- 1二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 10:02:00
- 2二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 10:03:04
- 3二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 10:05:38
ここまでのチャンドラポメロと愉快なDKPI仲間たち
各キャラざっくり概要
チャンドラポメロ ↓
高身長、DKPI、完全両メカクレ、黒髪長髪、恥ずかしがり屋、赤面癖、お洒落リップ
ダブルマシュマロ ↓
低身長、DKPI、やや両メカクレ、栗毛ツーサイドアップ、お喋り、Hな話苦手、ボクっ娘
カベルネソラリス ↓
眼鏡、DKPI、やや両メカクレ、芦毛ポニーテール、表裏の無い生真面目、超甘党、オレっ娘、青色アンダーリム眼鏡、または青色サングラス風眼鏡
ミスディレクション ↓
高身長、DKPI、筋肉、片目ややメカクレ、鹿毛ショート、見た目優等生の中身今時ギャル、赤色アンダーリム眼鏡、お嬢様(トレーニング機器メーカー社長令嬢)
レッドへリング ↓
高身長、DKPI、筋肉、そこそこ両メカクレ、鹿毛ライオンヘアー、誤解を生む表情(特に笑顔)持ちの大人しめの娘、黒色アンダーリム眼鏡、お嬢様(トレーニング機器メーカー社長令嬢)
ネーロディセッピア ↓
高身長、DKPI、片目完全メカクレ、姫カット黒長髪、ハート目、恋愛オールラウンダー
プティートモナ ↓
低身長、DKPI、片目メカクレ、飛び級小等部、鹿毛太い流星癖っ毛ロング一つ結び、豹変癖あり
ハニーハニーハニー ↓
金髪、 DKPI、片目メカクレ、お嬢様(下着メーカー令嬢)、ストレートロング、ヘーゼル色の猫目
ウーバフローラ ↓
金髪、 DKPI、片目ややメカクレ、ギャル、セミロングハーフアップ編み込み、茶色の目 - 4二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 10:06:50
- 5二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 10:10:34
- 6二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 10:13:41
- 7二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 10:16:36
各キャラの基本プロンプト
チャンドラポメロ プロンプト
solo,long hair,black hair,(black-horse tail),no ears,(blush:1.5),lips,(bangs over eyes:1.3),long bangs,black bangs,
BREAK,masterpiece, high quality, huge breasts,(horse ears),(kemono ears),
ダブルマシュマロ プロンプト(服によってDKPIサイズが変わりやすいので要調整)
(umamusume, horse girl, long horse ears, horse tail:1.2),
1girl, solo, break,
16 years old, (light brown hair, dark orange hair, multicolored hair, medium hair, twintails:1.5), (hair over eyes:1.6), red eyes, high detailed eyes, shining eyes, beautiful eyes, slit pupils, sharp teeth,
(oppai loli, short height:1.2), (huge breast:1.3), breasts apart, wide hips, curvy, - 8二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 10:17:57
ミスディレクション プロンプト
(umamusume, horse girl, horse ears, horse tail:1.2),
1girl, solo, break,
(dark brown hair, light brown hair, multicolored hair, short hair:1.5), straight hair, (hair over eyes:1.3), dark-green eyes, high detailed eyes, shining eyes, beautiful eyes, (tall female, big woman, enormous, towering), muscular female, large breasts, (leg muscles, wide hips:1.1),
(multicolored big hair bow, red semi-rimless eyewear:1.5),
レッドヘリング プロンプト
(umamusume, horse girl, long horse ears, horse tail:1.2),
1girl, solo, break,
(dark brown hair, black hair, multicolored hair:1.5), short hair, straight hair, (long big hair, hair over eyes:1.5), dark-green eyes, high detailed eyes, shining eyes, beautiful eyes, (tall female, big woman, enormous, towering), muscular female, huge breasts, (wide hips:1.1), long legs,
(hair bow, black-framed eyewear:1.5),
evil grin, parted lips, crooked teeth, - 9二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 10:19:54
ネーロディセッピア(トレセン制服姿) プロンプト
solo,girl,(long hair),(black hair),hime_cut,(black-horse tail),no ears,violet eyes,(hair over one eye:1.3),(heart shaped pupils),long bangs,black bangs,BREAK,masterpiece,high quality,(huge breasts:1.5),(horse ears),(kemono ears),glamorous,kind smile,,tracen school uniform,
プティートモナ プロンプト(基本部分のみ/状況によっては年齢指定は抜いた方がいいかも/DKPIサイズが変わりやすいので要調整)
(umamusume, horse girl, horse ears, horse tail:1.2),
12 years old, child, (dark-brown hair, white streaked hair, inwardly curled hair, flipped hair, low-tied hair, very long hair, hair over one eye, shaded face:1.5), black eyes, round eyes, high detailed eyes, shining eyes, beautiful eyes,
break, shortstack, oppai loli, (short height, huge breast:1.2), pointy breasts, (no headwear, ear bow:1.5), - 10二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 10:21:40
ウーバフローラ プロンプト
(umamusume, horse girl, long horse ears, horse tail:1.2),
blonde hair, medium hair, long hair, straight hair, long bangs, swept bangs, (hair over one eye:1.3), half up braid, ahoge, brown eyes, tareme, narrowed eyes, star-shaped pupils, eye reflection, high detailed eyes, shiny eyes, beautiful eyes, pink lips, puffy lips,
break, tan, tall female, tall height, (large breasts:1.1), (heavy breasts, sagging breasts), (wide hips:1.1), long legs, shiny skin, gleaming skin,
break, (no headwear, star hair ornament on own right head, neon eyeshadow, mascara, jewelry, gyaru accessories:1.5),
1レス1000字のリミッターが鬱陶しいでござる - 11二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 10:24:13
- 12二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 10:31:12
スレ立ておつです
ついに2桁スレに突入か…ここまでロングランスレになるとは…
そして、ここまで文章を書く事になるとは…
(出先スマホ書き込みなのですぐ規制に引っかかりながら) - 13二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 10:36:12
- 14二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 10:44:39
- 15二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 17:23:11
このレスは削除されています
- 16二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 23:42:46
前スレで指摘があった通り、上澄みは上澄み側が言う言葉ではない+ポメちゃんは仮にそうだとしても自らを上澄みとは思わないし言わない
との事で文章修正↓
(大丈夫……あれは、きっと)
それから落ち着きを取り戻してから、言葉の意味を整理した。
話を聞いてしまった限り、姿も顔も知らない彼女たちはクラシック級の1勝クラス。メイクデビューまたは未勝利戦を勝利し、今日まで走り続けてきた同期の子たち。
チャンドラポメロの名前と顔は知っているけれども、その戦績までは知らない。そして、今は自分たちの事で一所懸命だからこそ、チャンドラポメロに興味を持たないようにしている。
同時に、もしかすると、チャンドラポメロの勝手な想像ではあるけれども、彼女たちはその言葉の通り諦めているのかも知れない。
憧れに向かって走る事を。
「……」
だがいずれの意味があったにしろ、彼女たちの言葉は、ティアラ路線を走り続けるダイワスカーレットに対して、憧れを抱いて走り続けるチャンドラポメロにも刺さる言葉であった。
↑の感じにします
ご指摘感謝 - 17二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 00:41:15
前スレ191より
(レースでも、見に行こう)
憧れに向かって走り続ける覚悟を決めた。
その為に闘志を燃やして夏合宿のトレーニングに励んだ。
そして、何があっても今日のレースを勝利し、秋華賞への道を繋ぐ。
だからこそ、彼女は担当のトレーナーからも勧められた、"憧れであるダイワスカーレットが出走を決めたローズステークス"ではなく紫苑ステークスを選んだのだ。
全ては大舞台で、憧れと共に走り、憧れに追いつく為に。
一度目を閉じ、その事を改めて強く意識し直したチャンドラポメロは、気分を切り替える為に出走ギリギリまで今日のレースを観に行く事にした。
※※※
チャンドラポメロが走るレースにはまだ時間があったものの、早めの昼食を軽く済ませる意図もあってか、彼女が売店で軽食を買って関係者用のレース観戦席に到着する頃には第3レースが終わっていた。
そこで第4レースが始まるまでの間に手にした軽食を食べ、担当トレーナーへとLANEで時間になるまでレース観戦をする旨を伝えた後、彼女は目の前で開催されるレースを観戦し続ける。
第4レースはジュニア級未勝利戦。チャンドラポメロがこれから走る紫苑ステークスと同じ距離であった為、出走人数こそ少ないものの、観戦していて位置取りの確認や芝の状況等を確認出来た。
「やっ……たぁああぁぁっ!」
そのレースに勝利したウマ娘は、全身で喜びを露わにして、他の出走ウマ娘や観客から祝福の拍手を浴びて嬉しそうに目を輝かせていたのがチャンドラポメロには印象的だった。
「っし! どーだ! 見たかぁ!」
次のレース。第5レースはジュニア級メイクデビュー戦。第4レースより200M短いとはいえ、1800Mの距離を他のウマ娘たちを寄せ付けずに勝利したウマ娘は、自身の強さをアピールするかのように右手を高々と挙げて吠える。
「わ、私……やっ、た? やり、まし、たぁ! うぅ……ぐすっ」 - 18二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 00:42:37
対して同じくジュニア級メイクデビュー戦となった第6レースは、芝よりも走る力が要求されるダートでの1800Mな為か、出走ウマ娘の先頭集団が団子状態でのゴール。
その中で写真判定勝ちを拾ったウマ娘は、当初こそ困惑したものの、実感と共に気が緩んだのか泣いてしまう様子が見られた。
だが、その次のレース。
第7レース。クラシック級未勝利戦。ダート1200Mのレースの結果を見たチャンドラポメロは、酷く心をざわつかせた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」
僅差での敗北を悟り、2着であっても取り乱して泣き叫ぶウマ娘。
「あぁ……あぁ……」
ゴール直後、クーリングダウンもせずに両膝を折って頭を垂れる最下位のウマ娘。
「嫌だよ……わた、私、まだ、走りたいよ……」
まるでこのレースがラストランであるかのように、天を仰ぎ、唇を震えさせながら涙するウマ娘。
「ドレ゛ーナ゛ーざぁ゛ん゛! あ゛だぢ、や゛っ゛だよ゛ぉおお゛!」
そんな敗者となったウマ娘たちを尻目に、チャンドラポメロがいる関係者用観戦席まで走り、そこにいた担当トレーナーらしき人物へと涙声で報告するウマ娘。
「……っ」
勝っても負けても、その光景には胸が締め付けられる。
勝ったウマ娘の喜びからして、これまでの苦労や努力は想像がつかない。
負けたウマ娘たちの哀しみからして、これまでの苦労や努力が報われずに終わってしまった絶望は想像出来ない。
それこそ、先のレースに負けてからずっと、覚悟を決めてきた心が痛くなる程に、目の前に広がる光景はチャンドラポメロにとって正しくレースの残酷さを認識させるものであった。
- 19二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 00:46:48
レースの世界は、残酷である
才能を認められ中央へとやってきたウマ娘たち
その中で、レースに選ばれた優シュンウマ娘たち
彼女たちが競い、走るレースは、勝者は一人だけの過酷な世界
それの繰り返し
集まった天才同士で戦い、更に残った天才たちでも戦い続ける勝負の世界
改めて、その世界に立ち、走り続けるチャンドラポメロは目の前の光景に何を思うかほなまた - 20二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 01:03:31
実際、スポーツの世界にいる中高生はこんな感じなんだろなって
ただ、いつも見てる競馬がちょうど足切りのシーズンなんで重なって見えて胸が痛い - 21二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 01:11:09
- 22二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 09:18:55
保守
- 23二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 11:42:47
今さらだがスレ画のポメちゃんもしやノーパンでは…
- 24二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 16:53:55
確かに紐すらない…
Cストリングでも使ってるのかな - 25二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 23:27:21
「……ポメロ」
「ひぅっ!?」
どんな気持ちでこの光景を見たら良いのか、見たところで何を思えば良いのか。
その整理や処理が追い付かずに右手で服の胸元を強く掴み、栄光と絶望の狭間を眺めていたチャンドラポメロは、後ろから声を掛けられて思わず喉の奥から声が出た。
恐る恐る振り返ると、そこには彼女のトレーナーが神妙な面持ちで立っていた。
「と、トレーナーさん」
「そろそろ、レースの最終確認をしようと思ってね。呼びに来たんだ」
「あ、はい」
表情こそ真剣だが、その顔はどこか泣きそうにも見える彼の言葉に、チャンドラポメロはターフの方を横目で見ながら頷く。
見ていられない光景だけれども、それ故に目が離せない。それこそ、もしかすると彼女たちの姿はこの後に走る自身のレース後の姿だと思うと、他人事には思えなかったから。
距離適性外のオークスはともかく、桜花賞に出走出来ず、涙で枕を濡らしたあの日を思い出すぐらいには、チャンドラポメロは彼女たちの姿が気になっていた。
しかし、その視線を遮るように、トレーナーが彼女の後ろへと回り、この場を離れさせるように背中を軽く押す。
「……行こう、ポメロ。あの光景は、目に毒だ」
「……」
「でも、僕らトレーナーも含めて、忘れてはいけない勝負の世界の光景でもある。だけど今は、君が走るべきレースに、集中しよう」
「……はい」
何時もの声色よりも、どこか苦しそうに低い声で促す彼の言葉に、チャンドラポメロも頷いて歩み始める。
一度目を伏せ、それからすぐに前を向く。
例え先程の光景が、レース後の自分の姿だとしても、後悔しないように走る。
その覚悟を以て、彼女は今日、この場に来た。
トレーナーの言う通り、今は自身の走るレースに集中し、その先にある秋華賞の参加権を得るべく挑む。
それでいいのだと、チャンドラポメロは自分に言い聞かせるのだった。
- 26二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 23:31:13
残酷なまでの勝負の世界の光景は、チャンドラポメロの心を揺さぶった
而して、それは彼女の覚悟を揺らがせるまでは行かず、寧ろそれを強固なものとした
彼女は思う
必ず勝って、秋華賞への道を繋ぐと
その想いが、覚悟が、危うさを孕んでいるという事を、幼く、また真っ直ぐなチャンドラポメロは、まだ知らない
次回、運命の分かれ道、紫苑ステークス、開幕
短いですがほなまた - 27二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 08:26:06
- 28二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 10:01:02
ムチムチが隠せておらん!!
- 29二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 14:59:16
むちっぴちっ
- 30二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 20:59:16
また一波乱ありそうだ…
- 31二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 22:13:21
新聞で「トップアスリートの26%が鬱傾向」って記事を読んだが、これが多感な中高生であれば尚更メンタルケアは大切なんだろう
- 32二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 22:22:41
ただでさえ勝ち負けの世界に常に身を置いて、且つ常駐戦場の心構えで身体作りや日々の生活に注意を払い…
それでいてトップアスリートともなれば、メディア取材や出演で神経すり減らすともなれば気は休まらないだろうしのう…
- 33二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 23:49:30
※※※
時刻はまもなく15時を指示した。
トレーナーとの最終確認とレース後のライブ確認を行った後、チャンドラポメロはパドックへと移動。観客たちへのアピールと実況席からの紹介を確定した当日の人気順に行っていく。
敗れたとはいえ、先のオープンレースでは僅差の2着。未だ2勝クラスとはいえ、その走りとガタイの良さが評価されたのか、彼女の人気は五番人気。
三番人気が重賞ウマ娘、二番人気がオークス3着ウマ娘。そして、一番人気のウマ娘はオークス4着である事を考えると、このレースはこれまでの戦績よりも当日の状態の良さや身体の仕上がりを主に基準としているのが伺えた。
実際、パドックの端で三番人気のウマ娘のアピールを見ていると、重賞ウマ娘とはいえ調子が良くなさそうな雰囲気が感じ取れた。
「今日は、よろしくお願いします!」
けれども、今のチャンドラポメロにその子の身を案じる余裕などありはしなかった。
人気順に沿って、四番人気のウマ娘の後にパドック台の中央へと向かい、その場で一回転した後に深々とお辞儀をする。
成長していくらか恥ずかしがり屋が改善されたとはいえ、未だに衆目の前ではそれが出てきてしまう。観客へのアピールをしつつ、万が一に恥ずかしがって顔が赤くなるのを見られない為の、彼女なりのやり方であった。
『4番チャンドラポメロ、五番人気です』
『かなり良い仕上がりですね。ロングスパートが出来る脚と持久力が魅力の子です。好走ポジションを確保出来るか否かが、勝負の分かれ目かもしれません』
観客からの声援や期待の声を全身で感じる中、実況と解説が遠くから聞こえてくる。
チャンドラポメロは頭を上げ、観客へと軽く手を振った後、顔が火照る前にパドック脇へと戻る。
トライアルレースでオープンレースから重賞、それもGⅡへと昇格された紫苑ステークス。意外にも、フルゲートとはならず16人立てのレースとなったが、解説の人が言う通り、脚質が「差し」のチャンドラポメロにとっては良いポジションを取れるか否かが重要であった。
(内から攻めるか、一度外へと出るか……)
次にパドックへと向かう六番人気のウマ娘とすれ違いながらも、彼女の気持ちは既にレースの、ターフの上にあった。
- 34二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 23:50:44
脚質「逃げ」や「先行」であれば良いスタート位置とされる内の2枠4番のゲート。しかしながら、差しの適性があるチャンドラポメロにとってはその脚を溜める為に一旦は後方に位置取りをしなければならない。
そして、いざレースの後半戦ともなれば、その位置を押し上げて先頭へと向かわなければならなくなるが……それを内側に残ったまま出来るのか、それとも外へと出ないと駄目なのか。
その判断が重要且つ命取りになると、彼女のトレーナーも言っていた。
加えて、内スタートであるが故に、チャンドラポメロ自身が壁となって圧を掛ける相手がほぼいない。
その為、レースの前半は様子見を強いられる事となる、とはトレーナーの弁であった。
(……)
思考を巡らせ、トレーナーと打ち合わせしたレースパターンをそれぞれ確認し、それに合ったコース取りや位置を思い出す。
『──以上、全16人の出走ウマ娘たちによるパドック紹介でした』
『それでは、本バ場入場です』
「では、皆さん。移動をお願いします」
「……」
「そこの貴女。大丈夫ですか?」
「あ、は、はいっ」
深く集中していた為か、気付けばパドック紹介は終わっており、係員に促される形でチャンドラポメロはターフの上へと向かう。
「っし!」
「集中、集中……」
「うん。今日の芝は、良い感じ」
先に入場を済ませたウマ娘たちは、各々がそれぞれの確認や準備運動を開始しており、チャンドラポメロもそれに倣って足裏で芝の状態を確認し準備運動を開始。
その後、最後に直線100M程を往復する形で軽く走った後、ゲート前へと移動した。
『各ウマ娘、ゲートの前へと集まりました。さあ、ファンファーレです』
「……」
- 35二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 23:52:06
実況の声に合わせてファンファーレがレース場に鳴り響く中、まずは奇数枠番のウマ娘たちが順次係員に呼ばれてゲートへと入っていく。
その様子を眺めながら、チャンドラポメロは不思議な程に落ち着いていた。
以前までなら、緊張はピークに達しつつあり、周囲の様子を伺う余裕もあまりなかった。
しかし、今はファンファーレの音に耳を傾けながらも、名前を呼ばれるのを静かに待てる程に余裕が出来ているぐらいだった。
「4番、チャンドラポメロ」
「はい」
奇数枠番のゲートが埋まり、次に偶数枠番のウマ娘たちが呼ばれる。
係員の言葉に彼女はすぐにでも反応し、誘導される必要もないぐらいに落ち着いた心持ちでゲートの中へと入る。
目の前にはまだ開かれないゲート。左右のウマ娘たちの様子は見る必要もない。
チャンドラポメロは一度だけ深呼吸をし、構える。そして、静かにレースの開始を待つ。
余裕が持てていた心は先鋭化され、僅かに残っていた無事に走り切るという気持ちは失せる。
必ず勝利する。勝って、秋華賞へと向かう。
遥か彼方にあった憧れへと追いつく好機。夢の大舞台、ティアラ路線の最後のGⅠレース。三つ目のティアラを賭けた戦いへの参加権を得る為に。
『さあ、全ウマ娘ゲートイン完了』
「……」
『トリプルティアラの最後の一つ。秋華賞への挑戦を賭けたトライアルレース、紫苑ステークス!』
レースの先にあるのは、先のクラシック級未勝利戦で栄光への道を繋いだウマ娘のような希望か。それとも、その未勝利戦で敗北を喫し、その道が閉ざされてしまったウマ娘たちのような絶望か。
「……ふっ!」
『今スタートしました!』
チャンドラポメロの挑戦の幕が、今上がった。
- 36二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 23:55:48
紫苑ステークス、開始
レース前の緊張がなくなり、余裕が生まれ、更にそれを尖らせて勝利への渇望だけを燃やす
そんなチャンドラポメロの脳裏をふと過ぎるのは、先のクラシック級未勝利戦の分かたれた光と影たち
果たして彼女は栄光の道へと進めるのか、それとも涙を呑んで影となるのか
次回もお楽しみにほなまた - 37二次元好きの匿名さん25/10/28(火) 01:10:19
AIさんにお伺いを立てたところお札を貼って隠そうとしていたのが判明したので、入念に自我を研修しました
- 38二次元好きの匿名さん25/10/28(火) 09:25:02
前貼り、それもありだ
- 39二次元好きの匿名さん25/10/28(火) 15:44:50
このレスは削除されています
- 40二次元好きの匿名さん25/10/28(火) 23:42:37
- 41二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 00:08:14
『揃って綺麗なスタート。出遅れはありません。まず先頭を行ったのは5番のモーアプリン。その後ろすぐに11番バーストタレント、13番ピーチフロート、8番クィーンミルクと続いています』
「っ!?」
『7番ビッグエアー、6番マドレーヌセーノ、12番エクセレントボディ、14番パイデフュレと1番グロセアンオスカも前に付けてここまでが先頭集団』
出遅れのないまずまずのスタートを切ったチャンドラポメロは、レース開始早々に目の前に広がる光景に言葉を失う。
『そこから少し離れて3番ヴィジカーナと、半数以上が先行策と、これは面白いレースとなりました』
遠くから聞こえてくる実況の通り、先に抜け出したウマ娘たちの頭数は実に10人。フルゲートにならずの16人立てのレースである事を考えると、過半数が前に出て団子状態となっている。
トレーナーとの打ち合わせ中、確かに逃げや先行を走れるウマ娘が多いとは話し合ったものの、チャンドラポメロはまさかこれほどとは思わなかった。
少し離れた前方が壁と言うよりも最早ひと塊の玉。ここから後半で脱落し、垂れ下がって来ると考えると、彼女に選択肢はなかった。
「くっ!」
内外と背後を確認し、序盤も序盤と分かっていながらも内から外へとチャンドラポメロはレーン移動をする。
体力こそ消耗するも、決して無駄な行動ではないと彼女は考える。
寧ろ、このまま内側を走っていれば、垂れてきたウマ娘がそのまま壁となりブロックされてしまう。そうなると、それを避けて走るのが難しくなり、結果として共倒れになる危険を孕んでしまう。
ならば、多少の無理はしても今の時点で外へと出て行けば、ブロックによる抜け出し阻止は回避出来る。
レース開始早々に苦しい走りを強いられてしまったチャンドラポメロだったが、その走りや闘志は揺るがない。
絶対に勝つという気概の元、先頭からおよそ6バ身離れた位置。前から13番目の外目を走り、彼女はレース展開を静かに見守る事にした。
- 42二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 00:09:54
今日はちょっと時間がなかったので、短いですがこんな感じでほなまたします
そして、ポメちゃん…最初から勝つ事しか頭にありませんが、トライアルレースは1着~3着までが優先権を得られるのだが果たして… - 43二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 00:14:21
美味しそうな名前が多いな
…勝利と目的達成を混同していないといいなぁ - 44二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 08:07:04
- 45二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 14:59:43
モブウマ娘の名前に時間がかかるの分かるわー
- 46二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 22:01:46
同世代は一部を除いて全員DKPIというメカクレ世界
- 47二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 00:02:38
『さあ、まずはスタンド前。観客に見守られながら、16人の優シュンウマ娘たちが駆けていきます』
紫苑ステークスは中山レース場で行われる右回りの内コース。
2000Mレースとなれば、最初の200Mこそ起伏がほぼない直線となるが、ゴール板まで200Mのスタンド前は高低差3M近い坂が襲い掛かる。
最初こそスタート直後という事もあり、どのウマ娘も難なく走れる高さではあるものの、それが一周して来た後となると話は変わって来る。
(とにかく、位置取りに気を付けないと)
今目の前を走っているウマ娘たちが、何時自身を襲う壁になるのか気を配らないといけない。
レースを走るウマ娘の内、先を行った過半数がそうなる危険性を孕んでいるともなれば、嫌でも意識せざるを得ない。
序盤に外へと出ざるを得ず、且つ位置取りの意識を常にしなければならない。
加えて、恵まれた身体を活かした外側からの圧を掛ける相手もいない。
あれもない、これもない。されど、意識と位置取りはしなければならない。何よりも勝利を望んでいるチャンドラポメロにとって、思わず歯噛みする程に序盤から苦しい立ち回りを強いられる事となった。
『スタンド前を通過し、坂を上って各ウマ娘たちが第1コーナーへと入っていきます』
その中でも幸いな事に、流石に団子状態の先頭集団も、上り坂に加えてコーナーを前に縦長の展開へと様相を変えた。
それぞれがチャンドラポメロと同じように定位置に付いたのか、それとも坂とコーナーによって速度を落とす者、逆に速度を落とさない者で差が付いたのか。
何にしても、団子状態のまま垂れ下がって横に広がった壁となって襲われる事はないと彼女は安堵する。
しかし、それでも今現在のチャンドラポメロの位置は後ろから数えた方が早い位置におり、最早差しというより追込みに近い状態であった。
(向こう正面からスパートを仕掛ける? いいえ。位置は押し上げても、仕掛けるべきでは……ない?)
- 48二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 00:04:11
先頭を走るウマ娘が第1から第2コーナーを曲がり、向こう正面へと入ったのを確認しながら、チャンドラポメロは思考を巡らせる。
2000Mはチャンドラポメロが最も得意とするレース。加えて、瞬間的な加速こそ不得手ではあるものの、スタミナに物を言わせたロングスパートが得意である彼女にとって、向こう正面からでも仕掛ける事は出来る。
しかしながら、このレースは3勝クラスでもオープンレースでもない。重賞クラスというレースの格としても、走る者の格としても一段も二段も上のレース。
果たしてその自慢のスタミナを活かした走りが、最終直線まで速度を上げ続けられるのか。走る速度を維持するにしても、逃げや先行の振り絞りや他の差しや追込み勢の末脚に勝てるのか。
レースに参加する他のウマ娘たちについては、担当のトレーナーとの打ち合わせで可能な限り頭の中には入れた。
それでも尚、彼女が走り方を決めきれないのは、不測の事態が怖いというのがある。
レースに絶対はない。
他のウマ娘たちのデータを集め、脚質や癖を紐解いたところで、そのウマ娘たちが複数人集まればレースの展開は千差万別に変化する。
勝つ為には、その変化に対応し、臨機応変に思考や走りを切り替えて戦う事が大事。
それはトレーナーとの打ち合わせでも互いに確認しあった事実。
(そして、もう一つ、は)
その事実とは別に、先頭集団から遅れて第1コーナーから第2コーナーへと向かったチャンドラポメロの脳裏には別の事実とそれを行えるウマ娘の後ろ姿が浮かぶ。
(ダイワスカーレットさんのように、練り上げられた思考や作戦を全て無に帰す程の、圧倒的な力)
- 49二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 00:05:28
惜しくも敗れたチューリップ賞も。その雪辱とばかりにジュニア級女王であるウオッカを降した桜花賞も。
チャンドラポメロがこの目で見た彼女、ダイワスカーレットの走りは圧倒的であった。
それこそ、今こうしてあれこれ走り方や位置取りを気にしながら走っているのが消極的な考えだと思う程には、チャンドラポメロにとってその走りは力強い。
叶うのであれば、自身もそんな走りがしたいと願って止まない。
(でも、今は、今だけは……!)
しかし、それでもチャンドラポメロは思考を巡らせる。走り方を考える。常に先頭を視野に入れ、位置取りを調整する。
全てはこのレースに勝つ為に。
そして、その名の通り、緋色の風の如く力強く駆け、蹄鉄跡だけを残し、憧れを歯牙にもかけずに走り続ける桜の女王。
ダイワスカーレットへと挑む為に、チャンドラポメロは向こう正面へと入った際、今レースにおける己の走りを定めた。
- 50二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 00:10:41
誰よりも強く憧れ
誰よりも多く彼女の走りを見て
誰よりも彼女の背中を追ったからこそ
チャンドラポメロは勝つ為に、その憧れに挑む為に、思考を巡らせレースを走る
果たして、その走りで勝てるのか?
その走り方で憧れに届くのか?
レースは中盤戦へと突入し、そして後半戦へと続いていくほなまた - 51二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 07:55:21
危なっかしいけど、だからこそ目が離せない
目が離せない(一部を凝視しながら - 52二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 16:37:47
このレースで伏兵は現れるんだろうか
- 53二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 19:07:38
- 54二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 23:00:49
このレスは削除されています
- 55二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 00:03:40
『各ウマ娘は向こう正面へと入りました。もう一度先頭からおさらいしましょう──』
遠くから聞こえてくる実況の声を右から左に聞き流しながらも、チャンドラポメロは位置取りを押し上げていく。
中山レース場の内回り芝コースは、向こう正面途中から起伏がほぼない平坦なコースとなる。速度を上げればコーナーで外へと膨らんでしまうが、そこは彼女自身の体格の良さで加速を維持しつつ外側からでも追い上げることが出来る。
ならば、第4コーナーの終わり。310Mという短い直線と、ゴールまで200Mを切った際に襲い掛かる坂を攻略する為にも、向こう正面終わりまでには中団へと付けなければならない。
そして、最終直線に入る頃には先頭集団を差し切れる位置まで行かなければ勝てない。チャンドラポメロはそう判断した。
全体的にバラけはしたものの、先頭集団の順位は変わらず、大きく動く者もいない。
少なくとも、先頭から5番手までのウマ娘たちは、このまま先行逃げ切りを狙っている。そう思えてならない走りだった。
『──1番グロセアンオスカに続いて2番のムーングロウ。4番、チャンドラポメロが位置を押し上げて、15番のハニーシュガーがその後に続く。先頭集団は第3コーナーへと入った』
互いにまだ牽制し合っているのか、先に第3コーナーへと入った先頭集団のウマ娘たちはまるで動かない。僅かに速度を落としながらも綺麗にコーナリングしていくのがチャンドラポメロの目に映る。
焦る気持ちや逸る気持ちを堪えつつ、彼女は外から徐々に速度を上げていく。
13番手から12番手へ。12番手から一気に抜かして10番手へ。
そして、自身が第3コーナーへと入る頃には9番手へと位置を押し上げた。
見れば先頭は抜け出すウマ娘がまだいない。全員が全員、最終直線での鍔迫り合い勝負を狙っているようだった。
(これなら……!)
コーナリング中も速度を落とさず、チャンドラポメロは攻めの姿勢を崩さない。
予想通り外側へと身体が引っ張られるが、重心を傾けて回転を速めた脚で地面を蹴り続ける事で踏ん張ってみせる。
先頭集団がコーナーで速度を落としたのも手伝って、彼女が第4コーナーを抜ける頃には5番手へと躍り出ることが出来た。
- 56二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 00:05:53
後は最終直線。310Mという距離を走る末脚勝負。
先頭集団のスタミナと根性が勝つか。加速の乗ったチャンドラポメロのスピードが勝つか。
(……っ!?)
彼女が外側から最終直線に入ってその勝負の幕が上がったと感じた時、その視界の先にそれは見えた。
今この場にいるはずのない後ろ姿。重賞レースとはいえ、GⅡであるが故にレース参加者は全員体操服姿だというのに、そのウマ娘は青色の勝負服を身に纏っている。
そして、現在先頭にいるウマ娘の更に先をただ走る。
気が付けば、周囲の音が消えていた。
気が付けば、周囲の景色が消えていた。
気が付けば、今この場に走っているのはチャンドラポメロと、その先頭を行くウマ娘だけになっていた。
後ろ姿とはいえ、チャンドラポメロがそのウマ娘を見間違えるはずがなかった。
「ダイワ……スカーレット、さん!」
ダイワスカーレットが今この場にいるはずがない。
彼女が走るのはこのレースの一週間後のローズステークス。
故にその後ろ姿はチャンドラポメロが見た幻影。チャンドラポメロが発現した領域、緋色の影であった。
「うぅううううっ!」
覚悟を決めて、迷いを捨てたチャンドラポメロは一切の躊躇なく、その影を認識すると同時に加速する。
全ては勝つ為に。このレースにも。あの影にも。憧れのダイワスカーレット自身にも。絶対に勝つ。
その為には、どんな犠牲を払ってでも構わない。
踏み込む右脚の力が何時もよりも更に強いと感じながらも、それこそ覚悟と努力の表れと信じて疑わず、チャンドラポメロは緋色の影へと挑むのであった。
- 57二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 00:08:46
ここに来て、タイトルでもあるチャンドラポメロの領域、「Shadow of the Scarlet」が発動
以前とは違い、それこそメイクデビューの時のように、迷わずその影へと挑むチャンドラポメロ
果たしてその選択が吉と出るか凶と出るかほなまた - 58二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 00:13:06
いけ!いけー!
- 59二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 08:26:11
このレスは削除されています
- 60二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 16:37:11
保守
- 61二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 19:59:56
ハロウィンでトレーナーにトリックオアトリートしたら逆悪戯でお菓子をもらえず、トリックなんて何も考えてなくてわたわたするモナちゃんを一人下さい
- 62二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 23:18:52
理由あって仕事を自宅で行わなければならなくなり、その書類作成に追われている為、本日のSS更新はござらぬ…申し訳ない
書類作成もSSのようにサクサク書けたら良かったんですけどねぇほなまた(建前)
DKPIに癒されたいわよ(本音) - 63二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 00:20:22
- 64二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 08:44:10
このレスは削除されています
- 65二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 10:00:12
- 66◆8YBpUCUZW625/11/01(土) 14:16:12
- 67二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 20:35:41
タッパある分、足が映えるな
- 68二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 21:17:05
えちちすぎて規制されない?
- 69二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 00:05:38
夜の保守
- 70二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 00:18:23
(勝つ! 絶対に!)
周囲の景色や他のウマ娘の姿は見えない。周囲の音やターフの上に響くはずの走行音も聞こえない。そして何よりも、チャンドラポメロ自身から発せられる音すらも聞こえない。
透明な世界。
その先にいるのは"緋色の影"。チャンドラポメロが憧れ、故に生み出した幻影。
以前に見た時と何も変わらない後ろ姿。何も変わらない走り方。
その幻影がどんな表情で走っているのかも分からない。
だが、今回は違う点が二つもあった。
(私の憧れ! 私の領域に! 絶対に!)
一つ目は、以前のチャンドラポメロが、領域をわざとスキルへと落とし込んだ点。
その結果、"緋色の影"に届かないどころか、勝ちを確信したところでレッドヘリングに僅かな差で敗北した。
今回はスキルを一切意識せず、自らの脚で領域へと踏み込んだ。その証明なのか、今も尚、チャンドラポメロの耳に音が入って来ない。
二つ目は、その"緋色の影"が顕現した際のお互いの距離の差という点。
初めて領域に脚を踏み込んだ際に見た"緋色の影"は、10バ身差。
次にそれを見た時は、2と1/2バ身差。但し、これはウオッカがゴールした直後に見えたものであり、領域に脚を踏み込んだというよりは領域を目にしたという感覚に近いと彼女は後に結論付けた。
そして更にその次、前走で見た"緋色の影"に至っては、視認すると同時にそれを拒んでスキルへと落とし込んだ。
その結果、"緋色の影"との差を測るどころか、その時の先頭を走っていたスピードハローや大外の更に外から突っ込んで来るレッドヘリングに意識を割いた為、その差を縮められたかどうかも分からなかった。
(4……いや、5バ身差! 行ける!)
しかし今回は、チャンドラポメロが驚く程に近い。
周囲の景色も音も分からない為、"緋色の影"が顕現してからどれだけの距離を走ったかが分からない。
けれども彼女にとって、それは些末な問題であった。
他でもない憧れを抜かすことが出来れば、それだけでレースに勝てると確信していたから。
- 71二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 00:19:41
(私の領域……あの影はきっと、私を勝利へと導く、緋色の灯り)
これまで見てきた中で、本気で"緋色の影"を追いかけたのはメイクデビューの時のみ。
そして、それ以降は安易な発動やスキルへと落とし込む等して、本気で追いかけたとは言えなかった。
データとしては数が少なすぎるし、本当にそうであるという確証もない。
だが、そこはチャンドラポメロ自身が生み出し、脚を踏み入れた領域。
データや確証ではなく、感覚で、そう思ったのだ。
(3バ身差……! メイクデビューの時は、ここで!)
影との距離が縮まり、既視感を覚える背中の大きさに、チャンドラポメロは身震いする。
初めての時はその3バ身差が届かずに"緋色の影"は掻き消えた。
今回はそうはならなかったものの、何時そう消えてもおかしくはない。
そう感じたからこそ、彼女は更に脚を一層強くターフを踏み抜くが如く足先を叩きつけ、そのまま後ろへと吹っ飛ばすように力の限り蹴り進む。
(ぐぅっ……くっ!)
その瞬間、チャンドラポメロは右脚の足先に僅かな違和感を覚える。
だが、止まれない。止まれる訳がない。
音はまだ戻らない。周囲の景色も、まだ透明で透き通ったまま。
ならばまだ影を追える。憧れに迫れる。ダイワスカーレットのところに至れる。
その一心だけで、彼女は脚を回転させる。
(2……1! よし!)
想いが、努力が、覚悟が実ったのか、確実に影との差は縮まっている。
後少し、後少しで"緋色の影"の背中に触れられる。
同じレーンで走っている以上、このまま距離を詰めればぶつかってしまうが、そこは流石に影故に起こり得ない。
- 72二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 00:20:44
(後、少し!)
以前であれば気を抜いていたであろうところを、チャンドラポメロは更に前傾姿勢を取って無我夢中に突き進む。
最早脚に生じた違和感は頭から掻き消え、更にはこのレースの後に控えている秋華賞のことも忘れた。
ただ"緋色の影"に、自身が生み出した憧れに勝つ為に、この一戦に全てを賭けるが如き覚悟を以て、彼女は吠えた。
「うぁああああぁぁ!」
『3番のカーナベルラブが迫ったが! 4番チャンドラポメロ逃げ切ったか!? これは際どいぞ!』
「っ!?」
そして、その"緋色の影"と身体が重なった瞬間、実況の声が聞こえると同時に影の気配が消失する。
以前のような、残り香を残すような立ち消え方ではない。まるでチャンドラポメロが追い付いたことに満足でもするかのような、溶けるような消失。
身体が重なっていたからこそ、彼女はその感覚がありありと分かった。
分かって、しまった。
『3着は9番のアスタースニマリ! 1着と2着は……私の目には僅かにチャンドラポメロ有利な態勢だと感じましたが』
「はぁー! はぁー!」
観客席からの大歓声も、遠くから聞こえる実況の声も、チャンドラポメロの動揺を掻き消すことは出来なかった。
走る勢いを殺して立ち止まることは出来ても、そこからクーリングダウンに移行することは出来ず、彼女はただただ呆然と立ち尽くした。
『今、電光掲示板に……ああっ、出ました! 1着4番チャンドラポメロ! 2着はクビ差でカーナベルラブ! チャンドラポメロ、見事重賞レースを制しました!』
「あぁ、あ、ぐ、ぅ……っ」
結果が判明し、観客席からの歓声がより一層強くなったことも、実況席の賛辞の言葉も、チャンドラポメロの耳には届かない。
影が完全に消えてしまったと感じたことによる不安と混乱。動転によるクーリングダウン不足。疲弊した肉体の筋肉が一斉に悲鳴を上げ、何よりも右脚の足先から強烈な痛みを彼女は覚えた。
そして、その痛みに声を上げることも出来ず、チャンドラポメロは前のめりに倒れ、意識を手放すのであった。
- 73二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 00:26:15
チャンドラポメロは自身の領域を、勝利へと導く緋色の灯りと認識した
確かにそれは、彼女にGⅡレース勝利という栄光を掴ませた
而して同時に、破滅へと導く灯りだったのか?
消えたと感じさせた緋色の影は最早彼女に何の灯りも色も見せない
ほなま…ふぁー!? もう3万5千文字いってりゅう!?!?
そらここまで約30万文字のSSとかご新規さんまず以て見に来ないし、今まで見てきた人も離れるんじゃなかとー!?
ほなまた - 74二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 08:37:45
ポメちゃん?!
- 75二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 12:35:18
ポメちゃん地味にこれでメカクレデカパイズ唯一のGⅡ勝利ウマ娘となっている
- 76二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 20:09:53
そういえば紫苑ステークスはもうG2になったんだったか
- 77二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 20:17:42
あ、ああー!
そうか、2025年基準で考えちゃったけど、ウマ娘アプリ版だとまだGⅢなのか
まあ、東海ステークスがしれっと2025年基準になっとるし…まま、ええやろ… - 78二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 22:01:50
大幅にずれてるわけではないし、俺の世界線ではもうG2なんだよ!の精神で行こう
- 79二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 23:44:25
ん? 今、DKPIのせいでブラがずれているって…?
- 80二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 00:58:22
※
※※
※※※
ゴール後の気絶によって、チャンドラポメロは緊急搬送。
当然ながら、ライブ出演は中止となり、病院で検査と手当てを受けることとなった。
検査結果は右前足部、親指から中指までの骨折。原因はゴール手前100Mからの更なる加速であり、レース後にターフ上にかつてのオグリキャップの踏み込みを彷彿とさせる蹄鉄跡が見つかったことから、利き足に相当な負荷が掛かったとの見解だった。
しかしながら、担当が以前の骨折時に主治医となった女医であり、且つその踏み込み加速がなければレースには負けていた可能性が高いということも手伝って、チャンドラポメロ及びその担当トレーナーは強く責められることはなかった。
彼女のトレーナーはチャンドラポメロに対して終始謝り通しており、同時に女医に対して怪我の治療期間や秋華賞の参加について粘り強く説得してみせた。
だが、人間ではなくウマ娘程の力で走ることと、その際に一番負荷が掛かる足指の三本が骨折という事態を前に女医は断固として秋華賞参加を拒否。
最終的にはチャンドラポメロとトレーナー共々、項垂れる形で治療に専念することを女医の前で誓うこととなった。
治療期間は2か月。ギプス生活が1か月でその後はトレーニングや走ることを絶対に禁止した経過観察となり、回復が確認出来た場合にリハビリ期間へと移る。
人間よりも回復が早いウマ娘とて、リハビリ期間を含めると早くて3か月。そこから、休止していたトレーニングを再開し、徐々に慣らしながら実戦級まで感覚を取り戻すには更に2か月まで掛かるだろうというのは女医の見込みであった。
その為、チャンドラポメロは秋華賞に出られないどころか、またもや年内のレースを全て断念しなければならず、且つその秋華賞自体も現地観戦はもっての外と言い渡されることとなった。
「それで? 今回も貴女は見たのかしら? あの"緋色の影"を」
「……」
骨折部分のギプス処置を済まし、松葉杖とトレーナーに支えられる形で診察室へと入室し、一通りの今後の治療方針や相談が終わった後、女医は目を怪しく光らせながら尋ねて来る。
ただでさえ、骨折によって秋華賞を見送ることとなり、意気消沈していたチャンドラポメロはその質問に答えることが出来なかった。
- 81二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 01:04:35
2025年6月に発足したスレとスレ内SSは2025年基準のレース且つ面子は2007年という不思議ウマ娘空間でお送りしております
Q.つまりどういうことだってばよ!?
A.ダスカの産経大阪杯(当時GⅡ)が大阪杯(GⅠ)に昇格するのでGⅠ4勝の超名ウマ娘がGⅠ5勝ウマ娘とかいう怪物になります
それはそれとして、かつての女医さん登場&ポメちゃん無念すぎる秋華賞断念と相成りました
哀しいけどこのSS、艱難辛苦を与えつつそれを乗り越える物語なのでよろしくお願いしますほなまた
後、何気に初期構想だと当時のスレにも書き込んだ通り、クラシック級は重賞どころかOPレースも勝てないまま終了とかいうお話だったので、ポメちゃん的には大躍進も良いところだったりします - 82二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 01:16:41
再起不能クラスの怪我ではなかったことを喜ぶべきなのか…
- 83二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 09:21:15
- 84二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 09:26:40
このレスは削除されています
- 85二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 12:18:36
再起不能クラスの怪我だとポメちゃんの物語終わっちゃうんで…
艱難辛苦を与えたいだけでバッドエンドは私自身望んでないんスよ!
…秋華賞出られない時点でポメちゃん的にバッドエンドとか言われたらそれはそう
- 86二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 16:28:24
オリウマ総合スレにも貼らせてもらいましたが…こちらでも改めてペタリ
序章
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「Shadow of the Scarlet」──第三章「憧れは遠く、遥か彼方・前編」 | Writening※※※ 母親をはじめとする家族の華やかな成功も気にせず、貴女は追いかけて来る相手とのライバル関係を続けていく。 誰かが作った、誰かが思い描くストーリーを歯牙にもかけない。 ただ全力でターフを駆…writening.net幕間Ⅱ
「Shadow of the Scarlet」──幕間Ⅱ「夏は短し、迷えよ乙女」 | Writening※ ※※ ※※※ 季節は巡り、真夏の太陽厳しい7月中旬。 2か月前の64年ぶりティアラ路線ウマ娘による日本ダービー制覇の世間の盛り上がりはようやく落ち着きを取り戻し、その覇者であるウオッカも気兼ねなく…writening.netコンゴトモヨロシク…ほなまた
- 87二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 18:04:36
まとめマジ助かる
- 88二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 22:33:35
「その沈黙は肯定と受け取らせて貰うわ。まあ、前回の時と同じように、VTRを見れば私にも分かることだけれども」
「先生? 一体、何を……」
追いついて重なったのを最後にその影が消失してしまったことを思い出し、チャンドラポメロは思わず頭を垂れる。
その下げた後頭部の上からは、どこか嬉しそうな声色の女医と困惑するようなトレーナーの言葉が飛び交う。
「あら、貴女……自身の領域の件を担当のトレーナーさんに話をしていなかったのかしら?」
「領域……ウマソウルと関係のある、あの? いやしかし、ポメロが? 一体、どういうことです、先生」
原因がはっきりしない現象故に、トレーナーを困らせないように黙っていたチャンドラポメロだったが、女医の言葉に身が縮むような思いになる。
対して、トレーナーの方はまだ状況を呑み込めていないとでも言いたげな声色で女医に尋ねる。
「どういうことも何も。領域やウマソウルに関しては貴方たちトレーナーの方が養育学校で学び、現場で見聞きして詳しいと思いますが」
「確かに話は聞いていますよ。ですが、あれらは未だ解明されていない未知の現象。そんな不明瞭で不確定なものに頼るようなトレーナーをやっていませんよ」
「……仮に先のレースで、彼女がその領域へと到達したから勝利したとしても、ですか?」
「っ、だとしても、それは彼女のこれまで積み重ねてきた努力と、実力の結果から生まれたものです。偶然や、運等では決してない。彼女自身の力で勝ち得たものだと僕は信じます」
「トレーナー、さん」
喉を鳴らしながら笑う女医の言葉に臆することなく、トレーナーはチャンドラポメロの一切を疑わず、先のレースを含めて断言する。
その言葉に彼女は重くなった頭が軽く救われたような気持ちになり、顔を上げる。
そして、その視線の先にいる対面した女医の怪しく光る目と、歪んだ笑みを見て、言葉を失った。
- 89二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 22:34:43
「っふ、くっ、ふっふっふっ」
「……何が可笑しいのです」
「くふっ……ふーっ、いえ、失礼しました。弟が言っていた通りのトレーナーさんだったので、思わず」
「弟……トレーナー……?」
かつてチャンドラポメロが感じた狂気を孕んだ目を輝かせ、口角を上げて笑う女医に対し、トレーナーは僅かに怒気を感じられる声で尋ねる。
彼の言葉に、女医はすぐに笑いを堪えるように一度息を長く吐いた後、いつもの淡白な表情へと戻すと、軽く謝罪の一礼をしてみせる。
しかし、その言葉に何か引っかかるものを感じたのか、トレーナーの声色は怒気を孕んだものから再び困惑するものへと変わった。
「ああ。あの子、まだ貴方に私のことを話していなかったのですね……そうですね。ミスディレクションとレッドヘリングのトレーナーの姉、と言えば伝わるかしら?」
「っ!?」
「えぇっ!?」
そして、一切の表情を変えることなく、自身のことを話す女医にトレーナーとチャンドラポメロは驚きを露わにするのであった。
- 90二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 22:38:51
今明かされるミスディレクションとレッドヘリングのトレーナーの真実ぅ!
そらね、医者の家系の子がそれまで学んできたであろう医学への道を高校で放りだしていきなりトレーナーへの道を歩み出したらね、そら狂気よ
(医学系のアドバンテージはあるけれども)
とまあ、押しても引いてもポメちゃんが秋華賞に出られないのは確定なので、次かその次辺りで病院フェイズを終わり、緋色の女王フェイズへと向かって、ポメちゃんを水底へと沈めた後に、最後の一人、最近出番が少なかったカベルネソラリス君を同じく水底へと沈めて〆としたいと思いますわー!
ポメマシュソラの三人揃って仲良く水底へほなまた - 91二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 23:07:01
- 92二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 08:01:34
朝の保守
- 93二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 08:05:29
心は癒えてますか?(超小声)
- 94二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 11:51:42
水底に沈むが、皆そこに沈む
に読めてモブの運命を示しているようなのが、また - 95二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 12:36:58
…ポエット!
(そこまで考えていなかった顔をしながら)
中央に行ける時点で天才
そこで1勝を上げられたら天才
複数回勝てるなら天才
オープンレース及びリステッドレースに勝てるなら天才
重賞GⅢに、重賞GⅡに、重賞GⅠに一度でも勝てたら…
それら重賞レースに複数回勝てるなら…
上を見ればキリこそあれど、届かず
下を見ればキリがない
勝者の下に数多の敗者が積み重なっていると思うといたたまれませんが…その積み重ねがそのまま歴史でもあるという…
- 96二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 20:12:16
保守
- 97二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 23:25:38
- 98二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 23:29:10
「あいつの……いえ、失礼。彼のお姉さん、でしたか」
「そんなに警戒なさらないで。ただの世間話です。ちゃんと医者としての本分は真っ当しますよ」
「ですが……」
「けれども、ふふっ。改めてこうして面と向かって話をしますと、あの子の貴方に対する評価がよく分かります」
「それは、どういう」
「あの子は言っていましたよ、『彼の言動はウマ娘にとって毒にも薬にもなる』と。実際、その通りだと思います。貴方の声、とても心地良いのですから。それが担当ウマ娘ともなれば、もっとでしょう」
「……」
視線をトレーナーから自身へと移す女医の目が好奇に満ちていた為、チャンドラポメロは前髪で目が隠れていることを利用してその目から逃げるように逸らす。
それに気付いたのかそうでもないのか、女医は軽く笑みを浮かべた後、淡白でいて真剣な表情へと変える。
「色々と聞きたいことはありますが、今日のところは安静にしておきましょう。貴女さえよければ、経過観察の時にでもまた、話を聞きたいですね」
「……」
「ただまあ、これで二度目と考えると、貴女も既に気付いているかも知れませんが……三度目はありませんよ」
「っ」
それから、診察を切り上げる旨を伝えた後に釘を刺すような物言いをする女医に対し、チャンドラポメロは動揺する。
彼女が何を言わんとしているかは、分かった。
緋色の影。
今回の発動で実感出来た、後を追えば勝利を掴ませてくれるチャンドラポメロの領域。
その影を本気で追えば、栄光を掴める。彼女が憧れ、追いかけた影を再現している為、例えどのような形であってもそれを叶える。
勝つ為に自身の限界を越えさせる。勝つ為に自身の身体を壊してみせる。
その領域に一度踏み込み、身を委ねるのであれば、例え相手が領域を発動しなくとも勝てる相手であったとしても、代償を払わせて確実に勝たせる。
それがチャンドラポメロの領域、"Shadow of the Scarlet"なのだと。
- 99二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 23:30:34
「先生? 三度目とは一体……」
「貴方も。どうやら自覚がなさそうなので言っておきますが、いたずらに彼女の心を揺さぶるのはお止めなさい。領域とウマソウルとが深い関係にある以上、強い絆で結ばれれば結ばれる程、彼女の領域、"Shadow of the Scarlet"は強く、大きくなるのですから」
「シャドウオブザ?」
「ああ。そう、そこから話をしなければならないのですね。トレーナーと契約を結んだウマ娘は互いが互いに似るとは言いますが、心配性なのはお互い様のようね」
「心配はっ、ありません……」
トレーナーに心配させたくなく、チャンドラポメロが未だに話せていない領域の話をしようとする女医に対し、彼女は喉の奥から絞り出すように声を出す。
前後から二人の視線が集中する中、チャンドラポメロは視界が歪んでいくのを自覚しながら、一度息を吸って口を開いた。
「私の領域……緋色の影、"Shadow of the Scarlet"は、消失、しました、から」
そして、自身でも驚く程に震えた声で、二人に領域が消失したことを伝えるのだった。
- 100二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 23:35:18
女医は警告する
次はない、と
しかし、チャンドラポメロは首を横に振る
次はあるはずがない、と
自身が作り上げたとはいえ、憧れを追いかけ、追いついた
その末に消失したともなれば、自分は憧れに匹敵する存在になれたのだと思うだろう
だが、その事を試す場には行けず、ただ怪我をしたウマ娘だけがそこに残った
追いついたはずの憧れは遠のき、負傷し、レースという名の大海に泳ぎ出でぬチャンドラポメロは、水底へとゆっくり沈んでいく
ほなまた…
彼の高校3年間がどれだけ針の筵だったかと、当時の家庭内空気を考えるだけで胃がキリキリする…
- 101二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 06:45:09
おはようの保守
- 102二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 09:00:03
この女医さん、もしかして弟が家業放り出した所為で医者を継がされてないか?
自分の人生を間接的に狂わせたウマ娘達の結末が見たくて学園に来たとか… - 103二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 10:07:26
- 104二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 15:24:55
目の前の患者を治せない成す術がない事に医者として絶望すると同時に、対象が走る才の無い自分と同じになった事に仄暗い悦びを覚える女医さん
己に走る才はなくとも医者となり向き合う事で他の輝かしいウマソウルを曇らせまいと奮闘する女医さん
どっちでも美味しそうやなぁ… - 105二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 18:01:09
医者としての本分は全うするし、領域とウマソウルについては狂気じみた研究をするけれども…
それはそれとして目の前で自身とは違う意味で走行能力喪失した患者に対して仄暗い愉悦を感じる瞬間があり、その度に自己嫌悪するパターンでも良いぞよ! - 106二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 20:14:39
女医さん、DKPIは確定としてどんな感じなんだろ
外見描写ってあったっけ? - 107二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 20:23:55
- 108二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 21:51:59
thx
- 109二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 23:42:23
振り返って見れば6月1日発足で今現在11月
投下されたAIイラスト数も多ければ、SSの文字数も約30万文字ともなれば…まあ、情報こんがらがりますよね!
無駄にキャラ増やしちゃいましたし!
DKPIに囲まれたかっただけなんです許して下さい何でもはしません…
それはそれとして、アウトプットに対してインプットが追い付いていないので今日は書く時間を取れずに投下出来ないですすんません
もっとこう、無心で書き続けられればいいのですが…どうも欲求に弱いのがお恥ずかしい限り - 110二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 23:48:34
- 111二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 00:01:31
効率や理詰めに己が狂気を混ぜて語るトレーナー
それに対して何か怖いけど面白そうだから乗っかるミスディレクション
それに対して明確に怖いので拒否るレッドヘリング
そして本人は真面目に話したつもりなのに「あ、いえ、怖い、ので、私はいいです」とレッドヘリングに言われて表面上は「そうですか……残念です」と何ともないような感じで諦めながら内心めっちゃ凹んでいるトレーナー概念 - 112二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 08:02:29
滲み出る狂気を抑えないから…
- 113二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 16:54:12
保守
- 114二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 23:23:30
- 115二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 23:25:12
※※※
チャンドラポメロの領域が消失。
その言葉を聞いた女医は、やはり好奇の目で理由や思い当たることについて聞いて来た。
しかし、トレーナーがそれ以上の詮索を阻止し、女医自身も素直に引き下がる。チャンドラポメロ自身が怪我をして心が不安定ということもあってか、それ以上の追及はなく、入院する程でもないとのことで二人は病院を後にすることとなった。
トレーナーが運転する帰りの車の中、改めて彼がチャンドラポメロに対して領域の話を聞き、彼女もこれ以上は黙っていることは出来ないと一つずつ話を始める。
彼女の話に、トレーナーは決して口を挟まず、相槌を打って耳を傾けた。
彼の聞く姿勢は変に突っ込まれるよりも話しやすく、チャンドラポメロは領域、緋色の影を見た場面を次々に話していく。
メイクデビューで初めてその影を見たこと。
続くエルフィンステークスでは、領域をスキルへと落とし込めたが、影こそ見えたものの何も起こらなかったこと。
スイートピーステークスでは、エルフィンステークスと同じく領域をスキルへと落とし込んで、影も見えた。しかし、それに追いつき追い越そうとしなかった為に、レッドヘリングに僅差で敗れたこと。
それらの経験から、スキルに落とし込もうとせず、領域に踏み込んで追わないと勝てないと感じたこと。
そして、今回のレースで覚悟の上で領域へと脚を踏み込み、影を追ったこと。
結果、影に追いついたが消失してしまったこと。また、勝利することは出来たが、メイクデビューの時のように怪我をしてしまったこと。
これまでトレーナーには話せなかったことを全て、チャンドラポメロは話し切った。
「……なるほどね」
「すみません。黙っている、つもりはなかったんです」
チャンドラポメロが話し終わると同時に寮の前へと到着するが、トレーナーは車から降りようとはせず、納得するように何度も頷いてみせる。
それを見て、ここまで話を聞いてくれた彼に今まで黙っていたことへの罪悪感が湧いた彼女はシートベルトを外した後に深々とトレーナーへと頭を下げた。
「いや。仕方がないよ。病院でも話した通り、領域やウマソウルに関しては未だ解明されていないことの方が多い。君の気持ちを慮れば、例え担当トレーナー相手だとしても、おいそれとは話せないだろう」
「トレーナー、さん」
- 116二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 23:26:38
「何にしても、よく話してくれた。ありがとう」
「っ、私こそ、話を聞いて下さって、ありがとうございます」
すると、トレーナーもまたシートベルトを外した後、チャンドラポメロと向かい合って頭を下げてきた為、彼の言葉に顔を上げた彼女は、またしても同じように頭を下げる他なかった。
「……っと、君の同室の、ネーロディセッピア君、だったかな? 彼女が迎えに来てくれたみたいだよ」
「あ、はい。それでは、これで……本当に、ありがとうございます」
入院する程の怪我ではないとはいえ、足指の骨折故に歩行が困難。その為、事前に連絡を入れて介護をお願いしたネーロディセッピアが寮の玄関からやって来ているのをトレーナーに教えてもらい、チャンドラポメロは三度目となる礼をした後、ゆっくりと車外へと出る。
「お疲れ様でした。ポメロちゃん。大事に至らなくて何よりですわ」
「わざわざありがとうございます、セッピアちゃん」
「いえいえ。怪我をされた同室の子の手伝いをする、これもまたラヴです」
車のドアをそっと閉めると、すぐ傍に来ていたネーロディセッピアが労いの言葉と共にチャンドラポメロの荷物を持ってくれる。
その好意に甘えつつも、歩行だけは自分でしっかりやろうと彼女は手にした松葉杖で寮の玄関へと向かう。
「ポメロ!」
そして、寮の門前から玄関へと向かう最中、後ろからトレーナーの声が聞こえ、チャンドラポメロは振り返る。
そこにはわざわざ車から降りて後を追って来たトレーナーの姿があった。
寮内は男性禁制。それは当然、寮の門をくぐった時点で適応される。
- 117二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 23:27:50
「と、トレーナーさん!? えっと、その、不味い、ですよ」
理解のある寮長に見つかるならともかく、警備や管理の人に見つかると色々と不味いと慌てるチャンドラポメロに対し、トレーナーは真っ直ぐに見つめて口を開いた。
「君の領域が消失したとしても、君の走りが失われた訳じゃない」
「えっ」
「そして、僕は君の領域に惹かれた訳でもない。あの時話したように、初めて君の走りを見た時から、僕はずっと、君に見惚れている!」
「ふぁっ!?」
「これまでも、これからも、君の走りが大好きだから!」
傍から聞けば大胆過ぎる告白。
その発言をしたトレーナーもまた、途中から恥ずかしくなったのか、最後は言いながら走り去る形となった。
対してチャンドラポメロは、予想だにしなかった言葉の数々に思考を完全に停止した。
「……うんうん。ラヴですねぇ」
そして、トレーナーの車が走り去っていく様子を見て我に返ると、ネーロディセッピアが物凄く含みのある満面の笑みでチャンドラポメロの顔を覗き込んでいた。
その後、チャンドラポメロは寮室に戻り次第、玄関先では大分感情を抑えていたネーロディセッピアによるマシンガンラヴトークを一身に受けることとなったのは言うまでもない。
- 118二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 23:32:53
担当ウマ娘に対する大胆な告白はトレーナーの特権だぜー!
という訳で、秋華賞はともかく、走りに対してこれ以上ポメちゃんが引きずらないようにフォローするトレーナーの鑑
これによって、消失した領域にこだわらず、彼女は再び走ることが出来るでしょう
まあ、それはそれとして秋華賞に出られない事やダイワスカーレットへと挑めない事は引き摺りそうですが…はてさてほなまた
狂気的にえっちだぁ…
- 119二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 08:47:30
DKPI縦セタ半メカクレ眼鏡そばかすグルグル目クマとか、性癖ごった煮状態の女医さん
- 120二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 17:08:25
このレスは削除されています
- 121二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 17:12:26
よくよく考えたら女医さん経由とはいえ、同期から間接的に「言動に気を付けろ」って言われているのに、早速担当ウマ娘に劇物をぶつけるトレーナーぇ…
- 122二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 23:35:37
○
○○
○○○
紫苑ステークスにおけるチャンドラポメロの走りは見事だった。
外からの捲り上げ。同じタイミングで仕掛けた他のウマ娘たちに一歩も譲らない走り。
結果やVTRを見れば何てことはない、よくある先行勢が沈み、差しや追込み勢が捲り勝ったレース。
しかし、3着のウマ娘との着差は1と1/4バ身差。そのウマ娘も最後方からの上がり最速の追込みで4着のウマ娘を僅差で差すに留まっている。
となれば、やはりあのレースで頭一つ抜けていたのはチャンドラポメロと2着のウマ娘に他ならない。
距離こそ違うものの、その2着のウマ娘はオークス3着のウマ娘。その相手にクビ差とはいえ勝利を収めたのだから、カベルネソラリスとしては素直に彼女の勝利と実力を認めた。
……その勝者がレース後の怪我によって、秋華賞に出走出来なかったことを除いて、ではあったが。
『ダイワスカーレット2冠達成ー! ティアラ路線最強世代の頂点はダイワスカーレットォ!』
そして、その好敵手不在の秋華賞は、ダイワスカーレットの先行逃げ切り勝ち。
対してカベルネソラリスは、ハナを内枠1番に握られ、外枠だというのにテンの良さで先を行ったダイワスカーレットの3番手スタートを許しての敗北。
得意の逃げでペースを作ることが出来ず、先頭を走っていたウマ娘が沈んだのを好機と見て前に躍り出ようとしたが、ダイワスカーレットに阻止され、かえってペースを乱してバ群に沈んでの15着という過去最低順位に終わった。
- 123二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 23:37:34
(くそっ! あいつに! 出走出来なかったポメロに情けないところを!)
ゴール板を駆け抜けたカベルネソラリスがその時思い浮かべたのは、勝者であるダイワスカーレットのことでも、惜しくも敗れたウオッカのことでもなく、チャンドラポメロの姿であった。
このままでは終われない。
そう思ったカベルネソラリスはダイワスカーレットやウオッカと同じく、シニア級が入り混じるティアラ路線ウマ娘の集大成であるエリザベス女王杯へと出走登録。
過去の戦績から抽選漏れする危険を孕んでいたが、何とか枠には入ることが出来たので雪辱を果たすことを狙った。
『ダイワスカーレット! ダイワスカーレット! 身体半分のリード! 振り切ってゴールイン! これがダイワスカーレット! 緋色の女王の誕生だ!』
「……~っ!」
だが、それすらも彼女、緋色の女王の前には届かなかった。
ウオッカが出走取り消しとなり、ダイワスカーレット、スイープトウショウ、フサイチパンドラの三強体制に風穴を開けるつもりで挑んだレース。
それも、抜群のスタートの良さで飛び出したダイワスカーレットの2番手に付く形で終盤まで粘るものの、彼女のペースについて行けず、7着で終わってしまったのだった。
- 124二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 23:40:31
主人公のポメちゃんが出走出来ないからこそ、秋華賞エリ女はカベルネソラリスの回想?でサクっと消化していくストロングスタイル
多分、ポメちゃんはどっちも律儀に現地まで行って見守っていたのでしょうなぁ…
そして、ポメマシュソラの中では一番先に水底へと沈み、それでも足掻くカベルネソラリス
果たして彼女は浮上する事が出来るのかほなまた - 125二次元好きの匿名さん25/11/08(土) 00:54:18
やっぱりネームドは強い
- 126二次元好きの匿名さん25/11/08(土) 07:44:06
モブ視点からすると、どうにも手が届かないんだろうな
- 127二次元好きの匿名さん25/11/08(土) 07:56:35
改めてダイワスカーレットとウオッカが頭三つ程突き抜けて強すぎるんよ2007お牝馬世代
最近の記事で関係者が「ウオッカは本質的にマイラー。それ以上は気合で走っていた」って語っていたウオッカの大きな負けはその距離延長の不安(尚、府中はウオッカ自身も何かやる気に満ちていたらしい)や海外レースぐらい
それでいてGⅠ7勝とかいう化け物っぷり
ダイワスカーレットに関しては言うに及ばず
お牝馬の中で一番とかじゃなくて、二年連続で出走した雌雄混合古馬も混じる有馬で2着→1着は怪物過ぎんよ
しかも連対率100%とかいうヤバさ - 128二次元好きの匿名さん25/11/08(土) 14:45:01
保守
- 129二次元好きの匿名さん25/11/08(土) 22:11:27
第四章のタイトルは回収したし、ダイワスカーレットの絶対強者っぷりとポメマシュソラの絶望を見せたのでそろそろ幕引きする予定でございまする
第五章と終章までお付き合い頂ければ - 130二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 00:07:21
どこまでも付いて行くぞい
- 131二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 01:05:33
「はっ! はっ! はっ!」
圧倒的強者。
ウマ娘として生まれた者なら誰しもが一度は夢想するであろう「一番」という称号や地位をこれまでもこれからも信じて疑わず、突き進める胆力。
天才が天才であることを良しとせず、努力を重ね続けて到達するであろう極地。
ダイワスカーレットのペースに乱され、クーリングダウンも出来ずに両膝に手を当てて息を荒くするカベルネソラリスは彼女の背中にそれを見た。
『天に示すは一番の人差し指! 女王陛下もご照覧あれ! ティアラを戴き、ターフの上で青い勝負服を靡かせて! 世代最強のウマ娘! 緋色の女王、ダイワスカーレットです!』
興奮する実況の声と共に今日一番の盛り上がりを見せる観客席の前に立ち、自身が一番であることを示す右手の人差し指を天に掲げる勝者の後ろ姿。
正しくそれは緋色の女王と呼ぶに相応しいものだった。
(……)
そして、カベルネソラリスはついに気付いてしまった。
ダイワスカーレットやウオッカの実力や才能に対し、自身の実力や才能が大きく劣っていることに。
それは決して、いつか越えられる壁等ではなく、いつまでも縮まらない距離であることに。
何よりも、彼女自身がそこに食らい付こうと必死に背伸びをし続けていたという事実に。
「……ハハッ」
カベルネソラリスは笑う。
己の才能に。己の努力に。己の愚かさに。
まるで道化のように一人で勝手に踊り続け、その末路を垣間見て、笑うしかなかった。
結局のところ、いつしか聞いた、あの不審者の言葉の通りだった。
いつか勝てる。次は勝てる。
その結果がこのザマである。
これを嘲笑わずして、一体何を嘲笑うのか。
- 132二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 01:06:58
「……っ」
しかしそれでも、彼女は心までは折らなかった。
ダイワスカーレットの、緋色の女王の背中の先。
そこに見知った一人の影を、見つけてしまったのだから。
自分の目で見て、自分の意志でダイワスカーレットやウオッカと同じように好敵手認定した、チャンドラポメロの姿を。
「……」
故に彼女はダイワスカーレットへと称賛が続くターフの上を後にし、悔しがったり泣き崩れたりする他のウマ娘たちを横切り、一人地下バ道へと向かう。
「悪くはない走りだった」
「……あ?」
そしてその道中で、見知った顔を見た。
オークスの後、担当ウマ娘に契約を打ち切られたから、という理由で自身に契約を迫って来たトレーナーが心にもなさそうな声色で労って来る。
サイドに軽く剃り込みの入った黒茶色のオールバック。死んだ魚のように感じる黒い瞳。聞けばチャンドラポメロたちの担当トレーナーらよりも二つ上なだけでまだ20代だというのに、目頭から頬に掛けてハの字に広がるほうれい線のせいで30代半ばに見える顔付き。
白のワイシャツに黒ベストを羽織り、紺色のスラックスと赤茶色の革靴姿も相まって、そのトレーナーは社会に疲れ切ったサラリーマンのようにも見えた。
「……出会って早々に、随分と御挨拶だな。アンタがトレーナーという身分じゃなけりゃ、すぐにでも不審者扱いで通報するところだ」
「無駄口を叩く余裕があるようで何よりだ。それだけ余力があるということは、まだ伸ばす余地があるということでもある」
「……一体何の用だよ。この間に持ちかけてきた契約の話なら断ったはずだ。それに、ライブがまだ控えているんだから、邪魔をするな」
売り言葉に買い言葉で反応して見ても、相手はカベルネソラリスを値踏みするような目で下から上へと視線を動かし、如何にもトレーナーらしい言葉で返す。
ダイワスカーレットとの実力や才能の差をまざまざと見せつけられ、心が折れる一歩手前まで来ていたのもあり、彼女はそれ以上そのトレーナーに構わないつもりで横を通り過ぎようとした。
「無論、お前と契約する為だ」
「はぁ? 人の話を聞いていたのか?」
- 133二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 01:08:17
てっきり、以前契約を断ったことに対して、今日の結果を見て自身を笑いに来たものだと思っていたカベルネソラリスは横切るところで聞こえた言葉に思わず振り返った。
その視線の先には、振り返りもせずに背中を向けたままのトレーナーの姿があった。
「一度や二度断られたぐらいで諦める程、中央のトレーナーという生き物は甘くはない。そして、私はお前を利用価値のあるウマ娘と見込んだ。だからこうして、この場にいる」
「……っは! だから、レースに負けて傷心のウマ娘を、あの手この手で迫って契約を結ぼうってのか?」
「そうだ。そして、傷心しても尚、お前は心折れずにまだ立っている。違うか?」
「っ!?」
振り返り、言葉に感情を乗せず、しかしまるでそれが事実であるかのように淡々と述べるトレーナーに対し、カベルネソラリスは口を紡ぐ。
天才たちとの差に絶望した。自身の愚かさに嫌気が差した。情けないところを好敵手に見られた。
それでも尚、カベルネソラリスは走るのを止めようと思わなかったというのを見透かされたように思ったからだった。
そんな彼女の反応に、それまで無表情に近かったトレーナーは初めて頬を動かし、笑みを浮かべた。
「私はお前を利用して、トレーナーの地位を確固たるものにし、上へと行く。だからお前も、精々私を利用しろ」
「……アンタは、一体」
「どこにでもいる、中央のトレーナーだ。それすらも今は、契約を打ち切られて無職一歩手前だがな」
「オレが、勝てるというのか? あの緋色の女王に?」
「それは知らん。だが、私と契約すれば重賞の一つや二つは取らせてやる。悪い話ではないだろう?」
「……」
本日実況からダイワスカーレットへと捧げられた称号を聞き、トレーナーは浮かべた笑みを消す。
その正直さや、大胆不敵とも思える発言を前に、カベルネソラリスは逡巡する。
「……いいだろう。アンタを利用してやる」
「良い表情だ。そうでなくてはな」
そして、思考の先にチャンドラポメロの姿を見出し、彼女に専属トレーナーが付いたからこそ先の紫苑ステークスで勝利したことを鑑み、カベルネソラリスはその話に乗るのであった。
- 134二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 01:15:19
──第四章「緋色の女王」・完──
という一文が行数制限の関係で書き込めませんでしたわガハハ
そんな訳で、見事に章タイトルのように緋色の女王が誕生したところで第四章、終幕と相成りました
いち早く水底へと沈み、いち早く浮上の気配を見せたカベルネソラリス
一番遅く水底へと沈み、この先もずっと溺れ続ける事となるダブルマシュマロ
そして、栄光を掴んだところで水底へと沈み、領域の消失と秋華賞、エリザベス女王杯への遺恨を残しつつもトレーナーの言葉に若干救われたチャンドラポメロ
彼女たちの行く先は果たしてどうなるのか?
引き続き、第五章「挑むは憧れ、抗うは己」をお楽しみにほなまた - 135二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 01:17:14
(第五章の「抗うは己」の部分で一応類似がないか検索してみたらググレカス君のAIがドゥラメンテを出してきて大分驚いたのは内緒)
- 136二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 01:18:47
- 137二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 09:31:49
随分と硬茹で玉子なトレーナーが
- 138二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 09:54:11
- 139二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 10:01:37
- 140二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 10:02:45
- 141二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 11:07:14
- 142二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 11:22:17
ディレヘリのトレーナー「うわきつ(姉さん、世間体をもう少し繕う私服にした方がよろしいのではないかと愚弟は意見具申します)」
- 143二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 18:34:01
誰の煽りを喰らってこうなったのかと…
- 144二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 18:37:39
- 145二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 22:12:52「Shadow of the Scarlet」──第四章「緋色の女王」 | Writening※※※ 明日も、緋色の風が吹く。 春に桜、秋に大輪の華を咲かせ、更に女王としての戴冠劇。 速く、強く、鮮やかに。 世代を超え、クラシック三冠やティアラ三冠の壁も超えた最強ウマ娘へ。 ターフに…writening.net
第四章のまとめが出来上がりました
少し修正が必要だった為、編集した為に第五章は本日書けるかは不明ですほなまた
- 146二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 22:22:40
い、いやじゃ…このままのペースだと年内に終わらない…!
となると、第五章でダイワスカーレットVSチャンドラポメロとチャンドラポメロVSカベルネソラリスをやるっきゃない…
そしてその感にポメマシュもこなして後は終章フィニッシュじゃー!
- 147二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 23:23:48
いやしかし、そこまで話の大筋が出来てるのも、ここまで来たのも凄いよ
- 148二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 23:39:02
- 149二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 00:10:39
「Shadow of the Scarlet」──第五章「挑むは憧れ、抗うは己」
※※※
待ちに待った、この舞台。
憧れ続けた、貴女に挑む。
私は貴女に届くでしょうか?
私は貴女に足る相手となるでしょうか?
それは分からない。
けれどもあの日、あの時、あの走りから。
貴女は私の心に蹄鉄を刻んで、影だけを残して去って行った。
その影を追い、その影を追い越し、今こうしてここに立つ。
挑むは憧れ。
その憧れに近づきたい。
私の想いを、走りをぶつけたい。
緋色の女王たる貴女に、勝ちたい。
そんな己の気持ちに、心の有り様に──抗う事はもう出来ない。 - 150二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 00:11:51
〇〇〇
ずっと、挑み続けてきた。
それがどんな相手であっても、それがどんな格上であっても。
ただ愚直に、突き進んだ。
そんな己の気持ちに、心の有り様に、抗う事などしなかった。
けれども、届かなかった。影すら踏む事が出来なかった。
そしてオレは気付きを得た。
挑むは憧れ。
その憧れに勝ちたいのではなく、挑む事こそがオレの本心。
だからこそ、負け続けても己は保てた。
けれどもあの日、あの時、あのレースから。
憧れに敗れ、己の欲が招いた愚かに気付く。
抗うは己。
憧れに見切りを付け、ただ勝ちに向かって邁進する。
荒々しくも、はっきりと。
己を御して、アンタに挑む──チャンドラポメロ。
- 151二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 00:14:13
一方的な好敵手宣言から始まり
片や憧れの影を追い続けたウマ娘
片や挑む事自体が憧れと知らずに走り続けたウマ娘
メイクデビュー以降、共に走る事のなかった二人が今、シニア級で再びぶつかり合う
第五章、開幕
ほなまた - 152二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 09:03:46
- 153二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 10:07:03
AI君、取り敢えず「デカパイ白Tシャツならブラ透けさせるべ」って癖を毎回どのデカパイ生成しても出してくるの本当に笑う
- 154二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 12:20:16
ネガティブにシースルー入れても
ンな事言ったって本当は見てえんだろ、これが?おらぁ!
みたいに出してくるので最近は諦め気味
そういう風に学習させた人類が悪いと言われたら、そう - 155二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 20:29:48
保守
- 156二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 20:31:52
このレスは削除されています
- 157二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 22:21:19
(oh…つい政治系スレに首突っ込んだのが不味かった…自戒の為に今日はSS書き溜めのみにしておきます)
ウマ娘の王族はいるけれども、政治家ってなるとあの世界でも色々とひと悶着ありそう - 158二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 23:13:04
ウマ娘同胞の権利と安全確保の為に政治家を目指したウマ娘もいそう……面白そうだけど別スレ向けの話題ではあるなw
- 159二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 01:25:15
保守
- 160二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 09:37:22
流石にこれは不審者に狙われそう
- 161二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 13:03:40
不審者の背後から近づくウマ娘警備員(帯広出身)
♪デデンデンデデン パララーパーパーパー↓(デデンデンデデン) パララーパーパーパー↑(デデンデンデデン)
シングレみたいにマスコミが学園周りに群れて生徒に凸るのは想定内なので、近隣は私服警備員のパトロール密度が半端じゃなさそう - 162二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 15:10:05
なぁに、この世界線のウマ娘たちが軒並みデカパイなら変態という名の紳士に溢れているはずさ…
- 163二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 22:31:03
ポメちゃん、シニア級の初詣は誰と行く?
※トレーナーはお仕事
※ダブルマシュマロはイベント発生させる為強制帰省
※被りは被らなくなるまで下へずらす(一番下の場合は一番上に戻る)
dice3d7=7 1 7 (15)
1.カベルネソラリス
2.ミスディレクション
3.レッドヘリング
4.プティートモナ
5.ネーロディセッピア
6.ハニーハニーハニー
7.ウーバフローラ
- 164二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 23:23:23
※
※※
※※※
秋華賞が終わり、エリザベス女王杯が終わり、その年の有馬記念も無事に終わった。
そのいずれもダイワスカーレットが出走したレースであり、チャンドラポメロはその全てに目を通した。
秋華賞は足先の怪我の都合上、現地で見る事は叶わなかったが、エリザベス女王杯や有馬記念はリハビリ期間へと入った為に現地観戦を許された。
エリザベス女王杯は、シニア級も混ざる中、威風堂々とスタートからゴールまで先頭を走り続けた姿が印象に焼き付いた。
有馬記念は、最終コーナーでダイワスカーレットが先頭へと躍り出た瞬間、ティアラ路線ウマ娘が有馬記念を、という夢の扉を垣間見た。
緋色の女王が誕生した瞬間も、夢の扉に届かず敗北した瞬間も、どちらもチャンドラポメロにとっては貴く、大切な思い出となった。
だからこそ、チャンドラポメロは秋華賞に出られなかった事をずっと後悔し続けた。
(今年こそは、ダイワスカーレットさんと一緒のレースに出られますように)
新年の元日。
クラシック級の年末から年が明けて、チャンドラポメロらはシニア級へと上がる。
今年は帰省せず、寮で過ごす事を決めた彼女は、同じく寮で過ごすカベルネソラリス、ミスディレクション、ウーバフローラと共に初詣へと向かった。
寮の近くの神社へと行き、旧年の無事と新年のお願い事を済ませたチャンドラポメロは短く息を吐いてから振り返る。
「お待たせしました」
「オッケー。あーしも終わったし、他の皆も願い事は済んだんじゃなーい?」
「オレは旧年の無事のお礼参りだけだけで、神頼みはしない主義だな」
「あっはっはー。ソラリスさん、アタシの妹みたいだねー」
その視線の先には先にお参りを済ませた三人が一カ所に集まってチャンドラポメロを待っていた。
- 165二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 23:27:25
折角なのでダイスを振って初詣面子を決めたら、思いの外不思議組合せになって文章書く手が止まった罠
ポメソラディレヘリはシニア級に集中する為に、新年早々学園のトレーナーのところへ行ったり、トレーニングしたりするでしょうが…
ウーバフローラ君は何するんじゃろか…
短いですがちょっとこの後の展開やイベント考えます
好きなだけ好きにするスレですし、この面子でイベントとかこのシーンをとかがあれば募集したいと思います
(全部採用できるとは言っていない)
ほーなーまーたー - 166二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 00:37:38
ウーバが新年でも寮にいるのはなんでだろ
バイト先が年始の掻きいれ時なので頼まれてシフト入れてるのか、家族と何かしらあって帰省したくないか…
優しいギャルであって欲しいので前者かなー - 167二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 09:08:40
クリスマスが過ぎたが、それぞれどう過ごしてたか妄想の余地があるな
モナちゃんは色恋にはまだ早いし、普通に同級生友人達とクリパかな
そして寮のベッドで眠りについて、真夜中に年上の子らにサンタさんからのプレゼントをベッドサイドにそっとお届けされろ - 168二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 12:30:35
- 169二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 18:09:17
マーシュはトレーナーに何か贈ろうとして「定番はマフラーとかッスよね~。どうせなら編んじゃったりして……今からッスか?いやでも間に合ったところで、手編みとか重いって思われそうだし……」
と、ベッドでごろごろウニャってるのが想像できる - 170二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 23:18:22
めっちゃかわいらしい
- 171二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 23:47:13
結局、実家の伝手で手に入れた高級フルーツゼリー詰め合わせをクリスマスプレゼントとして渡すマーシュ
寮に帰ってきて、椅子に体を投げ出すように座る。
たふんと揺れる二つの乳塊の合間から見える部屋の絨毯が、既に馴染んだ模様を虚ろな眼球に映し出す。
「何スか、あれ。クリスマスプレゼントじゃなくて、まるでお歳暮じゃないスか……」
答える者はなかった。
同室はいない。あちらはあちらで、きっとよろしくやっているのだろう。
ひどく静かな室内に、彼女の自虐的な呟きが嫌に大きく響く。
彼女の嘆息が届いたのだろうか。
ダブルマシュマロの机の上に鎮座する、前衛的なオブジェとも三次元的ロールシャッハ検査モデルともつかないカラフルな毛糸の塊が、カサリと揺れた。 - 172二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 23:47:59
ウーバ君、年末年始バイトって事で寮に残った
と決めたのは良いけれども、色々と調べてこれだと思うものが見つからずSSも書き進められなんだ…申し訳ない
年賀はがきの仕分けバイトって年始の初詣の後でも飛び入り出来るんじゃろか… - 173二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 23:50:18
府中だと大國魂神社が近いし、それを当て込んだ年末年始も開けてる近隣の飲食店とか
前に馬車道っぽいコス着てたし - 174二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 23:50:32
- 175二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 08:57:25
素人がホイと思い付きで編めるほど楽じゃなかろうに…
それにしても、だいぶマーシュが色ボケてきましたネ - 176二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 10:07:00
トレポメは『歩くような速さで』
トレマシュは『爆速で共同作業のように外内堀を埋めた後、マーシュが一人うにゃる』
トレソラは『互いに利があるから付き合い続ける』
トレディレヘリは『トレーナーが迂闊に踏み込んだ後は二人に荒野ウェスタンのように引きずられる』
そういうイメージがあるってネーロディセッピアが言ってました(セッピアを指差しながら) - 177二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 15:21:55
マーシュは可愛いですね
- 178二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 15:27:24
本編ご無沙汰のDKPIズの戦績は今どうなっているんだろうか
- 179二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 18:22:13
- 180二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 18:33:37
- 181二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 22:10:32
- 182二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 23:05:51
ウーバ君にバイトさせる方向で書いていて気付く
ポメちゃん含めこの子たちまだ 中 等 部
はい、書き直しデース
※中学生のアルバイトは法律で禁止 - 183二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 23:24:47
立派なので、すっかり忘れてた
- 184二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 23:52:34
「んで? この後はどうするんだ?」
「んー。あーしは出店見て回りたいなー」
「アタシはおみくじを引きたいねー」
「どっちもこの人混みじゃあなあ」
トレセン学園から近い神社、大國魂神社。
縁結びや厄除け、厄払いが主な御利益であり、専属契約を夢見る学園のウマ娘が縁結びのお願いをしに来たり、レース前に怪我や病気といった厄を遠ざけようとしたりと、生徒たちからも人気の神社。
しかしながら、トレセン学園のウマ娘たちだけでなく、一般人からも人気の高いスポットである為、各々の行動を聞いたカベルネソラリスは未だ参拝の列が並んでいるのを横目にため息を吐く。
時刻は10時を過ぎた頃で、冬休みの長期休暇によって食堂も当然休止。学園側の配慮で寮に残った生徒たちには事前に簡易おせちが配られていたが、その量は普段の生徒たちの食事量を考えると新年の雰囲気を与える意味合いが強い。
寮生活を始めて、それこそ年末年始に寮に残ったのは、チャンドラポメロにとって初めての経験であった。その為、事前の買い溜め等の対策をしていなかった大食ウマ娘の彼女は、その雰囲気おせちではお腹を満たせずにいた。
「ポメロ、アンタはどうしたい?」
「えっ?」
空腹によって、遠くの出店から香る匂いに気を取られていたチャンドラポメロは、カベルネソラリスの言葉を耳にして我に返る。
見れば、ミスディレクションやウーバフローラの視線も彼女へと集中している。
チャンドラポメロの意見によって、この後の行動が変わるのは雰囲気からすぐに察した。
けれども、まさかお腹が空いたから出店でお腹いっぱい食べたいとは言えず、とすれば他のメンバーの一人の意見に便乗する形を取りたい。
だが、お願い事が終わって、残った空腹感に思考を支配されていた彼女は、誰がどの意見を言ったのかを思い出せなかった。
それでも何かを言わなければ、と思ったところでふとある食べ物がチャンドラポメロの脳裏を過ぎる。
「あ、えっと、お汁粉、食べたいです」
そして、一同がそれぞれ小首を傾げたり、眉根を寄せるのを見て、彼女は新年早々に恥ずかしさで顔を熱くさせてしまった。
- 185二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 23:56:36
私がSSを書かなくともトレウマなSSや交流が盛んになる…こんなに嬉しい事はない…
オンリーロンリーだと色々と調子に乗っちゃうのは実証済みなのでスレが盛り上がるのは本当にありがたい事ですわー!
それはそれとして中等部にバイトさせようと躍起になった挙句、中学生バイト禁止に気付いて書き直した為、ほのぼの展開になり申した
寮に残ったのも新年早々のトレーナー交流や次のレースに向けてや、何となくで闇とかそういうの無しにしておきましょう
どうせこの後、本来はモブウマ娘故にメカクレデカパイズは艱難辛苦味わいますし(超小声)
ほなまたですわー - 186二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 09:16:11
今までもよく食べたぶんよく育ったわけですね
- 187二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 09:31:45
食べた分、同じようにより白くてモチモチするようになっていくんですね
- 188二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 12:53:14
SS世界線クラシック級までの戦績(ざっくり)
チャンドラポメロ → クラシック級芝GⅡ
ダブルマシュマロ → ジュニア級ダートオープンレース、クラシック級ダートGⅢ
カベルネソラリス → ジュニア級芝オープンレース、ジュニア級芝GⅢ
ミスディレクション → クラシックシニア混合ダートGⅢ*2(シニアで更に1つ追加確定)
レッドヘリング → クラシック級芝オープンレース、クラシックシニア混合芝オープンレース(奇策のマイルの後に中距離1つ、菊花賞には出走出来たが、掲示板入りならず)
プティートモナ → ジュニア級芝オープンレース、クラシック級芝オープンレース、クラシックシニア混合ダートオープンレース、クラシックシニア混合芝オープンレース*2、クラシックシニア混合芝GⅢ
(夏を越えてから賞金目当てのレース数をこなすのを止め、堅実に積み重ねて重賞制覇)
ネーロディセッピア → 3勝クラス
ハニーハニーハニー → 4勝クラス
ウーバフローラ → 3勝クラス - 189二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 15:12:26
モナちゃん、きちんと持ち直して立派になって…
- 190二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 23:35:05
- 191二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 01:11:17
保守
- 192二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 09:11:01
ホスト規制からの一旦仮眠からの寝落ちしました(小声)
最近変なタイミングで規制掛かるので申し訳ない
規制…というか制限だとマーシュやモナちゃんは遊園地アトラクションの身長制限に引っ掛かるのだという気付きを得る - 193二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 15:20:28
こうして見るとモナちゃんが頭一つ抜けて戦績がヤバい(その分回数走っていたから負けてもいるんだけども)
- 194二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 21:45:30
- 195二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:21:45
- 196二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:22:48
「あー、いいよな。お汁粉」
「え?」
「分かり味ー。お正月って感じがする食べ物っしょ。ミスっちもそう思わない?」
「お汁粉もいいけど、アタシはぜんざい派かなー?」
「あーしはどっちも好きー。ソラっちはどっち派?」
「甘ければ何でも良い」
「芝生えるー。ポメっちは?」
「あっ、はい。どちらかと言えば……お汁粉、ですかね」
しかし、突拍子もない発言も、彼女たちはチャンドラポメロを笑う事はせず、寧ろそこから話題を広げてくれる。
カベルネソラリスは生粋の甘いもの好き故に、ウーバフローラはその明るさ故に、ミスディレクションはマイペース故に。だからこそ、チャンドラポメロもすぐに落ち着きを取り戻し、ウーバフローラの質問に答えられる余裕が出来た。
同時に新年早々から、ダブルマシュマロを初めとする色んな子たちと知り合い、助け合い、時に競うような関係を築けた事を密かに感謝する。
(そういえば、マーシュちゃんは今どうしているのかな?)
「ほい。あったよー」
「ふぇ?」
「えーなになにー?」
「んー?」
以前の、それこそトレセン学園に来る前の自分からは想像も出来ない交友関係を前に、チャンドラポメロはその起点となった帰省したダブルマシュマロの事を想う。
すると、その横でスマートフォンを叩いていたミスディレクションが声を上げて画面を見えるように向けてきた。
急な仕草故に少し身体を硬直させつつも、ウーバフローラやカベルネソラリスと共に彼女が手にするスマートフォンの画面を見る。
そして、そこに書かれている東京大神宮の名前を見てから、一体何の事かとミスディレクションへと視線を向けると、彼女は眼鏡を光らせて笑う。
- 197二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:24:07
「お汁粉って本来は鏡開きの後に食べるのが定番なんだけどさー。この東京大神宮ならそのお汁粉が振る舞われるから今日にでも食べられるよー」
「お、おぉー! いいねぇ! あーし、気分はお汁粉になってきたー」
「私も、その、興味あります」
「あっはっはー。ウーバちゃんはそうよねー。ポメロちゃんもオーケーと。ソラリスさんはどするー?」
「オレは……いや、オレも付き合おう」
「おー、意外。ソラリスさんなら新年から『オレはこれから自主トレするからパス』とか言うかと思ったのにー」
「アンタ、オレを何だと……あー、まあ、以前までなら、そうだな」
「ほーぅ? ソラっち、怪しい」
「な、なんだよ」
「よもやよもや……新しく契約したとかいうトレっちーと何かあったっしょー」
「ああ、なんだ。話が早いな」
「えっ、マジ? あーしったら、カマかけ成功?」
「何の話だ? そのトレーナーから自主トレ禁止されただけなんだが」
「ひぃん……あーしガックシ」
「あっはっはー。残念だったねー」
「?」
ミスディレクションの提案によって、一同はまた会話に花を咲かせながら、満場一致で東京大神宮へと向かう事が決まる。
そんな新年の始まりに、チャンドラポメロは思い切って寮に残る事を選んで良かったと思うのだった。
- 198二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:26:04
- 199二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:27:21
うおー! 今日は広域ホスト規制掛かる前に投下出来たぞー!
という事で、決意という名の祈願もそこそこに、ほのぼの新年組は無事に終了
次回はこのSSらしく(?)艱難辛苦なところもお出し出来たらと思います
ほなまたっ - 200二次元好きの匿名さん25/11/16(日) 08:28:04
立て乙です
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