【SS】マルクト「ヒマリ、千年難題を解き明かすのです」Part14

  • 1125/10/21(火) 19:48:29

    未来予知の秘密を解体する話。


    ビナーvsミレニアム。見える未来と見えない未来。学園に迫るは夜の闇。

    極限の果てで見出すのは世界の秘密。千年難題、四番目の真理――。


    ※独自設定&独自解釈多数、オリキャラも出てくるため要注意。前回までのPartは>>2にて。

  • 2125/10/21(火) 19:49:31

    ■前回のあらすじ

     一年生組と三年生組で行われた発明対決の末、遂に暴かれたのは六番目の千年難題。

     そして明らかになったのは、千年難題とは解き明かした者を人より遠ざける神への階であるということ。


     解き明かして本当に良いものなのか、それを知る者は今なお存在せず、ただ眼前に在り続けるのは真理という名の『未知』である。


     そうして始まる『理解』のセフィラ、ビナーとの対決は開幕早々『廃墟から出て来ない』という法則を打ち破るものであった。


     絶対の未来予知を持つビナーのミレニアム侵攻を食い止めることは出来るのか。

     敗北すれば世界が滅ぶ太古の脅威――その攻略法を求めてエンジニア部の戦いが始まる。


    ▼Part13

    【SS】マルクト「ヒマリ、千年難題を解き明かすのです」Part13|あにまん掲示板ミレニアムがセフィラと戦う話。慰安旅行での発明対決。先達が開く道。主役でないものなどこの世界にはいない。ただその視点を知らないだけ。それはもうじき学校を去る三年生たちから送る、後輩たちへのプレゼント。…bbs.animanch.com

    ▼全話まとめ

    【SS】マルクト「ヒマリ、千年難題を解き明かすのです」まとめ | Writening■前日譚:White-rabbit from Wandering Ways  コユキが2年前のミレニアムサイエンススクールにタイムスリップする話 【SS】コユキ「にはは! 未来を変えちゃいますよー!」 https://bbs.animanch.com/board…writening.net

    ▼ミュート機能導入まとめ

    ミュート機能導入部屋リンク & スクリプト一覧リンク | Writening  【寄生荒らし愚痴部屋リンク】  https://c.kuku.lu/pmv4nen8  スクリプト製作者様や、導入解説部屋と愚痴部屋オーナーとこのwritingまとめの作者が居ます  寄生荒らし被害のお問い合わせ下書きなども固…writening.net
  • 3二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 20:09:21

    ボッシュ

  • 4二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 21:27:25

    10まで

  • 5125/10/21(火) 22:12:52

    保守

  • 6125/10/21(火) 22:14:09

    「うん……っ、あぁ……」

     夕暮れが迫るミレニアムサイエンススクール――モノレールステーションにて、新素材開発部の部長たる山洞アンリはひとり大きく伸びをした。

     遠くで聞こえる爆発音も、ミレニアムでは大した異常でも何でもない。どうせ何処かの工場が爆発でもしたのだろう。

     よくあることだ。大方、整備をケチった工場のひとつやふたつが爆発することなんて日常茶飯事。安全を置き去りにしたような技術の発展が繰り返し起こるミレニアムだからこそ、その内情を知らない外からやってきた企業の多くはまずしくじる。夢のような技術を見せつけられ、ガードが下がったところでその不安定性を実体験として味わって破産――企業人たる大人こそミレニアムという地は過酷極まるものである。

    「今日はやけに酷いな。私たちの発明が爆発していなければ良いが……まぁどうでも良いか」

     リスクを抑えるよりも新しく、そして面白いものを。それが新素材開発部の理念であり、また今のミレニアム全土における『考え方』である。何かあったのなら、リスクを分からず取り込んだ方が悪い。ある程度の説明責任は存在するものの、ことミレニアムにおいては知らないことこそ罪なのである。

     技術と合理の学園は、無知に対して非情だ。知らぬことこそ弱者であり、知らぬままでいるのは悪。
     『未知』を求めて多くを知る。知って学んで一歩を踏み出す。学生の本分たる『勉学』を大人ですらも強いるのがミレニアムサイエンススクールという技術の最前線だった。

     そうして学園内を回るモノレールを待っていると、やけに疲れたような保安部員が何名かホームにやってきたのが視界に映る。確か実働部隊ではなく事務方かつ情報処理を行っている部員だったはずだ。戦闘向きでない制服からそうだと認識する。

     それだけであれば特に何とも思わず見過ごしただろう。問題は囁くように彼女たちが話す内容の方だった。

    「ねぇ、書記があんなに追い詰められてるの初めてじゃない?」
    「もしかして、本当にやばい感じだったり……?」

  • 7125/10/21(火) 22:45:33

    10まで保守

  • 8125/10/21(火) 23:08:26

    保守

  • 9二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 23:28:19

    掲示板学/問8:保守の非忘却化の発明

  • 10二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 23:46:02

    ほす

  • 11125/10/21(火) 23:46:07

     セミナー書記、燐銅ハイマはついこの前、会長の慰安旅行と銘打たれた温泉旅行と共に行った仲である。
     無関係では無い人物の話を聞いてしまい、アンリ部長は「なぁ、そこの……」と声をかけてしまった。すると――

    「ひゃっ――あ、アンリ部長!?」
    「む? 何処かで会ったか?」
    「い、いえ!!」

     やけに緊張した様子のセミナー部員であったが、相手は一年生、自分は三年生ともなれば、突然交友の無い上級生から声を掛けられれば緊張もするかと頷いた。

    「一応改めて名乗るが新素材開発部部長の山洞アンリだ。ハイマ書記とは個人的な関わりが無くも無いのだが……何かあったのか?」
    「いえ、あの、その……」

     言い淀むセミナー部員。しかしアンリとてミレニアムの三年生だ。セミナー保安部が行う作戦には当然関係の無い者においそれと話せないようなものもあるだろう。そう納得して無理に聞き出すつもりは無いことを示そうとすると、その間もなくもう一方のセミナー部員が今しがた話していた部員を肘で突いていた。

    「ねぇ、言っちゃっていいんじゃない? 心配してるみたいだし隠しても逆効果じゃ……」
    「そ、そうかも……?」

     何処か迷うような視線が眼前でやり取りされる。そしてひとりがおずおずと告げたのは『正体不明の怪物と保安部が戦っている』とのことであった。

    「……なるほどな」

     真っ先に思う浮かぶのはエンジニア部のこと。セフィラという古代技術の結晶たる脅威と戦い、それらを捕獲していたことは慰安旅行で耳にしていた。曰く『廃墟』に閉じ込められた怪物。マルクトを導き捕まえなくてはならない脅威――今しがた聞いた限りにおいてはまるでセフィラが『廃墟』から出てきたような言い様であったが、それを確かめる手段を今この場にあるわけでも無い。

     しかして、仮にそうであるのなら今かなりの危機的状況であるのではないかとも思う。
     『廃墟』の中にて完結するはずだった戦いがミレニアムまで及んでいるのだとすれば、きっと一般生徒には気付かないよう戦いが始まっているのかも知れない。

     とはいえ勝手に協力するのは難しい。『預言者』であるエンジニア部にとってセフィラとの戦いに横やりを入れるのは侮辱以外の何物でも無いからだ。

  • 12二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 03:23:31

    保守

  • 13二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 07:57:50

    ほむ

  • 14二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 15:28:31

    保守

  • 15二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 15:50:03

    ほむ...

  • 16二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 22:12:31

    補習

  • 17125/10/22(水) 22:58:25

     ――お前たちでは出来ない。だから私たちも手を貸してやろう。

     この思考の傲慢さたるや、こればかりは本物の天才である彼女たちに向けてはならない禁忌であるだろう。
     だからアンリ部長は慰安旅行で交換したモモトークにメッセージを送った。「何か困っているのなら手伝ってやるぞ」と、極めて簡易なメッセージをひとつ。

     返信は直ぐに来た。

    『いますぐ来られますか? アンリ部長以外の招集は任せますが、まずはあなたに来てもらえると』

     ――明星ヒマリ。エンジニア部の中の誰よりも、目的達成のための手段を選ばない『本物の合理主義者』。彼女が言っているのである。自分だけはひとまず来て欲しいと。

     思わず笑みが浮かんだ。

    「はっ――。外部からの攻撃では傷つかないと言った端からこれか」

     千年難題を解いてしまった影響で絶対の恒常性を保つようになってしまったこの身体。如何なる破壊をも受け付けず、寿命以外で死ぬことすら無くなってしまったような異常性を帯びてしまったのだと言ってからのこれである。

     つくづく、合理を標榜しながらも情に厚い調月リオと、情を優先すると見せながら誰よりも合理的な明星ヒマリの対照性に苦笑いを浮かべるほか無い。

     新素材開発部部長、山洞アンリはモモトークにメッセージを送った。

    『私の可愛い部員たちはともかく、私だけなら行ってやる。何処にいるんだ貴様らは』

     『先輩として』貴様らに関わってやるから教えろと打ち込んで、ひとり僅かに笑みを浮かべる。
     きっと貴様らにもいずれ分かるだろう。『後輩』に頼られるのは中々に悪くないものであるのだと。

    「エンジニア部……。目の敵と言うほど悪感情は抱いていなかったが……ともかく、貴様らに憧れた者としての責務ぐらいは果たしてやろうさ」

  • 18125/10/22(水) 23:07:26

     モノトークに書いてあるのは思い浮かぶその限りにおいて、今しがた爆発している地域の方である。

    (交通機関は死んでいるだろうし……まぁ、大丈夫だろう。いまの私は多次元バリアとも言うべき状態になっているのだし……)

     せめて1時間ぐらいで辿り着ければ良いのだが、はてさて――

     アンリ部長は内心そう思いながらも自転車に跨って学園の外を目指した。
     徹底した情報規制と言う名の揺籃を抜けて、未知たる怪物が暴れ回る外の世界へと。



     そんな一方、ホームでアンリ部長との邂逅を果たしたセミナー部員は、ほっと息を吐いた。
     なにせミレニアムでも頂点に立つ新素材開発部の部長と話してしまったのだ。今年入学した一年生たる自分にとってはアイドルと言葉を交わしたぐらいの緊張が走ったのである。

    「はぁーーーーーっ! 話しちゃった! 新素材開発部の部長と!」
    「あれ? 推しはチヒロさんじゃなかったっけ?」
    「だからなの!! ライバル視する先輩! さらりと受け流す後輩! つまりチヒロさんってこと!! ああもうどうしよう! これ、『ある』よね!? 目の上のたんこぶ、そう意識していつの間にか積もる想い――! 半信半疑ながらに意識し始めるチヒロさん! 先輩からの『好き好き』を受けながらあしらっているつもりがいつの間にか嗜虐心を掻き立てられて試しに攻め始め――」
    「生ものはよくないんじゃない?」

     やってきたモノレールに乗り込みながら、セミナー部員たちは一息ついた。
     向かう先は『推し』であるエンジニア部の元に向かうためである。一年生である少女たちにとって、エンジニア部とはまさに『特別』な存在なのであった。

     入学当初からミレニアムの最高機関であるセミナーに存在を認知されるほどの圧倒的な存在感。
     会長が作りだしたミレニアムの『ルール』である部活動対抗戦ですら、「何処吹く風」と言わんばかりに無視できる圧倒的な強者の群れ。

     嫉妬なんてしようがない。あれは眩い『星』である。
     およそ手すらも届かない――果ての才能。極天の星。ここまで離れてしまえば、ただ人は空の瞬きに憧憬を抱くしか無いのだ。

  • 19二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 23:45:28

    ほしゅ

  • 20二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 07:51:40

    ほむ…

  • 21二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 07:54:40

    保守

  • 22二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 16:08:33

    同級生モブからは好意的に取られてるのか

  • 23二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 20:11:31

    保守

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