- 11着をねらえ!25/10/18(土) 09:01:50
- 21着をねらえ!25/10/18(土) 09:03:06
このスレの主人公(大姉妹の長女)
イリフネ | Writeningイリフネ 二つ名: - ウマソウル:牝馬 学年:高等部1年 出身:東京 身長:170cm スリーサイズ:B81・W57・H90 好きなもの:アニメ、プラモ、特撮、レース 苦手なもの: - 脚質:逃げ 毛色:尾花栗毛 主な勝ち鞍: - …writening.netその母親(メスドラフ)
キンペイバイ 諸設定 | Writening【ウマ娘】 キャッチコピー>ミニマムボディの白金少女 誕生日>12月21日 身長>131cm(デビュー時)→136cm(ラストラン) 体重>片方でスイカ1玉分 スリーサイズ>B104・W52・H86(デビュー時)→B117・W5…writening.net - 31着をねらえ!25/10/18(土) 09:04:06
- 4二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 09:04:19
立て乙です
休日で油断しており本当に申し訳ありませんでした - 51着をねらえ!25/10/18(土) 09:05:48
【あらすじ】
ドトウって大人になったらB100以上になってそうだよね
(´・ω・) それに比べてイリフネちゃんは… - 61着をねらえ!25/10/18(土) 09:06:58
【お知らせ】
『質問』『登場して欲しいウマ娘(オリウマ含む)』『こんなウマ娘が見たい』『このレースを走ってほしい』『こんなダイスを振ってほしい』等ヶ引き続き大募集中!
いただいたウマ娘ちゃんは頑張って全員登場させます。お気軽に送ってください
※登場にあたり設定を変更する場合がございます。ご理解のほどよろしくお願いします
p.s.次のレースは『天皇賞(春)』です。 - 71着をねらえ!25/10/18(土) 09:08:02
「はぁ~いったいどうすりゃいいのです~…」
机に突っ伏すイリフネの金髪が大理石の天板の上に広がる。でこからは大理石特有のひんやりとした感触を感じるが、それでも今の悩ましい課題にフル稼働中のイリフネの脳を冷やしきるには十分ではなかった。答えではなくため息ばかりが出るばかり一向に解決策は思いつかない。
もう何度目かも分からないため息が机の縁から太ももの間に吹き生暖かい感触にこれが自分の体から生じたものなのか疑問と嫌悪感が腹の底で唸りを上げている。
そうして顔を机と一体化しているとコトリと机に何かが置かれた音がしてようやく顔を上げると突如湧いて出てくる明るさに目が上手く開けられない。それでもなんとかこじ開ければそれはグラスに入ったキャロットジュースであった。ご丁寧に氷まで入れられて、グラスの外側には水滴もついている。
「何かお困りごとですか?」
エプロン姿でも隠し切れない暴力的な膨らみ、ふわりとした髪に中央の流星がよく目立つ。この店の店主であるメイショウドトウはイリフネの座る席の対面、自分の定位置にもグラスを置くとイリフネよりも眉を曲げた顔で訪ねてきた。
「ドットちゃん、私は今、答えなき難題に向き合っているのです…」
頬杖つき、ストローでちゅーちゅーとグラスの中の液体を吸い上げながらイリフネは遠い瞳で思案に耽っている。考え事を詰め込んだ頭は重く、最初は片手だった頬杖もしばらくすると両腕に変わっていた。
「学校で哲学の宿題でも出されたんですか?」
「近いけどちょっと違うのです」
グラスを抱え可愛らしくジュースを飲むドトウはイリフネの悩みをよくは知らない。そもそもイリフネがなぜメイショウドトウが営む宝石店にいるのか。2人のでありは商店街でミカンの箱を崩しそうになったのをイリフネに助けられてから始まる。それからというもの、イリフネがたびたび彼女が経営する店に遊びに来るようになりその度に学校のことやレース、最近流行りの服やグルメなんんかの話で盛り上がりすっかり常連の話し相手になっていた。とはいっても、いつも話題を出すのはイリフネの方からで、今日も遊びに来たイリフネがため息とともに机に伸びていてもドトウの方から話を振る空気ではなかったのだ。
「ドットちゃんは仲のいい子とお世話になっている先輩のどちらか片方を応援しなくちゃならなくなった時、どうする?」
「えぇ…」 - 81着をねらえ!25/10/18(土) 09:09:03
ジュースを飲み切り、ストローが空気を吸い込んで甲高い音を上げる。
何とも具体的で悩ましいシチュエーションの提示に流石のドトウも困惑の表情であったが、しばらく悩むとコップを置いて話し出した。
「私ならどっちかは選べないのできっとどっちも応援すると思います。あ、イリフネさん、クッキー食べますか?」
店主の申し出に首を縦に振る。確かに、どちらかを選ぶのではなく両方を応援するというのは理にかなっているし実際のところ最適解だろう。しかし、今のイリフネの状況が事態をややこしくしていた。ソアラが春天で戦うのはイリフネのチームの先輩だ。そして今、自分はそのチームから追い出されている状態。
イリフネはまだ自分の口からは言えていないが、ソアラが今の自分の状況に気づいているというのはなんとなく察している。イリフネは抜けているところがあるがバカではない、親友が傷心中の自分を気遣ってくれているというのはちゃんと理解している。そして親友がチームに怒りの感情を持っているというのもまた理解していた。
だからこそ、両方を応援するというのは自分を気にかけてくれている親友を裏切るような行為なのではないかと問答を重ねているのだ。
しかし、中々結論が出るものでもなく、もういっそのこと本人に聞いてしまおうかと考えているとクッキーを取りに行ったドトウの姿が見える。高い位置の戸棚に置いていたのだろう、物置棚に手をかけ、蓋つきの棚に手を伸ばす不安定な体勢でつま先が宙に浮きかけている。何とも危ない体勢だ。
「取れました~」
そう言ってクッキー缶を棚から引っこ抜くドトウ。しかし、随分と棚に物を詰め込んでいたのだろう。クッキー缶を取り外した弾みに棚の荷物が雪崩出しドトウを襲い始めたのだ。突然のことに驚いた彼女は思わず手を離してしまい、体勢を崩してこのままでは背中から落ちてしまうという状態。しかし、その背が床に着くよりも先、飛び出した金の髪が数メートルを一跳びに彼女を抱きかかえる。
「は~ドットちゃんは危なっかしくて目が離せないのです…」
俗にいうお姫様抱っこの状態、イリフネはドトウが怪我をしていないのを確認し安堵の息をつくがそれも束の間、目線を下げたすぐそこにある巨大な膨らみに眉がどんどん下がっていくのだった。 - 91着をねらえ!25/10/18(土) 09:10:04
「イ、 イリフネさんはお怪我はないですかぁ…」
「それはこっちのセリフなのです」
身じろぎするたびにプルプル揺れるソレ(母よりは小さいが)にショボーン(´・ω・`)としていると腕の中で小さくなっているドトウがイリフネの頭頂部──左耳の根本につけられたものを見ていることに気づいた。
「これは私が小さいころにお父さんとお母さんが誕生日プレゼントにくれたものなのです。あの頃リボンとかの可愛いものよりもカッコいいものが欲しくてそれまで付けてた耳飾りを付けなくなってすっごくぐずってたってお母さんたちが言ってたのです」
六角形のクリスタルを金属製のフレームに収めたそれは所謂耳飾りというヤツで、リボンやら布地のものが多い中で大胆に金属や宝石をあしらったそれは現代のトレセンでは随分と珍しくイリフネの個性の一つとなっていた。大きさもイリフネの耳と同じくらいあり、その根元はこれまた綺麗な円形の宝石に接続され懸架されている。
幼い日の親への迷惑も今ではいい思い出であり、幼少期に贈られたそれをイリフネは今でも肌身離さずに身に着けている。もう10年以上の付き合いだが多少の擦れがあるくらいで出会ったあの時と変わらぬ輝きを保ったままであった。
「これそんなに気になるのです?」
じーっと耳飾りを見続けるドトウになんだかむずがゆくなって肩が上がってしまう。
「いえそのぉ…これ私の家の会社が開発協力していたものだと思うんですけど、ちょっと変だなぁって」 - 101着をねらえ!25/10/18(土) 09:11:10
そう言うと中腰になりイリフネの耳元で輝くそれに手を触れる。よく手入れがされ錆はおろか宝石部分に傷のない完璧な状態であることにドトウは関心のため息をつく。
もっとも、その頭のすぐ下ではイリフネが迫りくる驚異的なモノに今にも押しつぶされそうになっており、そこにドトウのため息が頭皮を撫で全身の毛が逆立ち体が硬直してしまう。
「これ本当なら宝石部分に名前が出るはずなのにどうしてこんなに余白があるのでしょうか…」
イリフネの耳飾りの六角形のクリスタル部。よく磨き上げられ透明感の美しいのその部分にはイリフネの名前がアルファベット表記で浮かび上がっている。これはイリフネが無くさないように書いたものというわけではなく、この耳飾り自体がウマ娘の固有の生体電気信号を読み取り、その波形から宝石内の原子構造を組み替え名前を表示しているのだ。
ウマソウル理論の提唱と共にそれまで天啓と思われていたウマ娘の名前が実はウマソウルに紐づけられているものなのではないかという当時の科学的な好奇心から作成されたこの耳飾りは大衆受けしないコンセプトと価格によってほとんど売れず、その存在を認知しているのも今日では極僅かな時代の波に取り残された旧型デバイスの一つであった。
しかし、この耳飾り見栄えのため宝石部を大きく使って名前を表示するはずなのだがイリフネの物は片方に詰めて書いてあり、なんだか中途半端な状態になっていた。
「不良品…もしくは故障なのでしょうか…」
この業界で働く一人の人間として自分のところの会社が過去に販売していた製品にもある程度目を通したことのあるドトウであるが、こういった不良には初めての遭遇であり、しかも持ち主が仲のいい子とあれば原因を見つけ直してあげたかった。
そうしているうちにドトウはイリフネの耳元にもっと顔を近づける。顔が近づけば必然として体も近づくわけで、むにゅりと柔らかく暖かな感触が顔面に。善意と一緒に敗北感まで押し付けてくる。しかも母のものと違い底なし沼のように沈み込むそれにもはや声を上げる空間すらイリフネには許されていなかった。そうしてそのでっかいものを押し付けられることになったイリフネはドトウが気づくまで母とは違う匂いに包まれ金髪虚無虚無プリンになるしかなかった。 - 11二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 09:30:56
建て乙です
そういえばドトウちゃんの実家って宝石商だったな……(アイルランドの種牡馬ビッグストーンが由来)
イリフネちゃんも母方をたどるとアイルランド由来だし、メイショウ繋がり以外にも共通点探せばあるね - 12二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 14:54:09
立て乙です
日付変わる前に書き込むの忘れてた……
このシーン見直してみてふと思ったが
逆に本来メイショウでないウマソウルの子にメイショウがついてたりとか今後起きたりするんかしら - 131着をねらえ!25/10/18(土) 22:00:17
さて、イリフネがメイショウドトウの宝石店にいるのと同時刻、ダイナソアシーはトレセン学園にいた。天皇賞も迫り追い込みの時期だが無理は禁物というトレーナーの方針もあって今日は軽く体を動かし基礎的なメニューをこなして終了となった。
陽はまだ高く、寮に戻るには早すぎるし、かといって今からどこかに出かけるのには少し躊躇いのある時間だ。それに今はイリフネがいない、出掛ける気力も湧いてこないというものだ。目的もなくぶらぶらと学園の中を通路の端をはみ出さずに歩いていると何人かのウマ娘が身の丈に合っていないカバンを揺らしてはしゃぎ走り去っていった。ぶかぶかでシワもなく色落ちやヨレもない、きっと今年の春に入ったばかりの新入生なのだろう。親元を離れて暮らす不安感と胸高鳴る好奇心を原動力にする彼女たちはトレセン学園の中でも特に眩しい。それは年を重ねるごとに焦りや不安といったマイナスの面ばかりに囚われがちなこのトレセン学園という小さな世界に長くいるソアラだからこそ感じるものなのかもしれないが。
「懐かしいなぁ…」
漏れ出るように零れた言葉の先、未来を夢見る少女たちの背にソアラは今はもう懐かしい出会いの日を思い出していた。 - 141着をねらえ!25/10/18(土) 22:01:17
「初めましてなのです!私はイリフネ、あなたのお名前を教えてほしいのです!」
入学初日、席に着くや否やそのウマ娘は耳が痛くなるくらい大きな声で話しかけてきた。まるで絵本のお姫様のようなサラサラと美しい金髪、大きく丸い目、にこやかな笑顔、おおよそ人に好かれる要素を詰め込んだような眩しい少女は自分と同じサイズの合っていない制服を着ているという一点だけで自分と同じ新入生なのだとソアラに主張しているように思えた。
そのうるさいほどに元気なウマ娘に何か返答をしようとは思わなかった。どうせ次の言葉は「友達になろう」とかそういうものだろう。こういうタイプにはありがちな行動だ。集団の仲を取り仕切って中心に立ちたがろうとする。小学校でもそうだ、ソアラはそういうタイプが苦手であった。
「私、この教室のみんなとお友達になりたいのです!」
ほれ見ろ、予想通りの行動だ。友達なんて必要はない。人は1人でも生きていけるし、楽しいことや、やりたいことも今まで一人で見つけてきた。こんな見るからにウザくて自分を離してくれなさそうな、今でもこちらを覗き込んできてパーソナルスペースという言葉すらしなさそうな典型的な陽キャなど相手にしているだけで無駄というもの。
「…なに?」
「その眼鏡…すっごくイカすのです」
無駄なはずなのだ。 - 151着をねらえ!25/10/18(土) 22:02:18
人生は空虚である。きっと誰かがそれこそ何千何万と呟いた言葉だろう。
ダイナソアシーという少女もまた人生を空虚に感じていた。
彼女はメカが好きだった。その中でも一昔前の、少々やぼったかったり過度なデザインのデバイスをこよなく愛していた。誕生日や記念日などには中古屋や倉庫の肥やしになっているような1世代前のデバイスをねだり、洗練され切っていないその無骨さと不格好さに心ときめかせていた。その魅力をたくさんの人に、例えば友達にも知ってほしい、幼い日のソアラはこの素晴らしさに友達が目を輝かす光景を幻視し仲の良かった女子のグループで話した。
「ふーん…」
だが、その目にあったのは『無関心』であった。
いっそバカにしたり笑ってくれて方がまだマシだったかもしれない。自分の好きなものを誰も好きじゃない、それどころか目にとめてもくれやしない。このワクワクもトキメキも幼いソアラの小さい世界では誰も理解してくれない。みんな可愛い服や綺麗なお菓子、逸りのイケメン俳優の方が好きで、ソアラの手の中で輝く宝物の価値を分かろうとすらしてくれなかった。
その時、ソアラは気づいた。人生は空虚であると。自分の好きなものを見てくれすらしない人たちだらけの世界に自分はいるのだと。自分が好きな物の価値を決めるのは自分自身だがそれが他人に見向きもされないことはとても辛いことなのだと。
冷める頭とは対照的に出口を失い胸の内に燻る炎に動かされるように一歩、また一歩とその場から後ずさりした。
その数年後、ソアラは未だに旧型デバイスが好きな少女のままであった。しかし、あの日以降それが好きだということは誰にも話していない。他人にその価値を訪ねることの愚かしさを自覚したというより、それでもう傷つきたくないというのが本音だった。 - 161着をねらえ!25/10/18(土) 22:03:20
ソアラには新しく好きな物ができた。それは「レース」だった。10代というウマ娘の身体能力の全盛期にある少女たちが色とりどりの勝負服を身に纏い己の全てを掛けて全力で走るその姿に同じウマ娘としてソアラも憧れた。最初はゲームからだったがそれからテレビでレースを見るようになり、両親が仕事の合間にレース場に連れて行ってレースを見せてくれたこともあった。
時を同じくして周りの女の子たちもレースに憧れ、校庭で走り回っている姿を見かけることがあった。だが、その輪の中にソアラは入ろうとはしなかった。あの子たちは『ごっこ遊び』自分のは『本気』なのだと自分で調べて考えた練習メニューをこなし友達との距離はどんどん離れていった。
しかし、その甲斐あって現在、ソアラは中央トレセン学園の門を叩き真新しい制服に身を包みトレセン生としての新しい人生をスタートさせた。自分の熱が紛れもない本物であったことを証明したこの制服はソアラの目には一層輝いて見えていた。
教室では子供みたいに騒ぐ同年代の子供で溢れ、その中でソアラは1人実家から厳選してきたお気に入りの携帯デバイスでブロック崩しに勤しんでいた。こいつらと自分は違う、そんな冷笑じみた行動がすっかりと沁みついてしまっていた。
「私の目標は日本ダービーで勝つことです!」
入学式の長ったらしいお偉いさん方の別段ありがたくもないありがたい話を眠い目をこすりながらなんとか乗り越え、教室に戻ってきた新入生たちは自己紹介ということでひとりひとり前に立って名前と夢を語るというなんとも前時代的なことをやらされていた。
緊張して目が泳いでるおかっぱのウマ娘が逃げるようにお辞儀をし、その勇気と新しい友人への歓迎の意を込め拍手を送る教室でひと際うるさいのが一人、そうあの金髪のウマ娘だった。番が回ってくると勢い良く立ち上がりずんずんと一番前にやってくる。
「私はイリフネ!夢は────」
期待通りの青臭い夢に首筋がこそばゆくなる。自分もこうしなくてはならないかと思うと今から気が重い。
しかし、ため息をついても時間は進むものでついにソアラの番が回ってきた。一番前に立つと思ったよりも教室が広く感じられる。平均身長よりもやや背の低い自分一人にクラス中の視線が集まり緊張で今すぐに逃げ出したくなる。 - 171着をねらえ!25/10/18(土) 22:04:33
「ダイナソアシー。夢は…」
そこまで言って言葉に詰まってしまった。夢、この場所で叶えたい夢とはなんだろうか…そういえば自分の中でレースへの憧れがいつの間にかトレセン学園入学という形にすり替わっていたような気がする。ごっこ遊びをする同年代の子たちを離れ、絶対に入学するんだとそれだけが目的になってしまっていた。
黙った自分にクラスの視線が突き刺さる。夢…何か夢にできそうなものはないか、緊張してうまく回らない頭で必死に考え、そしてある単語が口から紡がれる。
「グランドスラムを達成したい…です…」
一瞬、クラス中が静まり返る。ソアラもまた自分の口から出た言葉に驚愕していた。レースに興味を持つようになったきっかけのゲームの中でその称号は最難関難易度のものだった。何十、何百時間と続けようやく達成できた時の興奮と感動は今でも覚えている。だからといって今ここで出てこなくてもいいだろうと、大言壮語な自分の発言を激しく後悔した。
次に来るのはバカにしたような笑いかそれとも夢見がちな自分を憐れむ鋭い視線か、ソアラが身構えていると突然に自分の手を勢いよく誰かに握られた。驚き顔を上げるとそこにはあのやかましいウマ娘がいた。
「すっごい目標なのです!グランドスラムって今まで1人しか達成していない偉業だってお父さんが言っていたのです!それに挑戦するなんてとっても凄いことなのです!」
そのウマ娘はバカにするでも憐れむでもなく、興奮して目を輝かせていた。
「あの…無理だとかって言わないの?」
「無理なんかじゃないのです!どんなに難しい夢だって諦めなければ必ず叶うはずなのです!」
圧に負けて視線が泳ぎながら発したソアラの言葉を間髪入れずにイリフネは否定する。前を向きすぎているほどに目の前のウマ娘は未来を信じていた。それも今日会ったばかりでろくに話してもいない自分の未来を。
席に戻り自分の後のクラスメイトが自己紹介を始める。強く握られじんじんと皮膚の下で血液の流れる感触のする手はあの子の暖かさを未だ残していた。 - 181着をねらえ!25/10/18(土) 22:12:32
その日の予定が全て終わり、ソアラは自分のこれから住むことになる学生寮にいた。
部屋には業者によって運ばれた段ボールが山積みでこれをどうにかしなければ今日の寝床を確保できそうもなかった。まだ2人部屋の同居人は来ていない。今のうちにいくつかは荷解きをしてしまおうと天井近くまで積みあがった段ボールの山に手を伸ばしていると、ソアラの頭上から伸びてきた腕が段ボールを掴んだ。
「はい、これどうぞなのです」
そこにはまたしてもあの金髪のウマ娘がいた。どうやら自分の同居人はこの子らしい。
段ボールを手渡そうとするそのウマ娘はなかなか受け取ろうとしないソアラに不思議そうに首をかしげている。
「あんた、自分の分やらなくていいの?」
目の前のウマ娘も新入生ということは彼女にも荷解きがあるはずだ。まずはそっちをやるべきではというソアラの問いに金髪の少女はにんまりと笑顔を浮かべる。
「私の分は段ボール3つだけなのでちょちょいのちょいで終わるのです。それよりもダイナさんの方が荷物がたくさんあるから手伝うのです」
よく見てみれば彼女のベットには段ボールが3つだけ置かれていて何個もあるソアラに比べれば格段に速く荷解きは終わるだろう。だがしかしてなんでこちらを積極的に手伝おうとするのだろうか。自分の方を優先すればいいのに。
「困っていたり大変そうなら助けるのは当たり前のことなのです。それにダイナさんとは仲良くなっていろんなお話がしたいのです。趣味のこととかカッコいい眼鏡のこととか!」
その言葉にソアラはようやく理解した。このウマ娘は自分のことを知ろうとしてくれているのだ。自分の宝物に興味を持ってくれているのだと。そんな人は今までいなかった、初めて出会ったタイプだった。だがそれはソアラがずっと望んでいた自分の趣味に関心を持ってくれる友人であったのだ。差し出された段ボールを受け取り、中に詰まったデバイスたちの重さが腕に伝わる。彼女はソアラが段ボール箱をしっかりと持ったのを確認すると別の段ボールに手を伸ばす。
「ダイナさんは堅苦しいから…ソアラでいい」
ソアラの身長では届かない高さの段ボールを手に取ったイリフネは嬉しそうに目を丸くして飛び切りの笑顔を浮かべる。
「わかったのです、ソアラ!」
これがイリフネとダイナソアシーの出会いだった。 - 19二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 23:20:19
趣味が人と違うと苦労するのはいつの世も変わらんなあ
イリフネに出会えたよかったし執着心も納得である
> 私はイリフネ!夢は────
これだいぶ重要そうなやつですね
もしかするとイリフネ本人が今忘れているのではないか
- 20二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 23:27:17
ソアラからイリフネへの妙にねっとりした執着の原点は、コレか
そりゃそうなる - 21二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 08:18:57
イリフネが救いで希望の船…
- 22二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 15:31:55
空虚な世界に色がつく瞬間
- 23二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 18:37:31
そういえばソアラって大雑把なことはわかってるけど体格の数値データとかはよくわかってないのよね
おひんばなのや戦績も描写外で明かされたくらいだったけどイリフネとの出会いも描かれたしそろそろデータ化も近い頃であろうか
……それを言ったら謎の多いお姉さまはまだ置いといても同じくレギュラーキャラのムーバもまだではありますが - 24二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:14:46
人知れず誰かの希望になることができるのは主人公の特権だよ
- 251着をねらえ!25/10/19(日) 23:29:15
あの日からソアラの世界は変わった。望み続けた友達を得て大きすぎる夢に挑み続ける日々はそれまでの何もない退屈な日々を取り戻すように毎日が楽しく、それでいて輝いていた。それらは全てイリフネがいたからこそである。
ソアラにとってイリフネは誰にも代えがたい無二の親友だ。その親友を悲しませた相手が次のレースの対戦相手となれば負ける気もないし負けられないと感じていた。
トレセン学園に何か所かある自動販売機が数台並んでいる休憩所には飲料水を販売する物からお菓子やプロテイン、あげくには麺類やサンドイッチ、雑誌、新聞を販売する変わり種もあった。これらはトレセン学園と提携を結んでいる企業から提供されており、学生であれば一部の商品は学生証を電子リーダーに読み込ませることで無料で購入することができる。
ピピっと電子音が鳴り重たい落下音が取り出し口から鳴る。まだ蝉のうるさい季節ではないとはいえ関東の昼下がりは熱い。取り出したお茶の冷たさが心地よい。そうやってお茶を煽って喉を潤していると後ろから伸びてきた手につままれた学生証が電子リーダーに読み込まれる。驚いて振り返るとそこにいたのは腰あたりまで伸び先端で結ばれた紫がかった髪、耳は先端にかけて鋭く伸びどちらかといえば犬のような印象を見るものに与える。肌は日本人視点だと浅黒く所謂褐色というやつで、これ見よがしに下品なサイズの大きな胸をぶら下げている。
「ムーバレズハール…」
「あれ?ダイナソアシーちゃんじゃない」
見間違えることは決してない、イリフネの所属するチームのうちの一人。あのヒビノミライほどイリフネがご執心なわけではないがそれでも会話に多く出てくるいけ好かないヤツ、そしてイリフネを悲しませた一人でもある。 - 261着をねらえ!25/10/19(日) 23:30:19
相手もこちらのことを覚えていたことには少々驚いたが、依然として倒すべき相手であることには変わりない。仲良くする気も気さくに話しかける気も毛頭なかった。
「アタシこう見えても一度会った人のことはずーっと覚えちゃうタイプでね、物覚えが昔からいいのよねー。ところで、イリフネちゃん元気?」
眉間に皺を寄せるソアラとは対照的にムーバはフランクで目の前の少女から溢れる激情になどさっぱり気づいていないようだった。それどころか無神経にイリフネの近況を聞いてくる始末、その態度にソアラの額の青筋が増える。
「おかげさまで今日もご飯おかわりしてましたよ」
わざとらしくあてつけるような言葉、流石にムーバも気づくだろうか。
「そっか、ご飯食べられてるなら元気な証拠ね」
終止無表情だったヒビノミライとは違い、ムーバは一瞬だけ悲しそうな表情を浮かべた。しかし、一瞬だけだ。自販機の取り出し口からミネラルウォーターのボトルを取り出すとムーバは休憩所を後にしようとする。
「っ!あんたはイリフネに謝罪も『戻ってきて』の言葉もくれないんだな」
だから、つい口に出てしまった。この場から立ち去ろうとするムーバがまるで逃げているように見えて、そんなヤツがイリフネの先輩だということが許せなかった。今かな死んでいるイリフネのことを見ないふりをしているようなそんな態度が気に食わなかった。
「…今の時間はイリフネちゃんには必要な時間よ。たくさん悩んで自分の答えを出さなきゃいけない、そいういう大事なこと」
ソアラの言葉が少なからず響いたのだろうか、ムーバは立ち止まると振り返らずにソアラに語り掛けた。その声色は優しさとそれとどこか寂しさや後悔が含まれるように感じられる。
「それに、その言葉はアタシには言う資格がないから」 - 27二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:35:23
お姉さまは説明不足すぎたからねえ
根本的なところではないがそれがソアラの怒りを強める一因であったところはあるように見える - 28二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 07:00:41
ヒビノお姉さま的には放任主義というよりかは、イリフネの強さを信じているという感じだろうか
- 29二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 10:59:18
説明不足というと某ネームドを連想させるなあ
- 30二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 15:51:18
しかしムーバのこの一言にこのソアラはどう言う反応をするだろうか
資格があろうがなかろうが彼女なら言うべきと思ったことを言いそうだからなあ
ソアラの反応次第ではお姉さまは一言足りなくてムーバは一言多いみたいになったりするかも - 311着をねらえ!25/10/20(月) 22:14:02
宝塚記念ももう目前ということでレース中の様子を想像しやすいように改めてソアラとムーバの数値を設定していきます。
なお、ソアラは「小柄で肉付きが良くウエスト太め」ムーバは「エロ」という基準がありますので大体この通りになるように補正を掛けさせていただきます
また、宝塚記念開催前に2人のパーソナルデータをまとめたものを揚げます - 321着をねらえ!25/10/20(月) 22:25:22
まず、「小柄」の定義ですがこれは学術的なもので記されているわけではないため日本人女性の平均身長である158cm以下と考え、医学的に低身長と呼ばれる147cmまでの間をとり155〜147の間とさせていただきます。
また、肉付きがいいとの事なので肉付きには定評のあるヒシミラクルを参考にスリーサイズを決定します。
※ヒシミラクルの身長を基準に各数値をダイス値の平均値として導入する
名前:ダイナソアシー
耳飾り:左ミミ
身長:dice1d9=9 (9) +146cm
バスト:81+dice1d10=5 (5)
ウエスト:58+dice1d5=5 (5)
ヒップ:85+dice1d6=4 (4)
- 331着をねらえ!25/10/20(月) 22:31:29
というわけでこうなりました
名前:ダイナソアシー
耳飾り:左ミミ
身長:155cm
バスト:86
ウエスト:63
ヒップ:89
ちなみに参考にしたヒシミラクルはこうなります
身長:156cm(-1)
バスト:85(+1)
ウエスト:62(+1)
ヒップ:88(+1)
※()はソアラを基準とした時の差
まぁ概ねミラ子ですね
ちなみにイリフネちゃんはこうです
身長:170cm(-15)
バスト:83(+3)
ウエスト:57(+6)
ヒップ:93(-4) - 34二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 22:43:45
比べてみるとイリフネの尻が際立つな
- 351着をねらえ!25/10/20(月) 23:08:35
続きましてムーバレズハールです。この子はエロらしいのでエロくしていきたいと思います(迫真)
名前:ムーバレズハール
耳飾り:左ミミ
身長:161cm
バスト:95+dice1d15=7 (7)
ウエスト:55+dice1d5=5 (5)
ヒップ:85+dice1d7=7 (7)
- 361着をねらえ!25/10/20(月) 23:12:05
名前:ムーバレズハール
耳飾り:左ミミ
身長:161cm
バスト:102
ウエスト:60
ヒップ:92
なんという事でしょうエジプト系濃黒紫色長髪デカパイデカチチ世話焼きスキル決闘お姉さんが出来上がってしまいました
これはもうエロ戦車するしかありませんね
ちなみに近しいところだとヒシアマゾンがこんな感じです
身長:160cm
バスト:92
ウエスト:59
ヒップ:89 - 37二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 23:51:05
- 381着をねらえ!25/10/20(月) 23:58:37
誤字ですねすみません
ソアラは運送業の娘なのもあって実用的筋肉の太さって感じですね。たぶんトレセンに入ってから走る事そのものが楽しくて仕方ないから自然とこうなったかも知れませんね
ムーバはエロです。目元には泣きぼくろがあります。あと多分谷間にもあると思います
- 39二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 07:25:21
ムーバちゃん身長10cm近く違うのに、ヒップサイズがイリフネとほぼ同じなの……なんかイイね
そしてイリフネちゃんは改めて立派なトモを持ってるなぁと認識。母譲りの末脚の源なのでしょう - 40二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 17:09:42
2つ前のスレの「実録!お母さんのコスプレ備忘録!」を読んでたら唐突にアプリのウマ娘ガチャのゲートから星3演出とともにバニーガールのイリフネが飛び出してくるのが見えた
多分固有演出はダイコン4(ドラマ電車男OPの元ネタ)のオマージュになってる間違いない - 41二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 23:20:41
ソアラのむちっむちっむちっな感じが好き
- 42二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 23:29:25
ちなみにバストサイズ計算機だと設定にもよるけど設定上ソアラのがずっとでかいはずなのにイリフネの方が胸がデカくなってて困惑した
筋肉や脂肪でウエストが増えててアンダーバストが計算式で仮定されるものと全然違う場合は計算機当てにならんのだなあ
体格の大柄さゆえアンダー値も相応と思われるのが入ってないからか条件次第ではCがEになっちゃうイリフネも然りだし
この辺それらしい数値を公式の子でちゃんと出してる人やサイトもあるし、
カップ数で遊ぶならそちらで詳細な計算式を使った方が良いのかもしれない
そもそも二次元数値はファジーに受け止めた方がいい?それはそう - 43二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 07:42:30
イリフネちゃんの体型、ピッチリスーツ好きだったイリフネパパの邪念によって生まれた可能性
- 44二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 07:45:00
地味にあのアニメを作ったスタッフが後のガイナックスの主要メンバーっていうね
- 45二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 12:24:17
因子継承しちゃったのか
- 46二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 21:26:25
保守
- 471着をねらえ!25/10/23(木) 00:37:41
捨て台詞のような言葉を吐き、休憩所を後にするムーバ。その胸にはソアラの言葉が重く響いていた。こちらにも考えがあっての今までの行動だ。しかし、いささか強情でイリフネを試すようなものであることは否定できない。正しさで言えば彼女の方があるだろう。それでもムーバたちはイリフネを信じて行動を起こした。その是非は未だ分からない。
ミネラルウォーターにできた結露が雫となりコンクリ敷きの通路にポタリポタリと垂れてムーバの足跡をそこに残していく。前後に揺れ戻ったり進んだりを繰り返しながらローファーの靴底の音のたびに一歩分の道を濡らしていると、曲がり角に見慣れた髪がなびくのが見えた。
「どうしたの、ミライ」
誰かを待っていたかのように壁に背を付けていたヒビノミライはいつもと変わらない機微に乏しい表情で頭一つ分上の彼女の顔を見上げる。その手には彼女が最近繰り返し読んでいる理想的な姉のことが書かれた本が握られていた。
「ダイナソアシー、彼女も“とてもやさしい”」
先ほどの会話を聞いていたのだろうか。だとしたら何かしら助け舟なりなんなりを出してくれたらいいのにと心の中で頬を膨らましてしまう。だが、そこで何も言わずに黙って聞いていたのも彼女なりの決意表明なのかもしれない。
「ミライ、最近どう?アタシは…チーム部屋の風通しが良くなりすぎて風邪ひいちゃいそう」
「私は風邪になれない」
ズレた回答の天然さにいつも通りのヒビノミライを感じてムーバの口から思わず笑みがこぼれる。ヒビノミライ当人は至って真面目な様子で、そこがまたムーバの心をくすぐって仕方がなかった。
「でも、最近なんだかざわざわする」
「それって、寂しいってことじゃないミライ」
4月も終わりを迎えもう間もなく皐月晴れの暖かくなる季節。今日も府中の街を駆け抜ける風は穏やかで心地よい暖かさで肌を撫で去っていく。
「そうか、これが“寂しい”か」
その小さなつぶやきは風に揺れる木の葉のささやきの中で、誰に響くわけでもなく、だがしかしヒビノミライという存在の中に“言葉”として遺り続けることとなる。 - 48二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 01:06:49
″とてもやさしい″やつこそ最も怒らせてはならないものである
お姉さまたちもイリフネを信じているからこそ起きてしまった今回の状況だが
結果としてそんなソアラの逆鱗に日常的に触れてしまう事故が起こってしまったのはマジでままならん話だなあ
ソアラもおそらく世界への一石たるお姉さまひいてはチームオルクとここまで剥き出しでぶつかったことで燻っていた殻を破ることになりそうなのが皮肉な話 - 49二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 07:27:29
やっぱりヒビノミライ、メカウマ娘とかだったりしない?
でも1日3食カレー食べてたしなぁ… - 50二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 07:41:41
食事のこと考えると宇宙馬のウマソウルを持ってる外宇宙のウマ娘の可能性が一番高いのかな?
風邪になれないってあたり異邦人にありがちな感染症問題とは無縁だけどこのことがあるので珪素生命やエネルギー生命の線も薄いんだよな
あるいは食ったら自分用のエネルギー形式に変換されるドラえもんみたいなもんかもしれないのでこれらやメカウマ娘な可能性も全然あるとも思うけど - 51二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 17:16:06
宇宙どころか異界人的な可能性もある?
- 52二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 17:49:20
何らかの概念がウマ娘の姿を取っているようにも見えるな
- 53二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 17:56:46
概念だとしたらコスモピュエラに出てきたワードとか結構怪しいかもしれない
特異点崩壊とか宇宙の調停者とかそういうやつ
あるいは……「メイショウ」? - 54二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 23:40:52
ウマ娘世界ではキンペイバイの子が高校生になるくらいの時間が経っているけど、競走馬の尺度で考えると引退~初子のクラシック期まで5年ぐらいなんだよね
その辺もヒントになるかなぁ - 551着をねらえ!25/10/24(金) 00:51:50
イリフネ'sメモ⑮
「ソアラと見る輸送業界」
どもーダイナソアシーです。今日は現代における輸送事情の説明のために呼ばれました。イリフネとの待ち合わせがあるんで手早く終わらせますね。
まず、現代で用いられる特殊ダンボールですがこれは特殊粒子構造によって旧式のライナーと中芯の複合構造で成り立っていたものに比べ内外の衝撃に非常に強くできていて例えガラス玉を梱包していたとしても100mの高さから自由落下してもヒビのひとつも入りません。現代の輸送業界ではマストなアイテムです。
続いて輸送機器。現代では輸送用ドローンによる宅配や輸送が普及していますが現代でも人の手による配達は変わらぬ需要で存在しています。
うちの会社もドローン配達と昔ながらの有人配達の2つの業務形態をとっています。
多くの場合、ドローンは各企業で連携を取りながら群体制御を行い誤配達や空中での衝突事故を防ぐようにしています。
有人配達の場合は車やバイクなど色々ありますがフライトモビルが最もポピュラーです。リパルサーリフトにより動きにz軸方向が追加されVTOL機能を搭載せずとも垂直離着陸が可能になった事で山間部への空からの大量輸送も可能になりました。うちの会社では主に山間部や離島、宇宙への配達をメインにしてどこよりも早くて安全をモットーに日々お客様方に笑顔を届けています……パパ、とりあえずこれでいい?
それじゃイリフネと遊び行ってくるから。夕ご飯には戻るよ。
※ソアラの両親が経営する輸送会社の運用する機材の中で最も高性能な水空両用の機体は一人娘の彼女の名前を取って「ダイナソアC」と名付けられている。進水から10年以上、今だに無事故無違反の記録を更新し続けている。 - 56二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 07:34:41
ダンボール戦機みたいな技術革新が起こっている
- 57二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 09:16:26
ダイナソアCが元ネタよりもだいぶ進化しとる
こういう世界観解説は大好物 - 58二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 16:18:44
このダイナソアCの輝かしい記録が反面選手としてのソアラ本人(以前出た戦績の話から読み取る限り銀銅コレクターっぽい)には呪いの言霊になっているようにのは流石にひねくれすぎた見方だとは思いたい
でもなんかソアラに何かが起こりそうなこのタイミングで″とてもやさしい″に連動しているかのようなこの話が出るのは勘繰ってしまうものもある
ムーバ流に言えばダイナソア・コスモスからダイナソア・カオスにチェンジしそうというか……
またはグランドスラム繋がりでRTTT菊花賞のオペラオーの眼に開眼するやつとか - 59二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 23:57:12
子を思っての行為も、本人にとっては重荷だったり苦痛だったりするからなぁ
それこそ前作のコードヘブンみたいに - 60二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 02:54:33
言われてみればそういうことになり得るのか
てっきり安全運転の祈りが命名元にも波及してしまったかのような皮肉くらいに思ってたけど、
当人も案外複雑な印象を持っててもおかしくないのかもしれない - 61二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 09:03:16
どっかでぶちまけられたらむしろいいのかもね
- 621着をねらえ!25/10/25(土) 16:56:15
GWも終わり際、やれパペットの料理番組やらギャルの大量発生やら某黄金船がやりたい放題しがちなこの季節に厳かに執り行われる格式高いレース、それが「天皇賞(春)」である。日本におけるG1競争の中でもっとも総距離の長い本レースはステイヤーたちの頂上決戦の場であると共にのちに続く偉大な功績の第一歩ともなるものである。当然、出走するメンバーも日本最高峰のステイヤーたちが揃っており、特に今年は海外からの参加もあるようだ。
その天皇賞春が行われる京都レース場から約360km離れた首都「東京」。都市機能を支える格納式超高層太陽光発電設備が天高くそびえ、人種、国籍が様々に混じり合いカオスを形成する活気にあふれたこの都市の西側、10代のウマ娘たちが汗と涙で大地を濡らし、風切る音に歌声の混じるレースの街「府中」、その中心部にある「日本ウマ娘トレーニングセンター学園」にほど近い学園付属寮の一室、ベッドの上には服やらノートやら筆記用具、化粧ポーチにドライヤーと統一感のないアイテムが散乱し、その横で床に置かれたスーツケースがには半端に荷物が詰め込まれていた。その荷物たちの主であろう少女、両側に垂れたおさげに両耳のリングから提げられた固体燃料ブースターのような形状の飾りで4本おさげに見える黒鹿毛のウマ娘『ダイナソアシー』は作業の手を止め、ベットのフレーに体を預ける形で足を投げ出している。その手には携帯型ホログラムモニターが握られ、彼女のお気に入りの眼鏡型デバイスが映像の光をレンズ表面で反射している。 - 631着をねらえ!25/10/25(土) 17:00:21
「お嬢さん頑張れ!」「しっかりね!」「無事に帰ってくるんだよ」「楽しんできて!」「フレー!フレー!ダイナ!ソレッ!フレ!フレッ!ダイナ!フレ…」「みんな応援してるからね」「テレビで応援してるよ!」
それは彼女の実家である輸送会社の社員たちからの応援メッセージだった。小さなころから職場の人たちから可愛がられ会社の看板娘になっているソアラが天皇賞という大舞台に出るとならばと従業員全員分のメッセージ動画が送られてきたのであった。
事務のマイちゃん、よくドライブに連れて行ってくれたリョウちゃん、オペラが好きなコウダのおじさん、コーヒーを教えてくれたカリヤのおじさん、勉強を見てくれたナカジマのおじさん……最近なにかと実家に帰れていないことを思い出し、顔を見せられていない申し訳なさを感じるが、きっと今度のレースで勝つことがいい手土産になるはずだと自分を鼓舞する。
「ソアラ!そろそろ行こうなのです…ってまだ全然準備できてないのです⁉」
動画が何回か目のループに入ろうかというころ、部屋の扉を豪快に開けてきたイリフネは今だ荷造りの終わっていないソアラを見て大きな声を上げる。出走するのは自分ではないというのに相変わらずの張り切り具合に思わず息が漏れて口角が上がってしまう。
「わかってる、すぐ行くよ」
ベットに散らばるあれそれをスーツケースに収め、忘れ物が無いかを確認する。お気に入りのデバイス各種、何かあった時のノートと筆記用具、食費と学生証の入った財布、いつも使っているドライヤーに化粧水やらを納めたポーチ、それと…
真空圧縮パックに纏められた材質からして違う衣装──自身の勝負服を最後に詰め込み、レ点で埋まったチェックリストを最後にもう一度確認し、チャックを閉める。
忘れ物は何もない。必要な物品も、戦うための装束も、戦う理由も全て持った。
「行ってきます」
今夜は誰もいない部屋に一瞥を送るとソアラは部屋の扉を閉めた。 - 64二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 23:31:17
まだゴールデンウィークのトンチキイベント続いてるんだ…
それにしてもソアラは親はもちろん、みんなにも愛されてるんだな。頑張ってほしいぜ - 651着をねらえ!25/10/26(日) 00:41:45
イリフネ'sメモ⑯
「宇宙クジラ」
現在時間軸から十数年前、亜高速試験船「ぶらでぃおん」によって火星と木星の軌道上の中間に存在する小惑星帯で化石の状態で発見された。放射線測定などによりおおよそ3000万年前のものと推測されており、地球の海に生息する巨大哺乳類であるクジラと酷似した骨格を持ち、宇宙空間での遊泳に適した太陽帆のような形状のヒレを持つことが調査により判明している。また骨格のスキャンにより鳴き声は地球のクジラのそれに近くブラックホールから発せられる音にも近い波形だという。宇宙空間における巨大生物の存在を証明するものであると共にエーテル理論を裏付ける事になったこの化石は現代における宇宙航空学を数十年分進めたとも言われており、この化石の復元予想図を元に数々の亜高速船が建造された。
人類に多大な恩恵をもたらした化石であるが、現在のどの生物学・考古学にも当てはまらない存在でありそもそも同種が存在するのか、現在でも生きている個体はいるのか、別の惑星の原生生物の化石が何らかの理由で宇宙空間に打ち上げられたのが漂着しただけではないのかと学説・仮説は止まることを知らない。ただ一つ確かなのはこの化石の元になった生物が確かに存在したという事実だけである。
その存在故に現存するいくつかの宗教の概念を根底から覆しかねないものであり、公表・調査は慎重に行われ現在まで宗教的・科学的暴動は起こっていない。 - 66二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 00:44:12
> 別の惑星の原生生物の化石
やはりいるしあるのか……?
宇宙ウマ(ソウル)と銀河中央シリーズ
- 67二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 06:47:31
コズミック・イラとエーテル宇宙が混ざっておる
- 68二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 13:34:23
ウマ娘の身体同様未解明が多いのね
- 69二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 22:13:00
十数年でここまで進歩するもんか? とも思ったが、アプリの時点でフルダイブ型義体や独立思考AIはすでにいるから進歩の下地は十分あるんだった
ハードウェアの進歩が、ウマソウル解明で一気に発展したわけだな - 70二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 22:23:35
それこそ我々の世界も十数年でネット社会さらに十年で電子化著しいしね
ベースが進んでいてイノベーションがあればむべなるかな - 711着をねらえ!25/10/26(日) 23:23:32
イリフネ'sメモ⑰
「気になるあれこれ、その1」
Q.今まで登場した中で1番お金持ちなのは?
A.グレンラセツ(日本有数の財閥系重工の代表取締役の一人娘)
次点でメイショウドトウ、クローズドメイデンが挙げられる。意外にもイリフネも生家はお金持ちである。
Q.クローズドメイデンとサイレントオナーズはどうなった?
A.まだ溝はあるけれど学園ですれ違った時に一言挨拶するくらいの仲には戻れました。
Q.ムーバ先輩の体が競争ウマ娘にしてはエッチすぎませんか?
A.私のお母さんの方がたぶんエッチな体をしてると思う(世間の評価的に)ので気にしない方がいいと思うのです。
Q.毎年妹が増えるのはどう思っていますか?
A.家族が増えるのは嬉しい事なので毎年喜んでるのです。でも、お母さん年明けから春先が毎年大変そうなので少しは楽をさせてあげたいのです。
Q.ダイナソアシーは太めではないのか?
A.(この文章は削除されました)
A.筋肉量が凄いだけです。 - 72二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 23:27:04
一番最後の質問に答えてるの、本当にイリフネ?
- 73二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 23:55:54
> 意外にもイリフネも生家はお金持ちである。
伊達に(将来的に)19人まともに養える家ではない
- 74二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 00:06:25
あにまんダスカですらウマ娘11人(+ヒトオス1人)だから
ウマ娘を20人近く養えるとかとてつもなく太い実家だよね - 75二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 07:57:32
育てるだけでも大変だもんな
- 76二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 15:58:50
クローズドメイデン、すこしずつ溝が埋まっているようで良かった
- 77二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 23:44:13
毎年一人増える家族
その毎年増える家族を生み育てながら、ラジオパーソナリティ業で家計を支えるペイバイママ
ほんとうにラジオパーソナリティだけで!? - 78二次元好きの匿名さん25/10/28(火) 06:47:16
- 79二次元好きの匿名さん25/10/28(火) 12:25:21
ドラマ化の話はきてそうだよな
- 80二次元好きの匿名さん25/10/28(火) 19:36:22
ペイバイちゃん役の女優は誰がやるんだろう…
- 811着をねらえ!25/10/28(火) 23:17:58
がらがらとナイロン製のキャスターがタイル貼りの地面を転がる。京都への旅路を辿る二人はその足で駅──ではなく、トレセン学園敷地内の駐車場に来ていた。土曜日ということもあって人は少なく、空きが目立っている。
現代において東京から西日本に向かう際、移動手段の選択肢はかなり多い。移動費を気にするのなら深夜急行バスという前時代的ではあるが信頼性のある公共交通機関、タイパを求めるのならリニアを利用するのもいいだろう。そしてもう一つ、『空』を利用する手もある。
独特な高音が頭の上から響いてきたので上を見れば降下灯を点灯させながら1機のフライトモビルがゆっくりとイリフネとソアラの前へと着陸してきた。ピカピカの白いボディにアルバトロス(アホウドリ)の紋章が誇らしげに輝くその機体を見てマーク無しに輸送用の機体だと分かる人間は少ないだろう。
「待たせたなソアラ」
アイドリング状態の期待のハッチを開け出てきたのはがっしりとした体形の短髪の男性。よく日焼けした肌が彼が働き者であることを示している。ソアラの姿を見てニカッと笑うとコックピットから降り、彼女の頭を豪快に撫でる。そう、彼はダイナソアシーの父親であり今回娘がG1レース出走のために京都へ遠征すると聞き、娘を京都まで自分が送り届けると申し出てきたのだ。
「ちょっとパパ、イリフネの前でやめてよ…」
ぐりぐりと乱暴だが愛おしさにあふれた父の手に嬉しさと恥ずかしさではにかむソアラはイリフネの方をちらりと見ると可愛らしくむすっとして見せる。そんな可愛らしい行動をする娘をひとしきり撫でると、彼は娘の親友の方へ向く。
「君がイリフネちゃんか。娘から話はよ~く聞いているよ。娘と仲良くしてくれてありがとう」
差し出された男の手を握り返すイリフネ。父の物とは違うその手の感触に親友の父という微妙な距離感からくる不思議な感覚に目を丸くする。
「さぁ乗ってくれ!世界一安全安心な空の旅へようこそ!」
ソアラの父に手招きされ今日特別の客室仕様に改造された『ダイナソアC』へ乗り込み、一路京都への旅路へ着くのだった。 - 821着をねらえ!25/10/29(水) 00:37:42
小一時間ほどの空の旅の後、二人は京都の街へと降り立っていた。ソアラの父親は娘と離れるのを名残惜しそうにしていたが、自身の妻からの催促の電話を受けては夫たるもの動かないわけにもいかず、肩を掴んで激励したのち5分ほどごねてようやく仕事へと戻っていったのだった。
「ソアラのお父さんおもしろい人だったのです」
「暑苦しいだけだよ」
本来ならば京都観光の一つでもしておきたいところだが、生憎旅行に来たわけではないのでスーツケースを引いたまま、そそくさと今日の宿へと向かう。
レース場のある地域ではURA管轄のホテルや宿泊施設が多数あり、レースに出走するウマ娘やレース関係者、レース前のエキシビションに呼ばれたアーティストなんかも利用する。そのためアメニティ含めサービスはかなり充実しており、一等地の観光ホテルと比べても遜色ないレベルである。今回ソアラたちの宿泊するホテルもその例にもれず外観こそ大人しいが内装は綺麗にまとまっており大理石の床や調度品などからは高級感を感じられるしコンシェルジュ達も丁寧に接客を行っている。
フロントでチェックインを済ませ、二人の手にはそれぞれ別の部屋の鍵が握られている。チームに所属しているウマ娘が出走する場合、同チームのウマ娘も同じ部屋に宿泊するというのはさして珍しい話ではないが、ソアラは専属契約ウマ娘であり、出走ウマ娘の関係者以外の立場でここにいるイリフネとは同室にはなれないのだ。
「寮だと一緒の部屋なんだけどな」
「なら寝るまでソアラの部屋で遊ぼうなのです!トランプとか花札とか持ってきたのです!」
別室の寂しさをわざとらしくソアラに対し、それをよくわかっていないのか小旅行感覚のイリフネは能天気で、明日のレースへの緊張感がどこかに飛んで行ってしまいそうだった。
「夜ご飯くらいはどっかに食べに行こうか」
「賛成なのです!それじゃあ荷物を先に置きに行くのです!」 - 83二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 00:40:21
専属……ソアラトレ(仮称)の姿もワンチャン見られるか
おそらく2、3着が積み上がっているソアラに何かピースが足りないとある意味本人以上に最後のそれを探してそうだ - 84二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 08:01:21
この時代でも、夜行バスは生き残ってるのか
- 85二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 08:16:34
- 86二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 09:05:42
深夜バスに揺られて九州まで遠征する予算の少ない弱小チーム所属モブ娘さんの、鍛えあげられた尻肉
- 87二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 18:04:01
壇ノ浦レポート…
- 88二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 23:23:55
トモがはがれる夢を見そう
- 89二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 07:27:10
このレスは削除されています
- 90二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 07:29:05
走れなくなる悪夢とかコンディションがズタボロになるからやめろォ!
- 91二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 07:32:05
もしかしたらトモの駄肉だけ外れてパワーアップする夢かもしれないだろ?!
それはそれで細かいこと考える性格だったらコンディションやられそうではあるが - 92二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 13:07:52
トモがはがれる夢をみるウマ娘ダンノウラレポート
うなされるトレーナー - 93二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 13:23:16
- 94二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 22:38:22
そういう事もあるさ
切り替えていけ - 95二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 23:04:15
Ⅳスレ目の画像と>>93を並べてみた
- 96二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 23:06:46
靴下の形と柄で差別化できてる気がするからヨシ!
インナーも柄のないファスナーだしね - 971着をねらえ!25/10/31(金) 03:13:22
明日に迫った天皇賞の期待感からか歴史と威厳が街の形を成している京都の街もどことなく浮ついているように見えた。古風な景観には似合わない髪色や服の少女たちの姿もちらほらと見え、飲食店の軒先にはポスターが並ぶ。
そんな中を二人の少女は人の波に流され、暖色に照らされる木組みの家々の間から漂う匂いに誘われ暖簾をくぐり赤茶の瓦の家に入っていく。
そうして腹を満たし、千と数百年の人々の歩いてきた道を人の波に逆らって辿り宿へと戻る。
トランプ、花札、ルービックケージ、風呂上がりに火照る体でバスローブ姿のまま遊び、笑う。明日、死力を尽くして戦う少女とは思えない。どこにでもいるごくごく普通の17歳の少女の姿そのものであった。
お休みの言葉で少女立ちは互いの寝床へと別れる。先ほどまで親友のいた部屋、見知らぬ天井、分厚い遮光カーテンが部屋を闇に閉ざす。知らない誰かの残り香が壁伝いに鼻孔を差し、ピンと張られたシーツが熱を逃がさず心地よさを感じても眠気を誘ってはくれやしない。羊を数えたり数字を唱えたりして見るがやはり効果は無く、壁掛け時計の無機質な動作音が余計に思考を現実に引き戻しもう間もなくに迫った明日が少女の心に焦燥感を生み出していく。 - 981着をねらえ!25/10/31(金) 03:17:27
「ふぁい…ありぇ?ソアラどうしたのれす…?」
気づけば少女は寝間着姿のまま親友の部屋を訪れていた。来訪の理由を素直に伝えるには少女は歳をとりすぎていて、だけど親友はそんな少女の様子を見て、何も言わず優しいほほえみで彼女を迎え入れる。シングルだった少女の部屋とは違い、親友の部屋はダブルで、もう一人の同居人が静かに寝息を立てている。その規則正しいリズムを乱さないよう足音を殺しそれなりに上等なスプリングのマットレスに腰掛ける。指を伝い、肩にまで届いた手招きに振り返り重力に体を預ければ布団をめくりあげ親友が待ってくれていた。
胸が当たり物理法則と弾性に則って潰れカタチを変える。少々の息苦しさを感じてベストな距離感を図れば自分の物よりもずいぶんと柔らかく長くそして厚みのある二本の脚にからめとられてしまう。
「おやしゅみソアラ……」
少女が訪ねてきたときには眠気の渦中にいたのだろう。少女の頭を撫で続けながら親友の瞼はゆっくりと閉じられ、やがて耳元に感じる暖かさと甘い寝息だけを残して一人夢の世界へと旅立ってしまった。
親友の寝息が頬にかかる距離、触れあった胸からはゆっくりとだが確かな鼓動が感じられる。その響きを感じながら少女も微睡の中へと落ちていく。最後の瞬間にもう一度、親友の首に腕を回しながら。 - 99二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 09:04:12
寝顔をずっと見ていられるやつ
- 100二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 10:43:16
> もう一人の同居人
専属とのことだしこれ多分ソアラのトレーナーと出会うやつですね
部屋を同じくしてるあたり同性のトレーナーなんかしら
- 1011着をねらえ!25/10/31(金) 14:58:04
「あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ドモ゙の゙肉゙が゙剥゙が゙れ゙る゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙…」
京都レース場近くに設けられた大型の臨時駐車場に止められた大型バスから這う這うの体で這い出るやいなや、おおよそうら若き乙女が出してはいけないタイプの声を出しながらウマ娘『ダンノウラレポート』はよろよろと数歩歩くとその場にへたり込んでしまう。
地方でそれなりに頑張っているし、体の頑丈さにも人並みの自信があったのだがそもそも彼女はスプリンター、長距離移動に求められるステイヤー適性は持ち合わせていない。明らかな適正外の長距離出走は彼女のチョイ太めなトモにダメージを与え、振動と疲労で眠りについた彼女にトモが剥がれ落ちるという悪夢で起きる贈り物をプレゼントしていた。それもこれも、今後の更なる成長のためレースの予定のないこの期間に上位層のレースを見学しに行きたいという至極正当な遠征理由に所属する地方トレセンの経理課が最低限の移動費しかくれなかったことに原因があるのだが、こうなるのなら賞金に手を出してでもリニア移動にすればよかったと激しい後悔の念に襲われる。
気分は絶不調、これはトレーナーに何か美味しいものでも奢ってもらわなければ収まりそうにない。ステーキか寿司か、京都なのだから料亭の飯か、この際だからトレーナーの財布の底が見えるまでヤケ食いしてやろうか、そんな風に考えているとも彼女が降りてきたバスから男が一人降りてくる。天然パーマなその男はダンノウラレポートと同じで足を生まれたての小鹿のようにみっともなく震わせ歳だからか腰まで抑えて非常に不格好であった。 - 1021着をねらえ!25/10/31(金) 14:59:16
「ちょっとトレーナー!こんなにキツイって聞いてないんだけど!トモ剥がれちゃうかと思ったじゃない!」
「えっ、ちょ、ちょっと待ってよ〜!トモが剥がれそうって……それ僕のせいじゃないだろ〜!?いやいや、バス揺れただけでそこまで恨まれても困るって〜!君が走れなくなったら僕どうすんのさ!?食い扶持なくなっちゃうんだよ!?」
危機感があるのかないのか半笑いのトレーナーに若干腹が立つが優しく抱き上げられ肩を貸してもらっては喉奥にとどまったままの苦言が鼻を通り抜けることはなかった。
「じゃあその食い扶持のためにも労わってくださ~い」
肩で支えられレース場外のベンチに連れてこられたダンノウラレポートは足を投げ出すと上目遣いでトレーナーを見つめる。彼女はそれ以上の言葉を言わなかったがトレーナーには彼女が何をして欲しいのか十分に伝わっていた。
「いや〜やるけどさぁ、やるけどもねぇ……君もさ、人の多いとこでマッサージねだるって、なかなかの度胸だよねぇ……?」
トレーナー側の方が若干不服そうなのには少々腹が立つがこんなのは日常茶飯事だ。
「度胸がなきゃこんな世界で走ってませんよ」
多くの通行人が横目で見て通り過ぎていく中、彼女だけは得意げな表情を浮かべるのであった。 - 103二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 17:34:58
ダンノウラレポート来てるw
彼女のトレーナーの声が聞いた筈がないのに、すごく聞き覚えがあるw - 104二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 17:47:11
(前シリーズまで含めてログ検索しても名前が見つからないのでダンノウラレポートが何者なのか知りたい)
- 1051着をねらえ!25/10/31(金) 18:17:37
- 106二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 18:59:50
承知しました ありがとうございます
みんな前から知ってるかのようだったので見つからなくて慌ててたんですが今生えてきた感じなのね
確かに地方出ならダートだし、適性不問くさいお姉さまが突然ダートに寄るとかしない限りは走るところは出てこなさそうか
- 1071着をねらえ!25/10/31(金) 23:10:59
春天の出走時刻まであと少し。マッサージで遅れてしまったが二人はようやくレース場内へと入った。やはりというべきか会場内は人で溢れかえっていて、子供用のバルーン遊具や屋台にキッチンカーとお祭りのような様相を呈していた。
その中でもひと際人だかりができている場所を見つけると人混みをかき分けてそこへと向かう。たかが十数メートルの距離を1~2分かけてようやくたどり着くとそこには舞台上に立つウマ娘が一人。
『5番人気4番エムブラ。仕上がっていますね。彼女の強みは冷静さと安定感ですから今日もその持ち味を活かした走りを期待したいですね』
腰まで伸びたストレートヘア、ライトグレーに近いその色合いは葦毛と呼ばれるもので一昔前までは葦毛のウマ娘は走らないなんて言われていたが、とある伝説的なウマ娘達の活躍もあってその目立つ髪色から今日のレース界においては注目の置かれる髪色となっている。そんな彼女は北欧神話の絵画に登場する女神が身に纏うドレープやトーガの衣と呼ばれるような白い布のドレスを身に纏い、華美な装飾のない純白の布切れ一枚に数点の筋の装飾品というシンプルなそれが彼女の知性と理知的さを表現し、ニレの華を模した金細工の冠がライトグレーの色との相乗効果を起こし勝負服と彼女の一体感をより強めている。
「綺麗な人ですねぇ」
「ファビュラスッ!(素晴らしい)」
切れ長の瞳の美人という言葉が良く似合うエムブラの勝負服姿に思わず見とれていると突然横で叫ぶ声に驚き、隣にいたトレーナーへと抱き着いてしまった。狂人を見るような目で見つめる先、明らかに怪しいSM嬢みたいな仮面をつけた体格のいい男性というモロ犯罪者な訳の分からない存在に思わず顔が引きつる。
「君も分かるかい⁉あの衣装のすばらしさ!あれは古くは北欧、地中海を源流とするものだがそれを高度に現代に蘇らせ勝負服として成り立たせているっ!あれを生み出したのがボクではないことが惜しいがそんなものはノービギッ(些細な問題さ)!美しい物を作り出す存在は多ければ多いほど世界が面白くなる、そうは思わないかい?」
正直全く思わないしこんな変態の考えを一秒たりとも思考したくないのだが、この手の輩は言ってないのにしつこいのが定石だ。逃げ出そうにも勉強の一環で来ているのにそれを放棄するのは本末テントウムシだ。しかたがないとため息が零れる。 - 1081着をねらえ!25/10/31(金) 23:12:17
「さぁ次のジェム(ウマ娘)の登場だ!君も見逃さぬようにな!」
いつになったら終わるんだろうか。その言葉を飲み込んだ自分を褒めてあげたいと思うダンノウラレポートであった。
しかし、隣に様子のおかしい変人がいたとしても今見るべきは出走するウマ娘達である。とりあえずいったん隣の狂人のことは忘れてパドックに集中しよう、そうやって気持ちを切り替えているとパドックの袖から新たにウマ娘が登壇してきた。
先ほどのエムブラに比べると幾分か小柄でしかし自信満々に伸ばされた背筋はその存在が決して小さいとは感じさせず、歩くたびにおさげと両耳の大きな耳飾りが勇ましく揺れる。
『5番ダイナソアシー、本日は4番人気です』
前面を黒、背面を白としたツートンの勝負服を身に纏い、両腕に大きな円形のクリスタルのついたグローブを嵌め、壇上にて雄々しく二本の足で立つ。決意と覚悟に満ち溢れキュッと引き締められた口元はいつものソアラのどこか軽い雰囲気を感じさせず、この日にかける思いが見るものにも伝わってくる。
『ダイナソアシーは昨年に続いての出走となり、前年は惜しくも6着と掲示板入りを逃す形となっています。今年はどうなると思いますか』
男性アナウンサーからの質問に実況席に座るシックな装いの女性がボリュームレバーを引き上げる。
『とてもいい顔つきをしていますね。長距離レースは適性や実力が出やすいレースでもありますが、最後に物を言うのは諦めない心です。心を強く持って頑張ってほしいですね』
柔らかな声の響きに暖かな激励を乗せ再びボリュームレバーが引き下げられる。
“天皇賞(春)勝ちウマ娘”キンペイバイは仕事として呼ばれた立場上、大手を振ってダイナソアシーの応援をすることはできない。あくまで今の自分は現役時代に春天を勝ったウマ娘という個人であり、たとえ自分の子供のように思っていても、娘の友達を応援する母の立場ではいられない。だから、自分の声が拾われない今この瞬間、小さく「頑張れ」と呟いて彼女の勝利を心の中で祈るのだった。 - 109二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 23:15:02
ブーケみたいな戦績かと思ってたら思ったよりも燻ってたんだな……
溜まりに溜まった殻を破るフラグ、果たしてどう弾けるか - 1101着をねらえ!25/11/01(土) 00:00:38
イリフネ'sメモ⑱
「ハロウィン、お母さん、お父さん」
キンペイバイとその夫はハロウィンになるとコスプレして何かするというのを学生時代から続けていた。最初はキンペイバイがコスプレ写真を送るくらいのものだったが、彼氏を着飾る事に目覚めたキンペイバイが自作のコス衣装を着せてイベントに参加したりハロウィンパレードに行ったりと様々な思い出を作った。その多くは彼彼女らのスマホに収められ若き日の良き思い出として大切に保管されている。
キンペイバイ曰く最高傑作はサキュバス衣装とのこと。
子供達が生まれてからは子供達全員分のコスプレ衣装を作り、お菓子を作り家族みんなでハロウィンパーティーをする家族団欒のイベントに変わっていった。
パーティーには家族以外にも夫のチームのウマ娘達や娘達の友達も参加し結構な大所帯になってきている。
そんな移り変わりの中でやはり変わらないものもあり、ハロウィンの日に子供達が寝静まったのを確認すると未だコスプレ衣装を着たままのキンペイバイ夫妻が彼らの自室へと消えるというのは毎年の事で、中の様子を知っているのは夫婦とベビーベッドですやすやと眠る赤子とキンペイバイの胎の中で眠る胎児くらいなもので、スプリング音と水っぽい音がドアの隙間から僅かに漏れる程度のことである。
ちなみに今年は甘ロリ系低身長ドラゴンガールの仮装をしたキンペイバイ。途中で舌がつってしまい旦那にほぐしてもらうなど結構大変だったようである。 - 111二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 07:25:54
馴染みの産婦人科医「今年もですか……」
- 112二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 12:38:25
このレスは削除されています
- 113二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 12:42:42
このレスは削除されています
- 114二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 16:30:28
ソアラの解説を改めて読むと掲示板入りできるかどうかで考えられてるとも取れる実況の言い回しに今までの苦闘を思わせるものがある
立場上フラットな発言をしているペイバイママの話からも彼女のような真性のステイヤーほど長距離適性はない感じだし
言うても4番人気なあたり決して勝ち負けできる適性や資質がないわけじゃないんだろうから本当に破るべきものがある感じ
そしてこの怪しいお兄さんは一体何沢の人なんだ……
(見苦しいログにしてしまいすみません
流石にアレな誤植を予測変換でやらかしていたことに今頃気づいてしまったので何卒ご容赦を) - 115二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 20:32:34
ぽっと出キャラの取り込みが上手いなぁ
- 1161着をねらえ!25/11/01(土) 22:01:34
- 117二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 03:12:40
参考資料ありがたい
ソアラの円形クリスタルのついたグローブはスマートデバイス眼鏡とシステムリンクしてる感じなのかな?
頭のロケットエンジンのような感情エネルギー検出機能とかあるいは小型モーメント辺りが入ってそうな物体に見えたので気になった - 118二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 11:45:44
勝負服設定がガッチリ固まってると、想像しやすくって助かる
- 1191着をねらえ!25/11/02(日) 12:16:47
少女たちが着飾った己の姿を華々しく見せつけている頃、同レース場内の控室からは何やらアンモニアにも似た刺激臭がドアの隙間から漏れ出ていた。
その部屋の中には一人のウマ娘の姿があり、その小脇にはプラスチック製の円筒の容器が抱えられ、その中の内容物を取り出し舌の上に載せるとゆっくりと租借し唾液と共に飲み込む。その感覚が溜まらないようで目を細め満足そうな鼻息が吹く。
しかし、少女の至福とも言える時間は破裂するようなドアの開閉音と共に終わりを告げる。
「ブブ!アンタなにやってるんだい⁉パドックにはちゃんと出ろとあれほど言っただろうに!」
入ってきたのは大柄な女性であった。褐色がかった肌に恰幅のいいその容姿はステレオイメージの欧米の母親といった感じで、そのイメージにたがわず少女の頬をつねりぎゃいぎゃいと騒ぎ出すとようやく手を離した。
「マム!まだ食べてる途中だったのにッ!」
少女も大柄な女性に比べて体格で劣っているわけでは決してなかったがむくれて頬を膨らますさまは子供そのものである。
「japanは時間に厳しいとあれほど言っただろう⁉あとちょっとでアンタの番だよ!」
女性が声を荒げながら時計を指さす。誤差の少ない電波時計は正確に時間を示している、それは少女がパドックに登壇する時間の数分前であった。つねられた頬を労わっていた少女であったが時間という現実を突きつけられ事の重大さにようやく気付いたようである。
「goddam…遠征先で遅刻なんてフロスに知られたら数か月笑い話にされる!」
そうして少女は大慌てで部屋を飛び出していく。食べかけの発酵食品は蓋が開いたままで、女性は顔をしかめながらふたを閉めるとそれを部屋に備え付けてある化粧机に置く。
「全く誰に似たんだか…」
我が娘ながらこのお転婆ぶりはいつ治るのかとボールズエイトは深くため息をついた。 - 1201着をねらえ!25/11/02(日) 12:18:11
パドックではやたらと破廉恥な服装のウマ娘が下がり次のウマ娘の登壇を待つ時間が流れていた。しかし、その登壇するウマ娘は探してもおらず観客たちもなかなか出てこない次にどうしたんだろうかと口々に相談し、中にはSNSに何か事故があったのではと憶測を掻き込む者までいた。運営側の係員たちもどうした物かと協議をしているところであった。
そんな時である、パドック裏方に突然に一人のウマ娘がやってきたのだ。彼女の名前と顔写真によるチェックを行い遅れていた次のパドックのウマ娘だということを確認すると、壇上へと彼女を誘導し、ほっと溜息をつくのであった。
『おっと、やっと登場しました本日の1番人気、13番ブラックブル。アメリカレース界の暴牛が日本のレースに参戦です』
外国から参戦のウマ娘の登場にパドック前の観客たちが湧きたつ。その歓声に酔いしれるように大きく両手を広げ左に右にと壇上を歩くブラックブルはまるで格闘技のチャンピョンのような感じである。
暴牛の二つ名が示す通り彼女の出で立ちはストロングかつワイルド。短く刈り揃えられた艶のある黒の髪にオレンジのメッシュが走り、メリハリの利いたボディラインを強調するように褐色の肌をつつむエナメル生地のような黒のハイレグと超のつくショートパンツ、オレンジの繋ぎをジャケットとして羽織り、バーコードのようなタトゥーが見る者の視線を誘導する。いたるところに金属製のアクセサリーを身に着け粗暴な雰囲気により拍車をかけている。何よりも後頭部でブリッジで繋がっているヘッドセットから延びるホログラムの角が彼女をより暴牛らしく魅せていた。 - 1211着をねらえ!25/11/02(日) 12:19:21
「うっわ身長たっか筋肉すっご」
同じウマ娘であってもここまで違うものなのかと思わずダンノウラレポートの口から見たまんまの感想が飛び出す。それほどまでに目の前のウマ娘の異質さやオーラがそれまでのウマ娘とは比べ物にならないものであったのだ。
ダンノウラレポートがあんぐりと口を開けて惚けているとブブラックブルの鋭い瞳が彼女を捉える。ウマ娘というのは種族単位で見てとても耳がいい種族である。当然、この大観衆の中からぽつりとつぶやかれた言葉をキャッチすることなぞ造作もないことであり、にやりと口角を上げると壇上の端まで歩み寄ってくる。
「そこのポニー!アタシのことが気になるってんならもっとこっち来な」
その言葉に周囲の人間の視線がダンノウラレポートへと集まる。一瞬きょとんとする彼女であったが、まるでモーゼの海割のように空けれていく目の前の人混みを前にしては思考するよりも足を動かすほかなかった。
間近で見る彼女は恐ろしく均整の取れた顔立ちであった。遠目で見る分には男勝りな印象ばかりであったがこう近くで見るとそうではなく、むしろ顔のパーツは可愛い寄りの女性的な印象であり、彼女の身振り手振り服装やオーラなどが彼女に野性味という魅力を与えていることが良くわかる。
「ふんポニーかと思ったがアタシと同じくらいか?日本のウマ娘は聞いてた通りぱっと見ポニーだな。おい、日本のレースはいい子ちゃんばかりで退屈だろ?今日のレース、アタシが面白くしてやるよ」
自信満々といった笑みを浮かべるブラックブル。多少口は悪いがそれを補って余りあるほどの威圧感と強者の雰囲気にダンノウラレポートは声にならない吐息を漏らし続けるしかできなかった。 - 122二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 12:54:00
思ったより濃いのが現れて芝
- 123二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 19:20:12
控室の残り香が凄い事になりそうな
- 124二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 00:40:06
保守
- 125二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 08:18:24
なんか物理方向で強そうな子だ!
- 126二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 16:03:05
デカ女すき
- 127二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 23:19:30
- 1281着をねらえ!25/11/04(火) 00:39:08
「タイムアウト、黒牛さん」
時折混じる黄色い歓声を受けながら着の身着のままファンサもといファンを揶揄っているとやけに通る声が背後から聞こえた。自身の肩を叩く存在に振り返ればそこにいたのは自分よりも20㎝近く背の低いウマ娘であった。褐色の肌と紫がかった髪で中東の出身かと考えたが正確に何人なのかはブラックブルには判断しかねる。
それにそのウマ娘の服装である。薄紫色を基調とした制服は確か日本の一番大きな学園のものであったはずだ。ということはこのウマ娘は走るわけでもないのにのこのこと壇上に上がってきたわけである。日本のウマ娘の大胆さには驚かされるが身の程を分け前ていないのはいただけない。アニメの見過ぎで夢でも見ているんじゃないだろうか。
「見た目に囚われちゃダメ。アタシの勝負服は“ここ”にあるんだから」
そう言うと懐からこぶし大の直方体を取り出す。よく見ればそれはカードの束であり、器用に持ち手を返すと左腕にはめられた装置に勢いよく装填する。
瞬間、迸る閃光。
その眩しさに誰もが目を覆い、ようやく目を開けられるようになったかと思えば収束している光の中心点にウマ娘のシルエットが浮かび上がってくる。直前まで着ていたトレセン学園の制服は全く違う、“勝負服”姿のムーバレズハールがそこにいた。
「変身した⁉」
ダンノウラレポートを始め、パドックの観客たちからも驚きの声がいくつか上がる。そんな歓声を背に衣装の裾をはためかせ彼女は得意げな顔を浮かべる。
『これは驚きましたド派手な登場です。14番ムーバレズハール、本日は2番人気に着けています』 - 129二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 00:43:53
おやムーバは2番人気なのか
となると1番人気は誰なんだろうか気になる - 130二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 09:02:35
強い子いるのかな
- 1311着をねらえ!25/11/04(火) 13:14:05
分かりにくくてごめんなさい
4番:エムブラ(5番人気)
5番:ダイナソアシー(4番人気)
13番:ブラックブル(1番人気)
14番:ムーバレズハール(2番人気)
です
【募集】
ムーバレズハールの勝負服に入れてほしい要素。
左腕にデュエルディスクはつけています。
(設定)
名前:ムーバレズハール
耳飾り:左ミミ
身長:161cm
バスト:102
ウエスト:60
ヒップ:92
特徴: エジプト系濃黒紫色長髪デカパイデカチチ世話焼きスキル決闘お姉さん。とても美人でとても優しい。カードゲームが好きでよく遊んでいる。
左腕につけた疾走決闘盤(デュエルディスク)にデッキをセットする事で勝負服姿に変身できる。 - 132二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 15:27:18
ムーバレズハールをムーバレズハーレムに何度となく空目する我が眼球をお許しください
- 133二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 22:58:20
保守
- 134二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 02:30:05
- 135二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 09:32:10
目のやり場に困りそうな勝負服だぜ…
- 136二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 16:35:22
アンテナを頭につけて欲しい
- 137二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 18:19:48
ふと遊戯王のホルアクティ見たらああいうグローブしてそうだな……となった
黒の手の甲に円形のクリスタル的なものがあってその周囲のラインや手首パーツが金になってる
なので時代感は反対だけどイリフネやソアラと似たディテールで程よくメカっぽいみたいにできそう
ただ左に決闘盤ついてるから左右で丈が変わりそうか - 1381着をねらえ!25/11/05(水) 19:14:02
【報】
最近投稿ペースが悪く皆様を待たせる形になってしまい申し訳ございません。
現在、スレ主が人生で1番忙しい1年を過ごしており執筆の時間が全く取れない状態が常態化してしまっています。結果として物語の進行が大きく遅れている状況となり、イリフネ達の物語を楽しみにしてくださっている皆様方の期待を裏切る形となってしまい本当に申し訳ございません。
12月までこの状態が続くのでしばしの間非常にスローペースとなりますがもしよろしければお付き合いしていただきたく思います。
(追伸)
予定の1/3にすら到達していないので1年で終わるか怪しくなってきました
(追伸2)
ムーバの勝負服は皆様から頂いたアイデアの集合体にしたいと思います。チーム「オルク」のお色気担当なのでエロくしてあげてください - 139二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 19:57:55
いえいえそんな中多忙を考えれば十分コンスタントな更新をしてくださってありがとうございます
どうか可能な範囲でご自愛ください - 140二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 00:03:29
デカパイデカチチと二度打ちされてるのが芝生える
- 141二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 08:53:48
いつもお疲れ様です
- 142二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 16:12:32
- 143二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 23:46:26
気長に待ってるよ
- 144二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 08:24:35
何気に謎の3番人気ウマ娘が気になるところ
順番の前後はあれ5番人気から出していって露骨に飛んでて残枠の中にいそうだし意外な人物だったりして - 145二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 11:57:23
裏の方にブラックブル母娘のイメージ絵が投下されてた保守
- 146二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 17:38:31
保守
- 147二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 23:08:28
待機
- 148二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 23:11:39
このスレにはキンペイバイスレの感想スレで数カ月持った連中がいるからな
どこの業界も年末に向けて繁忙期だし、ええんやで - 149二次元好きの匿名さん25/11/08(土) 05:41:52
この時期はいろいろ大変ですもんね
- 150二次元好きの匿名さん25/11/08(土) 07:39:54
年末から年度末は忙しい保守
- 151二次元好きの匿名さん25/11/08(土) 14:53:32
こうして投稿できないと連絡があるだけでもほっとする
連絡がなくなってそのまま音沙汰なくエタったオリウマスレがいくつもあるから - 152二次元好きの匿名さん25/11/08(土) 20:13:37
規制でそもそも連絡すらままならなかった人もいたんだろうなぁ
- 153二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 00:06:21
保守
- 154二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 09:12:00
そういえばイリフネちゃんが高等部1年で始まって今クラシック級ってことは、このシーズンで17歳か
毎年1人家族が増えてる計算だと、このシーズンでは18女トワイライトアイが生まれる予定? - 155二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 16:34:22
するとシニア級1年目の年で19女誕生か
プラムライブラリもいつか拾われるとなると3年目は今と未来の末っ子が同じ時代に……?
自分自身の誕生を見届ける構図がワンチャン見られたりして - 156二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 23:56:37
冷静に考えると、毎年1人家族が増える家庭は明るい家庭すぎるだろう…
ターキーバスやトーキョーバニーなど、在学時代に交流を持ったウマ娘を引いてもなおだよ - 157二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 08:45:52
しかしだねぇ…男女のぴょい欲のピークを考えるとお父さんはよく頑張っているのだから…
- 158二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 17:34:30
加齢とともにお父さんは下がっていくのに、お母さんは上がり調子になっていくからな…
- 159二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 00:16:47
ぴょいレスから夫婦仲が冷え切ってそのまま⋯っていうことを考えたらいつまでも仲良くうまぴょいしてる方が安心できますね⋯
それにしたってお菓
子作りしすぎ?返す言葉もありません - 160二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 08:51:32
保守
- 161二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 16:46:32
保守
- 162二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 16:56:04
健康管理も大変そうだな
- 163二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 22:56:30
トレーナーしてるイリフネパパは元陸上選手。ウマ娘の相手を常にする手前、身体はきっと鍛えているはずだ
- 1641着をねらえ!25/11/11(火) 22:58:42
(しばらく書き込めてないのでこういう形で生存報告を出しておきます)
イリフネ'sメモ⑲
「子育て支援制度」
作中の舞台となっている世界ではイリフネの母親世代─キンペイバイの現役時代の時点で世界中のありとあらゆる戦争や紛争、飢餓や支配といったものがすっかり過去のものとなっており、宇宙開発に外宇宙探査と新たなる世界「ネオフロンティア」を求め世界は団結し皆同じ方向を向いて手を取り合って暮らしている。
故に科学技術の進歩は目覚ましく、正しい心で作られた科学の発明品たちは人々の生活を豊かにしその恩恵を人々は享受し、互いに手を取り合って助け合い、困っている人に手を差し伸べられる社会を構築している。
そんな世界で社会保障制度は幅広くより親身になっており、特に1人あたりの出産数が多いウマ娘に対しての子育て支援制度は一昔前に比べてもかなり充実したものとなっており、子供の人数が多ければ多いほど補助金や社会保険料の一部免除等の手当を受ける事ができる。
キンペイバイはこの制度を最も使いこなしている母親の1人であり、子供が全員ウマ娘という事で特別育成補助金や人数による追加補助金などのおかげで毎年子供が産まれても家庭が崩壊する事はなく、むしろ一般家庭に比べるとかなりお安く済んでいる。(具体的には子供達の学費が8割くらい免除されている)
この子育て支援制度にはURAも絡んでおり、現代社会における「ウマ娘の妊娠は歓迎されるべきものである」という認識を確固たるものにした事でウマ娘人口は十数年前に比べ上昇傾向にある。
これとの直接的な関係性はないが、トレセン学園の寿退職率は年々増加傾向のようだ。 - 165二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 06:57:45
大丈夫? この世界のトレーナー足りてる?
- 166二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 07:38:42
何も寿退職までする必要はないとは寿退職ネタお決まりのツッコミどころだけど育休自体は頻繁に取られてそうだよな
でもこのスレ時空だと寿退職までする必要性を感じるトレーナーが多いっぽいのでこの手厚いサポートの中でなぜなのかは気になる - 167二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 14:33:08
> 世界中のありとあらゆる戦争や紛争、飢餓や支配といったものがすっかり過去のものとなっており
この経緯がまた興味をそそる
あるいはヒビノミライの出自に関わる部分の一つだったりするのだろうか
- 168二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 19:41:33
- 169二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 23:57:11
戦績が違うとかもあるし、歴史が分岐してる可能性が……?
- 170二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 23:59:32
どこかの時点で人類総データ化されてない?とか思ってしまう
- 1711着をねらえ!25/11/13(木) 00:55:36
Q.世界が平和すぎて逆に怪しくないですか?
A.そういう優しい世界なんだ。まぁそういうものだと思ってくれ
Q.担当と結婚しても寿退職する必要無くない?
A.2パターンの事例があるため。
1つウマ娘の家に婿入りする。このタイプは担当ウマ娘の家の事業に関わったりするので地元に連れ帰られて寿退社する他なくなる
2つ目のパターンは結婚後にもう一度トレセンに再就職するパターン。こちらは担当の独占欲が強い場合「既婚者がトレーナーになった」という明文を掲げるために行う。
ちなみにイリフネの父親はパターン2に近いが新人(妻子持ち)という極めて特殊なパターンである。
Q.キンペイバイも青年もそろそろアラフォーだしぴょい欲衰えてるのでは?
A.衰えていない。キンペイバイは体の弛みも衰えもない若々しいままで、夫の方はそんな妻を毎晩ヒンヒン鳴かせてる。ちなみに腰を掴まれるとキンペイバイは地面に足がつかなくなり、夫になされるがままにママになる。
キンペイバイは元々マゾっ気の方が強い(設定参照)ので夫の方が夜の立場は上になりがちである。 - 172二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 01:04:18
>夫になされるがままにママになる
誰ウマ
- 173二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 06:57:52
- 174二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 07:35:15
> そういう優しい世界なんだ。まぁそういうものだと思ってくれ
そうか……理屈じゃないのは少し残念
世界の闇とか厳しい世界を期待したわけではなく、
単純になぜその世界が成り立ったのかの過程とか歴史的分岐点に興味があったので
- 175二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 07:40:52
ただフォフォフォちゃんの生まれ育ち背景みたいに、
人類社会をやると当たり前に発生する経済格差や優しい世界だからこそ発生したと思しい人口問題自体は存在するみたいなのよね
ここで言う世界は地球を指していて意外とその外の人類圏は発展途上星なのかもしれない - 176二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 16:43:50
よほど鍛えたんだろうか
- 177二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 00:14:09
保守
- 178二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 06:36:13
- 179二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 14:54:36
こっちもこっちでヤバい人だったってわけか
- 180二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 22:22:34
種牡馬ソウルがディセンションすると、実馬同様に形状変化してバッキバキになるイリフネパパか
- 181二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 22:49:03
キンペイバイちゃんのキンペイパイがばるんばるん揺れるぐらい激しくしててもいいし
傍から見るともぞもぞ蠢いてる布団の中で時間をかけて蕩かされててもいい
夫婦の時間とはそういうものだ - 1821着をねらえ!25/11/14(金) 22:54:56
その左手で輝くのは半球のクリスタルを納めた『疾走決闘盤』それに挿入されたデッキから読み取られた“記憶”が彼女をレースのための装いへと変身させたのだ。さながら魔法少女やテレビの変身ヒロインのようなド派手な登場で誰も彼もが湧きたつ中、壇上で相対するブラックブルだけは他とは違った反応を見せていた。
「その変身…なるほど、お前がムーバレズハールってことか」
「あら意外、対戦相手とか気にするタイプなのね」
「準備不足はウチの国じゃケツの青い新米(ニュービー)の専売特許さ」
睨みあう両者。体格や身長差など明確に差こそ感じられどその身に纏う雰囲気のようなものはどちらが劣っているわけでもなく、拮抗しているように見える。
ブラックブルは考える。目の前のウマ娘、おそらく彼女が今回のレースでもっとも自分に実力の近いウマ娘になるだろう。他のウマ娘は小柄で可愛らしいポニーみたいなものだがこのウマ娘だけは違う。本国で鎬を削ってきた強敵たちを同じモノを感じるのだ。それは雰囲気であり立ち振る舞いであり瞳の奥に隠された底知れなさでもある。
「(Japanの老兵には気を付けろってマムが言ってたが…その通りだな)」
正直、今回のレースは彼女にとっては軽いスパーリングのつもりであった。日本文化に興味のある友人に遠征に行ったのをダシにおちょくってやろうなんて考えていたが、どうやらそれは誤りだったらしい。思いもよらない食いごたえのありそうな強者の登場にブラックブルは内心興奮していた。
そして、ここにも興奮しているのが一人。
「ソアラ見てなのです!あの人牛さんみたいな角が生えてるのです!」
子供みたいにむじゃやきにはしゃぐイリフネは隣のソアラに壇上を見るように促す。ガジェット好きなソアラのことだ、あの大柄なウマ娘のホーンデバイスにもきっと興味を示すはずだ。だが、隣のソアラはむしろ壇上を見つめては口の端が下がり、食いしばった犬歯が見える表情をしていた。 - 1831着をねらえ!25/11/15(土) 00:57:27
「なんなんだあのクソみたいなパフォーマンスは!」
パドック登壇が終わり、一度出場するウマ娘たちは控室へと戻される。G1レースともなると個室がそれぞれの選手に与えられ、その中の1室では怒り心頭のソアラが壁を突き破らんばかりの力でやり場のない気持ちを叩きつけていた。
理由は他の誰でもない、ムーバレズハールのことだった。
別に彼女が変身しようが外国のウマ娘とレスバしようがそんなものはソアラの気にするところではない。彼女が許せないのは“イリフネが目の前にいる”にも関わらず言葉をかけることもなく、一瞥だけして去ったことだ。以前、自販機の前で会った時にはなにやらグダグダと理由を並べて誤魔化していたが、それでも彼女はイリフネのチームメイトなのだ。今は追い出されているといっても席は置いたまま、つまりチームには所属したままである。だというのにまるでそんな事実は無かったかのように言葉の一つすらないイリフネへのその態度にソアラは怒り心頭であった。
「ムーバ先輩をそんなに怒らないで欲しいのです、ムーバ先輩は人を笑顔にするのが好きな人で…」
「ならなんでイリフネのことは笑顔にしてくれないんだ?」
「それは…たぶん、私が悪いから…だと…」
イリフネもチームの先輩を庇いたいがソアラからの鋭い指摘に回答の歯切れは悪い。
イリフネは未だ自分がチームから追い出された訳をソアラに話せていない。それはソアラの「言わなくてもいい」という好意に甘えているだけで、その現状が余計に事態をややこしくしていることは分かっているが、それでもどうしても口にすることができずにいた。
「大体、あいつらはイリフネが…」
「バカモン!」
烈火のごとく不満が噴出しかけていたソアラであったが背後から飛んできたとんでもないデカさの喝に思わず背筋が伸び、毛が逆立つ。振り返ればそこには筋肉質で髪を短く刈りあげた浅黒い肌の男がいた。 - 1841着をねらえ!25/11/15(土) 00:58:49
「げっ、トレーナー…」
思わずソアラの顔が歪む。
「人の悪口を言えばレースで勝てるなんて、そんなこと俺はお前に教えた覚えはないぞ」
男はダイナソアシーのトレーナーであった。どこまでもまっすぐで熱血漢でだからこそ、今の自分が間違っていることを嫌でも痛感させられる。思わず顔をそむけたくなる。
「いいかダイナ、人には人それぞれに戦う理由がある。夢を叶えるため、約束を守るため、実績を作るため、どれもいい理由だ。だがな、この世にたった一つだけ戦う理由にしちゃいけないものがある」
「それは“憎しみ”だ。あいつが嫌い、あいつが気に食わない、だから勝負で叩きのめしたい。そんなのは勝負じゃなくてただの八つ当たりにしかならん。…人間生きてりゃ恨んだり憎んだりなんてのは当然のことだ。だけど、そこでそれを戦う土俵に持ってきちゃいけねぇ。それは相手じゃなく自分が戦うべきことなんだ。自分に勝つこと、それが勝負の第一歩だ」
わかったか、なんてこのトレーナーは聞いてはこない。自分の教え子なら、ダイナソアシーならきっと理解しているとそう確信しているから。
その通りにソアラもこの言葉を理解していた。最後の言葉に至っては耳にタコができるくらいには聞かされていた。だけど、こと熱くなってそれすら頭から飛んでしまっていたらしい。この体たらくのままではグランドスラムどころかこのレースで勝てるかどうかも怪しいだろう。
「熱くなりすぎてた。一歩目を盛大に踏み外すところだった」
大きく深呼吸する。先ほどに比べたら幾分かマシの思考は冴えわたっているとは言えないが、致命的な間違いのまえで立ち止まれそうにはなっていた。 - 185二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 03:53:25
作家はSNSに悪口書く暇あったら作品のネタにしろと言われるようなものよね
イリフネもラストブレイドへの敵意を秘めずにあけっぴろげにしゃべってたしこれが追放の理由か
ただトレーナーの正しさは必ずしも万人にとって正しい真理ではない気がするんだよな
現にそれを信じてやってきてるソアラはブロコレにもなれないほどに殻を破れていないわけで
残酷なまでに彼女に正しく生きる才能はないと示しているかのようなんよ
だからこそ怒りという劇薬をどう使うかがソアラのターニングポイントかもしれないな - 186二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 10:42:00
特撮の中盤にでてくる暴走フォームのようなものだな
- 187二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 10:46:42
このレスは削除されています
- 188二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 10:48:10
全然違くねぇかな…これ若さ故の過ちとか思春期特有の熱さとかそういうもっと子供っぽい成長の中の大事なプロセスの一つだと思うんだが。スポ根少年漫画で一回間違った方に進みかけるのは定番だし
- 189二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 11:16:22
ここで面白いのは善戦はしても結果が出ないそんな正道にそれでもソアラがいることなのよね
もしかすると本当は間違った道の方が向いてるし刃向かう敵を殲滅するような最強の走りができるかもしれないんだ(近い例:紅スティル)
あるいはだからこそトレーナーは正道を教えて押し留めてるのかもと思うと深い気がする
選手を引退しても人生は続くし、現役時代に形成された人間性はそこに残るわけなので - 190二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 19:44:16
そういえばこれで190だけど主さんお忙しいのまだまだ続くしどうしたものか
それでも更新してくれるあたり本当にありがたい - 191◆Jy0yDuvQzw25/11/16(日) 00:51:35
もし休載されるのであれば、再開の告知とかにはぜひとも総合スレをお使いください……
中の人はペイバイスレフォロワーです…… - 192二次元好きの匿名さん25/11/16(日) 10:08:55
どうされるのかな
- 193二次元好きの匿名さん25/11/16(日) 19:46:43
ほしゅ
- 1941着をねらえ!25/11/16(日) 20:04:08
- 195二次元好きの匿名さん25/11/17(月) 06:01:42
次スレ乙です
- 196二次元好きの匿名さん25/11/17(月) 07:13:21
うめうめ
- 197二次元好きの匿名さん25/11/17(月) 15:30:18
立て乙
せっかくだから埋めておこう - 198二次元好きの匿名さん25/11/18(火) 00:03:22
埋め埋め
- 199二次元好きの匿名さん25/11/18(火) 00:04:27
埋め
- 200二次元好きの匿名さん25/11/18(火) 00:05:38
200ならイリフネとソアラの道に栄光があらんことを