【閲注】ダメではないか我が同胞……いつまでも眠っていては(ビリッビリングユアドリーム2

  • 1二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 17:49:16

    〜〜♪(BGM:「前回のおさらい」)

    かつて熊手とテガソードが倒したクラディスの一人、支配のドミヌス。熊手の身体を乗っ取ったそいつは、世界を滅ぼすとか言って好き勝手に暴れ始めやがった。
    ドミヌスもテガソードもなんかごちゃごちゃ言ってるけど気に入らねえ。いい加減目を覚ましやがれ、熊手!

  • 2二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 17:50:19
  • 3二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 17:57:59

    スレ立てありがとうございます!
    保守

  • 4二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 18:00:02

    保守!

  • 5二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 18:13:52

    続き嬉しいです!
    保守〜

  • 6二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 18:36:31

    保守

  • 7125/11/01(土) 18:50:31

    ──
    耳鳴りが、した。
    ふと足が止まり、真白は幾度か目を瞬かせる。何度も繰り返し真白の前に現れる、言いようのない違和感。まるで、この世界が間違っているかのような錯覚。そんなことがありえるだろうか。ここは、こんなにも呼吸がしやすいのに?

    「真白」

    馴染み深い呼び名に顔を上げる。振り向いて自分を見つめる青色と、その先で二人を待っている三色。何度も見てきた光景だった。

    「なんでもねぇ、今行く……」

    刹那、一歩を踏み出そうとした真白の目の前を"白"が覆った。次から次へと頭上から降り落ちるそれに、雪か、と空を見上げた真白は目を丸くする。そっと手を伸ばせば、簡単にそれは掴めてしまった。当然だ、雪などではない、これは。

    「……紙、ってか、請求書?」

    んだこれ、と小さくつぶやきながら。戸惑い交じりにその文字を目でたどった彼の頭がずきりと痛む。自分たちと同じ指輪を持つ、自分たちとは違う五人。今見てる景色とは異なるものを知っている。

    「……、耳鳴り、じゃねぇ、これは……」

    誰かが自分を、呼んでいる?
    仲間に背を向け、背後を振り返れば、暗い闇のなか、雪道が浮かび上がるように、薄く光る白銀が道を覆い照らしていた。これなら、きっと道には迷わない。──あぁそうだ、俺は、俺様は、戻らねぇと。世直しはまだ終わってない。こんなところで油を売ってる場合じゃ。

    「行くな、真白」

    ふらりと踏み出しそうになった足が、その声に縫い止められる。低く落ち着いた、それでいてよく通る声。あまりにも懐かしい、今は遠くなってしまった彼の。首を逸らし、彼の目を見る。レオンの指輪を持つ男は、表情を変えずに真白の視線を受け止めた。

    「行って何になる?あの世界は……お前のものじゃないんだ。お前の居場所なんてどこにもない。そんな世界に戻ったって……」

  • 8125/11/01(土) 18:54:27

    そこで男は言い淀み、気遣うように視線を落とした。理解させたい、だが傷つけたくはない。そう考えているような素振りだった。

    「テガソードはとっくに俺たちの代わりを見つけた。お前だって分かっていただろ。俺たちの戦いは……役目はもう終わったんだ」
    「……役目」

    唇だけを動かして、真白はそう指に嵌ったウルフのリングに触れた。目を覚ましたその時、とっくに自分のものではなくなっていた力。真白の人生を変えた真紅は、呆気なく真白の前からいなくなった。それは、どうしようもない事実だ。

    「──たくさん犠牲が出たよな。俺達は必死に戦ったし、お前は誰よりも人を守ったけど、それでも救えないものはたくさんあった。悔しいのは分かる。だが……あの世界に、お前の場所は最初から用意されていない。もういいんだ」

    柔らかく、甘く、男の声が耳を打つ。懐かしいな、と真白は思う。ゴジュウレオンの能力は本人の聴力の強化であるはずだが、逆に彼の声には聞くものの心にじわりと入り込む不思議な力があった。どれだけ反発しても、気がつけば彼の言葉に耳を傾けてしまう。あの頃の真白だってそうだった。
    それは今も、変わらない。

    「俺達とここにいよう、真白。あの頃の続きを。俺達は……お前は十分に戦った。ここで幸せな夢を見ていたって、誰も責めたりなんてしない」

    きっと彼の言うことは正しいと、真白にも分かっていた。そうだな、と自分でも意外なほど素直な言葉が滑り落ちる。

    「俺は厄災の思惑で生き残り、あの世界に流れ着いただけのはぐれもの。本当ならとっくに死んでいて、俺の代わりだっている。……俺がいなくても、あいつらは、あいつら五人の力で何とかしただろう。世界は平然と回っていく」

    目を伏せる。きっとそれが事実だった。分かってる、分かっていた。あの世界に真白の居場所はない。真白がいない世界こそが、きっと正しい形なのだろう。だが、真白は揺らぐことのない光を宿した瞳で、男を見据えた。

    「──けどな、それが何だ? 」

  • 9二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 19:17:53

    保守

  • 10二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 19:20:05

    保守!

  • 11二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 20:49:25

    請求書を雪に見立ててウルフ時代に無かったふたつの象徴で現実突きつけるの好き

  • 12二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 21:01:45

    保守。
    もうこのスレ前スレ含め伝説だろ

  • 13二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 22:08:10

    保守

  • 14二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 23:23:34

    希望が見えてきた…
    金で繋いだ縁が熊手を引き止めるの、ゴジュウジャーらしくて良いなぁ

  • 15二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 07:08:33

    保守

  • 16二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 13:10:00

    保守

  • 17二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 18:02:51

    本来ならいなかったはずのイレギュラーだもんな熊手は…

  • 18二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 22:13:13

    保守

  • 19二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 01:09:55

    保守

  • 20二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 06:32:40

    保守

  • 21125/11/03(月) 13:26:16

    雪の結晶を思わせる輝きに、男は僅かに目を見開いた。強気に──いかにも熊手真白らしく──片方の口角をぐっと上げて。

    「居場所なんかなくていい。神に認められずとも構わねぇ。言っただろ、俺は──俺のやりたいようにやる」

    真白の出した答えは至極単純明快だった。理由も意味も、"世界"になんて求めない。だって、とっくに答えは自分の中にあるのだ。

    「誰がどう思おうと関係ねえ。どんなやつもどんな世界も、この熊手様が救ってみせる。俺がそう決めたんだ。貫き通してやるさ」

    誰に頼まれたわけでもない。何に急かされるわけでもない。それでも世界を救い、無辜の暮らしを守り、人々の背を幸福へと押す。今も昔も、真白の願いは変わらない。

    赤狼の指輪を手にし、戦うことを決めたのは自分だ。テガソードと共に赴き、厄災と決着をつけると決めたのは自分だ。たった一人で目覚めてなお、今度こそ世界を救うと、テガソードを越える神になるのだと、そう決めたのだって。
    その選択を悔いたことなど一度もない。世界が変わり、そこから爪弾きにされて、それがなんだと言うのだろう。自分が変わらなければ、世界とて何も変わっていないのと同じだ。

    「それに、俺を呼んでる奴らがいるんだ。俺にはあいつらの声に応える責任がある。……だろ?」
    「…………」

    男は何も言わず、無表情に真白を見つめていた。そう言ったのはお前のくせに、と少し毒づいてやりたくもなるが、この彼は"彼"ではないのだろう。真白を閉じ込めるため、厄災が見せている都合の良い夢。それでも彼らしい思慮深さを見せるあたり、真白の記憶と印象を投影させているのには違いないが。要はよくできたシュミレーションだ。

    「……良かったよ。また会えて」

    それをただしく理解してなお、真白は小さく呟いた。紛い物でも、ただの思い出に過ぎなくても──真白の中にはずっと彼らがいる。打ち破った彼らの指輪はもう真白の手元にはないけれど、その願いが、想いが、血肉となって真白を生かす。だから。

  • 22125/11/03(月) 13:28:35

    彼に、彼らに背を向けて今度こそ一歩を踏み出せば、ひやりとした冷気が頬に触れた。凍えるようなそれはたぶん、孤独に似ている。無意識に拳を握りしめた真白の名を、強い声が紡いだ。

    びりびりと鼓膜が痺れるような大声に、反射的に「なんだよ」と目を向ける。過去何度も繰り返した所作はまだ身体に馴染んでいて、自分でも呆れてまうほどだ。この期に及んで、そんな態度を貫く彼の頑なさにも。

    「こんな時まで説教──」
    言いかけた言葉は途中で止まる。重なった瞳も、いつだって無骨に線を結んでいた口元も、今は柔らかに弧を描いていた。

    「……たとえ離れ離れになっても。どれだけ世界が変わっても。俺達は、お前を信じてる。──お前なら、大丈夫だ」

    いつからか本物のそれに姿を変え、雪は絶え間なく降っていた。冷えきった空気は変わらないし、道を進めばそこに残る足跡はたった一人のものだろう。その前に立った真白は見開いた目を一瞬だけ伏せ、それから目を細めて笑った。

    「知ってるっての!」

    瞳は途端自信に輝き、こぼれ落ちた笑みはどこまでも無邪気だ。くるりと身体を反転させた真白は、いっそ楽しむような足取りの軽さで光に向かって駆け出した。

    振り向きはしない。己の選択に後悔はなくても、この手から零れ落ちたものは山ほどあった。もっとやれることがあったかもしれない。今のゴジュウジャーを、遠野吠を見ていて、そう思うことがないわけではない。
    悔いも郷愁も、真白の中には確かにある。だが、そんな過去もすべて連れて歩み続けると決めたのだ。この腕に抱いたかつての日々を、真白はけして離さない。

    吸い込む酸素は冷たく、荒く吐き出す息は白い。頭がどんどんクリアになっていく。目の前に迫る白い光に、手を伸ばして。

  • 23二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 21:50:07

    保守

  • 24二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 23:05:06

    今更だけどあらすじが芸コマで好き
    熊手さんかっこいいわ

  • 25二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 06:51:29

    保守

  • 26二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 16:01:41

    保守

  • 27二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 20:11:41

    保守

  • 28二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 21:52:18

    保守

  • 29二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 23:01:59

    次はどんな展開が待ち受けているのか、楽しみ!

  • 30二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 06:50:31

    これはハピエンを期待できる!

  • 31二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 16:48:33

    こんなところでこんな素敵なSSを有り難うスレ主さん

スレッドは11/6 02:48頃に落ちます

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