- 1125/10/18(土) 23:06:39
3月の初めの昼下がりのこと。
エマ「暇だなあ……」
エマ(ボクは自分のベッドの上でぼーっとしていた)
エマ(いつも遊ぶみんなとはどうにも都合が合わず、何もすること無いなーと思っていると)
エマ(その通知は突然鳴った)
ゴクチョー『はぁ……報せが入りました。痛ましい事件が発生したようですね』
ゴクチョー『あの、皆さん、今すぐ食堂に集合してください。従わなければ看守が連行しちゃうので……』
エマ「え、な、何!?」
エマ(初めて見る知らせにボクは戸惑いながらも自分の牢を出る)
エマ(食堂に向かうとそこでは――)
シェリー「私のケーキ一体誰が食べたんですか!?」
エマ(牢屋敷に住む13人。みんな集まった中で叫ぶシェリーちゃんがいた) - 2125/10/18(土) 23:07:46
注意書き
・魔法少女ノ魔女裁判の二次創作です。本編全編のネタバレを含みます。
・台本形式です。
・平和時空。殺人とか事件とか起きてません。
・何か知らないけどみんなで牢屋敷に住んで暮らしています。
・魔女裁判あります。予想や推理のレスは自由にしてください。 - 3125/10/18(土) 23:08:49
レイア「これは一体どういう事態なんだい?」
シェリー「ですから私のケーキが無くなってるんです!!」
エマ(食堂の机の上を指さすシェリーちゃん。そこには何も乗っていない)
ミリア「えっと、シェリーちゃんの言い分は自分のケーキを勝手に食べた人がいるってこと?」
ミリア「そんな人いないとおじさんは思いたいけど……」
ハンナ「確かに問題かもしれませんがわざわざ全員集めるほどじゃないですわよね?」
マーゴ「そうねえ。それに関しては私たちはシェリーちゃんじゃなくてゴクチョーの呼びかけで集まったわけだし……説明お願いしたいわねえ」
ゴクチョー「ええ。分かりました。皆さんを集めた理由ですが」
ゴクチョー「端的に言うと皆さんの中に『魔女化』した人がいるかもしれません」 - 4125/10/18(土) 23:09:57
エマ「『魔女化』?」
エマ(初めて聞く言葉だ)
ヒロ「『魔女化』とは一体何なんだ?」
ゴクチョー「皆さんは『魔女』になる因子を持っています」
ゴクチョー「魔女になりつつある者は抑えきれない『食欲』につかれてしまいます」
ゴクチョー「面倒なことに『食欲』に任せて行動してしまうんですよ」
ココ「ただの食いしん坊じゃん!」
ゴクチョー「魔女になりつつある者は魔法も爆発的に強化されます」
ココ「いや、何でだよ!」 - 5125/10/18(土) 23:11:21
マーゴ「うふふ。とにかくその『魔女化』とやらで不安定な子がいるってことね」
マーゴ「だからみんなを集めて探し出そうとしていると」
アンアン『対処法はあるのか?』(←スケッチブック書き文字)
ゴクチョー「もちろん。魔女となった人は処刑――」
レイア「なっ!?」
ゴクチョー「なんてことしなくても薬を飲めばその症状を抑えることが出来ます」
ミリア「へ、変な引っかけしないでよ」
ゴクチョー「あら、すいません。小粋なジョークのつもりだったんですが」
ゴクチョー「そういうわけですから魔女化してケーキを食べた人は名乗り出てください」
エマ(ゴクチョーがそのように呼びかける)
エマ(しかししばらくしても名乗り出る人はいなかった) - 6125/10/18(土) 23:12:29
レイア「これはどういうことかな?」
ノア「魔女化した人はいないんじゃないのー?」
シェリー「でも現に私のケーキは食べられてるんですよ!」
ココ「単純に出にくいんじゃね? 食い意地張ったやつって言ってるようなものだし」
ゴクチョー「こうなったら……はぁ仕方ありませんね」
ゴクチョー「仕事が増えて欲しくなかったんですが」
ゴクチョー「それでは魔女化した人を探す魔女裁判を開廷することにします」 - 7125/10/18(土) 23:13:40
エマ「魔女裁判?」
ゴクチョー「ええ。皆さんにはこれから一定の時間捜査を行ってもらいます」
ゴクチョー「その後裁判場で一時間の議論を行い、橘シェリーさんのケーキを食べた魔女と思われる人物に各自の端末で投票してもらいます」
ゴクチョー「魔女として特定された者は処刑――ってこのネタはさっきもしましたね、もちろんしませんよ」
ゴクチョー「普通に魔女化を抑える薬を飲んでもらいますが……そうですねえ」
ゴクチョー「このように面倒ごとを増やした罰として皆さんの前で一発芸でもしてもらうことにしましょうか」 - 8125/10/18(土) 23:14:49
アリサ「一発芸だと……?」
レイア「これはまた……惨いことを思い付くね」
メルル「そ、そんなに酷いことでしょうか?」
ハンナ「何、言ってますの!!」
ハンナ「みんなの前で一発芸なんてすれば、それをネタにこの先一生イジられ続けるんですわよ!?」
マーゴ「うふふ、そんな悪い人みんなの中にいるかしら?」
ハンナ「率先としてイジりそうな人が言うんじゃないですの!!」
ココ「ふーん面白いじゃん。その様子配信しても良い?」
ミリア「お、おおおじさんは犯人じゃないからね!! 一発芸なんてしないからね!!」
ナノカ「なるほど。死なんて生温いほどの生き地獄……ゴクチョーそれがあなたの望みなのね」
ゴクチョー「はあ、小粋なジョークのつもりだったんですが……まあ魔女捜しのやる気が出たようなら何よりです」 - 9125/10/18(土) 23:15:58
ゴクチョー「それでは捜査開始です。皆さん頑張ってください」
エマ(ゴクチョーは飛び去っていった。食堂に残されたボクら13人はお互いの様子を窺い合う)
ヒロ「全く、馬鹿馬鹿しい。私はそんなことをしてる余裕は無いんだ」
エマ(静寂を破ったのはヒロちゃんだった)
マーゴ「ちょっと、どこに行くつもりかしら?」
ヒロ「私はくだらない裁判ごっこなんかに付き合うつもりはない」
ハンナ「え?」
ヒロ「人のケーキを食べるなんてそんな正しくない行為を私がするはずないだろう」
ヒロ「私は犯人じゃない。捜査なんて勝手にしてくれ」
エマ(呼び止めも振り切って去ろうとしたところで)
シェリー「うーん……ヒロさん怪しいですね」 - 10125/10/18(土) 23:17:03
ヒロ「……何だと?」
シェリー「ヒロさんはゴクチョーさんの話を聞いてなかったんですか?」
シェリー「魔女化の進んだ人は食欲に任せて行動してしまうんです」
シェリー「ヒロさんが人のケーキを食べるなんて正しくないことをしないってのは分かりますけど、もし魔女化しているならばその限りじゃありません」
ヒロ「つまり私がケーキを食べたと?」
シェリー「その可能性は否定出来ない、ってことです!」
レイア「動機や人柄から判別出来ないのか、厄介だねこれは」
エマ「誰にでもケーキを食べた可能性はあるってことだね」
シェリー「それに魔女裁判は多数決みたいです。協力的で無い人は標的になりやすいですよ」
シェリー「私としてはヒロさんが一発芸しているところ見てみたいですし!」
ヒロ「…………はぁ、分かった。協力すればいいんだろう」 - 11125/10/18(土) 23:18:05
ヒロ「そうとなれば一つだけ言わせてもらおうか。シェリー、君についてだ」
シェリー「私ですか?」
ヒロ「ああ。君は被害者と探偵を兼ねていて」
ヒロ「どうにかして犯人を暴こうとしているスタンスだが――」
ヒロ「さらに犯人も兼ねているという可能性がある」
シェリー「犯人? つまり私が自分でケーキを食べたのに、誰かにケーキを食べられたと騒いで、犯人を捜そうとしているってことですか?」
シェリー「流石に私もそんな意味不明なことはしませんよ。ねー、エマさん」
エマ(シェリーちゃんがボクに同意を求めてくるけど)
エマ「……確かにシェリーちゃんならあり得るかも」
ハンナ「そうですわね。みんなに構って欲しくて、探偵ごっこをしたくて……色々考えられますわ」
シェリー「あれ? 私そんな評価ですか?」
レイア「もちろん犯人だと決めつけているわけではないよ」
ヒロ「だがその可能性は否定出来ない……だろう?」
シェリー「……うーんこれは一本取られましたねー」 - 12125/10/18(土) 23:19:05
- 13125/10/18(土) 23:20:06
シェリー「まず私たちは昼の12時から1時までみんな食堂に集まってお昼ご飯を食べましたよね」
エマ「うん、そうだね」
エマ(基本的に食事の時間は全員食堂に集まっている)
シェリー「食べ終えた後なんですが厨房に行くとメルルさんがケーキを手にしていて」
メルル「最近ケーキ作りの練習をしているんです。その習作の余りのケーキをシェリーさんが欲しがったのであげたんです」
エマ「あ、メルルちゃんがケーキを作ったんだね」
シェリー「それで私はケーキを貰ったんですが、すぐに食べる気分じゃなかったので食堂に置いてその場を離れたんです」
シェリー「しかし3時になっておやつとして食べようと食堂に戻ってきたところでケーキが無くなっていることに気付きました」
シェリー「ケーキを探しながら騒いでいるとゴクチョーさんが全体に通知してみんなが食堂に集まった……こういう流れですね!」
エマ「なるほど、分かったよ」
魔女図鑑 更新…… - 14125/10/18(土) 23:21:10
<厨房>
エマ(シェリーちゃんとメルルちゃんと一緒に厨房に入る)
エマ「他には何か気になることは…………ってケーキがあるけど。……もしかして」
エマ(冷蔵庫を開けたところでケーキ1ホールがあることに気付く)
メルル「いえ、それはシェリーさんにあげたのとは別のケーキです」
メルル「さっき言ったようにケーキ作りの練習で何回も作ってるので」
エマ「そうなんだ……良かったあ。こんな誰かが食べたんじゃないかって大騒ぎしたのにただ見落としてただけとかじゃなくて」
シェリー「それに私のケーキは1ピース分ですよ。こんな大きいの一人で食べたりはしませんって」
魔女図鑑 更新……
- 15125/10/18(土) 23:22:12
シェリー「うーん……しかしやっぱり無いですねえ」
エマ「何が無いの?」
シェリー「無くなったのはケーキだけじゃ無いんですよ」
エマ「え、他にも何か無くなったの?」
シェリー「はい。それがケーキを乗せていた皿とフォークです」
エマ「皿とフォーク……」
シェリー「食堂にはもちろん無かったですし、この厨房の洗い場にも置かれていません」
シェリー「犯人はケーキを食べて皿とフォークはどこにやったんでしょうか?」
エマ(確かにそれは気になるかも)
メルル「も、もしかして皿とフォークも犯人が食べちゃったんでしょうか!?」
シェリー「なるほど。まさか魔女化するとそこまで食べちゃうんでしょうか」
エマ「さ、流石にそこまで化け物にはなってないんじゃないかな……? たぶんだけど」
魔女図鑑 更新…… - 16125/10/18(土) 23:23:15
<中庭>
ハンナ「どうしてここにあるんですの!?」
レイア「うーむ……そうだな……」
エマ(中庭にはハンナちゃんとレイアちゃんがいた)
エマ「どうしたのハンナちゃん?」
ハンナ「これを見てください、エマさん!」
エマ「えっと……白い布?」
ハンナ「厚手スエード製のテーブルクロスですの!」
ハンナ「ちょっと汚れてたので後で洗濯しようと思ってたのに……この中庭に捨てるように地面に落ちてたんですのよ!?」
エマ(ハンナちゃんが吠える)
レイア「なるほど、分かった! きっとそれは事件の重要な証拠に違いないよ!」
エマ「事件の証拠? えっと……具体的には?」
レイア「えっ? ……あー、それはだね」
エマ(自信満々だったレイアちゃんがしどろもどろになる。何も考えてなかったみたいだね……)
魔女図鑑 更新……
- 17125/10/18(土) 23:24:16
エマ「あ、そういえば二人に聞きたいことがあったんだけど」
ハンナ「何ですの?」
レイア「何でも聞いてくれたまえ!」
エマ「アリバイでね。どうやら事件は1時から3時までの間に起きたみたいなんだ」
エマ「だからその時間のことを聞きたいんだけど……あーそういえばメルルちゃんとシェリーちゃんに聞くの忘れてたなあ」
ハンナ「それならちょうどいいですわ。メルルさんの行動も知ってますので」
レイア「奇遇だね。私はシェリーくんと一緒にいた時間があったよ」
エマ「あ、そうなの。じゃあちょうどいいね。順番に話聞かせてもらえるかな?」 - 18125/10/18(土) 23:25:18
ハンナ「昼食の後のアリバイについて5人分答えられますの」
ハンナ「私、ヒロさん、ココさん、アンアンさん、そしてメルルさんですわ」
レイア「中々に珍しい組み合わせに思えるね」
ハンナ「お昼ごはんを食べ終わってからまず私とヒロさんは娯楽室に向かいました」
ハンナ「残りの3人は医務室でメルルさんの用事を手伝っていたみたいですわ」
ハンナ「1時間くらい経って、残りの3人も娯楽室にやって来て合流して」
ハンナ「5人で一緒にホラー映画を鑑賞しましたの」
ハンナ「つまりずっと複数人で行動をしていましたから、この5人はケーキを食べることは出来ませんわよ」
レイア「ほう、ホラー映画鑑賞会か」
エマ「なるほど……」
エマ(ボクは納得して………………いや、でも…………ううん、今は捜査に集中しないと)
魔女図鑑 更新…… - 19125/10/18(土) 23:26:24
レイア「私の方は昼ごはんの後、牢屋敷の外でトレーニングをしていたんだ」
エマ「トレーニング?」
レイア「ああ、自分を高めるためにも鍛錬を怠るべきでは無いからね」
レイア「それから……1時間ほど経った頃かな? シェリーくんと出会ってね」
レイア「『私も身体を動かしたいんです!』って言われたから、ボールとグローブを取り出して一緒にキャッチボールをしていたんだ」
ハンナ「キャッチボールって……ガキですわね」
レイア「ははっ、そうかもしれないね。ただやってみると楽しかったよ」
エマ「シェリーちゃんとキャッチボールって……大丈夫なの?」
レイア「ああ、それならちゃんと取れる力に抑えてくれたよ」
レイア「ただ続けている内にテンション上がってきたのか、思いっきり力を込めたボールがすっぽ抜けて牢屋敷の高いところの壁にぶつかるようなこともあったけどね」
ハンナ「あんのゴリラ女は……」
魔女図鑑 更新…… - 20125/10/18(土) 23:27:26
<階段>
エマ(2階に向かおうと階段を上がるその途中に立ち止まっている人影があった)
ノア「これ何なのー?」
ココ「何でもいいだろ」
エマ「ノアちゃん、ココちゃん。そんなところでどうしたの…………って写真?」
エマ(ココちゃんの手元にはココちゃんの顔写真が印刷されたポスターがあった)
ノア「あ、そっか。ココちゃんの魔法か」
エマ「『千里眼』……写真でも動画でもココちゃんの姿を見ている人を俯瞰して見ることが出来る魔法だよね」
ノア「階段の途中……嫌でも目に入る場所にあったから階段を上り下りする人が分かったってことかな?」
エマ「ちょうど監視カメラみたいになるんだね。でも普段はそんなの貼ってなかったよね? いつから――――」
ココ「ああもう、面倒臭いなあ。分かった、分かった。説明するから」
- 21125/10/18(土) 23:28:28
ココ「あてぃしは昼ご飯の後、アンアンと一緒にメルっちの手伝いを医務室でしてたんだけど」
エマ「あ、その話なら聞いてるよ」
ココ「そう? なら話が早いんだけど」
ココ「それで娯楽室に行こうと1階から2階に移動したとき……昼ご飯から1時間くらい経ってたから2時くらいかな?」
ココ「そのときにこのポスターを貼ったってわけ」
ココ「けどそこから事件の発生が通知されるまで一回も『千里眼』は発動してない」
ココ「あ、事件の通知が来た後、食堂に向かうときのあてぃしたち自身の姿は見たけど」
ココ「あてぃしに言えるのはこれだけ」 - 22125/10/18(土) 23:29:35
エマ(ココちゃんの話が本当なら……つまり2時から3時まで誰も1階と2階を行き来した人はいないってことになる)
エマ(もしかしたら重要な証拠になるかもしれないけど…………それより)
ノア「でもどうしてそんなことしたの? 階段を見張って何か意味あるのかなー?」
ココ「はあ? そんなの何でもいいだろ。あてぃしの勝手だし」
エマ(そう。ココちゃんが何でそんなことをしたのかが分からない)
エマ(2階に上がった5人はホラー映画鑑賞会をしたって話だったけど……それに邪魔が入って欲しくなかった? いや、でも……)
ノア「うーん……まあいっか。ココちゃんの奇行はいつものことだしね」
エマ「……それもそうだね。配信のためとか言ってよく変なことしてるし」
ココ「おいこら。そこ、聞こえてんぞ」
魔女図鑑 更新…… - 23125/10/18(土) 23:31:37
- 24125/10/18(土) 23:32:49
ヒロ「よくあるB級ホラー映画だ」
ヒロ「ノリで廃墟探索に行った大学生グループが心霊現象に遭うって内容だったな」
ヒロ「驚かせ方もジャンプスケアのワンパターンだった」
ヒロ「だがハンナは毎回律儀に叫んでたな」
ヒロ「ココも強気に振る舞っていたがビビっていた」
ヒロ「意外とアンアンとメルルは怖がってなかったな」
ヒロ「映画は1時間弱ほどだった。ちょうど見終わって一息付いてたところにゴクチョーの通知が来て食堂に集まったってところだ」
エマ(どうやらホラー映画鑑賞会楽しかったようだ)
エマ「………………」
ヒロ「まあ、そういう感じだ。特に事件に関連するところは無い」
アンアン「他の場所を捜査したらどうだ」
エマ「うん、そうしてみるよ」
魔女図鑑 更新…… - 25125/10/18(土) 23:33:51
<ノアのスタジオ>
エマ(娯楽室前を後にしてボクがふらっと入ったのはノアちゃんのアトリエ)
エマ(開け放たれた窓からそよ風が吹き込んでいる)
エマ(特に当てもなく何となくで入ったんだけど…………そこで重大な物を見つけた)
エマ「……え? 皿とフォーク……?」
エマ(ポツンと放置されていたのは皿とフォーク)
エマ(普段アトリエに出入りしているけど見覚えの無い物)
エマ(シェリーちゃんが言ってた食堂から無くなった皿とフォークを連想するけど……)
エマ「それがどうしてここに……?」
エマ「犯人がここに持ってきて食べたってこと?」
エマ「何のために?」
エマ(訳が分からなくて一人で問答していると)
- 26125/10/18(土) 23:35:17
マーゴ「どうかしたかしら、エマちゃん?」
ナノカ「桜羽エマ。何かあった?」
エマ(ボクの声を聞きつけたのか、マーゴちゃんとナノカちゃんがアトリエに入ってきた)
エマ「二人とも、見てよこれ」
エマ(ボクは二人に皿とフォークを見せる)
マーゴ「あら、もしかしてそれはケーキを乗せていた皿とフォークかしら」
ナノカ「よく見たら皿にクリームが少し残っている。そうに違いない」
エマ「あ、ほんとだ」
エマ(ってことはやっぱりこの皿にケーキが乗っていたってこと?)
ナノカ「……ちょっと貸して」
エマ(ナノカちゃんが一言断りを入れて皿とフォークに手を伸ばす) - 27125/10/18(土) 23:36:21
ナノカ「視えたわ」
エマ「視えたって…………もしかして『幻視』?」
マーゴ「あら、もしかして犯人が一発で分かっちゃったかしら?」
ナノカ「いえ。残念ながら視えたのは皿の方の記憶」
ナノカ「誰かに食べられているのか乗っていたケーキがドンドン減っていくビジョンしか視えなかった。犯人の顔までは分からない」
エマ「そっか……」
マーゴ「まあケーキがこの皿に乗ってたことが確定したのは大きいわね。でもどうしてここにあるのかしら?」
ナノカ「そう。ケーキが減っていくビジョンしか視えなかった。とてつもない勢いで食べていて犯人は一言も発していない」
ナノカ「……ただケーキを無くなった直後どこか遠くから『ドンッ!』って鈍い音がしていた」
エマ「鈍い音……?」
エマ(何の音だろう?)
魔女図鑑 更新…… - 28125/10/18(土) 23:37:25
エマ「あ、そうだ。二人の昼食の後のアリバイについて聞いてもいいかな?」
マーゴ「それなら私は食べ終わった後、すぐに図書室に向かったわ」
マーゴ「本を読んでいるとアリサちゃんも図書室に入ってきたわね」
マーゴ「ちょうど1冊読み終えた2時くらいに自室に戻ろうとして……あ、そうそう一階でちょうどココちゃんたちとすれ違ったわね」
マーゴ「それと飲み物でもと思って食堂に入ったけど……そのとき既にケーキは無かったわ」
マーゴ「その後はずっと先に自室にいたナノカちゃんと一緒に事件の通知が来るまで過ごしているって感じね」 - 29125/10/18(土) 23:38:33
エマ「2時に食堂に行った時にはケーキが無かったんだね」
マーゴ「ふらっと立ち寄っただけで隅々まで探したわけじゃないけれどね」
マーゴ「ただケーキはあのシェリーちゃんが騒いでいた机の上にあったんでしょう?」
マーゴ「そのとき私はその情報を知らなかったけれど、目に入る場所だしもしあったなら珍しいなと思って記憶しているはず」
マーゴ「でもいつもと変わらない食堂だなって印象だったから……うん2時には食堂にケーキは無かったって断言するわ」
エマ(2時にはケーキは無かった……なら犯行時刻は2時以前……?)
ナノカ「私は昼食後すぐに自室に戻った。今言ったようにマーゴが途中で帰ってきて、その後ゴクチョーからの通知が来た」
ナノカ「それだけよ」
エマ「うん、分かったよ。ありがとね」
魔女図鑑 更新…… - 30125/10/18(土) 23:39:38
<焼却炉>
エマ(地下に降りたところで話し声が聞こえてきた焼却炉の方に向かうことにした)
ミリア「ねえ、ちゃんと捜査しようよ。ね?」
アリサ「うっせえな。ウチの勝手だろうが」
エマ「ミリアちゃん、アリサちゃん。こんなところでどうしたの?」
ミリア「あ、エマちゃん。それがねアリサちゃんが全然捜査してくれなくて」
アリサ「ここにも何かあるかもしれねーだろ」
ミリア「いや、でも全然探してないよね? それにずっとここにいるし」
エマ(どうやらミリアちゃんはアリサちゃんの面倒を見てくれているようだ)
- 31125/10/18(土) 23:40:43
エマ「あ、そうだ。二人のアリバイについても聞いていいかな?」
アリサ「……食後ずっと図書室にいた、以上だ」
ミリア「おじさんは昼ご飯の後、自分の部屋でごろごろしてたんだけど」
ミリア「それじゃいけないと思って出て1階に上がったの、それが1時50分くらいのことかな」
ミリア「そしたらちょうど2階から降りてきたノアちゃんと出会って」
ミリア「一緒に散歩しようってことで外に連れ出して」
ミリア「湖方面とか花畑方面とか散歩してたら事件の通知が来て集まった……って感じかな」
魔女図鑑 更新…… - 32125/10/18(土) 23:42:05
ミリア「うーんまあでも確かに何も無さそうだけど……」
ミリア「この中とか一応調べてみようかな。犯人が何かを捨てようとしたとかあるかもしれないし」
エマ(ミリアちゃんが焼却炉を開けて中を探る)
ミリア「……うん? あれ、これって……」
エマ(何やら気になる物を見つけたみたいだ。くしゃくしゃになった紙を広げている……?)
エマ「ミリアちゃん何か見つけたの?」
ミリア「えっ!? あっ……いや、その……な、何でも無いよ!!」
ミリア「まあ、その……勘違いかもしれないし……」
エマ「……?」
エマ(慌てた様子で紙をそのままポケットに入れて隠すミリアちゃん)
エマ(反応的に何かあったとしか思えないけど……何なんだろう?)
魔女図鑑 更新…… - 33125/10/18(土) 23:43:06
ゴーン、ゴーン、ゴーン。
エマ(今まで聞いたことのない、荘厳な鐘の音が牢屋敷に響き渡った)
『魔女裁判の時間となりました』
『皆さん、必ず自身のスマホを持って速やかに裁判所に集合してください』
『従わない者は看守によって強制連行します』
エマ(ゴクチョーからの通知もあり、ボクは裁判所に向かう)
エマ(そして13人が円になって席に着いた)
ゴクチョー「あのー……まずは魔女裁判のルールについて説明しますね」
ゴクチョー「1時間の議論の後、犯人と思われる人物に各自の端末で投票してもらいます」
ゴクチョー「投票で魔女に決められた人物は中央の台座へと連行、処刑執行……じゃなくて一発芸をしてもらうって感じです」 - 34125/10/18(土) 23:44:22
ハンナ「一発芸だなんて絶対嫌ですわ……」
シェリー「えー何でですか? 白い布を被って浮遊して『幽霊!!』ってやればいいじゃないですか?」
ハンナ「そんなのだだ滑りに決まってるじゃないですの!?」
ハンナ「いいですわよね、胸を叩いてゴリラのマネをすれば大爆笑が取れる人は!」
シェリー「それって褒めてます?」
ハンナ「褒めてませんわ!!」
エマ(ボクも一発芸はやりたくない)
エマ(そのためにもちゃんと裁判で魔女を指摘しないと……!)
ゴクチョー「それでは魔女裁判開廷です!」 - 35125/10/18(土) 23:46:57
魔女図鑑
『事件の経緯』
1時にシェリーがケーキを貰い、食堂に置いてその場を離れた。その後3時に戻るとケーキは無くなっていた。
『1ホールのケーキ』
厨房の冷蔵庫に保管されているケーキ。シェリーが貰ったケーキとはまた別の物。
『皿とフォークの行方』
食堂から無くなっていたが、アトリエで発見された。クリームが少し残っておりケーキが乗っていた物と思われる。
『テーブルクロス』
中庭に落ちていた。白くて大きな布。
『ヒロ、ハンナ、メルル、アンアン、ココの証言』
ヒロとハンナは昼食後ずっと娯楽室にいた。
メルル、アンアン、ココは医務室で所用を済ませた後、娯楽室に移動して5人でホラー映画を鑑賞した。
『レイアの証言』
レイアは1時間ほどトレーニングをした後、シェリーと遭遇。一緒にキャッチボールをした。 - 36125/10/18(土) 23:48:05
『ココの写真』
ココの顔写真が載った大きなポスター。階段を上り下りする途中、目に入るところに貼ってある。2時に貼って以降、事件発生の通知まで一回も『千里眼』は発動していない。
『幻視の情報』
皿の記憶が視えた。ケーキが食べられた直後に『ドン』と音が鳴った。
『マーゴの証言』
マーゴは昼食後すぐに図書室に向かった。そこにアリサも来た。
1時間後退室して食堂に行ったがそのときケーキは無かった。
その後は昼食後ずっと自室にいたナノカと一緒だった。
『アリサの証言』
昼食後ずっと図書室にいた。
『ミリアの証言』
昼食後自室にいたが、1時50分にノアと合流、その後散歩をしていた。
『焼却炉の紙』
ミリアが何かを見つけた。 - 37125/10/18(土) 23:51:45
というわけで前編となる捜査パートの投下終えたので今日はここまでです。
後編の裁判パートは明日投下します。
色々見直したが呼称やらもろもろ間違いが無いか不安です。
一応作者的には推理できるように作ったつもりですが、読者目線でどれくらいの難易度、納得できる論理になっているか客観的に見れてないのでどうなるか分からずあまり保証は出来ません。
それではまた明日。 - 38二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 00:12:12
幻視の鈍い音はレイアの証言のシェリーの事故の音かな?もしそうならレイアは白っぽいけど
- 39二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 02:13:30
応援
- 40二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 02:19:14
中庭にテーブルクロスが落ちてたり焼却炉に謎の紙があったり皿の発見地点的にケーキを食った場所はアトリエっぽいね
確かアトリエって二階にあったよね?ココの千里眼に映らずにどうケーキを移動させたかが鍵か - 41二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 02:48:36
音をシェリーが屋敷にボールを当てた音と仮定すると1時〜2時までの間にケーキを移動、その後2時以降に食べたってことになるから2時以降に2階にいたメンバーは全員犯行が可能
特にアリバイがなくて怪しいのはアリサだけどそうなると誰かが2階に持ってきたケーキを食べた事になる奇妙な事態になるから一番怪しいグループはメルル、アンアン、ココ
でもこのシステムだとレイアが毎回犯人になりたがりそう - 42二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 02:54:59
そうか普通にココが犯人で嘘ついてる可能性もあるのか
おじさんが証拠隠滅してたからおじさんファンクラブのアンアン・ココのどっちかかな - 43二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 03:01:52
嘘を付いていたり口裏を合わせていたとしても不可解なのは中庭にテーブルクロスがあったこと
うっかり同時に持ってくるようなものではないから何かに使ったのは確定だけど何に使ったかがさっぱり、ココの写真を見ずに安全に階段を登るため? - 44二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 03:25:52
ちょっとメタいけど↑34でシレッとシェリーが布をかぶって幽霊のふりをする話してるんよね
本編でもこういう所でしれっとヒント散りばめてるから布はかなりキーアイテムな気がする
肝心の手口は何も思いついてないんですけどね - 45二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 03:29:45
今気付いたけどココの写真貼られたのは2時か
時系列的にケーキの移動→ココカメラ設置だから考えなきゃいけないのはケーキを見られずに移動する方法じゃなくて見られずに階を下る方法か
一番あやしいのはミリアが何かを見つけてた焼却炉ルートかな?それとも布でアンアンみたいにハンモック作ってそこにダイナミックダイブして降りたんかな - 46二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 06:13:40
今のところ1番怪しいのはココだけどしかし少しあからさまだから逆に違うのではと思ってしまう
- 47二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 11:10:29
🔍【浮遊】の魔法が使えるハンナさんなら階段を使わずに1階へ移動できるはずです!
つまり犯人はハンナさん、あなたです! - 48二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 11:46:54
実は普通にアリバイのないエマが犯人説
- 49二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 17:02:16
なんやかんやあってアリサとハンナが途中流れで疑われるのは分かる
- 50125/10/19(日) 21:54:55
色々と予想レスありがとうございます、こういうの見るの楽しい
後編の裁判パートを投下していきます - 51125/10/19(日) 21:55:56
アリサ「裁判つっても何を話せばいいんだよ」
レイア「そうだね、まずは事件の状況の整理からじゃないかな」
ハンナ「被害……者? はシェリーさんのケーキですわね。犯行は食べられたと」
ミリア「5W1Hに当てはめると……いつ、どこで、誰が、なぜ、ケーキを食べたのか……ってなるけど」
レイア「議論のとっかかりにはいいんじゃないかな。まずはそこから話そうか」
エマ(始まった魔女裁判……気になるところを指摘したり)
エマ(間違っているところには反論していかないと) - 52125/10/19(日) 21:57:07
~審問開始~
メルル「まず誰が食べたのか……は『分かりません』よね」
アンアン「それが分かってたらこんな裁判はしてない」
シェリー「何故食べたか? ってなると『魔女化』して食欲が抑えきれなかったってところでしょうか」
ミリア「そのせいで誰にでも犯行した可能性があるって話だったね」
ココ「いつ食べたのか? ってそんなのケーキなんだしおやつの時間で『3時』じゃねえの?」
『3時』 ←反論 時間が違う
パリーン!! - 53125/10/19(日) 21:58:10
エマ「ココちゃん、ケーキを食べられた時間は3時じゃないよ」
ココ「そうなん? まあ適当に言ったんだけど」
シェリー「そうです、私が3時にケーキを食べようとして無くなったことに気付きましたからね!」
ナノカ「まず1時に橘シェリーが食堂にケーキを置いた」
メルル「そして3時になくなっていることに気付いたんですよね?」
アリサ「つまり犯行時刻は1時から3時の間ってことか」
エマ(もしかして……あの証拠からもっと時間を絞れるかもしれない) - 54125/10/19(日) 21:59:19
証拠を提示する 『マーゴの証言』
エマ「マーゴちゃんが2時に食堂に行ったときケーキは既に無かったみたいなんだ」
マーゴ「ええ、影も形も無かったわ」
ヒロ「つまり範囲はさらに狭まり犯行は1時から2時の間に行われた」
レイア「うんうん、良い感じじゃないかな」
レイア「さて、最後にどこで食べたかって話だけど」
ハンナ「そんなの普通に食堂じゃないんですの?」
ハンナ「だってケーキが置かれていたんですし」
エマ(ハンナちゃんがストレートに考えてるけど……いやあの情報からしてケーキが食べられたのは) - 55125/10/19(日) 22:00:20
証拠を提示する 『皿とフォークの行方』
エマ「いや、犯人は食堂じゃない場所で食べたんだと思う」
ハンナ「え? どうしてそんなこと分かるんですの?」
エマ「ケーキが乗ってた皿とフォークが食堂じゃない場所で見つかったんだ」
シェリー「あー気になってたんですけど別の場所で見つかったんですね。どこにあったんですか?」
エマ「ノアちゃんのアトリエだよ」
メルル「アトリエ……? どうしてそんな場所で食べたんでしょうか」
ナノカ「あまり食欲のそそる場所ではないわね」 - 56125/10/19(日) 22:01:41
マーゴ「ここまでの情報をまとめると事件は」
マーゴ「1時から2時の間に、アトリエで、誰かが、魔女化したせいで、ケーキを食べた」
マーゴ「ってことになるわね」
ココ「それって結局何も分かってなくね?」
シェリー「いえいえ。議論するポイントが大分絞られましたのは大きいですよ」
シェリー「1時から2時の間にアトリエにいた人物を探せばいいんですから」
ハンナ「でもそんなの分かるかしら?」
エマ(1時から2時の間にノアちゃんのアトリエにいた人物)
エマ(ボクは色んな人にアリバイを聞いたけど、もちろんそんなことを証言した人はいない)
エマ(まあ犯人が正直に言うわけ無いだろうけど)
エマ(でも……その証言をまとめていくと……)
エマ「一人当てはまる人がいるかもしれない」 - 57125/10/19(日) 22:02:44
怪しい人物を指摘する
城ヶ崎ノア
エマ「1時から2時の間にアトリエにいたのは……ノアちゃん、キミじゃないの?」
ノア「……んー? どうしてそう思ったのエマちゃんは?」
ノア「のあがいつもアトリエによくいるから?」
ノア「そんな理由で疑われたんだとしたら……のあ悲しいな」
エマ(ノアちゃんのしょぼんとした様子に気勢が削がれるけど……でもボクは間違ったことは言っていないはず……!!)
エマ「もちろんそんな理由じゃないよ。ミリアちゃんに聞きたいんだけど、2時前にノアちゃんと会ったときちょうど2階から降りてきたところだったんだよね?」
ミリア「う、うん」 - 58125/10/19(日) 22:03:45
エマ「牢屋敷の2階には3つの部屋がある」
エマ「娯楽室、図書室、そしてアトリエだね」
マーゴ「なるほどね。なら証言するけどその1時から2時の間、私は図書室にいたけれどノアちゃんはやってきてないわ」
ハンナ「え、あっ……そういうことですの。私とヒロさんは娯楽室にいましたけど、ノアさんは来てませんわよ!」
エマ「3つの部屋の内、2つの部屋にいなかった」
エマ「つまり残ったアトリエにノアちゃんはいたってことだよ!!」
ノア「……なるほどね。エマちゃんがどうしてそんな風に考えたのかは分かったけど」
ノア「でものあはやっぱりアトリエには行ってないよ」 - 59125/10/19(日) 22:04:48
エマ「けどミリアちゃんが2階から降りてくる姿を見てるんだよ」
ノア「うん、それは間違いないよ。実際に2階にいたから」
エマ「だったら!!」
ノア「のあはね、お昼ご飯を食べ終わってから牢屋敷の中をぶらぶらしてたんだ」
ノア「ちょうどミリアちゃんと出会う前に2階にいたのも事実だよ」
ノア「でもどの部屋にも入らず廊下でぶらぶらとしてただけなんだ」
ノア「だからアトリエには入ってないんだよ」
ノア「うーんでも、そのとき犯人がアトリエに居たってことなら入っとけば良かったかな。そしたらこんな裁判開かなくても犯人が分かっただろうし」 - 60125/10/19(日) 22:05:56
エマ(ノアちゃんの言い分は苦しいけど……でも破ることが出来ない)
エマ(アトリエにいたことを示す証拠が無いから)
エマ(ノアちゃんが嘘を吐いているのか……それとも本当のことを言っているのか)
エマ(それを暴くための手段が必要なんだけど……)
ノア「そもそものあはシェリーちゃんのケーキを見たこともないし」
ノア「『アトリエにも入っていない』んだよ」
『アトリエにも入っていない』 ← 偽証 アトリエに入る姿を見た
パリーン!! - 61125/10/19(日) 22:06:57
ヒロ「全く……ノア、どうして嘘をつくんだ?」
エマ「ヒロちゃん……?」
エマ(一体何を言うんだろう……?)
ノア「嘘なんてついてないよ」
ヒロ「何を言う、私は見たんだ。1時過ぎ頃に君がアトリエに入っていく姿を」
ヒロ「ちょうど近くの娯楽室にいたからね」
エマ「……!?」
エマ(ヒロちゃんが言っていることが本当なら大きな情報だけど……)
エマ(でもそんな話、捜査のときには聞いていない)
エマ(ヒロちゃん……もしかして嘘をついている? ノアちゃんを揺さぶるために?) - 62125/10/19(日) 22:07:59
ノア「見てるはずないよね。大体それならどうしてもっと早く言わなかったの?」
ヒロ「当然だろう。私は事件現場が食堂だと思ってたんだ」
ヒロ「食堂から遠いアトリエでの出来事なんて関係ないと思っていた」
ヒロ「だが情報がまとめられて事件現場がアトリエだということが分かった」
ヒロ「そして君を見たことを思い出したってことだ」
ヒロ「つまりノア、君が犯人だ」
ノア「犯人じゃないもん」
ヒロ「どうして嘘をつくんだ」
ノア「嘘をついているのはヒロちゃんの方でしょ」
ヒロ「君がシェリーのチョコケーキを食べたんじゃないのか?」
ノア「食べてないもん。それにチョコケーキじゃなくてショートケーキだよ」
ノア「………………あ」
エマ(ノアちゃんがしまったという顔をする) - 63125/10/19(日) 22:09:01
ヒロ「平気そうに見えて案外動揺していたみたいだな」
ヒロ「その通り。ノア、君がアトリエに入った姿を見たって話は嘘だ」
ミリア「う、嘘って……」
アリサ「裁判中に嘘をついていいのかよ」
ヒロ「何とでも言え」
ヒロ「私はケーキが置かれた1時から無くなったのが分かった3時まで完璧なアリバイがある」
ヒロ「私が犯人であることは絶対に無いんだからな」
エマ(絶対的な白の立場から議論を主導するヒロちゃん)
エマ(すごい頼もしいかも) - 64125/10/19(日) 22:10:49
ヒロ「そんなことよりノアの話だ」
ヒロ「ノア、君はシェリーのケーキを見たことがないはずだ」
ヒロ「なのに……どうしてチョコケーキじゃなくてショートケーキだと知っている」
ノア「そ、それは……」
マーゴ「一応聞いておくけれどショートケーキで間違いないのよね?」
シェリー「はい! ショートケーキですよ!」
ナノカ「裁判でこれまでの話ではずっと『ケーキ』だとしか言っていない」
ナノカ「ショートケーキだったのかチョコケーキだったのか、現物を見たことがある人しか分からないはず」 - 65125/10/19(日) 22:11:50
ヒロ「つまりノアはケーキを見たことがある。嘘をついていたというわけだ」
ノア「ち、違うもん。……そ、そうだよ、誰かがショートケーキだって言ってたんじゃないかな?」
ヒロ「はあ。否定を続けるのはいいが……このままの状況ではたしてみんなは誰を魔女だと思うかな?」
エマ(雰囲気的にもうノアちゃんが犯人で決まりという流れだ)
ノア「うう…………分かった」
ノア「本当のこと言う」
エマ(ノアちゃんが観念する)
ノア「のあが食堂からケーキを持ちだしてアトリエに持って行ったの」
ノア「それは間違いないよ」 - 66125/10/19(日) 22:12:55
ノア「――でもね、のあはケーキを食べてない!」
エマ「……え?」
ノア「のあはケーキをそのままアトリエに置いて1階に降りたところでミリアと会った」
ノア「だからその後誰かがアトリエに入ってケーキを食べたんだと思う」
エマ(ケーキをアトリエに運んだのは認めたけど……食べてはいない……?)
レイア「うーん、にわかには信じがたいね」
ココ「じゃあどうしてケーキをアトリエに持って行ったんだよ」
マーゴ「それに嘘をついて隠そうとした理由も気になるわね?」 - 67125/10/19(日) 22:13:56
ミリア「あああああ、あの……!!」
ミリア「ちょ、ちょーっといいかな!!」
エマ(ノアちゃんに対する集中砲火の流れを切ったのはミリアちゃんだった)
ヒロ「どうした、ミリア?」
ミリア「そ、その……ノアちゃんがアトリエで何してたのか分かるかもしれなくて……」
ヒロ「……? 何を言っている? ミリア、君がノアと出会ったのは1階に降りた後じゃないのか?」
ミリア「そ、それはその……とにかくこれを見て欲しくて……!!」
エマ(ミリアちゃんが出したのは……丸まった紙?) - 68125/10/19(日) 22:15:02
エマ「そういえば何か焼却炉で拾ってたよね?」
ミリア「そ、そうなの。それに描かれているのが……ノアちゃんの絵で……」
エマ(ミリアちゃんが丸まった紙を広げると……そこにはケーキの絵が描かれていた)
エマ(その絵のタッチや雰囲気からしてノアちゃんが描いたものだと分かる)
エマ「焼却炉にノアちゃんの絵……? あ、そっか。アトリエと焼却炉は繋がってたね」
ミリア「つ、つまりなんだけど……ノアちゃんはケーキの絵を描くためにアトリエに運んだんじゃないかなーって」
ヒロ「……どうなんだ、ノア」
ノア「うん。キレイなケーキだったから描きたくなって……でも納得行く出来じゃなかったから捨てたの」
ヒロ「なるほど。食べるために持って行った訳ではないと……一旦は受け入れよう」
ヒロ「それで……ミリア」
ミリア「な、何かな?」
ヒロ「そんな重要な証拠を隠してたのは何故だ? もっと早く見せてくれれば話は早かったんだが」
ミリア「それは……その……」
ヒロ「……はあ、どうせ誰かを糾弾するようなことしたくなかったって話だろうが……そのせいで拗れて攻められる流れとなったんだがな」
ミリア「……ごめんなさい」
ヒロ「まあ結局は見せてくれたので良しとしよう」 - 69125/10/19(日) 22:16:18
エマ「えっとそれじゃあ……どうしてノアちゃんは嘘をついていたの?」
エマ「最初から絵を描くためにケーキを持っていったって言えば良かったんじゃ……」
シェリー「あ、そういうことですか」
シェリー「ノアさんは私のケーキを勝手に取って、アトリエで絵を描いて、そのままケーキを放置しました」
シェリー「その行動は正しくありません」
ヒロ「その通りだ、ノア後でお説教だからな」
ノア「ううっ……」
ココ「怒られたくなかったから隠してたってこと? まんま子供じゃん」
エマ「で、でも話は進んだよね?」
エマ「ノアちゃんがケーキをアトリエに持って行って、絵を描いて――――」 - 70125/10/19(日) 22:17:29
アリサ「絵を描いた後、ケーキを食ったって話じゃねえのか?」
ノア「そ、それは……」
アリサ「絵を描いただけでケーキは食ってない……ってそんな話を信じるのかよ?」
ヒロ「ああ、もちろん頭から信じているわけではない」
メルル「で、ですがノアさんは嘘を認めて正直に打ち明けてくれて」
ヒロ「そこまで引っくるめて嘘という可能性は否定しきれない」
アンアン「ううむ……難しいな」
エマ(再燃するノアちゃんが犯人である可能性)
エマ(怒られるのが嫌だから嘘で隠していた…………という嘘をついている可能性……)
エマ(ノアちゃんが犯人なのか……犯人じゃないのか……)
・城ヶ崎ノアは犯人である
・城ヶ崎ノアは犯人ではない - 71125/10/19(日) 22:18:33
・城ヶ崎ノアは犯人である
エマ「うん、ノアちゃんが犯人だと思うよ。都合良くノアちゃんの後にアトリエにやってきてケーキを食べたなんて人いると思えないし」
ノア「違うもん……本当にケーキ食べてないもん……」
エマ(ノアちゃんは最後まで認めなかったけど、議論の大勢は既に決まっていた)
エマ(ノアちゃんは自分にかけられた容疑を引っくり返すことが出来ず、そのまま最多得票を受けて魔女だと決められる)
ノア「コ、コマネチ!!」
エマ(みんなの前で一発芸をして、魔女化を抑える薬を飲んで……裁判は終わりを告げた) - 72二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 22:19:10
ドクロ選択肢かな?
- 73125/10/19(日) 22:19:35
エマ(裁判が終わって数日後)
エマ(ボクはある人に呼び出されていた)
エマ(呼び出された場所に向かうと……そこには)
???「アア、来テクレタカ」
エマ「え……?」
???「最近チョットオカシクテサ……」
???「普通ノ食ベ物ジャ満足出来ナインダヨ」
???「ナア、オマエハ一体ドンナ味ガスルンダ……?」
エマ(その人のぱっくりと開いた口が迫ってきて――――)
ガリッ、バリッ、ゴリッ、ゴリッ。
BAD END…… - 74125/10/19(日) 22:20:40
直前の選択肢からやり直す
・城ヶ崎ノアは犯人ではない
エマ「ちょっと待って、ノアちゃんが犯人だとは限らないんじゃないかな?」
ノア「エマちゃん……!」
アリサ「ああん? 何でだよ?」
ハンナ「ノアさんの言うことを信じるんですか?」
レイア「ちょっと待ちたまえ、みんな感情的になりすぎじゃないかな?」
ナノカ「そうね、一旦冷静になるべき」
レイア「状況を再度整理してみようじゃないか」 - 75125/10/19(日) 22:21:42
~審問開始~
レイア「まず『1時』にシェリー君がケーキを食堂に置いた」
レイア「その少し後にノア君が食堂からケーキを持ちだして、アトリエに運んだんだね?」
ノア「うん、そうだよ」
ノア「絵を描いた後『ケーキはそのままアトリエに残して』一階に降りたよ」
マーゴ「その言い分が本当なら犯人はその後に『アトリエに侵入して』ケーキを食べたってことかしら?」
アリサ「だから『ケーキを食べてから1階に降りた可能性』は否定出来ないだろ」
アンアン「水掛け論だな」
シェリー「うーん……『ケーキが食べられたときの状況が分かれば』良かったんですけどねー」
『ケーキが食べられたときの状況が分かれば』 ← 賛成 『幻視の情報』
パリーン!! - 76二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 22:22:16
平和時空なのにBAD ENDだとちゃんと死ぬのまのさばしてるなあ
- 77125/10/19(日) 22:22:49
エマ「そうだよ、幻視の情報があった!!」
シェリー「幻視ですか?」
ヒロ「ナノカの魔法か。何か見えたのか?」
ナノカ「ええ。ケーキが乗ってた皿の記憶が」
ナノカ「といっても犯人の顔は分からない。誰かに食べられてケーキが減っていく姿と」
ナノカ「食べ終えた直後に『ドンッ!』って鈍い音があったことくらい」
レイア「音? それは何の音なのかな?」
エマ(鈍い音の正体。それは――)
・魔法
・衝突音
・咀嚼音 - 78125/10/19(日) 22:24:00
・衝突音
エマ「レイアちゃんが言ってたよね、シェリーちゃんとキャッチボールをしてて、すっぽ抜けた球が牢屋敷にぶつかったって」
レイア「ああ……もしかしてそのときの音なのかい?」
シェリー「あー結構な勢いでぶつけちゃいましたから……そうですね、アトリエまで響いたかもしれません」
ハンナ「鈍い音……そういえば作業中にそんな音が聞こえましたわね」
マーゴ「二階の娯楽室にいて聞こえたのなら、アトリエでも聞こえたでしょうね」
ココ「それで音の正体が分かったからって何になるわけ?」
エマ「時間だよ。シェリーちゃんたちがキャッチボールを始めたのは2時以降のことだったよね?」
レイア「ああそうだね。つまりボールをぶつけたのも2時以降のことだ」
シェリー「音が鳴ったのは犯人がケーキを食べ終えた直後みたいですから、犯行も2時以降ってことになりますね」 - 79125/10/19(日) 22:25:05
ミリア「だ、だったらノアちゃんはケーキを食べることは出来ないよ!!」
ミリア「2時以降は私と一緒に散歩してたから!」
マーゴ「なるほど……最初事件の情報を整理したときは食堂から無くなったのを確認した2時前に犯行が行われたと思ってたけど」
マーゴ「それが覆って2時以降に犯行は行われたってことになったわけね」
ヒロ「だったらもっと犯人を絞ることが出来るな」
ヒロ「2時以降ならアリバイが成立している者が多いからな」
ハンナ「私、ヒロさん、アンアンさん、メルルさん、ココさんの5人にはアリバイがありますね」
シェリー「さっき言われてましたけど私とレイアさんはキャッチボールをしてました」
マーゴ「私とナノカちゃんは牢で一緒にいたわよ」
エマ(ここまで11人……アリバイが無いのは2人。ボクともう一人だけ)
エマ(でもボクは犯人じゃない)
エマ(だったら――――) - 80125/10/19(日) 22:26:11
怪しい人物を指摘する
エマ「犯人は……アリサちゃんなの?」
アリサ「桜羽……おまえが犯人か」
ナノカ「アリバイが無いのは2人だけだからこうなるわね」
シェリー「エマさんは昼ご飯の後ずっと自分の牢にいたんですよね?」
エマ「そうだよ」
マーゴ「アリサちゃんは図書室にいたわ。ただ私は2時前くらいに図書室を出たから、その後どうしたのかは知らないけれど」
アリサ「その後もずっと図書室にいた。まあ誰とも会ってねえけどな」
ミリア「え、えっと……これってどっちかが嘘をついてるってことだよね?」
ヒロ「ああ、はたして嘘つきはどっちかな?」 - 81125/10/19(日) 22:27:13
~審問開始~
レイア「自分の牢にいたエマくん、図書室にいたアリサくん」
レイア「はたしてどっちが嘘をついているのかな?」
ココ「そんなの分かんなくね?」
シェリー「そうですね……ではどちらも犯行が可能だったのか? から考えましょうか」
シェリー「まず『犯行現場はアトリエ』です。これはノアさんがケーキを置いていったこと、皿が置かれたままのことからどちらが犯人でも変わりません」
シェリー「つまり犯人はアトリエに向かったはずですが……」
アンアン「『場所的に近いのはアリサの方』だな」
アンアン「図書室とアトリエどちらも2階にある」
メルル「エマさんは地下の牢から階段で『2階まであがらないといけません』」
ナノカ「長い移動だけど……その時間帯はルート上に誰もいないから『見られずに移動出来たはず』ね」
『見られずに移動出来たはず』 ← 反論 監視があった
パリーン!! - 82125/10/19(日) 22:28:31
エマ「ちょっと待って! ボクが本当に地下から2階に行ってたら監視に引っかかるはずだよ!」
ミリア「監視……ってどういうこと? カメラがあるわけでもないよね?」
ココ「……あー、あてぃしの魔法か」
ココ「あてぃしは2時に階段の途中に自分の顔写真のポスターを貼っている。上り下りすれば目に入る場所にね」
ココ「誰か階段を使えば『千里眼』でその人のことが視えるはずだけど……発動していない」
ココ「つまりエマっちは2階に来れなかったってこと」
レイア「理屈は分かったけど…………顔写真のポスター? 一体何故そんなのを貼ってたんだい?」
ナノカ「監視? それとも誰かが来ないかの見張り?」
マーゴ「ココちゃんの奇行には慣れたものだけど……ちょっと今回のはよく分からないわね」 - 83125/10/19(日) 22:29:32
ココ「うっさいなあ。あてぃしのことはどうでもいいだろ。それよりも犯人の話でしょ」
エマ「そうだよ、ボクが犯人じゃ無いならアリサちゃんが犯人で――」
アリサ「……いや、その話はちょっとおかしくねーか?」
アリサ「なあ、沢渡。『千里眼』は一度も発動しなかったって言ったよな?」
アリサ「つまり桜羽だけじゃなくて……ウチも見ていないと」
ココ「そうだけど……あれ?」
シェリー「アリサさんは2時時点で図書室つまり2階にいました」
シェリー「しかし3時の事件発生時には1階の食堂に集まっています」
シェリー「つまり2階から1階に移動してますが……そうなると『千里眼』に引っかかってないのはおかしいですねえ」 - 84125/10/19(日) 22:30:38
アリサ「別におかしくねーよ」
アリサ「そいつの魔法がポンコツで監視が不十分だったってだけだ」
アリサ「つまり階段が使えたんだとしたら……桜羽、おめえが犯人である可能性は普通に残ってるだろ?」
エマ「で、でも……そうだよ。ボクが牢から2階に向かおうとしたら、マーゴちゃんとナノカちゃんの牢の前を通らないといけない」
エマ「二人はその時間自分の牢にいたよね? でもボクを見てないでしょ?」
アリサ「それは証拠になんねーよ。そもそもおめえが自分の牢にいたってのが嘘かもしらねーからな」
マーゴ「……そうね。一度でもエマちゃんの姿を見てれば証人になれたんだけど」
ナノカ「私も桜羽エマの姿は一度も見ていない。だからそもそも牢にいなかった可能性を否定しきれない」
エマ(アリサちゃんの反論が止まらない)
エマ(でもボクが犯人で無いことはボク自身がよく分かっている)
エマ(だとしたら……一体……) - 85125/10/19(日) 22:31:58
ヒロ「アリサ。言おうか迷ってたんだが、実は……」
アリサ「おっと、その手には乗んねーよ。嘘を言うつもりだろ」
アリサ「二階堂、おめえが新たな証言を持ってるとしたらもっと早くに言ってないとおかしい」
ヒロ「……ふむ、流石に二度は通用しないか。ノアほど単純なら良かったんだが」
ノア「単純じゃないもん」
エマ(ノアちゃんはふくれっ面だ)
ヒロ「まあいい、では別の話だ」
ヒロ「私はどっちが犯人なのかは分からないが……アリサ、君の主張は否定させてもらおう」
アリサ「何を否定するんだよ?」
ヒロ「ココの魔法を使った監視の方法……あれを提言したのは私だ」
ヒロ「事前に実験もしてその効力も確認している」
ヒロ「ココの魔法がポンコツだった可能性はあり得ない。監視は確実に行われている」 - 86125/10/19(日) 22:33:33
エマ「ヒロちゃんが……?」
ミリア「何でそんなことを……?」
ヒロ「その話は今関係ない」
ヒロ「大事なのは監視が絶対なものだとしたら」
ヒロ「2時に2階の図書室にいたアリサが3時に1階の食堂に集まれたのは絶対におかしいということだ」
レイア「ふむ……気になることはさておき」
レイア「だったらアリサくんはどうしたっていうんだい?」
ヒロ「簡単な話だ。階段を使わずに2階から1階に降りればいい」
ハンナ「階段を使わずに……? 牢屋敷にエレベーターはありませんわよ?」
ヒロ「そんなもの使う必要も無い」
ヒロ「アトリエは中庭に面している。そしてアトリエの窓は開いてたんじゃないか?」
エマ「そういえば……」
<回想> エマ(開け放たれた窓からそよ風が吹き込んでいる)
エマ「うん開いてたよ」
ヒロ「つまりアリサはアトリエから中庭に飛び降りたんじゃないか?」
- 87125/10/19(日) 22:34:52
アリサ「そ、それは無理だろうが!」
アリサ「飛び降りても死ぬような高さじゃねえが、怪我くらいはするだろ!」
エマ(アリサちゃんは否定するけど……ちょっと動揺している?)
シェリー「そうですね何らかの道具があれば無事に降りれるでしょうがそのようなものは見つかってませんですし」
シェリー「……はっ! まさか『浮遊』の魔法を持つハンナさんの仕業ですか!?」
ハンナ「私はアリバイがあるんですの!! わざと言ってますわよね!?」
ヒロ「だが着眼点は良い」
ヒロ「物理的には不可能……しかし魔法を使えばどうなる?」
エマ(アリサちゃんの魔法『発火』)
エマ(それとあの証拠を使えば……!!) - 88125/10/19(日) 22:35:58
証拠を提示する 『皿とフォークの行方』
エマ「アトリエに残ったケーキの乗っていた皿と『発火』の魔法」
エマ「それで皿をあぶって『炙り皿』にしたんだよ!」
ココ「なんだよ『炙り皿』って!」
ココ「新しい珍味の名前かよ!」
ココ「いや、皿を炙ってもそうはなんねーし!!」
エマ(ココちゃん、ひとりで大騒ぎしてる……!)
エマ(えっと間違えちゃった)
エマ(アリサちゃんの魔法『発火』)
エマ(それと組み合わせてアトリエから無事に降りれる方法は――) - 89125/10/19(日) 22:37:02
証拠を提示する 『テーブルクロス』
エマ「中庭に落ちていたテーブルクロス」
エマ「これと『発火』の魔法を使ってアリサちゃんはアトリエから中庭に飛び降りたんじゃないかな?」
メルル「ど、どう使ったんですか?」
エマ「簡易的な気球だよ」
エマ「『発火』の火で起こした上昇気流で」
エマ「それぞれ端を持ったテーブルクロスを膨らませて浮かんだんだよ」
ココ「でもそんなのしたらテーブルクロス燃えそうじゃね?」 - 90125/10/19(日) 22:38:07
ハンナ「いえ、あのテーブルクロスは厚手スエード製で防炎加工がされてありますわ」
ハンナ「それに……あのテーブルクロスは後で洗濯しようと思ってアトリエに置いてましたの」
ハンナ「それが中庭に落ちていたことを考えると……その方法を取った可能性は考えられますわ」
マーゴ「うーん、でもそこまでの浮力を生み出せるほどの火力があるかしら?」
マーゴ「相当燃やさないといけないわよ?」
ヒロ「それなら心配は無い。何せ魔女化した者の魔法は強化されるらしいからな」
ヒロ「まあ作りが簡易的だし大きさも無いから空を浮かぶほどの浮力は出なくとも……ふわりと着地することは可能なはずだ」
エマ「アリサちゃん……反論はあるかな?」
アリサ「………………ちっ。もうねえよ」
アリサ「ウチがケーキを食べた……魔女化した犯人だ」 - 91125/10/19(日) 22:39:18
<人形劇>
アリサ「何となくだったんだ」
アリサ「図書室から出て自分の牢に帰ろうとして、アトリエの扉が開きっぱなしなことに気付いた」
アリサ「それで中を覗いて……あのケーキを見つけた瞬間だった」
アリサ「ウチの中の食欲が、衝動が抑えきれなくなって」
アリサ「気付いたら無我夢中でケーキを貪り食らいつくしていた」
アリサ「その直後『ドン!』って音を聞いて……ウチは正気に戻った」
アリサ「こんなところ見られたくない、すぐに逃げないと、って……必死だったんだ」
アリサ「だから近くにあったテーブルクロスを掴んで、窓から飛び降りて……」
アリサ「ああ、そうだよ……ウチがケーキを食べた犯人だ」
- 92125/10/19(日) 22:40:21
エマ(裁判は決着した)
エマ(アリサちゃんが投票で『魔女』に選ばれる)
ヒロ「ようやくこの裁判ごっこも終わりか」
ココ「つうかさっさと名乗り出れば良かったんじゃね?」
アリサ「正直混乱してたところはある……アトリエで食ったケーキが何故食堂にあったことになってるのかとか」
シェリー「ああ、アリサさん目線だとそうなりますね」
アリサ「あとはケーキを勝手に食ったとか、ウチはそんなキャラじゃないだろ」
アリサ「だから後からこっそり薬をもらいに行こうと思ったら……勝手に事を大きくしやがって……」
アリサ「裁判に負けたら一発芸とか言い出すし……引けなくなったんだよ」 - 93125/10/19(日) 22:41:45
レイア「一発芸……そんなのもあったね」
アリサ「なあ本当にやんなきゃいけねーのか?」
アリサ「すぐ名乗り出なかったことは謝る! 薬だって飲む!」
アリサ「だからそんなことしなくてもいいじゃねえか!!」
ゴクチョー「ふむ、そうですね」
ゴクチョー「別に私も冗談のつもりでしたし、こうして魔女が見つかったからどうでもいいのですが」
ゴクチョー「……分かりました。決断は皆さんに任せましょう。各自の手元のスマホに一発芸のボタンが表示されていると思います」
ゴクチョー「皆さんがそのボタンを押した場合は一発芸を、押さなかったらやらなくてもいいでしょう」
アリサ「っ! よしっ! なあおいっ、分かってるよな!?」
エマ(アリサちゃんがみんなに呼びかける中、ボクはスマホに視線を落とす)
エマ(表示された一発芸のボタン)
エマ(ボクはそれを――――) - 94125/10/19(日) 22:43:12
エマ(ぐーっと長く押し込んだ)
ポン!
ゴクチョー「さあ結果が出ました」
ゴクチョー「皆さん一発芸のボタンを押されたため、紫藤アリサさんには一発芸を行ってもらいます!」
アリサ「何でだよ!!?? おいっ!??」
エマ「いや……まあ、正直見て見たいし」
シェリー「ですよねー!」
ハンナ「テーブルクロスを乱雑に使った罰ですわ!」
メルル「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい(謝ってるけど普通に押してる)」
ノア「ノアを犯人扱いしたお返し」
レイア「いや、そういう振りってことじゃなかったのかい?」
ヒロ「罰はちゃんと受けろ」
ミリア「ご、ごめん……おじさんだけ押さないってのはちょっと無理で……」
ココ「なあなあ配信して良い?」
マーゴ「あら押したつもりはなかったのだけど……誤作動かしら? (嘘)」
ナノカ「何でもいい、早く終わらせて」
アンアン「その通りだ、早く作業に戻りたい」 - 95125/10/19(日) 22:44:19
アリサ「くそっ、おいっ、離せ!!」
エマ(なれはてに連れられて台の中央まで連行されたアリサちゃん)
エマ(抵抗や脱走を考えてるような様子だったけど、なれはても逃がすつもりは無いようだ)
エマ(しばらくして観念したのかあ項垂れていた頭をばっと起こすと――)
アリサ「9回裏2アウト満塁……ホームランを打てば逆転……」
アリサ「うおおおおっ……燃えてきたぜっ!!」
ボアッ!! (ホームラン予告をするアリサの背後で『発火』により実際に火柱が上がる) - 96125/10/19(日) 22:45:20
全員「………………」 シーン……
アリサ「…………なあ。ウチを殺してくれよ」
エマ(まっさらになったアリサちゃん)
エマ(こうして事件は全て解決した) - 97125/10/19(日) 22:46:22
エマ(――――かのように思われた)
- 98125/10/19(日) 22:47:24
<翌朝>
エマ(裁判を終えて夜遅かったのですぐに寝て翌朝のこと)
エマ(ボクがベッドの上で考え事をしているとヒロちゃんが声をかけてくる)
ヒロ「ぼーっとしてどうしたんだ、エマ?」
エマ「あ、ヒロちゃん。ちょうど良かった、ちょっと話したいんだけど」
ヒロ「話? まあいいが、何についてだ?」
エマ「昨日の事件についてだよ。まだ気になるところが残っていて……」
ヒロ「事件についてはアリサが犯人ということで決着が付いただろう。本人も犯人だと認めている」
ヒロ「『気になるところなんてあるはずがない』」
『気になるところなんてあるはずがない』 ← 反論 ボクを誘わないのはおかしい
パリーン!!
- 99125/10/19(日) 22:48:25
エマ「ちょっと待ってよ……!」
エマ「どうしてホラー映画鑑賞会にボクが誘われてないの……!?」
ヒロ「………………」
エマ「昨日、ボクはみんな都合があるって話だったから一人で過ごしてた」
エマ「ホラー映画鑑賞会なんてやってたならボクも参加したかったのに!」
ヒロ「……その通りだな。だが実際にはホラー映画鑑賞会にエマは誘われていない」
ヒロ「どうしてだと思う?」
エマ(ボクが誘われなかった理由……それは……)
・鑑賞会は5人乗りだから
・エマは映画を見ると爆発するから
・鑑賞会なんて無かったから - 100125/10/19(日) 22:49:28
・鑑賞会なんて無かったから
エマ「本当はホラー映画鑑賞会なんてやってないから……だよね?」
エマ「昨日は犯人を見つけることを優先してたけど……色々おかしなところはあったんだ」
エマ「ボールの衝突音がした2時から3時の間。映画を鑑賞していたはずのハンナちゃんが作業中って言ってたり……」
<回想> ハンナ「鈍い音……そういえば作業中にそんな音が聞こえましたわね」
エマ「露骨に話を逸らされてたけどココちゃんの写真による監視だっておかしな話だよ」
エマ「ただ鑑賞会をしているだけなら、ヒロちゃんも関わってまでそんなことする必要も無い」
- 101125/10/19(日) 22:50:59
ヒロ「だったらどういう意図があったと思う?」
エマ「それは……誰かに……いやたぶんボクに娯楽室の中を見られたくなかったからじゃないかな?」
エマ「あの監視はボクが娯楽室に来ないかを見張るためのものだった」
ヒロ「どうしてそう思うんだ?」
エマ「捜査のときだよ。ボクが娯楽室に向かうのを立ち塞がるようにヒロちゃんとアンアンちゃんは立っていた」
エマ「そして捜査の必要は無いと中を見せなかった」
エマ「今さら気付いたけど、あのときアンアンちゃん『洗脳』の魔法を使ってたよね?」
<回想> アンアン「他の場所を捜査したらどうだ」
- 102125/10/19(日) 22:52:05
ヒロ「そこまで気付いていたか」
ヒロ「本当全くゴクチョーも余計なことをしてくれたものだ」
ヒロ「いきなり魔女裁判なんてものを開くと言って、牢屋敷中を捜査しろと言われて」
ヒロ「咄嗟に誤魔化すための嘘を考えるハメになったこっちの苦労も考えて欲しい」
エマ「……いったい5人は何をしていたっていうの?」
ヒロ「それについては実際に娯楽室に行けば分かる」
ヒロ「準備も終わった頃だろう。二人で向かうとしよう」
エマ「準備……?」
エマ(気になったがヒロちゃんはそれ以上答えるつもりは無いようだ)
エマ(無言で歩き出したヒロちゃんに付いていってやって来たのは2階)
エマ(娯楽室の扉を開けて中に入ったボクは――――) - 103125/10/19(日) 22:53:15
全員「お誕生日おめでとうございます!!」
エマ(娯楽室には牢屋敷に住む全員が集まっていて)
エマ(祝いの言葉と一緒にパン! と一斉にクラッカーが鳴らされた)
エマ「………………あ」
エマ(そうだ……今日3月5日は)
エマ(ボクの誕生日だ) - 104125/10/19(日) 22:54:28
ハンナ「ふふふ、サプライズお誕生日会成功ですわ!」
エマ「サプライズ……だからボクに見られないようにしてたってこと?」
アンアン「ああ。昨日の捜査の時点でもう飾り付けも進んでいた」
エマ(娯楽室は紙飾りや『お誕生日おめでとう』といったメッセージで飾られている)
マーゴ「サプライズを進める裏でアリサちゃんの事件も起きたせいで何だかややこしい状況になってたみたいね」
シェリー「本当こんな楽しそうなこと企画してたなら一緒にやりたかったです」
シェリー「私、今朝になって初めて知らされたんですよ」
ハンナ「あなた絶対エマさんに秘密漏らしちゃうでしょう。サプライズじゃなくなりますわ」 - 105125/10/19(日) 22:55:28
メルル「5人で用意進めてたんです。嘘ついてごめんなさい」
エマ「メルルちゃん……そっかケーキ作りってこのために」
エマ(昨日冷蔵庫で見た1ホールのケーキがテーブルの中央にあってローソクを立てられている)
ココ「やるからには絶対にバレないようにしたい、ってことであてぃしの魔法頼りで巻き込まれたわけ」
ココ「まあ良い表情見れたし撮れ高は十分だけど」
エマ(ココちゃんはカメラを回している) - 106125/10/19(日) 22:56:28
エマ「みんな……ありがとう!」
エマ「こんな立派なお誕生日会開いてもらって……ボク嬉しいよ!!」
ハンナ「それなら一番に礼を言うべきはヒロさんですわね」
ハンナ「今回の企画の発端はヒロさんですし」
エマ「そうなの?」
ヒロ「なに、別に誕生日を祝うことなどよくあることだろう」
ヒロ「私が最初に言い出した、それだけでしかない」 - 107125/10/19(日) 22:58:07
エマ「そうだとしても……ヒロちゃんが言い出してくれたってことが嬉しいよ!!」
エマ(ボクが正面から謝意を伝えると)
ヒロ「ふ、ふん……そんなの――――」
エマ(ヒロちゃんは照れたようにして視線を逸らそうとして……その動きが途中で止まった)
ヒロ「……レイア! 君の魔法か!」
レイア「ふふっ、素直になれないお姫さまに魔法をかけてあげただけさ」
エマ(レイアちゃんの魔法『視線誘導』で顔を逸らせなくなったヒロちゃんの正面にボクは駆けよって)
エマ「ありがとうね、ヒロちゃん!」
ヒロ「……喜んでくれたようなら何よりだ」 - 108125/10/19(日) 22:59:53
ノア「ねえねえそろそろ食べてもいい?」
ミリア「もうノアちゃんってば」
ハンナ「ですがそれもそうですわね。そろそろ食べ始めましょうか」
エマ(娯楽室にはケーキ以外にも色々なごちそうが並んでいる)
エマ(そうして始まったボクのお誕生日会)
シェリー「お誕生日会楽しいですね、こうなったら皆さんの分も開催しましょう!」
ココ「定期的な配信ネタはあてぃしも嬉しいかも」
レイア「次はアンアンくんが3月28日に誕生日だったかな」
アンアン「それは楽しみだ」
マーゴ「うおおおおっ……燃えてきたぜっ!! (アリサの声)」
アリサ「てめえっっ!! ぶっっっ殺す!!!!」
ヒロ「流石にライン越えだな」
ナノカ「宝生マーゴにしては珍しい……意外とはしゃいでるのかも」
メルル「エマさん、ケーキの味どうでしょうか?」
エマ「うん、おいしいよ!」
エマ(こうしてケーキから始まった事件は最高の締めで幕を閉じたのだった) - 109125/10/19(日) 23:01:06
ケーキ消失事件 完
ここまで読んでいただきありがとうございました - 110二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:02:17
いいオチだ 面白かった
- 111二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:20:17
お疲れ様でした
アリサ、ワンキル追加! - 112二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:31:15
乙
ケーキ2階に持って行って食べないなんて謎行為する?って思って可能性除外して予測外したのが悔しい - 113二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 00:57:24
平和裁判路線好きだからもっとやってほしい
肝心の推理は途中から諦めてたけど - 114125/10/20(月) 08:42:57
色々と感想ありがとうございます
裁判の難易度設定は本当に難しい……
裏話を一つ
ミリアが焼却炉でノアの絵を見つけるシーンですが
実は最初はエマ自身が見つけて捜査パートの時点でノアがケーキの絵を描いてたことが分かるようにしようかなと思ってたんですが
それは直接的過ぎないかと伏せることにしました
しかし普通に分かっても良かったかもしれませんね
誕生日会も合わさって要素が多いから直接的なのも混ぜて良かったかもです - 115二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 09:09:31
これわかったらアリバイで詰めると犯人がアリサ一択になるから伏せておいて良かったと思う
原作でも個人的な事情での隠蔽(ノアの捨てた絵とか)でミスリード狙いはあったわけだし
ギミック含め原作リスペクト感じられて面白かった
- 116二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 16:05:42
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