態の緑谷くんが、彼女に…遭遇しなきゃいいんだけど
    ──────────
    まだ緑谷くんとのチームアップの前
    俺は公安に残っていた書類に目を通していた
    使える情報がないか、片っ端
    「ダツゴクの情報…そりゃいるか…元プロヒーロー」
    事件の記事や新聞を見ながらリストにしていく
    「…」
    ‪”‬公安直属プロヒーロー‪”‬という文字が目に入る
    「彼女が…もし…AFOにつくことを決めたら…」
    [誰?キレイな人だね]
    「ごーよくさん、彼女の話は後でいい?思ったより、焦った方が良さそうだ」
    ──────────

    「君の力なら、大丈夫だとは思うんだけど」
    「ん?」
    「懸念がひとつ」
    「AFOと死柄木はまだOFAを奪える段階じゃない」
    「そして、殻木がいない今因子の鮮度を保つ術は無いハズ」
    「よって、君を生け捕りにするのがヴィランのベスト、そんなの大抵のダツゴクには不可能だ」
    「1人、タルタロス出の彼女以外はね」
    「俺の先輩にあたる、もちろん、こちらも最優先で捜索中だけど、もし彼女が仕掛けてきた場合は」

    「全力で逃げてください」

  • 1681主25/10/27(月) 02:18:52

    「ごーよくさん、俺がした先輩の話は覚えてる?」
    [うん、覚えてるけど]
    「じゃあ、ごーよくさんに簡単な問題」
    「なんで公安は俺を拾ったと思う?」
    […可哀想だった…から?]
    「ははっ、そんな心あの人たちにあればいいね」
    「俺はあの人の後釜でしかない」
    「それも、彼女より、もーっと扱いやすくて、安定して安心して使える駒としてね」
    「多分だけど、先輩は育ちすぎてたんだと思う」
    「正義感が強かった、だからこそ会長を殺した」
    足音が聞こえてくる、俺を狙ってる
    「まだまだ世間知らずの子供には、大人の言葉が全てだ」
    「大人が正しい、そんな思考が必ずどっかにある」
    [後ろ、二時、五メートル]
    「俺が拾われたのは、ただ“命令を聞く強い個性を持った子供”だったから」
    振り向かずに右斬り、刃は喉を狙わない
    武器を払い、相手のバランスを崩す
    [前、低い位置、蹴り来る]
    「可哀想だからじゃない、俺が使えると判断されたから拾われた」
    膝を落としながら左刀で脛を払う
    相手の脚が折れて座る、柄で肩を弾き、動きを止める
    [三時、高所注意]
    「思考を潰せば、善悪なんて教えなくても、どんな命令でも“正義”になる」
    跳んで回転、相手の足元を斬って空中でバランスを崩させる、着地で腕を固め、関節を抑える
    「皮肉っすよね、正義を信じ続けたヒーローは人を殺した」
    「信じ続けた正義はいつの間にか自分が作り出した偽りだった」
    「ヴィラン3名確保、戻ります」

  • 169二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 07:11:29

    話しながら戦うホークスかっこいいな…

  • 170二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 12:15:02

    保守

  • 1711主25/10/27(月) 14:43:54

    「ごーよくさん、あとどのぐらい働けそうですか」
    「あと…1時間ぐらいかな」
    「1時間か…今からざっと近くのヴィランの位置を教えてください」
    荼毘に羽を焼かれ、剛翼の再生は絶望的だった
    だが、奇跡的に剛翼が使える
    まだ飛べるような段階ではない、
    もう少し再生してからなら、義羽を使い、空を飛ぶことも可能なそうだ
    でも、その時は話しかければ割と直ぐに起きてくれた
    [ここら辺には…特に…南東の方に、足をくじいて動けない一般市民らしき人がいたよ]
    「了解です」

    荼毘の炎で羽根の根元にある神経束が焼かれ
    個性の「動作出力」はある程度回復したが
    “個性因子と精神を媒介する神経リンク”が損傷している
    ごーよくさんはそのリンクを通して俺の意識に干渉しているため、接続時間が長いと俺のの神経に負荷がかかる
    だから、無意識に制限をかけて数時間しか活動できない

    医者の見解はこんなところだ
    普通の人間は個性と話せなくて困るなんてことはないだろうが
    俺は困るどころの騒ぎではない

    車のクラクションの音が聞こえる
    「すいません〜!!あっちに逃げ遅れた人がいるみたいなので!!行ってきまーす!!」
    クラクションがもう一度鳴り、俺はごーよくさんの指示の元、市民を助けに向かった

  • 1721主25/10/27(月) 15:07:17

    「もう大丈夫ですよ」
    『ありがとう…ホークス…』
    ポツリポツリと雨が降ってきた
    「傘持ってますかね?」
    『…うん、持ってる、大丈夫』
    『あのね、どうしても…会ったら伝えたかったの』
    『信じてる、だから、頑張って欲しい』
    「もちろんです、近くの避難場所まで送りますね」
    ──────────
    「すいませんね、遅くなりました」
    「ヒーローとして市民救助は当選だ、それにヴィランを送り届けに行っていた、無駄はない」
    「ですね、ありがとうございます」
    「エンデヴァーさん、雨ですけど大丈夫ですか?」
    「この程度なら、まだ支障はない」
    車が発進し、俺はGPSをまた確認していた
    「緑谷くん…」
    オールマイトさんがいるから…大丈夫…だよな
    いや、大丈夫な訳がない…けど、今は緑谷くんを囮にしながら動くしか、やりようがない
    急ぐから…頼むからもう少し耐えてくれ

  • 1731主25/10/27(月) 15:39:09

    ボロボロのビルから、エンデヴァーさんの戦う音がする
    けど…
    [弱すぎる]
    望み薄だな

    警察に送り届けたあと、人だかりができているのが見えた
    「ダツゴクの徒党…相変わらず、奴に繋がるものはいなかったな…」
    「あぁ」
    カンッ…という金属音を皮切りに人だかりのひとりが大きく叫んだ
    『どっか行け!疫病神!』
    『死柄木どもを全員逃がさずに、とっ捕まえていれば…今のダツゴクだって!ここにいなかったんだ!』
    「行きましょう、エンデヴァーさん」
    『マスコミ関係者が言ってたぞ…!死柄木はお前たち以外の誰かを追ってたって!エンデヴァー達はまだ我々に隠し事をしてるって!』
    缶や石、ゴミなどを投げつけられる
    俺たちに当たらないように、ジーニストさんが、それを個性で止めてくれる
    『卑怯者!』
    『荼毘に焼かれた被害者遺族がテレビに出てたぞ!見たか!?』
    『どっか行ってくれ!』
    『お前を見る度に絶望が蘇る!』
    『偽物!』
    『僕らの前から消えてくれ!』

  • 1741主25/10/27(月) 15:40:16

    「──了解です、引き続き、解放戦線の捜索をお願いします、エッジショットさん」
    「進展なしか」
    「オールマイト達ともう1〜2km離れて動きますか?」
    「我々との連携がマスコミに知られたら、緑谷くんにまで石が投げられる」
    「あぁ…もう少し連動をズラして動こう」
    「デクに今以上の負担を負わせはしない」
    「奴自身が望んだ事とはいえ、我々はOFAを餌に連合をおびき寄せようとしているのだから」
    「…しかし、潜伏に徹してますね、連中」
    ごーよくさんはもう寝たか?教えて欲しいことがまだいくつかあったんだけど…
    「ダツゴク…、特にタルタロス出のスーパーヴィラン達は何らかの指示を受けていると考えていました」
    「社会撹乱による潜伏と、OFAの確保を両立し行うのが合理的ですからね」
    「まして、相手はほつれにほつれたヒーロー…私がAFOなら、攻勢に出るが」
    「やはりデクの言っていた、死柄木の乗っ取りを最優先にしているか」
    「オールマイトに敗れ…管に繋がれていなければ保たない身体となった奴は…死柄木を最強に仕上げ、恐らく体を乗っ取ろうとしている」
    「拘留中の殻木曰く、死柄木の身体は不完全なまま起動してしまった」
    「お引っ越しの手段は不明ですが、死柄木の完成が条件であることは明白」
    「…そして、それが済めば次の目的、OFAの奪取が可能になる」
    「そこ引っかかるんすよねー」
    「何が?」

  • 1751主25/10/27(月) 16:18:25

    「緑谷くんとオールマイトが教えてくれた、身体が強くなきゃ受け入れられないって話で」
    「若く強い身体が必要ってのは分かりやすい!でももう1つ」
    「死柄木の“憎しみ”が要るってのがよくわからんのです」
    「気持ちの強さだろ?何せOFAには8人分の精神が入っている
    それを上回る気合がいると」
    「しかし、AFOは何世代にもわたってOFA…弟さんを追っているわけです」
    「継承者に対して並々ならぬ‪”‬憎しみ‪”‬を抱いてるはずです」
    「それが足らんという話では?」
    「或いは…無いのかも、ただの印象の話ですが…」
    「だってあいつ、ずーーっと笑ってません?」
    「心の欠落…」
    「なんにせよ、スーパーヴィランも情報を持たない…動きもみられない」
    「向こうが戦いを避けたいので、あればそこを突かない手はない、今治安維持に割いている人員を減らしてでも、一気に操作を拡大する時か───」

    [啓悟!デクが!!]

    ごーよくさんの声と共に、緑谷くんのGPS反応が消えた

    ジーニストさんはすぐに状況を察し、緑谷くんの方へ方向転換し、そのまま加速して行った
    「ごーよくさん!今緑谷くんは!」
    [暗くてよく見えなかったけど…銃声…しかも、音的にライフル…まずいよ啓悟!]
    「…銃声…」

  • 1761主25/10/27(月) 16:26:01

    「オールマイトとも連絡がつかない!」
    完全に隙をつかれた
    [当たった…けど…まだ生きてる]
    「相手は!?」
    [啓悟が思ってる人物だと思う…本当に…くら…く…て…]
    「ごーよくさん!?ごーよくさん!?」
    このタイミングで寝るとか…勘弁してくれ…!
    「ホークス!交戦相手は誰だ!」
    「恐らくですが、レディ・ナガンです…!」
    雨が降っていなければ、エンデヴァーさんもそこそこのスピードを出せただろう
    俺に全盛期並みの羽があったならもうとっくに着いてるだろう

    先輩の実力は知ってる
    俺と同じ公安直属ヒーロー
    貴方が会長を殺してしまう前に、話せればよかったのに
    世界はたった一人の力で変えられる
    ごーよくさんのおかげで俺は世界が変わって見えた

    車からでも見えるほど、大きな爆発が空中で起きた
    視線を交わさずとも俺の意図がわかったのか、すぐに車の扉を開けてくれた
    俺は肉と血が焼けた匂いに顔を歪ませながら、片足に力を入れ、そのままジャンプをした

  • 1771主25/10/27(月) 16:27:03

    [ま、待って啓悟!無茶だってば!まだ飛べないって!]
    「起きたなら、俺のこと手伝ってください!」
    俺はそのままジャンプと同時に羽を広げ、飛んだ
    羽を何枚か散らせ、先輩の落下速度を落とそうとしたが無理だった
    俺は、先輩を空中で抱き抱えた
    「死んじゃダメです!先輩!!」

    「オールマイトから連絡を受けた!」
    「状況を!ナガンの他に敵は!?」
    「エンデ」
    「──ヴァーさん!!やっぱまだ…!」
    「飛ぶのムリでしたぁ!!」
    緑谷くんが黒鞭で俺の腰辺りを掴む
    「ホークス!!」
    だが、緑谷くんも力が入らないのか、そのまま落下していく
    「本人の意志とは思えないタイミングで爆発しました!!」
    「ナガンはAFOから、個性を付与されていた!!恐らくなにか仕掛けをされて…!!」
    この子は…!!
    「ッ…俺はホークス!!あなたの…後釜だ!!」
    「AFOなんかに唆されよってから!!」
    「あなたのことは知ってる!あの子と戦ったならわかったハズだ!」
    「放り投げるにはまだ時期尚早だって!!」
    「知ってることを教えてください!」
    「希望を次に繋いでください!!」
    「利用されて終わるな!あなたはヒーロー!」

    「レディ・ナガンだろ!!」

  • 1781主25/10/27(月) 16:43:22

    先輩の目が開き、最後の力を振り絞るように叫んだ
    「二ヶ月…!!以内に…!!」
    「灰堀の…ッ…!森林…洋館へ!ターゲットを連れてくることっ…!」
    緑谷くんのお陰で落下の勢いはほんの少し落ちていた
    俺は先輩を抱き抱えたまま、足から落下した
    俺は落下の勢いを殺したあと、先輩をそっと地面に横たわらせた
    「私の他に…声を掛けられていた…人間が…数人」
    「なァ…後輩くん…私は心が保たなかった…」
    「君は…なんでそんな顔でいられる…」
    「支えてくれる人がいた」

    「俺、楽観的なんす」

    「そう…かよ」

    「デク!こいつだけでいいんだな!?」
    「おい、話が違うぞ捕まったじゃないか…」
    「オヤジに会わせろ…!!」
    「俺にはもう────」

    [生きてる…?]
    「大丈夫…では無いですけど…きっと…」
    ごーよくさんに軽く頭を撫でられたような気がした

    「レディ・ナガンと治崎廻、確保だ!警察に連絡!救急に連れていく!」

  • 1791主25/10/27(月) 16:58:40

    もうちょっと先に言っとけばよかったです
    150レス辺りで、次スレ立てようかなって思ってて…このスレ落としてから次スレ立てようかと思ってたんですけど、デクVS A組のあのシーンを書いてから次スレ立てようと思います
    このスレでは多分、ダラダラ原作と同じ流れをやるだけだと思います
    それでもいい方だけ、お付き合い下さい

  • 180二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 17:01:44

    了解です!

  • 1811主25/10/27(月) 20:22:17

    ────セントラル病院
    『面会は諦めてください』
    「そうですよね、すいません」
    病院のベットに寝かされ、体力の包帯に巻かれている先輩
    『内側からの爆発、内臓もボロボロ』
    『何故これで死んでいないのか…』
    「‪…」
    「起きたら、連絡ください」
    ──────────
    「皆さん、よろしくお願いします」
    「慎重にな」
    「待てデク、逸るんじゃない!」
    灰堀森林、異形排斥主義集団CRCアジト跡
    先輩が言っていた場所に、今出せる最高戦力で向かった
    想像どおり、そう簡単にAFOの元へ行けなかった
    中はガランとしていた、なにかないかと慎重に辺りを見渡したが、突然スクリーンが映し出された
    〔これが起動したということは、そういうことだ〕
    「やはり、もぬけの殻か」
    〔予想するのが好きでね、君のような人間なら、あの手の人種は見捨てられないだろう?〕
    〔僕は強制してないぜ?彼女の意志だ〕
    〔つまずいちまった人間がヴィランと呼ばれるのさ〕
    〔個性だなんだと個人主義を謳っていても、結局管理社会、合わない個は排斥するだけ〕
    〔例外は無いよ、民主主義でも社会主義でも、根は同じだ、社会以前の問題、群生生命の原則だよ〕
    〔君の選んだ道は茨だぜ、戦う度に心がすり減り、終わりは来ない、獄中の中でね、ずっと君の事考えてた、僕の興味は最早あのウドにない〕

    〔次は君だ〕
    その言葉と共に、建物は爆発した

  • 1821主25/10/27(月) 20:25:38

    [ヴィランってのは、爆破するのが好きだね]
    ごーよくさんの言葉に頷きながら、他のヒーロー達の話を聞く
    「間一髪、爆破からは逃れたが、連合の痕跡は吹き飛んだ」
    「ナガンから更に絞れんか?」
    「無理っすね、セントラル病院をして、「何故これで死んでいないのか」と言わしめる程の重体です」
    重苦しい雰囲気が倉庫に漂う
    [緑谷くん、大丈夫…かな…]
    大丈夫じゃないだろうな
    [あの時の啓悟と同い年…なんでヒーローって背負うものが多いの?]
    「なんでだろうね」

    「──AFOは公表しないのかしら、緑谷くんの事、OFAの事…真ッ先にやりそうだけど」
    「そうでなければ、全てを動員し、デクを隔離するつもりだった」
    「そうしないということは、やつもそれを避けたい」
    「しかし、我々もデクが動かなければ手がかりすら見込めない」
    「警察もヒーローも足りない…」
    エンデヴァーさんのスマホに着信が来るがすぐに切った
    もう一度着信音が鳴りエンデヴァーさんがスマホを手に取った
    「あ、俺のです、オールマイトから」
    「え…!?」
    「緑谷くん、第二の刺客と接触…!!」
    「後、即勝利…!!」

  • 1831主25/10/27(月) 20:42:53

    数日後
    「ごーよくさん、今の活動時間はどれぐらいですか?」
    [半日程度、でももうこれが俺の限界かな]
    [俺はまだ再生すると思うけど、話せるのは半日が限界になっちゃった]
    […これでも、啓悟とずっと一緒?]
    「四六時中話せるから、ずっと一緒って訳じゃないですよ、ごーよくさんがずっと俺の中に居てくれる、それがずっと一緒ってことです」
    [そうだね]
    ごーよくさんは、俺にハグをする
    俺は抱きしめ返すようなジェスチャーをする
    触れればいいのになぁ…
    「剛翼は動くってことでいいんですよね?」
    [そうだね、そして俺も存在してるから、安心して欲しい]
    「そっか」
    「あ、そういや、今日エンデヴァーさん雄英に行くって言ってたな…」
    ちょうどいいタイミングで電話がかかっていたが、相手はジーニストさんだった
    「ダツゴク…」
    「すぐ行きます、運転お願いします」

  • 1841主25/10/27(月) 21:39:06

    車を飛ばしてもらい、ダツゴク、ディクテイターが居る場所へと連れてきてもらったが
    視界が恐らく緑谷くんの6代目の個性で視界が悪くてよく見えないが…何か…
    [あれ…デクの同級生の…大・爆・殺・神ダイナマイトの…個性?]
    爆破で視界が晴れ、状況が見える
    緑谷くんと…A組が戦って…る?
    〔ホークス、ジーニスト〕
    無線からエンデヴァーさんの声が聞こえた
    〔周囲の警戒に当たってくれ〕
    「分かりました」
    「ジーニストさんは車で、俺は大分回復したんで、単独行動で」
    「無理はするなよ」
    「了解です」
    俺はジーニストさんと逆方向に歩き始めた

    [誰も傷つけたくないって言うヒーローほど、1番傷だらけになるんだ]
    [そんな‪”‬孤独‪”‬なヒーローを誰が助けてくれると思う?]
    「いきなりなんすか?」
    [ふふ、ただのクイズ、気楽に行こう]
    [答えを出してくれるのは俺じゃないから]

  • 1851主25/10/27(月) 21:54:21

    だが、緑谷くんは止まる気配が全くない
    俺は無線を通してエンデヴァーさんに話しかける
    「エンデヴァーさん、やっぱ、ジーニストさんに頼んで、早期収拾した方が…」
    電話口からはA組の子の声が微かに聞こえた
    数秒の沈黙の後、一言
    「ホークス今は…」
    「何者にも邪魔をさせないように」
    ──────────
    「緑谷くんは?」
    「中に入った」
    エンデヴァーさんの隣にいるショートくんが不安げな顔をしていた
    『雄英じゃなくていいだろ!!』
    『匿うなら他でやれ!!』
    市民の罵声がこちらまで聞こえてくる
    『その少年を雄英に入れないでくれ!!』
    『死柄木が来る!!』
    『雄英は安心と安全を保証するんじゃなかったのか!!』
    『入れるな!出てけ!』
    『OFAってのは脳無なんだろ…!?』
    『また隠蔽してやり過ごそうってのか!?』
    「提言したのは私だ」
    『ジーニスト…!!私たちはあなたの言葉を信じてここへ来た!!』
    「ああ!校長から説明があったように!ここは今最も安全な場所であり、あなた方の命を第一に考えている!」
    「我々は先手を打つべく、緑谷出久を囮に、ヴィランの居場所をつきとめる作戦を取った!」
    「だが、充分な捜査網を敷けず、成果はごく僅かしか得られなかった!」
    「緑谷出久は、ヴィランの狙いであると同時にこちらの最高戦力の一角!これ以上の摩耗は致命的な損失になる!」

  • 1861主25/10/27(月) 22:00:55

    「確かに最善ではない!!次善に他ならない!」
    「不安因子を快く思わない事を承知の上で」
    「この最も安全な場所で彼を休ませて欲しい!」
    「いつでも、戦えるように、彼には万全で居てもらわなければならないのです!」
    『あんたら失敗したから…そもそも今、日本は無法になっちまったんだぞ』
    『んでまた、失敗したから、しわ寄せを受け入れろって、あんたそういってんだぞ‪…!?』
    『ふざけるな!』
    『それでヒーローのつもりなのか!?』
    『勘弁してくれ!!俺達はただ────』
    『安心して眠らせて欲しいだけだ!』

    「緑谷…」
    ショートくんが、消え入りそうな声でそう言った
    寄り添ってあげたい…だが、なんて声をかければいいか分からない

    「ウラビティ!!?」
    マイクさんの声が壁越しでも聞こえ、俺は思わずその言葉を確かめるように発した
    「ウラビティ…が?」
    ハウリングの音にウラビティの声が続いた

    「デ…緑谷出久は、特別な力を持っています…!!」
    『だから!そんな奴が!休みたいからってここに来るなって話だろうが!』
    「違う!迷惑をかけないよう!ここを出て行ったんです!」
    「連れ戻したのは私たちです!」

  • 1871主25/10/27(月) 22:02:19

    「彼の力は…!あの…特別で!」
    「AFOに打ち勝つ為の力です!」
    「だから狙われる!だから行かなきゃいけない!」
    「そうやって!出て行った彼が今どんな姿か見えていますか!?」
    「この現状を1番どうにかしたいと願って、いつ襲われるかも分からない道を進む人間の姿を見てくれませんか!?」

    「特別な力はあっても!!特別な人なんていません!!」

    シンと静まり返ったあと、市民たちの声がぽつりぽつりと上がる
    『…ボロボロじゃん』
    『弱そう…』

    『…戦ってたんだ』
    『私を助けてくれたあとも、ずっと戦ってたんだ…』

    『…っ…見たらなんだよ…!?まさか…』
    『俺たちにまで泥に塗れろってのかぁ!?』

    「泥に塗れるのはヒーローだけです!!泥を払う暇をください!」
    「麗日さん!」
    「今!この場で安心させる事は…ごめんなさいつ!できません!」
    「私達も不安だからです!!」
    「皆さんと同じ、隣人なんです!」
    「だからっ…!!力を貸して下さい!!共に明日を笑えるように!」
    「…皆さんの力で!どうか!彼が隣でっ!休んで…備えることを、許してくれませんか!!」

  • 1881主25/10/27(月) 22:03:24

    「緑谷出久は、力の責任を全うしようとしてるだけの」
    「まだ学ぶことが沢山ある普通の高校生なんです!!」
    『…でも…』

    「ここを!!」
    「彼の!!」
    「ヒーローアカデミアでいさせて下さい!」
    ──────────
    「ショートくん、君の同級生は本当に…立派なヒーローだ」
    ショートくんが頷く
    「聞イテイタカイ?ウラビティノ演説」
    エクトプラズムさんが、扉から出てくる
    俺たち3人の視線はすぐにそちらに向いた
    「入ッテ…見タ方ガイイ」
    「大丈夫ダ、少ナクトモ今ハ」

    「結局俺たちは、デクに辛い思いをさせただけだった」
    「何も進展のない…遠回りをさせただけだ」

    「進展なら、ありますよ」
    「ここにあったんだ」

  • 1891主25/10/27(月) 22:05:30

    「OFAは人々の心が紡いできた力の結晶」
    オールマイトが、緑谷くんに繋いだ
    緑谷くんがA組に繋いだ
    ウラビティが、人々と緑谷くんを繋いだ

    そして、人々が…
    もしも、全員が少しだけ‪”‬みんな‪”‬の事を思えたならきっとそこは…

    ‪”‬啓悟は、何お願いした?‪”‬


    ヒーローが、個性達が暇を持て余す
    笑っちまうぐらい明るい未来です


    全部、思い出した
    煙のように朧気な人物が市民の横で穏やかな顔をして立っているように見えた

    俺は隣を見た
    ごーよくさんはただ、静かに俺の手を握って笑ってくれた

  • 1901主25/10/27(月) 22:12:31

    改めてお茶子ちゃんめちゃくちゃいいこと言うなぁと…

    書きながらうるっときてしまいました

    記憶消してもう一度見たいですねホント


    ごーよくさんの最期はどうなるのでしょうか

    この物語はハッピーエンドで終わるのでしょうか

    次スレこちらです、最後まで見てくださると本当に嬉しいです


    【閲覧注意】ごーよくさん 2|あにまん掲示板前スレこちらですホークスとごーよくさんの行く末は…https://bbs.animanch.com/board/5745004/bbs.animanch.com
  • 191二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 22:13:33

    たておつ!

  • 192二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 22:57:57

    お疲れさまです!

オススメ

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