【閲覧注意】俺は闇のトレーナー【第5R】

  • 1二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:06:04

    生まれも育ちもロクなもんじゃない

    幸い小賢しい程度には頭は悪くなかった

    だから勉強してトレーナーになった

    金なんてなかったから大検とって大学なんか行けなかったから独学でトレーナー免状を獲った

    それでも経験も実力も実績もあるわけじゃない

    だから口八丁でだまくらかすように担当契約を結んだ

    特に優しく 時に寄り添うように 時に一生添い遂げるかの如く

    実績つんで金になればそれでいい

    そのために他人を騙すことに心が痛む? 良心?

    そんなものは親の腹のなかに置いてきた

    いや……俺が腹の中にできる前からそんなものありゃしない

    こいつらを利用して俺はのしあがる


    前スレ

    【閲覧注意】俺は闇のトレーナー【第4R】|あにまん掲示板生まれも育ちもロクなもんじゃない幸い小賢しい程度には頭は悪くなかっただから勉強してトレーナーになった金なんてなかったから大検とって大学なんか行けなかったから独学でトレーナー免状を獲ったそれでも経験も実…bbs.animanch.com
  • 2二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:08:25

    1Rから

    【閲覧注意】俺は闇のトレーナー

    【閲覧注意】俺は闇のトレーナー|あにまん掲示板生まれも育ちもロクなもんじゃない幸い小賢しい程度には頭は悪くなかっただから勉強してトレーナーになった金なんてなかったから大検とって大学なんか行けなかったから独学でトレーナー免状を獲ったそれでも経験も実…bbs.animanch.com

    【閲覧注意】俺は闇のトレーナー【第2R】

    【閲覧注意】俺は闇のトレーナー【第2R】|あにまん掲示板生まれも育ちもロクなもんじゃない幸い小賢しい程度には頭は悪くなかっただから勉強してトレーナーになった金なんてなかったから大検とって大学なんか行けなかったから独学でトレーナー免状を獲ったそれでも経験も実…bbs.animanch.com

    【閲覧注意】俺は闇のトレーナー【第3R】

    【閲覧注意】俺は闇のトレーナー【第3R】|あにまん掲示板生まれも育ちもロクなもんじゃない幸い小賢しい程度には頭は悪くなかっただから勉強してトレーナーになった金なんてなかったから大検とって大学なんか行けなかったから独学でトレーナー免状を獲ったそれでも経験も実…bbs.animanch.com

    【閲覧注意】俺は闇のトレーナー【第4R】

    【閲覧注意】俺は闇のトレーナー【第4R】|あにまん掲示板生まれも育ちもロクなもんじゃない幸い小賢しい程度には頭は悪くなかっただから勉強してトレーナーになった金なんてなかったから大検とって大学なんか行けなかったから独学でトレーナー免状を獲ったそれでも経験も実…bbs.animanch.com

    【閲覧注意】俺は闇のトレーナー【第5R】

    ↑ココ↑

  • 3二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:09:23

    立て乙
    なんか前スレの最後にすっごい謎の単語が飛び出た気が済んですけど

  • 4二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:09:25

    【注意点】
    四人の担当チームなのでオムニバス要素あり、投稿順序会話によるSS内時間の前後があります
    史実・ウマ娘アプリと出走レースおよびシナリオの齟齬間違いがあります
    色々キャラ崩壊などありますがご理解頂ける方のみ閲覧ください
    ※ナリタブライアンは一時預かりで正式加入のメンバーではございません※
    素人なので誤字脱字文脈の乱れなどありますがそうだねプロテインでご容赦下さい

  • 51◆qxc6n.SpgKwJ25/10/19(日) 23:12:15

    トリップ忘れました

  • 6二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:18:55

    トレセン学園トレーナー寮
    トレーナー量はいくつか種類があり学園内にある大型寮
    ここでは学食も土日を含め学園の施設を利用できお風呂も共用ながらほぼ24時間利用可能
    ただし学園寮の規則があり生活のルールやそれなりの持ち回りのお仕事などもある
    一方で府中内のアパートを寮として借り上げている場所も多い
    炊事洗濯は自己責任だがそれなりに自由とプライバシーが約束されているしオートロックなどセキュリティもそれなりのアパートも多い。
    俺は後者でアパートを実質寮として利用させてもらってる
    クリークには緊急連絡先として話をして俺の合鍵を預けてるが当然家事・炊事などを頼ったことはない
    あくまで緊急時のみこうして助けてもらってる
    アパートには空き家も多くうちも両隣が空室だ
    気兼ねはないしクリークが部屋に居ても正直大丈夫ではあるのだが

  • 7二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:20:04

    大きな声出しても大丈夫なのね

  • 8二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:27:52

    ソファの上であぐらをかいてる俺をよそに、クリークは手際よく掃除片付けをして今は台所に立っている
    お味噌汁のいい匂いがして――ああ、これ大根のお味噌汁の匂いかなと想像してしまう

    ――はい♪ 大根のお味噌汁です♪ トレーナーさんよくわかりましたね♪

    大根って意外と匂いでわかるものなんだなと当てた自分が驚いてしまう。
    出されたのは大根のお味噌汁と白米、それに卵焼きとウインナー。 小さな俵のおむすびもちょこんと乗っていて可愛い
    素朴な朝食――といった感じで、よく俺の質素な冷蔵庫でちゃんとした朝食セットをお出しできたものだと感心する
    俺はお箸をもって頂きますをして――あーんと口を開け卵焼きを食べようとして

    ものすごくキラキラした表情でお箸をもってスタンバイをしているクリークと目が合う
    ブンブンブンブンと振られてる尻尾からしてものすごく期待してるのもわかる
    あー、うん……クリーク、よかったら――食べさせてくれる?
    ――――
    ニコニコ顔で俺にあーんをしてくれるクリークのご飯をぱくんと食べる
    そういえば――このクリークの卵焼き久しぶりに食べた気がする
    甘くてとろっとした……俺が大好きな味
    ゆっくりと何度も咀嚼し――こくんと飲み込む
    俺は――この卵焼きが一番好きかな――クリークの味

  • 9二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:36:33

    クリークって栗東寮だからしょっぱい卵焼き派だと思ってました
    すまんがわしは卵焼きでは分かり合えそうにない

  • 10二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:38:41

    お味噌汁は別にしてすべての朝ごはんを全部食べさせてもらう
    ご飯も一口づつ全部だ、食事を終え洗い物をしてるクリークの背中に聞く
    ――あーんとかしてくれるけど……1食全部してくれるってクリークは大変じゃないのかと
    ゆっくり一口一口面倒見てあーんをさせてだと1食にとても時間がかかる
    それはクリークにとってそれなりに負担じゃないのかなって思ってしまうのだ
    じっと飲み込むのを待って次のをお箸であーんさせ、またむぐむぐごっくんを待つのだ
    それはとても大変だろうなと思ってしまう

    ――私は、もっともっとゆっくりでも嬉しいですよ~♪
    ――美味しそうにトレーナーさんが食べてくれるのを見ている時間が長くなってくれますから♪

    ……そんなものなのだろうか
    クリークはお皿洗いを終え台所を片付け、ソファに座る
    両手を広げて――おいでおいで♪といった態度
    俺は恥ずかしさ満点でクリークの膝に――膝に
    これどうすんだ? 背中を預けて膝にすわるの? それともぎゅーってだきつくの?
    クリークはうーん、と口元に指を当てて考えて

    ――どちらでもいいですけど♪ じゃあ今日はいっぱい添い寝しましょうか♪
    ――深夜から明け方ですからまだトレーナーさんも眠い眠いですよね♪

    ソファの上、引っ張られてクリークと横に添い寝する
    さすがに安物の一人用のソファではかなり手狭だ
    ――流石に添い寝ならベッドを使ったほうが良さそう――あ
    ベッドで添い寝
    その言葉にクリークがすっごいキラキラした顔をしていた。
    あといつの間にか手にガラガラを持っていた

    俺は闇のトレーナー
    俺は今からクリークに赤ちゃんにされるのかもしれない

  • 11二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:47:41

    クリークはお世話が好きで
    でちゅね遊びというのはクリークが哺乳瓶とガラガラとを持ってニコニコしてるので
    まあどういうものか想像がつく
    いわゆるオギャとかバブとか赤ちゃんプレイと言われるものだろう
    きっと叡智なムチウマさんのあれではなくて甘やかすという意味のプレイではなくごっこ遊びなのだろう
    俺はシングルのベッドに腰掛けつつ、哺乳瓶をあれこれ選んでるクリークを見つめてる
    なんかすっごくすっごく楽しそうだ……どれも一緒だろ哺乳瓶、とはきっと言ってはいけないのだろう
    いやそうではなく
    ――でちゅね遊びっていうのはどうしたらいいんだろう?
    という疑問を投げかける
    クリークが俺を相手をあかちゃんのように甘やかすというのは何となく分かる
    そこで俺は赤ちゃんのフリをするのだろうか
    バブバブとかいわなきゃ駄目なんだろうか、ダアダアとか
    喋る時は語尾に「でちゅ」をつけなければ行けないのだろうか、いやだよピカチュウみたいにデチュウっていうのやだよ

    ――ああ、そうですね……特になんにもないですよ♪
    ――ただただ……赤ちゃんみたいになんにも考えずに甘えてくだされば

  • 12二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:53:30

    そんな物なのか
    てっきりバブバブとかオギャオギャとか言わなきゃいけないのかなと思ってしまった
    あと「赤ちゃんは喋らない」とか真顔で言われるのかと本気で心配した
    甘えたいようにって……本当に好きにってことで?

    ――はい。 ぎゅうって抱きついて寝てもいいですし、哺乳瓶にいっぱいおしゃぶりしても
    ――本当におっぱいだとかそのー……えっちなことでも……トレーナーさんなら何をしてもいいですよ?うふふ♪

    ……いやしませんが……我慢します耐えます、なぜなら俺は闇のトレーナーだから
    しかし物凄く意外だった
    でちゅねプレイとかガラガラとか哺乳瓶をみたのでてっきり赤ちゃんごっこで俺は赤ちゃんのフリをしなければだめってことかと思っていたが
    そうだよな……よく考えてみたらクリークがそんな事を他人に要求するほうがなんからしくない

    ――はい♪ あとは勝手にトレーナーさんが赤ちゃんになっちゃうだけなので~♪

    ……なんかいった?
    なんとなく不穏な言葉が聞こえた気がして俺は聞き直すが、クリークはガラガラ片手にベッドをぽんぽんと叩いて待っている

  • 131◆qxc6n.SpgKwJ25/10/19(日) 23:55:12

    すいません
    呼び出しを食らったので今日はここで止めます
    途切れになりますが特に差支えはないのでコメントは自由になさって下さい
    おやすみなさい

  • 14二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 00:10:46


    一番最初に堕ちるのは誰なんやろうなぁ

  • 15二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 01:58:04


    気長に待ってるよ

  • 16二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 04:25:35

    乙です
    続けてくれてうれしいです本当に

  • 17二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 06:01:11

    クリークは先に布団の中に入っていて
    俺はクリークが持ち上げた掛け布団の中にすっぽりと収まる
    なんか物凄くいかがわしく……しかしながらこう男女が逆なのではないだろうかと思ってしまう

    俺は闇のトレーナー
    しかし同時に成人を過ぎたばかりの男子でありクリークは背丈も身体つきも雰囲気も成熟した女性だ
    理屈ではまだ未成年であり高等部の生徒でもあり決してそのように如何わしい視線で見てはいけない相手

    ――無茶を言うなクリークはもう18でこんな身体つきでおっぱいおっきくてしかも今は18歳で成年でおっぱいおっきくてママのようでお姉ちゃんのようでおっぱいおっきいのだ
    更に言えば今はもうそういう事は16歳未満か以上で決まってて18歳以上のおっぱいおっきいスーパークリークは完全に成熟した大人でおっぱいおっきくて法的にもセーフで
    おっぱいだけでなくおっぱいおっきくて背丈も身体つき全体のシルエットもあれな女性を男性の性対象に見るなというのは不可能だろう、どう見ても幼稚園児な幼児が胸元に「40歳」と書かれていたらセーフなのか?そんな訳はない
    全く持ってその逆で――いやよくよく考えれば法的に完全にアウトな16歳未満どころか今の成人である18歳をこえているわけで――法とか未成年淫行とか不同意わいせつだとか――何も引っかかってないのだ、実は

    グルグルグルグルと理屈と理性とおっぱいが回る
    完全にセーフな相手がOKを出していてそれを我慢する理由なんかないのかもしれない
    正直に――正直に言えば俺だってクリークに抱きつきおっぱいやお尻や太腿に抱きついたり触ったりしたいしそれ以上にえっちな事だってしたいに決まってる
    背が高くてほんわりしてて優しいお姉さん――正直滅茶苦茶好きだ、滅茶苦茶好みだどストライクだ
    そんな相手が自分を受け入れエッチな事でも甘えて良いと言ってるのだ
    そりゃあシたいにきまってるじゃないか

  • 18二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 06:09:24

    最近は法が改正されたのだ。 18歳以上はもう成人で
    クリークは身も心も成人だと言って良い。 しっかりしててものへの考え方も自立した精神も18歳を超えてると思う
    多少少女らしい部分があるとは言え世の中30を超えたって精神的に幼稚な部分はだれにでもある
    成人として未熟であったって一人の成人としてのラインは十分に超えてる
    それに――何より

    ――クリークはこんな俺より、きっと大人だろう
    ――年齢を重ねて数字だけ大人になった男よりきっと立派に生きている。 立っている
    ――精神というならば自分はひょっとしたら一生大人にすらなれないのかもしれない
    ――それはとてつもなく醜い大人であるのだ、とても幼稚な大人

    自己嫌悪に陥る俺をクリークは柔らかく抱きしめていた
    まるで俺を抱くのが楽しいようにクリークは柔らかく微笑んで俺を見ている
    自分が抱いた相手を見つめるのがこの上なく幸せだとでも言うようなそんな微笑み

    ――トレーナーさん? また難しいことを色々考えてますね?

    クリークは優しく――め、と俺のおでこをツンとつつく
    ふふふ、とクリークは笑って

    ――今はわたしへのご褒美なんですから……そんな難しい事考えなくて良いんですよ♪

  • 19二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 06:18:24

    クリークはぎゅうっと俺を抱きしめる
    自分の胸に俺を抱くような――一番安心できる抱き方
    とくん、とくん――クリークの心臓の音がきこえるような
    ほんの少し高いクリークの体温を一番感じれる――そんな格好で俺を抱く
    クリークの豊かな胸に頭を埋めるように俺はクリークに抱きつく
    春の陽だまりのように暖かいクリークの抱擁はこれ以上なく幸せで心地良い
    ぎゅうっと抱きついて、自然にその胸に顔を擦り寄せてしまう

    ――ふふ、やっと素直になってくれましたね……いい子、いい子
    ――トレーナーさんがしたいようになんでも甘えてくれていいんですよ
    ――ヨシヨシも、撫で撫でも、ぎゅーも全部してあげますから♪
    ――思いついた「して欲しい」って事、全部全部わたしに言ってくださいね♪

  • 20二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 06:24:40

    ――私、すこし体温が高くて汗っかきで……大丈夫ですか? その、汗とか……

    あはは、と少し恥ずかしそうにクリークは笑う
    不思議なものでクリーク達が気にするような匂いを感じた事はない
    むしろ頭が蕩けるぐらいにいい匂いだ
    クリークは甘い甘いミルクのようなすごく安心する匂い
    だからそれに包まれてると幸せで眠くなって――ずっとずっとそこに溺れてしまいたくなる
    甘くて脳が蕩けるというより幸せで脳がなにもできなくなるようなそんな匂いがする
    本当に不思議でしょうがない

    ――うふふ……それなら遠慮なくぎゅーってしちゃいますね♪
    ――はい♪……ぎゅー……♪

    ただただクリークと横向きに抱き合いぎゅっとされてるだけ
    それがたまらなく心地よく幸せで
    もう何もかも忘れてずっとずっとこうしていたい

  • 21二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 06:28:59

    ……こうしてから――どうすれば良いんだろう
    でちゅね遊びというのは知るわけもない
    こうやって抱かれるのは気持ちがいいし幸せで
    でもこの先はどうすれば良いんだろう?
    ひょっとしたらクリークはそれを待っているのかも知れないし
    困った俺はクリークに顔を上げ訪ねてみる
    ちょっと驚いたようなクリークの表情――困ったような悲しいような表情
    クリークはそれでもすぐに微笑みを取り戻すが――

    ――俺はやはり「ちゃんと出来ていない」のだろうか

  • 22二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 06:33:46

    ――トレーナーさんはなんにもしなくて良いんです
    ――子供としてどうするべきだとか
    ――赤ちゃんとしてどうするべきだとか
    ――そんな事は考えないし考えなくて良いんですよ……

    クリークは少しだけ悲しそうに俺を見ていた
    その悲しそうな顔の意味を俺はこれっぽっちも分からない
    やはり上手くできない――それがこれ以上なく悲しいし苦しいし――申し訳がない
    こんなにもクリークは俺を気遣って愛してくれているのに
    俺は上手くそれを受け止められない
    クリークは俺の頭を優しく撫でてくれる

    ――赤ちゃんもこどもも……そんな事は考えなくていいんです
    ――もっと我儘に、好き勝手に……
    ――愛情をただ無条件に受けていいんです
    ――上手く受け止めようとか、お母さんが望む反応をしようとか
    ――「ちゃんとした子供」であろうとか
    ――そんな事一切なんにも考えないのが子供なんですよ

  • 23二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 06:39:47

    それは――そんな事は
    されている俺が
    本当にいいのかと不安でしょうがないじゃないか
    だって――だって子供は

    ――子供はおかあさんに――ちゃんといい子でいないとだめじゃないか

    クリークは今まで以上に強く俺を抱きしめる
    胸にぎゅっと顔を押し付けられて顔を上げれない
    クリークの表情もみれないぐらいに、少し苦しいほど

    ――そんなのは忘れちゃっていいんです
    ――トレーナーさん……いい子じゃなくていいんです
    ――トレーナーさんは本当に本当にいい子です……そんなことを考えなくたって
    ――だからこれ以上――いい子であろうとしないでください

    そんな事……そんな事わかるわけがない
    俺はクリークにこうして抱かれてるだけで幸せで――ずっとずっとこうされたい
    暖かな陽だまりのような、ミルクのような甘い匂いに包まれてずっと抱かれたい
    だからいい子でいないと

    ――いい子じゃないと、クリークにも嫌われる
    ――クリークが望む子供でないと、赤ちゃんでないと
    ――いつかクリークも俺を、俺を――そんなのは

  • 24二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 06:45:01

    ――トレーナーさん

    痛いぐらいに強く抱かれる
    こんなに強くクリークに抱かれるのは初めてだ
    上手くいかない――上手くできない
    違うんだ
    違うんだクリーク――俺はこんな事が言いたいんじゃなくて
    クリークに抱かれると幸せで――だからそれが離れてしまうのは嫌なんだ
    だからお願いだ……俺を嫌いにならないで……

    なんでかは分からない
    俺はいつのまにか泣きじゃくってた
    ただ、ただクリークのために子供であるのが――赤ちゃんであるのが上手くいかなくて
    だからそれが申し訳なくて
    でも同時にクリークに嫌われたくなくて
    この温もりも暖かさも失うのが本当に……本当にいやで
    ただ、クリークに「ごめんなさい」と泣きじゃくってた

  • 25スーパークリーク25/10/20(月) 06:51:12

    トレーナーさんを傷つけてしまった
    幼少期のトラウマを癒そうと――暖かさで包もうと
    ただ、私はいっぱいいっぱい甘やかそうと――そうすればトレーナーさんも幸せにできるとそう思ってた
    でもトレーナーさんの傷はとても深くて
    ただただ泣きじゃくって私に謝るトレーナーさんを見てそれが私の傲慢な間違いだって気づいてしまった

    いい子であろう、親が望む子供であろう

    それはトレーナーさんが虐待の末に受けた『呪い』だ
    トラウマなんて生易しいものじゃない――いい子でいなければ、親が望む子を演じなければ生きていけない
    そう心の何処かで理解し幼い魂に刻まれた呪いなのだ
    何も考えず甘えるという当たり前の事
    子供が赤ん坊が受ける愛情を受けられず我儘に甘える事も何も考えずそれを受け止める事もできない
    そんなトレーナーさんが私に言うのだ

    ――ちゃんとできずに――上手くできずにごめんなさい

  • 26スーパークリーク25/10/20(月) 06:55:13

    赤ちゃんも子供も「ちゃんとする」ものじゃない
    そんな演じるものではない
    それなのに――どこまで追い詰められたらこうなってしまうのだろう
    私の中にほのかに黒い炎が灯る

    どうしたら――何をしたらトレーナーさんをこんなにも傷つけてしまうのだろう
    彼の母親は……なぜこんなにもいい子をこんなにも苦しめたのだろう
    彼は20を超えても――その傷にこんなにも苦しんでいる
    必死に一生懸命に前を向いて生きてるのに
    当たり前の幸せも愛情も享受できないほどになぜ
    ――どうしてなんですか? お母さん

  • 27スーパークリーク25/10/20(月) 06:58:51

    私は何も知らず、わからず
    ただただ甘やかせば良いと思っていて
    それがトレーナーさんをこんなにも傷つけて――こんなにも泣きじゃくって
    それでも――ああ、それでも
    トレーナーさんはこういうんです

    ――俺を嫌いにならないで

    愛情が欲しくてたまらない
    愛されたい――当たり前にあるはずのそれを享受したい
    陽だまりの暖かさも幸せも享受したい
    でもそれがわからなくて――それを全部捨ててでも
    嫌いになってほしくないと言うんです

    トレーナーさん
    私は――私は貴方を愛してます
    だからめいっぱい、貴方の恐怖と、母親の幻影に

    ――あなたのお母さんに、勝ちたいと思います

  • 28スーパークリーク25/10/20(月) 07:01:47

    愛情は誰しもが受けるべき当たり前の権利です
    赤ん坊も、子供も、大人だって
    みんなが受けて幸せになって良いんです

    トレーナーさんがそれをちゃんと受け止められないなら
    私がどんな方法でもそれを受け止められるようにして
    幸せも愛情も暖かさも全部全部
    わたしが「あーん」してあげます

    だから――泣かないでください
    もっともっと我儘にさせてあげます
    もっともっと好き勝手に生きれるように
    私たちの顔色を――お母さんの顔色を伺って甘えるなんてしないように
    私がいーっぱい、頑張っちゃいますから

  • 29二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 07:08:08

    俺は泣きじゃくって
    クリークに謝って
    クリークに懇願していた

    ごめんなさい――ごめんなさい
    うまくできなくてごめんなさい
    ちゃんとできなくてごめんなさい
    クリークが望むように甘えられなくてごめんなさい

    分かってる――クリークはこんな事を望んでないんだ
    だからちゃんと、ちゃんと何も考えずに
    何も考えない子供としてクリークに甘えなきゃいけないんだ
    だけどそんなことうまくできなくて――
    だけど嫌なんだ――クリークにずっとこうされてたいんだよ


    ――トレーナーさん……め、ですよ?

    クリークは優しく――俺の頭をツンとつついた

  • 30二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 07:13:56

    俺をつつくクリークは優しく笑って

    ――赤ちゃんは謝ったりしません♪
    ――ですから、謝るのは禁止ですよ♪ め、です♪
    ――最初は、いっぱい泣いてごめんなさいして――落ち着くのを待ちましょう♪
    ――はい、とん、とん♪ もっといっぱい泣いてください
    ――もう泣くのつかれちゃったよおってなるぐらい、泣くのがあきるまで
    ――その間――こうしてぎゅっとしててあげます

    俺はクリークにしがみつく
    抱きつく、というより必死に、クリークが離れてしまわないように
    クリークの服を掴んでくしゃっとなるほどに
    そんなみっともない俺をクリークは優しく抱きしめて背中をトントンと叩いてくれる
    時々背中をさすってくれる
    俺が落ち着くまでじっと抱いて、待っていてくれた

  • 311◆qxc6n.SpgKwJ25/10/20(月) 07:14:56

    休憩します
    もうすこしクリークの話が続きます

  • 32二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 07:22:11


    でちゅねだオギャバブだおっぱいだ
    って言ってたはずなのにどうして気がついたらこんなに悲しい話になってんだよ
    悲しすぎてちょっとウルっときたわ

  • 33二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 07:32:27

    もしトレの毒親が来たら一番会わせちゃいけないのジェンティルじゃなくてクリークなのか

  • 34二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 07:36:32

    オギャってバブってじゃんけんぽんどこにいったの

  • 35二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 07:38:48

    >>33

    もし母親なんか出たらジェンティル達は怒りを向けると思うがクリークはこれ出会い頭に全力でビンタしそう

  • 36二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 07:41:55

    クリークは甘やかそうとしてるのにトレーナーさんは赤ちゃんのフリしようとする
    噛み合いそうで噛み合うわけがないしどっちが悪いわけでもないのが悲しい

  • 37二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 08:04:31

    俺はクリークの胸の中で泣きじゃくった
    なんで泣いてるのかは俺にもわからない
    クリークにちゃんと甘えられなくて
    ちゃんとした子供でいられなくて
    正しいあかちゃんでいられなくて
    だからクリークに嫌われたくないって思ったらとても嫌で
    嫌われたくないってずっと泣いてた

    俺はしばらくクリークの胸で泣いて――ようやく泣き止んで、落ち着いて
    みっともないところをみせてしまったクリークに謝ろうとしたら

    ――トレーナーさん、バブバブ☆って言って見て下さい

    ……はい?
    クリークがニコニコしながら俺にそんな事を要求してきた
    ばぶばぶってその……赤ちゃんが言うみたいな?

    ――はい♪ 赤ちゃんごっこみたいに、ばぶばぶ☆ですよ~♪
    ――せーの♪ ばぶ、ばぶ☆

    ……ばぶ、ばぶ……☆
    俺はクリークの言う通りできる限りクリークの口調に合わせてバブバブ☆と言ってみる
    死ぬほど恥ずかしい……しかし赤ちゃんごっこのようにバブバブ☆と言ってみる

    ――はーい♪ よくできましたねトレーナーさん♪
    ――うーん……でもなにか違いますねえ、やっぱりなんですが

    お前が言わせたんだろう……恥ずかしいんだぞバブバブごっこだって
    21にもなる大人が18の担当にバブバブ言ってるんだぞ恥ずかしいに決まってるだろ
    しかしクリークは口元に指を添えて少し考える表情をしてまって

  • 38二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 08:09:00

    ――いえそうではなく、わたしがなんかビビっと来ないんです
    ――じゃあ、次は――おぎゃおぎゃってしてみましょうか~♪
    ――はーい♪ おぎゃ☆おぎゃ☆

    …………
    おぎゃ☆おぎゃ☆

    ――はい♪すっごく可愛いです♪ トレーナーさんはバブバブもおぎゃおぎゃもお上手です♪
    ――きっとでちゅねの才能がありますよ♪

    ……なんだよでちゅねの才能ってのは
    まあしかしクリークは赤ちゃん扱いが好きなのはなんとなく分かるのだ
    だからまあこういうのを求められればもうちょっと上手く出来るかもしれない

    ――うーん……でもなにか、ビビっと来ないんですよ
    ――他のも試してみましょう♪

    俺は一体なにをさせられてるのだろう
    クリークの要望に答えるように――ばぶばぶ、おぎゃおぎゃ、あー、うー、でちゅと語尾につけてみて

    ――うーん、他になにかあるかしら

  • 39二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 08:15:10

    うーん……うーん……
    これはあれか――クリークがイメージする「俺」の「赤ちゃん」としっくりあってないのか
    俺がバブバブ☆ということに俺じゃなくクリークも違和感を感じてるのかもしれない
    まあそれはそうだろう――あんな事があったばかりで、俺達は横になって向き合ってるというとはいえさっきまでの雰囲気とは違うのだから
    大人がバブバブ☆と言ってもそれは違和感を感じるはずだ
    クリークは大人にバブバブと言ってほしいんじゃなく大人であっても赤ちゃんのようにバブバブして欲しいのだから

    ――じゃあ、そうですねえ……ママって呼んでみて下さい

    こくこくと俺は頷く。 さっきのようにクリークが「はい、まーま☆」と言おうとしたが俺はクリークにぎゅうっと抱きつく。足をクリークの太腿の上に置くように少し絡ませ全身を密着させ
    ぎゅっとお姉ちゃんやママに甘えるように抱きつく格好になって
    ――ママ
    と小さく呟いた。 クソ――恥ずかしすぎてまともな声にならん


    ――っはあああ!トレーナーさん!!

  • 40二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 08:21:15

    クリークはこれ以上なくキラキラした表情で俺を見てる
    尻尾をブンブンブンブンと振ってベッドにベチンベチンとぶつかってる音がする
    なるほどオーケー理解した――赤ちゃんごっこ、甘えんぼごっこを理解した
    しかしここでクリークを現実に戻そうというのもサービス不足だ
    これはクリークへのご褒美、今までの失態と出遅れを俺はトレーナーとして取り戻す義務がある

    俺は闇のトレーナー
    ウマ娘たちを騙し利用するために他人を喜ばせるためのなにかを考えるのはお手の物
    俺の手のひらの上で転がり喜べスーパークリーク

    ――まま、ぎゅってして?

    くそ――クソクソクソクソクソクソクソ
    死ぬほど恥ずかしい! 顔から火が出そうだ、いや出てるかもしれない
    俺は真っ赤になっていそうな火照る顔を隠すようにクリークの胸に顔を埋める

  • 41二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 08:27:29

    ――はい、いくらでもずっとでもぎゅーってしちゃいます☆
    ――トレーナーちゃんわたしがママですよ~♡
    ――トレーナーちゃん可愛い……かわいいです♡

    うお柔らか――ぽよんって、ふわって、たゆんって
    しかしそんな胸の感触をクリークは押し付けるようにぎゅむぎゅむと抱き寄せる
    後頭部に手を回し腰と頭を優しく撫でられる
    身体をかるく丸めるような――赤ちゃんをくるむような格好でクリークは俺を抱く
    太腿が俺に密着し顔はクリークの豊満な胸に押し付けられ
    俺はクリークの甘く優しい匂いと柔らかい感触に脳がどろどろに幸せでとろけてしまう
    腰を後ろからぎゅって抱き寄せられ
    身体全部が柔らかく女性的なクリークの身体に押し付けられる

    ――さすがにまずい……落ち着け、赤ちゃんは性欲なんかないっ!

  • 42二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 08:31:59

    少しだけ大柄で高身長で身体つきも柔らかく豊満で
    腰はきゅっとくびれてるのに肉体だけは本当に扇情的
    お母さんのようとか豊満とか母性的なとかそんな事を言っても無駄だ

    要はクリークの身体はドスケベなのだから!
    おっぱいおっきくて太腿がムチムチで腰はくびれてる高身長のお姉さんなのだから!

    そんなクリークのおっぱいに顔を埋められて
    身体中密着をしてるのだ――男性として意識しないわけがないだろう
    ――落ち着け俺、落ち着くんだ
    ――赤ちゃんは欲情しない。赤ちゃんはクリークというママにそんなふしだらな感情を抱かない!


    ――トレーナーちゃん? もっともっとおっぱいに顔をすりすりー♪ってしてください……
    ――ママにいっぱい甘えるみたいに……ママすきすきー☆って、してください……♡

  • 43二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 08:37:42

    俺はクリークの「おねだり」に応じるようにおっぱいに顔を擦り寄せる
    すりすり――ほっぺたにあたる感触はマシュマロみたいに柔らかくてどこまでも沈んでゆきそう
    それにクリークの服は布地がサラサラで柔らかくて――すごく肌触りが良い

    ――トレーナーちゃん♡ 大好きですよ、トレーナーちゃん♪
    ――もっともっと、おっぱいにいっぱい甘えてくださいね……♡

    後頭部を撫でつつ俺の顔をもっと胸にくっつけるように抱きしめられる
    うあさっきよりいい匂いする……♪やわらか、いい匂い……こんなの脳バグっちゃ
    俺は無意識にとろけたまま、足をクリークにからみつけて、背中に両手を回しちゃう
    いわゆるだいしゅきほーるどのような格好でクリークにしがみついて

  • 44二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 08:43:18

    ――トレーナーちゃんはあ、クリークママの赤ちゃんでえ……弟クンなんです
    ――男の子で、赤ちゃんです♡
    ――だから甘えるのもおっぱい好き好きなのもぜーんぶ良いんですよ♡
    ――わたしがお姉ちゃんにも、ママにも……なってあげますからねえ、トレーナーちゃん♡

    身を丸めるように俺を完全に包み込むように抱くクリーク
    俺はそんなクリークの柔らかさと甘い匂いにとろとろに蕩かされ
    うっとりとした潤んだ瞳でクリークを見上げる
    クリークは優しい慈母のように目を細めて――俺の額にキスを何度も何度も落としてくれる

    ――だあい好きですよトレーナーさん
    ――担当のトレーナーさんも、男の子のトレーナーさんも――赤ちゃんのトレーナーさんも♡
    ――だから色んなトレーナーさん全部見せちゃいましょうね
    ――全部全部わたしが愛してさしあげますから……♡

  • 45二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 08:50:56

    好き、好き……クリーク――クリークママ好き、ぃ♡
    俺はうわ言のように何度もクリークを呼ぶ。クリークを呼ぶというよりただただ「好き」というためにクリークを呼ぶ
    足も腕もしがみつくようにクリークに抱きつき、甘えるように胸に顔を擦り付け身体を擦り寄せる
    クリークの太腿に自分の太腿をくっつけ、擦り付け、何度もスリスリとこすりつけちゃう
    クリークはすごく嬉しそうに

    ――ふふふ♪トレーナーさんすっごく甘えんぼさんなトレーナーちゃんになってます
    ――もっともっと……も~っと甘えてください。 好き好き~ってしてくださいね♡

    とろりととろけたクリークの表情――優しい慈母のようなクリークとは違う、欲情にもとろけたクリークの表情
    甘える俺を見るのが嬉しいようなとろけた表情で俺を見下ろして、にっこりと微笑む

    ――どうしたいですかトレーナーちゃん♡
    ――ぎゅーって甘々に抱っこされたいですか? それとももっともっと男の子しちゃいますか?
    ――ママはあ……どっちもシたいですよ♡ ばぶばぶ抱っこも、男の子の抱っこも

    どこまでも許してくれる
    どこまでも甘やかしてくれる
    そう思うと幸せな気持ちとゾクゾクする気持ちで
    俺はクリークにしがみついて抱きついて何度もクリークを呼び、好き、好きと繰り返した

  • 46二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 08:57:09

    長い時間――日が暮れ空が紅くなるまで
    俺はクリークとベッドで寝転び抱き合い、クリークに甘えるように好き、好きと何度もクリークを呼び
    クリークはそれを全部許してくれるように俺を胸にだきよせ、身体を押し付け
    互いに意図的に身体をこすりつけ合って――
    深く深く甘えた
    最後の方は本当になにも考えられずただただクリークに好きと言ってるだけだった
    クリークは俺のそれを全部受け入れいやらしく身体をくっつけ抱き合い、めいっぱい甘やかされた
    扇情的にクリークも上気した表情で俺の頬にも首にもキスをして
    いつしか俺はクリークにキスをおねだりしてしまって

    気がつけばもう日も堕ちて夜
    クリークを送ってトレーナー寮に向かう
    俺の腕を嬉しそうに組むクリークは尻尾がブンブンとご機嫌そうに揺れてる

  • 47二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 09:03:16

    結局1日中俺はクリークにただただ甘やかされていた
    最初はこうクリークの望むでちゅねを理解していたつもりだったのに
    いつしかクリークに甘やかされてドロドロになって
    ごっこ遊びじゃなくなにも考えられずに好き好きいうだけの子供になっていた気がする
    ――くそ、俺は21だぞ
    恥ずかしいやら情けないやら頭を抱えていると、クリークがツンと俺のおでこをつついた

    ――駄目ですよトレーナーさん
    ――二人きりの時は……トレーナーさんはトレーナーちゃんなんです
    ――ママかお姉ちゃんに甘える男の子なんですよ?

    ……むう、さすがにお外では恥ずかしいのだが
    そういうとクリークはにっこりと笑ってうんうん♪と頷いて見せる

    ――そうですよねえ……じゃあ、トレーナー室かトレーナーさんのお部屋で二人きりの時は
    ――今日みたいに……いーっぱい甘やかさせてくださいね

    クリークは優しく俺の頭を胸に抱き寄せる
    ぎゅうっとしばらく抱かれ、クリークは俺に囁いた

    ――今日は人生で一番楽しくて、幸せな日でしたよ。 トレーナーさん♡

  • 48ちーむ♡ぶろっさむ25/10/20(月) 09:07:23

    「あの!? あのあのあのあの!?
    結局それはクリークさんはトレーナーさんとどこまでいったのですか!?」

    ピンク色の悲鳴が響くトレーナー室
    クリークの話に一同は大興奮――結局でちゅねしたんか? でちゅね遊びじゃなくでちゅねプレイだったんか?とクリークは詰め寄られている
    クリークはあらあらまあまあ♪といつも通りおっとりした表情
    しかし三人は見逃してはいない――クリークの雰囲気に混じった艶ぽい雰囲気……その母性溢れる笑顔に隠れたメスの顔
    そして何より――クリークは過去これまでにないほどツヤッツヤした顔をしているのだ

  • 49ちーむ♡ぶろっさむ25/10/20(月) 09:13:30

    「隠し事は無しのはずよスーパークリークさん――シたのかしら?
    トレーナーさんのメイクデビューを頂いてしまったのかしら? 結局あの方は絶倫だったかしら……何Rぐらい致しましたの?」

    ジェンティルドンナも年頃の乙女――そしてジェンティル家の後継者として女の素顔を見せるわけにもいかない
    一方ここはチーム:ブロッサム――同じトレーナーを愛しそっちに興味を抱く年頃の乙女同士気兼ねなくそういう事を詰め寄れる

    「あ、あの私ならこう――おっぱいなくても色々頑張って本番まで3回はできるしシたいしその後本命レースでも5回はしてもらえるといいなって思うんです! できそうですか?」
    「ブーケちゃんすっごい元気🌸 でもクリークさんとホントにシちゃったなら私たちもオーケーですよね🌸」

    とても男子には聞かせられない生々しいガールズトーク
    以前トレーナーは俺の居ないところで話せと憤慨していたが間違いである
    アレでもブレーキが掛かっておりトレーナー無しのガールズトークの盛り上がりはとどまることを知らないのだ

  • 50ちーむ♡ぶろっさむ25/10/20(月) 09:19:30

    「私達の目はごまかせまんよクリークさん!
    今日のクリークさんはツヤツヤしてるしおひんばな雰囲気が混じってます!
    左耳堕ちしちゃったんですね!?」

    サクラローレルも期待に満ちた表情でクリークに詰め寄る
    瞳の宝石のようなキラキラも普段の10倍増しだ
    クリークはあらあらうふふといったようにほっぺたに手をあてて

    「いえいえ、本当にトレーナーさんのメイクデビューを手ほどきしたわけではないんですよ」

    ……ええ~
    落胆するチームブロッサム一同。 ごめんなさいねとクリークは三人に謝りつつも

    「ううん……でも――甘えるトレーナーさんはとても美味しかったです♪」

    がばりと起き上がるチームブロッサム。クリークの話に興味津々
    一体なにがあったのですか!?と三人からマイクを突きつけられ、あらあらまあまあとニコニコしてるクリーク

    「こうずっと私の胸で、好き、好きぃってもうとろけきった顔で私を呼ぶんです……
    クリークだったり――ママだったり、お姉ちゃんだったり♡」

  • 51ちーむ♡ぶろっさむ25/10/20(月) 09:24:37

    ――チームブロッサムに電流走る

    クリークだけでなく、ママ…お姉ちゃんと呼ばせている
    好き好きとずっと甘えてくれている

    「強敵だとは認めていたけれど――スーパークリークさん、ここまでとは思いませんでしたわ」
    ジェンティルは胸の前で腕を組みクリークを敬意と強者と認める表情で見つめ

    「……凄いですクリークさん……私がいくら誘惑しても凱旋門賞ではねのけるトレーナーさんをまさに手のひらでころころなんて」
    サクラローレルもまるでナリタブライアンを見るときのようにスーパークリークを見つめる

    「なんて破廉恥……これがでちゅねの魔王……そうなんですねスーパークリークさん!」


    「それで私も我慢できなくて、ほっぺやおでこや耳や首にいっぱいキスしてたら――トレーナーさんすごく切なそうに震えちゃってて――ちょっとわたしもゾクゾクってしちゃって、構わず続けてたら
    ――こう、びくびくん。って痙攣したようにふるえちゃいまして」

    「ええええええええええっ!?」

  • 52ちーむ♡ぶろっさむ25/10/20(月) 09:30:55

    「ま、まさかスーパークリークさん、貴女……」
    「キスだけでゲートイン前からトレーナーさんをフライングさせたというんですか!?」
    「そんなっ!? やっぱりおっぱいおっきなお姉さんに私たちは勝てないんですか!?」

    しかしそんな三人もキャーキャーと滅茶苦茶大興奮である
    クリークはいえいえ、とニコニコ笑顔のまま

    「わたしも詳しいわけじゃないんですけど……変な匂いもしなかったですし
    それに夜はそのままわたしを送ってくださったので暴発じゃないと思うんですよ♪」

    おお、と三人の声が重なる――しかしクリークはゆびを立てつつ

    「アレは暴発はしてないけどちょっと痙攣してトんでたので――私たちみたいなトびかたをしちゃったのではないかなって思うんですよね~♪ うふふ、トレーナーさんって左耳堕ちの素質あるんじゃないかしら~♪」


    ――っきゃああああああっ♡♡

    トレーナー室の外にも響くような黄色い声を上げる一同
    きゃいきゃいと今度はどうやってトレーナーさんをせめようかの相談を始める担当達
    これ以上はお見せできないえっぐい会話でチームブロッサムは今日も盛り上がっているのである

  • 531◆qxc6n.SpgKwJ25/10/20(月) 09:33:15

    少しQKします
    ※このSSはフィクションであり多くの原作崩壊、キャラクター崩壊を伴います。 同人によくあるそれなのですべてを許せる方もそうでないかたもご注意ください※

  • 54二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 09:48:38

    涙腺と腹筋とTNKにくるSS

  • 55二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 10:07:40

    頭ぶろっさむな担当たちに恥ずかしい体験をシェアされる共有財産(闇トレ(絶倫))
    いいぞもっと幸せになれ

  • 56二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 10:22:57

    ジェンティルまで頭ブロッサムかよお

  • 57二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 10:39:31

    手のひらで転がされていたのは結局闇トレのほうだったか

  • 58二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 12:04:22

    年末大晦日
    URAセレクション会場
    年末恒例のURA最優秀ウマ娘を選出する有馬記念とは別のURAの最後の祭
    俺達は会場の各チーム控室に集まっていた
    勿論一時的とはいえチームブロッサムの一員であるナリタブライアンも一緒だ
    控室に運んできたパーティ会場のオードブル
    主に肉をかじりながらモニターをながめているナリタブライアン

    今日はナリタブライアンが主役だろう
    URA史上でもわずか5人目の三冠ウマ娘――菊花賞では日本レコードで勝利
    有馬記念では実力振るわず3着だったがレースの内容も実績も今年一番だ

    ――しかし、私までいいのか?

    胸元で腕を組みながら俺に声をかける芦毛のウマ娘がいる
    天皇賞秋で不幸ながら屈腱炎を発症したシニア最強のウマ娘
    ナリタブライアンの姉――ビワハヤヒデだ
    引退まで彼女を引っ張っていたトレーナーもビワハヤヒデと一緒に俺達の控室にきている

  • 59二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 12:12:42

    ナリタブライアンのトレーナーは限界までの精神的な衰弱
    専門医の診断ではまともにトレーナーの「フリ」をできてたどころか発狂してても可笑しくなかったのではという事だった。 勿論このセレクションに参加などできるわけがない
    ブライアン曰くテレビでこのセレクションを視聴しているらしいがそれではナリタブライアンのエスコート役がいないのだ。
    シニア最強のウマ娘であったビワハヤヒデ、そしてその妹は最強を証明したナリタブライアン
    これ以上の絵になるエスコート役はいないだろう
    残念ながら俺の出る幕ではない

    ――それにしても

    今――最優秀ジュニアウマ娘が発表された
    ホープフルステークスをジュニアレコードで圧勝したコントレイルが最優秀ジュニアだ
    メイクデビューとホープフルSのみの実績だが今年の実力ウマ娘が揃ったホープフルで全員をちぎる圧倒的な勝利
    それがコントレイルに票が集まった理由らしい
    なのだが

    ――2位にジェンティルドンナ! おいジェンティルあれ見ろジェンティルが2位だしかもかなり得票!
    ほら見ろあれあれあれあれ!

    俺がジェンティルの肩をつかみ一生懸命指差すがジェンティルは相手にもしてくれない
    わたくしが必要なのは勝利のみ――惜しかったねなどという2位に価値などありませんわ
    とあっさり一蹴されてしまった
    えー……すごいじゃんなあ最優秀ジュニア選出会で2位の得票ってほんとすごいと思うんだ

  • 60二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 12:19:30

    わたくしが求めるのは最強――そしてその証明。
    2位など最下位同様に無意味
    わたくしが求めるのは強者に打ち勝ってこそですわ

    ――ねえそうでしょう? ――ナリタブライアンさん

    ジェンティルはまっすぐにナリタブライアンを見据えている
    有馬記念では振るわなかったが菊花賞までの走りは本物だ
    獣を思わせる前傾姿勢に偏ったあの走法――菊花賞ではそれを更に進化させた

    ――出来ることならば本来の走りに加えて……もっと進化した貴女に勝ってこそ真の強者
    ――最優秀ジュニア選出で2位になるより貴女を打ち倒すほうがよほど価値があるというもの
    ――できる限り早く復活なさいな……『怪物』様?

    挑発するようにジェンティは笑い……ようやくナリタブライアンは顔をあげ、視線をぶつける

    ――なんだアンタ。 この肉はやらんぞ、私のだ

    皿に山盛りのローストビーフを隠すようにかばいつつモシャモシャと肉を咀嚼している
    多分ジェンティルの言葉なんか何一つきかず肉に集中してたんだろうなあ……この肉食児童は

  • 61二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 12:26:56

    最優秀ジュニアが終わったと言うことは――次は間違いなくナリタブライアンの出番だろう
    順序として各世代最優秀ウマ娘を先に発表
    その後受賞したウマ娘たちのお披露目会となる
    クラシックやシニアの世代最優秀ウマ娘達が集い――その中で今年の年度代表ウマ娘が決まるのだ
    かなりの高確率でシニアはビワハヤヒデだろう

    ふと――モニタを睨みつけるように見つめるカレンブーケドールに気づいた
    最優秀ジュニアのきらめくボードをじっと見つめてる
    ……そんなものに興味なんか本当は無かったクセに
    きっと俺のために最優秀ジュニアを取りたくて――穫れなくて悔しかったのだろう
    多少の自惚れもあるがブーケは元々栄誉名誉に執着のあるタイプではない
    だが
    今はきっと悔しい理由はそこではない

    ――コントレイルに奪われたのが悔しいのだろう

  • 62二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 12:32:15

    コントレイルは今回の受賞に関係なく来年の中心になるだろう
    クラシックは彼女を中心に廻り秋冬にはシニアをも巻き込んでコントレイル一色になることもあり得る
    ――すごいよな、コントレイル
    俺はなんとなしに呟く
    圧倒的な強者――戦うことすら無意味に思えるほどの実力
    現状では誰一人届かないたった一人の高みに立つようなウマ娘だ
    来年のクラシックはクラシック路線そのものを回避するウマ娘も多いのではないだろうか
    ――凄いよ
    ――そんなコントレイルに勝とうとしてる奴らがここに三人もいる
    ――全員勝つつもりでいるんだ、こんな凄い事ってあるか?
    俺はブーケの肩を叩く
    俺も必死にやる――今まで以上に辛いが、勝ちにいくぞ――クラシック路線

  • 63二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 12:38:27

    ――今年の映えあるクラシック代表ウマ娘
    ――史上五人目の三冠を達成、菊花賞で日本レコードを更新したナリタブライアンさんです!

    ……知ってた
    ハイハイかいさーん。 知ってた知ってたーそうだよね有馬だけじゃだめだよねかいさーん

    ――オイ、アンタ――もうちょっと祝福しろ

    するわけねえだろ、ここにいるのはそのナリタブライアンに辛酸なめさせられたサクラローレルだぞ

    ――すごいよブライアンちゃん、おめでとう!やっぱりブライアンちゃんはすごいよね!

    してたわ、そのローレルが。 忘れてたこいつ滅茶苦茶ブライアン推しなんだ
    マジでブライアンオタクみたいなタイプだったわ、推したいのか倒したいのかはっきりしろ

  • 64二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 12:45:27

    ――フン、まあ良い行ってくる。 面倒なだけだけどな
    さすが生徒会副会長の一人。 ものぐさでサボり癖があるとはいうがやるべき時は心得てる
    とはいえ控室から会場に向かおうとするブライアンを呼び止める

    もう少しまってやれ――お前の自慢の姉貴を

    ナリタブライアンの選出理由やその華々しい実績のテロップが流れ――
    そして今年のシニア代表ウマ娘の発表にブライアンがモニタの前に立つ
    文句はあるまい――天皇賞で故障をしたとはいえ、日本中が散々『怪物』との対決を有馬で夢見たウマ娘なのだから

    ――映えあるシニア代表ウマ娘は本年度だけで重賞四勝、うち天皇賞春と春のグランプリ宝塚記念を制したビワハヤヒデさんです


    ――ナリタブライアンは無言のまま――
    しかし彼女の拳が喜びにぐっと握られた事は黙っておこう、藪蛇というのはあるものだ

  • 65二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 12:52:16

    ――おめでとうビワハヤヒデさん。 故障が本当に勿体ないですわ――貴女にも勝ちたかったのに

    ジェンティルはあらかじめ俺達が準備していた花束を渡す
    サクラローレルはナリタブライアンに――ジェンティルドンナがビワハヤヒデに
    姉妹揃って花束を持っての入場――多少は絵になるだろう

    ビワハヤヒデのトレーナーと俺は固い握手をする。
    一人の後輩トレーナーとしてビワハヤヒデのトレーナーを称賛し、そして祝福する
    ビワハヤヒデのエスコートをビワハヤヒデのトレーナーに
    そして今日来れないナリタブライアンのエスコートは姉であるビワハヤヒデに任せよう
    ナリタブライアンもサボり癖がある程度で決して不良生徒ではなくむしろ優等生だ
    こういう場へのわきまえもあるだろう

  • 66二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 12:59:44

    ビワハヤヒデとトレーナー、そしてナリタブライアンは控室から会場に向かい

    急に寂しくなる控室
    一応チームブロッサムは揃って入るが今回の選考会にはもう関係のないチームだ
    ……
    ……帰るか――いやいや流石に最優秀ウマ娘に選出されて
    ――おめでとう、んじゃ!
    というわけにもいくまい。 今ナリタブライアンはチームブロッサムの一員なのだから

    俺達は選考会――セレクション会場のホールに向かう
    芸能界の大御所の結婚式のようにいくつもの大きなテーブルが並ぶ巨大なホール
    テーブルにはいくもの料理と飲み物が並んでいる
    一応は今はすべてノンアルらしい――が選考会がおわるとURAと関係者たちの忘年会のパーティもするとか
    ……すっげーな、こんな会場で選ばれるとかやっぱえっぐいわ

    ――おのぼりさんのようにキョロキョロしてしまう
    本来自分のような新人のトレーナーとは無縁の世界だが一応は俺もGⅠ勝利ウマ娘を2人も輩出したチームのトレーナー
    しかもG2G3の勝利も今年だけで経験している

    ――あれ?
    ――ひょっとしてだけど今年の俺ってチームとかトレーナーとして凄いんじゃないのか?

  • 67二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 13:06:00

    ――ひょっとして、どころか数々の名伯楽が貴方と握手をしにきたでしょう?
    とジェンティルドンナが深いため息をつく。 本当に何も知らないんですのねこの男は、というため息だこいつ

    ――いい? こういう場で実績があったり名が知れてる方が向こうから挨拶をしにくるのはちょっとでも貴方とコネクションをつなぎたい……自分の名と顔を覚えてもらいたいからよ
    ――コネクションは社交界では血の一滴、それを流す大河と心得なさい

    ……
    ……要はさっきから握手を求めに来た凄い方々は俺がちゃんと皆のトレーナーだと分かって握手を求めに来てると?
    おっ、あいつなんか若いにーちゃんやな頑張ってそうやちょっと握手しとくか!じゃなく?
    俺の質問にジェンティルは本当に――本当に深いため息を吐いた

    ――貴方ね、ちょっとは社交界を勉強しなさい
    ――全部とは言わないから今日来た方々の顔と名前が一致するぐらいはあとで復習なさいな

  • 68二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 13:11:28

    確かにそうだ
    名伯楽に企業の重役――いつどこで彼らの力が必要になって誰がどこで力になるかわからない
    すまん、わかった全部ちゃんと覚えて一致させとく
    ――そういう俺にすこし目を開いてジェンティルは不思議そうに

    ――全部? 全部ちゃんと名前と顔が一致しますの?
    するに決まってるだろなんなら企業の方は役職までばっちりちゃんと覚えてるぞ後で全部メモしておくわ
    ……なんかチームのメンバーから凄い顔で見られている。なんだコイツ? みたいな顔
    ははーん……お前ら忘れてるな? 俺は一応天才ではあるんだぞ崇めろ
    俺の言葉にクリークだけが「まあまあまあ♪トレーナーさんは凄いですねえ♪」と撫で撫でしてくれて
    ローレルとブーケはそう言えばそうでしたね、うーんと再度俺の顔をみて納得できてない
    ジェンティルは物凄く納得が言ってなさそうだ
    まってよ、俺今年いっぱい頑張って皆をつよくしたよね?
    ねえねえ俺一応天才なんだってばー
    ――あんまり相手にしてもらえなかった

  • 69二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 13:16:33

    そっか、俺ちょっとは注目されてるのか
    ――実は
    ――それは俺の誤解だったのはすぐにわかる
    俺はちょっと世の中を知らなすぎたらしい

    ともかく
    鳴り止まないシャッター音
    きらびやかなホール、その中で祝福を受けるコントレイルとナリタブライアン…そしてビワハヤヒデ
    それらが一段落した時
    ――皆様ご静粛にお願いします
    とアナウンスが入る

    ――ただいまより、URAの年度代表ウマ娘の発表を致します

    きたな――年度代表ウマ娘
    今年もっとも活躍し輝いた最高の栄誉――すべてのウマ娘の憧れ
    アナウンスの方がゆっくりと封筒を開き

    ――今年の年度代表ウマ娘はクラシック三冠を達成したナリタブライアンさんです

  • 70二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 13:20:45

    わっとホールを埋める拍手
    俺達も惜しみない拍手をする
    年度代表ウマ娘の栄誉は――
    ――同時に、今学園で最強はだれか――ということだ
    その座に立つものが来年は学園全員からライバルとして見られる
    最強の座を求めるもの――たった一つのGⅠ 重賞を勝ちたいと心から願うもの
    ――その最強を打ち倒す事を夢見るもの
    全てから狙われるのだ――だからお前はさっさと復活しなきゃいけないんだよ怪物

  • 71二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 13:46:47

    ナリタブライアンは俺が予想してた何倍も立派に最優秀ウマ娘の栄誉をえたことの感謝を発表していた
    さっきまでジェンティルに「この肉は私のだ」と言ってた女か?アレが
    日本中が来年のレースシーンはコントレイルというニューヒーローとナリタブライアンという最強の三冠との対決を夢見ることだろう
    ――しかしそれは敵わない
    ――カレンブーケドールが、スーパークリークが――そしてジェンティルドンナがいる
    ――サクラローレルがナリタブライアンに本当の意味で打ち勝つ
    それが来年のURAだ残念ながら皆々様の予想は大外れだ
    と勝手に俺は鼻でふふんと笑いながら眺める

    ナリタブライアンは壇上から降り、ここから運営への表彰が流れる
    まあこの先はなんというかおまけで殆どはパーティホールで皆思い思いに談笑したり
    その中のラジオのようなものだ

    ――続いて今年のチームトレーナー特別賞、新人賞を発表致します
    ――2年居ないのフレッシュな新人トレーナーで特に映えある実績を収めた今後に大きな期待のかかるトレーナーへの賞となります

    はーん、うちも結構頑張ったし俺にもなんか賞くれよ。 一応新人かつ天才なんだよ
    ――うちのやつらだーーーれも相手してくれないけどさ

    ――今年初の新人ながら重賞を4勝、うちG1は2勝
    ――今年のグランプリ有馬記念を勝利したサクラローレルさん・そして阪神JFの勝者となったジェンティルドンナさん
    ――それらをまとめるチーム:ブロッサムのトレーナーさんが特別賞新人賞を獲得しました
    ――おめでとうございます

    ……え
    ……はい?

  • 72二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 13:52:49

    ホールを拍手が降り注ぐ
    あまりに沢山の視線と急にあびせられるスポットライト
    俺はぽかーんとした間抜け面でそれを一身に浴びていた

    ――あら、良かったじゃない天才トレーナーさん。 URAも認めてくださってるわ
    ――あらあらまあまあ♪すごいです~トレーナーさん♪

    ――聞いてない!
    あれだろ、こういうのは大体がデキレで事前に決定したのを受賞者に伝えておいてスピーチだとか準備させるだろ!
    一応競技者だからってことでウマ娘にはその場まで知らせないのは分かるがなーーーんも聞いてない!
    いやだから――これがあるのが関係者には分かってたからやたら挨拶と握手を求められたのか!
    くそ、ちょっとどころじゃなかった!
    俺はその場でぺぺぺぱっと髪を両手でととのえ襟をただし
    ゆっくりと壇上に上がっていく
    あまりに手際の悪い俺の動きに、会場の司会者がこっそりマイクを切って

    ――あの、もしかして連絡いってませんか?

  • 73二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 13:56:16

    ――はい、全くスピーチ準備してません
    という顔とサインでコクコク頷く俺に司会者はあっちゃーという顔をする
    表情とこの反応的にたまにある事故なのだろう。 まあしょうがない、毎年コロコロ人が変わる授賞式なのだから
    問題はそのたまたまが俺にきたということだ

    ――スピーチこまったら目線と壇上指でトントンしてください、水むけますので

    すげえ、この司会者さん滅茶苦茶有能!!!
    困ったら俺になにか質問をくれて話をうまいことアレしてコレしてありがとうございましたーで終わらせる気だ
    いいぞ司会さん京都四角のような最高のトリックプレイだ!

  • 74二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 14:07:18

    さて――有馬より天皇賞春よりステヤーズステークスよりハードなハードな俺のレースが始まった
    ホールを見渡し見下ろす壇上からすごい数のカメラが見えるしシャッターがピカピカしてる
    うわあ……ウマ娘ってこういう場で走ったりライブしてんのか……すげえなあいつら
    なんて正直に思いながら――俺はマイクを取って

    ――サクラローレルさんの有馬記念、また阪神JFでのジェンティルドンナさん。 おめでとうございました。
    ――共に素晴らしいレースでしたがどうでしょうか?

    司会者の質問に無難に、無難に答えていく
    ちらりとチーム:ブロッサムの方を見たらジェンティルドンナがすっごいすっごい意地悪な顔で肩をすくめてた
    やばいよやばいよジェンティル助けて俺みたいな一般庶民がこんな壇上あげられるとか実質ギロチンだよ

    ――なんと今年3人のジュニアウマ娘を担当し阪神JF意外にも――3人すべてのウマ娘がメイクデビューで勝利をしています、勝ち上がり10という素晴らしい結果を出しました

    この司会者の言葉に少々ホールの空気が変わる。 トレーナー関係者がしっかりと俺を見始めた
    実際のとこまあそりゃ凄い成績だろうなと思い返してみる。3人をメイクデビューで勝たせるって実際凄い気がする

    ――またトレーナーさん御本人もトレーナー資格を特例で受け合格し若干21歳の天才トレーナーとして今後が期待されてます。来年はクラシックになる三人やシニアにあがるサクラローレルさんが居ますが来年の抱負などはいかがでしょうか

    うーん……うーん……
    俺はマイクをうけとり――まっすぐに前を向いた
    無難に無難にスピーチを終えようとしてたけど――チーム:ブロッサムは俺を見てるし
    ナリタブライアンも俺を見てる――さらにコントレイルもまっすぐ俺を見ていた
    俺、チームの四人には嘘はつかないって決めちゃったしさ

  • 75二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 14:18:49

    今回はこのような栄誉を預かり光栄に思います
    俺は見ての通り子供ような若造です――そりゃ21でトレーナ試験合格って珍しいと思います
    でも俺自身ただのぺーぺーのトレーナーです
    メイクデビュー三人が凄いのも三人の才能だし
    今年ナリタブライアンを追い詰めたサクラローレルも俺が考えるよりずっとずっと耐えて頑張ってくれました
    たった一年で奇跡なんか起きないんです――だからこれは全部偶然で――俺じゃなくて彼女達が凄いんです
    彼女たちは才能の塊で、皆それぞれ苦労とか悩みがあって最初は埋もれそうでした
    でもそれがなかったら全員超一流で、最初から才能が凄かっただけです
    俺がなにかしたわけじゃないんです。 才能があったんです

    俺はチーム:ブロッサムの四人を見つめる
    俺はこの四人におんぶ抱っこしてるだけだ
    本当に凄いな、と思う

    俺はまっすぐ前を見る――視線の先のナリタブライアンとコントレイルを見据えて

    ――ですが、2年目は違います。
    才能をきちんと努力で開花させたならそれを飛躍させるのはトレーナーの責務です

  • 76二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 14:25:34

    俺は確かに彼女たちの才能に任せた結果ここに立っています
    ですが来年――シニアでサクラローレルはナリタブライアン、ヒシアマゾン――多くのシニアと戦います
    ジュニアの三人はそれぞれティアラ路線、クラシック路線を走ります
    ここからは彼女たちだけでなく俺が彼女たちを勝たせる必要があります
    ナリタブライアンもコントレイルも――チーム:ブロッサムが戦い、勝つべきライバルです
    チーム:ブロッサムの四人には才能があります。それを勝たせられないならトレーナーである俺の責任です
    だから俺は必死にあいつらを見てトレーナーやっていきます
    もし――そんな新人のぺーぺーに力を貸してくださるトレーナー、関係者の方がいるなら
    どうかご助力、ご指導よろしくお願いいたします。

    俺は――来年コントレイルとナリタブライアンに勝ちたい

    俺は会場に深く頭を下げる

    そのためにはどのような事もしていく所存です。どうぞ皆様も俺に力を貸して下さい

  • 77二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 14:32:05

    ――ほんと、不器用っていうか貴方……司会者の方困ってたわよ?

    うるさいよ、俺だってほんとは無難に終わらせたかったんだ
    俺は出迎えてくれる四人に各々勝手な感想をされる
    俺はコントレイルにもナリタブライアンにも勝ちたいんだ
    だが俺の理論知識だけでは不可能かも知れない
    誰かの知識理論が必要になるかも知れない
    トレーニング場を1日ゆずってくれと頭を下げる時がまた来るかも知れない
    その時
    ――こいつナリタブライアンとコントレイルをたおしたいんだっけか
    そう思い出してくれたら……それはバカバカしいけど見てみたいと、そう思ってくれるかも知れないじゃないか

    ――それで壇上で頭をさげるのね、本当に愚直

    それでもジェンティルはそんなに怒ってなさそうだ
    俺の手をぎゅっと、カレンブーケドールが握る

    ――私……私クラシック頑張ります! 来年こそ勝ちます!
    ――ふふ、私は来年こそブライアンちゃんに勝って――凱旋門賞だね♪

    各自各々の目標はもうきまっている
    ティアラ三冠
    凱旋門賞
    クラシック――あのコントレイルに勝つこと

    くそ、ああ、クソ――なんかとんでもない四人を拾ってしまった
    すごいな俺――本当にお前らとであえて良かった

  • 78二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 14:36:26

    年度代表ウマ娘を祝して焼肉屋で大騒ぎをして
    大晦日のニ年参りに向かう
    ナリタブライアンとビワハヤヒデも一緒だ
    ふたりともしっかりと晴れ着をとめて着こなしも足元もしっかりしている
    ――ひょっとしてふたりともかなり育ちはいいのだろうか?

    神社の階段を人混みの中一緒に上がっていくと――除夜の鐘が鳴った

    ブライアンも含め全員の目標も願い事もきまってるだろう
    神社に着いて、お賽銭を投げ――殆したことのない神頼み

    ――どうか、四人が怪我なく健やかに――幸せに走れますように

  • 79二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 14:44:14

    ――トレーナーさんは何をお願いしましたか?
    サクラローレルがそんな事をきいてくる
    まあ無難に皆が健康に怪我なく走れますように、って感じだと
    聞くまでもないが皆に願い事を聞こうとして――ふと気になった

    ――ビワハヤヒデとナリタブライアンの願い事はなんだ?

    きょとんとした顔の姉妹は少し恥ずかしそうな顔をして
    ビワハヤヒデは
    ――やはり――ブライアンが強く健康であるように――勿論以前の走りを取り戻してだがね
    ナリタブライアンは
    ――――
    なんだ、ブライアンは願いなしか……そもそも目標レースも知らないが俺等

    ――その、トレーナーが……私のトレーナーが……前みたいに笑ってくれますように――って

    ……ぶわっ!
    ブライアンがこぼしたお願いにチーム:ブロッサム全員の涙腺が崩壊する
    そうだよな、こうなってもブライアンはトレーナーの事慕ってるよな
    よし待ってろ俺ちょっとそれも神様にお参りしてくる

    ――あらあら、あらあらあらあら♪ ブライアンちゃんお女の子なんですねえ♪
    ――ブライアンちゃん、私も応援するねブライアンちゃんの恋のレース!
    ――あの、あのあのブライアンさん……その、トレーナーさんとはどこまで進んでますか?
    ――まちなさいブーケさん、こういうのはもうちょっと上手く聞き出すべきだわ

    かしましい……本当にかしましい
    きゃいきゃいと恋バナに食いつくチーム:ブロッサムに戸惑う姉妹にごめんなーこいつら頭ブロッサムだからと謝りつつ俺達はお参りを終え甘酒を飲んで――正月を迎えた

    ――今日からクラシックだ

  • 801◆qxc6n.SpgKwJ25/10/20(月) 14:45:21

    QKします

  • 81二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 14:56:07

    更新お疲れ様です。
    トレーナーやっぱなんか所々熱いものを持ってると感じます。

  • 82二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 15:12:53

    更新乙なんだヨ
    濃さも量も半端なくていつも楽しみにしてる

  • 83二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 15:26:25

    >>82

    まるでトレーナーの…いやここから先はやめとこう

  • 84二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 16:03:50

    このSSいつも深い闇とかのシリアスだったり熱いレースだったりギャグだったり微エロだったりブロッサムだったり色々あってすごいな

  • 85二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 16:20:46

    クラシック1月
    厳寒の中俺はそんな寒さも冬の鉛色も吹き飛ばす春のような足取りで廊下をスキップしていた
    ふっふふーん♪ふっふふーん♪ふっふっふーん♪
    くるくると回りながら俺はトレーナー室の扉を開き
    やあやあ愛すべき我がトレーナー室よ。 今日も一日はりきって行こうじゃないか!

    ――と、見事五人が揃っていてそんな浮かれぽんちな俺を見られた

    ……
    ……
    しばしの静寂
    とてもとても呆れ果てたジェンティルの表情
    クリークすらなにやらとても心配そうにこちらをみている
    ブーケはオロオロと周囲の反応や様子を伺って
    ローレルも少し呆れた顔をしている
    全員が――どしたんコイツ…?と思っているのは間違いない

    ――なんだ、良いことでもあったのか

    ……ブライアン
    ……ブライアン!
    俺はすごい勢いでブライアンの手を両手でつかみブンブンと振っていた
    それだよ!それ! 俺思ってたんだよ
    最近俺への目がどうにも冷たいって思ってたんだよ!
    俺が欲しいのはそれ、当たり前のような俺への言葉!さすが三冠ウマ娘!

    ――と、結局は四人のように呆れ果てた顔をブライアンにもされた

  • 86二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 16:30:46

    ――月間トゥインクル年末新年増刊号……ですか?
    URAの情報誌として根強いファンの多い月刊誌だ
    個人的にもかなり中立的な立場を貫きつつ個々の深いとこまで切り込む記事が多く毎月買っている
    そして今回は――誇れお前ら
    ――今年躍進をとげたチーム:ブロッサムの若き天才トレーナーの特集! ででん!
    今注目のトレーナーの一人、新人気鋭としては現在もっとも期待されるトレーナー
    はっはー、天才だものなしょうがないよなーインタビューにもいっぱい答えちゃったよ

    ――特集? たった2ページが?
    ――まあ……新人トレーナーが2ページも特集ってすごいと思いますよトレーナーさん!どんまい♪
    ――あの、あのトレーナーさんこの乙名史って記者さん女性ですよね?ですよね?
    ――まあまあトレーナーさんちゃんと取材うけれましたか? 今度わたしが一緒にとなりに居てあげますね♪

    お前らはもうちょい俺を敬え!全国誌のトゥインクルだぞ!
    結構すごいんですー!これまじめにほんとにすごいんですー!

    ――でもこれわたくしとローレルさんのGⅠ勝利が無かったら絶対なかったですわよね
    ――ですよね♪ トレーナーさん浮かれちゃって可愛いです♪
    ――まあまあ♪トレーナーさん♪ わたしはトレーナーさんの味方ですよ?
    ――は、はいすごいですトレーナーさん! でもやっぱりこの女狐さんが私気になります!

    こいつら――俺の記事に何一つ興味をしめしてくれない
    くそ、くそくそくそくそ!
    いいもん
    俺一人でこれ見てニヤニヤしてくる!絶対ついてくんなよ俺喫茶店にでも入り浸ってくるからな!

    俺は多少の憤慨を覚えつつトレーナー室をあとにした

  • 87チームブロッサム25/10/20(月) 17:01:53

    「……おい、出ていったぞあいつ」

    呆れたようなナリタブライアンの声
    トレーナー室にトレーナーとして来たのに雑誌を握ったまま掛けていってしまった

    「子供みたいだなアイツ」
    「――みたい、ではなく子供なのよ」
    「ふふ♪ ほっぺたぷくーってしてましたねトレーナーさん♪」
    「きっと雑誌読み飽きたら返ってくるので、お茶の準備をしておきますね」
    「うふふ、トレーナーさんよほど嬉しかったんでしょうね♪トゥインクルの特集」

    各々はマイペースだ
    ナリタブライアンはAPR……トレーナーと専属だからチームの距離感というのはちょっとわからないが
    一つだけわかるのはこの四人はトレーナーが子供だからからかっていて

    ――まあトレーナーの事はそれなりに好ましく愛おしく思っているのだなと

    「なあ――せっかくあんなに喜んでいるのだから話にのってやればどうなんだ?
    ――アンタらだって一人一冊買って読んでるぐらいにトレーナーの特集に喜んでいたじゃないか」

  • 88チームブロッサム25/10/20(月) 17:08:46

    新しい雑誌だがもう折り目が着くぐらいに四人のトゥインクルは読み込まれていて
    きっと何度も何度もトレーナーの記事を読んでいたのだろう
    さっきまでの四人は凄く優しげで愛おしいものを見るような目で雑誌を見つめていた
    それなのにトレーナーが来たら雑誌を隠して浮かれているトレーナーをちょっと虐めて

    「ねえブライアンさんご存知? 可愛い子ほどいじめたくなってしまうものなのよ」
    「あーわかります。 好きな子ほどいたずらしたいとか意地悪したくなっちゃいますよね♪」
    「うふふ、ちょっとだけわかっちゃいます♪トレーナーさんすぐムキになっちゃいますし♪」
    「ふふっ♪ ほんとに今日のトレーナーさん子供みたいでしたね♪」
    「そんなものなのか」
    「はい、それにああやって私達に遠慮なく感情をぶつけてくれるのがちょっと嬉しいんです♪」
    「ブライアンちゃん、トレーナーさんはあんなに子供っぽくて毎日毎日あんな感じで一生懸命なんだよ♪」

    ――楽しそうだなこいつら
    トレーナーが涙目で出ていってるのに心配はせず、しかしトレーナーの事は好きなのか
    ナリタブライアンとブラトレとは違う関係にふうん、と鼻を鳴らす

  • 89チームブロッサム25/10/20(月) 17:17:25

    それに――とジェンティルが雑誌に視線を落としつつ

    「有名になりすぎてもちょっと困るの、私たちにとっても」
    「? 良いじゃないか別に……有能なのだろう?」
    「ううん、実力は間違いなくすごいと思うんですが」
    「うんうん、私だって去年の1月には引退しようとしてたしね」
    「私もぜったい――トレーナーさんじゃなきゃこんなに強くなれてないです」

    ますます分からない
    若くして実力があってウマ娘に慕われる良いトレーナーではないか
    自分たちのそんなトレーナーが雑誌で取り上げられ新人賞を獲得して有名になるのがなぜ困るのか
    自分はクラシック最優秀賞と年度代表ウマ娘に選ばれたが姉貴がシニア最優秀賞を獲ったのは誇らしいし嬉しかったのだが

    「……そうね、名声、名誉……有名になること自体は嬉しいの
    でも――有名になってしまうとね」
    「――なってしまうと」

    「――他のウマ娘も放ってはおかないでしょう? あと若い男が好きな成人のヒトミミとか、ウマミミとか」
    「うふふ♪ ブライアンちゃんも三冠ウマ娘と年度代表ウマ娘――新入生も在学生も放って起きませんよね♪」
    「ブライアンちゃん!恋のレースに余計なライバルは出走させちゃ駄目なんだよ!」

    ――ブライアンさん、想像してみてください
    ――あなたのトレーナーさんが有名になったせいで担当契約を望むピチピチの新入生を

  • 90チームブロッサム25/10/20(月) 17:23:20

    ――それ――は――!

    ブライアンの脳に電流走る
    カレンブーケドールはじっとブライアンを見ながら続ける

    ――あなたのようなおっぱいおっぱいのウマ娘ではなく控えめで可憐で清楚な乙女
    ――そんな美少女があなたのトレーナーさんを誘惑するんです
    ――私はブライアンさんのように三冠はとれないけど
    ――トレーナーさんをいっぱい、気持ちよくさせちゃいますよ――と

    ばんっ!
    テーブルを両手で叩くナリタブライアン
    その表情はあの菊花賞の最終直線のようだった

    「そんなのは――駄目だ! 私はトレーナーを獲られたくない!
    寝取られたといって寝てから言えとか言われたくない!」

    「――でしょう? 正直かなり子供っぽいけどあの人21なのよ、しかもビジュアルだって悪くないわ」
    「むしろちょっと幼さ残ってる感じのイケメンですよね」
    「それに全部にひたむきでまっすぐで……」
    「あの人の優しい所がバレたら絶対泥棒猫が――泥棒猫が」

    「ね? だから有名になるのも困るしあまり調子に乗ってほしくないの――本当はもう少し褒めてあげたいのよ?」
    「よく分かった、わたしも肉とトレーナーを奪われるのだけは嫌だ……」

  • 91チームブロッサム25/10/20(月) 17:29:26

    「でも実際1年目でこの成績ってすごいですよね」
    「メイクデビュー3戦3勝――GⅢとGⅡ ジュニアGⅠと有馬記念だものね」
    「最近名門のトレーナーさんがご挨拶にくるんですよね」
    「あれご挨拶じゃなくて引き抜きよ? 名門チームの正規トレーナー」
    「あらあら……トレーナーさん、本当に大丈夫なのかしら?」

    勝ってあげたい――そしてトレーナーに栄誉と名声をあげたい
    喜んで欲しい――勝利をプレゼントしたい
    そうは思うがトレーナーの地位が上がればあがるほどに周囲におじゃま虫は確実にふえるのだ
    ジレンマを抱える乙女たちは、はあ、とため息をついた

  • 92二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 17:36:06

    俺だって頑張ったじゃん!
    毎日毎日必死にさ、そりゃ1年目だし? 至らないところはあるだろうし?
    そりゃ俺みたいな世間知らずのクズなんかだしさ、わかるさ!
    でも雑誌にのったらちょっとは期待するだろう?
    ――トレーナーさんすごいね、頑張ったね
    って――そう思ってしまうのは俺が幼稚だからなのか

    もー

    俺はトレセン学園に戻りつつ――大きなコース上の土手を見つめる
    ――ここ――ローレルと会った場所だ
    ローレルがこの土手に座り込んで泣いてたんだ
    俺は土手に体育座りのように座る
    そういや1月だ――あの日もすっごく寒かったな

    サクラローレルはあの頃は600mすらまともに走れなくて
    すぐに脚を壊して走るのを辞めてた
    見るたびにずっと――脚が脆いのになんで平地をひたすら走らせてんだ
    もったいねえなってずっと思ってた
    たまーに脚の調子が良い時に1200mぐらい走るとすごく嬉しそうで
    しかもアイツはスパートをずっとしてたのに全然息もあがってなくて
    すぐに2周目に迎えるだけの自力があった

    ああ、本当に勿体なくて――俺が育てりゃ金になるなあと思ってた頃の自分を全力でぶん殴りたい

  • 93二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 17:41:44

    結局偶然――本当に偶然あの日引退を決めたローレルはここに座ってて
    俺と出会って俺が騙して契約して
    脚の弱さを克服するためにプールと、短距離で心肺を鍛えられて速度の出ない坂路を選んだ
    坂路なら脚への負荷も心臓への負荷も高いがスピードはでないから
    脚へのダメージは抑えられて筋肉も走ることで骨にかかる刺激で骨も鍛えられる
    強い筋肉と刺激と栄養で骨を育てて
    靭帯の弱いローレルの脚に強い強い鎧を着せるように
    でも――その間ずっとずっとまともに芝では走れない、ダートでも平地は走れない
    それはとても不安だったろう
    自分がちゃんとレースで走れるか、いつまで我慢をすればいいのか
    もどかしかったろう――
    今のローレルの脚はもうガラスとは言えない、シニアからはもっとハードなトレーニングにも挑戦しよう
    頑張ったなあローレル――すごいなあ

  • 94二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 17:44:49

    俺はぼんやりと誰もいないトレーニングコースを見下ろしてる
    ローレルだけじゃない
    ジェンティルだって、ブーケだってクリークだって
    すごいじゃないか、速いとか強いとかじゃなくて、皆一人一人が頑張って努力して
    自分なりの戦い方を考えて
    凄いな……嗚呼
    ああそうだよな――俺やっぱ対してすごくねえわ
    俺も頑張ったと思うし必死だったけど

    ――あいつらのほうがもっともっと頑張ってるし凄かった
    ――かえろ、それであいつらに謝ろう

    去年の1月――おれはここでサクラローレルと出会い
    そして今年の1月――俺は

    ――ここで拉致された

  • 95二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 17:51:31

    ――チームブロッサムのトレーナー様ですね?

    と黒いスーツの男たちと女たちに囲まれた
    女の方々は背が高くてスーツの背後から尻尾がのぞいてる。全員ウマミミだ
    正直ヤの字のつく方々にかこまれたのかと本気で思った
    それぐらいに雰囲気のある方々だがここはトレセン学園敷地内
    流石にそんな事はあるまいよと思いながら素直に認める

    ――少々お時間を頂きたく存じます

    申し訳ないがパスで。 今ちょっとトレーナー室に戻らないといけないので
    その後でよろしければ話を伺います
    そう俺は丁重に断った、お断り申し上げた

    そしたら拉致られた

    暴力を振るわれてはいないし手荒な真似はされてない
    ただ特別背の高いウマミミのお姉さんにひょいっと担がれ

    ――本当に申し訳ございませんが我々にも時間がありません

    と問答無用で運ばれ――道路のある敷地には黒塗りのセンチュリーだかなんだか高級車がまっており
    そこに丁重に降ろされてしかし即座にドアを閉められ監禁
    そして俺は今

    ――メジロのお屋敷のソファに座っている

  • 96二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 17:56:24

    なんだ、ここ
    天井が高い、天井までの高さって二階建ての天井まで吹き抜けてるぐらいありそう
    吊るされたシャンデリアは俺が見たこともない大きさで
    柔らかい電球色――というより優しい炎のような照明で部屋は覆われてる
    ソファも信じられないぐらいに柔らかいくせにしっかり俺の体重を支えてる
    手で触れると皮というのはこんなにもしなやかで手触りからして俺のような庶民でも高級とわかるのかとびっくりする
    ――なんだ、俺の身になにが?

    俺にはメジロのコネクションもないしメジロのウマ娘と面識もない
    突然拉致されたと思ったら丁重にここに通されお待ち下さいって
    俺こんな高級なとこいたらお腹いたくなっちゃうよお

    ――あら、本当に拉致されてきたのね
    ――お姉様! 失礼ですよ――行き違いがあってあの方は被害者です!

  • 97二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 18:07:02

    ――うあ、すっげ
    ジェンティルドンナもそうであるが
    高貴な身分というのはそれだけで庶民に威圧感を与えるのだろう
    一人は絶世の美女――と表現するしか無い美女だ
    後ろ髪をアップにした黒髪――そこに流星がながれたかのような白の一房
    大人びた雰囲気の美女はその威厳も容姿も学園のウマ娘ではなく人間的な経験を重ねた美女に見える
    しかし――この絶世の美女はトレセン学園の生徒であり俺でも知っているウマ娘だ

    ――ティアラ完全制覇 三冠ウマ娘メジロラモーヌ
    ティアラ三冠だけではなくそのトライアルにすべて出走しそれをすべて勝利
    故に完全制覇――この容姿で学園の生徒であるのも驚きだがその成績はもっと驚愕するに値する

    もう1人は俺は知らないが――こちらも凄い美少女だ
    メジロラモーヌを絶世の美女と言うならこちらは深窓の令嬢というのがふさわしいか
    青く長いロングの髪、清楚で儚げな雰囲気を纏う美少女
    絶世の美女に物語の妖精が現実に出てきてしまったような儚げな美少女
    そんなすっごいウマミミが俺を見つめてる

  • 98二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 18:14:37

    ――本当にごめんなさい! 拉致してこいなんて言ってないのです

    メジロアルダン――そう名乗る少女は平謝りするように何度も頭を下げた
    一方でメジロラモーヌは俺を値踏みでもするかのように俺のつま先から頭までじっと見ている
    メジロアルダンはメジロラモーヌの妹でジェンティルやブーケ、クリークと同期らしい

    ……いや一度も名前を聞いたことがないのはおかしいだろう

    メジロラモーヌはURA初のティアラ三冠ウマ娘だ。さらに言えばティアラ完全制覇――完全三冠とも言われるトライアルも含めたすべてを勝っているトレセン学園のレジェンドと言って良い人物
    その妹がジュニアに居たのならかならず話題に上がっている
    強くても強くなくてもそうだ、弱ければ弱いで「あの完全三冠のラモーヌの妹が入学したがさっぱりらしい」ぐらいは話題になるだろうし
    じっとアルダンを見つめてると、アルダンはすこし照れたように恐縮していた
    ――あ、この子はなんか普通なのかな?
    その隣で俺をじっとじっと見つめているラモーヌはなんかもう強者というか近寄りがたい雰囲気をもっている

  • 99二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 18:19:50

    アルダン加入くるー?確かにアルダンもノリ的にぶろっさむ❤️に居てもおかしくないもんな…
    アルダンを花に例えるとうんまあちょっと思いつかないけど雪花ってところか

  • 100二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 18:20:06

    ――貴方、若いのね

    はい、若いですよ一応21でトレーナーしてますよ
    お姉様!とアルダンがラモーヌをたしなめてる。 すげえなあのラモーヌを叱ってるぞ
    申し訳ありませんと深々と頭を下げるアルダンにいえいえ、良いよ良いよーと優しく声をかけて
    ああ、このアルダンって子はすっごくすっごくいい子なんだなと新鮮な気持ちになる
    なんという素朴というのはおかしいが控えめで清楚でいかにもお嬢様と言った感じで
    なにより凄くいい子そうだ。 それだけでほんわかして許してしまう
    それに――なにやらのっぴきならない事情があるようで
    先程俺を担いでいたウマミミのお姉さんも
    黒ずくめスーツの皆様も
    ――どうにも焦っているような余裕のない表情をしているのだ
    なにか事情があるのは察せるのだが――メジロの事情ってやつと俺がどうしても結びつかない

  • 101二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 18:26:46

    ――お噂はかねがねお聞きしております、チームブロッサムのトレーナー様
    ……まって、もう一度言って
    ――は、はあ……はじめましてトレーナー様……?

    ……なんだ、様って
    トレーナー様? 初めて聞く単語なのになんだこの高鳴りは
    うん、満足しました――すいませんアルダンさん続けて下さいと続きを促す

    ――私をご存じないのも当然です。 私は身体が弱く学園に入学直後に休学をしておりました
    12月に復学したばかりでして、まだまともにトレーニングすら組めておりません

    ……1年近く休学で潰れたのか、それは大変だし辛いな

    本格化

    ウマ娘の能力が大きく跳ね上がる時期の事だ
    基本的にウマ娘は年齢ではなくこの本格化が認められた時に学園に入学しURAに登録する
    成長は個々によるがもっとも充実し成長著しいのがこの本格化の3年
    ――たった3年だ、そのうち1年間を休学しているのはアルダンにとっても歯がゆいだろう

    サクラローレルと――同じような気持ちだったのだろうか

  • 102二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 18:34:32

    サクラローレルもジュニア期にまともにトレーニングすら出来なかった
    休学はしてないとはいえアルダンの事情はローレルのそれによく似ている気がする

    アルダンは身体がとても弱くて今まで休学してた
    復学したばかりだが身体が弱いのは今でも変わらない

    ――このまま時間がすぎれば本格化を終えてレースを走れません
    ――メジロの皆様も全力を尽くしてはくださったのですが私の体質は一切改善されず
    ――そんな時、トレーナー様の話を耳にしたのです

    脚がとてもとても弱いサクラローレルというウマ娘を支え菊花賞、有馬記念の激走をするウマ娘に育てたこと
    また才能がありながらも体質が弱いスーパークリークというウマ娘の才能を開花させメイクデビューでは華々しいレースで観客を熱狂させたこと

    ――お願いします!どうか、どうか――
    ――私をレースにださせて下さい! 私の担当トレーナーになっていただきたいのです


    ……うん、ごめん無理です
    俺は素直に深く頭を下げて固辞した

  • 103二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 18:41:33

    ――俺の言葉にアルダンは悲しそうに涙を溜め、ラモーヌはむしろ好奇心に目を見開いていた
    カツン
    初めてラモーヌが一歩前に出る
    まっすぐ射抜くような瞳に俺は思わず息を飲む

    ――理由を聞かせて頂けるかしら

    どうもこうもない、俺には余裕がないのだ。 シンプルにそれだけの理由だ
    サクラローレルはブライアンとの決着にくわえ凱旋門賞を勝つという目標がある
    クラシックに上がったばかりの三人だってそれぞれのレースとコントレイルという化物に勝つためのトレーニングやその管理が必要だ。 コントレイルに勝つほどの力を得るためのトレーニングを課す以上身体への負担はとてつもない
    更に更に言えばナリタブライアンを一時的にとはいえ抱えてる
    俺のリソースは完全にいっぱいいっぱいなのだ
    メジロアルダンの体質がどれくらい弱いかわからない
    しかし学園を1年近く休学して復学
    さらに言えばメジロといえばジェンティルのような財閥よりレースを走ることに情熱を注ぐ傾向がある名門
    そのスタッフはさぞかし一流だろう、トレーナーだって医療スタッフだって

    そいつらが匙をなげたアルダンを俺が片手間で見て直せるとはとても思えない

  • 104二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 18:46:08

    深刻な話なのはわかる
    さっきからラモーヌが俺をずっと値踏みしてるのは俺を見下してるからじゃない
    ――妹が心配でなんとかしたいと本当に困ってることぐらい分かる、だってお前は興味を失うことなく俺みたいな庶民をずっとずっと見てるんだからな
    だからこそこの話は受けられない
    そんな深刻なアルダンの面倒を片手間で見ることなんか絶対できないし
    これ以上リソースを増やして俺自身がパンクすることだってごめんだ
    俺も俺で本当に余裕がないんだ
    コントレイルに勝つ方法もナリタブライアンに勝つ方法も凱旋門賞に勝つ方法もどれもこれも
    まだ全然手探りで余裕がまったくないんだ
    ごめんよアルダン
    可哀想だとは思う――可能なら手を尽くしたいとも思う
    でも俺は今あいつら4人とナリタブライアンで精一杯だ

    ――一生懸命なのね、貴方
    ――子供みたいにひたむきなのに――アルダンの事も考えてるのね

  • 105二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 18:52:03

    当たり前だろう
    アルダンとは初対面だがいい子だなと思うよ
    メジロだとか速い遅いじゃなくこんないい子が心から困ってて望みをかけて俺を頼ってるんだからなんとかしたい
    でもそれは無理だしアルダンも幸せにならないしおれたちも幸せにならないんだ
    本当にごめん、でも無理だよ

    ――正直ね、貴方
    ――でもとても誠実で信用できるわ
    ――だから無理だと聞いたうえで――理由も分かったうえで

    メジロラモーヌが
    完全三冠ウマ娘が――俺に深々と頭を下げた

    ――片手間でもいいの、本当に見れるときだけでも良い
    ――専属トレーナーになれともチームに入れろとも言わない
    ――何一つ結果が変わらなくてもいい
    ――妹を――どうか見てはくれないかしら、お願いするわ

  • 106二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 18:55:24

    ラモさんも闇トレが好きになりそうというか、もしジェンティル登場前にこの作品が始まってたらジェンティルの代わりにチームメンバーになってそう

  • 107二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 18:58:07

    やめてくれ――やめてくれよ
    メジロラモーヌがどんな人物なんて聞いたことはあるさ
    人に頭をさげるような人物じゃないだろう
    俺だってアルダンを見てやりたい――ちょっとは力になってやりたいよ
    それでも本来つきっきりで見ないといけないようなアルダンを見る時間はない
    アルダンを救えるのはおそらくそういうアルダンと一生を刻めるようなそんなトレーナーだよ
    俺にはそんな時間も余裕もないんだ
    ラモーヌだってわかるだろ? 頭を上げてくれよ

    ――妹なのよ
    ――私のような走りばかりを追い求めてる姉をお姉様、お姉様と慕ってくれるの
    ――姉の私は――本当に一途の望みと認められる人に頭をさげることしかできないわ

    ――お願い、トレーナーならなくても……時間がある時にアルダンを見てあげて頂戴

  • 108二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 19:04:09

    何考えてんだよ
    俺なんかよりメジロ家の奴らのほうが絶対に優秀だろう
    24時間365日――アルダンをみていたんだろう?
    そんな優秀な連中がずっとずっと見てて駄目だったのをさ
    俺がちょっと見ただけで治るわけ無いだろ、奇跡も魔法も世にないってわかるだろ
    本当にそんなものがあったら俺達ここでこんな話してないよ
    アルダンはジュニアから活躍して俺のジェンティルやクリークやブーケと走ってるよ

    姉だとか妹だとか
    家族のことなんか分かんねえよ
    俺にはそうやって身体もプライドも全部全部売っぱらってくれる人なんかいなかったし
    それでもあの完全三冠のラモーヌが頭をずっとずっと下げてんだ
    大事だなってわかるしアルダンのために一本のわらにでもすがりたいのわかるけどさ
    その一本のちっぽけなわらのことだって――考えてくれよ

    ――ごめんなさいね――でも嫌よ
    ――私は絶対に頭をあげないわ――アルダンの事、見てもらいたいもの

  • 109二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 19:11:35

    ああ、嗚呼、嗚呼
    くそ、くそくそくそくそ――

    俺は頭を掻きむしって――
    わかった、わかったよ! アルダンの事見てみる!
    だからまず頭を上げてくれメジロラモーヌ、完全三冠ウマ娘
    アルダンは見る――ただし3月までだ
    きちんと見るし時間は睡眠時間削ってでもつくるよ
    トレーナー試験のときだって睡眠時間限界までけずってたんだ
    時間がないなら睡眠時間でも食事の時間でも削りに削って捻出するしかない
    俺の命けずってやってやるけどチーム:ブロッサムに影響をだせない
    だからそれができるのは三ヶ月! それ以上睡眠時間けずるのは流石に支障が出る
    そもそも名門メジロが匙を投げた事を俺がやってそんな治るとは思えない

    ――でも、それでも全力でやるし糸口やその後の放心やアイデアは全部その後に引き継げるようにする
    ――治らなくても絶対に文句を言わないでくれ
    ――それでいいなら受けるだめならもう無理だ

  • 110二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 19:19:34

    ――変わってるわ、貴方
    ラモーヌは薄い……感情の見えぬ微笑みを浮かべたまま顔をあげそう言った

    ――私は片手間でいいと言ったのに
    ――無茶難題だと言いながら結局片手間で見ないって言うのね
    ――3月までとはいえ、睡眠時間を削ってまで受けるなんて

    しょうがないじゃんよおおおお前のせいじゃないか
    ラモーヌのせいだろ――あんなに深く俺に頭を下げて
    プライドも恥もなにもへったくれもなく頼み込んで
    アルダンの事が――妹が大事なんだなと分かっちまうよ
    だからなんとかして時間を捻出できねえかな――睡眠時間削って三ヶ月だけがんばるか
    って――そんだけだよ
    俺だって――助けたいだろ――しょうがないじゃん、アルダンいい子だしさ

    アルダンは瞳に涙をいっぱい溜めてラモーヌを見つめてる
    俺に何か言おうとしたのを俺は手を広げてみせ押し留める
    俺は視線でアルダンにラモーヌの方を先にと目配せした

    ――わらにもすがるのわら一本だけどさ
    ――お前の姉が勝ち取ったんだから、姉にいっぱいありがとうって言ってあげなよ

  • 111二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 19:26:46

    ――トレーナーさん?

    トレーナー室
    俺は床で正座をさせられている
    俺の前にはカレンブーケドール、勿論他のメンバーもいるのだが

    ――トレーナーさんちょっと座って下さい
    ――あはっ、誰がソファに座って良いと言ったんでしょうか?正座

    そうして本当になぜか俺は正座させられている
    カレンブーケドールは俺が初めて見るお怒りモードで
    それをとても愉快そうに眺めるラモーヌとオロオロしてるメジロアルダンがいた

    ――あら、修羅場なのね

  • 112二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 19:38:16

    ――名門に声を掛けられて嬉しいですかトレーナーさん

    ……いいえ? 別に俺が名門のお抱えになるわけでもなし。そもそも名門お抱えになりたきゃジェンティルにお願いしてるし?
    とねえ? ジェンティル。 と言ったのにジェンティルも不機嫌にそっぽをむいている
    前はお前がお抱えになれっていってただろうが

    ――なんで名門のメジロからこんな超美少女をひろってきたんですか?
    ――こういうおせいそでおっぱいでっかいのが好きですか? ちゃんと答えて下さいトレーナーさん
    ――儚げでおせいそででもちょっと攻め攻めも出来そうなおっぱいおっきな令嬢がいいんですかトレーナーさん
    ――デカπ感謝ですよね?

    やめなよお、ブライアンも勘違いするし初日でラモーヌとアルダンの信用を地の底に落とすのやめようよおブーケちゃん

    ――だってそうじゃないですか!
    ――いちおう控えめで自分で言うのもなんですけどソッチ側なのにどうして急に完全上位互換の方が出てきてるんですか!
    ――こんなの浮気ですよNTRですよ!

    完全にキャラ崩壊したカレンブーケドールがわんわんと泣きながらぽかぽかと俺を叩いてくる
    ま、まあ……儚げでお清楚なお嬢様って確かにそれだけだとブーケと被ってて……うん、あのおっぱいだしなあ

  • 113二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 19:43:27

    ――ちょっと待って頂戴――カレンブーケドールさん

    そこでようやくメジロラモーヌがカレンブーケドールに声をかける
    助かった――メジロラモーヌの名声は学園のレジェンド――それこそシンボリルドルフにも匹敵するカリスマウマ娘だ
    メジロアルダンの事情をぜひ説明して上げてくれ
    ラモーヌが頭を下げたとか俺は墓の底まで抱えてもってく
    だからちょっとこの頭ブロッサムどもにちょっとちゃんと説明してやってくれ

    ――浮気、NTRと仰ったけど――貴女、トレーナーさんと寝たのかしら?

    決めた――アルダンがもし万が一直ったら俺はラモーヌが俺に土下座してたって吹聴するわ

    ものすごい形相でぱあん!と月間トゥインクル特別号を床に叩きつけ、ラモーヌを指差すカレンブーケドール
    ――今すぐ外に出て下さい! 東京2400でも京都2400でも受けて立ちますよ!
    やめとけ、勝てないから――まだ無理だ相手はレジェンドだブーケ

  • 114二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 19:51:48

    ――本当――よりにもよって名門メジロのお嬢様だなんて、本当にこの深窓の令嬢のような方に鼻の下を伸ばしてたりしないの? トレーナーさん

    ジェンティルもどこかトゲトゲしいしサクラローレルもぶっすーとしたふくれっ面
    助けてクリーク!

    ――うーんアルダンさんもとっても優しそうでー……トレーナーさん? まさかアルダンさんに母性を感じたとか、ないですよね?

    一番怖いのはクリークの瞳だった

    ねえねえねえねえなんで皆そんなに怒ってるんだよ事情説明したじゃないか
    アルダンの身体を3ヶ月だけダメ元でみるだけだってば
    仲良くしてあげてよ俺の事はいいからさー

    ――器の小さいこと
    ――ねえトレーナーさん、この際アルダンの専属になってみてはいかがかしら?
    ――待遇だってメジロが保証するしアルダンは魅力的でしょう?
    ――足りないのなら――私がお相手してあげてもよくってよ?

    おまえっお前お前お前今わかっててそれ言ったよな!? そんなつもり一切ないのにあいつら煽ったよな!?
    ほらみろアイツらレース挑みだしてるしブライアンはなんか始まったってストレッチしてるしさあ
    やめようよ修羅場を思いつきでふやすなよお!!

  • 115二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 19:58:40

    ぎゃーぎゃーぎゃーぎゃー!
    外に出なさい、レースでカタをつけてあげるわ
    もうトレーナーさんを無理やり逆ぴょいするしかないんです!
    色々物騒な話が飛び交う中アルダンが俺に頭を何度も何度もさげてくる
    うんうんアルダンはわるくないよお、なんというか真っ当な常識枠っていいよね
    えっと、こんなもんなんだよ――最近はほんと皆自由で元気で楽しそうなんだ
    ジェンティルも本当にくだらないこういう事にハマるし
    ローレルはともかくクリークやブーケも本音で怒ったり楽しんだりしてるので
    ――まあ、これはこれでいい。 ラモーヌは結構愉快な方のようだが挑発するタイプなのか

    ――色々あるけど、きっと慣れるよ
    ――まあよろしく、メジロアルダン

    俺はアルダンと握手をしつつ、今後のあれこれを考える

  • 1161◆qxc6n.SpgKwJ25/10/20(月) 20:05:22

    寝ますおやすみなさい

  • 117二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 20:12:17

    貴女、トレーナーさんと寝たのかしら?

    これは切れ味鋭すぎる禁止カードだろ

  • 118二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 20:54:34

    >>117

    私は寝ましたよお❤️

  • 119二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 23:13:31

    クリーク、ローレル、現状3か月とはいえアルダン
    見事に保健委員が揃ったな…

  • 120二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 23:35:51

    ブーケも逞しくなったなぁ発言がたまに怖いけど
    アルダンがチームの清涼剤になるか…?

  • 121二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 23:36:42

    >>120

    嘘つけすぐ頭♡ぶろっさむになるゾ

  • 122二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 01:00:28

    アルダンが頭ぶろっさむになったらやべえよ
    ラモさんまで圧力かけてくるぞ
    さすがにそろそろ喰われちゃう⋯

  • 123二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 03:37:39

    カレンブーケドールが床に雑誌叩きつけるのちょっと見たい

  • 124二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 04:45:16

    サクラローレルが有馬記念で勝って
    サクラローレル特集が組まれて全国ネットのTVやウマチューブの超大型URAチャンネルにサクラローレルもちょっと顔を出すようになった
    ローレル自身は正直インタビューや総合チャンネルへ出るのにそこまでノり気ではなかったが、サクラ軍団――ヴィクトリー倶楽部の今後にも影響があるし今後ヴィクトリー倶楽部で頑張る子たちへの支援も増えるかもしれない
    それにやはり自分の子供が頑張って有馬記念――日本のグランプリウマ娘にもなったのだ
    御両親だって親族だってそうしてローレルが日本中で話題になることを多少は誇らしく思うかもしれない
    なので有馬記念までの激闘への休養も踏まえトレーニングもそこそこにローレルはメディアに顔を出すようになった

    クラシック1月まで未勝利だった桜のつぼみ――咲けないつぼみ
    引退を決めたウマ娘がもう一度花咲かせようと新人トレーナーと手をとり再起する
    そして最強のウマ娘ナリタブライアンとの菊花賞での激闘――果てに有馬記念を征する
    12月最後のグランプリに咲くあまりにも遅い遅咲きの桜

    まあこんな感じでそれなりに大きく取り上げられる――判官びいきもそうだが人はこういう話が好きだ

  • 125二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 04:52:10

    自慢をしたいわけではないがそこに俺も関わってる
    引退の理由であった脚をどうにかして走らせられるように奮起した若き新人トレーナー
    風の中のすばる 砂の中の銀河
    そんな歌が流れそうな話ではないか――実際俺はそんな感じで扱われてる
    ガラスの脚に奇跡を起こした若き天才トレーナー

    もう一度いう、自慢をしたい訳ではない。 努力をしたのはサクラローレル自身で彼女には才能が溢れてた
    トレセン学園に入学する生徒は2000人をゆうに超え3000人に届こうかという数だ
    だが実際にメイクデビューに出れるのはその半分ちょっと
    勝てるのは、ではない――出れるのには、だ
    クラシック期までデビューができない生徒もいる、距離やレース場の関係でメイクデビューではなく未勝利を選択する生徒もいる――なにより
    なによりメイクデビューも未勝利戦も走れず――故障で学園を去る生徒だっていくらでもいるのだ

  • 126二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 04:59:16

    ガラスの脚というのは正直特別に珍しい話ではない。ヒトミミとほぼ変わらない外見、シルエットだが時速60kmを超える速度でヒトミミにとっては信じられない距離を走るウマ娘
    一方で脚の不安に悩まされる生徒はとてつもなく多い
    それはウマミミという種族そのものの問題だ――鉄人、鉄の女などと称される怪我知らずのタフなウマ娘とて――総合的に見ればその脚はその爆発的な能力に比べれば脆いのだ
    サクラローレルという有馬記念を勝ったことでその硝子の脚がクローズアップされたが――これはこの世界ではよくあるありふれた事でしかないのだ

    種族的な問題、学園にはそれに悩まされている生徒がいくらでもいる
    都合のいい魔法も奇跡もマジックもない
    だが、世の中もそれに悩む本人たちも――それをそうとは思ってはくれない

  • 127二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 05:04:12

    メジロラモーヌの妹のメジロアルダンが、そのサクラローレルのトレーナーに指導を頼んだ
    メジロのご令嬢がチーム:ブロッサムに指導を頼み込んだ
    メジロアルダンの虚弱な体質、ガラスの脚を治すべくあのサクラローレルのトレーナーが立ち上がった

    ――あるわけねえだろ、そんな漫画みてえな話
    ウマ娘は虚弱で脚はガラスなのだ。 それに苦しんでいるのはサクラローレルだってメジロアルダンだってそう
    しかしそれはありふれたもので――しかし世界は放ってはくれない
    サクラローレルだけではなくあの超名門のメジロが、あのメジロラモーヌの妹がチーム:ブロッサムに着いた
    さらに言えば不調のナリタブライアンさえ今チーム:ブロッサムでリハビリトレーニングをしている

    ――さて
    ――ガラスの脚に苦しむ多くのウマ娘とその関係者にはこれがどう映ることか
    ――もう一度いう――これは自慢ではないのだ

  • 128二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 05:10:02

    チーム:ブロッサムのトレーナーなら
    ――脚をなんとかできるかもしれない
    ――ほんの少しでもトレーニングが出来るかもしれない
    そんな気持ちで俺を捕まえては頼み込まれるのを俺は一生懸命断る
    泣かれ――必死故に俺に掴みかかり、脚にすら抱きつかれ

    ――走らせて下さい――お願いします

    と懇願するトレーナー・ウマ娘に謝罪しながら断る。
    多くのウマ娘は泣きながらも引き下がってくれるが人生を掛けて必死に生きてるウマ娘たちだ
    時には口汚く罵られる

    ――私に才能がないからか! 名門じゃないからか!
    ――私だって、走りたいのになんで私はだめなんだ!!


    ああ――嗚呼――そうだ、不平等で不公平だ
    くそ――眠いせいで心がささくれちまってしょうがない

  • 129二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 05:14:54

    自分のメンタルが最悪なのは分かってる
    睡眠不足でもやることは山積み――そんな状態でも自分にすがるウマ娘もトレーナーも後を絶たない
    学園長やたずなさんたちも異常事態に陥る前にうごいてはくれてるがウマ娘からしたら自分の脚のことだ
    ほんの少しの一本のわら――すがりたいだろう――メジロラモーヌみたいに

    追い詰められてる

    それも分かってる
    だからトレーナー室はなにか理由がない限り俺以外は出入り禁止
    勿論ちゃんとした用事があれば大丈夫だが――今は一人で仕事をしていないと

    ――担当やブライアン、アルダンたちにすらあたってしまいそうだ

    くそ、睡眠がないとこんなにささくれるんだな
    皆必死なだけなのに――ウマ娘は悪くないのに――
    それでも俺は――矮小で狭量だから
    思ってしまうんだ


    ――どうして俺が、悪者になっちまうんだよ――

  • 130二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 05:22:51

    ――酷い顔

    ノートパソコンを睨みつける俺に声がかかった
    入る時は一言言えと何度も何度も言ってはいるが、もしかしたら俺が気づいてないのかもしれない
    メジロラモーヌが小さな包みを持っていた
    中身はノンラベルの栄養ドリンク
    庶民向けからアスリートたちすら利用する超高級な滋養強壮剤も手掛ける有名なあれ
    それとメジロが提携した正直俺じゃ絶対に手がでないような栄養ドリンク
    俺はそれを一気に流し込む
    苦いし喉の奥が辛い――味は本当に最悪だ

    ――悪いとは思っているわ
    ――それでも今更やめてもらうわけにもいかないけれど

  • 131二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 05:27:38

    アルダンだけを見るわけにはいかない
    全員が大事な時期なのだ
    しかしまだクラシック・ティアラのの本格的なシーズンには時間がある
    だからこそ3月までという条件をつけたとこもある
    ナリタブライアンとアルダンに割く時間はそれなりに長い

    一番懸念してたチームないの不和もすぐに解消された
    ナリタブライアンは元々孤高型ではあるがコミュニケーションに問題があるわけでもない
    サクラローレルがうまい接着剤になって今では並走もしている
    メジロアルダンは本人がとても良心的な人物だ
    見た目の清楚なお嬢様らしい優しく常識人枠――カレンブーケドールのような優しいタイプだ
    人柄の良さを感じられない子たちではないし上手いこと溶け込めていると思う

    むしろ一番の問題は追い詰められてる俺自身な気がしてならないのだ

  • 132二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 05:33:16

    こういう事があるのはなんとなく覚悟してた
    全部断るつもりだったし多少口汚く罵られる事だって覚悟はしてた
    不公平だし不平等だ
    サクラローレルも救われてスーパークリークだって剥離骨折があったとはいえ今後はきちんと走れる
    メジロアルダンだって――ひょっとしたら、そういう事があるかも知れない
    だけど俺が断ったウマ娘たちにはそんなのは見えない

    ――なんでお前は、私は救ってくれないんだよ

    分かる――俺もずっとそう思ってたから
    なんで俺だけ――なんで俺だけ――
    貧乏で、欲しいものは勝ってもらえなくて

    ――――なんで私だけ! なんで私だけこんな目に!
    ――――オマエノオトウサントケッコンナンテスルンジャナカッタ
    ――――オマエナンテウムンジャナカッタ

    それを思い出してしまうほどには
    覚悟が甘かったのかも知れない
    俺にぶつけられる罵倒に心がささくれる

  • 133二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 05:35:55

    やめないよ
    アルダンはギリギリまでちゃんと見る
    分かってるんだよ――世の中は不平等だって
    だからアルダンだけはちゃんと見る、約束だったもんな

    俺はどんな顔でラモーヌにこう言っているんだ
    一応は安心させるように笑ったつもりだったけど
    ラモーヌは俺をみつめて、一言だけ言った

    ――酷い顔
    ――どうか――アルダンの脚の前に壊れないでね

  • 134二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 05:40:22

    心の何処かでやはり思ってしまう
    本当にだめなことで、いけないことで、クソだけど

    ――アルダンの話を受けるんじゃなかった
    ――ラモーヌに絆されるのではなかった

    思ってはしまう。 だって――そうじゃないか
    俺はここ一週間でベッドで寝れたのは何時間だろう
    ここで仮眠を取りつつ誤魔化し誤魔化しやって
    それでも彼女たちへの仕事のクオリティだって落とせない
    アルダンを引き受けた以上全力でやらないといけない――寝不足なんか理由にしていい加減な事はできない
    そうやって必死に、一生懸命に――ちゃんとやって
    それができていても――おれはウマ娘全員を救えないから
    ――まるで悪人のように石を投げられるのが――苦しい
    どうしても思ってしまうんだ

    ――なんで俺がこんなにつらくて――悪者にされるんだ

  • 135二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 05:44:11

    ――後悔してる?

    ラモーヌはいつも通りの――感情や意図を感じさせない笑みを浮かべてる
    俺を心配する様子も、俺に申し訳なく思うような雰囲気もない
    アルダンのときだってそうだ――感情そのものはラモーヌの表情からはみえなかった
    ――多分だけど、これでラモーヌはとても苦労したのだろうと思う
    自分がどう思っていてもどうであろうと、周囲はそれを汲み取っては貰えない
    だからこそ……無条件に自分を姉と慕うアルダンのために俺に頭を下げたのだろうか

    俺はそんなことない――と応えようとした
    しかし言葉はとまって――天井を仰ぐ
    辛い――寝不足も、追い詰められてる心も、身体も
    辛い、苦しい――嫌になる
    それなのに更に更に周囲は重荷を背負わそうとして
    もう無理だ
    そう言えば不公平だと俺を悪者にするのだ

  • 136二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 05:47:26

    ――してるよ、すごく後悔してる
    俺寝てないんだ。 それでも仕事には集中しないといけない
    ブライアンだってアルダンだってほんの一ミリの手がかりを見つけられるかもしれない
    だから絶対にいい加減に見られない
    でも俺は超人でもロボットでもないんだ
    だから凄く辛いよ――後悔してる
    ブロッサムの四人とブライアンに集中すれば良かったって
    最初から無理だって言ってたのにって
    だから凄く後悔してる――投げ出したいよ
    俺はデスクに突っ伏す、ラモーヌに全部俺の気持ちを言ってしまう


    ――でもしょうがないじゃん――引き受けるって言ったんだから

  • 137二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 05:52:08

    ――不器用ね。 手を抜けばいいのに

    ……できるわけないだろ
    アルダンだってブライアンだって必死なんだ
    引き受けました、辛いからこっそり手を抜きますなんて
    裏切るような真似出来るわけないだろ
    ――お前アルダンをそんないい加減に手を抜いて見てほしくて頭下げたのかよ

    俺は睡眠不足のささくれた心のせいで、かなり強い口調でラモーヌに言ってしまう
    辛いし苦しいし投げ出したいけど
    俺はもうウマ娘を裏切れないよ――俺はどうしようもなくあいつらを騙して契約をして
    それでもアイツらは俺を救ってくれたんだ、こんなどうしようもない俺を信じてるんだ
    だから裏切れない

    俺の言葉にラモーヌは可笑しそうに、満足したように笑う

  • 138二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 05:56:21

    ――本当に壊れてしまうまで止まらないのね
    ――簡単には壊れないで頂戴

    人間ってのはそんな簡単に壊れないんだよ知ってる知ってる
    キャパオーバーなのは分かってるんだ
    ちょっとぶっ倒れて数日ダウンぐらいは多めにみてくれよ、そこまで俺は超人でも鉄人でもない
    ちゃんとアルダンは俺がみるからな

    栄養ドリンクが効いてきたのか頭も身体も少しはスッキリしてる気がする
    なんとか思考は回るし身体も動く
    ラモーヌに向き合って、ちょっと座ってくれと促して

    脚が弱い――医者の見立てでも骨が細いガラスの脚だってのはわかる
    体質が弱くて脚が弱くてすぐに高熱が出てしまう
    昔からそうなのか? ――例えば小さい時に一緒に遊んでいてもとか

  • 139二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:01:00

    ――そうね
    ――あの子は私について回って一緒に遊んでよく熱をだしていたわ

    ……ふむ
    俺はどうしても違和感を感じてしまう
    骨折や脚の故障で熱が出るのは自然な事だ、炎症も熱を出す
    アルダンの体質からしてそういうのは自然なことではあるのだが
    ずっとアルダンをみていて違和感を感じてしまうのだ

    ――あの子は自分でも努力してるのよ?
    ――薬膳だとかヨガだとか、体内からも丈夫になろうって
    ――医者からも血液検査などの数字はとても綺麗だって言われているわ

    食事は薄味――毎日自分で内容と栄養価と塩分すら日記に書いて
    アルダンがずっと書いている日記にはどのくらいのトレーニングをしてどれくらいで熱が出て
    そして食事はこうで――などトンデモなく詳細なデータが並んでいる

    ――よほど走りたいんだな、アルダン

  • 140二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:05:36

    毎日のように熱が出ていて
    何に違和感をかんじているのだろう
    脚が弱くて体質が弱いのだから熱も当然出るだろう
    サクラローレルだって最初はそうだった、脚がピシっと来た時は脚の熱をとるのに苦労した
    うーん……だがこういう違和感を――俺のそれを俺は絶対に信用してる
    縄跳び、マシントレーニング、プール

    ……熱は出てるけど――いやしかし――

    俺は少し考える
    プールでもだめ、マシントレーニングですら熱は出る
    しかしこのデータでいつ熱が出るかわからない
    だがこれ――もしかしてだけど

    ――ちょっとラモーヌ、準備を手伝ってくれ
    ――食堂いくぞ

  • 141二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:14:34

    俺はラモーヌと大きなバケツをもってトレーニング場へ
    アルダンはストレッチ中、まだ今日の本格的なトレーニングは始まってない

    ――試したいことがあるからちょっとつきあってくれ

    と俺は実験を始める
    アップが終わったアルダンに俺はいう

    ――すまん、ちょっとその体操服全部まくって。 上の下着ギリみえるくらい
    俺はアルダンにそんな要求をする。アルダンはびっくりしたように顔を真っ赤にして
    その隣でラモーヌの空気がまるでレースみたいな威圧感をもって襲っていた
    本当に申し訳ないがそこに付き合う余裕がおれにはないんだ、大声すら出す元気はないんだよ

    ――身体、内臓の様子を知りたいんだ、原因は脚じゃないかもしれない
    だから早く上まくって。 アップした身体冷めちゃうから
    アルダンはかなり良識のある常識人側のウマ娘だ
    男性に服の下をめくって見せるなんてはしたなくも恥ずかしいと思うのも当然かもしれない
    だが甘い

    俺達はトレーナー――トレーナーという人種は本当に必要ならばマッサージや触診でウマ娘のおしりだって揉みまくる生き物だ、そこに他意や下心がない時のトレーナーは恥ずかしいという理由でやめてはくれない
    だからはよまくれアルダン

  • 142二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:19:57

    アルダンは羞恥に顔を真っ赤に染めて、ふるふると震える手でゆっくりと体操服の裾を持ち上げる

    ――あの、アルダンさん
    そんなに恥ずかしそうに顔そらしつつプルプルゆっくりまくりあげるほうがなんかスケベなシーンに感じるんですよ
    逆に俺が意識してしまうのだからやめてくれ
    俺は少しかがみつつ――その白く細く美しいお腹周りを両手で腰のあたりをわしっと掴む

    ひゃんっ!?というアルダンの色っぽい声が響いた。 やめろ俺が捕まるわ
    骨盤がどうこうとかじゃなく、お腹やっぱ熱いな。 アップしたから身体は温まってる
    後ろに回り腰回りを掴んで、手の甲を当てて

    よし、ちょっとトレーニングをはじめる。 まずバなりで1本行こう
    スパートもバなりで200m一本、おわったらクールダウン1周してここに戻ってきて欲しい

  • 143二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:24:41

    やれることは全部やる
    駄目なら他のこと――トライアンドエラーしかないのだ

    両手を俺は強く叩く、 同時にアルダンがスタート
    1年近く休学していたとは思えないスタートの加速とフォームだ
    きっと休学中も病院でほんの少し、ほんの少しとやっていたのだろう

    ―― 一歩、一歩――少しずつ。 私の一歩だけでも強くなります

    アルダンは努力家だ。 毎日毎日自分の食事もトレーニングもいつ発熱をおこしたのかもタブレットに入れていた
    それを見るだけでも一日二日の徹夜では足りないぐらい
    俺はその膨大なデータをみていて違和感を覚えたのだ

    ――アルダンの脚は細くて壊れやすいけど、故障はほぼ発熱
    ――そして脚への負担がゼロだろうと発熱するリスクも時間も変わらない

  • 144二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:28:00

    ならば何で発熱を起こしてるんだ?
    炎症による発熱や脚への負担のせいで発熱をするならわかる
    しかしデータはそうは言ってない、脚とか関係なく発熱を起こす
    熱を水で分散させるプールでも発熱そのものはあって
    何がアルダンの中でそんなに発熱してるのだ?

    ――あの子は自分でも努力してるのよ?
    ――薬膳だとかヨガだとか、体内からも丈夫になろうって
    ――医者からも血液検査などの数字はとても綺麗だって言われているわ

    内臓や血液はとても綺麗な数字
    だったら――体質のどこがよわいのだろうか

    俺はある仮説を立てて――ラモーヌと一緒にあることをすることにした

  • 145二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:33:45

    俺はバケツの中に両手を突っ込む
    ――ラモーヌはそこのタオルでやってくれ、これ結構手が痛い

    食堂でもらってきた大量の氷がバケツには詰まってる
    その氷の中に俺は両手を突っ込んで両腕をキンキンに冷やしていた
    正直滅茶苦茶痛い、冷たいと言うより血管を刺すような痛みがある
    氷嚢などでは自分の手で温度が感じられない。
    冷やしすぎてアルダンの体調を壊す可能性もある

    しかしラモーヌはためらうことなく両腕を氷の中に突っ込む
    真っ白で美しい腕が真っ赤になるぐらい冷やされるとラモーヌは眉を少ししかめた


    ――むちゃすんなラモーヌ、タオルでいい
    ――これだって確信があることじゃないんだ、結局駄目でしたで終わる可能性が高いんだ

    ラモーヌは俺に顔を向けて笑う
    それは今までの感情の見えない微笑ではなく――妹を優しく見守る姉らしい微笑み

    ――これ、あなたの言うワラ一本なのでしょう?
    ――私は――アルダンの姉なのだから、直接掴むわ

  • 146二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:38:14

    アルダンが戻ってくる。まだ一本目な分息はそこまで切れてない
    俺は再度アルダンに服をまくらせ
    前をラモーヌに任せ、俺とラモーヌは氷でキンキンに冷えた両手でアルダンの腹部をマッサージする
    冷たい俺の手とラモーヌの手がアルダンの腹を掴む
    アルダンはひゃ、あんっ!?と色っぽい声をあげた

    ――冷たいだろうが歯を食いしばって耐えてくれ、これ終わったらまた1本いく

    ラモーヌはアルダンの腹部をなで、少し手を深く押し込んで――眉を寄せた
    俺も腰部分を触って……やはり違和感を感じる

    ――ちょっとすまんアルダン――っと
    俺は腰ではなく背中――肩甲骨の間ぐらいをベタベタ触る
    背中に氷をつっこまれたみたいにアルダンは飛び上がって悩ましい声をあげていた

    ――背中より腰のほうが圧倒的に熱い

  • 147二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:44:44

    二本目、アルダンはさっきと同じようにスタートし加速していく
    この距離とこの強度だと確か――アルダンのタブレットデータでは
    ――熱が出るのは4本目

    ――すごく熱かったわ、アルダンのお腹
    ――特に手を深く入れた肝臓部分とか腰回りの内側とか

    元々発熱しやすい身体なのかもしれない
    でも背中より腰の方が明らかに熱かった。 肩甲骨間や首とそこをつなぐ部分はもっとも発熱しやすい部分だ
    だがアルダンの腰部分はもっと熱かった――まるでその中、芯が燃えているように

    ――血液検査でも、精密検査でも内臓も血液も異常はなかった
    ――だとしたらアルダンは健康体のはずだ。脚はともかくそんなにも体質が弱いというのがわからない
    ――子供の時からラモーヌと遊んでも熱をだしていなら、本格化とかトレーニングの問題ではなく
    ――だとしたらなんで子供の健康で本格化をしてないアルダンは熱を出していたのか

  • 148二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:50:30

    ――体内の、内臓の熱を――きちんと排出できてない?

    そのメカニズムはわからない
    本来内臓や身体は冷やさないように努力するものだ
    アルダンもそうしてずっと気をつけていた
    健康であるはずなのにずっとそうであったなら
    ひょっとしたらその健康な身体と内臓にほんの少しのなにかがあるのではないか

    俺たちは二周目を終え返ってきたアルダンにもう一度腹部のマッサージをする
    氷でキンキンに冷えた手で、アルダンのお腹の、体内の熱をとりつつアルダンの体内の熱を確認する
    ――こらちょっと異常だ
    あまりに熱い――まるでインフルエンザとかの子のおでこを触ったみたいだ
    ラモーヌの表情も少し険しい。 お腹の熱を必死にケアするようにラモーヌはその手をアルダンに添えている


    ――あの……トレーナーさん

    アルダンが口を開いた。 すまんが恥ずかしいとか冷たいとかは我慢してくれ
    あとお腹壊したらごめん

    ――い、いえそうではないんです。
    ――そうでなくてその――2本目はしってなんですが



    ――私……なんだかいつもより、調子が良いみたいで

  • 149二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:56:42

    ――食堂から追加で氷いただいてくるわ
    ――私が走ったほうが速いもの

    ラモーヌはバケツを両手にもってスパートをするような勢いで走っていった
    ――レジェンドウマ娘のスパートの加速すげえな、アップなしだぞ
    しかし両手に大きなバケツを持って走るラモーヌというのはなかなかにレアな光景であろう――もう見えないが
    アルダンはふふ、と苦笑して三本目に向かう
    三本目が終わったら四本目だ――普段なら熱でダウンして完走が厳しいところ
    アイスマッサージで発熱を抑えてるとは言え――本当にこれで四本目を無事に走れるならば目星はそう遠くない当たりだ

    ――初めて見ました
    ――姉さんが嬉しそうに…ウキウキというかそんな顔でさっき走っていってしまって

    誇れアルダン――これは奇跡じゃなくて、お前がずっと溜め込んできたデータと
    ありもしない奇跡に縋ったラモーヌが起こした魔法だ
    魔法も奇跡も――もしかしたらあるのかも知れない
    俺もそんな期待を抱いていた

  • 1501◆qxc6n.SpgKwJ25/10/21(火) 06:57:43

    QKします
    書き始めは昼以降になるかもしれません

  • 151二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 07:02:51

    弱い箇所が脚では無いという視点は無かった

    それはそれとして


    >アルダンは羞恥に顔を真っ赤に染めて、ふるふると震える手でゆっくりと体操服の裾を持ち上げる


    これが引っかからないとかサイゲのガイドラインは節穴か?

  • 152二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 07:02:58


    ラモーヌがすっごくお姉ちゃんしてる

  • 153二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 07:05:44

    アプリのアルダンのストーリーも倒れてるの熱でなんだよな

  • 154二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 07:12:54

    いやホントすごいペースと濃さだな
    頭ブロッサムになるかはともかく、アルダンを救ってやってくれ闇トレってもう思っちゃってるもん

  • 155二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 07:16:00

    >>151

    ちょっとしたストリップポルノだよアルダンが恥ずかしそうにゆっくり震えながら体操着まくるとか

  • 156二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 07:20:29

    なんか気性難に強いから気性難ばかり押し付けられたり剛腕だからズブいのばっか押し付けられる騎手を思い浮かべてしまった

  • 157二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 07:25:28

    まくり上げた体操服の裾を唇でくわえててほしい

  • 158二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 07:28:28

    両手にバケツもって疾走するラモーヌ
    両手にスーパーの袋もって疾走するラモーヌ

  • 159二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 07:36:19

    いつもより調子がいいって言葉に反応するラモーヌにちょっとうるっとくる

  • 160二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 08:10:51

    >>146

    医学的見地から音声だけでも記録させてほしい。いや他意はないから

  • 161二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 10:57:54

    保守
    アルダンってやっぱいいなと再確認したぜ

  • 162二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 11:01:18

    実際人体において骨格筋を除けば肝臓が一番熱を作ってる器官なのは割と有名な話ではあるし、クーラーが貧弱なのに爆熱CPU使ってるから常時サーマルスロットリングがかかってるパソコンみたいな感じなんだろうか
    それはそれとして絵面がどう見ても犯罪です

  • 163二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 11:03:06

    女として皆を性的にも見ててえっちしたいって自覚あるまま耐えてるのじつは珍しい?
    お兄ちゃんが一応そんな感じだけど

  • 164二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 11:51:46

    やっぱ闇トレラモーヌと相性良いな

  • 1651◆qxc6n.SpgKwJ25/10/21(火) 12:13:20

    すいません、まだ自宅に戻れず遅れます

  • 166二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 12:14:39

    >>165

    気を付けてな

    急いでもろくなことないし時間かかってもいいからいい文章を見せてくれ

  • 167二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 12:22:40

    ローレルもスカウト初期はこういう感じでままならないのを体当たりでなんとかしていったんだろうな…
    「私の脚でトレーナーさんが触ってないとこなんてないですよ🌸」

  • 168二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 13:47:16

    レースを愛してるラモーヌからすると、走れない子を走れるようにしてかつ重賞(G1)クラスの素質を見分けれる闇トレはそりゃあ相性悪いわけないのよね
    加えて今回は妹のアルダンだもの、倍率はさらにドンよ

  • 169二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 15:42:14

    アルダンが三本目のスタートをきる
    スタートのセンス――最初の1歩め2歩目の加速と踏み込みが抜群にいい
    3本目になると疲労と集中力が欠けてくる辛いタイミングだ
    バなりとは言え限りなく強めに近い――アルダン自身の高揚を感じる

    ――お待たせ

    俺は急いでラモーヌの持ってきた氷に両腕を突っ込む
    冷たさを通り越して刺すように痛い
    1月の厳寒に氷に両手を突っ込めば当たり前だ
    しかしラモーヌも躊躇うことなくその細く美しい腕を肘近くまで突っ込んでいる

    ……これで、違いました。普通に発熱してダウンしましただったら――どうする?
    俺は氷で痛いほどの冷たさに歯をガタガタ鳴らしながらラモーヌに尋ねる
    ラモーヌは薄く笑いながら

    ――あら?変な事を聞くのね
    ――これで駄目だったらどうするかは貴方が探して貴方が決めることでしょう?

    でも――とラモーヌは俺を見ながら

    ――私はどんな事でも貴方に付き合うし従うわ?

  • 170二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 15:50:08

    アルダンはバなりとしていいペースでスパート終え、クールダウンを回った
    俺等はアルダンに駆け寄ってすぐに腹部のアイシングを行う
    ――なんだこれ? 熱すぎだろ
    激アツの温泉に入った後でもこんな風にはならない
    元々脂肪というのは冷たいものなのだ、細身とはいえうっすらとしなやかに腹部を覆う薄い脂肪すら熱い
    コレが根本原因かはともかく――内臓、体内に熱が異常に発生してるのは間違いない
    発生なのかそれとも体内の熱がちゃんと体外に出ないかは分からない
    ラモーヌもアルダンの腹部に触れた瞬間異常な熱さに眉をしかめ

    ――アルダン……ごめんなさいね。 ずっと気づいてあげられなかった

    恐らくだが生まれつきか幼少期からか――それが当たり前で自分は病弱故に熱に倒れるのだと思いこんでしまったアルダンはこれの異常の自覚がないのだろう
    身体を動かせば熱は出るもの――身体は熱くなるもの
    だからこれも当たり前なのだと思っていたのかもしれない
    アイシングを脚や患部に行ったとして、本来温めるのを是とする内臓の熱にどうして気づけようか
    俺だって本当に偶然――偶然ある記憶が浮かんだだけだ

    ――体温計
    俺の家にあった昔ながらのデジタル体温計
    なにもない部屋でたまに触れる俺のおもちゃ
    布団で擦って温度を上げ――42度を超える「E」ギリギリで止める一人遊び
    それを思い出しただけなのだ

  • 171二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 15:55:29

    メジロのチームドクターもそうそうお腹の深部の温度測るようなことできんわな
    闇トレは熱出して倒れたら保健委員組に直腸温測られそうだけど

  • 172二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 15:56:54

    アルダン、まっすぐ立て。
    ラモーヌ――肝臓部分を少し強めにマッサージして冷やしてあげてくれ
    俺が背中から抑えるから強めにしていい、アルダンすこし腹に力入れろ

    俺達は氷で感覚すらおぼつかない手でアルダンの腹部を冷やす
    手はすぐにぬるくなって腕を押し付ける
    ラモーヌも両手がぬるくなったのかもう一度氷に両手をつっこんで

    ――いけるか?アルダン

    俺はアルダンに確認をすると、アルダンはこくんと頷く
    アルダンは俺に向いて、穏やかに微笑んだ

    ――四本目、バなりではなく一杯で走っていいでしょうか?

    俺はその時のラモーヌの表情を絶対に忘れないだろう
    あのラモーヌがアルダンの言葉にあんな表情をするなんて
    ラモーヌのアレは墓までもっていってやろう
    妹への愛ゆえに――だから完全三冠のメンツというものは護ってやる事にする

  • 173二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 16:01:07

    四本目――本来なら熱で倒れるタイミング
    特に三本を終え四本目でレース想定のいっぱいで走るのだ
    身体に対する負担も、身体が起こす熱も大きいだろう
    アルダンがスタートラインにつくと

    ――まちなさいアルダン

    ラモーヌが呼び止めた。 姉としては無事に走ってもらいたい気持ちもあるだろう
    激励なのか、無理はするなと気遣うのか
    そう思っていたらラモーヌはストレッチをしながら

    ――私もご一緒していいかしら? 並走

    ……随分と
    随分と優しいお姉ちゃんだ

  • 174二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 16:09:09

    両腕をずっと氷に入れていて身体は冷えている
    そしてアップは完璧ではないがラモーヌは完全三冠、URAのレジェンドだ
    それとの並走となるとほぼレース当然のペースになる
    ラモーヌはそれを求めているのだろう――本当に大丈夫であれば、この負荷に耐えてみなさいと
    俺は二人の横で右手を上げ――スタート!という言葉と共に振り下ろした

    ――ダンッ!

    凄まじい勢いのロケットスタート
    メジロラモーヌが鋭い踏み込みで一歩目を加速する横を
    ――それ以上の一歩でスタートで引き離した
    おいおいおい、あれが今まともにトレーニングできなかったウマ娘のスタートかよ
    優雅さより力強さを感じる走りだ
    先行するスピードは申し分なく、深窓の令嬢らしい美しさはあってもそれより走りの力強さを感じる
    メジロラモーヌの走りを洗練されたレーシングマシンというなら
    彼女のはむしろ戦車のような力強さがある。 見た目とは大違いだ

    道中はメジロアルダンが前を行き後ろにメジロラモーヌがぴったりと張り付く
    元々切れ味勝負のメジロラモーヌらしい走り――小さなコーナーを回り第四コーナーに入った瞬間
    メジロラモーヌがスパートをかけた

  • 175二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 16:16:52

    ――これが、レジェンドウマ娘――メジロラモーヌ
    落雷が落ちたような踏み込み、そして凄まじい加速
    一瞬でメジロアルダンに並ぶ、そしてアルダンを外から抜き去ろうとして
    しかしアルダンは譲らない、 全力でスパートしてかわすことを許さない
    直線に入ってもアルダンはラモーヌと競り合い
    しかし――のこり100mでついに力尽きたのか一気に下がりラモーヌが先にゴールイン

    流石に最後のブレーキに俺は慌ててメジロアルダンに駆け寄る
    アルダンは返事も出来ないほど息を切らせて……しばらく呼吸をするのが精一杯で

    ――がむしゃらに走ったせいで、最後、へばっちゃいました……あはは

    スタミナ切れ――しかし、それはつまり
    俺とラモーヌは顔を見合わせて
    ――熱でダウンしたわけじゃない
    ラモーヌはアルダンに近寄り、ぎゅっと深く強く抱きしめていて
    きっと、あとはメジロの方々がなんとかしてくれるであろう

    俺は医者じゃない――だから体内の熱が出ていかないのか異常に熱がでてるのかまではわからない
    だけどメジロの方々も優秀なのだから後は大丈夫じゃないかなと思う
    ああ、良かった――本当によかった
    俺は全身の力が抜けて

    顔面から芝にばったりと倒れてその痛み以外はもう覚えてない
    締まらない
    結局アルダンが熱で倒れる前に俺がダウンかよ

  • 176二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 16:25:33

    目を覚ますと知らない天井だった
    真っ白で清潔な天井、真っ白なシーツ
    リノリウムの消毒の匂い
    病院か――俺なんでぶっ倒れたんだっけか

    ――あら、起きたのね

    ベッドの側の椅子にラモーヌが座っていた
    シャリ、シャリという音、果物の甘い匂い――リンゴをラモーヌが剥いている

    ……
    ……ラモーヌがリンゴを剥いている!? あのメジロの超エリートのレジェンドが!?
    とてもくだらない事に驚いてしまった――だってイメージわかないし
    ことり、とリンゴの並んだお皿を側の棚に置きつつ

    ――代謝が良すぎたそうよ
    ――後はあなたの言うとおり体質的に肝臓や腸に熱がこもったまま出ていかないらしいの
    ――でもそれは珍しい症例ではあるけどちゃんと治せるそうだわ

    そっか――思いつきで最初にダメ元で回したガチャが――SSRだったか
    俺は安心して力が抜ける
    頭が痛いし重い――体調は最悪だ
    ラモーヌはハンカチでナイフをぬぐってから

    ――あなたは極度の過労
    ――メジロの主治医があんなに怒ってるの初めて見たわ
    ――過労で死にたいのかこの男は! って

    うるせえよ、そのメジロのお願いでこうするってメジロに言ってるんだよ

  • 177二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 16:31:02

    ――それよりもなんで気付いたの?
    ――症例はあっても決して多くはないそうよ、とても珍しい症例だって
    ――だからメジロのスタッフでも気付けなかったと嘆いていたわ

    俺はベッドに寝転んだまま手を振る
    気づいちゃいない、ただただ思いついた当てずっぽうがたった一回目で当たっただけだ
    びっくりだよ、すげえ豪運――宝くじもこんな簡単に当たってくれねえかなと思うぐらいだ
    笑う俺にラモーヌはいつもの薄い、感情の見えない微笑を向けている
    その当たった宝くじのタネを教えてもらえるかしら、と

    ――超名門、メジロのレジェンドメジロラモーヌは
    ――安物のデジタル体温計といってわかるのだろうか?

    ――体温計?
    ラモーヌは眉を寄せる
    安いデジタル体温計って――皆42度以上になるとE――エラーって出るんだ

  • 178二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 16:38:08

    ラモーヌは話が読めないといった顔をしていて
    そりゃそうだな……俺だってなんでこれを思い出したのか本当に分からない
    ただ……アルダンがずっとずっと記してきたタブレットの膨大なデータ、記録に違和感を感じた
    いつも強度が一緒なら大体同じタイミングで高熱をだす
    脚の炎症とかじゃない
    かといって精密検査や血液検査で体内の異常――炎症は起きてない
    どこの何がアルダンが倒れるほどの熱を出しているんだろう
    そう思った時、体温計の話を思い出したんだ
    ――なあ、デジタル体温計はどれもこれも42度でエラーを出す
    ――昔の水銀が上がっていく体温計だってそうだ
    ――どれもこれも42度までしかない


    42度を超えると死亡する危険域だから――数字を出す必要がない
    超えたら即きゅう救急車を呼ぶか氷風呂に突っ込め、そういう意味なんだってさ

  • 179二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 16:43:57

    生卵は半液体、ゆで卵は個体
    タンパク質は熱を加えると凝固する
    人体だってタンパク質だ、それは筋肉だけじゃなく――内臓も
    その凝固する温度が42度オーバー
    内臓が凝固、変質すれば人は死ぬ、よく高熱で失明っていうのも目の中の機能が熱で白濁化するからだ
    だから体温計は全部42度までしか表記がない

    内臓が熱で凝固して壊れる前に身体がむりやりシャットダウンしてたのかもしれない
    もしくは生命の危機を察して突然内臓の熱を冷やすために身体中にその熱を運ぼうとしてたのかもしれない
    俺は医者じゃないからそのメカニズムはわからないが
    とにかく――熱で内臓がヤられてる可能性に行き着いたんだ
    本当に偶然だよ
    偶然それを思い出して試したら本当に一回目で引き当てただけだ
    当てずっぽうだよ

    それに

  • 180二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 16:48:26

    あれは奇跡でも魔法でもない気がする
    アルダンがずっとずっと残してたタブレットのデータのおかげだ
    毎日すべての食事と栄養と毎日のトレーニング
    一日一日の書き込みは膨大で――毎日書き続けるのも辛くなりそうなそれ
    アルダンは自分の身体のためにずっとずっと努力してた
    その結晶があのタブレットで――アルダンはきっと、自分で自分の身体に勝ったんだと思う

    そもそもが全部解決したわけではない
    今後アルダンは身体の熱をうまく排出するための療法が必要だし
    細く脆い脚の方は何一つ解決してない
    とはいえ
    それは俺が考えるこっちゃない
    メジロには優秀な医者が居て優秀なトレーナーもいるだろう
    だから後はきっとうまくいくと思う

  • 181二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 16:53:42

    ――二日丸々寝ていたらしい
    俺はメジロのお医者様にガチで怒鳴られ怒られ説教を受けた
    人間は睡眠不足と過労で死ぬのだと、本当にあっさりと死ぬこともあるのだと
    滅茶苦茶説教された
    俺はぶっとい栄養剤をケツに注射され強制的に一週間入院させられた
    そして俺は


    またメジロに拉致られている

    退院して一刻も早くトレセン学園にいって皆の顔を見よう
    そう思って病院を出たら見たことある黒塗りの車があって
    ずらっと居並ぶ黒服のにーちゃんウマミミのねーちゃんが90度に一斉にお辞儀
    俺は出所祝いを受けるヤクザの組長だろうか?
    そして以前俺を肩に担いだ長身のウマミミのお姉さんが俺の前に立ち
    また俺を拉致した

  • 182二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 17:05:27

    ただし今回は肩に担がれず――なんとお姫様抱っこだ
    滅茶苦茶美人で長身のスーツの似合う麗人のウマミミにお姫様だっこをされ正直滅茶苦茶ときめいた
    ウマミミのお姉さんはアルダンの事で俺に礼を言いながらちょっと涙ぐんでいた
    あっ、この人めちゃ良い人なんだ……と思っている間に俺はメジロに連れて行かれアルダン、ラモーヌと再開した
    入院中は完全な面会謝絶だった、だから担当もお見舞いにはこれず
    スマホは没収、必要があれば事務室でスマホを利用で病室には持ち込み不可
    娯楽はTVとTVを使ったネット番組のみ
    徹底して――おめえには何もやらせねえよ?というコンセプトの入院だった

    ――あら、本当にまた拉致されてきたのね
    ――お姉様! トレーナー様本当にごめんなさい、ごめんなさい!

    ラモーヌ、一応はお前の妹に一役買った人間を拉致して連れてくるのは本当にどうかと思うぞ?
    俺はラモーヌをジト目で睨む
    ラモーヌは浮き世離れした人物だがお茶目という気持ちで結構えげつない事をするのはもう十分分かっている
    だがラモーヌはからかうように笑いつつ肩をすくめた

    ――いいえ、私じゃないわよ?今回はね

    嘘つけアルダンがこんな事するわけねえ
    しかしアルダンもとても困った顔をしている

    ――おばあ様――メジロの総帥があなたにお話があるそうよ

  • 183二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 17:10:37

    ……勘弁しろ
    俺は庶民なんだ、ラモーヌやアルダンですら俺には不相応なのに今度はメジロの総帥?

    ――ええ、直接あってお話がしたいって。 ごめんなさいね……おばあ様も年齢で直接出向けなかったの

    助けてアルダン
    俺は結構本気でアルダンに助けを乞う
    しかしアルダンはものすっごく困った顔をしながらごめんなさいと頭を下げ笑うだけだ
    くそ――上流階級との会話なんて喋り方からして庶民の俺がまともに出来るわけねえだろ
    しかしラモーヌは勿論アルダンでも止められないらしく
    俺は二人に連れられメジロの総帥――「おばあさま」と会うことになった

  • 184二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 17:16:08

    ――貴方が、ブロッサムのトレーナーさんね

    随分と御年を召しては居たが椅子に座る「おばあさま」の背はまっすぐで
    しっかりとメジロの総帥として威厳をもった佇まいであった
    つまり俺は緊張で喉が痛いほど乾いてる上にもう胃が痛くてしょうがない
    俺は深くお辞儀をし、挨拶をして
    「おばあさま」は俺をじっと見てから――アルダンに視線を送り
    椅子から降り、杖をついてゆっくりと――俺にゆっくりと向かってきた

    ラモーヌとアルダンが支えようと近寄ろうとすると、「おばあさま」は手で制して

    ――いいのよ。 どうか一人でやらせて頂戴

    と、俺の前に立つ
    もう年のせいかとてもとても小さい。それでも腰を曲げず杖をついてまっすぐに立って
    「おばあさま」は、俺に両手を伸ばして――俺の手をとった

  • 185二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 17:19:48

    ――ありがとう、トレーナーさん
    ――アルダンを救ってくれて本当に、本当にありがとう
    ――メジロの総帥としても……一人のしわくちゃのおばあちゃんとしても
    ――心から貴方にお礼を言わせて頂戴
    ――貴方は恩人よ――トレーナーさん

    しわくちゃで枯れ枝みたいな両手で俺の手をぎゅっと握る
    メジロの総帥が俺みたいな庶民の男の手をとって何度も頭を下げてる
    本当にアルダンは愛されててるんだな
    俺はちょっと目頭が熱くなるのを感じながら「おばあさま」の両手を握り返した

  • 186二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 17:25:59

    御老体に無理をさせてはいけない
    杖を突き椅子に戻って振り返る「おばあさま」はさっきまでと違う威厳を放っている
    あの椅子に座るのはメジロの総帥――「おばあさま」はそういう人物だ

    ――貴方に提案があります
    ――貴方もメジロにおなりなさいな

    ……俺はヒトミミなのだけれども
    これはあれか? 専属になれという意味なのだろうか
    無理ですよ。 俺にはチームブロッサムあるんでと頭を下げる
    よし! これで、そう――残念ねでおしまい!
    俺はこの上流階級の集会からいつものトレーナー室の日常に帰るんだ!


    ドアの前にアルダンが立っている
    まるで帰らせるつもりが無いかのようだ

    ――もう少しだけ、お話を聞いて下さいトレーナーさん

  • 187二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 17:35:09

    ――チームブロッサムにアルダンを入れてほしいの
    ――勿論トレーナーの負担は我々メジロが全力でバックアップします
    ――メディカルスタッフを学園に常駐させて健康面も精神面もサポートいたします
    ――これはアルダンさんも強く強く望んでいること。 あとラモーヌさんもね

    ……アルダン?この話全部ご存知だったの?
    振り返るとアルダンはドアの前で俺に上品ににっこりと微笑んで頭を下げる
    ラモーヌはとても愉快げにことの成り行きを見守っていた
    アルダン!? これぜんぶわかってたの? ねえ拉致からここまで知ってたの!?

    ――乙女の柔肌をあんなにも好き勝手にさわったのだもの、責任を取るべきね
    ――それにアルダンも貴方の人柄が気に入っていてよ

  • 188二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 17:41:43

    まあ、しょうがない
    ――俺は「おばあさま」にまっすぐ向き直り、深く深く頭を下げた
    それは受けられない話だと

    今回の件で自分の至らなさがわかった
    正直もうすこしまともにできるとおもっていたけれど
    実際俺の精神はボロボロで――メジロの医者が言う通り壊れていてもおかしくなかった
    これは健康だとかケアだとかじゃなく俺自身の未熟さが原因だ
    自己管理より仕事を優先しリソースの管理が甘い
    全力で取り組むと言えば聞こえがいいが一歩間違えればチーム全員も不幸にしていたかもしれない
    今の俺にこれ以上の人数を育てることはできない
    リソースを管理できるよう経験を積まなければ全てに必死に望めないのだ

    俺は魔法使いでも超人でもスーパーマンでもない
    ただ必死に未熟さを埋めてるだけの新人トレーナーでしかない
    今回は本当に偶然、たった一回で正解がひけただけだ
    だから申し訳ないが今の俺ではメジロアルダンを引き受けられない

  • 189二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 17:48:03

    「おばあさま」は椅子に座ったまま目をつぶり
    小さくため息をついた

    ――わかりました
    ――ですが重ねて、一つお願いがあります
    ――実はアルダンのトレーナー候補を呼び寄せるのに多少時間がかかります

    トレーナーはフランスを中心に実績を詰んだ有名なトレーナーらしい
    一流でメジロの総帥もその手腕を認める人物らしいがどれだけ急いでも4月になってしまうそうだ
    てかそんなすごい人物いるならうちに入れなくていいだろ
    せめて3月までは、チーム:ブロッサムと一緒に練習をさせてもらうだけでも良いから置いたままにしてくれないか
    そこまで頼まれてNOは流石に言えないだろう
    アルダンは花のさくような嬉しそうな表情をして、俺に頭を下げる

    ――ありがとうございますトレーナーさん!
    ――私頑張ります!

  • 190二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 17:50:44

    >>189

    >>トレーナーはフランスを中心に実績を詰んだ有名なトレーナーらしい

    一流でメジロの総帥もその手腕を認める人物らしいがどれだけ急いでも4月になってしまうそうだ


    ねぇそんな方本当にいるの?

    チームブロッサムにいるのを既成事実化してそのまま丸め込んだりとかしないよね?

  • 191二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 17:56:31

    ドアインザメジロされてるやん…

  • 192二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 17:56:37

    ――トレーナーさん、 メジロ総帥としての判断は貴方が最優先です
    ――もし気が変わってアルダンを受け入れてくれる気になったらいつでも言って下さい

    流石にそれは難しい、たった三ヶ月で俺のリソースが大きく増えるなんてのは不可能だろう
    しかしメジロの総帥「おばあさま」の顔を立てるように本当はアルダンを受け入れたかったのに申し訳ない的な事はいっておく。 実際俺が未熟でなく受け入れられるのであれば受け入れていただろう
    「おばあさま」はアルダンを呼び、自分の側に寄らせる
    本当に嬉しいんだろうな、アルダンに希望の光が見えたのが

    ――良いですか? たった三ヶ月しかありません
    ――なんとしても心を掴むのですよ? 貴方にはその恵まれた肢体もあるのですから
    ――なんならラモーヌさんを使いなさい

    ……あの、おばあさま? おばあさま!?
    アルダンは頭ブロッサムじゃないの! てか名門の総帥様!?

  • 193二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 18:01:31

    俺の叫びがまるで無かったかのように「おばあさま」 はアルダンに優しく包容をする
    まって、良かったねアルダンじゃあ今日のお話はおしまい!みたいにならないで?
    ねえ「おばあさま」さっきの何? 3月いっぱいまでしか俺はみないよ?
    というかたったこれだけでアルダンの人生を安易に俺に全部捧げさせようとしないで
    ――まあ
    色々訴えでたが全部「無かったこと」にされた
    簡単に言えばスルーだ
    メジロの総帥はなんとかアルダンをねじ込みたいらしい


    ――良くってよ☆

    良くねえよ

  • 1941◆qxc6n.SpgKwJ25/10/21(火) 18:08:15
  • 195二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 18:09:02

    次スレ乙埋め

  • 1961◆qxc6n.SpgKwJ25/10/21(火) 18:09:29

    QKします

  • 197二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 18:11:30

    スレ立て乙埋め

    3ヶ月でリソース…あっ(察し)

  • 198二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 20:55:55

    埋め埋め

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